(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】記録装置および媒体収容装置
(51)【国際特許分類】
B65H 43/06 20060101AFI20240925BHJP
B65H 31/00 20060101ALI20240925BHJP
B65H 29/58 20060101ALI20240925BHJP
B41J 11/70 20060101ALI20240925BHJP
B65H 35/04 20060101ALI20240925BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
B65H43/06
B65H31/00 Z
B65H29/58 Z
B41J11/70
B65H35/04
B41J2/01 305
B41J2/01 451
B41J2/01 401
(21)【出願番号】P 2020143305
(22)【出願日】2020-08-27
【審査請求日】2023-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】伊東 瞬
(72)【発明者】
【氏名】竹内 敦彦
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-035753(JP,A)
【文献】特開平04-323166(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 43/06
B65H 31/00
B65H 29/58
B41J 11/70
B65H 35/04
B41J 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の媒体に記録を行う記録部と、
記録後の前記媒体を排出する排出部と、
排出された前記媒体を積載する積載面を有す積載部と、
前記媒体の排出方向における上流端の位置に当接すると共に、前記媒体の積載量の変位に連動する第1当接部材と、
前記第1当接部材に対して前記媒体の前記排出方向における下流の位置に当接すると共に、前記媒体の前記積載量の変位に連動する第2当接部材と、
前記第1当接部材と前記第2当接部材との変位に連動して変位する1つの検出補助部材と、
前記検出補助部材の前記変位を検出する検出部と、
を備え
、
前記第1当接部材は、前記排出部から排出される前記媒体または前記排出部から挿入される前記媒体の進路を妨げない開放位置に移動可能であることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録装置であって、
前記媒体は、前記積載部の前記排出方向と交差する幅方向における一方の端部側に寄せて排出され、
前記第1当接部材及び前記第2当接部材は、前記幅方向における前記一方の端部側に配置されることを特徴とする記録装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の記録装置であって、
前記検出補助部材は、前記第1当接部材が当接する第1被当接部と、前記第2当接部材が当接する第2被当接部と、前記検出部に検出される被検出部と、を有することを特徴とする記録装置。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の記録装置であって、
前記第1当接部材、前記第2当接部材、前記検出補助部材はそれぞれ回動軸を有し、
前記検出補助部材は、前記第1当接部材、前記第2当接部材のいずれか一方の回動に連動して回動することを特徴とする記録装置。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の記録装置であって、
前記第1当接部材と前記第2当接部材とは、互いに当接しないことを特徴とする記録装置。
【請求項6】
請求項4に記載の記録装置であって、
前記第1当接部材と前記第2当接部材とは、それぞれ前記積載部の前記積載面に積載される前記媒体に当接する当接部を有し、
それぞれの前記回動軸は、前記当接部よりも前記排出方向の上流側に配置されることを特徴とする記録装置。
【請求項7】
請求項6に記載の記録装置であって、
前記第1当接部材と前記第2当接部材との前記当接部は、前記積載面側に押圧されていることを特徴とする記録装置。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の記録装置であって、
前記媒体はロール状媒体が切断されたものであることを特徴とする記録装置。
【請求項9】
請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の記録装置であって、
前記媒体の排出動作を制御する制御部を有し、
前記制御部は、前記検出部において、前記検出補助部材が変位し、前記積載面に積載される前記媒体の高さが所定値を超えたと判断した際に、前記媒体の排出を停止することを特徴とする記録装置。
【請求項10】
請求項9に記載の記録装置であって、
前記制御部は、前記媒体の前記上流端が前記排出部から排出され、前記積載面に積載されたタイミングにおいて、前記検出部で前記検出補助部材の状態を検出することを特徴とする記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置および媒体収容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロール紙への印刷を行う印刷装置が知られている。特許文献1の記録装置(印刷装置)では、排出部の直ぐ下流のスタッカー上で、積載された媒体の高さを検出部で検出することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、排出される媒体が、排出方向の側面視で搬送方向における中央部が下方向に凸状となる場合は、積載された媒体を押し出す前に検出することができる。しかし、排出される媒体の搬送方向における中央部が、上方向に凸状となり、検出部よりも下流で盛り上がる場合には、積載された媒体の高さを正しく検出することができないという課題がある。このような場合には、排出される媒体が、先に積載されている媒体を押し出してしまうことや、先に積載されている媒体に衝突して排出する媒体が座屈することなど、積載が適正に行えなくなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
記録装置は、シート状の媒体に記録を行う記録部と、記録後の前記媒体を排出する排出部と、排出された前記媒体を積載する積載面を有す積載部と、前記媒体の排出方向における上流端の位置に当接すると共に、前記媒体の積載量の変位に連動する第1当接部材と、前記第1当接部材に対して前記媒体の前記排出方向における下流の位置に当接すると共に、前記媒体の前記積載量の変位に連動する第2当接部材と、前記第1当接部材と前記第2当接部材との変位に連動して変位する1つの検出補助部材と、前記検出補助部材の前記変位を検出する検出部と、を備える。
【0006】
