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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】液体注出具
(51)【国際特許分類】
   B65D 25/48 20060101AFI20240925BHJP
【FI】
B65D25/48 Z
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020064113
(22)【出願日】2020-03-31
(65)【公開番号】P2021160764
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122529
【弁理士】
【氏名又は名称】藤枡 裕実
(74)【代理人】
【識別番号】100135954
【弁理士】
【氏名又は名称】深町 圭子
(74)【代理人】
【識別番号】100119057
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英生
(74)【代理人】
【識別番号】100131369
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100171859
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 英之
(72)【発明者】
【氏名】岸田 広史
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 崇義
(72)【発明者】
【氏名】山口 幸伸
【審査官】小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】実公昭57-059509(JP,Y2)
【文献】特開昭62-122976(JP,A)
【文献】実開昭58-047132(JP,U)
【文献】実開昭54-126951(JP,U)
【文献】特開2003-182742(JP,A)
【文献】実開昭59-181073(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2010/0327018(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0011915(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02295334(EP,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 25/40 - 25/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を流入させるための流入部と、
前記液体を貯留する貯留部と、
前記流入部と前記貯留部を連結する連結部と、
前記貯留部に連接され、前記液体を注出するための注出部と、を備え、
前記流入部には結合リングが設けられ、
前記注出部の注出方向は、前記連結部の延伸方向に直交する方向に対して、前記連結部
から離れる方向に傾いている液体注出具であって、
ゲーベルトップ型の紙容器の一方の上面に形成された紙容器の注出口と、前記流入部と
が、連結されるとともに、前記貯留部の底面が他方の上面に載置された状態で、前記紙容
器に装着されることを特徴とする液体注出具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に装着して、内容物である液体を所定の量だけ注出するための液体注出具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙製や樹脂製の様々な容器に、内容物である液体が収容されて流通されている。特に、経済性、環境配慮の点から紙容器が液体用容器として広く利用されている。このような紙容器には、樹脂製の部材を装着する等して、付属物を収容するスペースを設けるなど、液体入りの紙容器をより快適に利用するための工夫がなされている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4319871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、液体洗剤や調味料等、薬ほど厳格な測定は必要ないが、ある程度定まった量だけ液体を注出したいという要望がある。
【0005】
そこで、本発明は、容器に装着可能し、簡易な作業を行うだけで、容器から所定の量の液体を注出することが可能な液体注出具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明では、
液体を流入させるための流入部と、
前記液体を貯留する貯留部と、
前記流入部と前記貯留部を連結する連結部と、
前記貯留部に連接され、前記液体を注出するための注出部と、を備え、
前記流入部には結合リングが設けられ、
前記注出部の注出方向は、前記連結部の延伸方向に直交する方向(DE、DK)に対し
て、前記連結部から離れる方向に傾いていることを特徴とする液体注出具を提供する。
【0007】
また、本発明の液体注出具は、
前記注出部の注出方向と前記連結部の延伸方向のなす角度(RA、RG)は、35°以上85°以下である、ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の液体注出具は、
前記貯留部の底面と前記連結部の延伸方向のなす角度(RB)は、25°以上55°以下である、ことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の液体注出具は、
前記流入部の流入方向と前記連結部の延伸方向のなす角度(RC)は、115°以上145°以下である、ことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の液体注出具は、
