(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-20
(45)【発行日】2024-10-01
(54)【発明の名称】ピン取得装置及びピン取得方法
(51)【国際特許分類】
B65G 65/40 20060101AFI20240924BHJP
B65G 65/32 20060101ALI20240924BHJP
B65G 47/74 20060101ALI20240924BHJP
【FI】
B65G65/40 A
B65G65/32 A
B65G47/74 Z
(21)【出願番号】P 2024531465
(86)(22)【出願日】2024-02-29
(86)【国際出願番号】 JP2024007653
【審査請求日】2024-05-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000124959
【氏名又は名称】株式会社カイジョー
(74)【代理人】
【識別番号】100007983
【氏名又は名称】笹川 拓
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 晃一
(72)【発明者】
【氏名】岡田 拓巳
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-116978(JP,U)
【文献】実開昭48-17772(JP,U)
【文献】特開2010-76844(JP,A)
【文献】特開平10-291633(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 65/40
B65G 65/32
B65G 47/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のピンから一部のピンを取得するピン取得装置であって、
溝状に構成され、内部に載置される多数のピンの軸方向が溝方向と一致するように規制可能なピン載置部と、
前記ピン載置部を振動させて前記多数のピンの少なくとも一部を前記ピン載置部の前記内部で跳ねさせることが可能な第1の振動印加部と、
跳ねたピンのうちの複数のピンを前記ピン載置部の上方で前記複数のピンの腹部を介して吸引して吸着固定する吸着アームと、
前記吸着アームに吸着固定された前記複数のピンを格納し、当該複数のピンが起立状態で保持可能な内部空間を有し、当該内部空間の底面に設けられたピンが1本のみ通過可能な直径を有する挿通孔を介して単数のピンを排出可能なボトル部と、
当該ボトル部を振動させて前記挿通孔を介して単数のピンを排出させる第2の振動印加部と、
前記挿通孔の出口から、ピンの排出方向においてピンの全長よりも短い距離の位置に配されたストッパと、
を備え、
前記単数のピンの一端を前記ストッパに接触させ、かつ、他端を前記挿通孔に接触させて、当該単数のピンを起立状態で保持することを特徴とするピン取得装置。
【請求項2】
前記吸着アームは、前記ピン載置部と対向する吸気口を有し、
当該吸気口は、前記ピン載置部と対向し、溝状に構成され、当該吸着アームに吸着固定される前記複数のピンの軸方向が溝方向と一致するように規制可能なガイド部の内部に配されることを特徴とする請求項1に記載のピン取得装置。
【請求項3】
前記ピン載置部の内部の空間は、溝方向と直交する断面形状が開口方向に向けて末広がりに構成されていることを特徴とする請求項1に記載のピン取得装置。
【請求項4】
前記ボトル部は蓋部を介して前記複数のピンが前記内部空間に格納され、前記蓋部を閉めた状態で鉛直方向に振動させて前記単数のピンを排出することを特徴とする請求項1に記載のピン取得
装置。
【請求項5】
前記内部空間に圧縮エアを供給可能な圧縮エア供給部をさらに備え、
当該圧縮エア供給部は、前記ボトル部の振動時に前記圧縮エアを供給することを特徴とする請求項4に記載のピン取得装置。
【請求項6】
多数のピンから一部のピンを取得するピン取得装置であって、
溝状に構成され、内部に載置される多数のピンの軸方向が溝方向と一致するように規制可能なピン載置部と、
前記ピン載置部を振動させて前記多数のピンの少なくとも一部を前記ピン載置部の前記内部で跳ねさせることが可能な第1の振動印加部と、
跳ねたピンのうちの複数のピンを前記ピン載置部の上方で前記複数のピンの腹部を介して吸引して吸着固定する吸着アームと、
前記吸着アームに吸着固定された前記複数のピンを蓋部を介して格納し、当該複数のピンが起立状態で保持可能な内部空間を有し、当該内部空間の底面に設けられたピンが1本のみ通過可能な直径を有する挿通孔を介して単数のピンを排出可能なボトル部と、
当該ボトル部の前記蓋部を閉めた状態で前記内部空間に圧縮エアを供給して前記挿通孔を介して単数のピンを排出させる圧縮エア供給部と、
前記挿通孔の出口から、ピンの排出方向においてピンの全長よりも短い距離の位置に配されたストッパと、
を備え、
前記単数のピンの一端を前記ストッパに接触させ、かつ、他端を前記挿通孔に接触させて、当該単数のピンを起立状態で保持することを特徴とするピン取得装置。
【請求項7】
多数のピンから一部のピンを取得するピン取得方法であって、
溝状に構成され、内部に載置される多数のピンの各々の軸方向が溝方向と一致するように規制可能なピン載置部に多数のピンを配する第1の工程と、
前記ピン載置部を振動させて前記多数のピンの少なくとも一部を前記ピン載置部の前記内部で跳ねさせ、かつ、跳ねたピンのうちの複数のピンを前記ピン載置部の上方で前記複数のピンの腹部を介して吸引して吸着する吸着アームに吸着固定する第2の工程と、
前記吸着アームに吸着固定された前記複数のピンを、当該複数のピンが起立状態で保持可能な内部空間を有するボトル
部の内部に格納する第3の工程と、
前記ボトル部を振動させて前記内部空間の底面に設けられたピンが一本のみ通過可能な直径を有する挿通孔を介して単数のピンを排出して、当該挿通孔の出口からピンの排出方向においてピンの全長よりも短い距離の位置に配されたストッパに前記単数のピンの一端を接触させて前記挿通孔と前記ストッパにより当該
