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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20240925BHJP
   F16H 1/22 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
G03G21/16 147
F16H1/22
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021026446
(22)【出願日】2021-02-22
(65)【公開番号】P2022128102
(43)【公開日】2022-09-01
【審査請求日】2024-01-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇部 哲玄
(72)【発明者】
【氏名】陳 文
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-190859(JP,A)
【文献】特開2015-205773(JP,A)
【文献】特開2021-113924(JP,A)
【文献】特開平01-276151(JP,A)
【文献】特開平10-171331(JP,A)
【文献】特開昭59-217544(JP,A)
【文献】特開平05-045949(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 11/00-11/70
F16H 1/00-1/26
G03G 13/00
15/00
21/16-21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源と、
シャフトを備え、用紙を搬送する第1搬送ローラと、
用紙を搬送する第2搬送ローラと、
前記駆動源から駆動力が伝達される分岐ギアと、
前記分岐ギアから駆動力が伝達され、前記第2搬送ローラに駆動力を伝達する第1アイドルギアと、
前記分岐ギアから駆動力が伝達される第2アイドルギアと、
前記第2アイドルギアと噛み合う第3アイドルギアと、
前記第3アイドルギアと噛み合い、前記シャフトに駆動力を伝達する出力ギアと、
を備え、
前記第1アイドルギア、前記第2アイドルギア、および前記出力ギアは、前記シャフトの回転軸心と同軸で回転する、ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
さらに、前記出力ギアに入力された駆動力を前記シャフトへ伝達および遮断が可能な電磁クラッチを備えている、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1アイドルギアは、前記回転軸心方向において、前記第2アイドルギアを挟んで前記電磁クラッチと反対側に配置されている、ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1アイドルギアを支持する第1ギアカバーと、前記第1ギアカバーとは別部材にて形成され、前記第2アイドルギアを支持する第2ギアカバーと、を備える、ことを特徴とする請求項1~請求項3の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1アイドルギアは、前記駆動源からの駆動力により駆動されて第1回転方向に回転し、
前記第2アイドルギアは、前記駆動源からの駆動力により駆動されて前記第1回転方向とは逆の第2回転方向に回転する、ことを特徴とする請求項1~請求項4の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1アイドルギアは、前記シャフトが挿通される第1貫通孔を有し、
前記第2アイドルギアは、前記シャフトが挿通される第2貫通孔を有する、ことを特徴とする請求項1~請求項5の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とは同径である、ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第1アイドルギアから駆動力が伝達される第4アイドルギアを備え、
前記第3アイドルギアは、前記回転軸心方向において隣接する第1ギアと第2ギアとを有する2段ギアであり、
前記第4アイドルギアは、前記回転軸心方向において隣接する第3ギアと第4ギアとを有する2段ギアであり、
前記第3アイドルギアと前記第4アイドルギアとは、前記回転軸心方向においては重ならず、前記回転軸心方向と直交する方向において重なっている、ことを特徴とする請求項1~請求項7の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記分岐ギアと、前記第3アイドルギアおよび前記第4アイドルギアとは、前記回転軸心方向と直交する方向において重なっている、ことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第2搬送ローラは、一旦停止させた用紙を所定のタイミングで搬送するレジストローラであり、
前記第1アイドルギアおよび前記第4アイドルギアは、前記第2搬送ローラに駆動力を伝達するギアである、ことを特徴とする請求項8または請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
用紙を搬送する第3搬送ローラを備え、
前記第3アイドルギアの前記第1ギアは、前記第2アイドルギアと噛み合うとともに、前記第3搬送ローラに駆動力を伝達するギアである、ことを特徴とする請求項8~請求項10の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記第3アイドルギアの前記第2ギアは、前記第1搬送ローラに駆動力を伝達するギアである、ことを特徴とする請求項8~請求項11の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記シャフトを回転可能に支持する軸受を備え、
