(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20240925BHJP
F21V 31/00 20060101ALI20240925BHJP
F21V 17/10 20060101ALI20240925BHJP
F21Y 101/00 20160101ALN20240925BHJP
F21Y 115/00 20160101ALN20240925BHJP
【FI】
F21S2/00 630
F21V31/00 100
F21V17/10 150
F21Y101:00 300
F21Y115:00
(21)【出願番号】P 2021013526
(22)【出願日】2021-01-29
【審査請求日】2023-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】723014807
【氏名又は名称】岩崎電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒崎 優作
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-115099(JP,A)
【文献】特開2003-036721(JP,A)
【文献】特開2017-033725(JP,A)
【文献】特開2018-190505(JP,A)
【文献】特開2012-169207(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 31/00
F21V 17/10
F21Y 101/00
F21Y 115/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定長さに切断された押出成形品である筐体中央部の両端にサイドパッキンを介して筐体側板が固定された筐体と、前記筐体に設けられた開口部を覆うカバーと、を有した照明器具において、
前記筐体中央部は、前記開口部をシールする環状パッキンが係合するガイド溝を有し、
前記筐体側板は、板金製であり、
閉塞部とパッキン受部とを有し、
前記パッキン受部は、前記閉塞部からL字状に折り曲げて形成され、
前記サイドパッキンは、
前記筐体中央部と前記
閉塞部との間をシールするサイドシール部と、
前記筐体中央部の端部よりも外側に位置し、
前記パッキン受部に載置され前記環状パッキンが係合するガイド部と、
を有し、
前記ガイド部と前記筐体中央部の前記ガイド溝とによって、前記環状パッキンが位置決めされている
ことを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記環状パッキンが係合する箇所に貫通孔が設けられ、
前記貫通孔から前記筐体側板の前記パッキン受部が露出している箇所に接着剤が塗布されており、前記接着剤により、前記環状パッキンと前記筐体側板とが接着されている
ことを特徴とする請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記筐体側板は、
折り曲げ加工によって形成された前記パッキン受部の折曲部を覆う覆い部を備える
ことを特徴とする請求項2に記載の照明器具。
【請求項4】
前記サイドシール部は、
前記筐体中央部の端部に接触してシールするとともに、前記筐体中央部の端部を覆うように包囲する端部シール溝を備える
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の照明器具。
【請求項5】
前記端部シール溝は、底部と、対向する一対の壁部と、を有し、
前記壁部の少なくとも一方は、先端部が溝の内側へ向かって傾斜している
ことを特徴とする請求項4に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネル灯や道路用低位置照明器具などように、横長の筐体を有する照明器具が知られている。
この種の照明器具は、照明の出力や設置場所に応じて種々の長さの筐体が必要とされるため、メーカー側は異なる長さの筐体を用意する必要がある。そして、できるだけ製造コストを抑えて種々の長さの筐体を製造可能にする技術として、特許文献1から特許文献4が知られている。
特許文献1から特許文献3は、筐体の中央部をアルミニウム合金の押出成形で製造し、両側面にアルミダイカスト製の側板を取り付けた構造の筐体を開示し、また、特許文献4は放電灯点灯装置のケースに関するものであるが、中央部を筒状のアルミケースとして、両端をプラスチック製の端板で塞いだケースを開示する。これらの筐体やケースによれば、種々の長さの中央部を押出成形を用いて簡単に製造することができ、また、中央部の端部を塞ぐ部材(側板や端板)を共通化できるため、筐体の製造コストを抑えることができる。
