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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】画像形成装置、制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240925BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20240925BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
H04N1/00 002C
B41J29/00 T
B41J29/38
H04N1/00 127B
H04N1/00 350
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020140733
(22)【出願日】2020-08-24
(65)【公開番号】P2022036496
(43)【公開日】2022-03-08
【審査請求日】2023-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】岩塚 謙太郎
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-016223(JP,A)
【文献】特開2018-067815(JP,A)
【文献】特開2016-091132(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/00
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信インタフェースと、ユーザインタフェースと、コントローラと、を備え、
前記コントローラは、
前記通信インタフェースを介して、リモートデータを情報処理装置に送信するリモート表示制御を実行し、前記リモートデータは、前記ユーザインタフェースに表示される操作画面を再現したリモート画面を前記情報処理装置が備えるブラウザで表示させるためのデータであり、
前記コントローラは、
前記リモート画面における表示内容の制限を定める制限パラメータを取得する取得処理、
を実行し、
前記リモート表示制御において、前記制限パラメータに応じた前記リモートデータを前記情報処理装置に送信することにより、表示内容が制限された前記リモート画面を前記ブラウザに表示させ
前記制限パラメータは、前記情報処理装置の所定ユーザを識別する識別情報に対応づけて設定されており、
前記コントローラは、前記リモート表示制御において、
前記情報処理装置から、前記リモート表示制御の要求とともに、前記識別情報を取得し、
取得された前記識別情報に前記制限パラメータが設定されている場合に、設定されている前記制限パラメータに応じた前記リモートデータを、前記情報処理装置に送信する画像形成装置。
【請求項2】
通信インタフェースと、ユーザインタフェースと、コントローラと、を備え、
前記コントローラは、
前記通信インタフェースを介して、リモートデータを情報処理装置に送信するリモート表示制御を実行し、前記リモートデータは、前記ユーザインタフェースに表示される操作画面を再現したリモート画面を前記情報処理装置が備えるブラウザで表示させるためのデータであり、
前記コントローラは、
前記リモート画面における表示内容の制限を定める制限パラメータを取得する取得処理、
を実行し、
前記リモート表示制御において、前記制限パラメータに応じた前記リモートデータを前記情報処理装置に送信することにより、表示内容が制限された前記リモート画面を前記ブラウザに表示させ
前記制限パラメータは、前記リモート表示制御の目的を示す目的情報に対応づけて設定されており、
前記コントローラは、前記リモート表示制御において、前記情報処理装置から、前記リモート表示制御の要求とともに前記目的情報を取得し、取得された前記目的情報に前記制限パラメータが設定されている場合に、設定されている前記制限パラメータに応じた前記リモートデータを、前記情報処理装置に送信し、
前記目的情報には、画像形成装置の操作を、前記リモート画面を介してサポートすることを示す前記目的情報を含み、
前記制限パラメータは、前記サポートすることを示す前記目的情報に対応付けて設定されている画像形成装置。
【請求項3】
通信インタフェースと、ユーザインタフェースと、コントローラと、を備え、
前記コントローラは、
前記通信インタフェースを介して、リモートデータを情報処理装置に送信するリモート表示制御を実行し、前記リモートデータは、前記ユーザインタフェースに表示される操作画面を再現したリモート画面を前記情報処理装置が備えるブラウザで表示させるためのデータであり、
前記コントローラは、
前記リモート画面における表示内容の制限を定める制限パラメータを取得する取得処理、
を実行し、
前記リモート表示制御において、前記制限パラメータに応じた前記リモートデータを前記情報処理装置に送信することにより、表示内容が制限された前記リモート画面を前記ブラウザに表示させ
前記制限パラメータは、前記操作画面に対応づけて設定されており、
前記コントローラは、
前記操作画面を、前記ユーザインタフェースを介した操作に応じて切換え可能であり、
前記リモート表示制御において、切換後の前記操作画面に前記制限パラメータが設定されている場合に、設定された前記制限パラメータに応じた前記リモートデータを、前記情報処理装置に送信する画像形成装置。
【請求項4】
通信インタフェースと、ユーザインタフェースと、コントローラと、を備え、
前記コントローラは、
前記通信インタフェースを介して、リモートデータを情報処理装置に送信するリモート表示制御を実行し、前記リモートデータは、前記ユーザインタフェースに表示される操作画面を再現したリモート画面を前記情報処理装置が備えるブラウザで表示させるためのデータであり、
前記コントローラは、
前記リモート画面における表示内容の制限を定める制限パラメータを取得する取得処理、
を実行し、
前記リモート表示制御において、前記制限パラメータに応じた前記リモートデータを前記情報処理装置に送信することにより、表示内容が制限された前記リモート画面を前記ブラウザに表示させ
前記コントローラは、
前記ユーザインタフェースを介して受付けた操作に応じてログイン状態となり、
前記取得処理において、画像形成装置のログインユーザに対応付けて、前記制限パラメータを設定し、
前記リモート表示制御において、前記ログインユーザに前記制限パラメータが設定されている場合に、設定されている前記制限パラメータに応じた前記リモートデータを、前記情報処理装置に送信する画像形成装置。
【請求項5】
前記コントローラは、前記リモート表示制御において、
前記リモート画面を、前記ブラウザで表示させるためのラスタデータであって、複数の操作アイコンを含むラスタデータを作成し、
