(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】遮光包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 81/30 20060101AFI20240925BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20240925BHJP
B32B 27/20 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
B65D81/30 C
B65D65/40 D
B32B27/20 A
(21)【出願番号】P 2021009526
(22)【出願日】2021-01-25
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 久貴
(72)【発明者】
【氏名】長田 慎一
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-025555(JP,A)
【文献】特開2018-172138(JP,A)
【文献】特開平09-314719(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/30
B65D 65/00-65/46
B32B 1/00-43/00
B65D 67/00-79/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内面に配される熱接着
性樹脂層と、絵柄を形成する絵柄印刷層と、前記絵柄印刷層の内面側に配した遮光印刷層とを有した積層フィルムにより形成され、内容物の収納部を備えた遮光包装体において、前記遮光印刷層が、前記収納部の全面に白色インキをベタ印刷した白色層と、前記白色層の内面側に配して前記収納部の全面に銀色インキをベタ印刷した銀色層とを有し、前記白色層の波長が300~800nmの光に対する最大の透過率が40~44%であり、前記銀色層の銀色微粒子の含有率が37~47重量%であ
り、
前記積層フィルムが、第1基材層と、前記第1基材層よりも内面側に位置する第2基材層と、前記第2基材層よりも内面側に位置する前記熱接着性樹脂層と、を有し、
前記第2基材層の外面側に、ガスバリア性の透明蒸着膜が形成されており、
前記第1基材層と前記絵柄印刷層との間、及び前記第2基材層と前記熱接着性樹脂層との間に、接着層が形成されており、
前記透明蒸着膜の外面側に、前記銀色層が印刷されており、
前記銀色層の外面側に、前記白色層が印刷されており、
前記白色層の外面側に、前記絵柄印刷層が印刷されていることを特徴とする遮光包装体。
【請求項2】
内面に配される熱接着性樹脂層と、絵柄を形成する絵柄印刷層と、前記絵柄印刷層の内面側に配した遮光印刷層とを有した積層フィルムにより形成され、内容物の収納部を備えた遮光包装体において、前記遮光印刷層が、前記収納部の全面に白色インキをベタ印刷した白色層と、前記白色層の内面側に配して前記収納部の全面に銀色インキをベタ印刷した銀色層とを有し、前記白色層の波長が300~800nmの光に対する最大の透過率が40~44%であり、前記銀色層の銀色微粒子の含有率が37~47重量%であり、
前記積層フィルムが、第1基材層と、前記第1基材層よりも内面側に位置する第2基材層と、前記第2基材層よりも内面側に位置する前記熱接着性樹脂層と、を有し、
前記第2基材層の外面側に、ガスバリア性の透明蒸着膜が形成されており、
前記銀色層と前記透明蒸着膜との間、及び前記第2基材層と前記熱接着性樹脂層との間に、接着層が形成されており、
前記第1基材層の内面側に、前記絵柄印刷層が印刷されており、
前記絵柄印刷層の内面側に、前記白色層が印刷されており、
前記白色層の内面側に、前記銀色層が印刷されていることを特徴とする遮光包装体。
【請求項3】
前記透明蒸着膜が、前記第2基材層の外面側にのみ形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遮光包装体。
【請求項4】
前記白色層の膜厚が前記銀色層の膜厚の80~120%であることを特徴とする請求項1~請求項
3のいずれかに記載の遮光包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮光性を有した遮光包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
医薬品や食品の包装には光による内容物の劣化を防止するために、遮光包装体による包装が必要とされている。遮光包装体を形成する包装材に金属箔を含むことで遮光性を得ることができる。しかし、医薬品の用途では異物検知のための金属探知ができない問題があり、食品の用途では電子レンジで加熱することができない問題がある。このため、遮光剤を含む樹脂から成る遮光層を設けた包装材が特許文献1に開示される。
【0003】