ゲーベルトップ型の紙容器の一方の上面に形成された紙容器の注出口と、前記流入部とが、連結されるとともに、前記貯留部の底面が他方の上面に載置された状態で、前記紙容器に装着されてなる、ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の液体注出具は、
前記貯留部の底面と前記連結部の延伸方向が平行である、ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の液体注出具は、
前記流入部の流入方向と前記連結部の延伸方向のなす角度(RJ)は、75°以上105°以下である、ことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の液体注出具は、
フラットトップ型の紙容器の上面に形成された紙容器の注出口と、前記流入部とが、連結されるとともに、前記貯留部の底面が前記上面に載置された状態で、前記紙容器に装着されてなる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、容器に装着可能し、簡易な作業を行うだけで、容器から所定の量を注出することができる液体注出具を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明第1の実施形態に係る液体注出具の斜視図である。
図2】本発明第1の実施形態に係る液体注出具の側面図である。
図3】紙容器の注出口と結合リングの結合の状態を示す断面図である。
図4】第1の実施形態の変形例に係る液体注出具の斜視図である。
図5】第1の実施形態に係る液体注出具の使用方法を示す図である。
図6】本発明第2の実施形態に係る液体注出具の側面図である。
図7】紙容器の注出口と結合リングの結合の状態を示す断面図である。
図8】第2の実施形態の変形例に係る液体注出具の斜視図である。
図9】第2の実施形態に係る液体注出具の使用方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
<<第1の実施形態>>
まず、本発明第1の実施形態に係る液体注出具について説明する。第1の実施形態に係る液体注出具は、いわゆるゲーベルトップ型(切妻屋根型)の紙容器に対応したものである。図1は本発明第1の実施形態に係る液体注出具の斜視図である。図2は本発明第1の実施形態に係る液体注出具の側面図である。図1図2は、本実施形態に係る液体注出具を、ゲーベルトップ型の紙容器に装着した状態で示している。本実施形態に係る液体注出具は、図1図2に示したように、ゲーベルトップ型の紙容器に装着された状態で使用される。
【0017】
図1図2に示すように本実施形態の液体注出具は、液体を流入させるための流入部1と、液体を貯留する貯留部2と、流入部1と貯留部2を連結する連結部3と、貯留部2に連接され、液体を注出するための注出部4と、を備えている。流入部1、貯留部2、連結部3、注出部4は、透明な樹脂で一体成形されている。液体注出具の内部は空洞になっており、流入部1の先端側に連続して形成された開口を備える挿入部7から、注出部4に形成された開口である注出口まで、液体が流れることができるようになっている。本明細書において、液体とは、粘性の程度に関わらず、気体、固体以外の状態の物質を意味する。
【0018】
本実施形態で用いる紙容器KGは、市販されている飲料容器等に使用されるタイプのものであり、ゲーベルトップ型のトップである2つの上面の一方にプラスチック製の注出口が形成されている。紙容器KGの注出口は筒状であり、筒状の注出口の外面側にネジ山が形成されており、内面側にネジ溝が形成されたキャップ6と螺合可能になっている。製造時には、注出口KGcとキャップ6は一体成形され、一部が連続された状態で形成され、紙容器KGに装着される。その状態で内容物である液体の充填後、販売が行われ、購入後、消費者は、キャップ6を注出口KGcから分離することにより開封する。これにより、注出口KGcから紙容器KGの内容物である液体を注出することが可能な状態となる。このような紙容器KGの内容物としては、飲料類、調味料類、油脂類、液体洗剤類等の様々な液体が収容される。
【0019】
結合リング5は、液体注出具を紙容器KGと結合させるための部材である。結合リング5は、キャップ6と略同一の大きさであり、構造もキャップ6と同様であるが、天面側に開口が形成されており、全体として筒状になっている。結合リング5は、その筒状の内面側にキャップ6と同一仕様のネジ溝が形成されており、キャップ6と同様に、紙容器KGの注出口と螺合可能になっている。
【0020】
図3は紙容器の注出口と結合リングの結合の状態を示す断面図である。図3の側面図に示すように、流入部1の開口側には、係止部8を介して挿入部7が形成されている。筒状の挿入部7は、流入部1より外径、内径ともに小さい。挿入部7の外径は、注出口KGcの内径よりもやや小さく、挿入部7を注出口KGcに挿入可能となっている。流入部1と挿入部7の間に位置する係止部8は、流入部1より外径が大きく、流入部1より内径が小さい。係止部8の内径は、挿入部7の内径と同一である。したがって、筒状の内側では、挿入部7と係止部8が同一内径で連続しており、流入部1において内径が広がっている。
【0021】
係止部8の外径は、上述のように流入部1の外径より大きく、これにより、結合リング5が外れるのを防止している。結合リング5の内面側には、結合リング5の天面と平行であって、内面側に突出した凸部が形成されている。凸部の内径は、結合リング5の天面に形成された開口の内径と略同一である。また、結合リング5の天面と凸部の間の内径は、係止部8の外径よりもやや大きい。このため、結合リング5は、係止部8から外れないようになっている。
【0022】
結合リング5付近の状態は、図3の断面図のような構成であるため、キャップ6を紙容器KGから外した後、挿入部7を紙容器KGの注出口KGcの内側に挿入し、結合リング5を注出口KGcの外面と螺合させることにより、挿入部7、係止部8が注出口KGcと固定され、液体注出具は紙容器KGに装着される。このようにして装着された状態が、図1図2図3に示した状態である。
【0023】
