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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/22 20060101AFI20240925BHJP
   H02K 5/10 20060101ALI20240925BHJP
   B60K 7/00 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
H02K5/22
H02K5/10 Z
B60K7/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020165804
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2022057508
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2023-08-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】櫻田 国士
(72)【発明者】
【氏名】森下 裕司
【審査官】保田 亨介
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-047852(JP,U)
【文献】実開昭60-079258(JP,U)
【文献】特開平04-088849(JP,A)
【文献】実開昭57-133264(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K1/00-6/12
7/00-8/00
16/00
H02K5/00-5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本のリード線と、
前記複数本のリード線が挿入されるチューブと、
前記チューブが挿入され、一方側から他方側に延びる筒状のカバー部材と、
前記カバー部材の内部に配置される樹脂部と、
規制部材と、
を備え、
前記カバー部材は、
前記一方側に小径部と、
前記他方側に前記小径部よりも内径が大きい大径部と、
を有し、
前記チューブの外周面は、前記小径部の内周面と接触し、
前記規制部材は、前記大径部の内部に配置され、複数の第1貫通孔を有し、
前記第1貫通孔は、前記一方側から前記他方側に貫通し、
前記複数本のリード線は、前記大径部の内部において前記チューブから引き出され、それぞれ、互いに異なる前記第1貫通孔に配置され、
前記樹脂部は、前記大径部の内部に配置され、前記複数本のリード線を覆い、前記大径部のうち、前記規制部材の前記一方側の領域および前記規制部材の前記他方側の領域に配置される、モータ。
【請求項2】
前記規制部材は、外周面に開口する開口部を有し、
前記開口部は、前記一方側の端部から前記他方側の端部に延び、かつ、前記第1貫通孔に繋がる、請求項に記載のモータ。
【請求項3】
前記規制部材は、前記第1貫通孔とは異なる第2貫通孔を有し、
前記第2貫通孔は、前記一方側から前記他方側に貫通する、請求項またはに記載のモータ。
【請求項4】
前記第2貫通孔は、前記規制部材のうち、筒軸方向と直交する方向の中央部に位置し、
前記第1貫通孔は、前記規制部材のうち、中央部よりも外側の外縁部に位置する、請求項に記載のモータ。
【請求項5】
前記大径部の内周面は、筒軸方向と直交する方向に突出する第1突出部を有し、
前記規制部材は、前記第1突出部の前記他方側に配置される、請求項1~4のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項6】
前記大径部の内周面は、前記筒軸方向と直交する方向に突出する第2突出部を有し、
前記第2突出部は、前記第1突出部の前記他方側に前記第1突出部と間隔を隔てて配置され、
前記規制部材は、前記第1突出部と前記第2突出部との間に配置される、請求項に記載のモータ。
【請求項7】
前記第1貫通孔は、小径孔と、前記小径孔よりも孔径が大きい大径孔と、を有し、
前記小径孔には、前記複数本のリード線のうち第1の外径を有するリード線が配置され、
前記大径孔には、前記複数本のリード線のうち前記第1の外径よりも大きい第2の外径を有するリード線が配置される、請求項のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項8】
前記大径部は、前記一方側に中間部分を有し、
