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特許7559531搬送装置、画像形成装置および画像形成システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】搬送装置、画像形成装置および画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 7/14 20060101AFI20240925BHJP
【FI】
B65H7/14
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020203422
(22)【出願日】2020-12-08
(65)【公開番号】P2022090861
(43)【公開日】2022-06-20
【審査請求日】2023-06-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】吉村 和俊
(72)【発明者】
【氏名】小片 智史
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 政行
(72)【発明者】
【氏名】峰 英紀
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-87878(JP,A)
【文献】特開2015-108611(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メディアが搬送される搬送路と、
前記搬送路上の前記メディアを検知して第1特性データを生成する第1検知部と、
前記第1特性データと、前記搬送路から離れた位置に配置された前記メディアを検知して生成された第2特性データとを取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記第1特性データおよび前記第2特性データに関する情報を表示可能な表示部と、
第1ジョブに使用される前記メディアが前記搬送路を搬送されている間に、前記取得部が取得した前記第2特性データに基づいて、前記第1ジョブの後に実行される第2ジョブに使用される前記メディアが属するカテゴリーを決定可能な決定部と
を備える搬送装置。
【請求項2】
前記第2特性データを生成する第2検知部は、前記搬送装置の外側に配置されている、請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記第1特性データおよび前記第2特性データは、前記メディアの互いに同じ特性に関するデータを含む、請求項1または2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記第1特性データおよび前記第2特性データは、前記メディアの表面性、坪量および厚みの少なくともいずれか一つの同じ特性に関するデータを含む、請求項3に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記第1検知部は、前記第2ジョブに使用される前記メディアを検知して前記第1特性データを生成する、請求項1~4のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項6】
前記決定部は、前記取得部が取得した前記第2特性データと、予め記憶されたデータとを比較して、前記第2ジョブに使用される前記メディアが属する前記カテゴリーを決定する、請求項に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記取得部が取得した前記第2ジョブに使用される前記メディアの前記第1特性データと、前記第2特性データに基づいて決定された前記第2ジョブに使用される前記メディアが属する前記カテゴリーの情報とが整合するか否かを判断することにより、前記メディアの搬送動作を制御する実行制御部をさらに有する、請求項に記載の搬送装置。
【請求項8】
前記整合するか否かの判断基準は変更可能である、請求項に記載の搬送装置。
【請求項9】
前記取得部は、ネットワーク、および/または配線を介して前記第2特性データを取得する、請求項1~のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項10】
メディアが搬送される搬送路と、
前記搬送路上の前記メディアを検知して第1特性データを生成する第1検知部と、
前記第1特性データと、前記搬送路から離れた位置に配置された前記メディアを検知して生成された第2特性データとを取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記第1特性データおよび前記第2特性データに関する情報を表示可能な表示部と、
第1ジョブに使用される前記メディアが前記搬送路を搬送されている間に、前記取得部が取得した前記第2特性データに基づいて、前記第1ジョブの後に実行される第2ジョブに使用される前記メディアが属するカテゴリーを決定可能な決定部と、
前記搬送路を搬送された前記第1ジョブに使用される前記メディアに画像を形成する画像形成部と
を備える画像形成装置。
【請求項11】
前記第1検知部は、前記第2ジョブに使用される前記メディアを検知して前記第1特性データを生成する、請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記決定部は、前記取得部が取得した前記第2特性データと、予め記憶されたデータとを比較して、前記第2ジョブに使用される前記メディアが属する前記カテゴリーを決定する、請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記決定部により決定された前記第2ジョブに使用される前記メディアが属する前記カテゴリーに基づいて、前記画像形成部の条件を設定する条件設定部をさらに有し、
前記画像形成部は、さらに、前記条件設定部により設定された条件で、前記搬送路を搬送された前記第2ジョブに使用される前記メディアに画像を形成する、請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
請求項10~13のいずれかに記載の画像形成装置と、
前記画像形成装置の外側に配置されるとともに、前記第2特性データを生成する第2検知部と
