(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】造型ユニット、造型機及び造型方法
(51)【国際特許分類】
B22C 15/02 20060101AFI20240925BHJP
B22C 17/08 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
B22C15/02 C
B22C17/08
(21)【出願番号】P 2021065705
(22)【出願日】2021-04-08
【審査請求日】2023-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 寛之
(72)【発明者】
【氏名】金藤 公一
【審査官】有田 恭子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/098955(WO,A1)
【文献】特開2009-107013(JP,A)
【文献】特開2012-076140(JP,A)
【文献】特開2006-315012(JP,A)
【文献】特開昭60-216952(JP,A)
【文献】特開昭59-024552(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22C 15/02
B22C 17/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上枠と、
前記上枠に連結可能な下枠と、
前記上枠及び前記下枠が移動可能に接続され、前記上枠及び前記下枠を案内する枠ガイド部材と、
連結された前記上枠及び前記下枠である上下枠を挟むように配置され、前記上下枠内にそれぞれ進入可能な第1スクイズ部材及び第2スクイズ部材と、
前記上下枠に対して移動可能に配置され、前記第1スクイズ部材が端部に固定されたロッドと、前記ロッドを伸縮させるシリンダ本体とを有するスクイズシリンダと、
前記第2スクイズ部材と前記シリンダ本体との相対位置を固定可能なスクイズガイド部材と、
を備え、
前記枠ガイド部材は、中空の棒部材であり、
前記スクイズガイド部材は、前記枠ガイド部材の内部に移動可能に配置される棒部材である、
造型ユニット。
【請求項2】
前記枠ガイド部材を含む一対の枠ガイド部材と、前記スクイズガイド部材を含む一対のスクイズガイド部材とを備え、
前記一対の枠ガイド部材それぞれは、中空の棒部材であり、
前記一対のスクイズガイド部材それぞれは、対応する前記枠ガイド部材の内部に移動可能に配置される棒部材である、請求項1に記載の造型ユニット。
【請求項3】
前記一対の枠ガイド部材は、前記上枠及び前記下枠のそれぞれの中心を通る中心線を挟んで対称の位置にそれぞれ配置される、請求項2に記載の造型ユニット。
【請求項4】
前記スクイズガイド部材は、前記第2スクイズ部材が固定された先端部と、末端部とを有し、
前記スクイズガイド部材の末端部を前記シリンダ本体に固定する固定部材(くさび)をさらに備える、請求項1~3の何れか一項に記載の造型ユニット。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載の造型ユニットと、
パターン部材が前記上枠及び前記下枠により挟持及び解放されるように前記上枠及び前記下枠を前記枠ガイド部材に沿って相対移動させる枠移動部と、
前記上枠と前記下枠との間に前記パターン部材を搬入及び搬出させる搬送部と、
前記搬送部を回転させる搬送転換部と、
を備える、造型機。
【請求項6】
前記上枠と前記下枠とが離間した状態で前記下枠をスライドさせるスライド部をさらに備える、請求項5に記載の造型機。
【請求項7】
造型ユニットを用いた造型方法であって、
造型ユニットは、
上枠と、
前記上枠に連結可能な下枠と、
前記上枠及び前記下枠が移動可能に接続され、前記上枠及び前記下枠を案内する枠ガイド部材と、
連結された前記上枠及び前記下枠である上下枠を挟むように配置され、前記上下枠内にそれぞれ進入可能な第1スクイズ部材及び第2スクイズ部材と、
前記上下枠に対して移動可能に配置され、前記第1スクイズ部材が端部に固定されたロッドと、前記ロッドを伸縮させるシリンダ本体とを有するスクイズシリンダと、
前記第2スクイズ部材と前記シリンダ本体との相対位置を固定可能なスクイズガイド部材と、
を備え、
前記枠ガイド部材は、中空の棒部材であり、
前記スクイズガイド部材は、前記枠ガイド部材の内部に移動可能に配置される棒部材であり、
造型方法は、
前記スクイズガイド部材を前記シリンダ本体に固定させるステップと、
前記ロッドを伸長させることによって、前記第1スクイズ部材及び前記第2スクイズ部材によるスクイズを行うステップと、
を含む、造型方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、造型ユニット、造型機及び造型方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、砂をスクイズすることで鋳型を造型する造型機を開示する。この造型機は、上鋳枠、下鋳枠、上鋳枠及び下鋳枠で挟持されたマッチプレート、上鋳枠内に挿入される上部スクイズ部材、下鋳枠内に挿入される下部スクイズ部材、上部スクイズ部材を移動させる上部アクチュエータ、下部スクイズ部材を移動させる下部アクチュエータ、並びに、支持フレーム体を備える。
【0003】
上部アクチュエータ及び下部アクチュエータは、支持フレームに接続される。上部アクチュエータ及び下部アクチュエータそれぞれは、例えば、ロッドを伸縮させる油圧シリンダである。上部アクチュエータ及び下部アクチュエータが伸長することにより、上部スクイズ部材及び下部スクイズ部材がマッチプレートへ向けて移動し、上鋳枠及び下鋳枠内の各造型空間内の砂がスクイズされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の造型機においては、スクイズするために上部アクチュエータ及び下部アクチュエータを備える必要がある。ここで、イニシャルコスト等を含む製造コストを低減するために、アクチュエータの数を減らすことが考えられる。しかしながら、1つのアクチュエータでスクイズするためには、一方のスクイズ部材を上下枠内に進入させるアクチュエータに、他方のスクイズ部材を固定させるガイド部材が必要になる。そして、均一なスクイズを実現するためにスクイズ部材を安定して支持できる位置にガイド部材を配置させる必要がある。しかしながら、ガイド部材がスクイズ部材を安定して支持できる位置と、上下枠の重量を安定して支持できる位置とが同一であるため、スクイズ部材のガイド部材と上枠及び下枠を案内するためのガイド部材とが干渉することになる。このため、スクイズ部材のガイド部材を適切な位置に配置することは困難である。よって、製造コストを低減するためにアクチュエータの数を単に減らしただけでは、品質の良い鋳型を製造できなくなるおそれがある。本開示は、造型精度を担保しつつ製造コストを低減できる造型ユニット、造型機及び造型方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る造型ユニットは、上枠と、上枠に連結可能な下枠と、上枠及び下枠が移動可能に接続され、上枠及び下枠を案内する枠ガイド部材と、連結された上枠及び下枠である上下枠を挟むように配置され、上下枠内にそれぞれ進入可能な第1スクイズ部材及び第2スクイズ部材と、上下枠に対して移動可能に配置され、第1スクイズ部材が端部に固定されたロッドと、ロッドを伸縮させるシリンダ本体とを有するスクイズシリンダと、第2スクイズ部材とシリンダ本体との相対位置を固定可能なスクイズガイド部材と、を備え、枠ガイド部材は、中空の棒部材であり、スクイズガイド部材は、枠ガイド部材の内部に移動可能に配置される棒部材である。
【0007】