単数のピンを起立状態で保持して当該単数のピンを取得可能状態とする第4の工程と、
からなることを特徴とするピン取得方法。
【請求項8】
多数のピンから一部のピンを取得するピン取得方法であって、
溝状に構成され、内部に載置される多数のピンの各々の軸方向が溝方向と一致するように規制可能なピン載置部に多数のピンを配する第1の工程と、
前記ピン載置部を振動させて前記多数のピンの少なくとも一部を前記ピン載置部の前記内部で跳ねさせ、かつ、跳ねたピンのうちの複数のピンを前記ピン載置部の上方で前記複数のピンの腹部を介して吸引して吸着する吸着アームに吸着固定する第2の工程と、
前記吸着アームに吸着固定された前記複数のピンを、当該複数のピンが起立状態で保持可能な内部空間を有するボトル
部の内部に蓋部を介して格納する第3の工程と、
前記ボトル部に、前記蓋部を閉めた状態で圧縮エアを供給して前記内部空間の底面に設けられたピンが一本のみ通過可能な直径を有する挿通孔を介して単数のピンを排出して、当該挿通孔の出口からピンの排出方向においてピンの全長よりも短い距離の位置に配されたストッパに前記単数のピンの一端を接触させて前記挿通孔と前記ストッパにより当該
単数のピンを起立状態で保持して当該単数のピンを取得可能状態とする第4の工程と、
からなることを特徴とするピン取得方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピン取得装置及びピン取得方法に関し、特に、供給された多数のピンから一部のピンを取得することが可能なピン取得装置及びピン取得方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来は多数のピンが筒状のケースに収納されている状態から、作業者が机や平面上の作業台に直接ピンをケースから取り出して、作業台にピンを分散させて、作業台に分散した状態の複数のピンから、作業者が手作業でピンセット等でつまんでピンを取り出していた。
【0003】
対象となるピンのサイズは、微細なものであり、例えば、直径30μm前後、全長10mmから20mmと小さいサイズであり、ピンが小さく取り扱いに繊細な作業が必要なため、作業ミスが起きやすく、作業者の熟練度が必要であった。
【0004】
特許文献1には、鍔付きの微小ピンを整列し、1本ずつ所定の位置に挿入(供給)する微小ピン供給装置が開示されている。特許文献1によれば、微小ピン供給装置は、ホッパ内の微小ピンを整列させる振動シュートと、振動シュートの前端に接して配置された微小ピンを吸引捕捉する吸引口を有する突起部を備え、往復台により後退前進および旋回する旋回アームと、振動シュートの最先端と2番目の微小ピンの間に挿入されるシャッタとから構成され、旋回アームの突起部がストッパとして働き振動シュートで前進する微小ピンを停止させ、突起部の吸引口で微小ピンを捕捉した後、シャッタで2番目の微小ピンと分離し、吸着した微小ピンを受け渡し位置に移動させる。これにより微小ピンを1本ずつ所定の位置に供給することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、形状が小さい多数のピンから1本のみを取り出す作業は、手作業で行われていた。ピンが小さく取り扱いに繊細な作業が必要なため、手作業による作業ミスが起きやすく、作業者の高い熟練度が要求されていた。
【0007】
また、特許文献1に開示された微小ピン供給装置が扱うピンの大きさは、直径が0.4mm程度であり、さらに鍔付きのピンのため、直径が30μm前後で鍔なしのピンに対しては、微小ピン供給装置を使用することは困難であると想定される。
【0008】
このような状況で、本件発明者は、上記課題を改善すべく検討、実験を重ね、従来は、形状が小さい多数のピンから1本のみを取り出す作業は手作業で行われていたが、この状態を解決すべくピンを取得する際に、ピン取得時に多数のピンから一部のピンを振動によって跳ねさせて、跳ねたピンの軸方向を規制して吸着固定し、吸着固定された複数のピンを格納し、複数のピンが起立状態で保持する内部空間を有し、内部空間の底面に設けられたピンが1本のみ通過可能な直径を有する挿通孔を介して単数のピンを排出することにより、多数のピンの供給からピンの本数を段階的に減らしていくことによって、単数のピンを起立状態で取り出すことが可能となる本発明に想到したものである。
【0009】
そこで本発明は、ピン取得時に多数のピンから一部のピンを振動によって跳ねさせて、跳ねたピンを吸着固定して、ピンの本数を段階的に減らしていくことで安定してピンを取得することができ、さらに単数のピンを起立状態で取り出すことが可能なピン取得装置及びピン取得方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的達成のため、本発明に係るピン取得装置は、多数のピンから一部のピンを取得するピン取得装置であって、溝状に構成され、内部に載置される多数のピンの軸方向が溝方向と一致するように規制可能なピン載置部と、前記ピン載置部を振動させて前記多数のピンの少なくとも一部を前記ピン載置部の前記内部で跳ねさせることが可能な第1の振動印加部と、跳ねたピンのうちの複数のピンを前記ピン載置部の上方で前記複数のピンの腹部を介して吸引して吸着固定する吸着アームと、前記吸着アームに吸着固定された前記複数のピンを格納し、当該複数のピンが起立状態で保持可能な内部空間を有し、当該内部空間の底面に設けられたピンが1本のみ通過可能な直径を有する挿通孔を介して単数のピンを排出可能なボトル部と、当該ボトル部を振動させて前記挿通孔を介して単数のピンを排出させる第2の振動印加部と、前記挿通孔の出口から、ピンの排出方向においてピンの全長よりも短い距離の位置に配されたストッパと、を備え、前記単数のピンの一端を前記ストッパに接触させ、かつ、他端を前記挿通孔に接触させて、当該単数のピンを起立状態で保持することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