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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】電子装置、光源装置及び投影装置
(51)【国際特許分類】
   F21V 31/00 20060101AFI20240925BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20240925BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20240925BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20240925BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20240925BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20240925BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20240925BHJP
【FI】
F21V31/00 100
G03B21/14 A
G03B21/00 F
F21S2/00 370
F21S2/00 311
H05K5/02 L
H04N5/74 Z
F21Y115:30
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020139110
(22)【出願日】2020-08-20
(65)【公開番号】P2022035049
(43)【公開日】2022-03-04
【審査請求日】2023-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002022
【氏名又は名称】弁理士法人コスモ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 智之
【審査官】谷口 東虎
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-285366(JP,A)
【文献】特開2019-057522(JP,A)
【文献】特開2018-132617(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 31/00
G03B 21/14
G03B 21/00
F21S 2/00
H05K 5/02
H04N 5/74
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定対象部材と、
前記固定対象部材の周囲に形成される当接面を有する被係合部を備える被固定部と、
前記被係合部と係合する係合部と、前記当接面と前記固定対象部材の外周面との間に配置されるシール部支持部と、前記シール部支持部の突端であって且つ前記当接面と前記固定対象部材の外周面との間に配置されるシール部と、を備えるパッキンと、
を有し、
前記係合部は、溝部と、前記溝部の外側に位置する壁部と、を有し、
前記壁部の肉厚は、前記シール部支持部の肉厚より厚い、ことを特徴とする電子装置。
【請求項2】
記シール部は前記シール部支持部の先端部から内側に向けて突出して形成されることを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記係合部は、前記シール部の外側に形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子装置。
【請求項4】
抑え部材を有し、
前記抑え部材の背面側は、前記固定対象部材の背面側から前記被固定部に取り付けられる取付部材の前面部と当接し、
前記抑え部材の前面側は、前記パッキンの背面と当接することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の電子装置。
【請求項5】
前記被係合部と前記係合部の係合は、凹凸係合であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の電子装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れかに記載の電子装置を備え、
前記被固定部は、固定位置に開口部が形成された光源ケースに設けられ、
前記固定対象部材は、光源を保持するホルダである、
ことを特徴とする光源装置。
【請求項7】
請求項6に記載の光源装置と、
前記光源装置からの光源光が照射され、画像光を形成する表示素子と、
前記表示素子から出射された前記画像光をスクリーンに投影する投影側光学系と、