媒体収容装置は、排出された媒体を積載する積載面を有す積載部と、前記媒体の排出方向における上流端の位置に当接すると共に、前記媒体の積載量の変位に連動する第1当接部材と、前記第1当接部材に対して前記媒体の前記排出方向における下流の位置に当接すると共に、前記媒体の前記積載量の変位に連動する第2当接部材と、前記第1当接部材と前記第2当接部材との変位に連動して変位する1つの検出補助部材と、前記検出補助部材の前記変位を検出する検出部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係る記録装置を前方向から見た斜視図。
【
図3】積載された媒体の高さを検出する積載検出機構を示す斜視図。
【
図4】積載検出機構が開放位置に位置する状態を前方向から見た斜視図。
【
図5】積載検出機構が開放位置に位置する状態を後方向から見た斜視図。
【
図6】積載検出機構が検出位置に位置する状態を前方向から見た斜視図。
【
図7】積載検出機構が検出位置に位置する状態を後方向から見た斜視図。
【
図8】積載検出機構が検出確認位置に位置する状態を前方向から見た斜視図。
【
図9】積載検出機構が検出確認位置に位置する状態を後方向から見た斜視図。
【
図10】スタッカーと積載検出機構とを示す側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1.実施形態
実施形態に係る記録装置1の概略構成について説明する。
本実施形態の記録装置1は、ロール状の長尺媒体である媒体(用紙)に液体としてのインクを吐出して記録(印刷)するインクジェット方式の記録装置である。また、記録装置1は、
図1、
図2に示すように、筒状の芯部材25に媒体としての長尺媒体Sがロール状に巻き重ねられた円筒形状を有するロール紙Rを使用する。本実施形態の記録装置1は、短辺幅がA3(297mm)以上の長尺媒体Sに印刷を行う大判用の記録装置である。
【0009】
詳細には、ロール紙Rを構成する長尺媒体Sの種類は複数ある。例えば、写真用紙などの曲げ剛性が大きい長尺媒体Sや、普通紙などの写真用紙に比べて曲げ剛性が小さい長尺媒体Sが使用される。また、長尺媒体Sのサイズも複数ある。例えば、A0サイズ~A3サイズの長尺媒体Sが使用される。また、本実施形態の記録装置1は、記録用の媒体としてロール紙Rのみではなく、定型サイズにカットされた矩形状の単票紙やボード紙なども、筐体10内部に供給することによって記録することができる。
【0010】
以降の図面では、記録装置1が水平面上に載置された状態とし、水平面に沿う方向として、記録装置1の前後方向をX方向とし、X方向に直交する左右方向(又は長尺媒体Sの幅方向)をY方向とする。また、水平面に対して鉛直方向(上下方向)をZ方向とする。また、前方向を+X方向、後方向を-X方向、右方向を+Y方向、左方向を-Y方向、上方向を+Z方向、下方向を-Z方向とする。
【0011】
以降では、ロール紙Rから繰り出される長尺媒体Sを記録部13に搬送し、シート状となった長尺媒体Sに記録を行う記録装置1を説明する。
図1、
図2に示すように、記録装置1は、直方体形状の筐体10、及び記録装置1の各部を支持するフレーム27を備えている。筐体10はフレーム27に連結される。また、フレーム27は、脚部を構成する複数のキャスター28により支持されている。
【0012】
記録装置1は、ロール紙Rを収容する収容部11と、収容部11に収容されるロール紙Rから繰り出された長尺媒体Sを記録部13に搬送する搬送部12と、搬送されてシート状となった長尺媒体Sに記録を行う記録部13と、を備えている。また、記録装置1は、記録部13に対向して配置され、長尺媒体Sを支持する支持部14と、記録された長尺媒体Sを切断する切断部15とを備えている。ここで、長尺媒体Sを切断して単票媒体となったものを以降では、単票媒体S1と呼称する。
【0013】
記録装置1は、切断部15で切断された長尺媒体S(単票媒体S1)などを、筐体10の前方向の装置外部に排出する排出部17を備えている。記録装置1は、長尺媒体Sの搬送方向Aにおいて、支持部14の搬送方向Aの下流で長尺媒体Sを案内する案内部材30を備えている。案内部材30は、排出部17から排出される長尺媒体Sを案内する。なお、以降の説明において、搬送方向Aの下流を単に「下流」として表記する。同様に、搬送方向Aの上流を単に「上流」と表記する。
【0014】
本実施形態の記録装置1は、ロール紙Rから繰り出された長尺媒体Sを記録後に切断する場合や、切断せずに巻き取る場合がある。また、単票紙やボード紙などに記録を行う場合には切断しない。切断部15の動作の有無は、ユーザーの操作パネル20への指示入力や、制御部24に記憶される出力モードなどで制御される。
【0015】
収容部11は、筐体10の前側で、左右方向の略中央部に開口部111を有すると共に、前側から後側に向かって延びた空間を有し、ロール紙Rを着脱自在に収容する。また、収容部11は、前側に2つのロール紙Rを高さ方向に並べて収容する。ロール紙Rは、ロール紙Rを回転可能に保持する保持部材26を両端部にそれぞれ設置する。そして、開口部111の左右方向及び下方向に固定される保持部112に保持部材26が保持される。保持部材26は、駆動部(図示省略)によって回転駆動されることにより、保持部材26が保持するロール紙Rを芯部材25の中心軸回りに回転させる。
【0016】
保持部112は、上段のロール紙Rと下段のロール紙Rとに対応させて、上段と下段との2つに分離されている。そして、上段の保持部112は、開口部111に固定されており、下段のロール紙Rは、保持部材26を設置して所定の位置に前側から挿入することで設置する。下段の保持部112は、前後方向に移動可能に形成されており、前方向に引き出した後、保持部材26を設置したロール紙Rを保持部112の所定の位置に上側から挿入し、保持部112を後方向に押し戻すことで、下段のロール紙Rが収容部11に設置される。また、それぞれのロール紙Rを収容部11(保持部112)から取外す場合には、それぞれ設置する場合とは逆の手順により取外すことができる。
【0017】
搬送部12は、ロール紙Rから繰り出された長尺媒体Sを支持部14(記録部13)に向けて搬送する。搬送部12は、搬送経路形成部122、中間ローラー対123、及び搬送ローラー対124などを有している。搬送部12は、駆動モーター(図示省略)の正転駆動により、中間ローラー対123及び搬送ローラー対124を回転駆動することで、搬送経路121を通じて長尺媒体Sを支持部14へ搬送すると共に、支持部14の上面となる支持面141上を排出部17に向けて搬送する。なお、
図2では、2つのロール紙Rの双方から長尺媒体Sが繰り出されている状態を図示しているが、実際の印刷時には一方のロール紙Rから長尺媒体Sが繰り出される。
【0018】
記録部13は、
