(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】ゲーム機
(51)【国際特許分類】
A63F 13/45 20140101AFI20240925BHJP
A63F 13/20 20140101ALI20240925BHJP
A63F 13/211 20140101ALI20240925BHJP
A63F 13/213 20140101ALI20240925BHJP
A63F 13/655 20140101ALI20240925BHJP
【FI】
A63F13/45
A63F13/20 A
A63F13/211
A63F13/213
A63F13/655
(21)【出願番号】P 2021012974
(22)【出願日】2021-01-29
【審査請求日】2023-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000132471
【氏名又は名称】株式会社セガ
(74)【代理人】
【識別番号】110002273
【氏名又は名称】弁理士法人インターブレイン
(72)【発明者】
【氏名】加地 祐介
(72)【発明者】
【氏名】芦ケ谷 宏樹
【審査官】柳 重幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-087848(JP,A)
【文献】特開2015-191531(JP,A)
【文献】特開2020-092938(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/24
13/00-13/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜を検出可能な遊技媒体を載置可能な面領域を形成する板部品と、
前記遊技媒体で検出された前記遊技媒体の前記傾斜の情報を受信する受信部と、
前記面領域を前記遊技媒体の反対側から撮影する撮影装置と、
前記撮影装置で撮影された映像に基づいて、前記遊技媒体の少なくとも位置を検出する解析部と、
前記遊技媒体の前記傾斜及び前記位置に応じてゲームを進行するゲーム進行部と、を有
し、
前記受信部は、前記遊技媒体の種類の情報を受信し、
前記解析部は、前記遊技媒体の前記種類と前記傾斜に応じた画像パターンを生成し、当該画像パターンを用いて、前記映像に含まれる前記遊技媒体の裏面画像を探索することを特徴とするゲーム機。
【請求項2】
前記ゲーム進行部は、前記ゲームの進行に関わるパラメータを、前記ゲームの進行中に検出される前記傾斜に応じて変更し、随時変更された前記パラメータを用いて前記ゲームを進行することを特徴とする請求項
1に記載のゲーム機。
【請求項3】
前記パラメータは連続的な値を示し、
前記ゲーム進行部は、前記傾斜の連続的な変化に応じて前記パラメータを連続的に変化させることを特徴とする請求項
2に記載のゲーム機。
【請求項4】
前記パラメータは複数の選択肢のうちのいずれかを示し、
前記ゲーム進行部は、前記傾斜の程度に応じて選択肢を特定することを特徴とする請求項
2に記載のゲーム機。
【請求項5】
前記パラメータは複数の選択肢のうちのいずれかを示し、
前記ゲーム進行部は、前記傾斜の検出タイミングで選択肢を切り替えることを特徴とする請求項
2に記載のゲーム機。
【請求項6】
前記ゲーム進行部は、前記位置の変化によって前記遊技媒体の移動を算出し、前記傾斜と前記移動の組み合わせに応じて、イベントまたはコマンドを発生させることを特徴とする請求項
2に記載のゲーム機。
【請求項7】
前記解析部は、さらに前記遊技媒体の方向を検出し、
前記ゲーム進行部は、前記方向の変化によって前記遊技媒体の回転を算出し、前記傾斜と前記回転の組み合わせに応じて、イベントまたはコマンドを発生させることを特徴とする請求項
2に記載のゲーム機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレイヤーによって載置される遊技媒体の操作に応じて進行するゲーム機、に関する。
【背景技術】
【0002】
アーケードゲームのひとつに、ゲームカードを駆使することで対戦等を行う「トレーディングカードゲーム」がある(「コレクタブルカードゲーム(Collectible Card Game)」ともよばれる)。トレーディングカードにはキャラクタが対応づけられ、トレーディングカードの表面にはキャラクタのイラストが描かれることが多い。
【0003】
トレーディングカードゲームにおいては、たとえば特許文献1のように、プレイヤーがフラットパネル上に並べた複数のトレーディングカードの種類や位置等を随時検出し、プレイヤーがこのカードをフラットパネル上で移動させたり、回転させたりすることによってトレーディングカードに対応するキャラクタが操作される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-072667号公報
【文献】特開2006-072668号公報
【文献】特開2006-260602号公報
【文献】特開2012-19851号公報
【文献】特開2015-191531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
但し、たとえば特許文献1において、トレーディングカードの操作方法は、トレーディングカードの移動と回転だけであるので、キャラクタの位置や方向を決めることが主となり、プレイヤー操作に応じたゲーム進行のバリエーションが乏しくなりがちである。たとえば、キャラクタに何かのアクションをさせたり、キャラクタに関するパラメータを変更したりすることは、トレーディングカードの移動と回転の操作だけでは難しかった。
【0006】
本発明は、上記課題認識に基づいて完成された発明であり、その主たる目的は、遊技媒体を用いるゲーム機における操作性を高める技術、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様におけるゲーム機は、傾斜を検出可能な遊技媒体を載置可能な面領域を形成する板部品と、遊技媒体で検出された遊技媒体の傾斜の情報を受信する受信部と、面領域を遊技媒体の反対側から撮影する撮影装置と、撮影装置で撮影された映像に基づいて、遊技媒体の少なくとも位置を検出する解析部と、遊技媒体の傾斜及び位置に応じてゲームを進行するゲーム進行部と、を有する。
【0008】
本発明の別の態様における遊技媒体は、ゲーム機の載置面においてワイヤレス給電を受ける受電部と、ワイヤレス給電で得た電力を用いて遊技媒体の傾斜を検出するセンサと、検出された傾斜の情報をゲーム機へ送信する送信部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、遊技媒体を用いるゲーム機における操作性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図8】トレーディングカードの裏面図形の例を示す図である。
【
図10】
図10(A)は、前方傾斜のトレーディングカードを上方から見た平面図である。
図10(B)は、前方傾斜のトレーディングカードを後方から見た正面図である。
図10(C)は、前方傾斜のトレーディングカードを右側から見た側面図である。
【
図11】
図11(A)は、水平に置かれたトレーディングカードのカード裏面画像の形状を示す図である。
図11(B)は、前方傾斜のトレーディングカードのカード裏面画像の形状を示す図である。
【
図12】
図12は、前方傾斜の条件で射影変換された画像パターンの例を示す図である。
【
図13】
図13(A)は、後方傾斜のトレーディングカードを上方から見た平面図である。
図13(B)は、後方傾斜のトレーディングカードを後方から見た正面図である。
図13(C)は、後方傾斜のトレーディングカードを右側から見た側面図である。
【
図14】
図14(A)は、右側傾斜のトレーディングカードを上方から見た平面図である。
図14(B)は、右側傾斜のトレーディングカードを後方から見た正面図である。
図14(C)は、右側傾斜のトレーディングカードを右側から見た側面図である。
【
図15】
図15(A)は、水平に置かれたトレーディングカードのカード裏面画像400の形状を示す図である。
図15(B)は、右側傾斜のトレーディングカードのカード裏面画像400の形状を示す図である。
【
図16】
図16は、右側傾斜の条件で射影変換された画像パターンの例を示す図である。
【
図17】
図17(A)は、左側傾斜のトレーディングカードを上方から見た平面図である。
図17(B)は、左側傾斜のトレーディングカードを後方から見た正面図である。
図17(C)は、左側傾斜のトレーディングカードを右側から見た側面図である。
【
図18】トレーディングカードのハードウェア構成例を示す図である。
【
図19】ゲーム機のハードウェア構成例を示す図である。
【
図20】制御装置のモジュール構成例を示す図である。
【
図22】部隊パラメータ記憶部のデータ構成図である。
【
図23】映像解析処理過程を示すフローチャートである。
【
図24】ゲーム進行処理過程を示すフローチャートである。
【
図25】
図25(A)は、2枚のトレーディングカードによる山型の形態を示す図である。
図25(B)は、山型と認められない形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、ゲーム機100の斜視図である。
ゲーム機100は、筐体102の前に着座したプレイヤーによって使用される。筐体102の上面には、正面モニター104が設置されている。正面モニター104の両脇には、スピーカー106が設置されている。筐体102の上板には、カード配置パネル108が埋め込まれている。さらに、筐体102の上板には、押しボタンスイッチ114と発光ダイオード116も設置されている。尚、
図1で示した筐体102は、外装のカバーを示している。また、「筐体102の前方」とは、筐体102の正面方向、つまりプレイヤーの方を指すものとする。反対に「筐体102の後方」とは、筐体102の背面方向、つまり正面モニター104の裏側の方を指すものとする。プレイヤーとの対面関係を基準とするからである。一方、「カード配置パネル108の前方」とは、正面モニター104の方を指し、「カード配置パネル108の後方」とは、プレイヤーの方を指すものとする。カード配置パネル108に表示される画像の向きを基準とするからである。
【0012】
以下では、ゲーム機100による中国古代の戦闘シミュレーションゲームを例示する。このゲームでは、プレイヤー側の陣営と相手側の陣営が対戦する。コンピュータ対戦の場合には、ゲーム機100が自動的に相手側陣営の動きを決める。ユーザ同士の対戦の場合には、別のプレイヤーの操作によって相手側陣営の動きが決まる。
【0013】
両陣営には、それぞれ複数の武将が加わる。武将は、自らの部隊を率いて敵と戦う。つまり、複数の部隊が入り乱れて、戦闘が繰り広げられる。プレイヤーが参戦させる武将は、プレイヤーが使用するトレーディングカード200によって決まる。トレーディングカード200の表面には、武将のイラスト、名前や特性情報などが描かれている。
【0014】
カード配置パネル108の表面は、プレイ操作における戦場に相当する。プレイヤーは、武将を示すトレーディングカード200を保持している。プレイヤーは、参戦させる武将のトレーディングカード200をカード配置パネル108に載置する。また、トレーディングカード200の位置を変えることによって、武将が率いる部隊を任意のところへ移動させることができる。
【0015】
戦場の様子は、正面モニター104に表示される。カード配置パネル108におけるトレーディングカード200の中心位置に相当する場所には、武将のキャラクタが表示される。また、武将の周辺には20名程度の兵士が描かれる。トレーディングカード200をスライドさせると、正面モニター104に表示される戦場で武将が移動する。また、それに伴って部隊の兵士も移動する。両陣営の部隊同士が接近すると、戦いが起きる。
【0016】
このように、カード配置パネル108の上で、プレイヤーがトレーディングカード200を動かすことによって、プレイ操作が行われる。そのため、ゲーム機100は、トレーディングカード200の種類および傾斜を、トレーディングカード200から受信する。また、ゲーム機100は、トレーディングカード200の裏面を撮影してトレーディングカード200の位置および方向を検出する。
【0017】
この例で、プレイヤーが、トレーディングカード200aの前端をカード配置パネル108に接触させながら、右手でトレーディングカード200aの後部を持ち上げているものとする。そのため、トレーディングカード200aは、前方へ傾斜している。また、プレイヤーは、さらにトレーディングカード200bの右端をカード配置パネル108に接触させながら、左手でトレーディングカード200bの左側を持ち上げているものとする。そのため、トレーディングカード200bは、右側へ傾斜している。図示しない例として、反対にトレーディングカード200が後方へ傾斜する場合や左側へ傾斜する場合もある。また、トレーディングカード200を傾斜させずに、全体をカード配置パネル108に接させる場合もある。なお、「トレーディングカード200の前方」は、トレーディングカード200の表面に描かれたキャラクタの頭部方向や文字の上方と一致する。反対に、「トレーディングカード200の後方」は、トレーディングカード200に描かれたキャラクタの足元方向や文字の下方と一致する。つまり、トレーディングカード200の表面に描かれた画像の向きを基準とする。したがって、「トレーディングカード200の前方傾斜」の場合、トレーディングカード200の後方がトレーディングカード200の前方よりも高くなる。反対に、「トレーディングカード200の後方傾斜」の場合、トレーディングカード200の前方がトレーディングカード200の後方よりも高くなる。
【0018】
プレイ中において、ゲーム機100は各トレーディングカード200の検出結果を用いて戦闘シミュレーションの表示画像を作成し、正面モニター104に表示させる。また、ゲーム機100は、戦場の音声をスピーカー106から出力させる。
【0019】
図2は、ゲーム機100の側断面図である。ゲーム機100がトレーディングカード200の裏面を撮影する仕組みについて説明する。
ゲーム機100は、赤外光を用いてトレーディングカード200の裏面を撮影する。そのため、トレーディングカード200の裏面から赤外光を放出し、ゲーム機100は、トレーディングカード200から発光された赤外光で構成された図形を読み取る。筐体102の内側にある撮影装置110は、赤外光を捉えて載置面の映像(以下、「パネル映像」という)を生成する。撮影装置110は、鏡板182における反射を利用して、トレーディングカード200の載置面を下方から撮影する。但し、撮影装置110は、鏡板182を用いず下方から直接載置面を撮影してもよい。
【0020】
トレーディングカード200に赤外光を発光させるために、ゲーム機100はトレーディングカード200に対してワイヤレス給電を行なう。尚、トレーディングカード200は、電飾のための発光も行なう。ゲーム機100は、トレーディングカード200に発光コマンドを送って発光をコントロールする。