前記表示素子と前記光源装置を制御する投影装置制御部と、
を有することを特徴とする投影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置、光源装置及び投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、DMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)と呼ばれるマイクロミラー表示素子や液晶板を用いて形成した画像をスクリーンに投影する投影装置等の電子装置が提案されている。例えば、特許文献1の投影装置は、半導体発光素子やレンズアレイを備えるホルダである固定対象部材を、固定対象部材の挿入方向に配置したシール部材を介して該シール部材を圧縮するようにして、筐体の被固定部に取り付けている。これにより、レンズアレイへの塵埃の付着が抑制されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-66625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
投影装置における光源とされる半導体発光素子を備えるホルダは、高い取付位置精度が求められる。このように高い取付位置精度が求められる固定対象部材について、シール部材の圧縮方向で位置決めを行う場合、シール部材の反発力により固定対象部材の位置が定まらず、所望の取付位置精度を得ることができない場合があった。
【0005】
本発明は、防塵性を確保しつつ、高い位置精度で固定対象部材を取り付けることができる電子装置、光源装置及び投影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子装置は、固定対象部材と、前記固定対象部材の周囲に形成される当接面を有する被係合部を備える被固定部と、前記被係合部と係合する係合部と、前記当接面と前記固定対象部材の外周面との間に配置されるシール部支持部と、前記シール部支持部の突端であって且つ前記当接面と前記固定対象部材の外周面との間に配置されるシール部と、を備えるパッキンと、を有し、前記係合部は、溝部と、前記溝部の外側に位置する壁部と、を有し、前記壁部の肉厚は、前記シール部支持部の肉厚より厚い、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、防塵性を確保しつつ、高い位置精度で固定対象部材を取り付けることができる電子装置、光源装置及び投影装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る投影装置の機能回路ブロックを示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る投影装置の内部構造を示す平面模式図である。
図3】本発明の実施形態に係る光源装置の光源ケース内部の平面模式図である。
図4】本発明の実施形態に係る被固定部と励起光照射装置を示す分解斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係るパッキンの断面斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係る励起光照射装置が被固定部に取り付けられる状態を示す図3のVI-VI断面図である。
図7】本発明の実施形態に係る励起光照射装置が被固定部に取り付けられる状態を示す図6のVII-VII断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について述べる。図1は、投影装置10の機能回路ブロック図である。投影装置制御部は、画像変換部23と制御部38とを含むCPU、入出力インターフェース22を含むフロントエンドユニット、表示エンコーダ24と表示駆動部26とを含むフォーマッタユニットを備える。入出力コネクタ部21から入力された各種規格の画像信号は、入出力インターフェース22、システムバスSBを介して画像変換部23で表示に適した所定のフォーマットの画像信号に統一するように変換された後、表示エンコーダ24に出力される。
【0010】
また、表示エンコーダ24は、入力された画像信号をビデオRAM25に展開記憶された上でこのビデオRAM25の記憶内容からビデオ信号を生成して表示駆動部26に出力する。
【0011】
表示駆動部26は、表示エンコーダ24から出力された画像信号に対応して適宜のフレームレートで空間的光変調素子(SOM)である表示素子51を駆動する。投影装置10は、光源装置60から出射された光線束を、導光光学系を介して表示素子51に照射することにより、表示素子51の反射光で光画像を形成し、投影側光学系220(図2参照)を介して図示しないスクリーン等の被投影体に画像を投影表示する。なお、この投影側光学系220の可動レンズ群235は、レンズモータ45によりズーム調整やフォーカス調整のための駆動を行うことができる。
