(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】着脱式容器及びこれを用いた容器搭載装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20240925BHJP
G03G 21/12 20060101ALI20240925BHJP
B41J 29/13 20060101ALI20240925BHJP
B41J 29/54 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
G03G21/16 176
G03G21/12
B41J29/13
B41J29/54 Z
(21)【出願番号】P 2020182833
(22)【出願日】2020-10-30
【審査請求日】2023-09-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】東宮 伊織
(72)【発明者】
【氏名】堀井 清人
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-168435(JP,A)
【文献】特開2007-041104(JP,A)
【文献】特開2017-054085(JP,A)
【文献】特開2006-313252(JP,A)
【文献】特開2010-160322(JP,A)
【文献】特開2013-246428(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0257912(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
G03G 21/12
G03G 15/08
G03G 21/18
G03G 21/00
B41J 29/13
B41J 29/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置筐体側に予め設けられた着脱用の受部に対して着脱される容器本体と、
前記容器本体
に設けられ、前記装置筐体側に
回転可能に設けられた被結合手段に回転可能に結合する結合手段と、
前記結合手段と同軸の回転中心を有し、前記結合手段を回転操作する操作手段と、
前記操作手段の回転中心と同軸に設けられ、前記装置筐体の
前記受部に対して前記容器本体装着時には前記操作手段の回転動作を許容し、前記容器本体非装着時には前記操作手段の回転動作を拘束する拘束手段と、
を
備え、
前記拘束手段は、前記操作手段を拘束する拘束位置から前記操作手段の拘束状態を解除する拘束解除位置へと移動する可動ロック要素と、前記拘束位置にて前記可動ロック要素と係わって前記操作手段を拘束する固定ロック要素と、を備え、
前記可動ロック要素は、前記操作手段の回転軸方向に沿って進退する移動要素と、前記移動要素の進退方向に交差する方向に突出し、前記固定ロック要素に係わる突出要素とを有することを特徴とする着脱式容器。
【請求項2】
請求項
1に記載の着脱式容器において、
前記拘束手段は、前記容器本体装着時に、前記結合手段又は前記被結合手段と同軸上に設けられた拘束解除要素に係わって前記可動ロック要素を前記拘束位置から前記拘束解除位置へ移動させることを特徴とする着脱式容器。
【請求項3】
請求項
1又は
2に記載の着脱式容器において、
前記拘束手段は、前記可動ロック要素を前記拘束位置側に付勢する付勢要素を備え、前記容器本体非装着時には前記可動ロック要素を前記拘束位置に保持することを特徴とする着脱式容器。
【請求項4】
請求項
1乃至
3のいずれかに記載の着脱式容器において、
前記可動ロック要素は、
前記容器本体に設けられた回り止め手段にて回り止めされていることを特徴とする着脱式容器。
【請求項5】
請求項
1乃至
4のいずれかに記載の着脱式容器において、
前記可動ロック要素は
、前記拘束位置では前記固定ロック要素に前記突出要素を接触させ、前記拘束解除位置では前記固定ロック要素に対して前記突出要素を非接触に配置することを特徴とする着脱式容器。
【請求項6】
請求項
4に記載の着脱式容器において、
前記可動ロック要素は
、前記突出要素を前記回り止め手段にて回り止めすることを特徴とする着脱式容器。
【請求項7】
請求項
1に記載の着脱式容器において、
前記操作手段の軸部又は前記結合手段の外周部には駆動伝達部が形成され、前記操作手段の回転操作に連動して前記駆動伝達部からの回転駆動力を
前記容器本体に設けられた被伝達要素に伝達する駆動伝達手段を備えていることを特徴とする着脱式容器。
【請求項8】
請求項
7に記載の着脱式容器において、
前記被伝達要素は、前記容器本体に前記装置筐体側に設けられた搬送手段が接続可能な接続開口を開閉する開閉手段からなり、
前記駆動伝達手段は、前記容器本体装着時に前記操作手段の回転操作に連動して前記開閉手段を開放することを特徴とする着脱式容器。
【請求項9】
請求項
7又は
8に記載の着脱式容器において、
前記被伝達要素は、前記容器本体装着時に前記装置筐体の
前記受部に対して前記容器本体を抜止不能に保持する抜止手段からなり、
前記駆動伝達手段は、前記容器本体装着時に前記操作手段の回転操作に連動して前記抜止手段を働かせることを特徴とする着脱式容器。
【請求項10】
回転可能な被結合手段を有する装置筐体と、
前記装置筐体
に予め設けられる着脱用の受部に
着脱される請求項1乃至
9のいずれかに記載の着脱式容器と、
を備えたことを特徴とする容器搭載装置。
【請求項11】
請求項
10に記載の容器搭載装置において、
前記被結合手段は、
前記装置筐体に進退可能に設けられる可動要素を進退させる進退機構の駆動入力部を構成することを特徴とする容器搭載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着脱式容器及びこれを用いた容器搭載装置である。
【背景技術】
【0002】
従来この種の着脱式容器としては例えば特許文献1に記載のものが既に知られている。