この包装材は内面に熱接着性樹脂層を有し、絵柄印刷層の下層に第1遮蔽層、遮光層、第2遮蔽層が設けられる。第1遮蔽層は白色インキの印刷により形成され、遮光層の色味による暗さを遮蔽して絵柄印刷層の発色性の低下を防止する。遮光層は黒の遮蔽剤または白と黒の遮蔽剤を含む樹脂から成る。第2遮蔽層は白色の遮光剤を含む樹脂から成る。遮光層の内面側に第2遮蔽層を配置すると包装体の内部の視認性を向上することができ、第2遮蔽層の内面側に遮光層を配置すると遮光層の色味による暗さをより遮蔽することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-177948号公報(第3頁-第10頁、第16図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の包装材によると、遮光層を設けることにより第1遮蔽層及び第2遮蔽層が必要となり、包装材及び遮光包装袋の製造工数が大きくなる問題があった。また、遮光層の内面側に第2遮蔽層を配置した場合は第1遮蔽層の厚みを大きくする必要があり、包装材及び遮光包装袋の製造工数がより工数が大きくなる。一方、第2遮蔽層の内面側に遮光層を配置した場合は包装体の内部の視認性が悪くなる。
【0006】
本発明は、内部の視認性がよく製造工数を削減できる遮光包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、内面に配される熱接着樹脂層と、絵柄を形成する絵柄印刷層と、前記絵柄印刷層の内面側に配した遮光印刷層とを有した積層フィルムにより形成され、内容物の収納部を備えた遮光包装体において、前記遮光印刷層が、前記収納部の全面に白色インキをベタ印刷した白色層と、前記白色層の内面側に配して前記収納部の全面に銀色インキをベタ印刷した銀色層とを有し、前記白色層の波長が300~800nmの光に対する最大の透過率が40~44%であり、前記銀色層の銀色微粒子の含有率が37~47重量%であることを特徴としている。
【0008】
また本発明は上記構成の遮光包装体において、前記積層体が、ガスバリア性の透明蒸着膜を蒸着した第1基材層と、第2基材層と、前記熱接着性樹脂層とを順に積層して形成され、前記第1基材層上に前記絵柄印刷層及び前記遮光印刷層が設けられることを特徴としている。
【0009】
また本発明は上記構成の遮光包装体において、前記積層体が、ガスバリア性の透明蒸着膜を蒸着した第1基材層と、第2基材層と、前記熱接着性樹脂層とを順に積層して形成され、前記第2基材層上に前記絵柄印刷層及び前記遮光印刷層が設けられることを特徴としている。
【0010】
また本発明は上記構成の遮光包装体において、前記積層フィルムが、ガスバリア性の透明蒸着膜を蒸着した第1基材層と、第2基材層と、前記熱接着性樹脂層とを順に積層して形成され、前記第1基材層上に前記絵柄印刷層及び前記白色層が設けられるとともに、前記第2基材層上に前記銀色層が設けられることを特徴としている。
【0011】
また本発明は上記構成の遮光包装体において、前記白色層の膜厚が前記銀色層の膜厚の80~120%であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、遮光印刷層が白色インキをベタ印刷した白色層と銀色インキをベタ印刷した銀色層とを有する。このため、白色層と銀色層の2層で高い遮光性が得られるとともに絵柄印刷層の発色性の低下を防止することができる。従って、遮光包装体の製造工数を削減することができる。また、銀色層によって収納部の内部の視認性を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1実施形態の遮光包装体を示す斜視図
【
図2】本発明の第1実施形態の遮光包装体を形成する積層フィルムを示す断面図
【
図3】本発明の第2実施形態の遮光包装体を形成する積層フィルムを示す断面図
【
図4】本発明の第3実施形態の遮光包装体を形成する積層フィルムを示す断面図
【
図5】本発明の第4実施形態の遮光包装体を形成する積層フィルムを示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1実施形態>
以下に図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は第1実施形態の遮光包装体の斜視図を示している。遮光包装体1は上端に開口部1aを有する三方シール袋から成り、収納部5内に食品、医薬品等の内容物が収納される。
【0015】
遮光包装体1は2枚の積層フィルム10の周囲の3辺(両側辺及び底辺)をシール部3により熱接着して形成される。1枚の積層フィルム10を折曲して周囲の2辺(両側辺)をシール部3により熱接着してもよい。遮光包装体1内に内容物を充填した後、熱接着によって開口部1aが封止される。
【0016】
図2は積層フィルム10の断面図を示している。積層フィルム10は外面側から順に第1基材層11、絵柄印刷層14、遮光印刷層15、第2基材層20、熱接着性樹脂層22を備えている。
【0017】
第1基材層11は樹脂から成るベースフィルムの内面に透明蒸着膜11aを蒸着して形成される。ベースフィルムとして、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂等を用いることができ、これらの混合物であってもよい。具体的には2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフイルム、2軸延伸ナイロンフイルム等を用いることができる。また、ベースフィルムが樹脂フィルムを複数積層した多層フィルムであってもよい。第1基材層11の厚みは5~50μm程度である。
