(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】車両用フロア構造
(51)【国際特許分類】
B62D 25/20 20060101AFI20240925BHJP
【FI】
B62D25/20 G
(21)【出願番号】P 2020218270
(22)【出願日】2020-12-28
【審査請求日】2023-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【氏名又は名称】鈴木 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【氏名又は名称】飛田 高介
(72)【発明者】
【氏名】望月 晋栄
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】実開昭51-025315(JP,U)
【文献】特開2007-112173(JP,A)
【文献】実開昭64-026581(JP,U)
【文献】実開昭63-139083(JP,U)
【文献】国際公開第2011/055695(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロアの車幅方向中央に車両前後方向に延びるよう設けられる上方に凸形状のフロアトンネルと、
前記フロアトンネルの上側または下側に車両前後方向にわたって接合され該フロアトンネルの車幅方向両側の側壁それぞれとの間に車両前後方向に延びる一対の閉断面を形成するトンネル補強部とを備え、
前記フロアトンネル
の上面部および
該上面部に接合される前記トンネル補強部
の上端は、車両前方へ向かうほど前記フロア
の水平部から高くなってい
て、
前記フロアトンネルは、車幅方向において上方に凸の断面ハット形状を有し、
前記トンネル補強部は、前記フロアトンネルの上面部の下側に接合されていて、
前記トンネル補強部が前記フロアに対してなす角度は、前記フロアトンネルの側壁よりも垂直に近いことを特徴とする車両用フロア構造。
【請求項2】
当該車両用フロア構造はさらに、
前記フロアの車幅方向両端それぞれに車両前後方向に沿って接続される一対のサイドシルと、
前記フロアの上側に設けられて前記サイドシルと前記フロアトンネルとにかけ渡されるクロスメンバとを備えることを特徴とする請求項
1に記載の車両用フロア構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用フロア構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両のフロアの車幅方向中央には、上方に凸形状のフロアトンネルが設けられている。フロアトンネルは、車幅方向において断面ハット形状になっていて、内側にプロペラシャフトやブレーキ類などの機構が設置される。
【0003】
フロアトンネルの剛性は、走行中のフロアの振動や変形を抑えるために重要な要素である。例えば、特許文献1に記載の車体構造では、
図2等に記載されているように、フロアトンネル30の下方にトンネルクロスメンバ35がかけ渡されている。トンネルクロスメンバ35は、段落0014および
図4等に記載されているように、フロアトンネル30の形状に沿ったトンネル補強部40と、左側のフレーム連結部41aおよび右側のフレーム連結部41bを有して構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、トンネルクロスメンバ35の形状を、フロアトンネル30や第1フロアフレーム33a、33bおよび第2フロアフレーム34a、34bなどに合わせる必要がある。すなわち、トンネルクロスメンバ35による振動抑制効果を発揮するためには、トンネルクロスメンバ35の成形精度を高く維持する必要がある。また、