図1図2図3に示すように、流入部1は結合リング5を介して紙容器KGに固定され、紙容器KGから液体を流入させる流路である。貯留部2は最大の容積を持ち、紙容器KGから流入した液体を貯留するための部分である。連結部3は、流入部1と貯留部2を連結する流路であり、流入部1から流入した液体を連結部3に流す。注出部4は、貯留部2から連続し、貯留部2に貯留されている液体を外部に注出するための流路である。注出部4の開口側先端には、その外面側に紙容器KGの注出口と同一仕様のネジ山が形成されており、紙容器KGに装着されていたキャップ6を螺合して装着可能となっている。
【0024】
図2に示すように、ゲーベルトップ型の紙容器KGを水平面に立てて置いた場合、好ましい態様では、紙容器KGに装着された液体注出具では、連結部3の延伸方向は水平方向となる。連結部3は、流入部1と貯留部2を連結する流路であるため、流入部1と貯留部2を連結する方向が連結部3の延伸方向である。図2の側面図においては、連結部3の延伸方向DAを、連結部3の中心を通る右向きの一点鎖線の矢印で示す。
【0025】
注出部4は、上端側に円形の開口を有する筒状部である。注出部4はその筒状の内部を通って液体が注出される。そのため、注出部4の注出方向は、上端側の開口面と直交する方向である。図2の側面図においては、注出部4の注出方向DBを、注出部4の中心を通る右上向きの一点鎖線の矢印で示す。図2の側面図においては、貯留部2の底面2bの延伸方向DCを、貯留部2底面2bの下端を通る右下向きの一点鎖線の矢印で示す。
【0026】
貯留部2は複数の側面に囲まれており、そのうちの1つの側面である第1側面2aは、その延伸方向が注出部4の注出方向DBに平行である。第1側面2aは、その延伸方向が注出部4の注出方向DBに平行であることにより、注出時に紙容器KG及び液体注出具を傾けた際に、第1側面2aから注出部4に向かって液体が滑らかに流れることになる。
【0027】
注出部4の注出方向DBは、連結部3の延伸方向DAに対して、所定の角度だけ傾いている。具体的には、注出部4の注出方向DBは、連結部の延伸方向DAに直交する方向DEに対して、連結部3から離れる方向に傾いている。すなわち、注出部4の注出方向DBと連結部の延伸方向DAに直交する方向DEとのなす角度REが0°以上となっている。ここで、注出部4の注出方向DBと連結部3の延伸方向DAがなす角度をRAとすると、RA+RE=90°である。したがって、角度REは、注出部4の注出方向DBと連結部3の延伸方向DAがなす角度RAにより定まる。
【0028】
すなわち、注出部4の注出方向DBと連結部3の延伸方向DAがなす角度RAが所定の角度となるように、連結部3と注出部4は形成されている。注出部4の注出方向DBと連結部3の延伸方向DAがなす角度RAは、40°以上80°以下であることが好ましく、特に50°以上70°以下であることが好ましい。本実施形態では、角度RA=60°としている。したがって、注出部4の注出方向DBと連結部の延伸方向DAに直交する方向DEとのなす角度REは、10°以上50°以下であることが好ましく、特に20°以上40°以下であることが好ましい。本実施形態では、角度RE=30°としている。好ましい設計では、液体注出具を装着した紙容器KGを載置した際に、注出部4の注出方向DBが、水平方向となり、連結部の延伸方向DAに直交する方向DEが鉛直方向となる。
【0029】
角度RAが小さ過ぎる(すなわち角度REが大き過ぎる)と、キャップ6側が紙容器KGの側面から水平方向に大きく突き出してしまい、液体注出具を装着した状態で収納する際に邪魔になり易いとともに、水平方向のバランスが悪くなって紙容器KGが倒れやすくなる。角度RAが大き過ぎる(すなわち角度REが小さ過ぎる)と、注出部4の注出方向DBが真上方向に近付いてしまい、液体注出具を装着した状態で液体を注出する場合に、縦長の紙容器KGを180°回転して、ゲーベルトップが真下を向くように傾けた状態を続ける必要が生じ、扱い難くなる。
【0030】
貯留部2の底面2bは、ゲーベルトップ型の紙容器KGの2つの上面の一方に載置する面である。底面2bがすなわち、紙容器KGの1つの上面に載置されることで、位置が確定する。固定状態をより安定的なものとするために、底面2bの延伸方向DCが、紙容器KGの2つの上面の一方と平行である必要がある。底面2bの延伸方向DCが、紙容器KGの2つの上面の一方と平行であることにより、液体を貯留した場合であっても貯留部2の重さが紙容器KGの上面に分散して掛かり、紙容器KGおよび貯留部2の双方にとって負荷が小さい。
【0031】
貯留部2の底面2bの延伸方向DCは、連結部3の延伸方向DAに対して、所定の角度だけ傾いた方向である。すなわち、連結部3の延伸方向DAと貯留部2の底面2bの延伸方向DCがなす角度RBが所定の角度となるように、連結部3と貯留部2の底面2bは形成されている。一方、紙容器KGの2つの上面は、ともに水平方向とのなす角度がRDとなるように形成されている。連結部3の延伸方向DAと貯留部2の底面2bの延伸方向DCがなす角度RBと、紙容器KGの上面の一方と水平方向とのなす角度RDが等しい場合、すなわちRB=RDである場合に、底面2bの全体が紙容器KGの上面に接触して載置され、固定状態が安定する。また、すなわちRB=RDである場合に、連結部3の延伸方向DAは水平方向となる。
【0032】
流入部1は、紙容器KGの第1上面KGa側に形成された注出口KGcの開口に挿入される。上述のように、流入部1の先端には、挿入部7及び係止部8が連続しており、挿入部7の延伸方向が液体の流入方向DDとなり、これを流入部1の流入方向DDとする。流入部1の流入方向DDと結合リング5の下端面とのなす角度は90°になるように形成されている。一方、結合リング5と紙容器KGの第1上面KGaをしっかりと密着させるためには、結合リング5の下端面と紙容器KGの第1上面KGaが平行であることが好ましい。したがって、流入部1の流入方向DDと第1上面KGaとのなす角度が90度であることが好ましい。このためには、連結部3の延伸方向DAと流入部1の流入方向DDがなす角度RCは、紙容器KGの上面と水平方向とのなす角度RDと90°との和であることが好ましい。すなわち、RC=RD+90であることが好ましい。
