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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】シフト装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 20/02 20060101AFI20240925BHJP
【FI】
B60K20/02 Z
B60K20/02 F
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021031523
(22)【出願日】2021-03-01
(65)【公開番号】P2022132835
(43)【公開日】2022-09-13
【審査請求日】2024-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139365
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 武雄
(74)【代理人】
【識別番号】100150304
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 勉
(72)【発明者】
【氏名】加藤 耕平
(72)【発明者】
【氏名】前森 隆年
(72)【発明者】
【氏名】内山 達司
(72)【発明者】
【氏名】猪原 弘泰
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-056591(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 20/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シフトシャフトの回転に応じて変速装置にシフトチェンジさせる鞍乗型車両のシフト装置であって、
シフト操作を受け付ける操作部が設けられたシフトレバーと、
前記シフトシャフトに一体回転可能に設けられたシフトセンサと、
前記シフトレバーと前記シフトセンサを連結するシフトロッドと、を備え、
前記シフトセンサは、
前記シフトシャフトが保持されると共に前記シフトロッドが連結されるセンサ本体と、
前記シフトロッドの動きから前記シフトレバーへのシフト操作を検出するセンサ部と、
上方及び下方の少なくとも一方向からの外力から前記センサ部を保護する保護部と、を有し
前記センサ部は、前記センサ本体から車幅方向外側に突出しており、
前記保護部は、前記センサ本体の上部及び下部の少なくとも一部から前記センサ部に近づくにしたがって車幅方向外側への突出量が増えることを特徴とするシフト装置。
【請求項2】
前記操作部は前記シフトセンサの後方に位置しており、上下方向で前記操作部が前記シフトセンサと同じ高さに位置付けられていることを特徴とする請求項1に記載のシフト装置。
【請求項3】
前記シフトロッドの延在方向にて、前記シフトセンサの前端から前記操作部の前端までの距離が前記シフトロッドの長さの半分以下であり、
前記操作部と前記シフトセンサの下部が同じ高さに位置付けられ、前記センサ部の上方及び下方に前記保護部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のシフト装置。
【請求項4】
前記操作部は前記シフトセンサの前方に位置しており、下方向で前記操作部が前記シフトセンサと同じ高さに位置付けられていることを特徴とする請求項1に記載のシフト装置。
【請求項5】
前記シフトレバーは前記シフトセンサよりも車幅方向外側に配置されており、
車両側面視にて、前記シフトレバーの一部が前記シフトセンサに重なり、前記センサ部の上方又は下方を前記シフトレバーが横切ることを特徴とする請求項4に記載のシフト装置。
【請求項6】
車両側面視にて、前記操作部は前記センサ部と同じ高さに位置付けられ、前記センサ部よりも下方に前記シフトレバーが位置付けられ、前記センサ部よりも上方に前記保護部が位置付けられていることを特徴とする請求項5に記載のシフト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鞍乗型車両のシフト装置として、運転者によるシフト操作を検出して、クラッチ操作を行うことなくシフトチェンジ可能なクイックシフトを採用したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のシフト装置は、クランクケースの上部側面からシフトシャフトの一端が突出し、クランクケースの下部側面から後方にシフトレバーが延びている。シフトシャフトの一端にリンクアームを介してシフトロッドの上端が連結され、シフトレバーの中間位置にシフトロッドの下端が連結されている。この上下に長いシフトロッドにシフトセンサが一体に設けられ、シフトロッドに作用する操作荷重に応じてシフト操作が検出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6107621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、シフトロッドにシフトセンサを一体に設けるためには、シフトロッドの長さを十分に確保しなければならない。特許文献1のシフト装置では、シフトレバーとシフトロッドが直交するように配置されているが、機種によってはシフトレバーとシフトロッドの両方が前後に延びるように配置されることがある。このようなシフト装置はシフトレバーの先端の操作部にシフトセンサが近づけられることで小型化されるが、運転者の足がシフトセンサに当たり易くなるという不具合がある。