特許文献1には、開閉器の可動接触子を開閉駆動するハンドルの側方に庇状の張出部をハンドルと一体に形成し、この張出部に切欠部を形成すると共に、張出部に隣接する位置に、ばねにより上方に弾発されるロックレバーを設け、このロックレバーのハンドル側の位置には、ハンドルが一方の位置にあるときには張出部の切欠部に係合して他方向へのハンドル操作をロックし、ハンドルが他方の位置にあるときには張出部の下面に当接してハンドル操作を許容するロック用突起を設けるロック機構付き開閉器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-146472号公報(発明を実施するための形態,
図5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、拘束手段が操作手段の回転中心から偏倚して配置される態様に比べて、装置筐体側に設けられる被結合手段との間の結合性を安定的に確保でき、かつ、拘束手段による拘束・拘束解除の誤作動を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の技術的特徴は、装置筐体側に予め設けられた着脱用の受部に対して着脱される容器本体と、前記容器本体に設けられ、前記装置筐体側に回転可能に設けられた被結合手段に回転可能に結合する結合手段と、前記結合手段と同軸の回転中心を有し、前記結合手段を回転操作する操作手段と、前記操作手段の回転中心と同軸に設けられ、前記装置筐体の前記受部に対して前記容器本体装着時には前記操作手段の回転動作を許容し、前記容器本体非装着時には前記操作手段の回転動作を拘束する拘束手段と、を備え、前記拘束手段は、前記操作手段を拘束する拘束位置から前記操作手段の拘束状態を解除する拘束解除位置へと移動する可動ロック要素と、前記拘束位置にて前記可動ロック要素と係わって前記操作手段を拘束する固定ロック要素と、を備え、前記可動ロック要素は、前記操作手段の回転軸方向に沿って進退する移動要素と、前記移動要素の進退方向に交差する方向に突出し、前記固定ロック要素に係わる突出要素とを有することを特徴とする着脱式容器である。
【0006】
本発明の第2の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えた着脱式容器において、前記拘束手段は、前記容器本体装着時に、前記結合手段又は前記被結合手段と同軸上に設けられた拘束解除要素に係わって前記可動ロック要素を前記拘束位置から前記拘束解除位置へ移動させることを特徴とする着脱式容器である。
本発明の第3の技術的特徴は、第1又は第2の技術的特徴を備えた着脱式容器において、前記拘束手段は、前記可動ロック要素を前記拘束位置側に付勢する付勢要素を備え、前記容器本体非装着時には前記可動ロック要素を前記拘束位置に保持することを特徴とする着脱式容器である。
本発明の第4の技術的特徴は、第1乃至第3の技術的特徴のいずれかを備えた着脱式容器において、前記可動ロック要素は、前記容器本体に設けられた回り止め手段にて回り止めされていることを特徴とする着脱式容器である。
本発明の第5の技術的特徴は、第1乃至第4の技術的特徴のいずれかを備えた着脱式容器において、前記可動ロック要素は、前記拘束位置では前記固定ロック要素に前記突出要素を接触させ、前記拘束解除位置では前記固定ロック要素に対して前記突出要素を非接触に配置することを特徴とする着脱式容器である。
本発明の第6の技術的特徴は、第4の技術的特徴を備えた着脱式容器において、前記可動ロック要素は、前記突出要素を前記回り止め手段にて回り止めすることを特徴とする着脱式容器である。
【0007】
本発明の第7の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えた着脱式容器において、前記操作手段の軸部又は前記結合手段の外周部には駆動伝達部が形成され、前記操作手段の回転操作に連動して前記駆動伝達部からの回転駆動力を前記容器本体に設けられた被伝達要素に伝達する駆動伝達手段を備えていることを特徴とする着脱式容器である。
本発明の第8の技術的特徴は、第7の技術的特徴を備えた着脱式容器において、前記被伝達要素は、前記容器本体に前記装置筐体側に設けられた搬送手段が接続可能な接続開口を開閉する開閉手段からなり、前記駆動伝達手段は、前記容器本体装着時に前記操作手段の回転操作に連動して前記開閉手段を開放することを特徴とする着脱式容器である。
本発明の第9の技術的特徴は、第7又は第8の技術的特徴を備えた着脱式容器において、前記被伝達要素は、前記容器本体装着時に前記装置筐体の前記受部に対して前記容器本体を抜止不能に保持する抜止手段からなり、前記駆動伝達手段は、前記容器本体装着時に前記操作手段の回転操作に連動して前記抜止手段を働かせることを特徴とする着脱式容器である。
【0008】
本発明の第10の技術的特徴は、回転可能な被結合手段を有する装置筐体と、前記装置筐体に予め設けられる着脱用の受部に着脱される第1乃至第9の技術的特徴のいずれかを備えた着脱式容器と、を備えたことを特徴とする容器搭載装置である。
本発明の第11の技術的特徴は、第10の技術的特徴を備えた容器搭載装置において、前記被結合手段は、前記装置筐体に進退可能に設けられる可動要素を進退させる進退機構の駆動入力部を構成することを特徴とする容器搭載装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の第1の技術的特徴によれば、拘束手段が操作手段の回転中心から偏倚して配置される態様に比べて、装置筐体側に設けられる被結合手段との間の結合性を安定的に確保でき、かつ、拘束手段による拘束・拘束解除の誤作動を防止することができる。これに加えて、拘束手段として、可動ロック要素と固定ロック要素とに機能分けして簡単に構築することができる。
本発明の第2の技術的特徴によれば、容器本体非装着時に、可動ロック要素を拘束位置に安定的に戻すことができる。
本発明の第3の技術的特徴によれば、容器本体非装着時に、可動ロック要素を拘束位置に安定的に戻すことができる。
本発明の第4の技術的特徴によれば、可動ロック要素を回り止めした状態で安定的に進退可能に移動させることができる。
本発明の第5の技術的特徴によれば、可動ロック要素の構成を工夫することで固定ロック要素に対して可動ロック要素を簡単に拘束、拘束解除することができる。
本発明の第6の技術的特徴によれば、回り止めし易い可動ロック要素を構築することができる。
本発明の第7の技術的特徴によれば、着脱式容器に操作手段の回転操作に連動して駆動伝達される被伝達要素を装備することができる。
