(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】電動ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04C 15/00 20060101AFI20240925BHJP
【FI】
F04C15/00 E
(21)【出願番号】P 2021052842
(22)【出願日】2021-03-26
【審査請求日】2024-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】ニデックパワートレインシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【氏名又は名称】梶原 慶
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】呉 楠
(72)【発明者】
【氏名】坂田 智洋
(72)【発明者】
【氏名】グエン ティ タン タム
【審査官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-105601(JP,A)
【文献】特開2013-234597(JP,A)
【文献】特開2009-162189(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0138362(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04C 15/00
F04C 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータハウジングによって回転自在に支持された駆動軸を有し、当該駆動軸を回転駆動させるモータ部と、
前記モータ部に対し、前記駆動軸に沿った軸方向の一方側に位置し、流体を吸入して吐出するポンプ部と、を備え、
前記ポンプ部が、
前記駆動軸の駆動力によって回転することで前記流体を吸入側から吐出側へと送るポンプロータと、
前記ポンプロータの回転の周回方向に当該ポンプロータを囲ったポンプボディと、
前記軸方向に広がって被取付体に接触する取付面を有して前記一方側へと板状に突き出した取付板部を有し、前記ポンプロータの前記一方側を覆ったポンプカバーと、
前記ポンプカバーを、前記一方側に対する他方側に位置する他の部材と結合し、当該一方側から当該他方側へと通った第1結合部材と、
前記ポンプカバーを、前記軸方向に見て前記取付板部と重なった箇所で、前記他方側に位置する他の部材と結合し、前記他方側から前記一方側へと通った第2結合部材と、
を有する電動ポンプ。
【請求項2】
前記ポンプ部が、更に、前記ポンプボディを前記モータハウジングと結合した第3結合部材を備え、
前記第1結合部材は、前記第3結合部材の結合箇所とは前記軸方向に見て異なる結合箇所に位置した請求項1に記載の電動ポンプ。
【請求項3】
前記第3結合部材が前記他方側から前記一方側へと通った請求項2に記載の電動ポンプ。
【請求項4】
前記第2結合部材は、前記取付面側から見て当該取付面と重なる位置まで達した請求項1から3のいずれか1項に記載の電動ポンプ。
【請求項5】
前記ポンプカバーが更に、前記一方側へと板状に突き出して前記取付面に交わる方向へと延びた第1リブを備えた請求項1から4のいずれか1項に記載の電動ポンプ。
【請求項6】
前記第1リブの高さは、前記取付板部側の方が、逆側よりも高い請求項5に記載の電動ポンプ。
【請求項7】
前記ポンプカバーが更に、前記一方側へと板状に突き出して前記取付面に沿う方向へと延びた第2リブを備えた請求項1から6のいずれか1項に記載の電動ポンプ。
【請求項8】
前記取付板部は、固定部材によって前記被取付体に固定される固定箇所を有し、
前記ポンプカバーが更に、前記一方側へと板状に突き出して、前記第1結合部材と前記固定箇所とを繋ぐ方向に延びた第3リブを備えた請求項1から7のいずれか1項に記載の電動ポンプ。
【請求項9】
前記ポンプ部が前記第1結合部材を複数備え、
前記ポンプカバーが更に、前記一方側へと板状に突き出して、前記第1結合部材同士を繋ぐ方向に延びた第4リブを備えた請求項1から8のいずれか1項に記載の電動ポンプ。
【請求項10】
前記ポンプ部が前記第1結合部材を複数備え、
