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特許7559461密回避装置およびコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】密回避装置およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/10 20120101AFI20240925BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20240925BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
G06Q50/10
G08B25/04 K
G08B21/02
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020157652
(22)【出願日】2020-09-18
(65)【公開番号】P2022051264
(43)【公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】後藤 正樹
【審査官】松浦 かおり
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-134004(JP,A)
【文献】特開2014-164383(JP,A)
【文献】特開2017-227981(JP,A)
【文献】特開2009-181307(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G08B 19/00-31/00
G06T 7/00- 7/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
密集度または密接度のうちの少なくとも一方と、風の状態と、に基づいて、推定対象となる空間の密の状態を推定し、その推定した結果に基づき所定の条件が満たされたか否かを判定する密推定部と、
前記密推定部によって前記所定の条件が満たされたと判定された場合に、密を回避するための処理を実行する密回避処理実行部と、
を備え
前記所定の条件は、所定の残り時間が0に達したという条件であり、
前記密推定部は、前記残り時間を初期値に設定した後、チェック間隔ごとに、前記密集度または前記密接度のうちの少なくとも一方が所定の閾値よりも大きい場合に前記残り時間を短くし、前記風の状態である風速または風量が所定の閾値よりも小さい場合に前記残り時間を短くする密回避装置。
【請求項2】
コンピュータに、
密集度または密接度のうちの少なくとも一方と、風の状態と、に基づいて、推定対象となる空間の密の状態を推定し、その推定した結果に基づき所定の条件が満たされたか否かを判定する密推定ステップと、
前記密推定ステップによって前記所定の条件が満たされたと判定された場合に、密を回避するための処理を実行する密回避処理実行ステップと、
を実行させ
前記所定の条件は、所定の残り時間が0に達したという条件であり、
前記密推定ステップは、前記残り時間を初期値に設定した後、チェック間隔ごとに、前記密集度または前記密接度のうちの少なくとも一方が所定の閾値よりも大きい場合に前記残り時間を短くし、前記風の状態である風速または風量が所定の閾値よりも小さい場合に前記残り時間を短くするためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密回避装置およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
微生物等の感染リスクを減らすために、部屋の三密を回避することが好ましい場合がある。三密とは、密集、密接、密閉である。
【0003】
例えば、カメラ画像から人を認識して、人数および混雑度を検出するシステムが考えられている。
特許文献1に記載された混雑滞留検知システムでは、観測箇所の映像データの画像特徴の空間的な変動度合を画像の乱雑度として求め、物体の密集度合と画像の乱雑度との相関関係に基づいて、画像内に写る物体の混雑度を求めることが行われている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2009-181307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、混雑度が同じであっても、空気が流れる速度等によって、微生物等の感染リスクが異なると考えられるため、より適切に密の状態を回避することが求められる。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、所定の空間について、適切に密の状態を回避することを支援することができる密回避装置およびコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様に係る密回避装置は、密集度または密接度のうちの少なくとも一方と、風の状態と、に基づいて、推定対象となる空間の密の状態を推定し、その推定した結果に基づき所定の条件が満たされたか否かを判定する密推定部と、前記密推定部によって前記所定の条件が満たされたと判定された場合に、密を回避するための処理を実行する密回避処理実行部と、を備え、前記所定の条件は、所定の残り時間が0に達したという条件であり、前記密推定部は、前記残り時間を初期値に設定した後、チェック間隔ごとに、前記密集度または前記密接度のうちの少なくとも一方が所定の閾値よりも大きい場合に前記残り時間を短くし、前記風の状態である風速または風量が所定の閾値よりも小さい場合に前記残り時間を短くする密回避装置である。
【0008】
