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  • 特許-チラー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】チラー
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20240925BHJP
   F25B 6/02 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
F25B1/00 399Y
F25B6/02 H
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020123202
(22)【出願日】2020-07-17
(65)【公開番号】P2022019393
(43)【公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000102511
【氏名又は名称】SMC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119404
【弁理士】
【氏名又は名称】林 直生樹
(74)【代理人】
【識別番号】100177769
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100188743
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】藤井 邦英
(72)【発明者】
【氏名】戸辺 洋平
(72)【発明者】
【氏名】笹谷 俊貴
【審査官】関口 勇
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-163698(JP,A)
【文献】実公平05-017535(JP,Y2)
【文献】国際公開第2014/045394(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/100206(WO,A1)
【文献】特開2011-089663(JP,A)
【文献】特開2010-14386(JP,A)
【文献】特開2010-14387(JP,A)
【文献】特開2010-276230(JP,A)
【文献】特開2017-116118(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
F25B 6/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却液を収容する1つのタンクと、該タンク内の冷却液を吐出する1つのポンプと、該ポンプが吐出する冷却液を分流して複数の負荷に個別に供給する複数の冷却液回路と、前記冷却液の温度を該冷却液と冷媒との熱交換により調整する冷凍回路とを有し、
前記複数の冷却液回路と冷凍回路とは、熱交換能力を個々に制御可能な個別の熱交換器を介して相互に接続され、
前記複数の冷却液回路は、第1負荷を冷却する第1冷却液回路と、該第1負荷と異なる温度の第2負荷を冷却する第2冷却液回路とを有し、
前記第1冷却液回路と冷凍回路とを接続する第1熱交換器は、前記第1負荷及び第2負荷から前記タンクに戻る冷却液の温度を調整し、
前記第2冷却液回路と冷凍回路とを接続する第2熱交換器は、前記タンクから前記第2負荷に供給される冷却液の温度を調整する、
ことを特徴とするチラー。
【請求項2】
前記第1冷却液回路は、前記ポンプから吐出された冷却液を、タンク内での温度である第1設定温度のまま第1負荷に送る第1供給管路と、第1負荷からの冷却液を前記タンクに戻す第1戻り管路とを有していて、該第1戻り管路に前記第1熱交換器が接続されており、それによって該第1戻り管路の冷却液は、前記第1熱交換器で前記第1設定温度に調整されたあと前記タンクに流入し、
前記第2冷却液回路は、前記第1供給管路から分岐して前記第2熱交換器に接続された分岐管路と、前記第2熱交換器で第2設定温度に調整された冷却液を第2負荷に送る第2供給管路と、第2負荷からの冷却液を前記タンクに戻す第2戻り管路とを有していて、該第2戻り管路は前記第1戻り管路に接続されており、それによって該第2戻り管路の冷却液は、前記第1戻り管路の冷却液に合流する、
ことを特徴とする請求項1に記載のチラー。
【請求項3】
前記第2供給管路に圧力調整弁が接続され、該圧力調整弁は、前記第2冷却液回路を流れる冷却液の圧力を前記第1冷却液回路を流れる冷却液の圧力とは異なる圧力にすることを特徴とする請求項2に記載のチラー。
【請求項4】
前記第1冷却液回路に、前記第1供給管路と第1戻り管路とを接続する濾過管路が設けられ、該濾過管路に、前記冷却液の電気伝導率を調整するDIフィルタと、該濾過管路を開閉する電磁弁とが接続され、
前記第1戻り管路に、該第1戻管路を流れる冷却液の電気伝導率を測定して前記電磁弁を開閉させるDIセンサが接続されている、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載のチラー。
【請求項5】
前記濾過管路は、前記第1供給管路の前記分岐管路が分岐する位置よりも第1負荷寄りの位置と、前記第1戻り管路の前記第2戻り管路が合流する位置よりも第1熱交換器寄りの位置とを、相互に接続していることを特徴とする請求項4に記載のチラー。
