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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】口腔用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/49 20060101AFI20240925BHJP
   A61K 8/9789 20170101ALI20240925BHJP
   A61Q 11/00 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
A61K8/49
A61K8/9789
A61Q11/00
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020111032
(22)【出願日】2020-06-29
(65)【公開番号】P2022010431
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002240
【氏名又は名称】弁理士法人英明国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平山 隆
【審査官】小久保 敦規
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-079242(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0081303(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0082628(US,A1)
【文献】特開2004-059474(JP,A)
【文献】特開2012-148998(JP,A)
【文献】特開2015-086164(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101690700(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00 - 8/99
A61Q 1/00 - 90/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/REGISTRY(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ベルベリンと、
(B)メントングリセリンアセタールと
を含有することを特徴とする口腔用組成物。
【請求項2】
(A)ベルベリンが、オウバク及びオウレンから選ばれる植物のエキス由来であり、前記植物エキス(A1)を0.005~0.5質量%含有する請求項1記載の口腔用組成物。
【請求項3】
成分(A1)と成分(B)との量比を示す(B)/(A1)が、質量比として0.05~80である請求項2記載の口腔用組成物。
【請求項4】
成分(A)を0.0003~0.03質量%、成分(B)を0.01~0.4質量%含有する請求項1~3のいずれか1項記載の口腔用組成物。
【請求項5】
更に、(C)非イオン性界面活性剤を0.3~1質量%含有する請求項1~4のいずれか1項記載の口腔用組成物。
【請求項6】
成分(C)と成分(B)との量比を示す(C)/(B)が、質量比として1~100である請求項5記載の口腔用組成物。
【請求項7】
液体である請求項1~6のいずれか1項記載の口腔用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルベリン由来の苦味が改善し、使用後においても苦味が軽減し、かつスッキリとした使用感を与え、後味が良く、歯肉炎等の歯周病の予防又は抑制用として好適な口腔用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、口腔用組成物には、口腔内の不具合を予防又は治療する目的で種々の有効成分が配合されており、中でもベルベリンを含有するオウバクエキス等の植物エキスは、ベルベリンが抗炎症効果を発揮し、歯肉炎等の歯周病予防に有用な成分である。しかしながら、ベルベリンを含有する植物エキス、特にオウバクエキスは、生薬様の独特なベルベリン由来の苦味があるため、これらを配合した口腔用組成物は嗜好性の点で好ましくなく、苦味が後味に影響し、満足な使用感が得られない傾向にあった。
特許文献1(特開昭62-155209号公報)は、ベルベリン含有の口腔用組成物に脂肪酸アルカノールアミド等のノニオン活性剤を配合することで、ベルベリンの苦味が改善することを提案しているが、後味に着目しておらず後味には未だ改善の余地があった。
特許文献2(特許第6284136号公報)には、イソブチルアンゲレートを有効成分とする苦味抑制剤による、オウバク等の苦味成分を含有する飲食品の苦味マスキング技術が提案されているが、口腔用組成物における苦味マスキング効果は十分でなかった。
また、オウバクエキスについては、歯磨剤組成物等の口腔用組成物に配合されたβ-グリチルレチン酸や、第4級アンモニウム塩殺菌剤の塩化セチルピリジニウム及び塩化ベンゼトニウムの異味マスキングに用いる技術が特許文献3、4(特開2012-148998号公報、特開2015-86164号公報)に提案されているが、効果が限定的であり、オウバクエキス自体の苦味マスキングに関して言及してもいない。
