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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】電子制御装置
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/18 20060101AFI20240925BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20240925BHJP
   F01N 11/00 20060101ALI20240925BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20240925BHJP
   B01D 53/94 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
F01N3/18 C
F01N3/08 B ZAB
F01N11/00
F02D45/00 345
B01D53/94 222
B01D53/94 400
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021022763
(22)【出願日】2021-02-16
(65)【公開番号】P2022124872
(43)【公開日】2022-08-26
【審査請求日】2024-01-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】橋本 一成
【審査官】上田 真誠
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/027394(WO,A1)
【文献】特開2016-79916(JP,A)
【文献】特開2019-143611(JP,A)
【文献】特開2020-133501(JP,A)
【文献】特開2009-114978(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/18
F01N 3/08
F01N 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気通路(10a、10b)へ尿素水を噴射する第1噴射弁(21)および第2噴射弁(22)と、
前記第1噴射弁へ尿素水を供給する第1配管(51)、および前記第2噴射弁へ尿素水を供給する第2配管(52)と、
通電に伴い発熱する電気ヒータであって、前記第1配管に存在する尿素水を加熱する第1ヒータ(61)、および前記第2配管に存在する尿素水を加熱する第2ヒータ(62)と、を備える尿素水供給システムに適用された電子制御装置において、
前記第1ヒータおよび前記第2ヒータへ通電オンさせているときの電流または電圧に基づき、通電故障の有無を検出する検出部(S14)と、
前記検出部によって前記通電故障があると検出された場合に、前記第2噴射弁を閉弁させつつ前記第1噴射弁を開弁させる第1噴射制御、および前記第1噴射弁を閉弁させつつ前記第2噴射弁を開弁させる第2噴射制御をそれぞれ実行する噴射制御部(S21、S24)と、
前記第1噴射制御を実行している時の尿素水の供給圧力が正常に降下せず、かつ、前記第2噴射制御を実行している時の尿素水の供給圧力が正常に降下した場合には、前記第1ヒータへの通電故障と診断し、
前記第2噴射制御を実行している時の尿素水の供給圧力が正常に降下せず、かつ、前記第1噴射制御を実行している時の尿素水の供給圧力が正常に降下した場合には、前記第2ヒータへの通電故障と診断する診断部(S27)と、
を備える電子制御装置。
【請求項2】
前記第1ヒータおよび前記第2ヒータへの通電オンオフを制御するヒータ制御部(S12、S16)を備え、
前記ヒータ制御部は、
前記第1ヒータと前記第2ヒータのいずれか一方が通電故障と診断された場合に、所定の待機時間内に診断結果が正常に覆るまでは前記通電オンを継続させ、前記診断結果が覆ることなく前記待機時間が経過した以降は通電オフに切り替える、請求項1に記載の電子制御装置。
【請求項3】
前記通電故障の原因が断線および短絡のいずれであるかを判定する判定部(73)を備え、
前記判定部によって前記短絡であると判定された場合には、前記断線であると判定された場合に比べて、前記待機時間が短く設定される、請求項2に記載の電子制御装置。
【請求項4】
前記噴射制御部は、前記検出部によって前記通電故障があると検出された場合に、前記第1噴射制御と前記第2噴射制御を複数回繰り返し交互に実行し、
前記診断部は、前記第1噴射制御と前記第2噴射制御が1回実行される毎に診断を繰り返す、請求項2または3に記載の電子制御装置。
【請求項5】
