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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】画像処理システムおよび画像処理装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240925BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240925BHJP
   B41J 29/46 20060101ALI20240925BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
H04N1/00 Z
H04N1/00 127A
H04N1/00 127B
B41J29/38
B41J29/46 Z
G03G21/00 370
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020139861
(22)【出願日】2020-08-21
(65)【公開番号】P2022035495
(43)【公開日】2022-03-04
【審査請求日】2023-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】足立 豊史
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 健
【審査官】三沢 岳志
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-118069(JP,A)
【文献】特開2017-146870(JP,A)
【文献】特開2011-170464(JP,A)
【文献】特開2002-351626(JP,A)
【文献】特開2019-202501(JP,A)
【文献】特開2010-003215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/38
B41J 29/46
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理装置と、サーバと、を備える画像処理システムにおいて、
前記画像処理装置のユーザインタフェースには、前記画像処理装置の画像処理部を用いる処理の種類を選択するホーム画面を表示可能であり、
前記画像処理装置は特別な機能を複数備え、前記画像処理装置のメモリには、前記特別な機能ごとに有効にするか無効にするかの設定が記憶されており、工場出荷時、前記特別な機能は無効に設定されており、複数の前記特別な機能のうち少なくとも1の機能について、設定を有効にする有効化コマンドを受け付けた場合、前記有効化コマンドの対象となった前記特別な機能の設定を有効にし、
前記サーバは、
前記特別な機能についての試行を可能にする試行モードの開始要求を受信し、前記開始要求には、前記画像処理装置の識別情報が含まれ、
さらに前記サーバは、
前記開始要求を受信すると、前記試行モードの有効期間を設定し、設定した前記試行モードの有効期間を示す期間情報を、受信した前記開始要求に含まれる前記画像処理装置の識別情報と関連付けて記憶し、前記試行モードの開始を示す開始コマンドを出力し、
前記画像処理装置は、
前記開始コマンドが入力された場合、前記試行モードを開始し、前記試行モードである期間中において、前記特別な機能の全てが有効になり、
さらに前記画像処理装置は、
前記試行モードである期間中の第1のタイミングにおいて、前記試行モードの有効期間を確認する確認コマンドを前記サーバに送信し、前記確認コマンドには、前記画像処理装置の識別情報が含まれ、
前記サーバは、
前記画像処理装置から前記確認コマンドを受信すると、受信した前記確認コマンドに含まれる前記画像処理装置の識別情報と関連付けられた前記期間情報に基づいて、前記試行モードの有効期間内であるか否かを判断し、判断結果を示すステータス情報を前記画像処理装置に応答し、
前記画像処理装置は、
前記サーバから前記試行モードの有効期間外であることを示す前記ステータス情報を受信した後の第2のタイミングにおいて、前記試行モードを終了し、
さらに前記画像処理装置は、
前記ホーム画面を表示する際、前記サーバから前記試行モードの有効期間外であることを示す前記ステータス情報を受信した後であって前記第2のタイミングになる前であれば、前記試行モードの終了を示す第1報知を行う、
ことを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載する画像処理システムにおいて、
アプリケーションプログラムがインストールされた情報処理装置を備え、
前記情報処理装置は、
前記アプリケーションプログラムによって、前記試行モードを開始させる前記画像処理装置の選択と、前記試行モードを開始する開始指示の入力と、を受け付け、前記開始指示を受け付けた場合に、前記サーバに前記開始要求を送信し、前記開始要求には、前記アプリケーションプログラムによって選択された前記画像処理装置の識別情報が含まれ、
前記サーバは、
前記情報処理装置から前記開始要求を受信すると、前記情報処理装置に対して前記開始コマンドを出力する、
ことを特徴とする画像処理システム。
【請求項3】
請求項1に記載する画像処理システムにおいて、
前記画像処理装置は、
前記試行モードを開始する開始指示を、前記画像処理装置の前記ユーザインタフェースを介して受け付け、前記開始指示を受け付けた場合に、前記サーバに前記開始要求を送信し、前記開始要求には、前記開始要求を送信する前記画像処理装置の識別情報が含まれ、
前記サーバは、
前記画像処理装置から前記開始要求を受信すると、前記開始要求の送信元の前記画像処理装置に対して前記開始コマンドを出力する、
ことを特徴とする画像処理システム。
【請求項4】
画像処理部と、
ユーザインタフェースと、
メモリと、
コンピュータと、
を備える画像処理装置であって、
前記ユーザインタフェースには、前記画像処理部を用いる処理の種類を選択するホーム画面を表示可能であり、
前記画像処理装置は特別な機能を備え、前記メモリには、前記特別な機能を有効にするか無効にするかの設定が記憶されており、工場出荷時、前記特別な機能は無効に設定されており、
前記コンピュータは、
前記特別な機能についての試行を可能にする試行モードの開始を示す開始コマンドの入力を受け付けた場合に、前記試行モードを開始する開始処理を実行し、前記試行モードには有効期間が設定されており、前記試行モードである期間中において、前記特別な機能が有効になり、
さらに前記コンピュータは、
前記試行モードである期間中の第1のタイミングにおいて、前記試行モードの有効期間内か否かを判断する判断処理と、
前記判断処理にて前記試行モードの有効期間外であると判断された後の第2のタイミングにおいて、前記試行モードを終了する終了処理と、
前記判断処理にて前記試行モードの有効期間外であると判断された後であって前記第2のタイミングになる前である場合に、前記ユーザインタフェースに前記ホーム画面を表示させる際、前記試行モードの終了を示す第1報知を行う第1報知処理と、
を実行し、
前記終了処理では、前記判断処理にて前記試行モードの有効期間外であると判断された後の、前記画像処理装置の起動時を前記第2のタイミングとして、前記試行モードを終了し、
前記第1報知処理では、前記試行モードの終了を示すとともに再起動を示す前記第1報知を行い、さらに前記メモリに前記画像処理部を用いる処理を待つジョブが残っている場合、前記第1報知には、当該ジョブが再起動によって消去されることを示す報知が含まれる、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項4に記載する画像処理装置において、
前記コンピュータは、
サーバによって出力された前記開始コマンドを受信することで、前記開始コマンドの入力を受け付け、前記サーバは、前記試行モードの開始要求を受信し、前記開始要求には、前記画像処理装置の識別情報が含まれ、さらに前記サーバは、前記開始要求を受信した場合に、前記試行モードの有効期間を設定し、設定した前記試行モードの有効期間を示す期間情報を、受信した前記開始要求に含まれる前記画像処理装置の識別情報と関連付けて記憶し、前記開始コマンドを出力し、
さらに前記コンピュータは、
前記判断処理では、前記試行モードである期間中の前記第1のタイミングにおいて、前記試行モードの有効期間を確認する確認コマンドを前記サーバに送信し、前記確認コマンドには、前記画像処理装置の識別情報が含まれ、前記サーバは、前記確認コマンドを受信すると、受信した前記確認コマンドに含まれる前記画像処理装置の識別情報と関連付けられた前記期間情報に基づいて、前記試行モードの有効期間内か否かを判断し、判断結果を示すステータス情報を応答し、
