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特許7559473駐車支援システム、駐車支援方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】駐車支援システム、駐車支援方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/06 20060101AFI20240925BHJP
   B60W 30/095 20120101ALI20240925BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20240925BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
B60W30/06
B60W30/095
B60W60/00
G08G1/16 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020164061
(22)【出願日】2020-09-29
(65)【公開番号】P2022056186
(43)【公開日】2022-04-08
【審査請求日】2023-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清川 裕介
【審査官】鶴江 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-030568(JP,A)
【文献】特開2018-037737(JP,A)
【文献】特開2007-333281(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00- 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測距センサにより取得された車両から障害物までの距離を示す距離情報に基づき駐車領域を検出する駐車領域検出部と、
前記測距センサにより取得された前記距離情報の実測値が示す前記障害物の位置から前記駐車領域側に所定距離ずらした位置に仮想障害物を設定する仮想障害物設定部と、
前記仮想障害物に基づき前記車両を前記駐車領域へ導く移動経路を生成する経路生成部と、
前記移動経路に沿って走行するように前記車両を制御する走行制御部と、
を備え
前記仮想障害物設定部は、前記車両を前記駐車領域へ侵入させる入庫経路の始点に前記車両が到達したときに、前記仮想障害物を設定し、
前記経路生成部は、前記入庫経路の走行中において、前記実測値が示す前記障害物の位置が前記仮想障害物の位置より前記駐車領域に近くなった場合には、前記実測値に基づき前記移動経路を更新する、駐車支援システム。
【請求項2】
前記経路生成部は、前記入庫経路の走行中において、前記実測値の精度が所定の基準以上となる高精度位置に前記車両が到達したときに、前記実測値に基づき前記移動経路を更新する、
請求項に記載の駐車支援システム。
【請求項3】
前記測距センサは、超音波センサであり、
前記所定距離は、100mm以上である、
請求項1または請求項2に記載の駐車支援システム。
【請求項4】
測距センサにより取得された車両から障害物までの距離を示す距離情報に基づき駐車領域を検出する第1の工程と、
前記測距センサにより取得された前記距離情報の実測値が示す前記障害物の位置から前記駐車領域側に所定距離ずらした位置に仮想障害物を設定する第2の工程と、
前記仮想障害物に基づき前記車両を前記駐車領域へ導く移動経路を生成する第3の工程と、
前記移動経路に沿って走行するように前記車両を制御する第4の工程と、
を含み、
前記第2の工程は、前記車両を前記駐車領域へ侵入させる入庫経路の始点に前記車両が到達したときに、前記仮想障害物を設定し、
前記第3の工程は、前記入庫経路の走行中において、前記実測値が示す前記障害物の位置が前記仮想障害物の位置より前記駐車領域に近くなった場合には、前記実測値に基づき前記移動経路を更新する、駐車支援方法。
【請求項5】
コンピュータに、
測距センサにより取得された車両から障害物までの距離を示す距離情報に基づき駐車領域を検出する第1の処理と、
前記測距センサにより取得された前記距離情報の実測値が示す前記障害物の位置から前記駐車領域側に所定距離ずらした位置に仮想障害物を設定する第2の処理と、
前記仮想障害物に基づき前記車両を前記駐車領域へ導く移動経路を生成する第3の処理と、
前記移動経路に沿って走行するように前記車両を制御する第4の処理と、
を実行させるためのプログラムであって、
前記第2の処理は、前記車両を前記駐車領域へ侵入させる入庫経路の始点に前記車両が到達したときに、前記仮想障害物を設定し、
