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特許7559300スキンケア商品推奨プログラム、方法、装置、スキンケアマシン、およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】スキンケア商品推奨プログラム、方法、装置、スキンケアマシン、およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240925BHJP
   G10L 25/63 20130101ALI20240925BHJP
   G10L 15/10 20060101ALI20240925BHJP
   G10L 15/30 20130101ALI20240925BHJP
   G10L 15/00 20130101ALI20240925BHJP
【FI】
G06Q50/10
G10L25/63
G10L15/10 500N
G10L15/30
G10L15/00 200Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020166159
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2022057752
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2023-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】久保田 俊
(72)【発明者】
【氏名】田中 啓太
【審査官】阿部 潤
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/026942(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/107743(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G10L 15/00 - 15/34
G10L 25/63
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置を
ユーザの音声データを取得する音声取得部、
前記音声データから前記ユーザの感情を推定する感情推定部、
前記ユーザの感情、および、前記音声データが取得された時間帯に基づいて、前記ユーザに適したスキンケア商品を決定するスキンケア商品決定部
として機能させるためのスキンケア商品推奨プログラム。
【請求項2】
前記スキンケア商品決定部は、前記ユーザに適したスキンケア商品の種類および前記ユーザに適したスキンケア商品の量を決定する、請求項に記載のプログラム。
【請求項3】
前記感情推定部は、前記音声データのトーンを解析することによって、あるいは、前記音声データに含まれる言語を解析することによって、前記ユーザの感情を推定する、請求項1または2に記載のプログラム。
【請求項4】
情報処理装置が実行する方法であって、
ユーザの音声データを取得するステップと、
前記音声データから前記ユーザの感情を推定するステップと、
前記ユーザの感情、および、前記音声データが取得された時間帯に基づいて、前記ユーザに適したスキンケア商品を決定するステップと
を含む方法。
【請求項5】
ユーザの音声データを取得する音声取得部と、
前記音声データから前記ユーザの感情を推定する感情推定部と、
前記ユーザの感情、および、前記音声データが取得された時間帯に基づいて、前記ユーザに適したスキンケア商品を決定するスキンケア商品決定部と
を備えた情報処理装置。
【請求項6】
ユーザに適したスキンケア商品の情報を受信し、前記ユーザに適したスキンケア商品は、前記ユーザの音声データ、および、前記音声データが取得された時間帯から推定された前記ユーザの感情に基づいて決定されており、
前記ユーザに適したスキンケア商品の情報に含まれる種類のスキンケア商品を、前記ユーザに適したスキンケア商品の情報に含まれる量だけ抽出する、スキンケアマシン。
【請求項7】
情報処理装置とスキンケアマシンとサーバとからなるシステムであって、
前記情報処理装置は、
ユーザの音声データを取得する音声取得部、を備え、
前記サーバは、
前記音声データから前記ユーザの感情を推定する感情推定部と、
前記ユーザの感情、および、前記音声データが取得された時間帯に基づいて、前記ユーザに適したスキンケア商品を決定するスキンケア商品決定部と
