(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
B60K 35/00 20240101AFI20240925BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240925BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
B60K35/00
G09F9/00 324
G09F9/00 362
B60R11/02 C
(21)【出願番号】P 2021035486
(22)【出願日】2021-03-05
【審査請求日】2023-07-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】久次 信輔
(72)【発明者】
【氏名】小林 康浩
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/195111(WO,A1)
【文献】特開2003-337556(JP,A)
【文献】特開2017-94828(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像(V)を表示する表示装置(10)であって、
前記画像を表示する表示面(22)、及び前記表示面とは反対側の表示背面(24)を有している画像表示部(20)と、
前記表示背面に対向するケース対向面(54)を有し、前記表示背面を覆っている表示ケース(50)と、
前記表示背面と前記ケース対向面との間に設けられ、前記表示ケースから前記画像表示部に熱が伝わることを規制し、前記表示ケースに対する前記画像表示部の相対的な変位に応じて弾性変形又は柔軟に伸縮変形し、前記表示ケースよりも変形しやすい断熱部(30)と、
前記表示背面に重ねられるように前記表示背面と前記断熱部との間に設けられ、前記断熱部を介して前記ケース対向面に固定された放熱板部(41)を有し、前記画像表示部の熱を前記表示ケースの外側に放出する放熱部(40)と、
を備え、
前記ケース対向面に沿って並べられた複数の前記画像表示部は、
前記放熱板部に固定されていることで前記断熱部を介して前記ケース対向面に固定されて
おり、
前記断熱部は、前記ケース対向面に沿って複数並ぶように、複数の前記画像表示部のそれぞれに個別に設けられており、
前記放熱板部は、前記ケース対向面に沿って複数並ぶように、複数の前記画像表示部のそれぞれに個別に設けられている、表示装置。
【請求項2】
前記断熱部は、前記表示ケースに対する前記放熱部の相対的な変位に応じて弾性変形又は柔軟に伸縮変形し、
前記画像表示部は、前記放熱部を介して前記断熱部に固定されている、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
隣り合う2つの前記放熱板部は、前記ケース対向面に沿って互いに離間した位置に設けられている、請求項
1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記放熱部は
、前記放熱板部から前記表示ケースの外側に向けて延びた放熱延び部(44
)、を有している、請求項
1~3のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項5】
前記放熱延び部は、前記画像表示部の外周縁から前記表示ケースの外周縁側に離間した位置に設けられている、請求項
4に記載の表示装置。
【請求項6】
隣り合う2つの前記断熱部は、前記ケース対向面に沿って互いに離間した位置に設けられている、請求項
1~5のいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項7】
車両(100)に搭載される表示装置であって、
前記表示ケースは、前記車両の車室(101)において内装を形成する内装パネル(102)に取り付けられる部材である、請求項1~
6のいずれか1つに記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書における開示は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像を表示する表示装置について開示されている。この表示装置は、ディスプレイ及び背面カバーを有している。ディスプレイは、画像を表示するディスプレイ表示面を有している。背面カバーはディスプレイの背面側に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、背面カバーの背面に太陽光等の外光が照射されると、この外光による外光熱が背面カバーを介してディスプレイに付与されることが考えられる。外光熱によりディスプレイの温度が過剰に上昇すると、ディスプレイに異常が発生することが懸念される。
【0005】
本開示の1つの目的は、画像表示部に異常が発生することを抑制できる表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この明細書に開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。また、特許請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例であって、技術的範囲を限定するものではない。
【0007】
上記目的を達成するため、開示された1つの態様は、
画像(V)を表示する表示装置(10)であって、
画像を表示する表示面(22)、及び表示面とは反対側の表示背面(24)を有している画像表示部(20)と、
表示背面に対向するケース対向面(54)を有し、表示背面を覆っている表示ケース(50)と、
表示背面とケース対向面との間に設けられ、表示ケースから画像表示部に熱が伝わることを規制し、表示ケースに対する画像表示部の相対的な変位に応じて弾性変形又は柔軟に伸縮変形し、表示ケースよりも変形しやすい断熱部(30)と、
表示背面に重ねられるように表示背面と断熱部との間に設けられ、断熱部を介してケース対向面に固定された放熱板部(41)を有し、画像表示部の熱を表示ケースの外側に放出する放熱部(40)と、
を備え、
ケース対向面に沿って並べられた複数の画像表示部は、放熱板部に固定されていることで断熱部を介してケース対向面に固定されており、
断熱部は、ケース対向面に沿って複数並ぶように、複数の画像表示部のそれぞれに個別に設けられており、
放熱板部は、ケース対向面に沿って複数並ぶように、複数の画像表示部のそれぞれに個別に設けられている、表示装置である。
【0008】
上記態様によれば、表示背面とケース対向面との間に断熱部が設けられている。この構成では、仮に太陽光等の外光が表示ケースの背面に照射されたとしても、この外光による外光熱が表示ケースから画像表示部に伝わることを断熱部により抑制できる。このため、外光熱により画像表示部の温度が過剰に上昇して画像表示部に異常が発生する、ということを断熱部により抑制できる。
【0009】
しかも、断熱部は、表示ケースに対する画像表示部の相対的な変位に応じて弾性変形又は柔軟に伸縮変形し、画像表示部は、断熱部を介してケース対向面に固定されている。この構成では、仮に表示ケースに振動が付与されたとしても、この振動が表示ケースから画像表示部に伝わることを断熱部により抑制できる。このため、表示ケースの振動に伴って画像表示部に異常が発生する、ということを断熱部により抑制できる。
【0010】
以上のように、画像表示部に異常が発生することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態における車両に搭載された状態の虚像表示装置を示す図。
【
図4】車室において虚像表示装置周辺の構成を示す図。
【
図5】画像表示装置の横断面図であって、
図2のV-V線断面図。
【
図6】画像表示装置においてバイザフードが線膨張した状態を示す横断面図。
【
図7】画像表示装置においてバイザフードに物体が接触した状態を示す横断面図。
【
図9】比較例においてバイザフードが線膨張した状態を示す横断面図。
【
図10】比較例においてバイザフードに物体が接触した状態を示す横断面図。
【
図11】第2実施形態における車両に搭載された状態の画像表示装置を示す図。
【
図13】車室において画像表示装置周辺の構成を示す図。
【
図14】画像表示装置の横断面図であって、
図12のXIV-XIV線断面図。
【
図15】第3実施形態における画像表示装置の横断面図。
【
図16】画像表示装置においてバイザフードが線膨張した状態を示す横断面図。
【
図17】第3実施形態の変形例1における画像表示装置の横断面図。
【
図18】画像表示装置においてバイザフードが線膨張した状態を示す横断面図。
【
図19】第3実施形態の変形例2における画像表示装置の横断面図。
【
図20】画像表示装置においてバイザフードが線膨張した状態を示す横断面図。
【
図21】第4実施形態における車室において虚像表示装置周辺の構成を示す斜視図。
【
図22】画像表示装置においてディスプレイユニットの配置を示す図。
【
図23】画像表示装置においてディスプレイの配置を示す図。
【
図24】画像表示装置の電気的な構成を示すブロック図。
【
図25】表示面が表示する画像について説明するための図。
【
図26】反射面により表示される虚像について説明するための図。
【
図27】比較例において表示面が表示する画像について説明するための図。
【
図28】比較例において反射面により表示される虚像について説明するための図。
【
図29】第4実施形態の変形例3における反射ミラーを示す斜視図。
【
図30】第5実施形態における車室において虚像表示装置周辺の構成を示す図。
【
図35】第5実施形態の変形例4におけるディスプレイ重複部周辺の横断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0013】
<第1実施形態>
図1に示す画像表示装置10は車両100に搭載されている。画像表示装置10は、車両100の車室101に露出した状態でインパネ102に設けられている。インパネ102は、インストルメントパネルであり、運転席などの座席の前方に設けられている。インパネ102は、車室101の内装を形成する内装パネルである。内装パネルは、車室101において仕上げ加工が施された仕上げ面を形成している。運転席とインパネ102との間にはステアリング105がある。運転席の前方には、ステアリング105に加えてフロントウインドシールド106がある。フロントウインドシールド106は、インパネ102の上側にある。座席の前方は、車両100にとっての前方である。車両100のウインドシールドとしては、フロントウインドシールド106の他にサイドウインドシールドなどがある。
【0014】
画像表示装置10は、各種情報を画像Vとして表示する。画像表示装置10は表示装置に相当する。各種情報には、例えば車両情報及び走行情報が含まれている。車両情報は車載バッテリの蓄電量などを示す情報であり、走行情報は車両100の走行速度や走行モード、走行距離などを示す情報である。また、各種情報には、ナビゲーション情報やエンタメ情報、空調情報、カメラ情報などが含まれている。例えば、ナビゲーション情報は、車両100の現在値を示す情報や現在地から目的地までの経路を案内する情報などである。カメラ情報は、カメラ等の撮像装置により撮像された情報である。カメラ情報には、車両100の後方など車両周辺を撮像した情報が含まれている。
【0015】
画像表示装置10は、表示面22を有しており、この表示面22に画像Vを表示することが可能である。表示面22は、画像光を出力することで画像Vを表示する。画像表示装置10は、表示面22に加えてフード背面52を有している。画像表示装置10は、全体として板状に形成されている。フード背面52は、装置厚さ方向において表示面22とは反対側を向いている。装置厚さ方向は、画像表示装置10の厚さ方向であり、本実施形態では上下に延びる方向である。装置厚さ方向は、表示面22に直交する方向である。
【0016】
画像表示装置10は反射ミラー15と共に、虚像表示装置11に含まれている。虚像表示装置11は車両100に搭載されており、画像Vを虚像Viとして表示する。反射ミラー15は、画像光を反射する反射部材であり、反射鏡と称されることがある。反射ミラー15は、反射面16を有しており、反射面16で画像光を反射して虚像Viを表示する。反射面16は、反射ミラー15が有する一対の板面のうち一方に含まれている。反射ミラー15は、反射面16に入射する画像光について透過及び反射のうち反射を行う部材である。反射ミラー15は、画像光により虚像を表示する虚像表示部に相当する。
【0017】
反射ミラー15は、反射面16が車室101に露出した状態でインパネ102に設けられている。反射ミラー15は、インパネ102に埋め込まれた状態でインパネ102に固定されている。反射面16は、座席側を向くように斜め上方を向いている。座席に座った乗員にとっては反射面16を視認しやすくなっている。
【0018】
画像表示装置10は、表示面22からの画像光が反射面16で座席側に反射するように設けられている。画像表示装置10は、表示面22が下方を向き且つフード背面52が上方を向いた状態で、反射ミラー15の上側に設けられている。表示面22と反射面16とは互いに向き合った状態になっている。座席に座った乗員にとっては、画像光により表示された虚像Viがあたかも反射面16よりも奥側にあるかのように見える。
【0019】