前記ポンプカバーが更に、前記一方側へと板状に突き出して、前記駆動軸を巡る周方向、かつ、前記第1結合部材同士を繋ぐ方向に延びた第5リブを備えた請求項1から9のいずれか1項に記載の電動ポンプ。
【請求項11】
前記ポンプカバーが更に、前記一方側へと板状に突き出して前記取付面に沿う方向へと前記取付板部から延びた第6リブを備えた請求項1から10のいずれか1項に記載の電動ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータ部とポンプ部とをボルトなどで締結固定した電動ポンプが知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、ポンプハウジングとモータハウジングの間に軸受板が配設され、それらがボルトにて一体的に組み付けられた構造が示される。また、ポンプハウジングと一体的に、油圧機器等への取付板がポンプハウジングの側方に形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の構造では、ポンプハウジングにおけるボルトで締結される箇所が外側に大きく張り出し、ポンプハウジングの大型化を招く。
【0006】
これに対し、ボルトの向きを逆向きにして、ポンプハウジング側からモータハウジング側に通したボルトで締結することでポンプハウジングの大型化を抑制することが考えられる。しかし、取付板の箇所にはポンプハウジング側からボルトを通すことが困難であるため、固定の強度が低下して剛性が低下し、振動の増加などが懸念される。
そこで、本発明は、ポンプハウジングの大型化を抑制しつつ、剛性向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る電動ポンプの一態様は、モータハウジングによって回転自在に支持された駆動軸を有し、当該駆動軸を回転駆動させるモータ部と、上記モータ部に対し、上記駆動軸に沿った軸方向の一方側に位置し、流体を吸入して吐出するポンプ部と、を備え、上記ポンプ部が、上記駆動軸の駆動力によって回転することで上記流体を吸入側から吐出側へと送るポンプロータと、上記ポンプロータの回転の周回方向に当該ポンプロータを囲ったポンプボディと、上記軸方向に広がって被取付体に接触する取付面を有して上記一方側へと板状に突き出した取付板部を有し、上記ポンプロータの上記一方側を覆ったポンプカバーと、上記ポンプカバーを、上記一方側に対する他方側に位置する他の部材と結合し、当該一方側から当該他方側へと通った第1結合部材と、上記ポンプカバーを、上記軸方向に見て上記取付板部と重なった箇所で、上記他方側に位置する他の部材と結合し、上記他方側から上記一方側へと通った第2結合部材と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ポンプハウジングの大型化が抑制されるとともに剛性向上も図られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、オイルポンプの構造を概念的に示す図である。
【
図2】
図2は、軸方向一方側から見たオイルポンプの外観を示す図である。
【
図3】
図3は、取付面側から見たオイルポンプの外観を示す図である。
【
図4】
図4は、軸方向一方側から見たポンプカバーを示す図である。
【
図5】
図5は、軸方向に垂直で取付面に平行な方向から見たポンプカバーを示す図である。
【
図6】
図6は、軸方向と取付面との双方に垂直な方向から見たポンプカバーを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面を参照しながら、本開示のモータおよび電動ポンプの実施形態を詳細に説明する。但し、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするため、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。また、先に説明した図に記載の要素については、後の図の説明において適宜に参照する場合がある。
図1は、オイルポンプの構造を概念的に示す図である。
オイルポンプ100は、本発明の電動ポンプの一実施形態に相当する。
オイルポンプ100は、モータ部110と、センサ部120と、ポンプ部130とを備える。
モータ部110は、電力の供給を受けて回転駆動力を生む。
センサ部120は、モータ部110の回転を検知する。