を備え、
前記スキンケアマシンは、
ユーザに適したスキンケア商品の情報を受信し、
前記ユーザに適したスキンケア商品の情報に含まれる種類のスキンケア商品を、前記ユーザに適したスキンケア商品の情報に含まれる量だけ抽出する、スキンケア商品推奨システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキンケア商品推奨プログラム、方法、装置、スキンケアマシン、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザの肌に応じたスキンケア商品(基礎化粧品とも呼ばれる)を推奨するシステムが知られている。例えば、特許文献1では、ユーザの画像からユーザの肌年齢を判定し、目標の肌年齢を達成するためのスキンケア商品を判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2019-512797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のように画像に基づいた判定では、ユーザの肌の状態を正しく撮影した画像を用いないと、ユーザに適したスキンケア商品を推奨することができない。例えば、ユーザの肌を撮影する際に光などの外部の環境の影響を受けたりした場合には、誤った判定がなされてしまう可能性がある。
【0005】
そこで、本発明の一実施形態では、ユーザに適したスキンケア商品の推奨を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様であるプログラムは、情報処理装置を、ユーザの音声データを取得する音声取得部、前記音声データから前記ユーザの感情を推定する感情推定部、前記ユーザの感情に基づいて、前記ユーザに適したスキンケア商品を決定するスキンケア商品決定部、として機能させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザに適したスキンケア商品の推奨を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1の実施形態に係るシステム全体の構成図である。
図2】本発明の第2の実施形態に係るシステム全体の構成図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置の機能ブロック図である。
図4】本発明の第2の実施形態に係る情報処理装置、サーバの機能ブロック図である。
図5】本発明の一実施形態に係る感情について説明するための図である。
図6】本発明の一実施形態に係る感情と身体の関係について説明するための図である。
図7】本発明の一実施形態に係る各感情に紐づいたソリューションについて説明するための図である。
図8】本発明の第1の実施形態に係るスキンケア商品推奨処理のシーケンス図である。
図9】本発明の第2の実施形態に係るスキンケア商品推奨処理のシーケンス図である。
図10】本発明の一実施形態に係るスキンケア商品決定処理のフローチャートである。
図11】本発明の一実施形態に係る情報処理装置、サーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0010】
<用語の説明>
「スキンケア商品」は、基礎化粧品とも呼ばれる。例えば、スキンケア商品は、化粧水、乳液、美容液、クリーム等である。本発明の一実施形態では、スキンケアマシンが、ユーザに適した1つまたは複数の種類のスキンケア商品を、ユーザに適した量だけ抽出(つまり、ユーザに提供)することができる。
【0011】
以下、図1を参照しながら第1の実施形態のシステムについて説明し、図2を参照しながら第2の実施形態のシステムについて説明する。
【0012】
<システム全体の構成(第1の実施形態)>
図1は、本発明の第1の実施形態に係るシステム全体の構成図である。本発明の第1の実施形態に係るスキンケア商品推奨システム1は、情報処理装置10とスキンケアマシン20とを含む。情報処理装置10とスキンケアマシン20は、無線通信等を介してデータを送受信することができる。以下、それぞれについて説明する。
【0013】
情報処理装置10は、スマートスピーカー(AIスピーカーとも呼ばれる)等で取得したユーザの音声データからユーザの感情を推定し、ユーザの感情に基づいてユーザに適したスキンケア商品を決定する。また、情報処理装置10は、情報処理装置10が決定したスキンケア商品の情報をスキンケアマシン20に通知する。例えば、情報処理装置10は、スマートフォン、タブレット等である。
