(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】金属遮光板
(51)【国際特許分類】
G02B 5/00 20060101AFI20240925BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20240925BHJP
G03B 9/02 20210101ALI20240925BHJP
【FI】
G02B5/00 B
G02B7/02 H
G03B9/02
(21)【出願番号】P 2020165618
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2023-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】西辻 清明
(72)【発明者】
【氏名】島村 槙一
(72)【発明者】
【氏名】相澤 弘康
【審査官】堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-062581(JP,A)
【文献】特開2006-072151(JP,A)
【文献】特開2002-202404(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0045735(US,A1)
【文献】中国実用新案第206339814(CN,U)
【文献】国際公開第2021/015133(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/00
G02B 7/02
G03B 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円板状の外径部を有した金属基材の両面の中心に
円形の孔を有し、一方の面に形成された孔は、もう一方の面に形成された孔より孔径が大きく、金属基材の厚さ方向で両面の孔が繋がっている内径部を有した金属遮光板であって、
金属遮光板の外径部に少なくとも1つの
円弧状の切欠き部を有し、
前記切欠き部のうち前記中心に最も近い位置と前記中心とを結ぶ断面
の外径部側において、一方の面から金属基材の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状と、もう一方の面から金属基材の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状とが交わる
第一交点が含まれる金属基材の表面と平行な平面内で、
前記第一交点から
前記中心に向かう直線上の
前記第一交点からの距離xにおける金属基材の厚さtの増加率dt/dxが、
前記断面の内径部側において、一方の面から金属基材の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状と、もう一方の面から金属基材の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状とが交わる
第二交点が含まれる金属基材の表面と平行な平面内で、
前記中心から前記第二交点を通り外径部に向かう直線上
において前記第二交点から距離xだけ離れた位置yにおける金属基材の厚さtの増加率dt/dy以上であり、
切欠き部の断面において、前記
第一交点が、金属基材の厚さ方向において、孔径の小さい孔の側に位置していることを特徴とする金属遮光板。
【請求項2】
前記第二交点が、前記金属基材の厚さ方向において、孔径の小さい孔の側に位置していることを特徴とする請求項1に記載の金属遮光板。
【請求項3】
前記第二交点が、
前記第一交点よりも孔径の小さい孔の側に位置していることを特徴とする請求項2に記載の金属遮光板。
【請求項4】
前記断面において、
前記位置yにおける金属基材の厚さt1が、前記距離xにおける金属基材の厚さt2以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の金属遮光板。
【請求項5】
円板状の外径部を有した金属基材の両面の中心に
円形の孔を有し、一方の面に形成された孔は、もう一方の面に形成された孔より孔径が大きく、金属基材の厚さ方向で両面の孔が繋がっている内径部を有した金属遮光板であって、
金属遮光板の外径部に2つの
円弧状の切欠き部を有し、
各々の前記切欠き部のうち前記中心に最も近い位置と前記中心とを結ぶ断面
の外径部側において、一方の面から金属基材の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状と、もう一方の面から金属基材の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状とが交わる
第一交点が含まれる金属基材の表面と平行な平面内で、
前記第一交点から
前記中心に向かう直線上の
前記第一交点からの距離xにおける金属基材の厚さtの増加率dt/dxが、
前記断面の内径部側において、一方の面から金属基材の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状と、もう一方の面から金属基材の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状とが交わる
第二交点が含まれる金属基材の表面と平行な平面内で、
前記中心から前記第二交点を通り外径部に向かう直線上