【0012】
また、画像圧縮/伸長部31は、画像信号の輝度信号及び色差信号をADCT及びハフマン符号化等の処理によりデータ圧縮して着脱自在な記録媒体であるメモリカード32に順次書き込む記録処理を行う。さらに、画像圧縮/伸長部31は、再生モード時にメモリカード32に記録された画像データを読み出し、一連の動画を構成する個々の画像データを1フレーム単位で伸長し、画像変換部23を介して表示エンコーダ24に出力する。よって、画像圧縮/伸長部31は、メモリカード32に記憶された画像データに基づいて動画等の出力を行うことができる。
【0013】
制御部38は、投影装置10内の各回路の動作制御を司るものであって、CPUや各種セッティング等の動作プログラムを固定的に記憶したROM及びワークメモリとして使用されるRAM等により構成される。
【0014】
キー/インジケータ部37は、筐体に設けられるメインキー及びインジケータ等により構成される。キー/インジケータ部37の操作信号は、制御部38に直接送出される。また、リモートコントローラからのキー操作信号は、Ir受信部35で受信され、Ir処理部36でコード信号に復調されて制御部38に出力される。
【0015】
制御部38はシステムバスSBを介して音声処理部47と接続されている。音声処理部47は、PCM音源等の音源回路を備えており、投影モード及び再生モード時には音声データをアナログ化し、スピーカ48を駆動して拡声放音させる。
【0016】
制御部38は、光源制御回路41を制御している。光源制御回路41は、画像生成時に要求される所定波長帯域の光が光源装置60から出射されるように、光源装置60の励起光照射装置の動作を個別に制御する。
【0017】
さらに、制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43に光源装置60等に設けた複数の温度センサによる温度検出を行わせ、この温度検出の結果から冷却ファンの回転速度を制御させている。また、制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43にタイマー等により投影装置10本体の電源オフ後も冷却ファンの回転を持続させる、あるいは、温度センサによる温度検出の結果によっては投影装置10本体の電源をオフにする等の制御も行う。
【0018】
次に、投影装置10の内部構造について述べる。図2は、投影装置10の内部構造を示す平面模式図である。ここで、投影装置10の筐体は、略箱状に形成されて、上面及び下面と、正面パネル12、背面パネル13、右側パネル14及び左側パネル15を備える。なお、以下の説明においては、投影装置10における左右とは投影方向に対しての左右方向を示し、前後とは投影装置10のスクリーン側方向及び光線束の進行方向に対しての前後方向を示す。
【0019】
投影装置10は、電源装置301、制御回路基板302、光源装置60を備える。また、投影装置10は、冷却ファンとして、吸気ファン260、吸気ファン270、排気ファン280を備える。
【0020】
光源装置60は、投影装置10の筐体の略中央に配置される。光源装置60は、光源ケース61によって、内部に光源、レンズ、ミラー等の光学部材を収容する。電源装置301は、光源装置60の左側パネル15側に配置される。電源装置301の基板は、左側パネル15と略平行に配置される。制御回路基板302は、光源装置60の背面パネル13側に配置される。制御回路基板302は、上下方向に対し略垂直に配置される。制御回路基板302は、電源回路ブロックや光源制御ブロック等を備える。また、制御回路基板302は、電源回路ブロックや光源制御ブロック等の機能毎に分けて、複数備えることができる。
【0021】
ここで、光源装置60の内部構造について説明する。図3は、光源装置60の平面模式図である。光源装置60は、赤色波長帯域光の光源である赤色光源装置120と、緑色波長帯域光の光源である緑色光源装置80と、青色波長帯域光の光源である青色光源装置であると共に励起光源でもある励起光照射装置70と、を備える。緑色光源装置80は、励起光照射装置70と、蛍光板装置100により構成される。光源装置60は、導光光学系140を有する。導光光学系140は、緑色波長帯域光及び青色波長帯域光及び赤色波長帯域光の光線束を合わせて、各色波長帯域の光線束を同一光路上に導光する。
【0022】
