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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】工程情報管理システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20240925BHJP
   G06Q 50/04 20120101ALI20240925BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020103724
(22)【出願日】2020-06-16
(65)【公開番号】P2021196940
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100180275
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 倫太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100161861
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 裕介
(72)【発明者】
【氏名】吉原 和英
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-025107(JP,A)
【文献】特開2005-149004(JP,A)
【文献】国際公開第2008/038434(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工対象と、前記加工対象に対して施す複数の加工工程のそれぞれの工程特定情報とを対応付けて管理する工程情報管理システムにおいて、
それぞれの前記加工工程の作業エリア毎に、
所定の検知範囲を有し、前記工程特定情報を含む第1のタグ情報を受信する第1のタグ情報受信手段と、
所定の検知範囲を有し、前記加工対象に付された当該加工対象を特定する加工対象識別情報を含む第2のタグ情報を受信する第2のタグ情報受信手段と、
前記第1のタグ情報受信手段により受信された情報に基づいて、前記第1のタグ情報を検知する工程特定情報検知手段と、
前記第2のタグ情報受信手段により受信された情報に基づいて、前記第2のタグ情報を検知する加工対象検知手段と、
前記工程特定情報検知手段によって前記第1のタグ情報が検知され、前記加工対象検知手段によって前記第2のタグ情報が検知された場合に、前記第2のタグ情報と、前記第1のタグ情報とを関連付けた工程情報を生成する工程情報生成手段と
を有し、
前記作業エリア毎の前記工程情報生成手段から取得した前記工程情報に基づいて、前記第2のタグ情報に含まれる前記加工対象識別情報に対して、それぞれの前記加工工程の前記工程特定情報を対応付けた前記工程情報を記録する工程情報管理手段
を備えることを特徴とする工程情報管理システム。
【請求項2】
前記第1のタグ情報を有する第1の無線タグが、それぞれの前記加工工程で用いられる部材を収容する収容部に付与されたものであり、前記工程特定情報は、前記部材に関する部材情報を含むものであり、
前記工程情報管理手段が、収集した前記工程情報に基づいて、それぞれの前記加工工程で前記加工対象に対して用いられた前記部材に関する部材情報を含む前記工程情報を記録する
ことを特徴とする請求項1に記載の工程情報管理システム。
【請求項3】
それぞれの前記加工工程で用いられる部材は、液体又は気体を含むものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の工程情報管理システム。
【請求項4】
前記工程情報は、それぞれの前記加工工程で作業した作業者識別情報を含むものであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の工程情報管理システム。
【請求項5】
前記工程情報は、それぞれの前記加工工程で使用した機器を特定する機器識別情報を含むものであることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の工程情報管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工程情報管理システムに関し、例えば、製品を生産・製造する各工程で、加工対象に対して行なった加工に関する情報を管理する工程情報管理システムに適用し得るものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、トレーサビリティが必要となる製品に関しては、例えば、生産計画の段階でどのような部品を取り付けるのかを関連付けしておくか、また例えば、実際の製造過程において、どのような部品を取り付けたのかを関連付けする必要がある。
【0003】
実際の製造過程で、製品と使用した部品とを関連付けする場合、例えば、人間が管理シートに部品ロットなどの情報を記入したり、また例えば、部品ロットなどの部品情報が格納されたバーコードを部品等に付与し、そのバーコードの情報を読み取り製品と関連付けすること等が行なわれている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-026843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、生産計画の段階で製品と部品情報とを関連付ける場合、実際に製品に使用した部品のロット番号等まで正確に管理することができない。他方、製造過程で、製品と部品情報とを関連付ける場合、管理シートへの記入間違いや、バーコードの読み取りなどの人的なミスが生じ得る。また、バーコードの情報の読み取りは、バーコードを読み取り可能な位置までリーダを近づけることが必要となってしまう。
【0006】
