(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】根菜類収穫機
(51)【国際特許分類】
A01D 33/10 20060101AFI20240925BHJP
【FI】
A01D33/10
(21)【出願番号】P 2020159626
(22)【出願日】2020-09-24
【審査請求日】2023-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003834
【氏名又は名称】弁理士法人新大阪国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【氏名又は名称】松田 正道
(74)【代理人】
【氏名又は名称】特許業務法人新大阪国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高木 真吾
(72)【発明者】
【氏名】黒瀬 英明
(72)【発明者】
【氏名】二宮 浩二
【審査官】大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-271230(JP,A)
【文献】特開2012-044966(JP,A)
【文献】特開2017-118843(JP,A)
【文献】特開2019-208388(JP,A)
【文献】特開平06-056388(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 13/00-33/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体を走行させる走行部(A)と操縦部(B)と圃場から根菜類を収穫する収穫部(C)と収穫した根菜類を収容する収容部(E)を装備した根菜類収穫機において、該収容部(E)に収穫部(C)から搬送された根菜類を収納する収容部材(22)を載置する載置台(25)を設けると共に、収容部材(22)を吊って機体左右方向外側の圃場に降ろすクレーン(26)を設け、
クレーン(26)は、機体フレーム(1)後端部に基部を固定し後方に向けて設けたクレーン支持フレーム(27)と、該クレーン支持フレーム(27)の上面に基部を固定し上方に向けて立設した円柱パイプ材よりなる縦フレーム(28)と、該縦フレーム(28)内に挿通され回転自在の回転支柱(29)と、該回転支柱(29)上端部に基部が固定され横方向に延びる横フレーム(30)とを有し、
クレーン(26)に収容部材(22)を圃場に降ろす作業時に作業者を保護するガード体(33)を設け、
ガード体(33)は、縦フレーム(28)外周に嵌装された円柱パイプ材よりなる回動筒体(33a)と、該回動筒体(33a)に基部が固着され横方向に延びる円柱パイプ材よりなる上下横ガード材(33b)とを有することを特徴とする根菜類収穫機。
【請求項2】
機体左右一側に収穫部(C)を設け、機体左右他側に収容部(E)を設け、収穫部(C)から収容部(E)に向けて左右方向に選別搬送部(D)を設け、該選別搬送部(D)の機体後方に補助作業座席(23)を設け、収容部(E)の載置台(25)を機体左右側端部に設け、クレーン(26)を載置台(25)よりも後方の補助作業座席(23)側方に設けたことを特徴とする請求項1記載の根菜類収穫機。
【請求項3】
ガード体(33)の基部近くにクレーン(26)を操作する上げ/下げスイッチ(37)を備える操作パネル(34)を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の根菜類収穫機。
【請求項4】
クレーン(26)の旋回する横フレーム(30)及びガード体(33)を機体の後方に収納自在に設け、
縦フレーム(28)外周に嵌装された回動筒体(33a)には、固定ピン(33d)が設けられ、回動筒体(33a)の縦フレーム(28)廻りの回動位置を固定することが出来る、ことを特徴とする請求項3記載の根菜類収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場から作物を採ってバケットやフレコンバッグ等の収容部材に収容する根菜類収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、引抜搬送装置で圃場から根菜類を引抜き搬送し、選別搬送装置の搬送終端部に設けたフレコンバッグで根菜類を収容する根菜類収穫機がある。