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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】車両の誘導支援システム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/14 20060101AFI20240925BHJP
   G08G 1/04 20060101ALI20240925BHJP
   G08G 5/00 20060101ALI20240925BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20240925BHJP
   B60L 5/00 20060101ALI20240925BHJP
   B60L 53/12 20190101ALI20240925BHJP
   B60L 53/37 20190101ALI20240925BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20240925BHJP
   H02J 50/90 20160101ALI20240925BHJP
【FI】
G08G1/14 A
G08G1/04 D
G08G5/00 A
B60M7/00 X
B60L5/00 B
B60L53/12
B60L53/37
B60L15/20 J
H02J50/90
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020094358
(22)【出願日】2020-05-29
(65)【公開番号】P2021189747
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-04-04
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(72)【発明者】
【氏名】新妻 素直
【審査官】田中 将一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-129901(JP,A)
【文献】特開2017-207815(JP,A)
【文献】特開2013-236524(JP,A)
【文献】特開2015-122887(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
B60M 1/00 - 7/00
B60L 5/00 - 5/42
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
H02J 50/00 - 50/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車両側コイル部との間で非接触の電力伝送を行う地上側コイル部と、
前記地上側コイル部を含む前記車両の走行エリアの画像を、前記車両よりも高い箇所から撮影するカメラと、
前記車両側コイル部の真上の位置を前記車両の車体上で示すマークの前記地上側コイル部に対する、前記走行エリアの路面方向における相対位置を、前記地上側コイル部及び前記マークが写った前記カメラの撮影画像と、前記地上側コイル部が設置された前記走行エリアの路面からの前記マークの高さと、に基づいて特定する位置特定部と、
前記相対位置に基づいて、前記路面方向において前記車両側コイル部と前記地上側コイル部とが正対する充電位置への前記車両の誘導内容を決定する内容決定部と、
を備える車両の誘導支援システム。
【請求項2】
前記カメラは、前記走行エリアの上方の設置箇所に固定されている請求項1に記載の車両の誘導支援システム。
【請求項3】
前記カメラは、前記走行エリアの上空を飛行する飛行体に搭載されている請求項1に記載の車両の誘導支援システム。
【請求項4】
前記撮影画像は、前記走行エリアの上空で前記飛行体がホバリングした状態で前記カメラにより撮影される請求項3に記載の車両の誘導支援システム。
【請求項5】
前記位置特定部は、前記撮影画像中に写った前記走行エリア上の基準マークに基づいて、前記飛行体上の前記カメラによる前記撮影画像の撮影箇所を特定し、特定した前記撮影箇所に基づいて前記相対位置を特定する請求項3又は4に記載の車両の誘導支援システム。
【請求項6】
前記誘導内容で前記車両を前記充電位置に誘導する車両誘導部をさらに備える請求項1~5のいずれか1項に記載の車両の誘導支援システム。
【請求項7】
前記車両は自動運転制御が可能な車両であり、前記車両誘導部は、自動運転制御による移動により前記車両を前記充電位置に誘導する請求項6に記載の車両の誘導支援システム。
【請求項8】
前記車両誘導部は、前記車両に搭載されて前記誘導内容を報知する報知デバイスを有している請求項6に記載の車両の誘導支援システム。
【請求項9】
前記車両誘導部は、前記走行エリアに配置されて前記車両から視認される表示デバイスを有しており、前記誘導内容が前記表示デバイスに表示される請求項6に記載の車両の誘導支援システム。
【請求項10】
前記走行エリアの複数の停車枠に前記地上側コイル部がそれぞれ設けられ、前記位置特定部は、空いている停車枠の1つに設けられた前記地上側コイル部に対する前記相対位置を特定する請求項1~9のいずれか1項に記載の車両の誘導支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の誘導支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
非接触充電装置を搭載した電気自動車(EV)等の車両について、車両の受電装置のコイルが地上の送電装置のコイルと正対する充電位置に車両を誘導する技術が検討されている。
【0003】
特許文献1~3には、レーダ、カメラ、LiDAR(ライダー、光による検知と測距)をセンサとして用い、センサにより、地上のコイルに対する車両のコイルの相対位置を検出し、検出した相対位置に基づいて車両を充電位置に誘導する技術が記載されている。
【0004】
