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特許7559663車載通信システム,車載用装置及びインターフェイス装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】車載通信システム,車載用装置及びインターフェイス装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 16/023 20060101AFI20240925BHJP
   H04B 3/02 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
B60R16/023 Z
H04B3/02
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021068433
(22)【出願日】2021-04-14
(65)【公開番号】P2022163482
(43)【公開日】2022-10-26
【審査請求日】2023-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】石原 俊郎
(72)【発明者】
【氏名】生島 佳祐
【審査官】菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-106724(JP,A)
【文献】国際公開第2016/203529(WO,A1)
【文献】特開平09-039721(JP,A)
【文献】特開2018-188146(JP,A)
【文献】特開2000-324042(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/023
H04B 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載システムの異常を検出する機能を備えた車載用装置(2E,2F,2G,52,52A)と、
異常状態を車両の乗員に通知する異常通知部(10,28,61)を含むユーザインターフェイス機能を備えたインターフェイス装置(3E,3F,3G,53,53A)と、
前記車載用装置及び前記インターフェイス装置間を接続する通信路(22A,22B)と、
前記車載用装置及び前記インターフェイス装置間において、前記通信路を介して交流信号を伝送することで情報の送信及び受信の一方又は両方を行なう車載通信システムであって、
前記異常通知部は、直流信号によって駆動され、高電位側駆動端子が前記通信路の通信線(22Aa)にインダクタ(13,13a)を介して接続されており、
前記車載用装置は、前記車載システムの異常を検出した際に、前記通信線に直流の駆動信号を印可することで前記異常通知部を駆動して車両の乗員に異常を通知し、
前記通信は、前記通信路において、直流電圧を重畳可能な通信線を2本以上(22Aa,22Ab,22Ba,22Bb)使用する方式であり、
前記車載用装置は、直流電源回路(24,24D)を備え、
前記直流電源回路の電源を、前記高電位側駆動端子が接続されていない通信線の1つ(22Ba)を介して前記インターフェイス装置に供給する車載通信システム。
【請求項2】
前記車載用装置は、直流電源回路の電源端子と、前記インターフェイス装置に電源を供給する通信線との間を開閉する電源スイッチ(60)を備える請求項記載の車載通信システム。
【請求項3】
前記直流電源回路(24D)は、前記電源端子を第1端子とすると、もう1つの電源端子である第2端子を備え、
前記インターフェイス装置は、車両の乗員により操作され、前記車載用装置を介して外部に通報を行なうための操作スイッチ(31)を備え、
前記第2端子と前記操作スイッチの一端とは、前記第1端子が接続されている第1通信線(22a)とは異なる第2通信線(22b)にインダクタ(13b)を介して接続されており、
前記車載用装置は、前記第2通信線の直流電圧の変化によって、前記操作スイッチの操作状態を検出する請求項2記載の車載通信システム。
【請求項4】
車載システムの異常を検出する機能を備えた車載用装置(2C,2F)と、
異常状態を車両の乗員に通知する異常通知部(10)を含むユーザインターフェイス機能を備えたインターフェイス装置(3C,3F)と、
前記車載用装置及び前記インターフェイス装置間を接続する通信路(22,22A,22B)と、
前記車載用装置及び前記インターフェイス装置間において、前記通信路を介して交流信号を伝送することで情報の送信及び受信の一方又は両方を行なう車載通信システムであって、
前記異常通知部は、直流信号によって駆動され、高電位側駆動端子が前記通信路の通信線(22a,22Aa)にインダクタ(13,13a)を介して接続されており、
前記車載用装置は、前記車載システムの異常を検出した際に、前記通信線に直流の駆動信号を印可することで前記異常通知部を駆動して車両の乗員に異常を通知し、