前記噴射制御部は、前記第1ヒータへの通電故障と診断された場合には前記第1噴射弁の開弁作動を禁止させ、前記第2ヒータへの通電故障と診断された場合には前記第2噴射弁の開弁作動を禁止させる、請求項1~4のいずれか1つに記載の電子制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書における開示は、電子制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、内燃機関の排気通路へ尿素水を噴射する噴射弁と、噴射弁へ尿素水を供給する配管と、配管を加熱する電気ヒータと、を備えるシステムが記載されている。排気通路へ噴射された尿素水は、排気通路内でアンモニアに変化する。このアンモニアは、還元剤として浄化装置へ供給され、浄化装置の触媒上で排気中のNOxを還元浄化する。
【0003】
そして、配管内で尿素水が凍結した場合には、電気ヒータへの通電により尿素水を解凍して、噴射弁からの噴射を可能にさせている。
【0004】
さらに特許文献1には、電気ヒータへの通電故障を診断する診断装置が記載されている。この診断装置は、電気ヒータを通電オンさせているにも拘らず、所定時間が経過しても解凍されない場合に、通電故障と診断している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-172377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、排気浄化の規制強化への対策として、排気通路に複数の浄化装置を搭載し、各々の浄化装置に対して噴射弁を設けるシステムが開発されてきている。この種のシステムでは、上述した噴射弁の複数化により、配管及び電気ヒータをそれぞれの噴射弁に対して分岐、または複数備えることになり、配管経路の複雑化、延長化することになる。
【0007】
この場合、いずれにおける電気ヒータの通電電流を検出することによりシステム内で通電故障が生じているか否かについては判定できる。しかしながらその通電故障が配管のどの部分で発生しているかは通電電流のみでは判別ができない。そのため通電故障が発生すると寒冷時においては全ての尿素水噴射制御が停止する可能性があり、改善の余地がある。
【0008】
本明細書の開示による目的は、複数の噴射弁が備えられた尿素水供給システムについて、電気ヒータへの通電故障箇所を特定可能にした、電子制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的を達成するための開示された電子制御装置は、
内燃機関の排気通路(10a、10b)へ尿素水を噴射する第1噴射弁(21)および第2噴射弁(22)と、
第1噴射弁へ尿素水を供給する第1配管(51)、および第2噴射弁へ尿素水を供給する第2配管(52)と、
通電に伴い発熱する電気ヒータであって、第1配管に存在する尿素水を加熱する第1ヒータ(61)、および第2配管に存在する尿素水を加熱する第2ヒータ(62)と、を備える尿素水供給システムに適用された電子制御装置において、
第1ヒータおよび第2ヒータへ通電オンさせているときの電流または電圧に基づき、通電故障の有無を検出する検出部(S14)と、
検出部によって通電故障があると検出された場合に、第2噴射弁を閉弁させつつ第1噴射弁を開弁させる第1噴射制御、および第1噴射弁を閉弁させつつ第2噴射弁を開弁させる第2噴射制御をそれぞれ実行する噴射制御部(S21、S24)と、
第1噴射制御を実行している時の尿素水の供給圧力が正常に降下せず、かつ、第2噴射制御を実行している時の尿素水の供給圧力が正常に降下した場合には、第1ヒータへの通電故障と診断し、
第2噴射制御を実行している時の尿素水の供給圧力が正常に降下せず、かつ、第1噴射制御を実行している時の尿素水の供給圧力が正常に降下した場合には、第2ヒータへの通電故障と診断する診断部(S27)と、
を備える。
【0010】
さて、仮に第1ヒータへの通電が正常であれば、第1配管の尿素水が解凍されている蓋然性が高い。そのため、この場合に第1噴射制御を実行すれば、意図した量の尿素水が第1噴射弁から噴射され、尿素水の供給圧力が正常に降下する筈である。一方、仮に第1ヒータが通電故障になっていれば、第1配管の尿素水が凍結していることに伴い、第1噴射制御を実行しても上記供給圧力が正常に降下しない蓋然性が高い。
【0011】
これらの点を鑑み、上述した電子制御装置によれば、通電故障が検出された場合に、第1噴射制御と第2噴射制御がそれぞれ実行される。そして、第1噴射制御時の供給圧力が正常に降下せず、かつ、第2噴射制御時の供給圧力が正常に降下した場合には、第1ヒータへの通電故障と診断する。また、第2噴射制御時の供給圧力が正常に降下せず、かつ、第1噴射制御時の供給圧力が正常に降下した場合には、第2ヒータへの通電故障と診断する。
【0012】
以上により、上述した電子制御装置によれば、ヒータへの通電故障が検出された場合に、第1ヒータおよび第2ヒータのいずれが通電故障であるかを特定できる。
【0013】