特許文献1~3の技術では、車両のコイルに対する地上のコイルの相対位置を、車両に搭載したセンサによって検出する。そして、検出した相対位置の路面に沿った方向成分の分だけ車両を移動させて、充電位置に車両を誘導する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-236524号公報
【文献】特開2016-15843号公報
【文献】特開2018-143088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1~3の技術では、車両が充電位置に誘導される間、車両のセンサは常に、地上のコイルの斜め上に配置される。この配置により、センサが検出する相対位置の路面に沿った方向成分の長さは、圧縮された長さとなる。
【0007】
例えば、水平方向に対して角度θだけ下側に傾けて車両に取り付けられたセンサの路面に対する向きは、路面に正対する向きから角度(90-θ)だけ傾いた向きとなる。そのため、センサは、路面に沿った方向における長さを、sinθ倍だけ圧縮した、実際よりも短い長さとして検出する。この圧縮により、センサの検出結果に基づいて決定する車両を移動させるべき距離の精度が下がり、車両の誘導に誤差が生じる可能性がある。
【0008】
また、車両のセンサを車両のコイルと同じ車両の底部に配置して、車両のコイルの位置をセンサで直接検出するのは難しい。車両のコイルの位置は、車両におけるセンサの配置及び向きの情報を使って間接的に求めている。車両のコイルの位置を間接的に求めることでも、車両を移動させるべき距離の精度が下がり、車両の誘導に誤差が生じる可能性がある。
【0009】
本開示は前記事情に鑑みなされたもので、本開示の目的は、非接触充電装置を搭載した車両を、地上のコイルと車両のコイルとの相対位置に基づいて、コイル同士が正対する充電位置に誘導できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示に係る車両の誘導支援システムは、
車両の車両側コイル部との間で非接触の電力伝送を行う地上側コイル部と、
前記地上側コイル部を含む前記車両の走行エリアの画像を、前記車両よりも高い箇所から撮影するカメラと、
前記車両側コイル部の位置を前記車両の車体上で示すマークの前記地上側コイル部に対する、前記走行エリアの路面方向における相対位置を、前記カメラの撮影画像に基づいて特定する位置特定部と、
前記相対位置に基づいて、前記路面方向において前記車両側コイル部と前記地上側コイル部とが正対する充電位置への前記車両の誘導内容を決定する内容決定部と、
を備える。
【0011】
本開示に係る車両の誘導支援システムにおいて、前記カメラは、前記走行エリアの上方の設置箇所に固定されていてもよい。
【0012】
本開示に係る車両の誘導支援システムにおいて、前記カメラは、前記走行エリアの上空を飛行する飛行体に搭載されていてもよい。この場合、前記撮影画像は、前記走行エリアの上空で前記飛行体がホバリングした状態で前記カメラにより撮影されてもよい。
【0013】
前記カメラが飛行体に搭載される場合、前記位置特定部は、前記撮影画像中に写った前記走行エリア上の基準マークに基づいて、前記飛行体上の前記カメラによる前記撮影画像の撮影箇所を特定し、特定した前記撮影箇所に基づいて前記相対位置を特定してもよい。
【0014】
本開示に係る車両の誘導支援システムにおいて、前記誘導内容で前記車両を前記充電位置に誘導する車両誘導部をさらに備えてもよい。前記車両が自動運転制御が可能な車両である場合、前記車両誘導部は、自動運転制御による移動において前記車両を前記充電位置に誘導してもよい。
【0015】
本開示に係る車両の誘導支援システムにおいて、前記車両誘導部は、前記車両に搭載されて前記誘導内容を報知する報知デバイスを有していてもよい。また、前記車両誘導部は、前記走行エリアに配置されて前記車両から視認される表示デバイスを有していてもよく、この場合、前記誘導内容が前記表示デバイスに表示されてもよい。
【0016】
本開示に係る車両の誘導支援システムにおいて、前記走行エリアの複数の停車枠に前記地上側コイル部がそれぞれ設けられ、前記位置特定部は、空いている停車枠の1つに設けられた前記地上側コイル部に対する前記相対位置を特定してもよい。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、非接触充電装置を搭載した車両を、地上のコイルと車両のコイルとの相対位置に基づいて、コイル同士が正対する充電位置に誘導することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1実施形態に係る車両の誘導支援システムにより車両が空いている駐車枠に誘導される車両の充電エリアの平面図である。
図2図1の充電エリアを撮影するカメラの配置を示す説明図である。
図3】第1実施形態に係る車両の誘導支援システムにおける制御系の概略構成を示す説明図である。
図4図3の地上側制御ユニットがメモリに格納されたプログラムにしたがい実行する処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図5】第2実施形態に係る車両の誘導支援システムにより車両が空いている駐車枠に誘導される車両の充電エリアの平面図である。
図6図5の充電エリアを撮影するカメラの配置を示す説明図である。
図7】第2実施形態に係る車両の誘導支援システムにおける制御系の概略構成を示す説明図である。
図8図7の地上側制御ユニットがメモリに格納されたプログラムにしたがい実行する処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図9図7の地上側制御ユニットがメモリに格納されたプログラムにしたがい実行する処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図10図1又は図5のカメラの撮影画像に写った像の大きさと地上又は地上から所定高さの実像の大きさとの関係を示す説明図である。
図11】第3実施形態に係る車両の誘導支援システムにより車両が充電位置の駐車枠に誘導される車両の充電エリアの平面図である。
