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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】パウチ
(51)【国際特許分類】
   B65D 33/00 20060101AFI20240925BHJP
   B65D 30/16 20060101ALI20240925BHJP
   B65D 75/62 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
B65D33/00 C
B65D30/16 F
B65D75/62 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020157710
(22)【出願日】2020-09-18
(65)【公開番号】P2022051297
(43)【公開日】2022-03-31
【審査請求日】2023-07-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122529
【弁理士】
【氏名又は名称】藤枡 裕実
(74)【代理人】
【識別番号】100135954
【弁理士】
【氏名又は名称】深町 圭子
(74)【代理人】
【識別番号】100119057
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英生
(74)【代理人】
【識別番号】100131369
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100171859
【弁理士】
【氏名又は名称】立石 英之
(72)【発明者】
【氏名】北野 寛治
(72)【発明者】
【氏名】藤田 愛子
(72)【発明者】
【氏名】榊原 真紀
【審査官】小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-093691(JP,A)
【文献】特開2019-006407(JP,A)
【文献】特表2008-522912(JP,A)
【文献】特開平11-276313(JP,A)
【文献】特開2006-219165(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01707496(EP,A1)
【文献】特開2000-203598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 33/00
B65D 30/16
B65D 75/62
B65D 77/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する第1面フィルムと第2面フィルムの間に、折込部を有する側面フィルムが挟まれ、サイドガセット部を備えるパウチであって、
上縁部と、上縁部に対向する下縁部と、を有し、
前記下縁部側の前記第1面フィルムと前記第2面フィルムは、前記第1面フィルム側または前記第2面フィルム側に折り曲げられて貼り合わされ、底面を構成しており、
前記側面フィルムは、少なくとも紙基材層とシーラント層を有し、
前記側面フィルムの外面側の前記紙基材層の前記上縁部寄りの位置に、前記折込部の延伸方向に沿って延びる切取予定線が形成されており、
前記上縁部は、上縁部シール部が設けられ、
前記切取予定線の上端は、前記上縁部シール部に達しない、パウチ。
【請求項2】
前記切取予定線は、前記紙基材層を貫通するミシン目である、請求項1に記載のパウチ。
【請求項3】
前記切取予定線は、前記紙基材層を貫通しないハーフカット線である、請求項1に記載のパウチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物の詰替えに適したパウチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粉状体や固形物の製品について、プラスチックフィルムで構成されたパウチに収容して販売されているものがある。このようなパウチは、一部リサイクルされているものもあるが、その大半は使い捨てである。
【0003】
