(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240925BHJP
H02H 7/18 20060101ALI20240925BHJP
G01R 31/327 20060101ALI20240925BHJP
G01R 31/52 20200101ALI20240925BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240925BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
H02J7/00 Q
H02J7/00 S
H02H7/18
G01R31/327
G01R31/52
H01M10/48 P
H01M10/44 P
(21)【出願番号】P 2020128266
(22)【出願日】2020-07-29
【審査請求日】2023-07-24
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 裕樹
【審査官】三橋 竜太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-158446(JP,A)
【文献】特開2016-152680(JP,A)
【文献】特開2012-100438(JP,A)
【文献】特開2018-136314(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
H02H 7/00
H02H 7/10-7/20
G01R 31/327-31/34
G01R 31/52
H01M 10/42-10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置であって、
蓄電セルと、
前記蓄電セルと外部端子を接続する配線上に位置する第1電流センサと、
前記蓄電セルと外部端子を接続する配線上に位置し前記蓄電セルの電流を遮断する遮断装置と、
前記遮断装置に対して並列に接続され、第2電流センサを有する並列回路と、
前記蓄電セルを電源として、前記遮断装置又は前記並列回路を通る経路で所定値以上の電流を放電させる放電回路と、
前記遮断装置にオープン指令又はクローズ指令を送信した後、前記蓄電セルから前記遮断装置又は前記並列回路を通る経路で所定値以上の放電電流が前記放電回路に流れているときに、前記第1電流センサと前記第2電流センサにより電流をそれぞれ計測し、前記第1電流センサと前記第2電流センサの電流計測値に基づいて、前記遮断装置の故障の有無を判定する判定部と、を備える、蓄電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の蓄電装置であって、
前記判定部は、前記遮断装置に対してオープン指令を送信した後、
前記蓄電セルから前記遮断装置又は前記並列回路を通る経路で所定値以上の放電電流が前記放電回路に流れているときに、前記第1電流センサと前記第2電流センサによりそれぞれ電流を計測し、
前記第1電流センサと前記第2電流センサの2つの電流計測値が所定値以上であり、かつ2つの電流計測値が一致している場合、前記遮断装置は正常にオープンしていると判定する、蓄電装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の蓄電装置であって、
前記判定部は、前記遮断装置に対してオープン指令を送信した後、
前記蓄電セルの充電中又は前記蓄電セルから負荷への放電中に、前記第1電流センサと前記第2電流センサによりそれぞれ電流を計測し、前記第1電流センサと前記第2電流センサの2つの電流計測値のうち少なくともいずれか一方が所定値未満の場合、前記放電回路をオフからオンに切り換えて、前記第1電流センサと前記第2電流センサにより電流を再計測し、2つの電流計測値が所定値以上であり、かつ2つの電流計測値が一致している場合、前記遮断装置は正常にオープンしていると判定する、蓄電装置。
【請求項4】
請求項1に記載の蓄電装置であって、
前記蓄電装置はアイドリングストップ車に搭載され、
前記判定部は、アイドリングストップ中に、前記遮断装置の故障の有無を判定する、蓄電装置。
【請求項5】
蓄電装置の故障診断方法であって、
蓄電装置は、
蓄電セルと、
前記蓄電セルと外部端子を接続する配線上に位置する第1電流センサと、
前記蓄電セルと外部端子を接続する配線上に位置し前記蓄電セルの電流を遮断する遮断装置と、
前記遮断装置に対して並列に接続され、第2電流センサを有する並列回路と、
前記蓄電セルを電源として、前記遮断装置又は前記並列回路を通る経路で所定値以上の電流を放電させる放電回路と、を含み、
前記遮断装置にオープン指令又はクローズ指令を送信した後、前記蓄電セルから前記遮断装置又は前記並列回路を通る経路で所定値以上の放電電流が前記放電回路に流れているときに、前記第1電流センサと前記第2電流センサにより電流をそれぞれ計測し、
前記第1電流センサと前記第2電流センサの電流計測値に基づいて、前記遮断装置の故障の有無を判定する、故障診断方法。
