(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】電子時計
(51)【国際特許分類】
G04C 10/02 20060101AFI20240925BHJP
G04G 19/00 20060101ALI20240925BHJP
G04B 19/06 20060101ALI20240925BHJP
G04C 3/00 20060101ALI20240925BHJP
G04C 10/00 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
G04C10/02 A
G04G19/00 B
G04B19/06 C
G04C3/00 C
G04C10/00 B
(21)【出願番号】P 2020212195
(22)【出願日】2020-12-22
【審査請求日】2023-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】正木 崇也
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-40182(JP,A)
【文献】特開2017-146266(JP,A)
【文献】特開昭52-117165(JP,A)
【文献】特開昭51-124471(JP,A)
【文献】特開2020-134141(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04C 1/00 - 99/00
G04G 19/00
G04B 19/06
G04B 37/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時刻を指示する指針と、
標示が設けられた文字板と、
前記指針を回転する指針軸と前記指針軸を回転させるモーターと前記モーターと電気的
に接続された回路とを備えるムーブメントと、
前記回路と電気的に接続され、前記モーターに電力を供給する電池と、
前記電池に電力を供給するソーラーパネルと、を備え、
前記ムーブメントから前記文字板に向かって、前記ムーブメント、前記電池、前記ソー
ラーパネル、前記文字板、の順に配置され、前記電池は前記指針軸が貫通する第1開口部
を備え、前記ソーラーパネルは前記指針軸が貫通する第2開口部を備え
、
さらに、前記電池と前記ムーブメントとの間に日車を備え、
前記文字板は前記日車に記載のマークを見せる日窓を有し、
前記電池は前記日窓に対応する位置に第3開口部を有し、前記ソーラーパネルは前記日
窓に対応する位置に第4開口部を有することを特徴とする電子時計。
【請求項2】
請求項1に記載の電子時計であって、
前記ソーラーパネルと前記電池とが接触することを特徴とする電子時計。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電子時計であって、
前記ソーラーパネル及び前記電池は、一体化されていることを特徴とする電子時計。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の電子時計であって、
前記ソーラーパネルは前記電池と向かい合う面に電極を有し、
前記電池は前記ソーラーパネルと向かい合う面に電極を有し、
前記ソーラーパネルと前記電池とが異方性導電膜により接合されていることを特徴とす
る電子時計。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の電子時計であって、
前記第1開口部及び前記第2開口部は貫通孔、または前記指針軸が貫通する場所から前
記電池の外周に向かって延在するスリットであり、前記第2開口部は貫通孔、または前記
指針軸が貫通する場所から前記ソーラーパネルの外周に向かって延在するスリットである
ことを特徴とする電子時計。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の電子時計であって、
前記指針軸の軸方向からみた平面視において、前記電池の大きさは前記文字板と略同一
であることを特徴とする電子時計。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の電子時計であって、