食品用途の菓子などに用いられるピロー袋、スタンディングパウチ、三方袋形状(プラスチックフィルム構成)等の包装袋(パウチ)に収容された内容物の詰替えは、上部の開封口(ノッチなど)から開封し、中身を取り出すことにより行われている。サイドガセット部を備えた包装袋についても上部から取り出すことが通常であり、内容物を取り出すために、上部から開封し易い工夫がなされた包装袋も提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-203598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の包装袋では、上部からの開封時に、プラスチックフィルムの配向やシーラントフィルムのカット性など仕様構成(スペック)に依存し、斜めに逸れたり、シーラント層が伸びて開封し難いという問題がある。その改善策として、シーラント層の易カットタイプへの変更、フィルムの配向を制御した特殊原反の採用、易開封加工(レーザー加工など)の採用により、開封し難い要素も若干低減されているが、コストが上がる傾向となっている。また、開封した後、切り離された包材が、非内容物と内容物側の包材に分かれ、非内容物の方が不要となり、廃棄物が増えるという問題もある。また、より保存性の容器に詰め替える際、簡易に詰替えを行うことが難しいという問題もある。
【0006】
そこで、本発明は、開封し易く、他の容器への詰替えが容易なパウチを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、
対向する第1面フィルムと第2面フィルムの間に、折込部を有する側面フィルムが挟まれ、サイドガセット部を備えるパウチであって、
上縁部と、上縁部に対向する下縁部と、を有し、
前記下縁部側の前記第1面フィルムと前記第2面フィルムは、前記第1面フィルム側または前記第2面フィルム側に折り曲げられて貼り合わされ、底面を構成しており、
前記側面フィルムは、少なくとも紙基材層とシーラント層を有し、
前記側面フィルムの外面側の前記紙基材層の前記上縁部寄りの位置に、前記折込部の延伸方向に沿って延びる切取予定線が形成されている、パウチを提供する。
【0008】
また、本発明のパウチは、
前記切取予定線は、前記紙基材層を貫通するミシン目であってもよい。
【0009】
また、本発明のパウチは、
前記切取予定線は、前記紙基材層を貫通しないハーフカット線であってもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、開封し易く、他の容器への詰替えが容易なパウチを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るパウチを示す斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係るパウチの平面図である。
図3】本発明の一実施形態に係るパウチの断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係るパウチの側面図である。
図5】開封された状態のパウチの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1図4は、本発明の一実施形態に係るパウチを示す図である。このうち、図1は内容物を充填した状態の斜視図であり、図2は第1面フィルム側から見た平面図であり、図3図1図2におけるA-A線断面図である。図4は、第1側面フィルム側から見たパウチの側面図である。各図において、斜線の網掛けで示した箇所は、ヒートシールにより形成されたシール部を示している。
【0013】
本実施形態に係るパウチ1の構造は、図1図4に示すとおりである。まず、互いに対向する第1面フィルム2と第2面フィルム3を重ね合わせ、両方の側縁部(第1側縁部15、第2側縁部16)に側面フィルム(第1側面フィルム4、第2側面フィルム5)をそれぞれ挿入して、第1面フィルム2および第2面フィルム3と、第1側面フィルム4および第2側面フィルム5の対向する端縁部間をヒートシールして、第1側縁部シール部6、第2側縁部シール部7(側部シール部)を形成して筒状体を形成する。そして、筒状体の開放端である上縁部11、下縁部12をヒートシールすることにより、筒状体の上縁部11に上縁部シール部8、下縁部12に下縁部シール部18を形成し、第1側縁部15側と第2側縁部16側の両側面がガセット状のサイドガセット部とされた構成のサイドガセットパウチと呼ばれる形態のパウチ1となる。
【0014】
説明の便宜上、図1の斜視図は、内容物を収容してパウチ1が膨らんだ状態を示しているが、図2の平面図は、内容物がなく、第1側面フィルム4、第2側面フィルム5がそれぞれ2つに折り畳まれた状態を示している。図2の平面図に示すように、第1面フィルム2の上縁部11には、上縁部シール部8が設けられ、下縁部12には、下縁部シール部18が設けられている。図1図2においては、後方に隠れているが、第2面フィルム3にも、第1面フィルム2と同様に、上縁部11には、上縁部シール部8が設けられ、下縁部12には、下縁部シール部18が設けられている。