一態様に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、密集度または密接度のうちの少なくとも一方と、風の状態と、に基づいて、推定対象となる空間の密の状態を推定し、その推定した結果に基づき所定の条件が満たされたか否かを判定する密推定ステップと、前記密推定ステップによって前記所定の条件が満たされたと判定された場合に、密を回避するための処理を実行する密回避処理実行ステップと、を実行させ、前記所定の条件は、所定の残り時間が0に達したという条件であり、前記密推定ステップは、前記残り時間を初期値に設定した後、チェック間隔ごとに、前記密集度または前記密接度のうちの少なくとも一方が所定の閾値よりも大きい場合に前記残り時間を短くし、前記風の状態である風速または風量が所定の閾値よりも小さい場合に前記残り時間を短くするためのコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る密回避装置およびコンピュータプログラムによれば、所定の空間について、適切に密の状態を回避することを支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る密回避システムの概略的な構成を示す図である。
図2】本発明の実施形態に係る密集度を説明するための図である。
図3】本発明の実施形態に係る密接度を説明するための図である。
図4】本発明の実施形態(第1実施形態)に係る密回避装置において行われる処理の手順の一例を示す図である。
図5】本発明の実施形態(第2実施形態)に係る密回避装置において行われる処理の手順の一例を示す図である。
図6】本発明の実施形態(第3実施形態)に係る密回避システムの概略的な構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
【0012】
(第1実施形態)
<密回避システム>
図1は、本発明の実施形態に係る密回避システム1の概略的な構成を示す図である。
密回避システム1は、密回避装置11と、撮像部21と、風状態検出部22と、警告部31と、制御対象41と、を備える。
密回避装置11は、撮像情報取得部51と、人物検出部52と、距離検出部53と、風状態情報取得部54と、密推定部55と、警告制御部56と、対象制御部57と、記憶部58と、を備える。
【0013】
本実施形態では、撮像部21と、風状態検出部22と、警告部31と、制御対象41は、空間71に備えられている。
空間71は、本実施形態において、三密の状態を回避する対象となる空間であり、例えば、1つの部屋である。なお、空間71は、任意の場所であってもよく、例えば、三密になる可能性がある場所である。
【0014】
撮像部21は、空間71の画像を撮像することが可能な位置に配置されている。
撮像部21は、例えば、カメラである。当該カメラは、例えば、監視用のカメラであってもよく、また、ネットワークカメラであってもよい。
ここで、撮像部21は、空間71の画像を撮像することが可能であれば、空間71の外部に備えられてもよい。
なお、本実施形態では、説明の便宜上、画像という語を用いて説明するが、画像の代わりに映像が用いられてもよく、映像から抽出された画像が用いられてもよい。
【0015】
風状態検出部22は、空間71における所定箇所の風の状態(風状態)を検出する。当該所定箇所は、例えば、風状態検出部22が備えられる箇所である。
風状態としては、例えば、空間71における空気の流れに関する状態であり、風の速度(風速)、および、風の量(風量)の一方または両方であってもよい。
【0016】
ここで、風状態を検出する手法としては、任意の手法が用いられてもよく、例えば、風状態の推定値を検出する手法が用いられてもよい。
例えば、風速を検出する手法として、風杯型、風車型、超音波式、あるいは、熱線式等の風速計が使用されてもよく、また、風雑音、レーザー光、あるいは、赤外線カメラ等を使用して風速の推定を行う手法が用いられてもよい。
【0017】
警告部31は、所定の警告を発する。当該所定の警告は、本実施形態では、密を回避するための警告である。
所定の警告としては、例えば、警告のための音の出力、警告のための光の出力、警告のための画面の表示、および、警告のための振動などのうちの1以上であってもよい。
なお、警告部31は、警告を知らせるべき対象に警告を知らせることができれば、空間71の外部に備えられてもよい。本実施形態では、空間71の内部に存在する人に警告を知らせる場合を示すが、他の構成例として、空間71の外部に存在する人に警告を知らせる構成、あるいは、空間71の内部に存在する人と外部に存在する人との両方に警告を知らせる構成が用いられてもよい。
警告部31は、例えば、空間71に設置されてもよく、あるいは、警告すべき人に携帯される装置の機能部であってもよい。当該装置は、例えば、スマートフォンなどであってもよい。
警告すべき人は、例えば、空間71に存在する人、あるいは、空間71を管理する人(例えば、空間71を所有する施設の管理者)などであってもよい。
【0018】
制御対象41は、空間71の密を回避するために制御される対象であり、例えば、換気扇、窓、扉などであってもよい。
制御対象41は、1個の対象であってもよく、あるいは、複数の対象であってもよい。
【0019】
<密回避装置>
密回避装置11について説明する。
撮像情報取得部51は、撮像部21によって撮像された画像の情報を取得する。
ここで、撮像部21は、撮像した画像の情報を撮像情報取得部51に送信する。撮像部21と撮像情報取得部51との通信は、例えば、有線の通信であってもよく、あるいは、無線の通信であってもよい。
【0020】
人物検出部52は、撮像情報取得部51によって取得された画像の情報に基づいて、当該画像に写る人物の画像部分を検出する。
ここで、人物の画像部分を検出する手法としては、任意の手法が用いられてもよく、例えば、AIの技術を使用する手法が用いられてもよく、あるいは、パターンマッチングを使用する手法が用いられてもよい。
【0021】
距離検出部53は、撮像情報取得部51によって取得された画像の情報、および、人物検出部52によって検出された人物の画像部分に基づいて、人物同士の距離(人物間の距離)を検出する。