ポンプ部130は、モータ部110によって駆動され、オイルの吸入吐出を行う。
モータ部110は、モータハウジング111と、駆動軸112と、ロータ113と、ステータ114と、軸受115とを備える。
【0011】
駆動軸112は、モータ部110の回転駆動力を伝達する部材であり、軸受115を介してモータハウジング111に回転自在に支持される。つまり、モータ部110は、モータハウジング111によって回転自在に支持された駆動軸112を有し、当該駆動軸112を回転駆動させる
【0012】
以下の説明では、方向の基準として駆動軸112を用い、駆動軸112に沿う方向を軸方向と称する場合がある。また、以下の説明では、図示の方向に関わらず、
図1における下方側を軸方向一方側と称し、
図1における上方側を軸方向他方側と称する場合がある。更に、以下の説明では、駆動軸112の回転中心線に対して垂直に近接乖離する方向を径方向と称し、駆動軸112に近い方を径方向内側と称し、駆動軸112から遠い方を径方向外側と称する場合がある。
【0013】
モータハウジング111は、モータ部110およびオイルポンプ100の全体を支える構造体であり、例えば板金のプレス加工によって形成される。モータハウジング111は、軸方向に筒状に延びた筒部111aと、筒部111aの軸方向一方側の端部から外側に広がったフランジ部111bとを有し、モータハウジング111は、フランジ部111bの外縁で最大外形となる。モータハウジング111は、内部にロータ113およびステータ114を収容する。
ロータ113は、駆動軸112に固定され、例えば永久磁石が組み込まれ、回転磁場の作用によって駆動軸112と共に回転する。
【0014】
ステータ114は、ロータ113に対向してモータハウジング111内に収容され回転磁場を発生する。なお、本実施形態では、ステータ114がロータ113の径方向外側に配置されたインナーロータ型の構造が示されるが、本発明のモータは、ステータ114がロータ113の径方向内側に配置されたアウターロータ型の構造を有してもよい。
【0015】
軸受115は、例えばボール軸受けであり、駆動軸112を回転自在に支持する。軸受115はローラ軸受けや滑り軸受けなどであってもよい。軸受115は、ロータ113を挟んで軸方向一方側と軸方向他方側に配置され、軸方向他方側の軸受115は、ハウジング111に固定され、軸方向一方側の軸受115は、例えばポンプ部130に保持される。
【0016】
センサ部120は、基板ケース121を備え、基板ケース121には、ステータ114が有するコイルから引き出された導線の端部が導かれる。本実施形態では、基板ケース121が、モータ部110に対する配線の引き出しスペースとして用いられる。また、基板ケース121は、例えば内部にセンサ基板122を収容して保持する。センサ基板122は磁気センサを有し、例えば駆動軸112の回転位置や回転速度を検出する。基板ケース121は、センサ基板122と共に、あるいはセンサ基板122に代えて、制御基板やインバータ基板を収容してもよい。なお、本発明の電動ポンプはセンサ部120を有さないものでもよい。
【0017】
ポンプ部130は、本発明にいうポンプ部の一例に相当し、ポンプロータ131とポンプボディ132とポンプカバー133とを有する。ポンプ部130はモータハウジング111の軸方向一方側に配置される。言い換えると、ポンプ部130は、モータ部110に対し、駆動軸112に沿った軸方向の一方側に位置し、流体(一例としてオイル)を吸入して吐出する。本実施形態では流体がオイルであるものとして説明するが、以下の説明は一般的な流体について成立する。
ポンプロータ131は、駆動軸112の駆動力によって回転することでオイルを吸入側から吐出側へと送る。
【0018】
ポンプボディ132は、ポンプロータ131の周囲を駆動軸112の回転方向に取り囲む。言い換えるとポンプボディ132は、ポンプロータ131の回転の周回方向に当該ポンプロータ131を囲う。
【0019】
ポンプボディ132はポンプロータ131を収容してモータハウジング111に固定される。本実施形態では、ポンプボディ132がポンプロータ131の収容空間を有し、ポンプカバー133が収容空間およびポンプロータ131の軸方向一方側を覆う。
【0020】