前記電池は全固体電池であることを特徴とする電子時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子時計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電池を備えた電子時計が広く用いられている。特許文献1に示すように、一般的に電子時計にはボタン形の電池が用いられていた。ムーブメントにはモーター、歯車によるトルク伝達機構、巻真の回転により指針を回転させる機構、モーターを駆動する回路基板、電池を収納するためのエリアが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で開示されるように、ムーブメント内に電池を配置する場合、電池の厚みや大きさが大きな制約となってしまうため、ムーブメントの薄型化及び小型化には限界があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
電子時計は、時刻を指示する指針と、標示が設けられた文字板と、前記指針を回転する指針軸と前記指針軸を回転させるモーターと前記モーターと電気的に接続された回路とを備えるムーブメントと、前記回路と電気的に接続され、前記モーターに電力を供給する電池と、前記電池に電力を供給するソーラーパネルと、を備え、前記ムーブメント、前記電池、前記ソーラーパネル、前記文字板、の順に配置され、前記電池は前記指針軸が貫通する第1開口部を備え、前記ソーラーパネルは前記指針軸が貫通する第2開口部を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態にかかわる電子時計の構成を示す模式平面図。
【
図3】電池及びソーラーパネルの構成を示す概略分解斜視図。
【
図4】電池及びソーラーパネルの構造を示す模式側断面図。
【
図7】第2実施形態にかかわる電池及びソーラーパネルの構成を示す概略分解斜視図。
【
図8】第3実施形態にかかわる電子時計の構成を示す模式側断面図。
【
図9】第4実施形態にかかわる電子時計の構成を示す模式側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
第1実施形態
図1に示すように、電子時計1は時計本体2及び時計バンド3を備える。時計本体2の図中上側及び下側には時計本体2と接続する時計バンド3が配置される。時計バンド3は人の腕に巻き付けて用いられる。
【0008】
図1及び
図2に示すように、時計本体2は円筒形の外装ケース4を備える。外装ケース4の軸に沿う一端にはカバーガラス5が配置され、他端には裏蓋6が配置されている。電子時計1のカバーガラス5側が表面側であり、裏蓋6側が裏面側である。
【0009】
カバーガラス5の裏面側には文字板7が配置されている。文字板7は光透過性である。文字板7の平面視において文字板7の中心には指針軸8が配置される。指針軸8には時刻を示す秒針9、分針11、時針12が取り付けられている。以下、秒針9、分針11及び時針12は指針13とする。指針軸8は秒針9、分針11及び時針12が取り付けられる3つの回転軸で構成されている。指針13は指針軸8を軸として回転する。カバーガラス5は透明であり、文字板7及び指針13はカバーガラス5を通して見える。
【0010】
文字板7は中央に第1貫通孔7aが形成される。指針軸8は第1貫通孔7aを貫通する。文字板7には標示14が設けられる。標示14は第1貫通孔7aを中心とする同心円上に配置される。標示14は30度毎に配置される。指針13は標示14を目盛にして時刻を指示する。
【0011】
文字板7の裏面側にはソーラーパネル15が配置される。文字板7を通過する光がソーラーパネル15を照射する。ソーラーパネル15は光を受けて発電する。ソーラーパネル15の裏面側には電池16が配置される。電池16の裏面側にはムーブメント17が配置される。ムーブメント17から文字板7に向かって、ムーブメント17、電池16、ソーラーパネル15、文字板7、の順にムーブメント17、電池16、ソーラーパネル15、文字板7が配置される。
【0012】
ムーブメント17は地板18、輪列受19、モーター21、回路としての回路部24、輪列機構22、指針軸8等を備える。地板18の裏面側には回路部24が配置される。回路部24はモーター21を駆動する駆動電流を出力する。地板18と輪列受19との間にはモーター21及び輪列機構22が配置される。輪列機構22はモーター21のトルクを指針軸8に伝達する。指針軸8はムーブメント17の一部である。モーター21及び輪列機構22は指針軸8を回転させる。文字板7、ソーラーパネル15、電池16、ムーブメント17と外装ケース4との間にガイド枠23が配置される。時計本体2の厚み方向における文字板7、ソーラーパネル15、電池16、ムーブメント17の位置はガイド枠23により位置決めされる。
【0013】
ソーラーパネル15は文字板7と電池16との間に配置される。ソーラーパネル15は指針軸8が貫通する第2開口部15aを備える。第2開口部15aは貫通孔である。第2開口部15aと第1貫通孔7aとは重ねて配置され、共に指針軸8に貫通される。ソーラーパネル15は電池16に電力を供給する。