図12図11の充電エリアの入口に配置される表示ユニットによる誘導先駐車枠への案内態様の一例を示す説明図である。
図13図11の充電エリアの各駐車枠にそれぞれ配置される表示ユニットによる充電位置への案内態様の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、いくつかの例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は第1実施形態に係る車両の誘導支援システムによって車両の誘導を支援する充電エリアを示している。図1に示す充電エリア10は、駐車場の走行エリアによって構成されている。充電エリア10は、本実施形態では、入口11から入場した車両1が駐車できる3台分の駐車枠12~14を有している。
【0020】
充電エリア10では、非接触充電装置を搭載した電動の車両1が各駐車枠12~14のいずれかに駐車している間、車両1の後述するバッテリ7(図3参照)を非接触充電方式で充電することができる。電動の車両1としては、例えば、EV(Electric Vehicle)、PHEV(Plug-in Hybrid Vehicle)等を挙げることができる。電動の車両1のバッテリ7を非接触充電方式で充電するために、各駐車枠12~14の路面には、地上側コイル部15~17がそれぞれ設けられている。また、車両1の底部には、図2に示すように、車両側コイル部2が設けられている。
【0021】
充電エリア10には、カメラユニット20が設けられている。カメラユニット20は、充電エリア10から立設されたポール21の先端に、アーム22を介して取り付けられている。
【0022】
具体的には、カメラユニット20は、車両1よりも高いポール21の先端寄りの箇所から延出するアーム22によって、図1及び図2に示すように、充電エリア10の中央上空の設置箇所に固定して配置されている。設置箇所のカメラユニット20は、車両1よりも高い箇所から、カメラユニット20の下方に広がる充電エリア10の全体を、後述するカメラ23(図3参照)によって撮影することができる。
【0023】
充電エリア10の駐車枠12~14よりも入口11寄りの箇所には、誘導開始枠18が設けられている。
【0024】
各駐車枠12~14において車両1のバッテリ7を非接触充電方式で充電させるには、地上側コイル部15~17に車両側コイル部2が正対するように、各駐車枠12~14に対して車両1を位置合わせすることが重要となる。地上側コイル部15~17に車両側コイル部2が正対すると、両者が強く電磁気結合して両者間の電力伝送効率が高くなる。本実施形態では、カメラユニット20による充電エリア10の撮影画像に基づいて、各駐車枠12~14に対して車両1を位置合わせする。
【0025】
カメラユニット20は、車両1の底部の車両側コイル部2が車両1の陰になって見えない位置にある。この位置関係では、カメラユニット20のカメラ23による撮影画像において、車両側コイル部2が地上側コイル部15~17に正対しているかどうかを確認することができない。
【0026】
そこで、本実施形態では、車両1の車体の最上部である屋根3における車両側コイル部2の真上の位置に、車両側コイル部2の位置を示すマーク4を設けている。マーク4は、撮影画像中において屋根3との区別が付く色又は体裁のものであれば良い。
【0027】
カメラ23は、車両1よりも高い箇所から充電エリア10の全体を下向きに撮影するので、車両1の屋根3に設けたマーク4を撮影することができる。カメラ23の撮影画像においてマーク4の位置を知ることで、マーク4の真下にある車両側コイル部2の位置を知ることができる。車両1は、カメラ23の撮影画像を参照することで、駐車枠12~14のうち他の車両1が駐車しておらず空いている駐車枠に誘導することができる。マーク4は、カメラ23の撮影画像に写る部分であれば、車両1の車体における屋根3以外の部分に配置してもよい。
【0028】
次に、車両1を充電エリア10の駐車枠12~14のうち空いている駐車枠に誘導する第1実施形態の車両の誘導支援システムにおける制御系の概略構成について、図3を参照して説明する。
【0029】
車両1には、車両側制御ユニット5及び車両側給電装置6が実装される。車両側制御ユニット5は、充電エリア10の後述する地上側制御ユニット19、カメラユニット20の後述する制御部24とそれぞれ通信することができる。この通信には、例えば、Bluetooth(登録商標)、920MHz帯の周波数を利用した特定小電力無線、Zigbee(登録商標)又はWiFi(登録商標)等の無線通信を用いることができる。
【0030】
非接触充電装置である車両側給電装置6は、上述した車両側コイル部2と、地上側コイル部15~17のうち車両側コイル部2と正対する地上側コイル部から供給された充電用電力により車両1のバッテリ7を充電する充電回路8等を有している。車両側コイル部2は、車両1が駐車枠の充電位置に駐車すると、駐車した駐車枠に設けられた地上側コイル部と正対する。
【0031】
本実施形態では、車両1が自動運転制御車両で構成されている。そのため、車両1には、自動運転装置9がさらに実装される。
【0032】
自動運転装置9は、車両側制御ユニット5が生成する誘導情報中の目標位置に向けて車両1が自動運転されるように、車両1を公知の方法で自動運転制御する。自動運転装置9は、車両1の自動運転制御の内容を、画像及び音声のうち少なくとも一方により車両1の乗員に報知する機能を有していてもよい。
【0033】
充電エリア10には、地上側制御ユニット19が設けられる。地上側制御ユニット19は、例えば、LAN(Local Area Network)30を介して、各駐車枠12~14の地上側給電装置31~33及びカメラユニット20の制御部24と通信を行うことができる。
【0034】
各地上側給電装置31~33は、上述した各地上側コイル部15~17と、各地上側コイル部15~17から車両側コイル部2に充電用電力を供給させる給電回路34~36等をそれぞれ有している。各地上側給電装置31~33は、地上側制御ユニット19から受信する後述の給電開始指令に基づいて、各地上側コイル部15~17が車両側コイル部2に供給する充電用電力を決定することができる。
【0035】