【0005】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、シフトセンサとシフトレバーの操作部が近いレイアウトでも、運転者の足からシフトセンサを保護することができるシフト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様のシフト装置は、シフトシャフトの回転に応じて変速装置にシフトチェンジさせる鞍乗型車両のシフト装置であって、シフト操作を受け付ける操作部が設けられたシフトレバーと、前記シフトシャフトに一体回転可能に設けられたシフトセンサと、前記シフトレバーと前記シフトセンサを連結するシフトロッドと、を備え、前記シフトセンサは、前記シフトシャフトが保持されると共に前記シフトロッドが連結されるセンサ本体と、前記シフトロッドの動きから前記シフトレバーへのシフト操作を検出するセンサ部と、上方及び下方の少なくとも一方向からの外力から前記センサ部を保護する保護部と、を有し、前記センサ部は、前記センサ本体から車幅方向外側に突出しており、前記保護部は、前記センサ本体の上部及び下部の少なくとも一部から前記センサ部に近づくにしたがって車幅方向外側への突出量が増えることで上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様のシフト装置によれば、シフトセンサがシフト操作を検出する機能に加えて、シフトセンサがシフトシャフトとシフトロッドを連結するリンクアームとして機能している。シフトロッドの長さが十分に確保できないレイアウトであっても、シフト装置にシフトセンサを設けることができる。また、シフトセンサとシフトレバーの操作部が近づけられても、保護部によって運転者の足からセンサ部を保護することができる。さらに、保護部によって上方及び下方からの飛び石等の飛来物からセンサ部を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施例の鞍乗型車両の左側面図である。
図2】比較例のシフト装置の左側面図である。
図3】第1の実施例のエンジン周辺の左側面図である。
図4】第1の実施例のエンジン周辺の下面図である。
図5】第1の実施例のシフト装置の左側面図である。
図6】第1の実施例のシフト装置の右側面図である。
図7】第1の実施例のシフトシャフトの前面図である。
図8】第2の実施例のエンジン周辺の左側面図である。
図9】第2の実施例のシフト装置の左側面図である。
図10】第2の実施例のシフト装置の右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一態様のシフト装置によれば、鞍乗型車両のシフトシャフトの回転に応じて変速装置にシフトチェンジを実施させる。シフトレバーにはシフト操作を受け付ける操作部が設けられ、シフトシャフトにはシフトセンサが一体回転可能に設けられ、シフトレバーとシフトセンサがシフトロッドを介して連結されている。シフトセンサのセンサ本体にはシフトシャフトが保持されると共にシフトロッドが連結され、シフトセンサのセンサ部によってシフトロッドの動きからシフトレバーに対するシフト操作が検出される。シフトセンサがシフト操作を検出する機能に加えて、シフトセンサがシフトシャフトとシフトロッドを連結するリンクアームとして機能している。シフトロッドの長さが十分に確保できないレイアウトであっても、シフト装置にシフトセンサを設けることができる。また、シフトセンサには、上方及び下方の少なくとも一方向からの外力からセンサ部を保護する保護部が設けられている。シフトセンサとシフトレバーの操作部が近づけられても、保護部によって運転者の足からセンサ部を保護することができる。さらに、保護部によって上方及び下方からの飛び石等の飛来物からセンサ部を保護することができる。
【実施例
【0010】
以下、添付図面を参照して、第1の実施例について詳細に説明する。図1は第1の実施例の鞍乗型車両の左側面図である。図2は比較例のシフト装置の左側面図である。また、以下の図では、矢印FRは車両前方、矢印REは車両後方、矢印Lは車両左方、矢印Rは車両右方をそれぞれ示している。
【0011】
図1に示すように、鞍乗型車両1は、アルミ鋳造によって形成されるツインスパー型の車体フレーム10に、エンジン30や電装系等の各種部品を搭載して構成されている。車体フレーム10はヘッドパイプ11から左右に分岐して後方に延びる一対のメインフレーム12と、ヘッドパイプ11から左右に分岐して下方に延びる一対のダウンフレーム13とを有している。一対のメインフレーム12によってエンジン30の後部が支持され、一対のダウンフレーム13によってエンジン30の前部が支持されている。エンジン30が車体フレーム10に支持されることで車両全体の剛性が確保されている。
【0012】
メインフレーム12の前側部分はエンジン30の上方に位置するタンクレール14になっており、タンクレール14によって燃料タンク16が支持されている。メインフレーム12の後側部分はエンジン30の後方に位置するボディフレーム15になっており、ボディフレーム15の上下方向の略中間位置にスイングアーム17が揺動可能に支持されている。スイングアーム17はリンクプレート18及びリアサスペンション19を介してボディフレーム15の上部に連結されている。ボディフレーム15の上部からはシートレール21とバックステー22が後方に向かって延びており、シートレール21上にライダーシート23が支持されている。
【0013】
