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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/49 20070101AFI20240924BHJP
【FI】
H02M7/49
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2024501147
(86)(22)【出願日】2023-08-07
(86)【国際出願番号】 JP2023028714
【審査請求日】2024-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】株式会社TMEIC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小堀 晃平
(72)【発明者】
【氏名】杉山 隆
【審査官】冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-87244(JP,A)
【文献】国際公開第2020/202468(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/216208(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列接続された複数の単位変換器を含み、交流電源に接続される電力変換器と、
前記複数の単位変換器の各々に制御信号を送信する制御装置とを備え、
各単位変換器は、
直流電力を蓄えるコンデンサと、前記交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換して前記コンデンサに供給する整流素子と、前記コンデンサの直流電力を交流電力に変換して前記交流電源に供給するスイッチング素子とを含む主回路と、
前記コンデンサから供給される直流電圧によって駆動され、前記制御信号を受信する第1の通信回路と、
前記第1の通信回路によって受信される前記制御信号に従って前記スイッチング素子を駆動させる駆動回路とを含み、
前記制御装置は、
前記制御信号を生成する制御部と、
前記制御部によって生成される前記制御信号を前記第1の通信回路に送信する第2の通信回路と、
各単位変換器に対応して設けられ、対応する単位変換器に含まれる前記コンデンサを検査する検査部とを備え、
前記検査部は、
前記交流電源から前記電力変換器への電力供給が開始されてから前記第1および第2の通信回路間の通信が確立するまでの第1の時間と、前記交流電源から前記電力変換器への電力供給が停止されてから前記第1および第2の通信回路間の通信が遮断されるまでの第2の時間とのうちの少なくともいずれか一方の時間を計測する計時部と、
前記第1の時間が第1の判定時間よりも短い第1の場合と、前記第2の時間が第2の判定時間よりも短い第2の場合とのうちの少なくともいずれか一方の場合に、対応する前記コンデンサを新品と交換する必要があると判定する判定部とを含む、電力変換装置。
【請求項2】
前記各単位変換器は、
前記直流電圧が上昇して第1のしきい値電圧を超えた場合には、前記直流電圧に基づいて電源電圧を生成し、前記直流電圧が下降して第2のしきい値電圧よりも低下した場合には、前記電源電圧の生成を停止する電源をさらに含み、
前記第1の通信回路は前記電源電圧によって駆動され、
前記電源によって前記電源電圧が生成されている場合に、前記第1および第2の通信回路間の通信が確立し、
前記電源によって前記電源電圧の生成が停止された場合に、前記第1および第2の通信回路間の通信が遮断される、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記各単位変換器は、
前記コンデンサの端子間電圧を検出し、その検出値を示す信号を出力する電圧センサをさらに含み、
前記第1の通信回路は、前記電圧センサの出力信号を前記第2の通信回路に送信し、
前記制御部は、前記第2の通信回路によって受信される前記電圧センサの出力信号に基づいて前記制御信号を生成する、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項4】
複数の前記判定部の判定結果を表示する表示部をさらに備える、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記交流電源から前記電力変換器への電力供給の開始および停止は複数回行なわれ、
前記検査部は、
前記計時部の複数回の計測結果を順次記憶する記憶部と、
前記第1の時間が前記第1の判定時間よりも長い第3の場合、および前記第2の時間が前記第2の判定時間よりも長い第4の場合のうちの少なくともいずれか一方の場合に、前記記憶部の記憶内容に基づいて、対応する前記コンデンサを新品と交換すべき時期を推定する推定部とをさらに含む、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項6】
複数の前記推定部の推定結果を表示する表示部をさらに備える、請求項5に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記交流電源と前記電力変換器との間に接続され、前記交流電源から前記電力変換器への電力供給を開始する場合にオンされ、前記交流電源から前記電力変換器への電力供給を停止する場合にオフされるスイッチをさらに備える、請求項1に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力変換装置に関し、特に、直列接続された複数の単位変換器を含む電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば国際公開第2018/193606号(特許文献1)には、交流電源に接続される電力変換器と、電力変換器を制御する制御装置とを備えた電力変換装置が開示されている。電力変換器は、直列接続された複数の単位変換器を含む。各単位変換器は、直流電力を蓄えるコンデンサと、交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換してコンデンサに供給する整流素子と、コンデンサの直流電力を交流電力に変換して交流電源に供給するスイッチング素子とを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2018/193606号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の電力変換装置では、複数の単位変換器に含まれる複数のコンデンサの経年劣化が発生し、装置性能が低下するという問題がある。
【0005】
この対策として、定期的に電力変換装置の運転を停止し、各コンデンサの容量値を測定し、劣化したコンデンサを新品と交換する方法がある。しかし、この方法では、複数のコンデンサの容量値を測定するための時間が長くなり、装置の運転停止時間が長くなるという問題がある。
【0006】
それゆえに、本開示の主たる目的は、複数の単位変換器に含まれる複数のコンデンサの各々を新品と交換する必要があるか否かを容易かつ迅速に判定することが可能な電力変換装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の電力変換装置は、電力変換器および制御装置を備える。電力変換器は、直列接続された複数の単位変換器を含み、交流電源に接続される。制御装置は、複数の単位変換器の各々に制御信号を送信する。
