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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】充電システムおよび情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240925BHJP
   B60L 53/16 20190101ALI20240925BHJP
   B60L 53/37 20190101ALI20240925BHJP
【FI】
H02J7/00 301B
H02J7/00 P
B60L53/16
B60L53/37
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020164799
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2022056840
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2023-05-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】田名網 克周
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 康二
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-192547(JP,A)
【文献】特開2019-084637(JP,A)
【文献】特開2011-036107(JP,A)
【文献】特開2019-140879(JP,A)
【文献】特開2019-140782(JP,A)
【文献】特開2018-117433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
B60L 1/00-3/12
B60L 7/00-13/00
B60L 15/00-58/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーム部と、
力覚センサと、
前記力覚センサを介して前記アーム部に固定された、電気自動車の給電口に挿し込まれる充電用のコネクタと、
1または複数のプロセッサと、を備え、
前記プロセッサは、
電気自動車に設けられた給電口の位置を特定する位置特定ステップと、
前記位置特定ステップでの特定結果に基づき、前記アーム部を制御して前記コネクタを前記給電口に対向する位置に移動させる移動制御ステップと、
前記コネクタを前記給電口に挿し込むよう前記アーム部を制御する挿込制御ステップと、を実行し、
前記挿込制御ステップにおいて、前記プロセッサは、前記力覚センサの検出値に基づき、前記コネクタの挿込方向以外の方向の力およびトルクの一方または両方の大きさが閾値以下となるよう前記アーム部を制御し、
前記挿込制御ステップにおいて、前記プロセッサは、前記力覚センサの検出値に基づき前記コネクタの故障または異物の噛み込みを検知する、
ことを特徴とする充電システム。
【請求項2】
前記力覚センサは、6軸力覚センサである、
ことを特徴とする請求項1に記載の充電システム。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記位置特定ステップにおいて、電気自動車を撮像するセンサが撮像した画像に基づいて前記電気自動車の車種を判別し、判別した車種に基づき前記給電口の位置を特定する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の充電システム。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記位置特定ステップにおいて、前記給電口を撮像するセンサが撮像した画像に基づいて前記給電口の位置を特定する、
ことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の充電システム。
【請求項5】
前記アーム部を搬送する搬送機構、を更に備え、
前記プロセッサは、前記移動制御ステップにおいて、前記搬送機構により前記アーム部を前記給電口の付近に搬送させるとともに、前記アーム部により前記コネクタを前記給電口に対向する位置に移動させる、
ことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の充電システム。
【請求項6】
前記挿込制御ステップにおいて、前記プロセッサは、前記力覚センサが前記挿込方向における閾値以上の外力を検出した場合、前記コネクタの挿し込みが完了したと判別する、
ことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の充電システム。
【請求項7】
電気自動車に設けられた給電口の位置を特定する位置特定ステップと、
前記位置特定ステップでの特定結果に基づき、前記給電口に挿し込まれる充電用のコネクタが力覚センサを介して固定されたアーム部を制御して、当該コネクタを当該給電口に対向する位置に移動させる移動制御ステップと、
前記コネクタを前記給電口に挿し込むよう前記アーム部を制御する挿込制御ステップと、を実行する1または複数のプロセッサ、を備え、
前記挿込制御ステップにおいて、前記プロセッサは、前記力覚センサの検出値に基づき、前記コネクタの挿込方向以外の方向の力およびトルクの一方または両方の大きさが閾値以下となるよう前記アーム部を制御し、
前記挿込制御ステップにおいて、前記プロセッサは、前記力覚センサの検出値に基づき前記コネクタの故障または異物の噛み込みを検知する、ことを特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電用システムおよび情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車を充電する技術が提案されている。特許文献1には、自動化電気自動車ステーションが記載されている。この自動化電気自動車ステーションにおいては、RFIDシステムが充電待ち自動車の充電条件を読み取り、該充電条件が制御盤に送られる。そして制御盤は、該読み取った充電条件に基づき、自動充電機構を制御し、該車両に対し充電を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3169439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電気自動車の充電を自動化する場合、給電口へのコネクタの挿し込みを適切に行えない場合がある。電気自動車の停車位置や車高等の要因により、電気自動車の給電口の位置および挿込方向がその都度異なる場合があるためである。特許文献1に記載の技術では、給電口へのコネクタの挿し込みを適切に行えない場合があった。
【0005】
