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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】補助装置及び作業機システム
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/00 20060101AFI20240925BHJP
   B25F 5/00 20060101ALI20240925BHJP
   B25D 17/18 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
B23Q11/00 M
B25F5/00 Z
B25D17/18
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020145381
(22)【出願日】2020-08-31
(65)【公開番号】P2022040593
(43)【公開日】2022-03-11
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 勇樹
(72)【発明者】
【氏名】脇田 康平
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-111673(JP,A)
【文献】特開2007-061977(JP,A)
【文献】国際公開第2010/029687(WO,A1)
【文献】特開2008-073799(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 11/00;
B25F 1/00-5/02;
B25D 1/00-17/32;
B24B 3/00-3/60,21/00-39/06,55/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機に着脱可能に取付られ、補助作用を行う補助装置であって、
前記補助作用を行う補助機構部を有する本体部と、
前記本体部が取付けられ、前記作業機に取付けられることで前記本体部と前記作業機とを連結するアダプタと、
を備え、
前記本体部は、前記アダプタに対して第1方向に相対移動することで、前記アダプタに取付けられ、
前記アダプタは、前記作業機に対して前記第1方向と異なる第2方向に相対移動することで前記作業機に係止される第1係止部と、前記作業機に対して前記第1方向及び前記第2方向と異なる第3方向に相対移動することで前記作業機に係止される第2係止部と、を有し、前記第1係止部及び前記第2係止部が前記作業機に係止されることで前記作業機に取付けられる補助装置。
【請求項2】
前記本体部は、前記第1方向に延伸されると共に、前記第1方向に延在された係合部を有しており、
前記アダプタは、前記第1方向に延在され且つ前記係合部と係合する被係合部を有している請求項1に記載の補助装置。
【請求項3】
前記第2係止部は、前記第3方向に延在された支持軸であり、前記第2方向は、前記支持軸の周方向であり、
前記アダプタは、前記作業機に対して前記第3方向に相対移動することで前記支持軸が作業機に支持され、前記支持軸の前記作業機への支持後に前記作業機に対して前記第2方向に相対回動することで前記作業機に取付けられる請求項2に記載の補助装置。
【請求項4】
作業機に着脱可能に取付られ、補助作用を行う補助装置であって、
前記補助作用を行う補助機構部を有する本体部と、
前記本体部が取付けられ、前記作業機に取付けられることで前記本体部と前記作業機とを連結するアダプタと、
を備え、
前記アダプタは、アダプタ係止部材を有し、前記アダプタ係止部材は、前記作業機に係止可能な係止状態と、前記係止状態を解除可能な係止解除状態と、に切替可能に構成されており、
前記本体部の前記アダプタへの取付状態では、前記本体部が前記アダプタ係止部材に当接することで、前記アダプタ係止部材の前記係止状態から前記係止解除状態への切替えが阻止される補助装置。
【請求項5】
前記本体部は、ロック部材を有し、
前記ロック部材は、作業者によって操作されるロック操作部を含んで構成されると共に、前記アダプタと係合して前記本体部の前記アダプタからの取外しを阻止するロック状態と、前記アダプタとの係合が解除され前記本体部の前記アダプタからの取外しを許可する許可状態と、に切替可能に構成されており、
前記ロック操作部が、前記アダプタ係止部材に対して離間して配置されている請求項4に記載の補助装置。
【請求項6】
前記補助機構部は、前記作業機の動作により生じる粉塵を空気から分離する請求項1~請求項5の何れか1項に記載の補助装置。
【請求項7】
前記補助機構部は、空気流を旋回させて粉塵を遠心分離するサイクロン部を含んで構成されている請求項6に記載の補助装置。
【請求項8】
モータと、前記モータの駆動力により駆動して被加工材を穿孔する先端工具と、前記モータの駆動力により空気流を生成するファンと、を有する作業機と、
請求項6又は請求項7に記載の補助装置と、
を備え、
前記補助機構部が、前記ファンによって前記先端工具の周辺から吸引された空気流から粉塵を分離する作業機システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補助装置及び作業機システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の作業機(穿孔工具)は、補助装置(集塵装置)を備えている。そして、作業時に生じる粉塵を含む空気を、作業機のファンによる空気流によって吸引し、空気と粉塵とを分離し、粉塵のみを補助装置に貯蔵するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-201526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、各種作業機では、補助装置を取付けるための取付部の配置や形状などが異なるため、同一の補助装置を複数種類の作業機に取付けることが困難になるという問題がある。このため、同じ用途の補助装置であっても、各種作業機毎に補助装置を製作する必要がある。これにより、例えば、補助装置の汎用性が低下する可能性がある。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、汎用性を向上することができる補助装置及び作業機システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、作業機に着脱可能に取付られ、補助作用を行う補助装置であって、前記補助作用を行う補助機構部を有する本体部と、前記本体部が取付けられ、前記作業機に取付けられることで前記本体部と前記作業機とを連結するアダプタと、を備え、前記本体部は、前記アダプタに対して第1方向に相対移動することで、前記アダプタに取付けられ、前記アダプタは、前記作業機に対して前記第1方向と異なる第2方向に相対移動することで前記作業機に係止される第1係止部と、前記作業機に対して前記第1方向及び前記第2方向と異なる第3方向に相対移動することで前記作業機に係止される第2係止部と、を有し、前記第1係止部及び前記第2係止部が前記作業機に係止されることで前記作業機に取付けられる補助装置である。
【0008】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記本体部は、前記第1方向に延伸されると共に、前記第1方向に延在された係合部を有しており、前記アダプタは、前記第1方向に延在され且つ前記係合部と係合する被係合部を有している補助装置である。
【0009】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記第2係止部は、前記第3方向に延在された支持軸であり、前記第2方向は、前記支持軸の周方向であり、前記アダプタは、前記作業機に対して前記第3方向に相対移動することで前記支持軸が作業機に支持され、前記支持軸の前記作業機への支持後に前記作業機に対して前記第2方向に相対回動することで前記作業機に取付けられる補助装置である。