【0015】
上縁部シール部8は、上縁部シール部第1部分8aと、上縁部シール部第2部分8bとで構成されている。図2の平面図において第1面フィルム2側から見て、上縁部シール部第1部分8aは、2つの上縁部シール部第2部分8bに挟まれている。上縁部シール部第1部分8aは、第1面フィルム2と第2面フィルム3がヒートシールされて接合されたものである。上縁部シール部第2部分8bは、第1面フィルム2が第1側面フィルム4および第2側面フィルム5と、第2面フィルム3が第1側面フィルム4および第2側面フィルム5と、それぞれヒートシールされて接合されたものである。
【0016】
同様に、下縁部シール部18は、下縁部シール部第1部分18aと、下縁部シール部第2部分18bとで構成されている。図2の平面図に示すように、第1面フィルム2側から見て、下縁部シール部第1部分18aは、2つの下縁部シール部第2部分18bに挟まれている。下縁部シール部第1部分18aは、第1面フィルム2と第2面フィルム3がヒートシールされて接合されたものである。下縁部シール部第2部分18bは、第1面フィルム2が第1側面フィルム4および第2側面フィルム5と、第2面フィルム3が第1側面フィルム4および第2側面フィルム5と、それぞれヒートシールされて接合されたものである。下縁部シール部第2部分18bは、第1側面フィルム4および第2側面フィルム5の全幅(図2における左右方向)に亘って形成されている。
【0017】
図2において、上下方向に延びる2本の直線状の破線は、第1面フィルム2に隠れた折込部4a、5aの位置を示している。第1側面フィルム4、第2側面フィルム5は、それぞれ折込部4a、5aにより2つ折りされて、第1面フィルム2と第2面フィルム3の間に挿入されている。図2の平面図において左右方向に延びる二点鎖線で示すように、下縁部シール部18が形成されたパウチ1の下縁部12側には、第1折線21、第2折線22が、パウチ1の下縁部12と平行に形成されている。
【0018】
本実施形態のパウチの断面構成は、図3に示すように、重なり合った第1面フィルム2と第2面フィルム3の第1側縁部15側に第1側面フィルム4を挿入し、重なり合った第1面フィルム2と第2面フィルム3の第2側縁部16側に第2側面フィルム5を挿入した構成である。第1側面フィルム4の折込部4aと第2側面フィルム5の折込部5aは、互いに接しないように対向して配置されている。
【0019】
<<各フィルムの関係>>
本実施形態のパウチは、長方形状の第1面フィルム2と、第1面フィルム2と同一形状の第2面フィルム3と、長方形状の第1側面フィルム4と、第1側面フィルム4と同一形状の第2側面フィルム5の計4枚のフィルムで構成されている。本実施形態のパウチは、上述のように、第1面フィルム2と第2面フィルム3とで、断面V字状(図3参照)に折り込んだ第1側面フィルム4、第2側面フィルム5を挟んだ後、第1面フィルム2を第1側面フィルム4および第2側面フィルム5と、第2面フィルム3を第1側面フィルム4および第2側面フィルム5とヒートシールして、2箇所の第1側縁部シール部6、6(第1面フィルム2側と第2面フィルム3側)と、2箇所の第2側縁部シール部7、7(第1面フィルム2側と第2面フィルム3側)を形成する。これにより、全体が筒状体に形成される。さらに、筒状体の上縁部11に上縁部シール部8、下縁部12に下縁部シール部18をそれぞれ形成した構成のいわゆる4ピラーガセットパウチとなる。4ピラーとは、2箇所の第1側縁部シール部6、6と2箇所の第2側縁部シール部7、7の計4箇所の側部シール部が、4本の柱のように見えることを意味する。
【0020】
<<各シール部>>
図1に示すように、第1側縁部シール部6、第2側縁部シール部7は、第1面フィルム2が第1側面フィルム4および第2側面フィルム5と、第2面フィルム3が第1側面フィルム4および第2側面フィルム5とヒートシールされたものである。上述のように、4つの側部シール部により、側端縁(稜線)に支柱を設けたような構成となり、4ピラーガセットパウチと呼ばれる形態となっている。第1側縁部シール部6、第2側縁部シール部7は、それぞれ第1側縁部15、第2側縁部16を含むように形成されている。側部シール部である第1側縁部シール部6、第2側縁部シール部7は、2mm以上15mm以下の幅で形成されることが好ましく、4mm以上10mm以下の幅で形成されることがより好ましい。
【0021】