の前記吸着アームは、前記ピン載置部と対向する吸気口を有し、当該吸気口は、前記ピン載置部と対向し、溝状に構成され、当該吸着アームに吸着固定される前記複数のピンの軸方向が溝方向と一致するように規制可能なガイド部の内部に配されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の前記ピン載置部の内部の空間は、溝方向と直交する断面形状が開口方向に向けて末広がりに構成されていることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の前記ボトル部は蓋部を介して前記複数のピンが前記内部空間に格納され、前記蓋部を閉めた状態で鉛直方向に振動させて前記単数のピンを排出することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、前記内部空間に圧縮エアを供給可能な圧縮エア供給部をさらに備え、当該圧縮エア供給部は、前記ボトル部の振動時に前記圧縮エアを供給することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、多数のピンから一部のピンを取得するピン取得装置であって、溝状に構成され、内部に載置される多数のピンの軸方向が溝方向と一致するように規制可能なピン載置部と、前記ピン載置部を振動させて前記多数のピンの少なくとも一部を前記ピン載置部の前記内部で跳ねさせることが可能な第1の振動印加部と、跳ねたピンのうちの複数のピンを前記ピン載置部の上方で前記複数のピンの腹部を介して吸引して吸着固定する吸着アームと、前記吸着アームに吸着固定された前記複数のピンを蓋部を介して格納し、当該複数のピンが起立状態で保持可能な内部空間を有し、当該内部空間の底面に設けられたピンが1本のみ通過可能な直径を有する挿通孔を介して単数のピンを排出可能なボトル部と、当該ボトル部の前記蓋部を閉めた状態で前記内部空間に圧縮エアを供給して前記挿通孔を介して単数のピンを排出させる圧縮エア供給部と、前記挿通孔の出口から、ピンの排出方向においてピンの全長よりも短い距離の位置に配されたストッパと、を備え、 前記単数のピンの一端を前記ストッパに接触させ、かつ、他端を前記挿通孔に接触させて、当該単数のピンを起立状態で保持することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、多数のピンから一部のピンを取得するピン取得方法であって、溝状に構成され、内部に載置される多数のピンの各々の軸方向が溝方向と一致するように規制可能なピン載置部に多数のピンを配する第1の工程と、前記ピン載置部を振動させて前記多数のピンの少なくとも一部を前記ピン載置部の前記内部で跳ねさせ、かつ、跳ねたピンのうちの複数のピンを前記ピン載置部の上方で前記複数のピンの腹部を介して吸引して吸着する吸着アームに吸着固定する第2の工程と、前記吸着アームに吸着固定された前記複数のピンを、当該複数のピンが起立状態で保持可能な内部空間を有するボトル部の内部に格納する第3の工程と、前記ボトル部を振動させて前記内部空間の底面に設けられたピンが一本のみ通過可能な直径を有する挿通孔を介して単数のピンを排出して、当該挿通孔の出口からピンの排出方向においてピンの全長よりも短い距離の位置に配されたストッパに前記単数のピンの一端を接触させて前記挿通孔と前記ストッパにより当該単数のピンを起立状態で保持して当該単数のピンを取得可能状態とする第4の工程と、からなることを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、多数のピンから一部のピンを取得するピン取得方法であって、溝状に構成され、内部に載置される多数のピンの各々の軸方向が溝方向と一致するように規制可能なピン載置部に多数のピンを配する第1の工程と、前記ピン載置部を振動させて前記多数のピンの少なくとも一部を前記ピン載置部の前記内部で跳ねさせ、かつ、跳ねたピンのうちの複数のピンを前記ピン載置部の上方で前記複数のピンの腹部を介して吸引して吸着する吸着アームに吸着固定する第2の工程と、前記吸着アームに吸着固定された前記複数のピンを、当該複数のピンが起立状態で保持可能な内部空間を有するボトル部の内部に蓋部を介して格納する第3の工程と、前記ボトル部に、前記蓋部を閉めた状態で圧縮エアを供給して前記内部空間の底面に設けられたピンが一本のみ通過可能な直径を有する挿通孔を介して単数のピンを排出して、当該挿通孔の出口からピンの排出方向においてピンの全長よりも短い距離の位置に配されたストッパに前記単数のピンの一端を接触させて前記挿通孔と前記ストッパにより当該単数のピンを起立状態で保持して当該単数のピンを取得可能状態とする第4の工程と、からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ピンを取得する際に、多数のピンの供給からピンを2段階に分けて段階的に減らしていくことによって、安定して単数のピンを取得することができる。
【0019】
即ち、本発明によれば、第1段階として、ピン載置部を振動させて多数のピンの少なくとも一部をピン載置部の内部で跳ねさせて、吸着アームは跳ねたピンのうちの複数のピンをピン載置部の上方で複数のピンの腹部を介して吸引して吸着固定し、吸着されたピンの軸方向は吸着アームの溝と一致しているため、ピン載置部から安定して一部のピンを取り出すことができる。
【0020】
また、本発明によれば、第2段階として、吸着アームに吸着固定された複数のピンをボトル部の内部空間に格納し、内部空間の底面に設けられたピンが1本のみ通過可能な直径を有する挿通孔を有するボトル部を振動させて挿通孔を介して単数のピンを排出させて、挿通孔の出口からピンの排出方向においてピンの全長よりも短い距離の位置に配されたストッパに単数のピンの一端をストッパに接触させ、かつ、他端を挿通孔に接触させて、単数のピンを起立状態で保持することにより、安定して単数のピンを取り出すことができる。
【0021】