を備える画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置、画像形成装置および画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真方式の画像形成装置が多分野で広く活用されてきている。たとえば、PP(プロダクションプリント)等の分野では、より多様なメディア(たとえば、用紙等の記録媒体)に適応する画像形成装置が求められる。これらの多様なメディアに対して高品質な画像形成を行うために、給紙トレイに収容しているメディアの種類を設定し、その設定に応じた条件で画像形成を行う方法が用いられている。たとえば、特許文献1では、画像形成装置内にメディアの特性を検知するためのセンサーを配置し、メディア検知を行う方法が提案されている。このメディア検知の結果に基づいて、画像形成のための種々の条件が設定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-29622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような画像形成装置ではメディア検知の効率を高めることが望ましい。これにより、メディア検知の結果に基づく種々の条件設定および画像形成を効率的に進めることが可能となる。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、メディア検知の効率を高めることが可能な搬送装置、画像形成装置および画像形成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0007】
(1)メディアが搬送される搬送路と、前記搬送路上の前記メディアを検知して第1特性データを生成する第1検知部と、前記第1特性データと、前記搬送路から離れた位置に配置された前記メディアを検知して生成された第2特性データとを取得する取得部とを備える搬送装置。
【0008】
(2)前記第2特性データを生成する第2検知部は、前記搬送装置の外側に配置されている、上記(1)に記載の搬送装置。
【0009】
(3)前記第1特性データおよび前記第2特性データは、前記メディアの互いに同じ特性に関するデータを含む、上記(1)または(2)に記載の搬送装置。
【0010】
(4)前記第1特性データおよび前記第2特性データは、前記メディアの表面性、坪量および厚みの少なくともいずれか一つの同じ特性に関するデータを含む、上記(3)に記載の搬送装置。
【0011】
(5)前記取得部が取得した前記第1特性データおよび前記第2特性データに関する情報を表示可能な表示部をさらに有する、上記(1)~(4)のいずれかに記載の搬送装置。
【0012】
(6)前記取得部が取得した前記第1特性データと、予め記憶されたデータとの比較に基づいて前記メディアが属するカテゴリーを決定する決定部をさらに有する、上記(1)~(5)のいずれかに記載の搬送装置。
【0013】
(7)前記決定部は、さらに、前記取得部が取得した前記第2特性データと、予め記憶された前記データとを比較して前記メディアが属する前記カテゴリーを決定する、上記(6)に記載の搬送装置。
【0014】
(8)前記取得部が取得した前記第1特性データと、前記第2特性データに基づいて決定された前記メディアが属する前記カテゴリーの情報とが整合するか否かを判断することにより、前記メディアの搬送動作を制御する実行制御部をさらに有する、上記(7)に記載の搬送装置。
【0015】
(9)前記整合するか否かの判断基準は変更可能である、上記(8)に記載の搬送装置。
【0016】
(10)前記取得部は、ネットワーク、および/または配線を介して前記第2特性データを取得する、上記(1)~(9)のいずれかに記載の搬送装置。
【0017】
(11)メディアが搬送される搬送路と、前記搬送路上の前記メディアを検知して第1特性データを生成する第1検知部と、前記第1特性データと、前記搬送路から離れた位置に配置された前記メディアを検知して生成された第2特性データとを取得する取得部と、前記搬送路を搬送された前記メディアに画像を形成する画像形成部とを備える画像形成装置。
【0018】
(12)前記取得部が取得した前記第1特性データと、予め記憶されたデータとの比較に基づいて前記メディアが属するカテゴリーを決定する決定部をさらに有する、上記(11)に記載の画像形成装置。
【0019】
(13)前記決定部は、さらに、前記取得部が取得した前記第2特性データと、予め記憶された前記データとを比較して前記メディアが属する前記カテゴリーを決定する、上記(12)に記載の画像形成装置。
【0020】
(14)前記決定部により決定された前記メディアが属する前記カテゴリーに基づいて、前記画像形成部の条件を設定する条件設定部をさらに有する、上記(12)または(13)に記載の画像形成装置。
【0021】
(15)上記(11)~(14)のいずれかに記載の画像形成装置と、前記画像形成装置の外側に配置されるとともに、前記第2特性データを生成する第2検知部とを備える画像形成システム。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る搬送装置、画像形成装置および画像形成システムによれば、第1検知部により生成された第1特性データに加えて、第2特性データが取得される。これにより、第1検知部が第1特性データを生成できない期間であっても、第2特性データを取得することが可能となる。よって、メディア検知の効率を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施形態に係る画像形成システムの構成を示すブロック図である。
図2図1に示した画像形成システムの概略構成を示す図である。
図3図2に示した画像形成装置内部のセンサーユニット周辺の側面図である。
図4図2に示した画像形成装置外部のセンサーユニットの外観を示す斜視図、および側面図である。
図5図4に示したセンサーユニットの断面図、および下部筐体における検知領域等を示す模式上面図である。
図6図1に示した制御部の機能構成を示すブロック図である。
図7図1に示した画像形成システムによる印刷処理の一例を示すフローチャートである。
図8図7に示したステップS02のサブルーチンを示すフローチャートである。
図9図1に示した表示部の表示画像の一例を示す図である。
図10図7に示したステップS05のサブルーチンを示すフローチャートである。
図11】湿度と用紙の剛度との関係を表す図である。
図12図8に示したステップS103のサブルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。図面においては、上下方向をZ方向、画像形成装置の正面、背面方向をX方向、これらのX、Z方向に直交する方向をY方向とする。X方向は、幅方向ともいう。本実施形態においては、メディア(記録媒体)には、印刷用紙、各種フィルムが含まれる。特に印刷用紙としては、植物由来の機械パルプ、および/または化学パルプを用いて製造されたものが含まれる。また記録媒体の種類としては、グロス紙、マット紙、普通紙、高光沢紙、等が含まれる。以下においては、メディアのことを、単に用紙ともいう。