前記リモートデータとして前記ラスタデータを含むWebページデータを、前記情報処理装置に送信し、
前記通信インタフェースを介して、前記Webページデータを受信した前記情報処理装置から、前記操作アイコンを操作したことを示す情報を受信した場合に、受信した情報に応じて、前記ユーザインタフェースに表示されている前記操作画面を更新し、
更新後の前記操作画面に対応するラスタデータを作成し、
作成された前記ラスタデータを含む前記Webページデータを、前記情報処理装置に送信し、
前記Webページデータには、前記制限パラメータに応じて前記ラスタデータの表示内容を制限する情報、又は前記制限パラメータに応じて表示内容が制限された前記ラスタデータを含む請求項1~4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記コントローラは、
前記取得処理において、前記画像形成装置の管理者から前記制限パラメータの入力を受付け、前記管理者以外から前記制限パラメータの入力を受付けず、
前記リモート表示制御では、前記入力を受付けた前記制限パラメータに応じた前記リモートデータを、前記情報処理装置に送信する請求項1~4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記ユーザインタフェースを介して受付けた操作に応じてログイン状態となり、
前記リモート表示制御において、前記識別情報が、前記画像形成装置のログインユーザであることを示している場合に、表示内容を制限しない前記リモート画面を前記ブラウザ
で表示させるための前記リモートデータを、前記情報処理装置に送信する請求項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記コントローラは、前記リモート表示制御において、
前記情報処理装置に、前記通信インタフェースを介してサポート要求を送信し、
前記情報処理装置から、前記サポート要求に伴う前記リモート表示制御の要求を受信した場合に、現在表示されている前記操作画面を再現した前記リモート画面であって、前記制限パラメータに応じた前記リモートデータを、前記情報処理装置に送信する請求項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記コントローラは、
前記操作画面を切換えるための指定操作を受付けるショートカット画像を前記操作画面上に設定可能であり、
前記制限パラメータは、前記ショートカット画像に対応づけて設定されており、
前記リモート表示制御において、指定された前記ショートカット画像に前記制限パラメータが設定されている場合に、設定された前記制限パラメータに応じた前記リモートデータを、前記情報処理装置に送信する請求項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記コントローラは、前記ユーザインタフェースを介して受付けた操作に応じて、前記ショートカット画像を所定の目的毎に前記操作画面上に設定する請求項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記取得処理では、前記ログインユーザ毎に、前記制限パラメータにより、前記リモート画面における表示が制限される領域を設定可能であり、
前記リモート表示制御では、前記制限パラメータに応じた前記リモートデータを前記情報処理装置に送信することにより、前記制限パラメータで示される領域の表示が制限された前記リモート画面を前記ブラウザに表示させる請求項に記載の画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に表示されている操作画面を、遠隔の情報処理装置に表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像形成装置において、読取り後の画像のプレビュー画面を表示部に表示させる画像形成装置が記載されている。また、特許文献1に記載の画像形成装置では、セキュリティレベルが高い原稿に対しては、プレビュー画面を劣化させた状態で表示させることにより、セキュリティの強度を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-258771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、画像形成装置に表示される操作画面を、遠隔の情報処理装置に表示させる機能が知られている。このような機能において、セキュリティレベルが高い画像を含む操作画面を、情報処理装置に遠隔表示させる場合、所望とするセキュリティレベルを維持できなくなることが懸念される。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みたものであり、画像形成装置に表示されている操作画面を、遠隔の情報処理装置に表示する場合に、セキュリティレベルの低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、通信インタフェースと、ユーザインタフェースと、コントローラと、を備える画像形成装置に関する。画像形成装置のコントローラは、通信インタフェースを介して、リモートデータを情報処理装置に送信するリモート表示制御を実行し、リモートデータは、ユーザインタフェースに表示される操作画面を再現したリモート画面を情報処理装置が備えるブラウザで表示させるためのデータであり、コントローラは、リモート画面における表示内容の制限を定める制限パラメータを取得する取得処理、を実行し、リモート表示制御において、制限パラメータに応じたリモートデータを情報処理装置に送信することにより、表示内容が制限されたリモート画面をブラウザに表示させる。
【0007】
上記構成では、コントローラは、リモートデータを、通信インタフェースを介して情報処理装置に送信することで、ユーザインタフェースに表示される操作画面を再現したリモート画面を、情報処理装置のブラウザに表示させるリモート表示制御を実行する。そして、コントローラが実行するリモート表示制御では、取得された制限パラメータに応じたリモートデータを情報処理装置に送信することで、ブラウザに表示されるリモート画面の表示内容が制限される。これにより、画像形成装置に表示されている操作画面を、遠隔の情報処理装置で表示する場面においても、リモート画面の表示内容が制限されるため、セキュリティレベルの低下を抑制することができる。
【0008】
本発明は、種々の形態により実現することが可能であり、画像形成装置の発明以外にも、コントローラが実行する制御プログラムの発明としても実現することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画像形成装置に表示されている操作画面を、遠隔の情報処理装置で表示する場面においても、セキュリティレベルの低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】画像形成システムの構成図。