図2に示すように、長尺媒体Sに記録(印刷)を行う。記録部13は、長尺媒体Sに向かってインクを吐出するヘッド131と、ヘッド131を搭載するキャリッジ132と、幅方向に沿って配置されたガイドレール133とを備える。また、記録部13は、キャリッジ132をガイドレール133に沿って往復移動させる移動機構(図示省略)を備える。なお、ヘッド131と対向する位置には、長尺媒体Sを支持面141で支持する支持部14が設置されている。ヘッド131は、キャリッジ132と共に、長尺媒体Sの幅方向に往復移動しながらインクを吐出することで、支持部14に支持された長尺媒体Sに記録を行う。
【0019】
記録装置1は、支持部14に対して長尺媒体Sの下流側に、切断部15と排出ローラー対16と、案内部材30とを備えている。支持部14(支持面141)は、記録部13のヘッド131の往復移動する領域に相対して、左右方向及び前後方向に延びて形成されるだけでなく、下流に設置される切断部15の近傍に至るまで延びて形成されている。
【0020】
切断部15は、
図2に示すように、記録が終了した長尺媒体Sを切断する。切断部15は、排出部17よりも後面側で、記録部13よりも前面側に位置する。切断部15は、幅方向(左右方向)に切断刃(図示省略)が往復移動することで、長尺媒体Sを切断位置で幅方向にわたって切断する。
【0021】
切断部15の下流には、排出ローラー対16が設置される。排出ローラー対16は、駆動する駆動ローラー161と、駆動ローラー161の回転に従動して回転する従動ローラー162とで構成されている。排出ローラー対16は、媒体を排出する際、駆動ローラー161と従動ローラー162との間に媒体を挟持する。
【0022】
排出ローラー対16の直ぐ下流には案内部材30が設置されている。案内部材30は、支持部14を通過した長尺媒体Sを支持すると共に、長尺媒体Sを排出部17に案内する。案内部材30は、排出部17を構成すると共に、筐体10の前側に露出している。なお、駆動モーター(図示省略)の正転駆動により、排出ローラー対16を回転駆動することで、長尺媒体Sは案内部材30に案内されて排出部17の排出口171から排出される。
【0023】
筐体10の収容部11(開口部111)の右方向の前側には、インク用カバー21が回動可能に設置されている。インク用カバー21は、左端側の上下方向に設けられた回動軸(図示省略)を中心に右端側が前方向へ回動した場合、内部が露出する構成となっている。インク用カバー21の右端側が前方向へ回動した場合、液体の一例としてのインクを収容するインクカートリッジが着脱可能に設置されるカートリッジホルダー(いずれも図示省略)が露出する。この状態で、ユーザーは、記録装置1の前方向からインクカートリッジを交換することができる。
【0024】
筐体10の天面10eで、右端部の前方向には、記録装置1への操作指示が行える操作パネル20が設置されている。操作パネル20は、チルト機構(図示省略)を備えているため、操作パネル20を操作しやすい位置に傾けて使用することも可能である。ユーザーは、前方向から記録装置1に対して出力モードなどの操作指示を行うことができる。
【0025】
記録装置1は、制御部24を備えている。制御部24は、複数の電子部品から構成される電気回路として形成されている。制御部24は、筐体10の後側の下部に設置される回路基板241に構成されている。制御部24は、操作パネル20と電気的に接続されており、ユーザーの操作指示入力に基づいて記録装置1の制御を行う。制御部24は、記録装置1を構成する各部の動作を統括制御する。制御部24は、表示部を兼ねる操作パネル20やインジケーター(図示省略)や報音部(図示省略)などを通して、ユーザーに情報を表示することや、報知することができる。制御部24は、本実施形態では、特に媒体の排出動作を制御する。
【0026】
案内部材30の構成について説明する。
案内部材30は、上述したように、排出ローラー対16の直ぐ下流に設置され、長尺媒体Sを排出部17に案内する。本実施形態の案内部材30は、上流側に回動軸31を有し、回動軸31を中心にして、3つの位置に変位(回転)させることが可能である。
【0027】
図3は、後述する媒体収容装置としてのスタッカー90(
図10参照)に積載された媒体の高さを検出する積載検出機構5を示す斜視図であり、積載検出機構5を右側の前方向から視た場合の斜視図である。また、
図3は、積載検出機構5が動作する場合の案内部材30の位置を示す概斜視図でもある。
本発明を実施する際の案内部材30の位置は、
図3に示す位置となる第1支持位置となる。案内部材30は、第1支持位置に位置することで、支持部14が媒体を支持する位置よりも下方向に排出される単票媒体S1を支持してスタッカー90に案内する。
【0028】
案内部材30は、
図3に示すように、排出口171と同様の幅寸法で、幅方向に沿って形成されている。案内部材30は、前方向の面において、側面視で所定の曲率で形成される曲面を有し、この曲面が幅方向にわたって繋がる第1案内部32を備えている。第1案内部32の上方向には、幅方向にわたって所定のピッチで、第1案内部32の曲面と同様の曲面がつながる端面を有し、前後方向で上方向に突出してリブ形状に形成される第2案内部33が複数形成される。
【0029】
第1案内部32の曲面がつながる第2案内部33の上方向の端部から、幅方向にわたって、また、上流側にわたって、側面視で緩やかな凹形状となる板状の壁部34が形成される。壁部34は、上流側(後方向)に進むに従って下方向に傾斜する形態となる。その壁部34の上面には、幅方向にわたり所定のピッチで、ストレートな端面を有し、前後方向で上方向に突出してリブ形状に形成される第3案内部35が複数形成される。なお、第1案内部32と第2案内部33との曲面は、搬送される長尺媒体Sを案内する案内面30aとして機能する。
【0030】
案内部材30の幅方向の両側の端部36は、第1案内部32の曲面(案内面30a)と同様の曲率の曲面を有し、第2案内部33よりも上方向に延び、前側から上側にかけて側面視でR形状に形成されている。また、両側の端部36は、
図3に示すように、上流側でフレーム27に設置される回動軸31を囲む状態に形成されている。
【0031】
図3に示すように、案内部材30の両側の端部36には、案内部材30が回動軸31を中心として回動し、案内部材30自身の位置を変位させる機構として、係合部37がそれぞれ構成されている。また、係合部37を受ける係合受け部38(係合受けピン381)がフレーム27に固定されている。案内部材30は、係合部37を用いて変位させ、フレーム27に固定される係合受け部38に係合させることにより、それぞれの位置(3つの位置)に位置決めされる。なお、案内部材30を変位させる機構として、係合部37、係合受け部38の他、変位させる際に係合を解除する係合解除板39などで構成されている。
【0032】
次に、
図3~
図10を参照して、スタッカー90(
図10参照)に積載された媒体の高さを検出する積載検出機構5について説明する。
積載検出機構5は、
図10に示すように、排出部17から排出されてスタッカー90に積載された媒体(単票媒体S1)の積載高さを検出して、検出結果を制御部24に送るための機構である。なお、媒体の積載高さが設定した高さになったことを検出した場合、言い換えると、制御部24が媒体の高さが所定値を超えたと判断した場合、制御部24の指示により、媒体の排出などを停止する。これにより、積載される単票媒体S1の積載量を適正にコントロールすることや、紙ジャムなどの不具合を防止する。