(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、根菜類が満杯になったフレコンバッグを載置部から機体後方に向けて圃場に降ろすので、圃場に降ろされたフレコンバッグは機体のすぐ側方にあり、フレコンバッグが傾いたり機体が少し蛇行したりすると、機体にフレコンバッグが接触してフレコンバッグが破れて根菜類が圃場に散乱して適正な収穫作業が行なえなくなるような事態が発生する恐れがある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、圃場に降ろしたフレコンバッグ等の収容部材に機体が接触することを回避した根菜類収穫機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の本発明は、
機体を走行させる走行部(A)と操縦部(B)と圃場から根菜類を収穫する収穫部(C)と収穫した根菜類を収容する収容部(E)を装備した根菜類収穫機において、該収容部(E)に収穫部(C)から搬送された根菜類を収納する収容部材(22)を載置する載置台(25)を設けると共に、収容部材(22)を吊って機体左右方向外側の圃場に降ろすクレーン(26)を設け、
クレーン(26)は、機体フレーム(1)後端部に基部を固定し後方に向けて設けたクレーン支持フレーム(27)と、該クレーン支持フレーム(27)の上面に基部を固定し上方に向けて立設した円柱パイプ材よりなる縦フレーム(28)と、該縦フレーム(28)内に挿通され回転自在の回転支柱(29)と、該回転支柱(29)上端部に基部が固定され横方向に延びる横フレーム(30)とを有し、
クレーン(26)に収容部材(22)を圃場に降ろす作業時に作業者を保護するガード体(33)を設け、
ガード体(33)は、縦フレーム(28)外周に嵌装された円柱パイプ材よりなる回動筒体(33a)と、該回動筒体(33a)に基部が固着され横方向に延びる円柱パイプ材よりなる上下横ガード材(33b)とを有することを特徴とする根菜類収穫機である。
第2の本発明は、
機体左右一側に収穫部(C)を設け、機体左右他側に収容部(E)を設け、収穫部(C)から収容部(E)に向けて左右方向に選別搬送部(D)を設け、該選別搬送部(D)の機体後方に補助作業座席(23)を設け、収容部(E)の載置台(25)を機体左右側端部に設け、クレーン(26)を載置台(25)よりも後方の補助作業座席(23)側方に設けたことを特徴とする第1の本発明の根菜類収穫機である。
第3の本発明は、
ガード体(33)の基部近くにクレーン(26)を操作する上げ/下げスイッチ(37)を備える操作パネル(34)を設けたことを特徴とする第1または2の本発明の根菜類収穫機である。
第4の本発明は、
クレーン(26)の旋回する横フレーム(30)及びガード体(33)を機体の後方に収納自在に設け、
縦フレーム(28)外周に嵌装された回動筒体(33a)には、固定ピン(33d)が設けられ、回動筒体(33a)の縦フレーム(28)廻りの回動位置を固定することが出来る、ことを特徴とする第3の本発明の根菜類収穫機である。
本発明に関連する第1の発明は、機体を走行させる走行部Aと操縦部Bと圃場から根菜類を収穫する収穫部Cと収穫した根菜類を収容する収容部Eを装備した根菜類収穫機において、該収容部Eに収穫部Cから搬送された根菜類を収納する収容部材22を載置する載置台25を設けると共に、収容部材22を吊って機体左右方向外側の圃場に降ろすクレーン26を設けた根菜類収穫機である。
【0007】
本発明に関連する第1の発明によれば、収容部Eに収穫部Cから搬送された根菜類を収納する収容部材22を載置する載置台25を設けると共に、収容部材22を吊って機体左右方向外側の圃場に降ろすクレーン26を設けたので、載置台25に載置された収容部材22をクレーン26にて吊り上げて、機体左右方向外側の位置で圃場に降ろすことができ、圃場に降ろされた収容部材22が傾いたり機体が多少蛇行したりしても、機体に収容部材22が接触することを回避でき、良好で適切な収穫作業を行なうことができる。
【0008】
本発明に関連する第2の発明は、機体左右一側に収穫部(C)を設け、機体左右他側に収容部(E)を設け、収穫部(C)から収容部(E)に向けて左右方向に選別搬送部(D)を設け、該選別搬送部(D)の機体後方に選別搬送部(D)で搬送される根菜類の内、不要な根菜類を取り出す補助作業部を設け、収容部(E)の載置台(25)を機体左右側端部に設け、補助作業部の近傍にクレーン(26)を操作する操作パネル(34)を設けたことを特徴とする本発明に関連する第1の発明の根菜類収穫機である。
