(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】車両用制御装置、車両用制御方法、車両用制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B60S 1/62 20060101AFI20240925BHJP
【FI】
B60S1/62 110A
B60S1/62 110B
B60S1/62 120A
B60S1/62 120B
(21)【出願番号】P 2021030065
(22)【出願日】2021-02-26
【審査請求日】2023-10-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】福本 晴継
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-162915(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109455166(CN,A)
【文献】国際公開第2019/022038(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0311405(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに重複するセンシングエリア(Aα,Aβ)が外界面(33)を通して設定される複数の外界センサ(40)を含むセンサ系(4)と、各前記外界センサの前記外界面を洗浄流体の噴射により個別に洗浄する洗浄系(5)とを、搭載する車両(2)用の制御装置(1)であって、プロセッサ(12)を有し、
前記プロセッサは、
前記洗浄系による洗浄関連処理を実行する洗浄期間(Tw)において、前記洗浄流体の噴射を実行する噴射タイミング(ti)と、当該噴射を停止する停止タイミング(ts)とのうち、いずれかのタイミングを各前記外界センサの前記外界面に対して個別に割り当てることと、
前記洗浄期間において、前記停止タイミングの前記外界センサを通じて取得される停止画像データ(Ds)の優先度(Ps)を、前記噴射タイミングの前記外界センサを通じて取得される噴射画像データ(Di)の優先度(Pi)よりも、低く制御することとを、実行するように構成される車両用制御装置。
【請求項2】
互いに重複するセンシングエリア(Aα,Aβ)が外界面(33)を通して設定される複数の外界センサ(40)を含むセンサ系(4)と、各前記外界センサの前記外界面を洗浄流体の噴射により個別に洗浄する洗浄系(5)とを、搭載する車両(2)用の制御装置(1)であって、プロセッサ(12)を有し、
前記プロセッサは、
前記洗浄系による洗浄関連処理を実行する洗浄期間(Tw)において、前記洗浄流体の噴射を実行する噴射タイミング(ti)と、当該噴射を停止する停止タイミング(ts)とのうち、いずれかのタイミングを各前記外界センサの前記外界面に対して個別に割り当てることと、
前記洗浄期間において、清浄な前記外界面の検知される清浄センサ(40c)と、汚れた前記外界面の検知される汚れセンサ(40d)とに、各前記外界センサを区分することと、
前記洗浄期間において、前記汚れセンサを通じて取得される汚れ画像データ(Dd)の優先度(Pd)を、前記清浄センサを通じて取得される清浄画像データ(Dc)の優先度(Pc)よりも、低く制御することとを、実行するように構成される車両用制御装置。
【請求項3】
前記タイミングを割り当てることは、
各前記外界センサの前記外界面に対して、前記噴射タイミングの割当先を時間経過に従って切り替えることを、含む請求項1
又は2に記載の車両用制御装置。
【請求項4】
前記洗浄流体は、洗浄ガスである請求項1~
3のいずれか一項に記載の車両用制御装置。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか一項に記載の車両用制御装置(1)と、
複数の前記外界センサを含むセンサ系(4)と、
前記洗浄系(5)とを、備える自動運転ユニット。
【請求項6】
互いに重複するセンシングエリア(Aα,Aβ)が外界面(33)を通して設定される複数の外界センサ(40)を含むセンサ系(4)と、各前記外界センサの前記外界面を洗浄流体の噴射により個別に洗浄する洗浄系(5)とを、搭載する車両(2)用の制御方法であって、プロセッサ(12)により実行され、
前記洗浄系による洗浄関連処理を実行する洗浄期間(Tw)において、前記洗浄流体の噴射を実行する噴射タイミング(ti)と、当該噴射を停止する停止タイミング(ts)とのうち、いずれかのタイミングを各前記外界センサの前記外界面に対して個別に割り当てることと、
前記洗浄期間において、前記停止タイミングの前記外界センサを通じて取得される停止画像データ(Ds)の優先度(Ps)を、前記噴射タイミングの前記外界センサを通じて取得される噴射画像データ(Di)の優先度(Pi)よりも、低く制御することとを、含む車両用制御方法。
【請求項7】
互いに重複するセンシングエリア(Aα,Aβ)が外界面(33)を通して設定される複数の外界センサ(40)を含むセンサ系(4)と、各前記外界センサの前記外界面を洗浄流体の噴射により個別に洗浄する洗浄系(5)とを、搭載する車両(2)用の制御方法であって、プロセッサ(12)により実行され、
前記洗浄系による洗浄関連処理を実行する洗浄期間(Tw)において、前記洗浄流体の噴射を実行する噴射タイミング(ti)と、当該噴射を停止する停止タイミング(ts)とのうち、いずれかのタイミングを各前記外界センサの前記外界面に対して個別に割り当てることと、
前記洗浄期間において、清浄な前記外界面の検知される清浄センサ(40c)と、汚れた前記外界面の検知される汚れセンサ(40d)とに、各前記外界センサを区分することと、
前記洗浄期間において、前記汚れセンサを通じて取得される汚れ画像データ(Dd)の優先度(Pd)を、前記清浄センサを通じて取得される清浄画像データ(Dc)の優先度(Pc)よりも、低く制御することとを、含む車両用制御方法。
【請求項8】
前記タイミングを割り当てることは、
各前記外界センサの前記外界面に対して、前記噴射タイミングの割当先を時間経過に従って切り替えることを、含む請求項6又は7に記載の車両用制御方法。
【請求項9】
前記洗浄流体は、洗浄ガスである請求項6~8のいずれか一項に記載の車両用制御方法。
【請求項10】
互いに重複するセンシングエリア(Aα,Aβ)が外界面(33)を通して設定される複数の外界センサ(40)を含むセンサ系(4)と、各前記外界センサの前記外界面を洗浄流体の噴射により個別に洗浄する洗浄系(5)とを、搭載する車両(2)用の制御プログラムであって、記憶媒体(10)に記憶され、プロセッサ(12)により実行される命令を含み、
前記命令は、
前記洗浄系による洗浄関連処理を実行する洗浄期間(Tw)において、前記洗浄流体の噴射を実行する噴射タイミング(ti)と、当該噴射を停止する停止タイミング(ts)とのうち、いずれかのタイミングを各前記外界センサの前記外界面に対して個別に割り当てさせることと、
前記洗浄期間において、前記停止タイミングの前記外界センサを通じて取得される停止画像データ(Ds)の優先度(Ps)を、前記噴射タイミングの前記外界センサを通じて取得される噴射画像データ(Di)の優先度(Pi)よりも、低く制御させることとを、含む車両用制御プログラム。
【請求項11】
互いに重複するセンシングエリア(Aα,Aβ)が外界面(33)を通して設定される複数の外界センサ(40)を含むセンサ系(4)と、各前記外界センサの前記外界面を洗浄流体の噴射により個別に洗浄する洗浄系(5)とを、搭載する車両(2)用の制御プログラムであって、記憶媒体(10)に記憶され、プロセッサ(12)により実行される命令を含み、
前記命令は、
前記洗浄系による洗浄関連処理を実行する洗浄期間(Tw)において、前記洗浄流体の噴射を実行する噴射タイミング(ti)と、当該噴射を停止する停止タイミング(ts)とのうち、いずれかのタイミングを各前記外界センサの前記外界面に対して個別に割り当てさせることと、