尚、上記括弧内の参照番号は、後述する実施形態における具体的な構成との対応関係の一例を示すものにすぎず、技術的範囲を何ら制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1実施形態に係る電子制御装置が適用される、尿素水供給システムの概要を模式的に示す図である。
図2図1に記載の制御装置が実行する解凍制御の処理手順を示すフローチャートである。
図3図2に記載の異常箇所特定の処理手順を示すフローチャートである。
図4】第2実施形態に係る電子制御装置が実行する、異常箇所特定の処理手順を示すフローチャートである。
図5】第3実施形態に係る電子制御装置が実行する、異常箇所特定の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。
【0016】
(第1実施形態)
先ず、本実施形態に係る電子制御装置が適用される、尿素水供給システムの構成について、図1を用いて説明する。
【0017】
尿素水供給システムは、内燃機関5を備える車両に搭載されている。内燃機関5の排気管10には、SCR(Selective Catalytic Reduction)触媒を有した浄化器が複数取り付けられている。このSCR触媒は、排気中の酸化物のうち窒素酸化物(NOx)を選択的に還元して浄化する。図1の例では2つの浄化器が取り付けられており、排気管10の下流側に位置する浄化器を第1浄化器11とし、上流側に位置する浄化器を第2浄化器12とする。
【0018】
尿素水供給システムは、排気管10内部の排気通路10a、10bへ尿素水を噴射する。噴射された尿素水は、排気通路10a、10bで加熱されて加水分解する。この加水分解により、還元剤としてのアンモニアが生成され、第1浄化器11および第2浄化器12の各々へ供給される。
【0019】
尿素水供給システムは、第1噴射弁21、第2噴射弁22、タンク30、電動ポンプ40、各種配管、電気ヒータおよび制御装置70(電子制御装置)を備える。
【0020】
第1噴射弁21は、排気管10のうち第1浄化器11に対して排気流れ上流側、かつ第2浄化器12に対して下流側の部分に取り付けられている。第1噴射弁21は、タンク30に貯留されている尿素水を排気通路10aへ噴射して、第1浄化器11へ還元剤を供給する。
【0021】
第2噴射弁22は、排気管10のうち第2浄化器12に対して排気流れ上流側の部分に取り付けられている。第2噴射弁22は、タンク30に貯留されている尿素水を排気通路10bへ噴射して、第2浄化器12へ還元剤を供給する。
【0022】
先述した各種配管には、以下に説明する吐出配管、吸入配管54およびリターン配管55が含まれる。吐出配管には、以下に説明する第1配管51、第2配管52および上流配管53が含まれる。
【0023】
吐出配管は、第1噴射弁21の流入口および第2噴射弁22の流入口と、電動ポンプ40の吐出口とを接続する。電動ポンプ40から吐出された尿素水は、吐出配管を通じて第1噴射弁21と第2噴射弁22へ供給される。詳細には、電動ポンプ40から吐出された尿素水は、上流配管53から第1配管51および第2配管52へ分配される。分配された尿素水は、第1配管51から第1噴射弁21へ供給され、第2配管52から第2噴射弁22へ供給される。
【0024】
より詳細には、第1配管51の下流端は第1噴射弁21の流入口に接続され、第2配管52の下流端は第2噴射弁22の流入口に接続されている。第1配管51の上流端と第2配管52の上流端は、上流配管53の下流端に接続されている。上流配管53の上流端は、電動ポンプ40の吐出口に接続されている。要するに、第1配管51および第2配管52は、上流配管53の下流端から分岐するように、上流配管53に接続されている。
【0025】
吸入配管54は、電動ポンプ40の吸入口とタンク30とを接続する。タンク30に貯留されている尿素水は、吸入配管54を通じて電動ポンプ40へ吸入される。リターン配管55は、電動ポンプ40の吐出口または吐出配管と、タンク30とを接続する。電動ポンプ40から吐出された尿素水は、第1噴射弁21および第2噴射弁22の閉弁作動時には、リターン配管55を通じてタンク30に戻される。
【0026】
先述した電気ヒータには、以下に説明する第1ヒータ61、第2ヒータ62および上流ヒータ63が含まれる。上流ヒータ63は、上流配管53に取り付けられており、上流配管53に位置する尿素水を加熱する。第1ヒータ61は、第1配管51に取り付けられており、第1配管51に位置する尿素水を加熱する。第2ヒータ62は、第2配管52に取り付けられており、第2配管52に位置する尿素水を加熱する。
【0027】
なお、本実施形態では、第1噴射弁21や第2噴射弁22には電気ヒータが取り付けられていないが、これらにも電気ヒータが取り付けられて加熱される構成としてもよい。但し、第1噴射弁21や第2噴射弁22は、排気通路10a、10bを流れる排ガスにより加熱されるので、タンク30や各種配管に比べて凍結温度以下になりにくく、電気ヒータによる加熱のニーズは低い。
【0028】