また、本発明によれば、直径の小さいピンに対しても、ピンセットのように摘まんで把持することがないためピンを安定して取得することが可能である。
【0022】
また、本発明によれば、多数のピンから一部のピンを取得する際には、作業者の熟練度も不要であり、ピンの取得作業を連続して行うことが可能なため、ピン取得作業の生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】多数のピンから単数のピンを取得するピン取得装置の構成の概要を示す斜視図である。
【
図2】ピン載置部におけるピン搭載ステージの一部断面図を含む図であり、ピン搭載ステージにおける内部の空間の形状及びピンがピン搭載ステージに載置された状態を示す図である。
【
図3】ピン吸着アームのピン吸着アーム先端部の形状を示す図で有り、(a)はピン吸着アーム先端部の斜視図、(b)はピン吸着アーム先端部の正面図、(c)はピン吸着アーム先端部の下面図、(d)はピン吸着アーム先端部がピンを吸着固定した状態を示す斜視図である。
【
図4】ボトル部の構成を示す一部断面図を含む(側面)図である。
【
図5】多数のピンから単数のピンを取得するピン取得の工程を示すフローチャートである。
【
図6】ピン取得装置のピン搭載ステージにピンを格納した状態を示す図である。
【
図7】ピン取得装置のピン吸着アームでピンを吸着固定した状態を示す図である。
【
図8】ピン吸着アームで吸着固定したピンをボトル本体に供給する状態を示す図である。
【
図9】ボトル本体が上昇して、ボトル本体にピンを格納する状態を示す図である。
【
図10】ピン吸着アームが退避して、 ボトル本体の内部にピンを格納した状態を示す図である。
【
図11】蓋部でボトル本体の上部を閉じて振動する状態を示す図である。
【
図12】ボトル本体の挿通孔からピンが排出された状態を示す図である。
【
図13】第2の振動印加部としてのボトル部上下機構に代えて、ボトル本体の内部空間に圧縮エアを供給して単数のピンを排出するピン取得の工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下図面を参照して、本発明によるピン取得装置及びピン取得方法を実施するための形態について説明する。尚、本発明は、多数のピンから一部のピンを取得するピン取得装置及びピン取得方法であって、内部に多数のピンを載置したピン載置部を振動させて多数のピンの一部をピン載置部の内部で跳ねさせて、吸着アームにより跳ねたピンのうちの複数のピンの腹部を介して吸引して吸着固定して、多数のピンから一部のピンを取得するものであり、ピン取得時にピンを段階的減らしていくことで、一部のピンを安定して取得し、さらに、単数のピンを取り出すことが可能なピン取得装置及びピン取得方法を提供するものである。尚、一部のピンとは、単数のピンを含む複数のピンをいう。
【0025】
[ピン取得装置の構成]
最初に、形状が小さい多数のピンから一部のピンを取得することが可能なピン取得装置について
図1乃至
図4を参照して説明する。尚、本発明のピン取得装置におけるピンのサイズは、一例として直径が30μm前後、全長が10mmから20mmの微細なものであるが、直径が10μm以上であれば、本発明の実施が想定され、ピンのサイズは、微細なものに限られることなく、直径及び全長ともに限定されるものではない。
【0026】
図1は、多数のピンから一部のピンを取得するピン取得装置の構成の概要を示す斜視図である。
図2は、ピン載置部におけるピン搭載ステージの一部断面図を含む図であり、ピン搭載ステージにおける内部の空間の形状及びピンがピン搭載ステージに載置された状態を示す図である。
図3は、ピン吸着アームのピン吸着アーム先端部の形状を示す図で有り、
図3(a)はピン吸着アーム先端部の斜視図、
図3(b)はピン吸着アーム先端部の正面図、
図3(c)はピン吸着アーム先端部の下面図、
図3(d)はピン吸着アーム先端部がピンを吸着固定した状態を示す斜視図である。
図4は、ボトル部の構成を示す一部断面図を含む(側面)図である。
図1に示すように、ピン取得装置1は、ピン載置部3、吸着アーム10、ボトル部23を有している。
【0027】
[ピン取得装置におけるピン載置部の構成]
最初に、ピン取得装置1のピン載置部3について説明する。
図1に示すように、ピン取得装置1のピン載置部3は、多数のピン50(
図2に示す)を内部に収納するピン搭載ステージ5、揺動機構8を有している。
図2に示すように、ピン搭載ステージ5は、溝状に構成され、溝方向と直交する断面形状が開口方向に向けて末広がりに構成されている。例えば、V字状、U字状の溝6を有している。これにより溝6は、内部に載置される多数のピン50の各々の軸方向が溝方向と一致するように設けられており、これによりピン50の軸方向を規制することが可能である。ピン搭載ステージ5の溝6は、例えば、100本以上のピン50を収納する大きさを有している。
【0028】
また、
図1に示すように、ピン載置部3は、ピン搭載ステージ5を揺動し、ピン搭載ステージ5の内部のピン50を振動させる第1の振動印加部としての揺動機構8を有している。揺動機構8は、ピン搭載ステージ5を搭載し、ピン搭載ステージ5内部に載置される多数のピン50の軸方向と直交する水平方向に振動するようにピン50搭載ステージ5を揺動する。
図1に揺動機構8によって揺動されるピン搭載ステージ5の振動方向43を矢印で示す。
【0029】
揺動機構8によってピン搭載ステージ5が揺動することにより、ピン搭載ステージ5の内部に格納されているピン50が振動し、ピン50の軸方向とピン載置部3の溝方向と一致するようになる。さらに、ピン搭載ステージ5内部で表面のピン軸方向が揃ったピン50が跳ね上がり、ピン50がばらけた状態となる。このときの跳ね上がるピン50は、ピン搭載ステージ5内部に収納された多数のピン50の一部であり、例えば10本前後である。尚、揺動機構8の振動数を調整することにより、跳ね上がるピン50の本数を可変することが可能である。
【0030】