【請求項6】
前記冷凍回路は、圧縮機の出口とコンデンサの入口とを結ぶ第1冷媒管路と、該コンデンサの出口と前記第1熱交換器の入口とを結ぶ第2冷媒管路と、前記第1熱交換器の出口と前記圧縮機の入口を結ぶ第3冷媒管路と、前記第1冷媒管路と前記第2熱交換器の入口とを結ぶ第4冷媒管路と、前記第2熱交換器の出口と前記第1熱交換器の入口とを結ぶ第5冷媒管路と、前記第4冷媒管路と該第5冷媒管路とを結ぶ第6冷媒管路とを有し、
前記第2冷媒管路に第1膨張弁が接続され、前記第5冷媒管路に第2膨張弁が接続され、前記第6冷媒管路に第3膨張弁が接続されている、
ことを特徴とする請求項1から5の何れかに記載のチラー。
【請求項7】
前記冷凍回路は、圧縮機の出口とコンデンサの入口とを結ぶ第1冷媒管路と、該コンデンサの出口と前記第1熱交換器の入口とを結ぶ第2冷媒管路と、該第2冷媒管路と前記第2熱交換器の入口とを結ぶ第3冷媒管路と、前記第1熱交換器の出口と前記圧縮機の入口を結ぶ第4冷媒管路と、前記第2熱交換器の出口と前記第4冷媒管路とを結ぶ第5冷媒管路と、前記第1冷媒管路から分岐して前記第1熱交換器の入口に接続された第6冷媒管路と、該第6冷媒管路から分岐して前記第2熱交換器の入口に接続された第7冷媒管路とを有し、
前記第2冷媒管路に第1膨張弁が接続され、前記第3冷媒管路に第2膨張弁が接続され、前記第6冷媒管路に第3膨張弁が接続され、前記第7冷媒管路に第4膨張弁が接続されている、
ことを特徴とする請求項1から5の何れかに記載のチラー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度調整された冷却液を負荷に供給することによって該負荷の温度を一定に保つチラーに関するものであり、更に詳しくは、複数の負荷の温度を一定に保つことができるチラーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
温度調整された冷却液を複数の負荷に供給することによって該複数の負荷の温度を一定に保つチラーは、特許文献1-特許文献3等に開示されているように公知である。
【0003】
特許文献1に開示されたチラー(第1のチラー)は、1つの冷凍回路と、2つの負荷に冷却液を別々に供給する2つの冷却液回路と、2つの冷却液回路と冷凍回路とを個別に接続する2つの熱交換器とを有し、一方の熱交換器で一方の冷却液回路の冷却液の温度を調整し、他方の熱交換器で他方の冷却液回路の冷却液の温度を調整するものである。
【0004】
この第1のチラーは、2つの冷却液回路の冷却液の温度を2つの熱交換器で別々に調整するため、温度が異なる2つの負荷に対応することができる。しかし、この第1のチラーは、2つの冷却液回路がそれぞれ専用のタンク及びポンプを有しているため、コストが高く、また、2つの冷却液回路及び冷凍回路を一つのケーシング内に収容した場合、チラーが大形化するという問題を有していた。
【0005】
一方、特許文献2及び特許文献3に開示されたチラー(第2及び第3のチラー)は、1つのタンクと、1つのポンプと、複数の冷却液回路とを有していて、1つのポンプから吐出される冷却液を複数の冷却液回路に分散して供給し、この冷却液回路で複数の負荷を冷却するように構成されたもので、1つのタンクと1つのポンプとを使用しているため、第1のチラーに比べて小形化することが可能である。
しかしながら、この第2及び第3のチラーは、1つの熱交換器で温度調整した冷却液を複数の冷却液回路に分散して供給するようにしているため、温度の異なる複数の負荷に対応することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実公平5-17535号公報
【文献】特開2004-28554号公報
【文献】特開2011-163698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の技術的課題は、従来のチラーに比べて小形で低コスト化及び省エネルギー化されると共に、温度が異なる複数の負荷にも対応することができる、合理的構造を有するチラーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明のチラーは、冷却液を収容する1つのタンクと、該タンク内の冷却液を吐出する1つのポンプと、該ポンプが吐出する冷却液を分流して複数の負荷に個別に供給する複数の冷却液回路と、前記冷却液の温度を該冷却液と冷媒との熱交換により調整する冷凍回路とを有し、前記複数の冷却液回路と冷凍回路とは、熱交換能力を個々に制御可能な個別の熱交換器を介して相互に接続され、前記複数の冷却液回路は、第1負荷を冷却する第1冷却液回路と、該第1負荷と異なる温度の第2負荷を冷却する第2冷却液回路とを有し、前記第1冷却液回路と冷凍回路とを接続する第1熱交換器は、前記第1負荷及び第2負荷から前記タンクに戻る冷却液の温度を調整し、前記第2冷却液回路と冷凍回路とを接続する第2熱交換器は、前記タンクから前記第2負荷に供給される冷却液の温度を調整することを特徴とする。
【0009】
