(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/66 20060101AFI20240925BHJP
B65D 5/22 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
B65D5/66 311G
B65D5/22 F
(21)【出願番号】P 2021102694
(22)【出願日】2021-06-21
【審査請求日】2023-08-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】夏川 準司
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-218172(JP,A)
【文献】特開2021-075302(JP,A)
【文献】登録実用新案第3044325(JP,U)
【文献】登録実用新案第3043463(JP,U)
【文献】特開2003-155029(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/66
B65D 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底板と、前記底板から立ち上がる側壁と、前記側壁の上に係止される係止片を有する蓋部を備えた包装箱において、
前記側壁は、立上り板部と、前記立上り板部の上端に連設された縁板部と、前記縁板部に連設された垂下り板部とを備えた二重壁となっており、
前記縁板部と前記垂下り板部との間の折れ線は、前記垂下り板部の上縁に沿った1本の線にて構成されており、
前記縁板部に前記係止片が載置される載置部が形成され、
前記載置部における前記折れ線は、ブランクシートの状態で前記縁板部の他の部分の前記折れ線から前記垂下り板部側に向かって広がり前記垂下り板部側に入り込んでおり、
前記載置部は、前記垂下り板部に引っ張られて下方に傾斜している
ことを特徴とする包装箱。
【請求項2】
前記縁板部の幅寸法が大きい部分は、箱の内側に向かって広がっている
ことを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記蓋部は、前記側壁の内側に差し込まれる差込片をさらに有する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
蓋に連設する差し込み片を、対面の側壁の内側に差し込むことで蓋を閉じる包装箱として、通称N式組箱が知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1の包装箱は、前壁(対面の側壁)が二重壁にて構成されており、前壁の上端には水平な縁部が形成されている。蓋と差込片との境界(折れ線部分)には、差込片から切り起された係止片が形成されている。係止片は、蓋を閉じた状態で水平になり、前壁の縁部の上に載置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記した従来の包装箱は、係止片が前壁の縁部の上に載置されるので、前壁の天端と蓋の天端とで高さが異なり、箱の取扱い性が悪くなる問題や、箱に歪が発生してしまう問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、箱の取扱い性の悪化を防止できるとともに、箱の歪を抑制できる包装箱を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、底板と、前記底板から立ち上がる側壁と、前記側壁の上に係止される係止片を有する蓋部を備えた包装箱において、前記側壁は、立上り板部と、前記立上り板部の上端に連設された縁板部と、前記縁板部に連設された垂下り板部とを備えた二重壁となっており、前記縁板部と前記垂下り板部との間の折れ線は、前記垂下り板部の上縁に沿った1本の線にて構成されており、前記縁板部に前記係止片が載置される載置部が形成され、前記載置部における前記折れ線は、ブランクシートの状態で前記縁板部の他の部分の前記折れ線から前記垂下り板部側に向かって広がり前記垂下り板部側に入り込んでおり、前記載置部は、前記垂下り板部に引っ張られて下方に傾斜していることを特徴とする。
【0007】
本発明の包装箱によれは、縁板部の幅が広がった部分は、ブランクシートの状態で立上り壁または垂下り壁側に入り込んでいるので、側壁を折り曲げた際に縁板部が下側に引っ張られて表面が低くなる。これによって、係止片の載置面が下がることとなり、前壁の天端の高さと蓋の天端の高さとを揃え易くなる。したがって、箱の取扱い性の悪化を防止できるとともに、箱の歪を抑制できる。
【0008】