【0018】
透明蒸着膜11aは酸化アルミニウム、酸化ケイ素等の酸化物を蒸着して形成される。これにより、遮光包装体1がガスバリア性を有する。このため、ガスバリア性が必要な医薬品用途の遮光包装体1では異物検知のための金属探知を行うことができ、食品用途の遮光包装体1では電子レンジによる加熱を行うことができる。
【0019】
絵柄印刷層14は複数のインキにより第1基材層11上に印刷して絵柄を形成する。グラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷、スクリーン印刷等によって絵柄印刷層14を印刷することができる。
【0020】
遮光印刷層15はグラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷、スクリーン印刷等によって絵柄印刷層14の内面側に印刷され、白色層15a及び銀色層15bを備えている。白色層15aは酸化チタン等の白色微粒子、硬化剤、ブロッキング防止剤を含む白色インキにより積層フィルム10の全面にベタ印刷して形成される。銀色層15bは白色層15aの内面側に配され、アルミニウム等の金属の銀色微粒子、硬化剤、ブロッキング防止剤を含む銀色インキにより積層フィルム10の全面にベタ印刷して形成される。尚、白色層15a及び銀色層15bは少なくとも収納部5の全面にベタ印刷されていればよい。
【0021】
遮光印刷層15によって外部から収納部5に侵入する光を遮光することができる。また、絵柄印刷層14の下層に配した白色層15aによって絵柄の背景が形成されるとともに、銀色層15bの色味による暗さを遮蔽して絵柄印刷層14の発色性の低下を防止することができる。
【0022】
また、白色層15aの白色インキの塗布量及び銀色層15bの銀色インキの塗布量は、例えば、ウェット状態で6g/m2で印刷される。白色層15a及び銀色層15bはそれぞれ1回塗りで印刷され、略等しい膜厚を有する。このため、白色層15aの膜厚は銀色層15bの膜厚の80%~120%の範囲になっている。
【0023】
また、白色層15aは波長が300~800nmの光に対する最大の透過率が40~44%で形成され、銀色層15bは銀色微粒子の含有率が37~47重量%で形成される。尚、以下の説明において、単に「透過率」という場合は、波長が300~800nmの光に対する最大の透過率を示す。
【0024】
白色層15aの透過率は白色インキの濃度及び塗布量に応じて変化する。白色インキの濃度または塗布量が大きく、白色層15aの透過率が40%よりも低いと十分なラミネート強度が得られない。白色インキの濃度または塗布量が小さく、白色層15aの透過率が44%よりも高いと遮光印刷層15による十分な遮光性が得られない。
【0025】
また、銀色層15bの銀色微粒子の含有率が47重量%よりも高いと十分なラミネート強度が得られず、37重量%よりも低いと遮光印刷層15による十分な遮光性が得られない。
【0026】
第2基材層20は樹脂フィルムにより形成される。第2基材層20を形成する樹脂として、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂等を用いることができ、これらの混合物であってもよい。具体的には2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフイルム、2軸延伸ナイロンフイルム等を用いることができる。また、第2基材層20が樹脂フィルムを複数積層した多層フィルムであってもよい。第2基材層20をポリエチレンテレフタレートフイルムにより形成すると、積層フィルム10の耐熱性を高くできるためより望ましい。第2基材層20の厚みは5~50μm程度である。
【0027】
熱接着性樹脂層22は熱によって溶融して溶着可能な樹脂フィルムにより形成される。熱接着性樹脂層22を形成する樹脂として、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリロニトリル 等を用いることができる。具体的には無延伸ポリプロピレンフィルムを好適に用いることができる。熱接着性樹脂層22の厚みは特に限定はないが20~80μm程度である。
【0028】
絵柄印刷層14及び遮光印刷層15を印刷した第1基材層11と、第2基材層20とは接着剤から成る接着層16によりドライラミネートされる。第2基材層20と熱接着性樹脂層22とは接着剤から成る接着層21によりドライラミネートされる。尚、熱接着性樹脂層22を第2基材層20上に押出される押出し樹脂により形成してもよい。
【0029】
積層フィルム10の熱接着性樹脂層22の熱接着により形成される遮光包装体1は、白色層15a及び銀色層15bを有した遮光印刷層15が設けられる。このため、遮光包装体1が遮光性を有し、光による内容物の劣化を防止することができる。また、白色層15aによって絵柄印刷層14の発色性の低下を防止することができ、内面側に配される銀色層15bによって収納部5の内部の視認性を高くすることができる。更に、遮光印刷層15が白色層15a及び銀色層15bの2層で形成されるため、遮光包装体1の製造工数を削減することができる。