【0025】
<実施形態>
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成システム1の構成を表すブロック図であり、図2は、画像形成システム1の構成を模式的に表す断面図である。画像形成システム1は、画像形成装置10と、この画像形成装置10に通信可能に接続されたセンサーユニット80とを有している(図1)。画像形成装置10は、制御部11、記憶部12、画像形成部13、給紙搬送部14、操作パネル15、通信部16、センサーユニット18、温湿度センサー19および給紙ユニット20を含んでいる。これらは信号をやり取りするためのバス等の信号線を介して相互に接続されている。画像形成システム1では、たとえば、給紙搬送部14または給紙ユニット20から搬送された用紙300に画像が形成される。ここでは、画像形成装置10が本発明の搬送装置および画像形成装置の一具体例に対応する。
【0026】
(制御部11)
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read only Memory)およびRAM(Random Access Memory)等により構成されている。制御部11は、ROMまたは記憶部12に格納されているプログラムを実行することで、各種処理を実行し、プログラムにしたがって画像形成システム1の制御および各種の演算処理を行う。
【0027】
(記憶部12)
記憶部12は、予め各種プログラムおよび各種データを格納するハードディスク等の補助記憶部からなる。また、記憶部12は、各給紙トレイに収納されている用紙情報を記憶する。用紙情報としては、用紙の銘柄、サイズ(用紙幅、用紙長)、坪量(斤量)、用紙種類(コート紙、普通紙、上質紙、ラフ紙等)の情報が含まれ、用紙登録処理(後述の図12等)により設定されたものである。また、記憶部12は、用紙銘柄、または紙種の判定に用いる学習済みモデル、およびペーパープロファイル(何れも後述する)が記憶されていてもよい。
【0028】
(画像形成部13)
画像形成部13は、たとえば電子写真方式により画像を形成する。画像形成部13は、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の基本色のそれぞれに対応した書込部131、感光体ドラム132、および各色のトナー、キャリアからなる2成分現像剤を収容する現像器133等を有している(図2)。また、画像形成部13は、さらに、中間転写ベルト134、2次転写部135および定着部136を有している。各色の現像器133により、感光体ドラム132上に形成されたトナー画像は、中間転写ベルト134上で重ね合わせされ、2次転写部135において搬送された用紙300に転写される。用紙300上のトナー画像は下流側の定着部136で加熱、加圧されることで用紙300上に定着される。
【0029】
(給紙搬送部14)
給紙搬送部14は、複数の給紙トレイ141、142および搬送路143、144および排紙トレイ145を含んでいる。給紙トレイ141、142各々には、たとえば、複数枚の用紙300が積載されている。搬送路143は、給紙トレイ141、142各々から画像形成部13を経て排紙トレイ145に用紙300を搬送するための経路であり、複数の搬送ローラー対、およびこれらの搬送ローラー対を駆動する駆動モーター(図示せず)を含んでいる。この搬送路143には、センサーユニット18が配置されている。センサーユニット18近傍の搬送路143は、たとえば、対向する板金(たとえば、後述の図3の下ガイド板181、上ガイド板182)等の間に形成されている。給紙搬送部14は、たとえば、給紙トレイ141、142内に積載された複数枚の用紙300のうち最上位の用紙を送り出す送出しローラーを有している。給紙トレイ141、142内の用紙300は、たとえば、この送出しローラーによって、1枚ずつ搬送路143に送り出される。搬送路143を用紙300が通る。
【0030】
搬送路144は、両面画像形成用の搬送路であり、画像形成部13で片面に画像形成された用紙300が搬送路144に搬送されるようになっている。搬送路144は、搬送路143と同様に、複数の搬送ローラー対、およびこれらの搬送ローラー対を駆動する駆動モーター(図示せず)を含んでいる。搬送路144に搬送された用紙300は、スイッチバック経路で表裏を反転された後、搬送路143に合流し、再び画像形成部13で用紙300のもう一方の面に画像形成される。画像形成された用紙300は、排紙トレイ145上に排出される。
【0031】
(操作パネル15)
操作パネル15はタッチパネル、テンキー、スタートボタン、ストップボタン等を備えており、画像形成装置10または画像形成システム1の状態を表示し、ユーザーからの給紙トレイ141等に載置した用紙の種類等の設定、指示の入力に使用される。ここでは、この操作パネル15が、本発明の表示部の一具体例に対応する。
【0032】
(通信部16)
通信部16は、USB(Universal Serial Bus)ケーブル、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN(たとえばIEEE802.11規格に準拠したLAN)、等により、センサーユニット80、PC端末、等の外部の他の装置と通信する。
【0033】
(センサーユニット18)
搬送路143に設けられたセンサーユニット18は、搬送路143上の用紙300の特性を検知する。センサーユニット18、80は、いわゆるメディアセンサーであり、センサーユニット18、80による用紙300の検知結果に基づいて、用紙300の用紙登録および画像形成条件の設定が行われる。画像形成装置10の内部、より具体的には、搬送路143に設けられたセンサーユニット18はインライン方式のメディアセンサーである。ここでは、このセンサーユニット18が本発明の第1検知部の一具体例に対応する。
【0034】
このセンサーユニット18では、印刷ジョブに使用する給紙トレイ(給紙トレイ141、142、241、242、243)にセット(装填)済の用紙300が検知される。即ち、リアルタイムで用紙300を検知することができるので、メディア検知および画像形成をスムーズに進めることができる。
【0035】