において前記第二交点から距離xだけ離れた位置yにおける金属基材の厚さtの増加率dt/dy以上であり、
切欠き部の断面において、前記
第一交点が、金属基材の厚さ方向において、孔径の小さい孔の側に位置していることを特徴とする金属遮光板。
【請求項6】
切欠き部以外の外径部の断面において、
一方の面から金属基材の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状と、もう一方の面から金属基材の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状とが交わる断面形状を有していることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の金属遮光板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラの固定絞りとして使用される金属遮光板に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラには、光量を調節したり、不要な光によるゴーストやフレアなどの現象を防止するために絞りという部品が使用されている。
【0003】
一眼レフカメラやデジタルカメラのレンズ系(または、撮像光学系)には多くのレンズの他に、開口部の大きさを変更することにより、明るさや焦点深度を調整する可動絞りと、不要な光などを遮断する固定絞りである遮光板が使用されている。
【0004】
スマートフォンなどに使用される小型カメラモジュールまたはカメラユニットにおいては、固定絞りである遮光板が使用される場合がある(例えば、特許文献1参照)。スマートフォンにおける固定絞りである遮光板の主な役割は、ゴーストやフレアの防止である。ゴーストは、太陽光などの光源以外の光が、画面内に移り込んでしまう現象である。フレアは、太陽光などの強い光の影響で、画面の一部が白っぽくなる現象である。
【0005】
固定絞りである遮光板の材質として、従来は樹脂製のものが使用されていた。しかしながら、遮光性が十分では無いという欠点があり、金属製の固定絞りである遮光板が注目されている。この金属製の固定絞りである遮光板を金属遮光板と呼称する。
【0006】
固定絞りである遮光板は、
図4に例示したように、カメラユニット30に組み込まれる。カメラユニット30は、撮像素子16に画像を結像させる撮像光学系15が備えられている。撮像光学系15は、円筒状の枠14(円筒状の筐体14とも記す)の中に備えられている。そして、スマートフォンなどに使用される小型カメラユニットにおいては、撮像光学系15の前段に、ゴーストやフレアを防止するため、遮光板10´が備えられている。このような円筒状の枠14の中に遮光板10´を配置する際に、ピンセットなどの把持具を用いて遮光板10´を把持して組み立てる。また、固定絞りである遮光板は、円筒状の筐体との接着性が高いことにより、安定した遮光性能が発揮できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
金属遮光板は、従来の樹脂製の遮光板と同様に金属基材を金型で打抜き、貫通孔を形成することで作製できる。しかしながら、金型で打抜くような物理的な力が加わることにより、金属遮光板に反りや折れ、また、欠けといった破損が生じるおそれがある。そのため、金属遮光板の作製は、薬液を用いた化学的処理により、貫通孔を形成するエッチングが好ましい。エッチングにより金属遮光板の貫通孔である内径部と外径形状である外径部を形成する。外径部の一部には金属遮光板をカメラユニットに組み入れて製造する際の、ピンセットによる把持性を高めるために、切欠き部が形成されることが好ましい。しかしながら、外径部および外径部の一部に形成された切欠き部の断面形状によっては、ピンセットにより把持した際に、圧力が集中して破損してしまうおそれがある。破損した金属遮光板の一部はカメラユニット内に残った場合、異物となり画像不良の原因となってしまう問題がある。また、より安定した遮光性能を発揮するために、金属遮光板と円筒状の筐体と
の接着性の向上も求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一の態様は、円板状の外径部を有した金属基材の両面の中心に円形の孔を有し、一方の面に形成された孔は、もう一方の面に形成された孔より孔径が大きく、金属基材の厚さ方向で両面の孔が繋がっている内径部を有した金属遮光板であって、
金属遮光板の外径部に少なくとも1つの円弧状の切欠き部を有し、
前記切欠き部のうち前記中心に最も近い位置と前記中心とを結ぶ断面の外径部側において、一方の面から金属基材の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状と、もう一方の面から金属基材の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状とが交わる第一交点が含まれる金属基材の表面と平行な平面内で、前記第一交点から前記中心に向かう直線上の前記第一交点からの距離xにおける金属基材の厚さtの増加率dt/dxが、