この造型ユニットでは、第1スクイズ部材は、スクイズシリンダのロッドの伸長によって上下枠内に進入する。ここで、スクイズシリンダは、上下枠に対して移動可能に配置されているため、第1スクイズ部材を介して得られた反力によって第1スクイズ部材のスクイズ方向とは逆方向に移動する。第2スクイズ部材は、スクイズガイド部材によってシリンダ本体に固定されるため、スクイズシリンダの移動に合わせて第1スクイズ部材のスクイズ方向とは逆方向に移動する。これにより、第1スクイズ部材及び第2スクイズ部材は、1つのスクイズシリンダを用いて互いに近づくように移動できる。このように、造型ユニットは、1つのスクイズシリンダを用いて適切にスクイズできる。このため、2つのアクチュエータでスクイズする造型機の造型ユニットに比べて、この造型ユニットは、イニシャルコストを低減できる。さらに、スクイズガイド部材は、枠ガイド部材の内部に移動可能に配置される。これにより、造型ユニットは、スクイズガイド部材と枠ガイド部材とが干渉することを回避できる。このため、この造型ユニットは、例えば、スクイズ部材を安定して支持できる位置にスクイズガイド部材を配置しつつ、上下枠の重量を安定して支持できる位置に枠ガイド部材を配置できる。よって、この造型ユニットは、造型精度を担保しつつ製造コストを低減できる。
【0008】
一実施形態においては、造型機は、枠ガイド部材を含む一対の枠ガイド部材と、スクイズガイド部材を含む一対のスクイズガイド部材とを備え、一対の枠ガイド部材それぞれは、中空の棒部材であり、一対のスクイズガイド部材それぞれは、対応する枠ガイド部材の内部に移動可能に配置される棒部材であってもよい。この場合、一対のスクイズガイド部材それぞれは、対応する枠ガイド部材の内部に移動可能に配置される。これにより、造型ユニットは、一対のスクイズガイド部材と一対の枠ガイド部材とが干渉することを回避できる。このため、この造型ユニットは、例えば、スクイズ部材を安定して支持できる位置に一対のスクイズガイド部材を配置しつつ、上下枠の重量を安定して支持できる位置に一対の枠ガイド部材を配置できる。よって、この造型ユニットは、造型精度を適切に担保できる。
【0009】
一実施形態においては、一対の枠ガイド部材は、上枠及び下枠のそれぞれの中心を通る中心線を挟んで対称の位置にそれぞれ配置されてもよい。この場合、一対の枠ガイド部材と、一対の枠ガイド部材の内部に配置された一対のスクイズガイド部材とが、上枠及び下枠の中心に対して対称の位置に配置される。これにより、一対の枠ガイド部材が上枠及び下枠の重量をバランス良く支持できるため、上枠及び下枠が安定して案内される。さらに、一対のスクイズガイド部材がシリンダ本体に対して第2スクイズ部材をバランス良く固定できるため、上下枠の内部に対して偏りのない適切なスクイズ力を安定して加えられる。よって、この造型ユニットは造型精度の低下をさらに抑制できる。
【0010】
一実施形態においては、スクイズガイド部材は、第2スクイズ部材が固定された先端部と、末端部とを有し、スクイズガイド部材をシリンダ本体に対して固定する固定部材をさらに備えてもよい。この場合、造型ユニットは、固定部材を用いて第2スクイズ部材とスクイズシリンダのシリンダ本体との相対位置を固定できる。
【0011】
本開示の他の側面に係る造型機は、造型ユニットと、パターン部材が上枠及び下枠により挟持及び解放されるように上枠及び下枠を枠ガイド部材に沿って相対移動させる枠移動部と、上枠と下枠との間にパターン部材を搬入及び搬出させる搬送部と、搬送部を回転させる搬送転換部と、を備える。
【0012】
この造型機では、パターン部材は、搬送部により上枠と下枠との間に搬入又は搬出される。搬送転換部は、例えば、上下枠に面して配置された搬送部を、上下枠に面していない位置に回転させられる。これにより、例えば、上下枠に面していない位置に配置された搬送部に新たなパターン部材を載置させた後に搬送転換部により回転させることで、上枠及び下枠に挟持させる新たなパターン部材を円滑に交換できる。よって、この造型機は、複数のパターン部材を用いて造型する場合であっても円滑にパターン部材を交換して造型できる。
【0013】
一実施形態においては、造型機は、上枠と下枠とが離間した状態で下枠をスライドさせるスライド部をさらに備えてもよい。この場合、作業者は、枠ガイド部材及び上枠に干渉することなく容易に下枠にアクセスできる。例えば、下枠に中子を設置する場合の作業性が向上する。
【0014】
本開示の他の側面に係る造型方法は、造型ユニットを用いた造型方法であって、造型ユニットは、上枠と、上枠に連結可能な下枠と、上枠及び下枠が移動可能に接続され、上枠及び下枠を案内する枠ガイド部材と、連結された上枠及び下枠である上下枠を挟むように配置され、上下枠内にそれぞれ進入可能な第1スクイズ部材及び第2スクイズ部材と、上下枠に対して移動可能に配置され、第1スクイズ部材が端部に固定されたロッドと、ロッドを伸縮させるシリンダ本体とを有するスクイズシリンダと、第2スクイズ部材とシリンダ本体との相対位置を固定可能なスクイズガイド部材と、を備え、枠ガイド部材は、中空の棒部材であり、スクイズガイド部材は、対応する枠ガイド部材の内部に移動可能に配置される棒部材であり、造型方法は、スクイズガイド部材をシリンダ本体に固定させるステップと、ロッドを伸長させることによって、第1スクイズ部材及び第2スクイズ部材によるスクイズを行うステップと、を含む。
【0015】
この造型方法では、上述した造型ユニット及び造型機と同様に、造型精度を担保しつつ製造コストを低減できる。
【発明の効果】
【0016】
本開示に係る造型ユニット、造型機及び造型方法によれば、造型精度を担保しつつ製造コストを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施形態に係る造型機の一例を示す側面図である。
【
図2】
図1に示される鋳枠ユニットの側面図である。
【
図3】
図1に示される鋳枠ユニットの正面図である。
【
図4】
図1に示される鋳枠ユニットの上下枠が連結された状態の一例を示す正面図である。
【
図5】上下枠が連結された状態における造型機の一例を示す側面図である。
【
図6】鋳枠ユニットが回動された状態における造型機の一例を示す側面図である。
【
図7】スクイズ前の造型ユニットの一例を示す平面図である。
【
図9】実施形態に係る造型方法の一例を示すフローチャートである。
【
図10】スクイズ中の造型ユニットの一例を示す平面図である。
【
図11】変形例に係る造型機の一例を示す正面図である。
【
図12】
図12(a)は、変形例に係る造型ユニットの一部を示す断面図である。
図12(b)は、変形例に係る造型ユニットの一部を示す断面図である。
図12(c)は、変形例に係る造型ユニットの一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本開示の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は繰り返さない。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。「上」「下」「左」「右」の語は、図示する状態に基づくものであり、便宜的なものである。
【0019】
[造型機の概要]
図1は、実施形態に係る造型機の一例を示す側面図である。図中のX方向及びY方向が水平方向であり、Z方向が垂直方向である。X方向、Y方向及びZ方向は、3次元空間の直交座標系における互いに直交する軸方向である。以下ではZ方向を上下方向ともいう。
図1に示される造型機100は、上鋳型及び下鋳型を造型する造型機である。造型機100は、鋳枠ユニット1、回動部102、パターン交換部103、及び、スクイズユニット104を備える。鋳枠ユニット1は、第1位置101及び第2位置105を移動可能に構成される。第1位置101は、造型機100に設定された作業位置であり、上下枠間への模型(パターン)の配置及び鋳型の抜型などを行う位置である。第2位置105は、造型機100において上下枠への砂入れ及びスクイズなどを行う位置である。
【0020】
