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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】商品陳列用什器
(51)【国際特許分類】
   A47F 5/11 20060101AFI20240925BHJP
   A47F 5/00 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
A47F5/11
A47F5/00 D
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020046213
(22)【出願日】2020-03-17
(65)【公開番号】P2021145768
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】梶 温美
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-081981(JP,A)
【文献】特開2019-213594(JP,A)
【文献】実開昭59-072961(JP,U)
【文献】特許第6231234(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 5/00
A47F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面板と背面板と左右側面板とを有し、前面と上面が開放された箱体からなるラックと、商品を吊り下げるためのハンガーロッドを複数本有する合成樹脂製の商品吊り下げ用部材と、からなる商品陳列用什器であって、
前記商品吊り下げ用部材は、複数のハンガーロッドと、これらを保持する基部とからなり、
前記基部は、その背面に、前記ラックの背面板に設けた差し込み穴に嵌合する差し込み突起を有し、さらに前記ラックの側面板に設けた引っ掛け穴に嵌合する引っ掛け部を備えた引っ掛けアームを有し、
前記ハンガーロッドの断面形状は、上部が丸く、下部の左右両端が突出した凸字状形状であり、
前記商品吊り下げ用部材の基部は、上面と下面が開放された筒状構造であることを特徴とする商品陳列用什器。
【請求項2】
前記商品吊り下げ用部材の基部の前記筒状構造は、つなぎにより分割されていることを特徴とする請求項1に記載の商品陳列用什器。
【請求項3】
前記ラックは、上下に積み重ねることが可能であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の商品陳列用什器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、店頭において、商品を陳列して販売に供するために使用する商品陳列用什器に関する。
【背景技術】
【0002】
歯ブラシなどの商品を店頭に陳列する場合、商品の上部に開けられた孔を、金属製の棒からなるフックに通して、商品を吊り下げて展示する場合が多い。特許文献1に記載された商品陳列具は、上面及び前面が解放された箱体と、この箱体の背板に添設され、背板と略同一高さの中空の四角柱からなる補強部材と、背板及び補強部材の上端縁に片持ち状に取り付けられフック部とロッド部とからなるハンガーロッドと、から構成され、前記ハンガーロッドのフック部が、箱体の背板の厚みと補強部材の背面の厚みの和に相当する内面間隔に設定されて箱体の背板及び補強部材の背面の双方の上端を挟んで差し込まれ、ロッド部が補強部材の前面の上端縁により支持されることを特徴とする商品陳列具である。
【0003】
特許文献1に記載された商品陳列具においては、金属製のハンガーロッドが用いられている。金属製のハンガーロッドは、重量があるため、特許文献1の例のように、1列だけの場合であれば良いが、複数の段に積み重ねる場合には、重量ゆえに輸送コストがかかるという問題がある。また、外観上あるいは耐久性上の要請から鉄製のロッドの表面にはクロムメッキが施されることが多いが、クロムメッキ工程は、環境への負荷が大きいという問題がある。
【0004】
特許文献2に記載された商品吊り下げ用アームは、これらの問題を解決しようとしたものであり、金属製の中軸体の外側に柔軟な樹脂からなる外筒体を被覆した商品吊り下げ用アームである。
【0005】
特許文献2に記載された商品吊り下げ用アームも依然として金属が使用されており、重量的な問題は解決されていない。またいずれも吊り下げ具が個別であるため、組み立てやセッティングが面倒であるという大きな問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第4181798号公報
【文献】特開2019-4959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は、複数のハンガーロッドをまとめて取り付けることができ、必要な強度を保持しながらも軽量で取扱いの容易な商品陳列用什器を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、底面板と背面板と左右側面板とを有し、前面と上面が開放された箱体からなるラックと、商品を吊り下げるためのハンガーロッドを複数本有する合成樹脂製の商品吊り下げ用部材と、からなる商品陳列用什器であって、前記商品吊り下げ用部材は、複数のハンガーロッドと、これらを保持する基部とからなり、前記基部は、その背面に、前記ラックの背面板に設けた差し込み穴に嵌合する差し込み突起を有し、さらに前記ラックの側面板に設けた引っ掛け穴に嵌合する引っ掛け部を備えた引っ掛けアームを有し、前記ハンガーロッドの断面形状は、上部が丸く、下部の左右両端が突出した凸字状形状であり、前記商品吊り下げ用部材の基部は、上面と下面が開放された筒状構造であることを特徴とする商品陳列用什器である。