そのため、人的なミスを軽減でき、作業負担を軽減でき、効率的に、加工対象と、当該加工対象に対して施した加工工程に関する情報とを関連付けて記録することができる工程情報管理システムが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するために、本発明は加工対象と、前記加工対象に対して施す複数の加工工程のそれぞれの工程特定情報とを対応付けて管理する工程情報管理システムにおいて、それぞれの加工工程の作業エリア毎に、(1)所定の検知範囲を有し、工程特定情報を含む第1のタグ情報を受信する第1のタグ情報受信手段と、(2)所定の検知範囲を有し、加工対象に付された当該加工対象を特定する加工対象識別情報を含む第2のタグ情報を受信する第2のタグ情報受信手段と、(3)第1のタグ情報受信手段により受信された情報に基づいて、第1のタグ情報を検知する工程特定情報検知手段と、(4)第2のタグ情報受信手段により受信された情報に基づいて、第2のタグ情報を検知する加工対象検知手段と、(5)工程特定情報検知手段によって第1のタグ情報が検知され、加工対象検知手段によって第2のタグ情報が検知された場合に、第2のタグ情報と、第1のタグ情報とを関連付けた工程情報を生成する工程情報生成手段とを有し、(6)作業エリア毎の工程情報生成手段から取得した工程情報に基づいて、第2のタグ情報に含まれる加工対象識別情報に対して、それぞれの加工工程の工程特定情報を対応付けた工程情報を記録する工程情報管理手を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、人的なミスを軽減でき、作業負担を軽減でき、効率的に、加工対象と、当該加工対象に対して施した加工工程に関する情報とを関連付けて記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態の作業エリアにおける構成例を示す構成図である。
図2】実施形態に係る工程情報管理システムの全体構成の一例を示す全体構成図である。
図3】実施形態に係る工程情報制御装置の内部構成を示す内部構成図である。
図4】実施形態に係る工程情報管理装置の内部構成を示す内部構成図である。
図5】実施形態に係る工程情報取得部により収集される工程情報の構成を説明する構成図である。
図6】実施形態に係る第1のタグ情報と部品情報とを対応付けた情報、第3のタグ情報と作業者/機器識別情報とを対応付けた情報の構成を示す構成図である。
図7】実施形態に係る工程管理情報の構成を示す構成図である。
図8】実施形態に係る工程情報形成装置における処理を示すフローチャートである。
図9】実施形態に係る工程情報管理装置における処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(A)主たる実施形態
以下では、本発明に係る工程情報管理システムの実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
(A-1)実施形態の構成
実施形態に係る工程情報管理システムは、自動車の生産工程における部品等のトレーサビリティシステムに、本発明の工程情報管理システムを適用する場合を例示する。
【0012】
生産方式は、例えば、ライン生産方式、セル生産方式等のように様々な方式があり、実施形態の工程情報管理システムは、これら様々な生産方式に広く適用可能である。この実施形態では、説明を容易にするため、ライン生産方式により自動車を生産する場合を例示して説明する。
【0013】
ここで、「加工」は、加工対象に対して、人間、若しくは機械(産業用ロボットを含む)、器具、機器等によって細工することをいう。例えば、自動車の生産過程では、車両フレームに対して、様々な種類の部品の取り付け、車両ボディ(車体)に対して塗料等の塗布、車両の構成部品(エンジン周辺部品等)にオイル等の液体を注入、車両の構成部品(例えばエアバック等)にガス等を注入するガス注入などが「加工」の概念に含まれる。
【0014】
加工を行なう各工程では、作業者が、手作業で又は機器等を用いて、当該工程で定められた作業を行なうことになる。各工程で作業に使用する部品や塗料等の資材は、部品メーカ等により事前に製造されたものが多く、これら部品等を組み立てて完成品である自動車が製造されることになる。
【0015】
(A-1-1)全体構成
図2は、実施形態に係る工程情報管理システムの全体構成の一例を示す全体構成図である。
【0016】
図2において、製造工場等の現場では、例えばコンベアラインに沿って、事前に計画された各工程(工程#1~工程#N)の順序に従った作業エリアAr1~ArN(Nは正の整数)が区分されている。
【0017】
加工対象とする車両フレーム20には、車両フレーム20を特定する一意に特定する識別情報(以下では、「対象識別情報」、「車両識別情報」とも呼ぶ。)を含む第2のタグ情報を格納する第2の無線タグ2が付与されている。そして、第2の無線タグ2が付与された状態の車両フレーム20が、コンベアラインによって、第1番目の工程#1の作業エリアAr1から、最終工程#Nの作業エリアArNに向けて移動する。
【0018】
第2の無線タグ2は車両フレーム20に対して固定的に付与されてもよいし、又は着脱可能に付与されてもよく、車両フレーム20を特定可能とするため、少なくとも工程#1~#Nまでの区間で、車両フレーム20に第2の無線タグ2が付与されている。したがって、最初の工程#1に進入する前に、第2のタグ情報を格納する第2の無線タグ2が車両フレーム20に付与される。
【0019】
なお、最終工程#N以後に、第2の無線タグ2が車両フレーム20から取り外されるようにしてもよいし、第2の無線タグ2が、そのまま車両フレーム20に取り付けられたままであってもよい。
【0020】
各作業エリアAr1~ArNでは、作業員が、手作業で又は機器等を用いて、加工対象の車両フレーム20に対して、当該工程で規定された工程作業を施すことになる。各作業エリアAr1~ArNで実施される各工程#1~#Nは、トレーサビリティで管理すべき部品(若しくは部材)15を用いた工程である。
【0021】
各作業エリアAr1~ArNには、各工程の工程作業で用いられる部品(若しくは部材)15を収容する収容部10が配置されており、この収容部10には、車両フレーム20に対して行なう工程に割り当てた識別情報を特定する第1のタグ情報を格納する第1の無線タグ1が付与されている。
【0022】
各作業エリアAr1~ArNには、後述する工程情報形成装置3が配置されている。工程情報形成装置3には例えば制御部の装置番号やMACアドレスを利用した固有の管理番号が付与されており、コンベアラインによって運搬されてきた車両フレーム20の第2の無線タグ2から第2のタグ情報を検知すると、部品15を収容する収容部10の第1の無線タグ1から検知した第1のタグ情報とを関連付けた工程情報を、工程情報管理装置4に送信する。
【0023】