上縁部シール部8は、上縁部シール部第1部分8aと、上縁部シール部第2部分8bとで構成されている。上縁部シール部第1部分8aは第1面フィルム2と第2面フィルム3がシールされたものである。上縁部シール部第2部分8bは第1面フィルム2が第1側面フィルム4および第2側面フィルム5と、第2面フィルム3が第1側面フィルム4および第2側面フィルム5と、それぞれシールされたものである。上縁部シール部第2部分8bは第1側面フィルム4および第2側面フィルム5の全幅に亘って形成されている。上縁部シール部8は、パウチの上縁部11まで形成されていてもよいが、上縁部11まで達していなくてもよい。
【0022】
下縁部シール部18は、下縁部シール部第1部分18aと、下縁部シール部第2部分18bとで構成されている。下縁部シール部第1部分18aは第1面フィルム2と第2面フィルム3がシールされたものである。下縁部シール部第2部分18bは第1面フィルム2が第1側面フィルム4および第2側面フィルム5と、第2面フィルム3が第1側面フィルム4および第2側面フィルム5と、それぞれシールされたものである。下縁部シール部第2部分18bは第1側面フィルム4および第2側面フィルム5の全幅に亘って形成されている。下縁部シール部18は、パウチの下縁部12まで形成されていてもよいが、下縁部12まで達していなくてもよい。
【0023】
<<下縁部側の構成>>
図1図2では、説明の便宜上、下縁部シール部18が形成されたパウチ1の底部が折り返されていない状態を示した。しかし、販売等の流通時においては、図4の側面図に示すように、下縁部12側が折り返された構成となっている。下縁部12側が折り返された構成となっていることにより、底面23が構成される。これにより、陳列時等において、パウチ1を置く際には、底面23を載置面として自立可能な状態とすることができる。具体的には、図2に示した第1折線21を介して第1面フィルム2側が内方に折り曲げられるとともに、図2に示した第2折線22を介して第2面フィルム3側が内方に折り曲げられ、パウチ1の第1面フィルム2側または第2面フィルム3側の内方に向かって折り曲げられた部分の外面と、対向する外面とを固定する。
【0024】
固定は接着剤等を用いて行うことができる。なお、第1折線21と第2折線22は、同じ面側に折り曲げてもよいし、互いに異なる面側に折り曲げてもよい。また、本実施形態では、折線として第1折線21と第2折線22の2本の折線を形成したが、1本のみであってもよい。また、図4の例では、第1面フィルム2の一部により底面23を形成するようにしたが、第1折線21、第2折線22による折方向を逆にして、第2面フィルム3の一部により底面23を形成するようにしてもよい。
【0025】
<<フィルムの詳細>>
第1面フィルム2、第2面フィルム3、第1側面フィルム4、第2側面フィルム5は、積層フィルムにより構成することができる。包装材料である積層フィルムは、少なくとも、基材層とシーラント層を含む。シーラント層は、パウチ1の最内面を構成する層である。基材層については、第1面フィルム2および第2面フィルム3と、第1側面フィルム4および第2側面フィルム5とで異なる。第1側面フィルム4は、パウチ1の開封時に破断される。このため、第1面フィルム2および第2面フィルム3に比べて、破断され易い構造である必要がある。そのため、第1側面フィルム4の基材層は紙基材層としている。本実施形態では、第2側面フィルム5は、開封対象としていないため、必ずしも破断され易い必要はない。しかし、本実施形態のパウチ1の構造上、第1側面フィルム4と同一形状で対称な位置に形成されるため、第1側面フィルム4と第2側面フィルム5が同一構造である方が効率的で低コストな製造が可能となる。
【0026】
第1面フィルム2、第2面フィルム3の基材層は、1軸延伸または2軸延伸のプラスチックフィルムまたは紙である。基材層を構成するプラスチックフィルムとしては、例えば、ナイロン(Ny)などのポリアミドや、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステルや、ポリプロピレン(PP)等を用いることができる。
【0027】
第1面フィルム2、第2面フィルム3の基材層の厚みは、用いられる材料に応じて適宜設定される。例えば、基材層を構成する材料としてナイロンが用いられる場合、基材層の厚みは15~25μmの範囲内となっている。また、基材層を構成する材料としてポリエチレンテレフタレートが用いられる場合、基材層の厚みは12~25μmの範囲内となっている。なお、積層フィルムは、複数の基材層を備えていてもよい。例えば、積層フィルムは、第1基材層であるナイロンフィルムと、第2基材層であるポリエチレンテレフタレートフィルムを備えていてもよい。また、第1面フィルム2、第2面フィルム3の基材層としては、第1側面フィルム4、第2側面フィルム5の基材層と同様、紙基材層を用いることもできる。