前記中間部分は、前記一方側から前記他方側に向かって、内径が大きくなる方向に傾斜し、
前記樹脂部は、前記チューブのうち前記小径部から前記中間部分に突出した端部の外周面と、前記中間部分の内周面との間に配置される、請求項1~のいずれか1項に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、固定軸を備えたモータが知られている。従来では、固定軸にステータが固定される。ステータには、リード線が連結される(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-311702公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来では、貫通孔を有する固定軸が用いられる。貫通孔には、リード線が挿入される。ここで、固定軸の貫通孔にリード線を挿入する構成では、リード線を伝って、モータの外部から内部に異物が侵入する可能性がある。
【0005】
本発明は、モータの外部から内部に異物が侵入することを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的なモータは、複数本のリード線と、複数本のリード線が挿入されるチューブと、チューブが挿入され、一方側から他方側に延びる筒状のカバー部材と、カバー部材の内部に配置される樹脂部と、を備える。カバー部材は、一方側に小径部と、他方側に小径部よりも内径が大きい大径部と、を有する。チューブの外周面は、小径部の内周面と接触する。複数本のリード線は、大径部の内部においてチューブから引き出される。樹脂部は、大径部の内部に配置され、複数本のリード線を覆う。
【発明の効果】
【0007】
本発明の例示的なモータによれば、モータの外部から内部に異物が侵入することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るモータの内部を示す斜視図である。
図2図2は、実施形態に係るシャフトの部分断面図である。
図3図3は、実施形態に係るカバー部材の断面図である。
図4図4は、実施形態に係るカバー部材の斜視図である。
図5図5は、実施形態に係る規制部材の斜視図である。
図6図6は、実施形態に係る規制部材を筒軸方向から見た場合の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0010】
本明細書では、モータ100の中心軸CAに平行な方向を「軸方向」と呼び、中心軸CAと直交する方向を「径方向」と呼ぶ。また、軸方向を上下方向とし、各部の形状および位置関係を説明する。ただし、この上下方向の定義がモータ100の使用時の向きおよび位置関係を限定するものではない。
【0011】
<1.モータの概要>
図1は、本実施形態に係るモータ100の内部を示す斜視図である。図2は、本実施形態に係るシャフト110の部分断面図である。なお、図2は、中心軸CAを含む平面でシャフト110を切断した場合でのシャフト110の断面構造を示す。また、図2では、シャフト110の内部に配置される複数本のリード線1を示す。
【0012】
本実施形態に係るモータ100は、電動バイクの後輪に一体化される。すなわち、モータ100は、インホイールモータである。モータ100は、リム101を備える。リム101には、タイヤが取り付けられる。
【0013】
リム101は、軸方向に延びる筒状である。リム101は、軸方向上方および軸方向下方にそれぞれ開口を有する。リム101の軸方向上方の開口および軸方向下方の開口は、それぞれ、不図示のカバーによって覆われる。また、リム101の内周面には、不図示の複数のマグネットが配置される。複数のマグネットは、中心軸CAを中心とする周方向に並ぶ。リム101は、中心軸CAの軸周りに回転する。
【0014】
なお、以下の説明では、リム101の径方向内側の領域内をモータ100の内部と定義する。また、リム101の径方向内側の領域外をモータ100の外部と定義する。
【0015】
モータ100は、シャフト110を備える。シャフト110は、中心軸CAに沿って配置される。すなわち、リム101は、シャフト110の軸周りに回転する。
【0016】
モータ100は、ステータ120を備える。ステータ120は、シャフト110に取り付けられる。ステータ120は、リム101の径方向内側に配置される。すなわち、ステータ120は、モータ100の内部に配置される。ステータ120の外周面は、リム101の内周面に配置される複数のマグネットと径方向に対向する。ステータ120は、リム101を回転させる。