カメラユニット20は、上述したカメラ23及び制御部24を有している。制御部24は、カメラ23の撮影画像を画像処理して、充電エリア10の駐車枠12~14のそれぞれが空いているかどうかを判定することができる。駐車枠12~14が空いていることは、例えば、地上側コイル部15~17が車両1によって隠されずに撮影画像中に写っていることで判定することができる。
【0036】
例えば、車両1が駐車していて駐車枠12が空いていないと、車両1よりも高い箇所から充電エリア10の全体を撮影するカメラ23の撮影画像には、車両1の陰になって隠れた駐車枠12の地上側コイル部15が写らない。車両1が駐車しておらず駐車枠12が空いていると、車両1の陰に隠れないので、駐車枠12の地上側コイル部15がカメラ23の撮影画像に写る。
【0037】
駐車枠12が空いているかどうかは、駐車枠12の地上側コイル部15がカメラ23の撮影画像に写るかどうかで判定することができる。駐車枠13,14がそれぞれ空いているかどうかも、駐車枠12と同様に、カメラ23の撮影画像によって判定することができる。
【0038】
制御部24は、駐車枠12~14のそれぞれが空いているかどうかの判定結果を、LAN30を介して地上側制御ユニット19に通知することができる。
【0039】
また、制御部24は、カメラ23の撮影画像を画像処理して、充電エリア10における車両1の位置を検出することができる。制御部24は、検出した車両1の位置を、LAN30を介して地上側制御ユニット19に通知することができる。
【0040】
制御部24は、入口11から充電エリア10に入場した車両1が自動運転制御で誘導開始枠18に一旦停車した後は、マーク4と駐車枠12~14の地上側コイル部15~17のうち空いている駐車枠の地上側コイル部との相対位置を検出することができる。マーク4は車両側コイル部2の真上にあるので、制御部24が検出する相対位置は、車両側コイル部2と空いている駐車枠の地上側コイル部との相対位置となる。制御部24は、検出した相対位置を、無線通信により車両1の車両側制御ユニット5に通知することができる。
【0041】
制御部24は、充電エリア10の路面に対するカメラ23のレンズ(図示せず)の光軸の角度を、カメラ23による撮影画像の充電エリア10に対する位置関係を特定する情報として、予め把握しているものとする。この位置関係を特定する情報として、制御部24は、また、カメラ23のレンズの光軸周りにおけるカメラ23の撮影画像の基準角度からの回転方向及び回転角度を、予め把握しているものとする。
【0042】
さらに、制御部24は、撮影画像の充電エリア10に対する位置関係を特定する情報として、充電エリア10の路面における路面方向の距離とカメラ23の撮影画像における距離との関係(スケーリング)を予め把握しているものとする。
【0043】
制御部24は、以上の予め把握している情報を用い、カメラ23の撮影画像に基づいて、充電エリア10の路面方向における相対位置を検出することができる。また、充電エリア10の路面上を走行する車両1の路面に対する姿勢は既知であることから、制御部24は、屋根3のマーク4の位置を介して車両側コイル部2の位置を検出することができる。
【0044】
本実施形態では、充電エリア10の路面は平らであるものとする。充電エリア10の路面が重力方向と直交する水平面に対して傾斜しているか否かは任意である。
【0045】
以上の構成により、本実施形態では、充電エリア10の地上側制御ユニット19、カメラユニット20の制御部24及び車両1の車両側制御ユニット5によって、車両1の誘導支援システム100を構築することができる。
【0046】
充電エリア10に入場した車両1を、駐車枠12~14のうち他の車両1が駐車しておらず空いている駐車枠に駐車させてバッテリ7の充電を行わせる際に、誘導支援システム100において実行される処理等の手順を、図4のフローチャートを参照して説明する。図4のフローチャートは、地上側制御ユニット19が行う処理の手順を示している。
【0047】
車両1が充電エリア10に入場し、誘導開始枠18で停車すると、車両側制御ユニット5は、地上側制御ユニット19に、給電リクエスト信号を送信する。給電リクエスト信号は、例えば、車両1において把握されているバッテリ7の充電状態(SOC:State Of Charge )、バッテリ7の対応可能な充電方式(急速充電、普通充電等)の情報を含んでいてもよい。また、給電リクエスト信号は、例えば、自動運転制御による車両1の運行スケジュールから割り出した、今後のバッテリ7の消費量に見合った必要充電量の情報を含んでいてもよい。
【0048】
地上側制御ユニット19は、車両1からの給電リクエスト信号を受信すると(ステップS11でYES)、駐車枠12~14のそれぞれが空いているかどうかを判定する(ステップS13)。この判定を行うために、地上側制御ユニット19は、車両1からの給電リクエスト信号を受信すると、カメラユニット20の制御部24に空き検知指令を送信する。
【0049】
制御部24は、空き検知指令を受信すると、カメラ23の撮影画像を画像処理して駐車枠12~14のそれぞれが空いているかどうかを判定し、駐車枠12~14のうち空いている1又は複数の駐車枠の番号リストを地上側制御ユニット19に送信する。制御部24は、駐車枠12~14のうち空いている駐車枠の番号を、例えば、撮影画像中の地上側コイル部15~17の位置によって判別することができる。制御部24は、駐車枠12~14にペイント等で記載されている番号をカメラ23の撮影画像中で文字認識して、駐車枠12~14のうち空いている駐車枠の番号を判別してもよい。
【0050】
地上側制御ユニット19は、制御部24からの番号リストを受信すると、駐車枠12~14のうちに、空いている駐車枠が存在するか否かを確認する(ステップS15)。地上側制御ユニット19は、番号リストよって具体的な番号が通知されたか否かによって、駐車枠12~14のうちに、空いている駐車枠が存在するか否かを確認することができる。
【0051】