【0014】
電池16はソーラーパネル15とムーブメント17との間に配置される。電池16は指針軸8が貫通する第1開口部16aを備える。第1開口部16aは貫通孔である。第1開口部16a、第2開口部15a及び第1貫通孔7aは重ねて配置され、共に指針軸8に貫通される。回路部24は電池16と電気的に接続される。電池16は回路部24を介してモーター21に電力を供給する。
【0015】
この構成によれば、電池16及びソーラーパネル15は文字板7とムーブメント17との間に配置される。電池16の第1開口部16a及びソーラーパネル15の第2開口部15aを指針軸8が貫通する。指針軸8は文字板7側に配置された指針13を回転させる。従って、ムーブメント17には電池16を配置するエリアがないので、ムーブメント17を薄く小型にすることができる。ソーラーパネル15の近くに電池16を配置するので、ソーラーパネル15と電池16との間で容易に電気的接続をとることができる。
【0016】
この構成によれば、第1貫通孔7a、第1開口部16a及び第2開口部15aが貫通孔であるので、指針軸8は第1貫通孔7a、第1開口部16a及び第2開口部15aを貫通できる。
【0017】
電子時計1ではソーラーパネル15と電池16とが接触する。この構成によれば、ソーラーパネル15と電池16とが接触する為、ソーラーパネル15が補強されている。従って、製造工程にてソーラーパネル15が破損することを抑制できる。また、ソーラーパネル15と電池16との距離が近いので、ソーラーパネル15と電池16との間で容易に電気的接続をとることができる。ソーラーパネル15と電池16とが一体化しているので、時計本体2へ組込みし易くできる。
【0018】
電池16は文字板7側に第1面16bを有し、地板18側に第2面16cを有する。電池16には側面に沿って第1面16bから第2面16cまで第1配線基板25が配置される。第1配線基板25はムーブメント17を向く面に第1電極25a及び第2電極25bを有する。第1電極25a及び第2電極25bは電池16の電極と電気的に接続する。回路部24は電池16を向く面に第3電極24a及び第4電極24bを有する。第1電極25aと第3電極24aとの間に第1ばね26が配置される。第1ばね26は第1電極25aと第3電極24aとを電気的に接続する。第2電極25bと第4電極24bとの間に第2ばね27が配置される。第2ばね27は第2電極25bと第4電極24bとを電気的に接続する。第1ばね26及び第2ばね27が配置される場所には地板18に貫通孔が形成されている。このため、電池16と回路部24との間に地板18があっても、第1ばね26及び第2ばね27は回路部24と電気的に接続することができる。尚、電池16がムーブメント17と接着固定されるとき、電池16とムーブメント17との間の電気的接続の安定性を向上させることができる。
【0019】
このように、ムーブメント17は電池16側を向く上面17a側に電池16と電気的に接続する第3電極24a及び第4電極24bを備える。第3電極24a及び第4電極24bは電池16側の面に配置されているので、電池16と電気的接続を取りやすい。
【0020】
指針軸8の軸方向からみた平面視において、電池16の大きさは文字板7と略同一である。この構成によれば、指針軸8の軸方向からみた平面視において電池16を文字板7と略同一のサイズの電池を採用することにより、ムーブメント17の中に電池16を有する場合よりも大きな電池を採用することができるため、電池16の容量を大きくすることができる。
【0021】
電池16は全固体電池である。詳しくは、電池16は全固体リチウム二次電池である。この構成によれば、電池16は全固体電池であるので、漏液を考慮する必要がないため、安全性を確保することができる。電池16は蓄電可能な全固体型二次電池であるが一次電池として用いてもよい。
【0022】
次に、ソーラーパネル15及び電池16について
図3~
図6に従って説明する。
図3及び
図4に示すように、ソーラーパネル15は電池16を向く側の面にソーラー回路部28を備える。ソーラーパネル15は、ソーラーセル10及びソーラー回路部28を備える。ソーラー回路部28は電極としての第5電極28a及び電極としての第6電極28bを備える。ソーラーパネル15が発電する電力は第5電極28a及び第6電極28bに出力される。尚、ソーラー回路部28が備える電極の配置は、
図4に示す配置に限定されない。
【0023】