図1に示される鋳枠ユニット1は、第1位置101に位置する。鋳枠ユニット1は、上枠2及び下枠3を備える。上枠2及び下枠3それぞれは、上端部及び下端部が開口された箱形状の枠体である。上枠2及び下枠3は、互いに近接するように移動し、パターン交換部103により搬入されたパターン部材8を狭持して連結する。パターン部材8は、模型が配置可能な板部材である。パターン部材8は、上面及び下面の少なくとも一方に模型が配置される。以下、連結された上枠2及び下枠3を上下枠2,3ともいう。
【0021】
回動部102は、パターン部材8が挟持された上枠2及び下枠3を含む鋳枠ユニット1を水平な同一平面(XY平面)上に位置するように回動させる。回動部102によって回動した鋳枠ユニット1は、第1位置101の上方に設けられた第2位置105に移動し、スクイズユニット104に組み込まれる。第2位置105において、スクイズユニット104に組み込まれた上枠2及び下枠3に砂が充填される。上枠2及び下枠3に充填された砂は、スクイズユニット104によって、例えばX方向に沿って加圧されることで、上枠2内に上鋳型、下枠3内に下鋳型が同時に形成される。その後、鋳枠ユニット1は、回動部102によって第2位置105から第1位置101に回動する。第1位置101において、上枠2と下枠3とを離間させて上枠2と下枠3との間からパターン部材8を抜き出した後、上枠2と下枠3とを枠合わせする。上下枠2,3から、枠合わせされた状態の上鋳型及び下鋳型(上下鋳型)が抜き出され、装置外へ搬出される。このように、造型機100は、無鋳枠の上鋳型及び下鋳型を造型する。
【0022】
[鋳枠ユニットの詳細]
図2は、
図1に示される鋳枠ユニットの側面図、
図3は、
図1に示される鋳枠ユニットの正面図である。
図1~
図3は、上枠と下枠とが離間した初期状態を示している。
図4は、
図1に示される鋳枠ユニットの上下枠が連結された状態の一例を示す正面図である。
図1~
図4に示されるように、回動部102によって回動可能な鋳枠ユニット1は、上枠2、下枠3、枠ガイド部材5,5、スクイズガイド部材4,4、及び、上スクイズ板7(第2スクイズ部材の一例)を備える。
【0023】
第1位置101において、上枠2は、パターン部材8が搬入される位置より上方、かつ、Y方向において枠ガイド部材5,5の間に配置される。上枠2は、パターン部材8の上面に配置された模型を収容可能な空間をその内部に有する。上枠2の下端部は、例えばパターン部材8の上面に当接可能である。上枠2の側壁部には、外部から内部の空間まで貫通した砂導入孔2aが設けられる。
【0024】
第1位置101において、下枠3は、パターン部材8が搬入される位置より下方、かつ、Y方向において枠ガイド部材5,5の間に配置される。下枠3は、パターン部材8の下面に配置された模型を収容可能な空間をその内部に有する。下枠3の上端部は、例えばパターン部材8の下面に当接可能である。下枠3の側壁部には、外部から内部の空間まで貫通した砂導入孔3aが設けられる。
【0025】
枠ガイド部材5は、上枠2及び下枠3を案内する棒部材であり、
図1~
図4においては上下方向に延在する。枠ガイド部材5は、例えば円柱状を呈する。枠ガイド部材5,5には、上枠2及び下枠3が移動可能に接続される。上枠2は、上枠接続部11,11によって枠ガイド部材5,5に移動可能に接続される。上枠2には、上枠調整シリンダ13,13(枠移動部の一例)が接続される。上枠2は、上枠調整シリンダ13,13の駆動力によって移動する。下枠3は、下枠接続部12,12によって枠ガイド部材5,5に移動可能に接続される。下枠3には、下枠調整シリンダ14,14(枠移動部の一例)が接続される。下枠3は、下枠調整シリンダ14,14の駆動力によって移動する。このように、上枠調整シリンダ13及び下枠調整シリンダ14は、パターン部材8が上枠2及び下枠3により挟持及び解放されるように上枠2及び下枠3を枠ガイド部材5,5に沿って相対移動させる。上枠調整シリンダ13及び下枠調整シリンダ14は、油圧シリンダであってもよいし、エアシリンダであってもよいし、電動シリンダであってもよい。上枠2及び下枠3は、それらの一方又は両方が移動することで互いに近接し、
図4に示されるようにパターン部材8を挟持して連結される。
【0026】
上スクイズ板7は、上枠2の上端の開口から上枠2内に進入可能な板部材である。上スクイズ板7は、上鋳型を造型する造型空間を、上枠2及びパターン部材8とともに画成する。上スクイズ板7は、スクイズガイド部材4,4に案内される。スクイズガイド部材4は、上スクイズ板7に接続される棒部材であり、
図1~
図4においては上下方向に延在する。スクイズガイド部材4は、例えば円柱状を呈する。スクイズガイド部材4,4は、それらの先端部がフレーム15と連結し、フレーム15を介して上スクイズ板7に連結する。つまり、スクイズガイド部材4,4と上スクイズ板7とは一体的に固定される。スクイズガイド部材4の末端部は、スクイズガイド部材4の中央部(棒部材の両端を除く部分)よりも拡径される。このように、スクイズガイド部材4は、上スクイズ板7が固定された先端部と、拡径された末端部を有する。
【0027】
枠ガイド部材5は、中空の棒部材であり、一例として筒状の部材である。枠ガイド部材5は、例えば円筒状を呈し、内部の空間は軸線方向に貫通する。枠ガイド部材5の内部の空間には、対応するスクイズガイド部材4が移動可能に配置される。つまり、枠ガイド部材5の内径は、対応するスクイズガイド部材4の中央部の外径より大きい。また、スクイズガイド部材4の末端部は、対応する枠ガイド部材5の末端から突き出しており、対応する枠ガイド部材5の内径よりも大きい外径を有する。このように、ガイド部材が二重構造となるため、スクイズガイド部材4,4と枠ガイド部材5,5とが互いに干渉することなく、同一位置に配置される。スクイズガイド部材4,4は、それらの先端部又は末端部が枠ガイド部材5,5の端部に当接するまで、枠ガイド部材5,5とは独立して移動できる。
【0028】
枠ガイド部材5,5は、一例として、上枠2及び下枠3のそれぞれの中心を通る中心線を挟んで対称の位置にそれぞれ配置される。例えば、鋳枠ユニット1が第1位置101に配置される場合、枠ガイド部材5,5は、上枠2及び下枠3のそれぞれのXY平面における中心を通る中心線を挟んで対称の位置にそれぞれ配置される。上枠2及び下枠3のそれぞれの中心を通る中心線を挟んで対称の位置は、枠ガイド部材5,5が上枠2及び下枠3を安定して支持でき、型ずれ及び偏摩耗が発生しにくい位置である。さらに、上枠2及び下枠3のそれぞれの中心を通る中心線を挟んで対称の位置は、スクイズガイド部材4,4が上スクイズ板7を安定して支持できる位置であり、スクイズ力の偏りが発生しにくい位置である。ガイド部材を二重構造とすることにより、スクイズガイド部材4,4及び枠ガイド部材5,5は最適な位置に配置される。
【0029】
[回動部の詳細]
図5は、上下枠が連結された状態における造型機の一例を示す側面図である。
図6は、鋳枠ユニットが回動された状態における造型機の一例を示す側面図である。
図5及び
図6に示されるように、回動部102は、造型機100の基台21に立設された支柱22に設けられる。支柱22は、第1位置101の側方(X軸正方向)に配置される。回動部102は、取付フレーム31、回動軸32、及び、回動駆動部33,33を有する。取付フレーム31には、枠ガイド部材5,5が固定される。これにより、取付フレーム31は、鋳枠ユニット1を支持する。取付フレーム31は、パターン部材8がパターン交換部103から第1位置101に搬入出可能なように開口される。
【0030】
回動軸32は、支柱22に設けられ、Y方向に延在する部材である。回動軸32は、軸線を中心として回動可能に支柱22に設けられる。回動駆動部33は、鋳枠ユニット1の回動の駆動源である。回動駆動部33は、例えば、軸線方向に伸縮可能なロッドを有するシリンダである。回動駆動部33は、末端が基台21にY方向に延びる軸を中心として回動可能に固定され、先端が取付フレーム31にY方向に延びる軸を中心として回動可能に固定される。回動駆動部33,33それぞれのロッドがシリンダによって伸長することにより、取付フレーム31に上方向(回動軸32を中心に時計回りの方向)への力を付与し、取付フレーム31を第2位置105まで移動させることができる。回動駆動部33,33それぞれのロッドがシリンダにより収縮することによって取付フレーム31に下方向(回動軸32を中心に反時計回りの方向)への力を付与し、取付フレーム31を第1位置101まで移動させることができる。このように、回動部102は、取付フレーム31とともに鋳枠ユニット1を回動させることができる。