ここで、人物同士の距離を検出する手法としては、任意の手法が用いられてもよい。例えば、人物同士の距離を検出する手法として、オプティカルフローの技術を使用する手法が用いられてもよく、これにより、連続する画像について動いている人物が同一人物であるか否かを判定して、人物の動きを推定しつつ、人物同士の距離を検出してもよい。
【0022】
風状態情報取得部54は、風状態検出部22によって検出された風状態の情報を取得する。
ここで、風状態検出部22は、検出した風状態の情報を風状態情報取得部54に送信する。風状態検出部22と風状態情報取得部54との通信は、例えば、有線の通信であってもよく、あるいは、無線の通信であってもよい。
【0023】
密推定部55は、人物検出部52によって検出された人物の画像部分と、距離検出部53によって検出された距離と、風状態情報取得部54によって取得された風状態情報に基づいて、密の状態を推定する。
本実施形態では、密推定部55は、密集、密接という2つの密と、風の状態に関する密を推定する。本実施形態では、密閉という密の代わりに、風の状態に関する密が用いられている。
【0024】
警告制御部56は、密推定部55によって推定された密の状態に基づいて、警告部31により警告を発せさせる制御信号を警告部31に送信する。
ここで、警告部31は、警告制御部56から送信される制御信号を受信し、当該制御信号に基づいて警告のための情報を出力する。警告制御部56と警告部31との通信は、例えば、有線の通信であってもよく、あるいは、無線の通信であってもよい。
【0025】
対象制御部57は、密推定部55によって推定された密の状態に基づいて、制御対象41を制御するための制御信号を制御対象41に送信する。
ここで、制御対象41は、対象制御部57から送信される制御信号を受信し、当該制御信号に基づいて動作を行う。対象制御部57と制御対象41との通信は、例えば、有線の通信であってもよく、あるいは、無線の通信であってもよい。
例えば、制御対象41が換気扇である場合には、対象制御部57は、当該換気扇を起動させることで、密の状態を低下させることが可能である。
例えば、制御対象41が窓である場合には、対象制御部57は、当該窓を開けることで、密の状態を低下させることが可能である。
例えば、制御対象41が扉である場合には、対象制御部57は、当該扉を開けることで、密の状態を低下させることが可能である。
【0026】
本実施形態では、警告制御部56によって警告部31に警告を行わせるタイミングと、対象制御部57によって制御対象41を制御するタイミングとが同じである場合について説明するが、これらのタイミングとして、異なるタイミングが用いられてもよい。
【0027】
記憶部58は、各種の情報を記憶する。
記憶部58は、例えば、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を有している。
【0028】
密回避装置11は、例えば、コンピュータを用いて構成されている。
この場合、密回避装置11は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサーを備え、当該プロセッサーにより記憶部58に記憶されたプログラム(コンピュータプログラム)を実行することで、各種の処理を実行する。当該処理には、撮像情報取得部51、人物検出部52、距離検出部53、風状態情報取得部54、密推定部55、警告制御部56、対象制御部57のそれぞれによって行われる処理を含む。
記憶部58は、各種の処理を実行するためのプログラム、および、各種の処理で使用されるパラメーターを記憶する。
【0029】
ここで、本実施形態では、撮像部21と、風状態検出部22と、警告部31は、密回避装置11とは別体である場合を示すが、他の構成例として、撮像部21と、風状態検出部22と、警告部31のうちの1以上が、密回避装置11に一体として備えられる構成が用いられてもよい。
一例として、撮像部21に密回避装置11の機能を備えることで、例えば、密回避装置11の機能を有するカメラを構成することも可能である。
【0030】
また、本実施形態では、説明を簡易化するために、1つの撮像部21を備える場合を示すが、他の構成例として、複数の撮像部21が備えられてもよく、この場合、撮像情報取得部51は複数の撮像部21から画像の情報を取得する。
そして、人物検出部52および距離検出部53は、これら複数の画像の情報のうちの1以上を使用して、それぞれの検出を行う。
【0031】
また、本実施形態では、説明を簡易化するために、1つの風状態検出部22を備える場合を示すが、他の構成例として、複数の風状態検出部22が備えられてもよく、この場合、風状態情報取得部54は複数の風状態検出部22から風状態の情報を取得する。
そして、密推定部55は、これら複数の風状態の情報のうちの1以上を使用して、密の状態を推定する。
複数の風状態の情報がある場合、これら複数の風状態の情報は任意に処理されてもよく、例えば、平均値あるいは最大値などが算出されて用いられてもよい。
【0032】
風状態検出部22は、空間71において、任意の位置に備えられてもよく、例えば、空間71における風の状況などに応じて適度な位置に備えられる。
例えば、風状態検出部22は、撮像部21の近辺に備えられてもよい。
また、複数の風状態検出部22が、空間71に分散されて備えられてもよい。例えば、複数の風状態検出部22のうちの2個が空間71の一方の端と他方の端といったように対となる位置に配置されてもよい。
【0033】
<密集度および密接度>
図2は、本発明の実施形態に係る密集度を説明するための図である。
図2には、撮像情報取得部51によって取得された後に人物検出部52によって検出が行われた画像111の一例を示してある。
人物検出部52は、画像111に含まれるそれぞれの人物の画像部分である人物部131~136を検出する。
【0034】
ここで、人物検出部52により人物の画像部分を検出する手法としては、様々な検出手法が用いられてもよい。
また、図2の例では、それぞれの人物を囲う矩形を人物部131~136としているが、他の検出手法が用いられてもよい。
【0035】