本発明の一態様は、電気自動車の給電口への充電用のコネクタの挿し込みが適切に行えない事態となるのを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る充電システムは、アーム部と、力覚センサと、充電用のコネクタと、1または複数のプロセッサと、を備える。充電用のコネクタは、力覚センサを介してアーム部に固定されており、電気自動車の給電口に挿し込まれる。プロセッサは、位置特定ステップと、移動制御ステップと、挿込制御ステップと、を実行する。位置特定ステップは、電気自動車に設けられた給電口の位置を特定する。移動制御ステップは、位置特定ステップでの特定結果に基づき、アーム部を制御してコネクタを給電口に対向する位置に移動させる。挿込制御ステップは、コネクタを給電口に挿し込むようアーム部を制御する。そして、挿込制御ステップにおいて、プロセッサは、力覚センサの検出値に基づき、コネクタの挿込方向以外の方向の力およびトルクの一方または両方の大きさが閾値以下となるようアーム部を制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、電気自動車の給電口へのコネクタの挿し込みが適切に行えない事態となるのを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態1に係る充電システムの構成を示す概略図である。
図2】本発明の実施形態1に係る充電システムの構成を概略的に示すブロック図である。
図3】給電口の外観を例示する図である。
図4】コネクタの外観を例示する図である。
図5】情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図6】充電システムが行う充電動作の一例を示すフローチャートである。
図7】給電口へのコネクタの挿込動作を説明するための模式図である。
図8】給電口へのコネクタの挿込動作を説明するための模式図である。
図9】学習済モデルの構築動作および教師データの生成動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態1〕
〔システム概要〕
以下、本発明の一実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る充電システム1の構成を示す概略図である。充電システム1は、電気自動車2を充電するシステムである。電気自動車2は、電気をエネルギー源とし、電動機(モーター)を動力源として走行する自動車である。電気自動車2は例えば、外部からの電力給電によって二次電池(蓄電池)に充電し、二次電池から電動機に供給する二次電池車である。また、電気自動車2は、内燃機構と二次電池を併用する、いわゆるハイブリッドカーであってもよい。電気自動車2は、充電用のコネクタ17が挿し込まれる給電口201を備える。給電口201の位置は、電気自動車2の車種および型式等(以下、単に「車種」という)によって異なっている。
【0010】
充電システム1は、協働ロボット10、情報処理装置20、および力覚センサ30を備える。協働ロボット10は、充電ステーションSに停車した電気自動車2を充電するための装置である。協働ロボット10は、ロボットアーム等のアーム部18を備え、電気自動車2の給電口201に充電用のコネクタ17をアーム部18により挿し込んだり、コネクタ17を給電口201から引き抜いたりする動作を行う。情報処理装置20は、協働ロボット10を制御するための各種演算を行う装置であり、例えばパーソナルコンピュータである。
【0011】
力覚センサ30は、力およびトルクの方向および大きさを検出するセンサであり、例えば6軸力覚センサである。なお、力覚センサ30は6軸力覚センサに限らず、例えば4軸力覚センサ等の他の力覚センサであってもよい。
【0012】
図1では、充電システム1が1台の協働ロボット10、および1台の情報処理装置20を備えているが、これは本実施形態1を限定するものではない。充電システム1は、複数の協働ロボット10を備える構成であってもよく、また、複数の情報処理装置20を備える構成であってもよい。
【0013】
図2は、本発明の一実施形態に係る充電システム1の構成を概略的に示すブロック図である。協働ロボット10は、コネクタ17およびアーム部18を備える。コネクタ17は、電気自動車の給電口201に挿し込まれる充電用のコネクタである。アーム部18は、コネクタ17を移動させるものであり、例えば協働ロボット10のロボットアームである。アーム部18は、1または複数の関節を含み、各関節が駆動されることにより動作する。コネクタ17は力覚センサ30を介してアーム部18に固定されている。
【0014】
情報処理装置20は、プロセッサ21を備える。プロセッサ21は位置特定ステップM11、移動制御ステップM12、および挿込制御ステップM13を含む充電制御方法M1を実行する。位置特定ステップM11は、電気自動車2に設けられた給電口201の位置を特定するステップである。プロセッサ21は例えば、電気自動車2を撮像する撮像装置が撮像した画像に基づいて電気自動車2の車種を判別し、判別した車種に基づき給電口201の位置を特定する。
【0015】
移動制御ステップM12は、位置特定ステップM11での特定結果に基づき、アーム部18を制御してコネクタ17を給電口201に対向する位置に移動させるステップである。給電口201に対向する位置とは、コネクタ17の挿込動作が開始される、給電口201とコネクタ17とが相対する位置である。
【0016】
挿込制御ステップM13は、コネクタ17を給電口201に挿し込むようアーム部18を制御するステップである。挿込制御ステップM13において、プロセッサ21は、力覚センサ30の検出値に基づき、コネクタ17の挿込方向以外の方向の力および/またはトルクの大きさが閾値以下となるようアーム部18を制御する。
【0017】
アーム部18は、プロセッサ21が供給する制御情報に従い関節を駆動することによりコネクタ17の姿勢および位置を変更する。アーム部18は、プロセッサ21が供給する制御情報に従いコネクタ17の姿勢および位置を変更しながら、コネクタ17を給電口201に挿し込む動作を行う。挿込動作中においてアーム部18がコネクタ17の姿勢および位置を変更するため、コネクタ17の給電口201への挿込方向は挿込動作中において変動する。
【0018】
上記の構成によれば、充電システム1は、アーム部18を制御してコネクタ17を給電口201に移動させ、コネクタ17の挿込方向以外の方向の力および/またはトルクの大きさが閾値以下となるよう制御しながらコネクタ17を給電口201に挿し込ませる。挿込動作中においてプロセッサ21がコネクタ17の挿込方向以外の方向の力および/またはトルクの大きさが閾値以下となるよう制御するため、コネクタ17の挿込方向は変動する。このように、挿込動作中において給電口201の位置および挿込方向が是正されるため、挿し込みを適切に行うことができる。
【0019】
〔システム構成〕