虚像表示装置11においては、視認者としての乗員は表示面22を直接的に見るのではなく、反射面16を視認することで表示面22を間接的に見ることになる。本実施形態では、反射面16が乗員により視認される視認面Svである。乗員は、視認面Svである反射面16を視認することで虚像Viを視認することが可能である。
【0020】
インパネ102は、手前部分102a及び奥部分102bを有している。手前部分102aと奥部分102bとは車両前後方向に並べられている。車両前後方向は、車両100にとっての前後方向である。インパネ102において座席側を手前側と称すると、手前部分102aはインパネ102の手前側端部を形成している。奥部分102bはインパネ102の奥側端部を形成している。奥部分102bは、手前部分102aよりも高い位置にある。反射ミラー15は、手前部分102aと奥部分102bとの間に配置されている。反射ミラー15は、反射面16が斜め上方を向くように、手前部分102aと奥部分102bとにかけ渡された状態になっている。
【0021】
画像表示装置10は、奥部分102bから手前側に向けて突出している。画像表示装置10は、奥部分102bに固定されており、奥部分102bにより片持ち支持されている。画像表示装置10の奥側端部は、奥部分102bに固定された基端部である。画像表示装置10の手前側端部は、手前部分102aの上方に配置された先端部である。表示面22は反射面16に対して傾斜している。表示面22と反射面16との離間距離は、画像表示装置10の手前側端部に近い位置ほど大きくなっている。表示面22は、水平方向又は水平方向に対して少し傾斜した方向に延びている。
【0022】
画像表示装置10は、反射面16とフロントウインドシールド106との間に設けられており、反射面16を上から覆った状態になっている。フード背面52は、フロントウインドシールド106に対向している。太陽光がフロントウインドシールド106を透過して車室101に差し込んだ場合、この太陽光は、フード背面52に当たりやすい一方で、反射面16には当たりにくい。乗員は、視認面Svである反射面16に太陽光が当たらないことで、視認面Svで虚像Viを視認しやすくなっている。
【0023】
図2に示すように、画像表示装置10は、ディスプレイ20、断熱部30、放熱部40、バイザフード50、フードカバー60を有している。画像表示装置10においては、ディスプレイ20、断熱部30及び放熱部40が、後述するディスプレイユニット70に含まれている。
【0024】
ディスプレイ20は、表示面22及びディスプレイ背面24を有している。ディスプレイ20は、板状に形成されており、一対の板面を有している。ディスプレイ20においては、一方の板面がディスプレイ前面21であり、他方の板面がディスプレイ背面24である。ディスプレイ前面21は、表示面22及び枠面23(
図3参照)を有している。表示面22は、横長の長方形状である。枠面23は、矩形枠状であり、表示面22の外周縁に沿って延びている。ディスプレイ20は、表示面22から画像光を出射させることが可能である。枠面23からは画像光が出射されない。表示面22は画像Vを表示する表示エリアであり、枠面23は画像Vを表示しない非表示エリアである。ディスプレイ20は画像表示部に相当し、ディスプレイ背面24は表示背面に相当する。ディスプレイ20は表示器と称されることがある。
【0025】
反射ミラー15は、表示面22の画像Vを虚像Viとして表示するとともに、枠面23を図示しない虚像V23として表示する。画像Vの虚像Viは画像光により表示されるのに対して、枠面23の虚像V23は単に枠面23が反射ミラー15に映ることで表示される。このため、乗員にとっては、画像Vを表示する虚像Viの方が、枠面23を映した虚像V23に比べて目立ちやすくなっている。例えば、虚像V23は、乗員がほとんど視認できないくらいにわずかに表示される程度である。
【0026】
枠面23の色は、虚像V23が目立ちにくい色になっている。例えば、枠面23の色は黒色になっている。また、枠面23の色は、表示面22が画像Vを表示していないオフ状態での表示面22の色と同色又は同系色になっていてもよい。さらに、枠面23の色は、彩度及び明度の少なくとも一方がオフ状態での表示面22の色よりも低い色になっていてもよい。加えて、枠面23の色は、画像Vに含まれる各種情報及び背景のうち背景と同色又は同系色になっていてもよい。
【0027】
ディスプレイ20は、自発光式の表示部である。ディスプレイ20は、例えば有機ELディスプレイを含んで構成されている。有機ELディスプレイは、有機発光ダイオードを含んで構成されている。有機発光ダイオードはOLEDと称されることがあり、OLEDはOrganic Light-Emitting Diodeの略称である。ディスプレイ20は有機EL素子等の表示素子を複数有している。複数の表示素子は、表示面22に沿って行列状に配置されており、それぞれ画像光になる光を発する。
【0028】
ディスプレイ20は、自発光式であることに起因して、光源としてのバックライトを必要としない。このようにバックライトを含まずに構成されたディスプレイ20では、発光素子の発光を停止することによって画像Vの黒色部分を表示することが可能である。これに対して、本実施形態とは異なり、バックライトを含んで構成されたバックライト付きのディスプレイでは、画像Vの黒色部分からバックライトの光が僅かに漏れることが考えられる。画像Vにおいて黒色部分からバックライトの光が僅かでも漏れると、黒色部分又はその周辺が白っぽく見えると考えられる。
【0029】
バイザフード50は、表示面22の画像光を反射ミラー15に向けて照射可能な状態で、ディスプレイ20、断熱部30及び放熱部40を収容している。バイザフード50は、樹脂材料等により形成されており、遮光性を有している。バイザフード50は全体として板状に形成されている。バイザフード50の厚さ方向は装置厚さ方向である。バイザフード50は、ディスプレイ20のディスプレイ背面24を覆っている。バイザフード50は、表示ケースに相当し、筐体ケースやメータフードと称されることがある。バイザフード50は、フード背面52に加えてフード前面51を有している。バイザフード50は、全体として板状に形成されており、一対の板面を有している。バイザフード50においては、一方の板面がフード背面52であり、他方の板面がフード前面51である。フード背面52が表示ケースの背面に相当する。
【0030】
バイザフード50は、フード前面51に設けられたフード凹部53を有している。フード凹部53は、フード前面51においてフード背面52に向けて凹んだ凹部である。フード凹部53は、フード背面52とは反対側に向けて開放されている。フード凹部53は、フード前面51の外周縁から内側に離間した位置に設けられている。フード前面51は、フード凹部53の外周縁に沿って延びており、枠状になっている。フード凹部53は、フード前面51に凹開口部56を形成している。凹開口部56は、フード凹部53の開放端により形成された開口である。
【0031】
フード凹部53の内面には、凹底面54及び凹壁面55が含まれている。凹底面54は、フード凹部53の底面であり、装置厚さ方向においてフード背面52とは反対側を向いている。凹底面54はフード背面52に沿って延びている。凹壁面55は、凹開口部56の外周縁に沿って延びている。凹壁面55は、装置厚さ方向において凹底面54の外周縁とフード前面51の内周縁とにかけ渡されている。
【0032】
ディスプレイ20は、表示面22を凹底面54とは反対側に向けた状態でフード凹部53に収容されている。凹底面54は、ディスプレイ背面24に対向しており、ケース対向面に相当する。凹底面54は、ディスプレイ背面24に沿って延びている。バイザフード50は、ディスプレイ20をディスプレイ背面24側から覆った状態になっている。バイザフード50は、ディスプレイ20とフロントウインドシールド106との間にあり、遮光板として機能する。フロントウインドシールド106を通じてディスプレイ20に向けて進む太陽光は、バイザフード50により遮られる。このため、ディスプレイ20が直接日射を受けることがバイザフード50により抑制される。
【0033】
バイザフード50は、フード先端部57及びフード基端部58を有している。フード先端部57は画像表示装置10の先端部を形成しており、フード基端部58は画像表示装置10の基端部を形成している。バイザフード50は、奥部分102bに固定されており、奥部分102bから手前側に向けて庇状に突出している。バイザフード50は、インパネ102に取り付けられる部材であり、車室101においてインパネ102に取り付けられている。バイザフード50は、奥部分102bにより片持ち支持された状態になっており、庇部材と称されることがある。バイザフード50は、車室101の内装を形成している。
【0034】
フードカバー60は、凹開口部56を覆った状態でバイザフード50に固定されている。フードカバー60は、透光性を有しており、例えば樹脂材料やガラス材料により形成されている。フードカバー60は、板状に形成されており、一対の板面を有している。フードカバー60においては、一方の板面がカバー前面61であり、他方の板面がカバー背面62である。カバー前面61及びカバー背面62はいずれも、表示面22に沿って延びている。カバー前面61は、表示面22とは反対側を向いている。カバー背面62は、表示面22側を向いており、表示面22に対向している。フードカバー60は、表示面22から手前側に離間した位置に配置されている。表示面22から出射された画像光は、フードカバー60を透過して反射ミラー15に照射される。
【0035】
放熱部40は、ディスプレイ20の熱をバイザフード50の外部に放出する。放熱部40は、放熱板部41及び放熱フィン44を有している。放熱板部41及び放熱フィン44はいずれも、金属材料などにより形成されており、熱伝導性を有している。
【0036】
放熱板部41は、ディスプレイ背面24に沿って延びており、ディスプレイ背面24と断熱部30との間に設けられている。放熱板部41は伝熱材であり、伝熱層を形成している。放熱板部41は放熱前面42及び放熱背面43を有している。放熱板部41は、板状に形成されており、一対の板面を有している。放熱板部41においては、一方の板面が放熱前面42であり、他方の板面が放熱背面43である。放熱前面42はディスプレイ背面24に重ねられており、放熱背面43は凹底面54に対向している。放熱前面42とディスプレイ背面24とが接着剤等により接合されていることで、放熱板部41とディスプレイ20とが互いに固定されている。
【0037】
放熱フィン44は、放熱板部41に熱的に接続されている。放熱フィン44は、放熱板部41からバイザフード50の外側に向けて延びており、放熱延び部に相当する。放熱フィン44は、複数のフィン部とこれらフィン部を接続する接続部とを有している。放熱フィン44は、バイザフード50の外側に露出している。放熱フィン44は、装置厚さ方向において放熱板部41からフード前面51側に向けて延びている。放熱フィン44は、フード凹部53からフード基端部58側に離間した位置に設けられている。放熱フィン44は、ディスプレイ20からフード基端部58側及びフード背面52側の両方に離間した位置にある。放熱フィン44は、バイザフード50及びインパネ102の少なくとも一方により上から覆われた状態になっている。車室101においては、放熱フィン44への太陽光の照射がバイザフード50及びインパネ102の少なくとも一方により遮られる。
【0038】
放熱フィン44は、放熱板部41に対して着脱可能に接続されている。放熱フィン44は、例えばネジ等の固定具により放熱板部41に固定されている。例えば、放熱フィン44の接続部と放熱板部41とがフード凹部53の内部にて接続されている。放熱部40においては、放熱板部41、放熱フィン44及び接続具が伝熱経路を形成している。ディスプレイ20の駆動に伴ってディスプレイ20が発熱した場合、この熱は、放熱板部41を介して放熱フィン44からインパネ102の下方に放出される。放熱部40の伝熱経路は、ディスプレイ20の熱をバイザフード50の外側に放出する放熱経路である。
【0039】
断熱部30は、バイザフード50の熱が凹底面54からディスプレイ20に伝わることを規制する。断熱部30は伝熱規制部と称されることがある。バイザフード50に付与される熱としては太陽熱がある。例えば、フード背面52に太陽光が照射された場合に、太陽光による太陽熱がバイザフード50に付与される。太陽光は、ウインドシールドを透過してフード背面52に照射される外光の一種である。フード背面52への外光の照射によりバイザフード50に付与される熱を外光熱と称すると、太陽光は外光熱の一種である。
【0040】
画像表示装置10においては、別系統の熱経路が2つある。2つの熱経路のうち1つは、断熱部30が太陽熱を遮断する断熱経路であり、もう1つは、放熱部40がディスプレイ20の熱を放出する放出経路である。断熱経路は画像表示装置10においてフード背面52側にあり、放熱経路はフード前面51側にある。断熱経路と放熱経路とは、装置厚さ方向において互いに反対側にある。
【0041】
断熱部30は、樹脂材料や繊維材料などにより形成された断熱材であり、断熱性を有している。断熱部30の熱伝導率は、例えば空気の熱伝導率とほぼ同じ又はそれよりも低くなっている。断熱材としては、樹脂発泡フォームや不織布とシリカエアロゲル等の高性能断熱部材を組み合わせたものや、柔軟性を持った真空断熱部材などがある。断熱部30は断熱層を形成している。例えば、断熱部30の断熱性はバイザフード50の断熱性よりも高くなっている。断熱部30の熱伝導率は、断熱部30の温度が変化しても変化しにくくなっている。これに対して、空気の熱伝導率は、空気の温度が変化すると変化しやすい。このため、例えば本実施形態とは異なり、空気により断熱層が形成された構成では、断熱層の温度変化に伴って断熱層の断熱性能が変化する、ということが懸念される。