図2】MFPのコントローラにより実行される処理の手順を説明するフローチャート。
図3】SFLリストを説明する図。
図4図2のS16で実行される処理の手順を説明するフローチャート。
図5】EWS画面を説明する図。
図6】リモート画面を説明する図。
図7図2のS18で実行される処理の手順を説明するフローチャート。
図8】表示制限がされたリモート画面を説明する図。
図9】表示制限がされたリモート画面を説明する図。
図10】第2実施形態に係るリモート画面を説明する図。
図11図2のS18で実行される処理の手順を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1実施形態)
本実施形態係に係る画像形成システム100を、図面を参照しつつ説明する。
図1に示す画像形成システム100は、MFP10と、一般ユーザ用PC30と、管理者用PC31と、サービスマン用PC40とを備えている。MFPは、multifunction peripheralの略称である。MFP10と、PC30,31とはLAN200に接続されており、LAN200を通じて通信可能である。また、LAN200はインターネット210に接続されており、インターネット210には、サービスマン用PC40が接続されている。本実施形態において、MFP100が、画像形成装置の一例である。PC30,31,40は、情報処理装置の一例である。
【0012】
PC30,31,40は、不図示のCPU、メモリ、ユーザIF、ディスプレイ、ネットワークIFを備えている。IFは、interfaceの略語である。PC40のメモリには、OSや、ブラウザプログラムが記憶されている。ブラウザプログラムは、インターネット210を介してWebサーバに接続し、Webサーバが管理するWebページデータをディスプレイに表示させるプログラムである。
【0013】
PC30,31,40のうち、一般ユーザ用PC30は、LAN200を介してMFP10を利用するユーザにより使用されるPCである。具体的には、いずれかのPC30,31,40上での操作により、MFP10にログインすることにより、MFP10を使用することができる。管理者用PC31は、LAN200上でMFP10を管理する権限がある管理者により使用されるPCである。サービスマン用PC40は、MFP10の保守や操作のサポートといったサービスを提供するサービスマンにより使用されるPCである。
【0014】
次に、MFP10の構成を説明する。MFP100は、コントローラ11、メモリ12、プリンタ部13、スキャナ部14、FAX部15、通信IF16、ユーザIF17、及びバス18を備えている。
【0015】
通信IF16は、所定の通信プロトコルに準拠して、MFP10をLAN200及びインターネット210に接続する。ユーザIF17は、MFP10を直接操作するユーザと、コントローラ11との間に介在するインタフェースであり、例えば、タッチパネルや操作キーである。
【0016】
プリンタ部13は、シートやディスクなどの被記録媒体に画像を印刷する印刷動作を実行する。プリンタ部13の記録方式としては、インクジェット方式や、電子写真方式などを採用することができる。スキャナ部14は、原稿に記録されている画像を読み取って画像データを生成するスキャン動作を実行する。FAX部15は、FAXプロトコルに準拠した方式で画像データを送受信するFAX動作を実行する。また、MFP10は、複数の動作を組み合わせた複合動作を実行可能であってもよい。プリンタ部13によるプリント動作と、スキャナ部14によるスキャン動作とを組み合わせたコピー動作は、複合動作の一例である。
【0017】
コントローラ11は、CPUや、ASIC(Application Specific Integrated Circuitの略称)等により構成されており、MFP10を構成するプリンタ部13、スキャナ部14、FAX部15、通信IF16、及びユーザIF17の各動作を制御する。メモリ12は、データ記憶領域を備える。データ記憶領域は、プログラム等の実行に必要なデータなどを記憶する領域である。メモリ12は、RAM、ROM、SSD、HDD等が組み合わされて構成されている。各種プログラムの実行時に用いられる、コントローラ11が備えるバッファも、メモリ12の一部とみなしてよい。なお、メモリ12は、コントローラ11が読み取り可能なストレージ媒体であってもよい。コントローラ11が読み取り可能なストレージ媒体とは、non-transitoryな媒体である。non-transitoryな媒体には、上記の例の他に、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体も含まれる。また、non-transitoryな媒体は、tangibleな媒体でもある。一方、インターネット210上のサーバなどからダウンロードされるプログラムを搬送する電気信号は、コンピュータが読み取り可能な媒体の一種であるコンピュータが読み取り可能な信号媒体であるが、non-transitoryなコンピュータが読み取り可能なストレージ媒体には含まれない。
【0018】
メモリ12には、コントローラ11が実行可能なプログラムとして、制御プログラム20が記憶されている。以下の説明では、プログラムを実行するコントローラ11のことを、単にプログラム名でも記載する場合がある。例えば、「制御プログラム20が」という記載は、「制御プログラム20を実行するコントローラ11が」という意味で使用する。本実施形態では、主に、プログラムに記述された命令に従ったコントローラ11の処理を示す。すなわち、以下の説明における「判断」、「抽出」、「選択」、「算出」、「決定」、「特定」、「取得」、「受付」、「制御」等の処理は、コントローラ11の処理を表している。なお「取得」は要求を必須とはしない概念で用いる。すなわち、コントローラ11が要求することなくデータを受信するという処理も、「コントローラ11がデータを取得する」という概念に含まれる。また、本明細書中の「データ」とは、コントローラに読取可能なビット列で表される。そして、実質的な意味内容が同じでフォーマットが異なるデータは、同一のデータとして扱われるものとする。本明細書中の「情報」についても同様である。
【0019】
制御プログラム20は、プリンタ部13を用いたプリンタ動作、スキャナ部14を用いたスキャナ動作、及びFAX部15を用いたFAX動作を制御する。また、制御プログラム20は、WebサーバであるEWS(Embedded Web serverの略称)としても機能する。制御プログラム20は、EWSとして機能することで、各PC30,31,40が備えるブラウザに、ブラウザ画面を表示させることができる。具体的には、ユーザがPC上でブラウザを起動し、制御プログラム20(即ち、EWS)を指定するURLを入力することで、制御プログラム20により作成されたWebページデータをダウンロードして、ブラウザにブラウザ画面であるEWS画面を表示させることができる。本実施形態では、Webページデータが、リモートデータの一例である。