続いて、図1を参照して充電システム1の構成について説明する。図1に示すように、充電システム1は、協働ロボット10、情報処理装置20、および力覚センサ30に加えて、第1ビジョンセンサ40、第2ビジョンセンサ50、および無人搬送車60を備える。
【0020】
第1ビジョンセンサ40は、充電ステーションSに停車した電気自動車2を撮像する。第1ビジョンセンサ40は、充電ステーションSに停車した電気自動車2を撮像する位置および姿勢で充電ステーションSに設置されている。第1ビジョンセンサ40は、撮像した画像を表すデータを情報処理装置20に出力する。第1ビジョンセンサ40は、例えばフォトセンサ等、他方式のセンサで判別しても良い。
【0021】
第2ビジョンセンサ50は、電気自動車2の給電口201を撮像する。第2ビジョンセンサ50は、協働ロボット10のアーム部18に設けられている。また、第2ビジョンセンサ50の撮像方向が、コネクタ17が挿し込まれる給電口201が位置する方向となる位置に第2ビジョンセンサ50が設けられている。第2ビジョンセンサ50は、撮像した画像を表すデータを情報処理装置20に出力する。第2ビジョンセンサ50は、例えばフォトセンサ等、他方式のセンサで判別しても良い。
【0022】
無人搬送車60は、アーム部18を含む協働ロボット10を搬送する搬送機構の一例である。無人搬送車60は、車輪またはキャタピラ等の移動機構を備える。無人搬送車60は、充電ステーションSの所定の位置(以下、「初期位置」という)に停車している。電気自動車2を充電する場合、情報処理装置20から供給される制御情報に基づき、協働ロボット10を初期位置から給電口201の付近に搬送する。なお、無人搬送車60は協働ロボット10と別体であってもよく、また、無人搬送車60と協働ロボット10とが一体に構成されていてもよい。
【0023】
〔協働ロボットの構成〕
協働ロボット10は、上述したように、コネクタ17およびアーム部18を備える。コネクタ17は、例えばアーム部18の端部に設けられている。コネクタ17には充電ケーブルがつながっており、コネクタ17が給電口201に挿し込まれることにより、充電ケーブルからの給電により電気自動車2が充電される。また、協働ロボット10は、電気自動車2のドライバーに情報を報知する報知部(図示略)を備えていてもよい。報知部は例えば、警告音または音声メッセージを出力するスピーカ、または、メッセージ等の画像を表示するディスプレイであってもよい。
【0024】
図3は、コネクタ17が挿し込まれる給電口201の外観を例示する図であり、図4は、コネクタ17の外観を例示する図である。図において、給電口201は、カバー部201aと窪み部201bとを含む。カバー部201aは開閉可能に設けられており、閉じた状態では窪み部201bを覆った状態で固定されている。カバー部201aが開くと、窪み部201bが外部に露出した状態となる。電気自動車2のドライバーが電気自動車2の所定の操作子(操作ボタン、等)を操作することにより、カバー部201aが開閉する。
【0025】
コネクタ17は、窪み部201bに嵌り込む凸形状を有している。給電口201にコネクタ17が挿し込まれることにより、電気自動車2への充電が行われる。図4の例で、コネクタ17は、協働ロボット10のアーム部18の端部に力覚センサ30を介して固定されている。アーム部18の関節が駆動することによりコネクタ17の位置および姿勢はアーム部18の動作に伴って変化する。なお、給電口201およびコネクタ17の形状は図3および図4に例示したものに限られず、種々の形状のものが適用され得る。
【0026】
本実施形態において、力覚センサ30は、6軸力覚センサである。図4の例では、力覚センサ30は、x軸、y軸およびz軸により定義される3次元空間における、x軸方向、y軸方向、z軸方向の力成分Fx、Fy、Fz、および、x軸方向、y軸方向、z軸方向のトルク成分Mx、My、Mzを検出する。図4の例では、力覚センサ30は、z軸の正方向がコネクタ17の挿込方向となる姿勢で固定されている。すなわち、アーム部18の動作によりコネクタ17の姿勢または位置が変化した場合、コネクタの姿勢または位置の変化に伴って、力覚センサ30が検出する各成分の方向も変化する。情報処理装置20は力覚センサ30が検出した各成分を取得する。
【0027】
なお、本実施形態では、力覚センサ30と協働ロボット10とが別体である場合の構成について説明するが、力覚センサ30が協働ロボット10に内蔵された構成であってもよい。この場合、力覚センサ30が検出した各成分を、協働ロボット10が情報処理装置20に出力する。
【0028】
〔情報処理装置20の構成〕
図5は、情報処理装置20の構成を示すブロック図である。情報処理装置20は、汎用コンピュータを用いて実現されており、プロセッサ21と、一次メモリ22と、二次メモリ23と、入出力IF24と、通信IF25と、バス26とを備えている。プロセッサ21、一次メモリ22、二次メモリ23、入出力IF24、及び通信IF25は、バス26を介して相互に接続されている。
【0029】
二次メモリ23には、充電制御プログラムP1及び学習済モデルLM1が格納されている。プロセッサ21は、二次メモリ23に格納されている充電制御プログラムP1及び学習済モデルLM1を一次メモリ22上に展開する。そして、プロセッサ21は、一次メモリ22上に展開された充電制御プログラムP1に含まれる命令に従って、充電制御方法M1に含まれる各ステップを実行する。一次メモリ22上に展開された学習済モデルLM1は、充電制御方法M1の位置特定ステップM11をプロセッサ21が実行する際に利用される。なお、充電制御プログラムP1が二次メモリ23に格納されているとは、ソースコード、又は、ソースコードをコンパイルすることにより得られた実行形式ファイルが二次メモリ23に記憶されていることを指す。また、学習済モデルLM1が二次メモリ23に格納されているとは、学習済モデルLM1を規定するパラメータが二次メモリ23に格納されていることを指す。
【0030】
プロセッサ21として利用可能なデバイスとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、MPU(Micro Processing Unit)、FPU(Floating point number Processing Unit)、PPU(Physics Processing Unit)、マイクロコントローラ、又は、これらの組み合わせを挙げることができる。プロセッサ21は、「演算装置」と呼ばれることもある。
【0031】
