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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20240925BHJP
   H01L 33/50 20100101ALI20240925BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20240925BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240925BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20240925BHJP
   H10K 59/38 20230101ALI20240925BHJP
   H10K 59/122 20230101ALI20240925BHJP
   H10K 59/123 20230101ALI20240925BHJP
   H10K 50/854 20230101ALI20240925BHJP
【FI】
G02B5/20 101
H01L33/50
G09F9/33
G09F9/30 349B
G09F9/30 349C
H10K59/10
H10K59/38
H10K59/122
H10K59/123
H10K50/854
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020194165
(22)【出願日】2020-11-24
(65)【公開番号】P2022082964
(43)【公開日】2022-06-03
【審査請求日】2023-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】北村 翼
(72)【発明者】
【氏名】福吉 健蔵
【審査官】内村 駿介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0089047(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0033406(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第108828834(CN,A)
【文献】特開2005-294057(JP,A)
【文献】特開2021-140028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20-5/28
H05B 33/00-33/28
H10K 50/00ー102/20
H01L 33/50
G09F 9/33
G09F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、
色画素と平坦化層を有するカラーフィルタと前記色画素を区画する画素開口部を有し、平面視マトリクス状の隔壁を1の面に有する第1基板と、
発光素子を1の面に有する第2基板からなり、前記第1基板の1の面と前記第2基板の1の面が対向した構造の表示装置であって、
前記隔壁は、少なくとも2種以上の異なる厚みであり、
前記画素開口部の内部にて隣接画素との上側境界部と前記発光素子の発光面の中心点とを通過する直線が前記平坦化層に交差する点を頂点Aとし、
隣接する画素の頂点Aと前記発光素子の発光面の中心点とを通過する直線上に頂点Bを設け、前記頂点Aと前記頂点Bが対頂角とする矩形を前記隔壁の断面形状とすることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記隔壁は、少なくとも光吸収性の材料を含み、前記光吸収性の材料としてカーボンを含む事を特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記画素開口部の前記平坦化層上に光散乱層を備える事を特徴とする請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記画素開口部の前記平坦化層上に波長変換層を備える事を特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置、ミニLED、マイクロLED(LEDディスプレイ)に代表される表示装置に関わり、及びこれら表示装置などに用いられるカラーフィルタ基板に関する。
【背景技術】
【0002】
LED(Light Emitting Diode)を光源とするバックライトユニット(BLU)を用いた液晶表示装置が、現在一般的である。この液晶表示装置では、液晶層が表示機能層であり、この表示機能層はバックプレーンに配設される薄膜トランジスタ(以下、TFT)で駆動される。
【0003】
近年、例えば、5μmから200μmサイズのLEDチップをマトリクス状に複数並べた構成を有するミニLEDと呼称される直下型のバックライトを液晶表示装置に用いる技術が注目されている。ミニLEDでは、通常、赤色発光、緑色発光、青色発光の3種類のLEDチップが用いられることが多い。
【0004】
マイクロLEDは、おおよそ2μmから50μmサイズのLEDチップがマトリクス状に配列した構造を有し、複数のLEDチップの各々を個別駆動することによって表示を行う表示装置である。このようなマイクロLEDは、液晶を用いずに表示を行うことができる。
【0005】
