(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】記録装置
(51)【国際特許分類】
B65H 1/26 20060101AFI20240925BHJP
B41J 29/02 20060101ALI20240925BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
B65H1/26 312E
B41J29/02
B41J2/01 305
(21)【出願番号】P 2020193325
(22)【出願日】2020-11-20
【審査請求日】2023-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】塩原 弘
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-156569(JP,A)
【文献】特開平07-267392(JP,A)
【文献】特開2001-237576(JP,A)
【文献】特開2008-225084(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/26
B41J 29/02
B41J 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に対し記録を行う記録部を有する装置本体と、
媒体を収容する媒体カセットであって、前記装置本体から引き出す方向である第1方向
と、前記第1方向に対し反対の方向であって前記装置本体に収納する方向である第2方向
にスライド可能な媒体カセットと、
前記装置本体の側面に沿った面を成し、前記装置本体を構成するフレームと、
前記媒体カセットのスライド方向と交差する方向である装置幅方向において前記フレー
ムの端部に位置し、前記装置本体の高さ方向に沿って延設された支柱部と、を備え、
前記媒体カセットは、前記第2方向の端部に、前記第2方向に突出する突出部を備え、
前記フレームは、第1板金と第2板金とが一体化されたフレームであり、
前記支柱部には、前記突出部を受け入れる受け入れ部が形成さ
れ、
前記受け入れ部の少なくとも一部は、前記第1板金を曲げることで形成される、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録装置において、前記支柱部の一部は、前記フレームの折り曲げ部
位により形成される、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項3】
請求項2に記載の記録装置において、前記支柱部の一部は、前記フレームに取り付けら
れる補強部材で構成される、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の記録装置において、前記装置本体の電力
供給源である電源ユニットと、
前記媒体カセットに収容された媒体のサイズを検出する為の検出部と、
前記媒体カセットに設けられた底板をリフトアップする為の駆動源である底板駆動部と
、
前記媒体カセットを前記装置本体に収納する際の前記媒体カセットの移動を制御する移
動制御部と、を備え、
前記媒体カセットが前記装置本体に収納された状態において、前記突出部の少なくとも
一部が、前記媒体カセットのスライド方向において前記電源ユニット、前記検出部、前記
底板駆動部、及び前記移動制御部の少なくともいずれかとオーバーラップする、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の記録装置において、前記フレームは、
前
記第1板金と
前記第2板金とが溶接されて一体化された
構成である、
ことを特徴とする記録装置。
【請求項6】
請求項5に記載の記録装置において、前記記録部に対し下方に位置し、前記記録部に向
けて媒体を給送する給送部を備え、
前記第2板金は、前記第1板金に対し上方に位置し、
前記第1板金は、前記給送部を支持し、
前記第2板金は、前記記録部を支持する、
ことを特徴とする記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体に記録を行う記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
媒体に記録を行う記録装置には、媒体を収容する媒体カセットが装置本体に対し引き出し及び収納可能に設けられる場合がある。また媒体カセットには、装置本体から引き出した際に媒体カセットが脱落しない様に、特許文献1に示される様に収納方向に突出する突出部が設けられる場合がある。この突出部が、媒体カセットを変位方向に案内するガイドレールに引っ掛かることで、媒体カセットを装置本体から充分に引き出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記の様な突出部を設けることで、装置の寸法が増大する要因となる。以下、
図20を参照して媒体カセットに突出部を設けることに起因する課題を説明する。
図20において符号102は、媒体カセットに設けられた突出部を示している。また符号105は装置背面に設けられるフレームを示し、符号104はフレーム105の両側に設けられる支柱を示している。また
図20においてY軸方向は装置奥行き方向であり、+Y方向は装置前面から装置背面に向かう方向である。またX軸方向は装置幅方向であり、Z軸方向は装置高さ方向である。
【0005】
図20の最も上に示す図において、媒体カセット101Aが備える突出部102は、支柱104と装置幅方向でオーバーラップする位置にある。この為、装置本体100Aは装置奥行き方向寸法が増大する。
また
図20の上から2番目に示す図において、媒体カセット101Bが備える突出部102は、支柱104と装置奥行き方向でオーバーラップする位置にある。この為、装置本体100Bは装置幅方向寸法が増大する。
また