ヘッドパイプ11には一対のフロントフォーク24が支持されており、フロントフォーク24の下端には前輪25が回転可能に支持されている。スイングアーム17はボディフレーム15から後方に延びており、スイングアーム17の後端には後輪26が回転可能に支持されている。後輪26にはチェーンドライブ式の変速機構を介してエンジン30が連結されており、変速機構を介してエンジン30からの動力が後輪26に伝達されている。また、ボディフレーム15にはフートレストブラケット27を介してフートレスト28が設けられている。エンジン30の下部と左側のフートレスト28の間にシフト装置50が設けられている。
【0014】
ところで、図2(A)に示すように、比較例のシフト装置130は、シフトロッド131にシフトセンサ132が取り付けられている。このシフト装置130では、シフトロッド131の後端にシフトレバー133が連結され、シフトロッド131の前端にリンクアーム134を介してシフトシャフト135が連結される。シフトレバー133のシフト操作がシフトシャフト135に伝えられ、シフトシャフト135が回転されることで変速機構がシフトチェンジされる。しかしながら、シフトロッド131が長く確保できないレイアウトでは、シフトロッド131にシフトセンサ132を取り付けることはできない。
【0015】
図2(B)に示すように、リンクアーム134をリンクアーム形状のシフトセンサ136に置き換えることで、シフトロッド131が短いレイアウトであっても、シフトセンサ136を設けることができる。この場合、シフトセンサ136とシフトレバー133の操作部137が近づけられて、操作部137を操作する運転者の足がシフトセンサ136に接触し易くなってシフトセンサ136のセンサ部分が損傷するおそれがある。そこで、本実施例では運転者の足等からシフトセンサ60(図5参照)のセンサ部分を保護するように、シフトセンサ60に対して一対の保護部64、65が設けられている。
【0016】
図3及び図4を参照して、シフト装置の配置構成について説明する。図3は第1の実施例のエンジン周辺の左側面図である。図4は第1の実施例のエンジン周辺の下面図である。なお、図3及び図4では、エンジンからスプロケットカバーを取り外した状態を示している。
【0017】
図3及び図4に示すように、エンジン30は、アッパケース32及びロアケース33から成る上下割構造のクランクケース31を有している。アッパケース32はシリンダと一体化しており、アッパケース32の上部にはシリンダヘッド34及びシリンダヘッドカバー(不図示)が取り付けられている。シリンダヘッド34及びシリンダヘッドカバーの内側には吸排気バルブを作動させる動弁装置(不図示)が収容されている。ロアケース33の下部には潤滑及び冷却用のオイルを貯留するオイルパン35が取り付けられている。クランクケース31の左側面にはマグネト(不図示)を側方から覆うマグネトカバー36が取り付けられている。
【0018】
マグネトカバー36の内側にはクランク軸41が配置され、クランク軸41の後方にはクランク軸41と平行にカウンタ軸42及びドライブ軸43が配置されている。このように、クランク軸41、カウンタ軸42、ドライブ軸43が前後方向に並んで配置されている。カウンタ軸42の下方にはウォータポンプ44が配置され、ドライブ軸43の下方にはドライブ軸43と平行にシフトカム45が配置されている。さらに、シフトカム45の後方にはシフトカム45と平行にシフトシャフト51が配置され、ロアケース33の左側面から突出したシフトシャフト51の一端にはシフトセンサ60が一体回転可能に取り付けられている。
【0019】
シフトセンサ60は、ドライブ軸43の下方でウォータポンプ44とボディフレーム15の間に配置されている。また、シフトセンサ60はウォータポンプ44の下端よりも上方で、マグネトカバー36よりも車幅方向の内側に位置している(特に図4参照)。ウォータポンプ44がシフトセンサ60を前方から覆うように配置されているため、ウォータポンプ44によって前方からの飛び石等の飛来物からシフトセンサ60が効果的に保護されている。シフトセンサ60の前面からリード線74が斜め上方に延びており、シフトセンサ60の後方のシフトレバー52の操作部56にリード線74が絡まることがない。
【0020】
ボディフレーム15の後縁にはフートレストブラケット27が取り付けられ、フートレストブラケット27にはフートレスト28と同軸にシフトレバー52が取り付けられている。シフトレバー52は、ロングアーム53とショートアーム54によって側面視略L字状に形成されている。シフトレバー52の屈曲部分には、フートレストブラケット27に揺動可能に支持される取付部55(図5参照)が形成されている。取付部55から前方に向かって斜め下方にロングアーム53が延びており、ロングアーム53の先端にはシフト操作を受け付ける操作部56が設けられている。ロングアーム53の先端側は車両側面視でボディフレーム15に重なっている。
【0021】
フートレスト28から略下方にショートアーム54が延びており、ショートアーム54の先端にはジョイント58を介してシフトロッド57の後端が連結されている。シフトロッド57はジョイント58から前方に向かって斜め上方に延びており、ボディフレーム15の車幅方向外側を横切っている。シフトロッド57の前端にはジョイント59を介してシフトセンサ60の上部が連結されている。シフトセンサ60、シフトレバー52、シフトロッド57はドライブ軸43及びスイングアーム17よりも下方で、ウォータポンプ44の下端よりも上方に位置している。このように、車両下方にシフト装置50の各部材がコンパクトに配置されている。
