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特許7559298バッテリー装置、バッテリー管理システムおよび診断方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】バッテリー装置、バッテリー管理システムおよび診断方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/00 20060101AFI20240925BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
G01R31/00
H02J7/00 Q
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023520381
(86)(22)【出願日】2022-07-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-25
(86)【国際出願番号】 KR2022009880
(87)【国際公開番号】W WO2023287113
(87)【国際公開日】2023-01-19
【審査請求日】2023-04-05
(31)【優先権主張番号】10-2021-0092482
(32)【優先日】2021-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク、ハンゴン
(72)【発明者】
【氏名】キム、キフーン
【審査官】島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-164897(JP,A)
【文献】国際公開第2016/157721(WO,A1)
【文献】特開2004-170146(JP,A)
【文献】特開2019-184578(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0315568(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0252584(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/00
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1連結端子と第2連結端子を通じて外部装置と連結されるバッテリー装置であって、
並列に連結される第1バッテリーパックと第2バッテリーパックと、
前記第1バッテリーパックの第1端子と前記第1連結端子との間に連結される第1スイッチと、前記第1バッテリーパックの第2端子と前記第2連結端子との間に連結される第2スイッチとを含む第1スイッチング回路と、
前記第2バッテリーパックの第1端子と前記第1連結端子との間に連結される第3スイッチと、前記第2バッテリーパックの第2端子と前記第2連結端子との間に連結される第4スイッチとを含む第2スイッチング回路と、
前記第1スイッチと前記第2スイッチが閉じられる時、前記第1バッテリーパックの電圧を充電する第1キャパシタを含む第1診断回路と、
前記第3スイッチと前記第4スイッチが閉じられる時、前記第2バッテリーパックの電圧を充電する第2キャパシタを含む第2診断回路と、
前記第1バッテリーパックの電圧と前記第1キャパシタの電圧に基づいて前記第1スイッチング回路を診断し、前記第2バッテリーパックの電圧と前記第2キャパシタの電圧に基づいて前記第2スイッチング回路を診断するプロセッサーと
を含み、
前記第1診断回路は、第5スイッチと第6スイッチをさらに含み、
前記第1スイッチは前記第1バッテリーパックの第1端子とノードとの間に連結され、
前記第5スイッチと前記第1キャパシタは前記ノードと前記第2連結端子との間に直列に連結され、
前記第6スイッチは前記ノードと前記第1連結端子との間に連結される、バッテリー装置。
【請求項2】
前記第1バッテリーパックの電圧と前記第1キャパシタの電圧との間の差が所定電圧以下である場合、前記プロセッサーは前記第1スイッチング回路を正常と診断する、請求項1に記載のバッテリー装置。
【請求項3】
前記第1バッテリーパックの電圧と前記第1キャパシタの電圧との間の差が所定電圧より大きい場合、前記プロセッサーは前記第1スイッチング回路を故障と診断する、請求項に記載のバッテリー装置。
【請求項4】
前記第1キャパシタの電圧が前記第1バッテリーパックの電圧の所定比率より大きい場合、前記プロセッサーは前記第1スイッチング回路を正常と診断する、請求項に記載のバッテリー装置。
【請求項5】
前記第1キャパシタの電圧が前記第1バッテリーパックの電圧の所定比率より小さい場合、前記プロセッサーは前記第1スイッチング回路を故障と診断する、請求項に記載のバッテリー装置。