本発明の包装箱においては、前記縁板部の幅寸法が大きい部分は、箱の内側に向かって広がっているものが好ましい。このような構成によれば、係止片の基端側の縁板部の上面が低くなるので、前壁の天端と蓋の天端とがフラットになり、段差が発生し難くなる。
【0009】
本発明の包装箱においては、前記蓋部は、前記側壁の内側に差し込まれる差込片をさらに有するものが好ましい。このような構成によれば、蓋部を側壁に固定し易くなり、安定性が向上するので、箱の取扱い性が良好になる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の包装箱は、箱の取扱い性の悪化を防止できるとともに、箱の歪を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第一の実施形態に係る包装箱を前方右上から見た斜視図である。
【
図2】本発明の第一の実施形態に係る包装箱のブランクシートを示した図である。
【
図3】本発明の第一の実施形態に係る包装箱の蓋部が開いた状態を後方右上から見た斜視図である。
【
図4】本発明の第一の実施形態に係る包装箱の側壁を示した要部斜視図である。
【
図5】本発明の第一の実施形態に係る包装箱の側壁を示した要部断面図である。
【
図6】本発明の第二の実施形態に係る包装箱を示した分解斜視図である。
【
図7】本発明の第二の実施形態に係る包装箱を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第一の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
以下の説明において、前後左右方向とは、包装箱を説明する上で便宜上設定したものであり、本発明の包装箱の構成を限定するものではない。なお、各実施形態の説明において、同一の構成要素に関しては同一の符号を付し、重複した説明は省略するものとする。本実施形態では、包装箱がN式組箱である場合を例に挙げて説明する。
【0013】
本実施形態の包装箱1は、
図1および
図3に示すように、底板10と、側壁20と、蓋部50とを備えている。側壁20は、左側壁21と右側壁22と前壁23と後壁24とを備えており、筒状に形成されている。側壁20は、底板10の周縁部にそれぞれ連設され立ち上がっている。蓋部50は、筒状の側壁20の上開口部を覆うものであり、後壁24の上端に連設されている。
【0014】
包装箱1は、
図2に示すように、段ボール製のシートを切り抜いたブランクシートSを各折れ線において山折りまたは谷折りすることで形成される。
図2に示すブランクシートSは内面側が見えるように配置されている。
図2中、下側には底板10と側壁20を構成するシートが表示され、上側には蓋部50を構成するシートが表示されている。
ブランクシートSの折れ線は、ブランクシートSの表面を線状に押し込んで形成された罫線(押罫)である。なお、罫線に断続的な切れ込みを形成してもよい。このようにすると、折れ線においてブランクシートSを折り曲げ易くなる。
また、シートの表面のみを切断したハーフカットの切れ込みやシートを貫通した切れ込みを断続させて線状に形成することで折れ線を構成してもよい。
【0015】
底板10は、四角形に形成されており、下側のシートの中央に配置されている。底板10の前端縁部には、係止切込み11が形成されている。係止切込み11には、後記する前壁23の垂下り板部23cの下端の係止凸部32が挿入される。係止切込み11は、左右方向に沿って直線状に形成されている。係止切込み11は、二か所に形成されており、左右方向に延在する直線上に互いに間隔をあけて配置されている。底板10の左縁部には、折れ線を介して左側壁21が連設されている。
【0016】
左側壁21は、立上り板部21aと、縁板部21bと、垂下り板部21cとを備えた二重壁となっている。立上り板部21aは、左側壁21の二重壁を構成する板部のうちの一つであり、外側の壁となる。立上り板部21aは、四角形に形成されている。底板10の左縁部と立上り板部21aとの間の折れ線は、前後方向に沿って直線状に延在しており、直角に折り曲げられる。つまり、立上り板部21aは、底板10に対して直交し、直角に立ち上がっている。立上り板部21aの前縁部には、折れ線を介して前側挿入板25が連設されている。前側挿入板25は、前壁23の左側端部から後記する立上り板部23aと垂下り板部23cとの間に挿入される部位であり、四角形に形成されている。
【0017】