【0008】
各単位変換器は、主回路、第1の通信回路、および駆動回路を含む。主回路は、直流電力を蓄えるコンデンサと、交流電源から供給される交流電力を直流電力に変換してコンデンサに供給する整流素子と、コンデンサの直流電力を交流電力に変換して交流電源に供給するスイッチング素子とを含む。第1の通信回路は、コンデンサから供給される直流電圧によって駆動され、制御信号を受信する。駆動回路は、第1の通信回路によって受信される制御信号に従ってスイッチング素子を駆動させる。
【0009】
制御装置は、制御信号を生成する制御部と、制御部によって生成される制御信号を第1の通信回路に送信する第2の通信回路と、各単位変換器に対応して設けられ、対応する単位変換器に含まれるコンデンサを検査する検査部とを備える。検査部は、計時部および判定部を含む。
【0010】
計時部は、交流電源から電力変換器への電力供給が開始されてから第1および第2の通信回路間の通信が確立するまでの第1の時間と、交流電源から電力変換器への電力供給が停止されてから第1および第2の通信回路間の通信が遮断されるまでの第2の時間とのうちの少なくともいずれか一方の時間を計測する。
【0011】
判定部は、第1の時間が第1の判定時間よりも短い第1の場合と、第2の時間が第2の判定時間よりも短い第2の場合とのうちの少なくともいずれか一方の場合に、対応する前記コンデンサを新品と交換する必要があると判定する。
【発明の効果】
【0012】
本開示の電力変換装置では、コンデンサの充電が開始されてから第1および第2の通信回路間の通信が確立するまでの第1の時間と、コンデンサの放電が開始されてから第1および第2の通信回路間の通信が遮断されるまでの第2の時間とのうちの少なくともいずれか一方の時間が計測される。そして、第1の時間が第1の判定時間よりも短い第1の場合と、第2の時間が第2の判定時間よりも短い第2の場合とのうちの少なくともいずれか一方の場合に、コンデンサを新品と交換する必要があると判定される。したがって、複数の単位変換器に含まれる複数のコンデンサの各々を新品と交換する必要があるか否かを容易かつ迅速に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の実施の形態1に従う電力変換装置の構成を示す回路ブロック図である。
図2図1に示す単位変換器の構成を示す回路ブロック図である。
図3図2に示す電源の構成を示すブロック図である。
図4図1に示す制御装置の構成を示すブロック図である。
図5図4に示す制御回路の構成を示すブロック図である。
図6図2に示すコンデンサの初期充電を説明するための回路ブロック図である。
図7図5に示す検査部の構成を示すブロック図である。
図8図7に示す計時部の動作を説明するためのタイムチャートである。
図9図8に示す直流電圧の波形の経年変化を示すタイムチャートである。
図10図7に示す推定部の動作を説明するためのタイムチャートである。
図11図4図10に示す制御回路の動作を示すフローチャートである。
図12】実施の形態1の変更例を示す回路ブロック図である。
図13】本開示の実施の形態2に従う電力変換装置の要部を示す回路ブロック図である。
図14図13に示す計時部の動作を説明するためのタイムチャートである。
図15図14に示す直流電圧の波形の経年変化を示すタイムチャートである。
図16図13に示す推定部の動作を説明するためのタイムチャートである。
図17図13に示す検査部を含む制御回路の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施の形態1]
図1は、本開示の実施の形態1に従う電力変換装置1の構成を示す回路ブロック図である。図1において、この電力変換装置1は、商用交流電源8から負荷に三相交流電力を供給するための送電線9u,9v,9wに接続され、負荷などで発生する無効電力を補償する無効電力補償装置として使用される。
【0015】
この電力変換装置1は、スイッチS1~S6、変圧器2,3、限流抵抗器R1~R3、交流ラインUL,VL,WL、変流器C1~C3、リアクトルL1~L3、アームA1~A3、操作部6、および制御装置7を備える。
【0016】
スイッチS1~S3の一方端子はそれぞれ送電線9u,9v,9wに接続され、それらの他方端子はそれぞれ変圧器2の3つの一次巻線に接続される。スイッチS1~S3は、制御装置7によって制御され、通常時にオンされ、電力変換装置1の検査およびメンテナンス時にオフされる。変圧器2は、3つの一次巻線と3つの二次巻線とを含み、三相交流電力を授受する。
【0017】
限流抵抗器R1~R3の一方端子はそれぞれ変圧器2の3つの二次巻線に接続され、それらの他方端子はそれぞれ交流ラインUL,VL,WLの一方端に接続される。限流抵抗器R1~R3は、電力変換装置1の起動時に商用交流電源8からアームA1~A3にそれぞれ流れる電流を制限する。
【0018】
スイッチS4~S6は、それぞれ限流抵抗器R1~R3に並列接続される。スイッチS4~S6は、制御装置7によって制御され、電力変換装置1の起動時においてアームA1~A3に流れる電流が安定した後にオンされる。変圧器3は、交流ラインUL,VL,WLの交流電圧に応じた値の三相交流電圧Vu,Vv,Vwを制御装置7にフィードバックする。
【0019】
リアクトルL1およびアームA1は、交流ラインULと交流ラインVLとの間に直列接続される。リアクトルL2およびアームA2は、交流ラインVLと交流ラインWLとの間に直列接続される。リアクトルL3およびアームA3は、交流ラインWLと交流ラインULとの間に直列接続される。すなわち、アームA1~A3はデルタ接続されている。アームA1~A3(電力変換器)は、制御装置7によって制御され、三相交流電力を発生する。
【0020】
アームA1~A3の各々は、直列接続されたN個の単位変換器5を含む。N個の単位変換器5の各々は、制御装置7からの制御信号に従って交流電力を発生する。Nは、2以上の整数であり、たとえば60である。
【0021】
アームA1の初段の単位変換器5の第1端子5aは、リアクトルL1の一方端子に接続されている。アームA1において、最終段以外の各単位変換器5の第2端子5bは、隣接する単位変換器5の第1端子5aに接続されている。アームA1の最終段の単位変換器5の第2端子5bは、リアクトルL2の一方端子に接続されている。
【0022】
アームA2の初段の単位変換器5の第1端子5aは、リアクトルL2の他方端子に接続されている。アームA2において、最終段以外の各単位変換器5の第2端子5bは、隣接する単位変換器5の第1端子5aに接続されている。アームA2の最終段の単位変換器5の第2端子5bは、リアクトルL3の一方端子に接続されている。
【0023】
アームA3の初段の単位変換器5の第1端子5aは、リアクトルL3の他方端子に接続されている。アームA3において、最終段以外の各単位変換器5の第2端子5bは、隣接する単位変換器5の第1端子5aに接続されている。アームA3の最終段の単位変換器5の第2端子5bは、リアクトルL1の他方端子に接続されている。
【0024】