第1の振動印加部としての揺動機構8は、1軸方向で往復移動することにより振動を発生することが可能なリニアモータが好適である。尚、揺動機構8として往復移動によって振動を発生させるリニアモータに限定するものではなく、バイブレータのような振動を発生する他の機構であってもよい。
【0031】
[ピン取得装置における吸着アームの構成]
次に、
図1及び
図3を参照してピン搭載ステージの上方で複数のピンの腹部を吸引して吸着固定する吸着アームについて説明する。
図1に示すように、ピン取得装置1の吸着アーム10は、ピン吸着アーム12、ピン吸着アーム先端部13、真空吸着接続部17、ピン吸着アームスライド部18、ピン吸着アーム駆動機構19、回転軸20、回転軸アーム21、回転軸駆動部(図示せず)を有している。
【0032】
吸着アーム10は、ピン搭載ステージ5からのピン50を吸着固定するものであり、吸着アーム10のピン吸着アーム12は、先端に複数のピン50を吸引して吸着固定するピン吸着アーム先端部13を有しておいる。
図3にピン吸着アーム12のピン吸着アーム先端部13の形状を示す。
図1に示すように、ピン吸着アーム先端部13は、ピン載置部3と対向するように配されており、
図3(a)、
図3(b)及び
図3(c)に示すように、溝状に構成され、ピン吸着アーム先端部13に吸着固定される複数のピン50の軸方向が溝方向と一致するように規制可能なガイド部15を有し、ガイド部15の内部に吸気口16が設けられている。
図3(d)に示すように、複数のピン50は、ピンの軸方向が溝方向と一致するようにピン吸着アーム先端部13に吸着固定される。そのため、溝状に形成されたガイド部15の溝方向は、ピン搭載ステージ5の溝6の溝方向と一致するように対向するように配置される。
【0033】
また、
図1に示すように、ピン吸着アーム12は、上部に真空吸着接続部17を有している。真空吸着接続部17は、ピン吸着アーム12の内部に設けられている排気経路(図示せず)によってピン吸着アーム先端部13の吸気口16と接続されている。また、ピン吸着アーム12の真空吸着接続部17には外部に設けられている真空吸着装置(図示せず)が接続されており、真空吸着装置によってピン50が吸気口16に吸引固定される。尚、真空吸着装置はON/OFFを信号により真空吸着動作を制御することが可能となっている。
【0034】
ピン吸着アーム12は、上下方向に移動することが可能なピン吸着アームスライド部18に設けられており、ピン吸着アーム駆動機構19により、ピン吸着アームスライド部18が上下方向に移動可能となっている。ピン吸着アームスライド部18が上下方向に移動することにより、ピン吸着アーム先端部13は、ピン搭載ステージ5の上方に下降して、ピン50を吸着することが可能となる。
図1にピン吸着アームスライド部18の移動方向44を矢印で示す。
【0035】
ピン吸着アームスライド部18を駆動するピン吸着アーム駆動機構19は、回転軸アーム21に設けられており、回転軸アーム21は回転軸20と直結されている。回転軸20は、回転軸駆動部のモータ(図示せず)によって駆動される。
【0036】
回転軸アーム21は、回転軸20によって垂直方向に90度回転可能に構成されている。回転軸20によって回転軸アーム21が
図1に矢印で示す回転軸アーム21の回転方向45で反時計方向に90度回転することにより、ピン吸着アームスライド部18も90度回転し、ピン吸着アーム先端部13の溝方向が垂直方向に位置する。また、ピン吸着アーム12が90度回転した状態で、ピン吸着アーム駆動機構19によってピン吸着アームスライド部18が移動することによりピン吸着アーム先端部13は水平方向に移動可能となる。尚、後述する
図8に、ピン吸着アームスライド部18が
図1の状態から反時計方向に90度回転した状態を示す。
【0037】
[ピン取得装置におけるボトル部の構成]
次に、
図1、
図4を参照して、吸着アームに吸着固定された複数のピンを格納し、複数のピンを起立状態で保持するボトル部について説明する。
図1、
図4に示すように、ピン取得装置1のボトル部23は、ボトル本体24、蓋部30、ストッパ40を有している。
図4に示すように、ボトル部23のボトル本体24は、全体的に略円筒状をなし、ボトル本体24の下部は下方に向けて徐々に縮径し下端部を水平にした逆円錐台を形成している。
【0038】
図4に断面図で示すボトル本体24は、ピン吸着アーム12に吸着固定された複数のピン50を格納し、複数のピン50が起立状態で保持可能な内部空間25を有している。ボトル本体24の内部空間25の底面には、ピン50が一本のみ通過可能な直径を有する挿通孔28が設けられており、挿通孔28は、ボトル本体24の内部空間25の底面の中心に位置している。このように、ボトル本体24は、挿通孔28を介して単数のピン50を排出することが可能となっている。
【0039】
尚、
図4に示すボトル本体24の内部空間25の底面は平面であるが、例えばボトル本体24の内部空間25の底面は、ピン50を挿通孔28にガイドするための傾斜面を有し、傾斜面は、内部空間25の底面における内周面から貫通孔の下方に向けて設けるようにしてもよい。
【0040】
[ボトル部における蓋部の構成]
図1、
図4に示すように、蓋部30は、ボトル本体24の上部方向に位置する蓋部スライド部32に設けられており、蓋部スライド部32によって上下方向に移動可能となっている。
図1に蓋部スライド部32の移動方向47を矢印で示す。
【0041】
図4に断面図で示すように蓋部30は、下部に空間が設けられており、ボトル本体24の振動時にボトル本体24の内部空間25の上部を覆い、ピン50の飛び出しを防止する。一方、吸着アーム10からボトル本体24へのピン50の供給時には、蓋部30はボトル本体24の内部空間25の上部を開放するように移動する。また、蓋部30の上面には、ボトル本体24の内部空間25に圧縮エアを供給するエア供給接続部31を有しており、蓋部30は、エア供給接続部31から供給される圧縮エアをボトル本体24の内部空間25に吹き出すようにする。
【0042】
図1、