前記第3の処理は、前記入庫経路の走行中において、前記実測値が示す前記障害物の位置が前記仮想障害物の位置より前記駐車領域に近くなった場合には、前記実測値に基づき前記移動経路を更新する、プログラム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車支援システム、駐車支援方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両に搭載された測距センサにより車両からその周辺に存在する障害物までの距離を測定し、その測定結果に基づき車両を駐車領域へ自動的又は半自動的に走行させる駐車支援システムが利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-70986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
測距センサの測定結果(実測値)は、車両の移動に伴い変動する場合がある。このような測定結果の変動が生じると、車両を駐車領域へ導く移動経路を適切に生成できなくなる場合がある。
【0005】
そこで、本発明の課題の一つは、測距センサの測定結果が変動しても移動経路を適切に生成できる駐車支援システム、駐車支援方法、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態は、測距センサにより取得された車両から障害物までの距離を示す距離情報に基づき駐車領域を検出する駐車領域検出部と、測距センサにより取得された距離情報の実測値が示す障害物の位置から駐車領域側に所定距離ずらした位置に仮想障害物を設定する仮想障害物設定部と、仮想障害物に基づき車両を駐車領域へ導く移動経路を生成する経路生成部と、移動経路に沿って走行するように車両を制御する走行制御部と、を備える駐車支援システムである。
【0007】
上記構成によれば、測距センサの測定結果が変動しても移動経路を適切に生成できる。
【0008】
また、上記駐車支援システムにおいて、仮想障害物設定部は、車両を駐車領域へ侵入させる入庫経路の始点に車両が到達したときに、仮想障害物を設定してもよい。
【0009】
車両が入庫経路の始点に到達したときには、駐車領域やその周辺に存在する障害物に関する情報が十分に取得されている場合が多い。そのため、仮想障害物の設定を車両が入庫経路の始点に到達したタイミングで実施することにより、仮想障害物を適切に設定できる。
【0010】
また、上記駐車支援システムにおいて、経路生成部は、入庫経路の走行中において、実測値が示す障害物の位置が仮想障害物の位置より駐車領域に近くなった場合には、実測値に基づき移動経路を更新してもよい。
【0011】
これにより、万が一測距センサの誤差が所定距離を超えた場合であっても、車両と障害物との接触又は異常接近を回避できる。
【0012】
また、上記駐車支援システムにおいて、経路生成部は、入庫経路の走行中において、実測値の精度が所定の基準以上となる高精度位置に車両が到達したときに、実測値に基づき移動経路を更新してもよい。
【0013】
このように、測距センサの実測値の信頼性が高くなった場合には、実測値に基づき移動経路を更新することにより、より効率的な移動経路を生成できる。
【0014】
また、上記駐車支援システムにおいて、測距センサは、超音波センサであり、所定距離は、100mm以上であってもよい。
【0015】
これにより、超音波センサの検出結果の変動を十分に吸収して移動経路を適切に設定できる。
【0016】
また、本発明の他の形態は、測距センサにより取得された車両から障害物までの距離を示す距離情報に基づき駐車領域を検出する工程と、測距センサにより取得された距離情報の実測値が示す障害物の位置から駐車領域側に所定距離ずらした位置に仮想障害物を設定する工程と、仮想障害物に基づき車両を駐車領域へ導く移動経路を生成する工程と、移動経路に沿って走行するように車両を制御する工程と、を含む駐車支援方法である。
【0017】
また、本発明の他の形態は、コンピュータに、測距センサにより取得された車両から障害物までの距離を示す距離情報に基づき駐車領域を検出する処理と、測距センサにより取得された距離情報の実測値が示す障害物の位置から駐車領域側に所定距離ずらした位置に仮想障害物を設定する処理と、仮想障害物に基づき車両を駐車領域へ導く移動経路を生成する処理と、移動経路に沿って走行するように車両を制御する処理と、を実行させるプログラムである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、実施形態に係る駐車支援システムが搭載される車両の構成を示す平面図である。