【0033】
液体注出具は、紙容器KGの上面の態様に応じて設計される。具体的には、ゲーベルトップ型の紙容器KGの2つの上面が水平面となす角度RDに合わせて、連結部3の延伸方向DA、注出部4の注出方向DB、貯留部2の底面2bの延伸方向DC、流入部1の流入方向DDが決定され、連結部3、注出部4、貯留部2、流入部1が設計される。このとき、連結部3の延伸方向DA、注出部4の注出方向DB、貯留部2の底面2bの延伸方向DC、流入部1の流入方向DDは、角度RA~RCに基づいて決定される。
【0034】
液体注出具の角度RA~RCは、対象とする紙容器KGの上面が水平面となす角度RDに基づいて決定される。したがって、RB=RD、RC=RD+90となるように、各構成要素を構成することにより、好ましい液体注出具が得られる。また、角度RB、RCは、角度RDと必ずしも正確に上記関係を満たす必要はなく、多少の誤差は許容される。具体的には、最大5°の誤差は許容される。したがって、RD=40°の場合、RA=35°~85°、RB=35°~45°、RC=125°~135°の範囲で実現可能である。製品仕様により、紙容器KGの上面の角度RDは異なるが、一般に、RD=30°~50°である。したがって、RA=35°~85°、RB=25°~55°、RC=115°~145°に設計しておくことにより、市販されている多様な紙容器KGに対して適用し、装着して紙容器KGを載置した際に、連結部3の延伸方向DAが水平に近い状態となるとともに、回転した際に、流入し易く、注出し易い液体注出具を提供することが可能となる。
【0035】
<<第1の実施形態の変形例>>
上記第1の実施形態では、連結部3が円筒状であった。すなわち、連結部3の延伸方向DAと交差する連結部3の断面が円形状である形態について説明した。次に、第1の実施形態に係る液体注出具の変形例について説明する。図4は、第1の実施形態に係る液体注出具の変形例を示す斜視図である。図1図2に示した液体注出具と同様の箇所については、同一符号を付して説明を省略する。
【0036】
変形例においても、第1の実施形態と同様、液体注出具は、液体を流入させるための流入部1と、液体を貯留する貯留部2と、流入部1と貯留部2を連結する連結部3と、貯留部2から連続し、液体を注出するための注出部4と、を備えている。また、液体注出具の角度RA~RCは、対象とする紙容器KGの上面が水平面となす角度RDに基づいて決定され、紙容器KGの角度RDが30°~50°である場合、RAは35°~65°、RBは25°~55°、RC=115°~145°が好ましいことは同様である。
【0037】
変形例においては、連結部3の断面形状が略長方形であり、注出部4が、貯留部2の上端から突出している点が、第1の実施形態とは異なっている。連結部3は、液体を滑らかに流すための所定の断面積が確保されていればよく、図1に示したように円形である必要はなく、図4の変形例に示したように長方形状等の四角形状その他の多角形であってもよい。円形の結合リング5と嵌合させるため、変形例においても、挿入部7、係止部8の断面は円形状である。そのため、流入部1も係止部8に近い部分では、断面が円形状であるが、そこから滑らかに変化して、連結部3に連続する箇所においては、連結部3の断面形状と同一の断面形状になっている。
【0038】
また、図1に示した変形例では、注出部4の筒状の胴体部分が貯留部2の上端から突出している。第1の実施形態のように、注出部4の筒状の胴体部分が突出していない場合と、突出している場合を比較すると、一長一短である。第1の実施形態のように、注出部4の筒状の胴体部分が突出していない場合、全体が比較的コンパクトに収まり、液体注出具を嵌めた状態で省スペース化を図ることができるという利点がある。一方、変形例のように、注出部4の筒状の胴体部分が突出している場合、注出先を定め易いという利点がある。
【0039】
<<第1の実施形態における使用方法>>
図1に示した第1の実施形態に係る液体注出具の使用方法について説明する。図5は、第1の実施形態に係る液体注出具の使用方法を示す図である。第1の実施形態に係る液体注出具を用いて一定量の内容物を取得する場合、注出口KGcを備えたゲーベルトップ型の紙容器KGからキャップ6を取り外す。そして、流入部1から係止部8を介して連続する挿入部7を紙容器KGの注出口KGcの内側に挿入する。そして、係止部8に回動可能に嵌合されている結合リング5のネジ溝と、紙容器KGの注出口KGc外面のネジ山を螺合させて、結合リング5を装着する。一方、紙容器KGから外されたキャップ6は、キャップ6のネジ溝と、液体注出具の注出部4の注出口KGc外面のネジ山を螺合させて、液体注出具に装着される。このとき、上記角度RA~RCが角度RDに基づいて適切に定められていることにより、液体注出具全体が紙容器KGのゲーベルトップの上面において、安定的に固定される。すなわち、図5(a)に示すように、液体注出具全体が紙容器KGのゲーベルトップの2つの上面の上で、安定的に固定される。
【0040】
図5(a)に示した状態から、液体注出具を紙容器KGごと、液体注出具および紙容器KGのゲーベルトップが下方を向くように略180°回転させる。図5(b)は、液体注出具および紙容器KGのゲーベルトップを下方に向けた状態を示している。図5(b)に示すように、液体注出具および紙容器KGのゲーベルトップを下方に向けた状態で、下方に向いた紙容器KGの注出口から内容物が流出し、液体注出具の挿入部7、係止部8を通って流入部1に流入する。そして、流入部1に流入した液体は、さらに連結部3を通って貯留部2に流れ込む。そして、図5(b)に示した状態から、さらに回転して、元のように液体注出具および紙容器KGのゲーベルトップが上方を向くように戻していく。この過程において、紙容器KGの注出口KGcが下方を向かなくなり、その時点で紙容器KGから液体注出具への液体の流入が止まる。
【0041】