【0003】
ところで、口腔用組成物において、後味としてスッキリとした使用感を付与することは、効果実感にも繋がり商品価値上重要である。消費者調査等から、使用後にもスッキリ感が持続することが歯周病予防の効果実感を醸成することが見出されており、より一層のスッキリ感の持続性が求められている。スッキリ感は、一般的な口腔用香料であるメントールやミント油等を配合することである程度は得られるが、増量すると刺激感等を招くことがあり、また、苦味や刺激の少なさの点から冷感剤(クーリング剤)が配合されることもあるが、冷感剤種によっては、他の配合成分による苦味が増強される場合があった。とりわけ、液体口腔用組成物では、1回の使用量が10~20mLで練歯磨の10~20倍量であり、比較的多いため、より苦味が強く感じられ、嗜好性が損なわれ易い傾向にあり、後味のスッキリとした使用感を確保することは難しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭62-155209号公報
【文献】特許第6284136号公報
【文献】特開2012-148998号公報
【文献】特開2015-86164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、ベルベリン由来の苦味を改善し、使用後においても苦味が軽減し、かつスッキリとした使用感を与える、後味の良い口腔用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、ベルベリン含有の口腔用組成物に特定の冷感剤を配合すると、ベルベリン由来の苦味が改善し、使用直後から経時においても苦味が抑制され、それに伴う違和感も適度に軽減し、かつ顕著にスッキリとした使用感が持続し、後味の良い優れた使用感となることを知見した。即ち、本発明では、(A)ベルベリンと、(B)メントングリセリンアセタール及びN-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-p-メンタンカルボキサミドから選ばれる1種以上とを配合することによって、ベルベリン由来の苦味が改善し、使用後においても苦味が抑制されて軽減し、かつスッキリとした使用感を与える、後味の良い口腔用組成物が得られ、歯肉炎等の歯周病の予防又は抑制用として有効であることを知見し、本発明をなすに至った。
【0007】
本発明では、成分(B)によって、成分(A)由来の苦味がマスキングされて適度に抑えられ、成分(A)が、オウバク等の植物エキスとして配合されてもその生薬様の独特な苦味が抑制され、上記優れた作用効果を特異的に与えることができる。また、成分(A)及び(B)を併用して配合することで、1回の使用量が比較的多く、苦味等によって嗜好性が比較的損なわれ易い洗口剤等の液体口腔用組成物であっても、口腔内で使用直後から経時においても苦味が抑制されて適度に軽減し、かつスッキリとした使用感を持続させることができ、後味を一層良いものとできる。
後述の比較例に示すように、成分(B)が配合されていない場合は、同様に冷感剤として公知のN-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミド又は3-メントキシプロパン-1,2-ジオールが配合され、更に、香料としてメントールやペパーミント油が添加されていても、成分(A)由来の苦味が軽減せず、使用後の苦味のなさ(使用直後及び10分間経過後)が劣るものであった。これに対して、実施例に示す本発明の成分(A)及び(B)が配合された口腔用組成物(洗口剤)は、使用後の苦味のなさ(使用直後及び10分間経過後)が優れ、使用後のスッキリ感(使用直後及び10分間経過後)も優れ、後味が良かった。
なお、特許文献1、2は、ノニオン活性剤又はイソブチルアンゲレートによる、ベルベリンの苦味改善であり、これに対して、本発明は、口腔用組成物での成分(B)による、成分(A)の苦味改善であり、使用後においてもスッキリとした使用感が持続し、後味の良い優れた使用感を与えることができる。
【0008】
従って、本発明は、下記の口腔用組成物を提供する。
〔1〕
(A)ベルベリンと、
(B)メントングリセリンアセタール及びN-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-p-メンタンカルボキサミドから選ばれる1種以上と
を含有することを特徴とする口腔用組成物。
〔2〕
(A)ベルベリンが、オウバク及びオウレンから選ばれる植物のエキス由来であり、前記植物エキス(A1)を0.005~0.5質量%含有する〔1〕記載の口腔用組成物。
〔3〕
成分(A1)と成分(B)との量比を示す(B)/(A1)が質量比として0.05~80である〔2〕記載の口腔用組成物。
〔4〕
成分(A)を0.0003~0.03質量%、成分(B)を0.01~0.4質量%含有する〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
〔5〕
更に、(C)非イオン性界面活性剤を0.3~1質量%含有する〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
〔6〕
成分(C)と成分(B)との量比を示す(C)/(B)が質量比として1~100である〔5〕記載の口腔用組成物。
〔7〕