図2に記載されているように、第1フロアフレーム33a、33bは車両後方に向けて互いに広がっているため、トンネルクロスメンバ35を設置可能な個所が車両前側のみに限られ、フロアトンネル30の車両後側の振動等には対処できないおそれがある。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑み、簡潔な構成でフロアトンネルの剛性向上が可能車両用フロア構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明にかかる車両用フロア構造の代表的な構成は、車両のフロアの車幅方向中央に車両前後方向に延びるよう設けられる上方に凸形状のフロアトンネルと、フロアトンネルの上側または下側に車両前後方向にわたって接合されフロアトンネルの車幅方向両側の側壁それぞれとの間に車両前後方向に延びる一対の閉断面を形成するトンネル補強部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、簡潔な構成でフロアトンネルの剛性向上が可能車両用フロア構造を提供可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施例に係る車両用フロア構造の概要を示した斜視図である。
【
図2】
図1の車両用フロア構造を各方向から示した図である。
【
図3】
図1の車両用フロア構造のA-A断面図である。
【
図4】
図3の車両用フロア構造の各変形例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施の形態に係る車両用フロア構造は、車両のフロアの車幅方向中央に車両前後方向に延びるよう設けられる上方に凸形状のフロアトンネルと、フロアトンネルの上側または下側に車両前後方向にわたって接合されフロアトンネルの車幅方向両側の側壁それぞれとの間に車両前後方向に延びる一対の閉断面を形成するトンネル補強部とを備えることを特徴とする。
【0011】
上記トンネル補強部によれば、フロアトンネルの側壁に車両前後方向に沿って閉断面を形成することで、フロアトンネルの側壁の剛性を高め、当該側壁の変形を防ぐことが可能になる。これによって、フロアトンネルが車幅方向に広がるような変形およびフロアトンネルの側壁が下方に座屈するような変形を効率よく抑え、フロアの車両前側が車両後側に対してしなることを防止できる。したがって、上記構成によれば、簡潔な構成でフロアトンネルの剛性を向上させ、これによってフロア全体に生じ得る振動や変形を抑えることが可能になる。
【0012】
上記のフロアトンネルは、車幅方向において上方に凸の断面ハット形状を有し、トンネル補強部は、フロアトンネルの上面部の上側に接合されていて、またはフロアトンネルの上面部の下側に接合されていてもよい。
【0013】
上記構成によれば、トンネル補強部によってフロアトンネルの上面部を支えることができる。特に、トンネル補強部は、フロアトンネルの側壁および上面部との間に閉断面を形成することで、当該側壁の座屈変形や当該側壁と上面部とが車幅方向に開くような変形を防ぎ、フロアトンネルの変形を効率よく抑えることが可能になる。
【0014】
上記のトンネル補強部は、フロアトンネルの上面部の下側に接合されていて、トンネル補強部がフロアに対してなす角度は、フロアトンネルの側壁よりも垂直に近くてもよい。
【0015】
フロアトンネルに上下方向の荷重が入力された場合、フロアトンネルは車幅方向に開くように変形することが予想される。その場合において、上記構成であれば、フロアトンネルの上面部は、下方から当該フロアトンネルの側壁および当該側壁とは異なる角度のトンネル補強部によって支えられるため、フロアトンネルの変形を効率よく抑えることが可能になる。また、上記構成では、トンネル補強部をフロアトンネルの側壁よりも上下荷重の入力されやすい角度で配置することで、当該側壁の座屈変形を効率よく防止できる。
【0016】
上記のフロアトンネルおよびトンネル補強部は、車両前方へ向かうほどフロアから高くなっていてもよい。
【0017】
上記構成によれば、フロアトンネルおよびトンネル補強部の車両前側が高くなっていることで、当該フロアトンネルの側壁をトンネル補強部で補強してその座屈変形を防ぐことができる。さらに、フロアの車両前側の上下剛性を高めることで、車両前方から入力された荷重を吸収し、フロアの上下振動やフロアの車両前側が後側に対して上下にたわむような変形を効率よく抑えることが可能になる。
【0018】
当該車両用フロア構造はさらに、フロアの車幅方向両端それぞれに車両前後方向に沿って接続される一対のサイドシルと、フロアの上側に設けられてサイドシルとフロアトンネルとにかけ渡されるクロスメンバとを備えてもよい。
【0019】
上記構成によれば、クロスメンバがフロアトンネルとサイドシルとをつなぐことで、フロアトンネルひいてはフロア全体の剛性を効率よく向上させることができる。