【0033】
積載検出機構5は、
図3に示すように、第1当接部材50、第2当接部材60(
図10参照)、検出補助部材70、伝達部材80、起動部材85、検出部40などで構成されている。なお、第2当接部材60は、
図10に示すように、記録装置1とは別体となる、排出された媒体を積載するスタッカー90に構成されている。
【0034】
以降では、第2当接部材60を除いた、記録装置1内に設置される積載検出機構5について説明する。
最初に、本実施形態の排出ローラー対16について説明する。
本実施形態の記録装置1は、仕様として、排出部17の排出口171から、具体的には排出口171と案内部材30との隙間から、搬送方向Aとは反対方向に、単票紙やボード紙などの媒体を挿入し、記録部13に向けて搬送及び供給し、その後、記録部13により記録されて排出口171から排出させるという出力モードを有している。
【0035】
この場合、排出ローラー対16が媒体をニップする位置関係になっている場合には、単票紙を排出口171から記録部13に向けて供給することができない。そのため、従動ローラー162は、
図3に示すように、第2回動軸166を備え、第2回動軸166を回転駆動させることにより、従動ローラー162を駆動ローラー161から離間させる構成としている。なお、駆動ローラー161を回転駆動させる軸を、第1回動軸165とする。
【0036】
本実施形態の単票媒体S1(切断前の状態であれば長尺媒体S)をスタッカー90に排出するために排出方向B(
図10参照)に向けて排出する場合には、第2回動軸166を回転させることで駆動ローラー161と従動ローラー162との離間を無くし、駆動ローラー161と従動ローラー162とで単票媒体S1をニップし、駆動ローラー161の回転(第1回動軸165の回転)により排出させる。従って、記録装置1において、排出ローラー対16の初期位置(初期状態)は、
図3に示すように、駆動ローラー161から従動ローラー162が離間した状態となっている。この状態の場合、積載検出機構5は、後述する開放位置に位置する状態となる。
【0037】
本実施形態の積載検出機構5は、上方向からの平面視で、案内部材30の右端部に1つ設置される。詳細には、案内部材30の右側の端部36に近く、端部36よりも内側で、排出ローラー対16を構成する駆動ローラー161(第1回動軸165)の略上方向に設置される。
【0038】
なお、本実施形態の記録装置1は、幅方向の長さが異なる複数の種類の媒体を使用することが可能であり、媒体を搬送する際の幅方向の基準を、媒体の幅方向における一方の端部側となる本実施形態では右側の端部側に設定している。そのため、積載検出機構5をその基準となる位置に1カ所設置することで、幅寸法が異なる複数種の媒体を使用する場合にも検出が可能としている。
【0039】
言い換えると、第1当接部材50及び第2当接部材60は、排出方向Bと交差する幅方向における一方の端部側(本実施形態では右側の端部側)に配置される。また、排出される媒体は、積載部91(
図10参照)において、排出方向Bと交差する幅方向における一方の端部側(本実施形態では右側の端部側)に寄せて排出される。
【0040】
本実施形態の第2当接部材60を除く積載検出機構5は、変位を保持する基本的な位置として、開放位置と検出位置とを有している。なお、第2当接部材60は、基本的な位置として、検出位置を有している。第1当接部材50において、開放位置は、記録装置1における初期位置として、第2回動軸166を基準に回転させて第1当接部材50を持ち上げ、排出口171から排出される媒体、又は排出口171から挿入される媒体の進路を妨げない位置としている。また、第1当接部材50において、検出位置は、スタッカー90に排出される媒体の積載された量(高さ)を検出するための基準の位置であり、また、媒体がスタッカー90に排出されるのを待機する位置となる。この場合、排出ローラー対16は媒体を挟持して駆動する。
【0041】
ここで、
図4から
図10における図面を説明する。
図4、
図5は、開放位置における積載検出機構5を示す。
図6、
図7は、検出位置における積載検出機構5を示す。また、
図8、
図9は、検出位置に移動した後、媒体を検出したと判断する位置における積載検出機構5の状態を示している。なお、積載検出機構5が、媒体を検出したと判断する位置を、以降では検出確認位置と呼称する。
図10は、スタッカー90を記録装置1に装着した場合の、積載検出機構5の動作を説明する図である。
【0042】
図10に示すように、スタッカー90に設置され、積載検出機構5を構成する第2当接部材60は、第2当接部材60を除く積載検出機構5が開放位置と検出位置とに位置する場合、検出位置に位置している。また、
図10では、第2当接部材60が媒体を検出したと判断する位置(検出確認位置)における状態も示している。
【0043】
起動部材85は、
図3~
図5に示すように、第2回動軸166に固定され、第2回動軸166の回転により従動ローラー162を駆動ローラー161に当接させる動作に従動して回転し、その回転を伝達部材80に伝達する部材である。起動部材85は、右方向からの側面視でトラック形状に形成される本体86を有し、一方の端部には、第2回動軸166に勘合する勘合孔87を備えて、第2回動軸166に勘合している。また、他方の端部には、左方向に設置される伝達部材80に向けて、左方向に円柱状に突出する突出部88を備えている。
【0044】
伝達部材80は、起動部材85の左方向に設置され、起動部材85の回転を伝達されて回転する部材である。なお、伝達部材80はコイルばね48により、常時、後方向で斜め上方向に引っ張られている。伝達部材80は、右方向からの側面視で概トラック形状で箱状に形成される本体81を有し、上方向の端部には、右方向に筒状に延出し、伝達部材80を第3回動軸181(
図10参照、
図4では破線で示す)に対して回動自在とする回動部82を備えている。
【0045】
伝達部材80は、トラック形状の本体81の略中央部の後側の側面に、コイルばね48の一端部481を固定するばね固定部83を備えている。また、ばね固定部83が形成される後側の側面の下方向となる右側の側面81aは、起動部材85の突出部88が当接し、左側の側面81bは、後述する第1当接部材50の突出部54が当接する。
【0046】
なお、第3回動軸181は、伝達部材80の回動部82を回転可能に軸支すると共に、後述する検出補助部材70の左右方向に延びる回動部71も回動可能に軸支する。第3回動軸181は、本実施形態では、検出補助部材70の上方向に設置される保持部材180(
図10参照)に設置されている。保持部材180は、第3回動軸181により、伝達部材80と検出補助部材70とを軸支すると共に、検出部40を含め、各部材を所定の位置に保持している。また、保持部材180は、後述するコイルばね48の他端部482を固定している。