前記洗浄期間において、清浄な前記外界面の検知される清浄センサ(40c)と、汚れた前記外界面の検知される汚れセンサ(40d)とに、各前記外界センサを区分させることと、
前記洗浄期間において、前記汚れセンサを通じて取得される汚れ画像データ(Dd)の優先度(Pd)を、前記清浄センサを通じて取得される清浄画像データ(Dc)の優先度(Pc)よりも、低く制御させることとを、含む車両用制御プログラム。
【請求項12】
前記タイミングを割り当てさせることは、
各前記外界センサの前記外界面に対して、前記噴射タイミングの割当先を時間経過に従って切り替えさせることを、含む請求項10又は11に記載の車両用制御プログラム。
【請求項13】
前記洗浄流体は、洗浄ガスである請求項10~12のいずれか一項に記載の車両用制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両におけるセンサ系及び洗浄系の制御技術に、関する。
【背景技術】
【0002】
センサ系として車両に搭載される複数の外界センサでは、外界面を通してセンシングエリアが個別に設定されている。そこで、特許文献1に開示されるように車両には、各外界センサの外界面を洗浄流体の噴射により個別に洗浄する洗浄系が、搭載されるようになってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の開示技術では、洗浄流体による洗浄が停止するタイミングでは、外界センサによるセンシング精度の低下するおそれがあった。特に近年、車両の自動運転モードにおいてセンシング精度の低下は、自動運転制御の精度低下にも繋がる懸念があるため、望ましくない。
【0005】
本開示の課題は、センサ系のセンシング精度を確保する車両用制御装置を、提供することにある。本開示の別の課題は、センサ系のセンシング精度を確保する車両用制御方法を、提供することにある。本開示のさらに別の課題は、センサ系のセンシング精度を確保する車両用制御プログラムを、提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、課題を解決するための本開示の技術的手段について、説明する。尚、特許請求の範囲及び本欄に記載された括弧内の符号は、後に詳述する実施形態に記載された具体的手段との対応関係を示すものであり、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【0007】
本開示の第一態様は、
互いに重複するセンシングエリア(Aα,Aβ)が外界面(33)を通して設定される複数の外界センサ(40)を含むセンサ系(4)と、各外界センサの外界面を洗浄流体の噴射により個別に洗浄する洗浄系(5)とを、搭載する車両(2)用の制御装置(1)であって、プロセッサ(12)を有し、
プロセッサは、
洗浄系による洗浄関連処理を実行する洗浄期間(Tw)において、洗浄流体の噴射を実行する噴射タイミング(ti)と、当該噴射を停止する停止タイミング(ts)とのうち、いずれかのタイミングを各外界センサの外界面に対して個別に割り当てることと、
洗浄期間において、停止タイミングの外界センサを通じて取得される停止画像データ(Ds)の優先度(Ps)を、噴射タイミングの外界センサを通じて取得される噴射画像データ(Di)の優先度(Pi)よりも、低く制御することとを、実行するように構成される。
【0008】
本開示の第二態様は、
互いに重複するセンシングエリア(Aα,Aβ)が外界面(33)を通して設定される複数の外界センサ(40)を含むセンサ系(4)と、各外界センサの外界面を洗浄流体の噴射により個別に洗浄する洗浄系(5)とを、搭載する車両(2)用の制御方法であって、プロセッサ(12)により実行され、
洗浄系による洗浄関連処理を実行する洗浄期間(Tw)において、洗浄流体の噴射を実行する噴射タイミング(ti)と、当該噴射を停止する停止タイミング(ts)とのうち、いずれかのタイミングを各外界センサの外界面に対して個別に割り当てることと、
洗浄期間において、停止タイミングの外界センサを通じて取得される停止画像データ(Ds)の優先度(Ps)を、噴射タイミングの外界センサを通じて取得される噴射画像データ(Di)の優先度(Pi)よりも、低く制御することとを、含む。
【0009】
本開示の第三態様は、
互いに重複するセンシングエリア(Aα,Aβ)が外界面(33)を通して設定される複数の外界センサ(40)を含むセンサ系(4)と、各外界センサの外界面を洗浄流体の噴射により個別に洗浄する洗浄系(5)とを、搭載する車両(2)用の制御プログラムであって、記憶媒体(10)に記憶され、プロセッサ(12)により実行される命令を含み、
命令は、
洗浄系による洗浄関連処理を実行する洗浄期間(Tw)において、洗浄流体の噴射を実行する噴射タイミング(ti)と、当該噴射を停止する停止タイミング(ts)とのうち、いずれかのタイミングを各外界センサの外界面に対して個別に割り当てさせることと、
洗浄期間において、停止タイミングの外界センサを通じて取得される停止画像データ(Ds)の優先度(Ps)を、噴射タイミングの外界センサを通じて取得される噴射画像データ(Di)の優先度(Pi)よりも、低く制御させることとを、含む。
【0010】
これら第一~第三態様によると、洗浄系による洗浄関連処理を実行する洗浄期間において、洗浄流体の噴射を実行する噴射タイミングと、当該噴射を停止する停止タイミングとのうち、いずれかのタイミングが各外界センサの外界面に対して個別に割り当てられる。そこで第一~第三態様の洗浄期間に、停止タイミングの外界センサを通じて取得される停止画像データの優先度は、噴射タイミングの外界センサを通じて取得される噴射画像データの優先度よりも、低く制御される。これによれば、洗浄期間でも洗浄停止中となる外界センサが、センサ系全体としてのセンシング精度には影響し難くなる。故に、センシングと洗浄とのバランスを図って、センサ系全体でのセンシング精度を確保することが可能となる。
【0011】
本開示の第四態様は、
互いに重複するセンシングエリア(Aα,Aβ)が外界面(33)を通して設定される複数の外界センサ(40)を含むセンサ系(4)と、各外界センサの外界面を洗浄流体の噴射により個別に洗浄する洗浄系(5)とを、搭載する車両(2)用の制御装置(1)であって、プロセッサ(12)を有し、
プロセッサは、
洗浄系による洗浄関連処理を実行する洗浄期間(Tw)において、洗浄流体の噴射を実行する噴射タイミング(ti)と、当該噴射を停止する停止タイミング(ts)とのうち、いずれかのタイミングを各外界センサの外界面に対して個別に割り当てることと、
洗浄期間において、清浄な外界面の検知される清浄センサ(40c)と、汚れた外界面の検知される汚れセンサ(40d)とに、各外界センサを区分することと、
洗浄期間において、汚れセンサを通じて取得される汚れ画像データ(Dd)の優先度(Pd)を、清浄センサを通じて取得される清浄画像データ(Dc)の優先度(Pc)よりも、低く制御することとを、実行するように構成される。
【0012】
本開示の第五態様は、
互いに重複するセンシングエリア(Aα,Aβ)が外界面(33)を通して設定される複数の外界センサ(40)を含むセンサ系(4)と、各外界センサの外界面を洗浄流体の噴射により個別に洗浄する洗浄系(5)とを、搭載する車両(2)用の制御方法であって、プロセッサ(12)により実行され、
洗浄系による洗浄関連処理を実行する洗浄期間(Tw)において、洗浄流体の噴射を実行する噴射タイミング(ti)と、当該噴射を停止する停止タイミング(ts)とのうち、いずれかのタイミングを各外界センサの外界面に対して個別に割り当てることと、
洗浄期間において、清浄な外界面の検知される清浄センサ(40c)と、汚れた外界面の検知される汚れセンサ(40d)とに、各外界センサを区分することと、
洗浄期間において、汚れセンサを通じて取得される汚れ画像データ(Dd)の優先度(Pd)を、清浄センサを通じて取得される清浄画像データ(Dc)の優先度(Pc)よりも、低く制御することとを、含む。