液体である〔1〕~〔6〕のいずれかに記載の口腔用組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ベルベリン由来の苦味が改善し、使用後においても苦味が軽減し、かつスッキリとした使用感を与える、後味の良い口腔用組成物を提供できる。本発明の口腔用組成物は、ベルベリンによる抗炎症効果を有すると共に、使用後も苦味がほとんどなく、かつ高いスッキリ感が持続して後味に優れ、歯肉炎等の歯周病の予防又は抑制用として好適である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明につき更に詳述する。本発明の口腔用組成物は、(A)ベルベリンと、(B)メントングリセリンアセタール及びN-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-p-メンタンカルボキサミドから選ばれる1種以上とを含有し、更に好ましくは(C)非イオン性界面活性剤を含有する。
【0011】
(A)ベルベリンは、ベルベリンを含有する植物エキスとして配合することができ、オウバク及びオウレンから選ばれる植物のエキス(植物エキス(A1))を配合できる。ベルベリンは、抗炎症効果を有し、歯肉炎等の歯周病を予防又は抑制するための有効成分であり、苦味を有する。
植物エキス(A1)としては、オウバクエキス、オウレンエキスを用いることができ、特にオウバクエキスが好ましい。
オウバクエキス、オウレンエキスは、それぞれの原料植物を親水性有機溶媒(水、エタノール等)によって抽出処理して得られる抽出物を用いることができ、前記抽出物を乾燥させた粉末を用いることもできる。これらは、市販品を使用することもできる。
オウバクエキスは、キハダ(学名:Phellodendoron amurense Ruprecht)又はその他同族植物(ミカン科;Rutaceae)の周皮を除いた樹皮を水、親水性有機溶媒(水、エタノール等)又はこれらの混合液により抽出処理して得られるが、特に水又は含水エタノールによる抽出物が好適であり、その乾燥粉末でもよい。上記オウバクエキスは、市販品を用いることができ、例えば、粉末型の小城製薬(株)製オウバクエキスを使用することができる。
オウレンエキスは、キンポウゲ科オウレン属の植物であるオウレンの根や茎を上記と同様に抽出処理して得られる抽出物やその乾燥粉末を用いることができる。
【0012】
成分(A)の配合量は、固形分換算量で組成物全体の0.0003~0.03%(質量%、以下同様)が好ましく、より好ましくは0.0012~0.012%である。配合量が0.0003%以上であると、十分な抗炎症効果が発揮され、0.03%以下であると、十分に苦味が抑制され、かつスッキリ感を付与することができる。
成分(A)として成分(A1)、特にオウバクエキスを配合する場合、その配合量は、特に苦味の抑制及びスッキリ感の付与の点から、組成物全体の0.005~0.5%が好ましく、より好ましくは0.02~0.2%である。
【0013】
成分(B)は、メントングリセリンアセタール、N-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-p-メンタンカルボキサミドである。これらは、冷感剤として公知であるが、本発明では、成分(A)の苦味抑制剤として作用し、成分(A)由来の苦味を持続的に抑制して軽減すると同時に、スッキリとした使用感を持続的に付与する作用も奏し、後味を改善する。
成分(B)としては、メントングリセリンアセタール及び/又はN-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-p-メンタンカルボキサミドを使用でき、中でも、溶解性と共に苦味の抑制及びスッキリ感の付与の点から、メントングリセリンアセタールがより好ましい。
成分(B)は、メントングリセリンアセタール(Frescolat MGA、シムライズ(株)製)やN-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-p-メンタンカルボキサミド(WS-12、シムライズ(株)製)等の市販品を使用することができる。
【0014】
成分(B)の配合量は、組成物全体の0.01~0.4%が好ましく、より好ましくは0.05~0.2%である。配合量が0.01%以上であると、十分に苦味を抑制でき、かつスッキリ感を付与できる。0.4%以下であると、成分(B)由来の刺激や嫌味が抑えられ、苦味の抑制効果が十分に維持される。
【0015】
成分(A)(固形分換算量)と成分(B)との量比を示す成分(B)/成分(A)は、質量比として0.8~1,333が好ましく、より好ましくは4~400、更に好ましくは4~167である。上記範囲内であると、より一層苦味が抑制され、かつスッキリ感が持続的に得られる。
成分(A)として成分(A1)を配合する場合、成分(A1)と成分(B)との量比を示す(B)/(A1)は、質量比として0.05~80が好ましく、より好ましくは0.25~24、更に好ましくは0.25~10である。
【0016】
本発明では、更に(C)非イオン性界面活性剤を配合することが好ましい。
(C)非イオン性界面活性剤は、成分(B)を可溶化すると共にその作用効果を一層効果的に発現させる作用を奏する。