【0010】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、作業機に着脱可能に取付られ、補助作用を行う補助装置であって、前記補助作用を行う補助機構部を有する本体部と、前記本体部が取付けられ、前記作業機に取付けられることで前記本体部と前記作業機とを連結するアダプタと、を備え、前記アダプタは、アダプタ係止部材を有し、前記アダプタ係止部材は、前記作業機に係止可能な係止状態と、前記係止状態を解除可能な係止解除状態と、に切替可能に構成されており、前記本体部の前記アダプタへの取付状態では、前記本体部が前記アダプタ係止部材に当接することで、前記アダプタ係止部材の前記係止状態から前記係止解除状態への切替えが阻止される補助装置である。
【0012】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記本体部は、ロック部材を有し、前記ロック部材は、作業者によって操作されるロック操作部を含んで構成されると共に、前記アダプタと係合して前記本体部の前記アダプタからの取外しを阻止するロック状態と、前記アダプタとの係合が解除され前記本体部の前記アダプタからの取外しを許可する許可状態と、に切替可能に構成されており、前記ロック操作部が、前記アダプタ係止部材に対して離間して配置されている補助装置である。
【0013】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記補助機構部は、前記作業機の動作により生じる粉塵を空気から分離する補助装置である。
【0014】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、前記補助機構部は、空気流を旋回させて粉塵を遠心分離するサイクロン部を含んで構成されている補助装置である。
【0015】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、モータと、前記モータの駆動力により駆動して被加工材を穿孔する先端工具と、前記モータの駆動力により空気流を生成するファンと、を有する作業機と、上記記載の補助装置と、を備え、前記補助機構部が、前記ファンによって前記先端工具の周辺から吸引された空気流から粉塵を分離する作業機システムである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の1又はそれ以上の実施形態によれば、汎用性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施の形態に係るハンマドリルシステムを示す左側から見た側面図である。
図2図1に示されるハンマドリルシステムの内部を示す左側から見た側断面図である。
図3図2に示されるハンマドリルシステムのアダプタの周辺を拡大して示す側断面図である。
図4図2に示されるハンマドリルシステムのアダプタとハンマドリルとの連結状態を示す前側から見た断面図(図2の4-4線断面図)である。
図5】(A)は、図2に示されるハンマドリルのファンを示す後側から見た後面図であり、(B)は、(A)のファンの前側から見た正面図である。
図6図5(B)に示されるファンの側断面図(図5(B)の6-6線断面図)である。
図7図2に示される集塵装置のアダプタを示す3面図である。
図8図7に示されるアダプタの下側から見た下面図である。
図9図7に示されるアダプタの側断面図(図7の9-9線断面図)である。
図10図7に示されるアダプタの後側から見た断面図(図7の10-10線断面図)である。
図11図2に示される集塵装置の集塵部を示す下側から見た断面図(図2の11-11線断面図)である。
図12図2に示される集塵装置における集塵装置本体の後端部を、左側のハウジング部材を取外した状態で示す左斜め後方から見た斜視図である。
図13図1に示されるアダプタのハンマドリルへの取付けを説明するための側面図である。
図14図11に示される集塵装置本体のアダプタへの取付けを説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を用いて、本実施の形態に係る作業機システムとしてのハンマドリルシステムSについて説明する。図1に示されるように、ハンマドリルシステムSは、作業機としてのハンマドリル10と、補助装置としての集塵装置40と、を含んで構成されている。そして、集塵装置40が、ハンマドリル10に取付けられて、ハンマドリル10に装着された先端工具Tの周囲の空気を吸引するようになっている。これにより、集塵装置40によって、ハンマドリル10の作業時に生じる塵埃を、集塵装置40に貯留するようになっている。
【0019】
なお、図面に適宜示される矢印UP、矢印FR、矢印RHは、ハンマドリル10及び集塵装置40の上側、前側、右側を示している。以下の説明において、上下、前後、左右の方向を用いて説明するときには、特に断りのない限り、ハンマドリル10及び集塵装置40の上下方向、前後方向、左右方向を示すものとする。そして、前後方向が本発明の第1方向に対応し、左右方向が本発明の第3方向に対応する。以下、先に、ハンマドリル10について説明し、次いで、集塵装置40について説明する。
【0020】
(ハンマドリル10について)
ハンマドリル10は、被加工材に対して穿孔加工等を行う工具として構成されている。図1及び図2に示されるように、ハンマドリル10は、ハウジング12と、モータ20と、モータ20の駆動力によって駆動する駆動機構部30と、バッテリーパック34と、を含んで構成されている。以下、ハンマドリル10の各構成について説明する。
【0021】
(ハウジング12について)
ハウジング12は、左側から見た側面視で、中空の略逆L字形状に形成されている。具体的には、ハウジング12は、前後方向に延在された本体ハウジング13と、本体ハウジング13の後端部から下側へ延出されたハンドルハウジング14と、を含んで構成されている。
【0022】
本体ハウジング13の後端部の左右の側壁には、それぞれ複数(本実施の形態では、4箇所)のリヤ吸気口13Aが貫通形成されている。リヤ吸気口13Aは、前後方向を長手方向とする長孔状に形成されると共に、上下方向に並んで配置されている。また、本体ハウジング13の前後方向中間部の下壁には、吸気口としてのフロント吸気口13B(図2参照)が貫通形成されており、フロント吸気口13Bは略矩形状に形成されている。
【0023】
また、本体ハウジング13の前後方向中間部における右壁には、複数(本実施の形態では、4箇所)の第1排気口13C(図2参照)が貫通形成されている(図2では、便宜上、最上段に配置された第1排気口13Cのみに符号を付している)。第1排気口13Cは、上下方向を長手方向とする長孔状に形成されると共に、上下方向に並んで配置されている。また、本体ハウジング13には、第1排気口13Cの前側において、複数(本実施の形態では、4箇所)の排気口としての第2排気口13D(図2参照)が貫通形成されている(図2では、便宜上、最上段に配置された第2排気口13Dのみに符号を付している)。第2排気口13Dは、上下方向を長手方向とする長孔状に形成されると共に、上下方向に並んで配置されている。さらに、第2排気口13Dは、フロント吸気口13Bに対して、若干後側に配置されている。
【0024】
本体ハウジング13の左右の側壁の下端部には、フロント吸気口13Bの後側において、後述するアダプタ41を係止するための係止凹部13E(図13参照)が形成されている。係止凹部13Eは、前後方向に延在されると共に、左右方向外側へ開放された凹状に形成されている。
【0025】
図4にも示されるように、本体ハウジング13の下壁には、フロント吸気口13Bの前側において、後述するアダプタ41を支持するための支持部13Fが形成されている。支持部13Fは、本体ハウジング13から下側へ突出すると共に、左右方向に延在されている。支持部13Fには、支持孔13Gが形成されており、支持孔13Gは、左右方向に貫通している。
【0026】
ハンドルハウジング14の上部は、使用者が把持するハンドル部14Aとして構成されている。ハンドル部14Aの上端部には、トリガ15が設けられている。トリガ15は、ハンドル部14Aから前側へ突出しており、後側へ引き操作可能に構成されている。トリガ15の後側には、スイッチ機構16が設けられている。スイッチ機構16は、トリガ15よって操作される、図示しないスイッチを有している。当該スイッチは、ハンマドリルの制御部(図示省略)に電気的に接続されており、トリガ15の操作状態に応じた出力信号を制御部に出力する構成になっている。
【0027】