本発明において、前記第1冷却液回路は、前記ポンプから吐出された冷却液を、タンク内での温度である第1設定温度のまま第1負荷に送る第1供給管路と、第1負荷からの冷却液を前記タンクに戻す第1戻り管路とを有していて、該第1戻り管路に前記第1熱交換器が接続されており、それによって該第1戻り管路の冷却液は、前記第1熱交換器で前記第1設定温度に調整されたあと前記タンクに流入し、前記第2冷却液回路は、前記第1供給管路から分岐して前記第2熱交換器に接続された分岐管路と、前記第2熱交換器で第2設定温度に調整された冷却液を第2負荷に送る第2供給管路と、第2負荷からの冷却液を前記タンクに戻す第2戻り管路とを有していて、該第2戻り管路は前記第1戻り管路に接続されており、それによって該第2戻り管路の冷却液は、前記第1戻り管路の冷却液に合流するように構成されていても良い。
【0010】
また、本発明において、前記第2供給管路に圧力調整弁が接続され、該圧力調整弁は、前記第2冷却液回路を流れる冷却液の圧力を前記第1冷却液回路を流れる冷却液の圧力とは異なる圧力にする。
【0011】
また、本発明においては、前記第1冷却液回路に、前記第1供給管路と第1戻り管路とを接続する濾過管路が設けられ、該濾過管路に、前記冷却液の電気伝導率を調整するDIフィルタと、該濾過管路を開閉する電磁弁とが接続され、前記第1戻り管路に、該第1戻管路を流れる冷却液の電気伝導率を測定して前記電磁弁を開閉させるDIセンサが接続されていても良い。
【0012】
前記濾過管路は、前記第1供給管路の前記分岐管路が分岐する位置よりも第1負荷寄りの位置と、前記第1戻り管路の前記第2戻り管路が合流する位置よりも第1熱交換器寄りの位置とを、相互に接続していることが望ましい。
【0013】
本発明において、前記冷凍回路は、圧縮機の出口とコンデンサの入口とを結ぶ第1冷媒管路と、該コンデンサの出口と前記第1熱交換器の入口とを結ぶ第2冷媒管路と、前記第1熱交換器の出口と前記圧縮機の入口を結ぶ第3冷媒管路と、前記第1冷媒管路と前記第2熱交換器の入口とを結ぶ第4冷媒管路と、前記第2熱交換器の出口と前記第1熱交換器の入口とを結ぶ第5冷媒管路と、前記第4冷媒管路と該第5冷媒管路とを結ぶ第6冷媒管路とを有し、前記第2冷媒管路に第1膨張弁が接続され、前記第5冷媒管路に第2膨張弁が接続され、前記第6冷媒管路に第3膨張弁が接続されている。
【0014】
また、本発明において、前記冷凍回路は、圧縮機の出口とコンデンサの入口とを結ぶ第1冷媒管路と、該コンデンサの出口と前記第1熱交換器の入口とを結ぶ第2冷媒管路と、該第2冷媒管路と前記第2熱交換器の入口とを結ぶ第3冷媒管路と、前記第1熱交換器の出口と前記圧縮機の入口を結ぶ第4冷媒管路と、前記第2熱交換器の出口と前記第4冷媒管路とを結ぶ第5冷媒管路と、前記第1冷媒管路から分岐して前記第1熱交換器の入口に接続された第6冷媒管路と、該第6冷媒管路から分岐して前記第2熱交換器の入口に接続された第7冷媒管路とを有し、前記第2冷媒管路に第1膨張弁が接続され、前記第3冷媒管路に第2膨張弁が接続され、前記第6冷媒管路に第3膨張弁が接続され、前記第7冷媒管路に第4膨張弁が接続されていても良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明のチラーは、1つのタンクと1つのポンプとによって複数の冷却液回路に冷却液を分散して供給すると共に、熱交換能力を個々に制御可能な個別の熱交換器で各冷却液回路の冷却液の温度を異なる設定温度に調整するようにしているため、複数の冷却液回路が専用のタンク及びポンプをそれぞれ有する公知のチラーに比べ、小形で低コストであると共に、省エネルギー化されたものである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係るチラーの第1実施形態を記号で示す回路図である。
図2】本発明に係るチラーの第2実施形態を記号で示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に示す第1実施形態のチラーC1は、温度が異なる2つの負荷W1,W2を冷却液で冷却することによってそれぞれ一定温度に保つもので、冷却液が収容された1つのタンク1と、このタンク1内の冷却液を吐出する1つのポンプ2と、このポンプ2から吐出された冷却液を分流して2つの負荷W1,W2に個別に供給する2つの冷却液回路3,4と、この2つの冷却液回路3,4の冷却液の温度をそれぞれ設定温度に調整する1つの冷凍回路5と、この冷凍回路5と2つの冷却液回路3,4とを個別に接続する2つの熱交換器6,7と、チラー全体を制御する制御装置8とを有している。なお、本実施形態においては、前記冷却液として純水が使用されている。
【0018】
前記2つの負荷W1,W2のうち、一方の第1負荷W1は、レーザー溶接装置におけるレーザー発振器であって、低温の負荷であり、他方の第2負荷W2は、レーザー光を照射するプローブであって、レーザー発振器より高温の負荷である。
また、前記2つの冷却液回路3,4のうち、第1負荷W1を冷却するのが第1冷却液回路3であり、第2負荷W2を冷却するのが第2冷却液回路4である。
さらに、前記2つの熱交換器6,7のうち、前記第1冷却液回路3と冷凍回路5とを接続するのが第1熱交換器6であり、前記第2冷却液回路4と冷凍回路5とを接続するのが第2熱交換器7である。
【0019】
また、例えば、前記第1冷却液回路3において、前記第1負荷W1に供給される冷却液の温度は、10-30℃の範囲、好ましくは15-25℃の範囲で、最適の温度に設定され、冷却液の流量は、20-80L/minの範囲で最適の流量に設定される。