さらに前記判断処理では、前記サーバから受信した前記ステータス情報に基づいて、前記試行モードの有効期間内か否かを判断する、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項5に記載する画像処理装置において、
前記コンピュータは、
前記判断処理では、前記試行モードである期間中の定期的なタイミングを前記第1のタイミングとして、前記確認コマンドを前記サーバに送信し、その後、前記サーバから受信した前記ステータス情報に基づいて、前記試行モードの有効期間内か否かを判断する、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載する画像処理装置において、
前記コンピュータは、
前記判断処理では、前記サーバから前記ステータス情報を受信できなかった場合に、前記試行モードの有効期間が不明であることを示す不明情報を前記メモリに記憶し、
さらに前記コンピュータは、
前記メモリに前記不明情報が記憶されている場合に、前記ユーザインタフェースに前記ホーム画面を表示させる際、前記試行モードに関する報知であって前記第1報知とは異なる報知である第2報知を行う第2報知処理を実行する、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
請求項7に記載する画像処理装置において、
前記コンピュータは、
前記メモリに前記不明情報が記憶されている場合であっても、前記試行モードを終了せずに前記試行モードを維持する、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載する画像処理装置において、
前記コンピュータは、
前記不明情報を前記メモリに記憶した後、前記サーバから前記ステータス情報を受信できた場合に、前記メモリから前記不明情報を消去し、
前記第2報知処理では、前記第2報知を行った後、前記メモリから前記不明情報が消去された場合、前記第2報知を中止する、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
請求項7から請求項9のいずれか1つに記載する画像処理装置において、
前記コンピュータは、
前記第2報知処理による前記第2報知を行っている間、前記ユーザインタフェースを介して前記試行モードの終了指示を受け付け、前記終了指示を受け付けた場合に、前記試行モードを終了し、前記試行モードが終了すると、前記第2報知処理による前記第2報知は行わない、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項11】
請求項4から請求項10のいずれか1つに記載する画像処理装置において、
前記判断処理では、前記第1のタイミングにおいてさらに、前記試行モードの有効期間内であってさらに有効期間の残りが所定期間内である期間切れ間際期間か否かを判断し、
さらに前記コンピュータに、
前記判断処理にて前記期間切れ間際期間であると判断された場合、前記ユーザインタフェースに前記ホーム画面を表示させる際、前記試行モードの終了間際であることを示す第3報知を行う第3報知処理を実行する、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項12】
請求項11に記載する画像処理装置において、
前記コンピュータは、
前記第3報知処理による前記第3報知を行っている間、前記ユーザインタフェースを介して前記試行モードの終了指示を受け付け、前記終了指示を受け付けた場合に、前記試行モードを終了し、前記試行モードが終了すると、前記第3報知処理による前記第3報知は行わない、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項13】
請求項4から請求項12のいずれか1つに記載する画像処理装置において、
前記コンピュータは、
前記第1報知処理にて前記第1報知を行っている間、前記ホーム画面に対する操作を制限するとともに、前記第1報知を停止させる停止指示を受け付け、前記停止指示を受け付けた場合、前記第1報知を終了し、前記ホーム画面に対する操作の制限を解除する、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項14】
請求項4から請求項12のいずれか1つに記載する画像処理装置において、
前記コンピュータは、
前記第1報知処理では、前記ユーザインタフェースに前記ホーム画面を表示させる際、第1の態様で前記第1報知を開始し、前記第1の態様で前記第1報知を行っている間、前記ホーム画面に対する操作を制限するとともに、前記第1報知の態様を切り替える切替指示を受け付け、前記切替指示を受け付けた場合、前記第1報知を前記第1の態様と比較して報知の度合いが弱い第2の態様に切り替え、前記第2の態様で前記第1報知を行っている間、前記ホーム画面に対する操作の制限を解除し、前記ホーム画面から別の画面に切り替えた後、前記ホーム画面を再度表示させる場合、前記第1の態様で前記第1報知を開始する、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項15】
画像処理部と、
ユーザインタフェースと、
メモリと、
コンピュータと、
を備える画像処理装置であって、
前記ユーザインタフェースには、前記画像処理部を用いる処理の種類を選択するホーム画面を表示可能であり、
前記画像処理装置は特別な機能を複数備え、前記メモリには、前記特別な機能ごとに有効にするか無効にするかの設定が記憶されており、工場出荷時、前記特別な機能は無効に設定されており、複数の前記特別な機能のうち少なくとも1の機能について、設定を有効にする有効化コマンドを受け付けた場合、前記有効化コマンドの対象となった前記特別な機能の設定を有効にする有効化処理を実行し、
前記コンピュータは、
前記特別な機能についての試行を可能にする試行モードの開始を示す開始コマンドの入力を受け付けた場合に、前記試行モードを開始する開始処理を実行し、前記試行モードには有効期間が設定されており、前記試行モードである期間中において、前記特別な機能の全てが有効になり、
さらに前記コンピュータは、
前記試行モードである期間中の第1のタイミングにおいて、前記試行モードの有効期間内か否かを判断する判断処理と、
前記判断処理にて前記試行モードの有効期間外であると判断された後の第2のタイミングにおいて、前記試行モードを終了する終了処理と、
前記判断処理にて前記試行モードの有効期間外であると判断された後であって前記第2のタイミングになる前である場合に、前記ユーザインタフェースに前記ホーム画面を表示させる際、前記試行モードの終了を示す第1報知を行う第1報知処理と、
を実行する、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項16】
請求項15に記載する画像処理装置において、
前記コンピュータは、
前記有効化処理によって少なくとも1つの前記特別な機能の設定を有効にした際、
複数の前記特別な機能の全てが有効になった場合、前記試行モードを終了し、
複数の前記特別な機能のうち1つでも無効の機能がある場合、前記試行モードを終了しない、
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項17】
請求項4から請求項16のいずれか1つに記載する画像処理装置において、
前記メモリには、
前記特別な機能を有効にするか無効にするかの設定に加え、前記試行モードを有効にするか否かの設定が記憶されており、工場出荷時、前記試行モードも無効に設定されており、
前記コンピュータは、
前記試行モードの設定が有効になっている場合、前記特別な機能の設定に関わらず、前記特別な機能が有効になり、
前記試行モードの設定が無効になっている場合、前記特別な機能の設定に従って前記特別な機能の有効ないし無効を決定し、
さらに前記コンピュータは、
前記試行モードの設定を無効にすることで、前記試行モードを終了する、