リアクトルL1~L3は、アームA1~A3に流れる循環電流をそれぞれ抑制する。リアクトルL1~L3は、アームA1~A3とは別に設けられていてもよいし、アームA1~A3のインダクタンス成分であっても構わない。変流器C1~C3は、アームA1~A3に流れる交流電流Iuv,Ivw,Iwuをそれぞれ検出して、制御装置7にフィードバックする。
【0025】
操作部6は、電力変換装置1の使用者によって操作される複数のボタン、種々の情報を表示する画像表示部などを含む。使用者が操作部6を操作することにより、種々の情報を設定したり、電力変換装置1を起動および停止させることが可能となっている。操作部6は、操作内容を示す信号を制御装置7に出力する。
【0026】
制御装置7は、操作部6からの信号に従って、スイッチS1~S3をオンおよびオフさせる。また、制御装置7は、無効電力指令値Qr、三相交流電圧Vu,Vv,Vw、交流電流Iuv,Ivw,Iwu、後述する直流電圧VDCなどに基づいて、後述する制御信号GC、制御信号GB、オン指令Sonなどを生成することにより、3つのアームA1~A3の各々(すなわち3×N個の単位変換器5の各々)を制御する。
【0027】
無効電力指令値Qrは、たとえば商用交流電源8を含む電力系統の中央指令室(図示せず)から与えられる。電力変換装置1は、無効電力指令値Qrに応じた値の無効電力を送電線9u,9v,9wに供給する。
【0028】
図2は、図1に示した単位変換器5の構成を示す回路ブロック図である。図2において、単位変換器5は、主回路10、抵抗素子R4、電源20、および制御回路30を含む。主回路10は、コンデンサを備えたフルブリッジ回路により構成される。
【0029】
具体的には、主回路10は、スイッチング素子11~14、ダイオード(整流素子)D1~D4、およびコンデンサ15を含む。主回路10は、スイッチング素子11~14のオンおよびオフによりコンデンサ15の端子間電圧VDCに応じた振幅の電圧パルスを第1端子5aおよび第2端子5b間に出力することにより、直流電力を交流電力に変換する。
【0030】
スイッチング素子11~14の各々は、自己消弧型電力用半導体素子であり、たとえばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)で構成されている。スイッチング素子11,13は直流ラインPLおよび直流ラインNLの間に直列に接続されている。スイッチング素子12,14は直流ラインPLおよび直流ラインNLの間に直列に接続されている。スイッチング素子11,12のコレクタはともに直流ラインPLに接続され、スイッチング素子13,14のエミッタはともに直流ラインNLに接続されている。スイッチング素子11のエミッタとスイッチング素子13のコレクタとの接続点は第1端子5aに接続されている。スイッチング素子12のエミッタとスイッチング素子14のコレクタとの接続点は第2端子5bに接続されている。
【0031】
ダイオードD1~D4は、スイッチング素子11~14にそれぞれ逆並列に接続されている。コンデンサ15は、直流ラインPLおよび直流ラインNLの間に接続され、直流電力を蓄える。
【0032】
スイッチング素子11~14の導通状態(オンおよびオフ)は制御回路30によって制御される。スイッチング素子11,13は、互いに相補的にオンおよびオフされる。スイッチング素子12,14は、互いに相補的にオンおよびオフされる。図2に示されるように、第2端子5bを基準とした第1端子5aまでの電圧をセル電圧Vcellと定義すると、セル電圧Vcellは、スイッチング素子11~14の各々のオンおよびオフによって制御される。
【0033】
具体的には、スイッチング素子11,14が共にオンであり、スイッチング素子12,13が共にオフである場合、セル電圧Vcellはコンデンサ15の端子間電圧VDCと等しい。スイッチング素子11,12が共にオンであり、スイッチング素子13,14が共にオフである場合、セル電圧Vcellは0Vである。スイッチング素子11,12が共にオフであり、スイッチング素子13,14が共にオンである場合、セル電圧Vcellは0Vである。スイッチング素子11,14が共にオフであり、スイッチング素子12,13が共にオンである場合、セル電圧Vcellはコンデンサ15の端子間電圧VDCの極性を反転させた電圧に等しい。
【0034】
アームA1~A3の各々の全体の電圧は、該アームA1~A3の各々に含まれるN個の単位変換器5のセル電圧Vcellの和となる。したがって、各単位変換器5のスイッチング素子11~14の各々のオンおよびオフ状態によって制御することにより、アームA1~A3の各々の全体の電圧を制御することができる。
【0035】
また、主回路10は、スイッチS7をさらに含む。スイッチS7は、第1端子5aと第2端子5bとの間に接続されている。スイッチS7は、制御回路30からの指令に応じて閉成することにより、第1端子5aおよび第2端子5bを短絡することが可能に構成されている。
【0036】
抵抗素子R4は、直流ラインPLと電源20の入力端子20aとの間に接続されている。抵抗素子R4は、コンデンサ15の端子間電圧VDCを降圧して電源20に供給するとともに、コンデンサ15から電源20に流れる電流を制限する。
【0037】
電源20の入力端子20bは直流ラインNLに接続される。電源20は、コンデンサ15から抵抗素子R4を介して供給される直流電圧Vinをさらに降圧して制御回路30の電源電圧を生成する。すなわち、各単位変換器5は、主回路10から制御回路30に電力を供給することができる自給式のセルを形成する。
【0038】
制御回路30は、通信回路31(第1の通信回路)、駆動回路32,33、スイッチ操作回路34、および電圧センサ35を含む。制御回路30は、電源20から供給される電源電圧によって駆動され、制御装置7と信号を授受するとともに、主回路10を制御する。
【0039】
図3は、図2に示した電源20の構成を示すブロック図である。図3において、電源20は、入力電圧監視回路21、電源部22~26、および制御部27を含む。入力電圧監視回路21は、入力端子20a,20b間の直流電圧Vinを検出し、その検出値を示す信号を制御部27に出力する。
【0040】
第1電源部22は、直流電圧Vinを降圧して制御部27の電源電圧VC1を生成する。制御部27は、電源電圧VC1によって駆動され、入力電圧監視回路21の出力信号によって示される直流電圧Vinに基づいて起動指令信号CMDを生成する。直流電圧Vinが第1しきい値電圧Vt1よりも低い場合には、起動指令信号CMDは非活性化レベルの「L」レベルにされる。
【0041】
直流電圧Vinが上昇して第1しきい値電圧Vt1を超えた場合には、起動指令信号CMDは非活性化レベルの「L」レベルから活性化レベルの「H」レベルに立ち上げられる。直流電圧Vinが下降して第2しきい値電圧Vt2よりも低下した場合には、起動指令信号CMDは活性化レベルの「H」レベルから非活性化レベルの「L」レベルに立ち下げられる。第1しきい値電圧Vt1は、第2しきい値電圧Vt2よりも高い電圧に設定されている。
【0042】
起動指令信号CMDは、電源部23~26に与えられる。起動指令信号CMDが活性化レベルの「H」レベルである場合には、電源部23~26が活性化されてそれぞれ電源電圧VC2~VC5を出力する。起動指令信号CMDが非活性化レベルの「L」レベルである場合には、電源部23~26が非活性化されて電源電圧VC2~VC5の出力を停止する。