これにより、加工対象とする車両フレーム20を特定する第2のタグ情報と、各工程#1~#Nで、車両フレーム20に施した部品(若しくは部材)15を追跡するための第1のタグ情報とを関連付けることができる。
【0024】
さらに、各作業エリアAr1~ArNで作業する作業者や機器等にも、作業者や機器等を一意に特定する作業者・機器等識別情報(以下では、「第3のタグ情報」とも呼ぶ。)を格納する第3の無線タグ6を付与するようにしてもよい。
【0025】
その場合、工程情報形成装置3は、車両フレーム20を特定する第2のタグ情報の検知時に、各工程#1~#Nで用いる部品15を追跡するための第1のタグ情報に加えて、作業者や機器等を特定する第3のタグ情報も、第2のタグ情報及び第1のタグ情報に関連付けた工程情報を形成するようにしてもよい。
【0026】
また、作業エリアを特定するための情報として、工程情報形成装置3の管理番号等を工程情報に含めてもよい。
【0027】
(A-1-2)加工対象の構成
以下では、複数の作業エリアAr1~ArNのうち、ある作業エリアArn(1≦n≦N)における構成を例示して、実施形態の工程情報管理システム9の構成を説明する。
【0028】
図1は、実施形態の作業エリアArnにおける構成例を示す構成図である。
【0029】
[加工対象(車両フレーム)]
加工対象としての車両フレーム20は、完成品である車両の基本的な構成部分とすることができる。
【0030】
ここで、加工対象は、各工程での部品の取り付けや組み込みなどの対象となる基本構成部分である。この実施形態では、部品の取り付けや車両ボディの取り付け対象が車両フレーム20となるため、加工対象が車両フレーム20である場合を例示するが、製品が異なる場合には、その製品の製造過程で基本構成部分となりうるものを加工対象とすることができる。
【0031】
[第2の無線タグ]
第2の無線タグ2は、車両フレーム20に付与される、通信機能を有するRFID(Radio Frequency Identifier)タグである。
【0032】
第2の無線タグ2は、少なくとも、車両フレーム20を一意に特定する識別情報(「対象識別情報」、「車両識別情報」)を含む第2のタグ情報(以下では、「対象情報」とも呼ぶ。)を格納する通信機能を有するRFID(Radio Frequency Identifier)タグであり、車両フレーム20に付与される。
【0033】
第2のタグ情報は、加工対象であることを識別する種別情報と、加工対象(車両フレーム20)を一意に特定する識別情報とを有する。第2のタグ情報は、例えば「xxx」から始まる20桁の英数字の情報とし、「xxx」はタグ情報の種類を示すタグ種別情報(すなわち、車両フレーム20に関するタグ情報であることを示す情報)とし、その後に連続する情報を車両フレーム20を一意に特定する識別情報とすることができる。これにより、工程情報形成装置3において、受信したタグ情報の種別と、加工対象(車両フレーム20)の識別情報とを認識可能とすることができる。
【0034】
ここで、コンベアラインにより車両フレーム20が、各工程#nの作業エリアArnに運搬されてくると、車両フレーム20の第2の無線タグ2が、第2の無線タグ用アンテナ部32の通信範囲T2に属することになり、第2の無線タグ2と第2の無線タグ用アンテナ部32との間で無線通信が開始し、第2の無線タグ2は、対象識別情報を含む第2のタグ情報を、第2の無線タグ用アンテナ部32に送信する。これにより、工程情報形成装置3は、第2のタグ情報を取得でき、当該工程#nの作業エリアArnにおける加工対象(車両フレーム20)を特定することができる。
【0035】
なお、車両フレーム20に第2の無線タグ2を付与する位置は、特に限定されないが、作業エリアArnに配置された第2の無線タグ用アンテナ部32の通信範囲T2に、第2の無線タグ2が属する位置に、第2の無線タグ2を車両フレーム20に付与することが望ましい。
【0036】
ここで、例えば920MHz帯の第2の無線タグ2が、金属部材(導電性部材)で形成されている車両フレーム20に付与されると、電波が金属に反射してしまうなどして、読み取り性能が低下することが生じ得る。
【0037】
そこで、この実施形態では、第2の無線タグ2は、金属面に取り付け可能な「金属対応タグ」を適用することができる。金属対応タグには、様々なものがあり、一般的な高価であるが、この実施形態の第2の無線タグ2は、金属板(導電板)の表面に取り付け、金属の性質を通信に利用して金属板(導電板)をアンテナ部として機能させる金属対応タグを適用するようにしてもよい。
【0038】
このような金属対応タグを第2の無線タグ2として用いることにより、価格を抑えることができ、車両フレーム20の一部を利用して、読み取り性能の低下を防ぐことができる。
【0039】
(A-1-3)収容部10の詳細な構成
[部品(部材)]
部品15は、完成品である自動車を形成するために各工程で使用する構成部材であり、例えば、製品を構成する様々な部品、塗料やオイル等の液体、ガス等の気体などが含まれる。つまり、部品15は、各工程#nの作業エリアArnで車両フレーム20に対して、取り付け、塗布、注入等されるものである。より具体的に、部品15は、例えば、エンジン、座席シート、タイヤ、ランプ、ハンドル、ハーネス等が挙げられる。
【0040】
例えば、部品メーカ等により製造された部品15のロット番号、シリアル番号(品番)、モデル番号、部品の製造メーカ、製造施設などの部品製造に関する部品情報については、部品15に割り当てた第1のタグ情報と関連付けられて、後述する工程情報管理装置4に格納される。
【0041】
換言すると、第1のタグ情報と部品情報とを対応付けた情報を有する工程情報管理装置4は、工程情報形成装置3から受信した工程情報に含まれる第2のタグ情報に基づき車両フレーム20を特定する共に、第1のタグ情報に基づき部品情報を特定できるので、車両フレーム20に対して当該工程で用いられた部品15の部品情報とを関連付けて記録することができる。
【0042】
[収容部]
収容部10は、部品15を収容するものであり、例えば、部品15を収容する箱(ケース)、ガスや液体等を収容する容器などを適用できる。部品メーカにより製造された各部品15は、部品15の種類毎に収容部10に収容されて、各作業エリアArnに配置される。
【0043】