前記断面の内径部側において、一方の面から金属基材の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状と、もう一方の面から金属基材の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状とが交わる第二交点が含まれる金属基材の表面と平行な平面内で、前記中心から前記第二交点を通り外径部に向かう直線上において前記第二交点から距離xだけ離れた位置yにおける金属基材の厚さtの増加率dt/dy以上であり、
切欠き部の断面において、前記第一交点が、金属基材の厚さ方向において、孔径の小さい孔の側に位置していることを特徴とする金属遮光板である。
【0010】
本発明の第二の態様は、本発明の第一の態様において、前記第二交点が、前記金属基材の厚さ方向において、孔径の小さい孔の側に位置していることを特徴とする金属遮光板である。
【0011】
本発明の第三の態様は、本発明の第二の態様において、前記第二交点が、前記第一交点よりも孔径の小さい孔の側に位置していることを特徴とする金属遮光板である。
【0012】
本発明の第四の態様は、前記断面において、前記位置yにおける金属基材の厚さt1が、前記距離xにおける金属基材の厚さt2以下であることを特徴とする金属遮光板である。
【0013】
本発明の第五の態様は、円板状の外径部を有した金属基材の両面の中心に円形の孔を有し、一方の面に形成された孔は、もう一方の面に形成された孔より孔径が大きく、金属基材の厚さ方向で両面の孔が繋がっている内径部を有した金属遮光板であって、
金属遮光板の外径部に2つの円弧状の切欠き部を有し、
各々の前記切欠き部のうち前記中心に最も近い位置と前記中心とを結ぶ断面の外径部側において、一方の面から金属基材の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状と、もう一方の面から金属基材の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状とが交わる第一交点が含まれる金属基材の表面と平行な平面内で、前記第一交点から前記中心に向かう直線上の前記第一交点からの距離xにおける金属基材の厚さtの増加率dt/dxが、
前記断面の内径部側において、一方の面から金属基材の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状と、もう一方の面から金属基材の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状とが交わる第二交点が含まれる金属基材の表面と平行な平面内で、前記中心から前記第二交点を通り外径部に向かう直線上において前記第二交点から距離xだけ離れた位置yにおける金属基材の厚さtの増加率dt/dy以上であり、
切欠き部の断面において、前記第一交点が、金属基材の厚さ方向において、孔径の小さい孔の側に位置していることを特徴とする金属遮光板である。
【0014】
本発明の第六の態様は、本発明の第一乃至第五の態様において、切欠き部以外の外径部の断面において、一方の面から金属基材の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状と、もう一方の面から金属基材の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状とが交わる断面形状を有していることを特徴とする金属遮光板である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第一の態様による金属遮光板により、金属遮光板の外周側である円板状の外径部および外径部の一部に形成された切欠き部の機械的強度が増し、ピンセットで外径部および外径部の一部に形成された切欠き部を把持しても金属遮光板の一部が破損することがない。また、切欠き部の断面において、交点が、金属基材の厚さ方向において、孔径の小さい孔の側に位置していることにより、切欠き部に液状の接着剤を供給する際に、液状の接着剤を外径部の外周全体に亘って回り込みやすくすることができる。よって、金属遮光板と、金属遮光板を固定する円筒状の筐体との接着性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第一実施形態における金属遮光板を例示した説明図であって、(a)は上面図、(b)は(a)のA-A´切断線における断面図である。
【
図2】本発明の第二実施形態における金属遮光板を例示した説明図であって、(a)は上面図、(b)は(a)のA-A´切断線における断面図である。
【
図3】本発明の第一実施形態における金属遮光板の、外径部5において、交点4aを通るX方向(交点4aが含まれる金属基材の面と平行な平面内で、交点4aから金属遮光板の内径部の中心に向かう方向)の交点4aからxの位置における金属基材の厚さtとの関係、および内径部6において、交点4bを通るy方向(交点4bが含まれる金属基材の面と平行な平面内で、金属遮光板の中心から交点4bを通り、金属基材に向かう方向)の交点4bからyの位置における金属基材の厚さtとの関係を示す説明図。
【
図4】カメラユニットの概略構成を例示する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の金属遮光板について、
図1~
図3を用いて説明する。
【0018】
<第一実施形態(1-1A)>
本発明の金属遮光板の第一実施形態(1-1A)について
図1(b)1-1を用いて説明する。
【0019】