【0043】
具体的には、第2電源部23は、信号CMDが「H」レベルである場合に、直流電圧Vinを降圧して電源電圧VC2を生成し、駆動回路32,33に与える。第3電源部24は、信号CMDが「H」レベルである場合に、直流電圧Vinを降圧して電源電圧VC3を生成し、スイッチ操作回路34に与える。第4電源部25は、信号CMDが「H」レベルである場合に、直流電圧Vinを降圧して電源電圧VC4を生成し、電圧センサ35に与える。
【0044】
第5電源部26は、信号CMDが「H」レベルである場合に、直流電圧Vinを降圧して電源電圧VC5を生成し、通信回路31に与える。信号CMDが非活性化レベルの「L」レベルにされると、電源部23~26はそれぞれ電源電圧VC2~VC5の出力を停止する。
【0045】
再び図2を参照して、通信回路31は、第5電源部26から与えられる電源電圧VC5によって駆動され、通信回線(図示せず)を介して制御装置7と通信する。また、第5電源部26から電源電圧VC5の供給が開始されると、通信回路31は、信号ENを「L」レベルから「H」レベルに立ち上げる。「H」レベルの信号ENは、通信回路31と制御装置7の間の通信が確立したことを示す信号である。
【0046】
第5電源部26からの電源電圧VC5の供給が停止されると、通信回路31は、信号ENを「H」レベルから「L」レベルに立ち下げる。「L」レベルの信号ENは、通信回路31と制御装置7の間の通信が遮断されたことを示す信号である。
【0047】
第5電源部26から電源電圧VC5が供給されている期間には、通信回路31は、スイッチング素子11~14を制御するための制御信号GCと、スイッチング素子11~14を全てオフさせるための制御信号GBとを受信し、受信した制御信号GC,GBを駆動回路32,33に与える。また、通信回路31は、スイッチS7をオンさせるためのオン指令信号Sonを受信し、受信したオン指令信号Sonをスイッチ操作回路34に与える。
【0048】
駆動回路32は、第2電源部23から供給される電源電圧VC2によって駆動され、制御信号GCに応答してスイッチング素子11,13の各々をオンまたはオフさせる。また、駆動回路32は、制御信号GBに応答して、スイッチング素子11,13をオフさせる。
【0049】
駆動回路33は、第2電源部23から供給される電源電圧VC2によって駆動され、制御信号GCに応答してスイッチング素子12,14の各々をオンまたはオフさせる。また、駆動回路33は、制御信号GBに応答して、スイッチング素子12,14をオフさせる。
【0050】
スイッチ操作回路34は、第3電源部24から供給される電源電圧VC3によって駆動され、オン指令信号Sonに応答して励磁コイル18に電流を供給し、スイッチS7をオンさせる。通常動作時、励磁コイル18への電流供給が停止されているため、スイッチS7はオフ(開放)状態とされる。
【0051】
電圧センサ35は、第4電源部25から供給される電源電圧VC4によって駆動され、コンデンサ15の端子間電圧VDCを検出し、その検出値を示す信号を通信回路31に出力する。通信回路31は、直流電圧VDCの検出値を示す信号を制御装置7へ送信する。
【0052】
図4は、制御装置7の構成を示すブロック図である。図4において、制御装置7は、電源40、通信回路41(第2の通信回路)、および制御回路42を含む。電力変換装置1が送電線9u,9v,9w(図1)に接続されている場合には、電源40は常時、通信回路41用の電源電圧VC11と、制御回路42用の電源電圧VC12とを生成する。したがって、通信回路41および制御回路42は、電力変換装置1が停止されている場合でも動作可能になっている。
【0053】
通信回路41は、電源40から供給される電源電圧VC11によって駆動され、3つのアームA1~A3(図1)に含まれる3×N個の単位変換器5と制御回路42との間で信号を授受する。すなわち通信回路41は、各単位変換器5から送信される信号ENと直流電圧VDCを示す信号とを受信し、受信したそれらの信号を制御回路42に与える。また、通信回路41は、制御回路42によって生成される3×N組の信号GC,GB,Sonをそれぞれ3×N個の単位変換器5に送信する。
【0054】
図5は、制御回路42の構成を示すブロック図である。図5において、制御回路42は、制御部50,51、3×N個の検査部52、および画像表示部53を含む。制御部50は、操作部6からの信号に従って、スイッチS1~S3を制御する。すなわち、電力変換装置1の使用者によって操作部6(図1)が操作され、電力変換装置1の起動が指示されると、操作部6は、電力変換装置1の起動を指令する信号を出力する。
【0055】
その信号に応答して制御部50は、信号φ50を「L」レベルから「H」レベルに立ち上げる。信号φ50が「L」レベルである場合にはスイッチS1~S3がオフし、信号φ50が「H」レベルにされるとスイッチS1~S3がオンする。スイッチS1~S3がオンされると、商用交流電源8からスイッチS1~S3、変圧器2、限流抵抗器R1~R3、およびリアクトルL1~L3を介してアームA1~A3に交流電力が供給され、コンデンサ15の初期充電が開始される。
【0056】
図6は、コンデンサ15の初期充電を説明するための回路ブロック図である。図6では、隣接する2個の単位変換器5が示されている。図6中の左側の単位変換器5はアームA1の初段の単位変換器5であり、図6中の右側の単位変換器5はアームA1の2段目の単位変換器5であるものとする。初期充電時には、スイッチS7が開放され、かつ、スイッチング素子11~14がオフされている。
【0057】
交流ラインUL(図1)の交流電圧Vuが交流ラインVLの交流電圧Vvよりも高い場合には、図6中の矢印で示されるように、左側の単位変換器5の第1端子5aからダイオードD1、コンデンサ15、およびダイオードD4を介して第2端子5bに至る経路に電流Icが流れる。この電流Icによってコンデンサ15が充電され、コンデンサ15の端子間電圧VDCが上昇する。
【0058】
この電流Icは、左側の単位変換器5の第2端子5bから右側の単位変換器5の第1端子5aに流入し、ダイオードD1、コンデンサ15、およびダイオードD4を介して第2端子5bに流れる。この電流Icによって右側の単位変換器5のコンデンサ15が充電され、コンデンサ15の端子間電圧VDCが上昇する。
【0059】
逆に、交流ラインULの交流電圧Vuが交流ラインVLの交流電圧Vvよりも低い場合には、右側の単位変換器5の第2端子5bからダイオードD2、コンデンサ15、およびダイオードD3を介して第1端子5aに至る経路に電流Icが流れる。この電流Icによってコンデンサ15が充電され、コンデンサ15の端子間電圧VDCが上昇する。
【0060】
この電流Icは、右側の単位変換器5の第1端子5aから左側の単位変換器5の第2端子5bに流入し、ダイオードD2、コンデンサ15、およびダイオードD3を介して第1端子5aに至る経路に流れる。この電流Icによって左側の単位変換器5のコンデンサ15が充電され、コンデンサ15の端子間電圧VDCが上昇する。このようにして、アームA1~A3の全ての単位変換器5のコンデンサ15が充電される。
【0061】
アームA1~A3の各々においてN個の単位変換器5は直列に接続されているので、各単位変換器5のコンデンサ15の電圧VDCは、アームA1~A3の各々に印加される電圧(相間電圧Vuv,Vvw,Vwu)のピーク値をアームA1~A3の各々に含まれる単位変換器5の数Nで除算した値まで上昇する。