また、図1では模式的に、各部位に取り付けられる電気ヒータを1つずつ記載しているが、各部位に複数の電気ヒータが取り付けられていてもよい。例えば、第1配管51には複数の第1ヒータ61が取り付けられていてもよい。第2配管52には複数の第2ヒータ62が取り付けられていてもよい。なお、タンク30には、タンク30に貯留されている尿素水を加熱するタンクヒータ64が取り付けられている。
【0029】
制御装置70は、少なくとも1つの演算処理装置(プロセッサ71)と、プロセッサ71により実行されるプログラムおよびデータを記憶する記憶媒体としての少なくとも1つの記憶装置(メモリ72)とを有する。
【0030】
プロセッサ71およびメモリ72はマイクロコンピュータ(マイコン)によって提供されてもよい。記憶媒体は、プロセッサ71によって読み取り可能なプログラムを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体である。記憶媒体は、半導体メモリまたは磁気ディスクなどによって提供されうる。制御装置70は、1つのコンピュータ、またはデータ通信装置によってリンクされた一組のコンピュータ資源によって提供されうる。プログラムは、プロセッサ71によって実行されることによって、制御装置70をこの明細書に記載される装置として機能させ、この明細書に記載される方法を実行するように制御装置を機能させる。
【0031】
さらに制御装置70は、図示しないヒータ駆動回路、噴射弁駆動回路およびポンプ駆動回路を有する。これらの駆動回路は、車載バッテリの通電と遮断を切り替えるスイッチング素子を有し、マイコンによって制御される。マイコンは、上記駆動回路を制御するための噴射制御部、ポンプ制御部およびヒータ制御部を有する。これらの制御部は、メモリ72に記憶されているプログラムをプロセッサ71が実行することで、制御装置70により実現される。制御装置70には、後述する各種センサで検出された検出信号が入力される。これらの検出信号に基づき、上述した制御部は各種制御を実行する。
【0032】
噴射制御部は、第1噴射弁21および第2噴射弁22が有する電磁コイルへの通電状態を制御することで、弁体の開弁作動を制御して、尿素水の噴射量および噴射時期を制御する。例えば、噴射制御部は、電磁コイルへの通電時間を制御することで弁体の開弁時間を制御して、単位時間あたりに噴射される尿素水の噴射量を制御する。
【0033】
制御装置70は、内燃機関5の運転に伴い排気浄化が要求され、かつ、SCR触媒が活性化温度以上になっている等の条件を満たしている場合に、第1噴射弁21および第2噴射弁22からの尿素水噴射を要求する。さらに制御装置70は、内燃機関5から排出されるNOx量に基づき、尿素水の目標噴射量を算出する。噴射制御部は、尿素水噴射が要求された場合に、目標噴射量に対応する開弁時間で弁体を開弁させるよう、第1噴射弁21および第2噴射弁22の作動を制御する。
【0034】
ポンプ制御部は、電動ポンプ40が有するモータへの通電状態を制御することで、インペラの回転速度を制御して、尿素水の吐出圧力および吐出時期を制御する。例えば、ポンプ制御部は、モータのコイルを流れる駆動電流の通電周期、通電位相および電流ピーク値を制御することで、モータへの供給電力を制御して吐出圧力を制御する。
【0035】
ヒータ制御部は、第1ヒータ61、第2ヒータ62、上流ヒータ63およびタンクヒータ64への通電状態を制御することで、各種配管およびタンク30内の尿素水の温度を制御する。例えば、ヒータ制御部は、各種の電気ヒータを流れる駆動電流をデューティ制御することで、供給する電力量を制御する。
【0036】
本実施形態では、1つの共通したヒータ駆動回路で、第1ヒータ61、第2ヒータ62および上流ヒータ63への通電状態が制御されている。したがって、一部のヒータを通電オンさせつつ他のヒータを通電オフさせることはできず、全てのヒータについて通電オンと通電オフが共通して制御される。なお、タンクヒータ64は、上記ヒータ駆動回路とは別の駆動回路で通電制御される。
【0037】
本実施形態では、第1ヒータ61、第2ヒータ62および上流ヒータ63は、相互に並列接続されている。そのため、各ヒータに印加される電圧は同じ値となり、その一方で、負荷に応じて各ヒータに流れる電流は異なる値となる。 先述した各種センサには、外気温センサ70Tおよび圧力センサ70P等が含まれている。外気温センサ70Tは、各種配管やタンク30の外部に配置されている。外気温センサ70Tは、各種配管の雰囲気温度(外気温度)に応じた検出信号を出力する。
【0038】
圧力センサ70Pは、上流配管53に取り付けられており、上流配管53に位置する尿素水の圧力に応じた検出信号を出力する。なお、圧力センサ70Pは、電動ポンプ40の吐出口に取り付けられて、尿素水の吐出圧力に応じた検出信号を出力するものであってもよい。なお、圧力センサ70Pは、電動ポンプ40から第1噴射弁21および第2噴射弁22までの供給経路に取り付けられていればよい。但し、第1配管51および第2配管52の上流側に取り付けられていることが望ましい。つまり、電動ポンプ40の吐出口や上流配管53に取り付けられていることが望ましい。