【0021】
ワイヤレス給電では、コイルが使用される。
図3に、ゲーム機100におけるコイル112の配線を示す。
カード配置パネル108の周囲にコイル112が設けられる。コイル112は、ワイヤレス給電方式にしたがって、カード配置パネル108の載置面に磁界を生じさせる。ワイヤレス給電方式として、電磁誘導方式、磁界共振方式あるいは電界結合方式などの従来の技術を利用する。尚、
図3では、外装のカバーを除いた筐体102を示している。
【0022】
次に、トレーディングカード200が発光する仕組みについて説明する。トレーディングカード200は、裏側に赤外光を発光し、表側に白色光を発光する構造になっている。
図4は、トレーディングカード200の側断面図である。
図5は、
図4に示した断面線による水平断面図である。
【0023】
トレーディングカード200の裏側について説明する。トレーディングカード200の左端の下部には、赤外線導光板204向きの赤外線発光素子202が一列に配置されている。赤外線発光素子202から放出された赤外光は、内側面、両側面および右端面を反射材210aで覆われた赤外線導光板204内に充満し、下位に設けられた赤外線拡散シート212を介して拡散する。それにより、赤外線拡散シート212に貼り付けられた裏面シート214を内側から照らし出す。裏面シート214は、赤外光を透過させる素材を用いる。そして、後述する
図8で黒く示した遮断領域は、赤外光を遮断するインクで印刷されている。
図8で白く示した透過領域は、そのまま赤外光を透過させる。吸収域と反射域を含むコードパターンをトレーディングカード200毎に異ならせることで、識別子(カードID)として機能させる。なお、本実施例では赤外線発光素子202から放出された赤外線発光を例に説明をするが、赤外線ではなく、紫外線等の他の不可視光を放出する発光素子(不可視光発光素子)を用いてもよい。
【0024】
トレーディングカード200の表側について説明する。トレーディングカード200の左端の上部には、白色導光板208向きの白色発光素子206が一列に配置されている。白色発光素子206から放出された白色光は、内側面、両側面および右端面を反射材210bで覆われた白色導光板208内に充満し、上位に設けられた白色拡散シート216を介して拡散する。それにより、白色拡散シート216に貼り付けられた表面シート218を内側から照らし出す。透明素材を用いる表面シート218に、半透明のインクで印刷されている武将のイラストおよび武将の名前や属性を示す文字列などが、高い輝度で照らされる。たとえば、戦闘中の武将のトレーディングカード200を高い輝度で照らせば、武将が躍動する雰囲気を演出できる。また、表面シート218を半透明の白以外の色にすることで、白以外の色で発光させるようにしてもよい。なお、本実施例では白色発光素子206から放出された白色光を例に説明をするが、白色ではなく、赤色や青色等の他の色の可視光を放出する発光素子(可視光発光素子)を用いてもよい。
【0025】
反射材210aと反射材210bの間には、電子部品層219が設けられる。電子部品層219には、集積回路、センサ、通信デバイスなどのチップや電子回路基板などが実装される。
【0026】
続いて、ゲーム機100の全体構成について説明する。
図6は、カード配置パネル108と筐体102の組立図である。
カード配置パネル108の下層として白色導光板130が設けられる。白色導光板130の4つの側面には、白色LED132が設置される。上層には、液晶パネル126が設けられる。白色導光板130と白色LED132と液晶パネル126を、筐体102に固定させるパネルフレーム186の内部には、コイル112が通っている。なお、コイル112は、パネルフレーム186の内部のほか、カード配置パネル108の内部に複数並べて設けてもよい。この場合、液晶パネル126が出力する映像の視認性が損なわれないように、透明電極等の透明の導体をコイル112に用いるとよい。
【0027】
図7に、赤外光および白色光の経路を示す。
トレーディングカード200における裏面シート214の透過域から放出された赤外光601は、液晶パネル126と白色導光板130を透過する。
【0028】
また、白色導光板130と白色LED132が一体となった白色発光パネル128は、液晶パネル126を背後から照らす。この白色光603は、トレーディングカード200の逆光となるが、トレーディングカード200の表面も白色光605で内側から照らされるので、見づらくはならない。
【0029】
図8は、トレーディングカード200の裏面図形の例を示す図である。
トレーディングカード200の裏面シート214は、赤外光を透過させる膜素材をベースとする。裏面シート214の中央にはコードパターン301が印刷されている。コードパターン301内の黒い部分は、例えば炭素等の赤外光を遮断する物質を原料に含むインクで印刷されている。白い部分は、何も印刷されていない。あるいは、赤外光を遮断する物質を原料に含まないインクで印刷されている。また、トレーディングカード200の右上端には、右上の基準マーカ303が印刷され、同じく左上端には、左上の基準マーカ305が印刷され、同じく右下端には、右下の基準マーカ307が印刷され、同じく左下端には、左下の基準マーカ309が印刷されている。基準マーカ303~309も、コードパターン301の場合と同様に赤外光を遮断するインクで印刷されている。このように、図中黒く示した遮断領域は、赤外光を遮断し、白く示した透過領域は、赤外光を透過させる。コードパターン301には、所定の図形化ルールにしたがってデータが埋め込まれている。コードパターン301の図形は、埋め込まれているデータによって異なるが、コードパターン301の場所は一定である。この例でコードパターン301には、トレーディングカード200の識別子(カードID)から一意に定まる図形が用いられるものとする。つまり、トレーディングカード200の識別子(カードID)とコードパターン301は、相互に変換可能である。なお、図示するように、裏面シート214の横幅をWcと表し、裏面シート214の縦の長さをLcと表す。
【0030】
図9は、パネル映像の例を示す図である。
上述のとおり、パネル映像は、撮影装置110によって撮影された映像である。なお、パネル映像には、歪曲収差の補正が施される。歪曲収差とは、レンズの光学的な特性によって生じる歪みである。この歪みを正すことによって、映像が被写体と相似になる。
【0031】
図示したパネル映像には、トレーディングカード200aを下方から写したカード裏面画像400aと、トレーディングカード200bを下方から写したカード裏面画像400bとが含まれる。この図では、説明の便宜のためにカード裏面画像400aとカード裏面画像400b以外の範囲を白色で表しているが、実際には赤外光が生じないので黒色となる。
【0032】
カード裏面画像400aとカード裏面画像400bは、若干歪みを伴い台形に写る。この歪みは、歪曲収差によるものではなく、撮影装置110とトレーディングカード200の裏面との距離に起因する。つまり、撮影装置110から離れた部分は小さく写るという現象による歪みである。
【0033】
本実施形態におけるゲーム機100は、トレーディングカード200の種類と傾斜の情報を利用してゲームを進行させる。そのため、ゲーム機100は、カード配置パネル108上のトレーディングカード200の種類と傾斜を知る必要がある。しかし、
図9に示したように歪んだカード裏面画像400aやカード裏面画像400bを解析して、種類と傾斜を検出する処理の負担は大きい。その処理に時間がかかると、プレイヤーの操作に応じたゲームの進行が遅れて、機敏な動きに即応できないということも起こり得る。
【0034】
本実施形態では、カード裏面画像400からトレーディングカード200の種類と傾斜を検出するのではなく、通信によってトレーディングカード200から種類と傾斜の情報を取得する。ワイヤレス給電によって電力を得たトレーディングカード200が、内蔵するジャイロセンサを用いて自らの姿勢を示す傾斜(たとえば、ピッチ角度とロール角度)を検出する。そして、トレーディングカード200は、検出したトレーディングカード200の傾斜の情報をゲーム機100に送信する。また、トレーディングカード200は、トレーディングカード200の内部に記憶されているトレーディングカード200の種類の情報もゲーム機100に送信する。送信にかかる電力も、ワイヤレス給電によって得られる。ゲーム機100は、トレーディングカード200から受信したトレーディングカード200の種類と傾斜の情報を利用してゲームを進行させる。この例で、トレーディングカード200の種類は、トレーディングカード200の識別子(カードID)であるものとする。
【0035】
ゲーム機100は、トレーディングカード200の位置と方向の情報も、ゲームの進行に利用する。トレーディングカード200の位置と方向は、カード裏面画像400に基づいて検出される。ただし、トレーディングカード200の種類と傾斜の情報が得られているので、この情報を利用して位置と方向を検出する処理の負荷を軽減する。以下、4つの傾斜向き(前方傾斜、後方傾斜、右側傾斜および左側傾斜)について、トレーディングカード200の位置および方向の検出方法について説明する。
【0036】
まず、前方傾斜の場合について説明する。
図10(A)は、前方傾斜のトレーディングカード200を上方から見た平面図である。
図10(B)は、前方傾斜のトレーディングカード200を後方から見た正面図である。
図10(C)は、前方傾斜のトレーディングカード200を右側から見た側面図である。
前方傾斜の場合、ピッチ角度Pは負の値となる。この例では、ピッチ角度Pは-20度である。水平なカード配置パネル108とトレーディングカード200がなす前方傾斜角θfは、正の値であり、-Pとなる。したがって、この例で前方傾斜角θfは、20度である。
【0037】
図10(A)に示した表面シート218は、
図10(B)に示した裏面シート214と同じサイズである。
図10(A)に示したように上方から見た表面シート218の横幅はWcであるが、縦の長さLfはLcよりも短くなる。縦の長さLfは、Lc×cosθfで算出される。
【0038】
図11(A)は、水平に置かれたトレーディングカード200のカード裏面画像400の形状を示す図である。
図11(B)は、前方傾斜のトレーディングカード200のカード裏面画像400の形状を示す図である。
図11(B)に示した前方傾斜におけるカード裏面画像400は、
図10(A)に示した表面シート218の矩形とほぼ同じである。前方傾斜におけるカード裏面画像400における縦の長さは、Lf=Lc×cosθfである。前方傾斜におけるカード裏面画像400の前方辺における横幅は、Wcである。
【0039】
しかし、後方が持ち上がっているので、後方の横幅が短く写り、わずかに台形に変化する。端的に言えば、後方辺の横幅Wbは、撮影装置110から遠ざかる分だけ小さく写り、Wcより短くなる。後方辺の横幅Wbは、たとえばF(θf)×Wcで算出される。関数F(θf)は、前方傾斜角θfを変数とする縮小率を示す。この例で、θfが20度の場合に、関数F(θf)の値はおよそ0.9である。前方傾斜角θfと縮小率の関数F(θf)の値は、負の相関関係がある。つまり、前方傾斜角θfが大きくなるほど、縮小率の関数F(θf)の値は小さくなる。関数F(θf)は、
図2に示したゲーム機100の内部構造、撮影装置110の特性やトレーディングカード200の形状などに依存する。関数F(θf)の算出式は、幾何的に特定してもよいし、実験によって特定してもよい。
【0040】
このように、裏面シート214の裏面図形を、
図11(A)に示した矩形(横幅:Wc,縦の長さ:Lc)から、
図11(B)に示した台形(前方辺(上底):Wc,後方辺(下底):Wb=F(θf)×Wc,高さ:Lf=Lc×cosθf)へ射影変換することによって、前方傾斜におけるカード裏面画像400と同じ画像パターンが求められる。
【0041】
画像パターンの中心は、
図11(B)に示した台形における前方辺(上底)の中点と後方辺(下底)の中点を結ぶ線分の中点である。また、画像パターンの方向は、当該線分の前方方向と一致する。
【0042】
図12は、前方傾斜の条件で射影変換された画像パターンの例を示す図である。
図8に示した裏面シート214の裏面図形を、前方傾斜角θf=20度の条件で射影変換すると、
図12に示す画像パターンが得られる。
【0043】
パネル映像においてこの画像パターンを探索するパターンマッチングによって、前方傾斜におけるカード裏面画像400を特定することができる。また、カード裏面画像400とマッチした画像パターンにおける中心に相当するパネル映像の座標を、トレーディングカード200の中心位置とする。また、カード裏面画像400とマッチした画像パターンの方向によって、パネル映像におけるトレーディングカード200の方向を特定する。
【0044】
次に、後方傾斜の場合について説明する。
図13(A)は、後方傾斜のトレーディングカード200を上方から見た平面図である。
図13(B)は、後方傾斜のトレーディングカード200を後方から見た正面図である。
図13(C)は、後方傾斜のトレーディングカード200を右側から見た側面図である。
後方傾斜の場合、ピッチ角度Pは正の値となる。この例では、ピッチ角度Pは20度である。水平なカード配置パネル108とトレーディングカード200がなす後方傾斜角θbは、正の値であり、Pとなる。したがって、この例で後方傾斜角θbは、20度である。
【0045】
図13(A)に示したように上方から見た表面シート218の横幅はWcであるが、前方傾斜の場合と同様に、縦の長さLbはLcよりも短くなる。縦の長さLbは、Lc×cosθbで算出される。
【0046】
後方傾斜におけるカード裏面画像400は、
図13(A)に示した表面シート218の矩形とほぼ同じである。後方傾斜におけるカード裏面画像400における縦の長さは、Lb=Lc×cosθbである。後方傾斜におけるカード裏面画像400の後方辺における横幅は、Wcである。
【0047】
しかし、トレーディングカード200の前方が持ち上がっているので、前方の横幅が短く写り、わずかに台形に変化する。後方傾斜におけるカード裏面画像400の前方辺の横幅Wfは、たとえばF(θb)×Wcで算出される。関数F(θb)は、後方傾斜角θbを変数とする縮小率を示す。関数F(θb)は、関数F(θf)と同じ算出式で表される。
【0048】
後方傾斜の場合、裏面シート214の裏面図形を、矩形(横幅:Wc,縦の長さ:Lc)から、台形(前方辺(上底):Wf=F(θb)×Wc,後方辺(下底):Wc,高さ:Lb=Lc×cosθb)へ射影変換することによって、後方傾斜におけるカード裏面画像400に相当する画像パターンが得られる。
【0049】
画像パターンの中心は、台形における前方辺(上底)の中点と後方辺(下底)の中点を結ぶ線分の中点である。また、画像パターンの方向は、当該線分の前方方向と一致する。
【0050】
パネル映像における画像パターンを探索するパターンマッチング、トレーディングカード200の位置および方向を特定する処理は、前方傾斜の場合と同様である。
【0051】
次に、右側傾斜の場合について説明する。