【0009】
本発明に係る商品陳列用什器は、従来の金属製のハンガーロッドを使用せず、ハンガーロッドを複数本有する合成樹脂製の一体型の商品吊り下げ用部材を用いているため、軽量であると共に、組み立てが容易である。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、前記商品吊り下げ用部材の基部の前記筒状構造が、つなぎにより分割されていることを特徴とする請求項1に記載の商品陳列用什器である。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、前記ラックが、上下に積み重ねることが可能であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の商品陳列用什器である。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る商品陳列用什器は、従来の金属製のハンガーロッドに替えて、ハンガーロッドを複数本有する合成樹脂製の一体型の商品吊り下げ用部材を採用したことにより、軽量化と同時に、組み立てが容易なものとなった。
【0014】
すなわち、商品吊り下げ用部材の背面の差し込み突起をラックの背面板に設けた差し込み穴に挿入し、商品吊り下げ用部材の引っ掛けアームの先端の引っ掛け部をラックの側面板に設けた引っ掛け穴に引っ掛けるだけの極めて簡単な操作で組み立てることができる。
【0015】
請求項2に記載の発明のように、商品吊り下げ用部材の基部の筒状構造が、つなぎにより分割されている場合には、基部の、ねじれに対する強度が高くなり、ハンガーロッドに商品を吊り下げた時のハンガーロッドのたわみが少なくなる
【0017】
さらに、請求項3に記載の発明のように、ラックを、上下に積み重ねることが可能である構造とした場合には、売り場の状況に応じて最適な展示方法を提供することが容易に可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明に係る商品陳列用什器の使用状態を示した斜視説明図である。
図2図2は、本発明に係る商品陳列用什器の構成を示した斜視説明図である。
図3図3は、ラックのブランクシートの一例を示した平面模式図である。
図4図4は、本発明に係る商品陳列用什器を構成する商品吊り下げ用部材の斜視図である。
図5図5は、図5に示した商品吊り下げ用部材の正面模式図である。
図6図6は、商品吊り下げ用部材のハンガーロッドの断面形状を示した斜視説明図である。
図7図7は、商品吊り下げ用部材のハンガーロッドの断面形状の一例を示した断面模式図である。
図8図8は、商品吊り下げ用部材を下方から見た状態を示した斜視説明図である。
図9図9は、商品吊り下げ用部材の平面模式図である。
図10図10は、本発明に係る商品陳列用什器を3個積み重ねて組み立てる状態を示した斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る商品陳列用什器について詳細に説明する。図1は、本発明に係る商品陳列用什器1の実際の使用状態を示した斜視説明図である。この例では、歯ブラシをハンガーロッド13に引っ掛けて展示する様子を示している。図2は、本発明に係る商品陳列用什器1の構成を示した斜視説明図である。図3は、ラックのブランクシート2Bの一例を示した平面模式図である。
【0020】
本発明に係る商品陳列用什器1は、底面板3と背面板5と左右側面板4とを有し、前面と上面が開放された箱体からなるラック2と、商品を吊り下げるためのハンガーロッド13を複数本有する合成樹脂製の商品吊り下げ用部材10と、からなる商品陳列用什器である。ラック2は、図3に示したような、1枚の厚紙ないしは板紙を折り曲げて作製することができる。
【0021】
図3に示した例では、底面板3、背面板5、左右側面板4、4´の他に、左右側面板から連設された底面補強板8、8´を有し、底面板3の下で互いに繋がることにより、全体の剛性を保つ働きをしている。また、背面板5から連設された背面補強板9を有し、背面板の裏側に折り込んで接着することにより、差し込み穴6の周辺を補強する働きをしている。
【0022】
ラック2の背面板5には、後述する商品吊り下げ用部材10の差し込み突起14が嵌合する差し込み穴6が形成されている。また左右側面板4、4´には、商品吊り下げ用部材10の引っ掛け部16が嵌合する引っ掛け穴7が形成されている。図2に示した例では、引っ掛け穴7は、穴ではなく溝になっている。
【0023】
商品吊り下げ用部材10は、図4、5に示したように複数のハンガーロッド13と、これらを保持する基部11とからなる。基部11は、その背面に、ラック2の背面板5に設けた差し込み穴6に嵌合する差し込み突起14を有し、さらにラック2の側面板4に設けた引っ掛け穴7に嵌合する引っ掛け部16を備えた引っ掛けアーム15を有する。この例では、基部11に補強板12が設けられている。