【0039】
次に、これらの各種センサにより取得された各種物理量に基づき電気ヒータへの通電状態を制御する手順について、図2図3を用いて説明する。図2の処理は、車両運転者によってイグニッションスイッチがオン操作されたことをトリガとして、内燃機関が運転可能な状態または運転されている期間中に実行される。また、図2および図3に示すフローチャートは、プロセッサ71により所定の演算周期で繰り返し実行される。
【0040】
先ず、図2のステップS11において、外気温センサ70Tで検出された外気温度Taが、予め設定された閾温度Tthより低いか否かを判定する。閾温度Tthは、予め設定された理想とする尿素水濃度(例えば32.5%)の凍結温度(例えば-11℃)に設定されている。或いは、その凍結温度よりも余裕温度分だけ高い値に設定されている。
【0041】
外気温度Taが閾温度Tthより低いと判定された場合には、各種配管内やタンク30内の尿素水が凍結しているとみなし、続くステップS12においてヒータ制御を実行する。ヒータ制御では、例えば電気ヒータを流れる駆動電流をデューティ制御するにあたり、外気温度Taが低温であるほど駆動電流を大きい値に制御する。
【0042】
続くステップS13では、ヒータ電流またはヒータ端子電圧をモニタする。第1ヒータ61、第2ヒータ62、上流ヒータ63およびタンクヒータ64が並列接続されていることは先述した通りである。ヒータ電流は、これらのヒータに流れる電流の合算値である。ヒータ端子電圧は、これらのヒータに印加される電圧の値である。ヒータ電流またはヒータ端子電圧は、先述したヒータ駆動回路を流れる電流または電圧をモニタすることで取得する。
【0043】
続くステップS14では、モニタしたヒータ電流I1が所定範囲内の正常値であるか否かを判定する。例えば、ヒータ電流I1が上限値Ith1以上であれば、電気経路のいずれかで短絡が生じている通電故障とみなす。例えば、ヒータ電流I1が下限値Ith2以下であれば、電気経路のいずれかで断線が生じている通電故障とみなす。ステップS14の処理を実行している時の制御装置70は、ヒータ電流I1に基づき通電故障の有無を検出する「検出部」に相当する。
【0044】
なお、制御装置70は、通電故障の原因が断線および短絡のいずれであるかを判定する判定回路73(判定部)を有する。図1では、判定回路73がDL(Detection Logic)と表記されている。例えば判定回路73は、シャント抵抗とオペアンプを有する。シャント抵抗は、ヒータ駆動回路を流れる電流に応じた電位差を生じさせて、ヒータ電流I1に応じた電位の信号を出力する。オペアンプには、検出されたヒータ電流I1と上限値Ith1とを比較する比較器と、検出されたヒータ電流I1と下限値Ith2とを比較する比較器とが含まれる。これらの比較器が出力する比較結果により、ヒータ電流I1が正常値であるか否か、つまり電気ヒータの通電経路に異常が生じているか否かが判定される。
【0045】
ステップS14にて正常と判定された場合には、続くステップS15において、電気ヒータの加熱による解凍が完了したか否かを判定する。例えば、ステップS12でのヒータ制御を開始してから所定時間が経過した時点で、解凍が完了したと判定する。或いは、尿素水温度を温度センサで検出し、検出された温度が凍結温度よりも十分に高い温度になった場合に、解凍が完了したと判定する。
【0046】
解凍完了と判定された場合には、続くステップS16において、電気ヒータへの通電をオフさせてヒータ制御を終了する。解凍完了と判定されない場合には、ステップS12の処理に戻り、ヒータ制御を継続させるとともに、ヒータ電流I1をモニタすることによる故障診断を継続させる。なお、図2中の一点鎖線(1)に示すステップ群が、ヒータ故障診断を実行していると言える。また、ステップS12、S16の処理を実行している時の制御装置70は、「ヒータ制御部」に相当する。
【0047】
ヒータ故障診断で故障が検知された場合、つまりステップS14にて異常と判定された場合には、その異常箇所を特定するステップS20での処理を実行する。その後、解凍完了の有無に拘わらず、ステップS16にてヒータ制御を終了させる。ステップS20では、図3に示すサブルーチン処理を実行する。
【0048】
先ず、図3のステップS21において、第1噴射弁21を開弁作動させて、第1噴射弁21から尿素水を噴射させる第1噴射制御を実行する。この噴射では、間欠的に複数回開弁させるのではなく、連続的に所定時間継続して開弁状態を維持させる。また、異常箇所特定のための噴射であるため、内燃機関5から排出されるNOx量とは無関係に開弁時間が設定される。ヒータ電流I1に基づき通電故障の有無を検出する「検出部」に相当する。
【0049】
続くステップS22では、圧力センサ70Pで検出された、第1噴射弁21および第2噴射弁22への尿素水の供給圧力Pを取得する。そして、取得した供給圧力Pが閾圧力Pth未満であるか否かを判定する。