ことを特徴とする画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術分野は、画像処理システムおよび画像処理装置に関する。さらに詳細には、画像処理装置に搭載されている特別な機能の有効ないし無効の切り替えに関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像処理装置には、有効と無効との切り替えが可能な設定を有する特別な機能を搭載したものがある。特別な機能は、画像処理装置の工場出荷時には無効に設定されており、その特別な機能を有効にするコマンドがその画像処理装置に入力されることで、その特別な機能に基づく処理が実行可能になる。このように特別な機能を搭載する画像処理装置に関する技術を開示した文献としては、例えば特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-151700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ユーザによっては、その特別な機能を利用する前にその機能を試してみたいという要望がある。例えば、画像処理装置の販売者がその特別な機能を有効にし、ユーザがその機能を試し終えた後に、画像処理装置の販売者がその特別な機能を無効にする、といったことも考えられるが、2度の設定作業は手間である。特許文献1には特別な機能を試行させる技術については開示されておらず、改善の余地がある。
【0005】
本明細書は、有効と無効との切り替えが可能な設定を有する特別な機能を搭載した画像処理装置において、その特別な機能を試行させるための技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題の解決を目的としてなされた画像処理システムは、画像処理装置と、サーバと、を備える画像処理システムにおいて、前記画像処理装置のユーザインタフェースには、前記画像処理装置の画像処理部を用いる処理の種類を選択するホーム画面を表示可能であり、前記画像処理装置は特別な機能を備え、前記画像処理装置のメモリには、前記特別な機能を有効にするか無効にするかの設定が記憶されており、工場出荷時、前記特別な機能は無効に設定されており、前記サーバは、前記特別な機能についての試行を可能にする試行モードの開始要求を受信し、前記開始要求には、前記画像処理装置の識別情報が含まれ、さらに前記サーバは、前記開始要求を受信すると、前記試行モードの有効期間を設定し、設定した前記試行モードの有効期間を示す期間情報を、受信した前記開始要求に含まれる前記画像処理装置の識別情報と関連付けて記憶し、前記試行モードの開始を示す開始コマンドを出力し、前記画像処理装置は、前記開始コマンドが入力された場合、前記試行モードを開始し、前記試行モードである期間中において、前記特別な機能が有効になり、さらに前記画像処理装置は、前記試行モードである期間中の第1のタイミングにおいて、前記試行モードの有効期間を確認する確認コマンドを前記サーバに送信し、前記確認コマンドには、前記画像処理装置の識別情報が含まれ、前記サーバは、前記画像処理装置から前記確認コマンドを受信すると、受信した前記確認コマンドに含まれる前記画像処理装置の識別情報と関連付けられた前記期間情報に基づいて、前記試行モードの有効期間内であるか否かを判断し、判断結果を示すステータス情報を前記画像処理装置に応答し、前記画像処理装置は、前記サーバから前記試行モードの有効期間外であることを示す前記ステータス情報を受信した後の第2のタイミングにおいて、前記試行モードを終了し、さらに前記画像処理装置は、前記ホーム画面を表示する際、前記サーバから前記試行モードの有効期間外であることを示す前記ステータス情報を受信した後であって前記第2のタイミングになる前であれば、前記試行モードの終了を示す第1報知を行う、ことを特徴としている。
【0007】
本明細書に開示される画像処理システムによれば、画像処理装置に試行モードが用意されており、画像処理装置は、試行モードである期間中において特別な機能が有効になり、試行モードの有効期間外になれば試行モードを終了することができる。従って、画像処理装置のユーザは、一時的に特別な機能を試行することができる。
【0008】
上記システムの機能を実現するための制御方法、コンピュータプログラム、当該プログラムを格納するコンピュータにて読取可能な記憶媒体、当該プログラムを実行する画像処理装置や情報処理装置も、新規で有用である。
【発明の効果】
【0009】
本明細書に開示される技術によれば、有効と無効との切り替えが可能な設定を有する特別な機能を搭載した画像処理装置において、その特別な機能を試行させるための技術が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本形態のシステムの電気的構成を示すブロック図である。
図2】試行モード開始の手順の例を示すシーケンス図である。
図3】ホーム画面の例を示す説明図である。
図4】試行DBに記憶される情報の例を示す説明図である。
図5】試行モード開始の手順の例を示すシーケンス図である。
図6】試行モードの有効期間を確認する手順の例を示すシーケンス図である。
図7】試行モードの有効期間外の報知画面の例を示す説明図である。
図8】試行モードの有効期間外の報知の形態を変更した例を示す説明図である。
図9】試行モードの有効期間の終了間際の報知画面の例を示す説明図である。
図10】インターネットへの接続不良の報知画面の例を示す説明図である。
図11】追加機能の有効化の手順の例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施の形態にかかるシステムについて、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は、複合機(以下、「MFP」とする)と、サーバと、を含むシステムである。
【0012】
本形態のシステム100は、例えば、図1に示すように、MFP1と、サーバ3と、を含み、これらがそれぞれインターネット200に接続可能な構成となっている。システム100は、画像処理システムの一例である。MFP1は、ユーザのもとにあって、プリント、スキャン等の各種の画像処理機能を実行可能な装置である。MFP1は、画像処理装置の一例である。サーバ3は、例えば、MFP1のベンダによって管理され、MFP1等の各装置から、インターネット200を介してアクセス可能な装置である。
【0013】
本形態のMFP1は、図1に示すように、CPU11と、メモリ12と、を含むコントローラ10を備えている。CPU11は、コンピュータの一例である。また、MFP1は、ユーザインタフェース(以下、「ユーザIF」とする)13と、通信インタフェース(以下、「通信IF」とする)14と、画像形成部15と、画像読取部16と、を備え、これらがコントローラ10に電気的に接続されている。画像形成部15と画像読取部16とは、いずれも、画像処理部の一例である。
【0014】
CPU11は、メモリ12から読み出したプログラムに従って、また、ユーザの操作に基づいて、各種の処理を実行する。メモリ12には、図1に示すように、基本プログラム21と、複数の機能プログラム22~24と、複数の機能スイッチ25~27と、試行スイッチ28と、を含む、各種のプログラムや各種の情報が記憶されている。メモリ12は、各種の処理が実行される際の作業領域としても利用される。CPU11が備えるバッファも、メモリの一例である。
【0015】
ユーザIF13は、例えば、タッチパネルであり、ユーザに情報を報知するための画面を表示するハードウェアと、ユーザによる操作を受け付けるハードウェアと、を含む。なお、ユーザIF13は、ディスプレイとボタン等の操作部との組であっても良い。
【0016】
通信IF14は、少なくともインターネット200に接続可能な構成を含み、サーバ3等の外部装置と通信を行うためのハードウェアを含む。通信IF14の通信規格は、イーサネット(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、USBなどである。MFP1は、複数の通信規格に対応する複数の通信IF14を備えていてもよい。
【0017】
画像形成部15は、シート等の印刷媒体に画像データに基づく画像を印刷する構成を含む。画像形成部15の画像形成方式は、例えば、電子写真方式、インクジェット方式であり、カラー印刷が可能な構成でも、モノクロ印刷のみを行う構成でもよい。画像読取部16は、原稿の画像を読み取って、画像データを取得する構成を含む。
【0018】
本形態のMFP1は、基本プログラム21や機能プログラム22~24を実行することで、画像形成部15や画像読取部16を用いた各種の機能を実行可能である。基本プログラム21は、MFP1の工場出荷時から実行可能に設定されているプログラムであり、MFP1に基本的な機能である基本機能を実行させるためのプログラムである。基本機能には、コピー処理におけるカラーコピー、モノクロコピー、Nin1コピー、スキャン処理におけるカラースキャン、モノクロスキャン、などが含まれる。
【0019】