密推定部55は、(人物の数)を(画像の範囲の面積)で除した結果を(密集度)として算出する。
つまり、(密集度)=(人物の数)/(画像の範囲の面積)である。
このような密集度の値は、推定値とみなされてもよい。
このような密集度では、当該密集度の値が大きいほど密集の度合いが高くなり、当該密集度の値が小さくなるほど密集の度合いが低くなる。
図2の例では、(人物の数)は6人であり、(画像の範囲の面積)は画像111の範囲の面積である。なお、例えば、撮像部21により撮像される画像の範囲が一定である場合には、あらかじめ(画像の範囲の面積)が一定値に設定されていてもよい。(画像の範囲の面積)の値は、特に限定は無く、1平行メートルなどであってもよい。通常、撮像部21により撮像される画像の範囲は、事前に把握され得る場合が多い。
【0036】
図3は、本発明の実施形態に係る密接度を説明するための図である。
図3には、図2に示される画像111に関して距離検出部53によって検出が行われた画像211の一例を示してある。
距離検出部53は、画像211に含まれる人物部131~136について、人物同士の距離を検出する。
【0037】
ここで、距離検出部53により人物同士の距離を検出する手法としては、様々な検出手法が用いられてもよい。
また、図3の例では、互いに近くに存在する人物同士の距離を検出しているが、他の検出手法が用いられてもよい。
【0038】
図3の例では、人物部131と人物部132との間の距離231、人物部133と人物部134との間の距離232、および、人物部134と人物部135との間の距離233が検出されている。図3の例では、それぞれの人物部131~136の中心位置を基準として距離が検出されている。また、図3の例では、所定の閾値以下となる距離が検出されている。
【0039】
密推定部55は、人物同士の距離が所定の閾値以下となる人物同士の組(ペア)の数を密接度として算出する。
このような密接度の値は、推定値とみなされてもよい。
このような密接度では、当該密接度の値が大きいほど密接の度合いが高くなり、当該密接度の値が小さくなるほど密接の度合いが低くなる。
図3の例では、人物同士の距離が所定の閾値以下となる人物同士の組の数は3である。
当該所定の閾値は、特に限定は無く、例えば、50センチメートルなどであってもよい。
【0040】
なお、密集度および密接度は、それぞれ、任意の手法を用いて決定されてもよく、例えば、既存の手法を用いて決定されてもよい。
【0041】
<風の状態>
本実施形態では、密推定部55は、風速が大きいほど密の度合いが低く、風速が小さいほど密の度合いが高いとして、密の状態を判定する。
他の構成例として、密推定部55は、風量が大きいほど密の度合いが低く、風量が小さいほど密の度合いが高いとして、密の状態を判定してもよい。
また、他の構成例として、密推定部55は、風速および風量の両方に基づく値を算出し、当該値に基づいて密の状態を判定してもよい。例えば、密推定部55は、風速および風量の両方に基づく値が大きいほど密の度合いが低く、風速および風量の両方に基づく値が小さいほど密の度合いが高いとして、密の状態を判定する。
【0042】
<密回避装置における動作>
図4は、本発明の実施形態(第1実施形態)に係る密回避装置11において行われる処理の手順の一例を示す図である。
密回避装置11において行われる処理のステップを(ステップS1)~(ステップS8)、(ステップS11)~(ステップS13)として説明する。
【0043】
(ステップS1)
密推定部55は、警告時間を初期値に初期化する。そして、ステップS2の処理へ移行する。
ここで、警告時間の初期値としては、任意の値が用いられてもよく、60分などであってもよい。当該初期値は、例えば、あらかじめ定められる。
本実施形態では、警告時間は減少させられていく値であり、警告時間が0になったときに警告が行われる。
【0044】
(ステップS2)
密推定部55は、チェック間隔が経過することを待つ。そして、チェック間隔が経過したときに、ステップS3の処理へ移行する。
ここで、当該チェック間隔としては、任意の値が用いられてもよく、1分などであってもよい。当該チェック間隔は、例えば、あらかじめ定められる。
本実施形態では、チェック間隔は、密の状態のチェックを行うための所定の時間間隔である。
【0045】
(ステップS3)
密推定部55は、密集度が0である(つまり、人物が存在しない)か否かを判定する。
この判定の結果、密推定部55は、密集度が0であると判定した場合(ステップS3:YES)、ステップS2の処理へ移行する。
一方、この判定の結果、密推定部55は、密集度が0よりも大きいと判定した場合(ステップS3:NO)、ステップS4の処理へ移行する。
【0046】
(ステップS4)
密推定部55は、密集度が、密集度に関する所定の閾値(密集度閾値)よりも大きいか否かを判定する。当該密集度閾値は、例えば、あらかじめ定められる。
この判定の結果、密推定部55は、密集度が、密集度閾値よりも大きいと判定した場合(ステップS4:YES)、ステップS11の処理へ移行する。
一方、この判定の結果、密推定部55は、密集度が、密集度閾値以下であると判定した場合(ステップS4:NO)、ステップS5の処理へ移行する。
【0047】
(ステップS5)
密推定部55は、密接度が、密接度に関する所定の閾値(密接度閾値)よりも大きいか否かを判定する。当該密接度閾値は、例えば、あらかじめ定められる。
この判定の結果、密推定部55は、密接度が、密接度閾値よりも大きいと判定した場合(ステップS5:YES)、ステップS12の処理へ移行する。
一方、この判定の結果、密推定部55は、密接度が、密接度閾値以下であると判定した場合(ステップS5:NO)、ステップS6の処理へ移行する。
【0048】
(ステップS6)
密推定部55は、風速が、風速に関する所定の閾値(風速閾値)よりも小さいか否かを判定する。当該風速閾値は、例えば、あらかじめ定められる。
この判定の結果、密推定部55は、風速が、風速閾値よりも小さいと判定した場合(ステップS6:YES)、ステップS13の処理へ移行する。