【0013】
本開示の第六態様は、
互いに重複するセンシングエリア(Aα,Aβ)が外界面(33)を通して設定される複数の外界センサ(40)を含むセンサ系(4)と、各外界センサの外界面を洗浄流体の噴射により個別に洗浄する洗浄系(5)とを、搭載する車両(2)用の制御プログラムであって、記憶媒体(10)に記憶され、プロセッサ(12)により実行される命令を含み、
命令は、
洗浄系による洗浄関連処理を実行する洗浄期間(Tw)において、洗浄流体の噴射を実行する噴射タイミング(ti)と、当該噴射を停止する停止タイミング(ts)とのうち、いずれかのタイミングを各外界センサの外界面に対して個別に割り当てさせることと、
洗浄期間において、清浄な外界面の検知される清浄センサ(40c)と、汚れた外界面の検知される汚れセンサ(40d)とに、各外界センサを区分させることと、
洗浄期間において、汚れセンサを通じて取得される汚れ画像データ(Dd)の優先度(Pd)を、清浄センサを通じて取得される清浄画像データ(Dc)の優先度(Pc)よりも、低く制御させることとを、含む。
【0014】
これら第四~第六態様によると、洗浄系による洗浄関連処理を実行する洗浄期間において、洗浄流体の噴射を実行する噴射タイミングと、当該噴射を停止する停止タイミングとのうち、いずれかのタイミングが各外界センサの外界面に対して個別に割り当てられる。そこで第四~第六態様の洗浄期間に、汚れた外界面が検知される外界センサとして区分の、汚れセンサを通じて取得される汚れ画像データの優先度は、清浄な外界面が検知される外界センサとして区分の、清浄センサを通じて取得される清浄画像データの優先度よりも、低く制御される。これによれば、洗浄期間においても停止タイミングとなることで汚れの検知された汚れセンサが、センサ系全体としてのセンシング精度には影響し難くなる。故に、センシングと洗浄とのバランスを図って、センサ系全体でのセンシング精度を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第一実施形態による自動運転ユニットの車両への搭載状態を示す側面図である。
【
図2】第一実施形態による自動運転ユニットの全体構成を示す横断面構成図である。
【
図3】第一実施形態による車両制御装置の詳細構成を示すブロック図である。
【
図4】第一実施形態による外界センサのセンシングエリアを示す模式図である。
【
図5】第一実施形態による車両用制御装置の機能を説明するためのブロック図である。
【
図6】第一実施形態による車両用制御装置の機能を説明するためのブロック図である。
【
図7】第一実施形態による車両用制御装置の機能を説明するための模式図である。
【
図8】第一実施形態による車両用制御装置の機能を説明するための模式図である。
【
図9】第一実施形態による車両用制御方法を示すフローチャートである。
【
図10】第二実施形態による車両用制御装置の機能を説明するためのブロック図である。
【
図11】第二実施形態による車両用制御装置の機能を説明するためのブロック図である。
【
図12】第二実施形態による車両用制御装置の機能を説明するための模式図である。
【
図13】第二実施形態による車両用制御装置の機能を説明するための模式図である。
【
図14】第二実施形態による車両用制御方法を示すフローチャートである。
【
図15】第三実施形態による車両用制御装置の機能を説明するためのブロック図である。
【
図16】第三実施形態による車両用制御装置の機能を説明するためのブロック図である。
【
図17】第三実施形態による車両用制御方法を示すフローチャートである。
【
図18】第三実施形態による優先度制御サブルーチンを示すフローチャートである。
【
図19】第四実施形態による車両制御装置の詳細構成を示すブロック図である。
【
図20】第四実施形態による車両用制御装置の機能を説明するためのブロック図である。
【
図21】第四実施形態による車両用制御装置の機能を説明するためのブロック図である。
【
図22】第四実施形態による車両用制御装置の機能を説明するための模式図である。
【
図23】第四実施形態による車両用制御装置の機能を説明するための模式図である。
【
図24】第四実施形態による車両用制御方法を示すフローチャートである。
【
図25】第五実施形態による車両用制御装置の機能を説明するためのブロック図である。
【
図26】第五実施形態による車両用制御装置の機能を説明するためのブロック図である。
【
図27】第五実施形態による車両用制御装置の機能を説明するための模式図である。
【
図28】第五実施形態による車両用制御装置の機能を説明するための模式図である。
【
図29】第五実施形態による車両用制御方法を示すフローチャートである。
【
図30】第六実施形態による車両用制御装置の機能を説明するためのブロック図である。
【
図31】第六実施形態による車両用制御装置の機能を説明するためのブロック図である。
【
図32】第六実施形態による車両用制御方法を示すフローチャートである。
【
図33】第六実施形態による優先度制御サブルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、複数の実施形態を図面に基づき説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことで、重複する説明を省略する場合がある。また、各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。さらに、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合わせることができる。
【0017】
(第一実施形態)
図1,2に示すように、第一実施形態の車両用制御装置1を備える自動運転ユニットADUは、車両2に搭載される。車両2は、自動運転モードにおいて定常的、又は一時的に自動走行可能となっている。ここで自動運転モードは、条件付運転自動化、高度運転自動化、又は完全運転自動化といった、作動時のシステムが全ての運転タスクを実行する自律運転制御により、実現されてもよい。自動運転モードは、運転支援、又は部分運転自動化といった、乗員が一部又は全ての運転タスクを実行する高度運転支援制御において、実現されてもよい。自動運転モードは、それら自律運転制御と高度運転支援制御とのいずれか一方、組み合わせ、又は切り替えにより実現されてもよい。
【0018】
図1~3に示すように自動運転ユニットADUは、車両用制御装置1と共に車両2に搭載される、ハウジング3、センサ系4、及び洗浄系5を備えている。以下、自動運転ユニットADUの方向に関する説明は、水平面上の車両2を基準に説明される。
【0019】
ハウジング3は、樹脂、金属、又はそれらの組み合わせにより、例えば中空扁平状の矩形箱形等に形成されている。ハウジング3は、車両2のルーフ20上に設置される。ハウジング3の外周壁部30において複数箇所を貫通している開口は、例えば透明ガラス等のセンサ窓32により、覆われている。各センサ窓32は、車両2の外界に露出して当該外界から光の入射する外界面33を、それぞれ形成している。
【0020】
センサ系4は、複数の外界センサ40を主体に構成されている。各外界センサ40は、それぞれ個別の外界面33に対応して、ハウジング3の内部に収容されている。そこで以下では、外界センサ40に対応する外界面33を、単に、外界センサ40の外界面33という。
【0021】
各外界センサ40は、車両2において自動運転モードに活用可能な外界情報を表すセンサデータを、取得する。各外界センサ40は、例えば光学センサ、センシングカメラ、レーダ、及びソナー等のうち、それぞれ個別の一種類により構成される。特に自動運転ユニットADUのセンサ系4は、光学センサ41及びセンシングカメラ42を含んでいる。
【0022】