前記軸受は、前記シャフトの周方向に延びる腕部と、前記腕部から前記回転軸心方向に突出する爪を有する、ことを特徴とする請求項1~請求項12の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記第1アイドルギアは前記第2アイドルギアよりも大径である、ことを特徴とする請求項1~請求項13の何れか一項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置において1つの駆動源により複数の駆動部を駆動する際には、1つの駆動力伝達列にて複数の駆動部へ駆動力を伝達することは難しいため、駆動力伝達列を分岐し、駆動力を複数に分岐した駆動力伝達列に分散して伝達することにより、複数の駆動部を駆動することが行われている。
【0003】
このように、駆動力伝達列を分岐すると、駆動力伝達列を構成するスペースが多く必要になるが、近年では装置の小型化が求められており、駆動力伝達列を構成するスペースを多く確保することは困難である。
【0004】
従って、特許文献1においては、モータ側入力ギア22から駆動力が伝達される駆動力伝達列を構成するクラッチ入力ギア23bとクラッチアイドルギア23dとを、クラッチ軸23aと同軸に配置して、駆動力伝達列の省スペース化を図っている。特許文献1においては、クラッチアイドルギア23dは駆動部である第1出力ギア部25aへ駆動力を伝達し、クラッチ入力ギア23bはクラッチ軸23aを介して駆動部である第2出力ギア部25bへ駆動力を伝達している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-44686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1においては、クラッチ入力ギア23bとクラッチアイドルギア23dとが、共にモータ側入力ギア22に直接接続されているため、クラッチ入力ギア23bからさらに駆動力伝達列を分岐させて別の駆動部に駆動力を伝達しようとしたときに、各駆動部の駆動速度を調整する際の自由度が低くなっていた。
【0007】
そこで、本発明においては、駆動力伝達列を分岐して複数の駆動部に駆動力を伝達する際に、駆動力伝達列を構成するスペースを小さくしながら、各駆動部の駆動速度の調整を容易にすることができる画像形成装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する画像形成装置は、以下の特徴を有する。
【0009】
即ち、画像形成装置は、駆動源と、シャフトを備え、用紙を搬送する第1搬送ローラと、用紙を搬送する第2搬送ローラと、前記駆動源から駆動力が伝達される分岐ギアと、前記分岐ギアから駆動力が伝達され、前記第2搬送ローラに駆動力を伝達する第1アイドルギアと、前記分岐ギアから駆動力が伝達される第2アイドルギアと、前記第2アイドルギアと噛み合う第3アイドルギアと、前記第3アイドルギアと噛み合い、前記シャフトに駆動力を伝達する出力ギアと、を備え、前記第1アイドルギア、前記第2アイドルギア、および前記出力ギアは、前記シャフトの回転軸心と同軸で回転する。
【0010】
このように、第1アイドルギア、第2アイドルギア、および出力ギアが、同軸で回転するように配置されることで、駆動源からの駆動力を伝達する駆動力伝達列の省スペース化を図ることができる。また、分岐ギアからの駆動力を、第2アイドルギアおよび第3アイドルギアを介して出力ギアに伝達することで、シャフトに接続される駆動部、第2アイドルギアに接続される駆動部、および第1アイドルギアに接続される駆動部の駆動速度の調節を行い易くすることができる。
【0011】
また、画像形成装置は、さらに、前記出力ギアに入力された駆動力を前記シャフトへ伝達および遮断が可能な電磁クラッチを備えている。
【0012】
これにより、第2アイドルギアの回転を継続しながら、シャフトの駆動および停止を切り替えることができる。
【0013】
また、前記第1アイドルギアは、前記回転軸心方向において、前記第2アイドルギアを挟んで前記電磁クラッチと反対側に配置されている。
【0014】
これにより、第1アイドルギアを出力ギアと干渉させることなく、駆動力伝達列の省スペース化を図ることができる。
【0015】
また、前記第1アイドルギアを支持する第1ギアカバーと、前記第1ギアカバーとは別部材にて形成され、前記第2アイドルギアを支持する第2ギアカバーと、を備える。
【0016】
これにより、第1ギアカバーと第2ギアカバーとを、同径且つ小径に形成して、第1アイドルギアおよび第2アイドルギアが回転した際の発熱を抑えることができる。
【0017】
また、前記第1アイドルギアは、前記駆動源からの駆動力により駆動されて第1回転方向に回転し、前記第2アイドルギアは、前記駆動源からの駆動力により駆動されて前記第1回転方向とは逆の第2回転方向に回転する。
【0018】
これにより、第1アイドルギアに接続される駆動部と、第2アイドルギアに接続される駆動部との駆動方向の自由度を向上することができる。
【0019】
また、前記第1アイドルギアは、前記シャフトが挿通される第1貫通孔を有し、前記第2アイドルギアは、前記シャフトが挿通される第2貫通孔を有する。
【0020】
これにより、第1アイドルギアと第2アイドルギアとをシャフト上において同軸に配置することができ、駆動力伝達列をより省スペースで構成することができる。
【0021】
また、前記第1貫通孔と前記第2貫通孔とは同径である。
【0022】
これにより、第1貫通孔と第2貫通孔との両方を小径に形成して、第1アイドルギアおよび第2アイドルギアが回転した際の発熱を抑えることができる。