ハンドルハウジング14の下端部は、後述するバッテリーパック34を装着するためのバッテリー取付部14Bとして構成されている。バッテリー取付部14Bは、ハンドルハウジング14の下端部から前側へ突出されると共に、下側へ屈曲されている。また、バッテリー取付部14Bには、バッテリーパック34と接続されるコネクタ17が設けられている。
【0028】
(モータ20について)
図2に示されるように、モータ20は、3相のブラシレスモータとして構成されており、本体ハウジング13の後部内に収容されると共に、制御部に電気的に接続されている。モータ20は、前後方向を軸方向とする駆動軸21を有している。駆動軸21の前端側部分が、本体ハウジング13に固定された前側軸受18によって回転可能に支持されており、駆動軸21の後端部が、本体ハウジング13に固定された後側軸受19によって回転可能に支持されている。また、駆動軸21の前端部には、ピニオンギヤ21Aが形成されている。
【0029】
図2図5、及び図6に示されるように、駆動軸21の前端側部分には、ファン23が一体回転可能に設けられている。ファン23は、全体として、前後方向を厚み方向とする円盤状に形成されている。ファン23は、ファン23の後部を構成する第1ファン部23Aと、ファン23の前部を構成する第2ファン部23Bと、を含んで構成されており、第1ファン部23A及び第2ファン部23Bは遠心ファンとして構成されている。
【0030】
第1ファン部23Aは、ベースプレート24と、複数の第1フィン25と、を含んで構成されている。ベースプレート24は、前後方向を板厚方向とする略円環板状に形成されている。第1フィン25は、ベースプレート24の後面に形成されると共に、ベースプレート24の径方向に沿って延在されている。また、複数の第1フィン25は、ベースプレート24の周方向に所定角度毎に配置されている。さらに、ハウジング12の第1排気口13Cが、第1フィン25に対してファン23の径方向外側に配置されている。そして、駆動軸21と共にファン23が回転すると、第1フィン25によってファン23の径方向外側へ流れる空気流を発生させる構成になっている。これにより、第1ファン部23Aによって、リヤ吸気口13Aから本体ハウジング13内に空気を流入し、当該空気を第1排気口13Cから流出させて、モータ20を冷却する構成になっている。
【0031】
第2ファン部23Bは、ベースプレート24と、複数の第2フィン26と、ファンカバー27と、を含んで構成されている。すなわち、ベースプレート24が、第1ファン部23A及び第2ファン部23Bの共通部として構成されている。第2フィン26は、ベースプレート24の前面に形成されると共に、ベースプレート24の径方向に延在されている。また、複数の第2フィン26は、ベースプレート24の周方向に所定角度毎に配置されている。さらに、ハウジング12の第2排気口13Dが、第2フィン26に対してファン23の径方向外側に配置されている。
【0032】
ファンカバー27は、略円環板状に形成されて、第2フィン26の前端部に接続されている。ファンカバー27は、側面視で径方向内側へ向かうに従い前側へ若干傾斜している。また、ファンカバー27の中央開口部が、ファン吸気口27Aとして構成されており、ファン吸気口27Aの内径が駆動軸21の直径よりも大きく設定されている。また、ファンカバー27の前端部が、ハウジング12のフロント吸気口13Bの上側に配置されている。
【0033】
そして、駆動軸21と共にファン23が回転すると、第2ファン部23Bのファン吸気口27Aから第2ファン部23Bの内部に空気を流入し、流入した空気を、第2フィン26によってファン23の径方向外側へ流すように構成されている。これにより、第2ファン部23Bによって、フロント吸気口13Bから本体ハウジング13内に流入する空気流ARが発生するようになっている。そして、空気流ARが、第2ファン部23Bの内部を通過して、第2排気口13Dから排気されるようになっている。
【0034】
(駆動機構部30について)
図2に示されるように、駆動機構部30は、モータ20の回転力を先端工具Tに伝達して、先端工具Tを駆動する機構部として構成されている。駆動機構部30は、本体ハウジング13の前端部内に収容されている。詳しくは、駆動機構部30は、ファン23の前側に配置されている。駆動機構部30は、中間軸31及び伝達部32を含んで構成されている。
【0035】
中間軸31は、前後方向を軸方向とする略円柱状に形成されて、本体ハウジング13に固定された軸受(図示省略)によって回転可能に支持されている。中間軸31の後端部には、ギヤ(図示省略)が一体回転可能に設けられており、当該ギヤが、駆動軸21のピニオンギヤ21Aに噛合されている。これにより、モータ20が駆動して駆動軸21が回転することで、中間軸31が自身の軸回りに回転する構成になっている。中間軸31には、運動変換部材(図示省略)が設けられており、運動変換部材は、中間軸31の回転運動を前後方向の往復運動に変換して、後述する伝達部32に伝達する構成になっている。
【0036】
伝達部32は、中間軸31の上側において前後方向に延在されている。そして、伝達部32の前端部に、先端工具Tが装着されている。先端工具Tは、前後方向を軸方向とする略円柱状に形成されて、先端工具Tの後端部が、伝達部32に装着されている。また、伝達部32は、中間軸31に連結されている。これにより、モータ20の回転力が先端工具Tに伝達されて、先端工具Tが自身の軸回りに回転して、被加工材に対して穿孔加工を施すようになっている。
【0037】
(バッテリーパック34について)
図1及び図2に示されるように、バッテリーパック34は、略直方体に形成されている。そして、バッテリーパック34が、ハンドルハウジング14のバッテリー取付部14Bに、後側から装着されている。バッテリーパック34は、図示しないコネクタを有しており、当該コネクタがコネクタ17に接続されて、バッテリーパック34からモータ20に電力が供給される構成になっている。また、バッテリーパック34は、一対の係合部材34Aを有しており、係合部材34Aは、バッテリーパック34の左右の側部に設けられている。そして、係合部材34Aがハンドルハウジング14に係合して、バッテリーパック34の後側への移動が制限されている。
【0038】
(集塵装置40について)
図1に示されるように、集塵装置40は、本体部としての集塵装置本体50と、集塵装置本体50及びハンマドリル10を連結するためのアダプタ41と、を含んで構成されている。また、詳細については後述するが、集塵装置本体50の内部と本体ハウジング13の内部とが、フロント吸気口13Bを介して連通されて、ファン23の第2ファン部23Bによって発生する空気流ARによって集塵装置本体50内の空気をフロント吸気口13Bから本体ハウジング13内に流入させるようになっている。より詳しくは、空気流ARによって、先端工具Tの周囲の空気及び塵埃を集塵装置本体50内に吸引し、集塵装置本体50内において、吸引した空気と塵埃とを分離し、分離した空気をフロント吸気口13Bから本体ハウジング13内へ流出させるようになっている。以下、先にアダプタ41について説明し、次いで集塵装置本体50について説明する。
【0039】
(アダプタ41について)
図1図4に示されるように、アダプタ41は、ハンマドリル10の本体ハウジング13に着脱可能に取付けられて、後述する集塵装置本体50をハンマドリル10に連結するための連結部材として構成されている。アダプタ41は、アダプタ本体42と、左右一対のアダプタ係止部材49と、を含んで構成されている。
【0040】
図7図10に示されるように、アダプタ本体42は、上下方向を厚み方向とし且つ前後方向を長手方向とする略矩形板状に形成されている。アダプタ本体42の前端部における左部には、上側へ突出した軸固定部42Aが設けられている。軸固定部42Aには、支持軸43が設けられており、支持軸43は、左右方向を軸方向とする略円柱状に形成されて、軸固定部42Aから右側へ延出している。これにより、支持軸43が、アダプタ本体42の前端部の上側に離間して設けられている。そして、アダプタ41のハンマドリル10への取付状態では、支持軸43がハンマドリル10の支持孔13G内に左側から挿入されて、アダプタ41の前端部がハンマドリル10に支持されている。
【0041】