マイクロLEDは、上述したミニLEDと同様に赤色発光、緑色発光、青色発光の3種類のチップを用いる方式と、青色から近紫外の波長域の光を発する単色発光LEDチップを用いる方式などに大別される。マイクロLEDは、LEDディスプレイとも呼称され、一般に上記のような3種類のLEDチップが表示機能層の役割を担う。なお、単色発光LEDチップのみを用いる方式では、近紫外域の発光を含む青色LEDチップ、あるいは365nmや385nmなどの発光波長をもつUV-LEDチップを用い、それらの各々のチップに、量子ドットなど波長変換層を積層して赤、緑、青の可視光に変換してフルカラー表示を実現している。
【0006】
液晶表示装置、及びマイクロLED表示装置においては、いずれも、表示機能層からの出射光、具体的には発光素子であるLEDチップの発光面から画素開口部に向かう光、の直線性が十分に得られていなかった。従って、隣接する画素に対する迷光(発光素子であるLEDチップからの斜め出射光)が発生してしまい、表示コントラストが低下する問題があった。
【0007】
また、LEDは有機ELより数倍から数十倍の発光輝度を得ることができる。液晶表示装置でもミニLEDで使用される、LED発光素子を備える直下型BLU(バックライトユニット)では、有機ELより高い輝度を得ることができる。
【0008】
マイクロLEDやミニLEDでは、画素サイズの微細化が進むに従って、迷光に起因する表示コントラストが低下する問題の他、表示装置が明るい環境下で使用される際、外部から表示装置に入射する入射光に起因する表示コントラスト低下も問題となる。
【0009】
特許文献1には、有機EL素子向けのカラーフィルタに関わる技術が開示されている。
この技術においては、有機EL素子基板と波長変換基板によって有機EL表示装置が構成されている。波長変換基板は、透明基板上にブラックマトリクスが形成され、その上に
隔壁が形成され、画素を区画している。その隔壁によって区画された画素の中に、波長変換層と、着色層(カラーフィルタ層)と、隔壁を含む全体を被覆する保護層と、が順次積層され、波長変換基板を形成している。その様に、隣接する画素の間にマトリクス状に設けられたブラックマトリクスと、その上に形成された隔壁により、画素間の光漏れによる色度の劣化やコントラストの低下を防止する技術が開示されている。しかしながら、カラーフィルタの上に平坦化層を形成し、その平坦化層上の各画素間の隣接部の上に格子状マトリクスの隔壁を積層する構成は開示されていない。
【0010】
また、特許文献2には、その請求項1に示されるように、透光性の基板と、その基板に積層され厚さ方向に貫通する複数の貫通孔を有する隔壁部と、前記基板上における前記隔壁部に設けられた前記貫通孔の総数以下の複数の貫通孔の内側に設けられ、入射する光の波長帯域と異なる複数種類の波長帯域のうちのいずれか1つの波長帯域の光を選択的に透過させる着色部と、前記基板上における、前記着色部が設けられた貫通孔の内側に設けられ、入射する光を、前記複数種類の波長帯域の光のうちのいずれか1つの波長帯域の光に変換する色変換物質を複数種類含む色変換部と、を備える、カラーフィルタが開示されている。
しかしながら、カラーフィルタの上に平坦化層を形成し、その平坦化層上の各画素間の隣接部の上に格子状マトリクスの隔壁を積層する構成は開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】国際公開第2016/171207号
【文献】特開2018-189920号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、マイクロLEDやミニLEDなどのLEDディスプレイでの、発光素子(LED)の発光が迷光として隣接画素に入ることによるコントラスト低下や色純度低下を解消し、より明るい表示装置を提供する事を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決する手段として、本発明の第1の態様は、
少なくとも、
色画素と平坦化層を有するカラーフィルタと前記色画素を区画する画素開口部を有し、平面視マトリクス状の隔壁を1の面に有する第1基板と、
発光素子を1の面に有する第2基板からなり、前記第1基板の1の面と前記第2基板の1の面が対向した構造の表示装置であって、
前記隔壁は、少なくとも2種以上の異なる厚みであり、
前記画素開口部の内部にて隣接画素との上側境界部と前記発光素子の発光面の中心点とを通過する直線が前記平坦化層に交差する点を頂点Aとし、
隣接する画素の頂点Aと前記発光素子の発光面の中心点とを通過する直線上に頂点Bを設け、前記頂点Aと前記頂点Bが対頂角とする矩形を前記隔壁の断面形状とすることを特徴とする表示装置である。
【0014】
また、第2の態様は、前記隔壁は、少なくとも光吸収性の材料を含み、前記光吸収性の材料としてカーボンを含む事を特徴とする第1の態様に記載の表示装置である。
【0015】
また、第3の態様は、前記画素開口部の前記平坦化層上に光散乱層を備える事を特徴とする第1または第2の態様に記載の表示装置である。
【0016】
また、第4の態様は、前記画素開口部の前記平坦化層上に波長変換層を備える事を特徴
とする第1から第3の態様のいずれかに記載の表示装置である。
【発明の効果】
【0018】
本発明の表示装置によれば、コントラスト低下や、混色を軽減し、明るい表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態に関わる、表示装置の部分断面図である。
図2】本発明の表示装置に適用されるカラーフィルタ3の部分平面図である。
図3図2に示したカラーフィルタ3上に、マトリクス状の隔壁1を積層したカラーフィルタ3の部分平面図である。