【0031】
[パターン交換部の詳細]
図1に示されるように、パターン交換部103は第1位置101の側方(X軸正方向)に配置される。パターン交換部103は、搬送部40及び搬送転換部46を備える。搬送部40は、上枠2と下枠3との間にパターン部材8を搬入及び搬出させる。搬送部40は、搬送基台41、搬送用レール42、アーム移動部43、アーム44、及び、載置部45を有する。
【0032】
搬送基台41は、搬送用レール42を支持する。搬送用レール42は、第1位置101に対して進退する方向(ここではX軸方向)に延在する。搬送用レール42は、一例として直線形状であり、2つのアームユニットをレール延在方向に沿って移動させる。第1のアームユニットは、第1アーム移動部43a、第1アーム44a、及び第1載置部45aを含む。第1アーム移動部43aは、例えばモータを有し、搬送用レール42上を移動する。第1アーム移動部43aが有するモータは、例えば、電動モータ又は油圧モータである。第1アーム44aは、第1アーム移動部43aに設けられ、第1載置部45aを支持する。第1載置部45aは、パターン部材8を載置可能である。第2のアームユニットは、第1のアームユニットと同一の構成であり、第2アーム移動部43b、第2アーム44b、及び第2載置部45bを含む。第1のアームユニット及び第2のアームユニットは、搬送用レール42の両端に配置される。
【0033】
搬送転換部46は、搬送基台41を支持し、搬送基台41を回転させる。搬送転換部46は、搬送用レール42の端部に配置されたアームユニットが第1位置101に面するように、搬送基台41を回転させる。第1位置101に面する位置にあるアームユニットは、アーム移動部43によって第1位置101に近づくように搬送用レール42上を移動し、第1位置101において枠ガイド部材5,5の間にアーム44を配置し、載置部45によってパターン部材8を搬入出する。
【0034】
第1のアームユニットが第1位置101に面する場合、第2のアームユニットはパターン準備位置40bに位置する。パターン準備位置40bは、新規のパターン部材8が載置部45に載置される位置であって、かつ、使用済みのパターン部材8が回収される位置である。
【0035】
例えば、パターン部材8を交換する場合、第1のアームユニットの第1載置部45aは、第1位置101から使用済みのパターン部材8を受け取り、搬出する。第2のアームユニットの第2載置部45bは、パターン準備位置40bで新規のパターン部材8を受け取る。続いて、第1アーム移動部43aは、使用済みのパターン部材8を受け取った第1載置部45aを第1位置101から搬送基台41の中央(X軸正方向)に向かって後退させる。第2アーム移動部43bは、新規のパターン部材8を受け取った第2載置部45bをパターン準備位置40bから搬送基台41の中央(X軸負方向)に向かって後退させる。これにより、後述の搬送基台41の回転時に、回転中の第1のアームユニット及び第2アームユニットが鋳枠ユニット1等の造型機100の構成要素に接触することを抑制できる。続いて、搬送転換部46は、搬送基台41を180度回転させる。これにより、新規のパターン部材8を載置した第2載置部45bは第1位置101に面する位置へ移動し、使用済みのパターン部材8を載置した第1載置部45aはパターン準備位置40bに移動する。第2のアームユニットの第2載置部45bは、第1位置101において新規のパターン部材8を搬入する。第1のアームユニットの第1載置部45aに載置されたパターン部材8は、パターン準備位置40bにおいて作業員等に回収される。以上でパターン部材8の交換が完了する。
【0036】
[スクイズユニットの詳細]
図7は、スクイズ前の造型ユニットの一例を示す平面図である。
図7に示される造型ユニット1Aは、
図6に示されるように鋳枠ユニット1が第2位置105に位置し、スクイズユニット104に組み込まれて構成される。スクイズユニット104に組み込まれることによって、上枠2及び下枠3の造型空間が形成される。その後、上下枠2,3のそれぞれの造型空間に砂が供給され、スクイズユニット104によってスクイズされる。以下、詳細を説明する。
【0037】
スクイズユニット104は、造型支持部51、造型用レール52,52、下スクイズ板6(第1スクイズ部材の一例)、スクイズシリンダ60、及び、ガイド固定部70,70を備える。
【0038】
造型支持部51は、支柱22に固定され、水平方向に延在する枠状の部材である。造型支持部51は、その枠の内部に鋳枠ユニット1を収容可能な空間を有する。当該空間は、上下方向に開口している。
【0039】
造型用レール52,52は、スクイズシリンダ60をX軸に沿って案内する。造型用レール52,52は、例えば造型支持部51の内部の壁面に設けられる。造型用レール52,52それぞれは、Y方向に互いに対向し、スクイズ方向(X方向)に延在する。造型用レールは、造型支持部51の形状によって本数又は設置位置を適宜変更してもよい。このように、スクイズシリンダ60は、上下枠2,3に対して移動可能に配置される。
【0040】
下スクイズ板6は、下枠3の下端の開口から下枠3内に進入可能な板部材である。下スクイズ板6は、下鋳型を造型する造型空間を、下枠3及びパターン部材8とともに画成する。下スクイズ板6は、上スクイズ板7との間に上下枠2,3を挟むように配置される。下スクイズ板6は、スクイズシリンダ60の駆動によって下枠3内に進入する。
【0041】
スクイズシリンダ60は、ロッド61及びシリンダ本体63を備える。ロッド61は、その端部にスクイズ台座62を介して下スクイズ板6が固定される。シリンダ本体63は、ロッド61の伸縮量及びタイミングを制御する。スクイズシリンダ60は、油圧シリンダであってもよいし、エアシリンダであってもよいし、電動シリンダであってもよい。
【0042】
シリンダ本体63は、取付部材64を有し、取付部材64を介して上述した造型用レール52,52に配置される。取付部材64には、スクイズシリンダ60をX軸に沿って移動させるための移動用シリンダ65のロッドが接続される(
図1参照)。移動用シリンダ65は、油圧シリンダであってもよいし、エアシリンダであってもよいし、電動シリンダであってもよい。移動用シリンダ65のロッドが伸長することによってシリンダ本体63は下枠3に近接する。シリンダ本体63が下枠3に近接した状態でロッド61を伸長させる。これにより、スクイズ台座62がX軸正方向に下スクイズ板6を押圧し、下スクイズ板6を下枠3の開口に進入させる。これにより、下鋳型を造型する造型空間が画成される。
【0043】
シリンダ本体63の取付部材64は、スクイズガイド部材4,4の末端部を挿入可能な第1の開口部64a,64aを有する。第1の開口部64aは、X軸に沿って貫通する。第1の開口部64aの径は、スクイズガイド部材4の中央部の径、及び、スクイズガイド部材4の末端部の径より大きい。よって、シリンダ本体63の取付部材64における第1の開口部64aに対して、スクイズガイド部材4を挿通させることができる。第1の開口部64aに挿通されたスクイズガイド部材4は、取付部材64に設けられたガイド固定部70によってX軸正方向への移動が規制される。第1の開口部64aに挿通されたスクイズガイド部材4がX軸正方向への移動が規制されるように取付部材64に固定されることで、スクイズ時において、スクイズガイド部材4,4は、上スクイズ板7とシリンダ本体63との相対位置が固定される。これにより、スクイズ時において、シリンダ本体63の動きと上スクイズ板7の動きが連動する。なお、スクイズガイド部材4,4のX軸正方向への移動が規制されたときに、上スクイズ板7は、上枠2の上端の開口から上枠2内に進入する。これにより、上スクイズ板7、上枠2及びパターン部材8によって、上鋳型を造型する造型空間が画成される。
【0044】