図14(A)は、右側傾斜のトレーディングカード200を上方から見た平面図である。
図14(B)は、右側傾斜のトレーディングカード200を後方から見た正面図である。
図14(C)は、右側傾斜のトレーディングカード200を右側から見た側面図である。
右側傾斜の場合、ロール角度Rは正の値となる。この例では、ロール角度Rは23度である。水平なカード配置パネル108とトレーディングカード200がなす右側傾斜角Φrは、正の値であり、Rとなる。したがって、この例で右側傾斜角Φrは、23度である。
【0052】
図14(A)に示したように上方から見た表面シート218の縦の長さはLcであるが、横幅WrはWcよりも短くなる。横幅Wrは、Wc×cosΦrで算出される。
【0053】
図15(A)は、水平に置かれたトレーディングカード200のカード裏面画像400の形状を示す図である。
図15(B)は、右側傾斜のトレーディングカード200のカード裏面画像400の形状を示す図である。
図15(B)に示した右側傾斜におけるカード裏面画像400は、
図14(A)に示した表面シート218の矩形とほぼ同じである。右側傾斜におけるカード裏面画像400の左辺における縦の長さは、Lcである。右側傾斜におけるカード裏面画像400における横幅Wrは、Wc×cosΦrである。
【0054】
しかし、トレーディングカード200の左側が持ち上がっているので、右辺の長さが短く写り、わずかに台形に変化する。端的に言えば、右辺の長さLrは、撮影装置110から遠ざかる分だけ小さく写り、Lcより短くなる。右辺の長さLrは、たとえばG(Φr)×Lcで算出される。関数G(Φr)は、右側傾斜角Φrを変数とする縮小率を示す。この例で、Φrが23度の場合に、関数G(Φr)の値はおよそ0.9である。右側傾斜角Φrと縮小率の関数G(Φr)の値は、負の相関関係がある。つまり、右側傾斜角Φrが大きくなるほど、縮小率の関数G(Φr)の値は小さくなる。関数G(Φr)は、前方傾斜の場合の縮小率の関数F(θf)と同様に、
図2に示したゲーム機100の内部構造、撮影装置110の特性やトレーディングカード200の形状などに依存する。関数G(Φr)の算出式は、幾何的に特定してもよいし、実験によって特定してもよい。
【0055】
このように、裏面シート214の裏面図形を、
図15(A)に示した矩形(横幅:Wc,縦の長さ:Lc)から、
図15(B)に示した台形(右辺(上底):Ll=G(Φr)×Lc,左辺(下底):Lc,高さ:Wr=Wc×cosΦr)へ射影変換することによって、右側傾斜におけるカード裏面画像400に相当する画像パターンが得られる。
【0056】
画像パターンの中心は、
図15(B)に示した台形における右辺(上底)の中点と左辺(下底)の中点を結ぶ線分の中点である。また、画像パターンの方向は、当該線分と垂直の前方方向と一致する。
【0057】
図16は、右側傾斜の条件で射影変換された画像パターンの例を示す図である。
図8に示した裏面シート214の裏面図形を、右側傾斜角Φr=23度の条件で射影変換すると、
図16に示す画像パターンが得られる。
【0058】
パネル映像における画像パターンを探索するパターンマッチング、トレーディングカード200の位置および方向を特定する処理は、前方傾斜の場合と同様である。
【0059】
次に、左側傾斜の場合について説明する。
図17(A)は、左側傾斜のトレーディングカード200を上方から見た平面図である。
図17(B)は、左側傾斜のトレーディングカード200を後方から見た正面図である。
図17(C)は、左側傾斜のトレーディングカード200を右側から見た側面図である。
左側傾斜の場合、ロール角度Rは負の値となる。この例では、ロール角度Rは-23度である。水平なカード配置パネル108とトレーディングカード200がなす左側傾斜角Φlは、正の値であり、-Rとなる。したがって、この例で左側傾斜角Φlは、23度である。
【0060】
図17(A)に示したように上方から見た表面シート218の縦の長さはLcであるが、右側傾斜の場合と同様に、横幅WlはWcよりも短くなる。横幅Wlは、Wc×cosΦlで算出される。
【0061】
左側傾斜におけるカード裏面画像400は、
図17(A)に示した表面シート218の矩形とほぼ同じである。左側傾斜におけるカード裏面画像400の右辺における縦の長さは、Lcである。左側傾斜におけるカード裏面画像400における横幅Wlは、Wc×cosΦlである。
【0062】
しかし、トレーディングカード200の右側が持ち上がっているので、左辺の長さが短く写り、わずかに台形に変化する。左辺の長さLlは、たとえばG(Φl)×Lcで算出される。関数G(Φl)は、左側傾斜角Φlを変数とする縮小率を示す。関数G(Φl)は、関数G(Φr)と同じ算出式で表される。
【0063】
左側傾斜の場合、裏面シート214の裏面図形を、矩形(横幅:Wc,縦の長さ:Lc)から、台形(左辺(上底):Ll=G(Φl)×Lc,右辺(下底):Lc,高さ:Wl=Wc×cosΦl)へ射影変換することによって、左側傾斜におけるカード裏面画像400に相当する画像パターンが得られる。
【0064】
画像パターンの中心は、台形における左辺(上底)の中点と右辺(下底)の中点を結ぶ線分の中点である。また、画像パターンの方向は、当該線分と垂直の前方方向と一致する。
【0065】
パネル映像における画像パターンを探索するパターンマッチング、トレーディングカード200の位置および方向を特定する処理は、前方傾斜の場合と同様である。
【0066】
続いて、トレーディングカード200の動作について説明する。
図18は、トレーディングカード200のハードウェア構成例を示す図である。
トレーディングカード200は、赤外線発光素子202、白色発光素子206、受電装置220、電源回路222、受信器224、発光制御回路226、不揮発性メモリ232、ジャイロセンサ238、センサ制御回路236および送信器228を備える。
【0067】
受電装置220は、ワイヤレス給電方式によって給電装置162から電力を受ける。電源回路222は、受電装置220で得た電力を変換して、赤外線発光素子202、白色発光素子206、受信器224、発光制御回路226、不揮発性メモリ232、ジャイロセンサ238、センサ制御回路236および送信器228に電力を提供する。
【0068】
赤外線発光素子202および白色発光素子206は、電源回路222から電力を得るとともに、発光制御回路226から発光を指示されたときに発光する。
【0069】
受信器224は、ゲーム機100から発光コマンドを受信する。発光コマンドは、発光制御回路226へ渡される。不揮発性メモリ232に、自身のトレーディングカード200の識別子(カードID)が記憶されている。発光制御回路226は、不揮発性メモリ232からトレーディングカード200の識別子を読み込むことができる。
【0070】
発光コマンドにトレーディングカード200の識別子(カードID)が付加されている場合には、発光制御回路226は、受信した発光コマンドに含まれる識別子と自身に記録されている識別子とを比較し、一致した場合に発光コマンドの種類に応じて赤外線発光素子202または白色発光素子206に発光を指示する。また、発光コマンドにいずれのトレーディングカード200の識別子も付加されていない場合にも、発光制御回路226は、発光コマンドの種類に応じて赤外線発光素子202または白色発光素子206に発光を指示する。一方、発光コマンドに自身のトレーディングカード200以外の識別子が付加されている場合には、発光制御回路226は、赤外線発光素子202および白色発光素子206に発光を指示しない。なお、発光制御回路226に記録されているトレーディングカード200の識別子は、トレーディングカード200の裏面シート214に構成されるコードパターン301を読み取ることで識別される識別子と同じまたは関連付けられたものである。
【0071】
ジャイロセンサ238は、トレーディングカード200の姿勢を示す傾斜を検出する。具体的には、ジャイロセンサ238は、ピッチ角度とロール角度を計測する。センサ制御回路236は、ジャイロセンサ238からピッチ角度とロール角度を取得して、
図10~
図17に関連して説明したようにトレーディングカード200の傾斜向きと傾斜角度を求める。
図10に示したように、ロール角度が0度でありピッチ角度が負の値である場合には、「前方傾斜」であって、ピッチ角度の絶対値を傾斜角度とする。
図13に示したように、ロール角度が0度でありピッチ角度が正の値である場合には、「後方傾斜」であって、ピッチ角度を傾斜角度とする。
図14に示したように、ピッチ角度が0度でありロール角度が正の値である場合には、「右側傾斜」であって、ロール角度を傾斜角度とする。
図17に示したように、ピッチ角度が0度でありロール角度が負の値である場合には、「左側傾斜」であって、ロール角度の絶対値を傾斜角度とする。ピッチ角度とロール角度が共に0度である場合には、「傾斜無し」と判定する。「傾斜無し」の場合は、傾斜角度は0度である。
【0072】
送信器228は、不揮発性メモリ232に記憶されているトレーディングカード200の識別子(カードID)と、センサ制御回路236から得られるトレーディングカード200の傾斜に関する情報とを含むカード情報をゲーム機100へ送信する。トレーディングカード200の識別子(カードID)は、ゲーム機100のゲーム進行において、トレーディングカード200の種類を示す情報として扱われる。傾斜に関する情報には、トレーディングカード200の傾斜向きと傾斜角度が含まれる。
【0073】
受電装置220、電源回路222、受信器224、発光制御回路226、不揮発性メモリ232、ジャイロセンサ238、センサ制御回路236および送信器228は、たとえば
図4に示した電子部品層219に設置される。
【0074】
図19は、ゲーム機100のハードウェア構成例を示す図である。
この例におけるゲーム機100は、制御装置140を備える。制御装置140は、CPU(Central Processing Unit)142、メモリ144、入出力I/F(インターフェース)146、グラフィック表示回路148a、グラフィック表示回路148bおよびサウンド回路150を有する。
【0075】
入出力I/F146は、給電装置162、撮影装置110、押しボタンスイッチ114、発光ダイオード116、送信器166および受信器168を制御する。給電装置162は、コイル112を用いたワイヤレス給電を行なう。
【0076】
グラフィック表示回路148aは、グラフィック画像を正面モニター104に表示させる。グラフィック表示回路148bは、布陣のゲーム画面などのグラフィック画像を液晶ディスプレイ160に表示させる。サウンド回路150は、アンプ164とスピーカー106を用いて音を出力させる。
【0077】
図20は、制御装置140のモジュール構成例を示す図である。
制御装置140の各構成要素は、CPUおよび各種コプロセッサなどの演算器、メモリやストレージといった記憶装置、それらを連結する有線または無線の通信線を含むハードウェアと、記憶装置に格納され、演算器に処理命令を供給するソフトウェアによって実現される。コンピュータプログラムは、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、それらの上位層に位置する各種アプリケーションプログラム、また、これらのプログラムに共通機能を提供するライブラリによって構成されてもよい。以下に説明する各ブロックは、ハードウェア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。
【0078】
制御装置140は、ユーザインタフェース処理部510、データ処理部540、データ格納部570およびデータ通信部580を含む。
ユーザインタフェース処理部510は、正面モニター104、スピーカー106、撮影装置110、押しボタンスイッチ114、発光ダイオード116および液晶ディスプレイ160等を介したユーザインタフェース処理を担当する。データ通信部580は、近距離無線通信によりトレーディングカード200と通信する。データ格納部570は、各種データを格納する。データ処理部540は、ユーザインタフェース処理部510で入力したデータ、データ通信部580により取得されたデータおよびデータ格納部570に格納されているデータに基づいて各種処理を実行する。データ処理部540は、ユーザインタフェース処理部510、データ通信部580およびデータ格納部570のインターフェースとしても機能する。
【0079】
ユーザインタフェース処理部510は、ユーザによる操作入力を受け付ける入力部520と、ユーザへの情報提示を行う出力部530とを含む。
入力部520は、撮影装置110からパネル映像を取得する映像取得部170と、押しボタンスイッチ114などの操作を受け付ける受付部522とを含む。出力部530は、正面モニター104および液晶ディスプレイ160にグラフィック画像を表示させる画像出力部532を含む。
【0080】
データ処理部540は、映像解析部172、ゲーム進行部174および制御部176を含む。
映像解析部172は、パネル映像を解析して、トレーディングカード200の位置と方向などを検出する。ゲーム進行部174は、トレーディングカード200の種類、位置、方向および傾斜などを随時取得して、プレイヤー操作の情報として用いる。ゲーム進行部174は、トレーディングカード200の種類、位置、方向および傾斜のうち、一部のみを用いてもよい。
【0081】
映像解析部172は、歪曲収差補正部542、画像パターン生成部544、カード裏面探索部546、カード方向検出部548およびカード位置検出部550を含む。
歪曲収差補正部542は、撮影装置110によって撮影された映像(元のパネル映像)に対して歪曲収差の補正を施す。画像パターン生成部544は、トレーディングカード200の裏面図形(
図8参照)に基づく画像パターンを生成する。カード裏面探索部546は、歪曲収差を補正されたパネル映像において、画像パターンとマッチするカード裏面画像400を探索する。カード方向検出部548は、カード裏面画像400に基づいてトレーディングカード200の前方を指すカード方向を検出する。カード位置検出部550、カード裏面画像400に基づいてトレーディングカード200の中心位置を検出する。中心位置は、トレーディングカード200の位置の例である。中心位置以外の位置を、トレーディングカード200の位置として検出してもよい。
【0082】
制御部176は、コイン投入を検出し、ゲーム進行部174にゲーム開始を指示するタイミングで、給電装置162による電力の供給を開始させる。制御部176は、ゲーム進行部174からゲーム終了の通知を受けたタイミングで、給電装置162による電力の供給を停止させる。このように待機期間において給電装置162による電力の供給を行なわないので、ゲームに関わらない無駄な電力消費を防げる。
【0083】
データ格納部570は、解析情報記憶部572と部隊パラメータ記憶部574とを含む。
解析情報記憶部572は、トレーディングカード200から受信した情報やパネル映像を解析して得られた情報を記憶する。解析情報記憶部572については、
図21に関連して後述する。部隊パラメータ記憶部574は、部隊に関するパラメータを記憶する。部隊パラメータ記憶部574については、
