(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】室、建築物及び室の構築方法
(51)【国際特許分類】
E04B 1/348 20060101AFI20240925BHJP
【FI】
E04B1/348 G
E04B1/348 C
E04B1/348 F
(21)【出願番号】P 2020150152
(22)【出願日】2020-09-07
【審査請求日】2023-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】辻 靖彦
(72)【発明者】
【氏名】榎本 浩之
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼田 秀仁
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-300138(JP,A)
【文献】特開2020-133388(JP,A)
【文献】特開平08-189086(JP,A)
【文献】特開2018-104953(JP,A)
【文献】特開平04-368532(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0252558(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/348
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床部、天井部及び壁部で形成されている室であって、
前記床部を構成する中間分割床部、前記天井部を構成する中間分割天井部、それぞれ前記壁部を構成する一対の中間分割端壁及び一対の前記中間分割端壁の間に設けられた隔壁を備えた中間分割ユニットと、
前記床部を構成する第1端側分割床部、前記天井部を構成する第1端側分割天井部、それぞれ前記壁部を構成する一対の第1端側分割端壁及び第1端側側壁を備え、前記中間分割ユニットの一方の側部に連結されて前記隔壁と前記第1端側側壁との間に第1室を区画形成する第1端側分割ユニットと、
前記床部を構成する第2端側分割床部、前記天井部を構成する第2端側分割天井部、それぞれ前記壁部を構成する一対の第2端側分割端壁及び第2端側側壁を備え、前記中間分割ユニットの他方の側部に連結されて前記隔壁と前記第2端側側壁との間に第2室を区画形成する第2端側分割ユニットと、を有
し、
前記隔壁が、
一対の前記中間分割端壁の中間位置に前記中間分割端壁と平行に設けられた第1隔壁部と、
一方の前記中間分割端壁の間口幅の方向の一方の端部から前記第1隔壁部の間口幅の方向の一方の端部にまで真っ直ぐに延びる第2隔壁部と、
他方の前記中間分割端壁の間口幅の方向の他方の端部から前記第1隔壁部の間口幅の方向の他方の端部にまで真っ直ぐに延びる第3隔壁部と、を有することを特徴とする、室。
【請求項2】
前記隔壁が、一方の前記中間分割端壁の間口幅の方向の中央部から他方の前記中間分割端壁の間口幅の方向の中央部にまで真っ直ぐに延びている、請求項1に記載の室。
【請求項3】
前記中間分割ユニットの間口幅、前記第1端側分割ユニットの間口幅及び前記第2端側分割ユニットの間口幅が、互いに同一である、請求項1
または2に記載の室。
【請求項4】
前記中間分割ユニットの間口幅、前記第1端側分割ユニットの間口幅及び前記第2端側分割ユニットの間口幅が、それぞれ2.2m以下であり、前記中間分割ユニットの高さ、前記第1端側分割ユニットの高さ及び前記第2端側分割ユニットの高さが、それぞれ2.2mより大きく且つ2.8m以下であり、前記中間分割ユニットの長さ、前記第1端側分割ユニットの長さ及び前記第2端側分割ユニットの長さが、それぞれ2.8mより大きく且つ12m以下である、請求項1~
3の何れか1項に記載の室。
【請求項5】
請求項1~
4の何れか1項に記載の前記室が、互いに前記中間分割端壁を同一方向に向けて複数個組み合わされて構成されていることを特徴とする建築物。
【請求項6】
床部、天井部及び壁部で形成されている室の構築方法であって、
前記床部を構成する中間分割床部、前記天井部を構成する中間分割天井部、それぞれ前記壁部を構成する一対の中間分割端壁及び一対の前記中間分割端壁の間に設けられた隔壁を備えた中間分割ユニットを、工場で製作する中間分割ユニット製作工程と、
前記工場で製作した前記中間分割ユニットを、建築現場に搬送する中間分割ユニット搬送工程と、
前記床部を構成する第1端側分割床部、前記天井部を構成する第1端側分割天井部、それぞれ前記壁部を構成する一対の第1端側分割端壁及び第1端側側壁を備えた第1端側分割ユニットを、工場で製作する第1端側分割ユニット製作工程と、
前記工場で製作した前記第1端側分割ユニットを、建築現場に搬送する第1端側分割ユニット搬送工程と、
前記床部を構成する第2端側分割床部、前記天井部を構成する第2端側分割天井部、それぞれ前記壁部を構成する一対の第2端側分割端壁及び第2端側側壁を備えた第2端側分割ユニットを、工場で製作する第2端側分割ユニット製作工程と、
前記工場で製作した前記第2端側分割ユニットを、建築現場に搬送する第2端側分割ユニット搬送工程と、
前記建築現場に搬送した前記中間分割ユニットの、一方の側部に前記第1端側分割ユニットを連結するとともに他方の側部に前記第2端側分割ユニットを連結する連結工程と、を有