ポンプカバー133は、例えば自動車のオイルパンなど、オイルポンプ100が取り付けられる被取付体にオイルポンプ100を取り付けるための板状の取付板部134を有する。取付板部134は軸方向に広がった取付面134aを有し、オイルポンプ100は、取付面134aが被取付体に接触した状態で固定部材によって被取付体に固定される。つまり、ポンプカバー133は、軸方向に広がって被取付体に接触する取付面134aを有て軸方向一方側へと板状に突き出した取付板部134を備える。固定部材としては例えばボルト、圧入ピン、リベットなどが用いられ得るが、本実施形態では分解容易性などが考慮されてボルトが固定部材として採用される。
図2は、軸方向一方側から見たオイルポンプ100の外観を示す図であり、
図3は、取付面134a側から見たオイルポンプ100の外観を示す図である。
【0021】
ポンプカバー133は、ポンプボディ132に複数のボルト181でねじ止めされることでポンプボディ132と結合する。複数のボルト181は本発明にいう第1結合部材の一例に相当する。なお、本発明にいう第1結合部材としては、ボルトの他に圧入ピン、リベットなどが用いられ得るが、本実施形態では分解容易性などが考慮されてボルトが第1結合部材として採用される。
【0022】
第1結合部材であるボルト181は、ポンプカバー133側からポンプボディ132側へと通されてポンプカバー133とポンプボディ132とを締結する。言い換えると、第1結合部材であるボルト181は、ポンプカバー133を、軸方向他方側に位置する他の部材(本実施形態では一例としてポンプボディ132)と結合し、軸方向一方側から軸方向他方側へとポンプカバー133を通る。なお、第1結合部材であるボルト181は、ポンプボディ132を貫通して、ポンプカバー133をモータハウジング111と結合するものであってもよい。
【0023】
ポンプカバー133は、例えば1本のボルト182でねじ止めされることでモータハウジング111と結合する。1本のボルト182は本発明にいう第2結合部材の一例に相当する。なお、本発明にいう第2結合部材としては、ボルトの他に圧入ピン、リベットなどが用いられ得るが、本実施形態では分解容易性などが考慮されてボルトが第2結合部材として採用される。
【0024】
第2結合部材であるボルト182は、モータハウジング111側からポンプカバー133側へと通されてポンプカバー133とモータハウジング111とを締結する。また、第2結合部材であるボルト182は、
図2に示すように、軸方向から見て取付板部134の範囲内に位置する。言い換えると、第2結合部材であるボルト182は、ポンプカバー133を、軸方向に見て取付板部134と重なった箇所で、軸方向他方側に位置する他の部材(本実施形態では一例としてモータハウジング111)と結合し、軸方向他方側から軸方向一方側へと通る。なお、第2結合部材であるボルト182は、ポンプカバー133をポンプボディ132と結合するものであってもよい。
【0025】
軸方向一方側から軸方向他方側へと通った第1結合部材が用いられることでポンプカバー133の大型化が抑制されるとともに、取付板部134の箇所が第2結合部材で結合されるので剛性向上も図られる。また、剛性の向上によってオイルポンプ100の振動が抑制されると共に、振動に対する耐性も向上して破損などが抑制される。
【0026】
図3に示すように、第2結合部材であるボルト182の先端182aは取付面134aの範囲内に届く。つまり、第2結合部材であるボルト182は、取付面134a側から見て当該取付面134aと重なる位置まで達する。第2結合部材が取付面に達したことで取付板部が強固に結合され、剛性が向上する。
【0027】
ポンプボディ132は、モータハウジング111のフランジ部111bに複数のボルト183でねじ止めされることでモータハウジング111と結合する。つまり、ポンプ部130が、ポンプボディ132をモータハウジング111と結合した第3結合部材を備え、複数のボルト183は本発明にいう第3結合部材の一例に相当する。なお、本発明にいう第3結合部材としては、ボルトの他に圧入ピン、リベットなどが用いられ得るが、本実施形態では分解容易性などが考慮されてボルトが第3結合部材として採用される。
【0028】