【0047】
第1当接部材50は、排出される媒体に当接して第2回動軸166を中心に回転することで、その変位を検出補助部材70に伝達する部材である。第1当接部材50は、右方向からの側面視でL字形状に形成される本体51を有する。第1当接部材50は、左右方向に筒状に延び、第1当接部材50を第2回動軸166に対して回動自在とする回動部52を備えている。
【0048】
第1当接部材50は、回動部52から下流側に舌状に延び、排出される媒体に当接する当接部53を備えている。言い換えると、回動部52(第2回動軸166)は、当接部53よりも排出方向B(
図10参照)の上流側に配置される。また、第1当接部材50は、当接部53に対して回動部52から略垂直方向に延びる本体51の上端部には、右方向に円柱状に突出する突出部54を備えている。なお、突出部54は、伝達部材80の側面81bに当接する。
【0049】
検出補助部材70は、第1当接部材50と第2当接部材60との、いずれか一方の回動に連動して回動し、回動による変位を検出部40に伝達する部材である。検出補助部材70は、第3回動軸181に回動自在に軸支されて左右方向の端部を形成する回動部71と、左右の回動部71を繋ぐ継手部72とを備える。
【0050】
検出補助部材70は、右端部の回動部71に形成される第1被当接部73と、左端部の回動部71に形成される第2被当接部74とを備えている。また、検出補助部材70は、左端部の回動部71に、後方向に延出する板状の被検出部としての遮光板75を備えている。
【0051】
第1被当接部73は、第1当接部材50が当接する部分である。第1被当接部73は、右端部の回動部71から下方向に延びて形成され、右方向からの側面視で、回動部71を中心に所定の角度を有して2方向に延びる板状の挟持板731を備えている。挟持板731は、
図5に示すように、挟持板731よりも左方向に設置される第1当接部材50の右方向に突出する突出部54を、2つの挟持板731の間に摺動自在に挟持する。言い換えると、第1当接部材50の突出部54は、挟持板731に当接する。
【0052】
第2被当接部74は、第2当接部材60が当接する部分である。第2被当接部74は、左端部の回動部71から下方向に板状に延びて形成される。第2被当接部74は、前方向に当接面74aを有している。当接面74aは、スタッカー90に設置される第2当接部材60の後述する突出部63を摺動自在に受ける。従って、第2当接部材60の突出部63は、第2被当接部74の当接面74aに当接する。
【0053】
第1当接部材50は、検出補助部材70の第1被当接部73に当接し、第2当接部材60は、検出補助部材70の第2被当接部74に当接する。また、第1被当接部73と第2被当接部74とは、継手部72を備えることで、上方向からの平面視で離間している。そのため、第1当接部材50と第2当接部材60とは、上方向からの平面視で重なることはなく、互いに当接しない。
【0054】
遮光板75は、後述する検出部40に検出される被検出部として機能する。遮光板75は、第1被当接部73と第2被当接部74とのいずれかにより回動部71が回転することで変位し、検出部40に備える検出センサーの光を遮光する。
【0055】
検出部40は、検出補助部材70の遮光板75の変位に応じて、ON/OFFするセンサーを備えている。検出部40は、本実施形態では、遮光板75を左右方向から挟むように、光学センサー41が設置されている。光学センサー41は、発光部から射出する光を受光部で受光できる場合(光が遮光されない場合)、例えば「OFF」とし、光が遮光されて受光できない場合を「ON」として検出する。従って、検出部40は、遮光板75が、光学センサー41の射出する光を遮光したか否かでON/OFFを切替える。
【0056】
図4、
図5を参照して、積載検出機構5が、検出位置から開放位置に移動(変位)する場合を説明する。
最初に、第2回動軸166が、右方向からの側面視で、時計回り方向に所定の角度回転することで、従動ローラー162が駆動ローラー161との当接から離間する。この動作により、第2回動軸166に勘合する起動部材85も従動して時計回り方向に回転する。
【0057】
なお、伝達部材80は、コイルばね48の後方向への引っ張り力により、起動部材85の突出部88に右側の側面81aを当接及び摺動させて、起動部材85が回転することに従動する形で、第3回動軸181を中心として、右方向からの側面視で、反時計回り方向に所定の角度、回転する。この動作により、伝達部材80は開放位置に移動する。
【0058】
伝達部材80は、開放位置に移動することに併せて、左側の側面81bに当接する第1当接部材50の突出部54を当接及び摺動させる。そして、伝達部材80の回転に従動して突出部54が移動することにより、第1当接部材50は、第2回動軸166を中心として、右方向からの側面視で、時計回り方向に所定の角度、回転する。この動作により、第1当接部材50は開放位置に移動する。
【0059】
また、第1当接部材50が第2回動軸166を中心に時計回り方向に回転することにより、突出部54を挟持する挟持板731(第1被当接部73)が後方向に押圧される。検出補助部材70の挟持板731が後方向に押圧されることにより、検出補助部材70は、第3回動軸181(
図4参照)を中心として、右方向からの側面視で、反時計回り方向に所定の角度、回転する。この動作により、検出補助部材70は開放位置に移動する。検出補助部材70の開放位置への移動により、遮光板75も所定の角度、回転する。本実施形態では、遮光板75は、光学センサー41の光を遮光する位置から外れて上方向に移動する。
【0060】
図6、
図7を参照して、積載検出機構5が、開放位置から検出位置に移動する場合を説明する。なお、
図6では、起動部材85が省かれている。
最初に、第2回動軸166が、右方向からの側面視で、反時計回り方向に、所定の角度回転することで、従動ローラー162が駆動ローラー161に当接する。この動作により、第2回動軸166に勘合する起動部材85も従動して反時計回り方向に回転する。
【0061】
起動部材85は、反時計回り方向に回転することにより、コイルばね48の抗力に抗し、起動部材85の突出部88が伝達部材80の右側の側面81aを前方向に押圧しながら回転する。伝達部材80は、起動部材85により前方向に押圧されることにより、第3回動軸181を中心として、右方向からの側面視で、時計回り方向に所定の角度、回転する。この動作により、伝達部材80は検出位置に移動する。
【0062】
伝達部材80が起動部材85により時計回り方向に回転すると、伝達部材80の側面81bに突出部54が当接して、開放位置に押し上げられていた第1当接部材50は、重心が第2回動軸166よりも前方向に位置するため、自重により、側面81bに突出部54を当接する状態で第2回動軸166を中心にして、右方向からの側面視で、反時計回り方向に回転する。この動作により、第1当接部材50は検出位置に移動する。
【0063】