図4】隔壁の幅が、隣接画素に与える混色状況の説明図。
図5】隔壁の高さ(厚み)が、画素に与える影響の説明図。
図6】発光素子(LED)の仮想中心点C0からカラーフィルタ3の隣接部点C4への延線5と、法線10とのなす角θmを示す説明図。
図7】発光素子(LED)の仮想中心点C0から隔壁1のカド部C1への延線L1と法線10がなす角θxを示す説明図。
図8】本発明の表示装置に関わり、光の散乱層12をそれぞれ隔壁間に配設した表示装置の部分断面図である。
図9】本発明の表示装置に関わり、波長変換層14をそれぞれ隔壁間に配設した表示装置の部分断面図である。
図10】従来のカラーフィルタ基板を備えた表示装置に関わり、発光素子D´2からの発光での混色状況説明のための部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
以下の説明において、同一又は実質的に同一の機能及び構成要素には、同一の符号を付し、その説明を省略又は簡略化し、或いは、必要な場合のみ説明を行う。各図において、各構成要素を図面上で認識し得る程度の大きさとするため、各構成要素の寸法及び比率を実際のものとは適宜に異ならせてある。図示において、説明のため誇張することがあり、図示する構成要素の大小や長さは固定的なものでない。また、必要に応じて、図示が難しい要素、例えば、薄膜トランジスタなどの構成、また、導電層を構成する複数層の構造、回路部への配線接続やスイッチング素子(薄膜トランジスタ)等の図示や一部の図示が省略されている。
【0021】
以下に述べる各実施形態においては、特徴的な部分について説明し、例えば、通常の表示装置に用いられている構成要素と本実施形態に係る表示装置との差異がない部分については説明を省略する。
【0022】
第1隔壁や第2隔壁、第1基板、第2基板、第3基板など「第1」や「第2」等の序数詞は、構成要素の混同を避けるために付しており、数量を限定しない。第1隔壁や第2隔壁をたんに隔壁と呼称することがある。また、発光素子のマトリクス配置とは、発光素子(LED)を1個以上含む発光ユニットが平面視、一定のピッチでマトリクス状に並ぶ配置を指す。基板上に発光素子をマトリクス配置したもの、あるいは発光ユニットを一定のピッチでマトリクス状に配列した基板を以下の記載において、光モジュールと呼ぶことがある。
【0023】
前記基板には、発光素子や発光ユニットを駆動する薄膜トランジスタをあわせ配設することが望ましい。表示機能層が液晶層である場合、この光モジュールを直下型バックライトと呼ぶ。発光ユニットは、表示装置としたときの平面視、格子状パターンの隔壁で囲まれることがある。
【0024】
本発明の実施形態において、表示装置が備える「表示機能層」には、LED(Light Emitting Diode)と呼称される複数の発光ダイオード素子、有機EL素子、或いは液晶層のいずれかを用いることができる。LED、LEDチップ、発光ダイオード素子は、以下の記載において、単に発光素子と記載することがある。
【0025】
LEDは、発光ダイオード(Light Emitting Diode)であり、アルミニウムガリウムヒ素(AlGaAs)、ガリウムヒ素リン(GaAsP)、インジウム窒化ガリウム(InGaN)/窒化ガリウム(GaN)/アルミニウム窒化ガリウム(AlGaN)、リン化ガリウム(GaP)、セレン化亜鉛(ZnSe)、アルミニウムインジウムガリウムリン(AlGaInP)などの化合物がLEDに適用されている。赤色発光、緑色発光、青色発光の3種類の発光素子(LED)を用いることができる。青色発光のLEDや紫外発光のLEDは、主に窒化ガリウム(GaN)が適用されている。
【0026】
ミニLEDでは、例えば、60μmから200μmサイズのLEDチップを用いることができる。マイクロLEDでは、例えば、2μmから100μmサイズのLEDチップを用いることができる。LEDチップの構造は、n側電極とp側電極が同じ側にある水平型LEDを用いても良いが、LEDの厚み方向にn側電極とp側電極が異なる面(向かい合う平行な面)にある垂直型LEDを用いることもできる。以下の記載において上部電極、下部電極は、垂直型LEDのn側電極あるいはp側電極のいずれかを指す。
【0027】
なお、第1隔壁あるいは第2隔壁の画素開口部、あるいは一部の発光素子(発光ダイオード)は、平面視、それぞれ中心位置の中心線で重なる。第1隔壁の画素開口部と、第2隔壁の画素開口部とは、平面視、重なる位置にある。
【0028】
<第1実施形態>
[透明基板]
本発明の表示装置に適用できる第1基板100の材料としては、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、ポリイミドフィルムを含むプラスチック基板など透明な基板を用いることができる。
【0029】
複数の発光素子がマトリクス状に配設された第2基板200は、上記透明基板100の材料と同じであってもよいが、黒やその他の色に着色した基板であっても良い。第2基板200は、サイファア基板であってよく、CMOS素子(トランジスタなど)を配設したシリコン基板であっても良い。GaN(窒化ガリウム)の結晶成長の為の低温堆積AlN(窒化アルミニウム)バッファー層を介して、GaN単結晶を成長させたLED(発光素子)を配設したシリコン基板であっても良い。発光素子D1(青色LEDあるいは紫色LED)の実装は、低融点合金を用いたフリップチップ実装、異方性導電膜を用いた実装、あるいは金線などを用いたワイヤーボンディングなどであっても良い。第2基板200には、発光素子あるいは液晶層を駆動する複数の薄膜トランジスタを配設することができる。
