(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】エアフローメータの劣化度算出システム
(51)【国際特許分類】
F02D 41/02 20060101AFI20240925BHJP
【FI】
F02D41/02
(21)【出願番号】P 2021101676
(22)【出願日】2021-06-18
【審査請求日】2024-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】筒治 俊一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 宏昌
【審査官】小林 勝広
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-165526(JP,U)
【文献】特開2007-231884(JP,A)
【文献】特開2000-120466(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0141975(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 13/00-29/06、41/00-45/00
G01F 1/56- 1/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の吸気通路に設けられる熱線式のエアフローメータの劣化度を算出する劣化度算出システムであって、
実行装置を備えており、
混合気の空燃比が目標空燃比となるように前記内燃機関に設けられた燃料噴射弁の燃料噴射量を補正する値を空燃比補正値とし、前記内燃機関の吸気通路に設けられたスロットルバルブへのデポジット付着による吸入空気量の変化を補償するために前記スロットルバルブの開度を補正する値をスロットル補正値とし、前記内燃機関の機関回転速度が目標アイドル回転速度となるように前記内燃機関の出力トルクを補正する値をアイドル補正値としたときに、
前記実行装置は、
前記空燃比補正値及び前記スロットル補正値及び前記アイドル補正値を取得する取得処理と、
前記空燃比補正値及び前記スロットル補正値及び前記アイドル補正値に基づいて前記劣化度の算出条件を満たすか否かを判定する判定処理と、
前記判定処理にて前記劣化度の算出条件を満たすと判定される場合には、前記空燃比補正値に基づいて前記劣化度を算出する算出処理と、を実行する
エアフローメータの劣化度算出システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアフローメータの劣化度算出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の吸気通路に設けられるエアフローメータの故障診断を行う装置が種々提案されている。例えば、特許文献1に記載の装置では、エアフローメータの検出値と、同検出値を学習した学習値との差に基づいてエアフローメータの故障診断を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、熱線式のエアフローメータの場合、測定部表面への異物の付着により劣化が進むにつれて、同エアフローメータにて検出される吸入空気量の値は実際の吸入空気量よりも少なくなっていく。上記特許文献1に記載の装置は、エアフロメータの故障を診断することはできるものの、上述したエアフロメータの劣化についてその度合いである劣化度を算出することまでは考慮されていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する劣化度算出システムは、内燃機関の吸気通路に設けられる熱線式のエアフロメータの劣化度を算出する。この劣化度算出システムは実行装置を備えている。そして、混合気の空燃比が目標空燃比となるように前記内燃機関に設けられた燃料噴射弁の燃料噴射量を補正する値を空燃比補正値とし、前記内燃機関の吸気通路に設けられたスロットルバルブへのデポジット付着による吸入空気量の変化を補償するために前記スロットルバルブの開度を補正する値をスロットル補正値とし、前記内燃機関の機関回転速度が目標アイドル回転速度となるように前記内燃機関の出力トルクを補正する値をアイドル補正値としたときに、前記実行装置は、前記空燃比補正値及び前記スロットル補正値及び前記アイドル補正値を取得する取得処理と、前記空燃比補正値及び前記スロットル補正値及び前記アイドル補正値に基づいて前記劣化度の算出条件を満たすか否かを判定する判定処理と、前記判定処理にて前記劣化度の算出条件を満たすと判定される場合には、前記空燃比補正値に基づいて前記劣化度を算出する算出処理とを実行する。