【0009】
本発明に関連する第3の発明は、クレーン26に収容部材22を圃場に降ろす作業時に作業者を保護するガード体33を設けた本発明に関連する第1または2の発明の根菜類収穫機である。
【0010】
本発明に関連する第4の発明は、クレーン26の旋回する横フレーム30及びガード体33を機体の後方に収納自在に設けた本発明に関連する第3の発明の根菜類収穫機である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施例の実施形態の人参収穫機の平面図である。
【
図2】本発明の一実施例の実施形態の人参収穫機の斜視図である。
【
図3】本発明の第2実施形態の人参収穫機の平面図である。
【
図4】本発明の第2実施形態の人参収穫機の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態の一実施例として示す根菜類収穫機の一種である人参収穫機を説明する。以下においては、機体の前進方向を基準に、前後、左右と謂う。
【0013】
<全体構成>
人参収穫機は、機体を走行させる走行部Aと、操縦者が搭乗する操縦部Bと、機体左右一側で圃場から人参を引き抜いて機体後上側に搬送する収穫部Cと、該収穫部Cから人参を引き継いで茎葉切断部にて機体後方に搬送しながら茎葉部を切断し、茎葉切断部から落下する人参を受けて残葉処理部にて人参に残った茎葉部を処理し、残葉処理部から人参を引き継いで人参を機体左右一側から左右他側へと搬送し、搬送中の人参を補助作業者が選別する選別搬送部Dと、該選別搬送部Dから排出される人参の収容部材を配置する収容部Eから構成される。
【0014】
<走行部A>
機体フレーム1の下方に機体前部側の左右駆動スプロケット2,2と機体後部側の左右従動輪3,3と、該左右駆動スプロケット2,2と左右従動輪3,3との間に取り付けた複数の転輪4の周りに左右ベルト5,5を巻き掛けて左右のクローラ6L,6Rを構成する。そして、該左右クローラ6L,6Rの左右駆動スプロケット2,2を、エンジンの動力が伝動されるミッションケースから左右両側に延出させた左右ドライブシャフトに取り付け、一定の左右間隔を設けて左右クローラ6L,6Rを該機体フレーム1に取り付ける。
【0015】
<操縦部B>
前記機体フレーム1の右側上部に操縦部フレーム7を取り付け、該操縦部フレーム7には操縦座席8を取り付けると共に、機体前側に操縦パネル9を取り付ける。そして、該操縦パネル9に機体の前後進及び走行速度を切り換える変速操作レバー10を取り付けると共に、機体の左右旋回操作及び収穫部Cの作業高さを操作する昇降操作レバー11を取り付ける。
【0016】
また、前記操縦部フレーム7の機体左右他側(機体右側)にエンジンを冷却するラジエータ(図示省略)を保護すると共に冷却風を取り込むラジエータカバー12を着脱自在に取り付けることにより。操縦部Bが構成される。
【0017】
上記構成により、変速操作レバー10や昇降操作レバー11のような、1本で複数の操作を行える操縦部材を設けることによって、機体の操縦が容易になるため操縦者の作業を軽減することができる。
【0018】
<収穫部C>
左右引抜フレーム13,13の機体前側に左右従動プーリ14a,14aを回転自在に装着し、機体後側に左右駆動プーリ14b,14bを装着し、該左右従動プーリ14a,14aと左右駆動プーリ14b,14bとの間に人参を引き抜き機体後部へと搬送する左右挟持搬送ベルト15,15を巻き掛けると共に、複数のテンションローラ16によって該左右挟持搬送ベルト15,15を張圧し、左右挟持搬送ベルト15,15の機体内側面を互いに圧接させて人参の引抜搬送経路Rを構成する。そして、前記機体フレーム1の上方に左右横軸を回動支点として上下方向に回動自在な回動フレームを取り付け、該回動フレームの後端部に前記左右駆動プーリ14b,14bに駆動力を伝動する伝動ケースを、回動支点を中心として上下回動自在に取り付ける。また、前記機体フレーム1と回動フレームとを昇降シリンダで連結し、該昇降シリンダを操縦部Bで操作可能に取り付けて引抜搬送装置17を構成する。
【0019】
また、該引抜搬送装置17の前方に人参の茎葉部を引き起こす縦引起し装置18と、該縦引起し装置18が引起した茎葉部を掬い上げる横引起し装置19と、該横引起し装置19の前部に設ける分草杆20と、引抜搬送装置17の下り過ぎを防止する回転自在なゲージ輪と、前記エンジンの駆動力で往復振動して土中の人参の左右の土を解す左右振動ソイラとを設ける。