ソーラー回路部28には第2開口部15aに重ねて貫通孔が配置される。ソーラー回路部28の貫通孔を指針軸8が貫通する。ソーラー回路部28には第1配線基板25と対向する場所に切欠き部28cが形成されている。切欠き部28cは第1配線基板25より大きい。ソーラーパネル15と電池16とを重ねるとき、ソーラー回路部28は第1配線基板25と重ならない。
【0024】
電池16は正極16d及び負極16eを備える。第1配線基板25は第7電極25c及び第8電極25dを備える。第7電極25cは正極16d及び第1電極25aと電気的に接続する。第8電極25dは負極16e及び第2電極25bと電気的に接続する。
【0025】
正極16dには第6電極28bと対向する場所に電極としての正極パッド16fが配置される。負極16eには第5電極28aと対向する場所に電極としての負極パッド16gが配置される。ソーラーパネル15は電池16と向かい合う面に第5電極28a及び第6電極28bを有する。電池16はソーラーパネル15と向かい合う面に負極パッド16g及び正極パッド16fを有する。ソーラーパネル15と電池16とが異方性導電膜29により接合されている。
【0026】
異方性導電膜29では熱硬化性樹脂内に導電粒子が分散している。ソーラーパネル15及び電池16が異方性導電膜29を挟んで加熱圧着されるとき、熱硬化性樹脂が収縮してソーラーパネル15及び電池16が接着される。正極パッド16fと第6電極28bとの間には導電粒子の密度が高くなるので、正極パッド16fと第6電極28bとが電気的に接続する。負極パッド16gと第5電極28aとの間には導電粒子の密度が高くなるので、負極パッド16gと第5電極28aとが電気的に接続する。正極パッド16fと負極パッド16gとの間では導電粒子の密度が低いので、正極パッド16fと負極パッド16gとは電気的に絶縁状態となる。
【0027】
この構成によれば、ソーラーパネル15と電池16とが異方性導電膜29により接合されている為、ソーラーパネル15と電池16との間で容易に電気的接続をとることができる。ソーラーパネル15と電池16との間の通電上のエネルギーロスを抑制することができる。ソーラーパネル15と電池16とが一体化しているので、時計本体2へ組込みし易くできる。
【0028】
図4に示すように、正極16dは有底円筒である。正極16d内には円板状の電池ユニット31が4個重ねて設置されている。電池ユニット31は円柱状に重ねられている。1つの電池16に設置される各電池ユニット31の個数は特に限定されない。電池ユニット31は約2.8v~約4.2vの間で用いられる。複数の電池ユニット31の接続を並列接続及び直列接続で組み合わせることにより、電池16として必要な電圧値を調整することができる。
【0029】
重ねられた電池ユニット31の外周には円筒状の第1絶縁部32が設置され、内周には及び第2絶縁部33が設置されている。電池ユニット31、第1絶縁部32及び第2絶縁部33の図中上側には負極16eが設置され、負極16eの外周側及び第1絶縁部32の側面側に第3絶縁部34が設置されている。第3絶縁部34は正極16dと負極16eとの間に配置され、正極16dと第2絶縁部33との間にも配置されている。さらに、負極16eの内周側及び第2絶縁部33の側面側に第3絶縁部34が設置されている。負極16eの内周側においても、第3絶縁部34は負極16eと正極16dとの間に配置され、正極16dと第2絶縁部33との間にも配置されている。
【0030】
電池ユニット31が図中左右方向に移動しないように第1絶縁部32及び第2絶縁部33が電池ユニット31を固定する。さらに、第1絶縁部32及び第2絶縁部33は電池ユニット31の側面が正極16dと導通しないように絶縁する。第3絶縁部34は正極16dと負極16eとを絶縁する。正極16d及び負極16eの材質はステンレスである。第1絶縁部32、第2絶縁部33及び第3絶縁部34の材質は絶縁性のあるアクリル樹脂である。
【0031】
図5に示すように、電池ユニット31は下部電極35を備えている。そして、下部電極35上にカーボンシート36、電極複合体37、分離膜38、上部電極39がこの順に重ねて設置されている。
【0032】
下部電極35は正極となる電極であり、構造を維持する基板として機能する。下部電極35の材質は銅である。カーボンシート36は下部電極35と電極複合体37との間で効率良く電流を流動させる炭素膜である。
【0033】
分離膜38は電極複合体37と上部電極39とが短絡することを防止する膜でありLBO(ホウ酸三リチウム)、LCBO(ホウ酸炭素リチウム)等により構成された膜である。本実施形態では、例えば、分離膜38にLCBOを採用した。また、上部電極39は負極となる電極であり、リチウムの膜である。
【0034】