前記通信は、前記通信路において、直流電圧を重畳可能な通信線を2本以上使用する方式であり、
前記異常通知部を第1通知部とすると、
前記インターフェイス装置は、前記第1通知部とは異なる状態を車両の乗員に通知する第2通知部(28)を備え、
前記高電位側駆動端子が接続されている通信線(22a)とは異なる通信線(22b)には、前記第2通知部の高電位側駆動端子がインダクタ(13b)を介して接続されている車載通信システム。
【請求項5】
前記車載用装置は、直流電源回路(24)を備え、電源線(25)及びグランド線(26)を介して前記インターフェイス装置に電源を供給している際に、
前記異常通知部の低電位側駆動端子は、前記グランド線に接続されている請求項記載の車載通信システム。
【請求項6】
前記異常通知部の低電位側駆動端子は、車両のボデーアースに接続されている請求項1から4の何れか一項に記載の車載通信システム。
【請求項7】
前記異常通知部の低電位側駆動端子は、前記通信路においてグランド(22b)に接続されている通信線に接続されている請求項1から4の何れか一項に記載の車載通信システム。
【請求項8】
前記異常通知部は、前記車載用装置が外部に緊急通報システムの異常であることを車両の乗員に通知するためのLED(61)であり、
前記車載用装置より送信される信号は、前記LEDの駆動信号である請求項1から7の何れか一項に記載の車載通信システム。
【請求項9】
請求項1からの何れか一項に記載の車載通信システムに使用される車載用装置。
【請求項10】
請求項1からの何れか一項に記載の車載通信システムに使用されるインターフェイス装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される複数の装置間でデジタル通信を行なうシステム,及びそのシステムに使用される装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばAB(Automotive Audio Bus)やINICnet(Intelligent Network Interface Controller networking;登録商標)等の、音声信号を伝送することを想定した車載用のデジタル通信方式がある。このようなデジタル通信は、例えば緊急通報装置がセンター等に緊急通報を行った際に、音声通話を行なうために使用されるマイクやスピーカの音声信号を伝送するため等に適用が可能である。
尚、ABについては例えばアナログデバイセズ社、INICnetについては例えばMicrochip社が提供する資料にその説明がある。その他、特段に提示すべき先行技術文献は見当たらなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、緊急通報装置と、例えば緊急通報用のマイクやスピーカ、通報起動用スイッチや、緊急通報システムの異常発生等をユーザに通知するためのLEDを備えたインターフェイス装置との通信を、デジタル方式に変更することを想定する。すると、緊急通報装置が起動した直後でデジタル通信が確立できていない場合や、デジタル通信部に異常が発生しており通信が不可能になると、インターフェイス装置によってシステムの異常をユーザに通知することができなくなってしまう。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、車載用装置を含むシステムに異常が発生したことを、通信が不能な状態でも車両の乗員に確実に通知できる車載通信システム,及びそのシステムに使用される車載用装置並びにインターフェイス装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の車載通信システムによれば、車載システムの異常を検出する機能を備えた車載用装置と、異常状態を車両の乗員に通知する異常通知部を含むインターフェイス装置とが、交流信号を伝送する通信路を介して接続されている。直流信号によって駆動される異常通知部の高電位側駆動端子は通信路の通信線にインダクタを介して接続され、車載用装置は、車載システムの異常を検出した際に、前記通信線に直流の駆動信号を印可することで異常通知部を駆動して車両の乗員に異常を通知する。
【0006】
このように構成すれば、車載用装置とインターフェイス装置との間で行う通信の機能に異常が生じたとしても、車載用装置は、通信線に直流の駆動信号を印可すれば、インターフェイス装置側に配置されている異常通知部を駆動して車両の乗員に異常を通知することが可能になる。
【0007】
また、請求項記載の車載通信システムによれば、車載用装置に直流電源回路を備え、その電源を、高電位側駆動端子が接続されていない通信線の1つを介してインターフェイス装置に供給する。このように構成すれば、車載用装置とインターフェイス装置との間を、別途電源線等により接続せずとも、通信路の通信線を介してインターフェイス装置側に電源を供給できる。