【0050】
当該ステップS22の判定時点では、ステップS12によるヒータ制御を実行中である。そのため、ヒータ制御による尿素水の解凍が正常に進行していれば、ステップS21にて第1噴射弁21から尿素水が噴射される筈である。その場合には、供給圧力Pが噴射に伴い低下する筈である。したがって、ステップS22で供給圧力Pが閾圧力Pth未満になっていなければ、第1噴射弁21から正常に噴射がなされていない蓋然性が高い。このように、第1噴射弁21を開弁指令しているにも拘わらず、供給圧力Pが閾圧力Pth未満にならない場合には、ステップS23にて第1異常フラグをオンに設定する。
【0051】
次のステップS24では、第2噴射弁22を開弁作動させて、第2噴射弁22から尿素水を噴射させる第2噴射制御を実行する。この噴射では、間欠的に複数回開弁させるのではなく、連続的に所定時間継続して開弁状態を維持させる。また、ステップS21と同様にして、内燃機関5から排出されるNOx量とは無関係に開弁時間が設定される。このステップS24での開弁時間は、ステップS21での開弁時間と同じ長さに設定されている。ステップS21、S24の処理を実行している時の制御装置70は、第1噴射制御および第2噴射制御をそれぞれ実行する「噴射制御部」に相当する。
【0052】
続くステップS25では、圧力センサ70Pで検出された供給圧力Pを取得し、その供給圧力Pが閾圧力Pth未満であるか否かを判定する。この判定で用いる閾圧力Pthは、ステップS22の判定で用いられる閾圧力Pthと同じ値である。
【0053】
当該ステップS25の判定時点では、ステップS12によるヒータ制御を実行中である。そのため、ヒータ制御による尿素水の解凍が正常に進行していれば、ステップS24にて第2噴射弁22から尿素水が噴射される筈である。その場合には、供給圧力Pが噴射に伴い低下する筈である。したがって、ステップS25で供給圧力Pが閾圧力Pth未満になっていなければ、第2噴射弁22から正常に噴射がなされていない蓋然性が高い。このように、第2噴射弁22を開弁指令しているにも拘わらず、供給圧力Pが閾圧力Pth未満にならない場合には、ステップS26にて第2異常フラグをオンに設定する。
【0054】
続くステップS27では、第1異常フラグおよび第2異常フラグの状態に基づき、電気ヒータへの通電異常箇所を特定する。以下、ステップS27での具体的な診断内容について説明する。
【0055】
第1異常フラグと第2異常フラグの両方がオフであれば「正常」と診断する。ここでいう「正常」とは、ヒータ電流I1が異常と診断されたステップS14での結果を覆すものではない。電気ヒータの通電経路のいずれかに異常が存在するものの、噴射できる程度に尿素水の解凍が進行している場合には、上記「正常」と診断されることになる。
【0056】
例えば、第2ヒータ62への通電経路に異常が生じている場合であっても、第1ヒータ61や上流ヒータ63への通電経路が正常である場合がある。この場合には、上流配管53や第1配管51については電気ヒータによって加熱されて温度上昇し、その熱が、第2配管52を通じて第2配管52内の尿素水に伝わる。その結果、第2ヒータ62による加熱なしで、第2配管52内の尿素水が解凍され、第2噴射弁22から正常に噴射される状況が有り得る。
【0057】
2つの異常フラグの一方がオンかつ他方がオフの場合には、第1ヒータ61および第2ヒータ62の一方の通電経路が異常であり、他方の通電経路は正常であると診断する。先述した通り、第1ヒータ61と第2ヒータ62は並列接続されている。つまり、共通する通電経路から、各ヒータへ分岐する電気配線となっている。そのため、上述の如く異常と診断される通電経路は、分岐先の通電経路(分岐経路)のことであり、共通する通電経路(共通経路)とは異なる。
【0058】
具体的には、第1異常フラグがオンかつ第2異常フラグがオフの場合には、第1ヒータ61へ分岐する通電経路が通電異常箇所であると特定する。第2異常フラグがオンかつ第1異常フラグがオフの場合には、第2ヒータ62へ分岐する通電経路が通電異常箇所であると特定する。
【0059】
2つの異常フラグの両方がオンの場合には、通電経路の異常箇所を特定できない。そのため、第1ヒータ61と第2ヒータ62の両方の分岐経路が異常、あるいは、共通経路が異常と診断する。
【0060】
以上に説明した、図3中の一点鎖線(2)に示すステップ群が、故障個所診断を実行していると言える。そして、一点鎖線(3)に示すステップ群が、以下に説明する噴射弁制御を実行していると言える。なお、ステップS27の処理を実行している時の制御装置70は、「診断部」に相当する。
【0061】
ステップS27にて両方の異常フラグがオフ、つまり「正常」と診断された場合には、続くステップS31にて通常の噴射制御を開始させる。この通常噴射制御では、第1噴射弁21と第2噴射弁22の両方から尿素水を噴射させる。その噴射量は、内燃機関5から排出されるNOx量に応じて設定される。