図8は、ガイド固定部の一例を示す正面図である。
図7及び
図8に示される通り、ガイド固定部70,70は、取付部材64に設けられ、第1の開口部64aに挿入されたスクイズガイド部材4のX軸正方向への移動を規制する。ガイド固定部70,70は、スクイズガイド部材4,4それぞれに対して設けられる。ガイド固定部70は、固定台座71,71、固定用シリンダ72,72、及び、くさび部材74,74(固定部材の一例)を有する。
【0045】
固定台座71は、例えば、スクイズシリンダ60の取付部材64に立設された板部材であり、固定用シリンダ72を支持する。固定用シリンダ72,72は、固定用ロッド73,73を有する。固定用ロッド73は、固定用シリンダ72から第1の開口部64aに向けて延在する。固定用ロッド73は、固定用シリンダ72の駆動によって伸縮する。例えば、固定用ロッド73の下端には、くさび部材74が設けられる。くさび部材74は、スクイズガイド部材4の中央部の外周面に係止されるフック部材である。くさび部材74は、一例としてスクイズガイド部材4の中央部の外周面に沿った切り欠きを有し、当該切り欠きにスクイズガイド部材4の中央部の外周面が嵌まり込むことで、スクイズガイド部材4を係止する。なお、くさび部材74の形状は特に限定されず、スクイズガイド部材4に係止可能な形状であれば何でもよい。ガイド固定部70には、取付部材64及び固定台座71に支持され、固定用シリンダ72の位置から第1の開口部64aに向けて延在する一対のガイドレール(不図示)が設けられてもよい。一対のガイドレールは、くさび部材74の外縁に近接又は接触するように設けられ、くさび部材74がより安定して移動可能なように案内する。
【0046】
スクイズシリンダ60がX軸正方向に移動し、スクイズガイド部材4,4それぞれの末端部が取付部材64の第1の開口部64a,64aに挿通され、当該末端部全体が第1の開口部64aから完全に突出した場合に、スクイズガイド部材4,4それぞれの中央部に対してくさび部材74,74が係合される。具体的には、固定用シリンダ72,72が駆動することで、固定用ロッド73,73が伸長し、くさび部材74,74が下方に移動する。くさび部材74,74はスクイズガイド部材4,4それぞれの中央部に到達し、スクイズガイド部材4,4それぞれが係止される。くさび部材74,74によりスクイズガイド部材4,4それぞれが係止された場合、スクイズガイド部材4,4がX軸正方向へ移動しようとすると、スクイズガイド部材4,4それぞれの拡径された末端部がくさび部材74,74に突き当たる。このため、スクイズガイド部材4,4のX軸正方向への移動が規制される。また、スクイズが完了した後、固定用シリンダ72,72が駆動して、固定用ロッド73,73が縮長し、くさび部材74,74が上方に移動することで、スクイズガイド部材4,4とくさび部材74,74との係合が解除される。
【0047】
スクイズガイド部材4,4がシリンダ本体63に固定された後に、上下枠2,3のそれぞれの造型空間に砂が供給される。砂を供給する砂供給装置106については後述する。各造型空間に砂が充填された後にスクイズが行われる。スクイズシリンダ60は、ロッド61をX軸正方向に伸長させて、下スクイズ板6を下枠3へ進入させる。下枠3内の砂に加わる圧力の反力によってシリンダ本体63はX軸負方向に移動し、シリンダ本体63の動きに合わせてくさび部材74,74を介してスクイズガイド部材4,4がX軸負方向に引っ張られ、上スクイズ板7が上枠2へ進入する。このように、下スクイズ板6と上スクイズ板7がパターン部材8に向かって移動することでスクイズが行われる。
【0048】
[砂供給装置の詳細]
第2位置105には、砂供給装置106が配置される。
図6に示されるように、砂供給装置106は、砂を貯留する貯留タンク106aと、貯留タンク106aから供給される砂を上枠2及び下枠3に供給する供給部106bとを有する。貯留タンク106aは、例えば、箱状を呈し、内部に砂を貯留可能な空間を有する。貯留タンク106aの形状は箱状に限定されず、例えば円筒状であってもよい。供給部106bは、貯留タンク106aの内部の空間と連続しており、貯留タンク106aの下端部に設けられる。貯留タンク106aには圧縮空気が供給される。供給部106bの下端は、二股状に分岐しており、上枠2の砂導入孔2a及び下枠3の砂導入孔3aに向けて砂を供給する。これにより、上枠2の内部及び下枠3の内部に砂が充填される。
【0049】
[制御部]
図1、
図5及び
図6に示されるように、制御部107は、例えば、第1位置101のX軸負方向に配置される。制御部107は、一例としてPLC(Programmable Logic Controller)として構成される。制御部107は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などの主記憶装置、タッチパネルやキーボードなどの入力デバイス、ディスプレイなどの出力デバイス、ハードディスクなどの補助記憶装置などを含む通常のコンピュータシステムとして構成されてもよい。制御部107は、例えば、作業者が操作可能な操作盤が設けられる。制御部107は、上枠2及び下枠3の移動、パターン部材8の搬送、鋳枠ユニット1の回動、下スクイズ板6及び上スクイズ板7によるスクイズ等の造型機100の各構成の動きを制御する。
【0050】
[造型方法]
図9は、実施形態に係る造型方法の一例を示すフローチャートである。
図9に示される本実施形態の造型方法は、作業者の指示に基づいて制御部107によって開始される。最初に、搬入処理(S11)として、パターン交換部103は、パターン部材8を第1位置101に搬入する。パターン交換部103の第1載置部45aがパターン準備位置40bにある場合、作業員等は、パターン交換部103の第1載置部45aにパターン部材8を載置する。続いて、第2アーム移動部43bは、第1位置101に面する位置にある第2載置部45bを第1位置101から搬送基台41の中央(X軸正方向)に向かって後退させる。第1アーム移動部43aは、新規のパターン部材8を受け取った第1載置部45aをパターン準備位置40bから搬送基台41の中央(X軸負方向)に向かって後退させる。続いて、搬送転換部46は、搬送基台41を180度回転させ、パターン部材8を第1位置101に面する位置へ移動させる。このとき、上枠2及び下枠3は、連結されておらず離間している。第1載置部45aは第1アーム移動部43aにより搬送基台41のX軸負方向に移動する。これにより、第1載置部45aが枠ガイド部材5,5の間に搬入され、パターン部材8は、上枠2と下枠3との間に搬入される。
【0051】
続いて、連結処理(S13)として、造型機100は、上枠2と下枠3とを連結する。連結処理(S13)は、造型機100が枠ガイド部材5,5に沿って下枠3を上方に案内し、パターン部材8を介して上枠2と下枠3とを連結させるステップである。下枠調整シリンダ14,14は下枠接続部12,12を介して下枠3を上方に移動させる。下枠3は、上方への移動に伴いパターン部材8を第1載置部45aから取得する。下枠3は、下枠接続部12,12及び下枠調整シリンダ14,14により、パターン部材8の上面が上枠2の下面に当接するまで上方へ移動する。これにより、パターン部材8に上枠2と下枠3とがそれぞれ当接する。なお、パターン部材8が下枠3により支持された後、使用済みのパターン部材8を支持していない第1載置部45aを第1位置101から搬送基台41の中央(X軸正方向)に向かって後退させる。これにより、後述の鋳枠ユニット1の回動時に、第1のアームユニットが鋳枠ユニット1に接触することを抑制できる。
【0052】
続いて、第1回転処理(S15)として、回動部102は、鋳枠ユニット1が第1位置101から第2位置105に位置するように、鋳枠ユニット1を回動させる。これにより、鋳枠ユニット1が第2位置105に位置し、スクイズユニット104に組み込まれることで造型ユニット1Aが構成される。
【0053】