【0008】
請求項記載の車載通信システムによれば、車載用装置に、直流電源回路の電源端子と、インターフェイス装置に電源を供給する通信線との間を開閉する電源スイッチを備える。したがって、車載用装置は必要に応じて、インターフェイス装置側に供給している電源を遮断できる。
【0009】
請求項記載の車載通信システムによれば、直流電源回路に第1端子及び第2端子を備え、インターフェイス装置に、車両の乗員により操作され、車載用装置を介して外部に通報を行なうための操作スイッチを備える。第2端子と操作スイッチの一端とは、第1端子が接続されている第1通信線とは異なる第2通信線にインダクタを介して接続され、車載用装置は、第2通信線の直流電圧の変化によって操作スイッチの操作状態を検出する。
【0010】
すなわち、車両の乗員がインターフェイス装置側の操作スイッチを操作すれば、第2通信線の直流電圧が変化するので、車載用装置は操作スイッチの操作状態を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態であり、車載通信システムの構成を示す機能ブロック図
図2】第2実施形態であり、車載通信システムの構成を示す機能ブロック図
図3】第3実施形態であり、車載通信システムの構成を示す機能ブロック図
図4】第4実施形態であり、車載通信システムの構成を示す機能ブロック図
図5】第5実施形態であり、車載通信システムの構成を示す機能ブロック図
図6】第6実施形態であり、車載通信システムの構成を示す機能ブロック図
図7】第7実施形態であり、車載通信システムの構成を示す機能ブロック図
図8】第8実施形態であり、車載通信システムの構成を示す機能ブロック図
図9】第9実施形態であり、車載通信システムの構成を示す機能ブロック図
図10】第10実施形態であり、車載通信システムの構成を示す機能ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
図1に示すように、本実施形態の車載通信システム1は、車載用装置2とUI(ユーザインターフェイス)装置3とを備えており、これらの装置2,3の間は通信路4を介して接続されている。車載用装置2は、制御部5,デジタル通信部6及び異常通知UI駆動回路7を備えている。UI装置3は、制御部8,デジタル通信部9及び異常通知部の一例であるLED10を備えている。
【0013】
デジタル通信部6,9は、それぞれカップリング用のコンデンサ11,12を介して通信路4に接続されている。デジタル通信のプロトコルは、例えばEthernet(登録商標),INICnet(登録商標)やAB等であり、交流信号を伝送して行う通信である。車載用装置2の制御部5とUI装置3の制御部8とは、それぞれデジタル通信部6,9を介して通信を行い、情報を送受信する。
【0014】
UI装置3のLED10は、車両の乗員に異常の発生を通知するために配置されている。ここでの「異常」とは、車載用装置2を含んで構成される車載システムにおいて発生する異常である。LED10の低電位駆動端子であるカソードは、車両のボデーアースに接続されており、高電位駆動端子であるアノードは、インダクタ13を介して通信路4の通信線に接続されている。尚、通信線がデジタル通信部6又は9により駆動されていない場合のレベルは、グランドレベルである。
【0015】
車載用装置2の異常通知UI駆動回路7は、LED10を駆動して点灯させるために配置されている。異常通知UI駆動回路7の出力端子は、インダクタ14を介して通信路4の通信線に接続されている。異常通知UI駆動回路7は、上記の車載システムに異常が発生したことを図示しないセンサが検知して検知信号を出力すると、通信線に直流電圧を印加してUI装置3のLED10を点灯させる。尚、上記の検知信号を制御部5に入力して、制御部5が異常通知UI駆動回路7を制御しても良い。インダクタ13,14は、通信路4にて伝送される交流の通信信号の影響が、それぞれ異常通知UI駆動回路7,LED10に入力されることを阻止している。
【0016】
以上のように本実施形態によれば、車載システムの異常を検出する機能を備えた車載用装置2と、異常状態を車両の乗員に通知するLED10を含むインターフェイス装置3と、交流信号を伝送する通信路4を介して接続する。LED10のカソードを車両のボデーアースに接続し、アノードを通信路4の通信線にインダクタ13を介して接続する。車載用装置2は、車載システムの異常を検出した際に、通信線に直流の駆動信号を印可することでLED10を駆動して車両の乗員に異常を通知する。
【0017】