アダプタ本体42の下面には、後述する集塵装置本体50の被取付部82を取付けるための取付凹部42Bが形成されており、取付凹部42Bは、下側且つ前側へ開放された凹状に形成されると共に、下側から見て略矩形状に形成されている。取付凹部42Bの内周面の上部には、取付凹部42Bの内側へ開放されたレール溝42Cが形成されている。レール溝42Cは、取付凹部42Bの周方向に沿って延在されており、レール溝42Cの長手方向両端部が前側へ開放されている。すなわち、レール溝42Cは、取付凹部42Bの左右の内周面に形成された被係合部としての一対のサイドレール溝42C1と、取付凹部42Bの後面に形成されたリヤレール溝42C2と、を含んで構成されている。そして、サイドレール溝42C1の後端部(前後方向一方側端部)とリヤレール溝42C2の左右方向両端部とが連通されており、サイドレール溝42C1の前端部(前後他方側端部)が前側へ開放されている。また、サイドレール溝42C1の溝幅寸法(上下方向の寸法)は、後側へ向かうに従い小さくなるように形成されている(図9参照)。つまり、取付凹部42Bの頂面が、後側へ向かうに従い下側へ傾斜している。
【0042】
アダプタ本体42の前後方向中間部には、アダプタ連結部42Dが形成されている。アダプタ連結部42Dは、上下方向を軸方向とし且つ左右方向を長手方向とする略矩形筒状に形成されている。アダプタ連結部42Dは、上下方向に貫通しており、アダプタ連結部42Dと取付凹部42Bの後端部とが連通されている。また、アダプタ連結部42Dの上端部は、アダプタ本体42よりも上側へ突出している。そして、アダプタ41のハンマドリル10への取付状態では、アダプタ連結部42Dの上端部がハンマドリル10のフロント吸気口13B内に嵌入されている(図3参照)。
【0043】
アダプタ本体42の後端部の側部には、後述するアダプタ係止部材49を配置するための左右一対の配置凹部42E(図8参照)が形成されている。配置凹部42Eは、左右方向外側へ開放された凹状に形成されると共に、上下方向に貫通されている。
【0044】
アダプタ本体42の上面には、スペーサ収容部42Fが形成されている。スペーサ収容部42Fは、上側へ開放された凹状に形成されると共に、平面視で略T字形状に形成されている。そして、アダプタ連結部42Dが、スペーサ収容部42Fの後部内に配置されている。また、スペーサ収容部42Fの内部には、左右方向に延在された左右一対の区画リブ42G(図7参照)が形成されており、区画リブ42Gは、スペーサ収容部42Fの左右の側面から左右方向内側へ延出されている。これにより、スペーサ収容部42Fの前端部と後部とが区画リブ42Gによって前後に区画されている。
【0045】
スペーサ収容部42Fの前端部には、スペーサとしてのフロントスペーサ44が着脱可能に設けられている。フロントスペーサ44は、上下方向を板厚方向とする略矩形板状に形成されると共に、ゴムなどの弾性材によって構成されている。また、フロントスペーサ44は、ハンマドリル10のフロント吸気口13Bに嵌入可能に構成されている。すなわち、ハンマドリル10の単体での使用形態では、フロントスペーサ44が、フロント吸気口13Bに嵌入されて、フロント吸気口13Bの開口部を塞ぐ蓋部として機能するようになっている。一方、集塵装置40をハンマドリル10に取付けた使用形態では、フロントスペーサ44を、フロント吸気口13Bから取り外して、アダプタ41のスペーサ収容部42Fに取付ける構成になっている。
【0046】
スペーサ収容部42Fの後部には、リヤスペーサ45が設けられている。リヤスペーサ45は、上下方向を板厚方向とする略T字形板状に形成されると共に、ゴムなどの弾性材によって構成されている。そして、アダプタ41のハンマドリル10への取付状態では、本体ハウジング13の下壁がフロントスペーサ44及びリヤスペーサ45の上面に当接する構成になっている(図3参照)。なお、リヤスペーサ45には、アダプタ連結部42Dが挿通される挿通部45Aが貫通形成されている。
【0047】
アダプタ本体42の下面の後端部には、一対の配置凹部42Eの間において、下側へ開放されたバネ収容部42H(図10参照)が形成されており、バネ収容部42Hが左右方向に延在されている。また、アダプタ本体42の後端部には、蓋部材46が設けられており、バネ収容部42Hの開口部が、蓋部材46によって閉塞されている。蓋部材46の前端部には、左右方向中央部において、ロック凹部46Aが形成されている。ロック凹部46Aは、上側へ隆起されると共に、前側及び下側へ開放された凹状に形成されている。
【0048】
また、アダプタ本体42の下面には、取付凹部42Bと蓋部材46との間において、ロック溝42J(図8参照)が形成されており、ロック溝42Jによって取付凹部42Bとロック凹部46Aとが前後方向に連通されている。また、ロック溝42Jの右部には、アダプタ本体42の幅方向中央側へ張り出されたロックフック部42K(図8参照)が形成されている。
【0049】
また、図10に示されるように、バネ収容部42H内には、蓋部材46のロック凹部46Aの上側において、台座プレート47が設けられている。台座プレート47は、上下方向を板厚方向とし且つ左右方向を長手方向とする略長尺板状に形成されている。また、台座プレート47の左右方向中央部は、上側へ隆起して、ロック凹部46Aの上側に隣接して配置されている。さらに、バネ収容部42H内には、左右一対の付勢バネ48が設けられている。付勢バネ48は、圧縮コイルスプリングとして構成されると共に、台座プレート47の長手方向両端部とバネ収容部42Hの頂面との間に配置されている。これにより、台座プレート47が付勢バネ48によって下側へ付勢されている。
【0050】
図7図10に示されるように、アダプタ係止部材49は、全体として左右方向を板厚方向とする略T字形板状に形成されている。そして、アダプタ係止部材49の下端部が、アダプタ本体42の配置凹部42E内に配置され、前後方向を軸方向とするピンPによって、アダプタ本体42に回転可能に連結されている。そして、アダプタ係止部材49のアダプタ本体42への連結状態では、アダプタ係止部材49の上端部が、アダプタ本体42よりも上側へ突出している。具体的には、左右一対のアダプタ係止部材49が、左右方向に対向するように配置されている(図10において実線にて示される状態であり、以下、この状態を係止状態という)。
【0051】
アダプタ係止部材49の下端部には、左右方向内側へ突出した突起片49A(図10参照)が形成されており、突起片49Aは、アダプタ本体42のバネ収容部42H内に配置されると共に、蓋部材46と台座プレート47との間に配置されている。これにより、アダプタ係止部材49が、付勢バネ48の付勢力によって、係止状態に保持されている。また、アダプタ係止部材49の回転方向一方側(一対のアダプタ係止部材49の上端部が互いに接近する方向)への回転が、蓋部材46によって制限されている。一方、作業者の操作によって、アダプタ係止部材49が、付勢バネ48の付勢力に抗して、回転方向他方側(図10の矢印A方向側)に回転されることで、一対のアダプタ係止部材49の上端部が互いに離間されるようになっている(図10において2点鎖線にて示される状態であり、以下、この状態を係止解除状態という)。すなわち、アダプタ係止部材49は、係止状態及び係止解除状態に切替可能に構成されている。
【0052】
アダプタ係止部材49の上端部には、係止フック49Bが形成されている。係止フック49Bはアダプタ41の左右方向内側へ突出されると共に、前後方向に延在されている。そして、アダプタ41の本体ハウジング13への取付状態では、係止状態におけるアダプタ係止部材49の係止フック49Bが、本体ハウジング13の係止凹部13E内に挿入されて、アダプタ係止部材49が本体ハウジング13に係止されている(図1及び図14参照)。
【0053】
アダプタ係止部材49の下端部には、係止操作部49Cが形成されており、係止操作部49Cは、作業者の切替操作時に作業者に把持される部分として構成されている。係止操作部49Cは、アダプタ41の左右方向外側へ突出しており、係止操作部49Cの先端部が下側へ屈曲している。そして、後述する集塵装置本体50のアダプタ41への取付状態では、集塵装置本体50の段差部51Cが、係止操作部49Cの下側で且つ一対の係止操作部49Cの先端部の間に隣接配置される構成になっている(図10参照)。これにより、係止操作部49Cの先端部が集塵装置本体50に当接して、アダプタ係止部材49の回転方向他方側への回転が制限される構成になっている。つまり、アダプタ係止部材49の係止状態から係止解除状態への切替が阻止される構成になっている。