さらに回転して1回転し、液体注出具および紙容器KGのゲーベルトップが上方となるように元の位置に戻す。図5(c)は、1回転して図5(a)と同様の位置に戻した状態を示す図である。図5(c)に示すように、1回転した後、貯留部2には、紙容器KGから流入した液体が貯留される。本実施形態では、上記角度RDに対応した角度RA~RCが適切に設計されていることにより、ゲーベルトップが上方となるように紙容器KGを載置した状態で、連結部3の延伸方向DAが略水平になる。このため、1回転すると、液体注出具に残った液体は、流入部1から紙容器KGの注出口を通って紙容器KG内に戻るか、貯留部2に貯留されることになる。貯留部2においては、連結部3より低い部分に液体が貯留される。貯留部2における、連結部3より低い部分を所定の体積となるように設計しておくことにより、所定量の液体が貯留部2に貯留されることになる。
【0042】
そして、図5(d)に示すように、キャップ6を液体注出具の注出部4の注出口から外した状態で、液体注出具を傾ける。これにより液体注出具に貯留された所定量の液体が注出される。図5を用いて説明したように、本実施形態に係る液体注出具では、利用者は、特に量を図る作業をすることなく、液体注出具を紙容器KGごと1回転させるだけで、液体注出具に所定量の液体を注出することができる。
【0043】
<<第2の実施形態>>
次に、第2の実施形態について説明する。図6は本発明第2の実施形態に係る液体注出具の側面図である。図6は、本実施形態に係る液体注出具を、紙容器KFに装着した状態で示している。
【0044】
図6に示すように本実施形態の液体注出具は、液体を流入させるための流入部11と、液体を貯留する貯留部12と、流入部11と貯留部12を連結する連結部13と、貯留部12から連続し、液体を注出するための注出部14と、を備えている。流入部11、貯留部12、連結部13、注出部14は、第1の実施形態と同様、透明な樹脂で一体成形されている。第1の実施形態と同様、液体注出具の内部は空洞になっており、流入部11に形成された開口である流入口から、注出部14に形成された開口である注出口まで、液体が流れることができるようになっている。
【0045】
本実施形態で用いる紙容器KFは、市販されている飲料容器等に使用されるタイプのものであり、フラットトップ型のトップ、すなわち載置した際に水平面と平行な平坦な上面にプラスチック製の注出口KFcが形成されている。紙容器KFの注出口KFcは筒状であり、筒状の注出口KFcの外面側にネジ山が形成されており、内面側にネジ溝が形成されたキャップ16と螺合可能になっている。製造時には、注出口とキャップ16は一体成形され、一部が連続された状態で形成され、紙容器KFに装着される。その状態で内容物の充填後、販売が行われ、購入後、消費者は、キャップ16を注出口KFcから分離することにより開封する。これにより、注出口KFcから紙容器KFの内容物を注出することが可能な状態となる。
【0046】
結合リング15は、液体注出具を紙容器KFと結合させるための部材である。結合リング15は、キャップ16と略同一の大きさであり、構造もキャップ16と同様であるが、天面側に開口が形成されており、全体として筒状になっている。結合リング15は、その筒状の内面側にキャップ16と同一仕様のネジ溝が形成されており、キャップ16と同様に、紙容器KFの注出口KFcと螺合可能になっている。
【0047】
図7は、液体注出具が紙容器KFに装着された際における結合リング15と注出口KFcとの関係を示す断面図である。図7に示すように、流入部11の開口側には、係止部18を介して挿入部17が形成されている。筒状の挿入部17は、流入部11より外径、内径ともに小さい。挿入部17の外径は、注出口KFcの内径よりもやや小さく、挿入部17を注出口KFcに挿入可能となっている。流入部11と挿入部17の間に位置する係止部18は、流入部11より外径が大きく、流入部1より内径が小さい。係止部18の内径は、挿入部17の内径と同一である。したがって、筒状の内側では、挿入部17と係止部18が同一内径で連続しており、流入部11において内径が広がっている。
【0048】
係止部18の外径は、上述のように流入部11の外径より大きく、これにより、結合リング15が外れるのを防止している。結合リング15の内面側には、結合リング15の天面と平行であって、内面側に突出した凸部が形成されている。凸部の内径は、結合リング15の天面に形成された開口の内径と略同一である。また、結合リング15の天面と凸部の間の内径は、係止部18の外径よりもやや大きい。このため、結合リング15は、係止部18から外れないようになっている。
【0049】
上記のような構成であるため、キャップ16を紙容器KFから外した後、挿入部17を紙容器KFの注出口KFcの内側に挿入し、結合リング15を注出口KFcの外面と螺合させることにより、挿入部17、係止部18が注出口KFcと固定され、液体注出具は紙容器KFに装着される。これが、図6に示した状態である。
【0050】
図6に示すように、流入部11は結合リング15を介して紙容器KFに固定され、紙容器KFから液体を流入させる流路である。貯留部12は構成要素中で最大の容積を持ち、紙容器KFから流入した液体を貯留するための部分である。連結部13は、流入部11と貯留部12を連結する流路であり、流入部11から流入した液体を連結部13に流す。注出部14は、貯留部12から連続し、貯留部12に貯留されている液体を外部に注出するための流路である。注出部14の開口側先端には、その外面側に紙容器KFの注出口KFcと同一仕様のネジ山が形成されており、紙容器KFに装着されていたキャップ16を螺合して装着可能となっている。
【0051】
図6に示すように、フラットトップ型の紙容器KFを水平面に立てて置いた場合、好ましい態様では、紙容器KFに装着された液体注出具では、連結部13の延伸方向は水平方向となる。連結部13は、流入部11と貯留部12を連結する流路であるため、流入部11と貯留部12を連結する方向が連結部13の延伸方向である。図6の側面図においては、連結部13の延伸方向DGを、連結部3の中心を通る右向きの一点鎖線の矢印で示す。
【0052】