また、一次メモリ22として利用可能なデバイスとしては、例えば、半導体RAM(Random Access Memory)を挙げることができる。一次メモリ22は、「主記憶装置」と呼ばれることもある。また、二次メモリ23として利用可能なデバイスとしては、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、ODD(Optical Disk Drive)、FDD(Floppy(登録商標) Disk Drive)、又は、これらの組み合わせを挙げることができる。二次メモリ23は、「補助記憶装置」と呼ばれることもある。なお、二次メモリ23は、情報処理装置20に内蔵されていてもよいし、入出力IF24又は通信IF25を介して情報処理装置20と接続された他のコンピュータ(例えば、クラウドサーバを構成するコンピュータ)に内蔵されていてもよい。なお、本実施形態においては、情報処理装置20における記憶を2つのメモリ(一次メモリ22及び二次メモリ23)により実現しているが、これに限定されない。すなわち、情報処理装置20における記憶を1つのメモリにより実現してもよい。この場合、例えば、そのメモリの或る記憶領域を一次メモリ22として利用し、そのメモリの他の記憶領域を二次メモリ23として利用すればよい。
【0032】
入出力IF24には、入力デバイス及び/又は出力デバイスが接続される。入出力IF24としては、例えば、USB(Universal Serial Bus)、ATA(Advanced Technology Attachment)、SCSI(Small Computer System Interface)、PCI(Peripheral Component Interconnect)などのインタフェースが挙げられる。入出力IF24に接続される入力デバイスとしては、協働ロボット10、力覚センサ30、第1ビジョンセンサ40および第2ビジョンセンサ50が挙げられる。充電制御方法M1において協働ロボット10、力覚センサ30、第1ビジョンセンサ40および第2ビジョンセンサ50から取得するデータは、情報処理装置20に入力され、一次メモリ22に記憶される。また、入出力IF24に接続される他の入力デバイスとしては、キーボード、マウス、タッチパッド、マイク、又は、これらの組み合わせが挙げられる。また、入出力IF24に接続される出力デバイスとしては、ディスプレイ、プロジェクタ、プリンタ、スピーカ、ヘッドホン、又は、これらの組み合わせが挙げられる。充電制御方法M1においてユーザに提供する情報は、これらの出力デバイスを介して情報処理装置20から出力される。なお、情報処理装置20は、ラップトップ型コンピュータのように、入力デバイスとして機能するキーボードと、出力デバイスとして機能するディスプレイとを、それぞれ内蔵してもよい。或いは、情報処理装置20は、タブレット型コンピュータのように、入力デバイス及び出力デバイスの両方として機能するタッチパネルを内蔵していてもよい。
【0033】
通信IF25には、ネットワークを介して他のコンピュータが有線接続又は無線接続される。通信IF25としては、例えば、イーサネット(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)などのインタフェースが挙げられる。利用可能なネットワークとしては、PAN(Personal Area Network)、LAN(Local Area Network)、CAN(Campus Area Network)、MAN(Metropolitan Area Network)、WAN(Wide Area Network)、GAN(Global Area Network)、又は、これらのネットワークを含むインターネットワークが挙げられる。インターネットワークは、イントラネットであってもよいし、エクストラネットであってもよいし、インターネットであってもよい。充電制御方法M1において情報処理装置20が他のコンピュータから取得するデータ、および、充電制御方法M1において情報処理装置20が他のコンピュータに提供するデータは、これらのネットワークを介して送受信される。なお、協働ロボット10と情報処理装置20とは、入出力IF24により接続されてもよく、また、通信IF25により接続されてもよい。
【0034】
なお、本実施形態においては、単一のプロセッサ(プロセッサ21)を用いて充電制御方法M1を実行する構成を採用しているが、本発明は、これに限定されない。すなわち、複数のプロセッサを用いて充電制御方法M1を実行する構成を採用してもよい。この場合、連携して充電制御方法M1を実行する複数のプロセッサは、単一のコンピュータに設けられ、バスを介して相互に通信可能に構成されていてもよいし、複数のコンピュータに分散して設けられ、ネットワークを介して相互に通信可能に構成されていてもよい。一例として、クラウドサーバを構成するコンピュータに内蔵されたプロセッサと、そのクラウドサーバの利用者が所有するコンピュータに内蔵されたプロセッサとが、連携して充電制御方法M1を実行する態様などが考えられる。
【0035】
また、本実施形態においては、充電制御方法M1を実行するプロセッサ(プロセッサ21)と同じコンピュータに内蔵されたメモリ(二次メモリ23)に学習済モデルLM1を格納する構成を採用しているが、本発明は、これに限定されない。すなわち、充電制御方法M1を実行するプロセッサと異なるコンピュータに内蔵されたメモリに学習済モデルLM1を格納する構成を採用してもよい。この場合、学習済モデルLM1を格納するメモリが内蔵されたコンピュータは、充電制御方法M1を実行するプロセッサが内蔵されたコンピュータとネットワークを介して相互に通信可能に構成される。一例として、クラウドサーバを構成するコンピュータに内蔵されたメモリに学習済モデルLM1を格納し、そのクラウドサーバの利用者が所有するコンピュータに内蔵されたプロセッサが充電制御方法M1を実行する態様などが考えられる。
【0036】
また、本実施形態においては、単一のメモリ(二次メモリ23)に学習済モデルLM1を格納する構成を採用しているが、本発明は、これに限定されない。すなわち、複数のメモリに学習済モデルLM1を分散して格納する構成を採用してもよい。この場合、学習済モデルLM1を格納する複数のメモリは、単一のコンピュータ(充電制御方法M1を実行するプロセッサが内蔵されたコンピュータであってもよいし、そうでなくてもよい)に設けられていてもよいし、複数のコンピュータ(充電制御方法M1を実行するプロセッサが内蔵されたコンピュータを含んでいてもよいし、そうでなくてもよい)に分散して設けられていてもよい。一例として、クラウドサーバを構成する複数のコンピュータの各々に内蔵されたメモリに学習済モデルLM1を分散して格納する構成などが考えられる。
【0037】
学習済モデルLM1は、電気自動車2の車種を判別するための学習済モデルである。学習済モデルLM1は、第1ビジョンセンサ40が撮像した画像を入力とし、電気自動車2の車種を出力するよう学習させたモデルである。学習済モデルLM1としては、例えば、畳み込みニューラルネットワークや再帰型ニューラルネットワークなどのニューラルネットワークモデル、線形回帰などの回帰モデル、又は、回帰木などの木モデルなどのアルゴリズムを用いることができる。
【0038】
〔電気自動車2への充電動作〕