図2図2は、実施形態に係る駐車支援システムの構成を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る駐車支援システムの機能構成を示すブロック図である。
図4図4は、駐車領域を検出する際の車両の動作の一例を示す図である。
図5図5は、車両が入庫開始位置へ移動する際の動作の一例を示す図である。
図6図6は、仮想障害物の設定方法の一例を示す図である。
図7図7は、入庫経路を生成する際の状況の一例を示す図である。
図8図8は、実施形態に係る駐車支援システムにおける処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、並びに当該構成によってもたらされる作用、結果、及び効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能であるとともに、基本的な構成に基づく種々の効果や、派生的な効果のうち、少なくとも一つを得ることが可能である。
【0020】
図1は、実施形態に係る駐車支援システムが搭載される車両10の構成を示す平面図である。
【0021】
車両10は、移動体の一例である。車両10は、例えば、内燃機関を駆動源とする自動車(内燃機関自動車)であってもよいし、電動機を駆動源とする自動車(電気自動車、燃料電池自動車等)であってもよいし、それらの双方を駆動源とする自動車(ハイブリッド自動車)であってもよい。車両10は、種々の変速装置を搭載することができるし、内燃機関や電動機を駆動するのに必要な種々の装置(システム、部品等)を搭載することができる。車両10における車輪13の駆動に関わる装置の方式、個数、及び、レイアウト等は、種々に設定することができる。
【0022】
図1に示すように、車両10は、車体12と、4個の車輪13と、1又は複数(本実施形態では4個)の撮像装置14a,14b,14c,14dと、1又は複数(本実施形態では12個)の超音波センサ16a,16b,16c,16d,16e,16f,16g,16h,16i,16j,16k,16lとを備える。撮像装置14a,14b,14c,14dを区別する必要がない場合、撮像装置14と記載する。超音波センサ16a,16b,16c,16d,16e,16f,16g,16h,16i,16j,16k,16lを区別する必要がない場合、超音波センサ16と記載する。
【0023】
車体12は、乗員が乗車する車室を構成する。車体12は、車輪13、撮像装置14、超音波センサ16等を収容又は保持する。
【0024】
4個の車輪13は、車体12の前後左右に設けられている。例えば、前側の2個の車輪13は、転舵輪として機能して、後側の2個の車輪13は、駆動輪として機能する。
【0025】
撮像装置14は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)、CIS(CMOS Image Sensor)等の撮像素子を内蔵するデジタルカメラである。撮像装置14は、所定のフレームレートで生成される複数のフレーム画像を含む動画、又は静止画のデータを撮像データとして出力する。撮像装置14のそれぞれは、広角レンズ又は魚眼レンズを有し、例えば、水平方向の140°~190°の範囲を撮影することができる。撮像装置14の光軸は、斜め下方に向けて設定されている。従って、撮像装置14は、周辺の路面を含む車両10の周辺を撮像した撮像データを出力する。
【0026】
撮像装置14は、車体12の外周部に設けられている。例えば、撮像装置14aは、車体12の前端部の左右方向の中央部(例えば、フロントグリル)に設けられている。撮像装置14aは、車両10の前方の周辺を撮像した撮像画像を生成する。撮像装置14bは、車体12の後端部の左右方向の中央部(例えば、バックドアスイッチ周辺)に設けられている。撮像装置14bは、車両10の後方の周辺を撮像した撮像画像を生成する。撮像装置14cは、車体12の左端部の前後方向の中央部(例えば、左側のサイドミラー12a)に設けられている。撮像装置14cは、車両10の左方の周辺を撮像した撮像画像を生成する。撮像装置14dは、車体12の右端部の前後方向の中央部(例えば、右側のサイドミラー12b)に設けられている。撮像装置14dは、車両10の右方の周辺を撮像した撮像画像を生成する。
【0027】