図1(a)は、本発明の第一実施形態における金属遮光板10の上面図である。
図1(b)1-1は、本発明の第一実施形態における金属遮光板10を説明する説明図である。
【0020】
本発明の金属遮光板10は、金属基材1の表裏面のエッチングにより形成する。金属遮光板10の外径部5の形状は円板状である。円板状の外径部5を有した金属基材1の両面の中心に孔を有し、一方の面に形成された孔は、もう一方の面に形成された孔より孔径が大きく、金属基材1の厚さ方向で両面の孔が繋がっている内径部6を有している。この内径部6は貫通孔と呼称する。また、孔径とはエッチングにより形成された金属基材1の表裏面における孔の表面開口の最大径を意味する。
【0021】
金属遮光板10は、金属遮光板10の外周側である外径部5に少なくとも1つの切欠き部7(
図1(a)参照)を備えている。切欠き部7を形成することにより、切欠き部7から粘着剤や接着剤を付与し易くなる。金属遮光板をカメラユニットに組み入れて製造するが、液状の接着剤を切欠き部7に供給する際に、液状の接着剤が外径部5の外周全体に亘って回り込みやすくすることができる。よって、金属遮光板10と、金属遮光板10を固定する円筒状の枠(レンズユニットの円筒状の筐体)との接着性を向上させることができる。
【0022】
本発明の金属遮光板10において、切欠き部7の断面(厳密には、外径部5に形成された切欠き部7の断面を指す)における、一方の面から金属基材1の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状と、もう一方の面から金属基材1の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状とが交わる交点4a(
図1(b)1-1および
図3において、交点4aとして示した)が含まれる金属基材1の表面と平行な平面内で、交点4aから金属遮光板10の内径部6の中心に向かう直線上の交点4aからの距離xにおける金属基材1の厚さtの増加率をdt/dxと表すことができる。dt/dxは、tがxの関数t(x)である時のxに関する導関数である。
【0023】
厚さの増加率dt/dxは、上記の直線上で、交点4aを原点として、金属基材1に向かってxだけ移動したときに、金属基材1がエッチングされて残った部分の金属基材1の厚さが、交点4aでは0であったが、xではtとなるため、dt/dxは、X方向(
図3参照)の単位長さ進む毎にどれだけ厚さが増加するか、を示す指標である。増加率が大きいほど、交点4aから金属基材1側に近づくに連れて、急峻に厚さが増すため、交点4aによる突出部(または突起部)は、低く、直ぐに厚くなる断面形状となる。このような断面形状は機械的な強度が高くなるため、ピンセットなどの把持具を用いて把持することで、交点4aに圧力が集中して金属遮光板の一部が破損してしまうことを抑制できる。
【0024】
また、金属遮光板10の貫通孔側である内径部6の断面における、一方の面から金属基材1の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状と、もう一方の面から金属基材1の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状とが交わる交点4b(
図1(b)1-1および
図3において、交点4bとして示した)が含まれる金属基材1の表面と平行な平面内で、金属遮光板10の内径部6の中心から交点4bを通り金属基材1側に向かう直線上のY方向における交点4bからの距離yにおける金属基材1の厚さtから算出される厚さの増加率をdt/dyと表すことができる。dt/dyは、tがyの関数t(y)である時のyに関する導関数である。
【0025】
厚さの増加率dt/dyは、上記の直線上で、交点4bを原点として、金属基材1に向かってyだけ移動したときに、金属基材1がエッチングされて残った部分の金属基材1の厚さが、交点4bでは0であったが、yではtとなるため、dt/dyは、Y方向(
図3参照)の単位長さ進む毎にどれだけ厚さが増加するか、を示す金属基材1の厚さの増加率を示している。増加率が大きいほど、交点4bから金属基材1側に近づくに連れて、急峻に厚さが増すため、交点4bによる突出部は低く、直ぐに厚くなる断面形状となる。逆に、増加率が小さいほど、交点4bから金属基材1側に近づくに連れて、なだらかに厚さが増すため、交点4bによる突出部は高く、徐々に厚くなる断面形状となる。このような形状は、鋭く尖った突出部となり、機械的な強度は低くなるため、破損し易い。しかしながら、内径部6においては、鋭く尖った突出部となることにより、深い角度から入射する不要な外光を効果的に抑制できるため、遮光性能が向上する。
【0026】
さらに、切欠き部7の断面において、一方の面から金属基材1の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状と、もう一方の面から金属基材1の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状とが交わる交点4aが、金属基材1の厚さ方向において、孔径の小さい孔3