図22に関連して後述する。
【0084】
データ通信部580は、トレーディングカード200からトレーディングカード200の種類や傾斜などの各種データを受信する受信部582と、トレーディングカード200へ発光コマンドなどの各種データを送信する送信部584とを含む。受信部582が、トレーディングカード200の種類を示す識別子(カードID)を受信すると、送信部584は、その識別子(カードID)を含む発光コマンドをトレーディングカード200へ送信する。発光コマンドは、原則として赤外線発光素子202および白色発光素子206の発光を指示する。
【0085】
図21は、解析情報記憶部572のデータ構成図である。
解析情報記憶部572は、カード配置パネル108上で操作されているトレーディングカード200毎のレコードを記憶する。各レコードは、カード認識番号、カード方向、傾斜向き、傾斜角、中心位置および埋め込みデータなどを対応付ける。
【0086】
カード認識番号は、そのトレーディングカード200を最初に検出したときに割り振られる。この例では、第1レコードに相当するトレーディングカード200aが先に検出され、第2レコードに相当するトレーディングカード200bがその後に検出されたものとする。
【0087】
カード方向は、たとえばカード配置パネル108の前方を0度として右回りの角度で表される。カード方向は、戦場における部隊の向きに対応する。傾斜向きは、「前方傾斜」、「後方傾斜」、「右側傾斜」、「左側傾斜」あるいは「傾斜無し」を示す。傾斜向きが「前方傾斜」であれば、傾斜角には前方傾斜角θfが設定され、傾斜向きが「後方傾斜」であれば、傾斜角には後方傾斜角θbが設定される。また、傾斜向きが「右側傾斜」であれば、傾斜角には右側傾斜角φrが設定され、傾斜向きが「左側傾斜」であれば、傾斜角には左側傾斜角φlが設定される。傾斜向きが「傾斜無し」のときは、傾斜角が0度である。したがって、0度を設定してもよいし、無効値を設定してもよい。
【0088】
中心位置は、カード配置パネル108の上面で想定される座標系に従ってトレーディングカード200の中心位置を表わす。中心位置は、戦場における武将の位置に対応する。埋め込みデータには、トレーディングカード200の種類を示すカードIDが含まれる。この例では、カードIDは武将IDを兼ねる。埋め込みデータに、ヒットポイント(
図22参照)の初期値、攻守比率の初期値、攻撃アイテムの初期値、守備アイテムの初期値など武将や部隊の特性を示すデータが含まれてもよい。
【0089】
図22は、部隊パラメータ記憶部574のデータ構成図である。
部隊パラメータ記憶部574は、映像解析部172で解析されたトレーディングカード200毎のレコードを記憶する。各レコードは、カード認識番号、武将ID(カードID)、武将名、ヒットポイント、攻守比率、攻撃力、守備力、攻撃アイテムおよび守備アイテムなどを対応付ける。
【0090】
カード認識番号は、解析情報記憶部572(
図21)のレコードとの紐づけに用いられる。武将IDは、トレーディングカード200から得られる埋め込みデータ内のカードIDに相当する。武将名は、武将IDに対応して特定される。ヒットポイントは、部隊を成す兵士たちの体力に相当し、部隊の攻撃力と守備力の基礎となる。攻守比率は、攻守のバランスを示す。この例では、攻守比率は、攻撃係数Ca:守備係数Cdの比で表される。攻撃係数Caと守備係数Cdの合計は、一定(この例では、1)である。攻撃力は、ヒットポイントに攻撃係数Caを乗じた値である。守備力は、ヒットポイントに守備係数Cdを乗じた値である。攻撃アイテムは、兵士たちが使用する攻撃用の武具を表す。攻撃アイテムには、複数の候補のいずれかが設定される。この例では、攻撃アイテムの種類として弓矢、槍および剣などがあるので、「弓矢」、「槍」および「剣」などが攻撃アイテムの候補に相当する。守備アイテムは、兵士たちが使用する防御用の武具を表す。守備アイテムには、複数の候補のいずれかが設定される。この例では、守備アイテムの種類として煙幕、楯および甲冑などがあるので、煙幕、楯および甲冑などが守備アイテムの候補に相当する。
【0091】
なお、敵の部隊に与えるダメージは、たとえばプレイヤーの部隊の攻撃力から敵の部隊の守備力を引いた差を基準として求められる。また、プレイヤーの部隊が受けるダメージは、たとえば敵の部隊の攻撃力からプレイヤーの部隊の守備力を引いた差を基準として求められる。プレイヤーは、このようなダメージの大きさを考えながら、自らの部隊の被害をある程度覚悟して敵の部隊にダメージを与えるために攻撃力を優先するという戦術や、援軍を待ったり、陽動作戦として相手を引きつけておいたり、などのために守備に徹する戦術など、多様な展開を楽しめるようになる。
【0092】
図23は、映像解析処理過程を示すフローチャートである。
ゲーム進行部174がゲームを進行させている間、映像取得部170と映像解析部172は図示した処理を継続的に実行する。つまり、映像取得部170と映像解析部172による処理は、ゲーム進行部174による処理と並行して実行される。
【0093】
映像取得部170は、撮影装置110から映像(元のパネル映像)を取得する(S10)。歪曲収差補正部542は、映像(元のパネル映像)に対する歪曲収差の補正処理を行う(S12)。
【0094】
受信部582は、トレーディングカード200からカード情報を受信する(S14)。カード情報には、トレーディングカード200の種類とトレーディングカード200の傾斜に関する情報が含まれる。トレーディングカード200の傾斜に関する情報は、たとえばトレーディングカード200の傾斜向きと傾斜角度が含まれる。トレーディングカード200の傾斜に関する情報は、ピッチ角度とロール角度であってもよい。つまり、トレーディングカード200が、ピッチ角度とロール角度を伝送してもよい。その場合には、映像解析部172が、ピッチ角度とロール角度を、トレーディングカード200の傾斜向きと傾斜角度に変換させてもよい。受信部582は、複数のトレーディングカード200からカード情報を受信する場合がある。その場合には、各トレーディングカード200のカード情報についてS16~S22の各処理を行う(S15)。
【0095】
画像パターン生成部544は、トレーディングカード200の種類、傾斜向きおよび傾斜角度に基づいて、そのトレーディングカード200のカード裏面画像400に相当する画像パターンを生成する(S16)。具体的には、画像パターン生成部544は、トレーディングカード200の種類に合ったトレーディングカード200の裏面図形(
図8参照)を生成する。基準マーカ303~309は、所定の位置に配置され、コードパターン301は、トレーディングカード200の種類を示す識別子(カードID)から変換される。そして、画像パターン生成部544は、
図10~
図17に関連して説明したように、傾斜向きおよび傾斜角度に応じて、生成した裏面図形に対して射影変換を行って画像パターンを得る。
【0096】
カード裏面探索部546は、歪曲収差を補正されたパネル映像において、画像パターンとマッチするカード裏面画像400を探索する(S18)。探索した結果として、パネル映像において画像パターンとマッチしたカード裏面画像400が特定される。
【0097】
カード方向検出部548は、画像パターンとマッチしたカード裏面画像400の方向、つまりトレーディングカード200の方向を検出する(S20)。カード裏面画像400の方向は、画像パターンの方向と一致する。つまり、パネル映像のカード裏面画像400とマッチした画像パターンの方向によって、カード裏面画像400の方向を特定できる。
【0098】
カード位置検出部550は、画像パターンとマッチしたカード裏面画像400の中心位置、つまりトレーディングカード200の中心位置を検出する(S22)。カード裏面画像400の中心位置は、画像パターンの中心位置と一致する。つまり、パネル映像のカード裏面画像400とマッチした画像パターンの中心位置によって、カード裏面画像400の中心位置を特定できる。
【0099】
新たなトレーディングカード200が検出された場合には、解析情報記憶部572と部隊パラメータ記憶部574に新たなレコードが追加される。反対に、既検出のトレーディングカード200が検出されなくなった場合には、解析情報記憶部572と部隊パラメータ記憶部574からそのトレーディングカード200に対応するレコードが削除される。解析情報記憶部572のレコードには、トレーディングカード200から受信した傾斜向きと傾斜角、カード裏面画像400から検出されたカード方向と中心位置が設定される。トレーディングカード200から受信した識別子(カードID:武将ID)は、埋め込みデータとして記憶される。未処理のカード情報が残っている場合には(S24のY)、S16に戻って、そのカード情報について上述の処理を繰り返す。一方、未処理のカード情報が残っていない場合には(S24のN)、S10に戻って、上述した処理を繰り返す。なお、
図23に示した例では、S10に示した映像の取得とS12に示した歪曲収差の補正からループ処理を始めるが、S14に示したカード情報の受信からループ処理を始めて、S14の後に映像の取得と歪曲収差の補正を行うようにしてもよい。あるいは、S16に示した画像パターンの生成の前に、映像の取得と歪曲収差の補正を行うようにしてもよい。または、S16に示した画像パターンの生成の後に、映像の取得と歪曲収差の補正を行うようにしてもよい。
【0100】
図24は、ゲーム進行処理過程を示すフローチャートである。
ゲーム進行部174は、戦闘場面の展開処理を実行する(S30)。具体的には、ゲーム進行部174は、トレーディングカード200の中心位置に相当する場所に向けて、実際の進軍のイメージを再現するスピードで将軍と部隊を移動させる。ゲーム進行部174は、原則としてトレーディングカード200のカード方向に対応する方位に部隊を向かせる。ゲーム進行部174は、トレーディングカード200による部隊が敵の部隊と対峙したとき、戦闘の演出を開始する。ゲーム進行部174は、トレーディングカード200による部隊のパラメータと、敵の部隊のパラメータとに基づいて戦況を変化させる。ゲーム進行部174は、将軍と部隊の配置を表す俯瞰画像や、戦闘の様子を表すアップ画像のようなグラフィック画像を随時生成し、画像出力部532は、これらグラフィック画像を正面モニター104に表示させる。ゲーム進行部174は、コンピュータ対戦の場合、敵の部隊のパラメータを自動的に変化させる処理も行う。
【0101】
トレーディングカード200に関する解析情報はプレイヤーの操作によって任意に変化するので、それに応じて随時部隊のパラメータを更新する必要がある。そのため、ゲーム進行部174は、割込み的に部隊のパラメータを更新させる処理を行う。この例では、一定間隔(プレイヤーが意識しないぐらいの短い時間)で戦闘場面の展開処理に割り込んで、各トレーディングカード200に関してS32からS48の処理を行うものとする。なお、S32からS48の処理を、割込み以外の方法で戦闘場面の展開処理と並行に実行するようにしてもよい。
【0102】
傾斜向きが「後方傾斜」である場合に(S32のY)、ゲーム進行部174は、後方傾斜角θbに応じて攻守比率を変更する。「後方傾斜」であれば「傾斜無し」のときよりも攻撃係数Caが大きくなり、守備係数Cdが小さくなる(S34)。具体的には、ゲーム進行部174は、「Ca=0.5+θb/90」の式にしたがって攻撃係数Caを算出する。たとえば、後方傾斜角θbが9度であれば、攻撃係数Caは0.6になる。後方傾斜角θbが最大の45度であれば、攻撃係数Caは1.0になる。また、ゲーム進行部174は、「Cd=0.5-θb/90」の式にしたがって守備係数Cdを算出する。後方傾斜角θbが9度のとき、守備係数Cdは0.4になる。後方傾斜角θbが最大の45度であれば、守備係数Cdは0になる。算出された攻撃係数Ca:守備係数Cdの比が攻守比率として部隊パラメータ記憶部574のレコードに設定される。そして、タイムアウトや勝敗の決着などの終了条件に合致しなければ(S50のN)、S30の処理に移ってこの攻守比率が適用される。
【0103】
傾斜向きが「前方傾斜」である場合に(S36のY)、ゲーム進行部174は、前方傾斜角θfに応じて攻守比率を変更する。「前方傾斜」であれば「傾斜無し」のときよりも守備係数Cdが大きくなり、攻撃係数Caが小さくなる(S38)。具体的には、ゲーム進行部174は、「Cd=0.5+θf/90」の式にしたがって守備係数Cdを算出する。たとえば、前方傾斜角θfが9度であれば、守備係数Cdは0.6になる。前方傾斜角θfが最大の45度であれば、守備係数Cdは1.0になる。また、ゲーム進行部174は、「Ca=0.5-θf/90」の式にしたがって攻撃係数Caを算出する。前方傾斜角θfが9度のとき、攻撃係数Caは0.4になる。前方傾斜角θfが最大の45度であれば、攻撃係数Caは0になる。算出された攻撃係数Ca:守備係数Cdの比が攻守比率として部隊パラメータ記憶部574のレコードに設定される。そして、終了条件に合致しなければ(S50のN)、S30の処理に移ってこの攻守比率が適用される。
【0104】
傾斜向きが「右側傾斜」である場合に(S40のY)、ゲーム進行部174は、右側傾斜角φrを時系列に記録する。プレイヤーが攻撃アイテムを切り替えようとして、トレーディングカード200の左縁を素早く持ち上げて戻すまでの時間内に、S40のステップを何度も通る。したがって、「右側傾斜」が始まってから終わるまでの間に、右側傾斜角φrの値が多数蓄積される。ゲーム進行部174は、「右側傾斜」が終わったタイミングで、最大の右側傾斜角φrを特定する。そして、ゲーム進行部174は、最大の右側傾斜角φrが所定範囲に含まれている場合に、その所定範囲に対応する種類の攻撃アイテムを特定する。具体的には、最大の右側傾斜角φrが1度~15度の範囲内であれば攻撃アイテムを「弓矢」にする。同じく16度~30度の範囲内であれば攻撃アイテムを「槍」にする。同じく31度~45度の範囲内であれば攻撃アイテムを「剣」にする(S42)。そして、終了条件に合致しなければ(S50のN)、S30の処理に移ってこの攻撃アイテムが適用される。
【0105】
傾斜向きが「左側傾斜」である場合に(S44のY)、ゲーム進行部174は、左側傾斜角φlを時系列に記録する。ゲーム進行部174は、「左側傾斜」が終わったタイミングで、最大の左側傾斜角φlを特定する。そして、ゲーム進行部174は、最大の左側傾斜角φlが所定範囲に含まれている場合に、その所定範囲に対応する種類の防御アイテムを特定する。具体的には、最大の左側傾斜角φlが1度~15度の範囲内であれば防御アイテムを「煙幕」にする。同じく16度~30度の範囲内であれば防御アイテムを「楯」にする。同じく31度~45度の範囲内であれば防御アイテムを「甲冑」にする(S46)。そして、終了条件に合致しなければ(S50のN)、S30の処理に移ってこの防御アイテムが適用される。
【0106】
傾斜向きが「傾斜なし」であれば(S44のN)、ゲーム進行部174は、攻撃係数Caと守備係数Cdを所定の標準値とする(S48)。この例では、攻守比率を0.5:0.5とする。そして、終了条件に合致しなければ(S50のN)、S30の処理に移ってこの攻守比率が適用される。攻撃アイテムと守備アイテムに関しては、現状のままである。