超音波センサ16は、車両10から障害物までの距離を測定する測距センサの一例である。超音波センサ16は、例えば、車両10の外周部に設けられ、超音波を検出波として送信し、車両10の周辺に存在する物体(障害物)により反射された反射波を受信するセンサである。超音波センサ16は、車両10から車両10の周辺に存在する障害物までの距離を示す距離情報を取得(生成)する。例えば、超音波センサ16は、検出波を送信してから反射波を受信するまでの時間(TOF:Time Of Flight)を、障害物の存否、距離、位置、動き等を特定するための距離情報として取得する。
【0028】
超音波センサ16a,16b,16c,16dは、サイドソナーとも呼ばれ、車両10の左右の側部に設けられている。超音波センサ16e,16fは、コーナーソナーとも呼ばれ、超音波センサ16a,16b,16c,16dよりも車両10の後部(例えば、車両10のコーナー部分)に設けられ、超音波センサ16a,16b,16c,16dよりも後方(例えば、後方の外側)に向けられている。超音波センサ16g,16hは、コーナーソナーとも呼ばれ、超音波センサ16a,16b,16c,16dよりも車両10の前部(例えば、車両10のコーナー部分)に設けられ、超音波センサ16a,16b,16c,16dよりも前方(例えば、前方の外側)に向けられている。超音波センサ16i,16jは、リアソナーとも呼ばれ、車両10の後端部に設けられている。超音波センサ16k,16lは、フロントソナーとも呼ばれ、車両10の前端部に設けられている。
【0029】
超音波センサ16aは、車両10の左側面の前側の位置に設けられている。超音波センサ16aは、左方向に向けられている。超音波センサ16aは、車両10の前側の左側方の検出領域に存在する障害物に関する距離情報を取得する。
【0030】
超音波センサ16bは、車両10の左側面の後側の位置に設けられている。超音波センサ16bは、左方向に向けられている。超音波センサ16bは、車両10の後側の左側方の検出領域に存在する障害物に関する距離情報を取得する。
【0031】
超音波センサ16cは、車両10の右側面の前側の位置に設けられている。超音波センサ16cは、右方向に向けられている。超音波センサ16cは、車両10の前側の右側方の検出領域に存在する障害物に関する距離情報を取得する。
【0032】
超音波センサ16dは、車両10の右側面の後側の位置に設けられている。超音波センサ16dは、右方向に向けられている。超音波センサ16dは、車両10の後側の右側方の検出領域に存在する障害物に関する距離情報を取得する。
【0033】
超音波センサ16eは、車両10の後端部の左側の位置に設けられている。超音波センサ16eは、左後方に向けられている。超音波センサ16eは、車両10の左後方の検出領域に存在する障害物に関する距離情報を取得する。
【0034】
超音波センサ16fは、車両10の後端部の右側の位置に設けられている。超音波センサ16fは、右後方に向けられている。超音波センサ16fは、車両10の右後方の検出領域に存在する障害物に関する距離情報を取得する。
【0035】
超音波センサ16gは、車両10の前端部の左側の位置に設けられている。超音波センサ16gは、左前方に向けられている。超音波センサ16gは、車両10の左前方の検出領域に存在する障害物に関する距離情報を取得する。
【0036】
超音波センサ16hは、車両10の前端部の右側の位置に設けられている。超音波センサ16hは、右前方に向けられている。超音波センサ16hは、車両10の右前方の検出領域に存在する障害物に関する距離情報を取得する。
【0037】
超音波センサ16i,16jは、車両10の後端部において超音波センサ16e,16fの間で互いに左右方向に間隔を空けて設けられている。超音波センサ16i,16jは、後方に向けられている。超音波センサ16i,16jは、車両10の後方の検出領域に存在する障害物に関する距離情報を取得する。
【0038】
超音波センサ16k,16lは、車両10の前端部において超音波センサ16g,16hの間で互いに左右方向に間隔を空けて設けられている。超音波センサ16k,16lは、前方に向けられている。超音波センサ16k,16lは、車両10の前方の検出領域に存在する障害物に関する距離情報を取得する。
【0039】
図2は、実施形態に係る駐車支援システム20の構成を示すブロック図である。
【0040】
駐車支援システム20は、車両10に搭載され、車両10を所定の駐車領域に駐車させる際の車両10の移動を自動運転(一部自動運転を含む)の実行により支援する。
【0041】
図2に示すように、駐車支援システム20は、撮像装置14と、超音波センサ16と、制動システム22と、加速システム24と、操舵システム26と、変速システム28と、車速センサ30と、モニタ装置32と、駐車支援装置34と、車内ネットワーク36とを備える。
【0042】
制動システム22は、車両10の減速を制御する。制動システム22は、制動部40と、制動制御部42と、制動部センサ44とを有する。
