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  • 特許-RFタグ読取装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】RFタグ読取装置
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20240925BHJP
   G06K 17/00 20060101ALI20240925BHJP
   H05K 9/00 20060101ALI20240925BHJP
   H01Q 17/00 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
G06K7/10 128
G06K7/10 236
G06K17/00 029
H05K9/00 C
H05K9/00 M
H01Q17/00
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020132401
(22)【出願日】2020-08-04
(65)【公開番号】P2022029181
(43)【公開日】2022-02-17
【審査請求日】2023-06-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122529
【弁理士】
【氏名又は名称】藤枡 裕実
(74)【代理人】
【識別番号】100135954
【弁理士】
【氏名又は名称】深町 圭子
(74)【代理人】
【識別番号】100119057
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英生
(74)【代理人】
【識別番号】100131369
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100171859
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 英之
(72)【発明者】
【氏名】緒方 哲治
【審査官】田名網 忠雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-254865(JP,A)
【文献】特開2008-099266(JP,A)
【文献】特開2009-190836(JP,A)
【文献】特開2008-288784(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/10
G06K 17/00
H05K 9/00
H01Q 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚の天地板,二枚の側板および一枚の背板板で構成されたシールド筐体と射筐体を備え,前記シールド筐体の内面は電波吸収材で覆われ,前記反射筐体の内面は金属材で覆われており,前記シールド筐体の天地板と前記反射筐体の天地板が互いに対面し、前方が開口した箱型をなすように前記シールド筐体と前記反射筐体を対向配置することで,前記シールド筐体と前記反射筐体の間に収容空間を形成し,前記収容空間に収容する物品に取り付けたRFタグと交信するリーダライタのアンテナを前記シールド筐体の天地板の内面に設置したことを特徴とするRFタグ読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,物品に取り付けられたRFタグを一括読取するRFタグ読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信を用いた自動認識技術において,物品や人などに取り付ける情報媒体をRFタグと呼んでいる。なお,RFタグは,無線タグ,ICタグ,または,RFIDタグなどと称されることもある。
【0003】
RFタグが無線通信で用いる周波数帯には,LF帯(LF: Low Frequency),HF帯(HF: High Frequency),および,UHF帯(UHF: Ultra High Frequency)がある。UHF帯(例えば,860~960MHz)を無線通信に用いるRFタグは,通信距離が長く(例えば,5m~10m),複数のRFタグを一括で読み取る必要がある業務に多く利用されている。
【0004】
UHF帯のRFタグの通信距離は長いため,複数のRFタグを一括で読み取る際,読取対象とならないRFタグが近くにあると,このRFタグまでもが誤って読み取られてしまう。このため,複数のUHF帯のRFタグを一括で読み取る場合,リーダライタの電波を遮蔽するシールドを用いて,読取対象以外のRFタグを読み取らない工夫が必要になる。
【0005】
複数のRFタグを一括で読み取る業務の一つに商品の会計業務がある。特許文献1では,シールドを用いたRFタグ読取装置として,RFタグと交信するための電波を放射するアンテナと,アンテナを収容し,上向きに開口したシールド部を備え, シールド部が開口した状態で前記RFタグから情報を読み取るRFタグ読取装置が開示されている。
【0006】