続いて、固定処理(S17:固定させるステップの一例)として、ガイド固定部70は、くさび部材74,74を用いてスクイズガイド部材4,4をスクイズシリンダ60のシリンダ本体63に固定する。最初に、移動用シリンダ65は、スクイズシリンダ60(シリンダ本体63)をX軸正方向に移動させ、取付部材64にX軸に沿って貫通して設けられる第1の開口部64a,64aにスクイズガイド部材4,4の末端部を挿通する。当該挿通後、ガイド固定部70,70は、固定用シリンダ72,72により固定用ロッド73,73を伸長させてくさび部材74,74を下方に移動させ、くさび部材74,74がスクイズガイド部材4,4の本体(中央部)に当接し、係合する。このとき、上枠2内に上スクイズ板7が進入して上鋳型用の造型空間が画成されるとともに、下枠3に下スクイズ板6が進入して上鋳型用の造型空間が画成される。
【0054】
続いて、供給処理(S19)として、砂供給装置106は、上枠2及び下枠3に砂を供給する。砂供給装置106の供給部106bは、砂を上枠2の砂導入孔2a及び下枠3の砂導入孔3aに供給することで上枠2の内部及び下枠3の内部に砂を充填する。
【0055】
続いて、スクイズ処理(S21:駆動させるステップの一例)として、スクイズシリンダ60は、ロッド61を伸長して下スクイズ板6を移動させて下枠3内の砂を圧縮する。このとき、ロッド61の伸長力の反力によってシリンダ本体63はX軸負方向に後退する。シリンダ本体63の後退に連動して上スクイズ板7がX軸負方向に移動して上枠2内の砂を圧縮する。以下、図を用いて詳細を説明する。
図10は、スクイズ中の造型ユニットの一例を示す平面図である。
図10に示されるように、スクイズシリンダ60は、ロッド61を伸長させ、スクイズ台座62及び下スクイズ板6がX軸正方向に移動する。これにより、下スクイズ板6は、下枠3内の砂をX軸正方向に押圧することでスクイズする。シリンダ本体63の下スクイズ板6が砂をX軸正方向に押圧する際に得られるX軸負方向への反力により、ロッド61を介してシリンダ本体63の取付部材64をX軸負方向へ移動させる。このとき、シリンダ本体63の取付部材64は、固定処理(S17)においてガイド固定部70,70を介してスクイズガイド部材4,4と固定されている。このため、取付部材64がくさび部材74,74を介してスクイズガイド部材4,4の末端部をX軸負方向へ移動させる。スクイズガイド部材4,4は、フレーム15を介して上スクイズ板7をX軸負方向へ上記の構成と連動して移動させる。上スクイズ板7は、上枠2内の砂をX軸負方向に押圧することでスクイズする。このように、下スクイズ板6及び上スクイズ板7がパターン部材8に向かってそれぞれ押圧し、上枠2の内部及び下枠3の内部に収容された砂をスクイズし、それぞれ上鋳型及び下鋳型を造型する。
【0056】
続いて、後退処理(S23)として、スクイズガイド部材4,4は固定用シリンダ72,72の駆動による固定用ロッド73,73の縮長によりくさび部材74,74との係合が解除される。また、ロッド61が収縮する。そして、移動用シリンダ65はシリンダ本体63をX軸負方向に後退させる。これにより、下枠3から下スクイズ板6が搬出され、スクイズユニット104の組み込みが解除される。
【0057】
続いて、第2回転処理(S25)として、回動部102は、鋳枠ユニット1を第2位置105から第1位置101に向けて回動させる。
【0058】
続いて、抜型処理(S27)として、上枠調整シリンダ13,13及び下枠調整シリンダ14,14は、上枠2及び下枠3を離間させる。パターン交換部103は、パターン部材8を搬出する。具体的には、第1載置部45aは第1アーム移動部43aにより搬送基台41のX軸負方向に移動する。下枠3が下枠接続部12,12及び下枠調整シリンダ14,14により下方へ移動することで、パターン部材8が第1載置部45aに載置される。第1アーム移動部43aは、使用済みのパターン部材8を受け取った第1載置部45aを第1位置101から搬送基台41の中央(X軸正方向)に向かって後退させることで、パターン部材8を搬出する。パターン部材8の搬出後、上枠調整シリンダ13,13及び下枠調整シリンダ14,14は、上枠2及び下枠3を枠合わせし、抜型する。
【0059】
続いて、搬出処理(S29)として、押出シリンダ(不図示)が伸長することで、上鋳型及び下鋳型を装置外(例えば造型ライン)へ搬出する。搬出処理(S29)が完了した場合に鋳枠ユニット1及び造型ユニット1Aを用いた造型方法が完了する。
【0060】
[実施形態のまとめ]
この造型ユニット1A及び造型機100では、下スクイズ板6は、スクイズシリンダ60のロッド61の伸長によって上下枠2,3内に進入する。ここで、スクイズシリンダ60は、上下枠2,3に対して移動可能に配置されているため、下スクイズ板6を介して得られた反力によって下スクイズ板6のスクイズ方向とは逆方向に移動する。上スクイズ板7は、一対のスクイズガイド部材4,4によってシリンダ本体63に固定されるため、スクイズシリンダ60の移動に合わせて下スクイズ板6のスクイズ方向とは逆方向に移動する。これにより、下スクイズ板6及び上スクイズ板7は、1つのスクイズシリンダ60を用いて互いに近づくように移動できる。このように、造型ユニット1Aは、1つのスクイズシリンダ60を用いて適切にスクイズできる。このため、複数のアクチュエータによりスクイズする造型機の造型ユニットに比べて、この造型ユニット1A及び造型機100は、イニシャルコストを低減できる。さらに、一対のスクイズガイド部材4,4それぞれは、対応する枠ガイド部材5,5の内部に移動可能に配置される。これにより、造型ユニット1Aは、一対のスクイズガイド部材4,4と一対の枠ガイド部材5,5とが干渉することを回避できる。このため、この造型ユニット1Aは、例えば、スクイズ部材(下スクイズ板6及び上スクイズ板7)を安定して支持できる位置に一対のスクイズガイド部材4,4を配置しつつ、上下枠2,3の重量を安定して支持できる位置に一対の枠ガイド部材5,5を配置できる。よって、この造型ユニット1Aは、造型精度を適切に担保しつつ製造コストを低減できる。
【0061】
また、一対の枠ガイド部材5,5は、上枠2及び下枠3のそれぞれの中心を通る中心線を挟んで対称の位置にそれぞれ配置される。この場合、一対の枠ガイド部材5,5と、一対の枠ガイド部材5,5の内部に配置された一対のスクイズガイド部材4,4とが、上枠2及び下枠3の中心に対して対称の位置に配置される。これにより、一対の枠ガイド部材5,5が上枠2及び下枠3の重量をバランス良く支持できるため、上枠2及び下枠3が安定して案内される。さらに、一対のスクイズガイド部材4,4がシリンダ本体63に対して上スクイズ板7をバランス良く固定できるため、上下枠2,3の内部に対して偏りのない適切なスクイズ力を安定して加えられる。よって、この造型ユニット1Aは造型精度の低下をさらに抑制できる。
【0062】
また、一対のスクイズガイド部材4,4それぞれは、上スクイズ板7が固定された先端部と、末端部とを有し、一対のスクイズガイド部材4,4をシリンダ本体63に対して固定するくさび部材74,74をさらに備える。この場合、造型ユニット1Aは、くさび部材74,74を用いて上スクイズ板7とスクイズシリンダ60のシリンダ本体63との相対位置を固定できる。
【0063】
また、造型機100では、パターン部材8は、搬送部40により上枠2と下枠3との間に搬入又は搬出される。搬送転換部46は、例えば、上下枠2,3に面して配置された搬送部40を、上下枠2,3に面していない位置に回転させられる。これにより、例えば、上下枠2,3に面していない位置(パターン準備位置40b)に配置された搬送部40(第2載置部45b)に新たなパターン部材8を載置させた後に搬送転換部46により回転させることで、上枠2及び下枠3に挟持させる新たなパターン部材8を円滑に交換できる。よって、この造型機100は、複数のパターン部材を用いて造型する場合であっても円滑にパターン部材8を交換して造型できる。
【0064】