【0062】
再び図5を参照して、コンデンサ15の初期充電が終了すると、制御部50はスイッチS4~S6をオンさせる。これにより、限流抵抗器R1~R3(図1)の各々の端子間が短絡され、変圧器2の3つの二次巻線がそれぞれ交流ラインUL,VL,WLに直接接続される。
【0063】
また、電力変換装置1の使用者によって操作部6(図1)が操作され、電力変換装置1の停止が指示されると、操作部6は、電力変換装置1の停止を指令する信号を出力する。制御部50は、その信号に応答してスイッチS1~S6をオフさせる。これにより、商用交流電源8からアームA1~A3への電力供給が停止される。
【0064】
また、コンデンサ15の初期充電が終了すると制御部51は、変圧器3からの三相交流電圧Vu,Vv,Vw、変流器C1~C3によって検出される三相交流電流Iuv,Ivw,Iwu、3×N個の単位変換器5から通信回路41を介して与えられる3×N個の直流電圧VDCを示す信号などに基づき、3×N組の制御信号GC,GBを生成して通信回路41に出力する。
【0065】
すなわち、制御部51は、変流器C1~C3からの交流電流Iuv,Ivw,Iwuに基づいて、交流ラインUL,VL,WLに流れる交流電流に応じたレベルの三相交流電流Iu,Iv,Iwを求める。ただし、Iu=Iuv-Iwu、Iv=Ivw-Iuv、Iw=Iwu-Ivwである。
【0066】
制御部51は、変圧器3からの三相交流電圧Vu,Vv,Vwと上記三相交流電流Iu,Iv,Iwとに基づいて無効電力Qを求め、無効電力指令値Qrと無効電力Qとの偏差ΔQ=Qr-Qを求める。
【0067】
制御部51は、変流器C1~C3からの交流電流Iuv,Ivw,Iwu、変圧器3からの三相交流電圧Vu,Vv,Vwなどに基づいて、それぞれ3×N個の単位変換器5に対応する3×N個の電圧指令値VDCrを生成する。
【0068】
制御部51は、各電圧指令値VDCrと、それに対応する直流電圧VDCとの偏差ΔVDCを求める。制御部51は、電圧偏差ΔVDCの積分値が0になり、かつ無効電力偏差ΔQの積分値が0になるように、三相交流電圧指令値Vuvr,Vvwr,Vwurを生成する。
【0069】
換言すると、制御部51は、電圧偏差ΔVDCの積分値が0になるように各単位変換器5の有効電流制御を行なうとともに、無効電力偏差ΔQの積分値が0になるように各単位変換器5の無効電流制御を行なう。三相交流電圧指令値Vuvr,Vvwr,Vwurを基に、アームA1~A3の各単位変換器5が運転され、直流電圧VDCが電圧指令値VDCrにされるとともに、無効電力Qが無効電力指令値Qrにされる。
【0070】
具体的には、制御部51は、たとえばPWM(Pulse Width Modulation)制御に従って、電力変換装置1が三相交流電圧指令値Vuvr,Vvwr,Vwurに相当する電圧を出力するための、3×N組の制御信号GC,GBを生成する。
【0071】
通信回路41は、制御部51によって生成される3×N組の制御信号GC,GBをアームA1~A3に含まれる3×N個の単位変換器5に送信する。各単位変換器5において、制御信号GC,GBが通信回路31によって受信されて駆動回路32,33に与えられる。駆動回路32,33は、制御信号GC,GBに従って、スイッチング素子11~14をオンおよびオフさせる。これにより、コンデンサ15の端子間電圧VDCが交流電圧に変換される。
【0072】
また、制御部51は、3×N個の直流電圧VDCなどに基づいて、3×N個の単位変換器5のうちのいずれかの単位変換器5において、スイッチング素子の短絡故障等の異常を検知した場合には、この故障した単位変換器5に向けてスイッチS7のオン指令信号Sonを出力する。このオン指令信号Sonは、通信回路41,31を介して、故障した単位変換器5のスイッチ操作回路34に与えられる。
【0073】
スイッチ操作回路34は、オン指令信号Sonに応答して励磁コイル18に電流を供給し、スイッチS7をオンさせる。これにより、故障した単位変換器5の第1端子5aおよび第2端子5b間が短絡される。また、故障した単位変換器5を特定する情報は、たとえば操作部6の画像表示部に表示される。
【0074】
また、電力変換装置1の使用者によって操作部6(図1)が操作され、電力変換装置1の停止が指示されると、操作部6は、電力変換装置1の停止を指令する信号を出力する。その信号に応答して制御部51の運転が停止され、全単位変換器5のスイッチング素子11~14がオフ状態にされる。
【0075】
電力変換装置1の運転時間が所定時間(たとえば1年)に到達すると、運転が停止され、検査、メンテナンスが行なわれた後に、電力変換装置1が再起動される。すなわち、電力変換装置1では、所定時間間隔で起動と停止が繰り返される。検査部52は、制御部50の出力信号φ50と、対応する単位変換器5からの信号ENとに基づき、電力変換装置1が起動される度に、対応するコンデンサ15を検査し、そのコンデンサ15を新品と交換する必要があるか否かを判定する。
【0076】
図7は、検査部52の構成を示すブロック図である。図7において、検査部52は、計時部61、判定部62、記憶部63、および推定部64を含む。計時部61は、制御部50の出力信号φ50が「L」レベルから「H」レベルに立ち上げられたことに応じて時間の測定を開始し、対応する単位変換器5からの信号ENが「L」レベルから「H」レベルに立ち上げられたことに応じて時間の測定を停止し、測定した時間Tcを示す信号DTcを出力する。
【0077】
換言すると、計時部61は、スイッチS1~S3がオンされてコンデンサ15の充電が開始されてから、通信回路31,41間の通信が確立するまでの時間Tcを計測し、計測した時間Tcを示す信号DTcを出力する。
【0078】
図8は、計時部61の動作を説明するためのタイムチャートである。図8において、(A)は制御部50の出力信号φ50の波形を示し、(B)はスイッチS1~S3の導通状態を示し、(C)は電源20の直流入力電圧Vin(図3)の波形を示し、(D)は通信回路31の出力信号ENの波形を示している。
【0079】
電力変換装置1の停止時(時刻t0)には、信号φ50は「L」レベルにされ、スイッチS1~S3はオフされ、直流電圧Vinは0Vにされ、信号ENは「L」レベルにされている。
【0080】
ある時刻t1において電力変換装置1の起動が指令されると、信号φ50が「H」レベルに立ち上げられてスイッチS1~S3がオンされる。これにより、コンデンサ15の充電が開始され、コンデンサ15の端子間電圧VDCが上昇し、電源20の直流入力電圧Vinが上昇する。
【0081】
電源20の直流入力電圧Vinが上昇して第1しきい値電圧Vt1を超えると、第5電源部26(図3)から通信回路31に電源電圧VC5が供給され、通信回路31は信号ENを「L」レベルから「H」レベルに立ち上げる。計時部61は、時刻t1から時刻t2までの時間Tcを計測し、計測した時間Tcを示す信号DTcを出力する。
【0082】
図9は、図8に示した直流電圧Vinの波形の経年変化を示すタイムチャートである。図9において、曲線A1はコンデンサ15の劣化レベルが小さい場合の波形を示し、曲線A2はコンデンサ15の劣化レベルが中程度の場合の波形を示し、曲線A3はコンデンサ15の劣化レベルが大きい場合の波形を示している。