非イオン性界面活性剤としては、例えば糖アルコール脂肪酸エステル、糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等の多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー等が挙げられる。中でも、苦味の抑制及びスッキリ感の付与の点から、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、デカグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーが好ましく、とりわけスッキリ感(後味のスッキリ感)の付与の点から、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が好ましく、エチレンオキサイドの平均付加モル数5~100のものを使用できる。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、比較的苦味のある非イオン性界面活性剤であるが、本発明では、成分(C)として、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油が配合されても、苦味が十分に抑制され、本作用効果に優れる。
【0017】
成分(C)の非イオン性界面活性剤の配合量は、成分(B)を可溶化できれば特に限定されないが、組成物全体の0.3~1%が好ましく、より好ましくは0.3~0.8%、更に好ましくは0.5~0.8%である。上記範囲であると、十分に成分(B)が可溶化され、苦味の抑制効果及びスッキリ感の付与効果が高まる。配合量が1%以下であると、成分(C)自身の苦味が抑えられ、苦味の抑制効果が維持される。
【0018】
成分(C)と成分(B)との量比を示す(C)/(B)は、質量比として1~100が好ましく、より好ましくは2.5~16である。上記範囲内であると、成分(B)自身の苦味及び成分(C)自身の嫌味が抑えられ、一層苦味が抑制され、かつスッキリ感が持続する。
【0019】
本発明の口腔用組成物は、特に液体の形態に調製し、液体口腔用組成物として好適であり、液体歯磨、洗口剤、口中剤等の剤型にすることができ、特に洗口剤が好ましい。また、通常の方法を採用して調製できる。この場合、組成物の目的、剤型等に応じて、上述した成分以外にも適宜な公知成分を配合できる。液体口腔用組成物には、具体的に湿潤剤、界面活性剤、溶剤、更に必要により甘味剤、着色剤、香料、pH調整剤、有効成分等が配合される。なお、液体口腔用組成物には、研磨剤などの可溶化しない固形成分は通常配合されず、研磨剤は含まないことが好ましい。
【0020】
湿潤剤は、例えばソルビトール、マルチット、ラクチット等の糖アルコール、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコールが挙げられる。これら湿潤剤の配合量は、通常、組成物全体の2~20%である。
【0021】
任意の界面活性剤は、公知のアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等を配合できる。
アニオン性界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム、ミリスチル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸塩、N-ラウロイルサルコシンナトリウム、N-ミリストイルサルコシンナトリウム等のN-アシルサルコシン塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、水素添加ココナッツ脂肪酸モノグリセリドモノ硫酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、N-パルミトイルグルタミン酸ナトリウム等のN-アシルグルタミン酸塩、N-メチル-N-アシルタウリンナトリウム、N-メチル-N-アシルアラニンナトリウム、α-オレフィンスルフォン酸ナトリウムが挙げられる。
カチオン性界面活性剤は、アルキルアンモニウム、アルキルベンジルアンモニウム塩が挙げられる。
両性界面活性剤は、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の酢酸ベタイン型両性界面活性剤、N-脂肪酸アシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルエチレンジアミン塩等のイミダゾリン型両性界面活性剤が挙げられる。
これら任意の界面活性剤の配合量は、組成物全体の0.01~2%が好ましい。
【0022】
甘味剤は、キシリトール、マルチトール、サッカリン、サッカリンナトリウム、ステビオサイド、アスパルテーム等が挙げられる。
【0023】
着色剤は、青色1号、緑色3号、黄色4号、赤色105号等の安全性の高い水溶性色素が挙げられる。
【0024】