【0024】
商品吊り下げ用部材10の中にあって、差し込み突起14と、引っ掛け部16とは、ほぼ同じ高さにあるが、それぞれを受ける背面板5の差し込み穴6と、側面板4、4´の引っ掛け穴7の高さ関係としては、差し込み穴6よりも、引っ掛け穴7の方が高い位置にある方が好ましい。これにより、ハンガーロッド13の先端が高くなるように傾斜して保持されるので、商品の補充や、ハンガーロッドに商品を吊り下げた時のハンガーロッドのたわみによる影響を緩和することができる。
【0025】
ハンガーロッド13の断面形状は、図6、7に示したように上部が丸く、下部の左右両端が突出した凸字状形状であることを特徴とする。このような形状にしたことにより、単なる丸棒の場合に比較して、同じ断面積でもたわみが少なくなることが分かった。
【0026】
商品20の上部に設けられた引っ掛け用の孔は、上部が円形の場合が多いが、ハンガーロッド13の断面形状も、これになじみ易い円形が好ましい。商品を引っ掛ける場合には、商品の引っ掛け用の孔の上部と、ハンガーロッドの上部とが接触するので、ハンガーロッドの上部が図7のように、円形になっていることで、掛け外しが円滑になる。
【0027】
図8は、商品吊り下げ用部材10を下方から見た状態を示した斜視説明図である。また図9は、商品吊り下げ用部材10の平面模式図である。この例では、商品吊り下げ用部材10の基部11は、上面と下面が開放された筒状構造である。このようにすることにより、必要な強度を保ちながら、全体の重量を軽量化することができる。
【0028】
この例では、商品吊り下げ用部材10の基部11には、中央部につなぎが入れてあり、基部11は、左右2つの筒状構造から構成されている。このつなぎを入れることにより、基部11の、ねじれに対する強度が高くなり、ハンガーロッド13に商品20を吊り下げた時のハンガーロッドのたわみが少なくなる。
【0029】
図10は、本発明に係る商品陳列用什器1を3個積み重ねて組み立てる状態を示した斜視説明図である。この図では、分かり易くするために、下から2段目と3段目のラックの底面板が省略されている。また、最下部には、別部品である土台が設置されている。なお、この例では、それぞれの段のラックは、基本的な構成は同じであるが、それぞれの形状は多少異なる。
【0030】
本発明に係る商品陳列用什器1に使用する材料について説明する。ラック2の材料としては、木材、ハードボード、MDF、パーティクルボード等の各種木質材料や、板紙、段ボール、プラスチック段ボール等、任意の材料を用いることができる。また、これらの材料を組み合わせて、例えば、木材を芯にして、表裏面に板紙を接着したフラッシュ構造なども使用可能である。
【0031】
商品吊り下げ用部材10に用いる材料としては、各種合成樹脂材料が使用可能である。具体的には、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ハイインパクトポリスチレン樹脂、ABS樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等の各種汎用樹脂が好適に使用できる。コストは高いが、ポリアセタール樹脂、ポリサルホン樹脂、液晶樹脂等の各種エンジニアリングプラスチックも勿論使用可能である。
【0032】
上記の合成樹脂材料に、炭素繊維やガラス繊維等を混合して繊維強化プラスチックとしても良い。
本願の特許出願時の特許請求の範囲を以下に付記する。
[付記]
[付記1]
底面板と背面板と左右側面板とを有し、前面と上面が解放された箱体からなるラックと、商品を吊り下げるためのハンガーロッドを複数本有する合成樹脂製の商品吊り下げ用部材と、からなる商品陳列用什器であって、
前記商品吊り下げ用部材は、複数のハンガーロッドと、これらを保持する基部とからなり、
前記基部は、その背面に、前記ラックの背面板に設けた差し込み穴に嵌合する差し込み突起を有し、さらに前記ラックの側面板に設けた引っ掛け穴に嵌合する引っ掛け部を備えた引っ掛けアームを有し、
前記ハンガーロッドの断面形状は、上部が丸く、下部の左右両端が突出した凸字状形状であることを特徴とする商品陳列用什器。
[付記2]
前記商品吊り下げ用部材の基部は、上面と下面が解放された筒状構造であることを特徴とする付記1に記載の商品陳列用什器。
[付記3]
前記背面板に設けた差し込み穴よりも、前記側面板に設けた引っ掛け穴の方が高い位置にあり、前記ハンガーロッドが先端が高くなるように傾斜して保持されることを特徴とする付記1または2に記載の商品陳列用什器。
[付記4]
前記ラックは、上下に積み重ねることが可能であることを特徴とする付記1~3のいずれか1に記載の商品陳列用什器。
【符号の説明】
【0033】
1・・・商品陳列用什器
2・・・ラック
2B・・・ブランクシート
3・・・底面板
4、4´・・・側面板
5・・・背面板
6・・・差し込み穴
7・・・引っ掛け穴
8、8´・・・底面補強板
9・・・背面補強板
10・・・商品吊り下げ用部材
11・・・基部
12・・・補強板
13・・・ハンガーロッド
14・・・差し込み突起
15・・・引っ掛けアーム
16・・・引っ掛け部
20・・・商品
図1
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図3
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