【請求項6】
請求項1~請求項4のうちいずれか一項に記載の蓄電装置を搭載した車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮断装置の故障の有無を診断する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄電セルの保護装置の一つに電流を遮断する遮断装置がある。特許文献1に記載のバッテリは、パワーフェイル(負荷への電源遮断)を発生させないように、遮断装置と並列に並列回路を有している。特許文献1に記載のバッテリは、遮断装置をオープンして電流を遮断した場合でも、並列回路を通じて負荷への電力供給を維持できる。
【0003】
特許文献2のバッテリは、蓄電セルの通電路に設けられた第1電流センサに加えて、並列回路に第2電流センサを設けている。特許文献2のバッテリは、遮断装置をクローズからオープンに切り換えた時に、2つの電流センサで電流を計測し、それらを比較することで、遮断装置の故障の有無を診断している。
具体的には、車両の駐車中に遮断装置をクローズからオープンに切り換えて電流を計測し、2つの電流計測値が一致した場合、遮断装置は正常(クローズ故障していない)と判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-100878号公報
【文献】特開2019-158446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電流計測値が所定値より小さい場合、故障の有無の診断を誤ることがある。遮断装置を有する蓄電装置において、遮断装置の故障の有無を診断する精度を向上させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
蓄電装置は、蓄電セルと、前記蓄電セルと外部端子を接続する配線上に位置する第1電流センサと、前記蓄電セルと外部端子を接続する配線上に位置し前記蓄電セルの電流を遮断する遮断装置と、前記遮断装置に対して並列に接続され、第2電流センサを有する並列回路と、前記蓄電セルを電源として、前記遮断装置又は前記並列回路を通る経路で所定値以上の電流を放電させる放電回路と、前記遮断装置にオープン指令又はクローズ指令を送信した後、前記蓄電セルから前記遮断装置又は前記並列回路を通る経路で所定値以上の放電電流が前記放電回路に流れているときに、前記第1電流センサと前記第2電流センサにより電流をそれぞれ計測し、前記第1電流センサと前記第2電流センサの電流計測値に基づいて、前記遮断装置の故障の有無を判定する判定部と、を備える。
【0007】
上記技術は、遮断装置の故障診断方法に適用することが出来る。また、蓄電装置を搭載した車両に適用することが出来る。
【発明の効果】
【0008】
本構成では、遮断装置と並列に並列回路を有する蓄電装置において、遮断装置の故障診断精度を向上させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【発明を実施するための形態】
【0010】
蓄電装置の概要を説明する。
蓄電装置は、蓄電セルと、前記蓄電セルと外部端子を接続する配線上に位置する第1電流センサと、前記蓄電セルと外部端子を接続する配線上に位置し前記蓄電セルの電流を遮断する遮断装置と、前記遮断装置に対して並列に接続され、第2電流センサを有する並列回路と、前記蓄電セルを電源として、前記遮断装置又は前記並列回路を通る経路で所定値以上の電流を放電させる放電回路と、前記遮断装置にオープン指令又はクローズ指令を送信した後、前記蓄電セルから前記遮断装置又は前記並列回路を通る経路で所定値以上の放電電流が前記放電回路に流れているときに、前記第1電流センサと前記第2電流センサにより電流をそれぞれ計測し、前記第1電流センサと前記第2電流センサの電流計測値に基づいて、前記遮断装置の故障の有無を判定する判定部と、を備える。
【0011】
この構成では、判定部は、蓄電セルから遮断装置又は並列回路を通る経路で所定値以上の放電電流が放電回路に流れているときに、遮断装置の故障の有無を診断する。遮断装置又は並列回路に所定値以上の電流が流れている場合、所定値未満の微小な電流しか流れていない状態に比べて、電流計測値として大きな値が得られ、電流計測値に含まれる電流計測誤差(オフセット誤差など)の割合が小さい。そのため、電流計測誤差の影響を受け難くなるため、2つの電流計測値より遮断装置の故障の有無を高精度に診断することが出来る。遮断装置がリレー等の機械式タイプである場合、高温環境化においては、接点部の酸化の進行が早い。酸化が進むことにより、接触抵抗が上昇して、蓄電装置での電力損失が多くなる。遮断装置の故障診断を実行することで、接点部の酸化皮膜を開閉時の衝撃等により除去して接触抵抗の上昇を抑えることができ、電力損失を低減することが出来る。
【0012】
