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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】チャック装置
(51)【国際特許分類】
   B23B 31/20 20060101AFI20240925BHJP
【FI】
B23B31/20 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020151907
(22)【出願日】2020-09-10
(65)【公開番号】P2022046058
(43)【公開日】2022-03-23
【審査請求日】2023-08-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 鉄昭
(72)【発明者】
【氏名】野々山 真
(72)【発明者】
【氏名】清田 大
(72)【発明者】
【氏名】村田 英明
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-000969(JP,A)
【文献】特開2007-331080(JP,A)
【文献】実公昭39-007381(JP,Y1)
【文献】特開2002-292508(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 31/08、20
B23Q 3/06、12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャック装置であって,
チャック本体と,
前記チャック本体の内側に設けられた3以上の把持部であって,テーパー面である外周面と,ワークに接触する内周面とを有する把持部を有するコレットと,
前記コレットの外側に配置され,前記把持部の前記外周面と接触するテーパー面である内周面を有し,前記チャック本体の端部である取付面に取り付けられる規制部材と,
前記チャック本体に設けられ,前記コレットを前記規制部材に対し中心軸に沿った方向に相対移動させるシリンダと,
を備え,
前記規制部材は,前記チャック本体の前記取付面に面した側に、円周に沿って均等間隔で設けられる半球形状の複数の突起部、またはトーラスを軸に垂直な断面で切った形状の突起部を備え,
前記把持部の前記内周面を前記コレットの中心軸を通る平面で切ったときの断面形状は,前記ワークに接触する側が凸となる曲線である,チャック装置。
【請求項2】
請求項1に記載のチャック装置であって,
前記把持部は,前記把持部を,前記ワークに接触する内周面を有する内周部と,前記規制部材に接触する外周面を有する外周部に分けるスリットであって,前記把持部が前記ワークに接することで狭まるスリットを有する,チャック装置。
【請求項3】
チャック装置であって,
チャック本体と,
前記チャック本体の内側に設けられた3以上の把持部であって,テーパー面である外周面と,ワークに接触する内周面とを有する把持部を有するコレットと,
前記コレットの外側に配置され,前記把持部の前記外周面と接触するテーパー面である内周面を有し,前記チャック本体の端部である取付面に取り付けられる規制部材と,
前記チャック本体に設けられ,前記コレットを前記規制部材に対し中心軸に沿った方向に相対移動させるシリンダと,
を備え,
前記規制部材は,前記チャック本体の前記取付面に面した側に、円周に沿って均等間隔で設けられる半球形状の複数の突起部、またはトーラスを軸に垂直な断面で切った形状の突起部を備え,
前記把持部は,前記把持部を,前記ワークに接触する内周面を有する内周部と,前記規制部材に接触する外周面を有する外周部とに分けるスリットであって,前記把持部が前記ワークに接することで狭まるスリットを有する,チャック装置。
【請求項4】
チャック装置であって,
チャック本体と,
前記チャック本体の内側に設けられた3以上の把持部であって,テーパー面である外周面と,ワークに接触する内周面とを有する把持部を有するコレットと,
前記コレットの外側に配置され,前記把持部の前記外周面と接触するテーパー面である内周面を有する規制部材と,
前記チャック本体に設けられ,前記コレットを前記規制部材に対し中心軸に沿った方向に相対移動させるシリンダと,
を備え,
前記把持部の前記内周面を前記コレットの中心軸を通る平面で切ったときの断面形状は,前記ワークに接触する側が凸となる曲線であり,
前記把持部は,前記把持部を,前記ワークに接触する内周面を有する内周部と,前記規制部材に接触する外周面を有する外周部とに分けるスリットを有し,