図4に示すように、ボトル本体24、蓋部スライド部32は、L字形状を成すボトルスライド部29に設けられており、ボトルスライド部29の下部にボトル本体24が位置し、ボトルスライド部29の上部に蓋部スライド部32が配されている。ボトルスライド部29は上下(垂直)方向に移動可能であり、ボトル部上下機構35により駆動される。
【0043】
また、ボトルスライド部29の蓋部スライド部32は、蓋部駆動部33により上下に移動し、蓋部駆動部33はボトルスライド部29に設けられている。これにより、蓋部スライド部32の蓋部30は、ボトルスライド部29上で上下に単体移動可能であり、さらに、蓋部30はボトルスライド部29によってボトル本体24と共に上下移動可能である。
【0044】
蓋部駆動部33は、蓋部スライド部32の蓋部30を上下に移動させて、ピン吸着アーム12によるボトル本体24へのピン50の供給時には蓋部30を上昇して退避させて、ボトル本体24の内部空間25の上部を開放するように作動する。また、ボトル本体24の振動時、圧縮エアの供給時には、蓋部30を下降させてボトル本体24の内部を密閉する。
【0045】
蓋部30のエア供給接続部31は外部に設けられているエア供給装置(図示せず)に接続されており、蓋部30の上部からボトル本体24の貫通孔28に圧縮エアが供給されて、単数のピン50が排出されるようエアを供給する。尚、エア供給装置はON/OFFを信号によりエア供給動作を制御することが可能となっている。
【0046】
さらに、ボトル部23は、ボトル本体24、蓋部30を垂直方向に上下させるボトル部上下機構35を有しており、ピン吸着アーム12によるボトル本体24へのピン50の供給時にボトル本体24おける上下移動がボトル部上下機構35によって行われる。また、ボトル部上下機構35は、ボトル本体24(、蓋部30)を振動させる第2の振動印加部としても使用される。ボトル部上下機構35を上下方向に高速で短距離を往復移動させることにより、ボトル本体24を鉛直方向に振動させて、挿通孔28の出口から単数のピン50が排出される。
【0047】
ボトル部23でのピン50の排出動作では、次の3つの動作が例示として挙げられる。第1の動作として、ボトル部上下機構35によってボトル本体24のみを振動させる。第2の動作として、ボトル本体24に圧縮エアを供給する。第3の動作として、ボトル本体24の振動と圧縮エアの供給を同時に動作させる。これらの動作のいずれかによって排出動作を行うことが可能である。尚、ボトル部上下機構35は、ボトル本体24を鉛直方向に振動のみであるが、例えば第2の振動印加部として、水平方向に振動又は鉛直方向と水平方向とを合成した方向に振動させる機構であってもよい。
【0048】
尚、エア供給装置には、さらに吸引による物体の搬送手段として用いられる真空エジェクタを接続して、真空エジェクタの負圧流路もエア供給接続部31に接続することも可能である。真空エジェクタは、圧縮エアをデフューザ(真空発生機構)に流して負圧を発生させて吸引動作を行うものであり、この場合、エア供給接続部31は、エア供給装置による圧縮エアの供給のみならず、圧縮エアの供給に切り替えて、真空エジェクタによる吸引動作のための負圧流路の接続を行うことも可能である。即ち、圧縮エアをデフューザに流して真空エジェクタによりエアの流れが逆となる吸引動作を行うことも可能である。この吸引動作は、吸引動作の停止にあたり、停止動作を確実に行うため、真空エジェクタの負圧流路に破壊エア(エア供給装置からの圧縮エア)を送り込むことが可能である。
【0049】
エア供給装置に、真空エジェクタを接続した場合、真空エジェクタの吸引動作時は、ボトル部23の内部に格納されたピン50は、蓋部側に吸引されて移動し、吸引動作の停止時には、真空エジェクタの負圧流路に破壊エア(エア供給装置からの圧縮エア)が供給されて、破壊エアの流れに沿って挿通孔28の出口から単数のピン50が排出される。
【0050】
[ボトル部におけるストッパの構成]
図1、
図4に示すように、ボトル部23のストッパ40は、挿通孔28の出口からピン50の排出方向においてピン50の全長よりも短い距離の位置に配されている。ボトル本体24から繰り出されたピン50をボトル本体24の下部側に位置するストッパ40で受け止めることにより、ピン50がストッパ40上で停止する。ボトル部23は、単数のピン50の一端をストッパ40に接触させ、かつ、他端を挿通孔28に接触させて、単数のピン50を起立状態で保持する。
【0051】
図1、
図4に示すように、ボトル本体24の上部付近にピン50の有無を検知する第1ピン検知センサ41が設けられている。第1ピン検知センサ41は、ボトル本体24の内部空間25におけるピン50の有無を検知し、検知信号は、ピン吸着アーム12からのピン50の供給動作の制御に使用される。
【0052】
また、ボトル本体24からピン50が排出されたかを検知する第2ピン検知センサ42が配されている。第2ピン検知センサ42は、ボトル本体24の貫通孔とストッパ40との中間位置付近に設けられている。第1ピン検知センサ41、第2ピン検知センサ42として、例えば発光部から光を照射して物からの反射光を受光して物の存在を検知する反射型センサを用いて、ピン50の有無を検知するようにする。
【0053】
ボトル本体24から排出されたピン50は、図示しないピン把持装置又はピン吸着装置等を用いて取得可能な状態となる。即ち、ボトル本体24から排出されたピン50は、ボトル本体24の下方のストッパ40で保持されて、起立した状態となっており、図示しないピン把持装置等により、ピン50を水平方向からピン50の腹部を介して吸引・把持等して、その状態でボトル本体24を上昇させることで、ピン50を1本取得することができる。
【0054】
また、ピン取得装置1は、コンピュータを内蔵した制御部(図示せず)を有しており、ピン載置部3、吸着アーム10、ボトル部23の各駆動部のモータ、センサ等の制御はコンピュータのプログラムを実行して行われる。
【0055】
[ピン取得の工程について]
次に、多数のピンから一部、単数のピンを取得するピン取得方法について