【0020】
メモリ12には、SFL(Secure Function Lockの略称)リストL1が記憶されている。SFLリストL1には、MFP10の各種動作や各種機能に対する実行制限の有無が設定されている。SFLリストL1の詳細については後述する。
【0021】
次に、コントローラ11が実行する処理について、図面を参照しつつ説明を行う。図2は、MFC10の制御プログラム20が実行する処理の手順を示すフローチャートであり、主体の記載を省略する。
【0022】
S10では、ユーザIF17に待受け画面を表示する。待受け画面には、MFP10の各動作を指定するための操作アイコンとしてショートカットアイコンと、未登録アイコンとを含んでいる。例えば、待受け画面には、「FAX動作」を指定するショートカットアイコン、「コピー動作」を指定するショートカットアイコン、「スキャン動作」を指定するショートカットアイコン、「2 in 1コピー」を指定するショートカットアイコンに加えて、「特定紙コピー」を指定するショートカットアイコンを含んでいる。本実施形態では、特定紙コピーとして、インボイスをコピーする機能である。特定紙コピーとしては、インボイス以外にも、自動車免許、パスポート、保険証等のセキュリティレベルが高い物をコピーする機能であってもよい。各ショートカットアイコンは、基本的には、MFP10の出荷時から予め配置されているアイコンではなく、未登録アイコンに対してユーザが任意に登録操作を行うことによって、その未登録アイコンに代わって配置されるアイコンである。
【0023】
S11では、ユーザIF17に対するユーザ操作を検出したか否かを判断する。ユーザIF17に対する操作を検出したと判断した場合、S19に進む。S19では、ユーザIF17に対する操作がMFP10に対するログイン操作であるか否かを判断する。S19を肯定判定すると、S20に進み、待受け画面をログイン操作に応じた画面に更新する。
【0024】
S21では、ユーザIF17を介して入力を受付けたログインIDを取得する。S22では、S21で取得したログインIDに対応するSFLリストL1を読み出す。SFLリストL1には、MFP10のログインユーザを識別する「ログインID」毎に、MFP10の動作である「プリント動作」、「コピー動作」、「FAX動作」に対する制限の有無と、MFP10の機能である「リモート表示制御」に対する表示制限の有無を示す制限パラメータが設定されている。図3で示すSFLリストL1には、制限が設定される動作又は機能を示す項目に対しては、チェックボックにチェックが付され、制限が設定されない動作又は機能を示す項目に対しては、チェックボックにチェックが付されていない。ログインユーザである「User A」に対して、SFLリストL1上で、「コピー動作」に制限が設けられているため、「User A」が、MFP10にログインしている場合、MFP10はコピー動作を実行することができない。SFLリストL1から読み出された制限パラメータは、一時記憶される。なお、SFLリストL1は、後述するEWS画面上でその値を設定することが可能である。本実施形態では、コントローラ11がS22で実行する処理が取得処理の一例である。
【0025】
なお、コントローラ11は、MFP10のユーザIF17を介して受付けた操作に応じた取得処理を実行してもよい。この場合、コントローラ11は、ユーザIF17を介して受付けたユーザ操作により、ユーザIF17にSFLリストL1の内容を設定するための設定画面を表示させる。そして、この設定画面上で受付けたユーザ操作に応じて、SFLリストL1の内容を設定する取得処理を実行する。
【0026】
S22を終了した場合、又はS19を否定判定すると、S23に進む。S23では、ユーザIF17に対する操作がショートカットアイコンに対する操作であるか否かを判断する。S23を肯定判定すると、S24に進み、操作されたショートカットアイコンに対応させて、ユーザIF17に表示されている画面を更新する。例えば、ユーザが、「コピー動作」を指示するショートカットアイコンを操作した場合、MFP10によるコピー動作が実行される。S23を否定判定すると、S28に進み、ユーザIF17に対する操作により画面の更新が必要であるか否かを判断する。S28を肯定判定した場合、S29に進み、ユーザIF17を介して受付けた操作に応じて、画面を更新する。S28を否定判定した場合、又はS29の処理を終了すると、S11に戻る。
【0027】
S25では、ユーザIF17に対する操作がサービスリクエストに対応する操作であるか否かを判断する。サービスリクエストは、MFP10のリモートサポート用のリモート表示制御を、サービスマンに依頼するためのリクエストである。具体的には、リモート表示制御は、MFP10のユーザIF17の表示を仮想的に作成して表示した仮想画面であるリモート画面を、PCのブラウザに表示させる制御である。リモート表示制御では、PCに表示されたリモート画面上でユーザによる操作入力を行うと、MFP10のユーザIF17に対して同じ操作入力を行ったのと同様の結果になる。S25を否定判定すると、S11に戻る。本実施形態では、サービスリクエストがサポート要求の一例である。
【0028】
S25を肯定判定すると、S26に進み、サービスリクエストを行うためのリクエスト送信処理を行う。本実施形態では、サービスリクエストとして、サービスマン用PC40に、リモートサポート用のリモート表示制御の開始を要求するためのコマンドを、通信IF16を介して送信する。なお、コントローラ11は、サービスマンのメールアドレスをメモリ12に記憶している場合、このメールアドレス宛に、サポートリクエストをメール送信してもよい。これ以外にも、コントローラ11は、サービスマンの電話番号をメモリ12に記憶している場合に、S26で、ユーザIF17にサービスマンの電話番号を表示してもよい。この場合、MFP10のユーザは、ユーザIF17に表示された電話番号に電話をかけることで、サービスマンに対するサポートリクエストを行う。
【0029】
S27では、サービスマンに対してサービスリクエストを送信したことを記憶する。
【0030】
S11に戻り、ユーザ操作を検出していない場合、S12に進み、http(s)の通信、つまりhttp(s)のプロトコルに従ったデータ通信を受信したか否かを判断する。http(s)の通信を受信しなかったと判断した場合、S11に戻る。
【0031】