また、第1当接部材50が第2回動軸166を中心に反時計回り方向に回転することにより、突出部54を挟持する挟持板731(第1被当接部73)が前方向に押圧される。検出補助部材70の挟持板731が前方向に押圧されることにより、検出補助部材70は、第3回動軸181を中心として、右方向からの側面視で、時計回り方向に所定の角度、回転する。この動作により、検出補助部材70は検出位置に移動する。検出補助部材70の検出位置への移動により、遮光板75も所定の角度、回転する。本実施形態では、遮光板75は、光学センサー41の光を遮光する位置から外れて下方向に移動する。
【0064】
図8、
図9を参照して、積載検出機構5が、検出位置から検出確認位置に移動する場合を説明する。なお、
図8では、起動部材85が省かれている。
第1当接部材50が検出位置に位置する場合(
図6、
図7)、第1当接部材50の自重で、当接部53の前方向の先端部を下方向にして垂れ下がった状態となっている。言い換えると、第1当接部材50の当接部53は、第1当接部材50の自重により、積載面911(
図10参照)側に押圧されている。なお、当接部53は、自重以外に押圧部材(図示省略)などにより、積載面911側に押圧されることでもよい。
【0065】
この状態で、排出ローラー対16に挟持された長尺媒体Sが排出される場合、排出される長尺媒体Sの下流側の先端部などが当接部53の当接面53aに当たることにより、長尺媒体Sの先端部は、当接部53の自重による下方向への力(押圧力)に抗して、前方向に移動する。この長尺媒体Sの移動に伴い、当接部53は、第2回動軸166を中心として、右方向からの側面視で、時計回り方向に回転する。
【0066】
当接部53(第1当接部材50)が時計回り方向に回転することにより、突出部54を挟持する検出補助部材70の挟持板731が後方向に押圧される。挟持板731(第1被当接部73)が後方向に押圧されることにより、検出補助部材70は、第3回動軸181を中心として、右方向からの側面視で、反時計回り方向に回転する。
【0067】
検出補助部材70の反時計回り方向への回転により、遮光板75が、検出部40(光学センサー41)の下方向から光学センサー41の発光部と受光部との間に向けて回転する。この場合、第1当接部材50の当接部53が、長尺媒体Sに押圧されて、検出確認位置に回転した場合、検出補助部材70の遮光板75は、光学センサー41の発光部と受光部との間に位置して、光を遮光する位置となる。なお、長尺媒体Sの先端部又は後端部の高さが低い場合、また、積載している単票媒体S1の積載枚数が少ない場合などには、第1当接部材50の当接部53を長尺媒体Sが回転させる量が小さくなり、検出補助部材70の遮光板75は、光を遮光する位置までは回転しない。
【0068】
なお、検出部40が検出するタイミングは、後述するが、
図10に示すように、媒体(単票媒体S1)が排出されて積載面911(積載補助板29)に向けて下方向に落ちたタイミングで検出する。そのため、切断部15で切断されていない長尺媒体Sの状態では、検出はしない。この状態で、第1当接部材50が検出確認位置に変位しても、検出は行わない。長尺媒体Sが切断部15で切断されて、排出ローラー対16により、単票媒体S1が排出されたそのタイミングで検出を行う。
【0069】
図10を参照して、スタッカー90及び第2当接部材60の構成を説明する。
媒体収容装置としてのスタッカー90は、搬送方向Aにおいて、案内部材30の下流で着脱可能に筐体10に装着される。また、スタッカー90の積載部91は、案内部材30の第1支持位置より下方に設置され、単票媒体S1を収容する。
【0070】
スタッカー90は、排出部17から排出(排出ローラー対16から排出)される単票媒体S1を順次積載するための積載部91と、積載部91を支持する複数の積載用フレーム92と、複数の積載用フレーム92を受けて、高さ方向に延びる例えば4本の脚用フレーム93と、を備えている。脚用フレーム93の下端部には、キャスター(図示省略)が取り付けられ、スタッカー90が移動可能となっている。
【0071】
また、積載部91には、単票媒体S1を受ける積載面911が構成される。積載面911は、排出方向Bに沿って緩やかに上昇する傾斜面として構成されている。スタッカー90には、積載部91の上方に、第2当接部材60が設置されるフレーム94が設置されている。
【0072】
フレーム94に設置される第2当接部材60は、上述した積載検出機構5を構成している。第2当接部材60は、左右方向に回転中心を有する回動軸61を備え、フレーム94に対して回動自在となる。第2当接部材60は、回動軸61を中心として、前後方向に延びて板状に形成されるレバー部62を備え、レバー部62の一方の先端部には、左右方向に突出する円柱形状の突出部63を備えている。また、第2当接部材60は、レバー部62の他方の先端部に、左右方向に回転中心を有する回動軸64が形成され、弾性部材などで構成されるローラー65が回動軸64を中心として回動自在に支持されている。
【0073】
第2当接部材60を回転させる回動軸61は、ローラー65よりも排出方向Bの上流側に配置されている。また、本実施形態では、ローラー65が、排出される媒体(単票媒体S1)に当接する当接部として機能する。そして、当接部としてのローラー65は、第2当接部材60の自重により、積載面911側に押圧される。なお、ローラー65は、自重以外に押圧部材(図示省略)などにより、積載面911側に押圧されることでもよい。
【0074】
第2当接部材60は、基本的な位置として、
図10に実線で示す検出位置を有している。また、第2当接部材60は、第2当接部材60を除く積載検出機構5が開放位置と検出位置とに位置する場合、検出位置に位置している。なお、第2当接部材60を除く積載検出機構5が開放位置の時には、第2被当接部74が下方向に下がった位置となるが、第2当接部材60は、フレーム94に備える図示省略する支持部により、実線で示す検出位置に位置している。
【0075】
第2当接部材60は、排出される媒体にローラー65が当接して押し上げられることにより、第2当接部材60が回動軸61を中心として、右方向からの側面視で時計回り方向に回転する。この第2当接部材60の時計回り方向の回転により、突出部63が、検出補助部材70の第2被当接部74(当接面74a)を下方向に押圧して第2被当接部74を変位させる。
【0076】
第2被当接部74を下方向に変位させることにより、検出補助部材70が、第3回動軸181を中心として、右方向からの側面視で反時計回り方向に回転する。なお、本実施形態では、
図10に示すように、第2当接部材60が、二点鎖線で示す検出確認位置まで回転した場合、その回転を受けて検出補助部材70が回転することにより、遮光板75が、光学センサー41の発光部と受光部との間に位置して、光を遮光する位置となる。
【0077】
以降では、排出される媒体の検出の仕方を説明する。