前記ワークを前記把持部で挟んだ際,傾いた前記ワークを把持することにより,傾いた側の前記内周部は,前記スリットを狭めるように,傾いた側の前記外周部方向に変形する,チャック装置。
【請求項5】
チャック装置であって,
チャック本体と,
前記チャック本体の内側に設けられた3以上の把持部であって,テーパー面である外周面と,ワークに接触する内周面とを有する把持部を有するコレットと,
前記コレットの外側に配置され,前記把持部の前記外周面と接触するテーパー面である内周面を有する規制部材と,
前記チャック本体に設けられ,前記コレットを前記規制部材に対し中心軸に沿った方向に相対移動させるシリンダと,
を備え,
前記把持部は,前記把持部を,前記ワークに接触する内周面を有する内周部と,前記規制部材に接触する外周面を有する外周部とに分けるスリットを有し,
前記ワークを前記把持部で挟んだ際,傾いた前記ワークを把持することにより,傾いた側の前記内周部は,前記スリットを狭めるように,傾いた側の前記外周部方向に変形する,チャック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は,チャック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の加工装置において,ワークを保持するチャック装置のチャックとワークの間にコレットと呼ばれる部品を介装し,ワーク把持を容易にする装置が用いられている。例えば,特許文献1に記載のコレットチャック装置のコレットは,径の異なる2つの把持部を有し,ワークの径に応じて2つの把持部の一方を用いてワークを把持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-1256668号公報公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし,特許文献1に記載されコレットチャック装置では,被加工部に対し被把持部が傾いているワークをコレット把持部で挟むと,ワークに曲げモーメントが働き,ワークに曲げ力が発生し,あるいは,コレット把持部に曲げ力が生じる場合があった。このため,切削加工などに用いると,加工精度が不十分なものとなってしまうことがあり得た。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は,以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の一形態によれば,チャック装置が提供される。このチャック装置は,チャック本体と,前記チャック本体の内側に設けられた3以上の把持部であって,テーパー面である外周面と,ワークに接触する内周面とを有する把持部を有するコレットと,前記コレットの外側に配置され,前記把持部の前記外周面と接触するテーパー面である内周面を有し,前記チャック本体の端部である取付面に取り付けられる規制部材と,前記チャック本体に設けられ,前記コレットを前記規制部材に対し中心軸に沿った方向に相対移動させるシリンダと,を備え,前記規制部材は,前記チャック本体の前記取付面に面した側に、円周に沿って均等間隔で設けられる半球形状の複数の突起部、またはトーラスを軸に垂直な断面で切った形状の突起部を備え,前記把持部の前記内周面を前記コレットの中心軸を通る平面で切ったときの断面形状は,前記ワークに接触する側が凸となる曲線である。この形態のチャック装置によれば,ワークを把持したとき,ワークの被把持部が傾いていても,把持部とワークとは,円周に沿った線で接触するので,把持部は,ほとんど傾かない。
(2)上記形態のチャック装置において,前記把持部は,前記把持部を,前記ワークに接触する内周面を有する内周部と,前記規制部材に接触する外周面を有する外周部に分けるスリットであって,前記把持部が前記ワークに接することで狭まるスリットを有しても良い。この形態のチャック装置によれば,把持部がワークに接触したとき,スリットが狭まることでワークの傾きを緩和できる。
(3)本開示の一形態によれば,チャック装置が提供される。このチャック装置は,チャック本体と,前記チャック本体の内側に設けられた3以上の把持部であって,テーパー面である外周面と,ワークに接触する内周面とを有する把持部を有するコレットと,前記コレットの外側に配置され,前記把持部の前記外周面と接触するテーパー面である内周面を有する規制部材と,前記チャック本体に設けられ,前記コレットを前記規制部材に対し中心軸に沿った方向に相対移動させるシリンダと,を備え,前記把持部は,前記把持部を,前記ワークに接触する内周面を有する内周部と,前記規制部材に接触する外周面を有する外周部とに分けるスリットを有し,前記ワークを前記把持部で挟んだ際,傾いた前記ワークを把持することにより,傾いた側の前記内周部は,前記スリットを狭めるように,傾いた側の前記外周部方向に変形する。この形態のチャック装置によれば,把持部がワークに接触したとき,スリットが狭まることでワークの傾きを緩和できる。