図20の最も下に示す図において、媒体カセット101Cが備える突出部102は、支柱104と装置奥行き方向でオーバーラップする位置にあり、且つ装置幅方向において2つの支柱104の内側にある。この為装置本体100Cは、上述した装置本体100A、100Bよりも小型化を図ることができる。しかしながら2つの支柱104の間のスペースを2つの突出部102が占有する為、他の構成部位を2つの支柱104の間に配置できず、結果的に装置が大型化してしまう虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為の、本発明の記録装置は、媒体に対し記録を行う記録部を有する装置本体と、媒体を収容する媒体カセットであって、前記装置本体から引き出す方向である第1方向と、前記第1方向に対し反対の方向であって前記装置本体に収納する方向である第2方向にスライド可能な媒体カセットと、前記装置本体の側面に沿った面を成し、前記装置本体を構成するベースフレームと、前記媒体カセットのスライド方向と交差する方向である装置幅方向において前記ベースフレームの端部に位置し、前記装置本体の高さ方向に沿って延設された支柱部と、を備え、前記媒体カセットは、前記第2方向の端部に、前記第2方向に突出する突出部を備え、前記支柱部には、前記突出部を受け入れる受け入れ部が形成されていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】ヘッドユニット、キャップキャリッジ、ワイパーキャリッジの位置関係を示す図。
【
図13】第1補強部材及び第2補強部材として用いられる共通補強部材の斜視図。
【
図14】後フレームの製造工程の流れを示すフローチャート。
【
図16】後フレームの部分拡大斜視図及び第2媒体カセットの部分断面図。
【
図19】装置本体を概ね
図16の位置Z1においてX-Y平面で切断した断面図。
【
図20】従来技術の課題を説明する為のフレーム及びカセットの模式図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を概略的に説明する。
第1の態様に係る記録装置は、媒体に対し記録を行う記録部を有する装置本体と、媒体を収容する媒体カセットであって、前記装置本体から引き出す方向である第1方向と、前記第1方向に対し反対の方向であって前記装置本体に収納する方向である第2方向にスライド可能な媒体カセットと、前記装置本体の側面に沿った面を成し、前記装置本体を構成するフレームと、前記媒体カセットのスライド方向と交差する方向である装置幅方向において前記フレームの端部に位置し、前記装置本体の高さ方向に沿って延設された支柱部と、を備え、前記媒体カセットは、前記第2方向の端部に、前記第2方向に突出する突出部を備え、前記支柱部には、前記突出部を受け入れる受け入れ部が形成されていることを特徴とする。
【0009】
本態様によれば、前記媒体カセットは、前記第2方向の端部に、前記第2方向に突出する突出部を備え、前記支柱部には、前記突出部を受け入れる受け入れ部が形成されているので、前記突出部と前記支柱部とを水平方向にずらして配置する構成に比して装置の大型化を抑制することができる。
【0010】
第2の態様は、第1の態様において、前記支柱部の一部は、前記フレームの折り曲げ部位により形成されることを特徴とする。
本態様によれば、前記支柱部の一部は、前記フレームの折り曲げ部位により形成されるので、前記支柱部を低コストに構成することができる。
【0011】
第3の態様は、第2の態様において、前記支柱部の一部は、前記フレームに取り付けられる補強部材で構成されることを特徴とする。
本態様によれば、前記支柱部の一部が、前記フレームに取り付けられる補強部材で構成される構成において、上述した第2の態様の作用効果が得られる。
【0012】
第4の態様は、第1から第3の態様のいずれかにおいて、前記装置本体の電力供給源である電源ユニットと、前記媒体カセットに収容された媒体のサイズを検出する為の検出部と、前記媒体カセットに設けられた底板をリフトアップする為の駆動源である底板駆動部と、前記媒体カセットを前記装置本体に収納する際の前記媒体カセットの移動を制御する移動制御部と、を備え、前記媒体カセットが前記装置本体に収納された状態において、前記突出部の少なくとも一部が、前記媒体カセットのスライド方向において前記電源ユニット、前記検出部、前記底板駆動部、及び前記移動制御部の少なくともいずれかとオーバーラップすることを特徴とする。
本態様によれば、前記突出部の少なくとも一部が、前記媒体カセットのスライド方向において前記電源ユニット、前記検出部、前記底板駆動部、及び前記移動制御部の少なくともいずれかとオーバーラップするので、装置の大型化を抑制できる。
【0013】
第5の態様は、第1から第4の態様のいずれかにおいて、前記フレームは、第1板金と第2板金とが溶接されて一体化されたフレームであり、前記受け入れ部の少なくとも一部は、前記第1板金を曲げることで形成されることを特徴とする。
本態様によれば、前記フレームは、第1板金と第2板金とが溶接されて一体化されたフレームであり、前記受け入れ部の少なくとも一部は、前記第1板金を曲げることで形成されるので、前記フレームの製造コストを抑制することができる。加えて前記第1板金と前記第2板金とは溶接により一体化される為、フレーム全体としての強度低下も抑制できる。
【0014】
第6の態様は、第5の態様において、前記記録部に対し下方に位置し、前記記録部に向けて媒体を給送する給送部を備え、前記第2板金は、前記第1板金に対し上方に位置し、前記第1板金は、前記給送部を支持し、前記第2板金は、前記記録部を支持することを特徴とする。
【0015】
本態様によれば、前記第1板金が前記給送部を支持し、前記第2板金が前記記録部を支持する構成であり、即ち各板金が前記給送部及び前記記録部の各機能領域を一括して支持するので、各機能領域内での部品の位置ずれを抑制でき、各機能領域において機能を適切に発揮できる。
【0016】
以下、本発明を具体的に説明する。