本実施形態において、曲げ剛性が小さい媒体に対し、記録後に排出される場合には、その媒体は、排出方向Bの側面視で、下方向に凸形状となるように反りやすくなる。また、曲げ剛性が大きい媒体に対し、記録後に排出される場合には、その媒体は、排出方向Bの側面視で、上方向に凸形状(曲げ剛性が小さい媒体とは逆)となるように反りやすくなる。普通紙などは、曲げ剛性が小さいため、下方向に凸形状となるように反りやすくなる。
【0078】
本実施形態では、下方向に凸形状の反りを有する媒体に対しては、第1当接部材50が当接することで、排出された媒体の高さを検出する。また、上方向に凸形状の反りを有する媒体に対しては、第2当接部材60が当接することで、排出された媒体の高さを検出する。
【0079】
なお、第1当接部材50、第2当接部材60共に、排出された媒体の高い部位を検出する。詳細には、本実施形態では、第1当接部材50は、下方向に凸形状の反りを有する媒体に対して、排出された媒体の排出方向Bにおける高い部位となる上流側の端部(上流端S1a)の位置に当接して積載量(積載高さ)を検出する。また、第2当接部材60は、上方向に凸形状の反りを有する媒体に対して、排出された媒体の排出方向Bにおける下流の位置で高い部位となる中央部(中央部S1b)の位置に当接して積載量(積載高さ)を検出する。なお、第1当接部材50、第2当接部材60は、排出された媒体に当接することで、これまでに排出され積載された媒体の積載量の変位に連動して動作する。
【0080】
以降の説明において、本実施形態では、下方向に凸形状の反りを有する媒体、上方向に凸形状の反りを有する媒体ともに単票媒体S1とし、単票媒体S1の部位を示す上流端S1a、中央部S1bという呼称も共通で使用する。
【0081】
第1当接部材50は、排出された単票媒体S1が積載された場合に、単票媒体S1の上流端S1aが積載される位置の上方向に設置される。また、第2当接部材60は、排出された単票媒体S1が積載された場合に、単票媒体S1の上流側下流側の端部ではなく、中央部S1bが積載される位置の上方向に設置される。従って、第1当接部材50と第2当接部材60とは、排出方向Bからの側面視で、重なることはなく、互いに当接しない。
【0082】
また、本実施形態では、スタッカー90の積載面911に、排出された単票媒体S1が積載される場合、単票媒体S1の上流端S1aの領域は、案内部材30の第3案内部35や第3案内部35より上流側に設置される積載補助板29の上面に位置した状態で順次積載される。案内部材30、積載補助板29は、スタッカー90に単票媒体S1を積載する際の、積載部91(積載面911)の一部を構成する。
【0083】
第1当接部材50と第2当接部材60との、単票媒体S1を検出するタイミングについて説明する。
本実施形態では、検出部40が検出するタイミングとして、単票媒体S1が排出されて積載面911(積載補助板29)に向けて下方向に落ちたタイミングで検出する。従って、媒体(長尺媒体S)への記録部13による記録中は、長尺媒体Sの下流側の前端部が第1当接部材50に当接して、検出確認位置に変位した場合にも検出しない。そして、切断部15で媒体(長尺媒体S)を切断した後、排出ローラー対16にニップされた単票媒体S1が排出方向Bに排出され、単票媒体S1が積載面911に落ちたタイミングで検出する。
【0084】
従って、第1当接部材50は、単票媒体S1の上流端S1aが落ちたタイミングで、上流端S1aの位置を検出し、検出確認位置に変位した(光学センサー41の光を遮光した)場合には、検出部40により「ON」の信号が制御部24に送られる。また、検出確認位置に変位しない(光学センサー41の光を遮光しない)場合には、検出部40により「OFF」の信号が制御部24に送られる。また、第2当接部材60は、単票媒体S1の上流端S1aが落ちたタイミングで、中央部S1bの位置を検出し、検出確認位置に変位した(光学センサー41の光を遮光した)場合には、検出部40により「ON」の信号が制御部24に送られる。また、検出確認位置に変位しない(光学センサー41の光を遮光しない)場合には、検出部40により「OFF」の信号が制御部24に送られる。
【0085】
本実施形態では、第1当接部材50又は第2当接部材60のいずれかが、検出確認位置に変位した場合、制御部24は、検出部40からの「ON」の信号を受け、単票媒体S1の排出を停止する指示を行う。また、単票媒体S1の排出停止に関連する一連の動作を停止させる指示を行う。
【0086】
なお、第1当接部材50、第2当接部材60が検出確認位置に変位した場合は、通常、積載面911に積載された単票媒体S1の積載量(積載高さ)が、設定する所定の積載量となった場合であり、制御部24により、単票媒体S1の排出を停止する。しかし、単票媒体S1の積載量(積載高さ)が、設定する所定の積載量とはなっておらずに、第1当接部材50、第2当接部材60が検出確認位置に変位する場合がある。この場合には、単票媒体S1の下方向に凸形状の反りや、上方向に凸形状の反りなど、反りが大きい場合を含み、排出を継続した場合に、紙ジャムなどの不具合を発生させることが考えられるために、単票媒体S1の排出を停止する。
【0087】
制御部24は、検出部40において、検出補助部材70(遮光板75)が変位し、積載面911に積載される単票媒体S1の高さが所定値を超えたと判断した際に、単票媒体S1の排出を停止する指示を行う。また、制御部24は、単票媒体S1の上流端S1aが排出部17から排出され、積載面911に積載されたタイミング(又は落ちたタイミング)において、検出部40で検出補助部材70(遮光板75)の状態を検出している。
【0088】
本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0089】
本実施形態の記録装置1は、シート状の媒体に記録を行う記録部13と、記録後の媒体を排出する排出部17と、排出された媒体(単票媒体S1)を積載する積載面911を有す積載部91と、単票媒体S1の排出方向Bにおける上流端S1aの位置に当接すると共に、単票媒体S1の積載量の変位に連動する第1当接部材50とを備える。また、記録装置1は、第1当接部材50に対して単票媒体S1の排出方向Bにおける下流の位置(中央部S1b)に当接すると共に、単票媒体S1の積載量の変位に連動する第2当接部材60と、第1当接部材50と第2当接部材60との変位に連動して変位する1つの検出補助部材70と、検出補助部材70の変位を検出する検出部40とを備える。
このように記録装置1が構成されることで、第1当接部材50により、排出方向Bの側面視で下方に凸状となる媒体(単票媒体S1)に対して、排出方向Bにおける上流端S1aの位置で媒体の積載量の変位に連動することができる。また、第2当接部材60により、排出方向Bの側面視で上方に凸状となる媒体(単票媒体S1)に対して、排出方向Bにおける下流の位置(中央部S1b)で媒体の積載量の変位に連動することができる。
従って、排出方向Bの側面視で下方に凸形状に反る媒体や、上方に凸形状に反る媒体に対して、積載量の変位に適正に連動させることができ、また、その変位を適正に検出することができる。これにより、排出される媒体が、先に積載されている媒体を押し出してしまうことや、先に積載されている媒体に衝突して排出する媒体が座屈することなどを、未然に防止することができる。