図3に示すように光学センサ41は、車両2において自動運転モードに活用可能な光学情報を取得する、所謂LiDAR(Light Detection and Ranging / Laser Imaging Detection and Ranging)である。光学センサ41は、発光素子410、撮像素子411、及び撮像回路412を有している。
【0023】
発光素子410及び撮像素子411の外界側(本実施形態では前側)には、光学センサ41の外界面33が配置されている。発光素子410は、例えばレーザダイオード等の、指向性レーザ光を発する半導体素子である。発光素子410は、外界面33を通して車両2の外界へと向かうレーザ光を、断続的なパルスビーム状に照射する。撮像素子411は、例えばSPAD(Single Photon Avalanche Diode)等の、光に対して高感度な半導体素子である。車両2の外界のうち、
図4に示すように撮像素子411の画角によって決まるセンシングエリアAαから外界面33を通して入射する光により、撮像素子411が露光される。撮像回路412は、撮像素子411における複数画素の露光及び走査を制御すると共に、撮像素子411からの信号を処理してデータ化する、集積回路である。
【0024】
図3に示す撮像回路412が発光素子410からの光照射により撮像素子411を露光する反射光モードでは、センシングエリアAα内の物点がレーザ光の反射点となる。その結果、反射点で反射されたレーザ光(以下、反射光という)が、撮像素子411へ入射する。このとき撮像回路412は、撮像素子411の複数画素を走査することで、反射光をセンシングする。特に撮像回路412は、外界面33を通してセンシングした反射光の反射点距離に応じて複数画素毎に取得される距離値を、各画素値として三次元データ化することで、距離画像データを取得する。
【0025】
一方、撮像回路412が発光素子410からの断続的な光照射の停止中に撮像素子411を露光する外光モード(即ち、照射停止モード)では、センシングエリアAα内の物点が外光の反射点となる。その結果、反射点で反射された外光が、撮像素子411へ入射する。このとき撮像回路412は、撮像素子411の複数画素を走査することで、反射された外光をセンシングする。特に撮像回路412は、外界面33を通してセンシングした外光の強度に応じて複数画素毎に取得される輝度値を、各画素値として二次元データ化することで、外光画像データDα(
図7,8参照)を取得する。
【0026】
図3に示すようにセンシングカメラ42は、車両2において自動運転モードに活用可能な光学情報を取得する、所謂外界カメラである。センシングカメラ42は、撮像素子421、及び撮像回路422を有している。
【0027】
撮像素子421の外界側(本実施形態では前側)には、センシングカメラ42の外界面33が配置されている。撮像素子421は、例えばCMOS等の半導体素子である。車両2の外界のうち、
図4に示すように撮像素子421の画角によって決まるセンシングエリアAβから外界面33を通して入射する光により、撮像素子421が露光される。センシングカメラ42のセンシングエリアAβは、光学センサ41のセンシングエリアAαと部分的に、重複する。センシングエリアAα,Aβの重複率、即ちそれら各エリアAα,Aβにおいて重複領域Aαβの占める割合は、例えば50%以上、好ましくは70%以上、さらに好ましくは90%以上である。撮像回路422は、撮像素子421における複数画素の露光及び走査を制御すると共に、撮像素子421からの信号を処理してデータ化する、集積回路である。
【0028】
図3に示す撮像回路422が撮像素子421を露光する露光モードでは、センシングエリアAβ内の物点が外光の反射点となる。その結果、反射点で反射された外光が、撮像素子421へ入射する。このとき撮像回路422は、撮像素子421の複数画素を走査することで、反射された外光をセンシングする。特に撮像回路422は、外界面33を通してセンシングした外光の強度に応じて複数画素毎に取得される輝度値を、各画素値として二次元データ化することで、カメラ画像データDβ(
図7,8参照)を取得する。特に第一実施形態では、カメラ画像データDβが外光画像データDαよりも高い解像度(即ち、多い画素数)に設定されている。尚、カメラ画像データDβが外光画像データDαよりも低い解像度(即ち、少ない画素数)に設定されていてもよいが、その場合の制御については以下での説明を割愛する。
【0029】
図2,3に示すように洗浄系5は、複数の洗浄ノズル51を含んで構成されている。各洗浄ノズル51は、それぞれ個別の外界面33に対応して、ハウジング3の外部に保持されている。これにより各洗浄ノズル51は、それぞれ個別の外界センサ40にも対応している。各洗浄ノズル51は、対応する外界センサ40の外界面33を、洗浄流体の噴射により個別に洗浄する。特に第一実施形態による各洗浄ノズル51は、光学センサ41及びセンシングカメラ42のうち、対応する外界センサ40のセンシングエリアAα,Aβに位置する外界面33に向けて、洗浄流体を噴射可能に設置される。また、各洗浄ノズル51から噴射される洗浄流体は、洗浄ガス及び洗浄液のうち少なくとも一方であってもよいが、好ましくは洗浄ガス単独であるとよい。
【0030】
図1~3に示す車両用制御装置1は、例えばLAN(Local Area Network)、ワイヤハーネス、及び内部バス等のうち、少なくとも一種類を介して、センサ系4と洗浄系5とに接続される。車両用制御装置1は、少なくとも一つの専用コンピュータを含んで構成される。車両用制御装置1を構成する専用コンピュータは、車両2内のECU(Electronic Control Unit)と共同して自動運転モードを制御する、運転制御ECUであってもよい。車両用制御装置1を構成する専用コンピュータは、自己位置を含んだ車両2の状態量を推定する、ロケータECUであってもよい。車両用制御装置1を構成する専用コンピュータは、車両2の走行経路をナビゲートする、ナビゲーションECUであってもよい。車両用制御装置1を構成する専用コンピュータは、車両2の走行アクチュエータを個別制御する、アクチュエータECUであってもよい。車両用制御装置1を構成する専用コンピュータは、車両2の情報提示系の情報提示を制御する、HCU(HMI(Human Machine Interface) Control Unit)であってもよい。
【0031】
車両用制御装置1は、こうした専用コンピュータを含んで構成されることで、
図2に示すようにメモリ10及びプロセッサ12を少なくとも一つずつ有している。メモリ10は、コンピュータにより読み取り可能なプログラム及びデータ等を非一時的に記憶する、例えば半導体メモリ、磁気媒体、及び光学媒体等のうち、少なくとも一種類の非遷移的実体的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)である。プロセッサ12は、例えばCPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、及びRISC(Reduced Instruction Set Computer)-CPU等のうち、少なくとも一種類をコアとして含む。
【0032】
プロセッサ12は、メモリ10に記憶された車両用制御プログラムに含まれる複数の命令を、実行する。これにより車両用制御装置1は、センサ系4と洗浄系5とを制御するための機能部(即ち、機能ブロック)を、複数構築する。このように車両用制御装置1では、センサ系4と洗浄系5とを制御するためにメモリ10に記憶された車両用制御プログラムが複数の命令をプロセッサ12に実行させることで、複数の機能部が構築される。車両用制御装置1により構築される複数の機能部には、
図3に示すように、洗浄制御部100と優先度制御部120とが含まれる。
【0033】
洗浄制御部100は、洗浄系5による洗浄関連処理を実行する洗浄期間Twを、設定する。特に洗浄期間Twは、センシングエリアAα,Aβの重複した外界センサ40同士となる光学センサ41及びセンシングカメラ42に対して、設定される。このとき洗浄期間Twは、光学センサ41及びセンシングカメラ42の汚れ状態、車両2の走行環境における天候状態、並びに車両2の運転状態のうち、少なくとも汚れ状態又は天候状態に応じて制御されるとよい。