以下では記録用紙に代表される媒体に対し、インクに代表される液体を吐出することで記録を行うインクジェットプリンター1を、記録装置の一例として説明する。以下においてインクジェットプリンター1は、プリンター1と略称する。尚、プリンター1は、媒体を搬送する観点において媒体搬送装置と捉えることができる。媒体搬送装置の観点では、少なくとも後述するラインヘッド34は備えていても備えていなくてもいずれでも構わない。
【0017】
各図において示すX-Y-Z座標系は直交座標系であって、Y軸方向が媒体の搬送方向と交差する幅方向であり、また装置奥行き方向である。Y軸方向のうち矢印の向く方向である+Y方向は装置前面から装置背面に向かう方向であり、+Y方向とは反対の-Y方向は装置背面から装置前面に向かう方向である。また-Y方向は、後述する第1媒体カセット3及び第2媒体カセット4を装置本体2から引き出す方向である第1方向の一例であり、+Y方向は第1媒体カセット3及び第2媒体カセット4を装置本体2に収納する第2方向の一例である。
またX軸方向は装置幅方向であり、プリンター1の操作者から見て矢印の向く方向である+X方向が左側、その反対の-X方向が右側となる。Z軸方向は鉛直方向即ち装置高さ方向であり、矢印の向く方向である+Z方向が上方向、その反対の-Z方向が下方向となる。以下、「上」の用語を用いる場合は+Z方向を意味し、「下」の用語を用いる場合は-Z方向を意味する。
【0018】
また
図1~
図5においてG軸方向は後述するラインヘッド34のインク吐出面35に対する法線方向であって、矢印の向く方向である+G方向は後述するヘッドユニット33が搬送ベルト7から離間する方向であり、その反対の-G方向はヘッドユニット33が搬送ベルト7に近接する方向である。
またF軸方向はインク吐出面35に平行な方向であって、インク吐出面35と対向する位置における媒体搬送方向であり、矢印の向く方向である+F方向が搬送方向下流となり、その反対の-F方向が搬送方向上流となる。尚、以下では媒体が送られていく方向を「下流」と言い、またその反対方向を「上流」と言う場合がある。またF軸方向は後述するキャップキャリッジ31の移動方向となる。
また、
図4、
図5では便宜上、X-Y-Z座標系に代えてF-G-Y座標系を用いている。
【0019】
図1において媒体搬送経路は破線で示されている。プリンター1において媒体は、破線で示す媒体搬送経路を通って搬送される。
プリンター1は、装置本体2の下部から上部に向かって順に、給送部1a、記録部1b、排出部1cを備えて成る。給送部1aは、
図1において後述する後フレーム50の第1接合ライン61より下方に示される構成部位を備えている。また記録部1bは、
図1において第1接合ライン61より上方であって、後述する後フレーム50の第2接合ライン62より下方に示される構成部位を備えている。また排出部1cは、
図1において第2接合ライン62より上方に示される構成部位を備えている。
尚、後述するインク収容部5は、記録部1bの構成要素である。また排出トレイ38は、排出部1cの構成要素である。
【0020】
以下、媒体搬送経路について更に説明する。装置本体2は給送前の媒体を収容する媒体カセットとして第1媒体カセット3、及び当該第1媒体カセット3に対して下方に位置する第2媒体カセット4を備えている。符号Pは、各媒体カセットに収容される媒体を示している。
第1媒体カセット3及び第2媒体カセット4は、装置本体2に対してY軸方向にスライド可能に設けられている。尚、以下において第1媒体カセット3及び第2媒体カセット4を特に区別しない場合、各媒体カセットと総称する。
第1媒体カセット3に対しては、収容された媒体を送り出すピックローラー9が設けられ、第2媒体カセット4に対しては、収容された媒体を送り出すピックローラー10が設けられている。
【0021】
また第1媒体カセット3に対しては、送り出された媒体を斜め上方向に給送する給送ローラー対11が設けられている。また第2媒体カセット4に対しては、送り出された媒体を斜め上方向に給送する給送ローラー対12と、媒体を上方向に搬送する搬送ローラー対13とが設けられている。
尚、以下では「ローラー対」とは、特に説明しない限り不図示のモーターによって駆動される駆動ローラーと、この駆動ローラーに接して従動回転する従動ローラーとで構成されるものとする。
【0022】
各媒体カセットから送り出された媒体は搬送ローラー対14及び搬送ローラー対15によって搬送ローラー対16に送られる。搬送ローラー対16から送り力を受ける媒体は、液体吐出ヘッドの一例であるラインヘッド34と、搬送ベルト7との間、つまりラインヘッド34と対向する位置に送られる。ラインヘッド34は、媒体の面にインクを吐出して記録を実行する。ラインヘッド34は、インクを吐出するノズル(不図示)が媒体幅方向の全域をカバーする様に構成されたインク吐出ヘッドであり、媒体幅方向への移動を伴わないで媒体幅全域に記録が可能なインク吐出ヘッドとして構成されている。
【0023】
符号5はインクを収容するインク収容部である。ラインヘッド34から吐出されるインクは、インク収容部5から、図示を省略するチューブを介してラインヘッド34へと供給される。インク収容部5は、X軸方向に沿って配置される複数のインクタンクによって構成される。
【0024】
搬送ベルト7は、プーリー8a及びプーリー8bに掛け回される無端ベルトであって、プーリー8a及びプーリー8bのうち少なくとも一方が不図示のモーターにより駆動されることで回転する。媒体は、搬送ベルト7のベルト面に吸着されつつラインヘッド34と対向する位置を搬送される。搬送ベルト7に対する媒体の吸着は、エアー吸引方式や静電吸着方式などの公知の吸着方式を採用できる。
【0025】
ここでラインヘッド34と対向する位置を通る媒体搬送経路は、水平方向及び鉛直方向の双方に対して交差しており、斜め上方向に媒体を搬送する構成である。この斜め上向きの搬送方向は、
図1において-X方向成分と+Z方向成分とを含む方向であり、このような構成により、プリンター1の水平方向寸法を抑制できる。
尚本実施形態では、ラインヘッド34と対向する位置を通る媒体搬送経路は水平方向に対して50°~70°の範囲の傾斜角に設定され、より具体的には60°の傾斜角に設定されている。