本開示は,チャック装置以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば,チャック構造等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態のチャック装置の概略構成を示す説明図である。
図2図1のII-II断面を示す説明図である。
図3】コレットの把持部を,中心軸を含む平面で切ったときの断面の拡大図である。
図4】コレットの把持部の斜視図である。
図5】第2実施形態のチャック装置を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
図1は,第1実施形態のチャック装置10の概略構成を示す説明図であり,図2は,図1のII-II断面を示す説明図である。なお,図1は,図2のI-I断面を示している。図1,2において,ワーク30の軸方向をx方向,鉛直方向をz方向,x方向,z方向と交差する方向をy方向とする。チャック装置10は,棒状のワーク30の偏心外径と同軸外径を研削する際に,ワーク30の被把持部であるワーク30の端部を把持する装置である。本明細書では、本開示の特徴的な構造について説明し、本開示に必須出ない構造については、説明を省略する。チャック装置10は,チャック本体11と,コレット12と,規制部材13と,ピストン14と,シリンダ15と,センタ支持部16とを備える。
【0009】
チャック本体11は,中心軸O周りに回転可能な部材である。チャック本体11は,円筒形の円筒部11aと,円形の底面部11bとを備えている。円筒部11aは,中心軸O方向の一方の端部が底面部11bにより閉塞され,他方が開口している。底面部11bの中心には,チャック本体11の中心軸Oに沿って,開口に向けて立設するセンタ支持部16が設けられている。センタ支持部16の頂部には,センタ部材16tが設けられている。センタ部材16tは,ワーク30のセンタ穴30Pと嵌合し,ワーク30の回転中心を正確に保持する。なお、ワーク30の被把持部が傾いていた場合、チャック装置10でワーク30を把持したときに、センタ部材16tとセンタ穴30Pは片当たりする。センタ部材16tでワーク30を保持した後、チャック装置10でワーク30を把持する。
【0010】
円筒部11aの内側には,コレット12と,ピストン14と,シリンダ15とが配置されている。コレット12は,胴部12aと,腰部12bと,把持部12cと,スリ割12dと,を備える。胴部12aは,略円筒形をした部材である。胴部12aは,外周側に凹部12eを備える。腰部12bと,把持部12cは,胴部12aのチャック本体11の開口側に,円周に沿って,スリ割12d(図2)により複数に分割され,配置されている。図1図2に示す例では,腰部12bと,把持部12cの分割数は,3である。腰部12bと,把持部12cの分割数は3以上であれば,いくつでも良いが,加工の容易さから,3,4,6が好ましい。なお,加工は複雑になるが,分割数は6より多くても良い。また,図2に示す例では,円周方向に隣接する2つの把持部12cの間のスリ割12dの円周方向の大きさを把持部12cの円周方向の大きさとほぼ同じ大きさとしているが,スリ割12dの円周方向の大きさを把持部12cの円周方向の大きさよりも小さく,例えば把持部12cの円周方向の大きさの1/5~1/10としても良い。
【0011】
図3は,コレット12の把持部12cを,中心軸Oを含む平面で切ったときの断面の拡大図である。図4は,コレット12の把持部12cの斜視図である。把持部12cは,規制部材13と接触する外周面12oと,ワーク30と接触する内周面12iと,を備える。外周面12oは,腰部12b側,すなわち-x方向側が中心軸O側に傾いたテーパー面である。
【0012】