【0020】
そして、引抜搬送通路としての前記引抜搬送経路Rの下方に引抜搬送装置17で搬送中の人参のひげ根を切断する尻尾切装置を取り付けて、収穫部Cを構成する。
【0021】
上記構成により、機体前側に分草杆20を備える横引起し装置19と、縦引起し装置18を設けることによって、圃場に倒伏した人参の茎葉を掻き上げながら収穫作業ができ、収穫する人参の視認性が向上するので引き抜き位置が合わせやすく、作物の抜き残しが減少するため作業能率が向上する。
【0022】
また、人参に左右振動ソイラ等が接触して傷つくことを防止できるので、人参の商品価値が向上する。
【0023】
そして、機体フレーム1と左右横軸を回動支点として上下方向に回動自在な回動フレームとを昇降シリンダで連結し、昇降シリンダを操縦部Bの昇降操作レバー11を操作することによって伸縮させる構成としたことによって、昇降操作レバー11の操作により収穫部C全体の上下高さを調節することができるので、収穫部Cの引抜搬送始端部の位置を上下方向に調節しするとともに圃場に植生する人参の適切な引き抜き高さに合わせて引抜搬送始端部の位置調節を行え、人参の抜き残しが防止されるので作業能率が向上する。
【0024】
また、旋回時に収穫部Cを上昇させておくと、収穫部Cの下端部が圃場に接触しにくくなるため、旋回動作がスムーズに行われて作業能率が向上する。
【0025】
<選別搬送部D>
選別搬送部Dの選別作業用の選別搬送装置21は、収穫部Cの引抜搬送装置17の後部下方から収穫作物を収容する収容部材であるフレコンバッグ22のある収容部Eに向けて機体左右方向に配置され、エンジンからの駆動力にて周回動する一定間隔の桟を備えるチェーンコンベアにて構成されている。なお、引抜搬送装置17にて茎葉部が挟持されて搬送してきた人参は、その茎葉部下端(人参の頭部の少し上)が茎葉切断部にて切断されて人参が下方に落下するが、該落下する人参を残葉処理部が受けて人参に残った茎葉部を処理して選別搬送部Dに搬送する。そして、選別搬送部Dの選別搬送装置21は、人参をその左端から右方(収容部E)に搬送する。
【0026】
また、選別搬送装置21の機体後方側に補助作業座席23が設けられており、該補助作業座席23に着座した作業者が選別搬送装置21にて送られてくる人参のなかから商品にならないもの(小さい人参や異形の人参)を取り出して、適正な商品価値のある人参のみを収容部Eに送るようにする。
【0027】
<収容部E>
収容部Eは、選別搬送装置21右側方に配置され、該選別搬送装置21の右端に設けた吊り下げハンガー24と、該吊り下げハンガー24に吊り下げられたフレコンバッグ22を載置する載置台25と、載置台25に載置されたフレコンバッグ22を吊り上げて圃場に降ろすクレーン26により構成されている。
【0028】
選別搬送装置21は、左端基部から右端上部に向けて斜め上方に向かって設けられている。即ち、エンジンからの駆動力にて周回動して人参を斜め上方に搬送し、上端部から下方に放出する。また、選別搬送装置21の基部は、回動軸にて回動自在に設けられており、中途部には、機体フレーム1に基部が枢支された上下作動油圧シリンダのピストン先端が連結されている。即ち、該選別搬送装置21は、補助作業座席23に着座した作業者が踏み操作する上昇スイッチを踏み込み操作している間、上下作動油圧シリンダが伸長して回動軸回りに回動して上昇し、下降スイッチを踏み込み操作している間、上下作動油圧シリンダが縮小して回動軸回りに回動して下降する。
【0029】
吊り下げハンガー24は、選別搬送装置21の右端に設けられている。載置台25上方で、吊り下げハンガー24の4つのフック24aをフレコンバッグ22の上端縁部の係止孔に各々引っ掛けてフレコンバッグ22を吊下げ支持する。この時、選別搬送装置21は、吊下げたフレコンバッグ22の底が載置台25に受けられた状態となるような上昇位置とする。
【0030】
載置台25は、機体フレーム1右端部に設けた枢支軸にて右側方に水平状に延びる使用状態と機体内方に折り畳んだ収納状態とに切り替え自在に設けている。
【0031】