【0042】
断熱部30は、弾性及び伸縮性を有する弾性部材であり、弾性変形可能である。断熱部30は、断熱部30に外力が加えられることに伴って弾性変形又は柔軟に伸縮変形する。断熱部30は、断熱部30の温度変化に応じて伸縮変形する。例えば、断熱部30は、温度上昇に伴って延び、温度低下に伴って縮む。また、断熱部30は、断熱部30の温度変化に応じて柔軟性が変化してもよい。例えば、断熱部30は、温度上昇に伴って柔軟性が高くなり、温度低下に伴って柔軟性が低くなってもよい。断熱部30はバイザフード50及び放熱板部41よりも線膨張しやすい、又は外力により変形しやすい。すなわち、断熱部30は、バイザフード50及び放熱板部41よりも線膨張係数が大きい、又は引っ張り強度やヤング率が低い。
【0043】
断熱部30は、凹底面54に沿って延びており、凹底面54と放熱板部41との間に設けられている。断熱部30は、板状に形成されており、一対の板面を有している。断熱部30においては、一方の板面が断熱前面31であり、他方の板面が断熱背面32である。断熱前面31は、放熱背面43に重ねられており、接着剤等により放熱背面43に接合されている。断熱前面31は、ディスプレイ背面24に対向している。断熱背面32は、凹底面54に重ねられており、接着剤等により凹底面54に接合されている。断熱部30は、放熱板部41及びバイザフード50の両方に固定されている。
【0044】
ディスプレイ20は、放熱板部41及び断熱部30を介して凹底面54に固定されている。弾性変形可能な断熱部30は、バイザフード50に対するディスプレイ20及び放熱板部41の相対的な変位に応じて弾性変形する。例えば、車両100の走行に伴う振動が画像表示装置10に付与された場合、バイザフード50に対するディスプレイ20の相対的な変位が生じてディスプレイ20の振動が増加する、ということが断熱部30の弾性変形により抑制される。同様に、バイザフード50に対する放熱板部41の相対的な変位が生じて放熱板部41及びディスプレイ20の振動が増加する、ということが断熱部30の弾性変形により抑制される。バイザフード50に対するディスプレイ20及び放熱板部41の相対的な変位には、バイザフード50、ディスプレイ20及び放熱板部41の少なくとも1つが変形することが含まれる。
【0045】
また、ディスプレイ20の振動は、振動の減衰や、プリロードによる背面支持によっても抑制される。例えば本実施形態とは異なり、ディスプレイ20の背面側に断熱部30ではなく空気層がある構成では、振動抑制についての付加効果が得られずに、ディスプレイ20が容易に振動することが懸念される。
【0046】
図3に示すように、ディスプレイ20はディスプレイユニット70に含まれている。ディスプレイユニット70は画像表示装置10に含まれている。ディスプレイユニット70は、ディスプレイ20に加えて、回路基板71及び接続ケーブル72を有している。回路基板71は、発光素子などの制御を行うことでディスプレイ20の制御を行う。回路基板71は、電子部品を搭載しており、例えばドライバ回路を構成している。接続ケーブル72は、回路基板71とディスプレイ20とを電気的に接続しており、回路基板71からの信号をディスプレイ20に入力する。接続ケーブル72は、可撓性を有する帯状のケーブルであり、例えばフレキシブルフラットケーブルである。接続ケーブル72は、ディスプレイ20の外面に沿って複数並べられている。
【0047】
ディスプレイユニット70は、バイザフード50に収容されている。すなわち、バイザフード50は、ディスプレイ20に加えて回路基板71及び接続ケーブル72を収容している。バイザフード50においては、回路基板71がディスプレイ20からフード基端部58側に離間した位置に設けられている。ディスプレイユニット70においては、回路基板71及び接続ケーブル72への太陽光の照射がバイザフード50及びインパネ102の少なくとも一方により遮られる。なお、回路基板71及び接続ケーブル72への太陽光の照射が遮られるのであれば、回路基板71及び接続ケーブル72はバイザフード50に収容されていなくてもよい。
【0048】
図4に示すように、車両100においては、一対のAピラー108が車両幅方向に並べられている。Aピラー108は、車両幅方向においてフロントウインドシールド106に横並びに設けられている。Aピラー108は、ピラーに相当し、フロントピラーと称されることがある。フロントウインドシールド106は、車両幅方向において一対のAピラー108にかけ渡された状態になっている。車両幅方向は、車両100にとっての幅方向であり、車両前後方向に直交する方向である。
【0049】
虚像表示装置11は車両幅方向に延びている。虚像表示装置11は、装置幅方向が車両幅方向になるように車両100に設置されている。装置幅方向は、画像表示装置10の幅方向である。虚像表示装置11においては、画像表示装置10及び反射ミラー15がいずれも車両幅方向に延びている。画像表示装置10及び反射ミラー15は、少なくとも運転席の前方位置において車両幅方向に延びている。画像表示装置10では、バイザフード50及びフードカバー60が車両幅方向に延びている。例えば、バイザフード50、フードカバー60及び反射ミラー15はいずれも、車両幅方向においてインパネ102の両側端にかけ渡された状態になっている。この場合、バイザフード50、フードカバー60及び反射ミラー15はいずれも、一対のAピラー108にかけ渡された状態になっている。ディスプレイユニット70は、車両幅方向に複数並んでいる。複数のディスプレイユニット70においては、ディスプレイ20及び回路基板71のそれぞれが凹底面54に沿って車両幅方向に複数並べられている。
【0050】
虚像表示装置11においては、表示面22が車両幅方向に複数並べられている。これら表示面22のそれぞれにより表示される虚像Viは、反射ミラー15において車両幅方向に横並びに配置される。例えば、複数の虚像Viは、車両幅方向においてインパネ102の両側端にかけ渡されるように並んだ状態になる。
【0051】
図5に示すように、ディスプレイユニット70には、断熱部30及び放熱部40が含まれている。ディスプレイユニット70においては、車両幅方向におけるディスプレイ20、断熱部30及び放熱板部41の各端部が装置厚さ方向に並んでいる。画像表示装置10では、ディスプレイ20、断熱部30及び放熱板部41のそれぞれが凹底面54に沿って車両幅方向に複数並べられている。複数のディスプレイユニット70は、それぞれ個別に凹底面54に固定されている。このため、複数のディスプレイユニット70のそれぞれを個別にバイザフード50に対して着脱することが可能になっている。
【0052】
複数のディスプレイ20においては、それぞれのディスプレイ前面21が装置幅方向に複数並べられている。複数のディスプレイ前面21は、いずれも反射面16を向いている。これらディスプレイ前面21においては、それぞれの表示面22及び枠面23がいずれも反射面16を向いている。複数のディスプレイ前面21においては、それぞれの枠面23が互いに同色又は同系色になっている。これら枠面23の色はいずれも、例えば黒色になっており、彩度及び明度が同じになっている。なお、複数の枠面23については、色相、彩度及び明度の少なくとも1つが違っていてもよいが、その違いは小さいほど好ましい。
【0053】
虚像表示装置11においては、表示面22及び枠面23が複数ずつ設けられているのに対して、反射面16及びカバー前面61は1つずつ設けられている。虚像表示装置11においては、複数の画像Vにより生成された複数の虚像Viが、1つの反射面16にまとめて表示される。上述したように、反射面16では、画像Vを映した虚像Viが枠面23を映した虚像V23よりも目立ちやすい。このため、乗員にとっては、複数の虚像Viが、枠面23で仕切られた状態ではなく一体的な状態で視認されやすくなっている。
【0054】
複数のディスプレイ20は、それぞれが出射する画像光を互いに遮らない位置に設けられている。隣り合う2つのディスプレイ20においては、一方のディスプレイ20が、他方のディスプレイ20から出射された画像光を遮らない位置に設けられている。
【0055】
複数のディスプレイユニット70において、それぞれのディスプレイ20、断熱部30及び放熱板部41のそれぞれの厚さ寸法は揃っており、ほぼ同じになっている。複数のディスプレイユニット70において、それぞれの表示面22、断熱前面31及び放熱前面42は、いずれも車両幅方向に横並びに配置されている。複数のディスプレイユニット70において、それぞれの表示面22と反射ミラー15との離間距離は揃っており、ほぼ同じになっている。
【0056】
隣り合う2つのディスプレイユニット70は、互いに離間している。隣り合う2つのディスプレイユニット70においては、それぞれのディスプレイ20、断熱部30及び放熱板部41が互いに離間している。隣り合う2つのディスプレイユニット70においては、ディスプレイ20同士の隙間と、断熱部30同士の隙間と、放熱板部41同士の隙間とが、装置厚さ方向に並んでいる。ディスプレイ20、断熱部30及び放熱板部41はいずれも、装置幅方向に並んだ一対の側端部を有している。1つのディスプレイユニット70においては、ディスプレイ20、断熱部30及び放熱板部41のそれぞれの側端部が装置厚さ方向に並んでいる。
【0057】
<構成群A>
ここまで説明した本実施形態によれば、画像表示装置10においては、ディスプレイ背面24と凹底面54との間に断熱部30が設けられている。この構成では、仮に外光としての太陽光がフード背面52に照射されたとしても、外光熱としての太陽熱がバイザフード50からディスプレイ20に伝わることを断熱部30により抑制できる。このため、太陽熱によりディスプレイ20の温度が過剰に上昇してディスプレイ20に異常が発生する、ということを断熱部30により抑制できる。
【0058】
例えば本実施形態とは異なり、ディスプレイ背面24と凹底面54との間に断熱部30が設けられていない構成では、インパネ102の天面やフード背面52に直接日射を受けると、インパネ102やバイザフード50の温度が過剰に高くなることが懸念される。例えば、インパネ102やバイザフード50の温度が100℃を超えることがある。このように、バイザフード50の温度が過剰に高くなると、バイザフード50内のディスプレイ20や回路基板71が熱で劣化したり損傷したりすることが考えられる。特に、有機ELディスプレイについては、温度が90℃を超えて100℃近くに上昇すると、加速的に劣化や損傷が進むことが考えられる。
【0059】
そこで、電動ファン等でバイザフード50を空冷する方法が考えられる。ところが、この方法では、イグニッションスイッチ等の電源スイッチがオフになっている場合に、電動ファンによるバイザフード50の空冷を行うことが困難になる。また、バイザフード50からディスプレイ20に伝わる日射熱を緩和する対策として、バイザフード50とディスプレイ20との間に5~15mm程度の空気層を設ける方法が考えられる。この方法によれば、日射熱がバイザフード50からディスプレイ20に直接は伝わりにくくなる。ところが、この方法では、空気層の分だけバイザフード50が厚くなり、画像表示装置10についてすっきりとした外観デザインが損なわれることが考えられる。
【0060】
これに対して、本実施形態によれば、凹底面54からディスプレイ背面24に伝わる日射熱が断熱部30により緩和される。このため、車両100の電源スイッチがオフになっていても、ディスプレイ20の温度が過剰に高くなるということを抑制できる。また、空気層よりも断熱部30を薄型化することで、バイザフード50が薄くなり、画像表示装置10の薄型化を図ることができる。このため、ノートパソコンやスマートフォン、車載表示器などに対する薄型デザインへのニーズの高まりについて、例えば厚さが10~20mmである薄型の画像表示装置10を独立配置することが可能になる。
【0061】
特に、画像表示装置10が車両100に搭載された状態では、バイザフード50がインパネ102に取り付けられている。車両100においては、ウインドシールドを透過した太陽光がバイザフード50に照射された場合に、バイザフード50の温度が過剰に高くなりやすい。このため、バイザフード50の熱がディスプレイ20に伝わることが断熱部30により規制される構成は、車両100に搭載される画像表示装置10にとって、ディスプレイ20を熱から守るという観点で効果的である。
【0062】
しかも、断熱部30はバイザフード50に対するディスプレイ20の相対的な変位に応じて弾性変形し、ディスプレイ20は断熱部30を介して凹底面54に固定されている。この構成では、仮にバイザフード50に振動が付与されても、この振動がバイザフード50からディスプレイ20に伝わることを断熱部30の弾性変形により抑制できる。また、振動がバイザフード50からディスプレイ20に伝わることは、断熱部30の弾性変形や、振動の減衰、プリロードによる背面支持によっても抑制できる。このため、バイザフード50の振動に伴ってディスプレイ20に異常が発生する、ということを断熱部30の弾性変形により抑制できる。また、車両100の振動によりディスプレイ20がビビり振動するということを断熱部30の弾性変形により抑制できる。
【0063】
以上のように、本実施形態によれば、熱の観点及び振動の観点のいずれについても、ディスプレイ20に異常が発生することを抑制できる。
【0064】