本発明の第8の技術的特徴によれば、開閉手段で開閉可能な接続開口を有する着脱式容器において、操作手段の回転操作に連動して開閉手段を開放することができる。
本発明の第9の技術的特徴によれば、抜止手段を有する着脱式容器において、操作手段の回転操作に連動して抜止手段を働かせることができる。
本発明の第10の技術的特徴によれば、拘束手段が操作手段の回転中心から偏倚して配置される態様に比べて、装置筐体側に設けられる被結合手段との間の結合性を安定的に確保でき、かつ、拘束手段による拘束・拘束解除の誤作動を防止することが可能な着脱式容器を含む容器搭載装置を提供することができる。
本発明の第11の技術的特徴によれば、着脱式容器装着時に、操作手段の回転操作に連動して装置筐体内の進退可能な可動要素を進退させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】(a)は本発明が適用された着脱式容器を含む容器搭載装置の実施の形態の概要を示す説明図、(b)は(a)中B部に示す着脱式容器の拘束時の状態を示す説明図、(c)は(a)中B部に示す着脱式容器の拘束解除時の状態を示す説明図である。
【
図2】実施の形態1に係る容器搭載装置の一例である粉体処理装置の全体構成を示す説明図である。
【
図3】実施の形態1に係る粉体処理装置につき、装置筐体の手前側開閉扉を開放したときの着脱式容器としての廃現像剤搬送ユニットの周辺を示す説明図である。
【
図4】実施の形態1に係る廃現像剤搬送ユニットの非装着時における外観を示す斜視説明図である。
【
図6】実施の形態1に係る廃現像剤搬送ユニットを装着後に操作レバーを固定位置まで回転させた状態の外観を示す斜視説明図である。
【
図7】実施の形態1に係る廃現像剤搬送ユニットのロック操作機構のロック時の状態を示す説明図である。
【
図8】
図7に示すロック操作機構の詳細を示す説明図である。
【
図11】廃現像剤搬送ユニットの背面側の装置筐体内の構成例を示す説明図である。
【
図12】廃現像剤搬送ユニット装着時において、ロック操作機構がロック解除に至る挙動を示す説明図である。
【
図13】ロック操作機構がロック解除されたときの操作レバー周りの状態を示す説明図である。
【
図14】ロック解除状態のロック操作機構の詳細を示す説明図である。
【
図15】ロック解除状態のロック操作機構の操作レバーを固定位置まで回転させ、装置筐体に対して廃現像剤搬送ユニットを固定した状態を示す説明図である。
【
図16】廃現像剤搬送ユニットのロック操作機構のカップリングに結合される被結合カップリング及び当該被結合カップリングと同軸に設けられるリトラクト駆動機構を示す説明図である。
【
図17】
図15に示す操作レバーの固定操作に連動する中間転写ユニットのリトラクト機構の動作例を示す説明図である。
【
図18】(a)は廃現像剤搬送ユニットのロック操作機構において、操作レバーがロック解除初期位置に位置するときの廃現像剤搬送ユニットの抜止機構の状態を示す説明図、(b)は操作レバーが固定位置に回転したときの廃現像剤搬送ユニットの抜止機構の動作例を示す説明図である。
【
図19】(a)は比較の形態1に係る廃現像剤搬送ユニットの要部を示す説明図、(b)は(a)中B方向から見た矢視図である。
【
図20】比較の形態1で用いられるロック操作機構の構成例を示す説明図である。
【
図21】比較の形態1で用いられるロック操作機構のロック解除時の動作例を示す説明図である。
【
図22】(a)は比較の形態1で用いられるロック操作機構がロック時の状態を示す説明図、(b)は同ロック操作機構がロック解除時の状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
◎実施の形態の概要
図1(a)は本発明が適用された着脱式容器を含む容器搭載装置の実施の形態の概要を
示す説明図である。
同図において、容器搭載装置は、装置筐体11と、装置筐体11
に予め設けられた着脱用の受部12に
着脱される着脱式容器1と、を備えたものである。
本例において、着脱式容器1は、装置筐体11
側に予め設けられた着脱用の受部12に対して着脱される容器本体2と、容器本体2
に設けられ、装置筐体11側に
回転可能に設けられた被結合手段13に回転可能に結合する結合手段3と、結合手段3と同軸の回転中心を有し、結合手段3を回転操作する操作手段4と、操作手段4の回転中心と同軸に設けられ、装置筐体11の受部12に対して容器本体2装着時には操作手段4の回転動作を許容し、容器本体2非装着時には操作手段4の回転動作を拘束する拘束手段5と、を備えたものである。
【0012】
このような技術的手段において、着脱式容器1は、廃トナー等の粉体に限らず、液状、固体状の被収容物を収容する着脱可能な容器を広く含む。
また、結合手段3は、装置筐体11側に設けられた被結合手段13に結合可能なものを広く含み、代表的には所定の位置関係で結合可能なカップリング(軸継手)が挙げられるが、その他ギア、Dカット軸、Dカット軸受など部品同士の接触により駆動を伝達可能なものであれば適宜選定して差し支えない。
ここで、被結合手段13としては適宜選定して差し支えないが、容器搭載装置に装備される進退可能な可動要素15を進退させる進退機構の駆動入力部を構成するようにしてもよい。
更に、操作手段4としては回転中心を支点として回転する態様であれば、棒状、円板状のものを広く含む。
更にまた、拘束手段5は、容器本体2装着時には操作手段4の回転動作を許容し、容器本体2非装着時には操作手段4の回転動作を拘束するという基本作用を奏するほか、操作手段4の回転中心と同軸に設けることが必要である。これは、拘束手段5による拘束解除時に結合手段3と被結合手段13との結合状態が確保し易いことによる。
このため、本例では、拘束手段が操作手段4の回転中心から偏倚して配置される態様のものは除外される。このような拘束手段においては、容器本体2の部品公差や姿勢、位置決めのばらつき等の影響で、結合手段3と被結合手段13との相対位置が多少ずれていても、拘束手段の拘束解除位置がたまたま合っていれば、操作手段4による操作が可能になり、操作手段4による拘束解除動作が誤作動する懸念がある。
【0013】
次に、本実施の形態に係る着脱式容器1の代表的態様又は好ましい態様について説明する。
先ず、拘束手段5の代表的態様としては、