【請求項6】
前記プロセッサーは、前記第6スイッチを開き、前記第1スイッチ、前記第2スイッチおよび前記第5スイッチを閉じて前記第1キャパシタを充電し、前記第6スイッチを閉じ、前記第5スイッチを開いて前記第1バッテリーパックの電圧を前記第1連結端子に提供する、請求項1から5のいずれか一項に記載のバッテリー装置。
【請求項7】
前記第1キャパシタと前記第2キャパシタはプリチャージに使用されるキャパシタとは別途に提供される、請求項1から5のいずれか一項に記載のバッテリー装置。
【請求項8】
外部装置に連結される第1連結端子と第2連結端子を有するバッテリー装置のバッテリー管理システムであって、
前記バッテリー装置のバッテリーパックの第1端子とノードとの間に連結される第1スイッチと、前記バッテリーパックの第2端子と前記第2連結端子との間に連結される第2スイッチとを含むスイッチング回路と、
前記ノードと前記第2連結端子との間に直列に連結される第3スイッチとキャパシタと、
前記ノードと前記第1連結端子との間に連結される第4スイッチと、
前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、前記第3スイッチおよび前記第4スイッチを制御するプロセッサーと
を含むバッテリー管理システム。
【請求項9】
前記プロセッサーは、前記バッテリーパックの電圧と前記キャパシタの電圧に基づいて前記スイッチング回路を診断する、請求項に記載のバッテリー管理システム。
【請求項10】
前記スイッチング回路の診断のために、前記プロセッサーは、前記第4スイッチを開き、前記第1スイッチ、前記第2スイッチおよび前記第3スイッチを閉じて前記キャパシタを充電する、請求項に記載のバッテリー管理システム。
【請求項11】
前記プロセッサーは、前記スイッチング回路を診断した後に前記第4スイッチを閉じ、前記第3スイッチを開いて前記バッテリーパックの電圧を前記外部装置に供給する、請求項10に記載のバッテリー管理システム。
【請求項12】
前記バッテリーパックの電圧と前記キャパシタの電圧との間の差が所定電圧以下である場合、前記プロセッサーは前記スイッチング回路を正常と診断する、請求項9から11のいずれか一項に記載のバッテリー管理システム。
【請求項13】
前記バッテリーパックの電圧と前記キャパシタの電圧との間の差が所定電圧より大きい場合、前記プロセッサーは前記スイッチング回路を故障と診断する、請求項9から11のいずれか一項に記載のバッテリー管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互引用]
本出願は、2021年7月14日付大韓民国特許出願第10-2021-0092482に基づいた優先権の利益を主張し、当該大韓民国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
以下に記載された技術は、バッテリー装置、バッテリー管理システムおよび診断方法に関する。
【背景技術】
【0003】
電気自動車は、主にバッテリーを電源として利用してモータを駆動することにより動力を得る自動車として、内燃自動車の公害およびエネルギー問題を解決できる代案であるという点から研究が活発に行われている。また、充電が可能なバッテリーは電気自動車以外に多様な外部装置で使用されている。
【0004】
最近、高い出力と大きい充電容量を有するバッテリーが要求されることに伴い、複数のバッテリーセルが並列に連結されたバッテリーパックが使用されている。バッテリーパック毎にバッテリーパックの連結制御のためのスイッチング回路が使用され得る。複数のバッテリーパックが同一の外部連結端子に連結されるため、バッテリーパック毎にスイッチング回路のスイッチ(例えば、コンタクタ)の故障(例えば、スタック故障)を診断することが不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ある実施形態は、各バッテリーパックでのスイッチング回路の故障を診断することができるバッテリー装置、バッテリー管理システムおよび診断方法を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態によると、第1連結端子と第2連結端子を通じて外部装置と連結されるバッテリー装置が提供され得る。前記バッテリー装置は、並列に連結される第1バッテリーパックと第2バッテリーパックと、第1スイッチング回路と、第2スイッチング回路と、第1診断回路と、第2診断回路と、プロセッサーとを含むことができる。前記第1スイッチング回路は、前記第1バッテリーパックの第1端子と前記第1連結端子との間に連結される第1スイッチと、前記第1バッテリーパックの第2端子と前記第2連結端子との間に連結される第2スイッチとを含むことができる。