図5乃至
図12を参照して説明する。
【0056】
図5は、多数のピンから単数のピンを取得するピン取得の工程を示すフローチャートである。
図6は、ピン取得装置のピン搭載ステージにピンを格納した状態を示す図である。
図7は、ピン取得装置のピン吸着アームでピンを吸着固定した状態を示す図である。
図8は、ピン吸着アームで吸着固定したピンをボトル本体に供給する状態を示す図である。
図9は、ボトル本体が上昇して、ボトル本体にピンを格納する状態を示す図である。
図10は、ピン吸着アームが退避して、ボトル本体の内部にピンを格納した状態を示す図である。
図11は、蓋部でボトル本体の上部を閉じて振動する状態を示す図である。
図12は、ボトル本体の挿通孔からピンが排出された状態を示す図である。
【0057】
[ピン取得の第1の工程について]
図5、
図6に示すように、最初に、第1の工程として、多数のピン50をピン載置部3におけるピン搭載ステージ5の溝6の内部に格納しておく(ステップS1)。この際、多数のピン50の各々の軸方向は大まかに溝6の溝方向と一致していればよい。ピン搭載ステージ5は、次の第2の工程で、振動することにより、内部に載置される多数のピン50の各々の軸方向が溝方向と自然と一致するように規制することが可能なためである。
【0058】
[ピン取得の第2の工程について]
次に、第2の工程として、
図7に示す矢印のピン搭載ステージの振動方向43のように、揺動機構8によってピン50の軸方向と直交する水平方向にピン搭載ステージ5を高速で往復移動させて、ピン搭載ステージ5を振動させる(ステップS2)。これによりピン搭載ステージ5に格納されている一部のピン50が、ピン搭載ステージ5の内部空間内で上方向に跳ねる。
【0059】
図7に示すように、跳ねたピン50のうちの複数のピン50をピン搭載ステージ5の上方でピン吸着アーム12を下降させて、複数のピン50の腹部を吸引して、ピン吸着アーム12にピン50の軸方向が水平の状態で吸着固定される(ステップS3)。ここで、ピン吸着アーム12で吸着するピン50の本数は10本前後になる。このとき、吸着された複数のピンの軸方向はピン吸着アーム先端部13の溝状に形成されたガイド部15の溝方向と一致しているため、ピン搭載ステージ5から安定してピンを取り出すことができる。
【0060】
この場合、揺動機構8の振動数、ピン吸着アーム12を下降によるピン吸着アーム先端部13とピン搭載ステージ5の距離、真空吸着装置の吸着力、ピン吸着アーム先端部13における溝状のガイド部15の溝形状等により、ピン吸着アーム12で吸着するピン50の本数を調整可能である。
【0061】
[ピン取得の第3の工程について]
次に、
図5、
図8に示すように、第3の工程として、ピン吸着アーム12を上昇させて、
図8に示す矢印の回転軸アームの回転方向45のように、回転軸20をボトル部23の方向に90度回転させることで、吸着したピン50の軸方向が水平方向から垂直方向となる。垂直状態のピン50をピン吸着アームスライド部18によってピン吸着アーム12を水平方向に移動させて、ピン50をボトル本体24上に移動させる(ステップS4)。
【0062】
図5、
図9に示すように、ピン50がボトル本体24上に移動後に、ボトル部上下機構35によってボトル本体24を上昇させてボトル本体24の上部から内部空間25にピン50を挿入して、ピン50の全長の一部が内部空間25に位置するようにする。その状態でピン吸着アーム12の吸着を解除し、吸着の解除後にピン50がボトル本体24の内部空間25に落下して、格納される(ステップS5)。これにより、
図10に示すように、ピン吸着アーム12に吸着固定された複数のピン50が、複数のピン50が起立状態で保持可能な内部空間25を有するボトル本体24に格納される。
【0063】
[ピン取得の第4の工程について]
次に、
図5、
図11に示すように、第4の工程として、複数のピン50がボトル本体24に格納された後に、ピン吸着アーム12をボトル本体24から遠ざかるように退避させ、蓋部30を下降させてボトル本体24の上部に接触させてボトル本体24の内部を密閉する(ステップS6)。
【0064】
その後、
図5、
図12に示すように、ボトル本体24をボトル部上下機構35によって上下に高速で往復移動させることでボトル本体24を振動させて、ボトル本体24の内部でピン50を跳ねさせる(ステップS7)。ボトル本体24の下側に空いているピン1本分の挿通孔28(
図4に示す)から、振動により単数のピン50が落下する。落下したピン50をボトル本体24の下部のストッパ40で受け止めて、ボトル本体24の下部でピン50が停止する。第2ピン検知センサ42により、ピン50が排出されたかをチェックし(ステップS8)、ピン50が排出されたとき(ステップS9)には、ボトル本体24の振動動作を停止する(ステップS10)。
【0065】
ストッパ40は、ボトル部23のボトル本体24の挿通孔28の出口からピン50の排出方向においてピン50の全長よりも短い距離の位置に設けられていため、挿通孔28に単数のピン50の一端が接触しストッパ40により単数のピン50を起立状態で保持される。
【0066】
ボトル本体24から排出されたピン50は、図示しないピン把持装置又はピン吸着装置等を用いて取得可能な状態となる。図示しないピン把持装置等により、ピン50を水平方向からピン50の腹部を介して吸引・把持等して、その状態でボトル本体24を上昇させることで、ピン50を1本取得することができる。
【0067】
[ピン取得における他の第4の工程について]
一方、他の第4の工程として、ステップS6以後で、ボトル本体24を上下に高速の往復移動で振動する工程に代えて、エア供給装置から圧縮エアを供給することも可能である。
図13は、第2の振動印加部としてのボトル部上下機構に代えて、ボトル本体の内部空間に圧縮エアを供給して単数のピンを排出するピン取得の工程を示すフローチャートである。尚、
図13に示す工程は、
図5に示すステップS6までは、同一の工程であるため、ステップS6後について説明する。