【0003】
また、特許文献1から特許文献3の照明器具は屋外照明器具であり、屋外照明器具の筐体は、保守のために開閉可能な蓋を備えつつ防水構造である必要がある。
特許文献1から特許文献3は全て、側板をアルミダイカストで成形しているため、複雑な形状の成形が可能であり、また側板と中央部との間にシート状のパッキンが設けられることで、中央部と側板との接続部からの浸水を防いでいる。
さらに、かかる側板には、開閉可能な上記蓋をシールするためのパッキンを位置固定するパッキン溝が形成されており、このパッキン溝は、両側の側板を中央部に取り付けた状態で中央部のパッキン溝と連続した環状の溝となっている。そして、かかる環状の溝に環状パッキンを入れて上記蓋を閉じることで、蓋部からの水の侵入も防ぐことができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-192299号公報
【文献】特開2018-190505号公報
【文献】特開2019-153594号公報
【文献】特開2008-108683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えばトンネル灯の筐体は、一般的に耐用年数が20年とされており、従来製品のトンネル灯では、アルミダイカスト成形品である側板を、押出成形品である中央部に組み付けた筐体に塗装を施すことで耐用年数に係る仕様を満足させている。
しかしながら、アルミダイカストに使用されるアルミニウム合金は、押出成形に使用されるアルミニウム合金よりも耐蝕性が劣っている。このため、従来製品のトンネル灯では、20年を超えて使用した場合、アルミダイカスト成形品である筐体の側板から劣化することが予想される。
【0006】
一方、一般に流通しているステンレス鋼板を側板の材料として使用できれば耐蝕性を高め材料コストも安くできる。
しかしながら、ステンレス鋼板をプレス加工して側板を形成する場合、筐体の蓋をシールする上記環状パッキンを位置固定するためのパッキン溝を当該側板に形成することが非常に困難であり、側板と中央部の接続部の防水を図ることが困難となる。
【0007】
本発明は、防水を図りつつ筐体の耐蝕性を高めることができる照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、所定長さに切断された押出成形品である筐体中央部の両端にサイドパッキンを介して筐体側板が固定された筐体と、前記筐体に設けられた開口部を覆うカバーと、を有した照明器具において、前記筐体中央部は、前記開口部をシールする環状パッキンが係合するガイド溝を有し、前記筐体側板は、板金製であり、閉塞部とパッキン受部とを有し、前記パッキン受部は、前記閉塞部からL字状に折り曲げて形成され、前記サイドパッキンは、前記筐体中央部と前記閉塞部との間をシールするサイドシール部と、前記筐体中央部の端部よりも外側に位置し、前記パッキン受部に載置され前記環状パッキンが係合するガイド部と、を有し、前記ガイド部と前記筐体中央部の前記ガイド溝とによって、前記環状パッキンが位置決めされていることを特徴とする。
【0009】
本発明は、上記照明器具において、前記環状パッキンが係合する箇所に貫通孔が設けられ、前記貫通孔から前記筐体側板の前記パッキン受部が露出している箇所に接着剤が塗布されており、前記接着剤により、前記環状パッキンと前記筐体側板とが接着されていることを特徴とする。
【0010】
本発明は、上記照明器具において、前記筐体側板は、折り曲げ加工によって形成された前記パッキン受部の折曲部を覆う覆い部を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明は、上記照明器具において、前記サイドシール部は、前記筐体中央部の端部に接触してシールするとともに、前記筐体中央部の端部を覆うように包囲する端部シール溝を備えることを特徴とする。
【0012】
本発明は、上記照明器具において、前記端部シール溝は、底部と、対向する一対の壁部と、を有し、前記壁部の少なくとも一方は、先端部が溝の内側へ向かって傾斜していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、防水を図りつつ筐体の耐蝕性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施形態に係るトンネル照明器具の全体構成を示す斜視図である。
【
図2】トンネル照明器具の設置状態を示す図であり、(A)はカバーが閉じている状態を示し、(B)はカバーが開いている状態を示す。