【0030】
[隔壁]
本発明に関わる第1隔壁及び第2隔壁(単に隔壁と呼称することがある。)は、樹脂にカーボンなど可視光吸収機能を持つ黒色色材を分散させて用いることができる。隔壁の平面視形状は、通称、ブラックマトリクスと呼称されるものとほぼ同じであるが、本発明に
関わる隔壁には、斜め光などLED光源から拡散される迷光が目的としない画素開口部に入射抑制する役割を加えているため、「隔壁」と呼称する。
【0031】
後述する実施例で説明するように、厚みのある隔壁や2層構成の隔壁を提案するため、本発明に関わる第1隔壁1(図1参照)には高い遮光性を必要としない。遮光性をOD(Optical Dencity)値とよばれる光学濃度では、2以上3以下の範囲で十分である。黒色色材の濃度を2以下に設定することで、例えば、10μm以上の厚みのあるものを第1隔壁1とすることもできる。光学濃度を4以上としても良いが、露光時間等の工程負荷を増やすことになるので望ましくない。光学濃度が1以下の場合、アルミニウムなど反射率の高い反射電極からの外光反射が視認されると、表示装置の画質低下につながる。この様なことから、カーボンなど黒色色材濃度やその膜厚は、上記光学濃度の範囲に設定できる黒色色材濃度内で設定する。
【0032】
第1隔壁1の、第1基板100の法線方向における膜厚(隔壁高さ)は、例えば、2μm以上50μm以下とすることができる。
【0033】
光吸収性の黒色色材として、カーボンのほか、カーボンファイバー、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノブラシなどを適用できる。さらには、さらに青色顔料など有機顔料を添加しても良い。チタンブラックなど金属酸化物を加えても良い。熱伝導率の高いカーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、グラフェン、グラファイトなどカーボン系材料を添加することができる。
【0034】
以上の隔壁に関わる特徴は、第1隔壁1、第2隔壁2(図8、9参照)に共通である。第1隔壁1と第2隔壁2は、それぞれ平面視、格子状のパターンであり、第1方向(X方向)、第2方向(Y方向)(図1参照)に、それぞれ、同じ線幅で、同じピッチで形成されている。換言すれば、平面視において、それぞれ、第1方向、第2方向に、複数の画素開口部20が同じ大きさで、同じピッチで備えられている。第1ブラックマトリクス層と後述する光反射性マトリクスのパターン、それぞれも画素開口部を区画する格子状パターンとすることで、第1方向(X方向)、第2方向(Y方向)それぞれ隣接画素への迷光の影響を少なくして表示品位を向上できる。マトリクスパターンの両方がストライプパターンである場合は、そのストライプパターンの延線方向の隣接画素に迷光の悪影響が出やすい。
【0035】
[カラーフィルタ]
第1基板100上に、カラーフィルタ(赤フィルタR、緑フィルタG、青フィルタB)と、第1隔壁1と、をこの順で積層することができる。赤フィルタR、緑フィルタG、青フィルタBは、平面視、それぞれ画素開口部20に配設される。ただし、カラーフィルタ3及び後述する平坦化層4、第1隔壁1などの構成部材は、第1基板100上に形成することができる。
【0036】
赤フィルタR、緑フィルタG、青フィルタBに代表されるカラーフィルタは、下記する有機顔料のアクリルなど樹脂への分散体で形成される。
【0037】
本発明に適用できる赤色の有機顔料は、例えば、C.I.Pigment Red 7、14、41、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、81:4、146、168、177、178、179、184、185、187、200、202、208、210、246、254、255、264、270、272、279等の赤色顔料を用いることができる。赤フィルタRには黄色顔料や橙色顔料を併用することもできる。
【0038】
本発明に適用できる黄色の有機顔料は、C.I. Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、147、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、187、188、193、194、199、198、213、214等が挙げられる。
【0039】
緑色の有機顔料には、例えば、C.I.Pigment Green 7、10、36、37等の緑色顔料を用いることができ、黄色顔料を併用することもできる。ハロゲン化亜鉛フタロシアニン緑色顔料やハロゲン化アルミニウムフタロシアニン緑色顔料を好適に用いることができる。
【0040】
青色の有機顔料には、例えば、C.I.Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64等の青色顔料を用いることができ、紫色顔料を併用することもできる。紫色顔料としては、C.I.PigmentViolet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等が挙げられる。
【0041】
これら有機顔料は、有機溶剤や分散剤とともに透明樹脂に分散して用いる。透明樹脂は、可視域の透過率が90%以上の透明樹脂であることが望ましく、樹脂の前駆体を含むアルカリ可溶性の感光性樹脂であることが望ましい。前記顔料は、樹脂に対し、15質量%から45質量%の範囲内で含有させることができる。
【0042】