前記判定部は、前記遮断装置に対してオープン指令を送信した後、前記蓄電セルから前記遮断装置又は前記並列回路を通る経路で所定値以上の放電電流が前記放電回路に流れているときに、前記第1電流センサと前記第2電流センサによりそれぞれ電流を計測し、前記第1電流センサと前記第2電流センサの2つの電流計測値が所定値以上であり、かつ2つの電流計測値が一致している場合、前記遮断装置は正常にオープンしていると判定してもよい。
【0013】
2つの電流計測値が所定値以上であり、かつ2つの電流計測値が一致している場合、電流経路は遮断装置から並列回路に切り換わっており、遮断装置はオープンしていると判定することが出来る。遮断装置が、正常にオープンすることを確認することで、遮断装置を正常な状態に維持出来る。そのため、異常時に遮断装置により電流を遮断して、蓄電装置を保護することが可能となる。
【0014】
前記判定部は、前記遮断装置に対してオープン指令を送信した後、前記蓄電セルの充電中又は前記蓄電セルから負荷への放電中に、前記第1電流センサと前記第2電流センサによりそれぞれ電流を計測し、前記第1電流センサと前記第2電流センサの2つの電流計測値のうち少なくともいずれか一方が所定値未満の場合、前記放電回路をオフからオンに切り換えて、前記第1電流センサと前記第2電流センサにより電流を再計測し、再計測した2つの電流計測値が所定値以上であり、かつ2つの電流計測値が一致している場合、前記遮断装置は正常にオープンしていると判定してもよい。
【0015】
この構成では、蓄電セルの充電中又は蓄電セルから負荷への放電中に、2つの電流センサで電流を計測した結果、2つの電流計測値のうち少なくともいずれか一方が所定値未満の場合、放電回路をオフからオンに切り換える。放電回路の切り換えにより、遮断装置又は並列回路を通る経路で所定値以上の放電電流が流れる。そのため、2つの電流センサで電流を再計測することで、所定値以上の電流計測値に基づいて、遮断装置の故障の有無を診断することが出来、信頼性の高い故障診断を行うことが出来る。
【0016】
前記蓄電装置はアイドリングストップ車に搭載され、前記判定部は、アイドリングストップ中に、前記遮断装置の故障の有無を判定してもよい。
【0017】
アイドリングストップ中は、走行中に比べて電流が小さいため、並列回路の定格容量を小さくすることが出来る。
【0018】
<実施形態1>
1.バッテリの説明
バッテリ20は、
図1に示すように、ブロック状の電池ケース21を有しており、電池ケース21内には、複数の二次電池セルB1~B4からなる組電池30や回路基板28が収容されている。バッテリ20は蓄電装置である。
【0019】
電池ケース21は、
図2に示すように、上方に開口する箱型のケース本体23と、複数の二次電池セルB1~B4を位置決めする位置決め部材24と、ケース本体23の上部に装着される中蓋25と、上蓋26とを備えている。ケース本体23内には、
図2に示すように、各二次電池セルB1~B4が個別に収容される複数のセル室23AがX方向に並んで設けられている。
【0020】
位置決め部材24は、ケース本体23内に配置された複数の二次電池セルB1~B4の上部に配置され、複数の二次電池セルB1~B4を位置決めする。
位置決め部材24の上面には、
図2に示すように、複数のバスバー27が配置されている。複数の二次電池セルB1~B4は、複数のバスバー27によって直列に接続されるようになっている。
【0021】
中蓋25は、
図1に示すように、平面視略矩形状である。中蓋25のX方向両端部には、一対の外部端子22P、22Nが設けられている。一対の外部端子22P、22Nは、例えば鉛合金等の金属からなり、22Pが正極の外部端子、22Nが負極の外部端子である。一対の外部端子22P、22Nは、バッテリ20に対して、負荷10や充電器を接続する端子である。
【0022】
中蓋25の上面には、収容部25Aが設けられている。回路基板28は、中蓋25の収容部25Aの内部に収容されている。中蓋25がケース本体23に装着されることで、二次電池セルBと回路基板28とが接続されるようになっている。上蓋26は、中蓋25の上部に装着され、回路基板28を収容した収容部25Aの上面を閉じる。
【0023】
図3を参照して、バッテリ20の電気的構成を説明する。バッテリ20は、組電池30と、遮断装置40と、第1電流センサ50と、並列回路70と、管理部80とを含む。
【0024】
組電池30は、直列接続された複数の二次電池セルB1~B4から構成されている。二次電池セルB1~B4は、リチウムイオン二次電池セルでもよい。二次電池セルB1~B4は、本発明の「蓄電セル」の一例である。
【0025】
組電池30、遮断装置40及び電流センサ50は、パワーライン35P、35Nを介して、直列に接続されている。パワーライン35Pは、正極の外部端子22Pと組電池30の正極とを接続する配線である。パワーライン35Nは、負極の外部端子22Nと組電池30の負極とを接続する配線である。パワーライン35P、パワーライン35Nは電流が流れる電流経路(主経路)である。
【0026】
遮断装置40は、組電池30の正極に位置し、正極のパワーライン35Pに設けられている。遮断装置40はリレーやFETを用いることが出来る。リレーは接点を有する機械式のスイッチである。FETは半導体スイッチである。