S12において、http(s)の通信を受信したと判断した場合、S13に進み、http(s)の通信がEWS画面を表示させるための表示リクエストであるか否かを判断する。EWS画面は、制御プログラム20により作成されるWebページデータにより、ブラウザが表示するブラウザ画面である。EWS画面の表示リクエストは、ブラウザ上で、制御プログラム20を指定するURLを入力することで、制御プラグラムを宛先として送信される。http(s)通信がEWS画面の表示リクエストであれば、S14では、EWS画面のホーム画面を表示させるためのWebページデータを表示リクエストの送信元のPCに送信する。S14を終了した場合、S11に戻る。
【0032】
S14の処理により、例えば、サービスマン用PC40にEWS画面のホーム画面が表示されている状態では、いずれかのPC30,31,40上に表示された画面上のログインパスワード入力欄にパスワードを入力し、ログインボタンをクリック操作することで、制御プログラム20が提供する各種機能の提供を受けることができる。EWS画面から提供できる機能には、MFP10を、各PC30,31,40上で表示されたリモート画面により遠隔操作するためのリモート表示制御や、SFLリストL1に記録された項目を更新するための処理を含んでいる。例えば、ユーザが、ログイン後のEWS画面上で、リモート表示制御を選択すると、MFP10に対して、http(s)通信によりリモート表示制御の開始リクエストが送信される。
【0033】
一方、S13を否定判定した場合、S15に進み、http(s)の通信がEWS画面上での操作に応じたリクエストであるか否かを判断する。既に、S14の処理により、表示リクエストの送信元のPCにEWS画面が表示されている状態でユーザがEWS画面上での操作を行った場合、MFP10に、EWS画面上での操作に応じたhttp(s)リクエストが送信される。そのため、S15を肯定判定すると、S16に進み、EWS画面上で受付けた操作に応じた処理を実行する。なお、S15を否定判定すると、S17に進む。
【0034】
図4は、S16で実行される詳細な処理を説明するフローチャートである。S30では、http(s)のリクエストは、EWS画面上でのログイン操作に対応するものであるか否かを判断する。S30を肯定判定すると、S31に進み、ログイン処理として、更新後のEWS画面を表示させるためのWebページデータをリクエスト元のPCに送信する。
【0035】
S32では、EWS画面上でログイン操作を行ったログインユーザをメモリ12に一時記憶する。具体的には、EWS画面上でのログイン操作に伴い受信した、http(s)リクエストに含まれる「ユーザ名」により、ログイン操作を行ったユーザをメモリ12に記憶する。
【0036】
S32の処理を終了するか、S30を否定判定すると、S33に進む。S33では、http(s)リクエストが、リモート表示制御の開始リクエストであるか否かを判断する。S33を肯定判定すると、S34に進み、S32で記憶しているログインユーザがサービスマンであるか否かを判断する。ログインユーザがサービスマンであり、S34を肯定判定すると、S35に進み、サービスマンに対してサービスリクエストを送信済みであるか否かを判断する。サービスマンに対して、サービスリクエストを送信済みでない場合、受信したリモート表示制御の開始リクエストは誤送信である可能性があるため、図4の処理を一旦終了する。この場合、リモート表示制御は開始されない。一方、S35を肯定判定すると、受信したリモート表示制御の開始リクエストは適正なものであるため、S36に進み、リモート表示制御を開始することを示すフラグを有効に設定する。そして、図2のS17に進む。なお、S36で設定されたフラグは、リモート画面上で、リモート表示制御の終了を示す操作アイコンが操作された場合に、有効から無効に変更される。
【0037】
S34において、ログインユーザが、サービスマンでなく、即ち、管理者又はMFP10にログインしている一般ユーザである場合、S36に進み、リモート表示制御を開始することを示すフラグを有効に設定する。即ち、ログインユーザが管理者又は一般ユーザであれば、リモート表制御は、リモートサポートを目的としたものでないと判断できるため、サービスリクエストの送信の有無を判断しない。S36の処理を終了すると、図2のS17に進む。
【0038】
S33で、http(s)の通信がリモート表示の開始リクエストではない場合、S37に進み、リモート表示制御の実行中であるか否かを判断する。既に、S36の処理によりリモート表示制御を開始することを示すフラグが有効に設定されている場合、S37を肯定判定し、図2のS17に進む。一方、リモート表示制御を開始することを示すフラグが無効に設定されている場合、S37を肯定判定し、S38に進む。S38では、EWS画面の更新が必要であるか否かを判断する。S38で、EWS画面の更新が必要である場合、S39に進み、更新後のEWS画面をブラウザに表示させるためのWebページデータを、http(s)の通信元のPCに送信する。S39を終了した場合、又はS38を否定判定した場合、図2のS17に進む。
【0039】
図2に戻り、S17では、現在、リモート表示制御の実行中であるか否かを判断する。具体的には、図4のS36を経由して、又はS37を肯定判定してS17に進む場合、リモート表示制御を開始したことを示すフラグを有効に設定しているため、S17を肯定判定してS18に進む。一方、S35を否定判定した場合、又はS37を否定判定した後にS38,S39を経由してS17に進む場合、リモート表示制御を開始したことを示すフラグは無効に設定されているため、S17を否定判定してS11に戻る。
【0040】
S18では、リモート表示制御を実行する。図5は、ユーザIF17に待受け画面が表示されている場合に、リモート表示制御の実行により、いずれかのPC30,31,40に表示されるブラウザ画面300を示している。ブラウザ画面300には、制御プログラム20により提供されるWebページデータを表示する項目表示エリア301と、詳細表示エリア302とを含んでいる。項目表示エリア301は、EWS画面上で選択可能な機能を示す項目が表示されるエリアである。図5では、EWS画面上で、リモート表示制御が選択されているため、リモート表示制御を示す項目「リモート表示制御」がアクティベート表示されている。
【0041】
詳細表示エリア302には、選択された機能に対応する画面が表示されるエリアである。図5では、詳細表示エリア302には、ユーザIF17を再現した画像であるリモート画面310が表示されている。具体的には、リモート画面310は、待受け画面に相当するパネル表示画像311と、操作キーに相当する仮想キーアイコン312とを含んでいる。そのため、リモート画面310には、待受け画面上で表示されているショートカットアイコンと同じ、ショートカットアイコンを含んでいる。
【0042】