注出部14は、上端側に円形の開口を有する筒状部である。注出部14はその筒状の内部を通って液体が注出される。そのため、注出部14の注出方向は、上端側の開口面と直交する方向である。図6の側面図においては、注出部14の注出方向DHを、注出部14の中心を通る右上向きの一点鎖線の矢印で示す。図6の側面図においては、底面12bの延伸方向DIを、底面12bの下端を通る右下向きの一点鎖線の矢印で示す。
【0053】
貯留部12は複数の側面に囲まれており、そのうちの第1側面12aは、その延伸方向が注出部14の注出方向DHに平行である。第1側面12aは、その延伸方向が注出部14の注出方向DHに平行であることにより、注出時に紙容器KF及び液体注出具を傾けた際に、第1側面12aから注出部14に向かって液体が滑らかに流れることになる。
【0054】
注出部14の注出方向DHは、連結部13の延伸方向DGに対して、所定の角度だけ傾いている。具体的には、注出部14の注出方向DHは、連結部の延伸方向DGに直交する方向DKに対して、連結部13から離れる方向に傾いている。すなわち、注出部14の注出方向DHと連結部の延伸方向DGに直交する方向DKとのなす角度RKが0°以上となっている。ここで、注出部14の注出方向DHと連結部13の延伸方向DGがなす角度をRGとすると、RG+RK=90°である。したがって、角度RKは、注出部14の注出方向DHと連結部13の延伸方向DGがなす角度RGにより定まる。
【0055】
すなわち、注出部14の注出方向DHと連結部13の延伸方向DGがなす角度RGが所定の角度となるように、連結部13と注出部14は形成されている。注出部14の注出方向DHと連結部13の延伸方向DGがなす角度RGは、40°以上80°以下であることが好ましく、特に50°以上70°以下であることが好ましい。本実施形態では、RG=60°としている。したがって、注出部14の注出方向DHと連結部の延伸方向DGに直交する方向DKとのなす角度RKは、10°以上50°以下であることが好ましく、特に20°以上40°以下であることが好ましい。本実施形態では、角度RK=30°としている。好ましい設計では、液体注出具を装着した紙容器KFを載置した際に、注出部14の注出方向DHが、水平方向となり、連結部の延伸方向DGに直交する方向DKが鉛直方向となる。
【0056】
角度RGが小さ過ぎる(すなわち角度RKが大き過ぎる)と、キャップ16側が紙容器KFの壁面から水平方向に大きく突き出してしまい、液体注出具を装着した紙容器KFを収納する際に邪魔になり易いとともに、水平方向のバランスが悪くなって倒れやすくなる。角度RGが大き過ぎる(すなわち角度RKが小さ過ぎる)と、注出部14の注出方向がDH真上方向に近付いてしまい、液体注出具を装着した状態で液体を注出する場合に、縦長の紙容器KFを180°回転して、フラットトップが真下を向くように傾けた状態を続ける必要が生じ、扱い難くなる。
【0057】
貯留部12の底面12bは、ゲーベルトップ型の紙容器KFの2つの上面の内の一方に、載置する面である。底面12bがすなわち、紙容器KFの1つの上面に載置されることで、位置が確定する。固定状態をより安定的なものとするために、底面12bの延伸方向DIが、紙容器KFの上面と平行である必要がある。底面12bの延伸方向DIが、紙容器KFの上面と平行であることにより、液体を貯留した場合であっても貯留部12の重さが紙容器KFの上面に分散して掛かり、紙容器KFおよび貯留部12の双方にとって負荷が小さい。
【0058】
貯留部12の底面12bの延伸方向DIは、連結部13の延伸方向DGと実質的に平行な方向である。ここで、実質的とは、完全な平行である場合だけでなく、貯留部12を安定して紙容器KFの上面KFaに載置可能であるとともに、連結部13において滑らかな流れを実現可能な範囲の誤差も含むものである。すなわち、連結部13の延伸方向DGと貯留部12の底面12bの延伸方向DIがなす角度が0°、または0°に近い所定の角度となるように、連結部13と貯留部12の底面12bは形成されている。一方、紙容器KFの上面は、紙容器KFの底面(図示省略)と平行であり、紙容器KFを載置した際に、水平方向と平行となるように形成されている。すなわち、紙容器KFの上面と水平方向とのなす角度RL(図示省略)が0°なるように形成されている。連結部13の延伸方向DG、貯留部12の底面12bの延伸方向DI、紙容器KFの上面が互いに平行である場合に、底面12bの全体が紙容器KFの上面に接触して載置され、固定状態が安定する。また、すなわち連結部13の延伸方向DG、貯留部12の底面12bの延伸方向DI、紙容器KFの上面が互いに平行である場合に、連結部3の延伸方向DGは水平方向となる。
【0059】
流入部11は、紙容器KFの上面KFa側に形成された開口に挿入される。上述のように、流入部11の先端には、挿入部17及び係止部18が連続しており、挿入部17の延伸方向が液体の流入方向DJとなり、これを流入部11の流入方向DJとする。流入部11の流入方向DJと結合リング15の下端面とのなす角度は90°になるように形成されている。一方、結合リング15と紙容器KFの上面KFaをしっかりと密着させるためには、結合リング15の下端面と紙容器KFの上面KFaが平行であることが好ましい。したがって、流入部11の流入方向DJと上面KFaとのなす角度が90度であることが好ましい。このためには、連結部13の延伸方向DGと流入部11の流入方向DJがなす角度RJも90°であることが好ましい。
【0060】
液体注出具は、紙容器KFの上面の態様に応じて設計される。具体的には、フラットトップ型の紙容器KFの上面KFaが水平面となす角度に合わせて、連結部13の延伸方向DG、注出部14の注出方向DH、貯留部12の底面12bの延伸方向DI、流入部11の流入方向DJが決定され、連結部13、注出部14、貯留部12、流入部11が設計される。このとき、連結部13の延伸方向DG、注出部14の注出方向DH、貯留部12の底面12bの延伸方向DI、流入部1の流入方向DJは、角度RG、RJに基づいて決定される。
【0061】