一方、前記第2冷却液回路4において、前記第2負荷W2に供給される冷却液の温度は、10-50℃の範囲、好ましくは20-40℃の範囲で、最適の温度に設定され、冷却液の流量は、2-10L/minの範囲で最適の流量に設定される。但し、第2負荷W2に供給される冷却液の設定温度は、第1負荷W1に供給される冷却液の設定温度に比べ、同等以上であることが必要である。
【0020】
前記冷凍回路5と、1つのタンク1と、1つのポンプ2と、2つの冷却液回路3,4とは、1つの筐体9の内部に収容され、前記2つの負荷W1,W2は、該筐体9の外部に配設されている。そして、この筐体9の外側面に、前記第1負荷W1を前記第1冷却液回路3に接続するための供給側負荷接続口10及び戻り側負荷接続口11と、前記第2負荷W2を前記第2冷却液回路4に接続するための供給側負荷接続口12及び戻り側負荷接続口13とが、それぞれ設けられている。
【0021】
前記冷凍回路5は、ガス状冷媒を圧縮して高温高圧のガス状冷媒にする圧縮機15と、該圧縮機15から送られる高温高圧のガス状冷媒を冷却して低温高圧の液状冷媒にするコンデンサ16とを有している。このコンデンサ16は、電動モータ17aで駆動されるファン17によって冷媒を冷却する空冷式のコンデンサ16であり、これら電動モータ17a及び圧縮機15は、制御装置8に電気的に接続され、この制御装置8でインバーター制御されることにより、各々の回転数や出力等が制御される。しかし、前記コンデンサ16は水冷式であっても良い。
【0022】
また、前記冷凍回路5は、前記圧縮機15の出口15aとコンデンサ16の入口16aとを結ぶ第1冷媒管路21と、前記コンデンサ16の出口16bと前記第1熱交換器6の入口6aとを結ぶ第2冷媒管路22と、該第1熱交換器6の出口6bと前記圧縮機15の入口15bを結ぶ第3冷媒管路23と、前記第1冷媒管路21と前記第2熱交換器7の入口7aとを結ぶ第4冷媒管路24と、前記第2熱交換器7の出口7bと前記第1熱交換器6の入口6aとを結ぶ第5冷媒管路25と、前記第4冷媒管路24と該第5冷媒管路25とを結ぶ第6冷媒管路26とを有している。そして、前記第2冷媒管路22に第1膨張弁27が接続され、前記第5冷媒管路25における、前記第6冷媒管路26が接続された位置よりも前記第2熱交換器7の出口7b寄りの位置に、第2膨張弁28が接続され、前記第6冷媒管路26に第3膨張弁29が接続されている。
【0023】
なお、前記第1熱交換器6及び第2熱交換器7は、冷媒が流れる冷媒流通部6A,7Aと冷却液が流れる冷却液流通部6B,7Bとを有していて、冷媒流通部6A,7Aを流れる冷媒と冷却液流通部6B,7Bを流れる冷却液との間で熱交換を行うものである。このため、前記冷凍回路5において、第1熱交換器6及び第2熱交換器7の入口というのは、冷媒流通部6A,7Aの入口6a,7aのことであり、第1熱交換器6及び第2熱交換器7の出口というのは、冷媒流通部6A,7Aの出口6b,7bのことである。また、後述する第1冷却液回路3及び第2冷却液回路4において、第1熱交換器6及び第2熱交換器7の入口というのは、冷却液流通部6B,7Bの入口6c,7cのことであり、第1熱交換器6及び第2熱交換器7の出口というのは、冷却液流通部6B,7Bの出口6d,7dのことである。
【0024】
前記第1膨張弁27、第2膨張弁28、第3膨張弁29は、ステッピングモータによって開度を任意に調整可能な電子膨張弁であり、これらの膨張弁は前記制御装置8に電気的に接続され、この制御装置8で各々の膨張弁27,28,29の開度が制御される。
【0025】
前記第1冷媒管路21には、前記圧縮機15から吐出された冷媒の温度を検出する第1冷媒温度センサ30が接続され、前記第2冷媒管路22には、前記コンデンサ16と第1膨張弁27との間の位置に、冷媒中の異物を除去する冷媒フィルタ31と、この冷媒の圧力を検出する第1冷媒圧力センサ32とが接続され、前記第3冷媒管路23には、前記第1熱交換器6から圧縮機15に戻る冷媒の圧力を検出する第2冷媒圧力センサ33と、この冷媒の温度を検出する第2冷媒温度センサ34とが接続されている。
【0026】
前記冷媒温度センサ30,34及び冷媒圧力センサ32,33は、前記制御装置8に電気的に接続され、測定された冷媒温度及び冷媒圧力に基づいて、前記制御装置8により、前記圧縮機15やファン17の回転数及び出力等が制御される。
【0027】
前記第1冷却液回路3は、前記ポンプ2の吐出口2aと前記供給側負荷接続口10とを結ぶ第1供給管路40と、前記戻り側負荷接続口11と前記第1熱交換器6の入口6cとを結ぶ第1戻り管路41と、前記第1熱交換器6の出口6dと前記タンク1とを結ぶ流入管路42とを有している。
これにより、前記第1冷却液回路3において、前記タンク1からポンプ2で吐出された冷却液は、前記タンク1内での温度である第1設定温度のまま前記第1供給管路40を通じて第1負荷W1に供給され、前記第1負荷W1を冷却する。そして、この第1負荷W1を冷却することにより昇温した冷却液は、前記第1戻り管路41を通じて前記第1熱交換器6に送られ、この第1熱交換器6で温度調整されて第1設定温度に戻されたあと、前記流入管路42からタンク1に流入する。
【0028】