図6に示すリモート画面は、ユーザがユーザIF17に表示された待受け画面を操作することで、MFP10にコピー動作を実行させ、ユーザIF17に読取り原稿のプレビュー画面を表示させた場合に、いずれかのPC30,31,40に表示されるリモート画面310である。リモート画面310には、プレビュー画面315と、操作アイコン316とを含んでいる。プレビュー画面315は、MFP10のスキャン動作により読取られた原稿を表示する画面である。操作アイコン316は、プレビュー画面315に表示された原稿の拡大・縮小、更には反転といた処理の指示を受付けるアイコンである。
【0043】
上述したリモート表示制御において、証明書や、IDカードといった、セキュリティレベルが高い画像を含むリモート画面310を、サービスマン用PC40に表示させる場合、画像に対して所望するセキュリティレベルを維持できなくなることが懸念される。例えば、図6の例では、リモート画面310内にIDカードに対応する原稿画像Mが含まれており、サービスマン用PC40にリモート画面310が表示されることで、セキュリティレベルを低下させることが懸念される。そこで、本実施形態では、リモート表示制御において、リモート画面310の表示に制限を設けることにより、原稿に対するセキュリティレベルの低下を抑制している。
【0044】
次に、図2のS18で実行されるリモート表示制御に係る処理の手順を、図7を用いて説明する。
【0045】
S40では、http(s)の通信が、操作座標付きのhttp(s)リクエストであるか否かを判断する。操作座標は、リモート画面310上のアイコンが操作されたことに応じて生成され、リモート画面310上で操作された座標を示す情報である。S40を否定判定すると、S41に進み、現在、ユーザIF17に表示されている操作画面に対応するラスタデータを作成する。なお、リモート表示制御をリクエストしたPCにリモート画面310が表示されていない状態では、ユーザはリモート画面310上のアイコンを操作できないため、S40を否定判定し、S41に進む。
【0046】
S46では、現在、EWS画面上でログインしているユーザがサービスマンであるか否かを判断する。本実施形態では、サービスマンがログインしている場合に、リモート表示制御が、リモートサポートを目的としたものであると判断している。これは、MFP10の操作を遠隔のサービスマン用PC40により表示されたリモート画面310を介してサポートする場合、サービスマン用PC40側のユーザは不特定多数であり、セキュリティレベルが低下する可能性が高くなるため、このような場合に、リモート画面310の表示内容を制限するためである。具体的には、図4のS32で記憶したログインユーザがサービスマンであれば、S46を肯定判定し、S32で記憶したログインユーザが管理者又は一般ユーザであればS46を否定判定する。
【0047】
これ以外にも、S46において、http(s)リクエストの送信元のIPアドレスが、サービスマン用PC40である場合に、リモート画面の表示がリモートサポートを目的としたものであると判断し、IPアドレスが、一般ユーザ用PC30、又は管理者用PC31である場合に、リモート画面の表示がリモートサポートを目的としたものでないと判断してもよい。本実施形態では、サービスマンを示すログインIDや、サービスマン用PC40のIPアドレスが目的情報の一例である。
【0048】
S46を肯定判定すると、S47に進み、現在、ユーザIF17に表示している画面は、スキャナ動作におけるプレビュー画面であるか否かを判断する。現在、ユーザIF17に表示している画面がプレビュー画面であると判断すると、S48に進む。S48では、S41で作成したラスタデータに対して、SFLリストL1から読み込んだ制限パラメータに基づく制限を加えた修正を行い、修正後のラスタデータを含むWebページデータを作成する。即ち、本実施形態では、プレビュー画面に限って表示制限を行う。このとき、読み込まれる制限パラメータは、図2のS21でMPF10のログインユーザに応じて読み込まれた制限パラメータである。
【0049】
本実施形態では、SFLリストL1に記録された制限パラメータにより、リモート画面310に対する表示制限の有無を3つのモードで設定することができる。図3に示すように、「Offモード」は、リモート画面310上で、プレビュー画面315が表示される場合に、原稿画像Mをそのまま、即ち、制限を設けることなく表示するモードである。「Onモード」と「ぼかしモード」とは、リモート画面310上で、プレビュー画面315が表示される場合に、原稿画像Mの表示に制限を設けた状態で表示するモードである。このうち、「Onモード」では、リモート画面310上でプレビュー画面315が表示される場合に、原稿画像Mを非表示とするモードである。具体的には、図8に示すように、「Onモード」では、プレビュー画面315において、原稿画像Mがグレーアウト表示されることで、原稿画像Mが非表示となっている。一方、「ぼかしモード」では、リモート画面310上でプレビュー画面315が表示される場合に、原稿画像Mがぼかし処理を施された状態で表示されるモードである。具体的には、図9に示すように、「ぼかしモード」では、プレビュー画面315において、原稿画像Mがぼかし処理されることで、原稿画像Mが非表示となっている。
【0050】
例えば、ラスタデータから原稿画像Mを認識する手法は、周知のパターン検出等の画像処理を用いて認識すればよい。また、原稿画像Mをグレーアウト表示又はぼかし処理するための手法は、例えば、周知のフィルタを用いた画像処理を行えばよい。
【0051】
なお、S46でサービスマンのログインでないと判断した場合、S49に進む。上述のように本実施形態では、EWS画面上で管理者又一般ユーザがログインしている場合は、リモートサポートを目的としたリモート表示制御が実行されていないと判断するため、リモート画面310の表示を制限しない。そのため、S49では、作成されたラスタデータをそのまま含むWebページデータを作成する。即ち、S49で作成されるWebページデータでは、ブラウザに、プレビュー画面に対応するリモート画面310をそのまま表示させるためのWebページデータである。なお、S47で、プレビュー画面を表示していないと判断した場合も、S49に進み、リモート画面310の表示を制限しないWebページデータを作成する。
【0052】
S48又はS49を終了すると、S50に進む。S48を経由して、S50に進む場合、表示制限のあるラスタデータを含むWebページデータを、http(s)レスポンスとともに、サービスマン用PC40を宛先として送信する。これにより、サービスマン用PC40では、http(s)レスポンスとともに、Webページデータを受信すると、Webページデータを解析する。そして、解析結果に応じて、Webページデータに含まれるラスタデータをブラウザに表示させる。S49を経由して、S50に進む場合、表示制限のないラスタデータを含むWebページデータを、http(s)レスポンスとともに、送信先のいずれかのPC30,31,40に送信する。