図6は、充電システム1が行う充電動作の流れを示すフローチャートである。充電ステーションSに電気自動車2が停車すると、ステップS11において、第1ビジョンセンサ40は、充電ステーションSに停車している電気自動車2を撮像し、撮像した画像を表すデータを情報処理装置20に出力する。
【0039】
ステップS12において、プロセッサ21は、第1ビジョンセンサ40が撮像した画像に基づいて、電気自動車の車種を判別する。プロセッサ21は、車種の判別を、例えば学習済モデルLM1を用いて行う。
【0040】
プロセッサ21は、第1ビジョンセンサ40が撮像した画像を入力用画像としてもよく、また、第1ビジョンセンサ40が撮像した画像の一部を入力用画像としてもよい。プロセッサ21は、機械学習により構築された学習済モデルLM1に入力用画像を入力して得られる出力値に基づき、電気自動車2の車種を判別する。
【0041】
なお、プロセッサ21は、学習済モデルLM1を用いることなく、例えばルールベースで電気自動車2の車種を判別してもよい。この場合、例えば、電気自動車2を撮像した画像を表す画像データを車種毎に情報処理装置20の二次メモリ23に予め記憶しておく。プロセッサ21は、第1ビジョンセンサ40の撮像画像を解析し、予め記憶された画像データを用いてパターンマッチング等の手法を用いることにより、電気自動車の車種を判別する。
【0042】
ステップS13において、プロセッサ21は、ステップS12で判別した車種に基づき、電気自動車2の停止位置と給電口201の位置とを特定する。本実施形態では、プロセッサ21は、第1ビジョンセンサ40の撮像画像を解析し、電気自動車2の停止位置と給電口201のおおまかな位置とを特定する。例えば、電気自動車2を撮像した画像を表す画像データを情報処理装置20の二次メモリ23に車種毎に予め記憶しておき、プロセッサ21がこの画像データを用いて特定処理を行う。この場合、例えば、プロセッサ21が、第1ビジョンセンサ40の撮像画像と予め記憶された画像データとを用いてパターンマッチング等の手法を用いることにより、電気自動車2の停車位置および車体の向きを特定してもよい。また、例えば、プロセッサ21は、電気自動車2の車種と給電口201の位置とを対応付けて記憶したテーブルを参照し、ステップS12で判別した車種に対応する給電口201の位置を特定する。
【0043】
プロセッサ21は、給電口201の位置を特定すると、無人搬送車60を給電口201の付近に移動させるための制御情報を無人搬送車60に出力する。すなわち、プロセッサ21は、無人搬送車60によりアーム部18を給電口201の付近に搬送させるとともに、アーム部18によりコネクタ17を給電口201に対向する位置に移動させる。無人搬送車60は、情報処理装置20から制御情報を取得すると、ステップS14において、取得した制御情報に基づき、協働ロボット10を情報処理装置20に指示された位置に移動させる。
【0044】
また、無人搬送車60による搬送が完了すると、協働ロボット10は、コネクタ17を給電口201に対向する位置に移動させるとともに、コネクタ17の姿勢を、挿込動作を開始する姿勢に変更する。アーム部18が挿込動作を開始するときのコネクタ17の姿勢は、例えば、電気自動車2の車種毎に予め設定されている。この場合、例えば電気自動車2の車種とコネクタ17の姿勢と二次メモリ23に対応付けて予め記憶されており、プロセッサ21が、充電対象である電気自動車2の車種に対応する姿勢をアーム部18に指示する。この移動により、第2ビジョンセンサ50と給電口201との位置関係は、第2ビジョンセンサ50の撮像方向に給電口201が位置する位置関係となる。
【0045】
電気自動車2のドライバーは、充電ステーションSに電気自動車2を停車させた後のいずれかのタイミングにおいて、電気自動車2に設けられた操作子(操作ボタン、等)を用いて、給電口201のカバー部201aを開くための操作を行う。電気自動車2は、操作子から出力される操作情報に基づきカバー部201aを開く。カバー部201aが開かれることにより、窪み部201bが外部に露出した状態となる。
【0046】
ステップS15において、第2ビジョンセンサ50は、給電口201を撮像し、撮像した画像を表す画像データを出力する。ステップS16において、プロセッサ21は、第2ビジョンセンサ50が撮像した画像に基づいて給電口201の位置を特定する。ステップS13において給電口201の位置は特定されているものの、給電口201の位置は電気自動車2のタイヤの空気圧や地面の傾斜具合等により誤差が生じる場合がある。そこで、プロセッサ21は、ステップS16において、第2ビジョンセンサ50の撮像画像を解析することにより、給電口201の位置をより精度よく特定する。
【0047】
具体的には例えば、電気自動車2の給電口201を撮像した画像を表す画像データを車種毎に情報処理装置20の二次メモリ23に予め記憶しておく。プロセッサ21は第2ビジョンセンサ50の撮像画像と予め記憶された画像データとを用いてパターンマッチング等の手法を用いることにより、電気自動車2における給電口201の位置を特定する。また、プロセッサ21は、コネクタ17の挿し込み動作の開始位置を示す情報(以下、「開始位置情報」という)を二次メモリ23に記憶する。この情報は、コネクタ17の引き抜き動作を行う際に参照される。
【0048】
ステップS16において、給電口201のカバー部201aが閉じた状態である場合、プロセッサ21は給電口201の位置の特定を適切に行えない場合がある。位置の特定ができなかった場合、プロセッサ21は、協働ロボット10に警告音を出力させたり、「給電口のカバーを開いてください」といった音声メッセージを出力させたりする制御を行うことにより、ドライバーに報知を行ってもよい。
【0049】
ステップS17において、プロセッサ21は、コネクタ17を給電口201に挿し込むようアーム部18を制御する。アーム部18は、プロセッサ21が供給する制御情報に基づき、ステップS16で位置が特定された給電口201にコネクタ17を挿し込む動作を行う。このとき、プロセッサ21は、力覚センサ30の検出値に基づき、コネクタ17の挿込方向以外の方向の力および/またはトルクの大きさが閾値以下となるようアーム部18を制御する。
【0050】
具体的には、図4の例では、プロセッサ21は、コネクタ17が挿込方向(すなわち力覚センサ30のz軸の正方向)に移動するようアーム部18を制御することにより、挿込動作を行わせる。また、この挿込動作中において、プロセッサ21は、力成分Fz以外の力覚センサ30の検出値の成分、すなわち力成分Fx、Fyおよびトルク成分Mx、My、Mzの検出値の絶対値が所定の閾値以下となるよう、アーム部18を制御する。所定の閾値は、例えばゼロであってもよく、また、ゼロより大きい値であってもよい。閾値としては、例えば成分毎に異なる値が設定されていてもよく、また、複数の成分について共通する閾値が用いられてもよい。
【0051】