図1(b)(c)に示すように、操作手段4を拘束する拘束位置から操作手段4の拘束状態を解除する拘束解除位置へと移動する可動ロック要素6と、拘束位置にて可動ロック要素6と係わって操作手段4を拘束する固定ロック要素7と、を備えている態様が挙げられる。
本例において、拘束手段5の好ましい態様としては、容器本体2装着時に、結合手段3又は被結合手段13と同軸上に設けられた拘束解除要素14に係わって可動ロック要素6を拘束位置から拘束解除位置へ移動させる態様が挙げられる。本例において、拘束解除要素14は、拘束位置に位置していた可動ロック要素6を拘束解除位置に移動させる係わり方であれば移動経路は問わず適宜選定して差し支えない。
また、拘束手段5の別の好ましい態様としては、可動ロック要素6を拘束位置側に付勢する付勢要素(
図1では図示せず)を備え、容器本体2非装着時には可動ロック要素6を拘束位置に保持する態様が挙げられる。本例において、付勢要素は、容器本体2被装着時には拘束解除位置に位置する可動ロック要素6を拘束位置に強制的に戻す作用を奏するものである。
【0014】
また、可動ロック要素6の好ましい態様としては、操作手段4の回転軸方向に沿って進退し、
容器本体2に設けられた回り止め手段8にて回り止めされている態様が挙げられる。本例は、可動ロック要素6を回り止めし、かつ、操作手段4の回転軸方向に沿って進退させる態様であり、可動ロック要素6の進退動作が安定する点で好ましい。
更に、可動ロック要素6の好ましい構成例としては、操作手段4の回転軸方向に沿って進退する移動要素6aと、移動要素6aの進退方向から交差する方向に突出する突出要素6bとを備え、拘束位置では固定ロック要素7に突出要素6bを接触させ、拘束解除位置では固定ロック要素7に対して突出要素6bを非接触に配置するようにすればよい。
更にまた、可動ロック要素6の好ましい別の構成例としては、操作手段4の回転軸方向に沿って進退する移動要素6aと、移動要素6aの進退方向から交差する方向に突出する突出要素6bとを備え、突出要素6bを回り止め手段8にて回り止めする態様が挙げられる。尚、
図1(c)では、
図1(b)に示す回り止め手段8が省略されているが、突出要素6bは図示外の回り止め手段にて回り止めされた状態を維持している位置に配置され、操作手段4が回転操作可能になっている。
【0015】
また、操作手段4又は結合手段3の好ましい態様としては、
図1(a)に示すように、操作手段4の軸部4a又は結合手段3の外周部には図示外の駆動伝達部が形成され、操作手段4の回転操作に連動して駆動伝達部からの回転駆動力を被伝達要素10に伝達する駆動伝達手段9を備えている態様がある。本例は、操作手段4又は結合手段3の外周部に駆動伝達部を具備させ、この駆動伝達部からの回転駆動力を駆動伝達手段9を介して被伝達要素10に伝達するものである。
ここで、被伝達要素10の好ましい態様としては、容器本体2に装置筐体11側に設けられた搬送手段が接続可能な接続開口を開閉する図示外の開閉手段からなり、駆動伝達手段9は、容器本体2装着時に操作手段4の回転操作に連動して開閉手段を開放する態様や、容器本体2装着時に装置筐体11の受部12に対して容器本体2を抜止不能に保持する図示外の抜止手段からなり、駆動伝達手段9は、容器本体2装着時に操作手段4の回転操作に連動して図示外の抜止手段を働かせる態様が挙げられる。
【0016】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいて本発明をより詳細に説明する。
◎実施の形態1
図2は実施の形態1に係る容器搭載装置の一例としての粉体処理装置の全体構成を示す。
-粉体処理装置の全体構成-
同図において、粉体処理装置20は、装置筐体21内に例えば複数の色成分画像を作製するための作像エンジン30を搭載し、この作像エンジン30の下方には媒体としての用紙を供給するための用紙供給容器50(本例では一段構成を例示)を配設し、当該用紙供給容器50から供給された用紙を略鉛直方向に沿って延びる搬送経路55を通じて搬送し、作像エンジン30にて作製された粉体としてのトナーによる画像を一括転写装置60にて転写した後、用紙上に転写された画像を定着装置70にて定着し、例えば装置筐体21の上部に設けられた用紙排出受け58に画像定着済みの用紙を排出するようにしたものである。
【0017】
-作像エンジン-
本例において、作像エンジン30は、例えば電子写真方式を採用した複数の色成分(本例ではY(イエロ)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック))トナーによる複数の作像部31(具体的には31a~31d)を有し、各作像部31で作製した各色成分画像を中間転写体40に一次転写した後、一括転写装置60にて中間転写体40上の画像を用紙に一括転写するようにしたものである。
<作像部>
本例において、作像部31(31a~31d)は、例えばドラム状の感光体32を有し、当該感光体32の周囲には、当該感光体32を帯電する帯電装置33、帯電された感光体32上に静電潜像を形成する潜像書込装置34、感光体32上に形成された静電潜像を各色成分トナーにて現像する現像装置35、及び、中間転写体40への一次転写後に感光体32上に残留するトナーを清掃する清掃装置36を順次配設したものである。
【0018】
本例では、帯電装置33としては、感光体32を接触帯電する帯電ロールや、感光体32を非接触帯電するコロトロン、スコロトロン等が用いられる。
また、潜像書込装置34としては各作像部31に対して例えばLEDアレイにて別々に書き込むようにしたものが用いられるが、これに限られるものではなく、各作像部31に対して各色成分の静電潜像を対応するレーザ光で書き込む共用のレーザ走査装置を設ける
ようにしてもよいし、レーザ走査装置を夫々別々に設けるようにしてもよい。
更に、現像装置35としては、例えばトナー及びキャリアを含む二成分現像剤を使用し、現像容器内に現像ロールを配設すると共に、現像容器内には現像剤を撹拌混合しながら帯電する例えば複数の撹拌搬送部材を配設するものが用いられるが、これに限られるものではなく、適宜選定して差し支えない。
更にまた、清掃装置36としては、感光体32上に残留するトナーを掻き取る清掃ブレード、清掃ブラシ、清掃ロール等の清掃部材が適宜選定して用いられる。
尚、符号37(具体的には37a~37d)は各作像部31(31a~31d)の各現像装置35に対して各色成分トナーを補給するトナーカートリッジである。