【0027】
遮断装置40は、回路基板28上に配置されていて、電池ケース21内に収容されている。遮断装置40は、正常時、CLOSE状態(normally close)に制御される。
【0028】
第1電流センサ50は、組電池30の負極に位置し、負極のパワーライン35Nに設けられている。第1電流センサ50は、組電池30のパワーライン35Nに流れる電流を測定する。第1電流センサ50は、例えば、電流検出抵抗により構成することが出来る。
【0029】
第1電流センサ50の両端の接続点P6、P7は、信号線を介して、管理部80に接続されており、第1電流センサ50から管理部80に対して電流計測値のデータが取り込まれる。
【0030】
並列回路70は、一端をパワーライン35Pの接続点P1に接続し、他端をパワーライン35Pの接続点P2に接続している。並列回路70は、遮断装置40と並列に接続されている。
【0031】
並列回路70は、第2電流センサ71と、直列スイッチ73とから構成されている。第2電流センサ71と直列スイッチ73は直列に接続されている。並列回路70は回路基板28上に設けられている。
【0032】
第2電流センサ71は、並列回路70に流れる電流を計測する。第2電流センサ71は、例えば、電流検出抵抗により構成することが出来る。
【0033】
第2電流センサ71の両端の接続点P4、P5は、信号線を介して、管理部80に接続されており、第2電流センサ71から管理部80に対して電流計測値のデータが取り込まれる。
【0034】
直列スイッチ73は、2つの半導体スイッチ73Aと半導体スイッチ73Bから構成されている。2つの半導体スイッチ73A、73Bは、Pチャンネルの電界効果トランジスタである。直列スイッチ73は、1つの半導体スイッチや1つの接点スイッチで構成してもよい。
【0035】
2つの半導体スイッチ73A、73Bは、PチャンネルのFETであり、バックツーバック接続されている。半導体スイッチ73Aは、充電方向を順方向とする寄生ダイオードD1を内蔵し、半導体スイッチ73Bは、放電方向を順方向とする寄生ダイオードD2を内蔵する。
【0036】
2つの半導体スイッチ73A、73Bの双方をオンすることで、並列回路70は導通状態となり、双方をオフすることで、並列回路70を遮断することができる。
【0037】
半導体スイッチ73Aをオンし、半導体スイッチ73Bをオフすることで、放電のみ可能となり、半導体スイッチ73Aをオフし、半導体スイッチ73Bをオンすることで、充電のみ可能となる。
【0038】
管理部80は、計測IC81、制御IC83、電源IC85などの複数のICを備え、回路基板28上に配置されている。
【0039】
計測IC81は、電流計測ICと電圧計測ICとを含む。電流計測ICは、第1電流センサ50や第2電流センサ71の出力する信号をアナログ値からディジタル値に変更する。
【0040】
電圧計測ICは、組電池30を構成する各二次電池セルB1~B4のセル電圧や、組電池30の総電圧を計測する。また、組電池30には、温度センサが取り付けられており、電圧、電流に加えて、組電池30の温度も計測できる。
【0041】
制御IC83は、演算機能を有するCPU(central processing unit)83Aやメモリ83Bなどを含む。電源IC85は、組電池30から電力の供給を受ける。
【0042】
管理部80は、遮断装置40や並列回路70の直列スイッチ73に指令を送り、遮断装置40、直列スイッチ73のオン、オフを制御する。「オン」はクローズ(閉路)の意味、「オフ」はオープン(開路)の意味である。
【0043】
バッテリ20は、正負の外部端子22P、22Nに接続された負荷10に対して電力を供給する。管理部80は、電圧V、電流I、温度など所定の監視項目について、バッテリ20の状態を監視する。
【0044】
管理部80は、バッテリ20に異常があった場合、遮断装置40をオープンして、パワーライン35Pの電流Iを遮断することで、バッテリ20を保護する保護動作を行う。
【0045】
バッテリ20は、遮断装置40のオープン中でも、並列回路70を通じて、負荷10への放電を継続することが出来る。つまり、遮断装置40のオープン中、直列スイッチ73を放電のみ可能な状態に制御(スイッチ73Aをオン、スイッチ73Bをオフ)することで、並列回路70を通じて、負荷10への放電を継続することが出来る。
【0046】
管理部80は、第1電流センサ50の出力に基づいて、二次電池セルB1~B4の電流Iを検出する処理と、検出した電流Iに基づいて二次電池セルB1~B4のSOCを推定する処理を行う。
【0047】
SOC(state of charge:充電状態)は、満充電容量に対する残存容量の比率であり、下記の(1)式にて表される。SOCは、下記の(2)式で示すように、電流の時間に対する積分値に基づいて推定することが出来る。電流Iの符号を、充電時はプラス、放電はマイナスとする。
【0048】
SOC=(Cr/Co)×100・・・・・・・・・・(1)