【0023】
また、前記第1アイドルギアから駆動力が伝達される第4アイドルギアを備え、前記第3アイドルギアは、前記回転軸心方向において隣接する第1ギアと第2ギアとを有する2段ギアであり、前記第4アイドルギアは、前記回転軸心方向において隣接する第3ギアと第4ギアとを有する2段ギアであり、前記第3アイドルギアと前記第4アイドルギアとは、前記回転軸心方向においては重ならず、前記回転軸心方向と直交する方向において重なっている。
【0024】
これにより、第3アイドルギアと第4アイドルギアとを、効率良く省スペースに配置することができる。
【0025】
また、前記分岐ギアと、前記第3アイドルギアおよび前記第4アイドルギアとは、前記回転軸心方向と直交する方向において重なっている。
【0026】
これにより、分岐ギアと、第3アイドルギアおよび第4アイドルギアとを、効率良く省スペースに配置することができる。
【0027】
また、前記第2搬送ローラは、一旦停止させた用紙を所定のタイミングで搬送するレジストローラであり、前記第1アイドルギアおよび前記第4アイドルギアは、前記第2搬送ローラに駆動力を伝達するギアである。
【0028】
これにより、第2搬送ローラに駆動力を伝達する駆動力伝達列を省スペースで構成することができる。
【0029】
また、用紙を搬送する第3搬送ローラを備え、前記第3アイドルギアの前記第1ギアは、前記第2アイドルギアと噛み合うとともに、前記第3搬送ローラに駆動力を伝達するギアである。
【0030】
これにより、第3搬送ローラに駆動力を伝達する駆動力伝達列を省スペースで構成することができる。
【0031】
また、前記第3アイドルギアの前記第2ギアは、前記第1搬送ローラに駆動力を伝達するギアである。
【0032】
これにより、第1搬送ローラに駆動力を伝達する駆動力伝達列を省スペースで構成することができる。
【0033】
また、前記シャフトを回転可能に支持する軸受を備え、前記軸受は、前記シャフトの周方向に延びる腕部と、前記腕部から前記回転軸心方向に突出する爪を有する。
【0034】
これにより、省スペースで軸受に回転止め用の爪を形成することができる。
【0035】
また、前記第1アイドルギアは前記第2アイドルギアよりも大径である。
【0036】
これにより、第1アイドルギアに接続される駆動部と、第2アイドルギアに接続される駆動部との駆動速度の自由度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明によれば、駆動源からの駆動力を伝達する駆動力伝達列の省スペース化を図ることができる。また、シャフトに接続される駆動部、第2アイドルギアに接続される駆動部、および第1アイドルギアに接続される駆動部の駆動速度の調節を行い易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】画像形成装置を示す中央断面図である。
図2】画像形成装置における装置本体の内部を示す斜視図である。
図3】駆動部の駆動力伝達列を示す正面図である。
図4】駆動部の駆動力伝達列を示す側面図である。
図5】レジストローラへ駆動力を伝達する駆動力伝達列を示す図であって、(a)は側面図であり、(b)は正面図である。
図6】給紙ローラおよび搬送ローラへ駆動力を伝達する駆動力伝達列を示す図であって、(a)は側面図であり、(b)は正面図である。
図7】第1ギアフレームおよび駆動力伝達列を示す側面図である。
図8】第2ギアフレームおよび駆動力伝達列を示す側面図である。
図9】第3ギアフレームおよび駆動力伝達列を示す側面図である。
図10】駆動部の駆動力伝達列を示す側面断面図である。
図11】軸受を示す図であって、(a)および(b)は斜視図であり、(c)は側面図である。
図12】第3ギアフレームを示す斜視図であって、(a)は外側面側から見た斜視図であり、(b)は内側面側から見た斜視図である。
図13】軸受が装着された第3ギアフレームを示す斜視図であって、(a)は外側面側から見た斜視図であり、(b)は内側面側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
次に、本発明を実施するための形態を、添付の図面を用いて説明する。
【0040】
[画像形成装置]
図1に示す画像形成装置1は、本発明に係る画像形成装置の一実施形態であり、電子写真方式により、用紙Sに複数色の画像を形成するカラーレーザプリンタである。
【0041】
以下の説明では、図1における右側を画像形成装置1の前側、図1における左側を画像形成装置1の後側と規定し、図1おける紙面手前側を画像形成装置1の左側、図1における紙面奥側を画像形成装置1の右側と規定する。また、図1における上側および下側を、それぞれ画像形成装置1の上側および下側と規定する。
【0042】
画像形成装置1は、装置本体2と、用紙Sを支持する給紙トレイ10および用紙Sを搬送する用紙搬送部30を有する給紙部3と、給紙部3により搬送されてきた用紙Sに画像を形成する画像形成部5とを備えている。
【0043】
装置本体2は略直方体形状に形成されており、給紙部3および画像形成部5を収容している。装置本体2の上面には上開口部2Aが開口しており、装置本体2は上開口部2Aを開閉可能なトップカバー23を有している。装置本体2の前面には前開口部2Bが開口しており、装置本体2は前開口部2Bを開閉可能なMPトレイ24を有している。
【0044】
トップカバー23は、後端部の回動軸23aを中心として回動可能に構成されており、回動軸23aを中心として回動することにより、上開口部2Aを閉鎖する閉位置(図1に示す位置)と、上開口部2Aを開放する開位置との間を移動可能である。装置本体2のトップカバー23には前側から後側へ向かうにつれて下方に傾斜する排紙トレイ23bが形成されている。