【0019】
<中間転写体>
また、本例では、中間転写体40は例えば複数の張架ロール41~44に掛け渡されるベルト状部材からなり、例えば張架ロール41を駆動ロールとして所定方向に循環回転可能に駆動され、また、張架ロール43は中間転写体40に所望の張力を付与する張力付与ロールとして機能するようになっている。
また、各作像部31の感光体32に対向する中間転写体40の背面には一次転写装置46(例えば一次転写ロールを使用)が設置されており、この一次転写装置46は、感光体32上との間に一次転写電界を作用させることで、感光体32上の画像を中間転写体40に一次転写するようになっている。
尚、符号47は例えば中間転写体40のうち張架ロール41に対向する部位に設けられ、中間転写体40上の残留物(トナーや紙粉等)を清掃する中間転写体用清掃装置である。
【0020】
-一括転写装置-
本実施の形態において、一括転写装置60の基本的構成は、中間転写体40の張架ロール42に対向して転写ロール61を設置し、例えば転写ロール61を接地すると共に張架ロール42には図示外の転写電源からの転写電圧を印加し、中間転写体40と転写ロール61との間の転写域に転写電界を形成することで、転写域を通過する用紙に中間転写体40上の画像を二次転写するようにしたものである。
-定着装置-
また、本実施の形態において、定着装置70は、加熱源としてのヒータにより表面温度が予め決められた温度に加熱される回転可能な加熱定着部材(本例では加熱定着ロールを使用)71と、加熱定着部材71の軸方向に沿って所定の接触圧で接触転動する加圧定着部材(本例では加圧定着ロールを使用)72とを備え、両定着部材71,72の接触域に未定着画像が保持された用紙を通過させることで未定着画像を定着するようにしたもので
ある。
【0021】
-用紙搬送系-
本実施の形態では、用紙搬送系は、用紙供給容器50のフィーダ部51から搬送経路55に用紙を送出し、搬送経路55の一括転写装置60の一括転写域よりも用紙の搬送方向上流側に設置された位置整合ロール56にて用紙の位置を整合した後に一括転写装置60による転写処理を行い、更に、定着装置70による定着処理を経た用紙を、装置筐体21の頂部に形成された用紙排出受け58に向けて排出ロール57にて排出するようにしたものである。尚、搬送経路55には必要に応じて適宜数の搬送部材(搬送ロール等)を設けてもよいことは勿論である。また、両面作像モードを実施する場合には図示外の両面搬送ユニットを付加するようにすればよい。
【0022】
-廃現像剤搬送ユニット-
本実施の形態では、
図2及び
図3に示すように、装置筐体21の手前側(フロント側)には図示外の開閉扉が設けられ、装置筐体21のうち開閉扉の内側に着脱式容器としての廃現像剤搬送ユニット100が設置されている。
本例では、廃現像剤搬送ユニット100は以下の2系統の廃現像剤を搬送対象とする。
(1)各作像部31(31a~31d)の清掃装置36は、感光体32上に残留する廃現像剤としての廃トナーを清掃するが、清掃された廃トナーは清掃容器内に一次的に貯留されるものの、清掃容器内部に設置された搬送部材にて清掃容器の一端から排出され、搬送ダクト111~114(
図5参照)を経由して廃現像剤搬送ユニット100へと搬送され、廃現像剤搬送ユニット100を経由して図示外の廃現像剤回収ボックスへと回収される。
(2)各作像部31(31a~31d)の現像装置35は、二成分現像剤としてトナーを消費するものの、キャリアは消費されずに残るため、キャリアが古くなると、現像剤の帯電特性に支障をきたす懸念がある。このため、本例では、古い現像剤(廃現像剤)としての廃キャリアは定期的に現像容器から外部へ廃棄された後、搬送ダクト116~119(
図5参照)を経由して廃現像剤搬送ユニット100へと搬送され、廃現像剤搬送ユニット100を経由して図示外の廃現像剤回収ボックスへと回収される。
【0023】
-廃現像剤搬送ユニットの構成例-
本例では、廃現像剤搬送ユニット100は、
図3乃至
図5に示すように、装置筐体21の受部21aに対して着脱される容器本体としてのユニットケース101を有している。
このユニットケース101は着脱方向(
図3中矢印y方向に相当)に対して交差する幅方向(
図3中矢印x方向に相当)に長い略直方体形状を有し、ユニットケース101内には廃現像剤(廃トナー、廃キャリア)が受け止められる図示外の通路形成部材を幅方向に沿って配設すると共に、この通路形成部材には搬送部材(例えば回転軸の周囲に螺旋状の羽根部材を設けた態様)103を配設したものである。
そして、ユニットケース101の着脱操作側(装置筐体21のフロント側に相当)面の幅方向両側には夫々把持手段としての把持つまみ130(具体的には130a,130b)が設けられている。ここで、各把持つまみ130(130a,130b)の位置は、装置筐体21の受部21a側の構造に依存して適宜選定して差し支えない。本例の場合では、ユニットケース101の幅方向中央に対して線対称な位置ではなく、ユニットケース101の着脱操作側から見て右方向に位置する第1の把持つまみ130a(130)は、反対側の左方向に位置する第2の把持つまみ130b(130)に比べて、高さ方向zに対して上側に偏倚して配置されている。
【0024】
更に、ユニットケース101の着脱操作側面の幅方向略中央付近にはロック操作機構180が設けられ、このロック操作機構180は、予め決められた拘束位置と拘束解除位置との間で揺動可能な操作手段としての操作レバー181を有し、例えば廃現像剤搬送ユニット100非装着時には、
図4に示すように、操作レバー181を拘束位置に保持することで操作レバー181の回転操作を不能とするロック状態とし、一方、廃現像剤搬送ユニット100装着時には、
図6に示すように、操作レバー181を拘束解除位置に移動させて操作レバー181の回転操作を可能とするロック解除状態とし、ロック解除された操作レバー181を
図4に示す回転初期位置P1から
図6に示す回転終端位置P2に回転させることで、これに連動して、感光体32に対して中間転写体40を予め決められたセット位置にセットすると共に、装置筐体21の受部21aに対して廃現像剤搬送ユニット100を抜け止め固定するようにしたものである。
尚、これらの挙動の詳細は後述する。
【0025】