【0022】
シフト装置50では、運転者によってシフトレバー52が操作されると、シフトロッド57を介してシフトセンサ60と共にシフトシャフト51が一体的に所定角度だけ回転される。シフトシャフト51の回転がシフトカム45に伝達されて、シフトカム45が所定角度だけ回転されることで、シフトフォーク(不図示)によってカウンタ軸42とドライブ軸43の変速ギアの組み合わせが変わってシフトチェンジが実行される。このとき、シフトセンサ60によってシフトロッド57の動きに応じてシフトレバー52に対するシフト操作が検出され、クラッチ操作を行うことなくシフトチェンジが可能になっている。
【0023】
図5から図7を参照して、シフト装置の詳細構成について説明する。図5は第1の実施例のシフト装置の左側面図である。図6は第1の実施例のシフト装置の右側面図である。図7は第1の実施例のシフトシャフトの前面図である。
【0024】
図5及び図6に示すように、シフトレバー52は、揺動支点となる取付部55から前方に向かって斜め下方にロングアーム53が延びており、この取付部55から略下方にショートアーム54が延びている。ロングアーム53は、シフトセンサ60の下端に向かって延びており、ロングアーム53の先端の操作部56がシフトセンサ60の後方に位置付けられている。ショートアーム54の先端のジョイント58からシフトセンサ60の上部のジョイント59までシフトロッド57が延びている。ロングアーム53がシフトロッド57の車幅方向外側を横切って、ロングアーム53とシフトロッド57が斜めに交差している。
【0025】
シフトレバー52の非操作状態で、ショートアーム54の傾きがシフトセンサ60の傾きに略一致している。ショートアーム54及びシフトセンサ60の傾きに直交する方向にシフトロッド57が延びており、シフトロッド57の延在方向にてシフトセンサ60の前端から操作部56の前端までの距離L1がシフトロッド57の長さL2の半分以下になっている。これにより、シフトセンサ60に操作部56が近づけられて、シフト装置50の前後長が抑えられている。シフト装置50の前後長が抑えられることで、ステップ位置が前後方向に偏って配置されることなく、運転者のライディングポジションが損なわれることがない。
【0026】
車両側面視にて、シフトロッド57の下方に操作部56とシフトセンサ60が設けられ、操作部56及びシフトセンサ60の下部が同じ高さに位置付けられている。これにより、操作部56が低くなり過ぎず、バンク角を容易に確保することができる。また、シフトロッド57の下方にシフトセンサ60が配置されることで、シフトセンサ60と一体回転するシフトシャフト51が変速装置のドライブ軸43(図3参照)から離される。このため、変速装置の軸配置の自由度が向上すると共に、ドライブチェーンからシフト装置50が離されてスプロケットカバー29(図1参照)の配置も容易になる。
【0027】
車両側面視にて、シフトロッド57の上方にシフトレバー52の取付部55が設けられ、取付部55及びシフトセンサ60の上部が同じ高さに位置付けられている。また、シフトロッド57の前端よりも後端が下方に位置しており、シフトロッド57の後端のジョイント58がシフトセンサ60の下部及び操作部56と同じ高さに位置付けられている。シフトセンサ60の上部から下部までの範囲にシフトレバー52及びシフトロッド57が収まるため、シフト装置50の高さが抑えられている。また、ロングアーム53が取付部55から操作部56に向かって斜めに延びて、シフトレバー52の長さが十分に確保されている。
【0028】
このように、シフトレバー52とシフトロッド57が交差するようにコンパクトに配置されることで、シフト装置50の前後長及び高さが抑えられて、シフト装置50の小型化が図られている。なお、操作部56、シフトセンサ60の下部、シフトロッド57の後端のジョイント58が完全に同じ高さに位置付けられている必要はなく、これらの高さが同じであると見做せる程度に僅かなズレが生じていてもよい。同様に、取付部55及びシフトセンサ60の上部は完全に同じ高さに位置付けられている必要はなく、これらの高さが同じであると見做せる程度に僅かなズレが生じていてもよい。
【0029】
また、シフトセンサ60は、シフトレバー52を操作する運転者の足から保護するように形成されている。シフトセンサ60のセンサ本体61は、側面視角丸三角形状に形成されている。センサ本体61の車幅方向外側の外側面62には、検出部としてのホールIC(Integrated Circuit)63が設けられると共に、このホールIC63を上下から挟むようにして一対の保護部64、65が設けられている。ホールIC63は、シフトロッド57の動きからシフトレバー52へのシフト操作を検出している。ホールIC63の前端から制御装置(不図示)に向けてリード線74が延びている。
【0030】
一対の保護部64、65は、上方及び下方からの外力からホールIC63を保護している。ホールIC63はセンサ本体61の外側面62から車幅方向外側に突出しており、一対の保護部64、65はセンサ本体61の上部及び下部からホールIC63に近づくにしたがって車幅方向外側への突出量を増やしている。すなわち、上側の保護部64の外面が車幅方向外側に向かって下向きに傾斜し、下側の保護部65の外面が車幅方向外側に向かって上向きに傾斜している。運転者の足によって上方又は下方から保護部64、65に外力が作用しても、外力が車幅方向外側に逸らされてホールIC63が効果的に保護されている。
【0031】