【0054】
(集塵装置本体50について)
図1図4図11、及び図12に示されるように、集塵装置本体50は、全体として前後方向に延在されると共に、本体ハウジング13の下側に隣接して配置されている。集塵装置本体50は、集塵ハウジング51と、空気流入部52と、集塵部58と、を含んで構成されている。また、集塵装置本体50は、集塵装置本体50をアダプタ41に取付けるための被取付部82と、ロック部材86と、を有している。以下、集塵装置本体50の各構成について説明する。
【0055】
(集塵ハウジング51について)
集塵ハウジング51は、集塵装置本体50の上部の外郭を構成している。集塵ハウジング51は、下側へ開放された略箱状に形成されている。集塵ハウジング51は、左右方向に2分割されたハウジング部材によって構成されており、分割されたハウジング部材を組み付けることで集塵ハウジング51が構成されている。集塵ハウジング51の前部には、前後方向を軸方向とする筒状の支持筒部51Aが形成されており、支持筒部51Aは、ハンマドリル10の本体ハウジング13より前側に配置されている。支持筒部51Aの後端部には、分割されたハウジング部材同士を連結するための連結部51B(図2及び図3参照)が形成されており、連結部51Bは、左右方向を軸方向とする略円筒状に形成されている。
【0056】
また、集塵ハウジング51の上側後端部には、下側へ一段下がった段差部51C(図1及び図12参照)が形成されている。そして、集塵装置本体50のアダプタ41への取付状態では、アダプタ41が、段差部51C内に配置されるようになっている。段差部51Cには、後述する被取付部82を露出させるための第1露出孔51D(図3及び図12参照)が貫通形成されており、第1露出孔51Dは、平面視で略矩形状に形成されている。第1露出孔51Dの縁部は、下側へ一段下がった段差状に形成されている(図3参照)。また、段差部51Cには、第1露出孔51Dの後側において、後述するロック部材86を露出させるための第2露出孔51E(図3及び図12参照)が貫通形成されており、第2露出孔51Eは、平面視で略矩形状に形成されると共に、第1露出孔51Dと連通している。
【0057】
(空気流入部52について)
図2に示されるように、空気流入部52は、先端工具Tの周囲の空気を流入して、後述する集塵部58へ空気を流出する機構部として構成されている。空気流入部52は、集塵装置本体50の前側の上部を構成している。空気流入部52は、スライドアーム53と、吸引部54と、吸気管55と、を含んで構成されている。
【0058】
スライドアーム53は、前後方向を軸方向とする筒状に形成されている。スライドアーム53は、集塵ハウジング51の支持筒部51Aに前後方向にスライド可能に連結されており、スライドアーム53の前端部が支持筒部51Aよりも前側へ突出している。
【0059】
吸引部54は、上下方向を軸方向とする筒状に形成されており、吸引部54の下端部が、スライドアーム53の前端部に連結されている。吸引部54の下端部には、後側へ屈曲された接続筒部54Aが形成されており、接続筒部54Aは、スライドアーム53の前端部内に配置されている。
【0060】
吸引部54の上側開口部は、吸引口54Bとして構成されている。また、吸引部54の上端部には、工具挿通部54Cが形成されている。工具挿通部54Cは、前後方向を軸方向とする略円筒状に形成されており、吸引口54Bが、工具挿通部54Cの径方向内側へ開口している。そして、集塵装置本体50のハンマドリル10への取付状態では、先端工具Tの先端部が工具挿通部54Cの内部に挿入されている。これにより、吸引口54Bによって、先端工具Tの周囲の空気を吸引部54内に流入するように構成されている。
【0061】
吸気管55は、吸気管55の後部を構成するリヤ吸気管56と、吸気管55の前部を構成するフロント吸気管57と、を含んで構成されている。リヤ吸気管56は、前後方向を軸方向とする略円筒状に形成されている。リヤ吸気管56は、集塵ハウジング51の支持筒部51A内に収容されると共に、集塵ハウジング51に固定されている。リヤ吸気管56の後端部には、下側へ突出した管出口部56Aが形成されている。管出口部56Aは、略矩形筒状に形成されており、リヤ吸気管56の内部と管出口部56Aの内部とが連通されている。なお、リヤ吸気管56は、後述する被取付部82を有する被取付部材80に形成されて、被取付部材80の前部を構成している(図3参照)。
【0062】
フロント吸気管57は、前後方向を軸方向とする略円筒状に形成されている。フロント吸気管57は、リヤ吸気管56の前側において、リヤ吸気管56と同軸上に配置されており、フロント吸気管57の後端部がリヤ吸気管56の前端部に外挿されている。フロント吸気管57は、伸縮性を有するゴム材などによって形成されて、前後方向に伸縮可能に構成されている。これにより、フロント吸気管57を含む吸気管55が、前後方向に伸縮可能に構成されている。フロント吸気管57の前端部は、吸引部54の接続筒部54Aに外挿されている。よって、吸引口54Bから吸引部54内に吸入された空気が、吸気管55内を後側へ流れて、管出口部56Aから下側へ流出される構成になっている。
【0063】
(集塵部58について)
図2図4図11、及び図12に示されるように、集塵部58は、略直方体箱状に形成されると共に、リヤ吸気管56の下側において、集塵ハウジング51に着脱可能に取付けられている。すなわち、集塵部58は、吸引口54Bの後側に配置されている。集塵部58は、集塵部58の前部を構成する補助機構部としてのサイクロン部60と、集塵部58の後端側部分を構成するフィルタ部70と、を有している。また、集塵部58は、サイクロン部60の外郭を構成する集塵室外壁としての第1ケース58Aと、フィルタ部70の外郭を構成する第2ケース58Bと、有しており、第1ケース58A及び第2ケース58Bが互いに組付けられている。第1ケース58Aは、前後方向に貫通された筒状に形成されており、第2ケース58Bは、上側へ開放された略箱状に形成されている。そして、第1ケース58Aの後側開口部が、第2ケース58Bによって閉塞されている。これにより、第2ケース58Bの前壁が、サイクロン部60とフィルタ部70とを区画する区画壁58Cとして構成されている。
【0064】
また、第1ケース58Aの前端部には、集塵蓋59が開閉可能に設けられており、集塵蓋59は、前後方向を板厚方向とする略矩形板状に形成されている。そして、集塵蓋59の下端部が、左右方向を軸方向として第1ケース58Aに回転可能に連結されており、集塵蓋59の上端部が、第1ケース58Aに係止されている。これにより、集塵蓋59によって第1ケース58Aの前側開口部が閉塞されている。また、集塵蓋59の上端部には、前側へ開放された係止溝59A(図2及び図3参照)が形成されている。そして、集塵部58の集塵ハウジング51への取付状態では、集塵ハウジング51の連結部51Bが係止溝59A内に配置されて、集塵部58の前端部が連結部51Bに係止されている。これにより、集塵部58の集塵ハウジング51への取付状態では、集塵蓋59の閉塞状態が維持される構成になっている。
【0065】
(サイクロン部60について)
サイクロン部60の外壁は、前述の第1ケース58Aによって構成されている。サイクロン部60は、左右一対のサイクロン外筒61と、左右一対のサイクロン入口部64と、左右一対の内筒としての排気内筒65と、を有している。
【0066】
(サイクロン外筒61について)
一対のサイクロン外筒61は、第1ケース58Aの内部に配置されると共に、集塵装置本体50の左右方向中央に対して左右対称の位置に配置されている。サイクロン外筒61は、全体として、前後方向を軸方向とする略円筒状に形成されており、サイクロン外筒61の中心軸をサイクロン軸61Cとしている。また、サイクロン外筒61は、サイクロン外筒61の後部を構成する第1外筒としてのリヤ外筒62と、サイクロン外筒61の前部を構成する第2外筒としてのフロント外筒63と、を含んで構成されている。
【0067】
リヤ外筒62は、サイクロン軸61Cを中心とする円筒状に形成されると共に、区画壁58Cから前側へ突出している。換言すると、リヤ外筒62は、前側へ開放された有底円筒状に形成されると共に、リヤ外筒62の後端部(軸方向一方側端部)が、区画壁58Cによって閉塞されている。また、リヤ外筒62の内径は、前後方向において、一定に設定されている。すなわち、リヤ外筒62の内周面が、サイクロン軸61Cと平行に配置されている。