【0045】
MPトレイ24は、回動軸24aを中心として回動することにより、前開口部2Bを閉鎖する閉位置(図1において2点鎖線で示す位置)と、前開口部2Bを開放する開位置(図1において実線で示す位置)との間を移動可能である。MPトレイ24は、開位置にあるときに複数枚重ねられたシートSを支持可能である。
【0046】
給紙部3は、装置本体2の下部に配置されており、給紙トレイ10に支持される用紙Sを用紙搬送部30によって画像形成部5に搬送するものである。給紙トレイ10は、前後方向へスライド可能に構成されており、装置本体2に収容される収容位置と、収容位置から前方へ引き出された分離位置との間で移動可能に構成されている。
【0047】
用紙搬送部30は、給紙ローラ32と、分離ローラ33と、分離パッド33aと、搬送ローラ34aと、レジストローラ35aとを備えている。給紙ローラ32は、用紙を搬送する第1搬送ローラの一例であり、レジストローラ35aは、用紙を搬送する第2搬送ローラの一例であり、搬送ローラ34aは、用紙を搬送する第3搬送ローラの一例である。装置本体2内には、給紙トレイ10から画像形成部5を経由して排紙トレイ23aへ至る用紙Sの搬送経路Pが構成されている。
【0048】
給紙トレイ10に支持される用紙Sは、給紙ローラ32、分離ローラ33および分離パッド33aにより1枚ずつ分離されて搬送経路Pに送り出される。給紙ローラ32は、給紙トレイ10から画像形成部5に向けて用紙Sを搬送するローラである。分離ローラ33および分離パッド33aは、給紙トレイ10に支持される用紙Sを一枚ずつ分離する分離手段を構成している。
【0049】
搬送経路Pに送り出された用紙Sは、搬送ローラ34aおよび搬送ローラ34aに対向配置されるコロ34bと、レジストローラ35aおよびレジストローラ35aに対向配置されるレジストコロ35bとにより、画像形成部5に向けて搬送される。レジストローラ35aは、搬送される用紙Sの先端の移動を規制して一旦停止させた後、用紙Sを所定のタイミングにて画像形成部5に向けて搬送する。
【0050】
画像形成装置1は、MPトレイ24に支持された用紙Sを画像形成部5に搬送する供給機構36を備えている。供給機構36は、供給ローラ361と、分離ローラ362と、分離パッド363とを備える。MPトレイ24に支持されたシートSは、供給ローラ361、分離ローラ362および分離パッド363により1枚ずつ分離されて搬送経路Pに送り出される。搬送経路Pに送り出されたシートSは、レジストローラ35aにより画像形成部5に向けて搬送される。
【0051】
画像形成部5は給紙部3の上方に配置されており、前後方向に並設される4つのプロセスカートリッジ50を備えている。各プロセスカートリッジ50は、ブラック、イエロー、マゼンタ、およびシアンの各色に対応して設けられている。プロセスカートリッジ50は、装置本体2に着脱可能に装着されている。プロセスカートリッジ50は、感光ドラム51と、現像ローラ52と、供給ローラ53と、帯電器54とを備えている。
【0052】
プロセスカートリッジ50は、感光ドラム51のドラム軸線が左右方向に沿った姿勢で装置本体2に装着されている。現像ローラ52は、感光ドラム51に当接する当接位置と、感光ドラム51から離間する離間位置とに移動可能に構成されている。供給ローラ53は、プロセスカートリッジ50に収容されるトナーを現像ローラ52に供給する。
【0053】
装置本体2は、感光ドラム51の表面を露光する露光ヘッド59を有している。露光ヘッド59は、トップカバー23に支持されている。露光ヘッド59は、各感光ドラム51に対応して4つ設けられており、各露光ヘッド59は前後方向に並設されている。露光ヘッド59はトップカバー23から下方へ延出しており、下端部に露光部59aを有している。露光部59aは、トップカバー23が閉じた状態において感光ドラム52の上方に近接して配置されている。露光部59aは、左右方向に並列される複数のLED素子を備えたLEDアレイにより構成されている。
【0054】
感光ドラム51の搬送経路Pを挟んだ下方には、転写ベルト41が対向配置されている。転写ベルト41は、駆動ローラ42と駆動ローラ42の前方に配置される従動ローラ43との間に掛け渡されている。転写ベルト41、駆動ローラ42、および従動ローラ43によりベルト装置40が構成されている。転写ベルト41を挟んだ各感光ドラム51に対向する位置には、それぞれ転写ローラ44が配置されている。
【0055】
画像形成部5においては、帯電器54によって一様に帯電された感光ドラム51が、それぞれ露光ヘッド59によって選択的に露光される。この露光により、感光ドラム51の表面から電荷が選択的に除去され、感光ドラム51の表面に静電潜像が形成される。
【0056】
プロセスカートリッジ50に収容されるトナーは、供給ローラ53と現像ローラ52との間で正極性に帯電され、現像ローラ52の表面に担持される。現像ローラ52には現像バイアスが印加されており、感光ドラム51に形成された静電潜像が現像ローラ52に対向すると、静電潜像と現像ローラ52との間の電位差により、現像ローラ52から静電潜像にトナーが供給される。これによって、感光ドラム51の表面にトナー像が形成される。
【0057】
画像形成部5へ向けて搬送された用紙Sが転写ベルト41上に到達すると、転写ベルト41により搬送されて、転写ベルト41と各感光ドラム51との間を順次通過する。そして、感光ドラム51の表面上のトナー像は、用紙Sと対向したときに、転写ローラ44に印加された転写バイアスによって用紙Sに転写される。
【0058】
なお、本実施形態における転写ベルト41は、トナー像が転写される用紙Sを搬送する搬送ベルトに構成されているが、トナー像がベルト自身に転写され、ベルトに転写されたトナー像がさらに用紙Sに転写される中間転写ベルトに構成することも可能である。