図6及び図7に示すように、センサ本体61の車幅方向内側の内側面視には、シフトシャフト51を保持する保持部67と、保持部67の前側に連なる締付ボス68とが設けられている。車両側面視にて保持部67にはセンサ本体61の略中央位置に開口が形成されており、この開口に雌型セレーション69が取り付けられている。雌型セレーション69の嵌合穴から径方向外側に向かって締付ボス68を分断するようにスリット71が形成されている。スリット71上の直線Sを挟んで、保持部67と締付ボス68の下側部分はセンサ本体61の内側面66に連なり、保持部67と締付ボス68の上側部分はセンサ本体61の内側面66から離間している。
【0032】
雌型セレーション69にはシフトシャフト51の雄型セレーションが挿し込まれて、シフトシャフト51の先端がセンサ本体61の当接面72に突き当てられて位置決めされている。このセンサ本体61の当接面72は、センサ本体61の内側面66よりも一段高くなっている。締付ボス68はセンサ本体61の下端まで延びており、締付ボス68の下側からボルト73が締め付けられる。ボルト73が締付ボス68に締め付けられることで、スリット幅が狭められて保持部67の雌型セレーション69にシフトシャフト51が保持される。これにより、シフトシャフト51にシフトセンサ60が一体回転可能に取り付けられる。
【0033】
ツールによって車両の下方からボルト73が締め付けられるため、ウォータポンプ44等の他部品のレイアウトに影響を与えずにツールラインが確保される。シフト装置50(シフトレバー52)の非操作状態で、シフトセンサ60の下端の前側が後側によりも上方になるようにシフトセンサ60が傾けられている。すなわち、シフトシャフト51を中心にして、シフトセンサ60が僅かに後方に傾けられている。上記したように、締付ボス68はシフトセンサ60の前側に形成されているため、前方からボルト73の頭部が目視し易くなって、締付ボス68に対してボルト73が締め付け易くなっている。
【0034】
センサ本体61の上部にはジョイント59を介してシフトロッド57の前端が連結されている。このように、センサ本体61の略中央にシフトシャフト51が保持され、センサ本体61の上部にシフトロッド57が連結されて、センサ本体61がシフトシャフト51とシフトロッド57を連結するリンクアームとして機能している。シフトロッド57上にシフトセンサ60を設ける構成ではないため、シフトセンサ60を取り付けるためにシフトロッド57を長く確保する必要がない。リンクアームの代わりにシフトセンサ60が用いられるため、部品点数の増加が抑えられると共にシフトセンサ60が容易に取り付けられる。
【0035】
このように構成されたシフト装置50では、車両側面視にて、前後方向でシフトセンサ60の後方に操作部56が位置付けられ、上下方向でシフトセンサ60と同じ高さに操作部56が位置付けられている。より詳細には、前後方向でシフトセンサ60の前端に操作部56の前端がシフトロッド57の長さの半分以下の距離まで近づけられ、上下方向でシフトセンサ60の下端とホールIC63の間に操作部56が位置付けられている。操作部56とホールIC63が近づけられるため、運転者の足がホールIC63に接触する可能性があるが、ホールIC63の上下にある一対の保護部64、65によって運転者の足から効果的に保護されている。
【0036】
以上、第1の実施例によれば、シフトセンサ60がシフト操作を検出する機能に加えて、シフトセンサ60がシフトシャフト51とシフトロッド57を連結するリンクアームとして機能している。シフトロッド57の長さが十分に確保できないレイアウトであっても、シフト装置50にシフトセンサ60を設けることができる。また、シフトセンサ60とシフトレバー52の操作部56が近づけられても、保護部64によって運転者の足からホールIC63を保護することができる。さらに、保護部64によって上方及び下方からの飛び石等の飛来物からホールIC63を保護することができる。
【0037】
続いて、図8から図10を参照して、第2の実施例のシフト装置について説明する。第2の実施例のシフト装置は、主にシフトセンサよりもシフトレバーの操作部が前方に位置付けられている点で第1の実施例のシフト装置と相違している。図8は第2の実施例のエンジン周辺の左側面図である。図9は第2の実施例のシフト装置の左側面図である。図10は第2の実施例のシフト装置の右側面図である。
【0038】
図8に示すように、第2の実施例のエンジン80は左右割構造のクランクケース81を有している。クランクケース81上には前側シリンダ82及び後側シリンダ83がV字状に配置されている。前側シリンダ82上にはシリンダヘッド84及びシリンダヘッドカバー(不図示)が取り付けられ、後側シリンダ83上にはシリンダヘッド86及びシリンダヘッドカバー87が取り付けられている。シリンダヘッド84、86の内側には、吸排気バルブを作動させる動弁装置(不図示)が収容されている。クランクケース81の左側面にはマグネト(不図示)を側方から覆うマグネトカバー89が取り付けられている。
【0039】
マグネトカバー89にはクランク軸91が配置され、クランク軸91の後方にはクランク軸91と平行にカウンタ軸92及びドライブ軸93が配置されている。このように、クランク軸91、カウンタ軸92、ドライブ軸93が前後方向に並んで配置されている。ドライブ軸93の下方にはシフトカバー94が配置され、シフトカバー94の内側にはドライブ軸93と平行にシフトカム95及びシフトシャフト101が配置されている。さらに、シフトカバー94の外面からシフトシャフト101の一端が突出しており、シフトシャフト101の一端にはシフトセンサ110が一体回転可能に取り付けられている。