【0090】
本実施形態の記録装置1において、単票媒体S1は、積載部91において、排出方向Bと交差する幅方向における一方の端部側に寄せて排出され、第1当接部材50及び第2当接部材60は、幅方向における一方の端部側に配置されている。
この構成により、単票媒体S1を幅方向における一方の端部側に寄せて排出させるため、第1当接部材50、第2当接部材60は、幅方向における一方の端部側に配置させることでよく、幅方向の他方の端部側に、第1当接部材50、第2当接部材60を配置する必要がなくなるため、構成を簡易化することができる。また、幅方向の寸法が異なる複数の種類の媒体にも対応させることができる。
【0091】
本実施形態の記録装置1において、検出補助部材70は、第1当接部材50が当接する第1被当接部73と、第2当接部材60が当接する第2被当接部74と、検出部40に検出される被検出部としての遮光板75と、を有している。
この構成により、第1当接部材50と第2当接部材60との変位に連動して遮光板75を変位する検出補助部材70を1つで構成することができ、構成する部品点数を削減することができる。
【0092】
本実施形態の記録装置1において、第1当接部材50は、第2回動軸166に対して回動する回動部52を有し、第2当接部材60は、回動軸61を有し、検出補助部材70は、第3回動軸181対して回動する回動部71を有している。そして、検出補助部材70は、第1当接部材50、第2当接部材60のいずれか一方の回動に連動して回動する。
この構成により、検出補助部材70は、第1当接部材50の回動と第2当接部材60の回動とに対して別々に連動させることができる。
【0093】
本実施形態の記録装置1において、第1当接部材50と第2当接部材60とは、互いに当接しない構成となっている。
この構成により、第1当接部材50と第2当接部材60とは、互いに当接しないことにより、第1当接部材50と第2当接部材60とを、それぞれ独立させて、単票媒体S1の積載量の変位に連動させることができる。
【0094】
本実施形態の記録装置1において、第1当接部材50と第2当接部材60とは、それぞれ積載部91の積載面911に積載される単票媒体S1に当接する当接部53、ローラー65を有している。そして、第1当接部材50の第2回動軸166に対して回動する回動部52は、当接部53よりも排出方向Bの上流側に配置されている。また、第2当接部材60の回動軸61は、ローラー65よりも排出方向Bの上流側に配置されている。
この構成により、排出方向Bに排出される単票媒体S1に対して、排出動作を妨げることを抑制することができる。
【0095】
本実施形態の記録装置1において、第1当接部材50の当接部53と、第2当接部材60の当接部としてのローラー65とは、積載面911側に押圧されている。
この構成により、当接部53が、第1当接部材50の自重により積載面911側に押圧され、ローラー65が、第2当接部材60の自重により積載面911側に押圧されることにより、積載量の変位に対して、当接部53やローラー65を適正に連動させることができる。
【0096】
本実施形態の記録装置1において、単票媒体S1はロール状媒体(ロール紙R)が切断されたものである。この構成により、ロール紙Rを用いた装置において、適確に単票媒体S1の積載量を検出することができる。
【0097】
本実施形態の記録装置1において、単票媒体S1の排出動作を制御する制御部24を有し、制御部24は、検出部40において、検出補助部材70が変位し、積載面911に積載される単票媒体S1の高さが所定値を超えたと判断した際に、単票媒体S1の排出を停止する。
この構成により、制御部24が、単票媒体S1の高さ(積載量)が所定値を超えたと判断した際に、単票媒体S1の排出を停止することで、安定した排出を行うことができる。また、上方向、下方向に凸形状となる反りの大きい単票媒体S1に対しても、検出して単票媒体S1の排出を停止することで、紙ジャムなどの不具合を未然に防止することができる。
【0098】
本実施形態の記録装置1において、制御部24は、単票媒体S1の上流端S1aが排出部17から排出され、積載面911に積載されたタイミングにおいて、検出部40で検出補助部材70(遮光板75)の状態を検出している。
この構成により、単票媒体S1の積載量の変化を正確に検出することができる。
【0099】
2.変形例1
本実施形態では、検出補助部材70は、回動軸としての第3回動軸181を有し、回動自在に回動する。しかし、これには限定されず、第3回動軸181は用いずに、回動部71を回動軸として、保持部材180が回動自在に保持する構成としてもよい。この場合、伝達部材80の回動部82も併せて、回動部71と軸中心を一致させて、保持部材180が回動部82を回動軸として回動自在に保持することでもよい。
【0100】
3.変形例2
本実施形態では、第1当接部材50が記録装置1側に設置されている。しかし、これには限定されず、第1当接部材50がスタッカー90側に設置された構成としてもよい。
その場合、媒体収容装置としてのスタッカー90は、排出された媒体(単票媒体S1)を積載する積載面911を有す積載部91と、単票媒体S1の排出方向Bにおける上流端S1aの位置に当接すると共に、単票媒体S1の積載量の変位に連動する第1当接部材50とを備えることでよい。また、スタッカー90は、第1当接部材50に対して単票媒体S1の排出方向Bにおける下流の位置(中央部S1b)に当接すると共に、単票媒体S1の積載量の変位に連動する第2当接部材60と、第1当接部材50と第2当接部材60との変位に連動して変位する1つの検出補助部材70と、検出補助部材70の変位を検出する検出部40とを備えることでよい。
このようにスタッカー90が構成されることで、第1当接部材50により、排出方向Bの側面視で下方に凸状となる媒体(単票媒体S1)に対して、排出方向Bにおける上流端S1aの位置で媒体の積載量の変位に連動することができる。また、第2当接部材60により、排出方向Bの側面視で上方に凸状となる媒体(単票媒体S1)に対して、排出方向Bにおける下流の位置(中央部S1b)で媒体の積載量の変位に連動することができる。
従って、排出方向Bの側面視で下方に凸形状に反る媒体や、上方に凸形状に反る媒体に対して、積載量の変位に適正に連動させることができ、また、その変位を適正に検出することができる。これにより、排出される媒体が、先に積載されている媒体を押し出してしまうことや、先に積載されている媒体に衝突して排出する媒体が座屈することなどを、未然に防止することができる。
【符号の説明】
【0101】
1…記録装置、13…記録部、17…排出部、40…検出部、50…第1当接部材、60…第2当接部材、70…検出補助部材、73…第1被当接部、74…第2被当接部、75…被検出部としての遮光板、90…媒体収容装置としてのスタッカー、91…積載部、911…積載面、A…搬送方向、B…排出方向、S…長尺媒体、S1…単票媒体、S1a…上流端、S1b…下流の位置としての中央部。