【0043】
制動部40は、例えば、ブレーキ、ブレーキペダル等を含み、車両10を減速させるための装置である。
【0044】
制動制御部42は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサを有するマイクロコンピュータ等のコンピュータである。制動制御部42は、駐車支援装置34からの指示に基づき制動部40を制御し、車両10の減速を制御する。
【0045】
制動部センサ44は、例えば、位置センサであって、制動部40がブレーキペダルの場合、制動部40の位置を検出する。制動部センサ44は、検出した制動部40の位置を車内ネットワーク36に出力する。
【0046】
加速システム24は、車両10の加速を制御する。加速システム24は、加速部46と、加速制御部48と、加速部センサ50とを有する。
【0047】
加速部46は、例えば、アクセルペダル等を含み、車両10を加速させるための装置である。
【0048】
加速制御部48は、例えば、CPU等のハードウェアプロセッサを有するマイクロコンピュータ等のコンピュータである。加速制御部48は、駐車支援装置34からの指示に基づき加速部46を制御し、車両10の加速を制御する。
【0049】
加速部センサ50は、例えば、位置センサであって、加速部46がアクセルペダルの場合、加速部46の位置を検出する。加速部センサ50は、検出した加速部46の位置を車内ネットワーク36に出力する。
【0050】
操舵システム26は、車両10の進行方向を制御する。操舵システム26は、操舵部52と、操舵制御部54と、操舵部センサ56とを有する。
【0051】
操舵部52は、例えば、ハンドル(ステアリングホイール)等を含み、車両10の転舵輪を転舵させて、車両10の進行方向を操舵する装置である。
【0052】
操舵制御部54は、例えば、CPU等のハードウェアプロセッサを有するマイクロコンピュータ等のコンピュータである。操舵制御部54は、駐車支援装置34からの指示に基づき操舵部52を制御し、車両10の進行方向を制御する。
【0053】
操舵部センサ56は、第3検出部の一例であって、例えば、ホール素子等を含む角度センサであって、操舵部52の回転角である操舵角を検出する。操舵部センサ56は、検出した操舵部52の操舵角を車内ネットワーク36に出力する。
【0054】
変速システム28は、車両10の変速比を制御する。変速システム28は、変速部58と、変速制御部60と、変速部センサ62とを有する。
【0055】
変速部58は、例えば、シフトレバー等を含み、車両10の変速比を変更させる装置である。
【0056】
変速制御部60は、例えば、CPU等のハードウェアプロセッサを有するマイクロコンピュータ等のコンピュータである。変速制御部60は、駐車支援装置34からの指示に基づき変速部58を制御し、車両10の変速比を制御する。
【0057】
変速部センサ62は、例えば、位置センサであって、変速部58がシフトレバーの場合、変速部58の位置を検出する。変速部センサ62は、検出した変速部58の位置を車内ネットワーク36に出力する。
【0058】
車速センサ30は、例えば、車両10の車輪13の近傍に設けられたホール素子を有し、車輪13の回転量又は単位時間当たりの回転数を検出するセンサである。車速センサ30は、検出した回転量又は回転数を示す車輪速パルス数を、車速を算出するためのセンサ値として、車内ネットワーク36へ出力する。駐車支援装置34は、車速センサ30から取得したセンサ値に基づき車両10の速度(車速)、移動量等を算出することができる。
【0059】
モニタ装置32は、車両10の車室内のダッシュボード等に設けられている。モニタ装置32は、表示部64と、音声出力部66と、操作入力部68とを有する。
【0060】
表示部64は、駐車支援装置34が送信した画像データに基づき画像を表示する。表示部64は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、有機ELディプレイ(OELD:Organic Electroluminescent Display)等の表示装置である。表示部64は、例えば、自動運転と手動運転との切り替えを指示する操作指示を受け付ける画像を表示する。
【0061】
音声出力部66は、駐車支援装置34が送信した音声データに基づいて音声を出力する。音声出力部66は、例えば、スピーカである。音声出力部66は、例えば、自動運転と手動運転との切り替えを指示する操作指示に関する音声を出力する。
【0062】