【0040】
シフトセンサ110は、カウンタ軸92及びドライブ軸93の下方でフートレスト79の前方に配置されている。また、シフトセンサ110はマグネトカバー89の後方で、マグネトカバー89よりも車幅方向の内側に位置している。マグネトカバー89によってシフトセンサ110の前方が部分的に覆われているため、マグネトカバー89によって前方からの飛び石等の飛来物からシフトセンサ110が効果的に保護されている。シフトセンサ110の後面からボディフレーム77の前縁に沿ってリード線124が斜め上方に敷設され、シフトセンサ110の前方のシフトレバー102の操作部106にリード線124が絡まることがない。
【0041】
ボディフレーム77の外側面にはフートレストブラケット78が取り付けられ、フートレストブラケット78にはフートレスト79及びシフトレバー102が取り付けられている。シフトレバー102は、ロングアーム103とショートアーム104によって側面視略L字状に形成されている。シフトレバー102の屈曲部分には、フートレストブラケット78に揺動可能に支持される取付部105が形成されている。取付部105から前方に向かって斜め上方にロングアーム103が延びており、ロングアーム103の先端にはシフト操作を受け付ける操作部106が設けられている。ロングアーム103の先端側はシフトセンサ110の前方に位置付けられている。
【0042】
取付部105から略下方にショートアーム104が延びており、ショートアーム104の先端にはジョイント108を介してシフトロッド107の後端が連結されている。シフトロッド107は、ロングアーム103に沿うようにして、ジョイント108から前方に向かって延びている。シフトロッド107の前端にはジョイント109を介してシフトセンサ110の下部が連結されている。シフトロッド107はロングアーム103よりも短く形成されており、ロングアーム103の先端の操作部106がシフトロッド107の前端よりも前方に位置付けられている。このように、シフトセンサ110とシフトレバー102が短めのシフトロッド107によって連結されている。
【0043】
車両側面視にて、前方から後方に向かって操作部106、シフトセンサ110、フートレスト79の順に各部材が一直線上に並んでいる。これにより、シフト装置100の高さが抑えられると共に、フートレスト79の前方に操作部106が設けられてシフト操作の操作性が向上されている。フートレスト79はシフトセンサ110とシフトレバー102の取付部105の間に配置されている。フートレスト79の後方に取付部105が位置しており、シフトセンサ110の前方に操作部106が位置しているため、シフトレバー102の取付部105から操作部106までのロングアーム103の長さ十分に確保されている。
【0044】
図9及び図10に示すように、シフトレバー102のロングアーム103の基端部分は揺動支点となる取付部105から前方に向かって斜め下方に延び、このロングアーム103の基端部分よりも前方部分が前方に向かって斜め上方に延びている。ロングアーム103はシフトセンサ110の車幅方向外側を横切って、ロングアーム103の先端の操作部106がシフトセンサ110の前方に位置付けられている。シフトレバー102のショートアーム104は基端部分よりも先端部分が車幅方向内側に位置している。ショートアーム104の先端のジョイント108からシフトセンサ110の下部のジョイント109までシフトロッド107がロングアーム103と平行に延びている。
【0045】
シフトレバー102の非操作状態で、ショートアーム104の傾きがシフトセンサ110の傾きに略一致している。ショートアーム104及びシフトセンサ110の傾きに直交する方向にシフトロッド107が延びており、シフトロッド107の延在方向にてシフトセンサ110の前端から操作部106の前端までの距離L3がシフトロッド107の長さL4の半分以下になっている。これにより、シフトセンサ110よりも前方に操作部106が位置付けられてシフトレバー102の長さが確保されると共に、操作部106がシフトセンサ110に近づけられてシフト装置100の前後長が抑えられている。
【0046】
車両側面視にて、シフトロッド107の上方に操作部106とシフトセンサ110が位置付けられている。操作部106が低くなり過ぎることがなく、バンク角や最低地上高が確保されている。シフトロッド107はシフトレバー102に対して平行に設けられており、シフトロッド107とシフトセンサ110のホールIC113の間をロングアーム103が横切っている。シフトロッド107とホールIC113の間でシフトロッド107に沿ってロングアーム103が延びるため、シフト装置100の高さを大きくすることなくロングアーム103の長さが確保される。また、ロングアーム103に対してシフトロッド107が非平行な場合と比べてシフトロッド107を短くできる。
【0047】
このとき、シフトレバー102がシフトセンサ110よりも車幅方向外側に通っており、ロングアーム103の一部がシフトセンサ110に重なっている。シフトロッド107の前端がジョイント109を介してシフトセンサ110の下部に直に連結されていても、シフトロッド107とシフトセンサ110のホールIC113の間を通るロングアーム103がシフトセンサ110に干渉することがない。シフトレバー102の取付部105はシフトロッド107よりも上方で、シフトセンサ110の上端よりも下方に位置付けられている。シフトセンサ110の上端からシフトロッド107までの範囲に取付部105が収まってシフト装置100の高さが抑えられている。