【0053】
既に、S50の処理により、リモート表示制御をリクエストしたPCにリモート画面310が表示されていれば、ユーザがPCに表示されたリモート画面310上のアイコンを操作することで、MFP10に操作座標付きのリクエストが送信される。そのため、S40で、http(s)リクエストが、操作座標付きのリクエストである場合、S42に進む。S42では、操作座標が、リモート画面310内の操作アイコンの領域内であるか否かを解析する。例えば、操作座標と、リモート画面310に含まれる操作アイコンの領域との対応関係を記録するテーブルをメモリ12に記憶しておき、このテーブルを参照することにより、操作座標と操作アイコンの領域との関係を解析すればよい。
【0054】
操作座標が、いずれかの操作アイコンの領域内でない場合、リモート画面310に対する操作は、リモート画面310を更新させるための操作ではないため、S43を否定判定して、図7の処理を一旦終了する。一方、S43を肯定判定すると、S44に進み、操作座標に対応する操作アイコンの操作に応じて、ユーザIF17に表示されている操作画面を更新する。即ち、リモート画面310上での操作アイコンの操作に応じて、MFP10のユーザIF17に表示された操作画面が更新される。
【0055】
S45では、S44で更新した操作画面に応じたラスタデータを作成する。S46に進み、EWS画面へのログインが、サービスマンであるか否かを判断する。S46を肯定判定すると、S47に進み、現在、ユーザIF17に表示している画面はプレビュー画面であるか否かを判断する。S47を肯定判定すると、S48に進み、S45で作成したラスタデータに対して、制限パラメータを用いて表示を制限する修正を加え、修正後のラスタデータを含むWebページデータを作成する。なお、S46又はS47を否定判定した場合、S49に進み、S45で作成したラスタデータをそのまま含むWebページデータを作成する。S50では、S48又はS49で作成されたWebページデータを、http(s)レスポンスとともに、送信先のいずれかのPC30,31,40に送信する。
【0056】
以上説明した本実施形態では、以下の効果を奏することができる。コントローラ11は、Webページデータを、通信IF16を介してサービスマン用PC40に送信することで、ユーザIF17に表示される操作画面を再現したリモート画面310を、サービスマン用PC40のブラウザに表示させるリモート表示制御を実行する。コントローラ11が実行するリモート表示制御では、取得された制限パラメータに応じたWebページデータをサービスマン用PC40に送信することで、ブラウザに表示されるリモート画面310の表示内容が制限される。これにより、MFP10に表示されている操作画面を、遠隔のPCで表示する場面においても、リモート画面の表示内容が制限されるため、セキュリティレベルの低下を抑制することができる。
【0057】
コントローラ11は、リモート表示制御において、リモート画面310を、サービスマン用PC40のブラウザで表示させるためのラスタデータであって、複数の操作アイコンを含むラスタデータを作成し、ラスタデータを含むWebページデータを、サービスマン用PC40に送信し、通信IF16を介して、Webページデータを受信したサービスマン用PC40から、操作アイコンを操作したことを示す情報を受信した場合に、受信した情報に応じて、ユーザIF17に表示されている操作画面を更新する。更新後の操作画面に対応するラスタデータを作成し、作成されたラスタデータを含むWebページデータを、サービスマン用PC40に送信する。これにより、サービスマン用PC40に送信されるWebページデータには、制限パラメータに応じて表示内容が制限されたラスタデータが含まれるため、サービスマン用PC40でのリモート画面310の操作に対応させてMFP10で表示される操作画面を更新させる構成においても、サービスマン用PC40に表示されるリモート画面310の表示内容を制限することができる。
【0058】
コントローラ11は、MFP10の管理者から制限パラメータの入力を受付け、管理者以外から制限パラメータの入力を受付けず、リモート表示制御では、入力を受付けた制限パラメータに応じたWebページデータを、サービスマン用PC40に送信する。これにより、MFP10の管理者に限った操作により、制限パラメータの取得が行われるため、不特定多数の者により制限パラメータが変更される場合と比べて、セキュリーレベルの低下を抑制することができる。
【0059】
制限パラメータは、サービスマン用PC40の所定ユーザを識別する識別情報に対応づけて設定されており、コントローラ11は、リモート表示制御において、サービスマン用PC40から、リモート表示制御の要求とともに、識別情報を取得し、取得された識別情報に制限パラメータが設定されている場合に、設定されている制限パラメータに応じたWebページデータを、サービスマン用PC40に送信する。これにより、所定ユーザに限って制限パラメータを設定することができるため、リモート画面を参照するユーザ毎にセキュリティレベルを異ならせることができる。
【0060】
コントローラ11は、ログインIDが、MFP10のログインユーザであることを示している場合に、表示内容を制限しないリモート画面310をブラウザで表示させるためのWebページデータを、一般ユーザ用PC30に送信する。これにより、MFP10のログインユーザに対しては、表示内容が制限されないリモート画面310がサービスマン用PC40に表示される。そのため、例えば、MFP10にログインしているユーザがPC30にリモート画面310を表示させたい場面では、表示内容が制限されることなくリモート画面310をPC30に表示させることができる。
【0061】
制限パラメータは、リモート表示制御の目的を示す目的情報に対応づけて設定されており、コントローラ11は、リモート表示制御において、サービスマン用PC40から、リモート表示制御の要求とともに目的情報を取得し、取得された目的情報に制限パラメータが設定されている場合に、設定されている制限パラメータに応じたWebページデータを、サービスマン用PC40に送信する。これにより、リモート表示制御の目的に応じて、リモート画面の表示制限を行うか否かが切換えられるため、リモート表示制御の目的毎にセキュリティレベルを異ならせることができる。
【0062】
目的情報には、MFP10の操作を、前記リモート画面を介してサポートすることを示す目的情報を含み、制限パラメータは、前記サポートすることを示す目的情報に対応付けて設定されている。これにより、MFP10の操作を遠隔のPCでサポートすることを目的にリモート表示制御が行われる場合に、リモート画面310の表示内容が制限されるため、特にセキュリティが求められる場面において、セキュリティレベルの低下を抑制することができる。