感光性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する線状高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該線状高分子に導入した樹脂が用いられる。
【0043】
カラーフィルタ(赤フィルタR、緑フィルタG、青フィルタB)上には、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂などに代表される透明樹脂による平坦化層4を積層することができる。平坦化層4には、紫外線吸収剤を添加しても良い。
【0044】
[波長変換層、光散散乱層]
本発明に関わるカラーフィルタ基板には、図8図9に示すように、光散乱層12あるいは、波長変換層14、15、16を配設できる。
例えば、図9に示す発光素子D4が、全て青色の単色発光LED(青色LED)である場合、隔壁1、2の間に波長変換層14、15、16を配設する。
【0045】
ここで波長変換層14、15、16は、例えば、青色光を赤色光に変える赤色変換粒子、青色光を緑色光に変える緑色変換粒子、光を散乱させる透明粒子を混合して用いることができる。
【0046】
青色LEDを光源とする場合、例えば、赤フィルタR上に配設する波長変換層14は、赤色変換粒子の樹脂分散体を波長変換層14とする事ができる。緑フィルタG上に配設する波長変換層15は、緑色変換粒子の樹脂分散体を用いることができる。青フィルタ上の波長変換層16は、青色を変換して青色にする必要性は低いので、透明粒子の樹脂分散体
(光散乱層)とすることができる。
【0047】
また、赤フィルタR下部の発光素子D1が赤色発光素子であり、緑フィルタG下部の発光素子D2が緑色発光素子であり、さらに、青フィルタB下部の発光素子D3が青色発光素子D3である場合、波長変換層14、15、16の代わりに、図8に示した様に、すべて光散乱層12とすることができる。
【0048】
ここで波長変換とは、LEDや有機ELなどの発光素子からの1次発光を受けて、2次光として可視光領域の異なる波長へ変換することを言う。青色や紫外光などの短い波長から、青色、緑色、赤色など長い波長の光へ変換するダウンコンバージョンが一般的である。
【0049】
波長変換に用いる材料は、量子ドットと呼称され、量子閉じ込め効果を持つナノメートルサイズの半導体微粒子(以下、量子ドットと記載)と、希土類(レアアース)と呼ばれるEu(ユーロピウム)、Ce(セリウム)、Y(イットリウム)など賦活材を添加した複合酸化物や窒化物で代表される蛍光体(以下、蛍光体)とに区分できる。
【0050】
蛍光体は、平均粒径が0.5μmから30μmと大きいが、高温・高圧下での製造工程を経ることもあって耐熱・耐光性など信頼性が高い。
【0051】
量子ドットには、MgS、MgSe、MgTe、CaS、CaSe、CaTe、SrS、SrSe、SrTe、BaS、BaSe、BaTe、ZnS、ZnSe、ZnTe、CdS、CdSe、CdTe、HgS、HgSe及びHgTeのようなII-VI族化合物半導体、AlN、AlP、AlAs、AlSb、GaAs、GaP、GaN、GaSb、InN、InAs、InP、InSb、TiN、TiP、TiAs及びTiSbのようなIIIV族化合物半導体、Si、Ge及びPbのようなIV族半導体等を含有する半導体結晶の他、InGaPのような3元素以上を含んだ化合物半導体が挙げられる。量子ドットのサイズは、例えば、0.5nmから30nmの範囲内にあり、粒子サイズを大きくすることにより変換光が長波長側へシフトする。
【0052】
波長変換層には、上記したように、さらに光散乱粒子を透明粒子として混合することができる。あるいは透明粒子のみの樹脂分散体で光散乱膜とできる。透明粒子には、前記したように、例えば、平均粒径が1μm以上3.0μm以下の透明粒子を適用できる。透明粒子には、光学的に等方な透明粒子を用いることができる。「光学的に等方」とは、本発明の実施形態に適用される透明粒子が、結晶のa軸、b軸、c軸が各々等しい結晶構造を有するか、もしくは、アモルファスであって、光の伝播が結晶軸あるいは結晶構造に影響を受けず等方であることを意味する。シリカ粒子は、非晶質構造(アモルファス)を有する。樹脂ビーズ等の樹脂の粒子として、屈折率を含めて様々な性質を有する粒子が知られており、これらの粒子を合わせ用いることができる。アクリル、スチレン、ウレタン、ナイロン、メラミン、ベンゾグアナミンなどの樹脂の粒子を併用してもよい。光散乱層12には、例えば、平均粒径(動的光散乱法による体積平均径、以後も同じ。)が1.0μm以上3.0μm以下のミクロン単位の大きさの光散乱粒子を用いることが好ましい。つまり、可視光の波長より大きな粒子径を有する粒子を用いることにより、光散乱層12として適切な光散乱性を得やすい。また、平均粒径が0.2μm前後、あるいは0.1μm以下の透明微粒子を分散助剤の観点で併用しても良い。上記透明粒子8や透明微粒子を透明樹脂に、あるいは紫外線吸収剤を含む樹脂に分散させて光散乱層12とすることができる。光散乱層の厚みは、2μm以上50μm以下とすることができ、光散乱層に用いる透明粒子(光散乱粒子)の粒径は光の波長より数倍大きな粒径、即ち、2μm以上とすることが好ましい。光の波長より小さい透明粒子では十分な光散乱性を確保しづらい。光散乱層を50μm以上厚みとしても良いが、50μmより厚くすることによる散乱性の向上は少ない。可視域透明で、390nm以下の紫外線を吸収できる酸化亜鉛の透明粒子、透明微粒子を用いることもできる。なお、本発明の記載において、平均1次粒径1μm以上の大きさの粒子を透明粒子とし、平均1次粒子径0.2μm以下の大きさの粒子を透明微粒子としている。むろん、透明粒子と透明微粒子の間の大きさの粒子を併用しても良い。