収容部10には、部品メーカにより同一条件で製造された、同一ロットの同一種類の部品15が収容される。図1の例では、収容部10が、同一ロットの同一種類の部品15を収容しているケース(箱)である場合を例示するが、部品15が液体や気体等であるときには、収容部10はボンベや缶等の容器としてもよい。
【0044】
部品15を収容している収容部10は、工程#nの作業エリアArnに配置される。同一種類の部品15の複数の収容部10が、作業エリアArnに配置されるようにしてもよい。つまり、同一の作業エリアArnには、工程作業に使用される部品15の収容部10のほかに、仮置きされた1又は複数の別の収容部10が配置されるようにしてもよい。
【0045】
[第1の無線タグ]
第1の無線タグ1は、工程作業に用いられる部品15を収容する工程関連対象に付与される、通信機能を有するRFIDタグである。
【0046】
ここで、「工程関連対象」は、工程作業で用いられる部品15を特定可能に収容する対象であり、例えば、部品15を収容しているケース、容器、部品15を梱包する梱包物などとすることができる。また「工程関連対象」は、搬送や交換可能なものとしてもよい。
【0047】
第1のタグ情報は、工程に割り当てた識別情報である。第1のタグ情報は、例えば「yyy」から始まる最大35桁の英数字の情報とし、「yyy」は、当該タグ情報の種類を示すタグ種別情報(すなわち、工程に関する情報であることを示す情報)とし、その後に連続する情報を工程を一意に特定する工程識別情報とすることができる。これにより、工程情報形成装置3において、受信したタグ情報の種別と、車両フレーム20に対して行なった工程の工程識別情報とを認識可能とすることができる。
【0048】
ここで、工程作業に用いられる1個の収容部10が、第1の無線タグ用アンテナ部31の近傍に置かれ、第1の無線タグ1が第1の無線タグ用アンテナ部31の通信範囲T1に属すると、第1の無線タグ1と第1の無線タグ用アンテナ部31との間で通信が開始し、第1の無線タグ1は、第1のタグ情報を、第1の無線タグ用アンテナ部31に送信する。このようにすることで、工程#nの作業エリアArnで、車両フレーム20に対して行なった工程の第1のタグ情報を、工程情報形成装置3は獲得することができる。
【0049】
また、作業エリアでの作業が進み、工程作業で用いられていた収容部10が空になり、作業者が次の(別の)収容部10の部品15を使用するときには、作業者により、当該別の収容部10が第1の無線タグ用アンテナ部31の近傍に置かれ、別の収容部10の第1の無線タグ1が、第1の無線タグ用アンテナ部31の通信範囲T1に属するようにすることで、別の収容部10の第1の無線タグ1が通信を開始することになる。このように、収容部10が交換されるたびに、第1の無線タグ用アンテナ部31の通信範囲T1に属するように配置される。
【0050】
[第3の無線タグ]
第3の無線タグ6は、作業者や作業に用いられる機器、機械(産業用ロボットを含む。)等に付与される、通信機能を有するRFIDタグである。第3の無線タグ6は、作業者や作業に用いられる作業者・機器等識別情報を含む第3のタグ情報を格納する。
【0051】
第3のタグ情報は、例えば「zzz」から始まる16桁の英数字の情報とし、「zzz」は、当該タグ情報の種類を示すタグ種別情報(すなわち、作業者・機器等に関する情報であることを示す情報)とし、その後に連続する情報を、作業者や機器等を一意に特定する作業者・機器等識別情報とすることができる。これにより、工程情報形成装置3において、受信したタグ情報の種別と、社業者・機器等識別情報とを認識可能とすることができる。
【0052】
なお、複数の作業者が工程作業を行なう場合でも、複数の作業者のそれぞれの作業者識別情報を、対象識別情報に関連付けることができる。また例えば、製造車種を変更する場合に、作業エリアArnに準備する機器等を変更することもある。その場合でも、変更後の機器識別情報が読み取られて、対象識別情報に関連付けられるので、機器等の変更にも適用できる。
【0053】
(A-1-4)工程情報形成装置の詳細な構成
図1において、工程情報形成装置3は、第1の無線タグ用アンテナ部31、第2の無線タグ用アンテナ部32、工程情報制御装置33を有する。
【0054】
工程情報形成装置3は、収容部10に付与されている第1の無線タグ1と、加工対象の車両フレーム20に付与されている第2の無線タグ2とからタグ情報を取得し、少なくとも、第1のタグ情報と第2のタグ情報とを関連付けた工程情報を形成して工程情報管理装置4に与える。なお、工程情報は、第1のタグ情報と第2のタグ情報と第3のタグ情報とを関連付けた情報としてもよい。
【0055】
[第1及び第2の無線タグ用アンテナ部]
第1の無線タグ用アンテナ部31と第2の無線タグ用アンテナ部32とは、第1の無線タグ1、第2の無線タグ2、第3の無線タグ6のそれぞれが送出する電波を捕捉するアンテナ部である。
【0056】
なお、作業者や機器等に付与される第3の無線タグ6の送出電波は、第1の無線タグ用アンテナ部31又は第2の無線タグ用アンテナ部32のいずれかで捕捉できるようにしてもよいし、又は第3の無線タグ6の電波を捕捉する別のアンテナ部を備えるようにしてもよい。
【0057】
第1の無線タグ用アンテナ部31は、収容部10に付与された第1の無線タグ1の送出電波を捕捉するものである。第1の無線タグ用アンテナ部31は、作業エリアArnで収容部10の配置位置を含むエリアを通信範囲T1とするように設置される。そして、通信範囲T1に、収容部10に付与されている第1の無線タグ1が存在すると、第1の無線タグ用アンテナ部31は、第1の無線タグ1からの送出電波を捕捉し、電気信号に変換して工程情報制御装置33に与える。第1の無線タグ用アンテナ部31は、特定の方向に指向性を有するものを適用できる。
【0058】
第1の無線タグ用アンテナ部31は、ケーブル(例えばLANケーブル、USBケーブル等)を介して、工程情報形成装置3のタグ情報読取部331と接続可能としてもよく、その場合、第1の無線タグ用アンテナ部31を適宜設置位置を調整することができる。
【0059】
第2の無線タグ用アンテナ部32は、車両フレーム20に付与された第2の無線タグ2の送出電波を捕捉するものである。第2の無線タグ用アンテナ部32は、作業エリアArnでコンベアラインにより搬送される車両フレーム20の位置を含むエリアを通信範囲T2となるように設けられる。そして、通信範囲T2に搬送されてきた車両フレーム20の第2の無線タグ2が存在すると、第2の無線タグ用アンテナ部32は、第2の無線タグ2が送出した電波を捕捉して、電気信号に変換して工程情報制御装置33に与える。第2の無線タグ用アンテナ部32は、コンベアラインにより運搬される車両フレーム20に向けて指向性を有するものを適用できる。第2の無線タグ用アンテナ部32も、同様に、ケーブルを介して、タグ情報読取部331と接続可能としてもよい。