図7および図8は、給電口201へのコネクタ17の挿込動作の一例を説明するための模式図である。図7において、アーム部18は、プロセッサ21が供給する制御情報に基づき、力覚センサ30のz軸の正方向である挿込方向z1にコネクタ17を挿し込む。挿込動作中において、所望される挿込方向a1とコネクタ17の挿込方向z1とにずれが生じている場合、図8に示すように、コネクタ17の一部が給電口201の窪み部201bの内壁に衝突し、窪み部201bの内壁にコネクタ17が押し当てられる。これにより窪み部201bからコネクタ17および力覚センサ30に外力Faが加わる。
【0052】
力覚センサ30は外力Faの力成分およびトルク成分を検出する。プロセッサ21は、力覚センサ30の力成分Fz以外の成分の検出値が閾値以下となるよう、コネクタ17の位置および姿勢を修正する制御情報をアーム部18に供給する。図8の例では、プロセッサ21は例えば、力覚センサ30の検出値に基づき、力覚センサ30のz軸の正方向である挿込方向z1と所望される挿込方向a1との差分が小さくなるようコネクタ17の位置及び姿勢を修正する制御情報をアーム部18に供給する。
【0053】
このように、アーム部18は、プロセッサ21が供給する制御情報に基づき、コネクタ17の位置および姿勢を修正しながら、コネクタ17を給電口201に挿し込む動作を行う。プロセッサ21は、例えば所定の単位時間毎に上記の修正処理を繰り返し実行する。コネクタ17の位置および姿勢が繰り返し修正されながら挿込動作が行われることにより、例えばコネクタ17の挿込方向(力覚センサ30のz方向)と所望される挿込方向a1とにずれが生じている場合であっても、挿込方向を修正しながら挿し込みを行うことができる。これにより、電気自動車2の給電口201へのコネクタ17の挿し込みが適切に行えない事態となるのが低減される。
【0054】
図4の例では、プロセッサ21は、上述したように、力成分Fz以外の力覚センサ30の検出値の成分、すなわち力成分Fx、Fyおよびトルク成分Mx、My、Mzの検出値が所定の閾値以下となるよう、アーム部18を制御した。プロセッサ221の制御方法は上述したものに限られず、プロセッサ21は、力成分(Fx、Fy)またはトルク成分(Mx、My、Mz)の成分の検出値が閾値以下となるようにアーム部18を制御してもよい。
【0055】
図6の説明に戻る。ステップS18において、プロセッサ21は、コネクタ17の給電口201への挿し込みが完了したかを判別する。コネクタ17の給電口201への挿し込みが完了すると、コネクタ17および力覚センサ30には窪み部201bからz軸方向の外力が加わる。プロセッサ21は、力覚センサ30が挿込方向(z軸方向)において閾値以上の外力を検出したか否かにより、コネクタ17の挿し込みが完了したかを判別する。力覚センサ30が検出したz軸方向の力の大きさが所定の閾値以上である場合、プロセッサ21は挿し込みが完了したと判別する。一方、力覚センサ30が検出したz軸方向の力の大きさが閾値未満である場合、プロセッサ21は挿し込みが完了していないと判別する。挿し込みが完了した場合(ステップS18にてYES)、プロセッサ21はステップS19の処理に進む。一方、挿し込みが完了していない場合(ステップS18にてNO)、プロセッサ21はステップS17の処理に戻り、挿込動作を継続する。
【0056】
コネクタ17が給電口201に挿し込まれることにより、電気自動車2への給電が行われる。ステップS19において、プロセッサ21は、電気自動車2への充電が完了したかを判定する。プロセッサ21は例えば、コネクタ17により電気自動車2に供給される電流値が所定値まで減少した場合に、充電が完了したと判定する。
【0057】
充電が完了した場合(ステップS19にてYES)、プロセッサ21はステップS20の処理に進む。一方、充電が完了していない場合(ステップS19にてNO)、プロセッサ21はステップS19の処理に戻り、充電が完了するまで待機する。
【0058】
ステップS20において、アーム部18は、プロセッサ21が供給する制御情報に基づき、コネクタ17を給電口201から引き抜く動作を行う。この引き抜き動作は、ステップS17の挿込動作とは逆の動作である。すなわち、プロセッサ21は、挿込方向と反対の方向(すなわち、力覚センサ30のz軸の負方向)にコネクタ17を移動させる制御情報をアーム部18に供給する。
【0059】
この引き抜き動作においても、プロセッサ21は、力覚センサ30の検出値に基づき、コネクタ17の挿込方向以外の方向の力およびトルクの大きさが閾値以下となるようアーム部18を制御しながら、コネクタ17を給電口201に引き抜く動作を行わせる。
【0060】
具体的には、プロセッサ21は例えば、コネクタ17が引き抜き方向(すなわち力覚センサ30のz軸の負方向)に移動するようアーム部18を制御することにより、引き抜き動作を行わせる。また、この引き抜き動作中において、プロセッサ21は、力成分Fz以外の力覚センサ30の検出値の成分、すなわち力成分Fx、Fyおよびトルク成分Mx、My、Mzの検出値が所定の閾値以下となるよう、アーム部18を制御する。
【0061】
ステップS21において、プロセッサ21は、コネクタ17の引き抜きが完了したかを判別する。プロセッサ21は例えば、二次メモリ23に記憶された開始位置情報を参照し、引き抜き動作によりコネクタ17が挿込動作の開始位置に移動したかにより、引き抜きが完了したかを判別する。この場合、プロセッサ21は例えば、コネクタ17が開始位置に移動した場合、引き抜きが完了したと判別する一方、コネクタ17が開始位置に移動していない場合、引き抜きが完了していないと判別する。
【0062】
引き抜き動作が完了した場合(ステップS21にてYES)、プロセッサ21はステップS22の処理に進む。一方、引き抜き動作が完了していない場合(ステップS21にてNO)、プロセッサ21はステップS20の処理に戻り、引き抜き動作を継続する。
【0063】
プロセッサ21は、無人搬送車60を初期位置に移動させるための制御情報を無人搬送車60に出力する。無人搬送車60は、情報処理装置20から制御情報を取得すると、ステップS22において、取得した制御情報に基づき、協働ロボット10を初期位置に移動させる。
【0064】
電気自動車2のドライバーは、協働ロボット10による充電動作が完了すると、給電口201のカバー部201aを閉じる。ドライバーが手動によりカバー部201aを閉じてもよく、また、ドライバーが所定の操作子を用いてカバー部201aを閉じるための操作を行うことにより、電気自動車2がカバー部201aを閉じてもよい。
【0065】
〔教師データの生成・学習済モデルの構築〕
次いで、図6のステップS12で用いられる学習済モデルLM1の構築動作、および構築処理で用いる教師データの生成動作について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、情報処理装置20が、学習済モデルLM1の構築処理、および教師データの生成処理を実行する。なお、学習済モデルLM1の構築処理、および教師データの生成処理は、情報処理装置20以外の他の装置が実行してもよい。