Coは二次電池の満充電容量、Crは二次電池の残存容量である。
【0049】
SOC=SOCo+100×(∫Idt/Co)・・・(2)
SOCoは、SOCの初期値、Iは電流である。
【0050】
メモリ81Bには、SOCを推定するプログラムや、遮断装置40の故障診断シーケンスを実行するプログラムが記憶されている。プログラムはCD-ROM等の記録媒体に記憶して譲渡等することが出来る。プログラムは電気通信回線を用いて配信出来る。
【0051】
バッテリ20は、更に、放電回路90を有している。放電回路90は、放電抵抗91と放電スイッチ93を有する。放電抵抗91と放電スイッチ93は直列に接続されている。
【0052】
放電回路90は、2つの外部端子22P、外部端子22Nに両端をそれぞれ接続している。具体的には、一端を、パワーライン35P上の接続点P3に接続し、他端を、パワーライン35N上の接続点P8に接続している。
【0053】
遮断装置40のオープン中に、放電スイッチ93をクローズすることで、組電池30を電源として、バッテリ20内において、
図4にて破線で示す放電経路Lで放電電流Ibを流すことが出来る。放電経路Lは、組電池30の正極から、並列回路70、放電回路90を通り、組電池30の負極に戻る経路である。放電経路Lは、バッテリ内のみ通り、バッテリ外は通らない経路である。放電スイッチ93は、遮断装置40の故障診断中の一部の期間を除いて、オープンに制御される。
【0054】
放電抵抗91は、放電電流Ibが後記する所定値X以上の定電流になるように、抵抗値が定められている。
【0055】
バッテリ20は、
図5に示すように、車両用として使用することが出来る。車両1は、アイドリングストップ車でもよい。アイドリングストップ車は、信号待ちや渋滞などで走行する車両1が一時的に停止した場合、エンジン13を停止し、アクセルペダルを踏んだ時にエンジン13を再始動する車両である。
【0056】
図6は、車両搭載時のバッテリ20のブロック図である。バッテリ20は、エンジン始動用の12Vバッテリである。
【0057】
バッテリ20には、セルモータなどエンジンを始動させる始動装置10Aが接続されている。始動装置10Aは、バッテリ20から電力の供給を受けて駆動し、車両1のエンジン13を始動する。
【0058】
また、バッテリ20に接続される負荷10には、始動装置10A以外に、車載機器10B、車両ECU10Cが含まれており、バッテリ20は、これらにも電力を供給する。コンデンサCは、バッテリ20の電源ラインの電圧を安定させるために設けられている。
【0059】
車載機器10Bは、車両1に搭載された補器類(例えば、ヘッドライト、パワーステアリング、自動ブレーキシステム、自動運転システム、衝突安全システム、エアコン、オーディオ)などである。車両ECU10Cは、エンジン13の動作状態や車両1の走行状態を監視する。
【0060】
管理部80は、車両ECU10Cと通信接続されており、車両ECU10Cからイグニッションスイッチの入り切りの情報、エンジン13の動作状態の情報及び車両1の走行状態(走行中、走行停止、アイドリングストップなど)の情報を受信することができる。管理部80は、遮断装置40の故障診断機能を担っており、本発明の「判定部」の一例である。
【0061】
バッテリ20には、負荷10A~10C以外に、オルタネータなどの車両発電機15が接続されており、車両発電機15により充電することができる。
【0062】
2.遮断装置の故障診断
バッテリ20は、正常時(故障診断前)、
図6に示すように、遮断装置40はクローズ、並列回路70の直列スイッチ73はオープン、放電回路90の放電スイッチ93はオープンに制御しており、遮断装置40を通る電流経路で、負荷10への放電又は車両発電機15による充電が行われる。
【0063】
走行する車両1が信号等で一時的に停止して、アイドリングストップに移行すると、その後、車両ECU10Cは、管理部80に対してアイドリングストップ信号を送信する。
【0064】
管理部80は、アイドリングストップ信号を受けると、遮断装置40の故障診断シーケンスを実行する(
図7)。
【0065】
アイドリングストップ中に故障診断を行うのは、アイドリングストップ中は、走行中に比べて、負荷10への放電電流が小さいため、並列回路70の定格容量を小さく出来るからである。
【0066】
故障診断シーケンスの実行前の状態において、
図6に示すように、バッテリ20は、遮断装置40を通る経路で負荷10に放電しているものとし、放電電流を「Ia」とする。
【0067】
管理部80は、遮断装置40の故障診断シーケンスの実行開始後、第1電流センサ50により、パワーライン35Nに流れる電流、つまり放電電流Iaを計測する。
【0068】
そして、電流計測値が制限値以下であるか否かを、判定する(S10)。制限値は、並列回路70に定格容量を超える電流が流れないように、電流の大きさを判断する値である。制限値は、並列回路70の定格容量又はそれより小さい値でもよい。
【0069】
電流計測値が制限値を超えている場合(S10:NO)、故障診断は終了する。