図2に示すように、フランジ部111bはポンプカバー133よりも外側に張り出し、第3結合部材であるボルト183が結合する箇所は、軸方向に見て、第1結合部材であるボルト181が結合する箇所とは異なる箇所である。言い換えると、第1結合部材であるボルト181は、第3結合部材であるボルト183の結合箇所とは軸方向に見て異なる結合箇所に位置する。詳細には、第1結合部材であるボルト181が結合する箇所の方が、第3結合部材であるボルト183が結合する箇所に較べて径方向内側にある。第3結合部材が用いられることで電動ポンプ全体としての剛性が向上する。
【0029】
また、第3結合部材であるボルト183は、モータハウジング111側からポンプボディ132側へと通されてポンプボディ132とモータハウジング111とを締結する。即ち、第3結合部材であるボルト183が軸方向他方側から軸方向一方側へと通る。第1結合部材と第3結合部材とが逆向きのため頭同士が干渉せず、結合箇所が近接可能なので大型化が抑制される。
【0030】
また、
図2に示すように、取付面134aは、取付面134aに垂直な方向の位置に関してモータハウジング111およびポンプボディ132の外形よりも駆動軸112の回転中心線側に位置する。つまり取付面134aは、取付面134aに垂直な方向の位置に関してモータハウジング111およびポンプボディ132の外形よりも外側に位置していない。取付面134aを延長した面は、モータハウジング111およびポンプボディ132と軸方向一方側から見て重なる。この構成によって、取付面134aがモータハウジング111およびポンプボディ132の外形よりも外側に位置する場合と比較し、取付面134aに垂直な方向に被取付体からモータ部110およびポンプ部130が突き出す距離が短かくなる。モータ部110およびポンプ部130の突き出す距離が短いため、突き出す距離と、オイルポンプ100の重量とにかかわるモーメントが小さく、オイルポンプ100が動作する時の振動や騒音が低減される。
【0031】
ポンプカバー133は、オイルが内部を流れる流路を内部に有し、吸入側の流路の開口である吸入口141と、吐出側の流路の開口である吐出口151を取付面134a上に有する。
【0032】
取付面134a上には、固定部材の一例であるボルトによって被取付体に固定される固定箇所161,162,163,164が複数箇所(例えば4箇所)設けられる。4つの固定箇所161,……,164のうち第1の固定箇所161は、
図2の奥側から手前側に(即ちオイルポンプ100側から被取付体側に)ボルトが貫通する貫通孔であり、第2から第4の固定箇所162,163,164は、取付面134a側から凹んで底を有した有底穴である。4つの固定箇所161,……,164のうち第2の固定箇所162は、
図2の手前側から奥側に(即ち被取付体側からオイルポンプ100側に)ボルトが捻り入れられる雌ねじ穴である。4つの固定箇所161,……,164のうち第3および第4の固定箇所163,164は、開口側が広くて奥側が狭い段付き孔であり、奥側の狭い部分163b,164bは雌ねじ穴である。
【0033】
第3および第4の固定箇所163,164における開口側の広い部分163a,164aは、内壁が、被取付体に設けられるリング状の位置決め突起と接触することで位置決めに用いられる。従って、位置決めと固定が1つの固定箇所に集約されるので取付板部134の大型化が更に抑制される。
【0034】
上述したように本実施形態ではポンプカバー133の大型化が抑制されるとともに振動も抑制されるが、ポンプカバー133の有する取付板部134は軸方向一方側へと板状に突き出した構造であるため、モータ部110およびポンプ部130の駆動に伴う振動に対して、騒音や破損を抑制する更なる構造を有することが望ましい。
【0035】
図4は、軸方向一方側から見たポンプカバー133を示す図であり、
図5は、軸方向に垂直で取付面134aに平行な方向から見たポンプカバー133を示す図であり、
図6は、軸方向と取付面134aとの双方に垂直な方向から見たポンプカバー133を示す図である。
【0036】
ポンプカバー133の軸方向一方側には、複数種類のリブが組み合わされて形成され、これらのリブによってポンプカバー133の剛性が高められる。各リブは、軸方向一方側へと板状に突き出すとともに、
図4の紙面に沿って延びる。具体的には、取付面134aと垂直に延びた直交リブ171,172と、取付面134aに平行に延びた平行リブ173,174,175と、取付面134aに対して斜めに延びる斜行リブ176と、弧状に延びる弧状リブ177,178が設けられる。
【0037】