【0060】
図3は、実施形態に係る工程情報制御装置33の内部構成を示す内部構成図である。
【0061】
図3において、実施形態に係る工程情報制御装置33は、タグ情報読取部331、制御部333、無線通信部334を有する。
【0062】
[タグ情報読取部]
タグ情報読取部331は、第1の無線タグ用アンテナ部31と第2の無線タグ用アンテナ部32からの信号に基づいて、タグ情報を読み取るRFIDリーダ(タグリーダ)であり、読み取ったタグ情報を制御部333に与える。
【0063】
[制御部]
制御部333は、工程情報制御装置33の機能を司る処理部又は装置である。制御部333は、例えばPLC(Programmable Logic Controller)等を適用でき、例えば、CPU、ROM、RAM、EEPROM等を有する装置を適用できる。CPUが、ROMに格納される処理プログラムを実行することにより、制御部333の機能が実現されるようにしてもよい。その場合、処理プログラムは、CPU(コンピュータ)を図3の制御部333の各処理部として機能させる。
【0064】
図3に示すように、制御部333は、情報取得部71、記憶部72、工程情報生成部73を有する。
【0065】
[情報取得部]
情報取得部71は、タグ情報読取部331からタグ情報を取得し、第2のタグ情報を検知すると、工程情報生成部73に対して、少なくとも第2のタグ情報と第1のタグ情報とを含む工程情報の生成を指示する。
【0066】
[工程特定情報検知部]
工程特定情報検知部711は、タグ情報読取部331からのタグ情報を解析して、第1のタグ情報、第3のタグ情報を検知するものである。
【0067】
例えば、工程特定情報検知部711はタグ情報を解析して、「yyy」で始まる最大35桁の英数字の情報であると判断すると、当該タグ情報は第1のタグ情報であると判断する。また、「zzz」で始まる16桁の英数字の情報であると判断すると、当該タグ情報は第3のタグ情報であると判断する。
【0068】
ここで、作業エリアArnでは、収容部10が交換されるまで同じ位置に置かれたままとなることが考えられる。したがって、収容部10が交換されるまでの間、工程特定情報検知部711は、比較的長い所定時間(以下では、「第1のタグ情報読取時間」、「工程特定情報検知時間」とも呼ぶ。)、継続して、同じ内容の第1のタグ情報を検知することになるので、同一の第1のタグ情報を記憶部72に記憶するようにしてもよい。
【0069】
また、例えば、収容部10が交換されるなどして、工程特定情報検知部711が、新たな内容の第1のタグ情報を検知したときには、新たな第1のタグ情報を更新するようにしてもよい。
【0070】
なお、工程特定情報検知時間は、各工程#nで規定された部品15や、車種や仕様などの変更に伴う工程変更や、作業内容などによって異なるので、工程#n毎に事前に設定又は設定変更できるようにしてもよい。また、工程作業に対する作業者等の成熟度などによって異なることもあるので、第1のタグ情報の継続的な検知時間を記録しておき、過去の履歴として記録した時間(の値)を用いて統計的な解析をして、工程特定情報検知時間を求めるようにしてもよい。より具体的には、加工対象とする車両フレーム20の車種毎又は仕様毎、作業者毎に平均した時間を工程特定情報検知時間としてもよい。
【0071】
[対象情報検知部]
対象情報検知部712は、タグ情報読取部331からのタグ情報を解析して、第2のタグ情報を検知すると、工程情報生成部73に対して、少なくとも第2のタグ情報と第1のタグ情報とを含む工程情報の生成を指示する。
【0072】
例えば、対象情報検知部712はタグ情報を解析して、「xxx」で始まる20桁の英数字の情報であると判断すると、当該タグ情報は第2のタグ情報であると判断する。
【0073】
ここで、コンベアラインにより車両フレーム20は移動するので、コンベアラインの移動速度に基づく所定時間(以下、「第2のタグ情報読取時間」、「対象情報検知時間」とも呼ぶ。)の間、車両フレーム20の第2の無線タグ2が通信範囲T2に属することになる。
【0074】
したがって、第2の無線タグ2が通信範囲T2に属している対象情報検知時間の間、対象情報検知部712は、第2のタグ情報を検知することになる。換言すると、対象情報検知部712は、第2のタグ情報を検知することで、当該第2のタグ情報が、加工対象となる車両フレーム20に関する情報であると特定できる。
【0075】
その後、次の車両フレーム20が運搬されてきて、当該次の車両フレーム20の第2の無線タグ2が通信範囲T2に属すると、対象情報検知部712が、次の第2のタグ情報を検知することで、次の加工対象の車両フレーム20の第2のタグ情報を検知することになる。
【0076】
対象情報検知部712は、第2のタグ情報を検知すると、少なくとも第2のタグ情報と第1のタグ情報を工程情報生成部73に与える。
【0077】
なお、第2のタグ情報の検知時に、第1のタグ情報を検知できなかったとき、車両フレーム20に対する部品の紐づけ不良を作業者等に知らせるため、パトランプの点滅・点灯や、警告音の鳴動等を行なうようにしてもよい。
【0078】
[工程情報生成部]
工程情報生成部73は、対象情報検知部712により第2のタグ情報(対象情報)が検知されると、少なくとも、第2のタグ情報と第1のタグ情報とを含む工程情報を生成して、生成した工程情報を無線通信部334に与える。
【0079】
ここで、「工程情報」は、工程毎に、加工対象(例えば車両フレーム20)に対して、当該工程で規定された工程作業を施したことを示す情報である。
【0080】
この実施形態では、「工程情報」は、少なくとも、車両フレーム20を特定する第2のタグ情報と、当該工程を特定する第1のタグ情報とを関連付けた情報を含む情報である。また、「工程情報」は、第2のタグ情報と第1のタグ情報と第3のタグ情報とを含む情報としてもよい。さらに、「工程情報」は、「加工日時情報」や作業エリアなどを含むようにしてもよい。
【0081】