本実施形態によれば、断熱部30が凹底面54に沿って複数並べられている。この構成では、例えば
図6に示すように、太陽熱によりバイザフード50が線膨張した場合に、複数の断熱部30のそれぞれが個別に変形する。このため、バイザフード50の線膨張に伴って凹底面54が幅方向に伸びたとしても、凹底面54の伸びが複数の断熱部30により個別に吸収される。したがって、バイザフード50の線膨張によって生じた応力がディスプレイ20に付与されることを複数の断熱部30により抑制できる。また、凹底面54に対して複数の断熱部30が接合されているため、1つの断熱部30と凹底面54との接合面積を極力小さくできる。このため、バイザフード50と断熱部30との線膨張差によりバイザフード50と断熱部30との接合が剥がれるということを抑制できる。
【0065】
なお、バイザフード50が変形する場合としては、バイザフード50が線膨張した場合の他に、乗員などによりバイザフード50に外力が加えられた場合、車両100の走行に伴って生じる揺れが大きい場合、などが考えられる。
【0066】
本実施形態によれば、複数のディスプレイ20のそれぞれに個別に断熱部30が設けられている。この構成では、バイザフード50の線膨張に伴って、複数のディスプレイ20のそれぞれに設けられた断熱部30が個別に変形する。このため、凹底面54の伸びがディスプレイ20ごとに個別に断熱部30により吸収される。したがって、ディスプレイ20に撓みなどの変形が生じることを、複数のディスプレイ20のそれぞれについて個別に抑制できる。また、バイザフード50の線膨張によって生じる応力や負荷を、複数の断熱部30を介して複数のディスプレイ20に分散させることができる。さらに、放熱板部41と断熱部30との接合が剥がれること、ディスプレイ20と放熱板部41との接合が剥がれること、を抑制できる。
【0067】
しかも、ディスプレイ20ごとに個別に設けられた断熱部30は互いに離間している。この構成では、バイザフード50の線膨張が生じた場合に、隣り合う2つのディスプレイ20ごとに設けられた断熱部30が互いに接触し、これら断熱部30が伸びるように変形することができない、ということを抑制できる。このため、バイザフード50の線膨張に伴ってディスプレイ20に変形などの異常が生じる、ということをより確実に抑制できる。
【0068】
本実施形態によれば、放熱フィン44は、ディスプレイ20から離間した位置にある。この構成では、ディスプレイ20から放熱板部41を介して放熱フィン44に伝わった熱が再びディスプレイ20に戻る、ということを抑制できる。このため、放熱フィン44及び放熱板部41によりディスプレイ20の放熱を確実に行うことができる。
【0069】
本実施形態によれば、放熱板部41が複数の断熱部30のそれぞれに個別に設けられている。この構成では、バイザフード50の線膨張に伴って複数の断熱部30が個別に変形した場合に、断熱部30ごとに個別に放熱板部41の変位や変形が生じる。このため、断熱部30と放熱板部41との接合が剥がれることを抑制できる。また、バイザフード50の線膨張に伴って生じた応力が断熱部30を介して1つの放熱板部41に集中して付与される、ということを抑制できる。すなわち、バイザフード50の線膨張に伴って生じた応力を複数の放熱板部41に分散させることができる。これにより、放熱板部41の変形や破損を抑制できる。
【0070】
本実施形態によれば、複数のディスプレイ20のそれぞれに断熱部30及び放熱板部41の両方が個別に設けられている。この構成では、バイザフード50の線膨張に伴ってディスプレイ20ごとに断熱部30が変形した場合に、この断熱部30の変形に合わせて放熱板部41がディスプレイ20ごとに変形したり変位したりする。このため、断熱部30と放熱板部41との接合が剥がれることや、放熱板部41とディスプレイ20との接合が剥がれること、を抑制できる。
【0071】
しかも、ディスプレイ20ごとに設けられた放熱板部41は互いに離間している。この構成では、バイザフード50の線膨張に伴ってディスプレイ20ごとに断熱部30が変形した場合に、隣り合うディスプレイ20ごとに設けられた放熱板部41が互いに接触し、これら放熱板部41が断熱部30の変形を阻害する、ということを抑制できる。このため、バイザフード50の線膨張を断熱部30が吸収しきれずにディスプレイ20に変形などの異常が生じる、ということをより確実に抑制できる。
【0072】
画像表示装置10について、例えば本実施形態とは異なる比較例10xを想定する。
図8に示すように、比較例10xにおいては、断熱部30及び放熱板部41のそれぞれが複数のディスプレイ20にかけ渡されるように設けられている。この比較例10xでは、複数のディスプレイ20に対して設けられた断熱部30及び放熱板部41が、いずれも一体形状で1枚の連続体になっている。
【0073】
図9に示すように、比較例10xにおいてバイザフード50が線膨張すると、断熱部30がバイザフード50に引っ張られるようにして変形する。また、バイザフード50の線膨張を断熱部30の変形が吸収しきれなかった場合には、断熱部30と共に放熱板部41が変形する。バイザフード50と断熱部30と放熱板部41とで線膨張が異なると、バイザフード50の線膨張によって生じた応力が線膨張の差によって合算された状態でディスプレイ20に付与され、ディスプレイ20に異常が生じる、ということが懸念される。また、この応力が、バイザフード50と断熱部30との接合部分や、放熱板部41と断熱部30との接合部分、ディスプレイ20と放熱板部41との接合部分に付与され、これら接合部分において剥離が生じる、ということが懸念される。
【0074】
本実施形態によれば、凹底面54に沿ってディスプレイ20及び放熱板部41が複数ずつ並べられている。この構成では、例えば1つのディスプレイ20をバイザフード50に対して着脱する場合に、このディスプレイ20に対応した放熱板部41だけを着脱することができる。このように、ディスプレイ20及び放熱板部41のそれぞれについて個別着脱が可能であるため、作業負担やコストの低減を図ることができる。
【0075】
なお、ディスプレイ20を着脱する場合としては、ディスプレイ20を交換する場合がある。例えば、
図7に示すように物体Xがディスプレイ20に接触するなどしてディスプレイ20に異常が生じた場合、ディスプレイ20を交換することになる。作業者は、ディスプレイ20などの着脱作業や交換作業を行う場合、まず、フードカバー60をバイザフード50から取り外す。そして、凹開口部56を通じてディスプレイ20などの着脱や交換を行う。
【0076】
しかも、放熱板部41がディスプレイ20ごとに個別に設けられているため、ディスプレイ20と共に放熱板部41を着脱することを容易化できる。例えば、バイザフード50に対するディスプレイ20の着脱と放熱板部41の着脱とを順番に行うのではなく、ディスプレイ20と放熱板部41とをまとめて着脱できる。したがって、ディスプレイ20及び放熱板部41を着脱する際の作業負担を低減できる。
【0077】
さらに、ディスプレイ20ごとに設けられた放熱板部41は互いに離間している。このため、作業者が1つの放熱板部41を着脱する際に、隣の放熱板部41が支障になるということが生じにくい。例えば、隣り合う2つの放熱板部41の隙間に作業者が手や工具を差し入れて一方の放熱板部41を取り外す、という作業を容易化できる。したがって、ディスプレイ20及び放熱板部41を着脱する際の作業効率を高めることができる。
【0078】
本実施形態によれば、凹底面54に沿ってディスプレイ20及び断熱部30が複数ずつ並べられている。この構成では、例えば1つのディスプレイ20を交換する場合に、このディスプレイ20に対応した断熱部30だけを交換することができる。このように、ディスプレイ20及び断熱部30のそれぞれについて個別交換が可能であるため、作業負担やコストの低減を図ることができる。
【0079】
しかも、断熱部30がディスプレイ20ごとに個別に設けられているため、ディスプレイ20と共に断熱部30を着脱することを容易化できる。例えば、ディスプレイ20の着脱と断熱部30の着脱とを順番に行うのではなく、ディスプレイ20と断熱部30とをまとめて着脱することが可能である。したがって、ディスプレイ20及び断熱部30を着脱する際の作業負担を低減できる。
【0080】
さらに、ディスプレイ20ごとに個別に設けられた断熱部30は互いに離間している。このため、作業者が1つの断熱部30を着脱する際に、隣の断熱部30が支障になるということが生じにくい。例えば、隣り合う2つの断熱部30の隙間に作業者が手や工具を差し入れて一方の断熱部30を取り外す、という作業を容易化できる。したがって、ディスプレイ20及び断熱部30を着脱する際の作業効率を高めることができる。
【0081】
本実施形態によれば、隣り合う2つのディスプレイ20は互いに離間している。このため、作業者が1つのディスプレイ20を着脱する際に、隣のディスプレイ20が支障になるということが生じにくい。例えば、隣り合う2つのディスプレイ20の隙間に作業者が手や工具を差し入れて一方のディスプレイ20を取り外す、という作業を容易化できる。したがって、ディスプレイ20を着脱する際の作業効率を高めることができる。
【0082】
比較例10xにおいて、
図10に示すように物体Xの接触などにより、1つのディスプレイ20と共に放熱板部41及び断熱部30を交換する場合を想定する。比較例10xでは、放熱板部41及び断熱部30を取り外すために全てのディスプレイ20を取り外す必要が生じる。この場合、交換するディスプレイ20は1つだけであるにもかかわらず、複数のディスプレイ20を着脱する必要が生じる。このため、放熱板部41及び断熱部30を交換する際の作業負担が増加する。
【0083】
これに対して、本実施形態によれば、上述したように一部の放熱板部41や断熱部30を着脱することが可能であるため、作業負担を低減できる。しかも、バイザフード50に収容されている全ての放熱板部41及び断熱部30を交換するという必要がない。このため、放熱板部41及び断熱部30について材料費を低減できる。
【0084】
本実施形態によれば、ディスプレイ20が放熱板部41を介して断熱部30に固定されている。この構成では、仮にバイザフード50に振動が付与されたとしても、この振動がバイザフード50から放熱板部41に伝わることを断熱部30の弾性変形により抑制できる。このため、放熱板部41によりディスプレイ20の放熱が行われる構成であっても、バイザフード50の振動に伴ってディスプレイ20及び放熱板部41に異常が発生する、ということを断熱部30の弾性変形により抑制できる。
【0085】
本実施形態によれば、放熱フィン44は、放熱板部41からバイザフード50の外側に向けて延びている。この構成では、ディスプレイ20から放熱板部41に伝わった熱が放熱フィン44からバイザフード50の外側に放出されやすい。このため、ディスプレイ20の熱がバイザフード50の内部にこもり、こもった熱により更にディスプレイ20の温度が上昇する、ということを抑制できる。
【0086】
本実施形態によれば、放熱板部41が凹底面54に沿って複数並べられている。この構成では、一部のディスプレイ20だけが駆動するなどして、一部の放熱板部41に熱が付与された場合に、この熱が他の放熱板部41に伝わりにくい構成を実現できる。このため、画像表示装置10の一部から広範囲に熱が拡散することを、放熱板部41を複数に分割することで抑制できる。例えば、一部のディスプレイ20が過剰に熱を発生している場合に、その熱が放熱板部41を介して伝わった他のディスプレイ20でも異常が発生する、ということを抑制できる。
【0087】
<構成群B>
本実施形態によれば、虚像表示装置11においては、複数の表示面22が反射面16を向いた状態で反射面16に沿って並べられている。この構成では、複数の表示面22のそれぞれに表示された画像Vが反射面16により複数の虚像Viとして表示される。このため、乗員にとっては、複数の虚像Viを1つの反射面16においてまとめて視認することが可能になる。乗員にとっては反射面16が視認面Svであるため、虚像表示装置11において視認面Svの大型化を図ることができる。
【0088】
しかも、反射面16においては、画像光により表示された虚像Viの方が、枠面23が映っただけの虚像V23よりも目立ちやすい。このため、複数の虚像Viを表示する1つの視認面Svにおいて虚像隙間領域が目立つことを緩和できる。虚像隙間領域は、隣り合う虚像Viの隙間を示す領域である。したがって、乗員が視認面Svを視認した際に、その乗員が虚像隙間領域に違和感を抱くということを抑制できる。換言すれば、視認面Svにより視認される複数の虚像Viについてシームレス感を高めることができる。
【0089】
さらに、ディスプレイ20として自発光式の表示部が採用されているため、画像Vの黒色部分などからバックライトの光が漏れるということが回避される。例えば、ディスプレイ前面21において、表示面22の外周縁と枠面23の内周縁との境界部にてバックライトの光が漏れるということが回避される。このため、虚像隙間領域において、バックライトの光で枠面23が目立つということを抑制できる。したがって、視認面Svでのシームレス感をバックライトの光漏れ防止によっても高めることができる。
【0090】
本実施形態によれば、複数のディスプレイ20が装置幅方向に並べられている。この構成では、隣り合う2つのディスプレイ20においては、一方のディスプレイ20から出射された画像光が他方のディスプレイ20により遮られる、ということを回避できる。このため、画像光が遮られることで虚像隙間領域が目立つということを回避できる。
【0091】