図6に示すように、電極複合体37は活物質形成体41を備えている。活物質形成体41は形成材料である活物質粒子42が複数連結し多孔質に形成された構造体である。活物質粒子42同士の間には連通孔43が位置する。連通孔43は活物質粒子42間の空洞が網目状に連通した孔の形態になっている。
【0035】
連通孔43には非結晶質の固体電解質44が充填されている。連通孔43が網目状に設置されているので、活物質形成体41と固体電解質44とが広い面積で接触する。この為、活物質形成体41と固体電解質44との間でリチウムイオンが移動し易くなっている。また、固体電解質44は活物質形成体41間の連通孔43を埋めている。従って、固体電解質44は網目状の連続した構成物になっている。固体電解質44内はリチウムイオンが移動する。そして、連通孔43に固体電解質44が網目状に充填されているので、活物質形成体41の隅々までリチウムイオンが移動可能な経路が確保されることになる。また、固体電解質44は非結晶の形態であり、粒界の抵抗が低いのでリチウムイオンを移動し易くできる。その結果、電池16は充放電サイクルを安定して行うことができる。
【0036】
電池16を充電するとき固体電解質44ではリチウムイオンが電極複合体37の活物質形成体41から上部電極39に移動する。上部電極39はリチウム膜の負極である。そして、放電するときには固体電解質44ではリチウムイオンが上部電極39から電極複合体37の活物質形成体41に移動する。
【0037】
活物質粒子42の形成材料にはリチウム複酸化物が用いられる。尚、リチウム複酸化物はリチウムを必ず含み2種以上の金属イオンを含む酸化物であり、オキソ酸イオンが存在しないものである。リチウム複酸化物としては、例えば、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、Li2Mn2O3、LiFePO4、Li2FeP2O7、LiMnPO4、LiFeBO3、Li3V2(PO4)3、Li2CuO2、LiFeF3、Li2FeSiO4、Li2MnSiO4等が挙げられる。
【0038】
他にも、これらのリチウム複酸化物の一部原子が他の遷移金属、典型金属、アルカリ金属、アルカリ希土類、ランタノイド、カルコゲナイド、ハロゲン等で置換された固溶体もリチウム複酸化物に含むものとし、これら固溶体も正極活物質として用いることができる。本実施形態では、例えば、活物質粒子42にLiCoO2を用いている。
【0039】
固体電解質44の材料にはLi2+XC1-XBXO3が用いられている。Xはホウ素Bの置換率であり、0を超え1以下の実数を表す。従って、固体電解質44の固形物にXが0のときのLi2CO3は含まれず、Xが1のときのLi3BO3は含まれる。そして、連通孔43において固体電解質44は非結晶質になっている。
【0040】
第2実施形態
本実施形態が第1実施形態と異なる点は電池16における第1開口部16a及びソーラーパネル15の第2開口部15aがスリットになった点にある。尚、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0041】
図7に示すように、ソーラーパネル47は第2開口部47aを備える。第2開口部47aは指針軸8が貫通する場所からソーラーパネル47の外周に向かって延在するスリットである。
【0042】
ソーラーパネル47は電池51を向く側の面にソーラー回路部48を備える。ソーラー回路部48には第2開口部47aと対向する場所にスリットが配置される。ソーラー回路部48のスリットを指針軸8が貫通する。ソーラー回路部48は第1配線基板25と対向する場所に切欠き部48cが形成されている。切欠き部48cは第1配線基板25より大きい。ソーラーパネル47と電池51とを重ねるとき、ソーラー回路部48は第1配線基板25と重ならない。
【0043】
ソーラー回路部48と電池51との間には異方性導電膜49が配置される。異方性導電膜49には第2開口部47aと対向する場所にスリットが配置される。異方性導電膜49のスリットを指針軸8が貫通する。この構成によれば、第2開口部47aがスリットであるので、指針軸8は第2開口部47aを貫通できる。ソーラー回路部48は電極としての第5電極48a及び電極としての第6電極48bを備える。
【0044】
電池51は第1開口部51aを備える。第1開口部51aは指針軸8が貫通する場所から電池51の外周に向かって延在するスリットである。電池51は電極としての負極パッド51g及び電極としての正極パッド51fを備える。負極パッド51gと第5電極48aとが電気的に接続する。正極パッド51fと第6電極48bとが電気的に接続する。
【0045】