前記第1供給管路40には、第1負荷W1に供給される冷却液の温度を検出する第1温度センサ43と、冷却液の圧力を検出する圧力センサ44とが接続され、前記第1戻り管路41には、第1負荷W1から前記タンク1に戻る冷却液の温度を検出する第2温度センサ45が接続されている。
前記第1温度センサ43、第2温度センサ45、及び圧力センサ44は、前記制御装置8に電気的に接続され、前記第1温度センサ43及び第2温度センサ45が測定した冷却液の温度に基づいて、前記制御装置8で前記膨張弁27,28,29の開度が調整されることにより、前記第1熱交換器6の熱交換能力が制御され、前記圧力センサ44が測定した冷却液の圧力に基づいて、前記制御装置8で前記ポンプ2が制御される。
【0029】
なお、図中の符号46が付された部材は、前記タンク1の内部の冷却液の液位を検出するレベルスイッチ、47が付された部材は、ドレン排出管である。
また、前記ポンプ2は、前記タンク1の外部に設置される非浸漬式のポンプである。
【0030】
一方、前記第2冷却液回路4は、前記第1冷却液回路3の第1供給管路40から分岐して前記第2熱交換器7の入口7cに接続された分岐管路50と、前記第2熱交換器7の出口7dと前記供給側負荷接続口12とを結ぶ第2供給管路51と、前記戻り側負荷接続口13と前記第1冷却液回路3の第1戻り管路41とを結ぶ第2戻り管路52とを有している。該第2戻り管路52が前記第1戻り管路41に接続されている位置は、前記第2温度センサ45が設けられている位置より上流側(戻り側負荷接続口11寄り)の位置である。
【0031】
この構成により、前記第2冷却液回路4において、前記ポンプ2で吐出された冷却液は、前記分岐管路50を通って第2熱交換器7に送られ、該第2熱交換器7で前記第1設定温度とは異なる第2設定温度に調整されたあと、前記第2供給管路51を通って第2負荷W2に送られ、該第2負荷W2を冷却する。そして、前記第2負荷W2を冷却することにより昇温した冷却液は、前記第2戻り管路52から第1戻り管路41に流入し、この第1戻り管路41を流れる第1冷却液回路3の冷却液と合流して前記第1熱交換器6に送られ、この第1熱交換器6で温度調整されて第1設定温度に戻されたあと、前記流入管42から前記タンク1に流入する。
【0032】
ここで、前記第2負荷W2は第1負荷W1より高温であるため、第2冷却液回路4の冷却液の設定温度(第2設定温度)は、第1冷却液回路3の冷却液の設定温度(第1設定温度)より高い。このため、前記第2熱交換器7は、前記タンク1から第1冷却液回路3及び分岐管路50を介して第1設定温度を保った状態で送られて来る冷却液を加熱し、第2設定温度に上昇させるものである。従って、この第2熱交換器7は、加熱用の熱交換器であるということができる。
【0033】
前記第2供給管路51には、第2負荷W2に供給される冷却液の温度を検出する第3温度センサ53と、この冷却液の圧力を変更する圧力調整弁54とが、直列に接続されている。
前記第3温度センサ53及び圧力調整弁54は、前記制御装置8に電気的に接続され、前記第3温度センサ53が測定した冷却液の温度に基づいて、前記制御装置8で前記第2膨張弁28の開度が調整されることにより、前記第2熱交換器7の熱交換能力が制御される。また、前記第2供給管路51を流れる冷却液の圧力を前記第1供給管路40を流れる冷却液の圧力と異なる圧力にする必要がある場合には、前記制御装置8で前記圧力調整弁54が制御される。しかし、前記圧力調整弁54は、手動操作式の弁であっても良い。
【0034】
更に、前記第1冷却液回路3には、イオン性物質の増加によって純度が低下した冷却液を浄化するための濾過管路60が設けられている。この濾過管路60の一端は、前記第1供給管路40の、前記分岐管路50が分岐する位置より下流側(第1負荷W1寄り)の位置に接続され、該濾過管路60の他端は、前記第1戻り管路41の、前記第2戻り管路52が接続された位置より下流側(第1熱交換器6寄り)の位置に接続されている。そして、この濾過管路60に、イオン性物質を除去するDIフィルタ61と、前記濾過管路60を開閉する電磁弁62とが、直列に接続されている。また、該濾過管路60と前記第1戻り管路41との合流点に、冷却液の電気伝導率を測定するDIセンサ63が接続されている。
【0035】
前記DIフィルタ61は、前記冷却液内のイオン性物質を、イオン交換により樹脂表面に吸着させて除去するもので、前記濾過管路60に形成されたフィルタ接続部64,65に着脱自在に接続されている。該DIフィルタ61は、前記筐体9の内部に配設されていても、該筐体9の外部に配設されていても良い。
【0036】
また、前記電磁弁62とDIセンサ63とは、前記制御装置8に電気的に接続され、該DIセンサ63が測定した電気伝導率に応じて前記電磁弁62が、前記制御装置8によって開閉制御される。
【0037】
前記濾過管路60は次のように動作する。即ち、前記DIセンサ63が測定する前記第1戻り管路41内の冷却液の電気伝導率が、イオン性物質の増加によって基準値より高くなっている場合には、この冷却液が還流する前記タンク1内の冷却液の電気伝導率も高くなっている。このため、前記制御装置8によって前記電磁弁62が開放され、前記第1供給管路40の冷却液が濾過管路60に流入することにより、DIフィルタ61で冷却液中のイオン性物質が除去され、浄化された冷却液が、前記第1戻り管路41を通じて前記タンク1に送り込まれる。この動作が継続されることにより、前記タンク1内の冷却液は浄化される。この結果、前記第1冷却液回路3の冷却液と第2冷却液回路4の冷却液とを、常に同じ純度(液質)に保つことができる。