操作入力部68は、乗員の入力を受け付ける。操作入力部68は、例えば、タッチパネルである。操作入力部68は、表示部64の表示画面に設けられている。操作入力部68は、表示部64が表示する画像を透過可能に構成されている。これにより、操作入力部68は、表示部64の表示画面に表示される画像を乗員に視認させることができる。操作入力部68は、表示部64の表示画面に表示される画像に対応した位置を乗員が触れることによって入力した指示を受け付けて、駐車支援装置34へ送信する。なお、操作入力部68は、タッチパネルに限らず、押しボタン式等のハードスイッチであってもよい。
【0063】
駐車支援装置34は、ECU(Electronic Control Unit)等のマイクロコンピュータを含むコンピュータであり、車両10の駐車支援を行なう。
【0064】
駐車支援装置34は、CPU34aと、ROM(Read Only Memory)34bと、RAM(Random Access Memory)34cと、表示制御部34dと、音声制御部34eと、SSD(Solid State Drive)34fとを備える。CPU34a、ROM34b及びRAM34cは、同一パッケージ内に集積されていてもよい。
【0065】
CPU34aは、ハードウェアプロセッサの一例であって、ROM34b等の不揮発性の記憶装置に記憶されたプログラムを読み出して、当該プログラムにしたがって各種の演算処理及び制御を実行する。CPU34aは、例えば、車両10の自動運転による駐車支援を実行する。
【0066】
ROM34bは、プログラム、プログラムの実行に必要なパラメータ等を記憶する。RAM34cは、CPU34aでの演算で用いられる各種のデータを一時的に記憶する。表示制御部34dは、駐車支援装置34での演算処理のうち、主として、撮像装置14で得られた画像の画像処理、表示部64に表示させる表示用の画像のデータ変換等を実行する。音声制御部34eは、駐車支援装置34での演算処理のうち、主として、音声出力部66に出力させる音声の処理を実行する。SSD34fは、書き換え可能な不揮発性の記憶装置であって、駐車支援装置34の電源がオフされた場合にあってもデータを維持する。
【0067】
車内ネットワーク36は、例えば、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)等を含む。車内ネットワーク36は、加速システム24と、制動システム22と、操舵システム26と、変速システム28と、超音波センサ16と、車速センサ30と、モニタ装置32の操作入力部68と、駐車支援装置34とを互いに情報を送受信可能に接続する。
【0068】
図3は、実施形態に係る駐車支援システム20の機能構成を示すブロック図である。
【0069】
駐車支援システム20は、駐車領域検出部101、仮想障害物設定部102、経路生成部103、及び走行制御部104を有する。これらの機能部101~104は、図2に示すハードウェア構成、CPU34aを制御するプログラム等の協働により構成される。
【0070】
駐車領域検出部101は、超音波センサ16により取得された距離情報に基づき駐車領域を検出する。駐車領域検出部101は、駐車領域の位置、広さ等を示す駐車領域情報を生成する。
【0071】
仮想障害物設定部102は、超音波センサ16により取得された距離情報の実測値が示す障害物の位置から駐車領域側に所定距離ずらした位置に仮想障害物を設定する。所定距離は、使用する測距センサ(本実施形態では超音波センサ16)の測定結果(実測値)の変動を吸収するように設定された距離である。仮想障害物設定部102は、仮想障害物の位置、大きさ、形状等を示す仮想障害物情報を生成する。
【0072】
経路生成部103は、仮想障害物に基づき車両10を駐車領域へ導く移動経路を生成する。具体的には、経路生成部103は、超音波センサ16により取得された距離情報(実測値)、駐車領域検出部101により生成された駐車領域情報、仮想障害物設定部102により生成された仮想障害物情報等に基づき移動経路を生成する。
【0073】
走行制御部104は、経路生成部103により生成された移動経路に沿って走行するように車両10を制御する。
【0074】
上記のように、本実施形態に係る駐車支援システム20においては、超音波センサ16(測距センサの一例)の変動を加味して設定された仮想障害物に基づき移動経路が生成される。これにより、車両10の移動に伴い超音波センサ16の測定結果(実測値)が変動しても、移動経路を適切に生成できる。
【0075】
以下、図4図7を参照し、実施形態に係る駐車支援システム20により実現される車両10の動作について説明する。ここでは、駐車領域に車両10の後端部から進入する後退駐車を行う場合を例として説明する。
【0076】