の側に位置していることを特徴とする。この特徴により、切欠き部7の断面において、交点4aから孔径の小さい孔3側に、孔径の小さい孔3側から見て、孔径の大きい孔2側に向かって金属基材1の厚さ方向に進むに連れて、孔径の小さい孔3の径が小さくなり、交点4bに至るまで、孔径の小さい孔3の中心に向かって庇がせり出したような形状が形成される。そのため、本発明の金属遮光板10をカメラユニットの筒状の枠(筐体)に組込む際に、液状の接着剤や粘着剤を切欠き部7に付与すると、切欠き部7の側面に形成された前記庇がせり出したような形状を伝わり、切欠き部7全体に行き亘り易くなる。そのため、金属遮光板10と金属遮光板10を固定する円筒状の筐体との接着性を向上させることができる。さらに、切欠き部7と外径部5の外周は同様の断面形状で形成されていることにより、液状の接着剤が外径部5の外周全体に亘って、より回り込みやすくすることができる。よって、金属遮光板10と金属遮光板10を固定する円筒状の枠(レンズユニットの円筒状の筐体)との接着性を向上させることができる。
【0027】
(金属基材)
本発明の金属遮光板10の金属基材1としては、光学的濃度が十分高い板状の金属材料であれば、特に限定されない。錆や腐食を生じ難く、板状にし易い金属材料であり、更に湿式エッチング加工が容易に行える材料であれば、好適に使用可能である。例えば、各種のステンレス鋼を挙げることができる。アルマイト処理したアルミニウム系の材料であっても良い。
【0028】
金属遮光板10は、ステンレス鋼以外の金属から形成されてよい。金属遮光板10は、例えば、鉄-ニッケル系合金製であってもよいし、鉄-ニッケル-コバルト系合金製であってもよい。
【0029】
鉄-ニッケル系合金の熱膨張係数は、ステンレス鋼の熱膨張係数よりも小さい。そのため、鉄-ニッケル系合金製の遮光板は、外気温の変化に伴う変形が小さく、これによって、外気温の変化に伴う外光の入射量における変化を抑えることができる。なお、外光の入射量とは、金属遮光板10を通じてレンズに入射する外光の入射量である。それゆえに、金属遮光板10が鉄-ニッケル系合金によって形成されることは、外光の入射量における変化に伴うゴーストやフレアの抑制に有効である。
【0030】
なお、鉄-ニッケル系合金は、鉄とニッケルとを主成分とし、かつ、例えば、30質量%以上のニッケルと、残余分としての鉄を含む合金である。鉄-ニッケル合金のなかでも、36質量%のニッケルを含む合金、すなわちインバーが、金属遮光板10を形成するための材料として好ましい。インバーにおいて、36質量%のニッケルに対する残余分は、主成分である鉄以外の添加物を含む場合がある。添加物は、例えば、クロム、マンガン、炭素、および、コバルトなどである。鉄-ニッケル合金に含まれる添加物は、最大でも1質量%以下である。
【0031】
鉄-ニッケル-コバルト系合金の熱膨張係数は、鉄-ニッケル系合金の熱膨張係数よりも小さい。そのため、鉄-ニッケル-コバルト系合金製の遮光板は、外気温の変化に伴う変形がより小さく、これによって、外気温の変化に伴う外光の入射量における変化をより抑えることができる。それゆえに、金属遮光板10が鉄-ニッケル-コバルト系合金によって形成されることは、外光の入射量における変化に伴うゴ-ストやフレアの抑制にさらに有効である。
【0032】
なお、鉄-ニッケル-コバルト系合金は、鉄、ニッケル、および、コバルトを主成分とし、かつ、例えば、30質量%以上のニッケル、3質量%以上のコバルト、および、残余分としての鉄を含む合金である。鉄-ニッケル-コバルト系合金のなかでも、32質量%のニッケルと4質量%以上5質量%以下のコバルトを含む合金、すなわちスーパーインバ
ーが、金属遮光板10を形成するための材料として好ましい。スーパーインバーにおいて、32質量%のニッケル、および、4質量%以上5質量%以下のコバルトに対する残余分は、主成分である鉄以外の添加物を含む場合がある。添加物は、例えば、クロム、マンガン、および、炭素などである。鉄-ニッケル-コバルト合金に含まれる添加物は、最大でも0.5質量%以下である。
【0033】
このように、金属遮光板10が、インバー製またはスーパーインバー製である場合には、以下の効果を得ることができる。
外気温の変化に伴う金属遮光板10の変形を抑えることができ、これによって、外気温の変化に伴う外光の入射量における変化を抑えることができる。それゆえに、外光の入射量における変化に伴うゴーストやフレアの発生を抑えることができる。
【0034】
(金属遮光板の製造方法)
本発明の金属遮光板の製造方法について説明する。
まず、金属基材を用意する。
【0035】
次に、金属基材の表裏面を洗浄する。各種の油脂類や付着した異物を除去し、金属基材の表面を清浄化する。洗浄剤や洗浄方法は、特に限定する必要は無いが、金属基材の汚れの種類や、汚れの度合いに合わせて選定すれば良い。例えば、汚れが油脂系の汚れである場合は、その油脂を洗浄可能な脱脂剤などの洗浄剤浴に浸漬した後、水洗浴に浸漬し、その後、スプレー洗浄処理を行う事で汚れを落とすことができる。その後、例えば、イソプロピルアルコールを用いた蒸気乾燥などの水分除去処理や、加熱乾燥処理などを行うことで乾燥し、洗浄処理を完了することができる。
【0036】
次に、金属基材の表面に、感光性樹脂層を形成する。金属基材の両面に形成しても良いし、片面でも良い。感光性樹脂層は、液状感光性レジストを塗布・乾燥装置を用いて塗布・乾燥して形成しても良いし、感光性ドライフィルムレジストを、真空ラミネート装置などを用いて金属基材にラミネートしても良い。液状感光性レジストの塗布方式も特に限定する必要は無い。例えば、ロールコータやダイコータを用いて塗布することができる。