【0038】
前記第1実施形態のチラーC1は次のように動作する。
前記冷凍回路5において、前記圧縮機15から吐出された高温高圧のガス状冷媒は、前記コンデンサ16で冷却されて低温高圧の液状冷媒になったあと、前記第2冷媒管路22から第1膨張弁27を通じて第1熱交換器6に送られ、該第1熱交換器6で前記第1冷却液回路3の冷却液と熱交換して該冷却液を第1設定温度に冷却したあと、第3冷媒管路23を通じて前記圧縮機15に戻る。
【0039】
また、前記圧縮機15から吐出された高温高圧のガス状冷媒の一部は、前記第4冷媒管路24を通じて前記第2熱交換器7にそのまま送られ、該第2熱交換器7で前記第2冷却液回路4の冷却液と熱交換して該冷却液を第2設定温度に加熱したあと、第5冷媒管路25の第2膨張弁28を通じて前記第1熱交換器6に流入する。このとき、前記ガス状冷媒は、前記第2熱交換器7で冷却液を加熱することによって凝縮したあと、前記第2膨張弁28で膨張することによって更に温度が低下した状態になり、その状態で前記第2冷媒管路22の冷媒と合流して前記第1熱交換器6に流入し、該第1熱交換器6の冷却能力を補助的に高める役目を果たす。これは、前記第2膨張弁28が、前記第2熱交換器7の出口と第1熱交換器6の入口との間に接続されることにより、前記第2熱交換器7がコンデンサとして機能することによるものである。
【0040】
更に、前記圧縮機15から吐出された高温高圧のガス状冷媒の一部は、前記第6冷媒管路26から第3膨張弁29を介して前記第1熱交換器6に送られ、該第1熱交換器6に流入する冷媒の温度調整のために使用される。
【0041】
一方、前記第1冷却液回路3においては、第1設定温度に調整された前記タンク1内の冷却液が、前記ポンプ2から吐出されたあと、第1供給管路40を通じて第1設定温度のまま第1負荷W1に送られ、該第1負荷W1を冷却する。
前記第1負荷W1を冷却することにより昇温した冷却液は、第1戻り管路41を通じて前記第1熱交換器6に送られ、該第1熱交換器6で前記第1設定温度に調整されたあと、前記流入管路42から前記タンク1に流入する。
【0042】
前記冷却液の温度は、前記第1温度センサ43及び第2温度センサ45により常時測定され、測定された冷却液の温度に基づいて前記制御装置8で冷凍回路5の第1膨張弁27及び第3膨張弁29の開度が制御されることにより、該冷却液の温度が第1設定温度に調整される。
【0043】
例えば、前記第1温度センサ43で測定された冷却液の温度が第1設定温度より高い場合には、前記第1熱交換器6の冷却能力を高めて該冷却液の温度を下げる必要があるため、前記冷凍回路5における第1膨張弁27の開度が拡大して低温の冷媒の流量が増大すると共に、前記第3膨張弁29の開度が減少して高温の冷媒の流量が減少する。その結果、前記第1熱交換器6に流入する冷媒の温度が低下して該第1熱交換器6の冷却能力が増大するため、前記冷却液は冷却され、その温度が第1設定温度に調整される。
【0044】
その逆に、前記冷却液の温度が第1設定温度より低い場合には、前記第1熱交換器6で該冷却液を加熱して温度を上げる必要があるため、前記第1膨張弁27の開度が減少して低温の冷媒の流量が減少すると共に、前記第3膨張弁29の開度が増大して高温の冷媒の流量が増大する。その結果、前記第1熱交換器6に流入する冷媒の温度は上昇し、昇温した該冷媒により前記冷却液は加熱され、その温度が第1設定温度に調整される。
【0045】
また、前記第2冷却液回路4においては、前記ポンプ2から第1設定温度で吐出された冷却液の一部が、分岐管路50を通じて第2熱交換器7に流入し、この第2熱交換器7で高温高圧のガス状冷媒と熱交換することにより加熱され、前記第1設定温度より高い第2設定温度に調整されたあと、前記第2供給管路51を通じて第2負荷W2に送られ、該第2負荷W2を冷却する。
【0046】
前記第2負荷W2を冷却することにより昇温した冷却液は、前記第2戻り管路52から第1戻り管路41に流入し、この第1戻り管路41を流れる第1負荷W1からの冷却液と合流して前記第1熱交換器6に送られ、この第1熱交換器6で温度調整されて第1設定温度に戻されたあと、前記流入管路42から前記タンク1に流入する。
【0047】
前記第2負荷W2に供給される冷却液の温度は、前記第2供給管路51に接続された第3温度センサ53により常時測定され、測定された温度に基づいて前記制御装置8で冷凍回路5の第2膨張弁28の開度が制御されることにより、該冷却液の温度が第2設定温度に調整される。
【0048】
例えば、前記第2供給管路51を流れる冷却液の温度が第2設定温度より高い場合、該冷却液の温度を低下させる必要があるため、前記冷凍回路5における第2膨張弁28の開度が減少するか又は閉じることによって前記第2熱交換器7の加熱能力が減少し、その結果、前記冷却液の温度は低下して第2設定温度に調整される。
【0049】
その逆に、前記第2供給管路51を流れる冷却液の温度が第2設定温度より低い場合には、該冷却液の温度を上げる必要があるため、前記第2膨張弁28の開度が増大して第2熱交換器7に流入する高温の冷媒の流量が増大し、その結果、冷却液は加熱されてその温度が第2設定温度に調整される。
【0050】