一方、機能プログラム22~24は、MFP1に特別な機能を追加するためのプログラムである。本形態のMFP1は、追加可能な特別な機能を複数搭載し、各機能プログラム22~24によってそれぞれ異なる追加機能が追加される。機能プログラム22~24にはそれぞれ対応する機能スイッチ25~27が設けられ、機能スイッチ25~27の状態によって、対応する機能プログラム22~24による追加機能が有効であるか無効であるかの設定が記憶されている。例えば、機能スイッチ25の状態がオンであれば、MFP1は、機能プログラム22による機能を実行する指示を受け付け可能であって、当該機能を実行可能であり、機能スイッチ25の状態がオフであれば、MFP1は、当該機能を実行する指示を受け付けない。
【0020】
MFP1の工場出荷時には、各機能スイッチ25~27は全てオフとなっており、追加機能は全て無効に設定されている。そして、工場出荷後に機能プログラム22~24の機能を有効化する指示を受け付けた場合、MFP1は、機能スイッチ25~27をオンに切り替えることで、追加機能を実行可能になる。追加機能のプログラムを予めMFP1に搭載し、有効化の指示を受け付け可能とすることで、MFP1に付加価値を加えることができ、追加機能の追加手順が簡便になる。また、MFP1を使用するユーザにとって必要な機能のみを有効にすることで、機能の煩雑化を防止できる。
【0021】
なお、MFP1のユーザは、機能プログラム22~24の機能を使用するためには、使用する機能ごとにベンダ等と契約する必要がある。例えば、ユーザが追加機能を利用する契約をベンダと結ぶことで、ベンダから、その機能を有効化する有効化コマンドが提供される。提供された有効化コマンドがMFP1に入力されることで、MFP1は、対応するスイッチをオンとし、その機能の実行指示を受け付け可能になる。
【0022】
機能プログラム22~24によって実行可能になる追加機能としては、例えば、セキュアプリント、カスタムUI、バーコード印刷、クラウド保存、がある。セキュアプリントは、画像データを受信した際に直ちに印刷を開始するのではなく、画像データを一旦メモリ12に記憶し、ユーザIF13へのユーザ操作等によって認証に成功した後に印刷を開始する機能である。カスタムUIは、ユーザIF13に表示させるソフトキー等の配列や表示形態をユーザの好みに応じて変更する機能である。バーコード印刷は、指定されたデータに基づいてバーコードを作成し、作成したバーコードを印刷する機能である。クラウド保存は、原稿の画像を読み取って取得した画像データを、通信IF14を介して送信し、クラウド上の記憶領域に保存させる機能である。なお、工場出荷時にMFP1に搭載される機能プログラムの種類は、MFP1のモデルごとにあらかじめ決まっているが、工場出荷後に追加でインストール可能な機能が提供されてもよい。
【0023】
試行スイッチ28は、メモリ12に記憶されている全ての機能プログラム22~24を、機能スイッチ25~27がオフとなっている機能についても、試行モードの期間中は有効にするためのスイッチである。試行スイッチ28がオンである期間中、MFP1は、試行モードとなり、各機能プログラム22~24による追加機能を実行可能となる。試行モードの期間中に限り、ユーザは、機能プログラム22~24の有効化の契約をすることなく、各追加機能を試行できる。
【0024】
なお、試行スイッチ28の状態には、オンの他、未実行、実行済み、がある。MFP1の工場出荷時には、試行スイッチ28は未実行となっている。試行モードは、装置ごとに1回のみ可能なモードであって、試行モードを終了した後には試行スイッチ28は実行済みとなる。試行スイッチ28の詳細については、後述する。
【0025】
本形態のサーバ3は、図1に示すように、CPU31と、メモリ32と、を含むコントローラ30を備えている。また、サーバ3は、ユーザIF33と、通信IF34と、を備え、これらがコントローラ30に電気的に接続されている。なお、図1中のコントローラ10、30は、MFP1やサーバ3の制御に利用されるハードウェアやソフトウェアを纏めた総称であって、実際にMFP1やサーバ3に存在する単一のハードウェアを表すとは限らない。
【0026】
CPU31は、メモリ32から読み出したプログラムに従って、また、操作者の操作に基づいて、各種の処理を実行する。メモリ32には、図1に示すように、OS41と、試行管理プログラム42と、試行データベース(以下、「試行DB」とする)43と、を含む、各種のプログラムや各種のデータが記憶されている。OS41は、例えば、Windows(登録商標)、macOS(登録商標)、Linux(登録商標)である。CPU31が備えるバッファも、メモリの一例である。
【0027】
メモリ12、32の一例は、MFP1やサーバ3に内蔵されるROM、RAM、HDD等に限らず、CPU11、31が読み取り可能かつ書き込み可能なストレージ媒体であってもよい。コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体とは、non-transitoryな媒体である。non-transitoryな媒体には、上記の例の他に、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体も含まれる。また、non-transitoryな媒体は、tangibleな媒体でもある。一方、インターネット上のサーバなどからダウンロードされるプログラムを搬送する電気信号は、コンピュータが読み取り可能な媒体の一種であるコンピュータが読み取り可能な信号媒体であるが、non-transitoryなコンピュータが読み取り可能なストレージ媒体には含まれない。
【0028】
ユーザIF33は、情報を報知するための画面を表示するハードウェアと、操作を受け付けるハードウェアと、を含む。ユーザIF33は、ディスプレイとキーボード、マウス、トラックボール等の操作部との組であっても良いし、表示機能と操作受付機能とを共に備えるタッチパネルであっても良い。
【0029】
通信IF34は、インターネット200を介して、MFP1等の外部装置と通信を行うためのハードウェアを含む。通信IF34の通信規格は、イーサネット(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)などである。サーバ3は、複数の通信規格に対応する複数の通信IF14を備えていてもよい。
【0030】
本形態のサーバ3は、試行管理プログラム42を実行することで、MFP1等の各装置における追加機能の試行を管理する。具体的には、サーバ3は、MFP1等から試行の開始要求を受け付け、試行スイッチ28等をオンとするためのコマンドを送信し、さらに、試行モードの有効期間を管理する。
【0031】
次に、追加機能を試行するための処理の手順について、シーケンス図を参照して説明する。なお、以下の処理は、基本的に、プログラムに記述された命令に従ったCPU11、31の処理を示す。すなわち、以下の説明における「判断」、「抽出」、「選択」、「算出」、「決定」、「特定」、「取得」、「受付」、「制御」等の処理は、CPU11、31の処理を表している。各CPUによる処理は、OSのAPIを用いたハードウェア制御も含む。本明細書では、OSの記載を省略して各プログラムの動作を説明する。すなわち、以下の説明において、「プログラムBがハードウェアCを制御する」という趣旨の記載は、「プログラムBがOSのAPIを用いてハードウェアCを制御する」ことを指してもよい。また、プログラムに記述された命令に従ったCPU11、31の処理を、省略した文言で記載することがある。例えば、「CPU11が行う」のように記載することがある。また、プログラムに記述された命令に従ったCPU11、31の処理を、「プログラムAが行う」のようにCPUを省略した文言で記載することがある。
【0032】
なお、「取得」は要求を必須とはしない概念で用いる。すなわち、CPU11、31が要求することなくデータを受信するという処理も、「CPUがデータを取得する」という概念に含まれる。また、本明細書中の「データ」とは、コンピュータに読取可能なビット列で表される。そして、実質的な意味内容が同じでフォーマットが異なるデータは、同一のデータとして扱われるものとする。本明細書中の「情報」についても同様である。また、「要求する」、「指示する」とは、要求していることを示す情報や、指示していることを示す情報を相手に出力することを示す概念である。また、要求していることを示す情報や指示していることを示す情報のことを、単に、「要求」、「指示」とも記載する。
【0033】