前記第2スイッチング回路は、前記第2バッテリーパックの第1端子と前記第1連結端子との間に連結される第3スイッチと、前記第2バッテリーパックの第2端子と前記第2連結端子との間に連結される4スイッチとを含むことができる。前記第1診断回路は、前記第1スイッチと前記第2スイッチが閉じられる時、前記第1バッテリーパックの電圧を充電する第1キャパシタを含み、前記第2診断回路は、前記第3スイッチと前記第4スイッチが閉じられる時、前記第2バッテリーパックの電圧を充電する第2キャパシタを含むことができる。前記プロセッサーは、前記第1バッテリーパックの電圧と前記第1キャパシタの電圧に基づいて前記第1スイッチング回路を診断し、前記第2バッテリーパックの電圧と前記第2キャパシタの電圧に基づいて前記第2スイッチング回路を診断することができる。
【0007】
ある実施形態において、前記第1バッテリーパックの電圧と前記第1キャパシタの電圧との間の差が所定電圧以下である場合、前記プロセッサーは前記第1スイッチング回路を正常と診断することができる。
【0008】
ある実施形態において、前記第1バッテリーパックの電圧と前記第1キャパシタの電圧との間の差が所定電圧より大きい場合、前記プロセッサーは前記第1スイッチング回路を故障と診断することができる。
【0009】
ある実施形態において、前記第1キャパシタの電圧が前記第1バッテリーパックの電圧の所定比率より大きい場合、前記プロセッサーは前記第1スイッチング回路を正常と診断することができる。
【0010】
ある実施形態において、前記第1キャパシタの電圧が前記第1バッテリーパックの電圧の所定比率より小さい場合、前記プロセッサーは前記第1スイッチング回路を故障と診断することができる。
【0011】
ある実施形態において、前記第1診断回路は、第5スイッチと第6スイッチをさらに含むことができる。この場合、前記第1スイッチは前記第1バッテリーパックの第1端子とノードとの間に連結され、前記第5スイッチと前記第1キャパシタは前記ノードと前記第2連結端子との間に直列に連結され、前記第6スイッチは前記ノードと前記第1連結端子との間に連結され得る。
【0012】
ある実施形態において、前記プロセッサーは、前記第6スイッチを開き、前記第1スイッチ、前記第2スイッチおよび前記第5スイッチを閉じて前記第1キャパシタを充電し、前記第6スイッチを閉じ、前記第5スイッチを開いて前記第1バッテリーパックの電圧を前記第1連結端子に提供することができる。
【0013】
ある実施形態において、前記第1キャパシタと前記第2キャパシタはプリチャージに使用されるキャパシタとは別途に提供され得る。
【0014】
他の実施形態によると、外部装置に連結される第1連結端子と第2連結端子を有するバッテリー装置のバッテリー管理システムが提供され得る。前記バッテリー管理システムは、第1スイッチと第2スイッチを含むスイッチング回路と、第3スイッチと、キャパシタと、第4スイッチと、プロセッサーとを含むことができる。前記第1スイッチは前記バッテリー装置のバッテリーパックの第1端子とノードとの間に連結され、前記第2スイッチは前記バッテリーパックの第2端子と前記第2連結端子との間に連結され得る。前記第3スイッチとキャパシタは前記ノードと前記第2連結端子との間に直列に連結され、前記第4スイッチは前記ノードと前記第1連結端子との間に連結され得る。前記プロセッサーは前記第1スイッチ、前記第2スイッチ、前記第3スイッチおよび前記第4スイッチを制御することができる。
【0015】
ある実施形態において、前記プロセッサーは、前記バッテリーパックの電圧と前記キャパシタの電圧に基づいて前記スイッチング回路を診断することができる。
【0016】
ある実施形態において、前記スイッチ回路の診断のために、前記プロセッサーは、前記第4スイッチを開き、前記第1スイッチ、前記第2スイッチおよび前記第3スイッチを閉じて前記キャパシタを充電することができる。
【0017】
ある実施形態において、前記プロセッサーは、前記スイッチング回路を診断した後に前記第4スイッチを閉じ、前記第3スイッチを開いて前記バッテリーパックの電圧を前記外部装置に供給することができる。
【0018】
ある実施形態において、前記バッテリーパックの電圧と前記キャパシタの電圧との間の差が所定電圧以下である場合、前記プロセッサーは前記スイッチング回路を正常と診断することができる。
【0019】
ある実施形態において、前記バッテリーパックの電圧と前記キャパシタの電圧との間の差が所定電圧より大きい場合、前記プロセッサーは前記スイッチング回路を故障と診断することができる。
【0020】