【0017】
ステータ120は、不図示のステータコアと、インシュレータ121と、コイル部122と、を備える。ステータコアは、中心軸CAを中心とする環状の磁性体であり、電磁鋼板が軸方向に複数積層された積層体である。インシュレータ121は、樹脂などを用いた絶縁部材である。インシュレータ121は、ステータコアの少なくとも一部を覆う。コイル部122は、銅線であり、インシュレータ121を介してステータコアに巻き付けられる。
【0018】
ステータ120は、回路基板123をさらに備える。回路基板123は、インシュレータ121に取り付けられる。回路基板123は、コイル部122に接続される。
【0019】
ここで、シャフト110は、モータ100の内部に位置する部分およびモータ100の外部に位置する部分を有する。また、シャフト110は、第1孔111および第2孔112を有する。第1孔111および第2孔112は、シャフト110の内部において互いに繋がる。
【0020】
第1孔111は、シャフト110のうちモータ100の内部の部分に開口を有する。第2孔112は、シャフト110のうちモータ100の外部の部分に開口を有する。すなわち、シャフト110は、モータ100の内部から外部に達する孔部を有する。
【0021】
<2.モータの配線>
以下の説明では、カバー部材3の筒軸3Cに平行な方向を「筒軸方向」と呼ぶ。また、図3における筒軸方向の右側を「一方側」と呼び、図3における筒軸方向の左側を「他方側」と呼ぶ。
【0022】
図3は、本実施形態に係るカバー部材3の断面図である。なお、図3は、筒軸3Cを含む平面でカバー部材3を切断した場合での断面構造を示す。図3では、複数本のリード線1、チューブ2、樹脂部4および規制部材5を図示する。また、図3では、便宜上、リード線1を2本のみ図示する。図4は、本実施形態に係るカバー部材3の斜視図である。図5は、本実施形態に係る規制部材5の斜視図である。図6は、本実施形態に係る規制部材5を筒軸方向から見た場合の平面図である。図6では、規制部材5に挿入される複数本のリード線1を図示する。
【0023】
モータ100は、複数本のリード線1と、チューブ2と、カバー部材3と、樹脂部4と、を備える。また、モータ100は、規制部材5を備える。
【0024】
複数本のリード線1は、互いに独立した線である。チューブ2は、配線結束用の収縮チューブである。チューブ2には、複数本のリード線1が挿入される。すなわち、複数本のリード線1は、チューブ2の内部に配置される。これにより、複数本の独立したリード線1がひとまとめにされる。チューブ2は、シャフト110の内部に配置される(図2参照)。
【0025】
チューブ2は、第1孔111を介して、モータ100の内部に引き出される。そして、複数本のリード線1は、モータ100の内部においてステータ120に電気的に接続される。具体的には、一部のリード線1は、回路基板123に接続され、他のリード線1は、コイル部122に接続される。
【0026】
また、チューブ2は、第2孔112を介して、モータ100の外部に引き出される。そして、複数本のリード線1は、モータ100の外部においてチューブ2から引き出される。すなわち、チューブ2の端部2aは、モータ100の外部に位置する。チューブ2の端部2aは、複数本のリード線1が引き出される開口を有する部分である。なお、チューブ2のもう一つの端部は、モータ100の内部に位置する。
【0027】
複数本のリード線1は、モータ100の外部において、不図示のPDU(Power Drive Unit)に接続される。PDUは、モータ100の駆動を制御する。また、PDUは、モータ100への電力供給を制御する。
【0028】
<2-1.カバー部材>
カバー部材3は、ゴム製である。なお、カバー部材3が樹脂製であってもよい。カバー部材3は、一方側から他方側に延びる筒状である。カバー部材3には、チューブ2が挿入される。すなわち、チューブ2は、カバー部材3の内部に配置される。
【0029】
カバー部材3は、一方側に小径部31と、他方側に大径部32と、を有する。大径部32は、小径部31よりも内径が大きい。また、大径部32は、一方側に中間部分320を有する。中間部分320は、小径部31に繋がる部分である。したがって、中間部分320は、一方側から他方側に向かって、内径が大きくなる方向に傾斜する。
【0030】