【0037】
例えば、両面に感光性樹脂層を形成した場合は、金属基材の両面にフォトマスクを配置して同時に露光することができる。その場合、表面側のフォトマスクと裏面側のフォトマスクは、位置合わせされている状態で金属基材の表裏面に配置され、露光処理される。その後、現像処理することで、金属基材の表裏面にレジストパタ-ンを形成することができる。
【0038】
また、金属基材の片面に感光性樹脂層を形成する場合は、まず、片面に形成された感光性樹脂層に対して、予め金属基材の一部に1箇所以上形成しておいた合わせマークを基準マークとして、フォトマスクを金属基材に位置合わせした後、露光する。その後、現像して金属基材の片面にレジストパターンを形成した後、エッチングを行うことでも良い。
【0039】
或いは、金属基材のもう一方の面に感光性樹脂層を形成した後、同じ基準マ-クを用いて、フォトマスクを金属基材に位置合わせした後、露光、現像処理することで、金属基材の表裏面に、表裏で目合わせされたレジストパタ-ンを形成した後、エッチングを行うことでも構わない。片面ずつエッチング処理を行う場合は、エッチングしない面をエッチングされないように保護しておけば良い。
【0040】
金属基材の表裏面にレジストパターンを形成する際に、
図1(b)に例示したような、円板状の外径部を有した金属基材1の両面の中心に孔を有し、一方の面に形成された孔は、もう一方の面に形成された孔より孔径が大きく、金属基材1の厚さ方向で両面の孔が繋がっている内径部6を有した金属遮光板10における、一方の面から金属基材1の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状と、もう一方の面から金属基材1の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状を形成できるように、金属基材1の両面のレジストパターンの形状を設計しておけば良い。通常は、孔径の大きい孔2となるレジストパターンの開口部を大きい開口部とし、孔径の小さい孔3となるレジストパターンの開口部を小さい開口部としておけば良い。また、孔径の大きい孔2となるレジストパターンの開口部と、孔径の小さい孔3となるレジストパターンの開口部と、を同じ大きさの開口部としておいても構わない。その場合は、孔径の大きい孔2となる側のエッチングを、孔径の小さい孔3となる側のエッチングより強く行う。エッチングを強く行った側は、エッチングが深く進行し、サイドエッチング量も大きくなる。サイドエッチング量の大きい方が孔径の大きい孔となる。エッチングを強く行う方法としては、例えば、エッチングに使用する薬液の比重を大きくしたり、スプレーエッチングの場合は、スプレー圧を高くすることで実施可能である。しかしながら、スプレー圧を高くすると、スプレーの均一性も変わってしまうため、エッチング処理の均一性が保てないおそれがある。そのため、通常は、金属基材1の表裏面のレジストパターンの開口部などの寸法を、孔径の大きい孔2用の寸法および孔径の小さい孔3用の寸法として設計し、均一性が確保されたエッチングを行う。
【0041】
また、切欠き部7は、孔径の大きい孔2と孔径の小さい孔3を形成するのと同時に形成することができるように、フォトマスクのパターンを形成しておけば良い。そのようにする事で、
図1(b)の1-1に例示したように、内径部6における断面形状と、切欠き部7の外径部5の断面形状とに、それぞれ、孔径の大きい孔2が形成する曲線と孔径の小さい孔3が形成する曲線の交点(
図1(b)の1-1では、孔径の大きい孔2と孔径の小さい孔3の交点4b、4aとして示した)が形成された断面形状となる。また、孔径の大きい孔2側には、金属基材1の一方の表面と孔径の大きい孔2が形成する曲線の交点である、孔径が大きい側の内径部端部12が形成され、孔径の小さい孔3側には、金属基材1のもう一方の表面と孔径の小さい孔3が形成する曲線の交点である、孔径の小さい孔側の内径部端部13が形成される。
図2(b)においても同様である。
【0042】
また、切欠き部の断面における、一方の面から金属基材1の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状と、もう一方の面から金属基材1の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状とが交わる交点4aが含まれる金属基材1の表面と平行な平面内で、交点4aから金属遮光板10の内径部6の中心に向かう直線上の前記交点4aからの距離xにおける金属基材の厚さtの増加率dt/dxが、内径部6の断面における、一方の面から金属基材1の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状と、もう一方の面から金属基材1の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状と、が交わる交点4bが含まれる金属基材1の表面と平行な平面内で、金属遮光板10の内径部6の中心から前記交点4bを通り外径部5に向かう直線上の前記交点4bからの距離yにおける金属基材1の厚さtの増加率dt/dy以上となるようにするには、切欠き部7に対応するレジストパターンの開口部を内径部6に対応するレジストパターンの開口部より小さくしておくことで実現できる。
【0043】