【0014】
スキンケアマシン20は、1つまたは複数の種類のスキンケア商品(例えば、複数の種類の化粧水と複数の種類の乳液)が格納されており、情報処理装置10からの指示に応じて、ユーザに適した1つまたは複数の種類のスキンケア商品を、ユーザに適した量だけ抽出(つまり、ユーザに提供)する。なお、スキンケアマシン20と情報処理装置10が一体(つまり、1つの装置)となっていてもよい。
【0015】
<システム全体の構成(第2の実施形態)>
図2は、本発明の第2の実施形態に係るシステム全体の構成図である。本発明の第2の実施形態に係るスキンケア商品推奨システム1は、情報処理装置10とスキンケアマシン20とサーバ30とを含む。サーバ30は、無線通信等を介して、情報処理装置10およびスキンケアマシン20とデータを送受信することができる。以下、それぞれについて説明する。
【0016】
情報処理装置10は、ユーザの音声データを取得して、ユーザの音声データをサーバ30へ送信する。例えば、情報処理装置10は、スマートスピーカー(AIスピーカーとも呼ばれる)、スマートフォン、タブレット等である。
【0017】
サーバ30は、ユーザの音声データからユーザの感情を推定し、ユーザの感情に基づいてユーザに適したスキンケア商品を決定する。また、サーバ30は、サーバ30が決定したスキンケア商品の情報をスキンケアマシン20に通知する。サーバ30は、1つまたは複数のコンピュータからなる。
【0018】
スキンケアマシン20は、第1の実施形態と同様に、1つまたは複数の種類のスキンケア商品(例えば、複数の種類の化粧水と複数の種類の乳液)が格納されており、サーバ30からの指示に応じて、ユーザに適した1つまたは複数の種類のスキンケア商品を、ユーザに適した量だけ抽出(つまり、ユーザに提供)する。なお、スキンケアマシン20と情報処理装置10が一体(つまり、1つの装置)となっていてもよい。
【0019】
なお、第2の実施形態において、情報処理装置10が、サーバ30が決定したスキンケア商品の情報をサーバ30から受信して、スキンケアマシン20に通知する構成とすることもできる。
【0020】
以下、図3を参照しながら第1の実施形態の機能ブロックについて説明し、図2を参照しながら第2の実施形態の機能ブロックについて説明する。
【0021】
<機能ブロック(第1の実施形態)>
図3は、本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置の機能ブロック図である。図3に示されるように、情報処理装置10は、音声取得部101と、感情推定部102と、スキンケア商品決定部103と、通知部104と、対応関係格納部105とを備えることができる。また、情報処理装置10は、プログラムを実行することで、音声取得部101と、感情推定部102と、スキンケア商品決定部103と、通知部104として機能することができる。以下、それぞれについて説明する。
【0022】
音声取得部101は、ユーザの音声データを取得する。例えば、音声取得部101は、情報処理装置10または外部の装置に内蔵されているマイク(例えば、スマートスピーカー(AIスピーカーとも呼ばれる)、スマートフォン、タブレット等に内蔵されているマイク)で認識された音声のデータを取得することができる。
【0023】
<<音声データ>>
ここで、ユーザの音声データについて説明する。音声は、ユーザが発する任意の文、単語等であってよい。例えば、予め定められた文や単語等が用いられてもよいし、ユーザが自由に発した文や単語等が用いられてもよい。
【0024】
感情推定部102は、対応関係格納部105内の対応関係を参照し、音声取得部101が取得した音声データからユーザの感情を推定する。感情推定部102は、音声データに対して感情をタグ付けしてディープラーニングを行い、音声データからユーザの感情を推定することができる。例えば、感情推定部102は、音声データのトーン(音の高低)を解析することによって、ユーザの感情を推定することができる。あるいは、感情推定部102は、音声データに含まれる言語(つまり、内容)を解析することによって、ユーザの感情を推定することができる。
【0025】