【0048】
このように、シフトセンサ110のホールIC113とシフトロッド107の間を通るように、シフトロッド107に平行にロングアーム103が配置され、シフト装置100よりも前方に操作部106が位置付けられている。これにより、シフト装置100の前後長及び高さが抑えられて、シフト装置100の小型化が図られている。なお、シフトレバー102の非操作状態で、ロングアーム103とシフトロッド107が完全に平行である構成に限られない。ロングアーム103とシフトロッド107が平行とは、ロングアーム103に沿ってシフトロッド107が延びていると見做すことができる程度に略平行であればよい。
【0049】
第2の実施例のシフトセンサ110は、第1の実施例のシフトセンサ60と略同様に形成されている。シフトセンサ110のセンサ本体111は側面視角丸逆三角形状に形成されており、このセンサ本体111の車幅方向外側の外側面112にはホールIC113を上下から挟むようにして一対の保護部114、115が設けられている。一対の保護部114、115はセンサ本体111の上部及び下部からホールIC113に近づくにしたがって車幅方向外側への突出量を増やしている。保護部114、115の外面が傾斜することで、運転者の足による外力が車幅方向外側に逸らされてホールIC113が効果的に保護されている。
【0050】
センサ本体111の車幅方向内側の内側面116には、雌型セレーション119が取り付けられた保持部117と、ボルト121が締め付けられる締付ボス118とが設けられている。保持部117及び締付ボス118の構成については、第1の実施例の保持部67及び締付ボス68と同様な構成であるため説明を省略する。第2の実施例のシフト装置100においても、センサ本体111がシフトシャフト101(図8参照)とシフトロッド107を連結するリンクアームとして機能している。このため、シフトロッド107が短くてもシフトセンサ110が取り付けることができ、部品点数の増加が抑えられると共にシフトセンサ110が容易に取り付けられる。
【0051】
このように構成されたシフト装置100では、車両側面視にて、前後方向でシフトセンサ110の前方に操作部106が位置付けられ、上下方向でシフトセンサ110と同じ高さに操作部106が位置付けられている。より詳細には、前後方向でシフトセンサ110の前端に操作部106の前端がシフトロッド107の長さの半分以下の距離まで近づけられ、上下方向でホールIC113と同じ高さに操作部106が位置付けられている。また、シフトレバー102がシフトセンサ110の車幅方向外側に配置されている。シフトレバー102の一部がシフトセンサ110に重なっており、ホールIC113の下方をシフトレバー102が横切っている。
【0052】
シフトレバー102がシフトセンサ110よりも車幅方向外側に配置されているため、ホールIC113に対して側方から運転者の足が当たり難くなる。一方で、シフトレバー102の上方にホールIC113が位置しているので、運転者の足によって上方からホールIC113が踏みつけられる可能性がある。操作部106に運転者が足を載せている状態でも、運転者が足の踵側を大きくずらしたりすれば、運転者の足がホールIC113に当たる可能性がある。しかしながら、ホールIC113の上方に保護部114が設けられているため、保護部114によって運転者の足からホールIC113を保護することができる。
【0053】
以上、第2の実施例によれば、第1の実施例と同様に、シフトロッド107の長さが十分に確保できないレイアウトであっても、シフト装置100にシフトセンサ110を設けることができる。また、シフトセンサ110とシフトレバー102の操作部106が近づけられても、保護部114、115によって運転者の足や飛来物からホールIC113を保護することができる。
【0054】
なお、第1、第2の実施例では、センサ部としてホールICを用いたが、センサ部はホールICに限定されない。センサ部はシフトロッドの動きからシフトレバーへのシフト操作を検出可能であればよく、例えばAMR(Anisotropic Magneto Resistive)センサでもよい。
【0055】
また、第1、第2の実施例では、上方及び下方からの外力からセンサ部を保護する一対の保護部がシフトセンサに設けられているが、上方及び下方の少なくとも一方向からの外力からセンサ部を保護するようにシフトセンサに1つの保護部が設けられていてもよい。
【0056】
また、第1、第2の実施例では、シフトセンサの下端の前側が後側によりも上方になるようにシフトセンサが後方に傾けられているが、シフトセンサが傾けられていなくてもよいし、シフトセンサが前方に傾けられていてもよい。
【0057】
また、第1、第2の実施例では、シフトロッドの延在方向にてシフトセンサの前端から操作部の前端までの距離がシフトロッドの長さの半分以下であるが、シフトセンサの前端から操作部の前端までの距離は特に限定されない。シフトレバーの長さが確保可能であれば、シフトセンサの前端から操作部の前端までの距離がシフトロッドの長さの半分よりも大きくてもよい。
【0058】
また、第1の実施例では、上下方向でシフトセンサの下端とホールICの間に操作部が位置付けられているが、シフトセンサの下端と操作部の位置関係は特に限定されない。
【0059】
また、第2の実施例では、上下方向でホールICと同じ高さに操作部が位置付けられているが、ホールICと操作部の位置関係は特に限定されない。
【0060】
また、第2の実施例では、シフトレバーがホールICの下方を横切っているが、シフトレバーがホールICの上方を横切っていてもよい。