香料は、例えば、ユーカリ油、ウィンターグリーン油、カシア油、クローブ油、タイム油、セージ油、バジル油、カルダモン油、コリアンダー油、ペパーミント油、スペアミント油、ハッカ油、オレンジ油、レモン油、マンダリン油、ライム油、グレープフルーツ油、柚子油、スウィーティー油、ラベンダー油、ローズマリー油、ローレル油、カモミル油、キャラウェイ油、マジョラム油、セロリ油、ベイ油、オリガナム油、パインニードル油、ネロリ油、レモングラス油、ローズ油、ジャスミン油、パチュリ油、イリスコンクリート、ローズアブソリュート、オレンジフラワーアブソリュート、バニラアブソリュート、マンゴーアブソリュート、パチュリアブソリュート、ジンジャーオレオレジン、ペッパーオレオレジン、カプシカムオレオレジン、トウガラシ抽出物等の天然香料や、これら天然香料の加工処理(前溜部カット、後溜部カット、分留、液液抽出、エッセンス化、粉末香料化等)した香料、リモネン、ピネン、ブタノール、イソアミルアルコール、n-ヘキセノール、cis-3-ヘキセノール、cis-6-ノネノール、リナロール、α-テルピネオール、メントール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール、アネトール、チモール、メチルチャビコール、オイゲノール、カルボン、メントン、プレゴン、1,8-シネオール、ヨノン、キャロン、n-ヘキサナール、trans-2-ヘキセナール、シトラール、シンナムアルデヒド、ベンズアルデヒド、エチルアセテート、エチルブチレート、イソアミルアセテート、ヘキシルアセテート、エチル-2-メチルブチレート、アリルヘキサノエート、アリルシクロヘキサンプロピオネート、リナリルアセテート、メンチルアセテート、カルビールアセテート、フェノキシエチルイソブチレート、メチルジャスモネート、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、メチルシンナメート、メチルアンスラニレート、フェニルエチルグリシデート、エチルラクテート、バニリン、マルトール、炭素数4~12のガンマ又はデルタラクトン、アンブレットリド、ジメチルサルファイド、トリメチルピラジン、エチル-β-メチルチオプロピオネート、フラネオール、エチルシクロペンテノロン、シクロテン、2-メチルブチリックアシッド、プロピオニックアシッド、p-メトキシシンナミックアルデヒド、スピラントール、リナロールオキサイド、バニリルブチルエーテル、イソプレゴール、乳酸メンチル、モノメンチルサクシネート、モノメンチルグルタレート、メンチルエチレングリコールカーボネート、メンチルプロピレングリコールカーボネート、3-メントキシプロパン-1,2-ジオール、N-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミド、エチル(3-(p-メンタン-3-カルボキサミド)アセテート、N-(4-シアノメチルフェニル)-p-メンタンカルボキサミド、2-イソプロピル-5-メチル-N-(2-ピリジニルエチル)シクロヘキサンカルボキサミド等の単品香料、ストロベリーフレーバー、アップルフレーバー、メロンフレーバー、バナナフレーバー、ピーチフレーバー、ラズベリーフレーバー、パイナップルフレーバー、グレープフレーバー、トロピカルフルーツフレーバー、マンゴーフレーバー、ウメフレーバー、オレンジフレーバー、レモンフレーバー、グレープフルーツフレーバー、ティーフレーバー、バターフレーバー、ミルクフレーバー等の調合香料が挙げられ、口腔用組成物に用いられる公知の香料素材を組み合わせて使用することができる。更に、エチルアルコール、プロピレングリコール、トリアセチン、グリセリン脂肪酸エステル等の香料溶剤等を添加することもできる。上記香料素材の配合量は、特に限定されず、本発明の効果を妨げない範囲で添加することができるが、通常、組成物全体の0.000001~3%である。
【0025】
pH調整剤は、公知のものを必要に応じ配合できる。具体的にはクエン酸、リンゴ酸、乳酸、酒石酸、酢酸、リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、グリセロリン酸やこれらの各種塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
【0026】
有効成分は、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン、ヒノキチオール等の抗菌性物質、グルカナーゼ(デキストラナーゼ、ムタナーゼ等)、プロテアーゼ、塩化リゾチーム等の酵素、フッ化ナトリウム、フッ化第1錫、モノフルオロリン酸ナトリウム等のフッ素含有化合物、アルミニウムクロルヒドロキシアラントイン、アラントイン、グリチルリチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸トリナトリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、トラネキサム酸、イプシロンアミノカプロン酸、アズレンスルホン酸塩等の抗炎症剤、アスコルビン酸、酢酸トコフェロール、ピリドキシン等のビタミン類、ジヒドロコレステロール、ヒドロコレステロール、クロロフィル、銅クロロフィリンナトリウムや、タイム、オウゴン、カミツレ、チョウジ、ローズマリー、ベニバナ、ハマメリス等の植物抽出物、塩化ナトリウム、硝酸カリウム、乳酸アルミニウム、塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、塩化ストロンチウム等の無機塩類、ポリリン酸ナトリウム等の水溶性無機リン酸化合物、グルコン酸銅、カロペプタイド、ポリビニルピロリドン、歯石防止剤、歯垢防止剤が挙げられる。これらの有効成分の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で、有効量とすることができる。
【0027】