最後に、金属基材1からレジストパターンを剥離することで、本発明の金属遮光板10を得ることができる。
【0044】
<第一実施形態(1-1B)>
本発明の金属遮光板の第一実施形態(1-1B)について
図1(b)1-1を用いて説明する。第一実施形態(1-1B)における特徴は、第一実施形態(1-1A)の特徴に加え、内径部6の断面において、一方の面から金属基材1の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状と、もう一方の面から金属基材1の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状とが交わる交点4bが、金属基材1の厚さ方向において、孔径の小さい孔3の側に位置していることが特徴である。即ち、内径部6側の金属遮光板10の先端部である交点
4bの位置が、より孔径の小さい孔3側に近い位置に形成されていることにより、深い角度から入射する不要な外光を効果的に抑制できるため、遮光性能が向上する。また、カメラ内部やレンズで強い光が反射して再びレンズに入射する光を遮光し易くなる。このような特徴により、ゴーストやフレアの抑御が可能となり、遮光性能の向上を実現できる。
【0045】
<第一実施形態(1-2)>
本発明の金属遮光板の第一実施形態(1-2)について
図1(b)1-2を用いて説明する。
【0046】
図1(b)1-2は、本発明の第一実施形態(1-2)における金属遮光板10-1を説明する説明図である。なお、
図1(b)1-2は、
図1(b)1-1と同等の部分には、同じ符号を付与している。
【0047】
第一実施形態(1-2)においては、第一実施形態(1-1A)に記載した金属遮光板10の特徴に加え、内径部6の断面における、一方の面から金属基材1の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状と、もう一方の面から金属基材1の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状とが交わる交点4b-1が、切欠き部7の断面における、一方の面から金属基材1の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状と、もう一方の面から金属基材1の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状と、が交わる交点4aより孔径の小さい孔3側に配置されていることが特徴である。これらの特徴により、切欠き部7に付与された液状の粘着剤や接着剤が、切欠き部7の内部で行き亘り易くなる。さらに、切欠き部7と外径部5の外周は同様の断面形状で形成されていることにより、液状の接着剤が外径部5の外周全体に亘って回り込みやすくすることができる。よって、金属遮光板10-1と、金属遮光板10-1を固定する円筒状の枠(レンズユニットの円筒状の筐体)との接着性を向上させることができる。また、内径部6において、交点4b-1が、切欠き部7に形成された、金属基材1の厚さ方向において、孔径の小さい孔3の側に位置している交点4aより、更に孔径の小さい孔3側に位置している。そのため、深い角度から入射する不要な外光を効果的に抑制できるため、遮光性能が向上する。また、カメラ内部やレンズで強い光が反射して再びレンズに入射する光を遮光し易くなる。このことから、ゴーストやフレアの抑制が可能となり、遮光性能の向上を図ることができる。
【0048】
<第一実施形態(1-3)>
本発明の金属遮光板の第一実施形態(1-3)について
図1(b)1-3を用いて説明する。
【0049】
図1(b)1-3は、本発明の第一実施形態(1-3)における固定絞り用の遮光板10-2を説明する説明図である。
【0050】
第一実施形態(1-3)においては、第一実施形態(1-1A)に記載した金属遮光板10の特徴に加え、次のような特徴を備えている。即ち、内径部6の断面において、一方の面から金属基材1の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状と、もう一方の面から金属基材1の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状とが交わる交点4b-2が含まれる金属基材1の表面と平行な平面内で、遮光板10-2の内径部6の中心から交点4b-2を通り金属基材1側に向かう直線上の、交点4b-2からの距離がxである位置における金属基材1の厚さをtxとする。一方、切欠き部7において、一方の面から金属基材1の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状と、もう一方の面から金属基材1の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状とが交わる交点4aが含まれる、金属基材1の表面と平行な平面内で該交点4aから前記金属遮光板10-2の中心に向かう直線上の交点4aから距離がyである位置における金属基材1の厚さをtyとする。第一実施形態(1-3)における金属遮光板10-2では、txがtyと同じ厚さ、または、より薄いこと
が特徴である。txがtyと同じ厚さであることにより、内径部6が外径部5と同じ強度を有するため、内径部6が破損するおそれが低くなる。txがtyより薄いことにより、深い角度から入射する不要な外光を効果的に抑制できるため、遮光性能が向上する。