駐車枠12~14のうちに、空いている駐車枠が存在しない場合は(ステップS15でNO)、地上側制御ユニット19は、無線通信により車両側制御ユニット5に、駐車を許可しない入場不可信号を送信した後(ステップS17)、一連の処理を終了する。駐車枠12~14のうちに、空いている駐車枠が存在する場合は(ステップS15でYES)、地上側制御ユニット19は、駐車を許可する入場可信号を、無線通信により車両側制御ユニット5に送信する(ステップS19)。
【0052】
地上側制御ユニット19は、駐車枠12~14のうち空いている駐車枠の中から、車両1を駐車させる駐車枠を1つ決定する。決定される駐車枠は、駐車枠12~14のいずれかとなる。以下、地上側制御ユニット19により車両1を駐車させる駐車枠として決定された駐車枠を、「決定された駐車枠」と称する。地上側制御ユニット19は、決定された駐車枠が駐車枠12~14のいずれであるかを通知する番号通知を、制御部24に送信する(ステップS21)。さらに、地上側制御ユニット19は、カメラ23による充電エリア10の撮影開始指令を制御部24に送信する(ステップS23)。
【0053】
制御部24は、撮影開始指令を受信すると、カメラ23による充電エリア10の撮影を開始する。そして、制御部24は、番号通知を受信すると、車両1のマーク4と、番号通知により通知された、決定された駐車枠の地上側コイル部との相対位置を、カメラ23の撮影画像から検出する。
【0054】
以下、決定された駐車枠として番号通知により通知された地上側コイル部を、「決定された地上側コイル部」と称する。決定された地上側コイル部は、駐車枠12~14の地上側コイル部15~17のいずれかとなる。
【0055】
制御部24は、検出した相対位置を車両1の誘導内容として、無線通信により車両側制御ユニット5に通知する。相対位置の通知は、例えば、一定の周期毎に繰り返して行うことができる。マーク4は車両側コイル部2の真上にあるので、制御部24が検出する相対位置は、車両側コイル部2と決定された地上側コイル部との相対位置となる。
【0056】
決定された駐車枠に進入した車両1の陰になってカメラ23の視界から決定された地上側コイル部が隠れても、カメラ23に対する決定された地上側コイル部の相対位置は変わらない。制御部24は、例えば、車両1の陰になってカメラ23の視界から隠れる前の撮影画像から検出した決定された地上側コイル部の位置を記憶しておくことで、決定された地上側コイル部と車両側コイル部2との相対位置を検出し続けることができる。
【0057】
地上側制御ユニット19からの入場可信号を受信した車両側制御ユニット5は、制御部24から通知された相対位置に基づいて、自動運転装置9により車両1を、誘導開始枠18から決定された地上側コイル部を有する決定された駐車枠に移動させる。
【0058】
具体的には、カメラ23の撮影画像に基づいて、車両側コイル部2と決定された地上側コイル部の相対位置がわかるので、車両側制御ユニット5は、車両側コイル部2が決定された地上側コイル部と正対する充電位置に来るよう、車両1を移動させる。決定された駐車枠は、地上側制御ユニット19がステップS21の動作で送信した番号通知により通知された、空いている駐車枠である。よって、車両1は、車両側制御ユニット5の制御により、決定された駐車枠に進入することができる。
【0059】
車両側制御ユニット5は、制御部24から通知された相対位置に基づいて、車両側コイル部2が決定された地上側コイル部と正対する充電位置まで移動したことを認識したら、車両1が誘導先である決定された駐車枠に到達したものと判断する。決定された駐車枠に到達したものと判断した車両側制御ユニット5は、車両1を決定された駐車枠に駐車させ、地上側制御ユニット19に到達信号を送信する。
【0060】
地上側制御ユニット19は、車両1からの到達信号を受信すると(ステップS25でYES)、カメラ23による充電エリア10の撮影停止指令を制御部24に送信する(ステップS27)。さらに、地上側制御ユニット19は、制御部24に通知した決定された駐車枠の地上側給電装置に給電開始指令を出力し(ステップS29)、一連の処理を終了する。
【0061】
以下、地上側制御ユニット19が給電開始指令を出力した地上側給電装置を、「決定された地上側給電装置」と称する。決定された地上側給電装置は、駐車枠12~14の地上側給電装置31~33のいずれかとなる。
【0062】
給電開始指令は、地上側制御ユニット19が車両側制御ユニット5から受信した給電リクエスト信号中のバッテリ7の充電状態、必要充電量等の情報を含んでいてもよい。給電開始指令を受信した決定された地上側給電装置は、決定された駐車枠に駐車した車両1の車両側給電装置6との間で充電制御用の通信を行う。この通信は、例えば、CHAdeMO等の規格にしたがったプロトコルで行うことができる。
【0063】
決定された地上側給電装置は、バッテリ7の充電動作を、給電回路及び決定された地上側コイル部に実行させる。以下、決定された地上側給電装置の給電回路を、「決定された給電回路」と称する。決定された給電回路は、地上側給電装置31~33の給電回路34~36のいずれかとなる。決定された地上側給電装置が決定された給電回路及び決定された地上側コイル部に実行させるバッテリ7の充電動作の内容を、給電リクエスト信号中の情報の内容に応じて変えてもよい。
【0064】
以上に説明した実施形態では、車両の誘導支援システムの停車枠を、充電エリア10の各駐車枠12~14によって実現している。本実施形態では、車両の誘導支援システムの位置特定部及び内容決定部を、制御部24によって実現することができる。本実施形態では、車両の誘導支援システムの車両誘導部を、車両側制御ユニット5及び自動運転装置9によって実現することができる。
【0065】
このように構成した本実施形態の誘導支援システム100によれば、車両1よりも高い箇所からカメラ23により充電エリア10の画像を撮影する。制御部24が、カメラ23の撮影画像を画像処理し、屋根3のマーク4の位置に基づいて、駐車枠12~14の地上側コイル部15~17のうち車両1が駐車しておらず空いている駐車枠の地上側コイル部と、車両側コイル部2との相対位置を検出する。
【0066】
自動運転装置9は、誘導先である決定された駐車枠の決定された地上側コイル部が車両1の陰になってカメラ23の視界から隠れても、制御部24から通知される相対位置に基づいて、決定された駐車枠の充電位置に車両1を移動させることができる。