図4は、駐車領域Aを検出する際の車両10の動作の一例を示す図である。
【0077】
駐車支援を行う際には、先ず、駐車領域Aの検出が行われる。ここで例示する駐車領域Aは、2台の車両70A,70Bと壁面71とで区画された領域である。駐車領域Aを検出する際には、車両10は、駐車領域Aの間口部分の近傍をゆっくり横切るように走行する。本例では、車両10は、位置P1から位置P2へ低速度で移動する。このとき、車両10に搭載された超音波センサ16(本例では車両10の左側面に設置された超音波センサ16g,16a,16b,16e)により、車両10から障害物としての車両70A,70Bまでの距離を示す距離情報を取得する。この距離情報に基づき、駐車領域Aの間口の広さを示す間口距離Dが検出される。このとき、撮像装置14(本例では車両10の左側面に設置された撮像装置14c)により取得された画像情報を利用してもよい。
【0078】
図5は、車両10が入庫開始位置P3へ移動する際の動作の一例を示す図である。
【0079】
上記のように駐車領域A(間口距離D)を検出した後、車両10は、入庫開始位置P3へ移動する。入庫開始位置P3は、車両10を駐車領域Aへ侵入させる入庫経路(本例では後退経路)の始点となる位置である。入庫開始位置P3は、間口距離D、車両10の操舵特性(最小回転半径等)、車両10の周辺に存在する、車両70A,70B以外の障害物(道幅等)等に基づき設定される。このとき、経路生成部103は、車両10の後輪軸の中心が到達すべき目標位置Tsを設定し、現在の後輪軸の中心が目標位置Tsに到達するように前進経路R1を生成する。走行制御部104は、車両10を前進経路R1に沿って走行させる。
【0080】
図6は、仮想障害物85の設定方法の一例を示す図である。
【0081】
仮想障害物102は、車両10が入庫開始位置P3に到達したときに仮想障害物85を設定する。仮想障害物85は、超音波センサ16の実測値が示す実測値障害物80の位置から駐車領域A側に所定距離Cずらした位置に設定される。所定距離Cは、上述したように、車両10の移動に伴う超音波センサ16の測定結果(実測値)の変動を吸収するように設定される。所定距離Cの具体的な値は、使用する測距センサの精度に応じて適宜設定されるべきものであるが、例えば、本実施形態のように超音波センサ16を用いる場合には、100mm以上であることが好ましい。
【0082】
図7は、入庫経路R2を生成する際の状況の一例を示す図である。
【0083】
上記のように、車両10が入庫開始位置P3に到達し、仮想障害物85が設定された後、経路生成部103は、仮想障害物85に基づき、車両10を入庫開始位置P3から駐車領域A内へ侵入させる入庫経路R2を生成する。入庫経路R2は、例えば、車両10と旋回内側に存在する車両70Aに対応する仮想障害物85との間隔が所定距離(例えば200mm等)以上確保されるように生成される。
【0084】
上記のように、仮想障害物85に基づき入庫経路R2を生成することにより、超音波センサ16の検出結果(実測値)が変動しても、移動経路の変更(例えば切り返し動作のための前進経路の生成等)が行われる頻度を低減できる。
【0085】
図8は、実施形態に係る駐車支援システム20における処理の一例を示すフローチャートである。
【0086】
超音波センサ16が距離情報を取得すると(S101)、駐車領域検出部101は、距離情報に基づき駐車領域Aを検出する(S102)。経路生成部103は、駐車領域Aの検出結果(駐車領域情報)に基づき入庫開始位置P3(目標位置Ts)を設定し(S103)、前進経路R1を生成する(S104)。その後、車内に設けられた開始スイッチ(駐車支援機能を実行させるための操作部)が車両10の乗員により押下されると(S105)、走行制御部104は、前進経路R1に基づき前進走行を実行する(S106)。
【0087】
その後、経路生成部103は、車両10が入庫開始位置P3に到達したか否かを判定し(S107)、入庫開始位置P3に到達していない場合(S107:No)、ステップS104に戻り、前進経路R1を再生成する。
【0088】
入庫開始位置P3に到達した場合(S107:Yes)、変速機のR(Reverse)へのシフト操作が検知されると(S108)、仮想障害物設定部102は、このRへのシフト操作が開始スイッチの押下後最初の操作であるか否かを判定する(S109)。最初のRシフト操作である場合(S109:Yes)、仮想障害物設定部102は、上記のように仮想障害物85を設定し(S110)、経路生成部103は、仮想障害物85に基づき入庫経路R2を生成する(S111)。最初のRシフト操作でない場合(S109:No)、経路生成部103は、既に設定されている仮想障害物85に基づき入庫経路R2を生成する(S111)。走行制御部104は、入庫経路R2に基づき後退走行を実行する(S112)。