また、前記冷却液中のイオン性物質の量が増加すると、該冷却液の電気伝導率が上昇するが、前記DIセンサ63で測定された電気伝導率が基準値より大きくなった場合には、前記電磁弁62が開放して前記濾過管路60が開放し、該濾過管路60を冷却液が流れることにより、該冷却液中のイオン性物質が前記DIフィルタ61で除去される。
このとき、前記負荷の冷却を続けながら、前記冷却液の一部を前記濾過管路60に流して濾過するようにすることも、前記負荷の冷却を停止し、前記冷却液の全部を前記濾過管路60に流して濾過するようにすることもできる。
【0051】
図2には第2実施形態のチラーC2が示されている。このチラーC2が前記第1実施形態のチラーC1と異なる点は、冷凍回路5Aの構成であり、第1冷却液回路3及び第2冷却液回路4の構成と、第1熱交換器6及び第2熱交換器7の構成は、前記第1実施形態のチラーと同じである。
そこで、以下の説明においては、前記冷凍回路5Aの構成について説明し、前記第1冷却液回路3及び第2冷却液回路4と、前記第1熱交換器6及び第2熱交換器7については、第1実施形態で用いた符号と同一の符号を付してその説明は省略する。
【0052】
前記冷凍回路5Aは、圧縮機70の出口70aとコンデンサ71の入口71aとを結ぶ第1冷媒管路72と、該コンデンサ71の出口71bと前記第1熱交換器6の入口6aとを結ぶ第2冷媒管路73と、該第2冷媒管路73から分岐して第2熱交換器7の入口7aに接続された第3冷媒管路74と、前記第1熱交換器6の出口6bと前記圧縮機70の入口70bを結ぶ第4冷媒管路75と、前記第2熱交換器7の出口7bと前記第4冷媒管路75とを結ぶ第5冷媒管路76とを有している。そして、前記第2冷媒管路73の、前記第3冷媒管路74が分岐する位置より第1熱交換器6寄りの位置に、第1膨張弁77が接続され、前記第3冷媒管路74に第2膨張弁78が接続されている。
【0053】
また、前記第1冷媒管路72から分岐する第6冷媒管路79が、前記第2冷媒管路73に、前記第1膨張弁77より前記第1熱交換器6の入口6a寄りの位置で接続され、この第6冷媒管路79に第3膨張弁80が接続され、更に、前記第6冷媒管路79から分岐する第7冷媒管路81が、前記第3冷媒管路74に、前記第2膨張弁78より前記第2熱交換器7の入口7a寄りの位置で接続され、この第7冷媒管路81に第4膨張弁82が接続されている。
【0054】
前記第1冷媒管路72には、前記圧縮機70から吐出された冷媒の温度を検出する第1冷媒温度センサ83が接続され、前記第2冷媒管路73には、前記コンデンサ71から流出する冷媒中の異物を除去する冷媒フィルタ84と、この冷媒の圧力を検出する第1冷媒圧力センサ85とが接続され、前記第4冷媒管路75には、前記第1熱交換器6及び第2熱交換器7から圧縮機70に戻る冷媒の圧力を検出する第2冷媒圧力センサ86と、この冷媒の温度を検出する第2冷媒温度センサ87とが接続されている。
【0055】
前記第2実施形態のチラーは次のように動作する。
前記冷凍回路5Aにおいて、前記圧縮機70から吐出された高温高圧のガス状冷媒は、前記コンデンサ71で冷却されて低温高圧の液状冷媒になったあと、前記第2冷媒管路73から第1膨張弁77を通じて第1熱交換器6に送られると同時に、前記第3冷媒管路74から第2膨張弁78を通じて第2熱交換器7に送られ、前記第1熱交換器6で前記第1冷却液回路3の冷却液と熱交換して該冷却液を第1設定温度に調整すると共に、前記第2熱交換器7で前記第2冷却液回路4の冷却液と熱交換して該冷却液を第2設定温度に調整する。そして、前記第1熱交換器6及び第2熱交換器7を出た冷媒は、第4冷媒管路75及び第5冷媒管路76を通って圧縮機70の入口70bに戻る。
【0056】
また、前記圧縮機70から吐出された高温高圧のガス状冷媒の一部は、前記第6冷媒管路79及び第3膨張弁80を介して前記第1熱交換器6に送られると共に、前記第7冷媒管路81及び第4膨張弁82を介して前記第2熱交換器7に送られ、各熱交換器6,7に流入する冷媒の温度調整のために使用される。
【0057】
一方、前記第1冷却液回路3においては、第1設定温度に調整された前記タンク1内の冷却液が、前記ポンプ2から吐出されたあと、第1供給管路40を通じて第1設定温度のまま第1負荷W1に送られ、該第1負荷W1を冷却する。
前記第1負荷W1を冷却することにより昇温した冷却液は、第1戻り管路41を通じて前記第1熱交換器6に送られ、該第1熱交換器6で前記第1設定温度に戻されたあと、前記流入管路42から前記タンク1に流入する。
【0058】
前記冷却液の温度は、前記第1温度センサ43及び第2温度センサ45により常時測定され、測定された冷却液の温度に基づいて前記制御装置8で冷凍回路5Aの第1膨張弁77及び第3膨張弁80の開度が制御されることにより、該冷却液の温度が第1設定温度に調整される。
【0059】
例えば、前記第1温度センサ43で測定された冷却液の温度が第1設定温度より高い場合、前記第1熱交換器6の冷却能力を高めて該冷却液の温度を下げる必要があるため、前記冷凍回路5Aにおける第1膨張弁77の開度が拡大して低温の冷媒の流量が増大すると共に、前記第3膨張弁80の開度が減少して高温の冷媒の流量が減少する。その結果、前記第1熱交換器6に流入する冷媒の温度が低下して該第1熱交換器6の冷却能力が増大するため、前記冷却液は冷却され、その温度が第1設定温度に調整される。