【0053】
波長変換層の厚みは、2μm以上50μm以下とすることができ波長変換に用いる蛍光体の粒径は光の波長より数倍大きな粒径、即ち、2μm以上とすることが好ましい。50μmより厚く形成することもできるが、50μmより厚くする場合にその厚み方向の蛍光体粒子の数が大きくなりすぎることによる変換効率の低下がありえる。むしろ、厚く形成することによる工程負荷、例えば塗布・乾燥などの作業時間に無駄を発生しやすい。第1隔壁層1の厚みを、波長変換層の厚みに合わせることもできる。
【0054】
円偏光板や偏光板を用いる必要性のない表示装置では、透明粒子が光学的等方である必要性はなくなり、透明粒子の選択範囲を広げることができる。例えば、波長変換層に添加できる透明粒子に、酸化亜鉛の粒子を用いることができる。酸化亜鉛は、400nmから700nmの可視域において、高い透過率を持つとともに390nm以下の紫外線を吸収できる。こうした観点から、円偏光板を用いない表示装置では、酸化亜鉛の透明粒子、透明微粒子をもちいることは意味がある。
【実施例
【0055】
<実施例1>
図1図2図3図4図5図6及び図7を用いて実施例1を説明する。従来例として、図10に示す一般的なカラーフィルタ基板140の説明を以下に加える。
【0056】
図1は、本発明の実施例1に関わる表示装置の部分断面図である。
図2は、実施例1の表示装置に適用されるカラーフィルタ3(図1参照)の部分平面図である。
図3は、図2にさらにマトリクス状の隔壁1を積層したカラーフィルタ3の部分平面図である。
図4及び図5は、隔壁の幅W1、W2が、隣接画素に与える混色状況の説明断面図である。
図6は、仮想中心点C0からカラーフィルタの隣接部点C4に延線される直線と、法線10とのなす角θmの説明断面図である。
図7は、仮想中心点C0から隔壁1のカド部C1に延線される直線L1と、法線10とのなす角θxの説明断面図である。
【0057】
図1に示すように、第1基板100上(図示上は第1基板の下部)には、それぞれストライプパターン状の赤フィルタR、緑フィルタG、青フィルタBが隣接されて配設されている。図2に示すように、赤フィルタRと緑フィルタG、緑フィルタGと青フィルタB、および、青フィルタBと赤フィルタR、の境界には、それぞれ隣接部8を備える。例えば、隣接部8は、それぞれ異なる色のフィルタとのミクロン単位の重なり領域を持たせることができる。図1などの部分断面図において、第1基板100に接する隣接部8を、隣接部点C4と呼称することがある。
【0058】
図1に示すように、カラーフィルタ(赤フィルタR、緑フィルタG、青フィルタB)3上には、平坦化層4が積層され、平坦化層4上、かつ、平面視において、隣接部8と重なる様に第1隔壁1が形成されている。
【0059】
図10は、従来のカラーフィルタ基板140を示している。従来の、一般的なカラーフィルタでは、ブラックマトリクスBMを先付けし、ブラックマトリクスBM上にカラーフィルタR、G、Bを積層する。ブラックマトリクスBMの膜厚は、1~2μm程度あり、
このブラックマトリクスBMの膜厚の影響を受けてカラーフィルタ積層時に突起Dを生じる。一方、図1に示す、本発明に関わるカラーフィルタ3では、ブラックマトリクス起因の突起はなく、平坦性の高いカラーフィルタ3を提供できる。その為、突起による影響を受ける事無く、高い精度で第1隔壁1の形成が可能となる。
【0060】
図10に示す従来のカラーフィルタ基板140を用いた表示装置250では、ブラックマトリクスBMの位置が光源から遠いため、発光素子D’からの画素開口部20への出射光はθ31とθ32で示されるやや小さな配向角となる。また、BとRで示されるカラーフィルタに対応する画素の隣接画素への迷光入射領域N1、N2があり、混色やコントラスト低下に結び付くことが理解できる。
【0061】
図1に示す本発明に関わる表示装置150は、第1隔壁1がカラーフィルタ3上に形成され、第1隔壁1が発光素子D1に近い位置にあるため、発光素子D1からの画素開口部20への出射光はθ01とθ02で示される大きな配向角となり明るい表示となることが理解できる。発光素子D1の表面の中央には、仮想の中心点(仮想中心点C0)が位置する。
【0062】
図1に示されるように、ひとつの画素開口部20での、平坦化層4に接する第1隔壁1のカドの部位をカド部C1と呼ぶことにする。図示上、画素開口部20の下部に位置する発光素子D1の仮想中心点C0と、このカド部C1を結ぶ直線L1が隣接画素を通過しない構成とすれば隣接画素(図1では、B、Rと記載されるカラーフィルタに対応する画素)の混色影響を回避できる。換言すれば、ひとつの画素開口部20において、仮想中心点C0から、第1隔壁1の平坦化層4に接するカド部C1を結ぶ直線L1の延線は同じひとつの画素開口部20内を通過する。この構成にて、カラーフィルタ3の厚み方向に関連する混色を回避する事ができる。
【0063】
本発明において、図1に示す様に、第1隔壁1はカド部C1と対向する位置に対頂点C2を持つ。第1隔壁1は、カド部C1と対頂点C2を結ぶ直線の第1基板100の法線への正射影の長さに相当する厚みを持つ。この第1隔壁1の厚みは、隔壁の高さと言い換えても良い。
この第1隔壁1の厚みは、第1基板100の法線方向において、平坦化層4の表面から対頂点C2が、第1基板100と対向して配置された、第2基板200の表面に接触する距離までの範囲内とすることができる。
【0064】