【0059】
トナー像が転写された用紙Sは定着装置60に搬送される。定着装置60は加熱ローラ61と加熱ローラ61に圧接する加圧ローラ62とを備えており、定着装置60に搬送された用紙Sは、加熱ローラ61と加圧ローラ62との間を通過する間にトナー像が熱定着される。
【0060】
トナー像が熱定着された用紙Sは、定着装置60から搬送方向下流側に搬送され、さらに中間排紙ローラ対63、および中間排紙ローラ対63の搬送方向下流側に配置される排紙ローラ対64により搬送されて、排紙トレイ23bに排出される。
【0061】
図2に示すように、装置本体2は、左右方向に互いに離間して配置される第1本体フレーム24と、第2本体フレーム25とを備えている。第1本体フレーム24は、装置本体2の右端部に位置しており、前後方向および上下方向に延出している。第2本体フレーム25は、装置本体2の左端部に位置しており、前後方向および上下方向に延出している。プロセスカートリッジ50は、第1本体フレーム24と第2本体フレーム25との間に配置されている。
【0062】
図1図2に示すように、画像形成装置1は、給紙ローラ32、搬送ローラ34a、レジストローラ35a、および供給機構36等を駆動する駆動部7を備えている。駆動部7は、第2本体フレーム25に取り付けられている。
【0063】
[駆動部]
駆動部7は、駆動源であるモータ90と、モータ90からの駆動力を、給紙ローラ32、搬送ローラ34a、レジストローラ35a、および供給機構36等に伝達する駆動力伝達列70とを備えている。
【0064】
[駆動力伝達列]
図3図5に示すように、駆動力伝達列70は、分岐ギア71と、第1アイドルギア72と、中間ギア73と、第4アイドルギア74と、第2出力ギア75と、第2電磁クラッチ76と、レジストローラシャフト77とを有している。
【0065】
分岐ギア71は、ギア列を介してモータ90と接続されており、モータ90から駆動力が伝達されるギアである。第1アイドルギア72は、分岐ギア71と噛み合っており、分岐ギア71から駆動力が伝達されるギアである。中間ギア73は、第1アイドルギア72と噛み合っている。第4アイドルギア74は、左右方向に隣接して一体的に配置される第3ギア74aと第4ギア74bとを有する2段ギアであり、中間ギア73と第3ギア74aとは噛み合っている。第4アイドルギア74は、第1アイドルギア72から駆動力が伝達されるギアである。
【0066】
第2出力ギア75は、第4アイドルギア74の第4ギア74bと噛み合っている。第2電磁クラッチ76は、第2出力ギア75から入力された駆動力のレジストローラシャフト77への伝達および遮断が可能なクラッチである。レジストローラシャフト77は、第2電磁クラッチ76が第2出力ギア75から入力された駆動力をレジストローラシャフト77へ伝達しているときに、回転軸心Xを中心として回転する。レジストローラシャフト77は、第2電磁クラッチ76が第2出力ギア75から入力された駆動力を遮断しているときには回転しない。レジストローラシャフト77の回転軸心Xは、左右方向に沿って延びている。
【0067】
レジストローラシャフト77は、レジストローラ35aの回転軸であり、モータ90からの駆動力によってレジストローラシャフト77が回転することにより、レジストローラ35aが回転する。このように、分岐ギア71から第1アイドルギア72および第4アイドルギア74を介してレジストローラ35aに駆動力が伝達されており、第1アイドルギア72および第4アイドルギア74は、レジストローラ35aに駆動力を伝達するギアである。レジストローラシャフト77は供給機構36に接続されており、レジストローラシャフト77から供給機構36へ駆動力を伝達可能に構成されている。
【0068】
分岐ギア71、第1アイドルギア72、中間ギア73、第4アイドルギア74、第2出力ギア75、第2電磁クラッチ76、およびレジストローラシャフト77は、レジストローラ35aおよび供給機構36に駆動力を伝達する駆動力伝達列を構成している。
【0069】
図3図4図6に示すように、駆動力伝達列70は、中間ギア81と、第2アイドルギア82と、第3アイドルギア83と、第1出力ギア84と、第1電磁クラッチ85と、給紙ローラシャフト86と、搬送ローラ出力ギア87と、搬送ローラシャフト88とを有している。
【0070】
中間ギア81は、分岐ギア71と噛み合っている。第2アイドルギア82は、中間ギア81と噛み合っており、分岐ギア71から駆動力が伝達されるギアである。第3アイドルギア83は、左右方向に隣接して一体的に配置される第1ギア83aと第2ギア83bとを有する2段ギアであり、第2アイドルギア82と噛み合っている。具体的には、第3アイドルギア83の第1ギア83aと第2アイドルギア82とが噛み合っている。
【0071】
第1出力ギア84は、第3アイドルギア83と噛み合っている。具体的には、第1出力ギア84は、第3アイドルギア83の第2ギア83bと噛み合っている。第1電磁クラッチ85は、第1出力ギア84から入力された駆動力の給紙ローラシャフト86への伝達および遮断が可能なクラッチである。
【0072】
給紙ローラシャフト86は、第1電磁クラッチ85が第1出力ギア84から入力された駆動力を給紙ローラシャフト86へ伝達しているときに、回転軸心Yを中心として回転する。給紙ローラシャフト86は、第1電磁クラッチ85が第1出力ギア84から入力された駆動力を遮断しているときには回転しない。給紙ローラシャフト86の回転軸心Yは、左右方向に沿って延びている。左右方向は、回転軸心Y方向の一例である。給紙ローラシャフト86は、給紙ローラ32の回転軸であり、モータ90からの駆動力によって給紙ローラシャフト86が回転することにより、給紙ローラ32が回転する。給紙ローラシャフト86は、シャフトの一例である。
【0073】