また,複数のRFタグを一括で読み取る業務の一つに物流業務がある。特許文献2では,シールドを用いたカバーとして,管理用具に積載された物品の周囲のうち一部を除く他部を覆って,リーダライタのアンテナが放出する無線通信の搬送波をシールドする遮蔽性の遮蔽部を備えたカバーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2018-190255号公報
【文献】特開2020-67898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
複数のRFタグを一括で読み取る物流業務では,読取り対象以外のRFタグを読み取らないことに加えて,複数のRFタグの一括読取精度の向上が求められている。
【0009】
そこで,本発明は,複数のRFタグを一括で読み取る物流業務に適したRFタグ読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は,一枚の天地板,二枚の側板および一枚の背板板で構成されたシールド筐体と射筐体を備え,前記シールド筐体の内面は電波吸収材で覆われ,前記反射筐体の内面は金属材で覆われており,前記シールド筐体の天地板と前記反射筐体の天地板が互いに対面し、前方が開口した箱型をなすように前記シールド筐体と前記反射筐体を対向配置することで,前記シールド筐体と前記反射筐体の間に収納空間を形成し,前記収容空間に収容する物品に取り付けたRFタグと交信するリーダライタのアンテナを前記シールド筐体の天地板の内面に設置したことを特徴とするRFタグ読取装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るRFタグ読取装置では,電波吸収材で覆われたシールド筐体により,アンテナが放出する電波が広がる範囲を規制し,アンテナが放出する電波を反射筐体の金属材で反射させることで,RFタグの一括読取精度を向上させている。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係るRFタグ読取装置の構成を説明する図。
図2】RFタグを説明する図。
図3】RFタグ読取装置を構成するシールド筐体を説明する図。
図4】RFタグ読取装置を構成する反射筐体を説明する図。
図5】RFタグ読取装置の作用を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下,本発明に係るRFタグ読取装置1について図を参照しつつ説明する。なお,本発明の技術的範囲は,これから説明する実施形態の内容に限定されず,特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶことに留意されたい。
【0014】
図1は,本実施形態に係るRFタグ読取装置1の構成を説明する図である。本実施形態に係るRFタグ読取装置1は,物流管理に用いられる装置である。図1で図示した如く,RFタグ読取装置1は,電波吸収材100で覆われ前方が開口しているシールド筐体10と,金属材110で覆われ前方が開口しシールド筐体10と対向配置される反射筐体11を備え,物品2に取り付けたRFタグ20と交信するリーダライタ12のアンテナ120をシールド筐体10の天地板101の内面に設置している。
【0015】
シールド筐体10と反射筐体11が対向配置されることで,図1で図示した通り,本実施形態に係るRFタグ読取装置1は,前方が開口している箱型になっている。RFタグ読取装置1では,シールド筐体10と反射筐体11の間が物品2の収容空間になる。本発明は,シールド筐体10と反射筐体11の天地を問うものではないが,図1では,シールド筐体10が天側になり,反射筐体11が地側になっており,RFタグ20を取り付けた物品2は反射筐体11の天地板111の上に積載されている。
【0016】
なお,図1では,シールド筐体10と反射筐体11を離間させているが,シールド筐体10は反射筐体11と連結していてもよい。シールド筐体10と反射筐体11を離間させている手法としては,シールド筐体10と反射筐体11の間にプラスチック製のスペーサを設ける手法や,天側になる筐体を吊り下げる手法が考えられる。
【0017】
RFタグ20を取り付ける物品2について説明する。RFタグ20を取り付ける物品2として,図1では,製品を収納した箱を例示している。物品2は,シールド筐体10の天地板101の上,または,反射筐体11の天地板111の上に積載される。図1では,複数の物品2をブロック積みしているが,RFタグ読取装置1に収容させる物品2の数は一つでもよい。また,一つの物品2または複数の物品2を,プラスチック製のパレットの上に積載した状態で,RFタグ読取装置1に収容させることもできる。
【0018】
図2は,RFタグ20を説明する図である。図2では,内部を透視した状態でRFタグ20を図示している。物品2の表面に取り付けるRFタグ20が利用する周波数帯はUHF帯(例えば,860~960Mhz)である。RFタグ20には,UHF帯用のタグアンテナ200とこれに接続するICチップ201が実装される。RFタグ20のICチップ201は,アンテナ120が放出する電波をタグアンテナ200が受信すると起動し,タグアンテナ200を利用してタグ番号などの情報を送信する。