図1において、仮想中心点C0と第1隔壁1の対頂点C2を結ぶ直線L2は、隣接する画素開口部20のカド部C3を通る。直線L2以外の進路を進む光は、第1隔壁1に当たる事になり、それ以上進む事は出来ない。その為、隣接する画素内を通過することが無い。このことは混色を避ける観点から重要である。
【0065】
以上は、第1隔壁1の厚み(高さ)の混色等に関わる影響を説明した。以下に、第1隔壁1の幅の影響を、図4図5図6図7を用いて説明する。なお、第1隔壁1の厚みは、図1において、第1基板100の法線方向であるZ方向の厚み(あるいは第1隔壁1の高さ)を指し、第1隔壁1の幅とはX方向の第1隔壁1の幅を指す。なお、赤フィルタR、緑フィルタG、青フィルタBのそれぞれの隣接部8は、X方向において第1隔壁1の幅を二等分する位置に配置されている。
【0066】
第1隔壁1の幅の影響は、シミュレーションで確認できる。なお、以下に説明するシミュレーションでは、平面視で、画素開口20の中央に発光素子D1が配置されており、この発光素子20の仮想中心点C0からの隔壁厚み(高さ)をcとし、平坦化層4を含むカラーフィルタ3の厚みをbとしている(図6図7参照)。画素開口部20の幅をdとし、第1隔壁1の幅をeとしている。画素ピッチをaとするが、aは画素開口幅dに第1隔壁幅eを加算することで算出できる。なお、後述する表示装置の実施例では、一対の第1隔壁1の間、即ち画素開口部20に、光散乱層や波長変換層を挿入した実施例を説明している。これら光散乱層や波長変換層を用いた場合にも、おおまかにはシミュレーション結果を適用でき、迷光の影響の差異は小さい。
【0067】
発光素子D1から出射光の配向角θm(図6参照)と、配向角θx(図7参照)は、式(1)と式(2)で表す事ができる。
θm=(180/π)×[π/2-tan-1{2(b+c)/a}] ・・・(1)
θx=(180/π)×[π/2-tan-1{2c/d}] ・・・(2)
上記関係式において、θm、θxの単位はデグリー(度)である。
【0068】
図6に配向角θmを図示している。配向角θmは、仮想中心点C0から隣接部点C4までの直線が法線10となす角度である。即ち、配向角θmの角度が大きくなると、平坦化層4を含むカラーフィルタ3の厚みを介して隣接画素(図6ではG)に発光素子D1からの出射光が入り込み、混色原因となる。発光素子D1からの出射光が、カラーフィルタ3の隣接画素の隣接部点C4を超える配向角θmとなると混色となる。言い換えれば、配向角θmが、混色の閾値となる。
【0069】
図7に発光素子D1の発光素子の発光面の中心点C0とカド部C1を結ぶ直線L1と発光素子の発光面の中心点C0を通る垂直線がなす配光角θxを示す。配光角θxは以下の(3)式の条件を満たす時に混色の発生のない隔壁として機能する。
θx<θm ・・・(3)
【0070】
次に、隔壁高さ(厚み)と混色の関係を説明する。表1は、画素開口20の幅dを32.0μmとしたとき、隔壁幅eに対応する最低限必要な隔壁高さ(下限値)を示している。つまり、隔壁幅eを厚くすれば、隔壁高さを低くしても、隣接画素への迷光が減り、隣接画素への混色が無くなる。
【0071】
画素開口幅32.0μmでの条件下で、隔壁幅(第1隔壁1の幅)eが、例えば、5μmであるとき、直線L2方向での混色を発生させない最低の隔壁高さcは16.0μmである。
【0072】
【表1】
【0073】
次に、表2は、画素開口20の幅dを10.0μmとしたとき、隔壁幅eに対応する最低限必要な隔壁高さ(下限値)を示したものである。
【0074】
【表2】
【0075】
<実施例2>
次に、図8を用いて、実施例2を説明する。
実施例2の表示装置160に適用するカラーフィルタ基板120は、実施例1のカラーフィルタ基板110と主に以下の2点で異なる。
【0076】
(1)実施例2のカラーフィルタ基板120の隔壁1、2は、それら隔壁間に光散乱層1
2を具備している。光散乱層12は、発光素子D1、D2、D3からの出射光を散乱させて視野を拡げる役割を持つ。光散乱層12の厚みは、2μm以上50μm以下とすることができ、光散乱層12に用いる透明粒子(光散乱粒子)の粒径は光の波長より数倍大きな粒径、即ち、2μm以上とすることが好ましい。光散乱層12は、隔壁1、2の厚みH1、H2の一部に相当する厚みであっても良い。あるいは、隔壁1、2の厚み方向に隔壁間を埋めるような光散乱層であってよい。
【0077】
発光素子D1、D2、D3は、赤・緑・青の3波長を発光させる白色発光の発光素子であっても良い。白色発光の発光素子は、例えば、赤及び緑波長変換粒子を積層した青色発光素子のLEDチップを用いることができる。あるいは、赤フィルタR下部の発光素子D1には赤色発光素子、緑フィルタG下部の発光素子D2には緑色発光素子、青フィルタB下部の発光素子D3には青色発光素子をそれぞれ用いても良い。
【0078】
(2)実施例2の隔壁1、2は、2種類の厚み(高さ)H1、H2で形成している。
第1隔壁1は、たとえば、平坦化層4の表面から第2基板200の表面までの厚みとすることで、カラーフィルタ基板120と第2基板200とのスペーサとして用いることができる。カラーフィルタ基板120と第2基板200との柔軟な貼り合わせを目的として、第1隔壁1よりわずかに薄い第2隔壁2を設けることができる。厚みH1とH2の差Gapや第1隔壁1の数は、目的とする柔軟性に合わせて調整すれば良い。
【0079】
図8に示す表示装置160に具備される表示機能層は、それぞれ複数の発光素子D1、D2、D3を具備している。発光素子D1、D2、D3は、LEDや有機ELなどの発光素子であって良い。これら発光素子は、個別に薄膜トランジスタで駆動することができる。