スキンケア商品決定部103は、対応関係格納部105内の対応関係を参照し、感情推定部102が推定したユーザの感情に基づいて、ユーザに適したスキンケア商品を決定する。例えば、スキンケア商品決定部103は、感情推定部102が推定したユーザの感情に基づいて、ユーザに適したスキンケア商品の種類およびユーザに適したスキンケア商品の量を決定することができる。
【0026】
対応関係格納部105には、音声と、その音声を発したときの感情と、の対応関係が記憶されている。感情推定部102は、対応関係格納部105内の対応関係に基づいて、感情を推定することができる。対応関係は、音声と感情とを教師データとして機械学習した学習済みモデル(例えば、ディープラーニングのモデル)であってもよい。
【0027】
また、対応関係格納部105には、感情と、その感情であるときの肌の状態に応じたスキンケア商品と、の対応関係が記憶されている。スキンケア商品決定部103は、対応関係格納部105内の対応関係に基づいて、スキンケア商品(例えば、スキンケア商品の種類および量)を決定することができる。対応関係は、感情とスキンケア商品(例えば、スキンケア商品の種類および量)とを教師データとして機械学習した学習済みモデル(例えば、ディープラーニングのモデル)であってもよい。
【0028】
以下、図5図7を参照しながら、感情に基づくスキンケア商品の決定について詳細に説明する。
【0029】
図5は、本発明の一実施形態に係る感情について説明するための図である。
【0030】
上述したように、本発明の一実施形態では、感情推定部102は、音声データに対して感情をタグ付けしてディープラーニングを行い、音声データからユーザの感情を推定することができる。具体的には、ディープラーニングのモデルに音声データが入力されると、複数の感情(例えば、平静の感情、怒りの感情、喜びの感情、悲しみの感情の4つの感情)の各感情の数値が出力される。
【0031】
図5の左側は、ユーザ(図5の例では、(1)、(2)、(3))の、各感情(図5の例では、"ノーマル処方(図7を参照しながら処方について詳細に説明する)"が用いられる平静の感情、"怒り処方"が用いられる怒りの感情、"喜び処方"が用いられる喜びの感情、"悲しみ処方"が用いられる悲しみの感情)の数値を示す。感情推定部102は、ユーザ(図5の例では、(1)、(2)、(3))の音声データから、図5のような各感情の数値を出力することができる。
【0032】
図5の例では、ユーザ(1)は、平静の感情が数値:40、怒りの感情が数値:8、喜びの感情が数値:15、悲しみの感情が数値:47である。また、ユーザ(2)は、平静の感情が数値:30、怒りの感情が数値:42、喜びの感情が数値:7、悲しみの感情が数値:21である。また、ユーザ(3)は、平静の感情が数値:25、怒りの感情が数値:12、喜びの感情が数値:41、悲しみの感情が数値:22である。
【0033】
図5にも示されるように、平静の感情が最も大きな値となりやすい。そのため、スキンケア商品決定部103は、平静の感情の数値と、平静以外の感情の数値(例えば、悲しみ、怒り、喜びのうち最も数値が大きい感情の数値)と、に応じた割合で処方(図7を参照しながら処方について詳細に説明する)を混ぜ合わせる。例えば、スキンケア商品決定部103は、通常の処方(例えば、ユーザの肌を撮影した画像に基づいて判断されたスキンケア商品の種類および量)に、図7を参照しながら説明するような各感情に応じた処方(例えば、スキンケア商品の種類および量)を加えることができる。
【0034】
図5の右側は、各感情と、正・負の感情と、覚醒・鎮静と、の関係を示す。x軸は、ユーザが正の感情であるか負の感情であるかを示す。また、y軸は、ユーザが覚醒しているか(つまり、交感神経が優位であるか)鎮静しているか(つまり、副交感神経優位であるか)を示す。
【0035】
<悲しみの感情の場合>
ユーザの感情が悲しみの感情であるとき、ユーザは、負の感情であり、鎮静している(つまり、副交感神経が優位である)。なお、ユーザの感情が悲しみの感情であるときには、負の感情を減少させかつ副交感神経の活性を抑える(つまり、ユーザの感情を図5の矢印(1)の方向へ誘導する)ことが望ましい。
【0036】
<怒りの感情の場合>
ユーザの感情が怒りの感情であるとき、ユーザは、負の感情であり、覚醒している(つまり、交感神経が優位である)。なお、ユーザの感情が怒りの感情であるときには、負の感情を減少させかつ交感神経の活性を抑える(つまり、ユーザの感情を図5の矢印(2)の方向へ誘導する)ことが望ましい。
【0037】
<喜びの感情の場合>