【0083】
コンデンサ15の劣化レベルが増大するに従ってコンデンサ15の容量値が減少し、コンデンサ15の端子間電圧VDCの立ち上りが速くなり、直流電圧Vinの立ち上がりが速くなる。このため、コンデンサ15の劣化レベルが増大するに従って、直流電圧Vinが第1しきい値電圧Vt1を超えるまでの時間Tcが短くなる。
【0084】
図9では、曲線A1,A2,A3から計測される時間Tc1,Tc2,Tc3が順次短縮している状態が示されている(Tc1>Tc2>Tc3)。したがって、この時間Tcからコンデンサ15の劣化レベルを判定することができる。
【0085】
再び図7を参照して、判定部62は、信号DTcによって示される時間Tcと判定時間TcLとの長短を比較し、比較結果を示す信号φ62を出力する。時間Tcが判定時間TcLよりも長い場合には、信号φ62は「L」レベルにされる。時間Tcが判定時間TcLよりも短い場合には、信号φ62は「H」レベルにされる。判定時間TcLは、予め実験により求められている。
【0086】
「L」レベルの信号φ62は、対応するコンデンサ15の劣化レベルが小さく、対応するコンデンサ15を新品と交換する必要がないことを示している。「H」レベルの信号φ53は、対応するコンデンサ15の劣化レベルが大きく、対応するコンデンサ15を新品と交換する必要があることを示している。
【0087】
電力変換装置1が新品の場合には、コンデンサ15も新品であるので、1回目の判定結果を示す信号φ62は「L」レベルにされるはずである。信号φ62が「H」レベルにされるのは、2回目の判定からである。信号φ62は、推定部64および画像表示部53に与えられる。
【0088】
記憶部63は、計時部61から信号DTcが出力される度に、その信号DTcを記憶する。電力変換装置1の起動および停止が複数回行なわれた場合には、計時部61から複数の信号DTcが順次出力され、記憶部63には複数の信号DTcが順次記憶される。
【0089】
推定部64は、判定部62の出力信号φ62が「L」レベルである場合、すなわち対応するコンデンサ15は新品と交換する必要がないと判定された場合に、記憶部63に記憶された複数の信号DTcに基づいてコンデンサ15の交換時期を推定し、推定結果を示す信号を出力する。
【0090】
図10は、推定部64の動作を説明するための図である。電力変換装置1の起動および停止がm回行なわれてコンデンサ15の検査がm回行なわれ、m個の信号DTc1~DTcmが記憶部54に記憶されているものとする。mは、2以上の整数である。図10では、m=3の場合が示されている。
【0091】
推定部64は、記憶部63からm個の信号DTc1~DTcmを読み出し、読み出した信号DTc1~DTcmを時間Tc1~Tcmに変換する。次に推定部64は、横軸が検査回数を示し、縦軸が時間Tcを示す図10に時間Tc1~Tcmを書き込む。
【0092】
次いで推定部64は、時間Tc1~Tcmを通る近似曲線B1を描き、その曲線B1が判定時間TcLよりも低下する検査回数Xを求める。推定部64は、X回目の検査の前の停止時、すなわち(X-1)回目の停止時が、コンデンサ15を新品と交換すべき時期である、と推定する。図10では、X=5の場合が示されている。推定部64は、推定結果を示す信号φ64を画像表示部53に出力する。
【0093】
画像表示部53は、判定部62の出力信号φ62によって示される判定結果と、推定部64の出力信号φ64によって示される推定結果とを表示する。画像表示部53は、3×N個のコンデンサ15の各々について判定結果および推定結果を表示する。
【0094】
なお、新品と交換すべきと判定されたコンデンサ15を特定する情報や、次の停止時に交換すべきと推定されたコンデンサ15を特定する情報を画像表示部53に表示させてもよい。また、画像表示部53が操作部6(図1)に含まれていても構わない。
【0095】
図11は、図4図10に示した制御回路42の動作を示すフローチャートである。操作部6によって電力変換装置1の起動が指令された場合には、ステップST1において、制御部50によって信号φ50が「L」レベルから「H」レベルに立ち上げられる。信号φ50が「H」レベルにされると、スイッチS1~S3がオンされてコンデンサ15の充電が開始されるとともに、ステップST2において、計時部61によって時間Tc(図8)の測定が開始される。
【0096】
ステップST3において、計時部61は、対応する単位変換器5からの信号ENが「H」レベルにされるまで待機する。「H」レベルの信号ENは、単位変換器5の通信回路31(図2)と制御装置7の通信回路41(図4)との通信が確立したことを示す。
【0097】
信号ENが「H」レベルにされた場合には、ステップST4において計時部61は時間Tcの測定を終了し、測定した時間Tcを示す信号DTcを出力する。ステップST5において、記憶部63によって信号DTcが記憶される。
【0098】
ステップST6において、判定部62によって時間Tcが判定時間TcLよりも短いか否かが判定される。Tc<TcLである場合には、ステップST7において信号φ62が「H」レベルにされる。「H」レベルの信号φ62は、対応するコンデンサ15を新品と交換する必要があることを示す。
【0099】
Tc>TcLである場合には、ステップST8において信号φ62が「L」レベルにされる。「L」レベルの信号φ62は、対応するコンデンサ15を新品と交換する必要がないことを示す。
【0100】
ステップST9において、記憶部63に記憶された複数の信号DTcに基づいて、推定部64によって対応するコンデンサ15を新品と交換すべき時期が推定される。ステップST10において、判定部62の判定結果と推定部64の推定結果とが画像表示部53によって表示される。
【0101】
電力変換装置1の使用者は、画像表示部53の表示結果に基づいてコンデンサ15を交換するか否かを判断する。すなわち使用者は、コンデンサ15を新品と交換すべきと判定された場合には、次回の停止時にコンデンサ15を新品と交換する。判定結果が表示されたときには既に電力変換装置1を起動させているので、コンデンサ15を直ぐには交換せずに次回の停止時に交換する。また、使用者は、コンデンサ15を新品と交換すべき時期が推定された場合には、その時期に必要となる新品のコンデンサ15を用意する。
【0102】
以上のように、本実施の形態1では、コンデンサ15の充電が開始されてから通信回路31,41間の通信が確立するまでの時間Tcを測定し、測定した時間Tcが判定時間TcLよりも短い場合に、コンデンサ15を新品と交換する必要があると判定する。したがって、3×N個の単位変換器5に含まれる3×N個のコンデンサ15の各々を新品と交換する必要があるか否かを容易かつ迅速に判定することができる。
【0103】
また、コンデンサ15を新品と交換する必要がないと判定した場合でも、コンデンサ15を新品と交換すべき時期を推定する。したがって、推定された時期に新品のコンデンサ15を用意することができ、新品のコンデンサ15が不足することを未然に防止することができる。
【0104】
図12は、実施の形態1の変更例を示す回路ブロック図であって、図2と対比される図である。図12を参照して、この変更例が実施の形態1と異なる点は、各単位変換器5において主回路10および制御回路30がそれぞれ主回路10Aおよび制御回路30Aで置換されている点である。