【
図6】サイドパッキンの斜視図であり、(A)は内側からみた斜視図であり、(B)は外側からみた斜視図である。
【
図7】サイドパッキンの平面図であり、(A)は正面図、(B)を内側からみた側面図、(C)は外側からみた側面図、(D)は上面図である。
【
図9】筐体中央部と筐体側板の接続部の防水構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係るトンネル照明器具1の全体構成を示す斜視図である。
図2はトンネル照明器具1の設置状態を示す図であり、
図2(A)はカバー3が閉じた状態を示し、
図2(B)はカバー3が開いた状態を示す。
トンネル照明器具1は、
図1に示すように、その正面が出射面1Aとして構成されており、
図2(A)に示すように、当該出射面1Aを路面に対面させた姿勢でトンネルAの壁面A1に設置され、照明光を出射面1Aから出射することで路面を照明する。
【0016】
本実施形態のトンネル照明器具1は、
図1に示すように、出射面1Aの側に開口部7(
図3)を有する略直方形状の筐体2と、筐体2の開口部7を塞ぐ略矩形板状の透光性材から成るカバー3と、当該カバー3を開閉可能にする適宜の数(図示例では2つ)の開閉機構4と、閉状態のカバー3を筐体2に係止する適宜の数(図示例では2つ)の留め具5と、を備えている。
留め具5は、カバー3を筐体2に開放不能に係止する機能を有する適宜の形式の金具が用いられ、本実施形態ではパッチン錠が用いられている。
開閉機構4は、開口部7の上端縁部7A1に設けられており、
図2(B)に示すように、カバー3が下方(開口部7の下端縁部7A2の側)から上方(開口部7の上端縁部7A1の側)に向かって開く上開き方式の蓋体として取り付けられている。
【0017】
またトンネル照明器具1は、筐体2の両端のそれぞれに取付板6を備え、
図2(A)に示すように、これらの取付板6をボルトで壁面A1に固定することでトンネルAに設置される。これらの取付板6は筐体2を回動自在に支持しており、筐体2の取付角度を調整可能にする角度調整板として構成されている。
【0018】
図3はトンネル照明器具1の分解斜視図である。
同図に示すように、筐体2は、両端が開放した断面略コの字形状の部材から成る筐体中央部30と、筐体中央部30の両端の開放部を塞ぐ一対の筐体側板31と、によって、正面に開口部7を有した略直方形状の箱体として構成されている。
かかる筐体2の内部には、照明光の光源(例えば発光素子や放電ランプ)や、光源の光を制御する光学制御部材(反射鏡など)、光源への点灯制御を行うための装置、電源関係部品といった各種の部材(図示略)が配置されている。
【0019】
本実施形態において、筐体中央部30は、アルミニウム合金から成る押出成形品を所定長に切断したものであり、アルミダイカスト成形品よりも優れた耐蝕性を有しており、また押出成形後に所定長さに切断されることで種々の長さのものを容易に製造可能となっている。
筐体側板31は、耐蝕性に優れたステンレス鋼板をプレス加工して形成された板金製であり、アルミダイカスト成形品よりも耐蝕性およびコストの点で優れたものとなっている。
そして、これら筐体中央部30および筐体側板31には、腐蝕を防ぐための塗装が適宜に施され、これらによって本実施形態の筐体2は、例えば20年という耐用年数の要求を満足するものとなっている。
【0020】
次いで、トンネル照明器具1の防水構造について説明する。
【0021】
トンネル照明器具1の筐体2は、カバー3によって覆われる開口部7、および、筐体中央部30と筐体側板31との接続部(筐体2の端部7B)をシールするための防水構造を備えている。
具体的には、
図3に示すように、筐体2の開口部7には、その縁に沿った形状(本実施形態では略矩形の環状)の環状パッキン8が取り付けられており、当該環状パッキン8がカバー3と筐体2との間で挟まれることで開口部7がシールされる。この環状パッキン8にはスポンジパッキンが用いられている。
また筐体中央部30と各筐体側板31とがサイドパッキン32を挟んで固定されることで、筐体2の端部7Bがシールされている。このサイドパッキン32にはシリコンゴム製のシリコンパッキンが用いられている。
【0022】
図4は、筐体2の端部7Bの分解斜視図である。
本実施形態において、上記環状パッキン8は、筐体中央部30と、一対のサイドパッキン32とによって位置決めされている。
具体的には、筐体中央部30は、
図3および
図4に示すように、正面視上側の縁部である上端縁部7A1と、正面視下側の縁部である下端縁部7A2のそれぞれに、当該筐体中央部30の両端に亘って直線状に延びるガイド溝35を備えている。