【0068】
フロント外筒63は、サイクロン軸61Cを中心とする略円錐筒状に形成されて、リヤ外筒62の前側に配置されている。具体的には、フロント外筒63の内周面が、前側へ向かうに従いサイクロン軸61Cに接近する方向に傾斜している。換言すると、フロント外筒63の後端部の内径が、フロント外筒63の前端部の内径よりも大きく設定されている。また、フロント外筒63は、第1ケース58Aと一体に形成されて、フロント外筒63の一部が、第1ケース58Aの左右の側壁の一部を構成している。フロント外筒63の側壁は、前側(軸方向他方側)へ向かうに従い径方向内側へ傾斜している。
【0069】
フロント外筒63の後端部の内径は、リヤ外筒62の内径よりも大きく設定されており、リヤ外筒62の前端部が、フロント外筒63の後端部の内部に配置されている。すなわち、前後方向において、リヤ外筒62の前端部とフロント外筒63の後端部とが、重なっており、サイクロン外筒61には、リヤ外筒62の前端部とフロント外筒63の後端部との間において、開口部61Aが形成されている。そして、開口部61Aは、フロント外筒63及びリヤ外筒62の周方向の全体に亘って、後側へ開放されている。さらに、左右一対のフロント外筒63の後端部同士が、集塵装置本体50の左右方向中央側の部位において、接続されている。そして、サイクロン外筒61の内部が、旋回室61Bとして構成されており、第1ケース58Aの内部における旋回室61B以外の部分が、集塵室60Aとして構成されている。
【0070】
(サイクロン入口部64について)
図4及び図11に示されるように、サイクロン入口部64は、左右一対のリヤ外筒62の後端部にそれぞれ設けられている。サイクロン入口部64は、上下方向を軸方向とする略矩形筒状に形成されて、リヤ外筒62から上側へ延出されると共に、リヤ吸気管56の管出口部56Aの下側に隣接して配置されている。具体的には、サイクロン入口部64は、リヤ外筒62の左右方向内側(集塵装置本体50の左右方向中央側)の部分から上側へ延出しており、リヤ外筒62の内部とサイクロン入口部64の内部とが連通されている。すなわち、サイクロン入口部64は、サイクロン軸61Cに対して、集塵装置本体50の左右方向中央側にずれた位置に配置されている。
【0071】
また、サイクロン入口部64の左右方向内側の側壁は、ガイド壁64Aとして構成されると共に、ガイド壁64Aの内周面がガイド面64Bとして構成されている。ガイド面64Bは、前側から見た正面視で、上側へ向かうに従い左右方向内側へ傾斜しており、ガイド面64Bの下端が、リヤ外筒62の内周面に接続されている。具体的には、正面視で、ガイド面64Bは、ガイド面64Bの下端からリヤ外筒62の内周面の接線方向に沿って上側へ延出している。
【0072】
そして、サイクロン入口部64の内部がサイクロン入口孔64Cとして厚生されており、管出口部56Aからサイクロン入口孔64Cに流入される空気が、ガイド面64Bに沿ってリヤ外筒62内に流入される構成になっている。すなわち、リヤ外筒62内に流入された空気が、リヤ外筒62の内周面に沿って旋回しながら前側へ流れるように構成されている。また、リヤ外筒62の前端部からフロント外筒63の内部に流出された空気が、フロント外筒63の内周面に沿って旋回しながら前側へ流れるように構成されている。これにより、旋回室61B内において、空気と塵埃とが分離され、当該塵埃がフロント外筒63の前端開口部から排出されて、集塵室60Aの下面に溜まるように構成されている。なお、左右一対のサイクロン入口部64では、ガイド壁64Aの上端同士が接続されている。
【0073】
(排気内筒65について)
排気内筒65は、一対のリヤ外筒62の内部にそれぞれ設けられている。排気内筒65は、サイクロン軸61Cを中心とする円筒状に形成されて、区画壁58Cから前側へ突出している。また、排気内筒65は、前後方向に貫通している。すなわち、排気内筒65の後端部には、区画壁58Cを貫通するサイクロン出口孔66が形成されており、サイクロン部60の内部と、後述するフィルタ部70の内部とが、サイクロン出口孔66によって連通されている。そして、塵埃が分離された空気が、サイクロン外筒61の中央部を後側へ流れると共に、排気内筒65内を後側へ流れて、後述するフィルタ部70に流出される構成になっている。
【0074】
(フィルタ部70について)
図2図3図11、及び図12に示されるように、フィルタ部70の外郭は、前述の第2ケース58Bによって構成されている。第2ケース58Bの左側部には、集塵係止部材68が設けられており、集塵係止部材68は、左右方向を板厚方向とする略矩形板状に形成されている。集塵係止部材68の下端部は、前後方向を軸方向として第2ケース58Bに回転可能に連結されている。そして、集塵部58の集塵ハウジング51への取付状態では、集塵係止部材68の上端部が、集塵ハウジング51の左壁の内側面に係合している。
【0075】
フィルタ部70の内部は、フィルタ室71として構成されており、前述したサイクロン出口孔66によって、排気内筒65とフィルタ室71とが連通している。フィルタ室71の上部には、上下方向中間部において、フィルタ72が設けられている。フィルタ72は、シート状に形成されて、プリーツ状に折り畳まれている。具体的には、側面視で、フィルタ72の山折りにされた折目部が、フィルタ72の上端部を構成し、フィルタ72の谷折りにされた折目部が、フィルタ72の下端部を構成するように、フィルタ72がプリーツ状に折り畳まれて、前後方向に重なっている。
【0076】
また、第2ケース58Bの上側には、集塵排出部73が設けられており、集塵排出部73は、リヤ吸気管56の後側に配置されると共に、リヤ吸気管56と一体に形成されている。集塵排出部73は、上下方向に貫通した略矩形筒状に形成されている。より詳しくは、集塵排出部73の断面積が上側へ向かうに従い小さくなるように、集塵排出部73が形成されている。これにより、フィルタ室71の内部と外部とが集塵排出部73によって連通されている。そして、集塵排出部73の上端部が、集塵ハウジング51の第1露出孔51Dの内部に配置されて、集塵ハウジング51の段差部51Cから上側へ突出している(図12参照)。
【0077】
さらに、集塵排出部73の上側開口部は、排出口としての集塵排出口74として構成されており、集塵排出口74の外形は、アダプタ41のアダプタ連結部42Dの内部の形状と略一致している。そして、集塵装置40のハンマドリル10への取付状態では、集塵排出部73が、アダプタ41のアダプタ連結部42Dの下側に隣接して配置されている(図3参照)。これにより、本体ハウジング13の内部と集塵装置本体50の内部とが、集塵排出口74及びフロント吸気口13Bによって連通されている。したがって、サイクロン部60からフィルタ室71内に流入された空気が、上側へ流れて、フィルタ72を通過するようになっている。そして、フィルタ72を通過した空気が、集塵排出口74から本体ハウジング13内に流入される構成になっている。これにより、先端工具Tの周囲の空気を、ハンマドリル10の本体ハウジング13へ流すための流路としての空気通路部90が、空気流入部52、サイクロン部60、及びフィルタ室71によって構成されている。
【0078】
(被取付部82について)
図3図4、及び図12に示されるように、被取付部82は、被取付部材80の後部の上端部に設けられており、被取付部材80は、前述したリヤ吸気管56及び集塵排出部73を有している。被取付部82は、上下方向を板厚方向とする略矩形板状に形成されており、被取付部82の後部が、集塵排出部73の上端部に接続されている。さらに、被取付部82の左右方向両端部は、集塵排出部73よりも左右方向外側へ突出し、被取付部82の後端部が、集塵排出部73よりも後側に突出するように、被取付部82が集塵排出部73の上端部に接続されている。これにより、被取付部82が、集塵ハウジング51の段差部51Cよりも上側に配置されている。
【0079】