電流計測値が制限値以下の場合(S10:YES)、管理部80は、並列回路70に指令を送り、2つの半導体スイッチ73A、73Bをオープンからクローズに切り換える。
【0070】
2つの半導体スイッチ73A、73Bをクローズに切り換えることで、並列回路70は導通し、オンする(S20)。
【0071】
次に管理部80は、遮断装置40にオープン指令を送り、遮断装置40をクローズからオープンに切り換える(S30)。
【0072】
遮断装置40をオープンに切り換えることで、遮断装置40が正常に動作している場合、バッテリ20の放電経路は、
図8に示すように遮断装置40から並列回路70に切り換わり、負荷10への放電電流Iaは並列回路70を通る経路で流れる。
【0073】
この時点では、放電回路90はオフ(非導通)しており、放電回路90に電流は流れていない。
【0074】
管理部80は、遮断装置40をオープンに切り換えると、その後、第1電流センサ50と第2電流センサ71により電流Iをそれぞれ計測する。
【0075】
管理部80は、第1電流センサ50の電流計測値と第2電流センサ71の電流計測値を比較し、2つの電流計測値が所定値X以上であり、かつ2つの電流計測値が一致しているか、判定する(S40)。
【0076】
所定値Xは、電流Iの一致、不一致の判定精度を維持できるか否かを、判断する閾値である。所定値Xは、電流センサ50、71の計測誤差(オフセット誤差)等から決定することが出来る。例えば、誤差率(電流計測値に対する計測誤差の割合)が、判定精度を維持可能な値となるように決めることが出来、一例として、数「A」である。
【0077】
電流計測値の一致判断は、2つの電流計測値に差があっても、その差が許容範囲内であれば、一致としてもよい。
【0078】
S40では、2つの電流計測値を比較した結果、2つの電流計測値が所定値X以上であり、かつ2つの電流計測値が一致している場合、YES判定される。
【0079】
2つの電流計測値のうち少なくともいずれか一方が所定値未満の場合及び2つの電流計測値が一致していない場合、NO判定される。
【0080】
S30で遮断装置40を切り換えた後、
図8に示すように、組電池30から並列回路70を通る経路で負荷10への放電電流Iaが流れる。負荷10への放電電流Iaが所定値X以上の場合、2つの電流センサ50、71の2つの電流計測値は「所定値X以上の放電電流Ia」で一致する。従って、S40でYES判定される。
【0081】
S40でYES判定された場合、管理部80は、遮断装置40にクローズ指令を送り、遮断装置40をオープンからクローズに切り換える(S50)。
【0082】
その後、管理部80は、並列回路70に指令を送り、半導体スイッチ73A、73Bをクローズからオープンに切り換える。半導体スイッチ73A、73Bをオープンに切り換えることで、並列回路70は遮断し、オフする(S60)。
【0083】
並列回路70の遮断により、バッテリ20の放電経路は、並列回路70から遮断装置40に切り換わり、バッテリ20は、負荷10に対して、遮断装置経由で放電する状態に戻る。
【0084】
その後、S70に移行して、管理部80は、遮断装置40は正常にオープンしており、クローズ故障していないと判定する。クローズ故障は、遮断装置40にオープン指令を与えても、遮断装置40がオープンせず、クローズに固着する故障である。
【0085】
負荷10への放電電流Iaが所定値X未満の場合、遮断装置40が正常に動作してクローズからオープンに切り換わっていても、2つの電流計測値Iaはいずれも所定値X未満である。従って、S40でNO判定される。
【0086】
S40でNO判定された場合、管理部80は、放電回路90に放電指令を送り、放電スイッチ93をオープンからクローズに切り換える(S80)。
【0087】
放電スイッチ93がクローズに切り換わることで、放電回路90は導通し、オンする。
【0088】
管理部80は、放電回路90の切り換え後、第1電流センサ50と第2電流センサ71により電流Iを再計測する。
【0089】
管理部80は、第1電流センサ50の電流計測値と第2電流センサ71の電流計測値を比較し、2つの電流計測値が所定値X以上であり、かつ2つの電流計測値が一致しているか、判定する(S90)。一致の判断は、2つの電流計測値に差があっても、その差が許容範囲内であれば、一致としてもよい。
【0090】
遮断装置40がクローズからオープンに切り換わっている場合、放電回路90をオンすることで、
図9に示すように、組電池30は負荷10への放電(実線)と放電回路90への放電(点線)を行う状態となり、2つの放電電流Ia、Ibはいずれも並列回路70を通る経路で流れる。
【0091】
そのため、第1電流センサ50と第2電流センサ71の電流計測値は、所定値X以上の電流計測値、つまり「Ia+Ib」で一致する。従って、S90で、管理部80により、YESと判定される。
【0092】
S90でYESと判定された場合、管理部80は、放電回路90に遮断指令を送り、放電スイッチ93をクローズからオープンに切り換える(S100)。放電回路90の遮断により、放電電流Ibは遮断される。