【0089】
入庫経路R2の走行中において、経路生成部103は、実測値障害物80が仮想障害物85より旋回内側にあるか否かを判定する(S113)。実測値障害物80が仮想障害物85より旋回内側にある場合(S113:Yes)、経路生成部103は、仮想障害物85を削除し(S115)、実測値障害物80に基づき入庫経路R2を更新し(S116)、走行制御部104は、更新後の入庫経路R2に基づき後退走行を実行する(S117)。これにより、万が一超音波センサ16の誤差が所定距離Cを超えた場合であっても、車両10と障害物との接触又は異常接近を回避できる。
【0090】
その後、経路生成部103は、車両10が後退完了位置に到達したか否かを判定する(S118)。後退完了位置とは、入庫経路R2の終点として設定された目標位置である。
【0091】
実測値障害物80が仮想障害物85より旋回内側にない場合(S113:No)、経路生成部103は、車両10が高精度位置に到達したか否かを判定する(S114)。高精度位置とは、超音波センサ16の実測値の精度が所定の基準以上となる位置である。高精度位置は、使用する超音波センサ16の性能等に応じて予め定めることができる。車両10が高精度位置に到達した場合(S114:Yes)、上記ステップS115~ステップS118の処理が実行される(仮想障害物85が削除され、実測値障害物80に基づき更新された入庫経路R2に従い後退走行が実行される)。このように、超音波センサ16の実測値の信頼性が高くなった場合には、当該実測値に基づき移動経路を更新することにより、より効率的な移動経路を生成できる。
【0092】
車両10が後退完了位置に到達していない場合(S118:No)、ステップS111以降の処理が再度実行される。車両10が後退完了位置に到達した場合(S118:Yes)、経路生成部103は、完了条件が成立したか否かを判定する(S119)。完了条件とは、車両10が正常に駐車領域A内に駐車されたことを示す条件であり、例えば、車両10と障害物との間隔が十分に確保され、変速機がP(Parking)にシフトされた場合等であり得る。完了条件が成立した場合(S119:Yes)、本ルーチンは終了する。完了条件が成立していない場合(S119:No)、変速機のD(Drive)へのシフト操作が検知されると(S120)、ステップS104以降の処理が再度実行される。
【0093】
なお、上記においては、後退駐車の場合を例示したが、駐車領域に車両の前端部から侵入する前進駐車等においても同様である。
【0094】
上述したような各種処理を駐車支援装置34に実行させるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、メモリカード、DVD(Digital Versatile Disk)、フレキシブルディスク(FD)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶されてコンピュータプログラムプロダクトとして提供されてもよい。また、プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するようにしてもよい。また、プログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供又は配布するようにしてもよい。
【0095】
以上のように、本実施形態によれば、超音波センサ16(測距センサの一例)の変動を加味して設定された仮想障害物85に基づき移動経路が生成される。これにより、超音波センサ16の検出結果(実測値)が変動しても、移動経路を適切に生成でき、移動経路が変更される頻度を低減できる。また、駐車時間の短縮、自動駐車の成功率の向上等を実現できる。
【0096】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0097】
10…車両、12…車体、13…車輪、14(14a~14d)…撮像装置、16(16a~16l)…超音波センサ、20…駐車支援システム、34…駐車支援装置、70A,70B…車両(障害物)、71…壁面(障害物)、80…実測値障害物、85…仮想障害物、101…駐車領域検出部、102…仮想障害物設定部、103…経路生成部、104…走行制御部、A…駐車領域、C…所定距離、D…間口距離、P3…入庫開始位置、R1…前進経路、R2…入庫経路、Ts…目標位置
図1
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