【0006】
熱線式のエアフロメータの劣化が進むことにより、同エアフロメータの検出値と実際の吸入空気量とのずれが大きくなるにつれて上記空燃比補正値の値は大きくなっていく。ただし、空燃比補正値は、エアフロメータの劣化だけではなく、例えば燃料噴射量の誤差などによってもその値が変化する。ここで、熱線式のエアフロメータの劣化が進むと、空燃比補正値だけではなく、上記スロットル補正値や上記アイドル補正値も変化する。従って、空燃比補正値及びスロットル補正値及びアイドル補正値に基づき、空燃比補正値の変化が熱線式のエアフロメータの劣化によるものなのか否かを判定することができる。そこで、同構成では、それらの各値に基づいて劣化度の算出条件を満たすか否かを判定する。そして、劣化度の算出条件を満たすと判定される場合には、空燃比補正値に基づいて熱線式エアフローメータの劣化度を算出するようにしている。従って、熱線式のエアフローメータの劣化度を適切に算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態における内燃機関の構成を示す模式図。
【
図2】同実施形態の制御装置が実行する処理の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<内燃機関の構成>
以下、エアフローメータの劣化度算出システムを具体化した一実施形態について、
図1及び
図2を参照して説明する。
【0009】
図1に示すように、内燃機関10の吸気通路11には、その通路面積を可変とする電動式のスロットルバルブ15が設けられている。このスロットルバルブ15の開度を制御することにより、エアクリーナ14を通じて吸入される空気の量である吸入空気量が調整される。吸気通路11を流れる空気は、燃料噴射弁17から噴射される燃料と混合され、その混合気は、内燃機関10が備える気筒の燃焼室で燃焼される。
【0010】
燃焼室における混合気の燃焼によって生じた排気は、排気通路13に排出される。この排気通路13には、排気中の成分を浄化する触媒21が設けられている。触媒21は、理論空燃比近傍での燃焼が行われる状態において、排気中のHCやCOを酸化するとともに同排気中のNOxを還元して排気を浄化する。また、触媒21は、同触媒21を通過する排気の空燃比が理論空燃比よりもリーンの時には排気中の酸素を吸蔵し、同空燃比が理論空燃比よりもリッチのときには吸蔵した酸素を放出するといった酸素ストレージ機能を有している。
【0011】
制御装置100は、内燃機関10の吸入空気量や噴射燃料量等といった各種制御を実施する。この制御装置100は、中央処理装置(以下、CPUという)110、制御用のプログラムやデータが記憶されたメモリ120などを備えている。そして、制御装置100は、メモリ120に記憶されたプログラムをCPU110が実行することにより各種制御を実行する。CPU110及びメモリ120は実行装置を構成している。
【0012】
制御装置100は、内燃機関10の制御量を制御するために、クランク角センサ30の出力信号Scrや、熱線式のエアフローメータ31によって検出される吸入空気量GAを参照する。なお、熱線式のエアフローメータ31としては、ホットワイヤ式や薄膜式のエアフローメータが挙げられる。また、制御装置100はスロットルセンサ32によって検出されるスロットルバルブ15の開度であるバルブ開度TAを参照する。また、制御装置100は、アクセルセンサ33によって検出されるアクセルペダルの踏み込み量であるアクセル操作量ACCPを参照する。また、制御装置100は、触媒21の上流側に設けられた空燃比センサ34によって検出される空燃比AFを参照する。
【0013】