また、一対のサイドパッキン32のそれぞれは、
図4に示すように、筐体中央部30の端部7Bよりも外側に位置し、上面視略コの字状に延びるパッキン溝36が形成されている。
そして、パッキン溝36の開放端である端部36Aが、筐体中央部30の上端縁部7A1および下端縁部7A2に繋がることで、これらガイド溝35およびパッキン溝36が環状の溝である環状溝37を構成し、この環状溝37に、上述の環状パッキン8の全周が入り込むことで位置決めされる。
【0023】
このように、筐体2の開口部7をシールする環状パッキン8を位置決めするための環状溝37が、筐体側板31ではなくサイドパッキン32に設けたパッキン溝36を用いて形成され、筐体側板31には、環状パッキン8のための溝形状(凹凸)設ける必要がないため、板金によって筐体側板31を構成できるようになる。
【0024】
図5は、筐体側板31の構成を示す斜視図である。
筐体側板31は、閉塞部40およびパッキン受部41を備えるように、板金を折り曲げ成形されて成る成形品であり、上述のように、板金には耐蝕性に優れたもの(本実施形態ではステンレス鋼板)が用いられている。
閉塞部40は、筐体2の端部7Bを閉塞する矩形板状の部位であり、その四隅には締結孔40Aが形成され、これらの締結孔40Aに挿通されたボルトによって、サイドパッキン32を間に挟んで筐体中央部30に固定される。閉塞部40の面内には、スタッドボルト39(
図3参照)を固定する回り止め孔40Cが設けられている。この回り止め孔40Cに通されたスタッドボルト39をナット締めすることで筐体側板31の外側に接続される取付板6を固定するための支柱が形成されている。また、この閉塞部40には、締結孔40Aの間の強度を補うための凸部40Bがビート加工により適宜に設けられている。
【0025】
パッキン受部41は、閉塞部40の前端側を外側(筐体中央部30から離れる側)に向けてL字状に折り曲げて形成され、サイドパッキン32の一部である後述のガイド部51が載置され、かつ、閉じたカバー3との間で当該ガイド部51を挟み込む部位(
図9参照)である。このパッキン受部41には、ガイド部51を位置決めするための適宜数(図示例では3つ)の位置決め孔44が形成されている。
【0026】
また筐体側板31は、パッキン受部41の縁部をL字状に折り曲げて成る壁部43を備え、カバー3が閉じたときに、その縁部が当該壁部43によって囲まれて保護される。この壁部43の両端は、閉塞部40よりも筐体中央部30の側に延出し、この延出部分が、筐体中央部30と筐体側板31の接続部分を覆う覆い部43Aを構成している。
【0027】
図6はサイドパッキン32の斜視図であり、
図6(A)は内側からみた斜視図であり、
図6(B)は外側からみた斜視図である。
図7はサイドパッキン32の平面図であり、
図7(A)は正面図、
図7(B)は内側からみた側面図、
図7(C)は外側からみた側面図、
図7(D)は上面図である。
サイドパッキン32は、弾性材料の一例であるシリコンゴムから成る成形品であり、筐体2の端部7Bをシールする中空の矩形板状(すなわち矩形枠状)のサイドシール部50と、当該サイドシール部50の前端側(カバー3に対面する側の端部)に設けられたガイド部51と、を備えている。
【0028】
サイドシール部50には、筐体側板31を固定するボルトを通すための通し孔50Aが設けられている。サイドシール部50の内側の面は、筐体中央部30の端部7Bが当接する面であり、この内側の面には、当該端部7Bが入り込む端部シール溝52と、当該端部7Bに設けられた係合凹部7B1(
図4)と係合することで位置決めされる位置決め突起53と、適宜の肉盗み用の凹部54と、が設けられている。
【0029】
図8は、端部シール溝52の断面図である。
端部シール溝52は、断面コの字状の凹みであり、筐体中央部30の端部7Bが端部シール溝52に入り込み、凹みの底部52Aに接触することでシールされ、さらに当該端部7Bが端部シール溝52によって覆われるように包囲される。また底部52Aには、凸部である第1ビード52Kが設けられており、この第1ビード52Kによって底部52Aと端部7Bとの接触が確実に維持されるようになっている。
【0030】
本実施形態の端部シール溝52は、上記底部52Aと、対向する一対の壁部52B、52Cと、を有し、これら壁部52B、52Cの少なくとも一方(本実施形態では壁部52B)は、先端部52Fが溝の内側へ向かって傾斜した形状を成しており、筐体中央部30の端部7Bによって底部52Aが押圧されると、図中矢印Pで示すように、凹みの内側に向かって倒れ込むように歪み、端部7Bに先端部52Fが接触するように構成されており、これにより、端部7Bと端部シール溝52の密着性が高まり、端部7Bのシール性が向上するようになっている。