【0060】
その逆に、前記冷却液の温度が第1設定温度より低い場合には、前記第1熱交換器6で該冷却液を加熱して温度を上げる必要があるため、前記第1膨張弁77の開度が減少して低温の冷媒の流量が減少すると共に、前記第3膨張弁80の開度が増大して高温の冷媒の流量が増大する。その結果、前記第1熱交換器6に流入する冷媒の温度は上昇し、昇温した該冷媒により前記冷却液は加熱され、その温度が第1設定温度に調整される。
【0061】
また、前記第2冷却液回路4においては、前記ポンプ2から第1設定温度で吐出された冷却液の一部が、分岐管路50を通じて第2熱交換器7に流入し、この第2熱交換器7で冷媒と熱交換することにより昇温し、前記第1設定温度より高い第2設定温度に調整されたあと、前記第2供給管路51を通じて第2負荷W2に送られ、該第2負荷W2を冷却する。
【0062】
前記第2負荷W2を冷却することにより昇温した冷却液は、前記第2戻り管路52から第1戻り管路41に流入し、前記第1負荷W1からの冷却液と合流して前記第1熱交換器6に送られ、この第1熱交換器6で温度調整されて第1設定温度に戻されたあと、前記流入管路42から前記タンク1に流入する。
【0063】
前記第2負荷W2に供給される冷却液の温度は、前記第2供給管路51に接続された第3温度センサ53により常時測定され、測定された温度に基づいて前記制御装置8で冷凍回路5Aの第2膨張弁78及び第4膨張弁82の開度が制御されることにより、該冷却液の温度が第2設定温度に調整される。
【0064】
例えば、前記第3温度センサ53で測定された冷却液の温度が第2設定温度より高い場合、前記第2熱交換器7の冷却能力を高めて該冷却液の温度を下げる必要があるため、前記冷凍回路5Aにおける第2膨張弁78の開度が拡大して低温の冷媒の流量が増大すると共に、前記第4膨張弁82の開度が減少して高温の冷媒の流量が減少する。その結果、前記第2熱交換器7に流入する冷媒の温度が低下して該第2熱交換器7の冷却能力が増大するため、前記冷却液は冷却され、その温度が第2設定温度に調整される。
【0065】
その逆に、前記冷却液の温度が第2設定温度より低い場合には、前記第2熱交換器7で該冷却液を加熱して温度を上げる必要があるため、前記第2膨張弁78の開度が減少して低温の冷媒の流量が減少すると共に、前記第4膨張弁82の開度が増大して高温の冷媒の流量が増大する。その結果、前記第2熱交換器7に流入する冷媒の温度は上昇し、昇温した該冷媒により前記冷却液は加熱され、その温度が第2設定温度に調整される。
【0066】
また、前記冷却液中のイオン性物質の量が増加して冷却液の純度が低下した場合に、DIフィルタ61の作用でイオン性物質が除去されることは、前記第1実施形態の場合と同様である。
【0067】
前記第1実施形態のチラーC1及び第2実施形態のチラーC2は、それぞれ2つの冷却液回路3,4を有しているが、本発明のチラーは、3つ以上の冷却液回路を有することができる。例えば、1つの前記第1冷却液回路3と2つ以上の前記第2冷却液回路4とを有することも、2つ以上の前記第1冷却液回路3と1つの前記第2冷却液回路4とを有することも、2つ以上の前記第1冷却液回路3と2つ以上の前記第2冷却液回路4とを有することもできる。
【0068】
ここで、前記第1実施形態のチラーC1において、前記第1冷却液回路3を2つ以上設ける場合は、該第1冷却液回路3と、前記第1膨張弁27及び第3膨張弁29を含む冷媒回路部5aとが、前記第1熱交換器6で相互に接続された回路構成部分を、互いに並列に接続すれば良く、また、前記第2冷却液回路4を2つ以上設ける場合は、該第2冷却液回路4と、前記第2膨張弁28を含む冷媒回路部5bとが、前記第2熱交換器7で相互に接続された回路構成部分を、互いに並列に接続すれば良い。
【0069】
また、前記第2実施形態のチラーC2において、前記第1冷却液回路3を2つ以上設ける場合は、該第1冷却液回路3と、前記第1膨張弁77及び第3膨張弁80を含む冷媒回路部5aとが、前記第1熱交換器6で相互に接続された回路構成部分を、互いに並列に接続すれば良く、また、前記第2冷却液回路4を2つ以上設ける場合は、該第2冷却液回路4と、前記第2膨張弁78及び第4膨張弁82を含む冷媒回路部5bとが、前記第2熱交換器7で相互に接続された回路構成部分を、互いに並列に接続すれば良い。
【符号の説明】
【0070】
C1,C2 チラー
W1 第1負荷
W2 第2負荷
1 タンク
2 ポンプ
3 第1冷却液回路
4 第2冷却液回路
5,5A 冷凍回路
6 第1熱交換器
6a,6c 入口
6b,6d 出口
7 第2熱交換器
7a,7c 入口
7b,7d 出口
8 制御装置
15,70 圧縮機
15a,70a 出口
15b,70b 入口
16,71 コンデンサ
16a,71a 入口
16b,71b 出口
21,72 第1冷媒管路
22,73 第2冷媒管路
23,74 第3冷媒管路
24,75 第4冷媒管路
25,76 第5冷媒管路
26,79 第6冷媒管路
27,77 第1膨張弁
28,78 第2膨張弁
29,80 第3膨張弁
40 第1供給管路
41 第1戻り管路
50 分岐管路
51 第2供給管路
52 第2戻り管路
54 圧力調整弁
60 濾過管路
61 DIフィルタ
62 電磁弁
63 DIセンサ
81 第7冷媒管路
82 第4膨張弁
図1
図2