【実施例】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施例について詳細に説明する。かかる実施例に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0021】
図1は、本発明の実施例に係る車両用フロア構造100の概要を示した斜視図である。以下、
図1その他の本願のすべての図面において、車両前後方向をそれぞれ矢印F(Forward)、B(Backward)、車幅方向の左右をそれぞれ矢印L(Leftward)、R(Rightward)、車両上下方向をそれぞれ矢印U(upward)、D(downward)で例示する。
【0022】
車両用フロア構造100は、車両のフロアを構成するフロアパネル102と、フロアの車幅方向中央に車両前後方向に延びるよう設けられるフロアトンネル104とを含んで構成されている。フロアパネル102は、車幅方向の左側の左側フロアパネル102aと、右側の右側フロアパネル102bとで構成されている。フロアトンネル104は、左側フロアパネル102aと右側フロアパネル102bとの間に設けられていて、車両前後方向に長尺な上方に凸形状の部材として形成されている。
【0023】
本実施例では、左側フロアパネル102aおよび右側フロアパネル102bの車幅方向中央側の縁部分が、それぞれ一対のトンネル補強部106a、106bとして機能している。トンネル補強部106a、106bは、フロアトンネル104の下側に車両前後方向にわたって接合されていて、フロアトンネル104を補強している。
【0024】
図2は、
図1の車両用フロア構造100を各方向から示した図である。
図2(a)は、車両用フロア構造100を車幅方向左側の斜め上方から見た斜視図である。トンネル補強部106a、106bは同様の構成であるため、代表してトンネル補強部106aを例に挙げる。トンネル補強部106aは、フロアトンネル104の側壁108aと上面部110とを下側から補強していて、これによってフロアトンネル104の振動や変形を抑えている。
【0025】
図2(b)は、
図1の車両用フロア構造100を車幅方向左側から見た図である。フロアトンネル104は、車両前側のダッシュパネル112から車両後方に延びた構成になっている。このとき、フロアトンネル104は、ダッシュパネル112側の前側領域114の高さが、後方の後側領域116に比べて、ダッシュパネル112に向かって次第に高くなっている(前側領域114の前端の高さH1>後側領域116の高さH2)。
【0026】
図3は、
図1の車両用フロア構造100のA-A断面図である。フロアトンネル104は、車幅方向において上方に凸の断面ハット形状を有している。フロアトンネル104の上側には、後述するクロスメンバ(第2クロスメンバ132)が接合している。クロスメンバの上側には、車両用シートを支える複数のシートブラケット120が設けられている。
【0027】
トンネル補強部106a、106bは、フロア延長部122a、122bおよび立壁部124a、124bを含んでいる。そして、立壁部124a、124bの上端126a、126bが、フロアトンネル104の上面部110の下側に接合されている。この構成によれば、トンネル補強部106a、106bによってフロアトンネル104の上面部110を下方から支えることができる。特に、トンネル補強部106a、106bは、フロアトンネル104の側壁108a、108bおよび上面部110との間に閉断面E1、E2を形成することで、当該側壁108a、108bの座屈変形や当該側壁108a、108bと上面部110とが車幅方向に開くような変形を防ぎ、フロアトンネル104の上下方向の振動や変形を効率よく抑えることができる。
【0028】
トンネル補強部106a、106bは、フロアトンネル104の側壁108a、108bそれぞれとの間に、一対の閉断面E1、E2を形成する。この閉断面E1、E2は、
図1に形成するフロアトンネル104のほぼ全体に沿って、車両前後方向の長尺な範囲にわたって延びている。トンネル補強部106a、106bの後端側は、フロアトンネル104の側壁108a、108bと接合して閉断面E1、E2が閉じ、剛性が高められている。
【0029】