し、
前記隔壁が、
一対の前記中間分割端壁の中間位置に前記中間分割端壁と平行に設けられた第1隔壁部と、
一方の前記中間分割端壁の間口幅の方向の一方の端部から前記第1隔壁部の間口幅の方向の一方の端部にまで真っ直ぐに延びる第2隔壁部と、
他方の前記中間分割端壁の間口幅の方向の他方の端部から前記第1隔壁部の間口幅の方向の他方の端部にまで真っ直ぐに延びる第3隔壁部と、を有するものであることを特徴とする、室の構築方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室、建築物及び室の構築方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば戸建て住宅、病院、ホテル、宿泊施設、老人介護施設、共同住宅、仮設住宅、寄宿舎などの、居室等の室を有する建築物は、建築現場において各種の建築資材を用いて構築されるのが一般的である。
【0003】
例えば特許文献1には、床部、天井部及び壁部が、複数枚の木質の板材を繊維方向が互いに直交するように積層して接着した構成のCLT(Cross Laminated Timber)などの、木質の積層板材で形成された木質住宅を、CLTで形成された床面にCLTを用いて壁部を構築した後、壁部の上にCLTで形成された天井部を載せて住戸を構成し、以降、同様な工程で複数の住戸を左右及び複数層に構築することで、共同住宅に構成するようにした技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の室ないし建築物は、CLTなどの建築資材を用いて建築現場において構築される構成であるので、その構築に時間がかかることに加え、構築後に、内装工事、キッチン、浴室、トイレ等の水回り装備の設置工事、窓の取り付け工事等の後工事を行う必要があり、建築現場での作業が多くなって工期が長くなるという問題点があった。
【0006】
本発明は、建築現場における作業を少なくして工期を短縮可能な、室、建築物及び室の構築方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様としての室は、床部、天井部及び壁部で形成されている室であって、前記床部を構成する中間分割床部、前記天井部を構成する中間分割天井部、それぞれ前記壁部を構成する一対の中間分割端壁及び一対の前記中間分割端壁の間に設けられた隔壁を備えた中間分割ユニットと、前記床部を構成する第1端側分割床部、前記天井部を構成する第1端側分割天井部、それぞれ前記壁部を構成する一対の第1端側分割端壁及び第1端側側壁を備え、前記中間分割ユニットの一方の側部に連結されて前記隔壁と前記第1端側側壁との間に第1室を区画形成する第1端側分割ユニットと、前記床部を構成する第2端側分割床部、前記天井部を構成する第2端側分割天井部、それぞれ前記壁部を構成する一対の第2端側分割端壁及び第2端側側壁を備え、前記中間分割ユニットの他方の側部に連結されて前記隔壁と前記第2端側側壁との間に第2室を区画形成する第2端側分割ユニットと、を有し、前記隔壁が、一対の前記中間分割端壁の中間位置に前記中間分割端壁と平行に設けられた第1隔壁部と、一方の前記中間分割端壁の間口幅の方向の一方の端部から前記第1隔壁部の間口幅の方向の一方の端部にまで真っ直ぐに延びる第2隔壁部と、他方の前記中間分割端壁の間口幅の方向の他方の端部から前記第1隔壁部の間口幅の方向の他方の端部にまで真っ直ぐに延びる第3隔壁部と、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明の室は、前記隔壁が、一方の前記中間分割端壁の間口幅の方向の中央部から他方の前記中間分割端壁の間口幅の方向の中央部にまで真っ直ぐに延びている構成とすることができる。
【0010】
本発明の室は、上記構成において、前記中間分割ユニットの間口幅、前記第1端側分割ユニットの間口幅及び前記第2端側分割ユニットの間口幅が、互いに同一であるのが好ましい。
【0011】
本発明の室は、上記構成において、前記中間分割ユニットの間口幅、前記第1端側分割ユニットの間口幅及び前記第2端側分割ユニットの間口幅が、それぞれ2.2m以下であり、前記中間分割ユニットの高さ、前記第1端側分割ユニットの高さ及び前記第2端側分割ユニットの高さが、それぞれ2.2mより大きく且つ2.8m以下であり、前記中間分割ユニットの長さ、前記第1端側分割ユニットの長さ及び前記第2端側分割ユニットの長さが、それぞれ2.8mより大きく且つ12m以下であるのが好ましい。
【0012】