ユーザの感情が喜びの感情であるとき、ユーザは、正の感情であり、鎮静と覚醒の中間である。なお、朝に、ユーザの感情が喜びの感情であるときには、これから活動となるため、正の感情を増加させかつ交感神経を活性させる(つまり、ユーザの感情を図5の矢印(3-1)の方向へ誘導する)ことが望ましい。また、夜に、ユーザの感情が喜びの感情であるときには、眠りに向かうため、正の感情を増加させかつ副交感神経を活性させる(つまり、ユーザの感情を図5の矢印(3-2)の方向へ誘導する)ことが望ましい。
【0038】
図6は、本発明の一実施形態に係る感情と身体の関係について説明するための図である。ユーザの感情が喜びの感情であるとき、怒りの感情であるとき、悲しみの感情であるときには、そのユーザの身体が、図6のように変化(具体的には、身体機能(体温、血流、心臓、皮脂分泌、肌のバリア機能、免疫力)および体内物質(コルチゾール、セロトニン、ノルアドレナリン、DHEA)が増減(上向きの矢印は増加すること、下向きの矢印は減少すること、空欄は変化が無いことを示す))することが知られている。図6の身体機能のうち「皮脂分泌」「肌のバリア機能」「免疫力」が肌との関連が高い項目である。
【0039】
<喜びの感情の場合>
ユーザの感情が喜びの感情であるときには、体温が上がり、血流量が増え、肌のバリア機能が高まり、セロトニンの量が増え、DHEAの量が増える。また、ユーザの感情が喜びの感情であるときには、コルチゾールの量が減る。
【0040】
<怒りの感情の場合>
ユーザの感情が怒りの感情であるときには、体温が上がり、血流量が増え、皮脂分泌量が多くなり、コルチゾールの量が増える。また、ユーザの感情が怒りの感情であるときには、心拍数が下がり、セロトニンの量が減る。
【0041】
<悲しみの感情の場合>
ユーザの感情が悲しみの感情であるときには、コルチゾールの量が増え、ノルアドレナリンの量が増える。また、ユーザの感情が悲しみの感情であるときには、体温が下がり、血流量が減り、心拍数が下がり、肌のバリア機能が低下し、免疫力が低下し、セロトニンの量が減り、DHEAの量が減る。
【0042】
図7は、本発明の一実施形態に係る各感情に紐づいたソリューション(処方)について説明するための図である。
【0043】
<怒りの感情の場合>
ユーザの感情が怒りの感情であるときには、図5で説明したように、負の感情を減少させかつ交感神経の活性を抑えることが望ましい。そのために、ユーザの感情が怒りの感情であるときには、図7に示されるように、ユーザの内部(嗅覚)へのアプローチとして鎮静の効果がある香料が望ましい。また、ユーザの感情が怒りの感情であるときには、図6で説明したように、皮脂分泌量が増加するため、ユーザの肌へのアプローチとして皮脂抑制の効果がある薬剤が望ましい。したがって、スキンケア商品決定部103は、ユーザの感情が怒りの感情であるときには、鎮静の効果がある香料および皮脂抑制の効果がある薬剤が用いられたスキンケア商品を選ぶ。
【0044】
<悲しみの感情の場合>
ユーザの感情が悲しみの感情であるときには、図5で説明したように、負の感情を減少させかつ副交感神経の活性を抑えることが望ましい。そのために、ユーザの感情が悲しみの感情であるときには、図7に示されるように、ユーザの内部(嗅覚)へのアプローチとして高揚の効果がある香料が望ましい。また、ユーザの感情が悲しみの感情であるときには、図6で説明したように、免疫力が低下するため、ユーザの肌へのアプローチとして免疫力向上の効果がある薬剤が望ましい。したがって、スキンケア商品決定部103は、ユーザの感情が悲しみの感情であるときには、高揚の効果がある香料および免疫力向上の効果がある薬剤が用いられたスキンケア商品を選ぶ。
【0045】
<喜びの感情(朝)の場合>
朝に、ユーザの感情が喜びの感情であるときには、図5で説明したように、正の感情を増加させかつ交感神経を活性させることが望ましい。そのために、朝にユーザの感情が喜びの感情であるときには、図7に示されるように、ユーザの内部(嗅覚)へのアプローチとして高揚を維持する効果がある香料が望ましい。したがって、スキンケア商品決定部103は、朝にユーザの感情が喜びの感情であるときには、高揚を維持する効果がある香料が用いられたスキンケア商品を選ぶ。
【0046】
<喜びの感情(夜)の場合>