一方、この判定の結果、密推定部55は、風速が、風速閾値以上であると判定した場合(ステップS6:NO)、ステップS7の処理へ移行する。
【0049】
(ステップS7)
密推定部55は、警告時間が0以下(本実施形態では、0または負)であるか否かを判定する。
この判定の結果、密推定部55は、警告時間が0以下であると判定した場合(ステップS7:YES)、ステップS8の処理へ移行する。
一方、この判定の結果、密推定部55は、警告時間が0以下ではないと判定した場合(ステップS7:NO)、ステップS2の処理へ移行する。
【0050】
(ステップS8)
密推定部55は、警告制御部56に所定の指示信号を出力することで、警告制御部56から警告部31に所定の警告を行わせる。そして、ステップS1へ移行する。
ここで、所定の指示信号としては、任意の信号が用いられてもよい。
また、所定の警告としては、例えば、あらかじめ設定されていてもよく、あるいは、密推定部55によって、あらかじめ定められた条件に基づいて、密の状態などに応じて決定されてもよい。
【0051】
(ステップS11)
密推定部55は、警告時間から所定の時間を減算することで、当該警告時間を短くするように更新する。そして、ステップS5の処理へ移行する。
【0052】
(ステップS12)
密推定部55は、警告時間から所定の時間を減算することで、当該警告時間を短くするように更新する。そして、ステップS6の処理へ移行する。
【0053】
(ステップS13)
密推定部55は、警告時間から所定の時間を減算することで、当該警告時間を短くするように更新する。そして、ステップS7の処理へ移行する。
【0054】
ここで、ステップS11において密集度に関して警告時間から減算される所定時間と、ステップS12において密接度に関して警告時間から減算される所定時間と、ステップS13において風速に関して警告時間から減算される所定時間とは、同じ時間であってもよく、あるいは、異なる時間であってもよい。
一例として、これらの所定時間は、同じであり、1分などであってもよい。
【0055】
他の例として、ステップS11において密集度に関して警告時間から減算される所定時間は、密集度の値に応じて密推定部55によって決定されてもよい。
同様に、ステップS12において密接度に関して警告時間から減算される所定時間は、密接度の値に応じて密推定部55によって決定されてもよい。
同様に、ステップS13において風速に関して警告時間から減算される所定時間は、風速の値に応じて密推定部55によって決定されてもよい。
【0056】
ここで、図4の例では、密推定部55は、ステップS11の処理、ステップS12の処理、および、ステップS13の処理において警告時間を短くする以外には、警告時間を短くしない。
他の構成例として、密推定部55は、ステップS11の処理、ステップS12の処理、および、ステップS13の処理において警告時間を短くする以外に、時間の流れにしたがって警告時間を短くする構成が用いられてもよい。つまり、この構成では、密集度、密接度および風速が所定の条件(ステップS4の条件、ステップS5の条件、ステップS6の条件)を満たさなくても、所定の時間(警告時間の初期値である60分など)が経過するごとに警告が行われるようにする。なお、この場合に、例えば、警告時間の初期値が図4の例の場合よりも長く設定されてもよい。
【0057】
ここで、図4の例では、警告時間が0以下になった場合に警告が行われる処理の手順を示したが、他の構成例として、警告時間が0以下になった場合に、警告が行われるとともに、密推定部55が、対象制御部57に所定の指示信号を出力することで、対象制御部57によって制御対象41に所定の制御を行わせてもよい。
ここで、所定の指示信号としては、任意の信号が用いられてもよい。
また、所定の制御としては、例えば、あらかじめ設定されていてもよく、あるいは、密推定部55によって、あらかじめ定められた条件に基づいて、密の状態などに応じて決定されてもよい。
【0058】
さらに、他の構成例として、警告時間が0以下になった場合に、密推定部55が、警告制御部56によって警告を行わせずに、対象制御部57によって制御対象41を制御させてもよい。この場合、図4の例における警告時間は、例えば、制御時間など、他の名称で呼ばれてもよい。
【0059】
以上のように、本実施形態に係る密回避システム1では、密回避装置11において、空間71について、密集度および密接度とともに風状態に基づいて密の状態を判定することで、適切に密の状態を回避することを支援することができ、微生物等の感染リスクを減らすことができる。
本実施形態に係る密回避装置11では、密集度と密接度と風状態に基づいて所定の残り時間(図4の例における警告時間)を短くしていって、残り時間が0に達したときに警告と制御の一方または両方を行うことで、密集度と密接度と風状態を総合的に考慮して密の状態を回避することを可能とする。
【0060】
ここで、本実施形態では、密回避装置11は、風状態とともに密集度と密接度との両方に基づいて密を回避するための処理を行う場合を示したが、他の構成例として、風状態とともに、密集度と密接度とのうちの任意の一方に基づいて、密を回避するための処理を行ってもよい。
例えば、密回避装置11は、密集度と風状態に基づいて密を回避する処理を行う場合、密接度に関する処理(例えば、図4に示されるステップS5の処理およびステップS12の処理)を行わない。また、この場合、密回避装置11は、例えば、距離検出部53を備えなくてもよい。
例えば、密回避装置11は、密接度と風状態に基づいて密を回避する処理を行う場合、密集度に関する処理(例えば、図4に示されるステップS4の処理およびステップS11の処理)を行わない。
なお、通常は、密回避装置11は、風状態とともに密集度と密接度との両方に基づいて密を回避するための処理を行う場合に、密を回避する効果が大きいため、好ましい。
【0061】
(第2実施形態)