このように、分岐ギア71から第3アイドルギア83の第2ギア83bを介して給紙ローラ32に駆動力が伝達されており、第3アイドルギア83の第2ギア83bは、給紙ローラ32に駆動力を伝達するギアである。また、分岐ギア71、中間ギア81、第2アイドルギア82、第3アイドルギア83、第1出力ギア84、第1電磁クラッチ85、および給紙ローラシャフト86は、給紙ローラ32に駆動力を伝達する駆動力伝達列を構成している。
【0074】
第1出力ギア84は、第3アイドルギアと噛み合い、シャフトに駆動力を伝達する出力ギアの一例であり、第1電磁クラッチ85は、出力ギアに入力された駆動力をシャフトへ伝達および遮断が可能な電磁クラッチの一例であり、給紙ローラシャフト86は、第1搬送ローラのシャフトの一例である。
【0075】
搬送ローラ出力ギア87は、第3アイドルギア83の第1ギア83aと噛み合っている。搬送ローラ出力ギア87には、搬送ローラシャフト88が一体的に回転可能に固定されており、モータ90からの駆動力により搬送ローラ出力ギア87が回転すると、搬送ローラシャフト88が回転軸心Zを中心として一体的に回転する。搬送ローラシャフト88の回転軸心Zは、左右方向に沿って延びている。
【0076】
搬送ローラシャフト88は、搬送ローラ34aの回転軸であり、モータ90からの駆動力によって搬送ローラシャフト88が回転することにより、搬送ローラ34aが回転する。このように、分岐ギア71から第3アイドルギア83の第1ギア83aを介して搬送ローラ34aに駆動力が伝達されており、第3アイドルギア83の第1ギア83aは、搬送ローラ34aに駆動力を伝達するギアである。また、分岐ギア71、中間ギア81、第2アイドルギア82、第3アイドルギア83、搬送ローラ出力ギア87、および搬送ローラシャフト88は、搬送ローラ34aに駆動力を伝達する駆動力伝達列を構成している。
【0077】
このように構成される駆動力伝達列70においては、第1アイドルギア72、第2アイドルギア82、および第1出力ギア84は、給紙ローラシャフト86の回転軸心Yと同軸に配置されており、第1アイドルギア72と第2アイドルギア82と第1出力ギア84とは、回転軸心Yと同軸で回転するように構成されている。
【0078】
第1アイドルギア72、第2アイドルギア82、および第1出力ギア84が、同軸で回転するように配置されることで、モータ90からの駆動力を伝達する駆動力伝達列70の省スペース化を図ることが可能となっている。特に、第1アイドルギア72と、第1出力ギア84および第2アイドルギア82とを前後方向にずらして配置した場合と比べて、駆動力伝達列70が占める前後方向のスペースを小さくすることが可能である。
【0079】
本実施形態においては、駆動力伝達列70は、給紙ローラ32、搬送ローラ34a、およびレジストローラ35aに駆動力を伝達するように構成されており、給紙ローラ32、搬送ローラ34a、およびレジストローラ35aに駆動力を伝達する駆動力伝達列70を省スペースで構成することが可能となっている。
【0080】
また、駆動力伝達列70においては、分岐ギア71からの駆動力を、第2アイドルギア82および第3アイドルギア83を介して第1出力ギア84に伝達するように構成しているため、給紙ローラシャフト86に接続される駆動部である給紙ローラ32、第2アイドルギア82に接続される駆動部である搬送ローラ34a、および第1アイドルギア72に接続される駆動部であるレジストローラ35aの駆動速度の調節を行い易くすることができる。
【0081】
また、駆動力伝達列70は、第1出力ギア84に入力された駆動力を給紙ローラシャフト86へ伝達および遮断が可能な第1電磁クラッチ85を備えているため、第2アイドルギア82の回転を継続しながら、給紙ローラシャフト86の駆動および停止を切り替えることが可能となっている。
【0082】
また、第1アイドルギア72は、給紙ローラシャフト86が貫通される第1貫通孔72aを有しており、第2アイドルギア82は、給紙ローラシャフト86が貫通される第2貫通孔82aを有している。このように、第1アイドルギア72が第1貫通孔72aを有し、第2アイドルギア82が第2貫通孔82aを有することで、第1アイドルギア72と第2アイドルギア82とを給紙ローラシャフト86上において同軸に配置することができ、駆動力伝達列70をより省スペースで構成することが可能となっている。
【0083】
また、第3アイドルギア83と第4アイドルギア74とは、上下方向に隙間を有して配置されており、回転軸心Y方向となる左右方向においては重なっていない。さらに、第3アイドルギア83の第1ギア83aと、第4アイドルギア74の第4ギア74bとが左右方向において同じ位置に配置されており、第3アイドルギア83と第4アイドルギア74とは、回転軸心Y方向と直交する方向において重なっている。第3アイドルギア83と第4アイドルギア74とをこのように配置することで、第3アイドルギア83と第4アイドルギア74とを、特に回転軸心Y方向において効率良く省スペースに配置することが可能となっている。
【0084】
また、分岐ギア71と、第3アイドルギア83および第4アイドルギア74との少なくとも一部は、左右方向において同じ位置に配置されており、分岐ギア71と、第3アイドルギア83および第4アイドルギア74とは、回転軸心Y方向と直交する方向において重なっている。分岐ギア71と第3アイドルギア83および第4アイドルギア74とをこのように配置することで、分岐ギア71と、第3アイドルギア83および第4アイドルギア74とを、特に回転軸心Y方向において効率良く省スペースに配置することが可能となっている。
【0085】
また、第1アイドルギア72は、回転軸心Y方向において、第2アイドルギア82を挟んで電磁クラッチ85と反対側に配置されている。つまり、回転軸心Y上においては、左側から右側へ向けて、電磁クラッチ85、第1出力ギア84、第2アイドルギア82、および第1アイドルギア72の順に配置されている。これにより、第1アイドルギア72を第1出力ギア84と干渉させることなく、駆動力伝達列70の省スペース化を図ることが可能となっている。