【0107】
そして、終了条件に該当すると判定すると(S50のY)、ゲーム進行部174は、ゲーム進行処理を終える。最後に、画像出力部532は、ゲームのプレイ結果を表示させる。
【0108】
本実施形態では、トレーディングカード200で検出されたトレーディングカード200の傾斜の情報を用いてゲームを進行させるので、トレーディングカード200を用いるゲーム機における操作性が高まる。
【0109】
また、トレーディングカード200の種類と傾斜に応じた画像パターンを生成し、当該画像パターンを用いて、パネル映像に含まれるカード裏面画像400を探索するので、映像解析の処理負荷が軽減され、トレーディングカード200の操作に対する即応性が高まる。カード裏面画像400を解析して傾斜を特定する処理を行わなくても済み、また、カード裏面画像400を補正してコードパターン301を読み取る処理も不要になるからである。
【0110】
[変形例]
基準マーカ303~309は、すべて異なる形状である必要はない。たとえば、基準マーカ303と305が同じ形状であり、さらに基準マーカ307と309が同じ形状であっても、基準マーカ303~309の位置関係に基づいて四端を特定することは可能である。実施形態では、基準マーカ303~309で想定される四角形の歪みに基づく解析方法を示したが、基準マーカ303~309以外の図形で想定される四角形の歪みに基づいて解析を行ってもよい。また、四角形以外の基準形の歪みによって解析を行ってもよい。
【0111】
カード方向が、トレーディングカード200の前方以外の所定方向を指すものと定めてもよい。たとえば、右打ちの野球選手のトレーディングカード200の場合、右打席に入ったときに選手の左方向から投球が来るので、トレーディングカード200の左方向をカード方向と定めてもよい。
【0112】
コードパターン301は、たとえばQRコード(登録商標)やバーコードのように既存の2次元図形コードでもよい。
【0113】
武将は、キャラクタの例である。武将以外のキャラクタについて上述の実施形態や変形例を適用してもよい。また、カードIDがキャラクタIDを兼ねなくてもよい。たとえば、カードIDとキャラクタIDの対応関係を紐づけ記憶部(不図示)に定めておき、ID特定部(不図示)において、対応関係に従ってカードIDからキャラクタIDを特定する処理を行うようにしてもよい。
【0114】
実施形態では、右側傾斜角φrの最大値によって攻撃アイテムの種類を決める例を示したが、ゲーム進行部174は、一定時間以上保持された右側傾斜角φrによって攻撃アイテムの種類を決めるようにしてもよい。1度~15度の範囲内で右側傾斜角φrが所定時間(たとえば、2秒間)保持されると攻撃アイテムが「弓矢」になり、同じく16度~30度の範囲内で保持されると「槍」になり、同じく31度~45度の範囲内で保持されると「剣」になるように切り替えを行ってもよい。左側傾斜角φlによって守備アイテムを切り替える場合も同様である。
【0115】
ゲーム進行部174は、右側傾斜角φrが基準値を超えたタイミングで、トグル式によって攻撃アイテムの種類を切り替えてもよい。たとえば、プレイヤーがトレーディングカード200を右側へ起こす操作を繰り返すと、「弓矢」、「槍」、「剣」、「弓矢」・・・の順番で循環するようにしてもよい。左側傾斜角φlによって守備アイテムを切り替える場合も同様である。
【0116】
ゲーム進行部174は、トレーディングカード200の傾斜向きと移動を組み合わせて、ゲーム中のイベントやコマンドを発生させてもよい。トレーディングカード200の移動は、中心位置の変化によって算出される。たとえば、所定値以上の後方傾斜角のトレーディングカード200が一定距離以上前進したと判定した場合に、スピーカー106から雄叫びを出力させてもよい。所定値以上の前方傾斜角のトレーディングカード200が一定距離以上前進したと判定した場合に、スピーカー106から地鳴り音を出力させてもよい。所定値以上の後方傾斜角のトレーディングカード200が一定距離以上後進したと判定した場合に、落雷が起きるようにしてもよい。所定値以上の前方傾斜角のトレーディングカード200が一定距離以上後進したと判定した場合に、洪水が起きるようにしてもよい。
【0117】
ゲーム進行部174は、トレーディングカード200の傾斜向きと水平回転を組み合わせて、ゲーム中のイベントやコマンドを発生させてもよい。トレーディングカード200の水平回転は、カード方向の変化によって算出される。たとえば、所定値以上の後方傾斜角のトレーディングカード200のカード方向が所定基準(たとえば、180度)以上回転したときに、風が吹くようにしてもよい。所定値以上の前方傾斜角のトレーディングカード200のカード方向が所定基準以上回転したときに、地割れが起きるようにしてもよい。
【0118】
ゲーム進行部174は、弓から放たれる矢や大砲から打ち出される玉などのような発射物の発射角度を、トレーディングカード200の傾斜角で特定するようにしてもよい。たとえば、低く打ち出す態様で、後方傾斜角θbを発射角度としてもよい。この仕様では、トレーディングカード200を平らにおけば水平前方に発射される。あるいは、高く打ち出す態様で、前方傾斜におけるトレーディングカード200の表面の垂線が水平面となす角を発射角度としてもよい。この仕様では、トレーディングカード200を平におけば真上に発射される。プレイヤーは発射角を調整することによって、大砲で城壁を超えて陣内を直接攻撃したり、あるいは城壁そのものを破壊して入城を図ったりなどの攻撃方法を選んで楽しむことができる。
【0119】
ゲームの種類は、戦闘シミュレーションに限らない。たとえば、スポーツシミュレーションに上述の実施形態や変形例を適用してもよい。
テニスや卓球などのようにラケットを使って球を打ち返すゲームにおいて、ゲーム進行部174は、トレーディングカード200の傾斜向きによって球の回転方向を決めてもよい。たとえば、後方傾斜のときにドライブがかかり、前方傾斜のときにカットがかかるようにしてもよい。また、トレーディングカード200の傾斜角と移動速度に応じて回転速度と打球速度が決まるようにしてもよい。ゴルフのクラブのように複数の用具を使い分ける場合に、傾斜角によって用具(たとえば、ゴルフクラブの番手)が切り替わるようにしてもよい。右打ちのゴルフプレイヤーの場合、右側傾斜のときに打球がスライスし、左側傾斜のときに打球がフックするようにしてもよい。サッカーゲームにおいて、キックするボールの回転方向と回転速度をトレーディングカード200の傾斜向きと傾斜角度で決めてもよい。野球ゲームにおいて、ピッチャーが投げる変化球種と変化程度を傾斜向きと傾斜角度できめてもよい。
【0120】
格闘シミュレーションゲームに上述の実施形態や変形例を適用してもよい。
ゲーム進行部174は、傾斜向きによって選手が繰り出す打撃の種類を決め、トレーディングカード200を押し出すタイミングで打撃動作を行うようにしてもよい。たとえば、トレーディングカード200を後方傾斜させて押し出せばハイキックが放たれ、前方傾斜させて押し出せばローキックが放たれるようにしてもよい。また、キックを放つ前に、左右の傾きでキックする足を選択できるようにしてもよい。たとえば、トレーディングカード200を右側傾斜させると右足が選択され、左側傾斜させると左足が選択されるようにする。つまり、左側傾斜と前方傾斜の押し出しを連続して行えば、左足のローキックが放たれる。また、右側傾斜と後方傾斜の押し出しを連続して行えば、右足のハイキックが放たれる。あるいは、トレーディングカード200が押し出されることなく後方傾斜あるいは前方傾斜を検出したタイミングで、キックが放たれるようにしてもよい。つまり、左側傾斜と前方傾斜を連続して行えば、左足のローキックが放たれる。また、右側傾斜と後方傾斜を連続して行えば、右足のハイキックが放たれる。
【0121】
他にも、金魚すくいゲームで、トレーディングカード200をポイに見立てて、金魚をすくって椀に入れる操作を行うこともできる。また、調理ゲームで、トレーディングカード200をヘラに見立てて、ヘラで焼きそばやお好み焼きなどを調理する操作を行うこともできる。このように、ゲーム進行部174は、トレーディングカード200のカード方向、位置、傾斜向きおよび傾斜角によってゲーム中で使用される器具の方向、位置、傾斜向きおよび傾斜角を特定し、器具の方向、位置、傾斜向きおよび傾斜角に応じたシミュレーションを行うようにしてもよい。ゲーム進行部174は、トレーディングカード200のカード方向、位置、傾斜向きおよび傾斜角のうち、一部のみを使用してもよい。
【0122】
[カード傾斜による効果期間]
トレーディングカード200を傾斜させることで所定の継続的な効果を発揮させる処理について説明する。
トレーディングカード200を傾斜させることで、体力強化、魔法や変身などのような継続的な効果を発揮させるようにしてもよい。ゲーム進行部174の処理としては、たとえば体力強化の効果を発揮させる期間において、体力値のような連続的パラメータの値を増加させ、その期間を過ぎると元の値に戻す。あるいは、魔法の効果を発揮させる期間において、適用フラグをONにし、その期間を過ぎるとOFFに戻す。あるいは変身の効果を発揮させる期間において、変身キャラクタIDのような選択的パラメータを設定し、その期間を過ぎると変身キャラクタIDをクリアする。このような制御方法によれば、キャラクタを一時的に強化するための特殊なコマンドを、カードを傾けるという直感的な操作により実現できる。なお、連続的パラメータの値の増加方法は、所定値を加えてもよいし、1より大きい所定割合を乗じてもよいし、傾斜角に応じて増加値を決めるようにしてもよい。
【0123】
継続的な効果を発揮させる期間の決め方について、4つの例を示す。
第1例として、「傾斜状態が継続している間」を効果発揮期間とする方式が考えられる。つまり、ゲーム進行部174は、所定値(たとえば、10度)より大きい傾斜角を受信した時点から、所定値以下の傾斜角を受信する時点までの間、ずっと効果を持続させるようにする。たとえば、10秒間カードを傾けていれば、その10秒間において体力が強化され、20秒間カードを傾けていれば、その20秒間において体力が強化される。プレイヤーは、トレーディングカード200の傾きを維持するという難易度の高い操作を続けることでキャラクタの強化というメリットを享受できる。
【0124】
第2例として、「傾斜の開始から一定時間が経過するまでの間」を効果発揮期間とする方式が考えられる。つまり、ゲーム進行部174は、所定値(たとえば、10度)より大きい傾斜角を受信した時点から、一定時間(たとえば、15秒)が経過する時点までの間、効果を持続させるようにする。たとえば、10秒間カードを傾けていた場合でも、20秒間カードを傾けていた場合でも、カードを傾け始めてから15秒間だけ体力が強化され、15秒が過ぎると体力は元に戻る。なお、一定時間の経過に関して、残り時間をカウントダウンする音声や画像を出力するカウントダウン出力部(不図示)を設けるようにしてもよい。第2例では、効果期間を均等化することができる。また、傾斜を維持する必要がないので、その間に他の操作を行うことも可能である。
【0125】
第3例として、「傾斜状態が継続している間」または「傾斜の開始から一定時間が経過するまでの間」の早く終了する方を効果発揮期間とする方式が考えられる。つまり、ゲーム進行部174は、所定値(たとえば、10度)より大きい傾斜角を受信した後、一定時間(たとえば、15秒)が経過する前に、所定値以下の傾斜角を受信すれば、その検出時点で効果が切れる。また、所定値より大きい傾斜角を受信した後、所定値以下の傾斜角を検出することなく、一定時間が経過すれば、その経過時点で効果が切れる。たとえば、10秒間カードを傾けていた場合には、その10秒間において体力が強化されるが、20秒間カードを傾けていた場合には、15秒間しか体力が強化されない。第3例では、必要以上に傾斜させつづけることは無駄であり、また傾斜の維持が短すぎると十分な効果を得られない。そのため、プレイヤーの時間感覚を競う楽しみ方ができる。
【0126】
第4例として、「傾斜状態が継続している間」に一定時間を加えて効果発揮期間とする方式が考えられる。つまり、ゲーム進行部174は、が所定値(たとえば、10度)より大きい傾斜角を受信した時点から、所定値以下の傾斜角を受信した後に一定時間(たとえば、15秒)が経過する時点までの間、効果を持続させるようにする。たとえば、10秒間カードを傾けていれば、傾け始めてから25秒間において体力が強化され、20秒間カードを傾けていれば、傾け始めてから35秒間において体力が強化される。第4例では、付加された期間において効果を維持しながら、他の操作を行うことができる。
【0127】
このようにすれば、トレーディングカードゲームの進行に関して、トレーディングカード200の傾斜によって、効果内容に応じた適切な効果期間を設定できるようになる。
【0128】
[玉の打ち返し]
たとえば、敵側から転がってくる大玉をこん棒のような打撃具で打ち返す操作を、トレーディングカード200を使って行うことが考えられる。プレイヤーは、仮想空間である戦場の敵領域から味方領域へ向かっている大玉の移動速度と移動方向を感知して、味方領域における到達地点を予測して、カード配置パネル108における到達地点に相当する位置へトレーディングカード200をスライドさせる。ゲーム進行部174は、カード配置パネル108におけるトレーディングカード200の水平の回転方向、回転速度および傾斜角に基づいて、仮想空間(戦場)における大玉の打ち返し方向、打ち返し速度およち打ち返し角を算出する。
【0129】
トレーディングカード200が傾けられていない場合には、大玉は水平に打ち返される。トレーディングカード200が大玉をすくう姿勢であれば、大玉は斜め上方に向けて打ち返される。反対に、トレーディングカード200が大玉にかぶさる姿勢であれば、大玉は斜め下方に向けて打ち返される。このとき、トレーディングカード200の姿勢は、トレーディングカード200の向き(「トレーディングカード200の方向」と同じ)に関わらず、カード配置パネル108を基準として定まる。したがって、トレーディングカード200の表面のキャラクタ画像がどちら方を向いていても、打ち返し方は同じになる。
【0130】
詳しく言うと、前方から転がってくる大玉を前方傾斜のトレーディングカード200で打ち返せば、大玉は斜め上方に飛ぶ。また、右側から転がってきた大玉を右側傾斜のトレーディングカード200で打ち返し、あるいは左側から転がってきた大玉を左側傾斜のトレーディングカード200で打ち返した場合も、同様に大玉は斜め上方に飛ぶ。もしもトレーディングカード200の向きが逆さまであれば、転がってくる大玉をトレーディングカード200の後方から受けることになるが、トレーディングカード200の頭を持ち上げて後方傾斜にすれば、大玉は打ち上げられる。
【0131】