把持部12cの内周面12iを中心軸Oと垂直な面で切ったときの断面形状は図2に示すように円弧であり,把持部12cの内周面12iを,中心軸Oを通り中心軸Oと平行な面で切ったときの断面形状は,図3に示すように,ワーク30に接触する側が凸となる曲線である。把持部12cの内周面12iは,いずれの面で切っても曲線となる曲面である。なお,中心軸Oを通り中心軸Oと平行な面で内周面12iを切ったときの内周面12iの断面の曲線は,例えば,長径を弦とする楕円弧である。内周面12iの断面の曲線は,楕円弧以外に,トロコイド曲線(サイクロイド曲線を含む)であってもよい。内周面12iの内側は、ワーク30を取り囲む円弧の一部となっているので、内周面12iの形状は,図4に示すような鞍型の形状となる。内周面12iをこのような曲面とすれば,把持部12cがワーク30を挟持したときに,ワーク30と内周面12iとが接する部分は,面ではなく,円周に沿った線LLとなる。
【0013】
規制部材13は,図2に示すような円環形状をした部材であり,コレット12の把持部12cの外側に配置されている。規制部材13は,内側に内周面13iを備える。規制部材13の外周側には,内周側よりも厚さが薄いフランジ13fが形成されている。規制部材13の取付面11c側の面には,円周に沿って複数の突起部13cが設けられている。突起部13cは、例えば、半球形状を有している。
【0014】
フランジ13fには,3カ所に取付穴13hが形成されている。なお、取付穴13hは、3カ所以上にあってもよい。規制部材13は,取付穴13hを通るボルト17により,チャック本体11の取付面11cに取り付けられている。なお,取付穴13hの内径D2は,ボルト17の外径D1よりも大きい。そのため,規制部材13は,コレット12によりチャック本体11に押しつけられていない状態では,取付面11cに沿って平行移動が可能である。すなわち,規制部材13は,コレット12によりチャック本体11に押しつけられていない状態では,完全固定されているのではなく,フローティング構造となっている。
【0015】
複数の突起部13cは,規制部材13の取付面11c側の面に,円周に沿って均等間隔で設けられ,取付面11cに向けて突出する略半球形状を有している。そのため,取付面11cに粗さ,すなわちわずかな凹凸があっても,突起部13cが取付面11cに沿って平行移動するときに,この凹凸に引っかかり難い。なお,突起部13cは,円周に沿って連続した形状,すなわち,トーラスを軸に垂直な断面で切った形状を有していても良い。
【0016】
規制部材の内周面13iは,規制部材13の内周に形成され,把持部12cの外周面12oと平行なテーパー面であり,コレット12の把持部12cの外周面12oと面接触している。従って,上述したように,コレット12が胴部12a,腰部12b方向(図1では,-x方向)に移動すると,把持部12cは,内周面13iから力を受けて中心軸O方向に移動する。その結果,内周面13iの為す最小径が縮径し,ワーク30を挟持する。また,このとき,フローティング構造を有している規制部材13は,コレット12とチャック本体11とに挟まれ,位置が固定される。
【0017】
次に,コレット12を移動させる構成について説明する。第1実施形態では,コレット12を移動させる構成として,ピストン14とシリンダ15とを備える。シリンダ15は,チャック本体11の内周面11dに形成されている。より具体的には,チャック本体11の内周面11dと,後述するピストンロッド14aにより形成される空間がシリンダ15として機能する。
【0018】
ピストン14は,ピストンロッド14aと,突起部14bと,突起部14cとを備える。ピストンロッド14aは,チャック本体11の内周面11dに,中心軸Oと平行に設けられている。突起部14bは,ピストンロッド14aから中心軸O方向に突出しており,コレット12の胴部12aの外周に形成された凹部12eと嵌合している。突起部14cは,ピストンロッド14aから中心軸Oと反対の放射方向に突出しており,シリンダ15に挿入されている。シリンダ15の中心軸Oに沿った方向の長さL1は,突起部14cの中心軸Oに沿った方向の長さL2よりも長い。そのため,シリンダ15は,突起部14cにより,開口側の第1室15aと,底面部11b側の第2室15bに区画されている。シリンダ15の第1室15aと第2室15bには,図示しない油路が接続されている。
【0019】
第1室15aに圧油が供給されると,第1室15aの体積が増大し,一方,第2室15bの体積は減少する。この結果,ピストン14は,-x方向に移動し,突起部14bも-x方向に移動する。突起部14bが-x方向に移動すると,突起部14bと嵌合しているコレット12も-x方向に移動する。コレット12の3つの把持部12cは,規制部材13の内周面13iに沿って-x方向に移動するため,中心軸O方向に縮径し,ワーク30を挟持する。逆に,第2室15bに圧油が供給されると,第2室15bの体積が増大し,一方,第1室15aの体積は減少する。この結果,ピストン14は,+x方向に移動し,突起部14bも+x方向に移動する。突起部14bが+x方向に移動すると,突起部14bと嵌合しているコレット12も+x方向に移動する。コレット12の把持部12cは,規制部材13の内周面13iに沿って+x方向に移動するため,腰部12bのバネ力により拡径し,ワーク30を解放する。