【0034】
図5,6に示すように洗浄制御部100は、洗浄期間Twにおいて、洗浄流体の噴射を実行する噴射タイミングtiと、当該噴射を停止する停止タイミングtsとのうち、いずれかのタイミングを各外界センサ40の外界面33に対して個別に割り当てる。特に噴射タイミングtiと停止タイミングtsとは、センシングエリアAα,Aβの重複した外界センサ40同士となる光学センサ41及びセンシングカメラ42の外界面33に対して、それぞれ時間経過に従って切り替えられる。
【0035】
このとき例えば、洗浄期間Twの前段では
図5の如く噴射タイミングtiが光学センサ41に且つ停止タイミングtsがセンシングカメラ42に割り当てられ、洗浄期間Twの後段では
図6の如く噴射タイミングtiがセンシングカメラ42に且つ停止タイミングtsが光学センサ41に割り当てられてもよい。あるいは、洗浄期間Twの前段では
図6の如く噴射タイミングtiがセンシングカメラ42に且つ停止タイミングtsが光学センサ41に割り当てられ、洗浄期間Twの後段では
図5の如く噴射タイミングtiが光学センサ41に且つ停止タイミングtsがセンシングカメラ42に割り当てられてもよい。いずれの場合においても第一実施形態では、洗浄期間Twの前段から後段が連続することで、噴射タイミングti及び停止タイミングtsの割当先が交互に切り替えられて、光学センサ41とセンシングカメラ42とで噴射タイミングtiの重複が避けられていてもよい。尚、いずれの場合においても、洗浄期間Twの前段及び後段の間において噴射タイミングtiの割当先が重複してもよいが、その場合の制御については以下での説明を割愛する。
【0036】
洗浄制御部100は、光学センサ41及びセンシングカメラ42のうち、
図5,6の如く噴射タイミングtiを割り当てた一方の外界面33に対して、対応する洗浄ノズル51からの洗浄流体の噴射を実行するように、洗浄系5を制御する。これに対して洗浄制御部100は、光学センサ41及びセンシングカメラ42のうち、
図5,6の如く停止タイミングtsを割り当てた一方の外界面33に対して、対応する洗浄ノズル51からの洗浄流体の噴射を停止するように、洗浄系5を制御する。
【0037】
図3,5,6に示すように優先度制御部120は、洗浄期間Twにおける噴射タイミングti及び停止タイミングtsの割当先を、洗浄制御部100から取得する。優先度制御部120は、停止タイミングtsの外界センサ40を通じて取得される停止画像データDsの優先度Psを、噴射タイミングtiの外界センサ40を通じて取得される噴射画像データDiの優先度Piよりも、低く制御する。特に停止画像データDsと噴射画像データDiとは、センシングエリアAα,Aβの重複した外界センサ40同士となる光学センサ41及びセンシングカメラ42の一方と他方とにより、洗浄期間Twにおいて光学センサ41の外光モード期間に取得されることで、優先度制御される。その結果、高優先度Pi側の噴射画像データDiは、自動運転モードでの車両2の制御にそのまま活用される。
【0038】
これに対して第一実施形態の優先度制御部120は、低優先度Psの停止画像データDsを、高優先度Piの噴射画像データDiにより代替する。特に停止画像データDsは、噴射画像データDiの解像度を停止画像データDsに合わせるマッチング処理が実行されることで、当該マッチング処理後の噴射画像データDiにより代替される。このとき例えば、停止画像データDsがセンシングカメラ42のカメラ画像データDβ且つ噴射画像データDiが光学センサ41の外光画像データDαとなる場合、
図7に示すように停止画像データDsは、アップサンプリングによって解像度のマッチングされた外光画像データDαにより、代替される。一方、停止画像データDsが光学センサ41の外光画像データDα且つ噴射画像データDiがセンシングカメラ42のカメラ画像データDβとなる場合、
図8に示すように停止画像データDsは、ダウンサンプリングによって解像度のマッチングされたカメラ画像データDβにより、代替される。以上の結果、低優先度Ps側の停止画像データDsは、噴射画像データDiにより代替されてから、自動運転モードでの車両2の制御に活用される。
【0039】
このような洗浄制御部100と優先度制御部120との共同により、車両用制御装置1がセンサ系4と洗浄系5とを制御する車両用制御方法のフローを、
図9に従って以下に説明する。本フローは、自動運転モードを実行する車両2の起動状態において、洗浄制御部100が洗浄期間Twを設定している間、繰り返し実行される。尚、本フローにおける各「S」は、第一実施形態の車両用制御プログラムに含まれた複数命令によって実行される複数ステップを、それぞれ意味する。
【0040】
S100における洗浄制御部100は、洗浄期間Twにおいて洗浄流体の噴射を実行する噴射タイミングtiと、当該噴射を停止する停止タイミングtsとのうち、いずれかのタイミングを各外界センサ40の外界面33に対して個別に割り当てる。このとき洗浄制御部100は、各外界センサ40の外界面33に対して、噴射タイミングti及び停止タイミングtsの割当先を時間経過に従って切り替える。
【0041】
S102における優先度制御部120は、洗浄期間Twにおいて停止タイミングtsの外界センサ40を通じて取得される停止画像データDsの優先度Psを、噴射タイミングtiの外界センサ40を通じて取得される噴射画像データDiの優先度Piよりも、低く制御する。このとき優先度制御部120は、停止画像データDsに解像度をマッチングさせた噴射画像データDiにより、停止画像データDsを代替する。
【0042】
(作用効果)
以上説明した第一実施形態の作用効果を、以下に説明する。
【0043】
第一実施形態によると、洗浄系5による洗浄関連処理を実行する洗浄期間Twにおいて、洗浄流体の噴射を実行する噴射タイミングtiと、当該噴射を停止する停止タイミングtsとのうち、いずれかのタイミングが各外界センサ40の外界面33に対して個別に割り当てられる。そこで第一実施形態の洗浄期間Twに、停止タイミングtsの外界センサ40を通じて取得される停止画像データDsの優先度Psは、噴射タイミングtiの外界センサ40を通じて取得される噴射画像データDiの優先度Piよりも、低く制御される。これによれば、洗浄期間Twでも洗浄停止中となる外界センサ40が、センサ系4全体としてのセンシング精度には影響し難くなる。故に、センシングと洗浄とのバランスを図って、センサ系4全体でのセンシング精度を確保すること、ひいては自動運転制御の精度を確保することが可能となる。
【0044】
第一実施形態によると、停止タイミングtsの外界センサ40が取得する低優先度Psの停止画像データDsは、噴射タイミングtiの外界センサ40が取得する高優先度Piの噴射画像データDiにより、代替される。このように洗浄中となる噴射タイミングtiの外界センサ40を有効活用することによれば、洗浄停止中となる停止タイミングtsの外界センサ40がセンサ系4全体としてのセンシング精度に影響するのを、抑制することが可能となる。
【0045】
第一実施形態によると、低優先度Psの停止画像データDsは、高優先度Piの噴射画像データDiとして、停止画像データDsに解像度をマッチングさせた噴射画像データDiにより、代替される。これによれば、停止画像データDsが低優先度Psに制御されても、高優先度Piの噴射画像データDiを停止画像データDsと擬制して、停止タイミングtsの外界センサ40に関するデータ欠損を回避することができる。このように、噴射タイミングtiの外界センサ40による取得データDiを有効活用することによれば、停止タイミングtsの外界センサ40による取得データDsがセンサ系4全体としてのセンシング精度に影響するのを、抑制することが可能となる。
【0046】