励起光照射装置70は、投影装置10筐体の右側パネル14側に配置される(図2参照)。励起光照射装置70は、背面パネル13と光軸が平行になるよう配置された複数の半導体発光素子を備える。本実施形態の半導体発光素子は、青色波長帯域光を発する複数の青色レーザダイオード71である。また、複数の青色レーザダイオード71は、右側パネル14と平行に並べて配置されている。これら青色レーザダイオード71は、ホルダ(固定対象部材)74に固定される。ホルダ74には、2行5列で合計10個の青色レーザダイオード71が設けられる。
【0023】
また、励起光照射装置70は、反射ミラー76、拡散板78、ヒートシンク81を備える。反射ミラー76は、各青色レーザダイオード71からの出射光の光軸を拡散板78に向けて略90度変換する。拡散板78は、反射ミラー76で反射した各青色レーザダイオード71からの出射光を予め定められた拡散角度で拡散する。ヒートシンク81は、青色レーザダイオード71と右側パネル14との間に配置される(図2参照)。各青色レーザダイオード71には、青色レーザダイオード71からの出射光の指向性を高めて平行光に変換するコリメータレンズ73が取り付けられている。
【0024】
赤色光源装置120は、青色レーザダイオード71の光線束と光軸が平行となるように配置された赤色光源121と、赤色光源121からの出射光を集光する集光レンズ群125と、を備える。この赤色光源121は、赤色波長帯域光を出射する半導体発光素子である赤色発光ダイオードである。赤色光源装置120は、赤色光源装置120が出射する赤色波長帯域光の光軸が、蛍光板101から出射される緑色波長帯域光の光軸と交差するように配置される。また、赤色光源装置120は、赤色光源121の右側パネル14側にヒートシンク130を備える。
【0025】
緑色光源装置80を構成する蛍光板装置100は、蛍光板101、モータ110、入射側の集光レンズ117a,117b、出射側の集光レンズ115を備える。蛍光板101は、励起光照射装置70からの出射光の光軸と直交するように配置された蛍光ホイールである。この蛍光板101はモータ110により回転駆動する。集光レンズ117a,117bは、励起光照射装置70から出射される励起光の光線束を蛍光板101に集光する。集光レンズ115は、蛍光板101から正面パネル12方向に出射される光線束を集光する。なお、蛍光板装置100は、集光レンズ117a,117b,115の上方に配置される。そのため、蛍光板101の下方の一部が集光レンズ117a,117b,115の光路上に配置される。
【0026】
蛍光板101には、蛍光発光領域と拡散透過領域とが周方向に並設されている。蛍光発光領域は、青色レーザダイオード71から出射された青色波長帯域光を励起光として受けて、励起された緑色波長帯域の蛍光光を出射する。拡散透過領域は、青色レーザダイオード71からの出射光を拡散透過する。拡散透過した出射光は、光源装置60の青色波長帯域光として出射される。
【0027】
導光光学系140は、第一ダイクロイックミラー141、集光レンズ149、第二ダイクロイックミラー148、第一反射ミラー143、集光レンズ146、第二反射ミラー145、集光レンズ147を有する。第一ダイクロイックミラー141は、励起光照射装置70から出射される青色波長帯域光及び蛍光板101から出射される緑色波長帯域光と、赤色光源装置120から出射される赤色波長帯域光とが交差する位置に配置される。第一ダイクロイックミラー141は、青色波長帯域光及び赤色波長帯域光を透過し、緑色波長帯域光を反射する。第一ダイクロイックミラー141が反射した緑色波長帯域光の光軸は、集光レンズ149に向かう左側パネル15方向に90度変換される。したがって、第一ダイクロイックミラー141を透過した赤色波長帯域光の光軸は、第一ダイクロイックミラー141により反射された緑色波長帯域光の光軸と一致する。
【0028】
集光レンズ149は、第一ダイクロイックミラー141の左側パネル15側に配置される。第一ダイクロイックミラー141を透過した赤色波長帯域光及び第一ダイクロイックミラー141により反射された緑色波長帯域光は、共に集光レンズ149に入射する。第二ダイクロイックミラー148は、集光レンズ149の左側パネル15側であって、集光レンズ147の背面パネル13側に配置される。第二ダイクロイックミラー148は、赤色波長帯域光及び緑色波長帯域光を反射し、青色波長帯域光を透過する。したがって、集光レンズ149で集光された赤色波長帯域光及び緑色波長帯域光は、第二ダイクロイックミラー148によって反射されて、背面パネル13側に90度変換される。第二ダイクロイックミラー148の背面パネル13側には、集光レンズ173が配置される。第二ダイクロイックミラー148により反射された赤色波長帯域光及び緑色波長帯域光は、集光レンズ173に入射する。
【0029】