【0063】
(第1実施形態の変形例)
リモート画面310に対する表示制限を、サービスマン用PC40側の処理により行ってもよい。この場合、コントローラ11は、図7のS48で、制限ありWebページデータの作成に代えて、ラスタデータとともに、制限パラメータに応じてラスタデータの表示内容を制限するための情報を、サービスマン用PC40に送信する。サービスマン用PC40のブラウザでは、制限パラメータに応じた情報を解析し、解析結果に応じてラスタデータに対して表示を制限する処理を行えばよい。
【0064】
(第2実施形態)
第2実施形態では、第1実施形態と異なる構成を主に説明を行う。なお、第1実施形態と同一の符号を付した箇所は同一の箇所を示し、その説明を繰り返さない。
【0065】
本実施形態では、制限パラメータは、ユーザIF17に表示された操作画面に対応づけて設定されている。図10は、リモート画面310のうち、待受け画面に対応するリモート画面310を示している。リモート画面310には、「FAX動作」を指定するショートカットアイコン330、「コピー動作」を指定するショートカットアイコン331、「スキャン動作」を指定するショートカットアイコン332、「2 in 1コピー」を指定するショートカットアイコン334に加えて、「特定紙コピー」を指定するショートカットアイコン335を含んでいる。本実施形態では、特定紙コピーは、インボイスをコピーする機能である。特定紙コピーとしては、インボイス以外にも、自動車免許、パスポート、保険証等のセキュリティレベルが高い用紙又はカードをコピーする機能であってもよい。また、リモート画面310には、未登録アイコン333,336を含んでいる。
【0066】
本実施形態では、リモート表示制御を行う場合において、ユーザIF17に表示された待受け画面において、ショートカットアイコン335が操作されたことを契機に、リモート画面310の表示制限が行われる。本実施形態では、ショートカットアイコンがショートカット画像の一例である。
【0067】
図11は、本実施形態において、図2のS18で実行される表示許可処理の詳細な手順を示している。S41又はS45では、ユーザIF17に表示されている操作画面に対応するラスタデータを作成する。S46では、EWS画面に対するログインユーザがサービスマンであるか否かを判断し、サービスマンであれば、S60に進む。本実施形態においても、ログインユーザが管理者又は一般ユーザである場合、S49に進む。
【0068】
S60では、ユーザIF17上でのショートカットアイコンの操作により更新される画面は、リモート画面310に対する表示制限の対象であるか否かを判断する。本実施形態では、特定紙コピーを指定するショートカットアイコン335が操作されている場合に、S60を肯定判定し、S48に進む。S48では、作成されたラスタデータに対して、制限パラメータに応じて表示を制限する修正を加え、修正後のラスタデータを含むWebページデータを作成する。一方、S60を否定判定した場合、S49に進む。S49では、作成されたラスタデータをそのまま含むWebページデータを作成する。
【0069】
本実施形態では、メモリ12に記憶されたSFLリストには、操作対象となるショートカットアイコン毎に、制限パラメータが対応付けて記録されている。そのため、S48では、メモリ12に記憶されたSFLリストを参照することで、リモート画面310上で操作されたショートカットアイコンに対応づけられた制限パラメータを読み出す。これ以外にも、制限パラメータは、図2のS21でMFP10のログインユーザに応じて参照されたSFLリストの項目から読み出すものであってもよい。この場合、メモリ12に記憶されたSFLリストには、MFP10のログインユーザ毎に、表示制限の対象となるショートカットアイコンと、制御パラメータとが対応づけて記録されていればよい。
【0070】
以上説明した本実施形態では、以下の効果を奏することができる。制限パラメータは、ユーザIF17に表示される操作画面に対応づけて設定されており、コントローラ11は、リモート表示制御において、切換後の操作画面に制限パラメータが設定されている場合に、設定された制限パラメータに応じたリモートデータを、サービスマン用PC40に送信する。これにより、切換え後の操作画面のうち、所定の操作画面に限って表示内容を制限することができる。
【0071】
(第3実施形態)
第3実施形態では、第1実施形態と異なる構成を主に説明を行う。なお、第1実施形態と同一の符号を付した箇所は同一の箇所を示し、その説明を繰り返さない。
【0072】
上述した第1,第2実施形態では、制限パラメータに応じてリモート画面310に対する表示制限を行った。これに代えて、制限パラメータに応じて、リモート画面310における表示を制限する領域を異ならせる。具体的には、SFLリストL1には、ログインIDに対応付けて、リモート画面310において表示制限を行う領域が設定されている。本実施形態では、リモート画面310として、アドレス帳を表示させる場合に、アドレス帳に含まれるアドレス表示領域の表示制限を行う。
【0073】
この場合においも、図7のS47で、リモート画面310としてアドレス帳を表示している場合に、S48に進む。そして、MFP10のログインユーザに対して設定されている制限パラメータに応じて特定の領域の表示が制限されたWebページデータを、サービスマン用PC40に送信する。例えば、アドレス帳において、アドレスが表示されていると想定される領域に対して、グレーアウト表示や、ぼかし処理が施される。
【0074】
以上説明した本実施形態では、ユーザ毎に、リモート画面310における表示を制限する領域を設定することができるため、ユーザ毎に、リモート画面310上でセキュリティを強める領域を設定することができる。
【0075】
(その他の実施形態)
本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
上述した各実施形態では、リモート表示制御の目的がリモートサポートである場合に、リモート画面310の表示を制限した。これに代えて、リモート表示制御の目的に関わらず、一律に、リモート画面310の表示を制限してもよい。この場合におい、図7のS46の処理を抹消すればよい。
【0076】
上述した各実施形態では、画像形成装置の一例として、MFP10を例に挙げて説明したが、MFP10に限らず、画像形成装置は、単体のプリンタやスキャナ、コピー機であってもよい。
【符号の説明】
【0077】
10…MFC、11…コントローラ、12…メモリ、16…通信IF、17…ユーザIF、30…一般ユーザ用PC、31…管理者用PC、40…サービスマン用PC、100…画像形成システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11