【0026】
ラインヘッド34により第1面に記録が行われた媒体は、搬送ベルト7の下流に位置する搬送ローラー対17により、更に斜め上方向に送られる。
搬送ローラー対17の下流にはフラップ23が設けられており、このフラップ23によって媒体の搬送方向が切り換えられる。媒体をそのまま排出する場合は、媒体の搬送経路はフラップ23によって上方の搬送ローラー対20に向かう様に切り換えられる。搬送ローラー対20の下流には更にフラップ24が設けられ、このフラップ24によって排出位置A1からの排出、及び更に鉛直上方に位置する搬送ローラー対21への搬送のいずれかに搬送経路が切り換えられる。媒体は搬送ローラー対21に向けて送られた場合、排出位置A2から排出される。
排出位置A1から排出された媒体は、+X方向成分と+Z方向成分とを含む斜め上方向に傾斜する排出トレイ38によって受けられる。排出位置A2から排出された媒体は、不図示のオプショントレイによって受けられる。
【0027】
媒体の第1面に加えて更に第2面に記録を行う場合、媒体は、フラップ23によって-X方向成分と+Z方向成分とを含む斜め上方向に送られ、分岐位置K1を通り、分岐位置K1から上方のスイッチバック経路に送られる。このスイッチバック経路には搬送ローラー対22が設けられており、スイッチバック経路に入った媒体は、搬送ローラー対22によって上方向に搬送され、そして媒体の後端が分岐位置K1を通過したら、搬送ローラー対22の回転方向が切り換えられ、これにより媒体は下方向に搬送される。
【0028】
搬送ローラー対22によって下方向に搬送された媒体は搬送ローラー対18、搬送ローラー対19、及び搬送ローラー対15から送り力を受けて搬送ローラー対16に到達し、搬送ローラー対16によって再びラインヘッド34と対向する位置に送られる。
再びラインヘッド34と対向する位置に送られた媒体は、既に記録が行われた第1面に対し反対側の第2面がラインヘッド34と対向する。これにより、媒体の第2面に対しラインヘッド34による記録が可能となる。第2面に記録が行われた媒体は、上述した排出位置A1または排出位置A2から排出される。
【0029】
続いてモーションユニット25について説明する。
図3に示すモーションユニット25は、
図2に示すヘッドユニット33、キャップキャリッジ31、及びワイパーキャリッジ36を備えている。
ヘッドユニット33はラインヘッド34を含むユニットであって、G軸方向にモーター駆動可能に設けられている。
【0030】
キャップキャリッジ31はラインヘッド34を覆うキャップ32を備えたユニットであり、F軸方向に沿ってモーター駆動可能に設けられている。
ワイパーキャリッジ36はラインヘッド34のインク吐出面35をワイピングするワイパー37が設けられるユニットであって、Y軸方向にモーター駆動可能に設けられている。
以上により、ヘッドユニット33、キャップキャリッジ31、及びワイパーキャリッジ36は、互いに直交する方向に各々モーター駆動可能に設けられている。
【0031】
図2はラインヘッド34により媒体に記録を行う際の各ユニットの位置を示している。位置G1は、この状態でのインク吐出面35のG軸方向の位置である。この状態ではキャップキャリッジ31はヘッドユニット33に対し-F方向に退避した位置にあり、ワイパーキャリッジ36は+Y方向に設定されたホームポジションに位置している。尚、
図4、
図5はワイパーキャリッジ36がホームポジションに位置する状態を示している。
【0032】
この状態からキャップキャリッジ31が備えるキャップ32によりインク吐出面35をキャップする場合、ヘッドユニット33は
図2の位置から+G方向に移動し、キャップキャリッジ31が+F方向に移動する。これによりインク吐出面35とキャップ32とが対向する。位置G2は、キャップ32がインク吐出面35をキャップする際の、インク吐出面35のG軸方向の位置である。
【0033】
ワイパーキャリッジ36が備えるワイパー37によりインク吐出面35をワイピングする場合、ヘッドユニット33は
図2の状態から+G方向に移動する。そしてワイパーキャリッジ36が+Y方向のホームポジションから-Y方向の端部位置まで移動する。その後、ヘッドユニット33が僅かに-G方向に移動し、インク吐出面35が位置G3に位置する状態でワイパーキャリッジ36が+Y方向に向かって移動することで、ワイパー37によりインク吐出面35がワイピングされる。
【0034】
続いてモーションユニット25は、
図4、
図5に示す様に第1サイドフレーム26と、第1サイドフレーム26に対して+Y方向に位置する第2サイドフレーム27とを備えている。第1サイドフレーム26及び第2サイドフレーム27は金属板材により形成され、F-G平面に沿ったフレーム面を成している。
第1サイドフレーム26と第2サイドフレーム27は、Y軸方向に延びる第1接続フレーム28、第2接続フレーム29、及び第3接続フレーム30によって接続されている。第1接続フレーム28、第2接続フレーム29、及び第3接続フレーム30は、金属板材の折り曲げ加工により形成されている。
【0035】
本実施形態において第1接続フレーム28、第2接続フレーム29、及び第3接続フレーム30は、第1サイドフレーム26及び第2サイドフレーム27に対して溶接によって接合される。
第1接続フレーム28、第2接続フレーム29、及び第3接続フレーム30は、F-G平面で切断した際の断面の一部または全部が方形となる様に折り曲げ加工されており、これによりモーションユニット25は全体の剛性向上が図られている。
【0036】
図3に示す様に装置本体2は、-Y方向の端部に前フレーム49を備え、+Y方向の端部にベースフレームとしての後フレーム50を備えており、前フレーム49及び後フレーム50によって装置の基体が構成されている。前フレーム49と後フレーム50は金属材料で形成されている。そして前フレーム49と後フレーム50に対してモーションユニット25が固定される。前フレーム49と後フレーム50に対してモーションユニット25が固定されることで、プリンター1の基体が構成されている。