【0067】
以上に説明した実施形態では、カメラ23をポール21及びアーム22により充電エリア10の中央上空の設置箇所に固定して配置した。しかし、カメラ23を飛行体に搭載して充電エリア10の中央上空に飛行させても良い。
【0068】
カメラ23を飛行体に搭載する場合、カメラユニット20の制御部24は、カメラ23と共に飛行体に搭載してもよく、地上に設置しても良い。カメラユニット20をまるごと飛行体に搭載する場合は、地上側制御ユニット19が接続されたLAN30と制御部24との間の通信を、例えば、無線アクセスポイントを経由した無線通信で行うことができる。制御部24を地上に設置する場合は、カメラ23と制御部24との間の通信を、例えば、無線アクセスポイントを経由した無線通信で行うことができる。
【0069】
図5は第2実施形態に係る誘導支援システム100によって車両1の誘導を支援する充電エリアを示している。第2実施形態の誘導支援システム100では、飛行体としてのドローン40にカメラ23を搭載する。ドローン40を運用するために、図5の充電エリア10には、ドローン40の駐機エリア41が設けられている。駐機エリア41では、駐機中のドローン40のバッテリ(図示せず)を充電することができる。カメラ23の電源は、ドローン40のバッテリと兼用でもよく、ドローン40とは別の専用バッテリでもよい。
【0070】
カメラ23をドローン40に搭載する場合は、ドローン40の飛行位置によってカメラ23の撮影箇所が移動する。このため、カメラ23の撮影画像から制御部24が車両1、車両側コイル部2又はマーク4、駐車枠12~14、地上側コイル部15~17等の位置を検出するために、充電エリア10の路面に2つの基準マーク42を配置している。制御部24は、撮影画像における各基準マーク42の位置及び大きさによって、充電エリア10に対するドローン40の高さを含む飛行位置を検出し、カメラ23の撮影箇所を特定することができる。
【0071】
第2実施形態の誘導支援システム100では、図6に示すように、駐機エリア41から充電エリア10の中央上空の車両1よりも高い撮影箇所でドローン40をホバリングさせることができる。ドローン40には、例えば、図7に示すように、カメラ23を含むカメラユニット20と自動操縦部43とを搭載することができる。自動操縦部43は、ドローン40を操縦して目標位置に向けて飛行させることができる。
【0072】
ドローン40の自動操縦部43は、例えば、地上側制御ユニット19からの指令信号を受信して、指令信号に応じた飛行動作をドローン40に実行させることができる。例えば、飛行指令信号の場合は、自動操縦部43は、ドローン40を駐機エリア41から離陸させて目的の撮影箇所に飛行させる。また、着陸指令信号の場合は、自動操縦部43は、撮影箇所からドローン40を帰還させて駐機エリア41から離陸させる。また、自動操縦部43は、例えば、目的の撮影箇所にドローン40が到達したら、その旨を通知する信号を地上側制御ユニット19に送信することができる。
【0073】
自動操縦部43と地上側制御ユニット19との通信は、例えば、地上側制御ユニット19が接続されたLAN30上の無線アクセスポイントを経由した無線通信で行うことができる。
【0074】
以上に説明した点を除き、第2実施形態の誘導支援システム100の構成は、第1実施形態の誘導支援システム100の構成と同様である。
【0075】
充電エリア10に入場した車両1を空いている駐車枠に駐車させてバッテリ7の充電を行わせる際に、第2実施形態の誘導支援システム100において実行される処理等の手順を、図8及び図9のフローチャートを参照して説明する。図8及び図9のフローチャートは、地上側制御ユニット19が行う処理の手順を示している。
【0076】
図8に示すように、地上側制御ユニット19は、充電エリア10に入場し、誘導開始枠18で停車した車両1からの給電リクエスト信号を受信すると(ステップS31でYES)、自動操縦部43に飛行指令信号を送信する(ステップS33)。
【0077】
自動操縦部43は、地上側制御ユニット19からの飛行指令信号を受信すると、ドローン40を駐機エリア41から離陸させて目的の撮影箇所に飛行させる。そして、撮影箇所にドローン40が到達したら、地上側制御ユニット19に到着信号を送信する。
【0078】
地上側制御ユニット19は、自動操縦部43からの到着信号を受信すると(ステップS35でYES)、図8のステップS37~図9のステップS51において、図4のフローチャートにおけるステップS13~ステップS27と同一の処理をそれぞれ実行する。さらに、地上側制御ユニット19は、図9に示すように、自動操縦部43に着陸指令信号を送信し(ステップS53)、制御部24に通知した決定された駐車枠の地上側給電装置に給電開始指令を出力した後(ステップS55)、一連の処理を終了する。
【0079】
以上に説明した第2実施形態でも、車両の誘導支援システムの停車枠を、充電エリア10の各駐車枠12~14によって実現している。また、本実施形態でも、車両の誘導支援システムの位置特定部及び内容決定部を、制御部24によって実現することができる。さらに、本実施形態でも、車両の誘導支援システムの車両誘導部を、車両側制御ユニット5及び自動運転装置9によって実現することができる。
【0080】
このように構成した第2実施形態の誘導支援システム100によっても、第1実施形態の誘導支援システム100と同じく、制御部24から通知される相対位置に基づいて、決定された駐車枠の充電位置に車両1を移動させることができる。
【0081】
ドローン40を操縦する自動操縦部43は、ドローン40に搭載せず地上に設けてもよい。自動操縦部43を地上に設ける場合は、自動操縦部43と地上側制御ユニット19との通信を、例えば、LANを介して行うことができる。ドローン40は、自動操縦部43から無線で送信される制御信号を受信して、遠隔操縦により目標位置に向けて飛行する構成とすることができる。
【0082】