【0062】
ステップS27にて片方の異常フラグがオン、つまり「片方異常」と診断された場合には、続くステップS32にてフェールセーフ制御を開始させる。このフェールセーフ制御では、異常と診断された側の噴射弁については噴射を禁止させ、正常と診断された側の噴射弁については噴射を許可する。許可された側からの尿素水の噴射量は、内燃機関5から排出されるNOx量に応じて制御される。したがって、フェールセーフ制御では、両方の噴射弁から噴射させる通常噴射制御に比べて、1つの噴射弁からの噴射量が多くなる。
【0063】
ステップS27にて両方の異常フラグがオン、つまり「両方異常」と診断された場合には、続くステップS33において、両方の噴射弁に対して噴射を禁止する。
【0064】
ステップS32、S32の処理を実行した場合には、続くステップS35において、診断時間Tが所定の待機時間Tbを経過したか否かを判定する。経過していないと否定判定された場合には、ステップS21の処理に戻り、ステップ群(2)による故障箇所診断を再び実行する。
【0065】
このような待機時間Tbに、故障個所診断の診断結果が片方異常から正常に変化する場合がある。
【0066】
例えば、第2ヒータ62への通電経路が異常(片方異常)と診断されている場合であっても、第1配管51については第1ヒータ61によって加熱されて温度上昇する。その熱が、第2配管52を通じて第2配管52内の尿素水に伝わる。その結果、第2ヒータ62による加熱なしで、第2配管52内の尿素水が待機時間Tb中に解凍され、第2噴射弁22から正常に噴射される状況に変化し得る。
【0067】
また、上述した待機時間Tbに、故障個所診断の診断結果が両方異常から片方異常に変化する場合がある。
【0068】
例えば、第1ヒータ61と第2ヒータ62への通電経路が異常(両方異常)と診断されている場合であっても、上流配管53については上流ヒータ63によって加熱されて温度上昇する。その熱が、第2配管52を通じて第2配管52内の尿素水に伝わったり、第1配管51を通じて第1配管51内の尿素水に伝わったりする。その結果、第2ヒータ62による加熱なしで、第2配管52内の尿素水が待機時間Tb中に解凍されたり、第1ヒータ61による加熱なしで、第1配管51内の尿素水が待機時間Tb中に解凍されたりする。すると、片方の噴射弁から正常に噴射される状況に変化し得る。
【0069】
図2の説明に戻り、上述した図3による異常箇所特定のサブルーチン処理が終了すると、以下に説明する図2のステップS17に処理が移る。ステップS17では、上記サブルーチンのステップS27にて「片方異常」または「両方異常」と診断されている場合、故障確定と判定する。この場合、図2のステップS16において、電気ヒータへの通電をオフさせてヒータ制御を終了させる。一方、ステップS27にて「正常」と診断されている場合、ステップS17では故障確定していないと判定する。この場合、ステップS15に処理が移り、解凍完了が確認されたことを条件として、ステップS16にてヒータ制御を終了させる。
【0070】
以下、上述した構成を備えることによる電子制御装置の効果について説明する。
【0071】
仮に第1ヒータ61への通電が正常であれば、第1配管51の尿素水が解凍されている蓋然性が高い。そのため、この場合に第1噴射制御を実行すれば、意図した量の尿素水が第1噴射弁21から噴射され、供給圧力Pが正常に降下する筈である。一方、仮に第1ヒータ61が通電故障になっていれば、第1配管51の尿素水が凍結していることに伴い、第1噴射制御を実行しても供給圧力Pが正常に降下しない蓋然性が高い。
【0072】
これらの点を鑑み、本実施形態に係る電子制御装置では、通電故障が検出された場合に、第1噴射制御と第2噴射制御がそれぞれ実行される。そして、第1噴射制御時の供給圧力Pが正常に降下せず、かつ、第2噴射制御時の供給圧力Pが正常に降下した場合には、第1ヒータ61への通電故障と診断する。また、第2噴射制御時の供給圧力Pが正常に降下せず、かつ、第1噴射制御時の供給圧力Pが正常に降下した場合には、第2ヒータ62への通電故障と診断する。そのため、ヒータへの通電故障が検出された場合に、第1ヒータ61および第2ヒータ62のいずれが通電故障であるかを特定できる。
【0073】
さらに本実施形態に係る電子制御装置は、第1ヒータ61および第2ヒータ62への通電オンオフを制御するヒータ制御部(ステップS12、S16)を備える。ヒータ制御部は、第1ヒータ61と第2ヒータ62のいずれか一方が通電故障と診断された場合に、待機時間Tb内に診断結果が正常に覆るまでは通電オンを継続させる。さらにヒータ制御部は、診断結果が覆ることなく待機時間Tbが経過した以降では、通電オフに切り替える。
【0074】