また、ユニットケース101の着脱操作側面とは反対側に位置する背面には、各作像部31の清掃装置36からの搬送ダクト111~114が接続可能な接続口121~124が設けられ、また、各作像部31の現像装置35からの搬送ダクト116~119が接続可能な接続口126~129が設けられている。そして、各接続口121~124及び126~129には夫々の接続口を開閉する開閉手段としての図示外の開閉シャッタが設置されている。
【0026】
-ロック操作機構(ロック状態)-
図7はロック状態にあるロック操作機構180を示す。
同図において、ロック操作機構180は、
図7乃至
図10に示すように、レバー本体182及び軸部183が一体的に形成された操作レバー181と、操作レバー181の軸部183の背面側(廃現像剤搬送ユニット100の背面側に相当)に当該軸部183と同軸に設けられ、
図11に示す被結合手段13としての被結合カップリング250と結合可能な結合カップリング190と、操作レバー181の軸部183と同軸に設けられ、操作レバー181を回転初期位置P1(
図4参照)に拘束し、かつ、操作レバー180の拘束を解除して回転終端位置P2(
図6参照)まで回転させる拘束手段としての拘束機構200と、を備えている。
【0027】
<操作レバー>
本例において、操作レバー181の軸部183は円筒中空状の孔部184を有しており、当該孔部184の途中には僅かに内径の異なる段差部185を形成したものである。
そして、軸部183の正面側(廃現像剤搬送ユニット100の着脱操作側に相当)には軸カバー186が装着され、この軸カバー186の中央には孔部184より小径のピン挿通孔187が開設されている。
<結合カップリング>
本例において、結合カップリング190は、
図9及び
図10に示すように、操作レバー181の軸部183の背面側に一体的に形成されるカップリング本体191を有し、このカップリング本体191には、円形断面のピンが挿通可能な孔部192を形成すると共に、カップリング本体191のうち孔部192の中心を通る約180°相対向する部位には外周壁が外側に張り出す凸部193を形成すると共に、これらの凸部193の間には凹部194を確保するようにしたものである。
【0028】
-拘束機構-
本例において、拘束機構200は、
図7乃至
図10に示すように、操作レバー181を拘束する拘束位置から操作レバー181の拘束状態を解除する拘束解除位置へと移動可能な可動ロック要素201と、拘束位置にて可動ロック要素201に係わって操作レバー181を拘束する固定ロック要素210と、を備えている。
<可動ロック要素>
ここで、可動ロック要素201は、操作レバー181の軸部183の孔部184に収容され、当該孔部184の軸方向に沿って移動可能な移動要素としてのスライドピン202を有している。このスライドピン202は、孔部184に沿って滑り移動し且つ孔部184の途中に形成された段差部185にせき止められる円柱状の案内基部203と、この案内基部203から軸カバー186側に向かって延び且つ案内基部203よりも小径な円柱状のピン本体204と、案内基部203及びピン本体204の境界部に設けられる段付き部205とを有し、軸カバー186のピン挿通孔187にはピン本体204の突出端部を摺り移動可能に保持させるようにしたものである。
【0029】
更に、スライドピン202の段付き部205には径方向に突出する突出要素としての突出アーム206が設けられ、更に、スライドピン202のピン本体204には付勢手段としてのコイルスプリング208が巻き付けられ、孔部184の段差部185側にスライドピン202を常時付勢するようになっている。尚、突出アーム206は段付き部205に設けられているが、これに限られるものではなく、案内基部203やピン本体204に設けてもよい。
本例において、スライドピン202は、案内基部203の背面側から押圧されると、コイルスプリング208の付勢力に抗して軸部183の孔部184に沿って正面側に進出移動する移動機構として機能する。
【0030】
また、本例では、可動ロック要素201の突出アーム206は、
図7に示すように、ユニットケース101に設けられた回り止め手段としての一対の回り止めバー220の間に突出して配置されており、上下で挟まれている回り止めバー220によって回り止めされている。
尚、突出アーム206はスライドピン202の進退移動に追従して操作レバー181の軸方向に進退移動することになるが、一対の回り止めバー220によって回り止めされている状態を維持する。
【0031】
<固定ロック要素>
また、固定ロック要素210は、操作レバー181の軸部183の周壁の背面寄りの一部に略矩形切欠状の囲い部211を形成し、この囲い部211に可動ロック要素201の突出アーム206を引っ掛け、例えば操作レバー181を軸部183を中心に回転させようとすると、囲い部211が突出アーム206に突き当たり、操作レバー181の回転がロックされた状態になっている。
更に、操作レバー181の軸部183の周壁には、囲い部211に隣接して周方向に延びるスリット212が形成されている。このスリット212は、突出アーム206が固定ロック要素210の囲い部211から外れた位置に至ると、操作レバー181を回転初期位置P1(
図4参照)から回転終端位置P2(
図6参照)まで回転させるための通路として機能するものである。
【0032】
-廃現像剤搬送ユニットの背面側の装置筐体の構成例-
図3に示すように、装置筐体21の受部21aから廃現像剤搬送ユニット100を取り外すと、
図11に示すように、例えば装置筐体21を構成する筐体フレーム230が露呈し、当該筐体フレーム230には中間転写ユニット240(中間転写体40、張架ロール41~44、一次転写装置46及びこれらを支持するユニットフレームを含む)が組み付けられている。
<被結合カップリング>
本例においては、筐体フレーム230の一部には、
図11及び
図12に示すように、被結合手段としての被結合カップリング250が設けられている。
本例では、被結合カップリング250は、結合カップリング190と所定の角度位置にて嵌り合う結合部251を有しており、具体的には、操作レバー181が回転初期位置P1にロック状態にある条件で、結合カップリング190が被結合カップリング250と結合する位置関係になっている。
【0033】
<拘束解除シャフト>
更に、本例では、