言い換えると、ポンプカバー133は、軸方向一方側へと板状に突き出して取付面134aに交わる方向(一例として直交方向)へと延びた直交リブ171,172を備える。直交リブ171,172によってポンプハウジングの剛性が向上して振動が抑制される。
【0038】
また、ポンプカバー133は、軸方向一方側へと板状に突き出して取付面134aに沿う方向(一例として平行方向)へと延びた平行リブ173,174,175を備える。平行リブによってもポンプカバー133の剛性が向上して振動が抑制される。
【0039】
また、ポンプカバー133は、軸方向一方側へと板状に突き出して、第1結合部材であるボルト181と固定箇所161とを繋ぐ方向に延びた斜行リブ176を備える。斜行リブによってポンプカバー133の剛性が向上して振動が抑制される。また第1結合部材であるボルト181も作用的にリブの一部(延長)として利用することができる。
【0040】
更に、ポンプカバー133は、軸方向一方側へと板状に突き出し、駆動軸112を巡る周方向、かつ、第1結合部材であるボルト181同士を繋ぐ方向に延びた弧状リブ177,178を備える。弧状リブによってポンプハウジングの剛性が向上して振動が抑制される。また第1結合部材であるボルト181も作用的にリブの一部(延長)として利用することができる。
【0041】
ポンプカバー133は、上述した直交リブ171,172と、平行リブ173,174,175と、斜行リブ176と、弧状リブ177,178とのうち、複数種類のリブを併せ持つと剛性が相乗的に向上するので望ましい。
【0042】
第1の直交リブ171は取付板部134から延びており、取付板部134を直接支えてポンプカバー133の剛性を高める。また、第2の直交リブ172は、軸方向一方側へと板状に突き出して、第1結合部材であるボルト181同士を繋ぐ方向に延びる。第2の直交リブ172によってポンプカバー133の剛性が向上して振動が抑制される。また第1結合部材であるボルト181も作用的にリブの一部(延長)として利用することができる。
【0043】
各直交リブ171,172は、
図5に示すように稜線が斜めに傾き、各直交リブ171,172の高さは、取付板部134側(
図5の右側)の方が反対側よりも高い。これにより、剛性向上を図りながら大型化抑制も図ることができる。また、平行リブ173,174,175同士で高さを較べると、取付板部134側(
図5の右側)の方が反対側(
図5の左側)よりも高い。これによっても剛性向上を図りながら大型化抑制を図ることができる。
【0044】
第1の平行リブ173は、取付面134aに沿う方向へと取付板部134から延びる。第1の平行リブ173により、ポンプカバー133の剛性が増して振動が抑制される。また、第1の平行リブ173は第1結合部材であるボルト181に向かって延び、第1の平行リブ173の一部がボルト181を囲う。これにより、ボルト181が作用的にリブの一部(延長)として利用されてポンプカバー133の剛性が更に増す。
【0045】
平行リブ173,174,175は、
図6に示すように稜線が斜めに傾き、取付板部134側(
図6の左側)の方が反対側よりも高い。これにより、剛性向上を図りながら大型化抑制も図ることができる。
【0046】
なお、ここでは、本発明の電動ポンプにおける使用方法の一例としてオイルポンプが挙げられるが、本発明の電動ポンプの使用方法は上記に限定されない。本発明の電動ポンプは、水や空気などを吸入吐出するポンプに使用可能である。
【0047】
上述した実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0048】
100 :オイルポンプ
110 :モータ部
111 :モータケース
112 :駆動軸
113 :ロータ
114 :ステータ
115 :軸受
120 :センサ部
121 :基板ケース
122 :センサ基板
130 :ポンプ部
131 :ポンプロータ
132 :ポンプボディ
133 :ポンプカバー
134 :取付板部
134a :取付面
141 :吸入口
151 :吐出口
161,162,163,164 :固定箇所
171,172 :直交リブ
173,174,175 :平行リブ
176 :斜行リブ
177,178 :弧状リブ
181 :第1結合部材であるボルト
182 :第2結合部材であるボルト
183 :第3結合部材であるボルト