例えば第1ヒータ61への通電が正常で第2ヒータ62への通電が異常の場合、上記ヒータ制御部によれば、待機時間Tbに第1ヒータ61が発熱し続けることになる。そのため、第1ヒータ61の熱が第2配管52に伝わって、第2配管52内で凍結している尿素水の解凍が期待できる。それでいて、期待に反して解凍されずに診断結果が覆らない場合には、待機時間Tbが経過した時点で通電オフに切り替わる。
【0075】
さらに本実施形態では、検出部によって通電故障があると検出された場合に、第1噴射制御および第2噴射制御を複数回繰り返し交互に実行する。ステップS27による診断部は、第1噴射制御と第2噴射制御が1回実行される毎に診断を繰り返す。そのため、1回の診断に比べて誤診断を抑制できる。
【0076】
さらに本実施形態では、図5のステップS32において、第1ヒータ61への通電故障と診断された場合には第1噴射弁21の開弁作動を禁止させる。また、第2ヒータ62への通電故障と診断された場合には第2噴射弁22の開弁作動を禁止させる。そのため、噴射制御したにも拘わらず、凍結が原因で実際には噴射されていないといった状況、つまり意図に反して少ない噴射量になる状況を回避できる。よって、尿素水不足に起因した浄化率の低下を抑制できる。
【0077】
(第2実施形態)
図4に示す本実施形態では、図3の処理にステップS34が追加されている。ステップS34では、判定回路73の判定結果に応じて、待機時間Tbを可変設定している。なお、通電故障の原因が断線および短絡のいずれであるかを判定回路73が判定することは、先述した通りである。ステップS34では、判定回路73によって短絡であると判定された場合には、断線であると判定された場合に比べて、待機時間Tbを短く設定する。
【0078】
さて、断線に比べて短絡の場合には、ヒータに電流が過剰に流れて異常発熱する懸念が大きくなる。そのため、短絡時には待機時間Tbを短くする本実施形態によれば、ヒータに電流が過剰に流れる時間を短くでき、熱損傷するおそれを低減できる。
【0079】
(第3実施形態)
上記第1実施形態では、図3のステップS35において、診断時間Tが待機時間Tbを経過したか否かを判定する。これに対し本実施形態では、上記ステップS35の処理を図5のステップS36に置き換えている。このステップS36では、ステップS27による診断を実行した回数(診断回数N)が、所定回数Nbに達したか否かを判定する。つまり、1回の診断に要する時間の所定回数Nb分が、第1実施形態のステップS35の判定で用いられる待機時間Tbに相当する。
【0080】
(他の実施形態)
上記第1実施形態では、ステップS22、S25において、供給圧力Pが閾圧力Pth未満であるか否かを判定している。つまり、供給圧力Pの絶対値に基づき通電故障の有無を判定している。これに対し、第1噴射制御または第2噴射制御を実行することに伴い、供給圧力Pに所定量以上の変化が生じたか否かを判定してもよい。つまり、供給圧力Pの変化量が所定量未満である場合に通電故障と判定してもよい。
【0081】
上記第1実施形態では、第1ヒータ61、第2ヒータ62および上流ヒータ63への通電状態を制御するにあたり、全てのヒータについて通電オンと通電オフが共通して同時に制御される。これに対し、複数のヒータ群にグループ分けして、グループ毎に通電オンと通電オフを制御するようにしてもよい。但し、第1ヒータ61と第2ヒータ62は同じグループに設定されて共通して制御されることが望ましい。
【0082】
上記第1実施形態に係る検出部は、ヒータ電流I1に基づき通電故障の有無を検出している。これに対し、短絡や断線が生じるとヒータに印加されている電圧が異常値になることを鑑みて、検出部は、ヒータに印加されている電圧に基づき通電故障の有無を検出してもよい。
【0083】
上記各実施形態では、ステップS27で片方異常または両方異常と診断された場合に、待機時間Tbが経過するまで、ヒータへの通電オンを継続させる。これに対し、片方異常または両方異常と診断された場合であっても、待機することなくヒータへの通電を速やかにオフさせるようにしてもよい。
【0084】
上記各実施形態では、片方異常または両方異常と診断された場合に、第1噴射制御と第2噴射制御を複数回繰り返し交互に実行して、ステップS27による診断を繰り返す。これに対し、片方異常または両方異常と診断された場合であっても、ステップS27による診断を繰り返さず、1回の診断でステップS20のサブルーチンを終了させてもよい。
【0085】
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態が本開示に示されているが、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示に入るものである。
【符号の説明】
【0086】
10a、10b 排気通路、 21 第1噴射弁、 22 第2噴射弁、 51 第1配管、 52 第2配管、 61 第1ヒータ、 62 第2ヒータ、 73 判定部、 S12、S16 ヒータ制御部、 S14 検出部、 S21、S24 噴射制御部、 S27 診断部。
図1
図2
図3
図4
図5