クレーン26は、機体フレーム1後端部に基部を固定し後方に向けて設けたクレーン支持フレーム27と、該クレーン支持フレーム27の上面に基部を固定し上方に向けて立設した円柱パイプ材よりなる縦フレーム28と、該縦フレーム28内に挿通され回転自在の回転支柱29と、該回転支柱29上端部に基部が固定され横方向に延びる横フレーム30と、回転支柱29を回転駆動する電動モータ31と、横フレーム30基部近くに設けられたウインチ32と、縦フレーム28外周に嵌装されて縦フレーム28周りに回動するガード体33と、該ガード体33基部近くに設けた操作パネル34から構成される。
【0032】
ウインチ32は、内蔵する電動モータにてワイヤ35を巻き込んだり繰り出したりする一般的なものであり、ワイヤ35の先端にはフック36が設けられている。そして、操作パネル34に設けた上げ/下げスイッチ37にて内蔵する電動モータが作動してワイヤ35を巻き込んだり繰り出したりしてフック36を上昇させたり下降させたりすることができる。即ち、フック36にフレコンバッグ22の吊り下げ用紐22aを引っ掛けることにより、フレコンバッグ22を上昇させたり下降させたりすることができる。
【0033】
電動モータ31は、操作パネル34に設けた旋回スイッチ38により作動し、回転支柱29を回転させて横フレーム30を旋回させてウインチ32のフック36にて吊り下げられたフレコンバッグ22を自由な位置に旋回させることができる。
【0034】
ガード体33は、縦フレーム28外周に嵌装された円柱パイプ材よりなる回動筒体33aと、該回動筒体33aに基部が固着され横方向に延びる円柱パイプ材よりなる上下横ガード材33bと、該上下横ガード材33bの先端から挿入され矢印イ-ロ方向に進退自在に固定されたU字状ガード材33cから構成されている。
【0035】
そして、縦フレーム28外周に嵌装された回動筒体33aには、固定ピン33dが設けられ、回動筒体33aの縦フレーム28廻りの回動位置を固定する。即ち、
図1に示すように作業者がフレコンバッグ22をフック36から外して圃場に降ろす作業をする際に、フレコンバッグ22が作業者の方に倒れても作業者に当たらないように防護する位置にガード体33を固定する。
【0036】
なお、ガード体33の回動筒体33aに位置検出ポテンショメータを設けて、ガード体33をフレコンバッグ22が作業者の方に倒れても作業者に当たらないように防護する位置(
図1の位置)にしておかないと、操作パネル34に設けた上げ/下げスイッチ37を操作してもウインチ32が作動しないようにすれば、安全である。
【0037】
また、U字状ガード材33cを上下横ガード材33bに対して矢印ロ方向に退入し、ガード体33を機体の後端部と平行になる左右方向にまで回動させて固定ピン33dで固定し、クレーン26の横フレーム30を機体後方位置に旋回させておけば機体左右幅が狭くなるので、路上走行する時や機体をトラックに積み下ろしする時には安全で操作性が良く、機体を納屋等に格納する時には狭いスペースに格納できる。
【0038】
また、クレーン26の縦フレーム28(旋回中心)を機体フレーム1右端の後方で補助作業座席23後部付近に配置したので、クレーン26が補助作業座席23に着座した作業者の選別作業の邪魔にならず作業性が良い。
【0039】
また、収穫作業時でクレーン26を使用しない時は、横フレーム30を機体後方に向けておくと、補助作業座席23に着座した作業者の選別作業の邪魔にならず、作業者が補助作業座席23に着座する及び離席する時にも邪魔にならない。しかも、クレーン26を使用する際には、フレコンバッグ22の上方位置にすぐに旋回できて、作業性が良い。
【0040】
<人参の収穫作業>
載置台25を機体内方に折り畳んだ収納状態から右側方に水平状に延びる使用状態にする(
図1の状態)。
【0041】
そして、選別搬送装置21右端の吊り下げハンガー24の各フック24aにフレコンバッグ22の上端縁部の係止孔を各々引っ掛けてフレコンバッグ22を吊下げ、選別搬送装置21を吊下げたフレコンバッグ22の底が載置台25に受けられた状態となるような上昇位置とする。
【0042】
そして、ガード体33をフレコンバッグ22が作業者の方に倒れても作業者に当たらないように防護する位置(
図1の位置)にして、固定ピン33dで固定する。クレーン26の横フレーム30は、機体後方に向けた位置にしておく。
【0043】
そして、人参収穫機を進行させて、収穫部Cの引抜搬送装置17の引抜搬送経路R前端を圃場の人参条に合わせた後に昇降操作レバー11を操作して収穫部Cを下降させ、掘取りクラッチを「入」にして各部を駆動させて前進する。すると、分草杆20や縦引起し装置18や横引起し装置19にて人参の茎葉を掻き上げて引抜搬送装置17の引抜搬送経路Rに人参の茎葉が挟持され、左右振動ソイラにて人参の側方及び下方の土をほぐして、人参は引抜搬送装置17にて挟持されて引き抜かれて、後方上方に搬送される。