【0066】
学習済モデルLM1の構築で用いる教師データは、電気自動車2を撮像した撮像画像と、電気自動車2の車種を示すラベルデータとを含む。
【0067】
図9は、学習済モデルLM1の構築動作および教師データの生成動作の一例を示すフローチャートである。S31では、第1ビジョンセンサ40が電気自動車2を撮像し、撮像画像を生成する。情報処理装置20は、第1ビジョンセンサ40が生成した撮像画像をそのまま学習用画像として用いてもよく、また、撮像画像の一部を抽出した画像を学習用画像として用いてもよい。
【0068】
S32では、情報処理装置20は、学習用画像にラベルデータを対応付けて教師データを生成する。ラベルデータは、車種を示すデータである。ラベルデータは例えば、入出力IF24を介して情報処理装置20に入力される。
【0069】
S33では、情報処理装置20は、教師データを用いた教師あり学習によって、学習済モデルLM1を構築する。学習済モデルLM1としては、例えば、畳み込みニューラルネットワークや再帰型ニューラルネットワークなどのニューラルネットワークモデル、線形回帰などの回帰モデル、または、回帰木などの木モデルなどのアルゴリズムを用いることができる。
【0070】
ところで、電気自動車2の充電を行う場合、給電口201とコネクタ17との位置合わせや、給電口201へのコネクタ17の挿し込みを適切に行えない場合がある。車種によって給電口201の位置が異なっていたり、また、電気自動車2のタイヤの空気圧が変化する等により給電口201への挿込方向に若干のズレが生じている場合等があったりするためである。
【0071】
それに対し本実施形態によれば、プロセッサ21が、コネクタ17の挿込動作中においてコネクタ17の挿込方向以外の方向に加わる大きさが閾値以下となるよう制御することにより、コネクタ17の挿込方向は変動する。これにより、給電口201の位置および挿込方向が若干ずれている場合等であっても挿込方向が是正され、挿し込みを適切に行うことができる。そのため、電気自動車2の給電口201へのコネクタ17の挿し込みが適切に行えない事態となるのを低減することができる。
【0072】
また、コネクタ17の挿込方向を力覚センサ30の検出結果に基づき変化させながら挿込動作を行うことにより、コネクタ17が給電口201に誤った挿込方向で挿し込まれてしまうことが防止される。コネクタ17が無理な姿勢で給電口201に挿し込まれることがないため、コネクタ17および給電口201の破損が防止される。
【0073】
また、本実施形態では、コネクタ17と給電口201との位置関係の誤差、およびコネクタ17の挿込方向におけるある程度の誤差は、コネクタ17の挿込動作において是正される。そのため、給電口201を撮像する第1ビジョンセンサ40として高精度のセンサが不要となるとともに、高精度の協働ロボット10が不要となる。
【0074】
また、本実施形態では、力覚センサ30がz軸方向における閾値以上の外力を検出した場合に、挿込動作が完了したとプロセッサ21が判別する。これにより、プロセッサ21はコネクタ17の給電口201への押込動作の完了を検出することができる。
【0075】
また、本実施形態では、情報処理装置20が給電口201の位置を特定し、特定した位置に協働ロボット10が移動するため、充電ステーションSの任意の位置に停車した電気自動車2に対して協働ロボット10が充電を行うことができる。すなわち、電気自動車2の停車位置を予め定めておく必要がなく、電気自動車2の停車位置に関わらず給電が可能になり、ドライバーの負担が軽減する。また、電気自動車2のドライバー等が給電作業を行う必要がないため、コネクタ17をドライバーが誤って破損してしまうことがなく、また、コネクタ17につながっている充電ケーブルをさばくといった煩雑な作業をドライバーが行う必要がない。
【0076】
また、本実施形態では、無人搬送車60が給電口201に移動して充電を行うため、例えば電気自動車2のドライバーが給電のために降車したりする必要がない。また、給電作業を行う必要がないため、ドライバーが誤って感電してしまうことがない。
【0077】
また、本実施形態では、力成分(Fx、Fy)の大きさが閾値以下になるようプロセッサ21が制御することにより、コネクタ17が給電口201の側壁に接触した際に双方に過大な垂直抗力が働くことを防止できる。また、トルク成分(Mx、My、Mz)の大きさが閾値以下になるようプロセッサ21が制御することにより、コネクタ17が給電口201の側壁に接触した際に双方に過大な摩擦力が働くことを防止できる。
【0078】
また、力成分(Fx、Fy)およびトルク成分(Mx、My、Mz)の両方の成分の検出値の絶対値が閾値以下となるようコネクタ17が制御することにより、垂直抗力や摩擦力によってコネクタ又は給電口が損傷するといった事態が生じる可能性を低減することができる。
【0079】
〔変形例〕
上述の実施形態では、協働ロボット10がコネクタ17を備える構成を例示したが、コネクタ17が協働ロボット10と別体として構成されていてもよい。この場合、コネクタ17は例えば、協働ロボット10のアーム部18のエンドエフェクタである把持部により把持され、給電口201へのコネクタ17の挿し込みが行われてもよい。
【0080】
また、上述の実施形態において、力覚センサ30の検出値に基づき、プロセッサ21がコネクタ17の故障または異物の噛み込み等を検知してもよい。この場合、例えば、コネクタ17が給電口201に正常に挿し込まれた場合にコネクタ17がたどる移動軌跡を示す情報(以下、「軌跡情報」という)を、車種毎に二次メモリ23に予め記憶しておく。プロセッサ21は、二次メモリ23に記憶された軌跡情報の示す移動軌跡とコネクタ17の実際の移動軌跡とを比較し、差分が所定の条件を満たさない場合、異常が発生していると判別してもよい。所定の条件とは例えば、力覚センサ30がz軸方向において閾値以上の力を検出し、かつ、コネクタ17の移動距離と二次メモリ23に記憶された軌跡情報に対応する移動距離との差分が所定の閾値以上である、といった条件である。
【0081】
上述の実施形態では、協働ロボット10と情報処理装置20とが別体の装置として構成されている場合を説明した。充電システム1の構成は上述した実施形態で示したものに限られない。例えば、協働ロボット10と情報処理装置20とが一体の装置として構成されていてもよい。
【0082】
また、上述の実施形態では、プロセッサ21が、位置特定ステップM11、移動制御ステップM12、および挿込制御ステップM13を実行したが、これらのステップを情報処理装置20と1または複数の他の装置とが分担して実行してもよい。例えば、プロセッサ21が位置特定ステップM11を実行し、協働ロボット10に設けられたプロセッサが移動制御ステップM12および挿込制御ステップM13を実行してもよい。
【0083】