本発明の第2態様としての建築物は、上記木質住宅が、互いに前記中間分割端壁を同一方向に向けて複数個組み合わされて構成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の第3態様としての室の構築方法は、床部、天井部及び壁部で形成されている室の構築方法であって、前記床部を構成する中間分割床部、前記天井部を構成する中間分割天井部、それぞれ前記壁部を構成する一対の中間分割端壁及び一対の前記中間分割端壁の間に設けられた隔壁を備えた中間分割ユニットを、工場で製作する中間分割ユニット製作工程と、前記工場で製作した前記中間分割ユニットを、建築現場に搬送する中間分割ユニット搬送工程と、前記床部を構成する第1端側分割床部、前記天井部を構成する第1端側分割天井部、それぞれ前記壁部を構成する一対の第1端側分割端壁及び第1端側側壁を備えた第1端側分割ユニットを、工場で製作する第1端側分割ユニット製作工程と、前記工場で製作した前記第1端側分割ユニットを、建築現場に搬送する第1端側分割ユニット搬送工程と、前記床部を構成する第2端側分割床部、前記天井部を構成する第2端側分割天井部、それぞれ前記壁部を構成する一対の第2端側分割端壁及び第2端側側壁を備えた第2端側分割ユニットを、工場で製作する第2端側分割ユニット製作工程と、前記工場で製作した前記第2端側分割ユニットを、建築現場に搬送する第2端側分割ユニット搬送工程と、前記建築現場に搬送した前記中間分割ユニットの、一方の側部に前記第1端側分割ユニットを連結するとともに他方の側部に前記第2端側分割ユニットを連結する連結工程と、を有し、前記隔壁が、一対の前記中間分割端壁の中間位置に前記中間分割端壁と平行に設けられた第1隔壁部と、一方の前記中間分割端壁の間口幅の方向の一方の端部から前記第1隔壁部の間口幅の方向の一方の端部にまで真っ直ぐに延びる第2隔壁部と、他方の前記中間分割端壁の間口幅の方向の他方の端部から前記第1隔壁部の間口幅の方向の他方の端部にまで真っ直ぐに延びる第3隔壁部と、を有するものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、建築現場における作業を少なくして工期を短縮可能な、室、建築物及び室の構築方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態としての木質住宅の斜視図である。
【
図2】
図1に示す木質住宅を複数個用いて構築された共同住宅の斜視図である。
【
図3】
図1に示す木質住宅の平面視での断面図である。
【
図5】
図4に示す中間分割ユニットを、トラックで搬送する様子を示す説明図である。
【
図6】
図4に示す第1端側分割ユニットを、トラックで搬送する様子を示す説明図である。
【
図7】
図4に示す第2端側分割ユニットを、トラックで搬送する様子を示す説明図である。
【
図8】変形例の木質住宅の平面視での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る、室としての木質住宅、建築物としての共同住宅及び室の構築方法としての木質住宅の構築方法について、図面を参照しつつ例示説明する。各図面においては、共通する部材、部位に同一の符号を付している。
【0017】
図1に示す本発明の一実施形態である室としての木質住宅1は、中間分割ユニット1Aの一方の側部SP1に第1端側分割ユニット1Bが連結されるとともに、中間分割ユニット1Aの他方の側部SP2に第2端側分割ユニット1Cが連結されて、中間分割ユニット1Aの中央部分で分割された2つの住戸を有する1つの住宅ユニットとして構成されている。木質住宅1は、直方体状の外形を有し、
図2に示すように、複数個(
図2に示す場合は6個)が組み合わされることで、複数の住戸を有する建築物としての共同住宅100を構築することができる。
【0018】
以下、木質住宅1の構成をより具体的に説明する。
【0019】
図1、
図3に示すように、木質住宅1は、床部10、天井部11及び壁部12を備えている。壁部12は、一対の端壁13と一対の側壁14とで構成されている。
【0020】
床部10、天井部11及び壁部12(一対の端壁13及び一対の側壁14)は、それぞれ木質の積層板材で形成されている。本実施形態では、木質の積層板材は、複数枚の木質の板材を繊維方向が互いに直交するように積層して接着した構成のCLT(Cross Laminated Timber)であるが、他の構造の木質の積層板材であってもよい。
【0021】
床部10と天井部11は、それぞれ平らで矩形の板状であり、互いに平行に配置されている。壁部12を構成する一対の端壁13は、それぞれ平らで矩形の板状であり、床部10と天井部11の縁部分に、床部10及び天井部11に対して垂直、且つ、互いに平行な姿勢で固定されている。また、壁部12を構成する一対の側壁14は、それぞれ平らで矩形の板状であり、床部10と天井部11の縁部分に、床部10、天井部11及び一対の端壁13に対して垂直、且つ、互いに平行な姿勢で固定されている。
【0022】
図3に示すように、中間分割ユニット1Aには隔壁15が設けられている。隔壁15は、平らで矩形の板状であり、床部10、天井部11、一対の端壁13に、床部10、天井部11及び一対の端壁13に対して垂直な姿勢で固定されている。中間分割ユニット1Aに隔壁15が設けられることで、木質住宅1の内部は、第1室としての住戸2と第2室としての住戸3の2つの住戸に分割されている。
【0023】
床部10、天井部11、一対の端壁13、一対の側壁14及び隔壁15を互いに固定する構成としては、例えば、プレート等の金物とねじ等の締結手段とを用いた構成、太径の木ダボを用いた構成、木ダボと金物とを用いた構成など、種々の構成を採用することができる。
【0024】
床部10、天井部11、一対の側壁14及び隔壁15は、この木質住宅1が構成する2つの住戸2、3を他の住戸と区画するものであり、住人が通過可能な通路や窓などの開口は設けられていない。なお、床部10、天井部11、一対の側壁14及び隔壁15は、上下水道用の配管、ガスの配管、電気配線等を通すための孔、換気用の開口を備えていてもよい。