このように構成すれば、車載用装置2とインターフェイス装置3との間で行う通信の機能に異常が生じたとしても、車載用装置2は、通信線に直流の駆動信号を印可すれば、LED10を駆動して点灯させ、車両の乗員に異常を通知することが可能になる。
【0018】
(第2実施形態)
以下、第1実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。図2に示すように、第2実施形態の車載通信システム21は、車載用装置2Aの制御部5とUI装置3Aの制御部8とが、それぞれデジタル通信部6A,9Aを介して通信を行う。デジタル通信部6A,9Aは、2線式の通信路22を介して接続されている。通信路22の通信線22a,22bはツイスト線であり、通信線22bは、車載用装置2A側でインダクタ38を介してグランドに接続されている。そして、LED10のカソードは、UI装置3A内で通信線22bにインダクタ39を介して接続されている。
【0019】
(第3実施形態)
図3に示すように、第3実施形態の車載通信システム23は、車載用装置2BとUI装置3Bとが通信路22を介して接続されている。車載用装置2Bは、第2実施形態の車載用装置2Aに電源回路24を加えた構成である。電源回路24は、電源線25及びグランド線26を介してUI装置3Bに動作用電源を供給する。そして、UI装置3BのLED10のカソードは、グランド線26に接続されている。
【0020】
(第4実施形態)
図4に示すように、第4実施形態の車載通信システム23は、車載用装置2CとUI装置3Cとが通信路22を介して接続されている。UI装置3Cは、第3実施形態のUI装置3BにLED28を加えたもので、LED28のカソードはグランド線26に接続され、アノードは、インダクタ13bを介して通信線22bに接続されている。LED28は、例えば車載用装置2Cが図示しないセンター装置等に無線通信により通報を行う機能を備えている場合に、その機能に異常が発生して通報が不能であることを車両の乗員に通報するために点灯される。LED10,28の発光色は互いに異なり、それぞれ第1通知部,第2通知部の一例である。
【0021】
車載用装置2Cは、第3実施形態の車載用装置2Bの異常通知UI駆動回路7を、異常通知UI駆動回路29に置き換えたものである。異常通知UI駆動回路29は、LED28を駆動するための出力端子を有しており、その出力端子は、インダクタ14bを介して通信線22bに接続されている。異常通知UI駆動回路29は、上記の通報機能に異常が発生したことを図示しないセンサが検知して検知信号を出力すると、通信線22bに直流電圧を印加してUI装置3CのLED28を点灯させる。
【0022】
(第5実施形態)
図5に示すように、第5実施形態の車載通信システム30は、車載用装置2DとUI装置3Dとが通信路22を介して接続されている。UI装置3Dは、第4実施形態のUI装置3CのLED28を、常開型の通報用スイッチ31に置き換えた構成である。車載用装置2Dは、第1実施形態の異常通知UI駆動回路7と共に、通報用スイッチ検出回路32を備えている。
【0023】
電源回路24Dは、もう1つの電源端子を備えており、その電源端子は、スイッチ33,抵抗素子34及びインダクタ14bの直列回路を介して通信線22bに接続されている。抵抗素子34及びインダクタ14bの共通接続点は、通報用スイッチ検出回路32の入力端子に接続されている。通報用スイッチ検出回路32の出力端子は、制御部5に替わる制御部35の入力端子に接続されている。制御部35は、スイッチ33のON,OFFを制御する。
【0024】
次に、第5実施形態の作用について説明する。車両の乗員は、自発的にセンター装置に通報を行う必要があると判断すると、UI装置3Dの通報用スイッチ31をONにする。車載用装置2Dの制御部35は、通報用スイッチ31がON操作されたことを検出するため、スイッチ33を間欠的にONにして通報用スイッチ検出回路32の出力信号を参照する。
【0025】
スイッチ33をONにしている期間に通報用スイッチ31がOFFであれば、検出回路32の出力信号はハイレベルであり、通報用スイッチ31がONであれば、検出回路32の出力信号はローレベルに変化する。制御部35は、前記出力信号がローレベルに変化したことを検出すると、無線通信を開始してセンター装置に通報を行う。
【0026】
(第6実施形態)
図6に示すように、第6実施形態の車載通信システム36は、車載用装置2Eのデジタル通信部6Eと、UI装置3Eのデジタル通信部9Eとが,2組の通信路22A,22Bを介して接続されている。これら2組の通信路22A,22Bよって、リング式の通信経路が更生されている。通信路22A側の接続状態は、第3実施形態と同様である。電源回路24の電源端子は、インダクタ37を介して通信路22Bの通信線22Baに接続されている。通信線22Bbは、インダクタ38を介してボデーアースに接続されている。即ち電源回路24は、通信路22Bを介してUI装置3Eに電源を供給している。