本実施形態では、隣り合う2つのディスプレイ20の間に隙間があるため、視認面Svにおいて、この隙間を映した虚像が虚像隙間領域に含まれる。また、虚像Viが画像光により表示されるため、隙間の虚像は、虚像隙間領域において枠面23の虚像Viと同様に目立ちにくい。これらのことにより、ディスプレイ20の着脱容易性などを優先して、隣り合う2つのディスプレイ20の間に隙間が確保されていても、この隙間を映した虚像に乗員が違和感を抱くということを抑制できる。
【0092】
本実施形態によれば、複数のディスプレイ20において、それぞれの枠面23が同系色になっている。この構成では、複数のディスプレイ20について、枠面23の虚像V23が目立たない度合いを揃えることができる。このため、枠面23について、視認面Svにより複数の虚像V23が表示された場合に、一部の虚像V23だけが目立つということを抑制できる。
【0093】
本実施形態によれば、ディスプレイ背面24を覆うバイザフード50が、複数のディスプレイ20にかけ渡された状態になっている。このため、複数のディスプレイ20が位置ずれするということをバイザフード50により抑制できる。例えば、隣り合う2つの表示面22が相対的にずれて、これら表示面22により表示される2つの虚像Viが位置ずれする、ということをバイザフード50により抑制できる。
【0094】
本実施形態によれば、車両100において、バイザフード50が一対のAピラー108にかけ渡されている。この構成では、バイザフード50がインパネ102に固定された部分をAピラー108に極力近い位置に配置できる。このため、インパネ102によるバイザフード50の支持強度を高めることができる。また、この構成では、車室101においてバイザフード50を車両幅方向に極力大きくできる。このため、バイザフード50に収容する画像表示装置10の数を増やすことができる。さらに、画像表示装置10の数に合わせて反射ミラー15を大型化することで、反射面16である視認面Svを大型化することができる。
【0095】
本実施形態によれば、バイザフード50がインパネ102に取り付けられる部材である。このため、車室101のデザイン性がバイザフード50により低下するということを抑制できる。したがって、バイザフード50により車室101のデザイン性を高めることができる。特に、視認面Svの大型化に伴ってバイザフード50も大型化された構成では、車室101においてバイザフード50が目立ちやすい。このため、バイザフード50により車室101のデザイン性を高めることは効果的である。
【0096】
<第2実施形態>
上記第1実施形態では、反射面16が視認面Svとして視認者により視認されるように配置されていた。これに対して、第2実施形態では、カバー前面61が視認面Svとして視認者により視認されるように配置されている。第2実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第1実施形態と同様である。第2実施形態では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0097】
図11に示す車両100では、乗員は、視認面Svにおいて虚像Viではなく画像Vを視認することが可能になっている。車両100には、反射ミラー15が搭載されておらず、画像表示装置10は虚像表示装置11を構成していない。
【0098】
図11~
図14に示す画像表示装置10は、カバー前面61が視認されるように設置されている。カバー前面61は、座席側を向くように斜め上方を向いている。座席に座った乗員にとってはカバー前面61を視認しやすくなっている。本実施形態では、カバー前面61が乗員により視認される視認面Svである。乗員は、視認面Svであるカバー前面61を視認することで画像Vを視認することが可能である。表示面22から出射された画像光は、フードカバー60を透過して座席側に向かって進む。乗員は、上記第1実施形態のように表示面22を間接的に見るのではなく、フードカバー60を介して表示面22を直接的に見ることになる。なお、
図13においては、フード前面51の図示を省略している。本実施形態では、装置厚さ方向が車両100の前後に延びる方向である。
【0099】
画像表示装置10は、カバー前面61及びフード背面52が車室101に露出した状態でインパネ102に設けられている。画像表示装置10は、インパネ102から上方に向けて延びている。画像表示装置10は、手前部分102aと奥部分102bとの間に入り込んだ状態になっている。画像表示装置10の下端部は、インパネ102の奥側に入り込んでおり、インパネ102に固定された基端部である。画像表示装置10の上端部は、奥部分102bの上方に配置された先端部である。カバー前面61は、鉛直方向又は鉛直方向に対して少し傾斜した方向に延びている。
【0100】
画像表示装置10はフロントウインドシールド106の下側に設けられている。表示面22及びカバー前面61は、フロントウインドシールド106とは異なる方向を向いている。太陽光がフロントウインドシールド106を透過して車室101に差し込んだ場合、この太陽光は、フード背面52に当たりやすい一方で、表示面22及びカバー前面61には当たりにくくなっている。
【0101】
図12に示すように、バイザフード50においては、フード先端部57が画像表示装置10の上端部を形成し、フード基端部58が画像表示装置10の下端部を形成している。バイザフード50は、フード基端部58が手前部分102a及び奥部分102bの下側に配置された状態でインパネ102に固定されている。
【0102】
放熱部40においては、放熱フィン44が、インパネ102により上から覆われた状態になっている。例えば、放熱フィン44は、奥部分102bの下方に配置されており、奥部分102bにより上から覆われた状態になっている。車室101においては、放熱フィン44への太陽光の照射がインパネ102により遮られる。なお、放熱フィン44の位置は、フード凹部53からフード基端部58側に離間した位置でなくてもよい。
【0103】
本実施形態と上記第1実施形態とで異なる点は、主に、表示面22及びカバー前面61の向きが異なっていることである。このため、上記第1実施形態の画像表示装置10が奏する効果は、本実施形態の画像表示装置10が奏することができる。例えば、上記第1実施形態の<構成群A>に記載した効果は、本実施形態の画像表示装置10も奏することができる効果である。
【0104】
<第3実施形態>
上記第1実施形態では、隣り合う2つのディスプレイ20が装置幅方向に並べられていた。これに対して、第3実施形態では、隣り合う2つのディスプレイ20の一部が互いに装置厚さ方向に重複している。第3実施形態では、このように2つのディスプレイ20が重複した重複構成を上記第1実施形態に適用した構成について説明する。この重複構成は上記第2実施形態に適用されてもよい。第3実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第1実施形態と同様である。第3実施形態では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0105】
図15に示す画像表示装置10においては、隣り合う2つのディスプレイ20のうち一方が他方よりも手前側に配置されている。これらディスプレイ20のうち、手前側に配置されたディスプレイ20を手前ディスプレイ20Aと称し、奥側に配置されたディスプレイ20を奥ディスプレイ20Bと称する。手前ディスプレイ20A及び奥ディスプレイ20Bはいずれも、凹底面54及びカバー前面61に平行に延びている。複数のディスプレイ20には、手前ディスプレイ20Aを介して隣り合う2つの奥ディスプレイ20Bが含まれている。手前ディスプレイ20Aにおいて一方の側端部25は、2つの奥ディスプレイ20Bのうち一方の奥ディスプレイ20Bの手前側にある。他方の側端部25は、2つの奥ディスプレイ20Bのうち他方の奥ディスプレイ20Bの手前側にある。
【0106】
手前ディスプレイ20Aが有するディスプレイ背面24の一部と奥ディスプレイ20Bが有するディスプレイ前面21の一部とは、互いに対向しており、互いに重なっている。手前ディスプレイ20Aが有する側端部25は、装置厚さ方向において奥ディスプレイ20Bに重複する位置に配置されている。手前ディスプレイ20Aが有する側端部25は、奥ディスプレイ20Bが有するディスプレイ前面21の手前側に配置されている。手前ディスプレイ20Aは、奥ディスプレイ20Bが出射した画像光を遮らない位置に配置されている。例えば、手前ディスプレイ20Aが有する側端部25は、奥ディスプレイ20Bが有する枠面23に重複する位置に配置されている一方で、奥ディスプレイ20Bが有する表示面22には重複しない位置に配置されている。
【0107】
複数のディスプレイユニット70には、手前ディスプレイユニット70A及び奥ディスプレイユニット70Bが含まれている。手前ディスプレイユニット70Aは手前ディスプレイ20Aを有しており、奥ディスプレイユニット70Bは奥ディスプレイ20Bを有している。
【0108】
バイザフード50は、底凸部54aを有している。底凸部54aは、凹底面54の一部を凹開口部56に向けて突出させた凸部である。バイザフード50においては、凹底面54を形成する部位のうち底凸部54aを有する部位が部分的に肉厚になっている。底凸部54aの先端面は凹底面54に含まれている。手前ディスプレイ20Aは、底凸部54aの厚さ寸法の分だけ奥ディスプレイ20Bよりも手前側の位置にある。手前ディスプレイユニット70Aにおいては、断熱部30が底凸部54aの先端面に重ねられた状態になっている。一方で、奥ディスプレイユニット70Bが有する断熱部30は、底凸部54aに重ねられておらず、幅方向において底凸部54aに横並びに配置されている。幅方向においては、奥ディスプレイユニット70Bが有する断熱部30と底凸部54aとが互いに離間した位置にある。
【0109】
手前ディスプレイユニット70Aと奥ディスプレイユニット70Bとでは、それぞれの断熱部30の厚さ寸法、それぞれの放熱板部41の厚さ寸法がいずれも同じである。また、手前ディスプレイ20Aの厚さ寸法と奥ディスプレイ20Bの厚さ寸法も同じである。手前ディスプレイユニット70Aにおいては、断熱部30及び放熱板部41の各幅寸法が手前ディスプレイ20Aの幅寸法よりも小さくなっている。手前ディスプレイユニット70Aが有する断熱部30及び放熱板部41は、奥ディスプレイユニット70Bが有する断熱部30、放熱板部41及び奥ディスプレイ20Bのいずれからも幅方向に離間した位置にある。
【0110】
本実施形態によれば、手前ディスプレイユニット70Aが有する断熱部30は、奥ディスプレイユニット70Bが有する断熱部30、放熱板部41及び奥ディスプレイ20Bのいずれからも幅方向に離間した位置にある。また、奥ディスプレイユニット70Bが有する断熱部30は、底凸部54aから幅方向に離間した位置にある。したがって、例えば
図16に示すように、バイザフード50が線膨張しても、手前ディスプレイユニット70A及び奥ディスプレイユニット70Bの各断熱部30は幅方向に伸びるように弾性変形することが可能である。このため、バイザフード50が底凸部54aを有していても、バイザフード50の線膨張に伴う画像表示装置10での異常発生を断熱部30の弾性変形により抑制できる。
【0111】
本実施形態によれば、底凸部54aによりバイザフード50が部分的に肉厚になっている。この構成では、底凸部54aによりバイザフード50の強度を部分的に高めることができる。このため、底凸部54aを有するバイザフード50が、外力が付与されやすいなど高い強度を必要とする画像表示装置10に適用されることが好ましい。例えば、底凸部54aを有するバイザフード50が、車両100の用途や車種に応じて選択的に採用されることが好ましい。
【0112】
本実施形態によれば、手前ディスプレイ20Aが有する側端部25は、奥ディスプレイ20Bが有する表示面22に装置厚さ方向に重複する位置に設けられている。このため、装置厚さ方向において手前ディスプレイ20Aと奥ディスプレイ20Bとの間に隙間がある構成とは異なり、隙間を映した虚像が虚像隙間領域に含まれない。したがって、虚像Viを視認した乗員にとって、隙間を映した虚像により虚像隙間領域が目立つということを抑制できる。
【0113】
<変形例1>
上記第3実施形態において、手前ディスプレイユニット70Aと奥ディスプレイユニット70Bとで断熱部30の厚さ寸法が異なっていてもよい。変形例1では、
図17に示すように、バイザフード50は底凸部54aを有していない。手前ディスプレイユニット70Aが有する断熱部30の厚さ寸法が、奥ディスプレイユニット70Bが有する断熱部30の厚さ寸法よりも大きくなっている。断熱部30の厚さ寸法が異なる分だけ、手前ディスプレイ20Aは奥ディスプレイ20Bよりも手前側の位置にある。本変形例においては、手前ディスプレイユニット70Aと奥ディスプレイユニット70Bとでは、それぞれの放熱板部41の厚さ寸法が同じである。
【0114】
本変形例では、手前ディスプレイユニット70Aが有する断熱部30は、奥ディスプレイユニット70Bが有する断熱部30、放熱板部41及び奥ディスプレイ20Bのいずれからも幅方向に離間した位置にある。このため、例えば
図18に示すように、バイザフード50が線膨張しても、手前ディスプレイユニット70Aと奥ディスプレイユニット70Bとが互いに干渉せずに、それぞれの断熱部30が幅方向に伸びるように弾性変形することが可能である。したがって、手前ディスプレイユニット70Aと奥ディスプレイユニット70Bとで断熱部30の厚さ寸法が異なっていても、バイザフード50の線膨張に伴う画像表示装置10での異常発生を断熱部30の弾性変形により抑制できる。