なお、図示しないが、大径部32から中間部分320を省略してもよい。すなわち、大径部32の内径が一方側から他方側に向かって一定であってもよい。この場合のカバー部材3は、小径部31と大径部32との境界において直角に曲がる内周面および外周面を有する。
【0031】
チューブ2は、小径部31の内部に配置される。また、チューブ2の端部2aは、小径部31から中間部分320に突出する。すなわち、チューブ2の端部2aは、中間部分320の内部に位置する。なお、中間部分320は、大径部32の一部である。このため、複数本のリード線1は、大径部32の内部においてチューブ2から引き出される。チューブ2の端部2aは、小径部31から大径部32に跨って配置されてもよい。
【0032】
また、チューブ2の外周面は、小径部31の内周面と接触する。具体的には、チューブ2のうち小径部31の内部に位置する部分の外周面は、小径部31の内周面と接触する。たとえば、チューブ2は、小径部31の内部に圧入される。チューブ2のうち中間部分320の内部に位置する端部2aの外周面は、中間部分320の内周面との間で、筒軸方向と直交する方向に間隔を隔てて配置される。
【0033】
樹脂部4は、硬化された接着剤である。樹脂部4には、シリコン樹脂が用いられる。樹脂部4は、カバー部材3の内部に配置される。そして、樹脂部4は、複数本のリード線1を覆う。具体的には、樹脂部4は、大径部32の内部に配置される。樹脂部4は、複数本のリード線1の線間を封止するための部材である。樹脂部4の構成材料である樹脂の注入工程では、カバー部材3の他方側の開口から樹脂が注入される。すなわち、大径部32の開口から樹脂が注入される。
【0034】
ここで、複数本のリード線1が大径部32の内部においてチューブ2から引き出されることにより、複数本のリード線1が分散する。言い換えると、複数本のリード線1が1本ずつに分離される。このため、樹脂部4の構成材料である樹脂の注入工程では、複数本のリード線1の線間に樹脂が充填されるので、確実に、複数本のリード線1の線間に樹脂部4を配置でき、複数本のリード線1の線間を樹脂部4で塞ぐことができる。これにより、モータ100の外部において複数本のリード線1の線間からチューブ2の内部に異物が侵入することを抑制できる。その結果、複数本のリード線1を伝ってモータ100の外部から内部に異物が侵入することを抑制できる。なお、異物は、水などの液体を含む。また、異物は、土埃などの塵を含む。
【0035】
また、樹脂部4は、チューブ2の端部2aを覆う。すなわち、樹脂部4は、チューブ2のうち小径部31から中間部分320に突出した端部2aの外周面と、中間部分320の内周面との間に配置される。これにより、チューブ2の端部2aの開口を樹脂部4で塞ぐことができる。その結果、チューブ2の端部2aの開口から異物が侵入することを抑制できる。
【0036】
ここで、樹脂部4の構成材料である樹脂の注入工程では、チューブ2の端部2aの外周面と中間部分320の内周面とが接触する位置まで充填される。これにより、カバー部材3の内周面に対する樹脂部4の密着性が増す。また、チューブ2の端部2aの外周面に対する樹脂部4の密着性が増す。
【0037】
<2-2.規制部材>
規制部材5は、ゴム製である。規制部材5は、カバー部材3と同じ材料からなる。規制部材5が樹脂製であってもよい。また、規制部材5がカバー部材3とは異なる材料で構成されてもよい。
【0038】
規制部材5は、大径部32の内部に配置される。規制部材5は、筒軸3Cを中心とする円盤状である。また、規制部材5の外径は、大径部32の内径と略同じである。したがって、規制部材5の外周面は、大径部32の内周面と接触する。
【0039】
また、規制部材5は、複数の第1貫通孔51を有する。第1貫通孔51は、一方側から他方側に貫通する。なお、第1貫通孔51の個数は、リード線1の本数と同数以上であればよい。たとえば、第1貫通孔51の個数は、リード線1の本数と同数である。
【0040】
複数本のリード線1は、それぞれ、互いに異なる第1貫通孔51に配置される。すなわち、複数本のリード線1は、それぞれ、第1貫通孔51を介して、規制部材5の一方側から他方側に引き出される。これにより、大径部32の内部において、複数本のリード線1が密集することを抑制できる。その結果、大径部32の内部において、確実に、複数本のリード線1を分散させることができる。
【0041】