夜に、ユーザの感情が喜びの感情であるときには、図5で説明したように、正の感情を増加させかつ副交感神経を活性させることが望ましい。そのために、夜にユーザの感情が喜びの感情であるときには、図7に示されるように、ユーザの内部(嗅覚)へのアプローチとして鎮静する効果がある香料が望ましい。したがって、スキンケア商品決定部103は、夜にユーザの感情が喜びの感情であるときには、鎮静がある香料が用いられたスキンケア商品を選ぶ。
【0047】
<喜びの感情(朝)の場合>および<喜びの感情(夜)の場合>のように、スキンケア商品決定部103は、ユーザの感情、および、音声データが取得された時間帯に基づいて、ユーザに適したスキンケア商品を決定することができる。
【0048】
図3に戻る。通知部104は、スキンケア商品決定部103が決定したスキンケア商品の情報をスキンケアマシン20に通知する。例えば、通知部104は、スキンケア商品決定部103が決定した、ユーザに適したスキンケア商品の種類およびユーザに適したスキンケア商品の量を通知することができる。
【0049】
<機能ブロック(第2の実施形態)>
図4は、本発明の第2の実施形態に係る情報処理装置の機能ブロック図である。図4に示されるように、情報処理装置10は、音声取得部101と、音声送信部106とを備えることができる。サーバ30は、感情推定部102と、スキンケア商品決定部103と、通知部104と、音声受信部107と、対応関係格納部105とを備えることができる。また、情報処理装置10は、プログラムを実行することで、音声取得部101と、音声送信部106として機能することができる。また、サーバ30は、プログラムを実行することで、感情推定部102と、スキンケア商品決定部103と、通知部104と、音声受信部107として機能することができる。以下、それぞれについて説明する。
【0050】
音声取得部101は、ユーザの音声データを取得する。詳細については、<第1の実施形態>と同様であるので説明を省略する。
【0051】
音声送信部106は、音声取得部101が取得した音声データをサーバ30へ送信する。
【0052】
音声受信部107は、音声データを情報処理装置10から受信する。
【0053】
感情推定部102は、音声取得部101が取得した音声データからユーザの感情を推定する。詳細については、<第1の実施形態>と同様であるので説明を省略する。
【0054】
スキンケア商品決定部103は、感情推定部102が推定したユーザの感情に基づいて、ユーザに適したスキンケア商品を決定する。詳細については、<第1の実施形態>と同様であるので説明を省略する。
【0055】
通知部104は、スキンケア商品決定部103が決定したスキンケア商品の情報をスキンケアマシン20に通知する。例えば、通知部104は、スキンケア商品決定部103が決定した、ユーザに適したスキンケア商品の種類およびユーザに適したスキンケア商品の量を通知することができる。
【0056】
対応関係格納部105には、音声と、その音声を発したときの感情と、の対応関係が記憶されている。また、対応関係格納部105には、感情と、その感情であるときの肌の状態に応じたスキンケア商品と、の対応関係が記憶されている。詳細については、<第1の実施形態>と同様であるので説明を省略する。
【0057】
<方法>
以下、各処理について説明する。
【0058】
図8は、本発明の第1の実施形態に係るスキンケア商品推奨処理のシーケンス図である。
【0059】
ステップ11(S11)において、情報処理装置10の音声取得部101は、ユーザの音声データを取得する。例えば、情報処理装置10の音声取得部101は、情報処理装置10または外部の装置に内蔵されているマイクで認識された音声のデータを取得することができる。
【0060】
ステップ12(S12)において、情報処理装置10の感情推定部102は、S11で取得された音声データからユーザの感情を推定する。例えば、情報処理装置10の感情推定部102は、音声データのトーン(音の高低)を解析することによって、あるいは、音声データに含まれる言語(つまり、内容)を解析することによって、ユーザの感情を推定することができる。
【0061】
ステップ13(S13)において、情報処理装置10のスキンケア商品決定部103は、S12で推定された感情に基づいて、ユーザに適したスキンケア商品を決定する。例えば、情報処理装置10のスキンケア商品決定部103は、ユーザに適したスキンケア商品の種類およびユーザに適したスキンケア商品の量を決定することができる。
【0062】