上述の実施形態では、電気自動車2のドライバーが電気自動車2に設けられた操作子を操作することにより、電気自動車2がカバー部201aの開閉を行った。カバー部201aの開閉のトリガは、ドライバーの所定の操作に限られず、他のものであってもよい。例えば、コネクタ17が給電口201に近づき、コネクタ17と給電口201との距離が所定の閾値以下となって場合、電気自動車2がカバー部201aを開く制御を行ってもよい。その後、コネクタ17と給電口201との距離が閾値以上となった場合に、電気自動車がカバー部201aを閉じる制御を行ってもよい。この場合、例えば、給電口201が測距センサを備える構成とし、測距センサが給電口201に近づいたコネクタ17との距離を測定してもよい。測距センサとしては、ToF(Time of Flight)センサ、ドップラーセンサ、カメラ等の公知の測距センサが使用される。
【0084】
〔まとめ〕
態様1に係る充電システムは、アーム部と、力覚センサと、前記力覚センサを介して前記アーム部に固定された、電気自動車の給電口に挿し込まれる充電用のコネクタと、1または複数のプロセッサと、を備え、前記プロセッサは、電気自動車に設けられた給電口の位置を特定する位置特定ステップと、前記位置特定ステップでの特定結果に基づき、前記アーム部を制御して前記コネクタを前記給電口に対向する位置に移動させる移動制御ステップと、前記コネクタを前記給電口に挿し込むよう前記アーム部を制御する挿込制御ステップと、を実行し、前記挿込制御ステップにおいて、前記プロセッサは、前記力覚センサの検出値に基づき、前記コネクタの挿込方向以外の方向の力およびトルクの一方または両方の大きさが閾値以下となるよう前記アーム部を制御する。
【0085】
上記の構成によれば、コネクタの挿込動作中においてプロセッサがコネクタの挿込方向以外の方向の力およびトルクの一方又は両方の大きさが閾値以下となるよう制御する。挿込方向以外の力の大きさが閾値以下になるよう制御する場合、コネクタが給電口の側壁に接触した際に双方に過大な垂直抗力が働くことを防止できる。また、トルクの大きさが閾値以下になるよう制御する場合、コネクタが給電口の側壁に接触した際に双方に過大な摩擦力が働くことを防止できる。挿込方向以外の力の大きさ及びトルクの大きさが閾値以下になるよう制御する場合、垂直抗力や摩擦力によってコネクタ又は給電口が損傷するといった事態が生じる可能性を低減することができる。
【0086】
態様2に係る充電システムは、態様1に係る充電システムの特徴に加えて、以下の特徴を有している。すなわち、態様2に係る充電システムにおいて、前記力覚センサは、6軸力覚センサである。
【0087】
上記の構成によれば、充電システムは、6軸力覚センサに検出される力およびトルクに基づきコネクタの挿し込み方向を制御する。これにより、電気自動車の給電口へのコネクタの挿し込みが適切に行えない事態となるのを低減することができる。
【0088】
態様3に係る充電システムは、態様1または2に係る充電システムの特徴に加えて、以下の特徴を有している。すなわち、態様3に係る充電システムにおいて、前記プロセッサは、前記位置特定ステップにおいて、電気自動車を撮像するセンサが撮像した画像に基づいて前記電気自動車の車種を判別し、判別した車種に基づき前記給電口の位置を特定する。
【0089】
上記の構成によれば、複数の車種の電気自動車について給電口へのコネクタの挿し込みを行うことができる。
【0090】
態様4に係る充電システムは、態様1~3に係る充電システムの特徴に加えて、以下の特徴を有している。すなわち、態様4に係る充電システムにおいて、前記プロセッサは、前記位置特定ステップにおいて、前記給電口を撮像するセンサが撮像した画像に基づいて前記給電口の位置を特定する。
【0091】
上記の構成によれば、電気自動車が停車している地面の傾斜や車高等の要因により給電口の位置にズレが生じている場合等であっても、電気自動車の給電口の位置の特定の精度を高くすることができる。
【0092】
態様5に係る充電システムは、態様1~4に係る充電システムの特徴に加えて、以下の特徴を有している。すなわち、態様5に係る充電システムにおいて、前記アーム部を搬送する搬送機構、を更に備え、前記プロセッサは、前記移動制御ステップにおいて、前記搬送機構により前記アーム部を前記給電口の付近に搬送させるとともに、前記アーム部により前記コネクタを前記給電口に対向する位置に移動させる。
【0093】
上記の構成によれば、電気自動車の停車位置がその都度異なる場合であっても、コネクタを給電口の付近に搬送することにより、電気自動車の給電口へのコネクタの挿し込みを行うことができる。
【0094】
態様6に係る充電システムは、態様1~5に係る充電システムの特徴に加えて、以下の特徴を有している。すなわち、態様6に係る充電システムにおいて、前記挿込制御ステップにおいて、前記プロセッサは、前記力覚センサが前記挿込方向における閾値以上の外力を検出した場合、前記コネクタの挿し込みが完了したと判別する。
【0095】
上記の構成によれば、プロセッサ21はコネクタ17の給電口201への押込動作の完了を検出することができる。
【0096】
態様7に係る情報処理装置は、電気自動車に設けられた給電口の位置を特定する位置特定ステップと、前記位置特定ステップでの特定結果に基づき、前記給電口に挿し込まれる充電用のコネクタが力覚センサを介して固定されたアーム部を制御して、当該コネクタを当該給電口に対向する位置に移動させる移動制御ステップと、前記コネクタを前記給電口に挿し込むよう前記アーム部を制御する挿込制御ステップと、を実行する1または複数のプロセッサ、を備え、前記挿込制御ステップにおいて、前記プロセッサは、前記力覚センサの検出値に基づき、前記コネクタの挿込方向以外の方向の力およびトルクの一方または両方の大きさが閾値以下となるよう前記アーム部を制御する。
【0097】
上記の構成によれば、コネクタの挿込動作中においてプロセッサがコネクタの挿込方向以外の方向の力およびトルクの大きさが閾値以下となるよう制御するため、コネクタの挿込方向が変動しながら挿込動作が行われる。これにより、電気自動車の給電口へのコネクタの挿し込みが適切に行えない事態となるのを低減することができる。
【0098】
〔付記事項〕
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、上述した実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる他の実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0099】
1 充電システム
2 電気自動車
10 協働ロボット
17 コネクタ
18 アーム部
20 情報処理装置
21 プロセッサ
30 力覚センサ
40 第1ビジョンセンサ
50 第2ビジョンセンサ
201 給電口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9