また、造型方法では、固定処理(S17:固定させるステップの一例)により、上スクイズ板7と固定されている一対のスクイズガイド部材4,4がシリンダ本体63に固定される。スクイズ処理(S21:駆動させるステップの一例)において、下スクイズ板6は、スクイズシリンダ60により駆動する。上スクイズ板7は、一対のスクイズガイド部材4,4によってシリンダ本体63に固定されるため、スクイズシリンダ60の移動に合わせて下スクイズ板6のスクイズ方向とは逆方向に移動する。この造型方法では、上述した造型ユニット1A及び造型機100と同様に、造型精度を担保しつつ製造コストを低減できる。
【0065】
[変形例]
なお、上述した実施形態は本開示に係る造型機の一例を示すものである。本開示に係る造型機は、実施形態に係る造型機100に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で、実施形態に係る造型機100を変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。例えば、造型機100は、造型ユニット1Aのみを備える構成であってもよい。
【0066】
例えば、上述した実施形態における造型方法の工程の幾つかは、順序独立としてもよい。即ち、説明した順序とは異なる順序で実行できる。造型方法は、固定処理(S17)及びスクイズ処理(S21)を含めばよく、他の処理の一部又は全部は含まなくてもよい。
【0067】
造型機100は、回動部102を有さず、上方から下方に向けて、あるいは下方から上方に向けてスクイズ力を加える構成としてもよい。造型ユニット1Aは、鋳型造型後に抜枠をなす無枠式造型機(抜枠造型機)だけでなく、枠付造型機、即ち鋳型造型後に抜枠をなさずに鋳枠内に鋳型を残したまま鋳造ラインへ送り出す造型機にも適用可能である。
【0068】
また、ガイド固定部70は、固定用シリンダ72を有さなくてもよい。このとき、例えば、ガイド固定部70は、固定用シリンダ72の代わりに固定用レール及び固定用駆動部を有していてもよい。固定台座71は、固定用レールを支持する。固定用レールは、第1の開口部64aに向けて延在している。固定用レールには、固定用駆動部が移動可能に取り付られる。固定用駆動部は、モータを有し、固定用レール上を移動する。固定用駆動部の下端には、くさび部材74が設けられる。各固定用駆動部が駆動し、くさび部材74,74が各固定用レールに沿って下方に移動することで、スクイズガイド部材4,4それぞれの中央部に対してくさび部材74,74が係合される。
【0069】
また、上述した実施形態において、下枠3は下枠接続部12,12に固定され、下枠調整シリンダ14,14により枠ガイド部材5,5に沿って案内される旨を説明したが、これに限定されない。以下の説明において、上記の実施形態と同一の構成及び機能を有する構成については同一の符号が付与される。
【0070】
図11は、変形例に係るスライド部を含む造型機の一例を示す正面図である。
図11に示されるように、造型機100Aは、造型機100と比べて、下枠3の支持構造が相違し、スライド部90,90をさらに備える点が相違し、その他は同一である。以下、相違点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0071】
造型機100Aは、下枠支持部80,80と、スライド部90,90とをさらに備える。第1位置101において、下枠3は下枠支持部80,80によって支持される。下枠3は、その側面の上部に当接部91を有する。
【0072】
下枠支持部80,80は、下枠接続部12,12に固定される。このため、下枠支持部80,80は、下枠調整シリンダ14,14によって上下方向に移動可能である。下枠支持部80は、例えば、XZ平面に沿って延在する側壁80aと、側壁80aの下端部においてXY平面に沿って延在する底部80bを備える。Y方向において下枠支持部80,80は離間しており、第2の開口部80cを形成する。下枠支持部80は、下枠3を収容可能な収容空間80dを画成する。
【0073】
下枠支持部80の上端部の側壁80aの内側には、収容空間80dに向かって突出する支持当接部81が設けられる。支持当接部81は下枠調整シリンダ14により上方に移動することで下枠3の当接部91に下方から当接し、下枠3を支持可能である。
【0074】
スライド部90,90は、上枠2から離間した状態の下枠3をスライドさせる。すなわち、スライド部90,90は、下枠3を枠ガイド部材5,5の間からスライドさせる。スライド部90は、例えば、X方向に沿って延在するレールである。スライド部90,90は、例えば、第1位置101においてX軸負方向に位置する作業者に向かって下枠3をスライドさせる。スライド部90は、下枠支持部80の第2の開口部80cから下枠支持部80の収容空間80d内に突出可能である。スライド部90は、当該収容空間80d内に突出することで、下枠3を下枠支持部80から離間させて支持することが可能である。スライド部90,90は、下枠3を支持した後に下枠3をX軸負方向に移動させる。
【0075】
例えば、抜型処理(S27)の後、かつ、搬出処理(S29)及び新たに第1載置部45aが上枠2と下枠3との間に挿入される処理の前において、枠抜き出し処理として、スライド部90,90により下枠3を作業者が搬出してもよい。抜型処理(S27)において、下枠調整シリンダ14,14により、下枠支持部80,80は下方に移動する。下枠支持部80,80が所定の位置まで移動したとき、下枠支持部80,80の間からスライド部90,90が相対的に上方に挿入される。これにより、下枠支持部80,80の支持当接部81,81により支持されていた下枠3は、スライド部90,90により支持される。下枠3がスライド部90,90により支持された後、枠抜き出し処理が実行され、スライド部90,90に沿ってX軸負方向に下枠3をスライドさせることができる。このようにスライド部90,90は、下枠3を枠ガイド部材5,5の間からスライドさせることができる。したがって、作業者は、枠ガイド部材5,5及び上枠2に干渉することなく容易に下枠3にアクセスできる。これにより、作業者が下枠3に中子を設置する場合の作業性が向上する。
【0076】
また、枠ガイド部材5,5及びスクイズガイド部材4,4は、上枠2及び下枠3のそれぞれの中心を通る中心線を挟んで対称の位置にそれぞれ配置されなくてもよい。
図12(a)は、変形例に係る造型ユニットの一部を示す断面図である。
図12(a)は、変形例に係る造型ユニット1Bにおける、
図7のXII-XII線と同位置の線に沿った断面図であり、一部の部材を省略している。
図12(a)に示されるように、造型機100Bにおける造型ユニット1Bは、造型機100における造型ユニット1Aと比べて、上枠2に対するスクイズガイド部材4B,4B及び枠ガイド部材5B,5Bが上枠2の一側壁に集約されて配置される点が相違し、その他は同一である。以下、相違点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0077】
第2位置105において、造型ユニット1Bのスクイズガイド部材4B,4B及び枠ガイド部材5B,5Bは、例えば、XY平面に沿って延在している。上枠接続部11B,11Bは、上枠2のXZ平面に沿って延在する1つの側壁にそれぞれ接続されている。上枠接続部11B,11Bは、当該上枠2の側壁の中心に対して対称の位置となるように配置されている。上枠接続部11Bは、枠ガイド部材5Bと移動可能に接続している。上枠2は、上枠2に設けられたスクイズガイド部材4B,4B、枠ガイド部材5B,5B及び上枠接続部11B,11Bによって支持されている。
図12(a)には図示されていないが、下枠3も下枠3の1つの側壁に設けられたスクイズガイド部材4B,4B、枠ガイド部材5B,5B及び下枠接続部によって支持されている。下枠3は、下枠調整シリンダ14B,14Bの駆動力によって移動する。
【0078】