【0093】
放電回路90の遮断後、管理部80は、S50で遮断装置40をクローズ、S60で並列回路70をオフする。
【0094】
その後、S70に移行して、管理部80は、遮断装置40は正常にオープンしており、クローズ故障していないと判定する。
【0095】
S90で、第1電流センサ50の電流計測値と第2電流センサ71の電流計測値を比較した結果、2つの電流計測値のうち少なくともいずれか一方が所定値X未満の場合及び2つの電流計測値が一致していない場合、NO判定される。
【0096】
遮断装置40がクローズに固着している場合、放電電流Iaと放電電流Ibは並列回路70に流れず、遮断装置40に流れる。そのため、第2電流センサ71の電流計測値はほぼゼロである。一方、第1電流センサ50の電流計測値は、放電電流Iaと放電電流Ibの合計電流Ia+Ibであることから、2つの電流計測値は不一致となり、S90でNO判定される。
【0097】
S90でNO判定された場合、管理部80は、放電回路90に遮断指令を送り、放電スイッチ93をクローズからオープンに切り換える(S110)。放電回路90の遮断により、放電電流Ibは遮断される。
【0098】
放電回路90の遮断後、管理部80は、S120で遮断装置40をクローズ、S130で並列回路70をオフする。S120はS50と同じ処理、S130はS60と同じ処理である。
【0099】
その後、S140に移行して、管理部80は、遮断装置40はクローズ故障と判定する。管理部80は、クローズ故障と判定した場合、遮断装置40の異常を報知するエラー処理を実行する。
【0100】
3.効果説明
この構成では、放電回路90を用いて遮断装置40又は並列回路70に所定値X以上の電流を流した状態で、遮断装置40の故障の有無を診断する。遮断装置40又は並列回路70に所定値X以上の電流が流れている場合、所定値未満の微小な電流しか流れていない状態に比べて、電流計測値として大きな値が得られ、電流計測値に含まれる電流計測誤差(オフセット誤差など)の割合が小さい。そのため、電流計測誤差の影響を受け難くなるため、第1電流センサ50と第2電流センサ71により計測される2つの電流計測から遮断装置40の故障の有無を、精度よく判断することが出来る。
【0101】
具体的には、2つの電流計測値の一致、不一致を精度よく判断することが出来、遮断装置40の故障の有無を誤って判断することを抑制することが出来る。
【0102】
この構成では、車両1のアイドリングストップ中に、遮断装置40の故障診断を行う。アイドリングストップ中は、走行中に比べて、バッテリ20の電流が小さく、並列回路70の定格容量を小さく出来る。そのため、コストメリットがあり、また、回路規模を小さくできる。
【0103】
アイドリングストップは、走行中に複数回発生する場合があり、駐車に比べて頻度が多い。遮断装置40の故障診断をアイドリングストップ中に行うことで、駐車中に比べて、故障診断の実行頻度を増やすことができる。
【0104】
遮断装置40がリレー等の機械式タイプである場合、高温環境化においては、接点部の酸化の進行が早い。酸化が進むことにより、接触抵抗が上昇して、バッテリでの電力損失が多くなる。遮断装置40の開閉により、接点部の酸化皮膜を開閉時の衝撃等により除去して、接触抵抗の上昇を抑えることができ、バッテリ20での電力損失を低減することが出来る。また、アイドリングストップ中に、遮断装置40の故障診断を実行することで、遮断装置40の開閉機会が多いことから、接点部の酸化皮膜を除去するのに好適である。
【0105】
<実施形態2>
実施形態1では、バッテリ20をエンジン始動用とした。実施形態2では、バッテリ20を補機用として使用する。
【0106】
図10に示すように、バッテリ20には、負荷10として、車載機器10Bや車両ECU10Cが接続されており、バッテリ20は、車載機器10Bや車両ECU10Cに電力を供給する。
【0107】
バッテリ20は、DC/DCコンバータ16を介して、24Vや48Vの高圧バッテリ17が接続されている。バッテリ20は、高圧バッテリ17から電力の供給を受けて充電することが出来る。
【0108】
管理部80は、
図10にように、バッテリ20から車載機器10Bや車両ECU10Cへの放電中に、電流経路を遮断装置40から並列回路70に切り換えて電流を計測し、2つの電流センサ50、71の電流計測値が一致するか否かにより、遮断装置40の故障診断を行うことが出来る。
【0109】
管理部80は、
図11にように、バッテリ20の充電中に、電流経路を遮断装置40から並列回路70に切り換えて電流を計測し、2つの電流センサ50、71の電流計測値が一致するか否かにより、遮断装置40の故障診断を行うことが出来る。
【0110】
管理部80は、電流計測値が所定値X未満の場合、放電回路90をオフからオンに切り換える。放電回路90がオフからオンに切り換わると、
図12に示すように、組電池30から並列回路70を通る経路で所定値X以上の放電電流Ibが流れる。
【0111】