【0020】
把持部を前記コレットの中心軸を通る平面で切ったときの断面形状が直線である場合,ワーク30と内周面12iとが面で接触する。その結果,ワーク30の被把持部が傾いていると,内周面12iもワーク30の被把持部の傾きと平行になるように傾き,ワーク30に曲げ力が働く。これに対し,第1実施形態によれば,図3に示すように,把持部を前記コレットの中心軸を通る平面で切ったときの断面形状は,ワーク30に接触する側が凸となる曲線である。その結果,ワーク30の被把持部が傾いていても,把持部12cとワーク30とは,円周に沿った線で接触する。その結果,把持部12cは,ほとんど傾かない。そのため,ワーク30に曲げ力が働かず,把持部12cも傾き難い。したがって,ワーク30加工精度を向上できる。
【0021】
B.第2実施形態:
図5は,第2実施形態のチャック装置20を示す説明図である。第1実施形態のチャック装置10との相違点は,第2実施形態のチャック装置20のコレット12の把持部12cがスリット12sを備える点であ。スリット12sは,チャック本体11の側が拡径する錐台の側面の形状を有している。スリット12sは,把持部12cを,内周面12iを有する内周部12fと,外周面12oを有する外周部12gに分ける。スリット12sの-x方向の深さは,内周面12iとワーク30とが接触する位置よりも-x方向の位置に達する深さである。
【0022】
シリンダ15とピストン14の動作によってコレット12が-x方向に移動し,把持部12cがワーク30を挟んだとき,ワーク30が傾いていると,傾いた側の把持部12cの内周部12fは,スリット12sを狭めるように外周部12g方向に変形する。しかし,傾いた側の把持部12cの外周部12gは,スリット12sがあるため,内周部12fがスリット12sを閉塞し外周部12gに接触するまでは変形しない。その結果,把持部12cの外周面12oの角度は変わらない。すなわち,ワーク30が傾いていても把持部12cは傾き難い。この結果,第1実施形態と同様に,ワーク30を曲げる力が働かない。
【0023】
図5に示す例では,スリット12sは,+x方向が中心軸Oに近く,-x方向が中心軸Oから遠い斜めの形状であるが,x方向の位置によらず中心軸Oとの間隔がほぼ同じ形状であってもよい。
【0024】
第2実施形態では,中心軸Oを通り中心軸Oと平行な断面で内周面12iを切ったときの内周面12iの断面を曲線としたが,直線であってもよい。スリット12sでワーク30の傾きを吸収できるため,ワーク30を曲げる力が働かない。
【0025】
上記,各実施形態では,シリンダ15は,コレット12を中心軸Oに沿って移動させているが,コレット12の代わりに規制部材13を中心軸Oに沿って移動させる構成であっても良い。すなわち,シリンダ15は,コレット12を規制部材13に対し中心軸Oに沿った方向に相対移動させることができればよい。
【0026】
本開示は,上述の実施形態に限られるものではなく,その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば,発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態の技術的特徴は,上述の課題の一部又は全部を解決するために,あるいは,上述の効果の一部又は全部を達成するために,適宜,差し替えや,組み合わせを行うことが可能である。また,その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ,適宜,削除することが可能である。
【符号の説明】
【0027】
10…チャック装置、11…チャック本体、11a…円筒部、11b…底面部、11c…取付面、11d…内周面、12…コレット、12a…胴部、12b…腰部、12c…把持部、12d…スリ割、12e…凹部、12f…内周部、12g…外周部、12i…内周面、12o…外周面、12s…スリット、13…規制部材、13c…突起部、13f…フランジ、13h…取付穴、13i…内周面、14…ピストン、14a…ピストンロッド、14b…突起部、14c…突起部、15…シリンダ,15a…第1室、15b…第2室、16…センタ支持部、16t…センタ部材、17…ボルト、20…チャック装置、30…ワーク、30P…センタ穴、O…中心軸
図1
図2
図3
図4
図5