【0019】
図3は,RFタグ読取装置1を構成するシールド筐体10を説明する図である。シールド筐体10は,一枚の天地板101,二枚の側板102および一枚の背板103の合計四枚の板で構成される。図3(a)では天地板101を,図3(b)では側板102および背板103をそれぞれ図示している。
【0020】
シールド筐体10を構成するそれぞれの板は電波吸収材100で覆われている。電波吸収材100は,電波のエネルギーを吸収することで電波を吸収する物質を意味する。電波吸収材100のタイプには,磁気損失により電波のエネルギーを吸収するタイプと,反射波の位相差を利用して電波のエネルギーを吸収するタイプがあるが,シールド筐体10に用いる電波吸収材100はいずれのタイプでもよい。
【0021】
一般的に,電波吸収材100はシート状で提供されるため,シールド筐体10を構成する各々の板は,電波吸収材100を板状基材104の片面または両面に積層した構成になる。電波吸収材100を板状基材104の片面に積層させる場合,電波吸収材100を積層させる面は,外面または内面のいずれでもよい。図1では,RFタグ20を取り付けた物品2をシールド筐体10の天地板101に積載しないため,図3では,シールド筐体10の内面にのみ電波吸収材100を積層させている。なお,図3では,シールド筐体10の層構成を二層にしているが,シールド筐体10の層構成は三層以上でもよい。
【0022】
図3(a)で図示した如く,シールド筐体10を構成する天地板101の内面には,物品2に取り付けたRFタグ20と交信するための電波を放出するアンテナ120が設置される。アンテナ120を設置するシールド筐体10の天地板101は,天板または地板(底板)となる板を意味する。シールド筐体10が天側になるとき,アンテナ120を設置する天地板101は天板になり,シールド筐体10が地側になるとき,アンテナ120を設置する天地板101は地板になる。
【0023】
シールド筐体10の天地板101の内面に設置するアンテナ120は,RFタグ20が無線通信で利用する電波を放出する装置になる。リーダライタ12のアンテナ120には,指向性アンテナと無指向性アンテナがある。複数の物品2をRFタグ読取装置1に収容するケースを考えると,RFタグ20の向きの影響を受けにくい無指向性アンテナをRFタグ読取装置1に用いるのが好適である。
【0024】
図4は,RFタグ読取装置1を構成する反射筐体11を説明する図である。シールド筐体10と同様に,反射筐体11は,一枚の天地板111,二枚の側板112および一枚の背板113の合計四枚の板で構成される。図4では,天地板111,側板112および背板113をそれぞれ図示している。
【0025】
シールド筐体10とは異なり,反射筐体11を構成するそれぞれの板は金属材110で覆われている。反射筐体11には金属材110が用いられるため,図4では,金属材110のみの一層で反射筐体11の板を実現している。なお,シールド筐体10と同様に,金属材110を含む多層で反射筐体11の板を実現することも可能である。
【0026】
図5は,RFタグ読取装置1の作用を説明する図である。図5(a)は,アンテナ120が放出する電波が広がる範囲121を正面から見た図で,図5(b)は,アンテナ120が放出する電波が広がる範囲121を側面から見た図である。
【0027】
図5で図示したごとく,リーダライタ12のアンテナ120が設置されたシールド筐体10は電波吸収材100で覆われているため,リーダライタ12のアンテナ120が放出する電波が広がる範囲121は,シールド筐体10と反射筐体11により形成される物品2の収容空間とRFタグ読取装置1の前方に規制される。よって,読取対象にならない物品2をRFタグ読取装置1の横に置いても,読取対象にならない物品2に取り付けられたRFタグ20はリーダライタ12によって読み取られない。
【0028】
シールド筐体10に対向させて反射筐体11を設けるのは,RFタグ20の一括読取精度を向上させるためである。RFタグ20の一括読取精度を向上させるためには,アンテナ120が放出する電波を垂直方向からRFタグ20にあてることが望ましいが,図1で図示したごとく,RFタグ20を取り付けた物品2をブロック積みすると,RFタグ20の向きがバラバラになってしまうことがある。
【0029】
RFタグ読取装置1では,図5(a)で図示したごとく,アンテナ120が放出する電波を反射筐体11の金属材110で反射させることで,シールド筐体10と反射筐体11により形成される物品2の収容空間内に存在する複数のRFタグ20の向きがバラバラでも,アンテナ120が放出する電波を垂直方向からRFタグ20にあてることができ,複数のRFタグ20の一括読取精度は向上する。
【符号の説明】
【0030】
1 RFタグ読取装置
10 シールド筐体
100 電波吸収材
101 天地板
11 反射筐体
110 金属材
12 リーダライタ
120 アンテナ
2 物品
20 RFタグ
図1
図2
図3
図4
図5