【0037】
前フレーム49と後フレーム50に対してモーションユニット25が固定されることで構成されたユニット体は、詳しくは説明を省略するが樹脂材料で形成された筐体で覆われる。符号2aは、装置本体2を構成する側面のうち背面側の側面であり、後フレーム50は側面2aに平行な面を成す。側面2aは、X-Z面に平行な面である。但し側面2aは、装置本体2を構成する側面のうち前面側の側面であっても良い。
尚、前フレーム49と後フレーム50に対するモーションユニット25の固定は、本実施形態ではネジ固定であるが、溶接により固定されても良い。
【0038】
以下、本実施形態における特徴的構成を備えた後フレーム50について
図6以降を参照して更に説明する。
後フレーム50は、最も下に位置する第1板金51と、第1板金51に対して上に位置する第2板金52と、第2板金52に対して上に位置する第3板金53とを備えて構成されている。
また後フレーム50に対して+X方向の端部には第3補強部材58が設けられ、後フレーム50に対して-X方向の端部には第1補強部材55と第2補強部材56とが設けられている。これにより、後フレーム50に対して+X方向の端部にZ軸方向に沿って延びる第1支柱部66が構成され、また後フレーム50に対して-X方向の端部にZ軸方向に沿って延びる第2支柱部65が構成されている。
本実施形態において第1板金51、第2板金52、第3板金53、第1補強部材55、第2補強部材56、及び第3補強部材58は、全て板厚が同じ金属板材で形成されており、プレス加工によって形成されている。
【0039】
第1板金51は、X-Z面に平行な面を成すメインフレーム部51aに対し+X方向端部が+Y方向に折り曲げられてサイドフレーム部51bが形成されている。また第1板金51は、メインフレーム部51aに対し-X方向端部が+Y方向に折り曲げられてサイドフレーム部51cが形成されている。
第2板金52は、X-Z面に平行な面を成すメインフレーム部52aに対し+X方向端部が+Y方向に折り曲げられてサイドフレーム部52bが形成されている。また第2板金52は、メインフレーム部52aに対し-X方向端部が+Y方向に折り曲げられてサイドフレーム部52cが形成されている。
第3板金53は、X-Z面に平行な面を成すメインフレーム部53aに対し+X方向端部が+Y方向に折り曲げられてサイドフレーム部53bが形成されている。また第3板金53は、メインフレーム部53aに対し-X方向端部が+Y方向に折り曲げられてサイドフレーム部53cが形成されている。
【0040】
第1板金51、第2板金52、及び第3板金53には、プリンター1の構成要素を取り付ける為の開口部が多数形成されている。以下では全ての開口部に対し符号を付しての説明は省略するが、第2板金52に形成された最も大きい開口部52fには、上述したモーションユニット25が取り付けられる。
【0041】
また第1板金51において開口部51h、51jは、移動制御部77(
図19参照)を取り付ける為の開口部である。この移動制御部77は、各媒体カセットを装置本体2に挿入して装着位置に突き当てる際に、衝撃を緩和するとともに各媒体カセットを装着位置に引き込む様に作用する。
また開口部51f、51gは、各媒体カセットに収容された媒体のサイズを検出する為のサイズ検出部76(
図19参照)を取り付ける為の開口部である。尚、各媒体カセットには、サイズ検出部76に検出される被検出部が設けられている。以下、
図17及び
図18を参照して各媒体カセットの構成について概説する。尚、
図17及び
図18は一例として第2媒体カセット4を示しているが、第1媒体カセット3も同一の構成を備えている。
【0042】
図17に示す様に第2媒体カセット4は、カセット本体4cにおいて+Y方向の端部に、+Y方向に突出する第1突出部4a及び第2突出部4bを備えている。第1突出部4aは、X軸方向においてカセット本体4cの+X方向端部に設けられ、第2突出部4bは-X方向端部に設けられている。尚、以降では第1媒体カセット3に形成された第1突出部(不図示)と第2媒体カセット4に形成された第1突出部4aを、符号を用いずに単に第1突出部と総称する場合がある。同様に第1媒体カセット3に形成された第2突出部(不図示)と第2媒体カセット4に形成された第2突出部4bを、符号を用いずに単に第2突出部と総称する場合がある。
【0043】
カセット本体4cの内部には、収容された媒体をリフトアップする為の底板4dが設けられている。またカセット本体4cの内部には、収容された媒体の+X方向のエッジ即ち後端エッジをガイドする後端エッジガイド4eが、X軸方向に沿って移動可能に設けられている。またカセット本体4cの内部には、収容された媒体の+Y方向のエッジをガイドするサイドエッジガイド4g、及び収容された媒体の-Y方向のエッジをガイドするサイドエッジガイド4fが、Y軸方向に沿って移動可能に設けられている。
【0044】
カセット本体4cの裏面には、
図18に示す様に回転板80が回転軸80eを中心に回転可能に設けられている。回転板80にはリンクアーム80dが形成されており、このリンクアーム80dが後端エッジガイド4eと係わり合っている。これにより、後端エッジガイド4eのX軸方向に沿ったスライド動作に連動して、回転板80が回転する。
回転板80には、回転の際の周方向に沿って被検出部80a、80b、80cが設けられている。被検出部80a、80b、80cは、上述したサイズ検出部76(
図19参照)によって検出される部位であり、それぞれ円周方向の長さが異なる様に形成されている。これによりサイズ検出部76(
図19参照)は、被検出部80a、80b、80cを区別し、ひいては後端エッジガイド4eのX軸方向の位置、つまり収容された媒体のサイズを検出する。
【0045】
図6~
図9に戻り、開口部51m、51nは、それぞれ各媒体カセットの底板をリフトアップする為の底板駆動部78(
図19参照)を取り付ける為の開口部の一つである。
【0046】
続いて
図6~