ステップ14(S14)において、情報処理装置10の通知部104は、S13で決定されたスキンケア商品の情報をスキンケアマシン20に通知する。
【0063】
ステップ15(S15)において、スキンケアマシン20は、S12の情報処理装置10からの指示に応じて、ユーザに適した1つまたは複数の種類のスキンケア商品を、ユーザに適した量だけ抽出(つまり、ユーザに提供)する。
【0064】
図9は、本発明の第2の実施形態に係るスキンケア商品推奨処理のシーケンス図である。
【0065】
ステップ21(S21)において、情報処理装置10の音声取得部101は、ユーザの音声データを取得する。例えば、情報処理装置10の音声取得部101は、情報処理装置10または外部の装置に内蔵されているマイクで認識された音声のデータを取得することができる。
【0066】
ステップ22(S22)において、情報処理装置10の音声送信部106は、S21で取得された音声データをサーバ30へ送信する。サーバ30の音声受信部107は、音声データを情報処理装置10から受信する。
【0067】
ステップ23(S23)において、サーバ30の感情推定部102は、S22で受信された音声データからユーザの感情を推定する。例えば、サーバ30の感情推定部102は、音声データのトーン(音の高低)を解析することによって、あるいは、音声データに含まれる言語(つまり、内容)を解析することによって、ユーザの感情を推定することができる。
【0068】
ステップ24(S24)において、サーバ30のスキンケア商品決定部103は、S23で推定された感情に基づいて、ユーザに適したスキンケア商品を決定する。例えば、サーバ30のスキンケア商品決定部103は、ユーザに適したスキンケア商品の種類およびユーザに適したスキンケア商品の量を決定することができる。
【0069】
ステップ25(S25)において、サーバ30の通知部104は、S24で決定されたスキンケア商品の情報をスキンケアマシン20に通知する。
【0070】
ステップ26(S26)において、スキンケアマシン20は、S25のサーバ30からの指示に応じて、ユーザに適した1つまたは複数の種類のスキンケア商品を、ユーザに適した量だけ抽出(つまり、ユーザに提供)する。
【0071】
図10は、本発明の一実施形態に係るスキンケア商品決定処理のフローチャートである。
【0072】
ステップ101(S101)において、音声取得部101は、ユーザの音声データを取得する。例えば、音声取得部101は、スマートスピーカー(AIスピーカーとも呼ばれる)、スマートフォン、タブレット等に内蔵されているマイクで認識された音声のデータを取得することができる。
【0073】
ステップ102(S102)において、感情推定部102は、S101で取得された音声データからユーザの感情を推定する。例えば、感情推定部102は、音声データのトーン(音の高低)を解析することによって、あるいは、音声データに含まれる言語(つまり、内容)を解析することによって、ユーザの感情を推定することができる。
【0074】
ステップ103(S103)において、スキンケア商品決定部103は、S102で推定された感情に基づいて、ユーザに適したスキンケア商品を決定する。例えば、スキンケア商品決定部103は、ユーザに適したスキンケア商品の種類およびユーザに適したスキンケア商品の量を決定することができる。
【0075】
<他の実施形態>
なお、本発明の一実施形態では、ユーザの音声から推定された感情に加えて、そのユーザの感情に影響を与える要素(例えば、気温、気圧、天候などの気象情報)に応じたスキンケア商品を決定する構成とすることもできる。また、本発明の一実施形態では、ユーザの音声から推定された感情に加えて、そのユーザの実際の肌の状態(例えば、ユーザの肌を撮影した画像から判断された肌の状態)に応じたスキンケア商品を決定する構成とすることもできる。
【0076】
<効果>
このように、本発明の一実施形態では、ユーザの音声(例えば、トーン)から、そのユーザに適したスキンケア商品の種類および量を推奨することができる。具体的には、ユーザの音声からそのユーザの感情を推定し、該感情であるときの肌の状態に応じたスキンケア商品を選ぶ。音声は、ユーザが意識して変えづらい。そのため、現在のユーザの肌の状態を正しく認識することができるので、より適切なスキンケア商品を選ぶことができる。
【0077】
<ハードウェア構成>