第一実施形態によると、洗浄流体としての洗浄ガスによる噴射タイミングtiの外界センサ40が、噴射画像データDiの高優先度制御によって活用される場合、特に自動運転モードでの画像認識において有利となる。
【0047】
(第二実施形態)
図10,11に示す第二実施形態は、第一実施形態の変形例である。
【0048】
第二実施形態の優先度制御部2120は、低優先度Psの停止画像データDsにおける一部を、高優先度Piの噴射画像データDiにおける一部によって補正する。このとき停止画像データDsからは、センシングエリアAα,Aβの重複した各外界センサ40となる光学センサ41及びセンシングカメラ42の外界面33のうち、停止タイミングtsの外界面33において汚れに対応すると想定される汚れ画素領域Rdが、抽出される。例えば汚れ画素領域Rdは、過去と現在とでの停止画像データDsの比較等により、抽出される。一方、光学センサ41及びセンシングカメラ42のうち、噴射タイミングtiの外界センサ40による噴射画像データDiからは、汚れ画素領域Rdに対応すると想定される噴射画素領域Riが、抽出される。例えば噴射画素領域Riは、光学センサ41の外光画像データDαとセンシングカメラ42のカメラ画像データDβとの各画素間に予め設定された関連付け情報等に基づき、抽出される。
【0049】
これらの抽出結果に基づき優先度制御部2120は、停止画像データDsにおける汚れ画素領域Rdの画素値を、噴射画像データDiにおいて汚れ画素領域Rdに解像度マッチングさせた噴射画素領域Riの画素値により、補正する。このとき例えば、停止画像データDsがセンシングカメラ42のカメラ画像データDβ且つ噴射画像データDiが光学センサ41の外光画像データDαとなる場合、
図12に示すようにカメラ画像データDβの汚れ画素領域Rdは、外光画像データDαにおいてアップサンプリングされた噴射画素領域Riにより、補正される。一方、停止画像データDsが光学センサ41の外光画像データDα且つ噴射画像データDiがセンシングカメラ42のカメラ画像データDβとなる場合、
図13に示すように外光画像データDαの汚れ画素領域Rdは、カメラ画像データDβにおいてダウンサンプリングされた噴射画素領域Riにより、補正される。
【0050】
こうした第二実施形態による車両用制御方法のフローでは、
図14に示すようにS102に代わるS2102において優先度制御部2120が、停止画像データDsにおける汚れ画素領域Rdを、噴射画像データDiにおける噴射画素領域Riにより補正する。
【0051】
このように第二実施形態によると、低優先度Psの停止画像データDsにおいて外界面33の汚れに対応すると想定される汚れ画素領域Rdが、高優先度Piの噴射画像データDiにおいて汚れ画素領域Rdに対応すると想定される噴射画素領域Riにより、補正される。これによれば、汚れの写る停止画像データDsであっても、高優先度Piの噴射画像データDiを有効活用して、データ誤差を低減することができる。故に、停止タイミングtsの外界センサ40による取得データDsがセンサ系4全体としてのセンシング精度に影響するのを、抑制することが可能となる。
【0052】
(第三実施形態)
図15,16に示す第三実施形態は、第一実施形態と第二実施形態との切り替えを条件に応じて実行する、変形例である。
【0053】
第三実施形態の優先度制御部3120は、低優先度Psの停止画像データDsにおける汚れ画素領域Rdの合計画素数が補正範囲内に収まる間は、高優先度Piの噴射画像データDiにおける噴射画素領域Riにより、当該汚れ画素領域Rdを補正する。噴射画素領域Riによる汚れ画素領域Rdの補正処理は、第二実施形態に準ずる。一方、低優先度Psの停止画像データDsにおける汚れ画素領域Rdの合計画素数が補正範囲外まで増大すると、停止画像データDsを噴射画像データDiにより代替する。噴射画像データDiによる停止画像データDsの代替処理は、第一実施形態に準ずる。
【0054】
優先度制御部3120において、代替処理と補正処理との切り替え基準となる補正範囲は、常に一定の範囲に固定設定されてもよいし、停止画像データDsにおける汚れ画素領域Rdの位置に応じて可変設定されてもよい。例えば可変設定される場合の補正範囲は、停止画像データDsにおいて汚れ画素領域Rdが中心視野に近づくほど、補正範囲の内外を決める画素数閾値を減少させるように、設定される。
【0055】
こうした第三実施形態による車両用制御方法のフローでは、
図17に示すようにS102,S2102に代わるS3102において優先度制御部3120が、優先度制御サブルーチンを実行する。
【0056】
図18に示すように、優先度制御サブルーチンのS3201では、停止タイミングtsの外界センサ40を通じて取得される停止画像データDsの優先度Psを、噴射タイミングtiの外界センサ40を通じて取得される噴射画像データDiの優先度Piよりも低く、優先度制御部3120が制御する。
【0057】
優先度制御サブルーチンの続く3202では、停止画像データDsにおける汚れ画素領域Rdの合計画素数が補正範囲内であるか否かを、優先度制御部3120が判定する。その結果、汚れ画素領域Rdの合計画素数が補正範囲内である間は、優先度制御サブルーチンがS3203へ移行する。一方、汚れ画素領域Rdの画素数が補正範囲外になると、優先度制御サブルーチンがS3204へ移行する。
【0058】
S3203において優先度制御部3120は、停止画像データDs汚れ画素領域Rdを噴射画像データDiの噴射画素領域Riにより補正する。一方、S3204において優先度制御部3120は、停止画像データDsに解像度をマッチングさせた噴射画像データDiにより、停止画像データDsを代替する。
【0059】
このように第三実施形態によると、停止画像データDsにおいて外界面33の汚れに対応すると想定される汚れ画素領域Rdの画素数が補正範囲内に収まる間は、噴射画像データDiにおいて汚れ画素領域Rdに対応すると想定される噴射画素領域Riにより、汚れ画素領域Rdが補正される。また一方、汚れ画素領域Rdの画素数が補正範囲外まで増大すると、停止画像データDs全体が噴射画像データDiにより代替されることとなる。これらによれば、例えば汚れ状態の程度又は時間変化等に適合する優先度制御を選択して、センサ系4全体でのセンシング精度を確保する効果の信頼度を、高めることが可能となる。
【0060】
第三実施形態によると、停止画像データDsにおける汚れ画素領域Rdの位置に応じて、補正範囲が可変設定されてもよい。これによれば優先度制御を、例えば汚れ状態の程度又は時間変化等に対して適合させるだけでなく、汚れ画素領域Rdの位置に応じた画像認識上での重要度に対しても適合させることができる。故に、センサ系4全体でのセンシング精度を確保する効果の信頼度を、担保することが可能となる。
【0061】
(第四実施形態)
図19に示す第四実施形態は、第一実施形態の変形例である。
【0062】
第四実施形態において車両用制御装置1の構築する機能部には、区分制御部4110が追加されている。区分制御部4110は、洗浄期間Twにおいて各外界センサ40の外界面33における汚れを、検知する。そこで、
図20,21に示されるように区分制御部4110は、洗浄期間Twにおける光学センサ41の外光モード期間に取得の画像データにおいて、外界面33の汚れに対応すると想定される汚れ画素領域Rdの合計画素数が清浄範囲内にある外界センサ40を、清浄な外界面33の検知される清浄センサ40cとして区分する。一方、
図20,21に示されるように区分制御部4110は、洗浄期間Twにおける光学センサ41の外光モード期間に取得の画像データにおいて、汚れ画素領域Rdの合計画素数が清浄範囲外にある外界センサ40を、汚れた外界面33の検知される汚れセンサ40dとして区分する。
【0063】
区分制御部4110において、清浄センサ40c及び汚れセンサ40dの区分基準となる清浄範囲は、常に一定の範囲に固定設定されてもよいし、汚れ画像データDdにおける汚れ画素領域Rdの位置に応じて可変設定されてもよい。例えば可変設定される場合の清浄範囲は、汚れ画像データDdにおいて汚れ画素領域Rdが中心視野に近づくほど、清浄範囲の内外を決める閾値を減少させるように、設定される。