図3は、センサーユニット18の構成を示す側面図である。センサーユニット18は、たとえば、紙厚センサー40、坪量センサー50、表面性センサー60、および用紙押圧機構70を有している。たとえば、搬送方向の上流側に紙厚センサー40が配置されており、紙厚センサー40よりも搬送方向下流側に坪量センサー50、表面性センサー60、および用紙押圧機構70が配置されている。坪量センサー50および表面性センサー60は、たとえば、搬送方向の同じ位置に、幅方向(X方向)に並んで配置されている。たとえば坪量センサー50が手前側に配置され、表面性センサー60が奥側に配置されている。表面性センサー60および用紙押圧機構70は、Z方向に対向して配置されており、たとえば、搬送路143の上側に表面性センサー60が配置され、下側に用紙押圧機構70が配置されている。搬送路143には、上流側から順に搬送ローラー対41、186、187が配置されている。センサーユニット18近傍では、Z方向に対向する下ガイド板181と上ガイド板182との間を通って用紙300が搬送される。
【0036】
(紙厚センサー40)
紙厚センサー40は、用紙300の厚みを検知する。この紙厚センサー40は、たとえば、搬送ローラー対41および変位センサーを有している。紙厚センサー40では、搬送ローラー対41のニップに用紙300を搬送することにより、用紙300の厚みに応じて変位する従動ローラー(搬送ローラー対41の一方)の軸位置が測定される。搬送ローラー対41は、たとえば、下側のローラーが固定(軸中心が固定)の駆動ローラーで、上側がその駆動ローラーに向けて離接可能に付勢された従動ローラーである。この上側のローラーの高さが、変位センサーにより検出される。変位センサーは、たとえば、上側のローラー軸に接触するアクチュエータ(検出レバー)と、このアクチュエターの回転量を測定するエンコーダーとにより構成されている。紙厚センサー40からは、たとえば、用紙300の厚み(ミクロン)が用紙特性の測定結果として出力される(以下では、「紙厚」ともいう)。
【0037】
(坪量センサー50)
坪量センサー50は、用紙300の坪量に応じた物性値を検出する透過型の光学式センサーである。この坪量センサー50は、たとえば、搬送路143の下方に設けられた発光部と、上方に設けられた受光部とを有しており、用紙300を透過する光の減衰量(透過率)を測定する。坪量センサー50からは、たとえば、透過率が用紙特性の測定結果として出力される(以下では、単に「坪量」ともいう)。
【0038】
(表面性センサー60)
表面性センサー60は、たとえば、筐体、発光部、コリメートレンズ、および複数の受光部を有しており、以下に説明するように用紙表面からの正反射光および拡散反射光を光学的に検出する。上ガイド板182には開口部(測定領域)が設けられている。この開口部は、受光部の照射領域になる。開口部まで搬送された用紙300は、一時停止する。その状態で下側から用紙押圧機構70により押さえられ、用紙300は位置決めされる。開口部内の基準面は、上ガイド板182の下面を含む仮想面であり、測定時には、基準面に被測定物であるこの位置決めされた用紙300の表面が配置される。発光部からはコリメートレンズにより略平行にされた照射光が、基準面に対して入射角75°で照射される。照射光の波長としてはたとえば465nmである。複数の受光部は、正反射光、および拡散反射光を受光する。受光部は、たとえば、反射角30度(拡散反射光用)、60度(拡散反射光用)、75度(正反射光用)の3箇所、60度および75度の2箇所、または、30度および75度の2箇所に配置されている。表面性センサー60からは、この受光部の信号が用紙特性の測定結果として出力される(以下では「表面性」ともいう)。
【0039】
(用紙押圧機構70)
用紙押圧機構70は、下ガイド板181の下方に配置されている。用紙押圧機構70は、上述のように、表面性センサー60により用紙特性を検知する際に、用紙を押さえる役割を担っている。用紙押圧機構70は、たとえば、押圧部、駆動モーターおよびカム機構等を有している。押圧部の上面は、駆動モーターの駆動により上下動する、下ガイド板181と並行な平面であり、通常の通紙時は、下ガイド板181と略同面であるが、測定時には、上昇し、用紙300を表面性センサー60側に押し付ける。押し付けた状態では、用紙300の搬送は停止する。
【0040】
このように、センサーユニット18は、搬送路143に用紙300を搬送させることにより、紙厚、坪量および表面性に関する用紙300の特性データ(以下、第1特性データという。)を生成する。制御部11が、この第1特性データを取得し、第1特性データに基づいて用紙300の用紙登録および画像形成条件の設定を行う。
【0041】
(温湿度センサー19)
温湿度センサー19は、温度センサー、および湿度センサーを含み、画像形成装置10周辺の温湿度を測定する。
【0042】
(給紙ユニット20)
給紙ユニット20は給紙搬送部24を有している(図2)。また、給紙ユニット20は、給紙搬送部24の他に、制御部、記憶部、および画像形成装置10と通信する通信部(何れも図示せず)を有しており、これらは信号をやり取りするためのバス等の信号線を介して相互に接続されている。給紙搬送部24は、複数の給紙トレイ241、242、243、および搬送路244を有している。給紙トレイ241、242、243各々から搬送路244および搬送路143を介してセンサーユニット18および画像形成部13に搬送される。
【0043】
(センサーユニット80)
センサーユニット80は、いわゆるオフライン方式のメディアセンサーであり、搬送路143から離れた位置、より具体的には、画像形成装置10の外部に設けられている。このセンサーユニット80は、センサーユニット18と同様の機能を有しており、用紙300の特性データ(以下、第2特性データという。)を生成する。オフライン方式のセンサーユニット80では、搬送路143を通過させずにメディア検知を行うことができるので、検知後の用紙300を画像形成に用いることができる。ここでは、このセンサーユニット80が本発明の第2検知部の一具体例に対応する。
【0044】
センサーユニット80により生成される第2特性データには、第1特性データと同じ特性に関するデータが少なくとも1つ含まれていることが好ましい。これにより、後述するように、所定の印刷ジョブに使用する用紙300の第1特性データと、第2特性データに基づく用紙設定に関する情報とを互いに照合することが可能となる。
【0045】