第一反射ミラー143は、蛍光板101を透過した青色波長帯域光の光軸上、つまり、集光レンズ115と正面パネル12との間に配置される。第一反射ミラー143は、青色波長帯域光を反射して、この青色波長帯域光の光軸を左側パネル15方向に90度変換する。集光レンズ146は、第一反射ミラー143の左側パネル15側に配置される。また、第二反射ミラー145は、集光レンズ146の左側パネル15側に配置される。第二反射ミラー145は、第一反射ミラー143により反射されて、集光レンズ146により集光された青色波長帯域光の光軸を、背面パネル13側に90度変換する。集光レンズ147は、第二反射ミラー145の背面パネル13側に配置される。第二反射ミラー145により反射された青色波長帯域光は、集光レンズ147を介して第二ダイクロイックミラー148を透過し、集光レンズ173に入射する。このようにして、導光光学系140により導光された赤色、緑色、青色の各波長帯域光の光線束は、光源側光学系170の同一光路上に導光される。
【0030】
光源側光学系170は、集光レンズ173、ライトトンネルやガラスロッド等の導光装置175、集光レンズ178、光軸変換ミラー179、集光レンズ183、照射ミラー185、コンデンサレンズ195を備える。なお、コンデンサレンズ195は、コンデンサレンズ195の背面パネル13側に配置される表示素子51から出射された画像光を、投影側光学系220に向けて出射するため、投影側光学系220の一部でもある。
【0031】
集光レンズ173から出射した各光線束は、導光装置175に入射する。導光装置175に入射される各光線束は、導光装置175により均一な強度分布の光線束となる。
【0032】
導光装置175の背面パネル13側の光軸上には、集光レンズ178を介して、光軸変換ミラー179が配置されている。導光装置175の出射口から出射した光線束は、集光レンズ178で集光された後、光軸変換ミラー179により、集光レンズ183に向かう光軸に変換される。
【0033】
光軸変換ミラー179で反射した光線束は、集光レンズ183により集光された後、照射ミラー185により、コンデンサレンズ195を介して表示素子51に所定の角度で照射される。なお、表示素子51の背面パネル13側にはヒートシンク190が設けられている。DMDとされる表示素子51は、このヒートシンク190により冷却される。
【0034】
光源側光学系170により表示素子51の画像形成面に照射された光源光である光線束は、表示素子51の画像形成面で反射され、投影光として投影側光学系220を介してスクリーンに投影される。
【0035】
投影側光学系220は、コンデンサレンズ195、可動レンズ群235、固定レンズ群225により構成される。固定レンズ群225は、固定鏡筒に内蔵される。可動レンズ群235は、可動鏡筒に内蔵され、手動又は自動により移動されることにより、ズーム調整やフォーカス調整を可能としている。
【0036】
このように投影装置10を構成することで、蛍光板101を回転させるとともに励起光照射装置70及び赤色光源装置120から異なるタイミングで光を出射すると、赤色、緑色及び青色の各波長帯域光が導光光学系140を介して導光装置175に入射され、さらに光源側光学系170を介して表示素子51に入射される。よって、投影装置10の表示素子51であるDMDがデータに応じて各色の光を時分割表示することにより、スクリーンにカラー画像を投影することができる。
【0037】
次に、図4~7に基づいて、励起光照射装置70の構成について説明する。図4に示すように、光源ケース61は、固定対象部材であるホルダ74が取り付けられる被固定部62を備える。被固定部62は、ホルダ74の固定位置に図4の左右方向を長手方向とする長矩形状の開口部621が形成され、開口部621の外周には略環状の環状壁部623が形成される。被固定部62には、開口部621の両短辺側に、平坦面を有する位置決め部624が設けられる。位置決め部624からはボス625が立設する。ボス625は、ホルダ74の孔部741(図7参照)に挿入され、ホルダ74における光軸と垂直な平面の位置決めがなされる。また、位置決め部624は、ホルダ74の対応する前面74aが当接して、ホルダ74の光軸方向の位置決めがなされる。
【0038】
各位置決め部624には、ボルト745によりホルダ74を被固定部62に固定するためのねじ孔624aが2か所ずつ(合計4か所)形成される。また、環状壁部623には、取付部材とされるヒートシンク81のベース部材811をボルト815で固定するためのねじ孔623aが4箇所に形成される。なお、ねじ孔623aが形成されるボス状の部位は、環状壁部623から後述の環状溝部626に亘って形成される。
【0039】