なお、「加工日時情報」は、加工対象の車両フレーム20に対して工程作業を行なった日時情報である。例えば、対象情報検知部712により車両フレーム20の第2の無線タグ2が検知された時点の日時情報、若しくは、工程情報の生成時点の日時情報などを加工日時情報としてもよい。
【0082】
従来は、車両フレーム20に対して使用した部品15に関する情報を紐づけすることはできなかった。これに対して、この実施形態によれば、車両フレーム20を特定する第2のタグ情報と、工程を特定する第1のタグ情報とを関連付けることができる。なお、後述するように、部品情報は、部品15に割り当てた第1のタグ情報と対応付けた情報を、工程情報管理装置4が記憶しているので、工程情報管理装置4が、車両フレーム20を識別する情報と、各工程で車両フレーム20に対して用いた部品15の部品情報とを対応づけることができ、当該車両フレーム20に用いた部品15のトレーサビリティ情報を記録することができる。
【0083】
また、工程情報生成部73は、第2のタグ情報の検知後、対象情報検知時間の間、第2のタグ情報を継続して検知することになるが、同一の工程情報の送信を回避するため、同一の工程情報の排他処理を行なうようにしてもよい。つまり、同一の対象識別情報を含む工程情報を複数生成したときには、工程情報生成部73は、一方の工程情報(例えば、加工日時情報が遅い方)を廃棄するようにしてもよい。
【0084】
[記憶部]
記憶部72は、制御部333において実行される処理プログラム、工程情報の作成に必要な情報などを記憶するものである。
【0085】
[無線通信部]
無線通信部334は、工程情報管理装置4の無線通信部402との間で無線通信するものであり、工程情報生成部73により生成された工程情報を、無線通信部402宛に送信するものである。
【0086】
ここで、工程情報形成装置3の無線通信部334と、工程情報管理装置4の無線通信部402との間の無線通信方式は、特に限定されないが、例えば、サブギガ帯の920MHzを用いた無線方式、自営の5G(第5世代移動体通信システム)無線システム(ローカル5Gシステム)、国際標準規格のIEEE802.15.4、IEEE802.11等の規格化技術を適用してもよい。
【0087】
例えば、無線通信部402が、複数の無線通信部334から、各工程#nの工程情報を収集する親機とすると、各作業エリアArnの無線通信部334は、無線通信部402(親機)に対する子機とすることができる。
【0088】
例えば、各工程#nは計画的な順番で規定されているので、所定単位時間を分割して、複数の無線通信部334に対してタイムスロットを割り当てて、無線通信部402と複数の無線通信部334との間で無線通信を行なうようにしてもよい。
【0089】
(A-1-5)工程情報管理装置の詳細な構成
図4は、実施形態に係る工程情報管理装置4の内部構成を示す内部構成図である。
【0090】
図4において、工程情報管理装置4は、制御部401、無線通信部402、記憶部41を有する。
【0091】
工程情報管理装置4は、各工程#nの作業エリアArnの工程情報形成装置3から工程情報を収集し、収集した各工程#nの工程情報に基づいて、加工対象(例えば、車両フレーム20)の工程管理情報を記録して管理する。工程情報管理装置4は、汎用的なサーバを適用することができる。
【0092】
[無線通信部]
無線通信部402は、各工程#nの作業エリアArnに配置された工程情報形成装置3の無線通信部334との間で無線通信するものであり、各作業エリアArnの無線通信部334から、各工程#nの工程情報を受信するものである。
【0093】
[制御部]
制御部401は、工程情報管理装置4の機能を司る処理部又は装置である。制御部401は、例えば、CPU、ROM、RAM、EEPROM等を有する装置を適用できる。CPUが、ROMに格納される処理プログラムを実行することにより、制御部401の機能が実現されるようにしてもよい。その場合、処理プログラムは、CPU(コンピュータ)を図4の制御部401の各処理部として機能させる。
【0094】
図4に示すように、制御部401は、工程情報取得部81、工程情報統合部82、工程管理情報記録部83を有する。
【0095】
[工程情報取得部]
工程情報取得部81は、無線通信部402により各工程#nの工程情報を取得する。
【0096】
工程情報取得部81は、複数の作業エリアAr1~ArNで得られた工程情報を収集することになるため、収集した工程情報を記憶部41に一時的に記憶するようにしてもよい。
【0097】
図5は、実施形態に係る工程情報取得部81により収集される工程情報52の構成を説明する構成図である。
【0098】
図5において、車両フレーム20を特定する第2のタグ情報「xxx00001111」と、ある工程の第1のタグ情報「yyy00001」と、当該工程の第3のタグ情報「zzz00001」と、加工日時情報「yy:mm:dd:ss」と、作業エリア情報「Ar1」とが対応付けられている。
【0099】
なお、作業エリア情報「Ar1」は、工程情報52を送信した工程情報形成装置3の固有の管理番号等であり、各工程情報形成装置3が分担する作業エリアAr1,Ar2,・・・ArNとのを対応付けて登録しておくことにより、作業エリアを判断することができる。
【0100】
これは、第2のタグ情報「xxx00001111」の車両フレーム20に対して、加工日時情報「yy:mm:dd:ss」に、作業エリア情報「Ar1」で第3のタグ情報「zzz00001」の作業者により、第1のタグ情報「yyy00001」を割り当てた工程が実施されたことを意味する。
【0101】
このように、各工程の作業エリアにある工程情報形成装置3から収集した工程情報に基づいて、実際の生産・製造可能で、車両フレーム20に対して行なった工程、加工日時情報、作業エリア、作業者等を関連付けた情報を取得することができる。
【0102】
[記憶部]
記憶部41は、収集した各工程#nの工程情報52、第1のタグ情報と部品情報とを対応付けた情報53、第3のタグ情報と作業者/機器識別情報とを対応付けた情報54、対象識別情報毎の工程管理情報51等を記憶するものである。
【0103】
図6(A)は、実施形態に係る第1のタグ情報と部品情報とを対応付けた情報53、図6(B)は第3のタグ情報と作業者/機器識別情報とを対応付けた情報54の構成を示す構成図である。
【0104】