また、CPU11、31による、情報Aは事柄Bであることを示しているか否かを判断する処理を、「情報Aから、事柄Bであるか否かを判断する」のように概念的に記載することがある。CPU11、31による、情報Aが事柄Bであることを示しているか、事柄Cであることを示しているか、を判断する処理を、「情報Aから、事柄Bであるか事柄Cであるかを判断する」のように概念的に記載することがある。
【0034】
以下、MFP1にて追加機能の試行を開始する開始手順について、図2のシーケンス図を参照して説明する。ユーザは、MFP1のユーザIF13にて、試行モードを開始する指示である開始指示を入力する(A01)。なお、図2のA01または後述する図5にて、試行モードの開始指示を入力するユーザは、MFP1を利用するユーザに限らず、例えば、サービス担当者、販売担当者であってもよい。
【0035】
MFP1は、開始指示の入力を受けて、サーバ3にアクセスし、試行モードの開始要求を送信する(A02)。MFP1は、A02にて、開始要求とともに、自装置の識別情報とモデル情報も送信する。
【0036】
サーバ3は、試行モードの開始要求を受けて、その時点での時刻に基づいてMFP1における試行モードの有効期間を設定する(A03)。なお、有効期間の長さは、全ての装置に対して一律でもよいし、モデル情報に応じて、または装置のユーザや設置地域等に応じて、異なっていてもよい。装置のユーザや設置地域等に応じて有効期間の長さが決定される場合、MFP1は、有効期間の決定に必要な情報を開始要求に付加して送信する。また、サーバ3は、試行モードの開始要求として、試行モードの開始日の指定を受け付けてもよく、その場合は指定された開始日を基準として有効期間を設定する。
【0037】
サーバ3は、設定した有効期間と試行モードの対象である装置の識別情報とを関連付けて、メモリ32の試行DB43に記憶する(A04)。試行DB43に記憶される情報の例を図4に示す。試行DB43には、例えば、連番の試行番号ごとに、装置ID、モデル名、試行開始日、試行終了日、の各情報が関連付けて記憶される。装置IDは、試行モードの対象である個々の装置を区別する識別情報であり、例えば、MACアドレス、シリアルナンバー、である。モデル名は、試行モードの対象である装置のモデルを示す情報である。試行開始日は、試行モードを開始する日付であり、試行終了日は、試行開始日から所定の有効期間後の日付である。つまり、この装置が試行モードとなる期間は、試行開始日から試行終了日までの期間である。試行開始日と試行終了日との情報は、期間情報の一例である。
【0038】
サーバ3は、A04にて、試行DB43に新たなレコードを追加し、MFP1の情報を記憶する。さらに、サーバ3は、開始要求の送信元であるMFP1に対して、試行モードを開始させるコマンドである開始コマンドを送信する(A05)。開始コマンドは、MFP1に試行スイッチ28をオンとさせる指示を含むコマンドである。開始コマンドには、試行を実行させる装置であるMFP1の識別情報が含まれていてもよい。MFP1は、開始コマンドを受信したことで、試行スイッチ28をオンとし(A06)、試行モードとなる。A06は、開始処理の一例である。これにより、前述したように、MFP1のユーザは、機能プログラム22~24による追加機能を試行可能となる。
【0039】
なお、MFP1は、試行スイッチ28の状態が未実行である場合にA06を実行する。MFP1にてすでに試行モードと実行したことがある場合、後述するように、試行スイッチ28の状態は、実行済みとなっている。その場合、MFP1は、試行スイッチ28の状態を変更することなく、サーバ3に試行終了の情報を送信する。サーバ3における試行終了時の処理については、後述する。
【0040】
MFP1は、MFP1の起動時、省電力モードからの復帰時、ユーザによる操作を受け付けていない状態が所定時間継続した場合、ユーザの操作による処理を終了した後に、例えば、図3に示すようなホーム画面50を、ユーザIF13に表示する。ホーム画面50は、コピー、スキャン、FAX送信等の処理の種類の選択を受け付けるボタン501~503等が含まれる画面である。そして、MFP1は、ホーム画面50にて処理の種類の選択を受け付けると、選択された処理の種類に応じて、詳細な設定を受け付ける設定画面をユーザIF13に表示する。
【0041】
MFP1は、ホーム画面50の表示に先立って、試行スイッチ28または機能スイッチ25~27がオンとなっているか否かを確認する(A10)。試行スイッチ28または機能スイッチ25~27によって追加される追加機能には、ホーム画面50に追加されて選択可能になる機能と、設定画面に追加されて選択可能になる機能とがある。ホーム画面50に追加される追加機能には、例えば、セキュアプリント、カスタムUIがあり、設定画面に追加される追加機能には、コピー処理の設定画面で選択可能になるバーコード印刷、スキャン処理の設定画面で選択可能になるクラウド保存、がある。
【0042】
MFP1は、A10にて確認した各スイッチの状態に基づいて、ホーム画面50の表示内容を決定し、決定したホーム画面50をユーザIF13に表示する(A11)。MFP1は、表示中のホーム画面50にて、ユーザIF13を介して、ユーザの選択を受け付ける(A12)。なお、A12の指示は、MFP1を利用するユーザ等によって行われる。そして、MFP1は、A10にて確認した各スイッチの状態に基づいて、A12で選択された処理の設定画面の表示内容を決定し、決定した設定画面をユーザIF13に表示する(A13)。
【0043】
MFP1は、ホーム画面50または各設定画面にて、基本機能と受け付け可能な追加機能とを選択可能に表示する(A14)。例えば、A06によって試行スイッチ28がオンとなっている場合、MFP1は、全ての追加機能を選択可能に表示する。また、試行スイッチ28がオフであっても、機能スイッチ25~27の少なくとも1つがオンとなっている場合、MFP1は、オンとなっているスイッチに対応する追加機能を選択可能に表示する。ユーザは、選択可能に表示された機能から実行させる機能を選択して、MFP1に実行指示を入力する(A15)。MFP1は、指示された機能を実行する(A16)。
【0044】
一方、MFP1は、試行スイッチ28がオフとなっている場合、対応する機能スイッチ25~27がオフとなっている追加機能を、ホーム画面50または各設定画面に表示しない(A17)。例えば、試行スイッチ28がオフであって、全ての機能スイッチ25~27がオフであれば、MFP1は、基本プログラム21による基本機能のみを選択可能に表示する。ユーザは、表示されない機能を選択することができないため、その追加機能を使用できない。なお、MFP1は、表示しない代わりに、選択不能に表示してもよい。
【0045】
次に、試行開始の手順の別の例について説明する。図2では、MFP1が自身で試行開始の指示を受け付け、サーバ3へ開始要求を送信して、サーバ3から開始コマンドを受信する例について説明した(A01~A06)。この手順を、MFP1自身ではなく、他の装置を介して実行することも可能である。以下では、パーソナルコンピュータ(以下、「PC」とする)を利用した試行開始の手順について、図5のシーケンス図を参照して説明する。図5のシーケンス図は、図2のA01~A06の手順に代えて、実行される手順である。
【0046】
図5中のPC5は、試行開始の処理を実行するためのアプリケーションプログラム(以下、「アプリ」とする)を備える装置であり、MFP1ともサーバ3とも通信可能な装置である。PC5は、情報処理装置の一例である。なお、PC5に代えて、スマートフォン、タブレットコンピュータであってもよい。
【0047】
PC5のユーザは、PC5にてアプリを起動し(B01)、起動したアプリにて、試行モードを開始する処理の実行指示である開始指示を入力する(B02)。PC5は、試行の対象となる装置を検索する検索信号を送出する(B03)。MFP1は、PC5から送出された検索信号に応じて、応答信号をPC5に送信する(B04)。なお、MFP1以外にもPC5の検索信号に応答可能な装置があれば、その装置も応答信号を送信する。応答信号には、応答した装置の識別情報が含まれる。PC5は、MFP1等からの応答信号を受けて、応答信号を送信した全ての装置を一覧表示する(B05)。
【0048】
ユーザは、一覧表示された装置のうちから、試行を実行させる装置を選択する(B06)。PC5は、選択された装置を示す識別情報と、試行の開始要求とを、サーバ3に送信する(B07)。B07にて送信される情報は、図2のA02にて送信される情報と同様の情報である。サーバ3は、B07の情報を受けて、試行期間を設定し(B08)、設定した試行期間と試行対象の装置の識別情報とを関連付けて、メモリ32の試行DB43に記憶する(B09)。B08とB09は、A03とA04と同様の処理である。
【0049】