【0025】
一方の端壁13は、それぞれの住戸2、3に対応した2つの窓20が設けられた構成とすることができる。端壁13に設けられる窓20の種類や大きさ、個数等は、種々変更可能である。他方の端壁13は、住戸2、3への出入り口となる玄関ドア21が設けられた構成とすることができる。他方の端壁13は、給湯器や電気メーター等の機器を収納可能な収納スペース22を備えた構成とすることもできる。
【0026】
木質住宅1の2つの住戸2、3の間取りは、適宜設定することができる。例えば、本実施形態では、木質住宅1の2つの住戸の間取りは、互いに隔壁15を挟んで対称であり、それぞれ窓20が設けられた端壁13の側に居室23が設けられ、居室23と玄関ドア21との間に設けられた廊下24に面してキッチン25が設けられ、キッチン25と側壁14との間に浴室26が設けられ、浴室26に隣接してトイレ27が設けられ、廊下24に複数の収納スペース28が設けられたものとなっている。居室23には、括り付けの机29を設けるようにしてもよい。
【0027】
上記間取りを構成するために住戸2、3の内部に設けられる壁部材は、何れも木質の積層板材(CLT)で形成されたものとすることができる。木質住宅1の2つの住戸2,3の間取りは、上記に限らず、適宜変更乃至設定することができる。
【0028】
図1、
図4に示すように、木質住宅1は、中間分割ユニット1Aの一方の側部SP1に第1端側分割ユニット1Bが連結されるとともに、中間分割ユニット1Aの他方の側部SP2に第2端側分割ユニット1Cが連結されて、2つの住戸2、3を有する1つの住宅ユニットとして構成されている。本実施形態では、端壁13の幅(一方の側壁14の外側面と他方の側壁14の外側面との間の幅)を間口幅W、床部10の下面から天井部11の上面までの高さを高さH、一方の端壁13の外側面から他方の端壁13の外側面までの長さを長さLとしたときに、木質住宅1は、中間分割ユニット1Aの間口幅Wの方向の一方側を向く側部SP1に第1端側分割ユニット1Bが連結されるとともに、中間分割ユニット1Aの間口幅Wの方向の他方側を向く側部SP2に第2端側分割ユニット1Cが連結されることで1つの住宅ユニットに構成されている。
【0029】
中間分割ユニット1Aと第1端側分割ユニット1Bとを連結する構成及び中間分割ユニット1Aと第2端側分割ユニット1Cとを連結する構成としては、例えば、プレート等の金物とねじ等の締結手段を用いた構成、太径の木ダボを用いた構成、木ダボと金物とを用いた構成など、種々の構成を採用することができる。
【0030】
本実施形態では、中間分割ユニット1Aの間口幅WA、第1端側分割ユニット1Bの間口幅WB及び第2端側分割ユニット1Cの間口幅WCは、互いに同一となっており、それぞれ木質住宅1の間口幅Wの1/3の幅となっている。また、中間分割ユニット1A、第1端側分割ユニット1B及び第2端側分割ユニット1Cは、高さH及び長さLが互いに同一となっている。すなわち、中間分割ユニット1A、第1端側分割ユニット1B及び第2端側分割ユニット1Cは、互いに間口幅、長さ及び高さが同一となっている。
【0031】
中間分割ユニット1Aは、床部10を構成する中間分割床部10A、天井部11を構成する中間分割天井部11A及びそれぞれ壁部12としての端壁13を構成する一対の中間分割端壁13Aを備え、これらは角筒状に連結されている。
【0032】
本実施形態では、隔壁15は平らな板状となっており、一方の中間分割端壁13Aの間口幅WAの方向の中央部から他方の中間分割端壁13Aの間口幅WAの方向の中央部にまで真っすぐに延びて、中間分割ユニット1Aの内部空間を、互いに等しい大きさとなるように、間口幅WAの方向に分割している。
【0033】
中間分割ユニット1Aは、隔壁15を挟んだ両側に、それぞれ居室23の一部及び廊下24の一部を構成する部分を有しており、廊下24の一部を構成する部分に複数の収納スペース28が設けられ、居室23の一部を構成する部分には机29が設けられている。また、中間分割ユニット1Aの内部には、内装、電気的な配線等が予め施されている。
【0034】
第1端側分割ユニット1Bは、床部10を構成する第1端側分割床部10B、天井部11を構成する第1端側分割天井部11B及びそれぞれ壁部12としての端壁13を構成する一対の第1端側分割端壁13Bを備え、これらは角筒状に連結されている。また、角筒状に連結された第1端側分割床部10B、第1端側分割天井部11B及び一対の第1端側分割端壁13Bの間口幅WBの方向の一端部には、壁部12としての側壁14を構成する第1端側側壁14Bが連結されている。
【0035】
第1端側分割ユニット1Bは、内側に居室23の一部及び廊下24の一部を構成する部分を有し、キッチン25、浴室26及びトイレ27が組み付けられるとともに収納スペース22、28が設けられている。また、第1端側分割ユニット1Bの内部には、内装、電気配線や各種の配管等が予め施されている。
【0036】