液体注出具の角度RG、RJは、対象とする紙容器KFの上面KFaが水平面となす角度に基づいて決定される。フラットトップ型の紙容器KFの場合、上面KFaは水平面と平行であり、上面KFaが水平面となす角度は0°であることが通常である。したがって、角度RG=40°~80°、RJ=90°となるように、各構成要素を構成することにより、好ましい液体注出具が得られる。また、角度RJは、必ずしも正確に90°である必要はなく、多少の誤差は許容される。具体的には、最大5°の誤差は許容される。したがって、紙容器KFの上面KFaが水平面と平行である場合、RGは35°~85°、RJ=85°~95°の範囲で実現可能である。製品仕様により、紙容器KFの上面KFaの水平面となす角度は異なるが、一般に、フラットトップ型の紙容器KFの場合、水平面となす角度は0°~10°である。したがって、RG=35°~85°、RJ=75°~105°に設計しておくことにより、市販されている多様な紙容器KFに対して適用し、装着して紙容器KFを載置した際に、連結部3の延伸方向DGが水平に近い状態となるとともに、回転した際に、流入し易く、注出し易い液体注出具を提供することが可能となる。
【0062】
<<第2の実施形態の変形例>>
上記第2の実施形態では、紙容器KFに装着した際に、上部側における連結部13と注出部14の境界部分が角度を有している。すなわち、連結部13と注出部14の境界部分は、注出部14の注出方向DHと連結部13の延伸方向DGがなす角度RGとなるように形成されていた。第2の実施形態は、上記以外の変形例を用いることも可能である。次に、第2の実施形態に係る液体注出具の変形例について説明する。図8は、第2の実施形態に係る液体注出具の変形例を示す斜視図である。図6に示した液体注出具と同様の箇所については、同一符号を付して説明を省略する。
【0063】
変形例においても、第2の実施形態と同様、液体注出具は、液体を流入させるための流入部11と、液体を貯留する貯留部12と、流入部11と貯留部12を連結する連結部13と、貯留部12から連続し、液体を注出するための注出部14と、を備えている。また、液体注出具の角度RG、RJは、対象とする紙容器KFの上面KFaが水平面となす角度RLに基づいて決定され、紙容器KFの上面KFaが水平面となす角度RLが0°~10°である場合、RGは35°~85°、RJ=75°~105°が好ましいことも同様である。
【0064】
変形例においては、連結部13と注出部14の境界部分が曲線状に連続している点が、第2の実施形態とは異なっている。連結部13と注出部14の境界部分は、液体を滑らかに流す構成であれていればよく、図6図8に示した態様に限定されず、これら以外の様々な態様とすることができる。
【0065】
<<第2の実施形態における使用方法>>
図6に示した第2の実施形態に係る液体注出具の使用方法について説明する。図9は、第2の実施形態に係る液体注出具の使用方法を示す図である。第1の実施形態に係る液体注出具を用いて一定量の内容物を取得する場合、注出口を備えたフラットトップ型の紙容器KFからキャップ16を取り外す。そして、流入部11から係止部18を介して連続する挿入部17を紙容器KFの注出口内側に挿入する。そして、係止部18に回動可能に嵌合されている結合リング15のネジ溝と、紙容器KFの注出口外面のネジ山を螺合させて、結合リング15を装着する。一方、紙容器KFから外されたキャップ16は、キャップ16のネジ溝と、液体注出具の注出部14の注出口外面のネジ山を螺合させて、液体注出具に装着される。このとき、上記角度RG、RJが角度RDに基づいて適切に定められていることにより、液体注出具全体が紙容器KFのフラットトップの上面KFaにおいて、安定的に固定される。すなわち、図9(a)に示すように、液体注出具全体が紙容器KFのフラットトップの上面KFaの上で、安定的に固定される。
【0066】
図9(a)に示した状態から、液体注出具を紙容器KFごと、液体注出具および紙容器KFのフラットトップが下方を向くように略180°回転させる。図5(b)は、液体注出具および紙容器KFのフラットトップを下方に向けた状態を示している。図5(b)に示すように、液体注出具および紙容器KFのフラットトップを下方に向けた状態で、下方に向いた紙容器KFの注出口から内容物が流出し、液体注出具の挿入部17、係止部18を通って流入部11に流入する。そして、流入部11に流入した液体は、さらに連結部13を通って貯留部12に流れ込む。そして、図9(b)に示した状態から、さらに回転して、元のように液体注出具および紙容器KFのフラットトップが上方を向くように戻していく。この過程において、紙容器KFの注出口が下方を向かなくなり、その時点で紙容器KFから液体注出具への液体の流入が止まる。
【0067】
さらに回転して1回転し、液体注出具および紙容器KFのフラットトップが上方となるように元の位置に戻す。図9(c)は、1回転して図9(a)と同様の位置に戻した状態を示す図である。図9(c)に示すように、1回転した後、貯留部12には、紙容器KFから流入した液体が貯留される。本実施形態では、上記角度RLに対応した角度RG、RJが適切に設計されていることにより、フラットトップが上方となるように紙容器KFを載置した状態で、連結部13が略水平になる。このため、1回転すると、液体注出具に残った液体は、流入部11から紙容器KFの注出口KFcを通って紙容器KF内に戻るか、貯留部12に貯留されることになる。貯留部12においては、連結部13より低い部分に液体が貯留される。貯留部12における、連結部13より低い部分を所定の体積となるように設計しておくことにより、所定量の液体が貯留部12に貯留されることになる。
【0068】
そして、図9(d)に示すように、キャップ16を液体注出具の注出部14の注出口から外した状態で、液体注出具を傾ける。これにより液体注出具に貯留された所定量の液体が注出される。図9を用いて説明したように、本実施形態に係る液体注出具では、利用者は、特に量を図る作業をすることなく、液体注出具を紙容器KFごと1回転させるだけで、液体注出具に所定量の液体を注出することができる。
【0069】