また他の実施形態によると、並列に連結される複数のバッテリーパックを含むバッテリー装置の診断方法が提供される。前記診断方法は、前記複数のバッテリーパックにそれぞれ提供される複数のキャパシタを充電する段階と、各バッテリーパックの電圧と、前記複数のキャパシタのうち対応するキャパシタの電圧とを比較する段階と、前記複数のバッテリーパックのうち、第1バッテリーパックの電圧と、前記複数のキャパシタのうち前記第1バッテリーパックに対応するキャパシタの電圧との間の差が所定電圧以下である場合、前記第1バッテリーパックに連結されるスイッチング回路を正常と診断する段階と、前記複数のバッテリーパックのうち、第2バッテリーパックの電圧と、前記複数のキャパシタのうち前記第2バッテリーパックに対応するキャパシタの電圧との間の差が前記所定電圧より大きい場合、前記第2バッテリーパックに連結されるスイッチング回路を故障と診断する段階とを含むことができる。
【発明の効果】
【0021】
ある実施形態によると、並列バッテリーパックが使用される時、各バッテリーパックに連結されるスイッチング回路を個別に診断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】一実施形態によるバッテリー装置の一例を示す図面である。
図2】他の実施形態によるバッテリー装置の一例を示す図面である。
図3図2に示したバッテリー装置のスイッチングタイミングの一例を示す図面である。
図4】また他の実施形態によるバッテリー装置の一例を示す図面である。
図5図4に示したバッテリー装置のスイッチングタイミングの一例を示す図面である。
図6】一実施形態による診断方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施形態について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳しく説明する。しかし、本発明は、多様な異なる形態に実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。そして図面において、本発明を明確に説明するために、説明上不要な部分は省略し、明細書全体にわたって類似の部分については類似の図面符号を付した。
【0024】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いると言及された時には、その他の構成要素に直接的に連結されていることもできるが、中間に他の構成要素が存在することもできると理解されなければならない。反面、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いると言及された時には、中間に他の構成要素が存在しないと理解されなければならない。
【0025】
以下の説明で、単数で記載された表現は、「一つ」または「単一」などの明示的な表現を使用しない以上、単数または複数に解釈され得る。
【0026】
図面を参照して説明したフローチャートにおいて、動作順序は変更されてもよく、多くの動作が併合されたり、ある動作が分割されたりしてもよく、特定の動作は行われなくてもよい。
【0027】
図1は一実施形態によるバッテリー装置の一例を示す図面である。
【0028】
図1を参照すると、バッテリー装置は正極連結端子DC(+)と負極連結端子DC(-)を通じて外部装置に電気的に連結され得る構造を有する。ある実施形態において、バッテリー装置は正極連結端子DC(+)と負極連結端子DC(-)を通じて外部装置10に連結され得る。外部装置10が負荷である場合、バッテリー装置は負荷に電力を供給する電源として動作して放電され得る。外部装置10が充電器である場合、バッテリー装置は充電器10を通じて外部電力の供給を受けて充電され得る。ある実施形態において、負荷として動作する外部装置10は例えば電子装置、移動手段またはエネルギー貯蔵システム(energy storage system、ESS)であり得、移動手段は例えば電気自動車、ハイブリッド自動車またはスマートモビリティー(smart mobility)などの車両であり得る。
【0029】
バッテリー装置は、複数のバッテリーパック110、複数のスイッチング回路120、複数の診断回路130およびプロセッサー140を含む。
【0030】
複数のバッテリーパック110は複数のスイッチング回路120を通じて連結端子DC(+)、DC(-)に並列に連結される。複数のスイッチング回路120は複数のバッテリーパック110にそれぞれ対応する。つまり、各スイッチング回路120は複数のバッテリーパック110のうち対応するバッテリーパック110に連結されている。各バッテリーパック110は複数のバッテリーセル(図示せず)を含み、正極端子PV(+)と負極端子PV(-)を有する。ある実施形態において、バッテリーセルは充電可能な二次電池であり得る。一実施形態において、バッテリーパック110で所定個数のバッテリーセルが直列連結されてバッテリーモジュールを構成して所望の電力を供給することができる。他の実施形態において、バッテリーパック110で所定個数のバッテリーモジュールが直列または並列連結されて所望の電力を供給することができる。