【0115】
本変形例によれば、手前ディスプレイユニット70Aが有する断熱部30が、奥ディスプレイユニット70Bが有する断熱部30よりも肉厚になっている。この構成では、手前ディスプレイ20Aに対する断熱性能が奥ディスプレイ20Bに対する断熱性能よりも高くなっている。このため、手前ディスプレイユニット70Aがバイザフード50のうち高温になりやすい部位に対して設けられることが好ましい。バイザフード50において高温になりやすい部位としては、例えば太陽光が当たりやすい部位がある。また、バイザフード50において高温になりやすい部位が、車両100の用途や車種に応じて異なる場合には、手前ディスプレイユニット70Aの位置が、車両100の用途や車種に応じて設定されることが好ましい。
【0116】
<変形例2>
上記第3実施形態において、手前ディスプレイユニット70Aと奥ディスプレイユニット70Bとで放熱板部41の厚さ寸法が異なっていてもよい。変形例2では、
図19に示すように、手前ディスプレイユニット70Aが有する放熱板部41の厚さ寸法が、奥ディスプレイユニット70Bが有する放熱板部41の厚さ寸法よりも大きくなっている。放熱板部41の厚さ寸法が異なる分だけ、手前ディスプレイ20Aは奥ディスプレイ20Bよりも手前側の位置にある。本変形例においては、手前ディスプレイユニット70Aと奥ディスプレイユニット70Bとでは、それぞれの断熱部30の厚さ寸法が同じである。
【0117】
本変形例では、手前ディスプレイユニット70Aの放熱板部41は、奥ディスプレイユニット70Bが有する断熱部30、放熱板部41及び奥ディスプレイ20Bのいずれからも幅方向に離間した位置にある。このため、例えば
図20に示すように、バイザフード50が線膨張しても、手前ディスプレイユニット70Aと奥ディスプレイユニット70Bとが互いに干渉せず、それぞれの断熱部30が幅方向に伸びるように弾性変形することが可能である。したがって、手前ディスプレイユニット70Aと奥ディスプレイユニット70Bとで放熱板部41の厚さ寸法が異なっていても、バイザフード50の線膨張に伴う画像表示装置10での異常発生を断熱部30の弾性変形により抑制できる。
【0118】
本変形例によれば、手前ディスプレイユニット70Aが有する放熱板部41が、奥ディスプレイユニット70Bが有する放熱板部41よりも肉厚になっている。この構成では、手前ディスプレイ20Aに対する放熱性能が奥ディスプレイ20Bに対する放熱性能よりも高くなっている。このため、手前ディスプレイユニット70Aが複数のディスプレイ20のうち例えば発熱しやすいディスプレイ20に対して設けられることが好ましい。また、ディスプレイ20の発熱態様が車両100の用途や車種に応じて異なる場合には、手前ディスプレイユニット70Aの位置が、車両100の用途や車種に応じて設定されることが好ましい。
【0119】
<第4実施形態>
第4実施形態では、虚像Viに歪みが生じないように画像Vについて補正処理が行われる。第4実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第1実施形態と同様である。第4実施形態では、上記第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0120】
図21に示すように、虚像表示装置11において、画像表示装置10及び反射ミラー15が全体として曲がった形状になっている。バイザフード50及び反射ミラー15は、一対のAピラー108にかけ渡された状態になっている。バイザフード50及び反射ミラー15は、それぞれの中央部分が車両前方に向けて膨らむように湾曲している。反射ミラー15が有する反射面16は、平坦面又は湾曲面であり、1つの連続した連続面になっている。フード先端部57は、車両幅方向におけるフード先端部57の中央部分がフード基端部58に向けて凹むように湾曲している。
【0121】
図22に示すように、画像表示装置10においては、複数のディスプレイユニット70がフード先端部57に沿って並べられている。複数のディスプレイユニット70は車両幅方向に並べられている。複数のディスプレイユニット70のそれぞれにおいては、ディスプレイ20と回路基板71とが車両前後方向に並べられている。
【0122】
図23に示すように、複数のディスプレイユニット70において、それぞれのディスプレイ20はフード先端部57に沿って並べられている。ディスプレイ20は、フード先端部57に沿って複数並べられていれば、車両幅方向に対して傾斜していてもよく、傾斜していなくてもよい。例えば、隣り合う2つのディスプレイ20のうち、一方のディスプレイ20が他方のディスプレイ20に対して傾斜していてもよく、傾斜していなくてもよい。なお、
図22、
図23においては、フードカバー60の図示を省略している。
【0123】
図24に示すように、画像表示装置10は、制御部80及び検出部83を有している。制御部80は、複数のディスプレイ20のそれぞれに電気的に接続されており、これらディスプレイ20のそれぞれについて個別に制御を行う。制御部80は、例えばドライバ回路を介してディスプレイ20の制御を行う。
【0124】
制御部80は、例えばECUであり、制御装置に相当する。ECUは、Electronic Control Unitの略称である。制御部80は、演算処理装置としてのCPU81と、記憶装置としてのメモリ82とを有している。CPU81はプロセッサである。制御部80は、例えばCPU81、メモリ82、I/O、これらを接続するバスを備えるマイクロコンピュータを主体として構成される。制御部80は、メモリ82に記憶された制御プログラムを実行することで、ディスプレイ20の駆動に関する各種の処理を実行する。このメモリ82は、コンピュータによって読み取り可能なプログラム及びデータを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)である。また、非遷移的実体的記憶媒体は、半導体メモリ又は磁気ディスクなどによって実現される。
【0125】
検出部83は、制御部80に電気的に接続されている。検出部83は、反射面16に照射される外光の明るさを検出し、その明るさを示す検出信号を制御部80に対して出力する。検出部83は、インパネ102において反射面16よりも手前側の位置に設けられている。制御部80は、検出部83の検出信号を用いて、反射面16に照射される外光の明るさを外光明るさとして測定し、この外光明るさに応じてディスプレイ20を制御する。制御部80は、外光明るさに応じて、例えば画像Vの色や輝度、画質などを調整する。例えば、制御部80は、夕日又は朝日が反射面16に照射されるなどして外光明るさの測定値が高い場合には、画像Vの明度や輝度を高めに設定する。
【0126】
なお、検出部83は、表示面22に照射される外光の明るさを検出する位置に設けられていてもよい。また、検出部83は、反射面16に照射される外光の明るさを検出する位置、表示面22に照射される外光の明るさを検出する位置、の少なくとも一方に設けられていてもよい。この構成では、制御部80は、反射面16での外光明るさ、及び表示面22での外光明るさの少なくとも一方を測定し、測定した外光明るさに応じてディスプレイ20を制御する。
【0127】
反射面16により表示される虚像Viは、表示面22により表示される画像Vに対して歪むことが考えられる。虚像Viが歪む構成としては、例えば、表示面22に対して反射面16が装置厚さ方向や車両前後方向に相対的に湾曲している構成が挙げられる。
【0128】
制御部80は、虚像Viが歪まないように画像Vを補正する歪み補正処理を行う。制御部80は、歪み補正処理として、例えば、虚像Viの歪みを打ち消すように画像Vを表示面22に対して意図的に歪ませる処理を行う。例えば
図25に示すように、制御部80は、画像Vの横中心線Lvaが表示面22の横中心線Laに対して傾斜し、且つ画像Vの縦中心線Lvbが表示面22の縦中心線Lbに対して傾斜するように、歪み補正を行う。画像V及び表示面22においては、横中心線Lva,Laが表示面22横方向に伸びており、縦中心線Lvb,Lbが表示面22の縦方向に伸びている。画像V及び表示面22においては、横方向が長手方向であり、縦方向が短手方向である。例えば、表示面22の横方向は車両幅方向であり、表示面22の縦方向は車両前後方向である。
【0129】
制御部80により歪み補正処理が行われた場合、虚像Viの歪みが解消される。例えば
図26に示すように、複数の虚像Viのそれぞれについて歪みが解消された場合、これら虚像Viのそれぞれの横中心線Lvaが互いに平行になったり一致したりして、車両幅方向に延びた状態になる。また、これら虚像Viのそれぞれの縦中心線Lvbが互いに平行になったり一致したりして、車両前後方向に延びた状態になる。
【0130】
例えば、本実施形態とは異なり、制御部80が歪み補正を行わない場合、
図27に示すように、画像Vが表示面22に対して歪んでいない状態になる。この状態では、画像V及び表示面22について、それぞれの横中心線Lva,Laが互いに平行になったり一致したりする。同様に、それぞれの縦中心線Lvb,Lbが互いに平行になったり一致したりする。このように画像Vが表示面22に対して歪んでいない状態では、
図28に示すように、虚像Viが画像V及び反射面16の両方に対して歪むことになる。
【0131】
<変形例3>
反射面16は、1つの連続面になっているのではなく、複数の連続面を有していてもよい。変形例3では、例えば第4実施形態において、
図29に示すように、反射ミラー15は、センタミラー15aと、一対の側方ミラー15b,15cとを有している。センタミラー15aは、車両幅方向に延びており、座席側を向いている。センタミラー15aは、一対の側方ミラー15b,15cの間に設けられており、これら側方ミラー15b,15cを接続している。センタミラー15a及び側方ミラー15b,15cは、いずれも板状に形成されている。反射ミラー15では、車両幅方向において一方の端部が側方ミラー15bにより形成されており、他方の端部が側方ミラー15cにより形成されている。反射ミラー15においては、一対のAピラー108のうち一方に対して側方ミラー15bが固定され、他方に対して側方ミラー15cが固定されている。
【0132】
反射面16は、センタ面16aと、一対の側方面16b,16cとを有している。センタ面16aは、センタミラー15aが有する一方の板面により形成されており、座席側を向いている。側方面16b,16cは、側方ミラー15b,15cが有する一方の板面により形成されている。側方面16b,16cは、いずれもセンタ面16aに対して傾斜しており、センタ面16a側を向くようにして座席側を向いている。このため、車両幅方向に並んだ2つの座席のうち、一方の座席に近い側方面16bについても他方の座席から見やすくなっている。同様に、他方の座席に近い側方面16cについても一方の座席から見やすくなっている。
【0133】
側方面16b,16cは、センタ面16aに対して屈曲しており、その屈曲角度は例えば鈍角になっている。側方面16b,16cは、例えばそれぞれの中央部分が座席側に向けて膨らむように湾曲している。反射面16においては、車両幅方向において一方の端部が側方面16bにより形成されており、他方の端部が側方面16cにより形成されている。
【0134】
側方面16b,16cは、車両100の周辺を撮像した画像Vを虚像Viとして表示することが可能になっている。例えば、運転者にとっての右側に側方面16bがある場合には、この側方面16bに車両右側を撮像した画像Vが虚像Viとして表示される。運転者にとっての左側に側方面16cがある場合には、この側方面16cに車両左側を撮像した画像Vが虚像Viとして表示される。この場合、側方面16b,16cは、サイドミラーとしての機能を果たす電子ミラーに相当する。サイドミラーとしては、ドアミラーやフェンダーミラーがある。
【0135】
<第5実施形態>
第5実施形態では、上記第3実施形態と同様に、隣り合う2つのディスプレイ20の一部が互いに画像表厚さ方向に重複している。この構成において、第5実施形態では、手前ディスプレイ20Aが有する側端部25が奥ディスプレイ20Bの表示面22に重複する位置に設けられている。第5実施形態で特に説明しない構成、作用、効果については上記第3実施形態と同様である。第5実施形態では、上記第3実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0136】
図30に示すように、画像表示装置10では、手前ディスプレイ20A及び奥ディスプレイ20Bがそれぞれの表示面22を下方に向けて設けられている。手前ディスプレイ20Aが有する側端部25は、奥ディスプレイ20Bが有する表示面22の下側に配置されている。
【0137】
図31に示すように、画像表示装置10にはディスプレイ重複部26が存在する。ディスプレイ重複部26は、手前ディスプレイ20Aと奥ディスプレイ20Bとが、装置厚さ方向に重複した部分である。ディスプレイ重複部26では、手前ディスプレイ20Aが有するディスプレイ背面24と奥ディスプレイ20Bが有するディスプレイ前面21とが重なった状態になっている。
【0138】