【0105】
主回路10Aは、主回路10からスイッチング素子12,14およびダイオードD2,D4を除去し、第2端子5bを直流ラインNLに接続したものである。主回路10Aは、コンデンサを備えたハーフブリッジ回路により構成される。制御回路30Aは、制御回路30からスイッチング素子12,14用の駆動回路33を除去したものである。
【0106】
主回路10Aは、スイッチング素子11,13のオンおよびオフによりコンデンサ15の端子間電圧VDCに応じた振幅の電圧パルスを第1端子5aおよび第2端子5b間に出力することにより、直流電力を交流電力に変換する。第1端子5aおよび第2端子5b間のセル電圧Vcellは、スイッチング素子11,13の各々のオンおよびオフによって制御される。
【0107】
具体的には、スイッチング素子11がオンであり、スイッチング素子13がオフである場合、セル電圧Vcellはコンデンサ15の端子間電圧VDCと等しい。スイッチング素子11がオフであり、スイッチング素子13がオンである場合、セル電圧Vcellは0Vである。
【0108】
アームA1~A3の各々の全体の電圧は、該アームA1~A3の各々に含まれるN個の単位変換器5のセル電圧Vcellの和となる。したがって、各単位変換器5のスイッチング素子11,13の各々のオンおよびオフを制御することにより、アームA1~A3の各々の全体の電圧を制御することができる。
【0109】
また、コンデンサ15の初期充電時には、スイッチS7が開放され、かつ、スイッチング素子11,13がオフされている。図12の単位変換器5はアームA1の初段の単位変換器5であるものとする。
【0110】
交流ラインUL(図1)の交流電圧Vuが交流ラインVLの交流電圧Vvよりも高い場合には、第1端子5aからダイオードD1およびコンデンサ15を介して第2端子5bに至る経路に電流が流れる。この電流によってコンデンサ15が充電され、コンデンサ15の端子間電圧VDCが上昇する。
【0111】
逆に、交流ラインULの交流電圧Vuが交流ラインVLの交流電圧Vvよりも低い場合には、第2端子5bからダイオードD3を介して第1端子5aに至る経路に電流が流れ、コンデンサ15は充電されず、コンデンサ15の端子間電圧VDCは変化しない。このようにして、アームA1~A3の全ての単位変換器5のコンデンサ15が充電される。
【0112】
アームA1~A3の各々においてN個の単位変換器5は直列に接続されているので、各単位変換器5のコンデンサ15の電圧VDCは、アームA1~A3の各々に印加される電圧(相間電圧Vuv,Vvw,Vwu)のピーク値をアームA1~A3の各々に含まれる単位変換器5の数Nで除算した値まで上昇する。
【0113】
他の構成および動作は、実施の形態1と同じであるので、その説明は繰り返さない。この変更例でも、実施の形態1と同じ効果が得られる。
【0114】
[実施の形態2]
実施の形態1では、電力変換装置1の起動時におけるコンデンサ15の充電時間に基づいてコンデンサ15を新品と交換するか否かを判定した。これに対して実施の形態2では、電力変換装置1の停止時におけるコンデンサ15の放電時間に基づいてコンデンサ15を新品と交換するか否かを判定する。
【0115】
図13は、本開示の実施の形態2に従う電力変換装置の要部を示すブロック図であって、図7と対比される図である。図13を参照して、この電力変換装置が実施の形態1の電力変換装置1と異なる点は、各検査部52が検査部70で置換されている点である。
【0116】
検査部70は、計時部71、判定部72、記憶部73、および推定部74を含む。計時部71は、制御部50の出力信号φ50が「H」レベルから「L」レベルに立ち下げられたことに応じて時間Tdの測定を開始し、対応する単位変換器5からの信号ENが「H」レベルから「L」レベルに立ち上げられたことに応じて時間Tdの測定を停止し、測定した時間Tdを示す信号DTdを出力する。
【0117】
換言すると、計時部71は、スイッチS1~S3がオフされてコンデンサ15の放電が開始されてから、通信回路31,41間の通信が遮断されるまでの時間Tdを計測し、計測した時間Tdを示す信号DTdを出力する。
【0118】
図14は、計時部71の動作を説明するためのタイムチャートである。図14において、(A)は制御部50の出力信号φ50の波形を示し、(B)はスイッチS1~S3の導通状態を示し、(C)は電源20の直流入力電圧Vin(図3)の波形を示し、(D)は通信回路31の出力信号ENの波形を示している。
【0119】
電力変換装置の運転時(時刻t0)には、信号φ50は「H」レベルにされ、スイッチS1~S3はオンされ、直流電圧Vinは所定電圧にされ、信号ENは「H」レベルにされている。
【0120】
ある時刻t1において電力変換装置の停止が指令されると、信号φ50が「L」レベルに立ち下げられてスイッチS1~S3がオフされる。これにより、コンデンサ15の放電が開始され、コンデンサ15の端子間電圧VDCが下降し、電源20の直流入力電圧Vinが下降する。コンデンサ15の直流電力は、電源20および制御回路30(図2)によって消費される。
【0121】
電源20の直流入力電圧Vinが下降して第2しきい値電圧Vt2よりも低くなると、第5電源部26(図3)から通信回路31への電源電圧VC5の供給が停止され、通信回路31の出力信号ENは「H」レベルから「L」レベルに立ち下げられる。計時部71は、時刻t1から時刻t2までの時間Tdを計測し、計測した時間Tdを示す信号DTdを出力する。
【0122】
図15は、図14に示した直流電圧Vinの波形の経年変化を示すタイムチャートである。図15において、曲線A11はコンデンサ15の劣化レベルが小さい場合の波形を示し、曲線A12はコンデンサ15の劣化レベルが中程度の場合の波形を示し、曲線A13はコンデンサ15の劣化レベルが大きい場合の波形を示している。
【0123】
コンデンサ15の劣化レベルが増大するに従ってコンデンサ15の容量値が減少し、コンデンサ15の端子間電圧VDCの立ち下がりが速くなり、直流電圧Vinの立ち下がりが速くなる。このため、コンデンサ15の劣化レベルが増大するに従って、直流電圧Vinが第2しきい値電圧Vt2よりも低くなる時間Tdが短くなる。
【0124】
図15では、曲線A11,A12,A13から計測される時間Td1,Td2,Td3が順次短縮している状態が示されている(Td1>Td2>Td3)。したがって、この時間Tdからコンデンサ15の劣化レベルを判定することができる。
【0125】
判定部72は、信号DTdによって示される時間Tdと判定時間TdLとの長短を比較し、比較結果を示す信号φ72を出力する。時間Tdが判定時間TdLよりも長い場合には、信号φ72は「L」レベルにされる。時間Tdが判定時間TdLよりも短い場合には、信号φ72は「H」レベルにされる。判定時間TdLは、予め実験により求められている。
【0126】
「L」レベルの信号φ72は、対応するコンデンサ15の劣化レベルが小さく、対応するコンデンサ15を新品と交換する必要がないことを示している。「H」レベルの信号φ72は、対応するコンデンサ15の劣化レベルが大きく、対応するコンデンサ15を新品と交換する必要があることを示している。信号φ72は、推定部74および画像表示部53に与えられる。
【0127】