同様に、前方から転がってくる大玉を後方傾斜のトレーディングカード200で打ち返せば、大玉は斜め下方に飛ぶ。また、右側から転がってきた大玉を左側傾斜のトレーディングカード200で打ち返し、あるいは左側から転がってきた大玉を右側傾斜のトレーディングカード200で打ち返した場合も、同様に大玉は斜め下方に飛ぶ。もしもトレーディングカード200の向きが逆さまであれば、転がってくる大玉をトレーディングカード200の後方から受けることになるが、トレーディングカード200の尻を持ち上げて前方傾斜にすれば、大玉は打ち下げられる。
【0132】
ゲーム進行部174は、打ち返す高さ角度について、上述した矢や大砲などの発射物の発射角度の場合と同様に、トレーディングカード200の傾斜角で特定するようにしてもよい。ゲーム進行部174は、打ち返し速度を、トレーディングカード200の回転速度に応じて決めてもよい。たとえば、トレーディングカード200を速く回せば、打ち返し速度が高くなり、トレーディングカード200を遅く回せば、打ち返し速度が低くなる。あるいは、打ち返し速度を、トレーディングカード200のスライド速度に応じて決めてもよい。たとえば、トレーディングカード200を速くスライドさせれば、打ち返し速度が高くなり、トレーディングカード200を遅くスライドさせれば、打ち返し速度が低くなる。このような制御方法によれば、トレーディングカード200をラケットやフリッパーなどの打撃具のように使用できるため、ユーザは打撃の強度や角度を柔軟に調整しやすくなる。
【0133】
この方式を、たとえば野球ゲームにおける打撃に適用してもよい。トレーディングカード200が傾けられていない場合には、打球はライナーになる。トレーディングカード200が投球をすくう姿勢であれば、打球はフライになる。反対に、トレーディングカード200が投球にかぶさる姿勢であれば、打球はゴロになる。既存のゲームに限らず、3次元空間で行われるピンボールのシミュレーションゲームのような未知のゲームなどに適用してもよい。この場合、トレーディングカードの200の操作でピンボールのフリッパーを動かす。動いているボールを一旦受け止め、ボールをフリッパーの縁に転がし、狙った方向へタイミングを見計らいボールを弾くなどの動作を、トレーディングカード200の操作で行う。
【0134】
上述した大玉や野球のボールは、移動物体の例である。球状以外の移動物体を打ち返すようにしてもよい。
【0135】
このようにすれば、移動物体を打ち返す場面を含むトレーディングカードゲームに関して、打ち返される移動物体の軌道を簡単な操作で指示できるようになる。
【0136】
[透明キャラクタの可視化]
透明人間のように目視できない想定のキャラクタや透明武器のように目視できない想定のアイテムなどを可視化できる範囲を、トレーディングカード200で操作するようにしてもよい。このようにすれば、謎解き要素を加味してゲームの趣向を高めることができる。
【0137】
ゲーム進行部174が制御するゲームの場面として、仮想空間である戦場に透明な敵兵が存在し、正面モニター104の画面にはその姿が表示されていないものとする。このとき、プレイヤーは敵兵を直接認識することはできない。ただし、物音がしたり、周辺の草木が揺れたりすることなどで、敵兵が近くにいることを感知できる。気配を察知した味方キャラクタは、透明な敵兵を可視化できるスコープを使って周囲を捜索する。スコープは、透明対象を映し出す特殊光を所定広さの範囲に照射するツールである。
【0138】
味方キャラクタが透明の敵兵と対峙した状態、つまり正面にいるはずの敵兵が画面表示されていない場面で、ゲーム進行部174は、正面方向を向いている味方キャラクタのトレーディングカード200が前方に傾斜したと判定すると、スコープの特殊光を下向きに放射させ、照射範囲に入った敵兵の下半身を画面に表示する。また、ゲーム進行部174は、トレーディングカード200が後方に傾斜したと判定すると、スコープの特殊光を上向きに放射させ、照射範囲に入った敵兵の上半身を画面に表示する。つまり、スコープの照射範囲に入った部分だけが可視化される。
【0139】
また、ゲーム進行部174は、トレーディングカード200が右側に傾斜したと判定すると、スコープの特殊光を右向きに放射させ、照射範囲に入った敵兵の左手の武器を画面に表示させる。また、ゲーム進行部174は、味方キャラクタのトレーディングカード200が左側に傾斜したと判定すると、スコープの特殊光を左向きに放射させ、照射範囲に入った敵兵の右手の武器を画面に表示する。
【0140】
また、壁の向こう側で待ち伏せる敵兵のような隠れキャラクタや地中に埋蔵されている宝物のような隠れアイテムなどを、透視する演出を行うようにしてもよい。この場合には、味方キャラクタは、所定広さの範囲で壁や地面を透視できるスコープを所持している。プレイヤーは、透明対象を映し出す場合と同様の操作で、スコープを使って壁や地面を透かして見える範囲を変えることができる。
【0141】
ゲーム進行部174は、特殊光の照射範囲や透視範囲のような可視化領域を、トレーディングカード200の傾斜角に応じて連続的に移せるようにしてもよいし、トレーディングカード200の傾斜角のレンジに応じて、表示画面を分割するブロックを単位とする可視化領域の切り替えを行うようにしてもよい。
【0142】
このようにすれば、見えないキャラクタやアイテムが登場するトレーディングカードゲームに関して、トレーディングカード200の簡単な操作によって、見えないキャラクタやオブジェクトを探索する楽しみを味わえるようになる。
【0143】
[職業の選択]
ゲーム進行部174は、トレーディングカード200を傾斜させる操作に基づいて、トレーディングカード200で操るキャラクタやアイテムの種類や特性を設定するようにしてもよい。
【0144】
ゲームが開始される前に、プレイで使用する複数のトレーディングカード200をカード配置パネル108上に並べて、それぞれを傾斜させることによってキャラクタやアイテムの初期設定を行う。
【0145】
たとえばトレーディングカード200のキャラクタがゲーム中に間者(スパイ)として偽装する職業(キャラクタの種類や特性の例)を選択する。前方に傾斜させると「農民」が選択され、右側に傾斜させると「職人」が選択され、左側に傾斜させると「商人」が選択され、後方に傾斜させると「芸人」が選択される。このように、トレーディングカード200を傾ける方向によってキャラクタの種類を示す選択的パラメータを切り替えられるようする。トレーディングカード200を傾けることによって、キャラクタの職業を転じさせる感覚(選択肢を転じさせる感覚)を味わえる。
【0146】
さらに、傾斜角度によって、傾斜方向(「傾斜向き」と同じ)で定まる職業(大分類、つまり上位の選択的パラメータの例)における職種(大分類中の小分類、つまり下位の選択的パラメータの例)を決めるようにしてもよい。右側に傾斜させることによって「職人」を選択するときに、最大角が1度~15度の範囲内であれば「大工」が選択され、最大角が16度~30度の範囲内であれば「染物師」が選択され、最大角が31度~45度の範囲内であれば「炭焼き師」が選択される。このとき、最大角に代えて、所定時間以上保持する角度によって職種を選択するようにしてもよい。大分類の選択と小分類の選択を、一連の操作で行えるので、迅速かつ便利である。
【0147】
さらに、傾斜角度によって、傾斜方向で定まる職業(主たる選択の例)で使用する楽器(付属的な選択の例)を決めるようにしてもよい。後方に傾斜させることによって「芸人」を選択するときに、最大角が1度~15度の範囲内であれば「笛」が選択され、最大角が16度~30度の範囲内であれば「太鼓」が選択され、最大角が31度~45度の範囲内であれば「三味線」が選択される。このとき、最大角に代えて、所定時間以上保持する角度によって楽器を選択するようにしてもよい。楽器は、選択されたキャラクタの種類や特性(上位の選択的パラメータの例)に関する下位の選択的パラメータの例である。主たる選択と付属的な選択を、一連の操作で行えるので、迅速かつ便利である。
【0148】
また、傾斜角度によって、傾斜方向で定まる職業(主たる選択の例)の特性を示す下位の連続的パラネータ(付属的な値設定の例)を変化させるようにしてもよい。たとえば、左側に傾斜させることによって「商人」を選択するときに、傾斜角度が大きくなるにつれて、連続的に「商人」の持ち金が多くなるようにする。持ち金は、選択されたキャラクタの種類や特性(上位の選択的パラメータの例)に関する下位の連続的パラメータの例である。主たる選択と付属的な値設定を、一連の操作で行えるので、迅速かつ便利である。
【0149】
上述の例では、傾斜の方向で職業(キャラクタの種類や特性の例)を選択する例を示したが、傾斜の方向で武器(アイテムの種類や特性の例)を選択するようにしてもよい。さらに、傾斜角度によってその武器(上位の選択的パラメータの例)の小分類(下位の選択的パラメータの例)や大きさ(下位の連続的パラメータの例)のように、さらに詳しい設定をできるようにしてもよい。
【0150】
ゲーム進行部174は、ゲームが開始される前に限らず、ゲーム中のシーンの切れ目などで、キャラクタの選択的パラメータや連続的パラメータを設定するようにしてもよい。同様に、ゲーム進行部174は、ゲーム中のシーンの切れ目などで、アイテムの選択的パラメータや連続的パラメータを設定するようにしてもよい。たとえば、開戦前に戦場や敵の状況に応じて有利な武器を設定し直すことが考えられる。傾斜の方向で武器として「弓矢」を選択し直し、傾斜角度に応じて「弓の強さ」を調整できるようにしてもよい。傾斜角を大きくして「弓の強さ」を高めれば、体力の消費は大きいが、遠くまで矢を届かせられる。敵との距離が長い戦況であれば、その方が有利である。あるいは、傾斜の方向で武器として「剣」を選択し直し、傾斜角度に応じて「短剣」、「長剣」または「両刃」を調整できるようにしてもよい。たとえば、森の中で戦う状況になれば、木の枝などが邪魔になりにくい「短剣」が有利である。
【0151】
このようにすれば、ユーザが行う設定に基づいて進行するトレーディングカードゲームに関して、多様な設定を簡単な操作で楽しみながら行えるようになる。
【0152】
[傾斜方向による方法や装備の選択]
前方傾斜、後方傾斜、右側傾斜および左側傾斜の4つの傾斜方向の選択によって、攻撃方法や守備方法を選択するようにしてもよい。
【0153】
ゲーム進行部174は、トレーディングカード200の傾斜方向に対応する攻撃方法や守備方法を選択し、その攻撃方法や守備方法を実施する。たとえば、敵部隊と対峙した状態で、将軍のキャラクタのトレーディングカード200を後方傾斜させた場合に、敵部隊を取り囲み、反対にトレーディングカード200を前方傾斜させた場合に、一機に敵部隊へ攻め込むというように作戦としての攻撃方法を選択することが考えられる。あるいは、敵部隊と対峙した状態で、将軍のキャラクタのトレーディングカード200を後方傾斜させた場合に、矢を仕掛け、反対にトレーディングカード200を前方傾斜させた場合に、槍で突くというように、手段としての攻撃方法を変えることも考えられる。
【0154】
前方傾斜、後方傾斜、右側傾斜および左側傾斜の4つの傾斜方向の選択によって、攻撃用の装備や守備用の装備(アイテムの例)を選択するようにしてもよい。
【0155】
このようにすれば、ユーザが選択した方法や装備などによって進行するトレーディングカードゲームに関して、方法や装備などの選択をトレーディングカード200の簡単な操作で迅速に行えるようになる。
【0156】
[傾斜カードの組み合わせ姿勢]
傾斜させた2枚のトレーディングカード200を組み合わせて、立体的な形をつくったときに、特定のコマンドを発行するようにしてもよい。
【0157】
図25(A)は、2枚のトレーディングカードによる山型の形態を示す図である。
図25(B)は、山型と認められない形態を示す図である。
図25(A)に示すように、たとえば、左手ではキャラクタAのトレーディングカード200を後方に傾斜させ、右手ではキャラクタBのトレーディングカード200を後方に傾斜させ、両トレーディングカード200を向き合わせて上端同士が接する山型を作ったときに、キャラクタAとキャラクタBが合体した合体キャラクタCが出現するようにする。
図25(B)に示すように、上端同士が接していない場合は山型として認められない。
【0158】
具体的な処理としては、ゲーム進行部174が、キャラクタAのトレーディングカード200の向きとキャラクタBのトレーディングカード200の向きが反対であり(向きの差が180度であり)、キャラクタAのトレーディングカード200とキャラクタBのトレーディングカード200がともに後方に傾斜し、キャラクタAのトレーディングカード200とキャラクタBのトレーディングカード200の傾斜角が一致し、キャラクタAのトレーディングカード200とキャラクタBのトレーディングカード200の中心位置の間の距離が、トレーディングカード200の縦長×cos(傾斜角)であるときに、2枚のトレーディングカード200の上端が接した山型が作られたと判定する。
図25(A)では、トレーディングカード200の中心位置の間の距離が、トレーディングカード200の縦長×cos(傾斜角)であるが、
図25(B)では、トレーディングカード200の中心位置の間の距離が、トレーディングカード200の縦長×cos(傾斜角)より長くなる。
【0159】
2枚のトレーディングカード200の上端が接した山型が作られたと判定すると、ゲーム進行部174は、キャラクタAおよびキャラクタBに代えて、合体キャラクタCを出現させ、戦場を表現する画面に合体キャラクタCの姿を表示する。ゲーム進行部174は、山型を崩さずにキャラクタAのトレーディングカード200とキャラクタBのトレーディングカード200がスライドされたとき、そのスライドに応じて合体キャラクタCを仮想空間(戦場)で移動させ、画面に戦場を歩く合体キャラクタCの様子を表示する。
【0160】
ゲーム進行部174は、2枚のトレーディングカード200が横並びで山型をつくったことを検出して、合体キャラクタを出現させてもよい。ゲーム進行部174は、山型に代えて、谷型を検出してもよい。また、ゲーム進行部174は、合体キャラクタの出現に代えて、特定のコマンド(たとえば、二人のキャラクタの周りの敵を倒す衝撃波)を発行させたり、特定のアイテム(たとえば、二人のキャラクタを敵からの攻撃から守る防御シールド)を登場させたりしてもよい。また、ゲーム進行部174は、山型あるいは谷型におけるトレーディングカード200の傾斜角に応じて、選択的パラメータ(たとえば、合体キャラクタCが使用する武器の種類)や連続的パラメータ(たとえば、合体キャラクタCの攻撃力)を設定し、あるいは変更してもよい。
【0161】
トレーディングカード200のキャラクタの組み合わせに応じて、合体キャラクタを特定するようにしてもよい。合体キャラクタは、元となる2体のキャラクタの特徴をそなえるようにしてもよい。
【0162】
このようにすれば、複数枚のトレーディングカード200を使用するトレーディングカードゲームに関して、両手のトレーディングカード200を使った特別な操作感を楽しめる。自らがキャラクタの合体を具現化している感覚を味わえる面もある。
【0163】
[カード傾斜によるコマンド入力]
プレイヤーがトレーディングカード200を傾斜させることによって、その傾斜のさせ方に応じたコマンド入力が行われるようにしてもよい。
【0164】