【0031】
各スイッチング回路120は、正極スイッチ121および負極スイッチ122を含む。正極スイッチ121は対応するバッテリーパック110の正極端子PV(+)とバッテリー装置の正極連結端子DC(+)との間に連結されている。負極スイッチ122は対応するバッテリーパック110の負極端子PV(-)とバッテリー装置の負極連結端子DC(-)との間に連結されている。スイッチ121、122はプロセッサー140により制御されてバッテリーパック110と外部装置との間の電気的連結を制御することができる。ある実施形態において、スイッチ121、122は、それぞれリレーを含むコンタクタを含むことができる。ある実施形態において、スイッチ121、122は、それぞれトランジスターなどの電気的スイッチを含むことができる。ある実施形態において、スイッチング回路120はプロセッサー140からの制御信号に応答してスイッチ121、122をそれぞれ駆動する駆動回路(図示せず)をさらに含むことができる。正極スイッチ121と負極スイッチ122が閉じられると、バッテリーパック110から外部装置に電力を供給したり外部装置からバッテリーパック110に電力が供給されたりし得る。スイッチの閉鎖はスイッチのオン(on)で表現することができ、スイッチの開放はスイッチのオフ(off)で表現することができる。
【0032】
複数の診断回路130は複数のスイッチング回路120にそれぞれ対応する。つまり、各診断回路130は複数のスイッチング回路120のうち対応するスイッチング回路120と連結端子DC(+)、DC(-)との間に連結されている。各診断回路130はキャパシタ(図示せず)を含み、対応するスイッチング回路120の正極スイッチ121と負極スイッチ122が正常に閉じられる時、対応するバッテリーパック110から供給される電力によりキャパシタが充電される。
【0033】
プロセッサー140は複数のスイッチング回路120および複数の診断回路130を制御する。スイッチング回路120が正常動作する場合には、対応する診断回路130には対応するバッテリーパック110の電圧が充電され得るが、スイッチング回路120が正常動作しない場合には、対応する診断回路130には対応するバッテリーパック110の電圧が充電されない。ある実施形態において、プロセッサー140は複数のスイッチング回路120と複数の診断回路130を動作させ、所定時間が経過した後に、ある診断回路130のキャパシタに充電された電圧と対応するバッテリーパック110の電圧との間の差が所定電圧以下である場合に、対応するスイッチング回路120のスイッチ121、122を正常と診断することができる。例えば、ある診断回路130のキャパシタに充電された電圧が対応するバッテリーパック110の電圧に対応する電圧を有する場合に、プロセッサー140は対応するスイッチング回路120のスイッチ121、122を正常と診断することができる。一方、プロセッサー140は複数のスイッチング回路120と複数の診断回路130を動作させ、所定時間が経過した後に、ある診断回路130のキャパシタに充電された電圧と対応するバッテリーパック110の電圧との間の差が所定電圧より大きい場合に、対応するスイッチング回路120のスイッチ121、122のうち、少なくとも一つのスイッチに故障があると診断することができる。例えば、ある診断回路130のキャパシタに充電された電圧が対応するバッテリーパック110の電圧に対応する電圧を有さない場合に、プロセッサー140は対応するスイッチング回路120のスイッチ121、122のうち、少なくとも一つのスイッチに故障があると診断することができる。例えば、プロセッサー140はスイッチ121、122がスタック(stuck)されたと診断することができる。ある実施形態において、バッテリーパック110の電圧に対応する電圧はバッテリーパック110の電圧と同一の電圧であり得る。ある実施形態において、バッテリーパック110の電圧に対応する電圧はバッテリーパック110の電圧の所定比率に該当する電圧であり得、所定比率は100%以下であり得る。
【0034】
ある実施形態において、スイッチング回路120の診断に使用される診断回路130のキャパシタは、プリチャージに使用されるキャパシタ(つまり、外部装置10と連結する時、突入電流を防止するために使用されるキャパシタ)とは別途に提供されるキャパシタであり得る。
【0035】