第2端側分割ユニット1Cは、第1端側分割ユニット1Bと左右対称の形状ないし構成となっており、床部10を構成する第2端側分割床部10C、天井部11を構成する第2端側分割天井部11C及びそれぞれ壁部12としての端壁13を構成する一対の第2端側分割端壁13Cを備え、これらは角筒状に連結されている。また、角筒状に連結された第2端側分割床部10C、第2端側分割天井部11C及び一対の第2端側分割端壁13Cの間口幅WBの方向の他端部には、壁部12としての側壁14を構成する第2端側側壁14Cが連結されている。
【0037】
第2端側分割ユニット1Cは、内側に居室23の一部及び廊下24の一部を構成する部分を有し、キッチン25、浴室26及びトイレ27が組み付けられるとともに収納スペース22、28が設けられている。また、第2端側分割ユニット1Cの内部には、内装、電気配線や各種の配管等が予め施されている。
【0038】
なお、第1端側分割ユニット1B及び第2端側分割ユニット1Cは、第1端側分割端壁13B及び第2端側分割端壁13Cに、それぞれ窓20、玄関ドア21を予め取り付けた構成とすることができるが、中間分割ユニット1Aに第1端側分割ユニット1B及び第2端側分割ユニット1Cを連結した後に、窓20及び玄関ドア21を取り付けるようにしてもよい。
【0039】
木質住宅1は、上記構成の中間分割ユニット1Aの一方の側部SP1に上記構成の第1端側分割ユニット1Bが連結されることで、隔壁15と第1端側側壁14Bとの間に住戸2が区画形成され、上記構成の中間分割ユニット1Aの他方の側部SP2に上記構成の第2端側分割ユニット1Cが連結されることで、隔壁15と第2端側側壁14Cとの間に住戸3が区画形成される。
【0040】
上記構成を有する木質住宅1は、本発明の一実施形態に係る室の構築方法としての木質住宅の構築方法により構築することができる。
【0041】
本発明の一実施形態に係る木質住宅の構築方法は、上記構成を有する中間分割ユニット1Aを、木質住宅1乃至共同住宅100を構築する建築現場とは異なる場所にある工場で製作する中間分割ユニット製作工程と、工場で製作した中間分割ユニット1Aを、建築現場に搬送する中間分割ユニット搬送工程と、上記構成を有する第1端側分割ユニット1Bを、木質住宅1乃至共同住宅100を構築する建築現場とは異なる場所にある工場で製作する第1端側分割ユニット製作工程と、工場で製作した第1端側分割ユニット1Bを、建築現場に搬送する第1端側分割ユニット搬送工程と、上記構成を有する第2端側分割ユニット1Cを、木質住宅1乃至共同住宅100を構築する建築現場とは異なる場所にある工場で製作する第2端側分割ユニット製作工程と、工場で製作した第2端側分割ユニット1Cを、建築現場に搬送する第2端側分割ユニット搬送工程と、建築現場に搬送した中間分割ユニット1Aの、一方の側部SP1に第1端側分割ユニット1Bを連結するとともに他方の側部SP2に第2端側分割ユニット1Cを連結する連結工程とを有している。
【0042】
上記の中間分割ユニット製作工程においては、中間分割ユニット1Aは、例えば、それぞれ木質の積層板材(CLT)により形成された中間分割床部10A、中間分割天井部11A及び一対の中間分割端壁13Aを連結するとともに、一対の中間分割端壁13Aの間に隔壁15を連結して製作される。また、中間分割ユニット製作工程においては、中間分割ユニット1Aの内部に、内装工事、収納スペース28、机29の設置工事、電気的な配線工事等を行って、中間分割ユニット1Aの内部に仕上げを施すことができる。
【0043】
上記の中間分割ユニット搬送工程においては、中間分割ユニット製作工程において製作された中間分割ユニット1Aを、例えばトラックを用いて建築現場に搬送することができる。トラックによる搬送の際には、必要に応じて、中間分割ユニット1Aの内外装、設置した設備等を養生しておくのが好ましい。
【0044】
上記の第1端側分割ユニット製作工程において、第1端側分割ユニット1Bは、それぞれ木質の積層板材(CLT)により形成された第1端側分割床部10B、第1端側分割天井部11B、一対の第1端側分割端壁13B及び第1端側側壁14Bを連結して製作される。また、第1端側分割ユニット製作工程においては、第1端側分割ユニット1Bの内部に、内装工事、キッチン25、浴室26、トイレ27、収納スペース28の設置工事、電気的な配線工事、上下水道の配管工事等を行って、第1端側分割ユニット1Bの内部に仕上げを施すことができる。第1端側分割ユニット製作工程は、中間分割ユニット製作工程と同一の工場で行うのが好ましいが、他の工場で行ってもよい。
【0045】
上記の第1端側分割ユニット搬送工程においては、第1端側分割ユニット製作工程において製作された第1端側分割ユニット1Bを、例えばトラックを用いて建築現場に搬送することができる。トラックによる搬送の際には、必要に応じて、第1端側分割ユニット1Bの内外装、設置した設備等を養生しておくのが好ましい。
【0046】
同様に、上記の第2端側分割ユニット製作工程において、第2端側分割ユニット1Cは、それぞれ木質の積層板材(CLT)により形成された第2端側分割床部10C、第2端側分割天井部11C、一対の第2端側分割端壁13C及び第2端側側壁14Cを連結して製作される。また、第2端側分割ユニット製作工程においては、第2端側分割ユニット1Cの内部に、内装工事、キッチン25、浴室26、トイレ27、収納スペース28の設置工事、電気的な配線工事、上下水道の配管工事等を行って、第2端側分割ユニット1Cの内部に仕上げを施すことができる。第2端側分割ユニット製作工程は、中間分割ユニット製作工程乃至第1端側分割ユニット製作工程と同一の工場で行うのが好ましいが、他の工場で行ってもよい。