制御装置100は、クランク角センサ30の出力信号Scrに基づいて機関回転速度NEを算出する。また、制御装置100は、機関回転速度NE及び吸入空気量GAに基づいて機関負荷率KLを算出する。ここで、機関負荷率KLとは、現状の機関回転速度NEにおいてスロットルバルブ15を全開とした状態で内燃機関10を定常運転したときの気筒流入空気量に対する、現在の気筒流入空気量の比率を表している。なお、気筒流入空気量は、吸気行程において各気筒に流入する吸気の量である。
【0014】
<制御装置100が実行する処理>
制御装置100は、アクセル操作量ACCP等に基づいて内燃機関の要求トルクT*を算出し、その要求トルクT*を得ることのできる吸入空気量である要求空気量GA*を算出する。そして、要求空気量GA*が得られるスロットルバルブ15の目標開度TA*を算出する。この目標開度TA*は、要求空気量GA*及び機関回転速度NEなどから求められる基本開度TAbと、後述のスロットル補正値TAHを基本開度TAbに乗じた開度補正量との和で構成されている。そして、制御装置100は、目標開度TA*となるようにスロットルバルブ15の開度を調整する。
【0015】
また、制御装置100は、エアフローメータ31によって検出される吸入空気量の実測値に対して目標空燃比が得られる燃料量である基本燃料噴射量Qbを求める。また、制御装置100は、上述した空燃比AFと目標空燃比AF*との乖離度合に基づいて空燃比補正値AFHを算出する。
【0016】
この空燃比補正値AFHは、混合気の空燃比が目標空燃比AF*となるように燃料噴射弁17の燃料噴射量を補正する値であり、基本燃料噴射量Qbに乗算される増減比率である。また、本実施形態では、機関運転領域が複数の領域(例えばm個)に分けられており、それら各領域毎に空燃比補正値AFH[X](Xは1~m)が算出される。
【0017】
そして、制御装置100は、上記基本燃料噴射量Qbと、この基本燃料噴射量Qbに空燃比補正値AFH[X]を乗じた燃料補正量と、その他の各種補正量との和で構成される要求噴射量Qを算出する。そして、制御装置100は、要求噴射量Qが得られるように燃料噴射弁17の燃料噴射量を調整する。
【0018】
また、制御装置100は、上記スロットル補正値TAHを算出する。このスロットル補正値TAHは、スロットルバルブ15へのデポジット付着による吸入空気量の変化を補償するためにスロットルバルブ15の開度を補正する値であり、上記基本開度TAbに乗算される増減比率である。スロットル補正値TAHは、例えば以下のようにして算出される。
【0019】
すなわち、スロットルバルブ15の開度が目標開度TA*に一致しているときにエアフローメータ31にて検出された吸入空気量GAと要求空気量GA*との差ΔGAを算出する(ΔGA=GA*-GA)。そして、差ΔGAが大きいほど、スロットルバルブ15を開き側に補正する補正量が大きくなるようにスロットル補正値TAHの値が算出される。なお、本実施形態では、スロットル補正値TAHの算出に際して機関運転領域が複数の領域(例えばn個)に分けられており、それら各領域毎にスロットル補正値TAH[Y](Xは1~n)が算出される。
【0020】
また、制御装置100は、内燃機関10の運転状態がアイドル状態のときには、機関回転速度NEが既定の目標アイドル回転速度NEId*となるようにアイドル制御を行う。このアイドル制御における要求トルクT*は、目標アイドル回転速度NEId*に応じて算出される基本アイドルトルクTbと、アイドル補正値IDHと、その他の各種補正値との和で構成される。アイドル補正値IDHは、機関回転速度が目標アイドル回転速度NEId*となるように内燃機関10の出力トルクを補正するトルク値であり、以下のようにして算出される。すなわち、制御装置100は、目標アイドル回転速度NEId*と実際の機関回転速度NEとの差である速度差ΔNEを算出する(ΔNE=NEId*ーNE)。そして、速度差ΔNEが正の値であって目標アイドル回転速度NEId*よりも実際の機関回転速度NEの方が低い場合には、同速度差ΔNEの値が大きいほど、アイドル補正値IDHの値は正の値であってその値は大きくなるように算出される。これにより内燃機関の出力トルクは増加するようになり、速度差ΔNEは小さくなっていく。
【0021】
一方、速度差ΔNEが負の値であって目標アイドル回転速度NEId*よりも実際の機関回転速度NEの方が高い場合には、同速度差ΔNEの値が小さいほど(絶対値が大きいほど)、アイドル補正値IDHの値は負の値であってその値は小さくなるように(絶対値は大きくなるように)算出される。これにより内燃機関の出力トルクは減少するようになり、速度差ΔNEは小さくなっていく。