縁板部21bは、折れ線を介して立上り板部21aの上端に連設されている。縁板部21bは、左側壁21の上端面を構成する板部であり、細長の四角形に形成されている。立上り板部21aと縁板部21bとの間の折れ線は、前後方向に沿って直線状に延在しており、直角に折り曲げられる。縁板部21bは、立上り板部21aに対して直交し、水平方向に広がっている。縁板部21bの前端部には、張出部26が形成されている。張出部26は、後記する前壁23の縁板部23bとの接続部分において、縁板部23bの下側に入り込むことで、縁板部21b,23b間の隙間を埋める部材である。
【0018】
垂下り板部21cは、折れ線を介して縁板部21bの先端に連設されている。垂下り板部21cは、左側壁21の二重壁を構成する板部のうちの一つであり、内側の壁となる。垂下り板部21cは、略四角形に形成されている。縁板部21bと垂下り板部21cとの間の折れ線は、前後方向に沿って直線状に延在しており、直角に折り曲げられる。つまり、垂下り板部21cは、縁板部21bに対して直交し、直角に垂れ下がっている。垂下り板部21cの下端部の前端部には、前方に張り出す前方張出部27aが形成されている。垂下り板部21cの下端部の後端部には、後方に張り出す後方張出部27bが形成されている。
【0019】
底板10の右縁部には、折れ線を介して右側壁22が連設されている。右側壁22は、左側壁21と左右対称の形状であり、立上り板部22aと、縁板部22bと、垂下り板部22cとを備えた二重壁となっている。立上り板部22aの前縁部には、前側挿入板25と左右対称形状の前側挿入板28が連設されている。縁板部22bの前端部には、張出部26と左右対称形状の張出部29が形成されている。垂下り板部22cの下端部の前端部には、前方張出部30aが形成され、垂下り板部22cの下端部の後端部には、後方張出部30bが形成されている。前方張出部30aは、前方張出部27aと左右対称の形状であり、後方張出部30bは、後方張出部27bと左右対称の形状である。
【0020】
底板10の前縁部には、折れ線を介して前壁23が連設されている。前壁23は、立上り板部23aと、縁板部23bと、垂下り板部23cとを備えた二重壁となっている。立上り板部23aは、前壁23の二重壁を構成する板部のうちの一つであり、外側(前側)の壁となる。立上り板部23aは、左右方向に長い四角形に形成されている。底板10の前縁部と立上り板部23aとの間の折れ線は、左右方向に沿って直線状に延在しており、直角に折り曲げられる。つまり、立上り板部23aは、底板10に対して直交し、直角に立ち上がっている。底板10の前縁部と立上り板部23aとの間の折れ線は、左側壁21の立上り板部21aの前縁部と前側挿入板25との間の折れ線(および右側壁22の立上り板部22aの前縁部と前側挿入板28との間の折れ線)よりも段ボールの厚さ分、前方にオフセットしている。
【0021】
縁板部23bは、折れ線を介して立上り板部23aの上端に連設されている。縁板部23bは、前壁23の上端面を構成する板部であり、細長の四角形に形成されている。立上り板部23aと縁板部23bとの間の折れ線は、前後方向に沿って直線状に延在しており、直角に折り曲げられる。縁板部23bは、立上り板部23aに対して直交し、水平方向に広がっている。縁板部23bの前端部には、折れ線を介して垂下り板部23cが連設されている。縁板部23bの一部には、後記する蓋部50の係止片52が載置される載置部31が形成されている。載置部31における縁板部23bと垂下り板部23cとの間の折れ線は、ブランクシートSの状態において、縁板部23bの残り部分(載置部31以外の部分)における縁板部23bと垂下り板部23cとの間の折れ線から離れる方向(箱の内側)に円弧状に広がり、垂下り板部23c側に入り込んでいる。つまり、載置部31は、少なくともブランクシートSの状態では、縁板部23bの幅寸法(前後幅寸法)が大きくなっている(幅の内側に向かって広がっている)。載置部31は、縁板部23bの左右方向中間部に配置されている。
【0022】
垂下り板部23cは、一部が広がった前記折れ線を介して縁板部23bの先端に連設されている。垂下り板部23cは、前壁23の二重壁を構成する板部のうちの一つであり、内側(後側)の壁となる。垂下り板部23cは、略四角形に形成されている。
図4および
図5にも示すように、垂下り板部23cは、縁板部23bに対して直交し、直角に垂れ下がっている。前記折れ線の広がった部分は、垂下り板部23c側に入り込んでいるので、垂下り板部23cを折り曲げた際に下側に引っ張られる。これによって、載置部31の後側(箱の内側)は、下がって傾斜することとなる。縁板部23bの載置部31の幅寸法(ブランクシートSの状態における幅寸法)は、載置部31の高さが段ボールの厚さ分低くなるように、設定される。
【0023】
垂下り板部23cの下端部には、下方に張り出す係止凸部32が形成されている。係止凸部32は、底板10の係止切込み11に相当する位置に形成されており、互いに間隔をあけて二か所に配置されている。係止凸部32は、係止切込み11に係止されることで、垂下り板部23cを底板10に固定する。