【0064】
ここで特に、洗浄期間Twにおいて噴射タイミングtiが交互に切り替えられる外界センサ40同士となる光学センサ41及びセンシングカメラ42では、一方が清浄センサ40c且つ他方が汚れセンサ40dに区分される場合と、その逆区分の場合とが少なくとも発生する。例えば、外光画像データDαにおける汚れ画素領域Rdの画素数が清浄範囲内且つカメラ画像データDβにおける汚れ画素領域Rdの画素数が清浄範囲外となる場合、
図20の如く光学センサ41が清浄センサ40cに且つセンシングカメラ42が汚れセンサ40dに区分される。一方、カメラ画像データDβにおける汚れ画素領域Rdの画素数が清浄範囲内且つ外光画像データDαにおける汚れ画素領域Rdの画素数が清浄範囲外となる場合、
図21の如くセンシングカメラ42が清浄センサ40cに且つ光学センサ41が汚れセンサ40dに区分される。尚、洗浄期間Twの後段において前段からの切替直後に双方が清浄センサ40cに区分される場合も想定可能であるが、その場合の制御については以下での説明を省略する。
【0065】
図19~21に示すように第四実施形態の優先度制御部4120は、洗浄期間Twにおける清浄センサ40c及び汚れセンサ40dの区分結果を、区分制御部4110から取得する。優先度制御部4120は、汚れセンサ40dを通じて取得される汚れ画像データDdの優先度Pdを、清浄センサ40cを通じて取得される清浄画像データDcの優先度Pcよりも、低く制御する。特に汚れ画像データDdと清浄画像データDcとは、センシングエリアAα,Aβの重複した外界センサ40同士となる光学センサ41及びセンシングカメラ42一方と他方とにより、洗浄期間Twにおいて光学センサ41の外光モード期間に取得されることで、優先度制御される。その結果、高優先度Pc側の清浄画像データDcは、自動運転モードでの車両2の制御にそのまま活用される。
【0066】
これに対して第四実施形態の優先度制御部4120は、低優先度Pdの汚れ画像データDdを、高優先度Pcの清浄画像データDcにより代替する。特に汚れ画像データDdは、清浄画像データDcの解像度を汚れ画像データDdに合わせるマッチング処理が実行されることで、当該マッチング処理後の清浄画像データDcにより代替される。このとき例えば、汚れ画像データDdがセンシングカメラ42のカメラ画像データDβ且つ清浄画像データDcが光学センサ41の外光画像データDαとなる場合、
図22に示すように汚れ画像データDdは、アップサンプリングによって解像度のマッチングされた外光画像データDαにより、代替される。一方、汚れ画像データDdが光学センサ41の外光画像データDα且つ清浄画像データDcがセンシングカメラ42のカメラ画像データDβとなる場合、
図23に示すように汚れ画像データDdは、ダウンサンプリングによって解像度のマッチングされたカメラ画像データDβにより、代替される。以上の結果、低優先度Pd側の汚れ画像データDdは、清浄画像データDcにより代替されてから、自動運転モードでの車両2の制御に活用される。
【0067】
こうした第四実施形態による車両用制御方法のフローでは、
図24に示すようにS102に代わるS4102に先立ってS4101が実行される。S4101において区分制御部4110は、洗浄期間Twにおける各外界センサ40を、清浄な外界面33の検知される清浄センサ40cと、汚れた外界面33の検知される汚れセンサ40dとに、区分する。
【0068】
S4102において優先度制御部4120は、洗浄期間Twにおいて汚れセンサ40dを通じて取得される汚れ画像データDdの優先度Pdを、清浄センサ40cを通じて取得される清浄画像データDcの優先度Pcよりも、低く制御する。このとき優先度制御部4120は、汚れ画像データDdに解像度をマッチングさせた清浄画像データDcにより、汚れ画像データDdを代替する。
【0069】
(作用効果)
以上説明した第四実施形態の作用効果を、以下に説明する。
【0070】
第四実施形態によると、洗浄系5による洗浄関連処理を実行する洗浄期間Twにおいて、洗浄流体の噴射を実行する噴射タイミングtiと、当該噴射を停止する停止タイミングtsとのうち、いずれかのタイミングが各外界センサ40の外界面33に対して個別に割り当てられる。そこで第四実施形態の洗浄期間Twに、汚れた外界面33が検知される外界センサ40として区分の、汚れセンサ40dを通じて取得される汚れ画像データDdの優先度Pdは、清浄な外界面33が検知される外界センサ40として区分の、清浄センサ40cを通じて取得される清浄画像データDcの優先度Pcよりも、低く制御される。これによれば、洗浄期間Twにおいても停止タイミングtsとなることで汚れの検知された汚れセンサ40d(
図20,21参照)が、センサ系4全体としてのセンシング精度には影響し難くなる。故に、センシングと洗浄とのバランスを図って、センサ系4全体でのセンシング精度を確保すること、ひいては自動運転制御の精度を確保することが可能となる。
【0071】
第四実施形態によると、汚れセンサ40dが取得する低優先度Pdの汚れ画像データDdは、清浄センサ40cが取得する高優先度Pcの清浄画像データDcにより、代替される。これによれば、洗浄期間Twに噴射タイミングtiとなることで清浄化された清浄センサ40c(
図20,21参照)を有効活用して、洗浄期間Twに停止タイミングtsとなることで汚れの検知された汚れセンサ40dを補完することができる。故に、汚れセンサ40dがセンサ系4全体としてのセンシング精度に影響するのを、抑制することが可能となる。
【0072】
第四実施形態によると、低優先度Pdの汚れ画像データDdは、高優先度Pcの清浄画像データDcとして、汚れ画像データDdに解像度をマッチングさせた清浄画像データDcにより、代替される。これによれば、汚れ画像データDdが低優先度Pdに制御されても、高優先度Pcの清浄画像データDcを汚れ画像データDdと擬制して、汚れセンサ40dに関するデータ欠損を回避することができる。このように、清浄センサ40cによる取得データDcを有効活用することによれば、汚れセンサ40dによる取得データDdがセンサ系4全体としてのセンシング精度に影響するのを、抑制することが可能となる。
【0073】
第四実施形態によると、洗浄流体としての洗浄ガスにより洗浄されることで外界面33の清浄化された清浄センサ40cが、清浄画像データDcの高優先度制御によって活用される場合、特に自動運転モードでの画像認識において有利となる。
【0074】
(第五実施形態)
図25,26に示す第五実施形態は、第四実施形態の変形例である。
【0075】
第五実施形態の優先度制御部5120は、低優先度Pdの汚れ画像データDdにおける一部を、高優先度Pcの清浄画像データDcにおける一部によって補正する。このとき清浄画像データDcからは、センシングエリアAα,Aβの重複した各外界センサ40となる光学センサ41及びセンシングカメラ42の外界面33のうち、汚れセンサ40dの外界面33において汚れに対応すると想定される汚れ画素領域Rdが、抽出される。例えば汚れ画素領域Rdは、過去と現在とでの汚れ画像データDdの比較等により、抽出される。一方、光学センサ41及びセンシングカメラ42のうち、清浄センサ40cによる清浄画像データDcからは、汚れ画素領域Rdに対応すると想定される清浄画素領域Rcが、抽出される。例えば清浄画素領域Rcは、光学センサ41の外光画像データDαとセンシングカメラ42のカメラ画像データDβとの各画素間に予め設定された関連付け情報等に基づき、抽出される。
【0076】
これらの抽出結果に基づき優先度制御部5120は、汚れ画像データDdにおける汚れ画素領域Rdの画素値を、清浄画像データDcにおいて汚れ画素領域Rdに解像度マッチングさせた清浄画素領域Rcの画素値により、補正する。このとき例えば、汚れ画像データDdがセンシングカメラ42のカメラ画像データDβ且つ清浄画像データDcが光学センサ41の外光画像データDαとなる場合、