図9において符号61は、第1板金51と第2板金52との接合ラインである第1接合ラインであり、符号62は、第2板金52と第3板金53との接合ラインである第2接合ラインである。本実施形態において各板金の板厚は同じであるので、第1接合ライン61及び第2接合ライン62では段差が殆どなく、平坦なフレーム面が形成される。
【0047】
本実施形態において各板金、及び各補強部材は、溶接によって接合される。
後フレーム50の製造工程では、先ず、
図14に示す様に第1板金51、第2板金52、及び第3板金53のこれらを突き当てる(ステップS1)。より具体的には、
図10に示す第1板金51の上部エッジ51dと、第2板金52の下部エッジ52eとを突き当て、第1板金51と第2板金52との間隔をゼロの状態とする。また、第2板金52の上部エッジ52dと第3板金53の下部エッジ53dとを突き当て、第2板金52と第3板金53との間隔をゼロとする。
【0048】
尚、このとき第1板金51のサイドフレーム部51bと第2板金52のサイドフレーム部52bとの間隔がゼロとなり、第1板金51のサイドフレーム部51cと第2板金52のサイドフレーム部52cとの間隔もゼロとなる。
また、第2板金52のサイドフレーム部52bと第3板金53のサイドフレーム部53bとの間隔がゼロとなり、第2板金52のサイドフレーム部52cと第3板金53のサイドフレーム部53cとの間隔もゼロとなる。
【0049】
次いで、第1板金51と第2板金52とを溶接し、また第2板金52と第3板金53とを溶接する(
図14においてステップS2)。この溶接は、本実施例では第1接合ライン61及び第2接合ライン62に沿って数cm程度の間隔でスポット溶接として行う。尚、第1板金51のサイドフレーム部51bと第2板金52のサイドフレーム部52bとを突き当てた部位を、少なくとも一ヵ所スポット溶接する。また第1板金51のサイドフレーム部51cと第2板金52のサイドフレーム部52cとを突き当てた部位も、少なくとも一ヵ所スポット溶接する。
【0050】
また、第2板金52のサイドフレーム部52bと第3板金53のサイドフレーム部53bとを突き当てた部位を少なくとも一ヵ所スポット溶接する。また第2板金52のサイドフレーム部52cと第3板金53のサイドフレーム部53cとを突き当てた部位も、少なくとも一ヵ所スポット溶接する。
以上により、
図11で示す様に第1板金51、第2板金52、及び第3板金53のこれらが接合され、一体化された後フレーム50が得られる。
【0051】
次いで、第1補強部材55、第2補強部材56、及び第3補強部材58を、後フレーム50に突き当て(
図14においてステップS3)、次いで溶接により接合する(
図14においてステップS3)。尚、ステップS1とステップS3とを同時に行い、即ち第1板金51、第2板金52、第3板金53、第1補強部材55、第2補強部材56、及び第3補強部材58のこれらを全て突き当てた状態とし、その状態で順次スポット溶接を行う様にしても良い。
【0052】
ここで、各補強部材について更に説明する。
第1補強部材55及び第2補強部材56は、本実施形態では同一の部材が用いられる。同一の部材とは、少なくとも形状、大きさ、材質が同じ部材であることを意味する。勿論、形状、大きさが同じであるとは、完全に同じであることに限定されるものでなく、製造誤差による多少の相違は許容される意味である。
図13は、第1補強部材55及び第2補強部材56として用いられる共通補強部材57を示している。共通補強部材57は、Y-Z面に平行な面を成す第1フレーム部57aと、X-Z面に平行な面を成す第2フレーム部57cとを有している。
【0053】
第1補強部材55として用いられる共通補強部材57は、第1板金51と第2板金52とに跨る様に配置され、第1フレーム部57aの-Y方向のエッジである第1フレームエッジ57bが、第1板金51のメインフレーム部51aと、第2板金52のメインフレーム部52aに対してスポット溶接される。
また、第2フレーム部57cの-X方向のエッジである第2フレームエッジ57dが、第1板金51のサイドフレーム部51cと、第2板金52のサイドフレーム部52cに対してスポット溶接される。
【0054】
第2補強部材56として用いられる共通補強部材57は、第2板金52と第3板金53とに跨る様に配置され、第1フレーム部57aの-Y方向のエッジである第1フレームエッジ57bが、第2板金52のメインフレーム部52aと、第3板金53のメインフレーム部53aに対してスポット溶接される。
また、第2フレーム部57cの-X方向のエッジである第2フレームエッジ57dが、第2板金52のサイドフレーム部52cと、第3板金53のサイドフレーム部53cに対してスポット溶接される。
尚、本実施形態において第1補強部材55の+Z方向端部と第2補強部材56の-Z方向端部との溶接も行い、第1補強部材55と第2補強部材56とを接合する。
【0055】
以上により、後フレーム50の-X方向端部にZ軸方向に沿って延びる第2支柱部65が構成される。第2支柱部65は、
図19に示す様にZ軸方向から見て方形を成す中空状の支柱として構成される。そして第2支柱部65の一部である-X方向の側壁が、後フレーム50の-X方向端部の折り曲げ部位であるサイドフレーム部51c、52c、53cにより構成される。また第2支柱部65の一部である-Y方向の側壁が、メインフレーム部51a、52a、53aにより構成される。また第2支柱部65の一部である+X方向の側壁が、第1補強部材55及び第2補強部材56の第1フレーム部57aにより構成される。また第2支柱部65の一部である+Y方向の側壁が、第1補強部材55及び第2補強部材56の第2フレーム部57cにより構成される。
【0056】
次に、第3補強部材58は
図12に示す様にY-Z面に平行な面を成す第1フレーム部58a及び第3フレーム部58eと、X-Z面に平行な面を成す第2フレーム部57cとを有している。第3フレーム部58eは、第1フレーム部58aに対して-Z方向に位置するとともに、X軸方向において第2フレーム部58cを挟む様に位置している。