【0044】
そして、引抜搬送装置17にて茎葉部が挟持されて搬送してきた人参は、その茎葉部下端(人参の頭部の少し上)が茎葉切断部にて切断されて人参が下方に落下するが、該落下する人参は残葉処理部が受けて人参に残った茎葉部を処理して選別搬送部Dに搬送される。そして、人参は、選別搬送部Dの選別搬送装置21にてその左端から右方(収容部E)に搬送される。
【0045】
そして、選別搬送装置21の機体後方側の補助作業座席23に着座した作業者が選別搬送装置21にて送られてくる人参のなかから商品にならないもの(小さい人参や異形の人参)を取り出し、商品価値のある人参のみが収容部Eに送られる。
【0046】
選別搬送装置21にて右端に送られてきた人参は、選別搬送装置21右端の吊り下げハンガー24の各フック24aに吊下げられたフレコンバッグ22内に落下して収納される。
【0047】
そして、フレコンバッグ22が人参で一杯になると、機体の進行及び各部の駆動を停止し、補助作業座席23に着座している作業者が離席してガード体33の後方に立ち、操作パネル34に設けた旋回スイッチ38を操作して横フレーム30を機体後方に向けた位置から旋回させてウインチ32のフック36がフレコンバッグ22の中央上方に位置するようにする。
【0048】
そして、操作パネル34に設けた上げ/下げスイッチ37を下げに操作して、フック36をフレコンバッグ22の中央上面位置にまで下げる。
【0049】
そして、ガード体33後方から載置台25まで行って載置台25上に載って、フック36をフレコンバッグ22の吊り下げ用紐22aに引っ掛ける。
【0050】
そして、ガード体33後方に戻り、操作パネル34に設けた上げ/下げスイッチ37を上げに操作して、フレコンバッグ22を載置台25から吊り上げ、操作パネル34に設けた旋回スイッチ38を操作してフレコンバッグ22を載置台25の右外側方で後方の位置(
図1の仮想線の位置)まで旋回させて、上げ/下げスイッチ37を下げに操作して、フレコンバッグ22を圃場に降ろす。そして、フック36をフレコンバッグ22の吊り下げ用紐22aから外して、上げ/下げスイッチ37を上げに操作してフック36を上昇させて、旋回スイッチ38を操作して横フレーム30を機体後方に向けた位置に戻す。
【0051】
そして、作業者は、選別搬送装置21右端の吊り下げハンガー24の各フック24aに空のフレコンバッグ22の上端縁部の係止孔を各々引っ掛けてフレコンバッグ22を吊下げてフレコンバッグ22の底が載置台25に受けられた状態とした後に、補助作業座席23に着座する。そして、各部を駆動して機体を進行させて収穫作業を再開する。
【0052】
以上要するに、載置台25に載置されたフレコンバッグ22をクレーン26にて吊り上げて、載置台25の右外側後方の位置で圃場に降ろすので、圃場に降ろされたフレコンバッグ22が傾いたり機体が多少蛇行したりしても、機体にフレコンバッグ22が接触することを回避でき、良好で適切な収穫作業を行なうことができる。
【0053】
<他の実施態様>
図3及び
図4は、第2実施形態を示し、上記第1実施形態とは選別搬送部D及び収容部Eの構成が異なる。
【0054】
即ち、選別搬送部Dの選別搬送装置21は、補助作業座席23近傍に設けたスライドスイッチの操作にてスライド電動シリンダ39により機体左右方向に移動自在に構成され、選別搬送装置21の位置を位置検出センサ40にて検出して機体左端側位置と機体右端側位置で停止する。
【0055】
選別搬送装置21が機体左端側位置の時、収穫部Cで収穫された人参を選別搬送部Dで収容部Eに搬送してフレコンバッグ22に収容する。また、選別搬送装置21が機体右端側位置の時、後述のとおりフレコンバッグ22を圃場に降ろす作業を行なう。
【0056】
収容部Eは、選別搬送装置21右端部の後方に配置され、選別搬送装置21右端部に設けた垂直な回転軸周りに回転する回転基台と、該回転基台に基部が枢支され上端部側が電動シリンダにて上下動し選別搬送装置21右端部から案内搬送された人参を斜め上方に搬送するエンジンからの駆動力にて周回動する一定間隔の桟を備える可動コンベア41と、該可動コンベア41の上端部に設けた吊り下げハンガー24と、選別搬送装置21右端部の後方下部に配置されフレコンバッグ22を配置できる載置台25とにより構成されている。