図6(A)に例示するように、情報53は、工程に割り当てた第1のタグ情報と、当該工程で用いた部品15の部品情報とを対応付けた情報である。部品情報は、例えば、「部品製造元」、「部品製造施設」、「部品モデル番号」、「シリアル番号」、「部品ロット番号」、「部品有効期限」等の項目を例示するが、これに限定されず、これらの部品情報は、第1のタグ情報と対応付けられている。
【0105】
図6(B)に例示するように、情報54は、第3のタグ情報と、作業者/機器識別情報とが対応付けられている。
【0106】
[工程情報統合部]
工程情報統合部82は、各工程#nの工程情報と、第1のタグ情報と部品情報とを対応付けた情報53と、第3のタグ情報と作業者/機器識別情報とを対応付けた情報54とを用いて、対象識別情報毎の工程管理情報を生成する。
【0107】
[工程管理情報記録部]
工程管理情報記録部83は、工程情報統合部82により生成された工程管理情報を記憶部41に記録(記憶)する。
【0108】
図7は、実施形態に係る工程情報統合部82により生成される工程管理情報51の構成を示す構成図である。
【0109】
上述したように、工程情報統合部82は、各工程#nの工程情報と、第1のタグ情報と部品情報とを対応付けた情報53と、第3のタグ情報と作業者/機器識別情報とを対応付けた情報54とを用いて、対象識別情報毎の工程管理情報を生成する。
【0110】
図7に例示するように、工程管理情報51は、対象識別情報としての「加工対象ID」、各工程#nの工程名及び又は部品名を示す「加工部品名(加工工程名)」、各工程#nの部品15を識別するための「部品番号」、「加工日時情報」、作業者識別情報及び又は機器識別情報を示す「作業者/機器識別情報」、部品15の製造元(製造メーカ)を示す「部品製造元」、部品15の製造施設を示す「部品製造施設」、「部品モデル番号」、「シリアル番号(品番)」、「部品ロット番号」、「部品有効期限」などを項目とする。
【0111】
ここで、「工程作業情報」は、工程#nの作業エリアArnを特定可能とし、加工対象(例えば車両フレーム20)に対して工程作業を行なったことを特定可能とする情報である。
【0112】
なお、工程管理情報51は、図7に例示する項目に限定されず、第1のタグ情報に、部品15に関する他の情報が含まれているときには、対象識別情報に他の情報を紐づけるようにしてもよい。
【0113】
図7において、各行(横方向)に配列する情報が、各工程#nの工程情報を示している。より具体的に、例えば、「部品A取付工程」の工程情報は、「加工部品名:部品A」、「部品番号:2」、「加工日時:(y(年):m(月):d(日):t(時):m(分))」、「作業者/機器識別情報:A」、「部品製造元:AAA」、「部品製造施設:横浜」、「部品モデル番号:22-222」、「シリアル番号(品番):22-x-2222」、「部品ロット番号:2-22-222」、「部品有効期限(y(年):m(月):d(日))」などを有することを示している。
【0114】
工程情報統合部82は、対象識別情報(例えば、「加工対象ID:xxx0001111」など)をキーとして、各工程#nの工程情報を統合して、図7に例示する工程管理情報51を生成する。このとき、事前に規定された工程順序に従った順序で工程情報を統合するようにしてもよい。
【0115】
(A-2)実施形態の動作
次に、実施形態に係る工程情報管理システムにおける処理動作を説明する。
【0116】
(A-2-1)工程情報形成装置3における処理
図8は、実施形態に係る工程情報形成装置3における処理を示すフローチャートである。
【0117】
例えば自動車の生産工程において、製造の基本構成部分である車両フレーム20には第2の無線タグ2が付与されており、第2の無線タグ2が付与された状態の車両フレーム20がコンベアラインにおり運搬される。
【0118】
コンベアラインに沿って、工程#1~#Nの作業エリアAr1~ArNのそれぞれには、工程作業に使用される部品15を収容する収容部10が配置されており、当該収容部10には第1の無線タグ1が付与されている。
【0119】
また、各工程#nの作業エリアArnには、第1の無線タグ1及び第2の無線タグ2の各タグ情報(第1のタグ情報、第2のタグ情報)を読み取り工程情報を形成する工程情報形成装置3が、配置されている。
【0120】
[第1のタグ情報検知処理]
図8(A)は、工程情報形成装置3が、作業エリアArnに配置されている収容部10に付与されている第1の無線タグ1の第1のタグ情報を検知する処理を示すフローチャートである。
【0121】
まず、作業者により、工程作業に使用される収容部10が、第1の無線タグ用アンテナ部31の通信範囲T1に属するように配置される。換言すると、収容部10の第1の無線タグ1が、通信範囲T1に属するように、収容部10が配置される。
【0122】
通信範囲T1に第1の無線タグ1が属すると、第1の無線タグ用アンテナ部31が第1の無線タグ1からの電波を検波して無線通信が開始する。
【0123】
第1の無線タグ1に格納されている第1のタグ情報を乗せた電波が、第1の無線タグ用アンテナ部31により捕捉され、電気信号に変換されてタグ情報読取部331に与えられる。
【0124】
タグ情報読取部331は受信信号を読み取り、工程特定情報検知部711が第1のタグ情報を検知すると(S101/YES)、第1のタグ情報は記憶部72に記憶される(S102)。
【0125】
第1の無線タグ用アンテナ部31が第1の無線タグ1からの電波を検波できず、第1のタグ情報が検知されないときには(S101/NO)、第1のタグ情報の検知が監視される。
【0126】
なお、図8(A)では、第1のタグ情報の検知処理を示しているが、第3のタグ情報の検知処理も、図8(A)に示す処理フローを適用できる。
【0127】
[工程情報生成処理]
次に、図8(B)は、工程情報形成装置3が、コンベアラインにより運搬されてきた車両フレーム20に付与されている第2の無線タグ2の第2のタグ情報を検知して、工程情報を生成する処理を示すフローチャートである。
【0128】
コンベアラインにより運搬される車両フレーム20が、第2の無線タグ用アンテナ部32の通信範囲T2に属すると、車両フレーム20第1の無線タグ1が通信範囲T2に属し、第2の無線タグ用アンテナ部32が電波を検波し、通信が開始する。
【0129】
そうすると、第2の無線タグ2に格納されている第2のタグ情報を乗せた電波が、第2の無線タグ用アンテナ部32により捕捉され、電気信号に変換されてタグ情報読取部331に与えられる。