本実施形態では、このセンサーユニット80が通信部16を介して画像形成装置10に接続されており、センサーユニット80で生成された第2特性データが画像形成装置10に自動的に取得される。詳細は後述するが、これにより、センサーユニット80が第1特性データを生成できない期間であっても、画像形成装置10は第2特性データを取得し、第2特性データに基づいて用紙登録および印刷ジョブの予約設定を行うことが可能となる。
【0046】
センサーユニット80は、ネットワークを介して画像形成装置10に接続されていてもよく、あるいは、ケーブル等の配線を介して画像形成装置10に接続されていてもよい。
【0047】
図4(a)、図4(b)はそれぞれ、センサーユニット80の外観を示す斜視図、および側面図である。図5(a)は、センサーユニット80の内部構成を示す側面図であり、図5(b)は、センサーユニット80の下部筐体(後述の下部筐体82)における検知領域等を示す模式上面図である。
【0048】
センサーユニット80は、上部筐体81および下部筐体82を含んでいる(図4(a)、図4(b))。センサーユニット80の上部正面には、点灯有無により装置の状態を示すためのLED表示部88が配置されている。下部筐体82の上面はユーザーにより挿入される用紙300を載置する載置面S2である。測定時には、ユーザーは、用紙300を挿入口から手動で通紙領域800内に挿入する。このとき、用紙300は、載置面S2上を滑りながら挿入方向(Y方向)に沿って移動し、奥側の壁s3に突き当たって停止する。
【0049】
図5(a)に示すように、センサーユニット80には、挿入口から奥側に向かって順に、坪量センサー500、第1メディアセットセンサー850、表面性センサー600、紙厚センサー400、および第2メディアセットセンサー860が配置されている。また紙厚センサー400は、用紙押圧機構700の押圧板701上に搭載されており、押圧板701の上下動にともない移動する。この押圧板701は、測定時に用紙300を抑える役割を担っている。また、センサーユニット80は、制御部および記憶部(図示せず)を有しており、各種の動作を制御する。
【0050】
紙厚センサー400、坪量センサー500、表面性センサー600、および用紙押圧機構700は、それぞれ、上述した装置内のセンサーユニット18の紙厚センサー400、坪量センサー500、表面性センサー600、および用紙押圧機構70と同じ機能を有する。第1メディアセットセンサー850、および第2メディアセットセンサー860は、検知領域での用紙の有無を検知する。たとえばこれらのセンサーは、反射型のセンサーであり、検知領域(後述の検知領域a30)に向けて光を照射する発光部、および用紙300からの反射光を受光する受光部を有しており、これらは通紙領域800の上方(上部筐体81)に配置されている。
【0051】
図5(b)に示すように、センサーユニット80では、挿入口から奥側に向かって順に、坪量センサー500の検知領域a50、第1メディアセットセンサー850の検知領域a85、表面性センサー600の検知領域a60、紙厚センサー400の検知領域a40、および第2メディアセットセンサー860の検知領域a86が配置されている。
【0052】
坪量センサー500、および表面性センサー600、については、センサーユニット18の坪量センサー50、および表面性センサー60それぞれと同一であり、説明を省略する。用紙押圧機構700、および紙厚センサー400は、機能的には、センサーユニット18の用紙押圧機構70、および紙厚センサー40それぞれと同じであるが、以下のようにローラー(搬送ローラー対41)を用いずに、接触部402を用いる点で異なる。
【0053】
押圧領域a70は、用紙押圧機構700の押圧板701の押圧面に対応する。押圧板701には、検知領域a40に対応して開口が設けられており、その内側に紙厚センサー400の接触部402が配置される。接触部402は、所定範囲内で揺動し、上方に向けて(底面S1に向けて)付勢される。押圧板701を上部筐体81の底面S1に向けて持ち上げた状態において、用紙300があるときと、ないときの接触部402の高さそれぞれの高さ位置センサーで検知し、両者の差分(μm)により用紙300の厚さを検出する。
【0054】
センサーユニット80の制御部は、手前の第1メディアセットセンサー850がON(用紙有り)になることで、坪量センサー500による用紙特性の測定を開始し、続いて、奥側の第2メディアセットセンサー860がONになれば、用紙300がセットされたとして、用紙押圧機構70により、持ち上げた押圧板701により用紙300を抑えながら、紙厚センサー400、および表面性センサー600による用紙特性の測定を行う。その後、測定が終了した後、押圧板701を下降させて、用紙300をフリーにして、各種の用紙特性の測定を終了する。
【0055】
このように、センサーユニット80は、通紙領域800に用紙300を挿入することにより、紙厚、坪量および表面性に関する用紙300の第2特性データを生成する。画像形成装置10の制御部11は、通信部16を介して、この第2特性データを取得し、第2特性データに基づいて用紙300の用紙登録および画像形成条件の設定を行う。
【0056】
センサーユニット18、80は、上記で説明した以外のセンサーを有していてもよく、第1、第2特性データは、上記で説明した以外の特性データを含んでいてもよい。たとえば、第1、第2特性データは、他の表面性に関する特性データおよび含水率に関する特性データを含んでいてもよい。他の表面性は、たとえば、表面の凹凸状態に応じた用紙300の深さ量に関する指標である。この他の表面性に関する特性データは、具体的には、大きな入射角度(80度以上90度未満)で、用紙300の表面に光を照射し、この状態を撮影し、得られた画像データを画像処理することにより検知される。含水率に関する特性データは、たとえば近赤外線方式のOH基の光吸収量を光学的に検出する含水率センサーにより検知される。この含水率計は、近赤外線領域の所定の波長の光を用紙300に照射し、その用紙300の含水率に応じて光の吸収率が変化する性質を利用したものである。また、第1、第2特性データは剛度に関する特性データを含んでいてもよい。剛度に関する特性データは、たとえば、湾曲した搬送路143を構成するガイド板のうち、外側のガイド板を用紙300が押す力の指標を測定することにより検知される。
【0057】
(制御部の機能構成)
図6は、制御部11の機能構成の一例を示すブロック図である。画像形成装置10では、たとえば、制御部11が記憶部12に記憶されたプログラムを読み込んで処理を実行することによって、取得部111、決定部112、実行制御部113および条件設定部114として機能する。
【0058】