【0030】
この時、白色層15aは透過率が40~44%で形成され、銀色層15bは銀色微粒子の含有率が37~47重量%で形成される。これにより、収納部5を10%以下の透過率で形成することができる。また、遮光包装体1を形成する積層フィルム10が2N/15mm以上の高いラミネート強度を有し、積層フィルム10の層間剥離を防止することができる。
【0031】
本実施形態によると、遮光印刷層15が白色インキをベタ印刷した白色層15aと銀色インキをベタ印刷した銀色層15bとを有する。このため、白色層15aと銀色層15bの2層で遮光性が得られるとともに絵柄印刷層14の発色性の低下を防止することができる。従って、遮光包装体1の製造工数を削減することができる。また、銀色層15bによって収納部5の内部の視認性を高くすることができる。
【0032】
また、白色層15aは透過率が40~44%で形成され、銀色層15bは銀色微粒子の含有率が37~47重量%で形成される。これにより、収納部5が高い遮光性を有するとともに、積層フィルム10の層間剥離を防止することができる。
【0033】
また、積層フィルム10が、透明蒸着膜11aを蒸着した第1基材層11と、第2基材層20と、熱接着性樹脂層22とを積層して形成され、遮光印刷層15が第1基材層11に設けられる。これにより、遮光印刷層15を備えた積層フィルム10及び遮光包装体1を容易に実現することができる。
【0034】
本実施形態において、遮光包装体1のガスバリア性を必要としない場合は透明蒸着膜11aを省いてもよい。
【0035】
<第2実施形態>
次に、
図3は第2実施形態の遮光包装体1を形成する積層フィルム10の断面図を示している。説明の便宜上、前述の
図1~
図2に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は積層フィルム10の絵柄印刷層14及び遮光印刷層15が第2基材層20上に設けられる。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0036】
第2基材層20の外面側には遮光印刷層15の銀色層15bが印刷され、銀色層15bの外面に白色層15aが印刷される。また、白色層15aの外面に絵柄印刷層14が印刷される。第1基材層11と、絵柄印刷層14及び遮光印刷層15を印刷した第2基材層20とは接着剤により形成される接着層12によりドライラミネートされる。
【0037】
本実施形態においても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。尚、本実施形態において、遮光包装体1のガスバリア性を必要としない場合は透明蒸着膜11aを省いてもよい。
【0038】
<第3実施形態>
次に、
図4は第3実施形態の遮光包装体1を形成する積層フィルム10の断面図を示している。説明の便宜上、前述の
図1~
図2に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は積層フィルム10の遮光印刷層15の白色層15aが第1基材層11上に設けられ、銀色層15bが第2基材層20上に設けられる。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0039】
第1基材層11の内面側には絵柄印刷層14が印刷され、絵柄印刷層14の内面に遮光印刷層15の白色層15aが印刷される。第2基材層20の外面側には遮光印刷層15の銀色層15bが印刷される。絵柄印刷層14及び白色層15aを印刷した第1基材層11と、銀色層15bを印刷した第2基材層20とは接着剤により形成される接着層12によりドライラミネートされる。
【0040】
本実施形態においても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、遮光印刷層15の白色層15aと銀色層15bとを分散させて、白色層15aを第1基材層11に設けるとともに銀色層15bを第2基材層20に設けている。これにより、絵柄印刷層14により形成される絵柄の背景の白色濃度を高くすることができる。また、インキの重ね刷りを軽減して積層フィルム10のラミネート強度の低下を抑制することができる。
【0041】
<第4実施形態>
次に、
図5は第4実施形態の遮光包装体1を形成する積層フィルム10の断面図を示している。説明の便宜上、前述の
図1~
図2に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は積層フィルム10の第1基材層11上の透明蒸着膜11a(
図2参照)が省かれ、第2基材層20に透明蒸着膜20aが設けられる。また、絵柄印刷層14及び遮光印刷層15が第2基材層20上に設けられる。その他の部分は第1実施形態と同様である。
【0042】