また、サイドシール部50の外側の面には、凸部である第2ビード52Lが壁部52Bの対応位置に設けられており、第2ビード52Lが筐体側板31によって押圧されることで、より強固に壁部52Bが内側に倒れ込み、シール性が更に向上するようになっている。
【0031】
サイドパッキン32のガイド部51は、
図7(D)に示すように、サイドシール部50の前端部50F(筐体2の正面側E1の端部)から外側(筐体中央部30から離れる方向)に延び、筐体中央部30の端部7Bよりも外側において、閉じたカバー3と筐体側板31のパッキン受部41とで挟まれる板状の部位である(
図9参照)。そして、ガイド部51の面内には、環状パッキン8のうちの筐体中央部30の端部7Bよりも外側の箇所を位置決めする上述したパッキン溝36が形成されている。
またガイド部51の縁部51Aには、
図7(A)および
図7(B)に示すように、筐体側板31に設けられた上記位置決め孔44に係合する位置決め凸部55が設けられており、これら位置決め孔44および位置決め凸部55の係合によって、パッキン溝36が筐体中央部30のガイド溝35に繋がるようにガイド部51が適切に位置決めされる。
【0032】
またガイド部51の面内には、
図6(A)および
図6(B)に示すように、トンネル照明器具1の設置作業時に、水平方向中心を作業者に案内する器具中心表示部57が設けられている。器具中心表示部57は、トンネル照明器具1の水平方向中心に頂部57Aを配した正面視適宜形状(本実施形態では三角形)を成す貫通孔によって構成されている。
本実施形態のサイドパッキン32の表面は塗装などにより黒色を呈するのに対し、筐体側板31の表面は塗装などによりグレー色を呈することで、かかるガイド部51が筐体側板31に載置された状態において、器具中心表示部57の内部が周辺の黒色とは異なるグレー色を呈するようになっている。これにより、器具中心表示部57の形状の視認性が向上し、水平方向中心を正確に作業者に案内できる。
【0033】
図9は筐体中央部30と筐体側板31の接続部の防水構造を示す図であり、
図1の矢印Jで指し示した箇所の断面図である。なお、同図では、図面が煩雑になるのを防ぐために、カバー3、環状パッキン8、およびサイドパッキン32のみにハッチングを施している。
同図に示すように、サイドパッキン32において、環状パッキン8が入り込むパッキン溝36は筐体側板31の側に貫通する貫通孔であり、そこに入り込んだ環状パッキン8が筐体側板31のパッキン受部41に直接接触する構成となっている。すなわち、開口部7のシールは、筐体側板31においても、サイドパッキン32ではなく環状パッキン8によって行われる。
【0034】
かかる環状パッキン8の組み付け作業においては、先ず、筐体側板31を筐体中央部30にサイドパッキン32を間に挟んで固定する。この状態においては、貫通孔であるパッキン溝36から筐体側板31が露出する。その後、このパッキン溝36とガイド溝35とによって構成された環状溝37に全周に亘って接着剤60(
図9)を塗布する。これにより、筐体側板31において、パッキン溝36から露出する箇所に接着剤60が塗布される。そして、環状溝37に環状パッキン8を入れ込み、環状パッキン8を接着剤60によって筐体中央部30および筐体側板31のそれぞれに接着する。
このように接着剤60が塗布されることで、筐体側板31においては、環状パッキン8と筐体側板31との間が確実にシールされ、環状パッキン8による開口部7のシール性が高められる。また、環状パッキン8が筐体側板31に接着、固定されているため、カバー3の開閉を繰り返した際に、環状パッキン8がカバー3に付着して環状溝37から外れてしまうこともない。
【0035】
図9に示すように、サイドパッキン32のガイド部51において、上記位置決め凸部55が設けられている縁部51Aは、外側(筐体中央部50から遠ざかる方向)に向かうにつれて下方に傾斜した断面形状を成している。この縁部51Aは、トンネル照明器具1の正面視において、カバー3と筐体側板31の壁部43との間から露出し、照明器具洗浄時などに直接的に被水する箇所である。この縁部51Aが断面傾斜形状を成すことで洗浄時にサイドパッキン32にかかる水圧が軽減される。
【0036】
また、筐体側板31は、
図5に示すように、上述の覆い部43Aを備え、この覆い部43Aが筐体中央部30と筐体側板31との接続部を覆っている。この接続部は、筐体側板31において、パッキン受部41を折り曲げ形成した際の折曲部41Aを含んでいる。この折曲部41Aは、