取得部111は、センサーユニット18で生成された用紙300の第1特性データと、センサーユニット80で生成された用紙300の第2特性データとを取得する。取得部111は、同じ印刷ジョブに使用する用紙300の第1特性データおよび第2特性データを取得してもよく、互いに異なる印刷ジョブに使用する用紙300の第1特性データおよび第2特性データを取得してもよい。
【0059】
決定部112は、取得部111が取得した第1特性データおよび第2特性データ各々と、予め記憶部12等に記憶されたデータとを比較することにより、用紙300が属するカテゴリーを決定する。具体的には、決定部112は、用紙300の紙種、坪量区分およびペーパープロファイルを決定する。これにより、第1特性データおよび第2特性データ各々に基づいて用紙300の用紙登録がなされる。
【0060】
実行制御部113は、取得部111が取得した用紙300の第1特性データと、決定部112が第2特性データに基づいて決定した用紙300の紙種、坪量区分およびペーパープロファイルに関連する情報とを照合することにより、印刷ジョブの実行、具体的には用紙300の搬送動作および用紙300への画像形成動作を制御する。実行制御部113は、取得部111が取得した用紙300の第1特性データおよび第2特性データを照合することにより、印刷ジョブの実行を制御してもよい。
【0061】
条件設定部114は、決定部112が決定した用紙300の紙種、坪量区分およびペーパープロファイルに基づいて、画像形成の種々の条件を設定する。たとえば、記憶部12等には、予め、紙種、坪量区分およびペーパープロファイルと、画像形成部13の諸条件とを対応付けたテーブルが記憶されており、条件設定部114は、決定部112が決定した用紙300の紙種およびペーパープロファイルに基づいて、諸条件を決定する。たとえば、条件設定部114は、給紙搬送部14の用紙送りの条件、2次転写部135の転写電流値および定着部136の定着温度等の諸条件を決定する。取得部111が、同じ印刷ジョブに使用する用紙300の第1特性データおよび第2特性データを両方取得したとき、条件設定部114は、第1特性データに基づいて決定された紙種、坪量区分およびペーパープロファイルに基づいて諸条件を決定してもよく、第2特性データに基づいて決定された紙種、坪量区分およびペーパープロファイルに基づいて画像形成部13の諸条件を決定してもよい。
【0062】
(印刷処理)
図7は、画像形成システム1を用いた印刷処理の一例を示すフローチャートである。この印刷処理は、たとえばプリントショップ等で用いられる画像形成システム1で実行される。
【0063】
(ステップS01)
まず、画像形成システム1は、所定の印刷ジョブ(以下、印刷ジョブ1という。)を開始する。具体的には、ユーザー(たとえば、プリントショップ等の従業員またはオペレーター等)が、所定の給紙トレイ(以下、給紙トレイ1という。)に用紙300を装填(セット)した後、画像形成装置10に印刷ジョブ1を実行させる。
【0064】
画像形成装置10が印刷ジョブ1を開始してから印刷ジョブ1を終了する(ステップS03)までの期間中、画像形成装置10内に設けられたセンサーユニット18は、別の印刷ジョブ(たとえば、後述の印刷ジョブ2)に使用する用紙300の検知を行うことができない。これは、この期間中、搬送路143が画像形成動作に使用されているためである。
【0065】
(ステップS02)
画像形成システム1が印刷ジョブ1を開始した後、ユーザーは、印刷ジョブ1に続く印刷ジョブ(以下、印刷ジョブ2という。)の予約設定を行う。図8は、このステップS02の処理を示すサブルーチンフローチャートである。
【0066】
(ステップS101)
ステップS02では、まず、センサーユニット80が印刷ジョブ2で使用する用紙300を検知し、第2特性データを生成する。具体的には、ユーザーが用紙300をセンサーユニット80に挿入し、センサーユニット80に用紙300を検知させる。画像形成装置10の制御部11は、このステップS101で生成した第2特性データを取得し、用紙300の用紙登録を行う(後述のステップS103)。センサーユニット80により検知された用紙300は、たとえば、次のステップS102で給紙トレイにセットされる。
【0067】
(ステップS102)
次に、ユーザーにより、給紙トレイ1以外の給紙トレイ(以下、給紙トレイ2という。)にステップS101で第2特性データが生成された用紙300がセットされる。
【0068】
(ステップS103)
続いて、画像形成システム1では、ステップS101で生成された第2特性データに基づいて、給紙トレイ2にセットした用紙300の用紙登録が行われる。具体的には、ユーザーが、操作パネル15に表示された操作画面等を操作することにより、制御部11が用紙登録の処理を開始する。この制御部11による用紙登録の処理については、後述する。
【0069】
(ステップS104)
この後、画像形成装置10が、給紙トレイ2を用いた印刷ジョブ2の予約を受け付ける。具体的には、ユーザーが操作パネル15に表示された操作画面等を操作することにより、印刷ジョブ2の予約が受け付けられる。この予約には、印刷データ、およびジョブチケットと称される印刷設定のデータが含まれる。以上により図8の予約設定の処理は終了し(エンド、リターン)、図7の処理に戻る。
【0070】
(ステップS03)
画像形成システム1は、印刷ジョブ1を終了した後、処理をステップS04に進める。
【0071】
(ステップS04)
画像形成システム1は、印刷ジョブ1を終えた後、給紙トレイ2から用紙300を搬送路143に搬送し、センサーユニット18に検知させる。これにより、用紙300の第1特性データが生成され、制御部11に取得される。用紙300の第1特性データは、たとえば、操作パネル15に表示される。
【0072】
図9は、ステップS04の処理後の操作パネル15の画面の一例を表している。操作パネル15の画面には、たとえば、表示領域151および表示領域152が隣り合う位置に設けられている。たとえば、表示領域151に、ステップS04で生成された用紙300の第1特性データが表示され、表示領域151に、ステップS101で生成された用紙300の第2特性データが表示される。
【0073】
(ステップS05)
センサーユニット18が用紙300の第1特性データを生成した後、画像形成システム1は、ステップS02で予約設定がなされた印刷ジョブ2の実行を制御する。具体的には、制御部11が、ステップS103で用紙登録された給紙トレイ2の用紙300に関する情報と、ステップS04で生成された第1特性データとを照合することにより、印刷ジョブ2の実行または一時中止を判断する。これにより、ユーザーが用紙300を給紙トレイ2にセットする際のミスの発生を抑えることができる。たとえば、ユーザーが用紙300の表裏および用紙300の向きを誤って給紙トレイ2にセットした場合には、印刷ジョブ2が一時中止され、ユーザーに警告が通知される。