図11に示すように、被結合カップリング250と同軸に拘束解除要素としての拘束解除シャフト260が設けられている。この拘束解除シャフト260は、被結合カップリング250の軸方向中心に沿って配置され、被結合カップリング250よりも正面側に突出して配置されている。このため、本例では、拘束解除シャフト260は、
図12に示すように、廃現像剤搬送ユニット100装着時に、ロック操作機構180の拘束機構200における可動ロック要素201のスライドピン202の背面側に突き当たり、コイルスプリング208の付勢力に抗してスライドピン202を押し出す。
この状態において、ロック操作機構180は、ロック解除状態に至る。
【0034】
-ロック操作機構(ロック解除状態)-
図13及び
図14はロック解除状態にあるロック操作機構180を示す。
同図において、ロック操作機構180は、装置筐体21の受部21aに廃現像剤搬送ユニット100を装着すると、
図12に示すように、操作レバー181の軸部183内において、結合カップリング190と被結合カップリング250とが結合されると共に、可動ロック要素201のスライドピン202に拘束解除シャフト260が突き当たる。
このとき、拘束解除シャフト260によるスライドピン202の押出しに伴って、スライドピン202に一体的に設けられた突出アーム206が正面側に移動する。すると、突出アーム206は囲い部211から外れ、スリット212内の領域に移動する。この状態において、突出アーム206は一対の回り止めバー220によって回り止めされていることから、操作レバー181を軸部183を回転中心として回転初期位置P1から時計回り方向に回転させると、突出アーム206はスリット212の長手方向に沿って移動する。
この結果、操作レバー181は、
図15に示すように、回転終端位置P2まで回転して停止する。
【0035】
-廃現像剤搬送ユニットの着脱作業-
本例において、装着前の廃現像剤搬送ユニット100については、ロック操作機構180はロック状態にあるため、操作レバー181を回転操作することはできない。このため、廃現像剤搬送ユニット100を保管中に誤って操作レバー181を誤操作する懸念は全くない。
次に、装置筐体21の受部21aに廃現像剤搬送ユニット100を装着する場合には、ロック操作機構180はロック状態にあるが、ロック操作機構180の操作レバー181の軸部183に拘束解除シャフト260が挿入され、拘束解除シャフト260によりスライドピン202を押出し、ロック操作機構180をロック解除状態にした後、操作レバー181を回転終端位置P2まで回転させ、後述するように、廃現像剤搬送ユニット100を抜け止め状態で固定するほか、中間転写ユニット240をセット状態にセットする。
更に、装置筐体21の受部21aから廃現像剤搬送ユニット100を取り外す場合には、操作レバー181を回転終端位置P2から回転初期位置P1に戻した後、把持つまみ130(130a,130b)を摘まんで廃現像剤搬送ユニット100を手前側に引き出すようにすればよい。
【0036】
-ロック操作機構に付随する技術事項について-
本例では、ロック操作機構180の操作レバー181の回転操作に伴って以下のような技術事項が達成される。
(1)被結合カップリングの回転駆動
(2)中間転写ユニットのセット動作
(3)廃現像剤搬送ユニットの抜止動作
(4)廃現像剤搬送ユニットの各接続口の開閉シャッタの開放動作
【0037】
-被結合カップリングの回転駆動-
本例においては、ロック操作機構180がロック解除状態に至る場合、スライドピン202が拘束解除シャフト260で押し出されるが、拘束解除シャフト260によるスライドピン202の押出し動作を実現するためには、その前提として、結合カップリング190と被結合カップリング250とが結合している必要がある。仮に、両カップリング190,250の結合状態が未完了であると、拘束解除シャフト260とスライドピン202とが同軸上に配置されず、拘束解除シャフト260によるスライドピン202の押出動作ができない。
このように、結合カップリング190と被結合カップリング250とが確実に結合されている場合には、両方のカップリング190,250は、操作レバー181の回転初期位置P1から回転終端位置P2までの回転角度分だけ回転する。
このため、被結合カップリング250の所定の回転動作を利用することで、例えば以下の中間転写ユニット240のセット動作を実現することが可能である。
【0038】
-中間転写ユニットのセット動作-
本例において、拘束解除シャフト260は、
図16に示すように、中間転写ユニット240のリトラクト機構を駆動するための駆動伝達シャフト270(リトラクト駆動機構に相当)を兼用した構成になっている。
この駆動伝達シャフト270は、
図16及び
図17に示すように、中間転写体40の移動方向に交差する幅方向を過るように設置されており、その長手方向両側付近には一対のギアハンドル271を固着すると共に、その内側には一対のカムハンドル(駆動伝達シャフト270中心に対して小径カム面と大径カム面とを具備)272を固着するようにしたものである。
ここで、中間転写ユニット240のリトラクト機構について念のため補足しておく。
本例において、リトラクト機構としては、
図17に示すように、中間転写体40の感光体32に対向する平面部をリトラクトする中間転写体リトラクト機構280と、一次転写装置(例えば一次転写ロールを使用)46をリトラクトする一次転写リトラクト機構290とが用いられている。
【0039】
本例では、中間転写体リトラクト機構280は、中間転写体40の平面部を固定リトラクトロール281と、リトラクト可能な可動リトラクトロール282とで張架し、例えば駆動伝達シャフト270のギアハンドル271の回転に伴って伝達ギア283及びリンクアーム284を用いて可動リトラクトロール282を退避位置から接触位置へと可動させるものである。
また、一次転写リトラクト機構290は、各一次転写装置46の両側を過るように中間転写体40の移動方向に沿って延びるスライドプレート291を配設し、例えば駆動伝達シャフト270のカムハンドル272の回転によってスライドプレート291を移動させ、スライドプレート291と各一次転写装置46の両端支持部とをリンクアーム292で回転可能に支持し、スライドプレート291の所定方向への移動に伴って一次転写装置46を中間転写体40に接触するセット位置にセットするものである。