【0051】
<第二実施形態>
本発明の金属遮光板の第二実施形態について
図2(a)および
図2(b)2-1を用いて説明する。
【0052】
図2(b)2-1は、本発明の第二実施形態における金属遮光板20を説明する説明図である。
【0053】
金属遮光板20の第二実施形態においては、
図2(a)に示したように、金属遮光板20の外周側である外径部5に2つの切欠き部7、8を備えていることが特徴である。その他は、第一実施形態(1-1A)で説明した金属遮光板10と同じ構成である。2つの切欠き部7、8を備えていることにより、第一実施形態(1-1A)において説明した金属遮光板10、10-1、10-2より、切欠き部に付与した液状の接着剤や粘着剤が、2箇所の切欠き部7、8に付与されるため、切欠き部7、8の内部において、接着剤や粘着剤が行き亘り易くなる。さらに、切欠き部7、9と外径部5の外周は同様の断面形状で形成されていることにより、液状の接着剤が外径部5の外周全体に亘って回り込みやすくすることができる。よって、金属遮光板20と、金属遮光板20を固定する円筒状の枠(レンズユニットの円筒状の筐体)との接着性を向上させることができる。また、2つの切欠き部7、8が内径部6を中点に反対方向の外径部5に形成されていることから、ピンセットによる把持性が向上する。
【0054】
図2(b)2-2は第二実施形態の変形例の一つである。内径部6の断面における一方の面から金属基材1の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状と、もう一方の面から金属基材1の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状と、が交わる交点4b-1が、金属基材1の厚さ方向において、孔径の小さい孔3の側に位置している。そのため、深い角度から入射する不要な外光を効果的に抑制できるため、遮光性能が向上する。また、カメラ内部やレンズで強い光が反射して再びレンズに入射する光を遮光し易くなる。このことから、ゴーストやフレアの抑御が可能となり、遮光性能の向上を図ることができる。特に、交点が金属基材の一方の表面と一致する場合、深い角度から入射する不要な外光を最も抑制できるため、遮光性能が向上する。
【0055】
図2(b)2-3は第二実施形態の変形例の一つである。内径部6の断面における一方の面から金属基材1の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状と、もう一方の面から金属基材1の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状と、が交わる交点4b-2と、切欠き部7、8において、一方の面から金属基材1の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状と、もう一方の面から金属基材1の厚さ方向に沿って次第に先細る曲線的な形状と、が交わる交点4b-2とが、金属基材1の厚さ方向において、同一の位置に形成されている。内径部6と切欠き部7、8の断面形状が同じである。そのため、内径部6の機械的強度が外径部5と同様に高くできるため、内径部6と切欠き部7、8をピンセットにより把持した場合にも、破損が生じることを抑制できる。この場合、内径部6と切欠き部7、8の断面形状は、交点4b-2と金属基材1の一方の面の開口断面の端部12(孔径の大きい孔側の内径部端部)を結ぶ直線と、交点4b-2ともう一方の面の開口断面の端部13(孔径の小さい孔側の内径部端部)を結ぶ直線により形成される角度が鈍角であることが機械的強度を高くするためには好ましい。
【0056】
<第三実施形態>
本発明の金属遮光板の第三実施形態について、
図1(a)と
図1(b)1-1を用いて
説明する。
【0057】
本発明の金属遮光板10は、外径部5に切欠き部が1つ以上備えられていること、および切欠き部7以外の外径部5の断面においても、切欠き部7と同様の断面形状を備えていることを除き、第一の実施形態において説明した金属遮光板10と同じ特徴を備えている。1つの切欠き部であっても、液体状の粘着剤や接着剤を付与すると、切欠き部の内部において、外径部5に沿って行き亘りやすくなっており接着性が向上しているが、切欠き部が1つ以上備えられていることにより、更に、カメラユニットの円筒状の枠(筐体)との接着性を向上させることができる。更に、切欠き部以外の外径部5においても切欠き部7と同様の断面形状を備えていることにより、切欠き部に液体状の粘着剤や接着剤を付与した場合、切欠き部の内部ばかりでなく、切欠き部以外の外径部5の外周全体に粘着剤や接着剤が行き亘らせることができる。そのため、筐体と遮光板の接着性を更に向上させることができる。
【符号の説明】
【0058】
1・・・金属基材
2・・・孔径の大きい孔
3・・・孔径の小さい孔
4a・・・交点
4b、4b-1、4b-2・・・交点
5・・・外径部
6・・・内径部
7、7´、8・・・切欠き部
9、9´・・・孔径の大きい孔側の外径部端部
10、10-1、10-2、10´・・・金属遮光板
11´・・・外径部端部
12・・・孔径の大きい孔側の内径部端部
13・・・孔径の小さい孔側の内径部端部
14・・・円筒状の枠(筐体)
15・・・撮像光学系
16・・・撮像素子
20・・・遮光板
30・・・カメラユニット