図6,7に示すように、被固定部62の環状壁部623の内側には、環状壁部623に沿うようにして凹溝状の環状溝部626が設けられる。環状溝部626は、青色レーザダイオード71の光軸方向において、位置決め部624よりも外側(光源ケース61の外側)に位置している。環状溝部626の環状の内側には、環状に形成される内側環状壁部627が形成される。従って、環状溝部626は、底面626aから立設する対向壁面のうち、環状の外側を環状壁部623の内周面623bとする。環状壁部623の内周面623bと対向する壁面は、内側環状壁部627の外周面627aとされる。内側環状壁部627の突端は、環状壁部623の突端よりも十分に低く形成される。被固定部62の被係合部620は、環状溝部626と内側環状壁部627を有する。
【0040】
被固定部62には、パッキン90が設けられる。パッキン90は、シリコンゴムにより略長矩形の環状に形成される。図5は、パッキン90の断面斜視図である。パッキン90は、被固定部62のねじ孔623aが形成されるボス状の部位との干渉を回避するための凹部90aが形成される。パッキン90は、光源ケース61の内部側(パッキン90の前面側)に、環状の凹溝状に形成される環状溝部91が設けられる。環状溝部91の内周側には、環状の壁状に形成されるシール部支持部92が設けられる。シール部支持部92の突端には、シール部93が形成される。シール部93において、内側に向けて環状に突出する先端部93aは、背面側(後述の背面95a側)が断面視R面取り状に形成される。また、シール部93の前面(すなわち、シール部支持部92の前面)及び後述する環状壁部94の前面は、共に平坦に形成される。
【0041】
環状溝部91の外周側には、環状壁部94が形成される。環状壁部94とシール部支持部92は、背面部95により背面側で接続される。背面部95の背面95aは、平坦面状に形成される。なお、凹部90aは、環状壁部94及び背面部95に亘って形成される。パッキン90の係合部900は、環状壁部94と環状溝部91を有し、シール部93(シール部支持部92)の外側に形成される。また、環状壁部94及び背面部95の肉厚(すなわち、係合部900周りの肉厚)は、シール部支持部92の肉厚(すなわち、シール部93周りの肉厚)より厚い。
【0042】
図6,7に示すように、パッキン90の係合部900は、被固定部62の被係合部620と凹凸係合する。具体的には、係合部900の環状壁部94は、環状溝部626に嵌入して係合する。一方、被係合部620の内側環状壁部627は、環状溝部91に嵌入して係合する。そして、係合部900と被係合部620とが係合すると、パッキン90のシール部支持部92の外周面92aは、内側環状壁部627の内周面627bと当接する。ここで、内側環状壁部627の内周面627bにおけるシール部93に対応する環状の部分は、環状当接面627b1とされる。
【0043】
なお、パッキン90は、シリコンゴムによって一体的に成形されるので、パッキン90の係合部900やシール部支持部92には抜きテーパが施されて、これに対応する被固定部62の被係合部620にもテーパ形状が施される。
【0044】
また、パッキン90の背面側には、略環状の長矩形枠状に形成される抑え部材710が設けられる。抑え部材710には、前述のねじ孔623aが形成される被固定部62のボス状の部位との位置合わせのための凹部711が形成される。抑え部材710の前面715(光源ケース61側の面)は、平坦面状に形成される。抑え部材710の背面側は、略環状の当接突起712が形成される。なお、抑え部材710の両短手側は、ホルダ74の背面に取り付けられる基板75との干渉を回避するための切欠き713が形成される。
【0045】
ホルダ74の背面側には、ベース部材811が設けられる。ベース部材811はホルダ74の背面と当接することにより、青色レーザダイオード71の発熱を、ホルダ74からベース部材811、ヒートパイプ813を介して、ヒートシンク81のヒートシンク本体812により放熱する(図2も参照)。
【0046】
励起光照射装置70の組立(被固定部62への取り付け)は、パッキン90の係合部900と被固定部62の被係合部620を係合させて、パッキン90を被固定部62に取り付けた後、ホルダ74を被固定部62のパッキン90の内部に挿入する。ホルダ74の挿入時には、シール部93の先端部93aが前面側(ホルダ74の挿入方向)に倒れ込む。このとき、先端部93aがR面取り状に形成されるので、スムーズに倒れ込むことができ、シール部93が捩れてしまうこともない。また、パッキン90のシール部支持部92の内周面92bとホルダ74の外周面74bとは接触していない。そして、ホルダ74が固定されると、シール部93がホルダ74の外周面74bから力を受けて、シール部93はホルダ74の挿入方向(光軸方向)と略垂直方向に圧縮される。よって、シール部93の先端部93aとホルダ74の外周面74b、及び、シール部93に対応するシール部支持部92の外周面92a(すなわちシール部93の外周面)と環状当接面627b1とが当接してシールされる。このようにして、シール部93は、環状当接面627b1とホルダ74の外周面74bとの間に配置され、シールする。