サーバ3は、開始要求を送信した装置であるPC5に対して、開始コマンドを含む情報を送信する(B10)。サーバ3から送信される情報には、PC5から送信された装置の識別情報が含まれる。PC5は、サーバ3から受信した情報に基づいて、識別情報によって示される装置に開始コマンドを送信する(B12)。これにより、MFP1に開始コマンドが入力される。開始コマンドが入力されたことで、MFP1は、試行スイッチ28をオンとし(B13)、試行モードとなる。B13は、図2のA06と同様の処理であり、開始処理の一例である。
【0050】
なお、PC5は、開始コマンドをMFP1に送信する前に、送信してよいかどうかをユーザに問い合わせても良い。また、受信した開始コマンドをPC5にてUSBメモリ等に記憶させ、記憶されている開始コマンドをMFP1に読み取らせることで、MFP1に開始コマンドを入力しても良い。
【0051】
また、PC5は、サーバ3から受信した情報に基づいて開始コマンドを表示し、サービス担当者等のユーザが、表示された開始コマンドをMFP1に入力しても良い。例えば、開始コマンドが数字列等のテキストであって、ユーザが、MFP1のユーザIF13を用いてそのテキストをMFP1に入力しても良い。
【0052】
本形態では、サーバ3から送信される開始コマンドに、試行モードを実行させる装置の識別情報が付加される。これにより、例えば、複数の装置で試行モードを開始するユーザであっても、各開始コマンドを入力する対象の装置を判別しやすい。また、開始コマンドに装置の識別情報が含まれていれば、ユーザが開始コマンドを入力する装置を間違えた場合でも、MFP1が自装置の開始コマンドであるか否かを判断できる。例えば、装置情報が自装置のものではない場合にMFP1がエラーを報知することで、ユーザは、間違いに直ちに気づくことができ、操作をやり直すことができる。
【0053】
次に、試行モードの有効期間の管理について説明する。試行モードは、装置ごとに所定の有効期間のみ使用できるモードであり、本形態では、試行モードの有効期間は、サーバ3によって管理される。試行モードの期間中における期間管理の手順について、図6のシーケンス図を参照して説明する。
【0054】
試行モードの期間中、すなわち、試行スイッチ28がオンとなっている場合、MFP1は、1日1回、数時間ごと、などの所定の定期的なタイミングで、インターネット200を介してサーバ3にアクセスし、有効期間内であるか否かを確認する確認コマンドをサーバ3に送信する(C01)。C01は、判断処理の一例である。MFP1がC01の送信を行うタイミングは、第1のタイミングの一例である。MFP1から送信される確認コマンドには、MFP1の識別情報が含まれる。
【0055】
サーバ3は、確認コマンドを受信した場合、確認コマンドに含まれる識別情報に関連付けて試行DB43に記憶されている試行開始日と試行終了日とを読み出し、読み出した日時と現在日時とを比較することで、試行モードの有効期間中であるか否かを判断する(C02)。そして、サーバ3は、C02の判断の判断結果を示すステータス情報を、確認コマンドを送信した装置であるMFP1に送信する。
【0056】
本形態のサーバ3は、確認コマンドに対して応答するステータス情報として、3種類のステータス情報を備えており、C02では、その3種類のステータス情報のうちのいずれを送信するかを判断する。サーバ3から送信されるステータス情報には、有効期間内を示すステータス情報と、有効期間が既に終了しており、有効期間外であることを示すステータス情報と、有効期間の残りが所定期間内であり、有効期間の期間切れ間際期間であることを示すステータス情報と、がある。
【0057】
サーバ3は、有効期間内であると判断した場合、有効期間内を示すステータス情報をMFP1に送信する(C03)。有効期間内であれば、MFP1はそのまま試行モードを維持し、MFP1のユーザは、全ての追加機能を何度でも試行できる。
【0058】
サーバ3は、有効期間が終了していると判断した場合、有効期間外を示すステータス情報をMFP1に送信する(C04)。MFP1は、有効期間外を示すステータス情報を受信した場合、試行モードの有効期間外を示す情報をメモリ12に記憶する(C05)。MFP1は、メモリ12に有効期間外を示す情報が記憶されている場合、例えば、ホーム画面50(図3参照)を表示する際に、試行モードが終了したことを示す情報を報知する(C06)。C06は、第1報知処理の一例である。
【0059】
有効期間外の報知の例を図7に示す。C06では、MFP1は、例えば、図7(A)に示すように、有効期間が終了したことを報知する報知画面51を、ホーム画面50の多くの部分を覆うように表示する。報知画面51は、第1報知の一例である。
【0060】
報知画面51が表示されることで、ホーム画面50中の処理の種類の選択を受け付けるボタン501~503への操作が制限されている。例えば、報知画面51の表示によって、各ボタン501~503は選択不能であっても良い。ホーム画面50への操作を制限することで、ユーザに試行モードの有効期間が終了したことを確実に認識させることができる。なお、C06における報知は、報知画面51の表示の他、警告マークの表示、音声ガイダンスによる報知であっても良い。
【0061】
報知画面51には、図7(A)に示すように、再起動の指示を受け付けるボタン511と、報知をアイコン化する指示を受け付ける「×」ボタン512と、が含まれる。ユーザは、MFP1を使用するためには、これらのボタン511、512のいずれかをまず操作する必要がある。なお、再起動の指示は、試行モードを終了させる指示である。
【0062】
報知画面51にてボタン511への操作によって再起動の指示を受け付けた場合(C11)、MFP1は、メモリ12に蓄積ジョブを記憶しているか否かを判断する(C12)。蓄積ジョブは、ユーザIF13への操作を受け付けるまで処理を実行しない指示を含むジョブや、実行時刻が指定されたジョブである。MFP1は、蓄積ジョブを受信したのみで、その蓄積ジョブを実行していない場合、その蓄積ジョブをメモリ12に記憶したままとなっている。なお、MFP1は蓄積ジョブをRAM等の揮発性のメモリに記憶するため、再起動時には、記憶されている蓄積ジョブは消去される。
【0063】
MFP1は、蓄積ジョブを記憶していると判断した場合、蓄積ジョブが残っていることを示す報知を行う(C121)。MFP1は、例えば、C06にて表示させた報知画面51を、図7(B)に示すように、蓄積ジョブが残っていることを報知する報知画面52に変更する。報知画面52は、蓄積ジョブとして印刷ジョブが記憶されている場合の例であり、この報知画面52には、印刷して再起動する指示を受け付けるボタン521と、印刷せずに再起動する指示を受け付けるボタン522と、が含まれる。そして、MFP1は、ボタン521またはボタン522への指示を受け付けるまで待機する。
【0064】
MFP1は、ユーザによるボタン521への操作によって、蓄積ジョブの処理を実行して再起動する指示を受け付けた場合(C122)、メモリ12に記憶されている全ての蓄積ジョブの処理を実行する(C123)。C123の後、または、蓄積ジョブの処理を実行せずに再起動する指示を受け付けた場合、または、蓄積ジョブが記憶されていないと判断した場合、MFP1は、試行モードを終了させる。
【0065】
試行モードを終了させる手順として、MFP1は、自身の識別情報を含む試行終了の情報をサーバ3に送信する(C13)。サーバ3は、受信した試行終了の情報に基づいて、試行DB43に記憶されているMFP1の情報を削除する(C14)。また、MFP1は、試行スイッチ28を実行済みに変更する設定を行い、C05にて記憶した期間外であることを示す情報を削除する(C15)。C15は、終了処理の一例である。そして、MFP1は、再起動する(C16)。再起動によって、試行スイッチ28の変更が反映され、MFP1は、再度試行モードとなることはない。C13~C16による試行モードの終了手続きのタイミングは、第2のタイミングの一例である。
【0066】
報知画面51にて「×」ボタン512への操作によって報知のアイコン化の指示を受け付けた場合(C17)、MFP1は、報知画面51の表示を、例えば、図8に示すように、アイコン化した報知画面513を表示する(C18)。アイコン化した報知は、報知画面51よりも報知の度合いが弱い態様での報知の一例である。図7に示した報知画面51、52は、第1の態様の一例であり、アイコン化した報知画面513は、第2の態様の一例である。「×」ボタン512への操作による報知のアイコン化の指示は、報知の態様を切り替える切替指示の一例である。
【0067】