そして、被取付部82の左右方向両端部(詳しくは、集塵排出部73よりも左右方向外側へ突出された部分)は、係合部としてのサイドレール82Aとして構成されている。すなわち、サイドレール82Aは、集塵排出口74の左右方向外側において、前後方向に延在されている。また、サイドレール82Aのレール幅寸法(上下方向の寸法)は、アダプタ41のサイドレール溝42C1に対応して、後側へ向かうに従い小さくなるように設定されている。つまり、被取付部82の上面が、アダプタ41の取付凹部42Bの頂面に対応して、後側へ向かうに従い下側へ傾斜している。そして、集塵装置本体50のアダプタ41への取付状態では、サイドレール82Aが、アダプタ41のサイドレール溝42C1内に前後方向にスライド可能に挿入されると共に、サイドレール溝42C1と上下方向に係合している。
【0080】
被取付部82の後端部(詳しくは、集塵排出部73よりも後側へ突出された部分)は、リヤレール82Bとして構成されている。すなわち、リヤレール82Bは、集塵排出口74の後側において、左右方向に延在されている。そして、集塵装置本体50のアダプタ41への取付状態では、リヤレール82Bが、アダプタ41のリヤレール溝42C2内を前後方向にスライド可能に挿入されており、リヤレール溝42C2と上下方向に係合している。
【0081】
また、被取付部82の下側には、カバープレート部84が形成されている。カバープレート部84は、被取付部82と同様に上下方向を板厚方向とする略矩形プレート状に形成されると共に、集塵排出部73に接続されている。そして、カバープレート部84が、集塵ハウジング51における第1露出孔51Dの縁部の上側に配置されて、第1露出孔51Dを閉塞している。
【0082】
(ロック部材86について)
ロック部材86は、被取付部材80の後側に配置されると共に、集塵ハウジング51の段差部51C内において、集塵ハウジング51に左右方向にスライド可能に取付けられている。具体的には、ロック部材86は、図示しないスプリングによって図12に示されるロック状態となるように右側へ付勢されており、作業者の操作によってロック状態から左側へスライドした許可状態に切替可能に構成されている。
【0083】
ロック部材86は、略L字形板状に形成されている。具体的には、ロック部材86は、前後方向を板厚方向とするロック操作部86Aと、ロック操作部86Aの上端部から前側へ延出されたロック本体部86Bと、を含んで構成されている。
【0084】
ロック操作部86Aは、集塵ハウジング51から後側へ操作可能に露出されている。すなわち、集塵装置本体50のアダプタ41への取付状態では、ロック操作部86Aが、アダプタ41のアダプタ係止部材49の後側に配置されると共に、後側から見て一対のアダプタ係止部材49の間に配置されている。ロック本体部86Bの上面には、ロック部86Cが形成されており、ロック部86Cは、集塵ハウジング51における段差部51Cの第2露出孔51E内に配置されている。
【0085】
そして、集塵装置本体50をアダプタ41に取付けるときには、集塵装置本体50を後方にスライドすることで、ロック部86Cが、ロックフック部42Kの前面に形成された傾斜面と当接して左側にスライドし、アダプタ41のロック凹部46A内に配置される(図8の1点鎖線にて示されるロック部86Cを参照)。そして、ロック部材86が図示しないスプリングによって右側へ移動しロック状態に切替わることで、ロック部86Cがロックフック部42Kの後側に隣接配置されて(図8の2点鎖線にて示されるロック部86Cを参照)、ロック部86Cとアダプタ41のロックフック部42Kとが前後方向に係合する構成になっている。これにより、集塵装置本体50のアダプタ41からの取外しが阻止されるようになっている。一方、作業者の操作によってロック部材86を許可状態に切り替えることで、ロック部86Cとロックフック部42Kとの係合状態が解除される構成になっている。これにより、集塵装置本体50のアダプタ41に対する前側への相対移動が許可されて、集塵装置本体50のアダプタ41からの取外しが許可される構成になっている。
【0086】
(作用効果)
次に、集塵装置40のハンマドリル10への取付手順を説明しつつ、本実施の形態の作用及び効果について説明する。
【0087】
集塵装置40のハンマドリル10への取付けでは、先にアダプタ41をハンマドリル10に取付ける。具体的には、図13に示されるように、アダプタ41を後傾させるように配置し、アダプタ41の支持軸43を、ハンマドリル10の支持孔13Gの左側に配置する。そして、支持軸43を支持孔13G内に左側から挿入する。支持軸43の支持孔13Gへの挿入後、アダプタ41を支持軸43の周方向一方側(図13の矢印B方向側)へ回転させる。これにより、アダプタ41のアダプタ連結部42Dの上端部が、ハンマドリル10のフロント吸気口13B内に下側から嵌入される。さらに、アダプタ係止部材49の係止フック49Bが、本体ハウジング13の係止凹部13E内に挿入されて、アダプタ係止部材49が本体ハウジング13に係止される。以上により、アダプタ41がハンマドリル10に取付けられる。
【0088】
アダプタ41のハンマドリル10への取付後、集塵装置本体50をアダプタ41に取付ける。具体的には、図14に示されるように、集塵装置本体50の被取付部82を、アダプタ41の前側に配置する。この状態で、集塵装置本体50をアダプタ41に対して後側へ移動させて、集塵装置本体50の被取付部82をアダプタ41の取付凹部42B内に挿入する。具体的には、集塵装置本体50の左右一対のサイドレール82Aをアダプタ41のサイドレール溝42C1内に前側から挿入させる。サイドレール82Aのサイドレール溝42C1への挿入後、集塵装置本体50をアダプタ41に対して後側へさらに移動させて、集塵装置本体50のリヤレール82Bをアダプタ41のリヤレール溝42C2内に前側から挿入させる。
【0089】
リヤレール82Bのリヤレール溝42C2内への挿入完了時には、集塵装置本体50の集塵排出部73が、アダプタ41のアダプタ連結部42Dの下側に隣接して配置されて、集塵装置本体50の集塵排出口74とハンマドリル10のフロント吸気口13Bとが連通される。これにより、集塵装置本体50の被取付部82がアダプタ41の取付凹部42Bに取付けられる。また、被取付部82の取付凹部42Bへの取付時には、集塵装置本体50の段差部51Cが、アダプタ係止部材49の係止操作部49Cの下側に隣接配置される。
【0090】
なお、被取付部82の取付凹部42Bへの取付時には、上述のように、集塵装置本体50を後方にスライドすることで、ロック部86Cが、ロックフック部42Kの前面の傾斜面によって左側にスライドし、アダプタ41のロック凹部46A内に配置される。そして、ロック部材86が不図示のスプリングによって右側へ移動しロック状態に切替わることで、ロック部86Cがロックフック部42Kの後側に隣接配置されて、ロック部86Cとロックフック部42Kとが前後方向に係合する。これにより、集塵装置本体50のアダプタ41に対する前側への相対移動が制限されて、集塵装置40のハンマドリル10への取付が完了する。
【0091】
集塵装置40のハンマドリル10への取付完了後、作業者がハンマドリル10のトリガ15を引き操作することで、モータ20が駆動し、先端工具Tが自身の軸回りに回転する。これにより、被加工材に対して穿孔加工を施すことができる。具体的には、先端工具Tを被加工材側へ押し付けて、被加工材に対して穿孔加工を施す。また、モータ20の駆動時には、モータ20の駆動軸21と共に、ファン23が回転する。
【0092】
そして、ハンマドリル10の作動時には、ファン23の第2ファン部23Bによって、集塵装置本体50からハンマドリル10へ向かう空気流AR(図2参照)が発生する。具体的には、集塵装置本体50の吸引口54Bにおいて、工具挿通部54Cの径方向内側の空気を吸引部54の内部へ引き込む空気流ARが発生する。
【0093】
これにより、先端工具Tにおける先端部の周囲の空気が、吸引口54Bによって集塵装置本体50の内部に吸引される。すなわち、穿孔加工時に生じる粉塵を含む先端工具Tの周囲の塵埃が、空気と共に、吸引口54Bから吸引部54の内部に流入される。なお、被加工材に対する穿孔加工時には、穿孔加工が経過するに従いハンマドリル10が被加工材に接近して、集塵装置本体50の工具挿通部54Cが被加工材に当接する。このため、ハンマドリル10の穿孔加工時には、被加工材によって吸引部54が後側へ押圧される。これにより、空気流入部52のフロント吸気管57が収縮して、スライドアーム53及び吸引部54が後側へ変位する。
【0094】