第3補強部材58は、第1フレーム部58aの+Y方向エッジである第1フレームエッジ58bが、第2板金52のメインフレーム部52aと、第3板金53のメインフレーム部53aに対してスポット溶接される。また、第2フレーム部58cの+X方向のエッジである第2フレームエッジ58dが、第2板金52のサイドフレーム部52bと、第3板金53のサイドフレーム部53bに対してスポット溶接される。
また第3補強部材58は、第2フレーム部58cの-Z方向端部領域における-X方向エッジである第3フレームエッジ58fが、第1板金51のサイドフレーム部51bに対してスポット溶接される。
【0057】
以上により、後フレーム50の+X方向端部にZ軸方向に沿って延びる第1支柱部66が構成される。第1支柱部66は、Z軸方向から見て方形を成す中空状の支柱として構成される。そして第1支柱部66の一部である+X方向の側壁が、後フレーム50の+X方向端部の折り曲げ部位であるサイドフレーム部52b、53bと、第3補強部材58の第3フレーム部58eとにより構成される。また第1支柱部66の一部である-Y方向の側壁が、メインフレーム部52a、53aにより構成される。また第1支柱部66の一部である-X方向の側壁が、第3補強部材58の第1フレーム部58aと、第1板金51のサイドフレーム部51bとで構成される。また第1支柱部66の一部である+Y方向の側壁が、第3補強部材58の第2フレーム部58cにより構成される。
この様に第1支柱部66の一部は、後フレーム50の折り曲げ部位により形成されるので、第1支柱部66を低コストに構成することができる。また第1支柱部66の一部は、第3補強部材58で構成される。
【0058】
ここで第1板金51の+X方向端部の折り曲げ部位であるサイドフレーム部51bは、第2板金52の+X方向端部の折り曲げ部位であるサイドフレーム部52b及び第3板金53の+X方向端部の折り曲げ部位であるサイドフレーム部53bとは折り曲げ位置が異なり、サイドフレーム部52b、53bよりも-X方向の位置で折り曲げられている。このことにより、第1支柱部66において-Z方向の部位には、
図8、
図9、
図15に示す様に-Y方向に開口する受け入れ部67が形成されている。この受け入れ部67については、後に改めて説明する。
【0059】
以上説明した様に記録装置及び媒体搬送装置の一例であるプリンター1は、装置の側面の一つである側面2aに沿った面を成す後フレーム50を備え、後フレーム50は、第1板金51と第2板金52とが溶接されて一体化されたフレームである。
これにより後フレーム50の製造コストを抑制することができる。加えて第1板金51と第2板金52とは溶接により一体化される為、後フレーム51全体としての強度低下も抑制できる。
【0060】
また
図1に示す様に、第1板金51は給送部1aを支持し、第2板金52は記録部1bを支持する。更に第3板金53は排出部1cを支持する。即ち各板金が給送部1a、記録部1b、及び排出部1cの各機能領域を個別に支持するので、各機能領域内での部品の位置ずれを抑制でき、各機能領域において機能を適切に発揮できる。
【0061】
また第1板金51と第2板金52とに亘って配置され、第1板金51と第2板金52とに溶接される第1補強部材55と、第2板金52と第3板金53とに亘って配置され、第2板金52と第3板金53とに溶接される第2補強部材56とを備えるので、後フレーム50の強度をより一層向上させることができる。また第1補強部材55と第2補強部材56を一体で形成する構成に比して補強部材の大型化が抑制されるので、第1補強部材55と第2補強部材56の製造コストを抑制できる。
【0062】
また第1補強部材55及び第2補強部材56に、共通の部材である共通補強部材57が用いられるので、第1補強部材55及び第2補強部材56をより一層低コスト化することができる。
【0063】
また本実施形態に係る後フレーム50の製造方法は、第1板金51と第2板金52とを溶接して一体化されたフレームを形成する工程を含んでいる(
図14においてステップS2)。これにより、後フレーム50の製造コストを抑制することができる。加えて第1板金51と第2板金52とは溶接により一体化される為、後フレーム50全体としての強度低下も抑制できる。
【0064】
また第1板金51の上部エッジ51dと第2板金52の下部エッジ52eとを突き合わせ、また第2板金52の上部エッジ52dと第3板金53の下部エッジ53dとを突き合せた状態で(
図14においてステップS1)、各エッジ同士を溶接する(
図14においてステップS2)。即ち、各板金間に隙間が無い状態で各板金同士が溶接されるので、後フレーム50全体の寸法精度を確保できるとともに、強度を向上させることができる。
【0065】
続いて第1支柱部66の-Z方向端部に設けられた受け入れ部67について説明する。
図16において符号71は、第1媒体カセット3をY軸方向にガイドするガイドレールを示している。
図16に示されたガイドレール71は、第1媒体カセット3に対し+X方向に位置するガイドレールであり、図示は省略するが同様なガイドレールが第1媒体カセット3に対し-X方向にも設けられている。
同様に、
図16において符号72は、第2媒体カセット4をY軸方向にガイドするガイドレールを示している。
図16に示されたガイドレール72は、第2媒体カセット4に対し+X方向に位置するガイドレールであり、図示は省略するが同様なガイドレールが第2媒体カセット4に対し-X方向にも設けられている。
以上の様にガイドレール71、72が設けられたことで、例えば第2媒体カセット4を装置本体2から引き出した際に、第1突出部4a(
図17、
図18参照)がガイドレール72によって支持され、即ち第2媒体カセット4が装置本体2から脱落しない様に保持される。
【0066】
ここで各媒体カセットに対し+X方向に設けられたガイドレール71、72は、
図16に示す様に受け入れ部67を介して第1支柱部66の内部に入り込んでいる。そして
図16において第2媒体カセット4に代表して示される様に、各媒体カセットが+Y方向の端部位置つまり装着位置に位置する際に、各媒体カセットにおいて+X方向端部に形成された第1突出部が受け入れ部67を介して第1支柱部66の内部に入り込む。