【0068】
図13に示すように、ボトル本体24の内部を密閉下後に、内部に圧縮エアを供給する(ステップS11)。これによって、ボトル本体24の下側に空いているピン1本分の挿通孔28から、エアにより単数のピン50がエアの流れに沿って排出される(落下する)。落下したピン50をボトル本体24の下部のストッパ40で受け止めて、ボトル本体24の下部でピン50が停止する。第2ピン検知センサ42により、ピン50が排出されたかをチェックし(ステップS12)、ピン50が排出されたとき(ステップS13)には、ボトル本体24の内部への圧縮エアの供給を停止する(ステップS14)。
【0069】
ストッパ40は、ボトル部23におけるボトル本体24の挿通孔28の出口からピン50の排出方向においてピン50の全長の距離よりも短い位置に設けられている。これにより、単数のピン50が起立状態で保持される。
【0070】
ボトル本体24から排出されたピン50は、図示しないピン把持装置又はピン吸着装置等を用いて取得可能な状態となる。図示しないピン把持装置等により、ピン50を水平方向からピン50の腹部を介して吸引・把持等して、その状態でボトル本体24を上昇させることで、ピン50を1本取得することができる。
【0071】
更に、新たな第4の工程として、ボトル本体24の振動と圧縮エアの供給を同時に動作させて、単数のピンを排出するようにすることも可能である。
【0072】
尚、エア供給装置に、真空エジェクタの負圧流路もエア供給接続部31に接続した場合、蓋部30によってボトル本体24の内部を密閉した後、単数のピン50のボトル部23からの排出時以外は常時、吸引動作を行うことにより、意図しないタイミングで単数のピン50がボトル部23の挿通孔28の出口から排出されてしまうことを防止可能である。この場合、単数のピン50のボトル部23からの排出時、吸引動作を停止するとともに、真空エジェクタの負圧流路に破壊エア(エア供給装置からの圧縮エア)を供給して、破壊エアの流れを利用して挿通孔28の出口から単数のピン50を排出可能である。また、この吸引動作及び破壊エアとしての圧縮エアの供給に組み合わせて、ボトル本体24の振動をも同時に用いることも可能である。
【0073】
以上述べたように、本発明によれば、ピンを取得する際に、多数のピンの供給からピンを2段階に分けて段階的に減らしていくことによって、安定して単数のピンを取得することができる。
【0074】
また、本発明によれば、第1段階として、ピン載置部を振動させて多数のピンの少なくとも一部をピン載置部の内部で跳ねさせて、吸着アームは跳ねたピンのうちの複数のピンをピン載置部の上方で複数のピンの腹部を介して吸引して吸着固定し、吸着されたピンの軸方向は吸着アームの溝と一致しているため、ピン載置部から安定して一部のピンを取り出すことができる。
【0075】
また、本発明によれば、第2段階として、吸着アームに吸着固定された複数のピンをボトル部の内部空間に格納し、内部空間の底面に設けられたピンが1本のみ通過可能な直径を有する挿通孔を有するボトル部を振動させて挿通孔を介して単数のピンを排出させて、挿通孔の出口からピンの排出方向においてピンの全長よりも短い距離の位置に配されたストッパに単数のピンの一端をストッパに接触させ、かつ、他端を挿通孔に接触させて、単数のピンを起立状態で保持することにより、安定して単数のピンを取り出すことができる。
【0076】
また、本発明によれば、直径の小さいピンに対しても、ピンセットのように摘まんで把持することがないためピンを安定して取得することが可能である。
【0077】
また、本発明によれば、多数のピンから一部のピンを取得する際には、作業者の熟練度も不要であり、ピンの取得作業を連続して行うことが可能なため、ピン取得作業の生産性が向上する。
【0078】
また、本発明によれば、ボトル本体24の振動と、これに併用してボトル部の内部空間からの気体の吸気によるピンの移動及びその吸気から切り替えた気体の内部空間への供給を同時に行うことにより、単数のピンを排出するようにすることが可能であるため、確実に単数のピンを取り出すことができる。
【0079】
この発明は、その本質的特性から逸脱することなく数多くの形式のものとして具体化することができる。よって、上述した実施形態は専ら説明上のものであり、本発明を制限するものではないことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0080】
1 ピン取得装置
3 ピン載置部
5 ピン搭載ステージ
6 溝
8 揺動機構(第1の振動印加部)
10 吸着アーム
12 ピン吸着アーム
13 ピン吸着アーム先端部
15 ガイド部
16 吸気口
17 真空吸着接続部
18 ピン吸着アームスライド部
19 ピン吸着アーム駆動機構
20 回転軸
21 回転軸アーム
23 ボトル部
24 ボトル本体
25 内部空間
28 挿通孔
29 ボトルスライド部
30 蓋部
31 エア供給接続部
32 蓋部スライド部
33 蓋部駆動部
35 ボトル部上下機構(第2の振動印加部)
40 ストッパ
41 第1ピン検知センサ
42 第2ピン検知センサ
43 ピン搭載ステージの振動方向
44 ピン吸着アームスライド部の移動方向
45 回転軸アームの回転方向
46 ボトルスライド部の移動方向
47 蓋部スライド部の移動方向
50 ピン
【要約】
【課題】多数のピンから一部のピンを安定して取得することができるピン取得装置及びピン取得方法を提供すること。
【解決手段】ピン取得装置1は、溝6が形成されたピン載置部3を振動させて多数のピンを跳ねさせ、跳ねたピンのうちの複数のピンを吸着固定する吸着アーム10により、ピンを起立状態で保持可能なボトル部23の内部に複数のピンを格納し、ボトル部を振動させて内部空間の底面に設けられた挿通孔を介して単数のピンを排出して、挿通孔の出口から、ピンの排出方向においてピンの全長よりも短い距離の位置に配されたストッパ40に単数のピンの一端をストッパに接触させて、単数のピンを起立状態で保持する。
【選択図】
図1