吸引部54内に流入された空気流ARは、吸気管55内を後側へ流れて、管出口部56Aから下側へ流出される。管出口部56Aから下側へ流出された空気流ARは、サイクロン入口部64からサイクロン外筒61のリヤ外筒62内に流入される。そして、リヤ外筒62内に流入された空気流ARは、リヤ外筒62の内周面に沿ってサイクロン軸61Cの軸回りを旋回しながら前側へ流れると共に、リヤ外筒62の前端部からフロント外筒63の内部に流出される(図4及び図11の空気流ARを参照)。フロント外筒63の内部に流出された空気流ARは、フロント外筒63の内周面に沿ってサイクロン軸61Cの軸回りを旋回しながら前側へ流れる(図11の空気流ARを参照)。これにより、旋回室61B内において、空気と塵埃とが分離され、分離された塵埃が、フロント外筒63の前端開口部から集塵室60Aの下面に落下する。また、塵埃が分離された空気流ARは、サイクロン外筒61の略中央部を後側へ流れて、排気内筒65内に流入される(図11の空気流ARを参照)。そして、排気内筒65内に流入された空気流ARが、サイクロン出口孔66からフィルタ部70のフィルタ室71内に流入される。
【0095】
フィルタ室71内に流入された空気流ARは、集塵装置本体50の集塵排出口74側へ流れる。すなわち、フィルタ室71内において、空気流ARが上側へ流れると共に、フィルタ72を通過して、集塵排出部73へ流れる(図2の空気流ARを参照)。これにより、空気流ARの塵埃がフィルタ72によって除去されて、粉塵が除去された空気流ARが、集塵装置本体50の集塵排出口74から本体ハウジング13内に流入される。
【0096】
本体ハウジング13内に流入された空気流ARは、ファン23のファン吸気口27Aから第2ファン部23B内に流入する。そして、第2フィン26によって、空気流ARがファン23の径方向外側へ流れて、第2排気口13Dから排出される。以上により、集塵装置本体50によって、先端工具Tの周囲の空気を吸引して、当該空気に含まれる塵埃を分離すると共に、分離した塵埃を集めることができる。
【0097】
ここで、集塵装置40は、集塵作用を行うサイクロン部60を有する集塵装置本体50と、集塵装置本体50が取付けられ且つハンマドリル10に取付けられることで集塵装置本体50とハンマドリル10とを連結させるアダプタ41と、を備えている。すなわち、集塵装置40では、ハンマドリル10と集塵装置本体50とを連結する連結部として作用するアダプタ41と、集塵機能部として作用する集塵装置本体50と、が別部材で構成されている。これにより、例えば、各種のハンマドリルに対応した形状に、アダプタ41を適宜変更することで、集塵装置本体50を、共通部材にしつつ、各種のハンマドリルに取付けることができる。換言すると、各種のハンマドリルに対応して、集塵装置本体50を製作する必要がなくなる。したがって、集塵装置40の汎用性を向上することができる。
【0098】
また、上述のように、集塵装置40では、ハンマドリル10に取付けられるアダプタ41と、集塵機能を有する集塵装置本体50と、が別部材に構成されている。これにより、集塵装置本体50の汎用性を保ちつつ、ハンマドリル10の単体での使用時における作業性を向上することができる。すなわち、例えば、各種のハンマドリルにおいて、アダプタ41に対応した取付部を本体ハウジングに一体に形成することで、集塵装置本体50の汎用性を向上しつつ、集塵装置本体50を各種ハンマドリルに取付けることができる(以下、この構成のハンマドリルを比較例のハンマドリルという)。しかしながら、この場合には、ハンマドリルの単体での使用時に、作業者が本体ハウジングにおける当該取付部を把持する可能性がある。この場合には、本体ハウジングから突出する当該取付部を把持するため、作業性が低下する可能性がある。これに対して、本実施の形態では、上述のように、集塵装置40では、ハンマドリル10に取付けられるアダプタ41と、集塵機能を有する集塵装置本体50と、が別部材に構成されている。このため、本体ハウジング13において、集塵装置本体50を取付けるためのアダプタ41に対応する取付部を形成する必要がなくなる。したがって、上記比較例のハンマドリルと比較して、ハンマドリル10の単体での使用時における作業性を向上することができる。
【0099】
また、集塵装置本体50は、前後方向に延伸されている。さらに、集塵装置本体50は、前後方向に延在されたサイドレール82Aを有しており、アダプタ41は、前後方向に延在されたサイドレール溝42C1を有している。そして、集塵装置本体50のアダプタ41への取付状態では、サイドレール82Aがサイドレール溝42C1に前側から挿入されて、上下方向に係合している。これにより、例えば、ハンマドリル10に先端工具Tを取付けた状態で、ハンマドリル10に取付けられたアダプタ41に集塵装置本体50を装着することができる。したがって、集塵装置本体50の装着性を向上することができる。
【0100】
また、アダプタ41のハンマドリル10への取付けでは、支持軸43をハンマドリル10の支持孔13Gに左側から挿入し、アダプタ41を支持軸43の周方向一方側へ回動させることで、アダプタ41のアダプタ連結部42Dがハンマドリル10のフロント吸気口13B内に嵌入される。すなわち、アダプタ41は、左右方向を軸方向とし且つハンマドリル10に回転可能に支持された支持軸43と、支持軸43の周方向においてハンマドリル10のフロント吸気口13Bに篏合されるアダプタ連結部42Dと、を含んで構成されている。これにより、例えば、アダプタ連結部42Dとハンマドリル10のフロント吸気口13Bとの位置決めを支持軸43によって行いつつ、アダプタ41をハンマドリル10に取付けることができる。したがって、アダプタ41のハンマドリル10への取付性を向上することができる。なお、支持軸43の周方向が、本発明の第2方向に対応する。
【0101】
また、集塵装置本体50のアダプタ41への取付状態では、アダプタ41がハンマドリル10から取外不能に構成されている。具体的には、集塵装置本体50の段差部51Cが、アダプタ41におけるアダプタ係止部材49の係止操作部49Cの下側に隣接配置されており、係止操作部49Cが段差部51Cに当接することで、アダプタ係止部材49の係止状態から係止解除状態への切替えが制限されている。これにより、アダプタ係止部材49の係止状態から係止解除状態への切替えを制限するための部材を別途設けることなく、アダプタ41のハンマドリル10への取付状態を良好に維持することができる。
【0102】
また、集塵装置本体50は、ロック部材86を有しており、ロック部材86は、アダプタ41のロックフック部42Kと係合して集塵装置本体50の取付状態を維持するロック状態と、ロックフック部42Kとの係合が解除されて集塵装置本体50のアダプタ41からの取外しを許可する許可状態と、に切替可能に構成されている。そして、ロック部材86のロック操作部86Aが、アダプタ41のアダプタ係止部材49に対して離間して配置されている。具体的には、ロック操作部86Aが、アダプタ係止部材49の後側に配置されると共に、後側から見て一対のアダプタ係止部材49の間に配置されている。これにより、集塵装置40がハンマドリル10から不用意に取外しされることを抑制できる。
【0103】
また、集塵装置本体50は、サイクロン部60を有している。これにより、ハンマドリル10の作動時における先端工具Tの先端部の周囲の空気を集塵装置本体50によって吸引し、ハンマドリル10の作動時に生じる粉塵を含む塵埃と、空気と、サイクロン部60によって分離することができる。
【符号の説明】
【0104】
10 ハンマドリル(作業機)
20 モータ
23 ファン
40 集塵装置(補助装置)
41 アダプタ
42C1 サイドレール溝(被係合部)
43 支持軸
49 アダプタ係止部材
50 集塵装置本体(本体部)
60 サイクロン部(補助機構部)
82A サイドレール(係合部)
86 ロック部材
86A ロック操作部
S ハンマドリルシステム(作業機システム)
T 先端工具
図1
図2
図3
図4
図5
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図8
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図11
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図14