【0074】
図10は、このステップS05の処理を示すサブルーチンフローチャートである。
【0075】
(ステップS201)
まず、制御部11は、ステップS103で用紙登録された給紙トレイ2の用紙300に関する情報と、ステップS04で生成された第1特性データとを照合し、これらが整合するか否かを判断する。換言すれば、第2特性データに基づく用紙300の情報と、第1特性データとが整合するかどうかが判断される。制御部11は、これらが整合しないと判断したとき(NO)、処理をステップS202に進める。制御部11は、これらが整合する判断したとき(YES)、処理をステップS206に進める。
【0076】
ステップS201において整合するか否かの判断基準は、湿度等の外部環境に応じて変更されてもよい。センサーユニット80が第2特性データを生成した時間と、センサーユニット18が第1特性データを生成した時間との時間差により、第1特性データおよび第2特性データ間に用紙300の吸湿等に起因するずれが生じる。この第1特性データおよび第2特性データ間のずれの大きさは、たとえば、坪量の値等によって変化する。
【0077】
図11は、湿度の変化による用紙300の剛度の変化の一例を表している。実線は、比較的坪量の大きい用紙300の剛度の変化を表し、破線は、比較的坪量の小さい用紙300の剛度の変化を表す。比較的坪量の大きい用紙300では、湿度の変化に起因する剛度の変化が比較的大きくなる。制御部11は、このような坪量の値に起因する剛度の変化の違いを考慮して、ステップS201の判断基準を変更することが好ましい。制御部11は、たとえば、温湿度センサー19から取得された情報および給紙トレイ1(または給紙トレイ2)内に配置された除湿ヒーターの動作状況(たとえば、電源のオンオフ)等に応じてステップS201の判断基準を変更する。第1、第2特性データを生成した時間(測定時間)、およびこの時の温湿度センサー19の情報は、第1、第2特性データと関連付けて記憶部12等に記憶されている。
【0078】
(ステップS202)
制御部11は、ステップS201の処理でNOと判断したとき、準備した印刷ジョブ2の実行を中止する。
【0079】
(ステップS203)
次いで、制御部11は、操作パネル15等に警告文を表示する等の方法により、ユーザーに警告を通知し、処理を終了する(図7の処理に戻る)。
【0080】
(ステップS206)
制御部11は、ステップS201の処理でYESと判断したとき、ステップS103で行われた用紙300の用紙登録の情報に基づいて、印刷ジョブ2の種々の条件を設定する。たとえば、制御部11は、給紙搬送部14の用紙送り出し条件、2次転写部135の転写電流値および定着部136の定着温度等を設定する。制御部11は、ステップS04で取得した第1特性データに基づいて用紙登録を行い、印刷ジョブ2の種々の条件を設定してもよい。
【0081】
(ステップS207)
この後、制御部11は、ステップS206で決定した条件で印刷ジョブ2を実行し、処理を終了する(図7の処理に戻る)。
【0082】
ここで、図12を用いてステップS103の用紙登録の処理の一例について説明する。
【0083】
(ステップS1031)
制御部11は、まず、センサーユニット80で検知された用紙300の第2特性データを取得する。
【0084】
(ステップS1032)
次に、制御部11は、ステップS1031で取得した第2特性データ、記憶部12等に記憶された学習済みモデル(紙種判別エンジン)および坪量区分確率演算処理を用いて、用紙300が属する紙種および坪量区分を推定する。制御部11は、たとえば、グロス紙、マット紙、上質紙および普通紙のいずれかの紙種と、坪量区分との組み合わせ(以下、紙種/坪量区分と記載する。)を推定する。
【0085】
紙種の推定に使用される学習済みモデルは、たとえば、センサーユニット18、80によるメディア検知で得られる各メディアのデータを入力値、ユーザーにより設定された紙種情報を正解ラベルとして、教師データを用いた教師あり学習により生成されている。教師データとしては、外部のデータを用いるようにしてもよい。学習機(図示せず)は、パーセプトロンを組み合わせて構成したニューラルネットワークを用いた学習方法により、学習済みモデルを生成できる。なお、学習方法としては、これに限られず、教師あり学習であれば、種種の手法を取り得る。たとえば、ランダムフォレスト、サポートベクターマシン(SVM)、ブースティング(Boosting)、ベイジアン(Bsysian)ネットワーク線形判別法、非線形判別法、等を適用できる。また、学習機として、CPUおよびGPU(Graphics Processing Unit)のプロセッサを用いたスタンドアロンの高性能のコンピューター、またはクラウドコンピューターを用いて行える。
【0086】
ステップS1032において、制御部11は、紙種/坪量区分とともに、あるいは、紙種/坪量区分に代えて、用紙300と近似するペーパープロファイルの候補を推定してもよい。なお、ペーパープロファイルとは、センサーユニット18、80によるメディア検知で得られる各メディアのデータ等と、ユーザーから入力された特性データ、用紙サイズおよび任意の識別名(たとえば、紙銘柄)等とを対応付けて、予め登録したものである。ユーザーから入力された特性データには、たとえば、搬送系特性データ(表裏調整値および片寄り補正値等)、画像形成用特性データ(定着温度値、濃度調整値およびγ補正値等)および給紙系特性値(給紙トレイの捌きファン風量調整値)等の各種制御パラメーターが含まれている。
【0087】
(ステップS1033)
制御部11は、第2特性データに基づいて用紙300の紙種/坪量区分およびペーパープロファイル候補を推定した後、これらの推定結果を操作パネル15に表示する。たとえば、制御部11は、用紙300に適合する確率の高い順に、複数の紙種/坪量区分および複数のペーパープロファイル候補を操作パネル15に表示する。
【0088】
(ステップS1034)
続いて、制御部11は、ステップS1033で表示した紙種/坪量区分およびペーパープロファイル候補の変更がなされた否かを判断する。たとえば、ユーザーが、操作パネル15に表示された操作画面により紙種/坪量区分およびペーパープロファイル候補を変更する。ユーザーが紙種/坪量区分およびペーパープロファイル候補を変更したとき(YES)、制御部11は、処理をステップS1035に進める。ユーザーが紙種/坪量区分およびペーパープロファイル候補を変更しないとき(NO)、制御部11は、処理をステップS1036に進める。