トンネル補強部106a、106bによれば、フロアトンネル104の側壁108a、108bに車両前後方向に沿って閉断面E1、E2を形成することで、フロアトンネル104の側壁108a、108bの剛性を高め、側壁108a、108bの変形を防ぐことが可能になる。これによって、フロアトンネル104が車幅方向に広がるような変形およびフロアトンネル104の側壁108a、108bが下方に座屈するような変形を効率よく抑え、フロアの車両前側が車両後側に対してしなることを防止できる。したがって、当該車両用フロア構造100によれば、簡潔な構成でフロアトンネル104の剛性を向上させ、これによってフロア全体に生じ得る振動や変形を抑えることが可能になる。
【0030】
当該車両用フロア構造100では、走行中においてフロアトンネル104に上下方向の荷重が入力されても、トンネル補強部106a、106bによる閉断面構造によってフロアトンネル104の側壁108a、108bの座屈変形が防止される。一般に、車両のフロアトンネル104の車幅方向の変形は低中周波数、上下方向の変形は中高周波数の変形特性を有する。上記トンネル補強部106a、106bによる閉断面構造によれば、これら周波数の変形を防ぎ、走行中においてこもり音(低周波)やロードノイズ(中高周波数)を防ぐことが可能である。
【0031】
トンネル補強部106aはさらに、フロアパネル102の水平面に対して、フロアトンネル104の上面部110に向かう立壁部124aのなす角度α1が、フロアトンネル104の側壁108aの角度α2よりも垂直に近くなるよう設定されている(90°≧α1>α2)。
【0032】
フロアトンネル104に上下方向の荷重が入力された場合、フロアトンネル104は側壁108a、108bが車幅方向に開くように変形することが予想される。その場合において、上記構成であれば、フロアトンネル104の上面部110は、下方から側壁108a、108bおよびこれら側壁108a、108bとは異なる角度のトンネル補強部106a、106bによって支えられるため、フロアトンネル104の変形を効率よく抑えることが可能になる。また、本実施例であれば、トンネル補強部106a、106bをフロアトンネル104の側壁108a、108bよりも上下荷重の入力されやすい角度で配置することで、当該側壁108a、108bの座屈変形を効率よく防止できる。
【0033】
図2に示すように、トンネル補強部106aおよびトンネル補強部106b(
図3参照)は、前述したフロアトンネル104の前側領域114と共に、車両前方へ向かうほどフロアパネル102の水平部から高くなっている。この構成によれば、フロアトンネル104およびトンネル補強部106a、106bの車両前側が高くなっていることで、当該フロアトンネル104の側壁108a、108bをトンネル補強部106a、106bで補強してその座屈変形を防ぐことができる。さらに、フロアの車両前側の上下剛性を高めることで、走行中に車両前方から入力された荷重を吸収し、フロアの上下振動やフロアの車両前側が後側に対して上下にたわむような変形を効率よく抑えることが可能になる。
【0034】
図1に示すように、当該車両用フロア構造100はさらに、一対のサイドシル128a、128bと、2つのクロスメンバ(第1クロスメンバ130および第2クロスメンバ132)を備えている。サイドシル128a、128bは、フロアパネル102の車幅方向両端それぞれに車両前後方向に沿って接続されている。第1クロスメンバ130および第2クロスメンバ132は、フロアパネル102の上側に設けられてサイドシル128a、128bとフロアトンネル104とにかけ渡されている。
【0035】
本実施例では、第1クロスメンバ130および第2クロスメンバ132がフロアトンネル104とサイドシル128a、128bとをつなぐことで、フロアトンネル104ひいてはフロア全体の剛性を効率よく向上させることが可能になっている。特に、
図3に示すように、第2クロスメンバ132は、閉断面E1、E2に交差するようにしてフロアトンネル104に接続されている。これは第1クロスメンバ130(
図1参照)も同様である。これら構成によって、フロアトンネル104の側壁108a、108bが車幅方向に広がるような変形を効率よく抑え、フロアトンネル104を中心としたフロア全体の剛性をより高めて振動および騒音を防ぐことが可能になっている。また、第1クロスメンバ130および第2クロスメンバ132にかけ渡されるよう閉断面E1、E2が延びてこれら各クロスメンバと交差することで、フロアトンネル104の側壁108a、108bの座屈変形も効率よく防止できる。
【0036】
(変形例)
図4は、