第2基材層20の外面側には酸化物を蒸着して透明蒸着膜20aが形成される。透明蒸着膜20a上には遮光印刷層15の銀色層15bが印刷され、銀色層15bの外面に白色層15aが印刷される。また、白色層15aの外面に絵柄印刷層14が印刷される。第1基材層11と、絵柄印刷層14及び遮光印刷層15を印刷した第2基材層20とは接着剤により形成される接着層12によりドライラミネートされる。
【0043】
本実施形態においても第1実施形態と同様の効果を得ることができる。尚、本実施形態において、第1基材層11に絵柄印刷層14及び遮光印刷層15を印刷してもよい。
【実施例1】
【0044】
次に、遮光包装体1の各実施例について透過率及びラミネート強度を調べた。実施例1は第1実施形態の遮光包装体1を用いている。第1基材層11は厚み12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフイルム上に酸化アルミニウムの透明蒸着膜11aを設けている。第2基材層20は厚み12μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフイルムを用いている。熱接着性樹脂層22は厚み60μmの無延伸ポリプロピレンフィルムを用いている。
【0045】
白色層15a及び銀色層15bはヘリオ175L/inchでグラビア印刷し、白色インキ及び銀色インキの塗布量はウェット状態で6g/m2である。また、白色層15aの透過率は44%であり、銀色層15bの銀色微粒子の含有量は39重量%である。銀色微粒子としてアルミニウム微粒子を用いている。尚、白色層15aの白色インキは適量の硬化剤を含有し、銀色層15bの銀色インキは適量の硬化剤及びブロッキング防止剤を含有する。
【実施例2】
【0046】
実施例2の遮光包装体1は、積層フィルム10の銀色層15bの銀色微粒子の含有量を37重量%にしている。その他は実施例1と同一である。
【実施例3】
【0047】
実施例3の遮光包装体1は、積層フィルム10の銀色層15bの銀色微粒子の含有量を47重量%にしている。その他は実施例1と同一である。
【実施例4】
【0048】
実施例4の遮光包装体1は、積層フィルム10の白色層15aの透過率を40%にしており、銀色層15bの銀色微粒子の含有量を47重量%にしている。その他は実施例1と同一である。
【0049】
[比較例1]
比較例1の遮光包装体1は、積層フィルム10の白色層15aの白色インキ及び銀色層15bの銀色インキの塗布量はウェット状態で7g/m2である。また、白色層15aの透過率を36%にしており、銀色層15bの銀色微粒子の含有量を39重量%にしている。その他は実施例1と同一である。
【0050】
[比較例2]
比較例2の遮光包装体1は、積層フィルム10の白色層15aの透過率を38%にしており、銀色層15bの銀色微粒子の含有量を39重量%にしている。その他は実施例1と同一である。
【0051】
[比較例3]
比較例3の遮光包装体1は、積層フィルム10の白色層15aの透過率を39.5%にしており、銀色層15bの銀色微粒子の含有量は39重量%にしている。その他は実施例1と同一である。
【0052】
[比較例4]
比較例4の遮光包装体1は、積層フィルム10の白色層15aの透過率を50%にしており、銀色層15bの銀色微粒子の含有量を39重量%にしている。その他は実施例1と同一である。
【0053】
[比較例5]
比較例5の遮光包装体1は、積層フィルム10の白色層15aの透過率を47%にしており、銀色層15bの銀色微粒子の含有量を39重量%にしている。その他は実施例1と同一である。
【0054】
[比較例6]
比較例6の遮光包装体1は、積層フィルム10の白色層15aの透過率を44%にしており、銀色層15bの銀色微粒子の含有量を33重量%にしている。その他は実施例1と同一である。
【0055】
【0056】
表1は各実施例及び各比較例の積層フィルム10の透過率及びラミネート強度を調べた結果を示している。表1において、ラミネート強度は、2N/15mm以上を「〇」で示し、2N/15mm未満を「×」で示している。
【0057】
表1を参照して比較例1~3によると、白色層15aの透過率が40%よりも低いと、ラミネート強度が悪くなる。また、比較例4~6によると、白色層15aの透過率が47%以上の場合及び銀色層15bの銀色微粒子の含有率が33%以下の場合に、積層フィルム10の透過率が高くなる。
【0058】
これに対して実施例1~4によると、白色層15aの透過率が40%~44%であり、銀色層15bの銀色微粒子の含有率が37%~47%の場合に、積層フィルム10が10%以下の低い透過率を有し、2N/15mm以上の高いラミネート強度を有する。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明によると、医薬品や食品を包装する遮光包装体に利用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 遮光包装体
1a 開口部
3 シール部
5 収納部
10 積層フィルム
11 第1基材層
11a 透明蒸着膜
12、16,21 接着層
14 絵柄印刷層
15 遮光印刷層
15a 白色層
15b 銀色層
20 第2基材層
22 熱接着性樹脂層