【0061】
また、本実施例では、シフトシャフトにシフトセンサが一体回転可能に設けられているが、一体回転可能とはシフトシャフトからシフトセンサに遊びなく回転が伝達される構成に限られない。一体回転可能とはシフトシャフトからシフトセンサに所定回転量の遊びを持って回転が伝達されてもよい。
【0062】
また、シフト装置は、図示の鞍乗型車両に限らず、他のタイプの鞍乗型車両に採用されてもよい。鞍乗型車両とは、ライダーがシートに跨った姿勢で乗車する車両全般に限定されず、ライダーがシートに跨らずに乗車する小型のスクータタイプの車両も含んでいる。
【0063】
以上の通り、本実施例のシフト装置(50、100)は、シフトシャフト(51、101)の回転に応じて変速装置にシフトチェンジさせる鞍乗型車両(1)のシフト装置であって、シフト操作を受け付ける操作部(56、106)が設けられたシフトレバー(52、102)と、シフトシャフトに一体回転可能に設けられたシフトセンサ(60、110)と、シフトレバーとシフトセンサを連結するシフトロッド(57、107)と、を備え、シフトセンサは、シフトシャフトが保持されると共にシフトロッドが連結されるセンサ本体(61、111)と、シフトロッドの動きからシフトレバーへのシフト操作を検出するセンサ部(ホールIC63、113)と、上方及び下方の少なくとも一方向からの外力からセンサ部を保護する保護部(64、65、114、115)と、を有している。この構成によれば、シフトセンサがシフト操作を検出する機能に加えて、シフトセンサがシフトシャフトとシフトロッドを連結するリンクアームとして機能している。シフトロッドの長さが十分に確保できないレイアウトであっても、シフト装置にシフトセンサを設けることができる。また、シフトセンサとシフトレバーの操作部が近づけられても、保護部によって運転者の足からセンサ部を保護することができる。さらに、保護部によって上方及び下方からの飛び石等の飛来物からセンサ部を保護することができる。
【0064】
本実施例のシフト装置において、センサ部は、センサ本体から車幅方向外側に突出しており、保護部は、センサ本体の上部及び下部の少なくとも一部からセンサ部に近づくにしたがって車幅方向外側への突出量が増える。この構成によれば、上方又は下方から保護部に外力が作用しても、保護部によって外力が車幅方向外側に逸らされてセンサ部が効果的に保護される。
【0065】
本実施例のシフト装置において、操作部(56)はシフトセンサ(60)の後方に位置しており、上下方向で操作部がシフトセンサと同じ高さに位置付けられている。この構成によれば、シフト装置の高さを抑えつつ、操作部を操作する運転者の足から保護部によってセンサ部を保護することができる。
【0066】
本実施例のシフト装置において、シフトロッド(57)の延在方向にて、シフトセンサの前端から操作部の前端までの距離がシフトロッドの長さの半分以下であり、操作部とシフトセンサの下部が同じ高さに位置付けられ、センサ部の上方及び下方に保護部(64、65)が設けられている。この構成によれば、シフトセンサに操作部が近づけられてシフト装置の前後長が抑えられ、シフトセンサの下部と操作部が同じ高さに位置付けられてシフト装置の高さが抑えられる。このようにシフト装置が小型化されても、操作部を操作する運転者の足から保護部によってセンサ部を保護することができる。
【0067】
本実施例のシフト装置において、操作部(106)はシフトセンサ(110)の前方に位置しており、下方向で操作部がシフトセンサと同じ高さに位置付けられている。この構成によれば、シフト装置の高さを抑えつつ、操作部を操作する運転者の足から保護部によってセンサ部を保護することができる。
【0068】
本実施例のシフト装置において、シフトレバー(102)はシフトセンサよりも車幅方向外側に配置されており、車両側面視にて、シフトレバーの一部がシフトセンサに重なり、センサ部(ホールIC113)の上方又は下方をシフトレバーが横切る。この構成によれば、シフトレバーがシフトセンサよりも車幅方向外側に配置されているため、センサ部に対して側方から運転者の足が当たり難くなる。センサ部の上方又は下方にシフトレバーが位置しているため、センサ部に対して上下方向から運転者の足が当たり易くなるが、保護部によってセンサ部を保護することができる。
【0069】
本実施例のシフト装置において、車両側面視にて、操作部はセンサ部と同じ高さに位置付けられ、センサ部よりも下方にシフトレバーが位置付けられ、センサ部よりも上方に保護部が位置付けられている。この構成によれば、センサ部の上方にシフトレバーが位置しているため、運転者の足が上方からセンサ部に当たり易くなるが、保護部によってセンサ部を保護することができる。
【0070】
なお、本実施例を説明したが、他の実施例として、上記実施例及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0071】
また、本発明の技術は上記の実施例に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【符号の説明】
【0072】
1 :鞍乗型車両
50、100:シフト装置
51、101:シフトシャフト
52、102:シフトレバー
56、106:操作部
57、107:シフトロッド
60、110:シフトセンサ
61、111:センサ本体
63、113:ホールIC(センサ部)
64、114:保護部
65、115:保護部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10