【0047】
被固定部62にパッキン90、ホルダ74を固定した後、抑え部材710を挿入してヒートシンク81のベース部材811を固定すると、ベース部材811の前面811a(光源ケース61側)はホルダ74の背面と当接すると共に、抑え部材710の背面側の当接突起712とも当接する。従って、抑え部材710は、背面側の移動が規制される。このとき、抑え部材710の前面側の前面715は、パッキン90の背面95aと当接する。ここで、抑え部材710の高さH(前面715から当接突起712までの距離)は、前面715でパッキン90を圧縮しない程度に設定される。このようにして、抑え部材710は、パッキン90の位置ずれを低減させる。
【0048】
または、抑え部材710によりパッキン90を圧縮させて、環状溝部91の底面91aと内側環状壁部627の突端面627cとの当接や、環状壁部94の突端面94aと環状溝部626の底面626aとの当接により、シール部を形成することもできる。
【0049】
なお、本実施形態においては、パッキン90の係合部900は、被固定部62の被係合部620と凹凸係合するよう形成したが、ねじ止めや溶着等他の方式で係合部900と被係合部620を構成してもよい。また、本実施形態においては固定対象部材をホルダ74としたが、これに限られず、他の電子装置における固定対象部材に対して適応することもできる。
【0050】
以上、本発明の実施形態によれば、電子装置である励起光照射装置70は、固定対象部材であるホルダ74の周囲に形成される当接面である環状当接面627b1を有する被係合部620を備える被固定部62と、被係合部620と係合する係合部900を備えて環状当接面627b1とホルダ74の外周面74bとの間に配置され当接してシールするシール部93とを備えるパッキン90を有する。
【0051】
これにより、固定対象部材であるホルダ74を光軸方向(すなわち、ホルダ74を挿入する方向)でパッキン90による圧縮を行うことが無いので、ホルダ74を固定してもホルダ74が反発力を受けることは無く、ホルダ74の挿入方向の位置決め精度を向上させつつ、ホルダ74周りのシールを確実に行うことができる。
【0052】
また、パッキン90のシール部93は、シール部支持部92の先端部から内側に向けて突出して形成される。これにより、ホルダ74の取付け時にパッキン90のシール部93の捩れ等を低減することができる。
【0053】
また、係合部900は、シール部支持部92の外側に形成される。これにより、パッキン90において、係合部900が被係合部620と係合することで変形等しても、当該変形等がシール部支持部92に与える影響を低減することができる。
【0054】
また、係合部900周りの肉厚、すなわち、環状壁部94及び背面部95の肉厚は、シール部93周りの肉厚、すなわち、シール部支持部92の肉厚よりも厚く形成される。従って、パッキン90の係合部900における被係合部620との係合時に、係合部900が変形し難くすることができるので、係合部900と被係合部620の係合により、シール部支持部92(シール部93)が変形等の影響を受けることを低減することができる。
【0055】
また、環状に形成される抑え部材710の背面側は、ホルダ74の背面側から被固定部62に取り付けられる取付部材であるベース部材811の前面部(前面811a)と当接し、抑え部材710の前面側の前面715は、パッキン90の背面部(背面95a)と当接する。これにより、抑え部材710でパッキン90を抑えることができるので、パッキン90の位置ズレを低減することができる。
【0056】
被係合部620と係合部900との係合は、凹凸係合である。これにより、被係合部620は環状溝部626と内側環状壁部627で形成し、係合部900を環状壁部94と環状溝部91で形成して、両者を構造簡単に形成することができる。
【0057】
また、光源装置60は、励起光照射装置70を備えて、被固定部62は固定位置に開口部621が形成された光源ケース61に設けられる。これにより、ホルダ74の防塵性を高めつつ光軸方向の位置決め精度を向上させた光源装置60を提供することができる。
【0058】
また、投影装置10は、光源装置60と、表示素子51と、投影側光学系と、投影装置制御部と、を有する。これにより、励起光照射装置70のホルダ74の防塵性を高めつつ光軸方向の位置決め精度を向上させた光源装置60を備える投影装置10を提供することができる。