図9に示すように、ある程度の曲率半径(曲げR)を有した部位であり、パッキン受部41の平面状の表面に比べて環状パッキン8との密着性が劣る部位となる。かかる折曲部41Aが覆い部43Aによって覆われることで、照明器具洗浄時などにおける被水が抑えられ、折曲部41Aでのシール性の低下が抑えられることとなる。
【0037】
本実施形態によれば、次のような効果を奏する。
【0038】
本実施形態のトンネル照明器具1は、所定長さに切断された押出成形品である筐体中央部30の両端にサイドパッキン32を介して筐体側板31が固定された筐体2と、この筐体2に設けられた開口部7を覆うカバー3と、を有した照明器具である。また筐体中央部30は、開口部7をシールする環状パッキン8が入り込むガイド溝35を有し、筐体側板31は板金製である。サイドパッキン32は、筐体中央部30と筐体側板31との間をシールするサイドシール部50と、筐体中央部30の端部7Bよりも外側に位置し、環状パッキン8が係合するパッキン溝36が形成されたガイド部51と、を有し、ガイド部51のパッキン溝36と筐体中央部30のガイド溝35とによって環状溝37が構成され、当該環状溝37に環状パッキン8が位置決めされている。
【0039】
この構成によれば、ガイド部51のパッキン溝36と筐体中央部30のガイド溝35とによって構成された環状溝37に環状パッキン8を位置決めしてシールするため、筐体側板31に環状パッキン8を位置決めする形状を設ける必要がない。
そして、アルミダイカストのアルミニウム合金よりも耐蝕性に優れた板金によって筐体側板31が形成されているため、筐体2の耐蝕性が高められ、器具全体が経年劣化しにくくなる。これに加え、必要に応じて、ボルトやナットなどの追加部品を筐体側板31に溶接することもできる。また、筐体側板31のためのダイカストの金型が不要となるため、設計変更や特注仕様に対応しやすくなる。
【0040】
上記トンネル照明器具1において、ガイド部51は、筐体側板31に形成されたパッキン受部41に載置され、環状パッキン8が係合する箇所に貫通孔が設けられ、この貫通孔から露出する筐体側板31のパッキン受部41に接着剤60が塗布されており、接着剤60によって環状パッキン8と筐体側板31とが接着されている。
【0041】
この構成によれば、環状パッキン8と筐体側板31との間が確実にシールされ、環状パッキン8による開口部7のシール性が高められる。また、環状パッキン8が筐体側板31に接着されることで、カバー3の開閉を繰り返した際に、環状パッキン8がカバー3に付着して環状溝37から外れてしまうこともない。
【0042】
上記トンネル照明器具1において、筐体側板31は、折り曲げ加工によって形成されたパッキン受部41の折曲部41Aを覆う覆い部43Aを備える。
この構成によれば、ある程度の曲率半径を有し、パッキン受部41の平面状の表面に比べて環状パッキン8との密着性が劣る折曲部41Aの被水が抑えられ、折曲部41Aでのシール性の低下が抑えられる。
【0043】
上記トンネル照明器具1において、サイドシール部50は、筐体中央部30の端部7Bに接触してシールするとともに、筐体中央部30の端部7Bを覆うように包囲する端部シール溝52を備える。
かかる端部シール溝52により、筐体中央部30の端部7Bのシール性が高められる。
【0044】
上記トンネル照明器具1において、端部シール溝52は、底部52Aと、対向する一対の壁部52B、52Cと、を有し、一方の壁部52Bは、先端部52Fが溝の内側へ向かって傾斜している。
これにより、筐体中央部30の端部7Bが端部シール溝52に挿入されるに伴って壁部52Bが当該端部7Bの側へ倒れ込んで接触し、筐体中央部30の端部7Bが、より確実にシールされる。
【0045】
なお、上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様の例示であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲において任意に変形、及び応用が可能である。
また上述した実施形態における水平、及び垂直等の方向や各種の数値、形状は、特段の断りがない限り、それら方向や数値、形状と同じ作用効果を奏する範囲(いわゆる均等の範囲)を含む。
【符号の説明】
【0046】
1 トンネル照明器具(照明器具)
2 筐体
3 カバー
7 開口部
7B 端部
8 環状パッキン
30 筐体中央部
31 筐体側板
32 サイドパッキン
35 ガイド溝
36 パッキン溝
37 環状溝
41 パッキン受部
41A 折曲部
43A 覆い部
52 端部シール溝
52A 底部
52B、52C 壁部
60 接着剤