【0089】
(ステップS1035)
制御部11は、紙種/坪量区分およびペーパープロファイル候補が変更されたとき、この変更後の内容に基づいて用紙300の用紙登録を行う。
【0090】
(ステップS1036)
制御部11は、紙種/坪量区分およびペーパープロファイル候補が変更されなかったとき、ステップS1033で表示した紙種/坪量区分およびペーパープロファイル候補に基づいて用紙300の用紙登録を行う。
【0091】
上記ステップS1031~S1036では、第2特性データに基づいて制御部11が用紙300の用紙登録を行う場合について説明したが、制御部11は、第1特性データに基づいて用紙300の用紙登録を行ってもよい。
【0092】
(画像形成装置および画像形成システムの作用効果)
本実施形態に係る画像形成装置10および画像形成システム1では、インライン方式のセンサーユニット18により生成された第1特性データに加えて、オフライン方式のセンサーユニット80により生成された第2特性データが自動的に取得される。これにより、センサーユニット18が第1特性データを生成できない期間(たとえば、上記の印刷ジョブ1の実行中)であっても、第2特性データに基づいて用紙300の用紙登録を行うことができる。よって、メディア検知の効率を高め、効率的に複数の印刷ジョブを実行することが可能となる。以下、この作用効果について説明する。
【0093】
画像形成装置が印刷ジョブを実行している間、搬送路には画像形成のための用紙が搬送される。このため、インライン方式のセンサーユニットのみによりメディア検知を行う場合、印刷ジョブ1の終了を待って、次の印刷ジョブ(印刷ジョブ2)に使用する用紙のメディア検知および用紙登録がなされる。したがって、インライン方式のセンサーユニットのみによりメディア検知を行う場合、メディア検知および用紙登録にかかる時間に起因して、効率的に複数の印刷ジョブを連続して行うことが困難となるおそれがある。
【0094】
これに対し、画像形成装置10および画像形成システム1では、インライン方式のセンサーユニット18によるメディア検知の結果(第1特性データ)に加えて、オフライン方式のセンサーユニット80によるメディア検知の結果(第2特性データ)が自動的に取得される。したがって、画像形成装置10が印刷ジョブ1を実行している間であっても、センサーユニット80により生成された第2特性データに基づいて、印刷ジョブ2に使用する用紙300の用紙登録を行うことができる。よって、インライン方式のセンサーユニットのみによりメディア検知を行う場合に比べて、メディア検知および用紙登録にかかる時間が短縮され、効率的に複数の印刷ジョブを連続して行うことができる。
【0095】
また、このような画像形成装置10および画像形成システム1では、インライン方式のセンサーユニットでの事前の通紙および用紙登録が不要となるので、事前の通紙および用紙登録に要する時間を削減し、より効率的に印刷ジョブを行うことができる。また、オフライン方式のセンサーユニット80によりメディア検知された用紙300を、再利用することが可能となる。
【0096】
以上のように、本実施形態の画像形成装置10および画像形成システム1によればセンサーユニット18により生成された第1特性データに加えて、第2特性データが取得される。これにより、センサーユニット18が第1特性データを生成できない期間であっても、第2特性データを取得することが可能となる。よって、メディア検知の効率を高めることが可能となる。
【0097】
また、画像形成装置10および画像形成システム1では、第2特性データに基づいて用紙登録された用紙300の情報と、印刷ジョブを実行する直前にセンサーユニット18により検知した用紙300の第1特性データとが照合される。これにより、ユーザーが用紙300を給紙トレイ2にセットする際のミスの発生を抑えることができる。
【0098】
以上に説明したセンサーユニット、画像形成装置および画像形成システムの構成は、上記実施形態の特徴を説明するにあたって主要構成を説明したのであって、上記の構成に限られず、特許請求の範囲内において、種々改変することができる。また、一般的なセンサーユニット、画像形成装置および画像形成システムが有する構成を排除するものではない。
【0099】
また、上記実施形態では、第1検知部(センサーユニット18)が画像形成装置10の内部に設けられ、第2検知部(センサーユニット80)が画像形成装置10の外側に配置されている例を示したが、第1検知部および第2検知部の配置は、これに限定されない。たとえば、第1検知部および第2検知部が、各々、互いに異なる画像形成装置の内部に設けられていてもよい。
【0100】
また、上記の説明では、本発明の搬送装置の一具体例として画像形成装置を挙げて説明してきたが、本発明の搬送装置は、搬送路を有するものであれば画像形成装置に限定されない。たとえば、本発明の搬送装置は、画像形成後に用いられる後処理装置であってもよい。
【0101】
また、上述した実施形態に係る搬送装置、画像形成装置および画像形成システムにおける各種処理を行う手段および方法は、専用のハードウェア回路、またはプログラムされたコンピューターのいずれによっても実現することが可能である。上記プログラムは、たとえば、USBメモリやDVD(Digital Versatile Disc)-ROM等のコンピューター読み取り可能な記録媒体によって提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介してオンラインで提供されてもよい。この場合、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムは、通常、ハードディスク等の記憶部に転送され記憶される。また、上記プログラムは、単独のアプリケーションソフトとして提供されてもよいし、装置の一機能としてその装置のソフトウエアに組み込まれてもよい。
【符号の説明】
【0102】
1 画像形成システム
10 画像形成装置
11 制御部
12 記憶部
13 画像形成部
14 給紙搬送部
15 操作パネル
16 通信部
18 センサーユニット
40 紙厚検知部
50 坪量検知部
60 表面性検知部
70 用紙押圧機構
80 センサーユニット
400 紙厚検知部
402 接触部
500 坪量検知部
600 表面性検知部
700 用紙押圧機構
701 押圧板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12