プロセッサー140は、診断回路130を通じた診断動作後、バッテリーパック110をスイッチング回路120と診断回路130を通じて連結端子DC(+)、DC(-)に連結することができる。
【0036】
以上で説明した実施形態によると、複数のバッテリーパック110のための複数のスイッチング回路120が同一の連結端子DC(+)、DC(-)に連結されても、各スイッチング回路120は対応する診断回路130を通じて個別にスイッチの故障が診断され得る。
【0037】
図2は他の実施形態によるバッテリー装置の一例を示す図面であり、図3図2に示したバッテリー装置のスイッチングタイミングの一例を示す図面である。
【0038】
図2を参照すると、バッテリー装置は、バッテリーパック210、スイッチング回路220、診断回路230およびプロセッサー240を含む。図2では説明の便宜上、一つのバッテリーパックに連結される回路を示したが、図1を参照して説明したように他のバッテリーパックにも同一の構造を有するスイッチング回路および診断回路が連結され得る。
【0039】
スイッチング回路220はバッテリーパック210の出力端子PV(+)、PV(-)とノードN1、N2との間に連結され、診断回路230はノードN1、N2と連結端子DC(+)、DC(-)との間に連結されている。
【0040】
スイッチング回路220の正極スイッチ221はバッテリーパック210の正極端子PV(+)とノードN1との間に連結されており、スイッチング回路220の負極スイッチ222はバッテリーパック210の負極端子PV(-)とノードN2との間に連結されている。
【0041】
診断回路230は、診断スイッチ231、診断キャパシタ232および動作スイッチ233を含む。診断スイッチ231と診断キャパシタ232はノードN1とノードN2との間に直列に連結されている。動作スイッチ233はノードN1と正極連結端子DC(+)との間に連結されており、ノードN2は負極連結端子DC(-)に連結されている。
【0042】
図3を参照すると、プロセッサー240はt時点でバッテリー装置の駆動のためにイネーブルレベルを有する制御信号Cp、Cnを出力する。正極スイッチ221と負極スイッチ222は、それぞれ制御信号Cp、Cnのイネーブルレベルに応答して閉じられる。ある実施形態において、イネーブルレベルは例えばハイレバル(H)であり得る。また、プロセッサー240はt時点でスイッチング回路220の診断のために診断スイッチ231にイネーブルレベルを有する制御信号Cdを伝達し、診断スイッチ231は制御信号Cdのイネーブルレベルに応答して閉じられる。一方、プロセッサー240は動作スイッチ233に伝達される制御信号Coはディスエーブルレベルに維持する。ある実施形態において、ディスエーブルレベルは例えばローレベル(L)であり得る。そうすると、動作スイッチ233が開かれた状態でスイッチ221、222、231が閉じられてバッテリーパック210により診断キャパシタ232が充電され得る。
【0043】
プロセッサー240はt時点から所定時間が経過した時点でバッテリーパック210の電圧とキャパシタ232に充電された電圧とを比較してスイッチング回路220の故障、例えばスイッチ221、222の故障の有無を診断することができる。ある実施形態において、所定時間はキャパシタ232に電圧が十分に充電され得る時間に設定され得る。
【0044】
ある実施形態において、バッテリー装置は、バッテリーパック210の電圧およびキャパシタ232に充電された電圧を測定するための電圧感知回路をさらに含むことができる。
【0045】
ある実施形態において、プロセッサー240はバッテリーパック210の電圧およびキャパシタ232に充電された電圧を受信し、キャパシタ232に充電された電圧が所定電圧以上であるか否かを判断することができる。プロセッサー240はキャパシタ232に充電された電圧が所定電圧以上である場合にスイッチ221、222を正常と診断し、キャパシタ232に充電された電圧が所定電圧より低い場合にスイッチ221、222のうちの少なくとも一つのスイッチが故障であると診断することができる。ある実施形態において、所定電圧はバッテリーパック210の電圧と同じであり得る。ある実施形態において、所定電圧はバッテリーパック210の電圧の所定比率で決められ得、所定比率は100%以下であり得る。ある実施形態において、バッテリー装置は、バッテリーパック210の電圧およびキャパシタ232に充電された電圧をデジタル信号に変換してプロセッサー240に伝達するアナログデジタル変換器をさらに含むことができる。
【0046】
ある実施形態において、バッテリー装置は、比較器(図示せず)をさらに含むことができる。比較器はバッテリーパック210の電圧およびキャパシタ232に充電された電圧を比較し、比較結果を出力することができる。プロセッサー240は比較器の比較結果に基づいてスイッチ221、222の故障の有無を診断することができる。