【0028】
第1側面フィルム4、第2側面フィルム5の基材層としては、紙基材層が用いられる。紙基材層は樹脂に比べて破断し易い紙で構成される。第1側面フィルム4、第2側面フィルム5の紙基材層として用いる紙は、破断し易いものであれば、特に制限はないが、坪量が30g/m2以上120g/m2以下のものが好ましい。坪量が30g/m2未満であると、加工上印刷や切込みを入れる際に安定して加工できない問題がある。また、坪量が120g/m2を超えると、第1面フィルム2と第2面フィルムの間に入る際に腰の反発が強く、折り込めない問題が発生する。
【0029】
次にシーラント層について説明する。シーラント層は、第1面フィルム2と第2面フィルム3、第1面フィルム2と第1側面フィルム4および第2側面フィルム5、第2面フィルム3と第1側面フィルム4および第2側面フィルム5をシールするためのシーラントとなる層であり、熱可塑性樹脂を含む。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などを用いることができる。ここでポリエチレンは、エチレンの単独重合体だけでなく、エチレンとα-オレフィン単量体との共重合体など、一般にポリエチレンとして認識される共重合体も含むものである。また、シーラント層において用いられるポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)などを好適に用いることができる。なお、積層フィルムは、複数のシーラント層を備えていてもよい。
【0030】
シーラント層の厚みは、用いられる材料に応じて適宜設定される。例えば、シーラント層の厚みは、好ましくは20~200μmの範囲内となっており、より好ましくは30~130μmの範囲内となっている。
【0031】
積層フィルムは、商品内容を表示したり美感を付与したりするために、印刷層を備えていてもよい。印刷層は、基材層または紙基材層の外側に設けられていてもよいし、基材層または紙基材層とシーラント層の間に設けられていてもよい。印刷層は、バインダーと顔料を含む印刷インキにより形成することができる。
【0032】
なお、図示はしないが、積層フィルムは、機能層をさらに含んでいてもよい。機能層としては、例えば、気体や液体に対する積層フィルムのバリア性を高めるためのバリア層が挙げられる。バリア層の具体的な構成は特には限定されないが、例えば、蒸着によって形成されるアルミニウムなどの無機物や酸化アルミニウムや酸化珪素などの無機酸化物を含む蒸着層や、アルミニウムなどの金属箔層や、コーティングによって形成されるエチレン-ビニルアルコール共重合体層、具体的にはエバール(EVOH)などを挙げることができる。機能層は、基材層または紙基材層の外側に積層されていてもよいし、基材層または紙基材層とシーラント層の間に積層されていてもよい。
【0033】
基材層、紙基材層、シーラント層、機能層を積層させるための方法が特に限られることはなく、公知の積層方法が適宜用いられる。例えば、接着剤を用いて貼り合わせる、いわゆるドライラミネート法が用いられてもよいし、押出しラミネート法が用いられてもよい。
【0034】
積層フィルムは、粉状体などの内容物がフィルム内面に付着することを抑制するために、帯電防止機能を備えていてもよい。これにより、積層フィルムは、帯電防止機能を有する包材となる。例えば、印刷層や接着剤にアルミニウムの粉末を添加することにより、帯電防止層を付与することができる。
【0035】
第1面フィルム2、第2面フィルム3としては、基材層に紙を用いた一例として、印刷層/純白紙(坪量40g/m2)/WL/ALM7μm/DL/直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)30μmの構成の積層フィルムを用いることができる。このような積層フィルムは以下のようにして得られる。まず、基材層である坪量40g/m2の純白紙にグラビア印刷等により印刷を行う。そして、機能層(バリア層)である厚さ7μmのアルミニウム箔(ALM)を用意し、ウェットラミネート(WL)により、純白紙の印刷面と反対側の面とアルミニウム箔(ALM)を貼り合わせる。さらに、ドライラミネート(DL)により、シーラント層である厚さ30μmのLLDPEフィルムを、アルミニウム箔(ALM)側の面に貼り合わせる。
【0036】