上記(2)で示した厚みの異なる2種類の隔壁は、例えば、表示機能層が液晶であり、かつ、第2基板上に液晶を駆動する複数の薄膜トランジスタを配設する液晶表示装置に好適に適用できる。
【0080】
<実施例3>
図9を用いて、実施例3を説明する。
実施例3の表示装置170に適用するカラーフィルタ基板130は、実施例1のカラーフィルタ基板110と以下に説明する(3)の点で異なる。
【0081】
(3)実施例3のカラーフィルタ基板130の隔壁1、2は、それら隔壁間に波長変換層
14、15、16を具備している。波長変換層14、15、16は、発光素子D4からの出射光を散乱させて視野を拡げる役割を持つ波長変換層14、15、16の厚みは、2μm以上50μm以下とすることができ、波長変換層14、15、16の波長変換粒子として蛍光体を用いる場合の波長変換粒子の粒径は、光の波長より数倍大きな粒径、即ち、2μm以上とすることが好ましい。波長変換層14、15、16は、隔壁1、2の厚みH1、H2の一部に相当する厚みであっても良い。あるいは、隔壁1、2の厚み方向に隔壁間を埋めるような光散乱層であってよい。波長変換粒子として、蛍光体でなく量子ドットを用いる場合、量子ドットの粒径は、蛍光体の場合より微細な粒径とすることができる。
【0082】
発光素子D4は、青色発光素子あるいは近紫外の発光素子を用いることができる。青色発光素子を実施例3の表示装置130に適用する場合、波長変換層14、15、16は、青色光を赤あるいは緑に変換する波長変換粒子、あるいはこれら波長変換粒子にさらに透明粒子をともに分散させた波長変換層とすることができる。
【0083】
図9において、波長変換層14、15、16は、青色光を赤あるいは緑に変換する波長変換粒子と透明粒子を含む透明樹脂分散体で構成する事ができる。
【0084】
即ち、赤フィルタR下部の波長変換層14を赤色変換粒子の分散体として、緑フィルタG下部の波長変換層15を緑色変換粒子の分散体として、青フィルタB下部の波長変換層16を青色変換粒子の分散体とすることができる。
【0085】
また、青フィルタB下部の発光素子が青色発光素子である場合、青フィルタB下部の波長変換層16はたんに光散乱層であっても良い。
【0086】
上述の実施形態に係るカラーフィルタ基板を具備した表示装置は、種々の応用が可能である。上述の実施形態に係る表示装置が適用可能な電子機器としては、携帯電話、携帯型ゲーム機器、携帯情報端末、パーソナルコンピュータ、電子書籍、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、ヘッドマウントディスプレイ、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤ等)、複写機、ファクシミリ、プリンター、プリンター複合機、自動販売機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、個人認証機器、光通信機器、ICカードなどの電子デバイス等が挙げられる。上記の各実施形態は、自由に組み合わせて用いることができる。本発明の実施形態に係る表示装置が搭載された電子デバイスには、さらにアンテナを搭載して通信や非接触での受電給電を行うことが望ましい。
【0087】
本発明の好ましい実施形態を説明してきたが、これらは本発明の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、およびその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、請求の範囲によって規定されている。
【符号の説明】
【0088】
1 ・・・ 第1隔壁
2 ・・・ 第2隔壁
3 ・・・ カラーフィルタ
4 ・・・ 平坦化層
5 ・・・ 隣接部C4への延線
6 ・・・ 画素1
7 ・・・ 画素2(隣接画素)
8 ・・・ (カラーフィルタの)隣接部
9 ・・・ 発光素子
10 ・・・ 法線
11 ・・・ 光散乱性粒子
12 ・・・ 光散乱層
13 ・・・ 波長変換粒子
14、15、16・・・波長変換層
20 ・・・ 画素開口部
100、300・・・ 第1基板
110、120、130・・・カラーフィルタ基板
140 ・・・ 従来のカラーフィルタ基板
150、160、170、250・・・表示装置
200、400・・・ 第2基板
a ・・・ 画素ピッチまたは画素開口の幅dと第1隔壁の幅eを合わせた長さ
b ・・・ 平坦化層4を含むカラーフィルタ3の厚み
c ・・・ 仮想中心点C0から平坦化層4の表面までの隔壁1の厚み又は高さ
d ・・・ 画素開口部20の幅
e ・・・ 隔壁1の幅
Blx ・・・ 隔壁細線部
Bly ・・・ 隔壁太線部
BM ・・・ 従来構成でのブラックマトリクス
C0 ・・・ 仮想中心点、または発光素子の発光面の中心点
C1、C3 ・・・ カド部
C2 ・・・ 対頂点
C4 ・・・ 隣接部点(カラーフィルタの隣接部が第1基板と接する点)
D ・・・ 突起または、段差
D1、D2、D3、D4・・・発光素子
H1、H2・・・隔壁の厚み(高さ)
L1 ・・・ (仮想中心点C0から隔壁のカド部C1に延線される)直線
L2 ・・・ (仮想中心点C0から隔壁の対頂点C2に延線される)直線
R ・・・ 赤フィルタ
G ・・・ 緑フィルタ
B ・・・ 青フィルタ
W1、W2・・・隔壁の幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10