たとえば傾斜の方向によって、特定のコマンドが入力される。ゲーム進行部174は、トレーディングカード200の前方傾斜を検出した場合にコマンドAが入力されたものとして、コマンドAを実行する。同様に、トレーディングカード200の後方傾斜を検出した場合にコマンドBが入力されたものとして、コマンドBを実行する。トレーディングカード200の右側傾斜を検出した場合にコマンドCが入力されたものとして、コマンドCを実行する。さらに、トレーディングカード200の左側傾斜を検出した場合にコマンドDが入力されたものとして、コマンドDを実行する。
【0165】
あるいは、傾斜角の範囲によって、特定のコマンドが入力される。ゲーム進行部174は、トレーディングカード200の傾斜角が1~15度の場合にコマンドEが入力されたものとして、コマンドEを実行する。同様に、トレーディングカード200の傾斜角が16~30度の場合にコマンドFが入力されたものとして、コマンドFを実行する。さらに、トレーディングカード200の傾斜角が31~45度の場合にコマンドGが入力されたものとして、コマンドGを実行する。傾斜角範囲の判断は、上述のとおり最大角で行ってもよいし、一定時間保持されたことで行ってもよい。傾斜角の範囲によって定まるコマンドは、傾斜方向に関わらなくてもよいし、傾斜方向によって異なるものでもよい。つまり、傾斜方向と傾斜角の範囲の組み合わせに応じて、コマンドが定まるようにしてもよい。
【0166】
トレーディングカード200を繰り返し傾斜させることによって、コマンド入力が行われるようにしてもよい。ゲーム進行部174は、複数回の傾斜方向の連続パターンによって、コマンドを特定してもよい。たとえば、ゲーム進行部174は、トレーディングカード200の前方傾斜を検出し、続けて右側傾斜を検出し、さらに左側傾斜を検出した場合に、コマンドHが入力されたものとして、コマンドHを実行する。また、同様に、トレーディングカード200の後方傾斜を検出し、続けて左側傾斜を検出し、さらに右側傾斜を検出した場合に、コマンドIが入力されたものとして、コマンドIを実行する。このような操作は複雑であるので、特殊な効果を奏するコマンドの入力に用いてもよい。
【0167】
このようにすれば、トレーディングカードゲームに関して、トレーディングカード200を持ったままいろいろなコマンドを入力することができる。愛着のあるトレーディングカード200を手にしたまま、いろいろな展開を起こすことで強い没入感を味わえるという面もある。
【0168】
[放ち出しアクションの操作]
離れた場所にいる敵を攻撃する手段として、上述した弓矢や大砲の他に、高いところから岩を転がすことなども考えられる。これらのように損傷効果のある武器を敵に向けて放ち出す場合のアクションを、トレーディングカード200を傾けることによって行うようにしてもよい。
【0169】
戦場内の丘の上に置かれている岩のところへキャラクタを移動させると、キャラクタは任意の方向に向けて岩を押し出すアクションを行って、岩を下方へ転がすことができる。プレイヤーが丘に相当するカード配置パネル108上の位置にトレーディングカード200をスライドさせると、ゲーム進行部174は、それに合わせて仮想空間のキャラクタを丘の方へ移動させ、その様子を画面に表示する。この段階で、トレーディングカード200はキャラクタの動きに関する操作手段として使用されている。つまり、ゲーム進行部174は、このトレーディングカード200に関して通常のキャラクタ操作モードで動作している。
【0170】
キャラクタが岩のところへ達すると、ゲーム進行部174は、トレーディングカード200の向き、傾斜方向および傾斜角によって、岩の押し出しアクションの操作を受け付ける。つまり、キャラクタの位置が岩の周辺領域に含まれる場合には、ゲーム進行部174は、このトレーディングカード200に関して一時的な放ち出し操作モードで動作する。
【0171】
岩の押し出しアクションは、前方傾斜、後方傾斜、右側傾斜および左側傾斜のいずれで行ってもよい。ゲーム進行部174が所定の傾斜角以上の前方傾斜を検出した場合には、トレーディングカード200の前方に向けて岩が動き出して、その方向へ転がり落ちる。同様に、所定の傾斜角以上の後方傾斜を検出した場合には、トレーディングカード200の後方に向けて岩が動き出して、その方向へ転がり落ちる。所定の傾斜角以上の右側傾斜を検出した場合には、トレーディングカード200の右側に向けて岩が動き出して、その方向へ転がり落ちる。また、所定の傾斜角以上の左側傾斜を検出した場合には、トレーディングカード200の左側に向けて岩が動き出して、その方向へ転がり落ちる。つまり、トレーディングカード200がどちらを向いているかに関わらず、ゲーム進行部174は、テコを使って岩を押し出すイメージで持ち上げられた一辺の反対側へ岩が落ちていくように、仮想空間における岩の動きを制御して、その様子を画面に表示する。
【0172】
ゲーム進行部174は、傾斜させるときの角速度によって、岩の初速度を決めるようにしてもよい。たとえば、早く傾けたときには、岩の初速度が高く、ゆっくり傾けたときには、岩の初速度が低くなるようにする。これは、ゲーム進行部174が、傾斜の角速度に応じて連続的パラメータを設定する例である。
【0173】
なお、ゲーム進行部174が、傾斜の角速度のレンジに応じて選択的パラメータを設定するようにしてもよい。たとえば、傾斜の角速度が低い範囲内であれば、転がる岩が赤色になり、傾斜の角速度が中間の範囲内であれば、転がる岩が緑色になり、傾斜の角速度が高い範囲内であれば、転がる岩が青色になる。
【0174】
岩が動き出したタイミングで、ゲーム進行部174は、放ち出し操作モードからキャラクタ操作モードに戻り、元通りトレーディングカード200の操作でキャラクタを動かせるようにする。
【0175】
ここでは、岩の押し出しをトレーディングカード200の操作で行う例を示したが、弓矢の放ち出しや大砲の打ち出しに関しても、仮想物体の放ち出しとして同様に処理してもよい。なお、弓矢や大砲のように空中を飛ぶ仮想物体に関しては、傾斜角によって発射角度を決めてもよい。
【0176】
この例における岩は一種のアイテムであるので、アイテムを操作するという意味で、放ち出し操作モードはアイテム操作モードの例に当たる。この例を一般的にとらえれば、ゲーム進行部174は、キャラクタがアイテムの周辺領域外にいるときには、トレーディングカード200の位置、向き、傾斜方向および傾斜角の全部または一部に基づいてキャラクタの動きを制御するキャラクタ操作モードで動作し、キャラクタがアイテムの周辺領域内にいるときには、トレーディングカード200の位置、向き、傾斜方向および傾斜角の全部または一部に基づいてアイテムの動きを制御するアイテム操作モードで動作することを意味する。
【0177】
このようにすれば、キャラクタに仮想物体の放ち出しをさせる場面を含むトレーディングカードゲームに関して、簡単な操作で、いろいろな放ち出しの仕方を楽しむことができる。また、キャラクタの制御と放ち出しの制御をスムーズに切り替えることができるという面もある。
【0178】
[魔法の消費量]
魔法のように特別な効果を発揮させる場合、キャラクタのヒットポイントを消費する。プレイヤーがトレーディングカード200の傾斜させることによって魔法をかける場合に、ゲーム進行部174は、傾斜角に応じてヒットポイントの消費量を決めるようにしてもよい。
【0179】
プレイヤーがトレーディングカード200を特定方向に傾斜させると、瞬発的な魔法をかけられるものとする。たとえば、ゲーム進行部174が前方傾斜を検出すると、目前の敵兵を吹き飛ばす魔法を演出する。ゲーム進行部174は、検出した傾斜角が大きければ、ヒットポイントの消費量を大きく設定し、魔法がよく効く演出(たとえば、敵兵が遠くまで飛ぶ)を行う。この場合、ヒットポイントが大きく減少する。反対に、ゲーム進行部174は、検出した傾斜角が小さければ、ヒットポイントの消費量を小さく設定し、魔法がわずかしか効かない演出(たとえば、敵兵が近くに飛ぶ)を行う。この場合、ヒットポイントの減少は抑えられる。
【0180】
あるいは、プレイヤーがトレーディングカード200を特定方向に傾斜させると、継続的な魔法をかけられるものとする。たとえば、ゲーム進行部174が後方傾斜を検出すると、キャラクタが巨大化する魔法を演出する。ゲーム進行部174は、検出した傾斜角が大きければ、時間当たりのヒットポイントの消費量(消費レート)を大きく設定し、魔法がよく効く演出(たとえば、キャラクタの体が2倍の大きさになる)を行う。この場合、ヒットポイントが減少するペースが速い。反対に、ゲーム進行部174は、検出した傾斜角が小さければ、時間当たりのヒットポイントの消費量(消費レート)を小さく設定し、魔法がわずかしか効かない演出(たとえば、キャラクタの体が1.3倍の大きさになる)を行う。この場合、ヒットポイントの減少ペースは抑えられる。
【0181】
このようにすれば、魔法のように特別な効果を発揮させる場面を含むトレーディングカードゲームに関して、効果の度合いを調整して状況に適した効果の活かし方を選ぶというプレイの多様性が生まれる。
【0182】
[攻撃範囲の調整]
トレーディングカード200の傾斜角に応じて、弓矢や大砲などの攻撃範囲を調整できるようにしてもよい。
【0183】
トレーディングカード200の後方傾斜をさせると味方の兵士達が弓矢を射るものとする。ゲーム進行部174は、後方傾斜を検出してその傾斜角に応じて、矢が到達する範囲を特定する。傾斜角は、最大角でもよいし、一定時間保持された角度でもよい。矢が向かう発射方向は、トレーディングカード200の向きによって決定される。傾斜角が小さいと、射程距離が短くなるが、命中精度は高くなる。反対に、傾斜角が大きいと、射程距離が長くなるが、命中精度は低くなる。つまり、ゲーム進行部174は、傾斜角に正相関する(たとえば、正比例する)射程距離を決め、発射方向へ射程距離だけ離れた位置を基準点とする。そして、基準点を中心とし、傾斜角に正相関する(たとえば、正比例する)半径で定まる円の内側を攻撃範囲とする。ゲーム進行部174は、トレーディングカード200の向きと傾斜角で決まる攻撃範囲を、高輝度や特定色の装飾などで画面に表示する。
【0184】
プレイヤーは、攻撃範囲が表示された画面を見ながら、トレーディングカード200の向きと傾斜角を調整する。そして、ゲーム進行部174は、後方傾斜を検出した時点から一定時間が経過したタイミングで、味方の兵士達が多数の矢を射るように制御する。放たれた各矢は、攻撃範囲内で均等に分布するように到達する。近くの攻撃範囲では、矢が密に分布するので、矢が刺さる確率が高く敵兵達のダメージは大きい。一方、遠くの攻撃範囲では、矢が疎に分布するので、矢が刺さる確率が低く敵兵達のダメージは小さい。
【0185】
このようにすれば、広い領域の一部を攻撃する場面を含むトレーディングカードゲームに関して、簡単な操作で攻撃範囲を調整できる。また、飛翔イメージを膨らませて攻撃成果を高める楽しみを味わえるという面もある。
【0186】
[カード傾斜による表示倍率の調整]
トレーディングカード200を傾けることによって、表示倍率を調整するようにしてもよい。その場合にゲーム進行部174は、傾斜角に応じて表示倍率を決めるようにしてもよい。ゲーム進行部174は、傾斜角に応じて表示対象の範囲を決めるようにしてもよい。一般的に、表示倍率が高ければ、仮想空間における表示対象は大きく映し出されるが、表示される範囲は狭くなる。反対に、表示倍率が低ければ、仮想空間における表示対象は小さく映し出されるが、表示される範囲は広くなる。
【0187】
ゲーム進行部174は、トレーディングカード200の前方傾斜を検出すると、傾斜角に正相関する(たとえば、正比例する)ように表示倍率を高めて狭角の視覚イメージを拡大した画面を表示する。たとえば、草むらで虫を観察するように近くを見る場合に前方傾斜させれば、草むらに接近し小さな虫を見つけやすい。平原の動物を観察するように遠くを見る場合に前方傾斜させれば、遠くの景色を拡大し離れている動物を見分けやすい。
【0188】
ゲーム進行部174は、トレーディングカード200の後方傾斜を検出すると、傾斜角に負相関する(たとえば、負比例する)ように表示倍率を低めて広角の視覚イメージを縮小した画面を表示する。たとえば、草むらで虫を観察するように近くを見る場合に後方傾斜させれば、後ろに引いた状態で見た草むら全体の画像が表示される。平原の動物を観察するように遠くを見る場合に後方傾斜させれば、平原の左右を広々と見渡した画像が表示される。
【0189】
このようにすれば、表示倍率の変更が可能な場面を含むトレーディングカードゲームに関して、表示倍率の調整を簡単な操作で行える。また、トレーディングカード200を虫眼鏡や望遠鏡などの道具に見立てて、覗き込む感覚を楽しめるという面もある。
【0190】
[サッカーのボールコントロール]
サッカーゲームにおいて、カード配置パネル108上のトレーディングカード200を前方へスライドさせることによって、サッカー選手がパスやシュートを蹴り出すようにしてもよい。
【0191】
たとえば、ゲーム進行部174は、トレーディングカード200の向きによって目標(味方選手やゴール)の方向を決定し、スライド幅によって目標までの距離を決め、スライドの速さによってボールの速さを決める。スライド幅が短ければ、ゲーム進行部174は、近くの選手へのショートパスを選択し、スライド幅が長ければ、サイドチェンジなどのロングパスやロングシュートを選択する。
【0192】
また、ゲーム進行部174は、トレーディングカード200の傾きによってボールの蹴り出しの高さ角度を決めるようにしてもよい。トレーディングカード200のキャラクタであるサッカー選手がボールをキープしている状態あるいはフリーキックのシーンで、ゲーム進行部174が、前方に大きく傾斜したトレーディングカード200が前方へ押し出されたと判定した場合には、蹴り出し高さ角(連続的パラメータの例)が大きい軌道でボールの移動を描く。一方、前方へ押し出されたトレーディングカード200の前方の傾斜角が小さければ、ゲーム進行部174は、蹴り出し高さ角が小さい軌道でボールの移動を描く。
【0193】
さらに、サッカー選手に向けてボールが飛んできたときに、トレーディングカード200を後方に傾斜させることによってボールをトラッピングするようにしてもよい。
【0194】
ゲーム進行部174は、飛んでくるボールがサッカー選手の位置に到達するタイミングに合わせて、トレーディングカード200の後方傾斜を検出すると、サッカー選手がトラッピングする画像を生成して表示する。そのとき、後方の傾斜角が1~15度であれば、足でトラッピングし、後方の傾斜角が16~30度であれば、腿(もも)でトラッピングし、後方の傾斜角が31~45度であれば、胸でトラッピングするようにしてもよい。たとえば、低いボールに対しては足でトラッピングすると成功し、高いボールに対しては胸でトラッピングすると成功するようにしてもよい。このときのトラッピングする身体部位は、選択的パラメータの例である。
【0195】
このようにすれば、球技のシミュレーションを行うトレーディングカードゲームに関して、パス、シュートやトラッピングなどのボール扱いについてのいろいろな指示を、トレーディングカード200の傾きを含む操作で簡単に行うことができる。3次元的なボール扱いをトレーディングカード200の傾きなどで疑似的に行う感覚を味わえるという面もある。