第1側面フィルム4、第2側面フィルム5としては、一例として、印刷層/上質紙(坪量52.3g/m2)/ポリエチレン(PE)30μmの構成の積層フィルムを用いることができる。このような積層フィルムは以下のようにして得られる。まず、紙基材層である坪量52.3g/m2の上質紙にグラビア印刷等により印刷を行う。そして、上質紙の印刷面と反対側の面に対してコロナ放電処理を行った後、コロナ放電処理を行った面に対して、押出しラミネートにより、シーラント層である厚さ30μmのポリエチレン樹脂を積層する。
【0037】
また、第1側面フィルム4、第2側面フィルム5としての他の一例として、印刷層/上質紙(坪量52.3g/m2)/ポリエチレン(PE)10μm/ALM7μm/AC/ポリエチレン(PE)10μm/低密度ポリエチレン(LDPE)30μmの構成の積層フィルムを用いることができる。このような積層フィルムは以下のようにして得られる。まず、紙基材層である坪量52.3g/m2の上質紙にグラビア印刷等により印刷を行う。そして、上質紙の印刷面と反対側の面に対してコロナ放電処理を行った後、コロナ放電処理を行った面に対して、厚さ10μmのPE樹脂を用いた押出しラミネートにより、厚さ7μmのアルミニウム箔(ALM)を貼り合わせる。さらに、アルミニウム箔(ALM)の表面にアンカーコート(AC)層を形成し、厚さ10μmのPE樹脂を用いた押出しラミネートにより、シーラント層である厚さ30μmのLDPE樹脂を積層する。
【0038】
<<切取予定線>>
第1側面フィルム4には、第1側面フィルム4を破断し易くするための切取予定線17が形成されている。切取予定線17は、第1側面フィルム4の外面側の紙基材層の上縁部11寄りの位置に、折込部4aの延伸方向に沿って延びるように形成されている。折込部4aの延伸方向は、上縁部11と下縁部12を結ぶ方向である。上縁部11寄りの位置とは、第1折線21と第2折線22で折り返さず底面23を構成していない図1図2に示したような状態で、下縁部12よりも上縁部11の方に近い位置を意味する。本実施形態では、切取予定線17は上縁部11側の端部である上端17aから下縁部12側の端部である下端17bまで形成されている。
【0039】
切取予定線17が上縁部11寄りの位置に形成されているとは、切取予定線17の下端17bが上縁部11寄りに位置することを意味している。また、切取予定線17の上端17aが、上縁部シール部8(上縁部シール部第2部分8b)に達せず、離れた位置に形成されている。切取予定線17の上端17aが、上縁部シール部8から離れた位置に形成されていることにより、破断により第1側面フィルム4に形成される開口K(図5参照)の端部が、上縁部シール部第2部分8bに達しない。このため、内容物を出す際に、上縁部シール部第2部分8bで遮られることなく、詰替えを容易に行うことが可能となる。
【0040】
切取予定線17としては、第1側面フィルム4を破断し易くするものであれば、特に限定されず、どのような形態であってもよい。本実施形態では、切込みであるカット部と切り込まれていない部分であるアンカット部が1本の直線状に連続する単純なミシン目とすることも可能である。カット部の長さ、アンカット部の長さ、カット部とアンカット部の長さの比率等は、第1側面フィルム4の素材等を考慮して、適宜設定することができる。
【0041】
切取予定線17を紙基材層の上縁部11寄りの位置に形成することにより、わずかな力で効率的に第1側面フィルム4を破断することが可能となる。なお、本実施形態では、切取予定線17を、第1側面フィルム4にのみ形成しているが、第1側面フィルム4と第2側面フィルム5の両方に形成するようにしてもよい。切取予定線17を、第1側面フィルム4と第2側面フィルム5の両方に形成した場合、第1側面フィルム4、第2側面フィルム5のどちら側からでも開封することができ、利便性が高まる。
【0042】
なお、切取予定線17としては、折込部4a(折込部5a)の延伸方向に沿って延びるものであれば、ミシン目以外でも様々な形態とすることができる。例えば、紙基材層を貫通しないハーフカット線とすることも可能である。切取予定線17の形態に関わらず、第1側面フィルム4(第2側面フィルム5)の表面には、印刷等により目視可能な破線等を折込部4a(折込部5a)の延伸方向に沿って形成し、その破線に沿って破断し易いこと(例えば「切り取り線」などの表示)を明示しておくことが好ましい。
【0043】
<<パウチの製造方法>>