【0047】
上記の第2端側分割ユニット搬送工程においては、第2端側分割ユニット製作工程において製作された第2端側分割ユニット1Cを、例えばトラックを用いて建築現場に搬送することができる。トラックによる搬送の際には、必要に応じて、第2端側分割ユニット1Cの内外装、設置した設備等を養生しておくのが好ましい。
【0048】
上記連結工程においては、中間分割ユニット搬送工程において建築現場に搬送された中間分割ユニット1Aの一方の側部SP1に、第1端側分割ユニット搬送工程において建築現場に搬送された第1端側分割ユニット1Bを連結するとともに、当該中間分割ユニット1Aの他方の側部SP2に第2端側分割ユニット搬送工程において建築現場に搬送された第2端側分割ユニット1Cを連結する。当該連結には、上記の通り、例えば、プレート等の金物とねじ等の締結手段を用いた構成、太径の木ダボを用いた構成、木ダボと金物とを用いた構成など、種々の構成を採用することができる。連結工程において、中間分割ユニット1Aに第1端側分割ユニット1B及び第2端側分割ユニット1Cを連結することで、建築現場において上記構成の木質住宅1を構築することができる。
【0049】
また、上記連結工程において構築した木質住宅1を、互いに中間分割端壁13Aを同一方向に向けて複数個組み合わせて連結することで、
図2に示すように、複数の住戸を備えた共同住宅100を構築することができる。この場合、既に構築された木質住宅1の上乃至側方において、中間分割ユニット1Aに第1端側分割ユニット1B及び第2端側分割ユニット1Cを連結することで、他の木質住宅1の上乃至側方において木質住宅1を構築するようにしてもよい。また、互いの木質住宅1の間に、配線、配管等を配置するための隙間を設けるようにしてもよい。
【0050】
このように、本実施形態の木質住宅1、共同住宅100及び木質住宅の構築方法では、中間分割ユニット1Aの一方の側部SP1に第1端側分割ユニット1Bを連結するとともに他方の側部SP2に第2端側分割ユニット1Cを連結することで、2つの住戸2、3を有する木質住宅1を構築することができるので、建築現場において木質住宅1を構築する前に、予め工場において製作した中間分割ユニット1A、第1端側分割ユニット1B及び第2端側分割ユニット1Cを、建築現場において連結するだけの簡単な作業で、2つの住戸2、3を有する木質住宅1を容易に構築することができる。
【0051】
また、上記構成の木質住宅1を、互いに中間分割端壁13Aを同一方向に向けて複数個組み合わせることで、建築現場において、共同住宅100を容易に構築することができる。
【0052】
さらに、本実施形態の木質住宅1、共同住宅100及び木質住宅の構築方法では、中間分割ユニット1A、第1端側分割ユニット1B及び第2端側分割ユニット1Cを互いに連結して木質住宅1を構築するようにしているので、建築現場において木質住宅1を構築する前に、予め工場において、中間分割ユニット1A、第1端側分割ユニット1B及び第2端側分割ユニット1Cに、内装工事、キッチン25、浴室26、トイレ27、収納スペース28、机29の設置工事、電気的な配線工事、上下水道の配管工事等を行って仕上げを施すことができる。したがって、建築現場において、中間分割ユニット1A、第1端側分割ユニット1B及び第2端側分割ユニット1Cを互いに連結した後に、後工程として行う仕上げ作業を少なくすることができる。
【0053】
以上の通り、本実施形態の木質住宅1、共同住宅100及び木質住宅の構築方法によれば、木質住宅1乃至共同住宅100を構築する際の、建築現場における作業を少なくして、当該構築に係る工期を短縮することができる。また、当該工期を短縮することで、木質住宅1乃至共同住宅100の構築に係るコストを低減することができる。
【0054】
また、本実施形態の木質住宅1、共同住宅100及び木質住宅の構築方法では、工場において、中間分割ユニット1A、第1端側分割ユニット1B及び第2端側分割ユニット1Cの構築及び仕上げの工事を行うことができるので、当該構築及び工事を、建築現場で行う場合よりも、精度よく且つ容易に行うことができる。
【0055】
さらに、本実施形態の木質住宅1、共同住宅100及び木質住宅の構築方法では、工場で製作した中間分割ユニット1A、第1端側分割ユニット1B及び第2端側分割ユニット1Cを、建築現場において連結することで木質住宅1を構築するようにしているので、工場で製作した中間分割ユニット1A、第1端側分割ユニット1B及び第2端側分割ユニット1Cを、互い連結することなく、個別にトラックを用いて建築現場にまで搬送することができる。これにより、木質住宅1をそのまま搬送する場合に比べて、トラックに搭載する積荷の大きさを小さくして、搬送作業を容易にすることができる。
【0056】
特に、本実施形態の木質住宅1、共同住宅100及び木質住宅の構築方法では、中間分割ユニット1A、第1端側分割ユニット1B及び第2端側分割ユニット1Cの3つのユニットを連結して2つの住戸2、3が構成されるようにしたので、中間分割ユニット1A、第1端側分割ユニット1B及び第2端側分割ユニット1Cをそれぞれ搬送作業が容易となるように小型化しつつ、木質住宅1を、所望の広さの2つの住戸2、3を有する構成とすることができる。