このように、本例では、操作レバー181の回転操作に伴って、駆動伝達シャフト270が回転し、これに伴って、中間転写ユニット240のリトラクト機構(280,290)を働かせ、中間転写ユニット240のセット動作が行われる。
【0040】
-廃現像剤搬送ユニットの抜止動作-
本例において、廃現像剤搬送ユニット100は、ユニットケース101の幅方向両側に抜止機構300を備え、廃現像剤搬送ユニット100を装着し、ロック操作機構180の操作レバー181を回転終端位置P2に移動させることで、抜止突片301,302をユニットケース101の両側壁から突出させ、装置筐体21の受部21aに形成された図示外の抜止凹部に抜止突片301,302を引っ掛けるようにしたものである。
本例においては、ロック操作機構180の一部から駆動伝達機構310に駆動力を伝達し、伝達した駆動力によって抜止突片301,302を移動させるようにすればよい。
ここで、駆動伝達機構310としては、例えば
図7、
図10、
図13、
図15及び
図18(a)(b)に示すように、操作レバー181の軸部183の外周壁又は結合カップリング190の外周壁の一部に伝達ギア部311を形成し、当該伝達ギア部311に噛合する駆動伝達ギア列312を設けると共に、廃現像剤搬送ユニット100の廃現像剤の搬送方向に沿った方向に延びる長尺で滑り移動可能な案内プレート313を配設し、この案内プレート313には駆動伝達ギア列312の最終ギアに噛合するラック314を設け、案内プレート313の長手方向の一端側には一方の抜止突片301を取付け、案内プレート313の長手方向の他端側にはラック315を設け、このラック315に噛合する伝達ギア316と同軸に偏心カム317を取付け、この偏心カム317で他方の抜止突片302を突出させるようにしたものである。
本例によれば、操作レバー181の回転操作に伴って駆動伝達機構310を介して案内プレート313を所定方向に移動させ、一方の抜止突片301をユニットケース101の側壁から外方に突出させ、他方の抜止突片302についてはラック315、伝達ギア316及び偏心カム317によってユニットケース101の側壁から外方に突出させることが可能である。
【0041】
-廃現像剤搬送ユニットの各接続口の開閉シャッタの開放動作-
本例にあっては、ロック操作機構180は、操作レバー181の回転操作に伴う回転駆動力を、前述した駆動伝達機構310を利用し、各接続口の開閉シャッタ350(
図7参照)の開放動作に利用するようになっている。
具体的には、
図7、
図10、
図13、
図15及び
図18に示すように、案内プレート313のうち各接続口の近傍には適宜ラック320を形成し、一方、各接続口の開閉シャッタ350には開閉シャッタ350と同軸の伝達ギア321を具備させ、ラック320に直接若しくはピニオンギア322を介して噛合させ、操作レバー181による回転駆動力で案内プレート313を移動させ、この案内プレート313の移動スパン及び伝達ギア321を利用して開閉シャッタ350を開放させるようにしたものである。
本例によれば、廃現像剤搬送ユニット100を装着した後、各接続口に装置本体側の廃現像剤汎用用のダクトが挿入されるが、この状態において、操作レバー181を回転操作することで開閉シャッタ350が開放されることから、廃現像剤が廃現像剤搬送ユニット100の外部に不必要にこぼれる懸念はない。
【0042】
次に、本実施の形態に係る廃現像剤搬送ユニット100のロック操作機構180の性能を評価するために、比較の形態1に係る廃現像剤搬送ユニットのロック操作機構を例に挙げて説明する。
◎比較の形態1
図19(a)(b)は比較の形態1に係る廃現像剤搬送ユニット500を示す。
同図において、ロック操作機構510は、実施の形態1と異なり、回転可能な回転操作板511にハンドル512を具備させ、この回転操作板511の背面側には結合カップリング515を具備させ、図示外の被結合カップリングと結合するようになっている。
本例においては、回転操作板511の周辺構造は、
図20乃至
図22に示すように、ユニットケース501内の廃現像剤の搬送方向に沿って長尺な案内プレート502を摺り移動可能に配設し、例えば回転操作板511と同軸に伝達ギア513を設けると共に、案内プレート502には伝達ギア513と噛合するラック503を設け、回転操作板511の回転に応じて案内プレート502を移動させるようになっている。
一方、回転操作板511の回転中心から離れた箇所にロック機構520が設けられている。本例のロック機構520は、案内プレート502に付勢バネ521によって付勢されるストッパ片522を具備し、このストッパ片522をユニットケース501のストッパ壁523に突き当て案内プレート502を拘束し、これにより、回転操作板511の回転動作を禁止する形式が採用されている(
図22(a)参照)。
【0043】
本例において、ロック機構520による回転操作板511のロック状態を解除する場合には、
図21に示すように、装置筐体21側に拘束解除突起530を予め設けておき、廃現像剤搬送ユニット500を装着したときに、拘束解除突起530でストッパ片522とストッパ壁523との引っ掛かり状態を外し、回転操作板511のロック状態を解除するものである。この場合、
図22(b)に示すように、回転操作板511を回転操作することで、例えば案内プレート502に設けられた抜止突片505をユニットケース501の側壁より外方に突出させ、廃現像剤搬送ユニット500の抜け止めを防止することが可能である。
しかしながら、本例では、ロック機構520による拘束位置が回転操作板511の回転中心から離れた位置にあるため、拘束解除突起530とストッパ片522との相対位置関係が部品公差や位置決めのばらつきによりたまたま合致してしまうと、結合カップリング515と被結合カップリングとが結合していない状況で、回転操作板511のロック状態が誤って解除される懸念が生ずる。
【符号の説明】
【0044】
1…着脱式容器,2…容器本体,3…結合手段,4…操作手段,4a…軸部,5…拘束手段,6…可動ロック要素,6a…移動要素,6b…突出要素,7…固定ロック要素,8…回り止め手段,9…駆動伝達手段,10…被伝達要素,11…装置筐体,12…受部,13…被結合手段,14…拘束解除要素,15…可動要素