また、規制部材5は、外周面に開口する開口部53を有する。開口部53は、一方側の端部から他方側の端部に延び、かつ、第1貫通孔51と繋がる。開口部53は、筒軸方向に貫通し、かつ、第1貫通孔51に達するまで外周面から切り込まれたスリットである。開口部53は、複数の第1貫通孔51に対して1つずつ設けられる。すなわち、規制部材5は、第1貫通孔51と同数の複数の開口部53を有する。これにより、開口部53を介して、リード線1を第1貫通孔51に配置できる。その結果、リード線1を第1貫通孔51に配置するときの作業性が向上する。
【0042】
また、規制部材5は、第1貫通孔51とは異なる第2貫通孔52を有する。第2貫通孔52は、一方側から他方側に貫通する。第2貫通孔52の個数は、1つであり、第1貫通孔51から離れた位置に配置される。第2貫通孔52は、第1貫通孔51とは用途が異なる。第2貫通孔52は、樹脂部4の構成材料である樹脂の注入工程において、樹脂の流路となる。第2貫通孔52には、リード線1が配置されない。これにより、第2貫通孔52を介して、大径部32の他方側の開口から注入した樹脂を規制部材5の一方側に流動させることができる。したがって、大径部32の内部に規制部材5を配置しても、規制部材5の一方側に樹脂を充填できる。すなわち、規制部材5の一方側に樹脂部4を配置できる。
【0043】
なお、第2貫通孔52の個数が複数であってもよい。第2貫通孔52の個数が複数である場合には、樹脂の流路が大きくなるので、規制部材5の他方側から一方側への樹脂の注入をよりスムーズに行うことができる。一方で、第2貫通孔52の個数が1つである場合には、第2貫通孔52が複数の場合よりも、規制部材5に空ける孔が減るため、規制部材5の強度を確保できる。
【0044】
また、第2貫通孔52は、規制部材5のうち、筒軸方向と直交する方向の中央部に位置する。一方で、複数の第1貫通孔51は、それぞれ、規制部材5のうち、中央部よりも外側の外縁部に位置する。すなわち、第1貫通孔51は、第2貫通孔52よりも外側に位置する。たとえば、第1貫通孔51に繋がる開口部53の形成工程は、規制部材5の外周面から第1貫通孔51に達するまで刃物で切り込みを入れる工程を含む。規制部材5の外周面から第1貫通孔51に達するまで刃物で切り込みを入れるとき、第1貫通孔51の配置位置が外側に近いほど、第1貫通孔51に刃物を入れ易くなる。これにより、第1貫通孔51が第2貫通孔52よりも外側に位置する構成では、容易に、第1貫通孔51に繋がる開口部53を規制部材5に形成できる。
【0045】
なお、図示しないが、第1貫通孔51に繋がる開口部53を省略し、第1貫通孔51と第2貫通孔52とを繋ぐ開口部である内側開口部を規制部材5に設けてもよい。ここで、第2貫通孔52は中央部に位置し、第1貫通孔51は中央部よりも外側の外縁部に位置する。このため、内側開口部は、筒軸方向と直交する径方向内側から径方向外側に向かって延びる。また、内側開口部は、筒軸方向に貫通する。規制部材5が内側開口部を有する場合、複数本のリード線1を規制部材5に配置する工程では、まず、複数本のリード線1が第2貫通孔52に配置される。その後、複数本のリード線1が1本ずつ、内側開口部を介して、互いに異なる第1貫通孔51に配置される。これにより、規制部材5の各第1貫通孔51にリード線1を1本ずつ筒軸方向に挿入していく作業を行わなくてもよいで、作業性が向上する。
【0046】
また、樹脂部4は、大径部32のうち、規制部材5の一方側の領域および規制部材5の他方側の領域に配置される。ここで、樹脂部4の構成材料である樹脂の注入工程において、規制部材5の一方側に樹脂が十分に充填されると、規制部材5の一方側から樹脂が溢れ出て規制部材5の他方側に達する。その結果、樹脂の硬化後、規制部材5の一方側に加えて、規制部材5の他方側に樹脂部4が配置された状態となる。すなわち、規制部材5の一方側の領域および規制部材5の他方側の領域に樹脂部4が配置される構成では、確実に、チューブ2の端部2aの開口を樹脂部4で塞ぐことができる。
【0047】
なお、樹脂の注入工程では、第2貫通孔52に加えて、第1貫通孔51のうちリード線1との間の領域が樹脂の流路となる。このため、樹脂部4は、第1貫通孔51のうちリード線1との間の領域に配置される。さらに、樹脂部4は、第2貫通孔52の内部に配置される。
【0048】