溶剤としては、通常、水が用いられ、水の含有量は組成物全体の60%以上が好ましい。また、エタノール等の低級一価アルコールを、本発明の効果を妨げない範囲で配合することができる。
【実施例
【0028】
以下、実施例及び比較例、処方例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において%は特に断らない限りいずれも質量%を示す。
【0029】
[実施例、比較例]
表1に示す基本組成で表2~4に示す成分を配合した液体口腔用組成物(洗口剤)を下記方法で調製し、下記方法で使用感を評価した。結果を表に併記した。
【0030】
調製方法:
液体口腔用組成物(洗口剤)の調製は、表中の組成に応じ、精製水中に水溶性原料(非イオン性界面活性剤、溶剤を除く)を溶解した後、エタノール及び多価アルコールに油溶性原料と非イオン性界面活性剤を溶解した液を、攪拌しながら加え、均一溶解させた。なお、製造にはスリーワンモーター(BL1200、HEIDON社製)を用いた。
【0031】
使用感の評価方法
10名の被験者が、洗口剤10mLを口に含み、30秒間口をすすぎ、吐き出した後、使用後の苦味のなさ(使用直後及び10分間経過後の苦味のなさ)、使用後のスッキリ感(使用直後及び10分間経過後のスッキリ感)について、それぞれ下記の評点基準で評価した。被験者10名の平均値を求め、下記の評価基準に従い、◎、〇、△、×で示した。
【0032】
(i)使用後の苦味のなさ(使用直後、10分間経過後)
評点基準
4点:苦味をほとんど感じない
3点:苦味をわずかに感じる
2点:苦味を感じる
1点:苦味を非常に感じる
評価基準
使用後の苦味のなさ平均点
◎:3.5点以上4.0点以下
○:3.0点以上3.5点未満
△:2.0点以上3.0点未満
×:1.0点以上2.0点未満
【0033】
(ii)使用後のスッキリ感(使用直後、10分間経過後)
評点基準
4点:スッキリ感を非常に感じる
3点:スッキリ感を感じる
2点:スッキリ感をやや感じる
1点:スッキリ感を全く感じない
評価基準
使用後のスッキリ感平均点
◎:3.5点以上4.0点以下
○:3.0点以上3.5点未満
△:2.0点以上3.0点未満
×:1.0点以上2.0点未満
【0034】
使用原料の詳細を下記に示す。
(A)オウバクエキス(A1)(小城製薬(株)製、粉末、ベルベリン含有量6%)
(B)メントングリセリンアセタール(Frescolat MGA、シムライズ(株)製)
(B)N-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-p-メンタンカルボキサミド(WS-12、シムライズ(株)製)
(C)ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油(日光ケミカルズ(株)製)
N-エチル-p-メンタン-3-カルボキサミド(比較品)(WS-3、シムライズ(株)製)
3-メントキシプロパン-1,2-ジオール(比較品)(CA10、高砂香料工業(株)製)
なお、表中のベルベリン量は、ベルベリンの固形分換算量である(以下同様)。
【0035】
【表1】
【0036】
(*)香料組成
アネトール 2
メントール 3
ペパーミント油 20
メンチルラクテート 5
エタノール 70
合計 100%
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
【表4】
【0040】
表2~4の結果から明らかなように、本発明の成分(A)及び(B)、更には成分(C)が配合された洗口剤(実施例)は、使用後の苦味のなさ(使用直後及び10分間経過後)及び使用後のスッキリ感(使用直後及び10分間経過後)がいずれも優れていた。これらに対して、成分(B)を欠く洗口剤(比較例)は、使用後の苦味のなさ(使用直後及び10分間経過後)が劣り、本発明の目的が達成されなかった。
【0041】
次に、処方例を示す。処方例の組成を上記と同様の原料を使用して調製し、評価したところ、使用後の苦味のなさ(使用直後及び10分間経過後)及び使用後のスッキリ感(使用直後及び10分間経過後)が、いずれも優れていた。
【0042】
[処方例1]洗口剤
(A)オウバクエキス(A1) 0.05
(ベルベリン量 0.003)
(B)メントングリセリンアセタール 0.12
(C)ポリオキシエチレン(100)硬化ヒマシ油 0.6
キシリトール 4
グリセリン 2
プロピレングリコール 2
エタノール 5
クエン酸 0.01
クエン酸ナトリウム 0.25
サッカリンナトリウム 0.005
スクラロース 0.05
香料 0.1
精製水 残
計 100%
(B)/((A1)) 質量比=2.4
(C)/(B) 質量比=5
【0043】
[処方例2]口中剤
(A)オウバクエキス(A1) 0.05
(ベルベリン量 0.003)
(B)メントングリセリンアセタール 0.08
(B)N-(4-メトキシフェニル)-5-メチル-p-メンタンカルボキサミド
0.04
(C)ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 0.6
ソルビトール 4
グリセリン 2
プロピレングリコール 5
クエン酸 0.03
クエン酸ナトリウム 0.1
サッカリンナトリウム 0.01
香料 0.1
精製水 残
計 100%
(B)/((A1)) 質量比=2.4
(C)/(B) 質量比=5