図27に示すようにカメラ画像データDβの汚れ画素領域Rdは、外光画像データDαにおいてアップサンプリングされた清浄画素領域Rcにより、補正される。一方、汚れ画像データDdが光学センサ41の外光画像データDα且つ清浄画像データDcがセンシングカメラ42のカメラ画像データDβとなる場合、
図28に示すように外光画像データDαの汚れ画素領域Rdは、カメラ画像データDβにおいてダウンサンプリングされた清浄画素領域Rcにより、補正される。
【0077】
こうした第五施形態による車両用制御方法のフローでは、
図29に示すようにS4102に代わるS5102において優先度制御部5120が、汚れ画像データDdの汚れ画素領域Rdを清浄画像データDcの清浄画素領域Rcにより補正する。
【0078】
このように第五実施形態によると、低優先度Pdの汚れ画像データDdにおいて外界面33の汚れに対応すると想定される汚れ画素領域Rdが、高優先度Pcの清浄画像データDcにおいて汚れ画素領域Rdに対応すると想定される清浄画素領域Rcにより、補正される。これによれば、汚れの写る汚れ画像データDdであっても、高優先度Piの清浄画像データDcを有効活用して、データ誤差を低減することができる。故に、洗浄期間Twでも停止タイミングtsとなることで外界面33の汚れた汚れセンサ40dによる取得データDdが、センサ系4全体としてのセンシング精度に影響するのを、抑制することが可能となる。
【0079】
(第六実施形態)
図30,31に示す第六実施形態は、第四実施形態と第五実施形態との切り替えを条件に応じて実行する、変形例である。
【0080】
第六実施形態の優先度制御部6120は、汚れセンサ40dの汚れ画像データDdにおける汚れ画素領域Rdの合計画素数が、清浄範囲外のうち補正範囲内に収まる間は、清浄センサ40cの清浄画像データDcにおける清浄画素領域Rcにより、当該汚れ画素領域Rdを補正する。清浄画素領域Rcによる汚れ画素領域Rdの補正処理は、第五実施形態に準ずる。一方、汚れセンサ40dの汚れ画像データDdにおける汚れ画素領域Rdの合計画素数が、清浄範囲外のうち補正範囲外まで増大すると、汚れ画像データDdを清浄画像データDcにより代替する。清浄画像データDcによる汚れ画像データDdの代替処理は、第四実施形態に準ずる。
【0081】
優先度制御部6120において、代替処理と補正処理との切り替え基準となる補正範囲は、清浄範囲の内外を決める画素数閾値を境界値として、当該境界値以上又は当該境界値超過の範囲に設定される。特に補正範囲は、常に一定の範囲に固定設定されてもよいし、汚れ画像データDdにおける汚れ画素領域Rdの位置に応じて可変設定されてもよい。例えば可変設定される場合の補正範囲は、汚れ画像データDdにおいて汚れ画素領域Rdが中心視野に近づくほど、補正範囲の内外を決める画素数閾値を減少させるように、設定される。
【0082】
こうした第六実施形態による車両用制御方法のフローでは、
図32に示すようにS4102,S5102に代わるS6102において優先度制御部6120が、優先度制御サブルーチンを実行する。
【0083】
図33に示すように、優先度制御サブルーチンのS6201では、洗浄期間Twにおいて汚れセンサ40dを通じて取得される汚れ画像データDdの優先度Pdを、清浄センサ40cを通じて取得される清浄画像データDcの優先度Pcよりも低く、優先度制御部6120が制御する。
【0084】
優先度制御サブルーチンの続くS6202では、汚れ画像データDdにおける汚れ画素領域Rdの合計画素数が補正範囲内であるか否かを、優先度制御部6120が判定する。その結果、汚れ画素領域Rdの合計画素数が補正範囲内である間は、優先度制御サブルーチンがS6203へ移行する。一方、汚れ画素領域Rdの合計画素数が補正範囲外になると、優先度制御サブルーチンがS6204へ移行する。
【0085】
S6203において優先度制御部6120は、汚れ画像データDdの汚れ画素領域Rdを清浄画像データDcの清浄画素領域Rcにより補正する。一方、S6204において優先度制御部6120は、汚れ画像データDdに解像度をマッチングさせた清浄画像データDcにより、汚れ画像データDdを代替する。
【0086】
このように第六実施形態によると、汚れ画像データDdにおいて外界面33の汚れに対応すると想定される汚れ画素領域Rdの画素数が補正範囲内に収まる間は、清浄画像データDcにおいて汚れ画素領域Rdに対応すると想定される清浄画素領域Rcにより、汚れ画素領域Rdが補正される。また一方、汚れ画素領域Rdの画素数が補正範囲外まで増大すると、汚れ画像データDd全体が清浄画像データDcにより代替されることになる。これらによれば、例えば汚れ状態の程度又は時間変化等に適合する優先度制御を選択して、センサ系4全体でのセンシング精度を確保する効果の信頼度を、高めることが可能となる。
【0087】
第六実施形態によると、汚れ画像データDdにおける汚れ画素領域Rdの位置に応じて、補正範囲が可変設定されてもよい。これによれば優先度制御を、例えば汚れ状態の程度又は時間変化等に対して適合させるだけでなく、汚れ画素領域Rdの位置に応じた画像認識上での重要度に対しても適合させることができる。故に、センサ系4全体でのセンシング精度を確保する効果の信頼度を、担保することが可能となる。
(他の実施形態)
【0088】
以上、複数の実施形態について説明したが、本開示は、それらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
【0089】
変形例において車両用制御装置1を構成する専用コンピュータは、車両2との間にて通信可能な少なくとも一つの外部センターコンピュータであってもよい。変形例において車両用制御装置1を構成する専用コンピュータは、デジタル回路及びアナログ回路のうち、少なくとも一方をプロセッサとして含んでいてもよい。ここでデジタル回路とは、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、SOC(System on a Chip)、PGA(Programmable Gate Array)、及びCPLD(Complex Programmable Logic Device)等のうち、少なくとも一種類である。またこうしたデジタル回路は、プログラムを格納したメモリを、有していてもよい。
【0090】
変形例において優先度Ps,Pi,Pd,Pcは、車両2の自動運転モードに加えて又は代えて、手動運転モードにおいて制御されてもよい。変形例において各外界センサ40の外界面33は、共通のセンサ窓32により形成されて、個別の洗浄ノズル51による洗浄領域が区別されていてもよい。変形例において外界面33を形成するセンサ窓32は、外界センサ40自体に設けられていてもよい。変形例において外界面33は、外界センサ40自体のうち、例えばレンズ等の光学部材により、形成されていてもよい。
【0091】
変形例においてセンシングエリアが重複する外界センサ40同士は、いずれも光学センサ41であってもよい。変形例においてセンシングエリアが重複する外界センサ40同士は、いずれもセンシングカメラ42であってもよい。変形例においてセンシングエリアが重複する外界センサ40同士のうち少なくとも一方は、画像データを生成可能であれば光学センサ41及びセンシングカメラ42以外の、例えばイメージングレーダ等であってもよい。
【符号の説明】
【0092】
1:車両用制御装置、2:車両、4:センサ系、5:洗浄系、12:プロセッサ、33:外界面、40:外界センサ、40c:清浄センサ、40d:汚れセンサ、100:噴射制御部、120,2120,3120,4120,6120:優先度制御部、4110:区分制御部、ADU:自動運転ユニット、Aα,Aβ:センシングエリア、Di:噴射画像データ、Ds:停止画像データ、Dc:清浄画像データ、Dd:汚れ画像データ、Ps,Pi,Pd,Pc,:優先度、Rd:汚れ画素領域、Ri:噴射画素領域、Rc:清浄画素領域、洗浄期間:Tw