第1、第2の実施形態に係る液体注出具の材料としては、キャップ、結合リング以外の本体部については、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ABS樹脂などが使用でき、その成型法としては、真空成型や圧空成型などのシートフォーミング法、射出成型法などが使用できる。キャップ、結合リングについても、同様に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ABS樹脂などが使用でき、その成型法としては、真空成型や圧空成型などのシートフォーミング法、射出成型法などが使用できる。
【0070】
また、ゲーベルトップ型の紙容器KG、フラットトップ型の紙容器KFに使用する材料は、紙を主体とする積層体からなり、その紙の一方の面に最内層が熱接着性樹脂層である内層を、他方の面に最外層が熱接着性樹脂層である外層を備えていることを基本としている。そして、紙と熱接着樹脂層との間にバリアー層を積層することもできる。
【0071】
また、積層体の最内層および最外層に使用する熱可塑性樹脂は、内容物の保護、特に液状の物質を入れても洩れない機能、また、熱シールにより貼り合わせて液体用紙容器の組み立てを可能にする機能を持っている必要がある。具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン-α ・オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ナイロン樹脂などの樹脂を使用することができる。なかでも、メタロセン触媒を使用して重合したエチレン-α・オレフィン共重合体は、伸縮性があり、ひび割れ、ピンホールが発生しにくく、好適に使用することができる。
【0072】
上記の熱接着性樹脂を用いて、例えば、押し出し機を使用し、紙とバリアー層との層間に、上記のような樹脂の1種又は2種以上を単層又は多層に押し出して溶融押し出し樹脂層を形成し、その溶融押し出し樹脂層を介して、上記の紙とバリアー層とを積層することができるものである。
【0073】
なお、ゲーベルトップ型の紙容器KG、フラットトップ型の紙容器KFにおいて、熱接着性樹脂層の膜厚としては、20~200μmの範囲が好ましく、25~100μmの範囲がより好ましい。膜厚が、25μm未満であると、炙りピンホールが発生し易い傾向にあることから好ましくなく、200μmを越えると、紙容器の底面や上面の成形性が非常に悪くなることから好ましくないものである。
【0074】
また、ゲーベルトップ型の紙容器KG、フラットトップ型の紙容器KFを構成するバリアー層として、機械的、物理的、化学的、その他において優れた性質を有し、特に、強度を有して強靱であり、かつ、耐熱性を有する樹脂のフィルム又はシートを使用することができる。具体的には、例えば、ポリプロピレン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル-スチレン共重合体(AS樹脂) 、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリアリールフタレート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタール系樹脂、セルロース系樹脂、その他等の各種の樹脂のフィルム又はシートを使用することができる。さらに、これらのフィルムに金属蒸着膜あるいは無機酸化膜を設けたフィルム、金属箔などを使用することもできる。
【0075】
具体的な材料の構成としては、表面側からポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層、発泡ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層、ポリプロピレン樹脂層/紙層/ポリプロピレン樹脂層、ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエステル樹脂層、ポリエステル樹脂層/紙層/ポリエステル樹脂層、ポリエチレン樹脂層/紙層/エチレン-アクリル酸共重合体層/アルミニウム箔/ポリエチレン樹脂層、ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン層/ポリエステル層/ポリエチレン樹脂層、ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン層/ポリエステル層/ポリエチレン樹脂層(フィルム)、ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン層/アルミニウム箔/二軸延伸ポリエステル層/ポリエチレン樹脂層、ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン層/蒸着アルミ層/ポリエステル層/ポリエチレン樹脂層、ポリエチレン樹脂層/紙層/ポリエチレン樹脂層/シリカ蒸着層/ポリエステル層/ポリエチレン樹脂層(フィルム)などがあげられる。
【0076】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、キャップ6、16として、紙容器KG、KFに装着されていたものを用いるようにしたが、キャップ6、16として、紙容器KG、KFに装着されていたものとは別に用意したものを用いてもよい。キャップ6、16として、紙容器KG、KFに装着されていたものとは別に用意したものを用いる場合、キャップ6、16は、紙容器KG、KFに装着されていたものと同一形状である必要はない。
【符号の説明】
【0077】
10、20・・・液体注出具
1、11・・・流入部
2、12・・・貯留部
3、13・・・連結部
4、14・・・注出部
5、15・・・結合リング
6、16・・・キャップ
7、17・・・挿入部
8、18・・・係止部
KG・・・紙容器(ゲーベルトップ型)
KF・・・紙容器(フラットトップ型)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9