【0059】
なお、以上説明した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0060】
以下に、本願出願の最初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1]固定対象部材と、
前記固定対象部材の周囲に形成される当接面を有する被係合部を備える被固定部と、
前記被係合部と係合する係合部と、前記当接面と前記固定対象部材の外周面との間に配置されるシール部と、を備えるパッキンと、
を有することを特徴とする電子装置。
[2]前記パッキンは、シール部支持部を有し、前記シール部は前記シール部支持部の先端部から内側に向けて突出して形成されることを特徴とする前記[1]に記載の電子装置。
[3]前記係合部は、前記シール部の外側に形成されることを特徴とする前記[1]又は前記[2]に記載の電子装置。
[4]前記係合部周りの肉厚は、前記シール部周りの肉厚よりも厚く形成されることを特徴とする前記[1]乃至前記[3]の何れかに記載の電子装置。
[5]抑え部材を有し、
前記抑え部材の背面側は、前記固定対象部材の背面側から前記被固定部に取り付けられる取付部材の前面部と当接し、
前記抑え部材の前面側は、前記パッキンの背面部と当接することを特徴とする前記[1]乃至前記[4]の何れかに記載の電子装置。
[6]前記被係合部と前記係合部との係合は、凹凸係合であることを特徴とする前記[1]乃至前記[5]の何れかに記載の電子装置。
[7]前記[1]乃至前記[6]の何れかに記載の電子装置を備え、
前記被固定部は、固定位置に開口部が形成された光源ケースに設けられ、
前記固定対象部材は、光源を保持するホルダである、
ことを特徴とする光源装置。
[8]前記[7]に記載の光源装置と、
前記光源装置からの光源光が照射され、画像光を形成する表示素子と、
前記表示素子から出射された前記画像光をスクリーンに投影する投影側光学系と、
前記表示素子と前記光源装置を制御する投影装置制御部と、
を有することを特徴とする投影装置。
【符号の説明】
【0061】
10 投影装置 12 正面パネル
13 背面パネル 14 右側パネル
15 左側パネル 21 入出力コネクタ部
22 入出力インターフェース 23 画像変換部
24 表示エンコーダ 25 ビデオRAM
26 表示駆動部 31 画像圧縮/伸長部
32 メモリカード 35 Ir受信部
36 Ir処理部 37 キー/インジケータ部
38 制御部 41 光源制御回路
43 冷却ファン駆動制御回路 45 レンズモータ
47 音声処理部 48 スピーカ
51 表示素子 60 光源装置
61 光源ケース 62 被固定部
70 励起光照射装置 71 青色レーザダイオード
73 コリメータレンズ 74 ホルダ
74a 前面 74b 外周面
75 基板 76 反射ミラー
78 拡散板 80 緑色光源装置
81 ヒートシンク 90 パッキン
90a 凹部 91 環状溝部
91a 底面 92 シール部支持部
92a 外周面 92b 内周面
93 シール部 93a 先端部
94 環状壁部 94a 突端面
95 背面部 95a 背面
100 蛍光板装置 101 蛍光板
110 モータ 115 集光レンズ
117a 集光レンズ 117b 集光レンズ
120 赤色光源装置 121 赤色光源
125 集光レンズ群 130 ヒートシンク
140 導光光学系 141 第一ダイクロイックミラー
143 第一反射ミラー 145 第二反射ミラー
146 集光レンズ 147 集光レンズ
148 第二ダイクロイックミラー 149 集光レンズ
170 光源側光学系 173 集光レンズ
175 導光装置 178 集光レンズ
179 光軸変換ミラー 183 集光レンズ
185 照射ミラー 190 ヒートシンク
195 コンデンサレンズ 220 投影側光学系
225 固定レンズ群 235 可動レンズ群
260 吸気ファン 270 吸気ファン
280 排気ファン 301 電源装置
302 制御回路基板 620 被係合部
621 開口部 623 環状壁部
623a ねじ孔 623b 内周面
624 位置決め部 624a ねじ孔
625 ボス 626 環状溝部
626a 底面 627 内側環状壁部
627a 外周面 627b 内周面
627b1 環状当接面 627c 突端面
710 抑え部材
711 凹部 712 当接突起
713 切欠き 715 前面
741 孔部 745 ボルト
811 ベース部材 811a 前面
812 ヒートシンク本体
813 ヒートパイプ 815 ボルト
900 係合部 SB システムバス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7