【0047】
次に、プロセッサー240はt時点で診断スイッチ231に伝達される制御信号Cdをディスエーブルレベルに転換し、動作スイッチ233に伝達される制御信号Coをイネーブルレベルに転換する。そのために、診断スイッチ231が開かれ、動作スイッチ233が閉じられて、バッテリーパック210の電力が連結端子DC(+)、DC(-)を通じて外部装置20に伝達され得る。
【0048】
図3ではt時点で制御信号Cp、Cn、Cdが同時にイネーブルレベルに転換されるものと示したが、制御信号Cp、Cn、Cdのレベル転換時点に差があり得る。例えば、制御信号Cnが先にイネーブルレベルに転換された後に制御信号Cp、Cdがイネーブルレベルに転換され得る。同様に、図3ではt時点で制御信号Cd、Coが、同時にレベルが転換されるものと示したが、制御信号Cd、Coのレベル転換時点に差があり得る。例えば、制御信号Coが先にイネーブルレベルに転換された後に制御信号Cdがディスエーブルレベルに転換され得る。
【0049】
以上で説明した実施形態によると、プロセッサー240は各バッテリーパック210に対応する診断回路230を通じて対応するスイッチング回路220のスイッチ221、222の故障の有無を診断することができる。したがって、連結端子DC(+)、DC(-)に共通して連結される複数のスイッチング回路220が個別に診断され得る。
【0050】
図4はまた他の実施形態によるバッテリー装置の一例を示す図面であり、図5図4に示したバッテリー装置のスイッチングタイミングの一例を示す図面である。
【0051】
図4を参照すると、バッテリー装置は、バッテリーパック410、スイッチング回路420、診断回路430およびプロセッサー440を含む。図4では説明の便宜上、一つのバッテリーパックに連結される回路を示したが、図1を参照して説明したように他のバッテリーパックにも同一の構造を有するスイッチング回路および診断回路が連結され得る。
【0052】
スイッチング回路420はバッテリーパック410の出力端子PV(+)、PV(-)とノードN1、N2との間に連結され、診断回路430はノードN1、N2と連結端子DC(+)、DC(-)との間に連結されている。スイッチング回路420は、正極スイッチ421、負極スイッチ422およびプリチャージ回路を含む。ある実施形態において、プリチャージ回路は、プリチャージスイッチ423とプリチャージ抵抗424を含むことができる。
【0053】
スイッチング回路420の正極スイッチ421はバッテリーパック410の正極端子PV(+)とノードN1との間に連結されており、スイッチング回路420の負極スイッチ422はバッテリーパック410の負極端子PV(-)とノードN2との間に連結されている。プリチャージスイッチ423とプリチャージ抵抗424はバッテリーパック110の正極端子PV(+)とノードN1との間に直列に連結され得る。ある実施形態において、正極スイッチ421とプリチャージ回路423、424はバッテリーパック410の正極端子PV(+)とノードN1との間に並列に連結され得る。
【0054】
診断回路430は、診断スイッチ431、診断キャパシタ432および動作スイッチ433を含む。診断スイッチ431と診断キャパシタ432はノードN1とノードN2との間に直列に連結されている。動作スイッチ433はノードN1と正極連結端子DC(+)との間に連結されており、ノードN2は負極連結端子DC(-)に連結されている。
【0055】
図5を参照すると、プロセッサー440はt時点でバッテリー装置の駆動のためにイネーブルレベルを有する制御信号Cpc、Cnを出力する。プリチャージスイッチ423と負極スイッチ422は、それぞれ制御信号Cpc、Cnのイネーブルレベルに応答して閉じられる。ある実施形態において、イネーブルレベルは例えばハイレバル(H)であり得る。また、プロセッサー440はt時点でスイッチング回路420の診断のために診断スイッチ431にイネーブルレベルを有する制御信号Cdを伝達し、診断スイッチ431は制御信号Cdのイネーブルレベルに応答して閉じられる。一方、プロセッサー440は動作スイッチ433に伝達される制御信号Coはディスエーブルレベルに維持する。ある実施形態において、ディスエーブルレベルは例えばローレベル(L)であり得る。そうすると、動作スイッチ433が開かれた状態でスイッチ422、423、431が閉じられてバッテリーパック410により診断キャパシタ432が充電され得る。
【0056】
プロセッサー440はt時点から所定時間が経過した時点でバッテリーパック410の電圧とキャパシタ432に充電された電圧とを比較してスイッチング回路420の故障、例えばスイッチ422、423の故障の有無を診断することができる。