以上の各実施形態において、充電エリア10の上空のカメラ23で充電エリア10を撮影すると、図10に示すように、カメラ23のレンズ中心点Oから焦点距離fだけ離れた結像面上に、充電エリア10の像が結像される。充電エリア10の路面上の座標値(SRx,SRy)の点は、結像面上の座標値(-SIx,-SIy)の点に転写される。しかし、同じ座標値(-SIx,-SIy)=(-MIx,-MIy)の点には、充電エリア10の路面から高さKのxz平面上の座標値(MRx,MRy)の点も転写される。
【0083】
このため、充電エリア10の路面から上方に離れている物体については、カメラ23の結像面上におけるレンズ光軸の通過点と座標値(-SIx,-SIy)の点とを結ぶ2点間の距離iだけでは、実空間の対応する2点間の距離を正しく検出することができない。
【0084】
そこで、制御部24は、カメラ23の撮影画像に写った像に対応する物体が充電エリア10の路面から離れている場合は、その物体の充電エリア10の路面からの高さKを考慮して、実空間である充電エリア10における2点間の距離を検出する。具体的には、図10に示すカメラ23のレンズ光軸の通過点に対する撮影画像上の対象点の路面方向における相対位置に応じた距離として、対象点を路面上と仮定した場合の距離I1の代わりに、路面から高さKの位置と仮定した場合の距離I2を求める。
【0085】
マーク4は路面上より高い位置に設置されているので、その路面からの高さをKとし、マーク4の位置として、図10の距離I2に相当する距離を求める。車両側コイル部2はマーク4の真下にあるので、車両側コイル部2の高さにおいても、路面方向における車両側コイル部2の位置はマーク4と同じ位置である。
【0086】
マーク4の高さKは、すべての車両1の屋根3が同一の高さであれば、その高さを例えば制御部24に記憶しておけばよい。車両1の屋根3の高さが車両1毎に異なるのであれば、車両1毎の高さを例えばその車両1の車両側制御ユニット5に記憶しておけばよい。車両側制御ユニット5に記憶したその車両1の高さは、給電リクエストといっしょに地上側制御ユニット19へ送信し、さらに地上側制御ユニット19から制御部24へ送信することができる。すべての車両1の屋根3が同一の高さである場合に、車両1の高さをその車両1の車両側制御ユニット5に記憶して、地上側制御ユニット19を介して制御部24に送信してもよい。
【0087】
地上側コイル部15~17は充電エリア10の路面に設置されているので、地上側コイル部15~17の位置の計算にはこのような配慮は不要である。
【0088】
図11は第3実施形態に係る誘導支援システム100によって車両1の誘導を支援する充電エリアを示している。第3実施形態の誘導支援システム100では、車両1を自動運転制御車両でなく、不図示の運転者が運転する非自動運転制御車両としている。したがって、本実施形態の車両1には自動運転装置9が実装されない。
【0089】
そして、本実施形態の誘導支援システム100では、充電エリア10の誘導開始枠18に停車した車両1の運転者から見える位置に、案内用表示ユニット44を設置している。案内用表示ユニット44は、例えば、案内用表示ディスプレイで構成することができる。また、各駐車枠12~14に進入する車両1の運転者から見える位置に、誘導用表示ユニット45~47をそれぞれ設置している。誘導用表示ユニット45~47は、例えば、誘導用表示ディスプレイでそれぞれ構成することができる。
【0090】
案内用表示ユニット44及び誘導用表示ユニット45~47は、例えば、制御部24が検出する充電エリア10における車両1の位置の通知を受けた地上側制御ユニット19の制御によって、それぞれに応じた表示を行うことができる。
【0091】
例えば、案内用表示ユニット44では、図12に示すように、誘導開始枠18で車両1を一旦停止させた運転者に、誘導開始枠18から先の車両1を誘導する誘導先の駐車枠12~14を知らせることができる。誘導先の駐車枠12~14は、例えば、対応するインジケータ48~50の案内用表示ユニット44における表示色だけを変えることで、案内することができる。
【0092】
誘導先の駐車枠とは決定された駐車枠のことである。例えば、決定された駐車枠が駐車枠12であればインジケータ48だけ表示色を変える。決定された駐車枠が駐車枠13であればインジケータ49だけ表示色を変える。決定された駐車枠が駐車枠14であればインジケータ50だけ表示色を変える。
【0093】
また、誘導用表示ユニット45~47では、図13に示すように、各駐車枠12~14に進入する車両1の運転者に、進入した駐車枠12~14の地上側コイル部15~17と車両側コイル部2との相対的な位置関係を報知することができる。相対位置は、例えば、駐車枠12~14及び地上側コイル部15~17にそれぞれ対応するインジケータ51及び+マーク52と、車両1及び車両側コイル部2にそれぞれ対応するインジケータ53及び○マーク54との位置関係によって、報知することができる。
【0094】
以上に説明した点を除き、第3実施形態の誘導支援システム100の構成は、第1実施形態の誘導支援システム100の構成と同様である。
【0095】
以上に説明した第3実施形態でも、車両の誘導支援システムの停車枠を、充電エリア10の各駐車枠12~14によって実現している。また、本実施形態でも、車両の誘導支援システムの位置特定部及び内容決定部を、制御部24によって実現することができる。さらに、本実施形態では、車両の誘導支援システムの車両誘導部を、地上側制御ユニット19と、表示デバイスとしての案内用表示ユニット44及び誘導用表示ユニット45~47とによって実現することができる。
【0096】
このように構成した第3実施形態の誘導支援システム100によっても、第1実施形態の誘導支援システム100と同じく、制御部24から通知される相対位置に基づいて、決定された駐車枠の充電位置に車両1を移動させることができる。
【0097】
第3実施形態の誘導支援システム100では、充電エリア10に設置した案内用表示ユニット44及び誘導用表示ユニット45~47により、車両1の外で運転者に決定された駐車枠と目標の充電位置とを報知するものとした。しかし、案内用表示ユニット44及び誘導用表示ユニット45~47において表示した内容を、車両1の中で運転者に報知する構成としてもよい。