【0086】
また、駆動力伝達列70においては、第1アイドルギア72は中間ギア81を介して分岐ギア71と接続されており、第2アイドルギア82は分岐ギア71と直接噛み合っている。従って、モータ90からの駆動力により第1アイドルギア72および第2アイドルギア82が駆動されたときには、第1アイドルギア72の回転方向と第2アイドルギア82の回転方向とは逆方向となる。
【0087】
例えば、第1アイドルギア72がモータ90からの駆動力により駆動されて第1回転方向D1(図5参照)に回転するときには、第2アイドルギア82は、モータ90からの駆動力により駆動されて第1回転方向D1とは逆の第2回転方向D2(図6参照)に回転する。これにより、第1アイドルギア72に接続される駆動部であるレジストローラ35aと、第2アイドルギア82に接続される駆動部である給紙ローラ32および搬送ローラ34aとの駆動方向の自由度を向上することが可能となっている。
【0088】
さらに、第1アイドルギア72は、第2アイドルギア82よりも大径に形成されている。つまり、第1アイドルギア72の外径R3(図5参照)は、第2アイドルギア82の外径R4(図6参照)よりも大きくなっている。これにより、第1アイドルギア72に接続される駆動部であるレジストローラ35aと、第2アイドルギア82に接続される駆動部である給紙ローラ32および搬送ローラ34aとの駆動速度の自由度を向上させることが可能となっている。
【0089】
図7図10に示すように、駆動部7は、第1ギアフレーム11と、第2ギアフレーム12と、第3ギアフレーム13とを備えている。第1ギアフレーム11、第2ギアフレーム12、および第3ギアフレーム13は、第2本体フレーム25の左方に位置している。第1ギアフレーム11、第2ギアフレーム12、および第3ギアフレーム13は、左右方向に並んで配置されており、第2ギアフレーム12は第1ギアフレーム11の左方に位置し、第3ギアフレーム13は第2ギアフレーム12の左方に位置している。
【0090】
第1ギアフレーム11は第2本体フレーム25に支持されており、第2ギアフレーム12は第1ギアフレーム11に支持されており、第3ギアフレーム13は第2ギアフレーム12に支持されている。
【0091】
第1ギアフレーム11は、第1アイドルギア72を回転可能に支持する第1ギアカバー11aを有している。第1ギアカバー11aは円筒形状に形成されており、第1ギアカバー11aの外周面には、第1アイドルギア72の第1貫通孔72aが回転可能に嵌合している。第1ギアカバー11aに第1貫通孔72aが嵌合することで、第1アイドルギア72が第1ギアフレーム11に支持されている。
【0092】
第1ギアカバー11aの回転軸心X方向における右端部には、第1ギアカバー11aから径方向外側へ延びる第1位置決め部11bが形成されている。第1位置決め部11bにより、第1ギアカバー11aに支持される第1アイドルギア72の回転軸心X方向の位置決めがなされている。
【0093】
第2ギアフレーム12は、第2アイドルギア82を回転可能に支持する第2ギアカバー12aを有している。第2ギアカバー12aは円筒形状に形成されており、第2ギアカバー12aの外周面には、第2アイドルギア82の第2貫通孔82aが回転可能に嵌合している。第2ギアカバー12aに第2貫通孔82aが嵌合することで、第2アイドルギア82が第2ギアフレーム12に支持されている。
【0094】
第2ギアカバー12aの回転軸心X方向における右端部には、第2ギアカバー12aから径方向外側へ延びる第2位置決め部12bが形成されている。第2位置決め部12bにより、第2ギアカバー12aに支持される第2アイドルギア82の回転軸心X方向の位置決めがなされている。
【0095】
ここで、第1ギアカバー11aおよび第2ギアカバー12aは、外径が小さい方が第1アイドルギア72および第2アイドルギア82との接触面積が小さくなり、第1アイドルギア72および第2アイドルギア82が回転した際の発熱が少ないため好ましい。
【0096】
仮に、第1アイドルギア72を支持するギアカバーと第2アイドルギア82を支持するギアカバーとを同じ部材で形成すると、第1アイドルギア72のギアカバーと第2アイドルギア72のギアカバーとの外径の大きさを変えることによって、第1アイドルギア72および第2アイドルギア82の回転軸心X方向の位置決めを行うことになる。従って、第1アイドルギア72のギアカバーおよび第2アイドルギア82のギアカバーの一方の外径が他方の外径よりも大きくなってしまう。
【0097】
しかし、本実施形態における第1ギアカバー11aと第2ギアカバー12aとのように、第1アイドルギア72のギアカバーと第2アイドルギア72のギアカバーとを別部材にて形成することで、第1アイドルギア82の回転軸心X方向の第1位置決め部11bを第1ギアカバー11aに設けるとともに、第2アイドルギア82の回転軸心X方向の第2位置決め部12bを第2ギアカバー12aに設けることができる。これにより、第1ギアカバー11aと第2ギアカバー12aとを、同径且つ小径に形成して、第1アイドルギア72および第2アイドルギア82が回転した際の発熱を抑えることが可能となる。
【0098】
また、本実施形態においては、第1ギアカバー11aに嵌合する第1貫通孔72aと、第2ギアカバー12aに嵌合する第2貫通孔82aとは同径に形成されている。つまり、第1貫通孔72aは内径R1(図5参照)を有しており、第2貫通孔82aは内径R2(図6参照)を有していて、内径R1と内径R2とは同じ大きさとなっている。従って、第1貫通孔72aと第2貫通孔82aとの両方を小径に形成して、第1アイドルギア72および第2アイドルギア82が回転した際の発熱を抑えることが可能となっている。