造型ユニット1Bにおけるスクイズシリンダ60も上述の実施形態と同様、上下枠2,3に対して移動可能に配置されるため、造型ユニット1Bは、1つのスクイズシリンダを用いて適切にスクイズできる。従来の造型機の造型ユニットに比べて、この造型ユニット1B及び造型機100Bも、イニシャルコスト等を含む鋳型の製造コストを低減できる。さらに、造型ユニット1Bでは、上述の実施形態と同様、スクイズガイド部材4Bは枠ガイド部材5Bの内部に移動可能に配置されるため、スクイズガイド部材4Bと枠ガイド部材5Bとが干渉することを回避できる。造型ユニット1Bは、スクイズガイド部材と枠ガイド部材とが独立して配置された場合に比べて省スペース化できるため、例えば、造型の前後で作業者が造型ユニット1Bの各構成にアクセスしやすくなり、作業性が向上する。また、造型ユニット1Bにおいて、スクイズガイド部材4B,4B及び枠ガイド部材5B,5Bが上下枠2,3の1つの側壁にまとめて配置されるため、上下枠2,3の他の側壁に面する空間を省スペース化できる。なお、造型ユニット1Bは、2つのスクイズガイド部材4B,4B及び2つの枠ガイド部材5B,5B備えることとしたが、3以上のスクイズガイド部材4B及び3以上の枠ガイド部材5Bを備えていてもよい。
【0079】
また、造型ユニット及び造型機は、スクイズガイド部材4,4と、枠ガイド部材5,5との替わりに、1つのスクイズガイド部材と、1つの枠ガイド部材とを備えていてもよい。
図12(b)は、変形例に係る造型ユニットの一部を示す断面図である。
図12(b)は、変形例に係る造型ユニット1Cにおける、
図7のXII-XII線と同位置の線に沿った断面図であり、一部の部材を省略している。
図12(b)に示されるように、造型機100Cにおける造型ユニット1Cは、造型機100における造型ユニット1Aと比べて、上枠2に対するスクイズガイド部材及び枠ガイド部材の位置及び個数が相違し、その他は同一である。以下、相違点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0080】
造型ユニット1Cは、1つのスクイズガイド部材4C、1つの枠ガイド部材5C及び1つの上枠接続部11Cを備える。スクイズガイド部材4C及び枠ガイド部材5Cは、例えば、XY平面に沿って延在している。上枠接続部11Cは、上枠2のXZ平面に沿って延在する1つの側壁に接続されている。上枠接続部11Cは、X方向から見て当該上枠2の側壁の中心の位置となるように配置されている。上枠接続部11Cは、枠ガイド部材5Cと移動可能に接続している。上枠2は、上枠2に設けられたスクイズガイド部材4C、枠ガイド部材5C及び上枠接続部11Cによって支持されている。
図12(b)には図示されていないが、下枠3も下枠3の1つの側壁に設けられたスクイズガイド部材4C、枠ガイド部材5C及び下枠接続部によって支持されている。下枠3は、下枠調整シリンダ14Cの駆動力によって移動する。
【0081】
造型ユニット1Cにおけるスクイズシリンダ60も上述の実施形態と同様、上下枠2,3に対して移動可能に配置されるため、造型ユニット1Cは、1つのスクイズシリンダを用いて適切にスクイズできる。このため、従来の造型機の造型ユニットに比べて、この造型ユニット1C及び造型機100Cも、イニシャルコスト等を含む鋳型の製造コストを低減できる。さらに、造型ユニット1Cでは、上述の実施形態と同様、スクイズガイド部材4Cは枠ガイド部材5Cの内部に移動可能に配置されるため、スクイズガイド部材4Cと枠ガイド部材5Cとが干渉することを回避できる。造型ユニット1Cは、スクイズガイド部材と枠ガイド部材とが独立して配置された場合に比べて省スペース化できるため、例えば、造型の前後で作業者が造型ユニット1Cの各構成にアクセスしやすくなり、作業性が向上する。
【0082】
また、造型ユニット1Cでは1つのスクイズガイド部材4C及び1つの枠ガイド部材5Cが配置されるだけなので、例えば、造型ユニット1A,1B、及び後述の造型ユニット1Dにおける複数のスクイズガイド部材及び複数の枠ガイド部材が配置される構成に比べて空間を省スペース化できる。造型ユニット1A,1B、及び後述の造型ユニット1D、並びに、造型機100A,100B、及び後述の造型機100Dに比べて、この造型ユニット1C及び造型機100Cは、スクイズガイド部材の個数及び枠ガイド部材の個数をそれぞれ削減できるため、イニシャルコスト等を含む製造コストをさらに低減できる。
【0083】
枠ガイド部材5,5及びスクイズガイド部材4,4は、第2位置105の上枠2及び下枠3において、XZ平面に沿った面を挟んで対象の位置にそれぞれ配置されなくてもよい。
図12(c)は、変形例に係る造型ユニットの一部を示す断面図である。
図12(c)は、変形例に係る造型ユニット1Dにおける、
図7のXII-XII線と同位置の線に沿った断面図であり、一部の部材を省略している。
図12(c)に示されるように、造型機100Dにおける造型ユニット1Dは、造型機100における造型ユニット1Aと比べて、第2位置105の上枠2に対するスクイズガイド部材4D,4D及び枠ガイド部材5D,5Dが、XZ平面に沿った面を挟んで対象の位置に配置されず、かつ、YZ平面における上枠2の中心を挟んで点対称の位置にそれぞれ配置される点が相違し、その他は同一である。以下、相違点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0084】
第2位置105において、造型ユニット1Dのスクイズガイド部材4D,4D及び枠ガイド部材5D,5Dは、例えば、XY平面に沿って延在している。上枠接続部11D,11Dは、上枠2のXZ平面に沿って延在する2つの側壁に対してそれぞれ接続されている。上枠接続部11D,11Dは、XZ平面に沿った面を挟んで対象の位置に配置されておらず、かつ、YZ平面における上枠2の中心を挟んで点対称の位置に配置されている。上枠接続部11Dは、枠ガイド部材5Dと移動可能に接続している。上枠2は、上枠2に設けられたスクイズガイド部材4D,4D、枠ガイド部材5D,5D及び上枠接続部11D,11Dによって支持されている。
図12(c)には図示されていないが、下枠3も下枠3の2つの側壁にそれぞれ設けられたスクイズガイド部材4D,4D、枠ガイド部材5D,5D及び下枠接続部によって支持されている。下枠3は、下枠調整シリンダ14D,14Dの駆動力によって移動する。
【0085】
造型ユニット1Dにおけるスクイズシリンダ60も上述の実施形態と同様、上下枠2,3に対して移動可能に配置されるため、造型ユニット1Dは、1つのスクイズシリンダを用いて適切にスクイズできる。従来の造型機の造型ユニットに比べて、この造型ユニット1D及び造型機100Dも、イニシャルコスト等を含む鋳型の製造コストを低減できる。さらに、造型ユニット1Dでは、上述の実施形態と同様、スクイズガイド部材4Dは枠ガイド部材5Dの内部に移動可能に配置されるため、スクイズガイド部材4Dと枠ガイド部材5Dとが干渉することを回避できる。造型ユニット1Dは、スクイズガイド部材と枠ガイド部材とが独立して配置された場合に比べて省スペース化できるため、例えば、造型の前後で作業者が造型ユニット1Dの各構成にアクセスしやすくなり、作業性が向上する。また、第2位置105における造型ユニット1Dにおいて、スクイズガイド部材4D,4D及び枠ガイド部材5D,5DがZ方向において異なる位置に配置されるため、造型ユニット1D又は造型機100Dの他の構成を異なる位置に配置でき、設計の自由度が向上する。なお、造型ユニット1Dは、2つのスクイズガイド部材4D,4D及び2つの枠ガイド部材5D,5D備えることとしたが、3以上のスクイズガイド部材4D及び3以上の枠ガイド部材5Dを備えていてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1…鋳枠ユニット、1A,1B,1C,1D…造型ユニット、2…上枠、3…下枠、4,4B,4C,4D…スクイズガイド部材、5,5B,5C,5D…枠ガイド部材、6…下スクイズ板(第1スクイズ部材の一例)、7…上スクイズ板(第2スクイズ部材の一例)、8…パターン部材、13…上枠調整シリンダ(枠移動部の一例)、14,14B,14C,14D…下枠調整シリンダ(枠移動部の一例)、40…搬送部、45…載置部、46…搬送転換部、60…スクイズシリンダ、61…ロッド、63…シリンダ本体、74…くさび部材(固定部材の一例)、90…スライド部、100,100A,100B,100C,100D…造型機。