【0098】
その場合は、自動運転装置9の代わりにガイダンス提示装置(図示せず)を車両1に実装することができる。そして、ガイダンス提示装置は、例えば、制御部24が検出する充電エリア10における車両1の位置の通知を、地上側制御ユニット19を経由して受け、通知された内容に応じて、車両1の運転者に向けたガイダンス情報を生成する。ガイダンス情報は、例えば、車両1を誘導先の駐車枠12~14の充電位置に車両1を移動させる操作を運転者に要求する内容とすることができる。
【0099】
ガイダンス提示装置は、生成したガイダンス情報に基づいて、画像及び音声のうち少なくとも一方によるガイダンスを、例えば、図11に破線で示すように、報知デバイスとして車両1の内部に設けた車内報知ユニット55において、運転者に向けて出力する。出力するガイダンスは、例えば、決定された駐車枠への車両1の経路を運転者に認識させるためのメッセージとすることができる。
【0100】
画像によるガイダンスの出力は、例えば、ディスプレイを用いて実現することができる。音声によるガイダンスの出力は、例えば、スピーカを用いて実現することができる。つまり、車内報知ユニット55はディスプレイ及びスピーカのうち少なくとも一方によって構成することができる。ディスプレイ、スピーカは、例えば、カーナビゲーション装置に搭載されたものを利用することができる。この場合、車内報知ユニット55はカーナビゲーション装置によって構成することができる。
【0101】
以上に説明した各実施形態では、車両1を誘導する誘導先が、駐車場である充電エリア10の、地上側給電装置31~33の地上側コイル部15~17を設けた駐車枠12~14のうちいずれかであるものとした。しかし、車両1の誘導先は、地上側コイル部を有していれば、駐車場の駐車枠以外の停車枠であってもよい。
【0102】
以上に説明した各実施形態では、車両1を誘導先の駐車枠12~14に誘導するための構成を有する誘導支援システム100について説明した。しかし、車両を誘導先の停車枠に誘導するための構成を誘導支援システム自身が有していない構成としてもよい。
【0103】
各実施形態において、カメラユニット20又はカメラ23の位置は、充電エリア10の全体がカメラ23の視野に入っていれば、充電エリア10の中央からずれた位置の上空であってもよい。
【0104】
各実施形態において、マーク4をLED等の発光体で構成し、カメラ23の撮影画像においてマーク4が車両1の屋根3と区別して識別されるマーク4の点灯状態と消灯状態を切り替える構成としてもよい。発光体で構成したマーク4は、例えば、カメラ23の撮影画像に基づいて車両1を決定された駐車枠に誘導する期間だけ点灯状態とし、それ以外の期間を消灯状態とすることができる。
【0105】
マーク4を点灯状態とする期間は、例えば、第1実施形態では、少なくとも図4のステップS23~ステップS27を含む手順を実行する期間とすることができる。第2実施形態では、少なくとも図8のステップS47~図9のステップS51を含む手順を実行する期間を、マーク4を点灯状態とする期間とすることができる。決定された駐車枠への車両1の誘導が必要ない期間は、マーク4を消灯状態とすることで、マーク4を目立たせず車両1の外観を損ねないようにすることができる。
【0106】
各実施形態において、マーク4を、可視光線の波長域では車両1の屋根3と見分けられないがカメラ23が感度を有する波長域では屋根3と識別できる塗料又は材料で構成してもよい。カメラ23が感度を有する波長域は、例えば、近赤外線の波長域とすることができる。この塗料又は材料でマーク4を構成すると、肉眼ではマーク4の存在を認識できないので、人間が見たときの車両1の外観を損ねないようにすることができる。
【0107】
第2実施形態において、基準マーク42の形態、数量、配置のうち一部又は全部は、充電エリア10に対するドローン40の高さを含む飛行位置を基準マーク42によって制御部24が検出できる限り、第2実施形態で説明した内容と異なってもよい。基準マーク42の代わりに、例えば、DGPS(Differential Global Positioning System)等の測位用の電波を受信して位置及び姿勢を検出する手段を用いて、充電エリア10に対するドローン40の高さを含む飛行位置を検出してもよい。
【0108】
各実施形態においては、駐車場の充電エリア10を車両1の走行エリアとした場合について説明した。しかし、車両1の走行エリアとする施設は、車両1のバッテリ7を充電する非接触充電装置が存在する施設であれば、駐車場以外の施設であってもよい。
【0109】
以上にいくつかの実施形態を説明したが、上記開示内容に基づいて実施形態の修正または変形をすることが可能である。上記実施形態のすべての構成要素、及び請求の範囲に記載されたすべての特徴は、それらが互いに矛盾しない限り、個々に抜き出して組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0110】
1 車両
2 車両側コイル部
3 屋根
4 マーク
5 車両側制御ユニット(車両誘導部)
6 車両側給電装置
7 バッテリ
8 充電回路
9 自動運転装置(車両誘導部)
10 充電エリア
11 入口
12~14 駐車枠(停車枠)
15~17 地上側コイル部
18 誘導開始枠
19 地上側制御ユニット(車両誘導部)
20 カメラユニット
21 ポール
22 アーム
23 カメラ
24 制御部(位置特定部、内容決定部)
30 LAN
31~33 地上側給電装置
34~36 給電回路
40 ドローン(飛行体)
41 駐機エリア
42 基準マーク
43 自動操縦部
44 案内用表示ユニット(車両誘導部、表示デバイス)
45~47 誘導用表示ユニット(車両誘導部、表示デバイス)
48~50 インジケータ
52 +マーク
51,53 インジケータ
54 ○マーク
55 車内報知ユニット(報知デバイス)
100 誘導支援システム
I1,I2 実空間の2点間距離
i 撮影画像上の2点間距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13