【0057】
工場から建築現場までの、中間分割ユニット1A、第1端側分割ユニット1B及び第2端側分割ユニット1Cの搬送を容易に行い得るようにするために、中間分割ユニット1A、第1端側分割ユニット1B及び第2端側分割ユニット1Cは、日本国の道路において、道路交通法上における制限外積載許可を得ずにトラックによる搬送が可能な限界サイズ(幅2.2m、高さ2.8m、長さ約12m)以下の外形サイズであるのが好ましい。
【0058】
例えば、中間分割ユニット1A、第1端側分割ユニット1B及び第2端側分割ユニット1Cは、間口幅WA、WB、WCが、それぞれ2.2m以下であり、高さHが、それぞれ2.2mより大きく且つ2.8m以下であり、長さLが、それぞれ2.8mより大きく且つ12m以下となる外形サイズとすることができる。この場合、中間分割ユニット1A、第1端側分割ユニット1B及び第2端側分割ユニット1Cは、間口幅WA、WB、WC、高さH及び長さLが、互いに同一となる同一の外形サイズとすることができる。本実施形態の木質住宅1では、中間分割ユニット1A、第1端側分割ユニット1B及び第2端側分割ユニット1Cは、それぞれ間口幅WA、WB、WCが2.2m、長さLが6.0m、高さHが約2.8m、となっている。この場合、本実施形態の木質住宅1に設けられる2つの住戸2、3の間口幅は、それぞれ3.2m(2.2m+2.2m/2)である。
【0059】
ここで、木質住宅が複数の分割ユニットに分割できない一体型の構成である場合には、間口幅が2.2m以下、高さが2.8m以下、長さが12m以下であれば限界サイズ以下の外形サイズとなり、制限外積載許可なしでトラックにより搬送することができるが、間口幅が2.2mを超えた場合には、外形サイズが限界サイズを超えてしまい、制限外積載許可なしでのトラックによる搬送ができなくなる。そのため、一体型の構成の木質住宅では、間口幅が2.2m以下に制限され、間口幅が2.2m以上となる住戸を備えた構成とすることが困難となる。
【0060】
これに対し、本実施形態の木質住宅1は、それぞれ間口幅が3.3mとなる2つの住戸2、3を有することで、全体の間口幅Wが限界サイズを超えた外形サイズとなっており、限界サイズ内の一体型の構成の木質住宅よりも内部空間ないし床面積が大きくなっているが、木質住宅1を構成する中間分割ユニット1A、第1端側分割ユニット1B及び第2端側分割ユニット1Cは、間口幅WA、WB、WCが、それぞれ2.2m以下であり、高さHが、それぞれ2.2mより大きく且つ2.8m以下であり、長さLが、それぞれ2.8mより大きく且つ12m以下となる外形サイズとなっているので、それぞれトラック40の荷台41に限界サイズの範囲内で搭載することができる。例えば、
図5に示すように、中間分割ユニット1Aは、中間分割天井部11Aが上方を向き、一対の中間分割端壁13Aが前後方向を向く姿勢でトラック40の荷台41に限界サイズの範囲内で搭載することができる。同様に、
図6に示すように、第1端側分割ユニット1Bは、第1端側分割天井部11Bが上方を向き、一対の第1端側分割端壁13Bが前後方向を向く姿勢でトラック40の荷台41に限界サイズの範囲内で搭載することができ、
図7に示すように、第2端側分割ユニット1Cは、第2端側分割天井部11Cが上方を向き、一対の第2端側分割端壁13Cが前後方向を向く姿勢でトラック40の荷台41に限界サイズの範囲内で搭載することができる。
【0061】
このように、本実施形態の木質住宅1では、これを構成する中間分割ユニット1A、第1端側分割ユニット1B及び第2端側分割ユニット1Cを、間口幅WA、WB、WCが、それぞれ2.2m以下であり、高さHが、それぞれ2.2mより大きく且つ2.8m以下であり、長さLが、それぞれ2.8mより大きく且つ12m以下となる外形サイズとしたので、制限外積載許可なしでトラック40により工場から建築現場にまで搬送することができる。したがって、トラック40による中間分割ユニット1A、第1端側分割ユニット1B及び第2端側分割ユニット1Cの搬送をさらに容易に行い得るようにすることができる。
【0062】
また、本実施形態の木質住宅1、共同住宅100及び木質住宅の構築方法では、中間分割ユニット1A、第1端側分割ユニット1B及び第2端側分割ユニット1Cを、間口幅WA、WB、WCが、それぞれ2.2m以下であり、高さHが、それぞれ2.2mより大きく且つ2.8m以下であり、長さLが、それぞれ2.8mより大きく且つ12m以下となる外形サイズとすることで、中間分割ユニット1A、第1端側分割ユニット1B及び第2端側分割ユニット1Cを制限外積載許可なしでトラック40により工場から建築現場にまで搬送可能な構成としつつ、木質住宅1に設けられる2つの住戸2、3を、それぞれ2.2m以上の広い間口幅を有する構成として、内部空間ないし床面積を拡大することができる。
【0063】
さらに、本実施形態の木質住宅1、共同住宅100及び木質住宅の構築方法では、中間分割ユニット1A、第1端側分割ユニット1B及び第2端側分割ユニット1Cの3つのユニットを連結して2つの住戸2、3が構成されるようにしたので、中間分割ユニット1A、第1端側分割ユニット1B及び第2端側分割ユニット1Cをそれぞれトラック40により搬送可能な大きさとしつつ、最小限の分割ユニット数で、間口幅が2.2m以上となる所望の広さの2つの住戸2、3を有する木質住宅1を構築することができる。