この構成によれば、第1開口部51a及び第2開口部47aがスリットであるので、指針軸8は第1開口部51a及び第2開口部47aを貫通できる。また、ソーラーパネル47及び電池51を側面側に移動することにより、操作者は文字板7とムーブメント17との間のソーラーパネル47及び電池51を出し入れできる。
【0046】
第3実施形態
本実施形態が第1実施形態と異なる点は日車が配置される点にある。尚、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0047】
図8に示すように、電子時計54の時計本体55は第1実施形態の文字板7に相当する文字板56、ソーラーパネル15に相当するソーラーパネル57及び電池16に相当する電池58を備える。ソーラーパネル57は文字板56の裏面側に配置される。電池58はソーラーパネル57の裏面側に配置される。
【0048】
文字板56は第1貫通孔7aに相当する第1貫通孔56aを備える。ソーラーパネル57は第2開口部15aに相当する第2開口部57aを備える。電池58は第1開口部16aに相当する第1開口部58aを備える。
【0049】
電子時計54は電池58とムーブメント17との間に日車59及び日回し車61を備える。日回し車61は輪列機構22により駆動され、日回し車61は日車59を回転させる。
【0050】
文字板56は日車59に記載のマークを見せる日窓56bを有する。このマークは日を示す数字である。1日の“1”や31日の“31”がマークに該当する。
【0051】
ソーラーパネル57は日窓56bに対応する位置に第4開口部57bを有する。電池58は日窓56bに対応する位置に第3開口部58bを有する。このため、操作者は日窓56b、第3開口部58b及び第4開口部57bを通して日車59のマークを確認できる。
【0052】
第4実施形態
本実施形態が第1実施形態と異なる点はソーラーパネル15と電池16とが一体化された文字板7を兼ねている点にある。尚、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0053】
図9に示すように、電子時計64の時計本体65ではカバーガラス5の裏面側に文字板66が配置される。文字板66には標示14が設けられる。文字板66は、接着等によりソーラーパネル15と一体化されている。
【0054】
文字板66の裏面側には電池16が配置される。電池16の裏面側にはムーブメント17が配置される。文字板66は電池16に電力を供給する。ムーブメント17、電池16、文字板66、の順にムーブメント17、電池16、文字板66が配置される。
【0055】
文字板66は中央に第2開口部としての第1貫通孔66aを備える。指針軸8は第1開口部16a及び第1貫通孔66aを貫通する。
【0056】
ムーブメント17、電池16、文字板66はカバーガラス5、外装ケース67、裏蓋6で囲まれた空間に収納される。文字板66、電池16、ムーブメント17と外装ケース67との間にガイド枠68が配置される。時計本体65の厚み方向における文字板66、電池16、ムーブメント17の位置はガイド枠68により位置決めされる。
【0057】
この構成によれば、電池16の第1開口部16a及び文字板66の第1貫通孔66aは指針軸8が貫通して、指針軸8は文字板66側に配置された指針13を回転させる。従って、ムーブメント17には電池16を配置するエリアがないので、ムーブメント17を薄く小型にすることができる。ソーラーパネル15の機能を備える文字板66の近くに電池16を配置するので、文字板66と電池16との間で容易に電気的接続をとることができる。
【0058】
第5実施形態
前記第1実施形態では時計本体2、文字板7及び電池16の平面形状が円形であった。時計本体2、文字板7及び電池16の平面形状は矩形でも良い。電池16の生産効率を向上させることができる。
【0059】
第6実施形態
前記第1実施形態ではGPS(Global Positioning System)が搭載されていなかった。ムーブメント17にGPSを配置しても良い。GPSのアンテナと対向する場所の電池16に貫通孔をあけても良い。アンテナが電波を感度良く受信できる。
【符号の説明】
【0060】
1…電子時計、7,56…文字板、8…指針軸、10…ソーラーセル、13…指針、15,47,57…ソーラーパネル、15a,47a,57a…第2開口部、16a,51a,58a…第1開口部、16f,51f…電極としての正極パッド、16g,51g…電極としての負極パッド、16,51,58…電池、17…ムーブメント、21…モーター、24…回路としての回路部、28a,48a…電極としての第5電極、28b,48b…電極としての第6電極、29…異方性導電膜、56b…日窓、57b…第4開口部、58b…第3開口部、59…日車、66a…第2開口部としての第1貫通孔。