【0057】
回転基台の回転軸は、選別搬送装置21右端部に設けられているので、選別搬送装置21の左右移動と一体に左右移動する。そして、選別搬送装置21が右端側位置にある時、回転基台の回転軸は、走行部Aの左右中心線よりも機体右側に偏った位置に設けられている。従って、回転基台を回転させて可動コンベア41を右側後方に45度傾斜した状態にして吊り下げハンガー24から人参が一杯に収納されたフレコンバッグ22を外して圃場に降ろす位置がより機体から離れた機体右外側位置となるので、降ろしたフレコンバッグ22が収穫作業の邪魔にならず作業性が良い。
【0058】
また、回転基台には、補助作業者が着座する補助作業座席23を支持する支持フレーム42の基部が固定されており、補助作業座席23と可動コンベア41は一体的に同方向に回転する。従って、補助作業座席23に居る補助作業者は、補助作業座席23に居るままで、可動コンベア41がまっすぐ後方を向いた状態でフレコンバッグ22を吊り下げハンガー24に吊下げる作業も可動コンベア41を右側後方に45度傾斜した状態でフレコンバッグ22を吊り下げハンガー24から外す作業も行えて作業性が良い。なお、補助作業座席23に着座した補助作業者は、選別搬送装置21右端部に搬送されてきた人参から規格外の人参を取出す選別作業をする。なお、作業者は、圃場に立って補助作業座席23を持って支持フレーム42を介して回転基台を回転操作する。
【0059】
可動コンベア41は、下部が選別搬送装置21右端部の下方に位置して斜め上方に向かって設けられている。即ち、可動コンベア41は、エンジンからの駆動力にて周回動して、選別搬送装置21右端部で右方に搬送されている人参が搬送方向に対して45度傾斜して設けたガイド板に案内されて後方に向けて搬送方向が変更されて送られてくる人参を受けて斜め上方に搬送し、上端部から下方に放出する。
【0060】
また、可動コンベア41の基部は、回転基台に枢支され、中途部には、回転基台に基部が枢支された電動シリンダのピストン先端が連結されている。即ち、該可動コンベア41は、補助作業座席23側方に設けた昇降レバー43の操作で電動シリンダを伸縮操作することにより、その上端部側が上下動する。そして、補助作業座席23を支持する支持フレーム42には、アウトリガー44が設けられており、昇降レバー43を操作するとアウトリガー44が下動して支持フレーム42即ち選別搬送装置21を支持する。
【0061】
なお、操縦部Bの駐車レバー45で駐車ブレーキを作動させた時のみ、補助作業座席23近傍に設けたスライドスイッチの操作にてスライド電動シリンダ39を作動させて選別搬送部Dの選別搬送装置21が機体右方向に移動させることができ、回転基台の右外側方への回転操作ができ、昇降レバー43によるフレコンバッグ22を圃場に降ろす操作ができるようにすれば、確実に機体が停止している時のみフレコンバッグ22を圃場に降ろす作業が行なえるので、安全である。
【0062】
また、補助作業座席23近傍に設けたスライドスイッチの操作にてスライド電動シリンダ39を作動させて選別搬送部Dの選別搬送装置21が機体右方向に移動させている時、回転基台を右外側方へ回転操作している時及び昇降レバー43でフレコンバッグ22を圃場に降ろす操作をしている時に、その作業状態を操縦部Bの操縦パネル9のモニターに表示し、警報音や作業状態がわかる警報音声(各国言語)を発すれば、操縦部Bの操縦座席8に着座している操縦者は補助作業者がフレコンバッグ22を圃場に降ろす作業をしていることを認識でき、不用意に機体を進行させたりするような不測の事態を回避できて安全である。
【0063】
また、選別搬送装置21が機体左端側位置でない時、操縦部Bの操縦座席8に着座している操縦者が機体を進行させようとしても機体が発進しないようにし、且つ、警報を発すれば安全である。
【0064】
吊り下げハンガー24は、可動コンベア41がまっすぐ後方を向いた状態で、吊り下げハンガー24のフック29aをフレコンバッグ22の上端縁部の係止孔に引っ掛けてフレコンバッグ22を吊下げ支持する。この時、フレコンバッグ22の底が載置台25で支持された状態とする。
【符号の説明】
【0065】
22 収容部材(フレコンバッグ)
23 補助作業座席
25 載置台
26 クレーン
30 横フレーム
33 ガード体
A 走行部
B 操縦部
C 収穫部
D 選別搬送部
E 収容部