【0022】
また、制御装置100は、エアフローメータ31の劣化度Rを算出する処理を実行する。
図2に、そうした劣化度Rを算出する処理手順を示す。
図2に示す処理は、メモリ120に記憶されたプログラムをCPU110が所定周期毎に実行することにより実現される。なお、以下では、先頭に「S」を付与した数字によってステップ番号を表現する。
【0023】
本処理を開始すると、CPU110は、最大空燃比補正値AFHm及び最大スロットル補正値TAHm及びアイドル補正値IDHを取得する取得処理を実行する(S100)。
最大空燃比補正値AFHmは、各領域毎に算出される上記空燃比補正値AFH[X]のうちの最大値である。最大スロットル補正値TAHmは、各領域毎に算出される上記スロットル補正値TAH[Y]のうちの最大値である。
【0024】
次に、CPU110は、劣化度算出条件が成立するか否かを判定する判定処理を実行する(S110)。この劣化度算出条件は、以下の条件(A)及び条件(B)がともに満たされる場合に成立すると判定される。
【0025】
(A)最大空燃比補正値AFHmと最大スロットル補正値TAHmとの差が既定値以内であり、最大空燃比補正値AFHmと最大スロットル補正値TAHmとがほぼ同じである。
【0026】
(B)アイドル補正値IDHが時間経過とともに小さくなっている。または、アイドル補正値IDHが予め定められた下限値IDHLoに達している。
そして、劣化度算出条件が成立すると判定する場合、CPU110は、最大空燃比補正値AFHmに基づいてエアフローメータ31の劣化度Rを算出する算出処理を実行する(S120)。ここでは、次式(1)に基づいて劣化度Rが算出される。
【0027】
R=AFHm/Em×100(%)…(1)
R:劣化度
AFHm:最大空燃比補正値
Em:最大許容値
上記最大許容値Emは、次の値である。すなわち、エアフローメータ31の劣化による検出誤差として許容できる最大誤差であって予め規定された値である。なお、そうした最大誤差としては、例えばエアフローメータ31の測定部の清掃またはエアフローメータ31の交換を必要とする程度の誤差が考えられる。そして、当該最大誤差となったときの最大空燃比補正値AFHmの値が最大許容値Emとして予め設定されている。従って、エアフローメータ31が劣化しておらず、最大空燃比補正値AFHmが「0」の場合には、算出される劣化度Rは0%になる。一方、エアフローメータ31の劣化が進むことにより最大空燃比補正値AFHmの値が最大許容値Emに達すると、算出される劣化度Rは100%になる。
【0028】
そして、CPU110は、S120の処理を完了した場合や、S110の処理において否定判定する場合には、
図2に示す一連の処理を一旦終了する。
<作用及び効果>
本実施形態の作用及び効果を説明する。
【0029】
エアフローメータ31が劣化すると、エアフローメータ31で検出される吸入空気量GA(以下、検出空気量という)が実際の吸入空気量(以下、実空気量という)よりも少なくなる。こうした実空気量に対する検出空気量のずれは、エアフローメータ31の劣化が進むにつれて大きくなる。
【0030】
このようにして検出空気量が実空気量よりも少なくなる、逆にいえば実空気量が検出空気量よりも多くなると、上記空燃比フィードバックを通じて調整される混合気の空燃比は目標空燃比AF*よりもリーン側にずれた状態になる。そのため、空燃比補正値AFHは、燃料噴射量を増やす方向に値が変化するとともに、その値は実空気量に対する検出空気量のずれが大きくなるほど、つまりエアフローメータ31の劣化が進むほど大きくなる。
【0031】
また、検出空気量が実空気量よりも少なくなると、そうした検出空気量と上記要求空気量GA*との差ΔGAが大きくなるため、スロットルバルブ15を開き側に補正する補正量が大きくなるようにスロットル補正値TAHの値が変化する。また、スロットル補正値TAHの値は実空気量に対する検出空気量のずれが大きくなるほど、つまりエアフローメータ31の劣化が進むほど大きくなる。ここで、エアフローメータ31の劣化に起因してスロットル補正値TAHと空燃比補正値AFHとがともに変化する場合には、それらスロットル補正値TAH及び空燃比補正値AFHはほぼ同じ値になる。