【0099】
駆動部7は軸受89を有しており、第3ギアフレーム13は軸受89を介して給紙ローラシャフト86を支持する第3ギアカバー13aを有している。つまり、軸受89は、第3ギアカバー13aと給紙ローラシャフト86との間に介装されている。軸受89は、第3ギアフレーム13に装着されており、給紙ローラシャフト86を回転可能に支持している。
【0100】
図11に示すように、軸受89は、円筒部89aと、係止板89bと、係止片89cと、腕部89dと、爪89eとを有している。円筒部89aは、円筒形状に形成されており、第3ギアカバー13aと給紙ローラシャフト86との間に位置している。つまり、給紙ローラシャフト86は、円筒部89aを介して第3ギアカバー13aに支持されている。係止板89bは、円筒部89aの左端部から径方向外側へ延びており、周方向において略半周にわたって形成された半円板形状に形成されている。係止片89cは、円筒部89aの係止板89bよりも右方における外周面から径方向外側へ延びている。
【0101】
図10図12図13に示すように、第3ギアフレーム13は、左側に面する外側面13Aと、右側に面し第2ギアフレーム12と対向する内側面13Bとを有している。係止板89bは、第3ギアフレーム13の左方に位置し、外側面13Aと当接している。係止片89cは、第3ギアフレーム13の右方に位置し、内側面13Bと当接している。つまり、回転軸心X方向において、係止板89bと係止片89cとによって第3ギアフレーム13を挟持している。係止板89bと係止片89cとによって第3ギアフレーム13を挟持することで、軸受89の回転軸心X方向の位置決めがなされている。
【0102】
腕部89dは、係止板89bから給紙ローラシャフト86の周方向へ延びており、腕部89dの先端部からは爪89eが回転軸心X方向における右側へ突出している。腕部89dは弾性を有している。
【0103】
第3ギアフレーム13は、第3ギアカバー13aの基端部における周縁部から径方向外側へ延出する回転止め溝13bおよび係止片通過溝13cを有している。回転止め溝13bと係止片通過溝13cとは、第3ギアカバー13aの基端部における周縁部の異なる位相に位置している。爪89eは回転止め溝13bに嵌合しており、爪89eと回転止め溝13bとが周方向において係合することによって、軸受89が第3ギアフレーム13に対して周方向へ回転することを規制している。
【0104】
軸受89を3ギアフレーム13に装着するときには、係止片89cと係止片通過溝13cとの位相を合わせた状態で、円筒部89aを外側面13A側から第3ギアカバー13aに挿入する。この場合、爪89eの位相と回転止め溝13bの位相とは異なっており、爪89eは外側面13Aに当接した状態となる。また、円筒部89aを第3ギアカバー13aに挿入する過程で、係止片89cが係止片通過溝13cを外側面13A側から内側面13B側へ向けて通過する。
【0105】
円筒部89aの第3ギアカバー13aへの挿入は、係止板89bが外側面13Aに当接するまで行う。係止板89bが外側面13Aに当接した状態では、腕部89dが左方へ弾性変形した状態で爪89eが外側面13Aに当接している。
【0106】
この状態から、軸受89を周方向における爪89eと回転止め溝13bとが近づく側へ回転させると、爪89eの位相と回転止め溝13bの位相とが合って、腕部89dの弾性力により爪89eが回転止め溝13bに嵌合する。また、軸受89が、爪89eと回転止め溝13bとが嵌合する位相にあるときには、第3ギアフレーム13が係止板89bと係止片89cとによって挟持されて、軸受89が第3ギアフレーム13に装着された状態となる。
【0107】
このように、軸受89が第3ギアフレーム13に装着された状態においては、腕部89dに形成される爪89eと回転止め溝13bとが係合して、軸受89の第3ギアフレーム13に対する回転を抑制することができるが、腕部89dは周方向に延出しているため、省スペースで軸受89に回転止め用の爪89eを形成することが可能となっている。
【0108】
図10に示すように、給紙ローラシャフト86は、径方向外側に突出する第1つば部86aと、第1つば部86aよりも右方に位置し、径方向外側に突出する第2つば部86bとを有している。第1つば部86aは、軸受89の円筒部89aに右方から当接可能に構成されており、第1つば部86aが円筒部89aに当接することで、給紙ローラシャフト86の左方への移動が規制される。
【0109】
第1ギアフレーム11は、第1ギアカバー11aの回転軸心X方向における右端部から径方向内側へ延びる係止部11cを有している。給紙ローラシャフト86の第2つば部86bは、係止部11cに左方から当接可能に構成されており、第2つば部86bが係止部11cに当接することで、給紙ローラシャフト86の右方への移動が規制される。このように、第1つば部86aと円筒部89a、および第2つば部86bと係止部11cによって給紙ローラシャフト86の回転軸心Y方向の移動が規制されている。
【符号の説明】
【0110】
1 画像形成装置
11a 第1ギアカバー
12a 第2ギアカバー
32 給紙ローラ
34a 搬送ローラ
35a レジストローラ
71 分岐ギア
72 第1アイドルギア
72a 第1貫通孔
74 第4アイドルギア
74a 第3ギア
74b 第4ギア
82 第2アイドルギア
82a 第2貫通孔
83 第3アイドルギア
83a 第1ギア
83b 第2ギア
84 第1出力ギア
85 第1電磁クラッチ
86 給紙ローラシャフト
89 軸受
89d 腕部
89e 爪
90 モータ
D1 第1回転方向
D2 第2回転方向
S 用紙
X 回転軸心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13