本実施形態では、密回避装置11を含む密回避システム1の概略的な構成は、第1実施形態の場合と同様である。このため、本実施形態では、図1に示される密回避システム1と同じ符号を用いて説明する。
本実施形態では、第1実施形態と比べて、密回避装置11において行われる処理が相違し、他の点で同様である。本実施形態では、第1実施形態と比べて相違する点について詳しく説明し、同様な点については詳しい説明を省略する。
【0062】
<密回避装置における動作>
図5は、本発明の実施形態(第2実施形態)に係る密回避装置11において行われる処理の手順の一例を示す図である。
密回避装置11において行われる処理のステップを(ステップS31)~(ステップS36)として説明する。
【0063】
(ステップS31)
密推定部55は、チェック間隔が経過することを待つ。そして、チェック間隔が経過したときに、ステップS32の処理へ移行する。
【0064】
(ステップS32)
密推定部55は、密集度が0である(つまり、人物が存在しない)か否かを判定する。
この判定の結果、密推定部55は、密集度が0であると判定した場合(ステップS32:YES)、ステップS31の処理へ移行する。
一方、この判定の結果、密推定部55は、密集度が0よりも大きいと判定した場合(ステップS32:NO)、ステップS33の処理へ移行する。
【0065】
(ステップS33)
密推定部55は、密集度が、密集度閾値よりも大きいか否かを判定する。
この判定の結果、密推定部55は、密集度が、密集度閾値よりも大きいと判定した場合(ステップS33:YES)、ステップS36の処理へ移行する。
一方、この判定の結果、密推定部55は、密集度が、密集度閾値以下であると判定した場合(ステップS33:NO)、ステップS34の処理へ移行する。
【0066】
(ステップS34)
密推定部55は、密接度が、密接度閾値よりも大きいか否かを判定する。
この判定の結果、密推定部55は、密接度が、密接度閾値よりも大きいと判定した場合(ステップS34:YES)、ステップS36の処理へ移行する。
一方、この判定の結果、密推定部55は、密接度が、密接度閾値以下であると判定した場合(ステップS34:NO)、ステップS35の処理へ移行する。
【0067】
(ステップS35)
密推定部55は、風速が、風速閾値よりも小さいか否かを判定する。
この判定の結果、密推定部55は、風速が、風速閾値よりも小さいと判定した場合(ステップS35:YES)、ステップS36の処理へ移行する。
一方、この判定の結果、密推定部55は、風速が、風速閾値以上であると判定した場合(ステップS35:NO)、ステップS31の処理へ移行する。
【0068】
(ステップS36)
密推定部55は、警告制御部56に所定の指示信号を出力することで、警告制御部56から警告部31に所定の警告を行わせる。そして、ステップS31へ移行する。
【0069】
このように、図5の例では、密集度、密接度、あるいは、風速のうち、1つでも閾値との比較結果が良好ではないと判定された場合には、警告が行われる。
【0070】
ここで、図5の例では、密推定部55が警告時間を使用しない構成が用いられている。
他の構成例として、密推定部55は、警告時間の初期値を設定し、時間の流れにしたがって当該警告時間を短くしていき、当該警告時間が0になったときに警告を行う構成が用いられてもよい。この構成では、密集度、密接度および風速が所定の条件(ステップS33の条件、ステップS34の条件、ステップS35の条件)を満たさなくても、所定の時間(警告時間の初期値である60分など)が経過するごとに警告が行われる。
【0071】
なお、図5の例においても、第1実施形態の場合と同様に、警告とともに制御対象41の制御が行われてもよく、あるいは、警告の代わりに制御対象41の制御が行われてもよい。
【0072】
以上のように、本実施形態に係る密回避システム1では、密回避装置11において、密集度および密接度とともに風状態に基づいて密の状態を判定することで、適切に密の状態を回避することを支援することができ、微生物等の感染リスクを減らすことができる。
本実施形態に係る密回避装置11では、密集度と密接度と風状態のいずれかが所定の条件を満たした場合に警告と制御の一方または両方を行うことで、密集度と密接度と風状態を考慮して密の状態を回避することを可能とする。
【0073】
ここで、本実施形態では、密回避装置11は、風状態とともに密集度と密接度との両方に基づいて密を回避するための処理を行う場合を示したが、他の構成例として、風状態とともに、密集度と密接度とのうちの任意の一方に基づいて、密を回避するための処理を行ってもよい。
例えば、密回避装置11は、密集度と風状態に基づいて密を回避する処理を行う場合、密接度に関する処理(例えば、図5に示されるステップS34の処理)を行わない。また、この場合、密回避装置11は、例えば、距離検出部53を備えなくてもよい。
例えば、密回避装置11は、密接度と風状態に基づいて密を回避する処理を行う場合、密集度に関する処理(例えば、図4に示されるステップS33の処理)を行わない。
なお、通常は、密回避装置11は、風状態とともに密集度と密接度との両方に基づいて密を回避するための処理を行う場合に、密を回避する効果が大きいため、好ましい。
【0074】
(第3実施形態)
<密回避システム>
図6は、本発明の実施形態(第3実施形態)に係る密回避システム501の概略的な構成を示す図である。
密回避システム501は、密回避装置511と、複数であるN個の端末装置512-1~512-Nと、ネットワーク513と、警告部591と、を備える。
それぞれの端末装置512-1~512-Nのうちのi(iは1以上N以下の整数)番目の端末装置512-iは、撮像部21-iと、風状態検出部22-iと、警告部31-iと、制御対象41-iと、有線または無線により通信することが可能になっている。
【0075】
それぞれの端末装置512-iと、撮像部21-iと、風状態検出部22-iと、警告部31-iと、制御対象41-iは、それぞれの空間571-iに備えられている。