【0196】
[メッセージの入力]
複数のメンバーがグループをつくり、グループ同士で対戦するゲームの場合、メンバー間でメッセージを送り合う。トレーディングカード200の傾斜操作によって、このときのメッセージを入力するようにしてもよい。
【0197】
ゲーム進行部174は、画面に4つのメッセージ候補を表示して、その中から仲間のメンバーに送るメッセージを、プレイヤーに選択させるものとする。たとえば、メッセージA「総攻撃を仕掛ける」を上方に表示し、メッセージB「挟み撃ちにする」を右方に表示し、メッセージC「籠城する」を左方に表示し、メッセージD「退却する」を下方に表示する。ゲーム進行部174は、トレーディングカード200の前方傾斜を検出するとメッセージAを選択して、仲間のメンバーに送る。同様に、右側傾斜を検出するとメッセージBを選択して送り、左側傾斜を検出するとメッセージCを選択して送り、後方傾斜を検出するとメッセージDを選択して送る。
【0198】
また、トレーディングカード200の傾斜操作によって1文字ずつを入力するようにしてもよい。
【0199】
図26は、文字入力画面図である。
入力部520の文字入力部(不図示)は、画面に表示されたア行~ワ行の各行に対応する10個のマスにおいて表示されるア段~オ段の文字を候補として、その中から選択された文字を入力する。たとえば、文字入力部は、トレーディングカード200のスライドに応じて移動するカーソルがカ行のマス内に入ったと判定したときに、中心にア段文字「カ」を表示し、左方にイ段文字「キ」を表示し、上方にウ段文字「ク」を表示し、右方にエ段文字「ケ」を表示し、さらに下方にオ段文字「コ」を表示する。そして、文字入力部は、トレーディングカード200が傾斜していなければ、「カ」を候補として強調表示する。同様に、トレーディングカード200が左側傾斜していれば、「キ」を候補として強調表示し、トレーディングカード200が前方傾斜していれば、「ク」を候補として強調表示し、トレーディングカード200が右側傾斜していれば、「ケ」を候補として強調表示し、トレーディングカード200が後方傾斜していれば、「コ」を候補として強調表示する。そして、押しボタンスイッチ114が押されたタイミングで、強調表示されている文字が入力される。
【0200】
別の文字入力方式として、押しボタンスイッチ114が押される度に、ア行~ワ行を循環して各行を切り替えて表示し、トレーディングカード200の傾斜方向でア段~オ段を選択するようにしてもよい。
【0201】
このようにすれば、メッセージや文字の入力を伴うトレーディングカードゲームに関して、入力手段としてトレーディングカード200を使えるようになる。手に持っているトレーディングカード200のキャラクタが、仲間へのメッセージを発しているように想像して、連帯的な趣向が高まるという面がある。
【0202】
[予測タイミングに合わせた傾斜操作]
仮想空間において飛来するオブジェクトの動きに合わせてトレーディングカード200を傾斜させることをゲームの成果として競うようにしてもよい。
【0203】
たとえば、味方の城の窓をめがけて、敵側から火矢が飛来する場面を想定する。プレイヤーが操作するトレーディングカード200のキャラクタである守備兵は、窓の前のバルコニーに構えて火矢を迎え撃つ。
【0204】
城の窓は、左側、中央および右側に3つある。次々と放たれる火矢は、3つの窓のいずれかを目掛けて飛んでくる。これに対して、守備兵は、バルコニーを移動して桶の水を撒いて飛来する火矢を消そうとする。火矢が到達する窓の前に立って、火矢が到達するタイミングに合わせて水を撒けば、火矢は消える。ただし、火矢が到達する窓の前にいなければ、火矢を消せない。また、火矢が到達するタイミングとずれて水を撒いても、火矢を消せない。トレーディングカード200を傾斜させる操作で、守備兵が水を撒く動作を行うようにする。
【0205】
ゲーム進行部174は、自動的な処理として、次々に敵側から火矢を発射させる。具体的には、ゲーム進行部174は、周期的に標的とする窓を決めて、標的とした窓を目掛けて飛来する火矢を画面に表示する。
【0206】
ゲーム進行部174は、プレイヤーの操作による処理として、スライドしたトレーディングカード200の位置に応じて、守備兵がバルコニー内を移動する様子を画面に表示する。
【0207】
ゲーム進行部174は、トレーディングカード200の所定傾斜角を超える前方傾斜を検出すると、守備兵が桶の水を撒く様子を画面に表示する。このタイミングで守備兵の近くに到達する火矢があれば、ゲーム進行部174は、その火矢を画面から消去する。消去されない火矢があれば、ゲーム進行部174は、その火矢が窓の中に入っていく様子を画面に表示する。水を撒いた後に、ゲーム進行部174が、トレーディングカード200の前方傾斜の解消を検出すると、守備兵が桶に水をすくう様子を画面に表示する。つまり、トレーディングカード200を一旦水平にすると、次の前方傾斜で水を撒けるようになる。
【0208】
火矢を消去させた場合には、ゲーム進行部174は、成功と判断して獲得ポイントを加算する。火矢を消去できなかった場合には、ゲーム進行部174は、失敗と判断して獲得ポイントを減算する。
【0209】
上述の例は、1枚のトレーディングカード200を使って、一人の守備兵を操る想定で説明したが、複数枚のトレーディングカード200を使うようにしてもよい。3枚のトレーディングカード200を使えば、一人の守備兵にそれぞれ1つの窓を担当させることができる。したがって、プレイヤーは、トレーディングカード200をスライドさせる操作を行わなくてもよい。その代わり、プレイヤーは、飛来する火矢が到達する窓を予測して、その窓を担当する守備兵のトレーディングカード200を選んで傾斜させる操作を行う。
【0210】
まとめると、ゲーム進行部174は、画面上の特定位置(窓)と特定タイミング(火矢が到達するタイミング)をプレイヤーに予測させる動画を画面に表示する。ゲーム進行部174は、プレイヤーの操作によるトレーディングカード200の傾斜を検出する。また、ゲーム進行部174は、傾斜検出のタイミングが特定タイミングと近く(差分が所定値以下)、且つトレーディングカード200のカード配置パネル108上の位置が画面上の特定位置の近傍(差分が所定値以下)に相当すると判定した場合に、成功と判定する。
【0211】
また、ゲーム進行部174は、トレーディングカード200の向きが火矢の飛来方向と一致または近いことを条件に加えて、成功と判定するようにしてもよい。上述の例で言えば、ゲーム進行部174は、トレーディングカード200の向きに相当する仮想空間の方向へ守備兵が水を撒くようにする。そして、飛んでくる火矢の方にめがけて水を撒くことで、火矢が消えるというルールとする。
【0212】
なお、火矢と火矢に対して撒かれる水の関係は、投石と投石を打ち返すこん棒の関係などに置き換えてもよい。火矢や投石は、プレイヤーの方へ移動する飛来オブジェクトの例である。水やこん棒は、飛来オブジェクトを特定位置で消滅させる打消しオブジェクトの例である。打消しオブジェクトは、必ずしも表示しなくてよい。
【0213】
このようにすれば、トレーディングカードゲームにおいて、プレイヤーによる動的な予測力と機敏な反応力を競うゲームを実現できる。また、手に持っているトレーディングカード200のキャラクタに、火矢を消させたり、投石を打ち返させたりなどのクリアアクションを行わせている感覚を楽しめるという面もある。
【0214】
[傾斜角度・傾斜方向の補助的表示]
検出しているトレーディングカード200の傾斜角度を示す角度グラフや棒グラフなどを画面に表示する傾斜角度表示部(不図示)を設けるようにしてもよい。傾斜角度表示部は、たとえば攻撃アイテムの「矢」、「楯」および「剣」のような各選択的パラメータに対応する角度範囲を識別する部位を表示してもよい。角度グラフであれば、各選択的パラメータに対応する角度範囲を示す弧を、その選択的パラメータに対応する色や装飾などで表す。棒グラフであれば、各選択的パラメータに対応する角度範囲を示す幅を、その選択的パラメータに対応する色や装飾などで表す。そのようにすれば、「もう少しトレーディングカードを起こせば、攻撃アイテムが『楯』から『剣』に切り替わる。」とか、「もっとトレーディングカードを寝かせないと、攻撃アイテムが『楯』から『矢』に切り替わらない。」とか傾斜角の調整の目安が得られるので、プレイヤーが目標とする選択的パラメータを選ぶためのカード傾斜操作をしやすくなる。
【0215】
また、検出しているトレーディングカード200の傾斜方向を画面に示す傾斜方向表示部(不図示)を設けるようにしてもよい。傾斜方向表示部は、たとえばトレーディングカード200の傾斜方向を示す矢印や三角形などを表示してもよい。矢印や三角形とともに、たとえば職業の「農民」「職人」「商人」あるいは「芸人」などの各選択的パラメータの名称や識別マークを表示してもよい。あるいは、矢印や三角形を省いて、傾斜方向を示す位置関係で選択的パラメータの名称や識別マークを配置して表示し、現在検出されている傾斜方向に対応する名称や識別マークを縁取り、拡大や太文字などで強調表示するようにしてもよい。傾斜方向表示部は、たとえば画面内の基準点の上方に「農民」と表示し、右方に「職人」と表示し、左方に「商人」と表示し、さらに下方に「芸人」と表示する。そして、傾斜方向表示部は、トレーディングカード200の前方傾斜を検出すれば、「農民」を縁取り、拡大や太文字などで強調表示する。同様に、右側傾斜を検出すれば「職人」を強調表示し、左側傾斜を検出すれば「商人」を強調表示し、後方傾斜を検出すれば「芸人」を強調表示する。
【0216】
このように、検出されている傾斜角度や傾斜方向をわかりやすく補助的に表示すれば、トレーディングカード200の傾斜操作に不慣れなプレイヤーも戸惑うことなく、その操作に馴染みやすくなる。
【0217】
[赤外線ライトを用いた撮影]
実施形態では、トレーディングカード200が赤外光を発する例を示したが、筐体102の内側に赤外線ライトを設けてトレーディングカード200の裏面に印刷されている裏面画像の反射光を撮影するようにしてもよい。また、カード配置パネル108は、透明な板部材でもよい。その場合には、トレーディングカード200の赤外線発光素子202、赤外線導光板204、赤外線拡散シート212、反射材210aおよび裏面シート214は、省いてもよい。その代わりに、トレーディングカード200の裏面に印刷を施す。
図8に示したトレーディングカード200の裏面図形のうち、黒い部分は、例えば炭素等の赤外光を吸収する物質を原料に含むインクで印刷される。白い部分は、赤外光を反射する上記の炭素等の赤外光を吸収する物質を含まないインクで印刷される。
図2に示した筐体102の内側に赤外線ライトを設けて、赤外線ライトから放たれた赤外光をトレーディングカード200の裏面に当てる。黒い部分は、赤外光を反射せず、白い部分のみ赤外光を反射する。撮影装置110は、反射した赤外光を受けてカード裏面画像400を含むパネル映像を撮影する。
【0218】
[加速度センサ]
実施形態では、ジャイロセンサを用いてトレーディングカード200の傾斜を検出する例を示したが、加速度センサを用いてトレーディングカード200の傾斜を検出してもよい。加速度センサは、重力加速度の方向を計測して、センサ制御回路236は、重力加速度の方向に基づいて、トレーディングカード200のピッチ角度とロール角度を検出する。
【0219】
[二次電池の利用]
実施形態では、受電装置220で得た電力をそのまま利用する例を示したが、トレーディングカード200に二次電池を設けて、受電装置220で得た電力を一旦蓄電するようにしてもよい。そして、二次電池が放電する電力を利用するようにしてもよい。
【0220】
[コードパターン301の読み取り]
実施形態では、トレーディングカード200からゲーム機100へトレーディングカード200の識別子(カードID)が送信される例を示したが、映像解析部172がカード裏面画像400に含まれるコードパターン301を読み取ってトレーディングカード200の識別子(カードID)などの埋め込みデータを特定するようにしてもよい。この方式の場合、コードパターン301の部分を除き、基準マーカ303~309の部分のみの画像パターンを生成して、その画像パターンを用いてカード裏面画像400の探索(S18)を行うようにしてもよい。
【0221】
[自動発光]
実施形態では、トレーディングカード200がゲーム機100から発光コマンドを受けて、赤外線発光素子202および白色発光素子206を発光させる例を示したが、発光コマンドによらず自動的に赤外線発光素子202および白色発光素子206を発光させるようにしてもよい。その場合には、赤外線発光素子202および白色発光素子206が、電源回路222から電力を得ると発光するようにする。つまり、受電装置220が受電すると、発光制御回路226からの発光指示を受けなくても、電源回路222から電力を得て赤外線発光素子202および白色発光素子206が発光するように構成してもよい。赤外線発光素子202のみ自動的に発光させ、白色発光素子206を発光コマンドで発光させるようにしてもよい。あるいは、逆に白色発光素子206のみ自動的に発光させ、赤外線発光素子202を発光コマンドで発光させるようにしてもよい。
【0222】
なお、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0223】
100 ゲーム機、102 筐体、104 正面モニター、106 スピーカー、108 カード配置パネル、110 撮影装置、112 コイル、114 押しボタンスイッチ、116 発光ダイオード、126 液晶パネル、128 白色発光パネル、130 白色導光板、132 白色LED、140 制御装置、142 CPU、144 メモリ、146 入出力I/F、148a グラフィック表示回路、148b グラフィック表示回路、150 サウンド回路、160 液晶ディスプレイ、162 給電装置、164 アンプ、166 送信器、168 受信機、170 映像取得部、172 映像解析部、174 ゲーム進行部、176 制御部、182 鏡板、186 パネルフレーム、200 トレーディングカード、202 赤外線発光素子、204 赤外線導光板、206 白色発光素子、208 白色導光板、210 反射材、212 赤外線拡散シート、214 裏面シート、216 白色拡散シート、218 表面シート、219 電子部品層、220 受電装置、222 電源回路、224 受信器、226 発光制御回路、228 送信器、232 不揮発性メモリ、236 センサ制御回路、238 ジャイロセンサ、301 コードパターン、303 右上の基準マーカ、305 左上の基準マーカ、307 右下の基準マーカ、309 左下の基準マーカ、400 カード裏面画像、510 ユーザインタフェース処理部、520 入力部、522 受付部、530 出力部、532 画像出力部、540 データ処理部、542 歪曲収差補正部、544 画像パターン生成部、546 カード裏面探索部、548 カード方向検出部、550 カード位置検出部、570 データ格納部、572 解析情報記憶部、574 部隊パラメータ記憶部、580 データ通信部、582 受信部、584 送信部、601 赤外光、603 白色光、605 白色光