【0064】
さらに、本実施形態の木質住宅1、共同住宅100及び木質住宅の構築方法では、中間分割ユニット1Aの間口幅WA、第1端側分割ユニット1Bの間口幅WB及び第2端側分割ユニット1Cの間口幅WCを互いに同一としたので、中間分割ユニット1A、第1端側分割ユニット1B及び第2端側分割ユニット1Cを、それぞれトラック40で搬送可能な最大限の間口幅を有する外形サイズとしつつ、中間分割ユニット1Aの間口幅WA、第1端側分割ユニット1Bの間口幅WB及び第2端側分割ユニット1Cを連結することで、互いに同一の広さの住戸2、3を有する木質住宅1を構築することができる。
【0065】
図8は、変形例の室としての木質住宅の平面視での断面図である。なお、
図8においては、前述した部材には同一の符号を付してある。
【0066】
上記木質住宅1では、
図3に示すように、中間分割ユニット1Aに設けられている隔壁15は、一方の中間分割端壁13Aの間口幅WAの方向の中央部から他方の中間分割端壁13Aの間口幅WAの方向の中央部にまで真っ直ぐに延びる形状とされているが、これに限らず、隔壁15は、一対の中間分割端壁13Aの間に設けられて住戸2、3を分割可能な構成であれば、その形状は種々変更可能である。この場合、隔壁15は、住戸2、3を互いに同一の広さとなるように分割可能な構成であるのが好ましい。
【0067】
例えば、
図8に示す変形例の木質住宅4では、隔壁15は、一対の中間分割端壁13Aの中間位置に中間分割端壁13Aと平行に設けられた第1隔壁部15aと、一方の中間分割端壁13Aの間口幅WAの方向の一方の端部から第1隔壁部15aの間口幅WAの方向の一方の端部にまで真っ直ぐに延びる第2隔壁部15bと、他方の中間分割端壁13Aの間口幅WAの方向の他方の端部から第1隔壁部15aの間口幅の方向の他方の端部にまで真っ直ぐに延びる第3隔壁部15cと、を有する形状となっている。この場合、一方の中間分割端壁13Aと第1隔壁部15aとの間に一方の住戸2のキッチン25、浴室26及びトイレ27が配置され、他方の中間分割端壁13Aと第1隔壁部15aとの間に他方の住戸3のキッチン25、浴室26及びトイレ27が配置される。また、住戸2の間取りと住戸3の間取りは、互いに第1隔壁部15aの間口幅WAの方向の中央を中心点として点対称な配置となっている。
【0068】
このような構成の隔壁15を有する木質住宅1においても、上記と同様の効果を得ることができる。
【0069】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0070】
例えば、木質住宅を構成する中間分割ユニット、第1端側分割ユニット及び第2端側分割ユニットの外形サイズは上記に限らず種々変更可能である。特に、制限外積載許可なしでトラックにより工場から建築現場にまで搬送可能な構成とする場合には、間口幅が2.2m以下、高さが2.2mより大きく且つ2.8m以下、長さが2.8mより大きく且つ12m以下の範囲で外形サイズは種々変更可能である。なお、制限外積載許可等の所定の手続きを行う場合には、分割ユニットの高さは、3.55mまで可能である。
【0071】
さらに、前記実施の形態では、室を形成する床部10、天井部11及び壁部12として、それぞれ木質の積層板材を用いた場合を示しているが、床部10、天井部11及び壁部12としては、それぞれ木質の積層板材に限らず、例えば、PC板(プレキャストコンクリート板)、テント素材、石膏ボード、プラスチック製板材、金属製板材などの、種々の部材を用いることができる。この場合、床部10、天井部11及び壁部12として、互いに別の種類の部材を用いることもできる。
【0072】
また、室である木質住宅の間取りは、上記に限らず種々変更可能である。住戸2の間取りと住戸3の間取りは同一であっても相違していてもよい。
【0073】
さらに、前記実施の形態では、室ないし建築物を共同住宅100とした場合を示したが、建築物は共同住宅100に限らず、例えば、戸建て住宅、病院、ホテル、宿泊施設、老人介護施設、寄宿舎などであってもよい。また、建築物は、所定の場所に常設される恒久的なものに限らず、例えば災害時などに仮設される仮設住宅などの、一時的に設置されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 木質住宅(室)
1A 中間分割ユニット
1B 第1端側分割ユニット
1C 第2端側分割ユニット
2 住戸(第1室)
3 住戸(第2室)
4 木質住宅(室)
10 床部
10A 中間分割床部
10B 第1端側分割床部
10C 第2端側分割床部
11 天井部
11A 中間分割天井部
11B 第1端側分割天井部
11C 第2端側分割天井部
12 壁部
13 端壁
13A 中間分割端壁
13B 第1端側分割端壁
13C 第2端側分割端壁
14 側壁
14B 第1端側側壁
14C 第2端側側壁
15 隔壁
15a 第1隔壁部
15b 第2隔壁部
15c 第3隔壁部
20 窓
21 玄関ドア
22 収納スペース
23 居室
24 廊下
25 キッチン
26 浴室
27 トイレ
28 収納スペース
29 机
100 共同住宅(建築物)
W 間口幅
H 高さ
L 長さ
WA 間口幅
WB 間口幅
WC 間口幅