このように、本実施形態では、1個の密回避装置511が、複数の異なる空間571-1~571-Nの密に関する状態を管理などする。
【0076】
密回避装置511と、複数の端末装置512-1~512-Nは、ネットワーク513と接続されている。
密回避装置511は、ネットワーク513を介して、それぞれの端末装置512-1~512-Nと通信することが可能である。
ネットワーク513は、例えば、有線のネットワークであってもよく、あるいは、無線のネットワークであってもよい。
【0077】
ここで、それぞれの空間571-1~571-Nと、それぞれの空間571-1~571-Nにおける撮像部21-1~21-Nと、風状態検出部22-1~22-Nと、警告部31-1~31-Nと、制御対象41-1~41-Nは、図1に示される空間71と、撮像部21と、風状態検出部22と、警告部31と、制御対象41と同様である。
【0078】
<密回避装置>
密回避装置511は、通信部531と、撮像情報取得部551と、人物検出部552と、距離検出部553と、風状態情報取得部554と、密推定部555と、警告制御部556と、対象制御部557と、記憶部558と、を備える。
ここで、概略的には、撮像情報取得部551と、人物検出部552と、距離検出部553と、風状態情報取得部554と、密推定部555と、警告制御部556と、対象制御部557と、記憶部558は、それぞれ、図1に示される撮像情報取得部51と、人物検出部52と、距離検出部53と、風状態情報取得部54と、密推定部55と、警告制御部56と、対象制御部57と、記憶部58と、同様な機能を有する。
【0079】
通信部531は、ネットワーク513を介して、それぞれの端末装置512-1~512-Nと通信する。
それぞれの空間571-1~571-Nにおける端末装置512-1~512-Nは、それぞれの空間571-1~571-Nにおける撮像部21-i、風状態検出部22-i、警告部31-i、および、制御対象41-iと、密回避装置511との間の通信における中継装置として機能する。
【0080】
本実施形態では、密回避装置511は、複数の空間571-1~571-Nのそれぞれについて、密の状態を管理などすることができる。密回避装置511がそれぞれの空間571-1~571-Nの密の状態に関して行う処理は、第1実施形態または第2実施形態の場合と同様である。
【0081】
また、本実施形態では、複数の空間571-1~571-Nに共通な警告部591が備えられている。
密回避装置511において、警告制御部556は、それぞれの空間571-1~571-Nの警告部31-1~31-Nに警告を行わせる機能を有しているとともに、警告部591に警告を行わせる機能を有している。
【0082】
例えば、密推定部555は、複数の空間571-1~571-Nを管理する管理者が存在する場合に、複数の空間571-1~571-Nのうちで選択された1以上の空間について、警告部591に警告させることで、当該管理者に警告を知らせてもよい。この場合、管理者は、例えば、警告部591の操作部などを操作することで、複数の空間571-1~571-Nのうちで、1以上の空間を選択することが可能である。
【0083】
他の構成例として、密推定部555は、複数の空間571-1~571-Nを管理する管理者が存在する場合に、複数の空間571-1~571-Nのうちのいずれか1つでも密の状態に関して警告すべきときに、警告制御部556によって警告部591に警告させることで、当該管理者に警告を知らせてもよい。
【0084】
警告部591は、例えば、管理者が存在する空間に設置されてもよく、あるいは、警告すべき人(本例では、管理者)に携帯される装置の機能部であってもよい。当該装置は、例えば、スマートフォンなどであってもよい。
【0085】
以上のように、本実施形態に係る密回避システム501では、密回避装置511において、複数の空間571-1~571-Nのそれぞれについて、密集度および密接度とともに風状態に基づいて密の状態を判定することで、適切に密の状態を回避することを支援することができ、微生物等の感染リスクを減らすことができる。
【0086】
<構成例>
一構成例として、密集度または密接度のうちの少なくとも一方と、風の状態と、に基づいて、推定対象となる空間(図1の例では空間71、図6の例では空間571-1~571-N)の密の状態を推定し、その推定した結果に基づき所定の条件(図4の例ではステップS4、ステップS5およびステップS6の条件、図5の例ではステップS33、ステップS34およびステップS35の条件)が満たされたか否かを判定する密推定部(図1の例では密推定部55、図6の例では密推定部555)と、密推定部によって所定の条件が満たされたと判定された場合に、密を回避するための処理(実施形態では、警告と制御との一方または両方)を実行する密回避処理実行部(図1の例では警告制御部56と対象制御部57との一方または両方、図6の例では警告制御部556と対象制御部557との一方または両方)と、を備える密回避装置(図1の例では密回避装置11、図6の例では密回避装置511)である。
【0087】
一構成例(図4の例)として、密回避装置において、所定の条件は、所定の残り時間(図4の例では、警告時間)が0に達したという条件である。密推定部は、残り時間を初期値に設定した後、チェック間隔ごとに、密集度または密接度のうちの少なくとも一方が所定の閾値よりも大きい場合に残り時間を短くし、風の状態である風速または風量が所定の閾値よりも小さい場合に残り時間を短くする。
【0088】
一構成例(図5の例)として、密回避装置において、所定の条件は、密集度または密接度のうちの少なくとも一方が所定の閾値よりも大きいという条件、および、風の状態である風速または風量が所定の閾値よりも小さいという条件である。
【0089】
一構成例として、密回避装置において、密回避処理実行部によって行われる処理は、密を回避するために行われる警告の処理と、密を回避するために制御対象を制御する処理と、の一方または両方である。
【0090】