図3の車両用フロア構造100の各変形例を示した図である。
図4では、上記実施例にて既に説明した構成要素と同じものには同じ符号を付していて、これによって既出の構成要素については説明を省略する。また、以下の説明において、既に説明した構成要素と同じ名称のものについては、例え異なる符号を付していても、特に明記しない場合は同じ機能を有しているものとする。
【0037】
図4(a)は、
図3の車両用フロア構造100の第1変形例(車両用フロア構造140)を示した図である。当該車両用フロア構造140では、トンネル補強部140a、140bが上方に凸形状のフロアトンネル142の上側に接合されている。トンネル補強部140a、140bは、斜め上方に延びる立壁部144a、144bと、立壁部144a、144bから屈曲した上端部146a、146bを有している。そして、フロアトンネル142は、上面部148がトンネル補強部140a、140bの上端部146a、146bに対して下方から接合され、トンネル補強部140a、140bとの間に閉断面E1、E2を形成している。
【0038】
当該変形例においても、トンネル補強部140a、140bは、フロアトンネル142の側壁150a、150bそれぞれとの間に、車両前後方向にわたって一対の閉断面E1、E2を形成する。したがって、当該車両用フロア構造140においても、閉断面E1、E2を形成してフロアトンネル142の側壁150b、150bの剛性を高め、フロアトンネル142が車幅方向に広がるような変形およびフロアトンネル142が下方に座屈するような変形を効率よく抑えることが可能になっている。したがって、当該車両用フロア構造140によっても、簡潔な構成でフロアトンネル142の剛性を向上させ、これによってフロア全体に生じ得る振動や変形を抑えることが可能になる。
【0039】
図4(b)は、
図3の車両用フロア構造100の第2変形例(車両用フロア構造160)を示した図である。当該車両用フロア構造160では、閉断面E1、E2の内部にバルク部材162a、162bを設けている。バルク部材162a、162bは、閉断面E1、E2の内部に設けられる補強部材であって、フロアトンネル104の側壁108a、108bおよび上面部110と、トンネル補強部106a、106bの立壁部124a、124bおよびフロア延長部122a、122bに接合されている。
【0040】
当該車両用フロア構造160によれば、バルク部材162a、162bを利用して、フロアトンネル104の側壁108a、108bの剛性をさらに高めることができ、これによってフロアトンネル104およびフロアパネル102の振動や変形、さらには異音の発生などを効率よく防ぐことができる。なお、バルク部材162a、162bは、第2クロスメンバ132などの各クロスメンバと重なる位置に設けることで、さらなるフロア全体の剛性の向上を図ることができる。
【0041】
なお、車両用フロア構造100のさらなる変形例として、トンネル補強部106a、106bを独立した部材として形成することが可能である。例えば、
図3のトンネル補強部106a、106bは、左側フロアパネル102aおよび右側フロアパネル102bから独立した部材として形成することができる。この構成によっても、車両用フロア構造100と同様に閉断面E1、E2を形成してフロアトンネル104の側壁108a、108bの剛性を高めて変形や振動等を抑えることが可能になる。
【0042】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、車両用フロア構造に利用することができる。
【符号の説明】
【0044】
100…車両用フロア構造、102…フロアパネル、102a…左側フロアパネル、102b…右側フロアパネル、104…フロアトンネル、106a、106b…トンネル補強部、108a、108b…側壁、110…上面部、112…ダッシュパネル、114…前側領域、116…後側領域、120…シートブラケット、122a、122b…フロア延長部、124a、124b…立壁部、126a、126b…上端、128a、128b…サイドシル、130…第1クロスメンバ、132…第2クロスメンバ、140…車両用フロア構造、140a、140b…トンネル補強部、142…フロアトンネル、144a、144b…立壁部、146a、146b…上端部、148…上面部、150b、150b…側壁、160…車両用フロア構造、162a、162b…バルク部材、E1、E2…閉断面