図32に示すように、手前ディスプレイ20Aは、凹開口部56から突出した状態でバイザフード50に収容されている。一方で、奥ディスプレイ20Bは、凹開口部56から突出しない状態でバイザフード50に収容されている。奥ディスプレイ20Bは厚さ寸法D1を有している。手前ディスプレイ20Aの厚さ寸法は奥ディスプレイ20Bの厚さ寸法と同じになっている。凹開口部56からの奥ディスプレイ20Bの突出寸法D2は、厚さ寸法D1よりも小さくなっている。例えば、突出寸法D2は厚さ寸法D1の1/2以下になっている。なお、本実施形態では、画像表示装置10がフードカバー60を有していない。また、
図32においては、断熱部30及び放熱部40の図示を省略している。
【0139】
図33に示すように、複数のディスプレイ20はいずれも、ディスプレイ本体201、偏光板202及びディスプレイ枠部203を有している。ディスプレイ本体201は、例えば、有機ELディスプレイであり、板状に形成されている。偏光板202は、ディスプレイ本体201の板面に重ねられており、ディスプレイ本体201に固定されている。偏光板202は、ディスプレイ前面21を形成している。偏光板202は、表示面22及び枠面23の両方を形成している。偏光板202は、例えば互いに直交する透過軸及び吸収軸を有しており、透過軸方向に変更した光を透過させ、吸収軸方向に変更した光を吸収する。
【0140】
ディスプレイ枠部203は、ディスプレイ本体201の外周縁に沿って延びており、枠状に形成されている。ディスプレイ枠部203は、側端部25及び枠面23を形成している。ディスプレイ枠部203は、樹脂材料等により形成されている。ディスプレイ枠部203は、例えば塗料がディスプレイ本体201及び偏光板202に塗布されることで形成されている。ディスプレイ枠部203は、明度が低い黒色等の暗色を有している。ディスプレイ枠部203においては、光の反射性が低くなっている。ディスプレイ枠部203は、光の反射を抑制する反射抑制部である。ディスプレイ枠部203に画像光等の光が当たった場合、その光はディスプレイ枠部203にて反射しにくくなっている。ディスプレイ枠部203を形成するために塗料を塗布するなどの処理は反射抑制処理である。
【0141】
ディスプレイ枠部203は、枠前面部203a及び枠縁部203bを有している。枠前面部203aは、枠面23を形成する部位であり、例えば偏光板202に重ねられている。枠縁部203bは、ディスプレイ20の縁面を形成する部位であり、例えばディスプレイ本体201及び偏光板202の各端面に重ねられている。側端部25は、枠縁部203bにより形成されている。
【0142】
手前ディスプレイ20Aが有するディスプレイ枠部203は、奥ディスプレイ20Bが有する表示面22と枠面23とを装置幅方向に跨いだ状態になっている。装置幅方向において、ディスプレイ重複部26の幅寸法W1は、枠前面部203aが形成する枠面23の幅寸法W2よりも大きくい。装置幅方向において、手前ディスプレイ20Aが有する表示面22と奥ディスプレイ20Bが有する表示面22との離間距離W3は幅寸法W2と同じになっている。一方で、離間距離W3は幅寸法W1よりも小さい。
【0143】
例えば本実施形態とは異なり、手前ディスプレイ20Aが有する側端部25が、奥ディスプレイ20Bが有する枠面23の前方に配置された構成を想定する。この構成では、装置幅方向では、手前ディスプレイ20Aが有する表示面22と、奥ディスプレイ20Bが有する表示面22との間において、奥ディスプレイ20Bが有する枠面23の少なくとも一部が露出する。このため、装置幅方向では、隣り合う2つの表示面22の間において、手前ディスプレイ20Aが有する枠面23及び奥ディスプレイ20Bが有する枠面23の両方が露出する。これにより、離間距離W3が幅寸法W2よりも大きくなる。
【0144】
これに対して、本実施形態によれば、奥ディスプレイ20Bが有する枠面23の全体が手前ディスプレイ20Aの奥側に隠れた状態になる。このため、装置幅方向では、隣り合う2つの表示面22の間において、奥ディスプレイ20Bが有する枠面23が露出しない。これにより、離間距離W3が幅寸法W2と同じになる。このように離間距離W3が幅寸法W2と同じになると、上述したような離間距離W3が幅寸法W2よりも大きい構成に比べて、虚像隙間領域の幅寸法が小さくなる。したがって、乗員が虚像Viを視認した場合に虚像隙間領域が目立つということを抑制できる。
【0145】
図34に示すように、視認面Svにおいては、隣り合う2つの虚像Viの間に虚像隙間領域が表示される。この虚像隙間領域には、手前ディスプレイ20Aが有する枠面23が虚像V23として表示される。ただし、この虚像V23は乗員がほとんど視認できないくらいにわずかに表示される程度である。虚像Viには、情報虚像Vi1及び背景虚像Vi2が含まれている。情報虚像Vi1は、車両情報などの各種情報を表示する虚像である。背景虚像Vi2は、情報虚像Vi1にとっての背景を表示する虚像である。背景虚像Vi2は、枠面23を表示する虚像V23に沿って延びており、虚像V23に隣接する位置に表示される。情報虚像Vi1と虚像V23との間には、背景虚像Vi2が表示されることが考えられる。情報虚像Vi1は第1虚像と称されることがあり、背景虚像Vi2は第2虚像と称されることがある。
【0146】
画像表示装置10は、上記第3実施形態と同様に制御部80を有している。制御部80は、枠面23を示す虚像V23と背景虚像Vi2とを乗員が識別できないような画像Vをディスプレイ20に表示させる。例えば、制御部80は、背景虚像Vi2が有する色相、彩度及び明度の少なくとも1つが虚像V23に同じ又は近くなるように、ディスプレイ20を制御する。これにより、背景虚像Vi2に対して虚像V23が目立って乗員が違和感を抱くということを抑制できる。
【0147】
本実施形態によれば、ディスプレイ枠部203が反射抑制部である。この構成では、奥ディスプレイ20Bから出射された画像光が、手前ディスプレイ20Aが有するディスプレイ枠部203に反射するということが生じにくい。このため、奥ディスプレイ20Bから出射された画像光が手前ディスプレイ20Aの縁面に反射し、その反射した光により背景虚像Vi2と虚像V23との境界部が目立つ、ということを抑制できる。
【0148】
<変形例4>
上記第5実施形態において、ディスプレイ枠部203は、ディスプレイ背面24側に回り込んだ形状になっていてもよい。変形例4では、例えば
図35に示すように、ディスプレイ枠部203は、枠前面部203a及び枠縁部203bに加えて、枠背面部203cを有している。枠背面部203cは、ディスプレイ本体201を介して枠前面部203aとは反対側に設けられている。枠背面部203cは、ディスプレイ本体201が有する背面側板面に重ねられている。ディスプレイ枠部203においては、枠縁部203bが枠前面部203aと枠背面部203cとを接続している。枠背面部203cは、ディスプレイ背面24の一部を形成している。
【0149】
ディスプレイ重複部26においては、手前ディスプレイ20Aが有する枠背面部203cが、奥ディスプレイ20Bが有する表示面22と枠面23とを装置幅方向に跨ぐ位置に配置されている。すなわち、手前ディスプレイ20Aが有する枠背面部203cの少なくとも一部が、奥ディスプレイ20Bが有する表示面22に対向している。この構成では、奥ディスプレイ20Bが有する表示面22からの画像光が、手前ディスプレイ20Aにおいてディスプレイ本体201ではなく枠背面部203cに照射されても、枠背面部203cでは反射しにくくなっている。このため、奥ディスプレイ20Bから出射された画像光により、虚像Viと虚像V23との境界部が目立つ、ということを抑制できる。
【0150】
<他の実施形態>
この明細書の開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品、要素の組み合わせに限定されず、種々変形して実施することが可能である。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品、要素が省略されたものを包含する。開示は、一つの実施形態と他の実施形態との間における部品、要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示される技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
【0151】
<構成群A>
上記各実施形態において、放熱フィン44は、インパネ102やバイザフード50により覆い隠されていなくてもよい。例えば、放熱フィン44が車室101においてフード前面51及びフード背面52の少なくとも一方から露出していてもよい。放熱フィン44は、ディスプレイ前面21及びディスプレイ背面24の少なくとも一方に重ねられた状態になっていてもよい。放熱フィン44の位置は、ディスプレイ20とフード基端部58との間でなくてもよい。放熱フィン44は、放熱板部41ごとに個別には設けられていなくてもよい。例えば、複数の放熱板部41に対して1つの放熱フィン44が設けられていてもよい。具体的には、1つの放熱フィン44が複数の放熱板部41にかけ渡された状態になっていてもよい。1つのディスプレイユニット70が複数の放熱フィン44を有していてもよい。
【0152】
上記各実施形態において、放熱部40による放熱効率を高める構成が画像表示装置10に対して設けられていてもよい。例えば、ヒートパイプ等の熱移動を行う熱移動部材が、放熱板部41及び放熱延び部42の少なくとも一方に接続されていてもよい。この構成では、放熱板部41や放熱延び部42の熱が熱移動部材を介して放出されることで、放熱部40の放熱効率が向上しやすい。また、放熱延び部42に向けて送風を行う電動ファンが設けられていてもよい。この構成では、電動ファンからの送風により放熱延び部42の放熱効率が向上しやすい。
【0153】
上記各実施形態において、放熱部40では放熱板部41の一部がバイザフード50の外側に露出していてもよい。この構成では、ディスプレイ20の熱が放熱板部41からバイザフード50の外側に放出されやすい。また、放熱部40は、ディスプレイ20の熱をバイザフード50の外側に放出可能であれば、バイザフード50の外側に露出していなくてもよい。例えば、放熱フィン44等の放熱延び部は、放熱板部41からバイザフード50の外側に向けて延びていれば、バイザフード50の外側に露出していなくてもよい。この構成でも、放熱延び部がディスプレイ20から離間した位置にあれば、放熱延び部からディスプレイ20の外側に向けて熱を放出できる。放熱延び部は、放熱板部41からバイザフード50の外側に向けて延びていれば、フィン部を有していなくてもよい。例えば、放熱延び部は、放熱板部41と同様に板状に形成されていてもよい。
【0154】
上記各実施形態において、隣り合う2つのディスプレイ20のそれぞれに個別に設けられた放熱板部41は、互いに接触していてもよい。1つのディスプレイ20に個別に設けられた放熱板部41は複数であってもよい。放熱板部41は、ディスプレイ20ごとに個別に設けられていなくてもよい。例えば、1つの放熱板部41が、隣り合う2つのディスプレイ20にかけ渡されていてもよい。放熱板部41が凹底面54に沿って複数並べられていれば、これら放熱板部41の並び方向は装置幅方向でなくてもよい。放熱板部41がディスプレイ20ごとに個別に設けられていなくても、作業者は、1つのディスプレイ20をバイザフード50に着脱する場合に、一部の放熱板部41だけをディスプレイ20と共に着脱する、ということが可能である。1つのディスプレイユニット70が複数の放熱板部41を有していてもよい。放熱板部41は、ネジ等の固定具によりディスプレイ20に固定されていてもよい。放熱板部41は、ディスプレイ背面24に重ねられていれば、ディスプレイ20に固定されていなくてもよい。
【0155】
上記各実施形態において、放熱板部41と放熱フィン44とは一体的に形成されていてもよい。この構成では、作業者は、放熱板部41をバイザフード50に着脱する場合に、放熱板部41と共に放熱フィン44をバイザフード50に着脱する。放熱部40は、放熱板部41及び放熱フィン44のうち一方を有していなくてもよい。放熱部40が放熱板部41を有していない構成では、ディスプレイ背面24が断熱部30に接合されていてもよい。また、画像表示装置10は放熱部40を有していなくてもよい。
【0156】
上記各実施形態において、隣り合う2つのディスプレイ20のそれぞれに個別に設けられた断熱部30は、互いに接触していてもよい。1つのディスプレイ20に個別に設けられた断熱部30は複数であってもよい。断熱部30は、ディスプレイ20ごとに個別に設けられていなくてもよい。例えば、1つの断熱部30が、隣り合う2つのディスプレイ20にかけ渡されていてもよい。断熱部30が凹底面54に沿って複数並べられていれば、これら断熱部30の並び方向は装置幅方向でなくてもよい。断熱部30がディスプレイ20ごとに個別に設けられていなくても、作業者は、1つのディスプレイ20をバイザフード50に着脱する場合に、一部の断熱部30だけをディスプレイ20と共に着脱する、ということが可能である。1つのディスプレイユニット70が複数の断熱部30を有していてもよい。断熱部30は、凹底面54に対して固定されていれば、ネジ等の固定具によりバイザフード50に固定されていてもよい。断熱部30は、ネジ等の固定具により放熱板部41に固定されていてもよい。
【0157】
上記各実施形態において、ディスプレイ20は、断熱部30を介して凹底面54に固定されていれば、ネジ等の固定具により断熱部30に固定されていてもよい。ディスプレイ20は、ディスプレイ20が凹底面54に対して相対的に変位可能な状態で、断熱部30により凹底面54に固定されていればよい。ディスプレイ20は上下方向に複数並べられていてもよい。装置幅方向が車両前後方向になるように画像表示装置10が車室101に設置された構成では、ディスプレイ20は車両前後方向に複数並べられていることが好ましい。画像表示装置10はディスプレイ20を1つだけ有していてもよい。