【0130】
タグ情報読取部331は受信信号を読み取り、対象情報検知部712が第2のタグ情報を検知すると(S103/YES)、第2のタグ情報は工程情報生成部73に与えられる。
【0131】
なお、第2の無線タグ用アンテナ部32が第2の無線タグ2からの電波を検波できず、第2のタグ情報が検知されないときには(S103/NO)、第2のタグ情報の検知が監視される。
【0132】
工程情報生成部73では、第2のタグ情報が検知されると、対象情報検知部712からの第2のタグ情報と、第1のタグ情報と、第3のタグ情報と、加工日時情報とを含む工程情報を生成する(S104)。
【0133】
工程情報生成部73により生成された工程情報は、無線通信部334に与えられ、無線通信部334において工程情報を含む信号が形成されて、工程情報を含む信号が、工程情報管理装置4の無線通信部402宛に送信される(S105)。
【0134】
上述した工程情報生成処理が、各工程#nの作業エリアArnにおいて行なわれる。
【0135】
(A-2-2)工程情報管理装置4における処理
図9は、実施形態に係る工程情報管理装置4における処理を示すフローチャートである。
【0136】
工程情報管理装置4では、各工程#nの作業エリアArnに配置されている工程情報形成装置3からの工程情報を含む信号が、無線通信部402により受信され、受信信号が制御部401に与えられる。
【0137】
制御部401では、受信信号が解析されて、工程情報取得部81において、受信信号に含まれている工程情報が取得される(S201)。
【0138】
工程情報統合部82では、工程情報統合部82は、各工程#nの工程情報と、第1のタグ情報と部品情報とを対応付けた情報53と、第3のタグ情報と作業者/機器識別情報とを対応付けた情報54とを用いて、対象識別情報毎の工程管理情報を生成する(S202)。
【0139】
工程管理情報記録部83は、工程情報統合部82により生成された、対象識別情報毎の工程管理情報を記憶部41に記憶(記録)する(S203)。
【0140】
(A-3)実施形態の効果
以上のように、第1の実施形態によれば、無線タグを活用することによって、加工対象が各工程の作業エリアに来たタイミングで、加工対象を特定するタグ情報と、当該加工対象に対して行なう工程を特定するタグ情報とを自動的に関連付けた工程情報を作成することで、実際の工程で用いた部品を追跡することができる。
【0141】
車両フレームに部品を取り付ける工程毎に工程情報形成装置を設置するだけで、車両フレームが作業エリアに来たタイミングで、第1のタグ情報と第2のタグ情報とを紐付けることができるので、作業者によるオペレーションミス(人的なミス)も軽減でき、工程情報や工程管理情報を記録(記憶)できるため、作業工数を減らすことができる。
【0142】
さらに、無線タグを検知する装置(工程情報形成装置)を1つのパッケージにすることで、例えば工程変更により作業エリアが移動しても、無線化されているので、簡単に対応することができる。
【0143】
また、加工対象を特定する第2のタグ情報と、工程を特定する第1のタグ情報とに加えて、作業者や作業に用いた機器等を特定する第3のタグ情報も関連付けることができるので、誰が又はどの機器等を用いて作業を行なったかを紐づけて追跡することができる。
【0144】
(B)他の実施形態
上述した実施形態においても種々の変形実施形態を言及したが、本発明は、以下の変形実施形態にも適用できる。
【0145】
(B-1)上述した実施形態では、自動車の生産過程に本発明を適用する場合を例示したが、自動車の生産に限定されず、複数の工程で製造され、複数の作業エリアで工程作業が実施される製品の生産に適用できる。
【0146】
(B-2)上述した実施形態では、ライン生産方式を採用したシステムに本発明を適用する場合を例示したが、他の生産方式にも適用できる。具体的には、セル生産方式にも本発明を適用できる。
【0147】
セル生産方式では、例えばU字型のラインに、加工対象である仕掛品が配置されて、加工対象である仕掛品に対して部品を組み込んで製造する方式である。比較的、少人数の作業者が複数の工程を担当することにあると言われている。換言すると、1箇所の作業エリアで、複数の工程の工程作業が行なわれることになる。
【0148】
その場合、1箇所の作業エリアには、複数の工程のそれぞれ用いられる複数の部品の収容部が配置され、複数の収容部のそれぞれに第1の無線タグが付与されるようにしてもよい。1箇所の作業エリアには、1ユニット(1台)の工程情報形成装置が配置され、当該工程情報形成装置が、複数の第1の無線タグを検知可能な構成としてもよい。この場合でも、工程情報形成装置は、1個の対象識別情報を含む第2のタグ情報と、当該作業エリアで行なった複数の第1のタグ情報とを関連付けた工程情報を生成して送信するようにしてもよい。
【0149】
また、工程毎に加工対象の検知(すなわち、対象識別情報の検知)を実施する必要はなく、1箇所の作業エリアで、加工対象の検知(すなわち、対象識別情報の検知)が実施されることで対応可能となる。つまり、セル生産方式では、加工対象が作業エリアに進入してきた時点から、加工対象が作業エリアに進出した時点までの間が、当該作業エリアで、加工対象に対して工程作業を行なう期間となる。したがって、工程情報が生成されるタイミングは、加工対象の検知時(すなわち、第2のタグ情報の検知時)とすることに限定されず、作業エリアに加工対象が進入してきたこと検知し(第2のタグ情報の検知開始し)た上で、加工対象が作業エリアが進出したとき(同一の第2のタグ情報の検知ができなくなったとき)としてもよい。
【符号の説明】
【0150】
9…工程情報管理システム、1…第1の無線タグ、2…第2の無線タグ、10…収容部、20…加工対象(車両フレーム)、
3…工程情報形成装置、31…第1の無線タグ用アンテナ部、32…第2の無線タグ用アンテナ部、33…工程情報制御装置、331及び332…タグ情報読取部、333…制御部、334…無線通信部、71…タグ情報取得部、711…工程情報特定情報、712…対象情報検知部、72…記憶部、73…工程情報生成部、
4…工程情報管理装置、40…工程情報管理サーバ、401…制御部、402…無線通信部、41…記憶部、81…工程情報取得部、82…工程情報統合部、83…工程情報管理情報記録部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9