記憶部73は、計時部71から信号DTdが出力される度に、その信号DTdを記憶する。電力変換装置1の起動および停止が複数回行なわれた場合には、計時部71から複数の信号DTdが順次出力され、記憶部73には複数の信号DTdが順次記憶される。
【0128】
推定部74は、判定部72の出力信号φ72が「L」レベルである場合、すなわち対応するコンデンサ15は新品と交換する必要がないと判定された場合に、記憶部73に記憶された複数の信号DTdに基づいてコンデンサ15の交換時期を推定し、推定結果を示す信号φ74を出力する。
【0129】
図16は、推定部74の動作を説明するための図である。電力変換装置の起動および停止がm回行なわれてコンデンサ15の検査がm回行なわれ、m個の信号DTd1~DTdmが記憶部73に記憶されているものとする。mは、2以上の整数である。図16では、m=3の場合が示されている。
【0130】
推定部74は、記憶部73からm個の信号DTd1~DTdmを読み出し、読み出した信号DTd1~DTdmを時間Td1~Tdmに変換する。次に推定部74は、横軸が検査回数を示し、縦軸が時間Tdを示す図16に時間Td1~Tdmを書き込む。
【0131】
次いで推定部74は、時間Td1~Tdmを通る近似曲線B11を描き、その曲線B11が判定時間TdLよりも低下する検査回数Yを求める。推定部74は、Y回目の検査時が、コンデンサ15を新品と交換すべき時期である、と推定する。図16では、Y=5の場合が示されている。推定部74は、推定結果を示す信号φ74を画像表示部53に出力する。
【0132】
画像表示部53は、判定部72の出力信号φ72によって示される判定結果と、推定部74の出力信号φ74によって示される推定結果とを表示する。画像表示部53は、3×N個のコンデンサ15の各々について判定結果および推定結果を表示する。
【0133】
なお、新品と交換すべきと判定されたコンデンサ15を特定する情報や、次の停止時に交換すべきと推定されたコンデンサ15を特定する情報を画像表示部53に表示させてもよい。また、画像表示部53が操作部6に含まれていても構わない。
【0134】
図17は、図13に示した検査部70を含む制御回路42の動作を示すフローチャートである。操作部6によって電力変換装置の停止が指令された場合には、ステップST11において、制御部50によって信号φ50が「H」レベルから「L」レベルに立ち下げられる。信号φ50が「L」レベルにされると、スイッチS1~S3がオフされてコンデンサ15の放電が開始されるとともに、ステップST12において、計時部71によって時間Td(図14)の測定が開始される。
【0135】
ステップST13において、計時部71は、対応する単位変換器5からの信号ENが「L」レベルにされるまで待機する。「L」レベルの信号ENは、単位変換器5の通信回路31(図2)と制御装置7の通信回路41(図4)との間の通信が遮断されたことを示す。
【0136】
信号ENが「L」レベルにされた場合には、ステップST14において計時部71は時間Tdの測定を終了し、測定した時間Tdを示す信号DTdを出力する。ステップST15において、記憶部73によって信号DTdが記憶される。
【0137】
ステップST16において、判定部72によって時間Tdが判定時間TdLよりも短いか否かが判定される。Td<TdLである場合には、ステップST17において信号φ72が「H」レベルにされる。「H」レベルの信号φ72は、対応するコンデンサ15を新品と交換する必要があることを示す。
【0138】
Td>TdLである場合には、ステップST18において信号φ72が「L」レベルにされる。「L」レベルの信号φ72は、対応するコンデンサ15を新品と交換する必要がないことを示す。
【0139】
ステップST19において、記憶部73に記憶された複数の信号DTdに基づいて、推定部74によって対応するコンデンサ15を新品と交換すべき時期が推定される。ステップST20において、判定部72の判定結果と推定部74の推定結果とが画像表示部53によって表示される。
【0140】
電力変換装置の使用者は、画像表示部53の表示結果に基づいてコンデンサ15を交換するか否かを判断する。すなわち使用者は、コンデンサ15を新品と交換すべきと判定された場合には、コンデンサ15を新品と交換する。また、使用者は、コンデンサ15を新品と交換すべき時期が推定された場合には、その時期に必要となる新品のコンデンサ15を用意する。他の構成および動作は、実施の形態1と同じであるので、その説明は繰り返さない。
【0141】
以上のように、本実施の形態2では、コンデンサ15の放電が開始されてから通信回路31,41間の通信が遮断されるまでの時間Tdを測定し、測定した時間Tdが判定時間TdLよりも短い場合に、コンデンサ15を新品と交換する必要があると判定する。したがって、3×N個の単位変換器5に含まれる3×N個のコンデンサ15の各々を新品と交換する必要があるか否かを容易かつ迅速に判定することができる。
【0142】
また、コンデンサ15を新品と交換する必要がないと判定した場合でも、コンデンサ15を新品と交換すべき時期を推定する。したがって、推定された時期に新品のコンデンサ15を用意することができ、新品のコンデンサ15が不足することを未然に防止することができる。
【0143】
なお、実施の形態1,2を適宜、組み合わせてもよいことは言うまでもない。たとえば、制御装置7内に検査部52,70の両方を設け、検査部52,70がともにコンデンサ15を新品と交換する必要があると判定した場合のみ、コンデンサ15を新品と交換するようにしても構わない。
【0144】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0145】
1 電力変換装置、S1~S6 スイッチ、2,3 変圧器、R1~R3 限流抵抗器、UL,VL,WL 交流ライン、C1~C3 変流器、L1~L3 リアクトル、A1~A3 アーム、5 単位変換器、6 操作部、7 制御装置、8 商用交流電源、9u,9v,9w 送電線、10,10A 主回路、11~14 スイッチング素子、PL,NL 直流ライン、15 コンデンサ、18 励磁コイル、R4 抵抗素子、20,40 電源、21 入力電圧監視回路、22~26 電源部、27,50,51 制御部、30,30A,42 制御回路、31,41 通信回路、32,33 駆動回路、34 スイッチ操作回路、35 電圧センサ、52,70 検査部、53 画像表示部、61,71 計時部、62,72 判定部、63,73 記憶部、64,74 推定部。
【要約】
この電力変換装置(1)は、直列接続された複数の単位変換器(5)を含み、交流電源(8)に接続されるアーム(A1~A3)と、アームを制御する制御装置(7)とを備える。各単位変換器はコンデンサ(15)を含む。制御装置は、各単位変換器に対応して設けられ、対応するコンデンサを検査する検査部(52)を含む。検査部は、対応するコンデンサの充電が開始されてから第1および第2の通信回路(31,41)間の通信が確立するまでの時間(Tc)を測定し、測定した時間が判定時間(TcL)よりも短い場合に、コンデンサを新品と交換する必要があると判定する。したがって、複数のコンデンサの各々を新品と交換する必要があるか否かを容易かつ迅速に判定できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17