なお、「×」ボタン512は、蓄積ジョブがある場合の報知画面52にも表示されていても良く、報知画面52にてボタン512への操作を受け付けた場合にも、MFP1は、C18の処理を実行する。また、C18では、アイコン化して表示する代わりに、一旦報知画面51、52の表示を停止して、報知画面51、52を含まないホーム画面50を表示しても良い。この場合、「×」ボタン512への操作は停止指示の一例である。報知をアイコン化または停止することで、ホーム画面50への操作の制限が解除され、ユーザは、ホーム画面50中のボタン501~503を操作して、MFP1に処理を実行させることが可能になる。なお、報知をアイコン化または停止する代わりに、例えば、メッセージの量を少なくする、メッセージのフォントサイズを小さくする、音声メッセージの音量を小さくする、としても良い。
【0068】
C18によって報知画面51,52をアイコン化または停止してホーム画面50の操作を受け付けた場合も、試行モードはまだ終了していないことから、ユーザは、各追加機能を試行できる。しかし、ユーザによって指示された処理の実行が終了した後など、再起動されることなく、再度ホーム画面50を表示する際には、MFP1は、図7に示したように、ホーム画面50中に大きく報知画面51を表示する。
【0069】
一方、サーバ3は、C02にて有効期間の期間切れ間際期間であると判断した場合、終了間際を示すステータス情報をMFP1に送信する(C21)。MFP1は、終了間際を示すステータス情報を受信した場合、例えば、ホーム画面50を表示する際に、試行モードが終了間際であることを示す情報を報知する(C22)。C22は、第3報知処理の一例である。
【0070】
有効期間の終了間際の報知の例を図9に示す。MFP1は、ホーム画面50を表示する際に、例えば図9に示すように、有効期間が終了間際であることを報知する報知画面53を表示する。報知画面53は、第3報知の一例である。報知画面53では、例えば、具体的な試行モードの残り時間を表示しても良い。
【0071】
報知画面53には、試行終了の指示を受け付けるボタン531と、報知を停止する指示を受け付ける「×」ボタン532と、が含まれる。なお、報知画面53は、報知画面51とは異なり、ホーム画面50への操作を制限しない態様で表示されても良い。例えば、MFP1は、報知画面53を一定時間だけ表示したら自動的に表示を停止しても良い。ただし、見逃されることのないように、ホーム画面50の中央部に表示する、隅部に点滅表示する、等の目立つ態様で表示することが好ましい。
【0072】
MFP1は、ボタン531への操作にて試行モードの終了指示を受け付けた場合、有効期間外にて再起動の指示を受け付けた場合と同様に、終了手続きを実行する。具体的には、MFP1は、サーバ3に試行終了の情報を送信し、試行スイッチ28を実行済みに設定する。サーバ3は、試行DB43を更新する。この場合も、MFP1は、蓄積ジョブを記憶している場合には、前述したように、蓄積ジョブを報知する報知画面52を表示して、ユーザの指示を受け付けるとよい。
【0073】
また、MFP1は、報知画面53にて「×」ボタン532への操作によって報知の停止指示を受け付けた場合、報知画面53の表示を停止する。次回の有効期間の確認時、再度終了間際であれば、報知画面53が再度表示される。
【0074】
なお、MFP1がインターネット200に接続されていない場合、C01にて確認コマンドを送信できず、サーバ3からステータス情報を受信できない。この状態では、MFP1は、有効期間の確認が不可能である。MFP1は、確認コマンドをサーバ3に送信するタイミングにおいて、サーバ3からステータス情報を受信できなかった場合、試行モードの有効期間が不明であることを示す不明情報をメモリ12に記憶する(C31)。さらに、MFP1は、インターネット200への接続が不良であることを示す情報を報知する(C32)。C32は、第2報知処理の一例である。
【0075】
接続不良の報知の例を図10に示す。MFP1は、ホーム画面50を表示する際に、例えば、図10に示すように、インターネット200に接続されていないことを報知する報知画面54を表示する。報知画面54は、第2報知の一例である。報知画面54には、試行終了の指示を受け付けるボタン541と、報知をアイコン化または停止する指示を受け付ける「×」ボタン542と、が含まれる。報知画面54は、報知画面51と同様に、ホーム画面50への操作を制限する態様で表示される。ユーザは、MFP1を使用するためには、これらのボタン541、542のいずれかを操作する必要がある。
【0076】
MFP1は、ボタン541への操作によって試行モードの終了指示を受け付けた場合、終了手続きを実行する。ただし、インターネット200に接続されていない状態であることから、MFP1は、終了指示を受け付けたことを記憶しておき、接続が回復した後にサーバ3へ試行終了の情報を送信するとよい。この場合も、MFP1は、蓄積ジョブを記憶している場合には、前述したように、蓄積ジョブを報知する報知画面52を表示して、ユーザの指示を受け付ける。さらに、MFP1は、C31にて記憶した不明情報を削除し、試行スイッチ28を実行済みに設定する。
【0077】
一方、MFP1は、報知画面54にて「×」ボタン542への操作によって報知のアイコン化または停止の指示を受け付けた場合、報知画面54の表示をアイコン化または停止する。これにより、ユーザは、ホーム画面50の操作を行うことができる。その後、MFP1は、ホーム画面50の表示を行う際に、C31にて記憶した不明情報が記憶されていれば報知画面54を、C05にて記憶した期間外情報が記憶されていれば報知画面51を、それぞれ表示する。
【0078】
なお、C31にて記憶した不明情報が記憶されている場合、MFP1は、定期的にインターネット200への接続を試行する。この場合、MFP1は、確認コマンドをサーバ3に送信する頻度よりも高頻度で接続を試行すると良い。そして、MFP1は、インターネット200への接続が回復した場合、予め決めた確認コマンドの送信タイミングに関わらず、確認コマンドをサーバ3に送信する。そして、サーバ3からステータス情報を受信できた場合、MFP1は、不明情報を消去し、受信したステータス情報の種類に応じた処理を実行する。
【0079】
なお、MFP1は、サーバ3からステータス情報を受信できない場合、試行モードの利用を制限し続けても良い。例えば、MFP1は、インターネット200への接続が回復するまで、報知画面54の「×」ボタン542への操作を受け付けないとしてもよい。また、C32にて表示する報知画面54では、インターネット200に接続されていない旨の報知に限らず、例えば、サーバ3との通信が異常である、試行モードの不具合が生じている、試行モードの利用を制限する、を報知しても良い。
【0080】
次に、MFP1の追加機能を有効化する手順について、図11のシーケンス図を参照して説明する。MFP1を使用するユーザが追加機能の有効化の契約を行うことにより、販売担当者等は、例えば、PC5を利用して、MFP1の追加機能を有効にする手続きを行う。図11のPC5は、追加機能を有効化するためのアプリを備えた装置であり、図5のPC5と同じ装置であってもよいし、異なる装置であってもよい。
【0081】
PC5のユーザは、PC5にて追加機能の有効化のためのアプリを起動し、有効化する追加機能の種類とMFP1の識別情報とを指定して、PC5のアプリに有効化指示を入力する(D01)。PC5は、サーバ3にアクセスし、受け付けた有効化指示の情報を送信する(D02)。サーバ3は、受信した有効化指示に基づいて、有効化コマンドを生成し、生成した有効化コマンドをPC5に送信する(D03)。有効化コマンドには、MFP1の識別情報が含まれる。なお、サーバ3は、有効化の情報をメモリ32に記憶してもよい。
【0082】
PC5のアプリは受信した有効化コマンドをMFP1に送信する(D05)。これにより、MFP1に有効コマンドが入力される。MFP1は、入力された有効化コマンドに基づいて、対応する機能スイッチ25~27をオンとする(D06)。D06は、有効化処理の一例である。
【0083】
なお、D02~D06の手順は、試行モードの開始手順と同様に、有効化指示をMFP1からサーバ3に送信して、サーバ3がMFP1に有効化コマンドを送信してもよい。また、PC5が受信した有効化コマンドは、例えば、USBメモリ等を介してMFP1に入力されても良いし、担当者による手入力によってMFP1に入力されても良い。
【0084】