【0027】
UI装置3Eにおいて、LED10のカソードは、インダクタ39を介して通信線22Bbに接続されている。そして、UI装置3Eの内部回路には、通信線22Bbに接続されているインダクタ40を介して電源が供給される。
【0028】
(第7実施形態)
図7に示すように、第7実施形態の車載通信システム41は、第6実施形態の構成に、第4実施形態の構成を組み合わせたものである。車載用装置2Fは、異常通知UI駆動回路7に替えて異常通知UI駆動回路29を備えており、UI装置3Fは、LED28を備えている。通信路22A側の接続状態は、第4実施形態と同様である。
【0029】
(第8実施形態)
図8に示すように、第8実施形態の車載通信システム42は、第6実施形態の構成に、第5実施形態の構成を組み合わせたものである。UI装置3Gは、通報用スイッチ31を備えており、車載用装置2Gは、異常通知UI駆動回路7及び通報用スイッチ検出回路32を備えている。通信路22A側の接続状態は、第5実施形態と同様である。
【0030】
(第9実施形態)
図9に示すように、第9実施形態の車載通信システム51は、第8実施形態の車載用装置2Gが車載用緊急通報装置52として構成されたものであり、UI装置は、車載用緊急通報装置52に対応して音声通報用のインターフェイスを備えたUI装置53となっている。UI装置53は、第8実施形態のUI装置3Gをベースとしており、デジタル通信部9Eには、コーデック54が接続されている。コーデック54は、D/Aコンバータ及びA/Dコンバータを含んでいる。
【0031】
コーデック54には、スピーカ駆動回路55を介してスピーカ56が接続されている。また、コーデック54には、マイク57に入力される音声信号が、マイク信号検出回路58を介して入力されている。制御部8には、UI装置53に配置されているその他のスイッチ・LED等59が接続されており、そのスイッチの操作信号が入力される。また、制御部8は、上記LEDを駆動して点灯させる。UI装置53は、例えばオーバーヘッドコンソール(OHC)として、車両のフロントガラスの上方に配置されている。
【0032】
例えば、車両が衝突事故を起こした際に、車載用緊急通報装置52がセンター装置に緊急通報を行うため無線通信回線を接続すると、車両の乗員は、UI装置53を介してセンター装置のオペレータと音声による通話を行う。その際に、UI装置53と車載用緊急通報装置52との間で音声信号は、デジタル通信部9E,6Eによりデジタル信号として伝送される。
【0033】
(第10実施形態)
図10に示すように、第10実施形態の車載通信システム51Aは、第9実施形態の車載用緊急通報装置52において、電源回路24Dの電源端子とインダクタ37との間にスイッチ60を配置したものを車載用緊急通報装置52Aとしている。また、UI装置53Aは、UI装置53のLED10をLED61に置き換えた構成である。LED61は、車載用緊急通報装置52Aがセンター装置に緊急通報を行っていることを、車両の乗員に通知するために点灯される。
【0034】
車載用緊急通報装置52Aは、センター装置に緊急通報を行った後に、音声による通話を行うことなく、センター装置側からの着信を待つか、又は車両の乗員による再度の緊急通報スイッチ31のON操作を待つ際にスイッチ60をOFFにすることで、UI装置53Aへの電源供給を遮断する。このように、消費電力を低減した状態において、車載用緊急通報装置52Aは、UI装置53AのLED61を点灯させたり、通報用スイッチ31のON操作を検出できる。そして、制御部35は、乗員により緊急通報スイッチ31がONされたことを、検出回路32を介して検出すると、スイッチ60をONにしてUI装置53Aへの電源供給を再開する。
【0035】
尚、事故発生時に、車載用緊急通報装置52Aがセンター装置に緊急通報を実行できない状態にあることを認識した際には、例えばLED61を間欠的に、例えば0.5S周期で点灯させることで、緊急通報システムに異常があることを乗員に報知する。
【0036】
(その他の実施形態)
通信方式は、Ethernet,INICnetやABに限ることなく、交流信号を伝送して行う通信であれば良い。
異常報知部はLED10に限ることなく、その他の照明器や例えばブザーのように音や音声による報知機能があり、直流電圧で駆動されるものであれば良い。
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【符号の説明】
【0037】
図面中、1は車載通信システム、2は車載用装置、3はUI装置、4は通信路、5は制御部、6はデジタル通信部、7は異常通知UI駆動回路、8は制御部、9はデジタル通信部、10はLEDである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10