ここで、樹脂部4のうち、規制部材5の一方側の部分および規制部材5の他方側の部分は、第1貫通孔51および第2貫通孔52の各内部に位置する部分を介して、互いに繋がる。また、樹脂部4のうち規制部材5の一方側の部分は、規制部材5の一方側に向く面に接触する。樹脂部4のうち規制部材5の他方側の部分は、規制部材5の他方側に向く面に接触する。これにより、樹脂部4のうち規制部材5の一方側の部分が規制部材5に係合した状態となり、樹脂部4のうち規制部材5の他方側の部分が規制部材5に係合した状態となるので、樹脂部4が一方側および他方側に位置ずれすることを抑制できる。その結果、カバー部材3の内部での樹脂部4による封止を確実に行うことができる。
【0049】
また、カバー部材3のうち大径部32の内周面は、凹凸を有する。具体的には、大径部32の内周面は、筒軸方向と直交する方向に突出する第1突出部321を有する。第1突出部321は、筒軸3Cを中心とする環状に突出する。さらに、大径部32の内周面は、筒軸方向と直交する方向に突出する第2突出部322を有する。第2突出部322は、筒軸3Cを中心とする環状に突出する。第2突出部322は、第1突出部321の他方側に第1突出部321と間隔を隔てて配置される。
【0050】
そして、規制部材5は、第1突出部321の他方側に配置される。さらに、規制部材5は、第2突出部322の一方側に配置される。すなわち、規制部材5は、第1突出部321と第2突出部322との間に配置される。
【0051】
ここで、環状に突出する第1突出部321および第2突出部322の各内径は、規制部材5の外径よりも小さい。このため、カバー部材3の他方側の開口からカバー部材3の内部に規制部材5を挿入する工程では、第2突出部322が筒軸方向と直交する径方向外側に弾性変形しながら、カバー部材3の内部に規制部材5が挿入される。その後、規制部材5が第1突出部321と第2突出部322との間に配置されると、第2突出部322が元の形状に戻る。これにより、規制部材5が第1突出部321と第2突出部322とによって筒軸方向に挟み込まれた状態となる。すなわち、規制部材5が一方側に移動しようとすると、規制部材5の一方側への移動が第1突出部321によって規制される。規制部材5が他方側に移動しようとすると、規制部材5の他方側への移動が第2突出部322によって規制される。その結果、樹脂部4の構成材料である樹脂の注入工程において、樹脂の注入時に、規制部材5の位置が一方側にずれることを抑制できる。また、規制部材5の位置が他方側にずれることを抑制できる。
【0052】
ここで、複数本のリード線1は、外径が異なる2種類のリード線11および12を含む。また、規制部材5は、孔径が異なる2種類の第1貫通孔51を有する。具体的には、第1貫通孔51は、小径孔51aと、小径孔51aよりも孔径が大きい大径孔51bと、を有する。
【0053】
そして、小径孔51aには、複数本のリード線1のうち第1の外径を有するリード線11が配置される。大径孔51bには、複数本のリード線1のうち第1の外径よりも大きい第2の外径を有するリード線12が配置される。これにより、第1の外径を有するリード線11および第2の外径を有するリード線12が混在していても、複数本のリード線1を1本ずつ異なる第1貫通孔51に配置できる。なお、第1の外径を有するリード線11は、信号線であり、第2の外径を有するリード線12は、電力供給線である。
【0054】
<3.その他>
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、本発明の範囲は上述の実施形態に限定されない。本発明は、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。また、上述の実施形態は適宜任意に組み合わせることができる。
【0055】
たとえば、上述の実施形態では、電動バイクのインホイールモータに本発明を適用したが、電動アシスト自転車など、種々の用途に利用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、たとえば、電動バイクのインホイールモータなどとして利用可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 リード線
2 チューブ
2a 端部
3 カバー部材
3C 筒軸
4 樹脂部
5 規制部材
31 小径部
32 大径部
51 第1貫通孔
51a 小径孔
51b 大径孔
52 第2貫通孔
53 開口部
100 モータ
320 中間部分
321 第1突出部
322 第2突出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6