MFP1は、有効化コマンドの入力を受け付けると、試行モードの期間中であるか否かを判断する(D07)。試行モードの期間中であると判断した場合、MFP1は、今回の有効化によって、全ての追加機能の機能スイッチ25~27がオンとなったか否かを判断する(D08)。全ての追加機能がオンとなったと判断した場合、MFP1は、試行モードを終了する(D09)。具体的には、MFP1は、試行終了の情報をサーバ3に送信し、自装置の試行スイッチ28を実行済みに変更する。MFP1は、期間外情報や不明情報が記憶されている場合には、それらの情報も削除する。サーバ3は、試行DB43に記憶されている情報を削除する。
【0085】
全ての追加機能が有効化された場合、MFP1は、試行モードを終了し、以後は有効期間の確認を行わない。なお、有効化されていない追加機能が1つ以上ある場合には、MFP1は、試行モードを継続する。
【0086】
以上、詳細に説明したように、本形態のシステム100によれば、MFP1は、試行モードを備え、試行モードの期間中、全ての追加機能を試行可能なモードとなる。従って、MFP1のユーザは、追加機能を試すことができる。さらに、MFP1は、試行モードの期間外であると判断した場合、ホーム画面50に報知画面51を表示させるので、ユーザは試行モードの終了を認識でき、追加機能を不意に利用できなくなることを回避できる。
【0087】
さらに、本形態では、サーバ3が試行モードの有効期間を管理するので、MFP1の時刻設定の変更等による不正を防止し、有効期間を適切に設定できる。さらに、本形態では、サーバ3にて有効期間外であると判断された場合、ホーム画面50を表示する度に報知画面51を表示するので、試行モードの終了が頻繁に報知され、試行モードを終了させる操作を促すことが期待できる。
【0088】
さらに本形態では、試行モードによって複数の追加機能が全て試行できるので、個々の追加機能についての有効期間の管理が不要になり、期間管理の負荷が小さい。また、全ての追加機能が利用できることで、より多くの試行が可能になり、ユーザにとって便利である。また、本形態では、試行スイッチ28を機能スイッチ25~27とは別に設けたので、試行モード中であっても、各機能スイッチ25~27をそれぞれ単独で有効化することができる。また、一部の追加機能の有効化が指示されても試行モードを終了せず、有効化されていない追加機能について利用可能にし続けることができるので、ユーザが複数の追加機能を試し易い。
【0089】
さらに本形態では、MFP1またはPC5が開始要求をサーバ3に送信する。MFP1自身が開始要求を送信し、開始コマンドを受信すれば、サーバ3にアクセスするための専用アプリがインストールされたデバイスを別に用意することなく、MFP1に試行モードをセットアップできる。また、アプリを利用してPC5がサーバ3に開始要求を送信すれば、1台のPC5からMFP1を含む複数の装置に対する試行モードの開始要求が可能になり、試行モードの対象の装置が複数台ある場合のセットアップ作業の手間が小さい。
【0090】
さらに本形態では、各報知画面でユーザの終了指示を受け付けた場合に試行モードを終了するので、追加機能を利用するジョブの実行途中で試行モードが終了する可能性を低減できる。さらに、蓄積ジョブがメモリ12に記憶されている場合には、再起動の前に報知して蓄積ジョブを実行するか否かの指示を受け付けるので、蓄積ジョブが再起動によって消去されることをユーザが把握でき、試行モードを適切に終了することが期待できる。
【0091】
さらに本形態では、MFP1が定期的にサーバ3に有効期間を確認するので、試行モードの有効期間を厳密に管理できる。また、有効期間の終了が近い場合に、有効期間の終了間際を報知するので、試行モードの期限切れが迫っていることをユーザが把握できる。
【0092】
さらに本形態では、サーバ3からステータス情報を受信できなかった場合に、接続不良を示す報知画面54が報知されるので、ユーザは通信の異常を認識できる。さらに、本形態では、報知画面54を、ホーム画面50を表示する際に表示するので、通信異常が頻繁に報知され、通信異常を解消させる操作を促すことが期待できる。さらに、サーバ3との通信が異常であり、試行モードの有効期間が判断できない場合であっても、試行モードを維持するので、追加機能を利用するジョブの実行途中で試行モードが終了する可能性を低減できる。さらに、サーバ3との通信の異常を報知した後、サーバ3との通信が回復した場合には、報知画面54の報知を中止するので、ユーザは通信回復を認識できるとともに報知による煩わしさが無くなる。
【0093】
なお、本実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。従って本明細書に開示される技術は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。例えば、画像処理装置の一例は、MFPに限らず、プリンタ、スキャナ、FAX装置、コンピュータミシン等、画像処理機能とインターネット200への接続機能とを備えるものであれば適用可能である。
【0094】
また、本明細書にて図示した報知画面の態様は、いずれも一例であり、各報知画面の配置や含まれる文言等はこれらの図の態様に限るものではない。例えば、本形態では、報知画面51を表示した後、蓄積ジョブの有無に応じて報知画面52を表示するとしたが、蓄積ジョブの有無に応じて、報知内容の異なる報知画面51を表示してもよい。また、期間切れ間際期間の報知や接続不良の報知はしなくても良い。この場合、サーバ3から送信されるステータス情報は、有効期間内か有効期間外かのみを示す情報であっても良い。
【0095】
また、例えば、本形態ではホーム画面50を表示する際に報知画面51、53、54を表示するとしたが、表示のタイミングはこれに限らない。例えば、定期的に表示しても良いし、ユーザIF13への操作を受け付けた場合に表示するとしても良い。また、各報知画面を、追加機能に関係する処理が選択された場合の設定画面に表示しても良い。設定画面に表示する場合も、報知画面によって、設定画面への各種の操作を制限しても良い。
【0096】
また、本形態では、報知画面51、52にて報知のアイコン化または停止の指示を受け付けるとしたが受け付けなくても良い。つまり、有効期間外であれば、再起動の指示のみを受け付けるとしても良い。また、報知画面51、52を表示した後、所定の待機時間が経過してもユーザの操作を受け付けなかった場合、自動的に再起動するとしても良い。また、例えば、再起動しなくても試行スイッチ28の状態を変更できるのであれば、試行スイッチ28の状態を変更するのみとして再起動しなくても良い。また、試行スイッチ28の状態を実行済みに変更する代わりに、試行スイッチ28を消去してもよい。また、例えば、試行モードを機能スイッチの状態で設定しても良い。例えば、機能スイッチの状態として、オフ、オンの他に、試行モード中の状態を設けても良い。また、試行モードの実行済みの情報は、サーバ3が記憶してもよい。
【0097】
また、例えば、有効期間の管理をMFP1にて行ってもよい。ただし、サーバ3で管理することで、適切な管理となる可能性が高い。また、本形態ではサーバ3との通信が異常であっても、自動的には試行モードを終了しないとしたが、所定回数連続してステータス情報を取得できなかった場合に、試行モードを強制的に終了してもよい。その場合、試行モードを終了した後にも、終了したことを報知するとよい。
【0098】
また、本形態では、追加機能の有効化の指示を受け付けた際に、試行モードの期間中であるか否かを判断するとしたが、しなくても良い。例えば、試行モードの有効期間外であると判断した場合に、追加機能の有効化状態を確認して、全ての追加機能が有効化されていれば、報知せずに試行モードを終了させるとしても良い。また、本形態では、MFP1は、複数の追加機能を有して個別に有効化できるとしたが、追加機能は1つでもよい。また、試行モードでは全ての追加機能が試行できるとしたが、機能ごとに試行を受け付けてもよい。
【0099】
また、実施の形態に開示されている任意のシーケンス図において、任意の複数のステップにおける複数の処理は、処理内容に矛盾が生じない範囲で、任意に実行順序を変更できる、または並列に実行できる。
【0100】
また、実施の形態に開示されている処理は、単一のCPU、複数のCPU、ASICなどのハードウェア、またはそれらの組み合わせで実行されてもよい。また、実施の形態に開示されている処理は、その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体、または方法等の種々の態様で実現することができる。
【符号の説明】
【0101】
1 MFP
3 サーバ
5 PC
11 CPU
12 メモリ
13 ユーザIF
15 画像形成部
16 画像読取部
100 システム
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