図11は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置10、サーバ30のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。情報処理装置10、サーバ30は、CPU(Central Processing Unit)1001、ROM(Read Only Memory)1002、RAM(Random Access Memory)1003を有する。CPU1001、ROM1002、RAM1003は、いわゆるコンピュータを形成する。
【0078】
また、情報処理装置10、サーバ30は、補助記憶装置1004、表示装置1005、操作装置1006、I/F(Interface)装置1007、ドライブ装置1008を有することができる。なお、情報処理装置10、サーバ30の各ハードウェアは、バスBを介して相互に接続されている。
【0079】
CPU1001は、補助記憶装置1004にインストールされている各種プログラムを実行する演算デバイスである。
【0080】
ROM1002は、不揮発性メモリである。ROM1002は、補助記憶装置1004にインストールされている各種プログラムをCPU1001が実行するために必要な各種プログラム、データ等を格納する主記憶デバイスとして機能する。具体的には、ROM1002はBIOS(Basic Input/Output System)やEFI(Extensible Firmware Interface)等のブートプログラム等を格納する、主記憶デバイスとして機能する。
【0081】
RAM1003は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)やSRAM(Static Random Access Memory)等の揮発性メモリである。RAM1003は、補助記憶装置1004にインストールされている各種プログラムがCPU1001によって実行される際に展開される作業領域を提供する、主記憶デバイスとして機能する。
【0082】
補助記憶装置1004は、各種プログラムや、各種プログラムが実行される際に用いられる情報を格納する補助記憶デバイスである。
【0083】
表示装置1005は、情報処理装置10、サーバ30の内部状態等を表示する表示デバイスである。
【0084】
操作装置1006は、情報処理装置10、サーバ30の管理者が情報処理装置10、サーバ30に対して各種指示を入力する入力デバイスである。
【0085】
I/F装置1007は、ネットワークに接続し、他の装置と通信を行うための通信デバイスである。
【0086】
ドライブ装置1008は記憶媒体1009をセットするためのデバイスである。ここでいう記憶媒体1009には、CD-ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等のように情報を光学的、電気的あるいは磁気的に記録する媒体が含まれる。また、記憶媒体1009には、EPROM (Erasable Programmable Read Only Memory)、フラッシュメモリ等のように情報を電気的に記録する半導体メモリ等が含まれていてもよい。
【0087】
なお、補助記憶装置1004にインストールされる各種プログラムは、例えば、配布された記憶媒体1009がドライブ装置1008にセットされ、該記憶媒体1009に記録された各種プログラムがドライブ装置1008により読み出されることでインストールされる。あるいは、補助記憶装置1004にインストールされる各種プログラムは、I/F装置1007を介して、ネットワークよりダウンロードされることでインストールされてもよい。
【0088】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は上述した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0089】
1 スキンケア商品推奨システム
10 情報処理装置
20 スキンケアマシン
30 サーバ
101 音声取得部
102 感情推定部
103 スキンケア商品決定部
104 通知部
105 対応関係格納部
106 音声送信部
107 音声受信部
1001 CPU
1002 ROM
1003 RAM
1004 補助記憶装置
1005 表示装置
1006 操作装置
1007 I/F装置
1008 ドライブ装置
1009 記憶媒体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11