【0057】
次に、プロセッサー440はt時点で診断スイッチ431に伝達される制御信号Cdをディスエーブルレベルに転換し、動作スイッチ433に伝達される制御信号Coをイネーブルレベルに転換する。そのために、診断スイッチ431が開かれ、動作スイッチ433が閉じられて、バッテリーパック410により外部装置40のキャパシタがプリチャージされ得る。
【0058】
次に、外部装置40のキャパシタのプリチャージ完了後に、プロセッサー440はt時点で正極スイッチ421に伝達される制御信号Cpをイネーブルレベルに転換し、プリチャージスイッチ423に伝達される制御信号Cpcをディスエーブルレベルに転換する。そのために、バッテリーパック410の電力が連結端子DC(+)、DC(-)を通じて外部装置40に伝達され得る。
【0059】
図5ではt時点でプリチャージスイッチ423を閉じるものと説明したが、図3を参照して説明したように正極スイッチ421を閉じてスイッチ421、422の故障の有無を診断することもできる。
【0060】
図5ではt時点で制御信号Cpc、Cn、Cdが同時にイネーブルレベルに転換されるものと示したが、制御信号Cpc、Cn、Cdのレベル転換時点に差があり得る。例えば、制御信号Cnが先にイネーブルレベルに転換された後に制御信号Cpc、Cdがイネーブルレベルに転換され得る。また、図5ではt時点で制御信号Cd、Coが、同時にレベルが転換されるものと示したが、制御信号Cd、Coのレベル転換時点に差があり得る。例えば、制御信号Coが先にイネーブルレベルに転換された後に制御信号Cdがディスエーブルレベルに転換され得る。同様に、図5ではt時点で制御信号Cpc、Cpが、同時にレベルが転換されるものと示したが、制御信号Cpc、Cpのレベル転換時点に差があり得る。例えば、制御信号Cpが先にイネーブルレベルに転換された後に制御信号Cpcがディスエーブルレベルに転換され得る。
【0061】
以上で説明した実施形態によると、プロセッサー440は各バッテリーパック410に対応する診断回路430を通じて対応するプリチャージ回路を含むスイッチング回路420のスイッチ421、422、423の故障の有無を診断することができる。
【0062】
図6は一実施形態による診断方法の一例を示すフローチャートである。
【0063】
図6を参照すると、バッテリー装置のバッテリー管理システムは、バッテリーパックを通じて電力を供給するためにスイッチング手続を開始する(S610)。まず、複数のバッテリーパックの負極スイッチ(例えば、図2の222または図4の422)を閉じる(S620)。ある実施形態において、バッテリー管理システムは負極スイッチ222または422を閉じるためにイネーブルレベルを有する制御信号を負極スイッチ222または422に伝達することができる(S620)。
【0064】
またバッテリー管理システムは、複数のバッテリーパックの正極スイッチ(例えば、図2の221)またはプリチャージスイッチ(例えば、図4の423)を閉じ(S630)、各バッテリーパックに個別に提供されるキャパシタを対応するバッテリーパックを通じて充電する(S640)。ある実施形態において、バッテリー管理システムは、正極スイッチ221またはプリチャージスイッチ423を閉じるためにイネーブルレベルを有する制御信号を正極スイッチ221またはプリチャージスイッチ423に伝達することができる(S630)。
【0065】
次に、バッテリー管理システムは、各バッテリーパックの電圧と対応するキャパシタの電圧に基づいて各バッテリーパックのスイッチング回路を診断する(S650、S660、S670)。ある実施形態において、バッテリー管理システムは、各バッテリーパックの電圧と対応するキャパシタの電圧とを比較することができる(S650)。あるバッテリーパックの電圧と対応するキャパシタの電圧との間の差が所定電圧以下である場合に(S650)、バッテリー管理システムは当該バッテリーパックのスイッチング回路は正常であると診断することができる(S660)。あるバッテリーパックの電圧と対応するキャパシタの電圧との間の差が所定電圧より大きい場合に(S650)、バッテリー管理システムは当該バッテリーパックのスイッチング回路が故障であると診断することができる(S670)。
【0066】
以上で本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるのではなく、特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の多様な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6