並列回路70に所定値X以上の放電電流Ibが流れている状態で、第1電流センサ50と第2電流センサ71で電流を再計測する。再計測した2つの電流計測値は、所定値X以上であり、電流計測誤差の影響が小さい。そのため、2つの電流計測値の一致、不一致を精度よく判断することが出来るので、遮断装置40の故障の有無を精度よく判断することが出来る。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0112】
(1)実施形態1では、蓄電セルの一例として、二次電池セルを示した。蓄電セルは、キャパシタなどでもよい。蓄電セルは、複数セルに限らず、単セルでもよい。
【0113】
(2)実施形態1では、バッテリ20を車両用とした。バッテリ20は、車両用以外にも、航空機や船舶、鉄道用など種々の用途に、使用することが出来る。特に、電源遮断を許容しない負荷用であることが好ましいが、電源遮断が一部において許容されている負荷用でもよい。
【0114】
(3)実施形態1では、遮断装置40を正極のパワーライン35Pに配置し、第1電流センサ50を負極のパワーライン35Nに配置した。構成を反転し、遮断装置40を、負極のパワーライン35Nに配置し、第1電流センサ50を正極のパワーライン35Pに配置してもよい。遮断装置40と第1電流センサ50は、同一のパワーライン35P、35Nに配置してもよい。例えば、遮断装置40と第1電流センサ50の双方を正極のパワーライン35Pに配置してもいいし、双方を負極のパワーライン35Nに配置してもよい。
【0115】
(4)実施形態1では、車両1のアイドリングストップ中に、遮断装置40の故障診断を行った。故障診断は、アイドリングストップ中に限らず、車両1の駐車中に行ってもよい。また、遮断装置40の故障診断は、必ずしも、車両1への搭載後だけでなく、車載前の状態など、負荷10が未接続の状態で行ってもよい。
【0116】
(5)実施形態1では、遮断装置40のクローズ故障の有無を診断した。クローズ故障だけでなく、オープン故障の有無を診断してもよい。また、クローズ故障の有無の診断は行わず、オープン故障の有無の診断だけ行ってもよい。オープン故障は、遮断装置40にクローズ指令を与えても、遮断装置40がクローズせず、オープンに固着する故障である。
【0117】
オープン故障は、クローズ故障と同様に、第1電流センサ50と第2電流センサ71の電流計測値に基づいて判定することが出来る。例えば、遮断装置40にクローズ指令を与えてオープンからクローズに切り換えた場合、第1電流センサ50と第2電流センサ71の電流計測値が切り換え前の状態から変化せず、所定値以上で一致した状態から変化が無い場合、遮断装置40はオープン故障していると判断できる。
【0118】
(6)実施形態1では、故障診断シーケンスにおいて、S20、S30で電流経路を遮断装置40から並列回路70に切り換えた後、S40で電流計測値の判定を行った。そして、2つの電流計測値が所定値以上であり、かつ2つの電流計測値が一致している場合(S40でYES)、S50に移行して、放電回路90を使用することなく、S70で遮断装置40は正常であると判断した。
【0119】
S40の判定処理は、必ずしも必要でなく廃止してもよい。例えば、S20、S30で電流経路を遮断装置40から並列回路70に切り換える。その後、S80に移行して放電回路90をオンに切り換え、S90で電流計測値の判定を行うようにしてもよい。つまり、故障診断シーケンス中、放電回路90を常にオンして、遮断装置40又は並列回路70に所定値X以上の放電電流Ibを流した状態で、2つの電流センサ50、71を用いて電流計測を行い、その結果に基づいて、遮断装置40の故障の有無を判断してもよい。
【0120】
(7)実施形態1では、放電回路90を放電抵抗91と放電スイッチ93とから構成した。放電回路90は、組電池30を電源として、遮断装置40又は並列回路70を通る経路で所定値X以上の電流を放電させる回路であれば、どのような回路でもよい。例えば、放電抵抗91のみとして、放電スイッチ93を廃止してもよい。また、放電抵抗91に代えて、ダイオードなど電流を流す他の素子を用いてもよい。
【0121】
(8)実施形態1では、組電池30を電源として、バッテリ20内において、組電池30の正極から、並列回路70(又は遮断装置40)、放電回路90を通り、組電池30の負極に戻る経路で、放電電流Ibを流した。放電電流Ibの経路は、組電池30を電源として、並列回路70(又は遮断装置40)を経由していれば、バッテリ外を通る経路でもよい。例えば、放電回路90を、バッテリ20の外部端子間に外付けして、組電池30の正極から、並列回路70(又は遮断装置40)、正極の外部端子22P、放電回路90、負極の外部端子22Nを通り、組電池30の負極に戻る経路で、放電電流Ibを流すようにしてもよい。
【符号の説明】
【0122】
20 バッテリ(本発明の「蓄電装置」に相当)
30 組電池
40 遮断装置
50 第1電流センサ
70 並列回路
71 第2電流センサ
73 直列スイッチ
80 制御部
90 放電回路
91 放電抵抗
93 第2電流センサ