【0158】
<構成群B>
上記各実施形態において、断熱部30はバイザフード50に固定されていれば、凹底面54に接合されていなくてもよい。例えば、断熱部30は、ネジ等の固定具によりバイザフード50に固定されていてもよい。また、断熱部30は空気層により形成されていてもよい。さらに、ディスプレイ背面24と放熱板部41との間に断熱部30があってもよい。加えて、凹底面54と断熱部30との間に放熱板部41があってもよい。
【0159】
上記各実施形態において、画像表示装置10は、断熱部30及び放熱部40の少なくとも一方を有していなくてもよい。画像表示装置10が断熱部30及び放熱部40の両方を有していない構成では、ディスプレイ背面24が凹底面54に直接的に接合されていてもよい。
【0160】
上記第3~第5実施形態では、1つのディスプレイ20において、一方の側端部25が隣のディスプレイ20の前側に配置され、他方の側端部25が反対側の隣のディスプレイ20の奥側に配置されていてもよい。この構成では、これらディスプレイ20は、画像表示装置10の幅方向に対して傾斜した状態になっている。
【0161】
<共通>
上記各実施形態において、ディスプレイ20は枠面23を有していなくてもよい。すなわち、ディスプレイ前面21の全体が表示面22になっていてもよい。
【0162】
上記各実施形態において、画像表示装置10はフードカバー60を有していなくてもよい。例えば上記第2実施形態において、画像表示装置10がフードカバー60を有していない構成では、複数のディスプレイ前面21が全体として1つの視認面Svを形成することになる。
【0163】
上記各実施形態において、ディスプレイ背面24がバイザフード50により覆われていれば、ディスプレイ20はフード凹部53の内部に収容されていなくてもよい。例えば、バイザフード50がフード凹部53を有していない構成では、フード前面51がディスプレイ背面24に対向した状態で、バイザフード50がディスプレイ背面24を覆っていればよい。この構成では、フード前面51がケース対向面に相当する。また、断熱部30及び放熱板部41についても、ケース対向面とディスプレイ背面24との間に設けられていれば、フード凹部53の内部に収容されていなくてもよい。
【0164】
上記各実施形態において、画像表示部としてのディスプレイ20は自発光式でなくてもよい。例えば、ディスプレイ20は、液晶パネル等の画像素子でもよい。ディスプレイ20が自発光式でない構成では、画像表示装置10がLED等の光源をバックライトとして有していることが好ましい。
【0165】
上記各実施形態において、隣り合う2つの表示面22は、隣り合う2つのディスプレイ20が装置厚さ方向に互いに重複した位置に配置されているか否かに関係なく、装置厚さ方向にずれた位置に配置されていてもよい。
【0166】
上記第1、第3~第5実施形態において、反射ミラー15が装置幅方向に複数並べられていてもよい。この構成では、複数の反射面16が全体として1つの視認面Svを形成することになる。虚像表示部は、画像Vを虚像Viとして表示することが可能であれば、反射ミラー15でなくてもよい。虚像表示部は、例えばハーフミラーやレンズ部材であってもよい。ハーフミラーは、ミラー面を有しており、ミラー面に入射する画像光について透過及び反射の両方を行う部材である。車両100においては、ウインドシールドが虚像表示部として利用されてもよい。例えば、画像表示装置10からの画像光がウインドシールドに照射される構成とする。この構成では、ウインドシールドの内面が画像光を反射し、虚像Viを表示する。このため、ウインドシールドの内面の少なくとも一部が視認面Svになる。
【0167】
上記各実施形態において、バイザフード50は、インパネ102とは異なる内装パネルに取り付けられてもよい。内装パネルとしては、インパネ102の他に、ドアパネルや天井パネルなどがある。バイザフード50は、ドアパネルや天井パネルに取り付けられてもよい。
【0168】
上記各実施形態において、制御部80は、少なくとも1つのコンピュータを含む制御システムによって提供される。制御システムは、ハードウェアである少なくとも1つのプロセッサ(ハードウェアプロセッサ)を含む。ハードウェアプロセッサは、下記(i)、(ii)、又は(iii)により提供することができる。
【0169】
(i)ハードウェアプロセッサは、ハードウェア論理回路である場合がある。この場合、コンピュータは、プログラムされた多数の論理ユニット(ゲート回路)を含むデジタル回路によって提供される。デジタル回路は、プログラム及びデータの少なくとも一方を格納したメモリを備える場合がある。コンピュータは、アナログ回路によって提供される場合がある。コンピュータは、デジタル回路とアナログ回路との組み合わせによって提供される場合がある。
【0170】
(ii)ハードウェアプロセッサは、少なくとも1つのメモリに格納されたプログラムを実行する少なくとも1つのプロセッサコアである場合がある。この場合、コンピュータは、少なくとも1つのメモリと、少なくとも1つのプロセッサコアとによって提供される。プロセッサコアは、例えばCPUと称される。メモリは、記憶媒体とも称される。メモリは、プロセッサによって読み取り可能な「プログラム及びデータの少なくとも一方」を非一時的に格納する非遷移的かつ実体的な記憶媒体である。
【0171】
(iii)ハードウェアプロセッサは、上記(i)と上記(ii)との組み合わせである場合がある。(i)と(ii)とは、異なるチップの上、又は共通のチップの上に配置される。
【0172】
すなわち、制御部80が提供する手段及び機能の少なくとも一方は、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、又はそれらの組み合わせにより提供することができる。
【0173】
上記各実施形態において、表示装置10,11が搭載される車両100としては、自動運転及び手動運転の両方が可能な自動運転車両などがある。また、表示装置10,11が搭載される車両100としては、乗用車やバス、建設作業車、農業機械車両などがある。表示装置10,11が搭載される移動体としては、車両100の他に電車や飛行機、船舶などある。表示装置10,11は乗り物に搭載されていてもよい。乗り物としては、車両100などの移動用乗り物や、ゲーム機等の定置型の乗り物がある。表示装置10,11は、定置式の設備や機器に搭載されていてもよい。表示装置10,11は、ヘッドマウントディスプレイ等の携帯情報端末に適用されてもよい。表示装置10,11が車両100とは異なる機器や設備に搭載される構成では、これら機器や設備での仕上げ面の少なくとも一部がバイザフード50により形成されていてもよい。
【0174】
<構成群Aの特徴>
表示装置においては、背面カバーの背面に太陽光等の外光が照射されると、この外光による外光熱が背面カバーを介してディスプレイに付与されることが考えられる。この場合、外光熱によりディスプレイの温度が過剰に上昇し、ディスプレイに異常が発生する、ということが懸念される。これに対して、本明細書にて開示された構成には、下記のように構成群Aの特徴が含まれている。下記特徴A1によれば、表示装置において、画像表示部に異常が発生することを抑制できる。
【0175】
[特徴A1]
画像(V)を表示する表示装置(10)であって、
画像を表示する表示面(22)、及び表示面とは反対側の表示背面(24)を有している画像表示部(20)と、
表示背面に対向するケース対向面(54)を有し、表示背面を覆っている表示ケース(50)と、
表示背面とケース対向面との間に設けられ、表示ケースから画像表示部に熱が伝わることを規制し、表示ケースに対する画像表示部の相対的な変位に応じて弾性変形又は柔軟に伸縮変形する断熱部(30)と、
を備え、
画像表示部は、断熱部を介してケース対向面に固定されている、表示装置。
【0176】
[特徴A2]
表示背面とケース対向面との間に入り込んだ状態で設けられ、画像表示部の熱を表示ケースの外側に放出する放熱部(40)、を備え、
断熱部は、表示ケースに対する放熱部の相対的な変位に応じて弾性変形又は柔軟に伸縮変形し、
画像表示部は、放熱部を介して断熱部に固定されている、特徴A1に記載の表示装置。
【0177】
[特徴A3]
放熱部は、
表示背面と断熱部との間に設けられ、表示背面に重ねられた板状の放熱板部(41)と、
放熱板部から表示ケースの外側に向けて延びた放熱延び部(44)と、
を有している、特徴A2に記載の表示装置。
【0178】
[特徴A4]
放熱板部は、ケース対向面に沿って複数並べられている、特徴A3に記載の表示装置。
【0179】
[特徴A5]
画像表示部は、ケース対向面に沿って複数並べられており、
放熱板部は、複数の画像表示部のそれぞれに個別に設けられている、特徴A4に記載の表示装置。
【0180】
[特徴A6]
隣り合う2つの放熱板部は、ケース対向面に沿って互いに離間した位置に設けられている、特徴A4又はA5に記載の表示装置。
【0181】
[特徴A7]
放熱延び部は、画像表示部の外周縁から表示ケースの外周縁側に離間した位置に設けられている、特徴A3~A6のいずれか1つに記載の表示装置。
【0182】
[特徴A8]
断熱部は、ケース対向面に沿って複数並べられている、特徴A1~A7のいずれか1つに記載の表示装置。
【0183】
[特徴A9]
画像表示部は、ケース対向面に沿って複数並べられており、
断熱部は、複数の画像表示部ごとに個別に設けられている、特徴A8に記載の表示装置。
【0184】
[特徴A10]
隣り合う2つの断熱部は、ケース対向面に沿って互いに離間した位置に設けられている、特徴A8又はA9に記載の表示装置。
【0185】
[特徴A11]
車両(100)に搭載される表示装置であって、
表示ケースは、車両の車室(101)において内装を形成する内装パネル(102)に取り付けられる部材である、特徴A1~A10のいずれか1つに記載の表示装置。
【0186】
<構成群Bの特徴>
表示装置においては、画像に含まれる情報の多さなどに対して表示面の大きさが不足することが懸念される。これに対して、本明細書にて開示された構成には、下記のように構成群Bの特徴が含まれている。下記特徴B1によれば、虚像表示装置において視認者が視認する視認面の大型化を図ることができる。
【0187】
[特徴B1]
画像(V)を虚像(Vi)として表示する虚像表示装置(11)であって、
画像光を出射して画像を表示する表示面(22)、をそれぞれ有している複数の画像表示部(20,20A,20B)と、
画像光を反射し且つ視認者により視認される反射面(16)を有し、反射面により反射した画像光により虚像を表示する虚像表示部(15)と、
を備え、
複数の画像表示部は、それぞれの表示面が反射面を向いた状態で反射面に沿って並ぶように設けられている、虚像表示装置。
【0188】
[特徴B2]
隣り合う2つの画像表示部(20A,20B)のうち、一方の画像表示部(20A)は、他方の画像表示部(20B)から出射される画像光を遮らない位置に設けられている、特徴B1に記載の虚像表示装置。
【0189】
[特徴B3]
隣り合う2つの画像表示部(20A,20B)のうち、一方の画像表示部(20A)の側端部(25)は、反射面に直交する方向において他方の画像表示部(20B)に重複する位置に設けられている、特徴B1又はB2に記載の虚像表示装置。
【0190】
[特徴B4]
隣り合う2つの画像表示部(20A,20B)は、反射面に沿って互いに離間して並べられている、特徴B1又はB2に記載の虚像表示装置。
【0191】
[特徴B5]
画像表示部は、
表示面の外周縁に沿って延び、表示面と共に反射面を向いた枠面(23)、を有しており、
複数の画像表示部においてそれぞれの枠面は同色又は同系色である。特徴B1~B4のいずれか1つに記載の虚像表示装置。
【0192】
[特徴B6]
複数の画像表示部にかけ渡された状態で、画像表示部の表示面とは反対側の表示背面(24)を覆っている表示ケース(50)、を備えている特徴B1~B5のいずれか1つに記載の虚像表示装置。
【0193】
[特徴B7]
車両(100)に搭載される虚像表示装置であって、
表示ケースは、
車両のウインドシールド(106)を介して隣り合う2つのピラー(108)にかけ渡されている、特徴B6に記載の虚像表示装置。
【0194】
[特徴B8]
車両(100)に搭載される虚像表示装置であって、
表示ケースは、車両の車室(101)において内装を形成する内装パネル(102)に取り付けられる部材である、特徴B1~B7のいずれか1つに記載の虚像表示装置。
【符号の説明】
【0195】
<構成群A>
10…表示装置としての画像表示装置、20…画像表示部としてのディスプレイ、22…表示面、24…表示背面としてのディスプレイ背面、30…断熱部、40…放熱部、41…放熱板部、42…放熱延び部としての放熱板部、50…表示ケースとしてのバイザフード、54…ケース対向面としての凹底面、100…車両、101…車室、102…内装パネルとしてのインパネ、V…画像。
【0196】
<構成群B>
11…虚像表示装置、15…虚像表示部としての反射ミラー、16…反射面、20…画像表示部としてのディスプレイ、22…表示面、23…枠面、24…表示背面としてのディスプレイ背面、25…側端部、50…表示ケースとしてのバイザフード、100…車両、101…車室、102…内装パネルとしてのインパネ、106…ウインドシールドとしてのフロントウインドシールド、108…ピラーとしてのAピラー、V…画像、Vi…虚像。