次に、本実施形態に係るパウチの製造方法について説明する。まず、いずれも基材層とシーラント層を含む第1面フィルム2、第2面フィルム3、第1側面フィルム4、第2側面フィルム5を長尺状の連続シートとして用意する。第1側面フィルム4の基材層は紙基材層であることが必須である。そして、第1側面フィルム4に対しては、第1側面フィルム4の長手方向に沿うようにして、切取予定線17を形成する。続いて、第1側面フィルム4、第2側面フィルム5を搬送方向に沿った折込部により折り畳んで、第1面フィルム2と第2面フィルム3の間に挟み込む。
【0044】
そして、連続シートの長手方向(搬送方向)に沿って、後に第1側縁部シール部6、第2側縁部シール部7となるシール部をヒートシールにより形成して、第1面フィルム2を第1側面フィルム4および第2側面フィルム5に接合し、第2面フィルム3を第1側面フィルム4および第2側面フィルム5に接合する。次に、連続シートの長手方向(搬送方向)と交差する方向に沿って、後に下縁部シール部18となるシール部をヒートシールにより形成する。これにより、第1面フィルム2が第2面フィルム3、第1側面フィルム4、第2側面フィルム5に接合され、第2面フィルム3が第1面フィルム2、第1側面フィルム4、第2側面フィルム5に接合される。次に、連続シートの長手方向(搬送方向)と交差する方向に沿って、カッターにより切断して、各個体のパウチに分離する。
【0045】
この状態から充填工程に移行し、上縁部11側の開口から内容物を充填した後、上縁部11側をヒートシールして、後に上縁部シール部8となるシール部を形成する。これにより、上縁部11側においても、第1面フィルム2が第2面フィルム3、第1側面フィルム4、第2側面フィルム5に接合され、第2面フィルム3が第1面フィルム2、第1側面フィルム4、第2側面フィルム5に接合され、パウチが封止される。
【0046】
<<パウチの使用方法>>
本実施形態に係るパウチの使用方法について説明する。ここでは、パウチ内に、コーヒー粉が収容されており、コーヒー粉を瓶に詰め替える場合について説明する。図1図4に示したようなパウチ1にコーヒー粉が収容されている場合、まず、利用者は、第1側面フィルム4の上縁部11寄りの位置における折込部4a付近を内面側に向かって押す。この押す力により、第1側面フィルム4に形成された切取予定線17に応力が加わる。すると、切取予定線17がミシン目である場合、カット部に沿って各カット部間のアンカット部に亀裂が入り、やがて各カット部が連続して、第1側面フィルム4における上縁部11寄りの所定の箇所が破断する。すなわち、第1側面フィルム4を外面から内面に向かって押圧して、カット部から続く亀裂により、第1側面フィルムを破断する。そして、第1側面フィルム4に開口Kが形成される。図5は、第1側面フィルム4が破断して開口Kが形成された状態のパウチを示す側面図である。
【0047】
利用者は、詰替え用の瓶を下方に置いた状態で、パウチ1を、第1側面フィルム4が下方になるように傾ける。そして、第1側面フィルム4の開口Kから、内容物であるコーヒー粉を出して瓶内に入れ替える。開封時においては、第1側面フィルム4を破断するのみであり、パウチから分離される部分などはない。そのため、開封時において、廃棄物が出るのを抑えることができる。また、開封後に瓶内に全て入りきらず、内容物が残った場合は、保存することもできる。喫食時および保存時には、底面側と同様にして、上縁部11側を折り畳む。これにより、開口Kは塞がり、短い期間であれば、保管することが可能となる。
【0048】
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、側面フィルムとして、第1側面フィルム第2側面フィルムの2つを備えるようにしたが、側面フィルムを1つだけ備える構成としてもよい。この場合、側面フィルムを備えない側縁部においては、第1面フィルムと第2面フィルムが直接接合される。
【符号の説明】
【0049】
1・・・パウチ
2・・・第1面フィルム
3・・・第2面フィルム
4・・・第1側面フィルム
4a、5a・・・折込部
5・・・第2側面フィルム
6・・・第1側縁部シール部(側部シール部)
7・・・第2側縁部シール部(側部シール部)
8・・・上縁部シール部
8a・・・上縁部シール部第1部分
8b・・・上縁部シール部第2部分
11・・・上縁部
12・・・下縁部
15・・・第1側縁部
16・・・第2側縁部
17・・・切取予定線
17a・・・(切取予定線の)上端
17b・・・(切取予定線の)下端
18・・・下縁部シール部
18a・・・下縁部シール部第1部分
18b・・・下縁部シール部第2部分
21・・・第1折線
22・・・第2折線
23・・・底面
図1
図2
図3
図4
図5