一構成例として、コンピュータ(実施形態では、密回避装置11、511を構成するコンピュータ)に、密集度または密接度のうちの少なくとも一方と、風の状態と、に基づいて、推定対象となる空間の密の状態を推定し、その推定した結果に基づき所定の条件が満たされたか否かを判定する密推定ステップと、密推定ステップによって所定の条件が満たされたと判定された場合に、密を回避するための処理を実行する密回避処理実行ステップと、を実行させるためのコンピュータプログラムである。
【0091】
なお、以上の実施形態では、密集度または密接度のうちの少なくとも一方と、風の状態と、に基づいて、推定対象となる空間の密の状態を推定し、その推定した結果に基づき所定の条件が満たされたか否かを判定する密推定部の例を示したが、これに限定されない。
密推定部は、密集度、密接度および風の状態を示す値を全て用いて、所定の条件が満たされたか否かを判定してもよい。
一例として、密推定部は、密集度、密接度および風の状態を示す値を全て用いて算出される値について、所定の条件が満たされたか否かを判定してもよい。例えば、密推定部は、式(1)のDの値を算出し、このDの値が所定の閾値以上であるという所定の条件を満たすと判定した場合に、密を回避するための処理(例えば、警告と制御との一方または両方)を実行する構成とされてもよい。なお、A、B、Cの係数は、それぞれ、任意に設定されてもよい。また、式(1)において、風速の代わりに、風量が用いられてもよく、あるいは、風速と風量との両方が考慮された値が用いられてもよい。
D=A×密集度+B×密接度-C×風速 ・・(1)
【0092】
なお、以上に説明した密回避装置11、511などの任意の装置における任意の構成部の機能を実現するためのプログラム(コンピュータプログラム)を、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、そのプログラムをコンピュータシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、オペレーティングシステム(OS:Operating System)あるいは周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD(Compact Disc)-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークあるいは電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバーやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0093】
また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワークあるいは電話回線等の通信回線のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記のプログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイルであってもよい。差分ファイルは、差分プログラムと呼ばれてもよい。
【0094】
以上に説明した任意の装置における任意の構成部の機能は、プロセッサーにより実現されてもよい。例えば、実施形態における各処理は、プログラム等の情報に基づき動作するプロセッサーと、プログラム等の情報を記憶するコンピュータ読み取り可能な記録媒体により実現されてもよい。ここで、プロセッサーは、例えば、各部の機能が個別のハードウェアで実現されてもよく、あるいは、各部の機能が一体のハードウェアで実現されてもよい。例えば、プロセッサーはハードウェアを含み、当該ハードウェアは、デジタル信号を処理する回路およびアナログ信号を処理する回路のうちの少なくとも一方を含んでもよい。例えば、プロセッサーは、回路基板に実装された1または複数の回路装置、あるいは、1または複数の回路素子のうちの一方または両方を用いて、構成されてもよい。回路装置としてはIC(Integrated Circuit)などが用いられてもよく、回路素子としては抵抗あるいはキャパシターなどが用いられてもよい。
【0095】
ここで、プロセッサーは、例えば、CPUであってもよい。ただし、プロセッサーは、CPUに限定されるものではなく、例えば、GPU(Graphics Processing Unit)、あるいは、DSP(Digital Signal Processor)等のような、各種のプロセッサーが用いられてもよい。また、プロセッサーは、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)によるハードウェア回路であってもよい。また、プロセッサーは、例えば、複数のCPUにより構成されていてもよく、あるいは、複数のASICによるハードウェア回路により構成されていてもよい。また、プロセッサーは、例えば、複数のCPUと、複数のASICによるハードウェア回路と、の組み合わせにより構成されていてもよい。また、プロセッサーは、例えば、アナログ信号を処理するアンプ回路あるいはフィルター回路等のうちの1以上を含んでもよい。
【0096】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0097】
1、501…密回避システム、11、511…密回避装置、21、21-1~21-N…撮像部、22、22-1~22-N…風状態検出部、31、31-1~31-N、591…警告部、41、41-1~41-N…制御対象、51、551…撮像情報取得部、52、552…人物検出部、53、553…距離検出部、54、554…風状態情報取得部、55、555…密推定部、56、556…警告制御部、57、557…対象制御部、58、558…記憶部、111、211…画像、131~136…人物部、231~233…距離、512-1~512-N…端末装置、513…ネットワーク、531…通信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6