図16では、第2媒体カセット4に形成された第1突出部4aが受け入れ部67を介して第1支柱部66の内部に入り込んでいる。ここで、受け入れ部67は第2フレーム部58cと、第3フレーム部58eと、サイドフレーム部51bとによって構成される。即ち受け入れ部67の一部は、第1板金51を折り曲げることで形成される。
【0067】
以上の通り各媒体カセットは、+Y方向の端部に、+Y方向に突出する第1突出部及び第2突出部を備えている。
図16~
図18には、その一例として第2媒体カセット4に形成される第1突出部4a及び第2突出部4bが示されている。そして第1支柱部66には、各媒体カセットにおいて+X方向端部に形成された第1突出部を受け入れる受け入れ部67が形成されているので、各媒体カセットに形成された第1突出部と、第1支柱部66とを水平方向にずらして配置する構成に比して装置の大型化を抑制することができる。
尚、本実施形態ではX軸方向に間隔を開けて配置された第1支柱部66と第2支柱部65のうち、+X方向に位置する第1支柱部66に受け入れ部67を形成し、各媒体カセットに形成された複数の突出部のうち+X方向に位置する第1突出部が受け入れ部67の内側に入り込む様に構成した。しかしながら、第2支柱部65にも同様な開口部を形成し、各媒体カセットに形成された突出部のうち-X方向に位置する第2突出部が第2支柱部65の内部に入り込む様に構成しても良い。また、第1支柱部66と第2支柱部65の双方に対して各突出部が入り込む様にしても良い。
尚、本実施形態では各媒体カセットにおいて-X方向に形成された第2突出部は、第1板金51に形成された開口部51p、51q(
図6~
図9参照)を介して第1板金51に対し+Y方向に突き抜ける様に構成されている。
【0068】
また本実施形態において、
図19に示す様に第1支柱部66と第2支柱部65との間のスペースを利用して電源ユニット75、サイズ検出部76、移動制御部77、及び底板駆動部78が配置されている。電源ユニット75は、装置全体の電力供給源である。
図19に示す様に、第2媒体カセット4が装置本体2に収納された状態において、第1支柱部66に入り込んでいる第1突出部4aの少なくとも一部が、Y軸方向において電源ユニット75、サイズ検出部76、底板駆動部78、及び移動制御部77とオーバーラップしている。
図19において符号Yaで示す範囲は、Y軸方向において第1突出部4aが存在する範囲であり、本実施形態では電源ユニット75、サイズ検出部76、移動制御部77、及び底板駆動部78の全てが、範囲Yaに掛かっている。即ち第1突出部4aの少なくとも一部が、Y軸方向において電源ユニット75、サイズ検出部76、底板駆動部78、及び移動制御部77とオーバーラップしている。
この様な構成により、装置の大型化を抑制でき、特にY軸方向の装置寸法を抑制できる。尚、本実施形態では電源ユニット75、サイズ検出部76、移動制御部77、及び底板駆動部78の全てが、範囲Yaに掛かっているが、電源ユニット75、サイズ検出部76、移動制御部77、及び底板駆動部78の少なくとも一つが範囲Yaに掛かっている様に構成しても良い。
【0069】
本発明は上記において説明した各実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
例えば、上述した後フレーム50は第1板金51、第2板金52、第3板金53のこれら3つの板金で構成したが、第1板金51及び第2板金52の2つの板金で構成しても良いし、或いは4つ以上の板金で構成しても良い。また、本実施形態において複数の板金の溶接により一体化するフレームは後フレーム50のみであるが、前フレーム49(
図3参照)も同様に複数の板金の溶接により一体化したフレームとしても良い。
【符号の説明】
【0070】
1…インクジェットプリンター、1a…給送部、1b…記録部、1c…排出部、2…装置本体、3…第1媒体カセット、4…第2媒体カセット、4a…第1突出部、4b…第2突出部、4c…カセット本体、4d…底板、4e…後端エッジガイド、4f、4g…サイドエッジガイド、5…インク収容部、7…搬送ベルト、8a、8b…プーリー、9、10…ピックローラー、11、12…給送ローラー対、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22…搬送ローラー対、23、24…フラップ、25…モーションユニット、26…第1サイドフレーム、27…第2サイドフレーム、28…第1接続フレーム、29…第2接続フレーム、30…第3接続フレーム、31…キャップキャリッジ、32…キャップ、33…ヘッドユニット、34…ラインヘッド、35…インク吐出面、36…ワイパーキャリッジ、37…ワイパー、38…排出トレイ、49…前フレーム、50…後フレーム、51…第1板金、51a…メインフレーム部、51b、51c…サイドフレーム部、51d…上部エッジ、51f、51g、51h、51j、51k、51m、51n、51p、51q…開口部、52…第2板金、52a…メインフレーム部、52b、52c…サイドフレーム部、52d…上部エッジ、52e…下部エッジ、52f…開口部、53…第3板金、53a…メインフレーム部、53b、53c…サイドフレーム部、53d…下部エッジ、55…第1補強部材、56…第2補強部材、57…共通補強部材、57a…第1フレーム部、57b…第1フレームエッジ、57c…第2フレーム部、57d…第2フレームエッジ、58…第3補強部材、58a…第1フレーム部、58b…第1フレームエッジ、58c…第2フレーム部、58d…第2フレームエッジ、58e…第3フレーム部、58f…第3フレームエッジ、61…第1接合ライン、62…第2接合ライン、65…第2支柱部、66…第1支柱部、67…受け入れ部、71、72…ガイドレール、75…電源ユニット、76…サイズ検出部、77…移動制御部、78…底板駆動部、80…回転板、80a、80b、80c…被検出部、80d…リンクアーム、80e…回転軸