【0032】
また、上述したアイドル制御を実行しているときに、エアフローメータ31の劣化によって実空気量が検出空気量よりも多くなっている場合には、目標アイドル回転速度NEId*を維持するために必要とされる内燃機関10の出力トルクに対して実際の出力トルクが大きくなる。そのため、実際の機関回転速度NEは目標アイドル回転速度NEId*よりも高くなり、速度差ΔNEは負の値になる。速度差ΔNEが負の値の場合、アイドル補正値IDHの値は負の値になる。そして、エアフローメータ31の劣化が進むほど、実空気量と検出空気量との差が大きくなるため、速度差ΔNEは負の値であってその絶対値は大きくなっていく。このため、アイドル補正値IDHの値は、エアフローメータ31の劣化が進むにつれてマイナス側に小さくなっていき、最終的には上記下限値IDHLoに達するようになる。
【0033】
このようにエアフローメータ31の劣化が進むと、空燃比補正値AFHだけではなく、スロットル補正値TAHやアイドル補正値IDHも変化する。従って、空燃比補正値AFH及びスロットル補正値TAH及びアイドル補正値IDHに基づき、空燃比補正値AFHの変化がエアフローメータ31の劣化によるものなのか否かを判定することができる。
【0034】
そこで、本実施形態では、それらの各値に基づいて劣化度Rの算出条件を満たすか否かが判定される。より詳細には、
図2に示したS110にて、上記条件(A)及び条件(B)をともに満たすか否かが判定される。そして、S110にて肯定判定される場合、つまり劣化度Rの算出条件を満たすと判定される場合には、
図2に示したS120の処理が実行されることにより、空燃比補正値AFHに基づいて劣化度Rが算出される。従って、熱線式のエアフローメータ31の劣化度Rを適切に算出することができる。
【0035】
<変更例>
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0036】
・上記条件(A)では、最大空燃比補正値AFHmと最大スロットル補正値TAHmとを比較したが、他の空燃比補正値AFHとスロットル補正値TAHとを比較してもよい。例えば、各領域毎に算出される上記空燃比補正値AFH[X]のうちの最小値と、各領域毎に算出される上記スロットル補正値TAH[Y]のうちの最小値とを比較してもよい。また、各領域毎に算出される上記空燃比補正値AFH[X]の平均値と、各領域毎に算出される上記スロットル補正値TAH[Y]の平均値とを比較してもよい。
【0037】
・空燃比補正値AFHやスロットル補正値TAHを複数の機関運転領域毎に算出したが、機関運転領域を複数の領域に分割することなく、空燃比補正値AFHやスロットル補正値TAHを算出してよい。
【0038】
・実行装置としてCPUとメモリとを備えており、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。例えば、上記各実施形態において実行されるソフトウェア処理の少なくとも一部を処理する専用のハードウェア回路(たとえばASIC等)を備えてもよい。すなわち、実行装置は、以下の(a)~(c)のいずれかの構成であればよい。(a)上記処理の全てをプログラムに従って実行する処理装置と、プログラムを記憶するメモリ等のプログラム格納装置とを備える。(b)上記処理の一部をプログラムに従って実行する処理装置及びプログラム格納装置と、残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備える。(c)上記処理の全てを実行する専用のハードウェア回路を備える。ここで、処理装置及びプログラム格納装置を備えたソフトウェア処理回路や、専用のハードウェア回路は複数であってもよい。すなわち、上記処理は、1または複数のソフトウェア処理回路及び1または複数の専用のハードウェア回路の少なくとも一方を備えた処理回路によって実行されればよい。
【符号の説明】
【0039】
10…内燃機関
11…吸気通路
13…排気通路
14…エアクリーナ
15…スロットルバルブ
17…燃料噴射弁
21…触媒
30…クランク角センサ
31…エアフローメータ
32…スロットルセンサ
33…アクセルセンサ
34…空燃比センサ
100…制御装置
110…中央処理装置(CPU)
120…メモリ