【0024】
垂下り板部23cの下端部の左右両端部には、端部が一定幅で切り欠かれた切欠き部33が形成されている。左側の切欠き部33には、左側壁21の垂下り板部21cの前方張出部27aが挿入され、右側の切欠き部33には、右側壁22の垂下り板部22cの前方張出部30aが挿入されることで、垂下り板部21cおよび垂下り板部23cがそれぞれ前壁23の内側に固定される。
【0025】
底板10の後縁部には、折れ線を介して後壁24が連設されている。後壁24は、一枚の板部から形成されている。後壁24は、左右方向に長い四角形に形成されている。後壁24の左右両端部の下部には、切断線35がそれぞれ形成されている。切断線35は、後壁24の下端から上方に向かって後壁24の高さ方向中間部まで延在している。左側の切断線35は、左側壁21の垂下り板部21cの後方張出部27bに相当する位置に形成されている。右側の切断線35は、右側壁22の垂下り板部22cの後方張出部30bに相当する位置に形成されている。左側の切断線35には、左側壁21の垂下り板部21cの後方張出部27bが押し込まれ、右側の切断線35には、右側壁22の垂下り板部22cの後方張出部30bが挿入されることで、垂下り板部21cおよび垂下り板部23cがそれぞれ後壁24の内側に固定される。
【0026】
後壁24の左縁部には、折れ線を介して左側挿入板36が連設されている。左側挿入板36は、左側壁21の後端部から立上り板部21aと垂下り板部21cとの間に挿入される部位であり、四角形に形成されている。後壁24の右縁部には、折れ線を介して右側挿入板37が連設されている。右側挿入板37は、右側壁22の後端部から立上り板部22aと垂下り板部22cとの間に挿入される部位であり、左側挿入板36と左右対称形状の四角形に形成されている
【0027】
後壁24の上縁部には、折れ線を介して蓋部50が連設されている。蓋部50は、天板51と係止片52と差込片53~55とを有している。天板51は、左側壁21、右側壁22,前壁23および後壁24で囲まれた開口部を覆う蓋板であって、四角形に形成されている。天板51の周縁部は、左側壁21、右側壁22および前壁23の内壁に当接可能な大きさに形成されている。
【0028】
係止片52は、前壁23の縁板部23bの載置部31の上に載置される部分であり、蓋部50を前壁23に係止している。係止片52は、天板51の前縁部から前方に向かって突出している。係止片52の突出寸法は、ブランクシートSの状態で、縁板部23bの幅寸法より小さく、載置部31に係止片52を載置した際、係止片52が縁板部23bの外縁からはみ出さないようになっている(
図5参照)。係止片52は略四角形に形成されている。係止片52の先端側の出隅部は、面取りされて曲線状になっている。係止片52の左右方向長さは、縁板部23bの幅が広がった載置部31の左右方向長さと同等である。
【0029】
差込片53は、天板51の左縁部に折れ線を介して連設されている。差込片53は、左側壁21の内側(右側)に差し込まれる部位であり、天板51に対して直交して垂下している。差込片53は、略四角形に形成されている。差込片53の前方先端側の出隅部は、面取りされて曲線状になっている。差込片53の後方先端側の出隅部は、面取りされており、下方に向かうにつれて前側になるように傾斜している。このように差込片53の先端側の出隅部は面取りされているので、差込片53を左側壁21の内側に差し込みやすくなっている。
【0030】
差込片54は、天板51の右縁部に折れ線を介して連設されている。差込片54は、右側壁22の内側(左側)に差し込まれる部位であり、天板51に対して直交して垂下している。差込片54は、差込片53と左右対称形状の略四角形に形成されている。差込片54も、差込片53と同様に先端側の出隅部が面取りされているので、差込片54を右側壁22の内側に差し込みやすくなっている。
【0031】
差込片55は、天板51の前縁部に折れ線を介して連設されている。差込片55は、前壁23の内側(後側)に差し込まれる部位であり、天板51に対して直交して垂下している。差込片55は、略四角形に形成されている。差込片53の先端側の出隅部は、面取りされて曲線状になっている。このように差込片55の先端側の出隅部を面取りすることで、差込片53を左側壁21の内側に差し込みやすくなっている。差込片55の基端部の係止片52に相当する部分は、切り欠かれており、係止片52が切り起されている。
【0032】
本実施形態の包装箱1によれば、前壁23の縁板部23bの幅が広がった部分は、ブランクシートSの状態で垂下り板部23c側に入り込んでいるので、縁板部23bに対して垂下り板部23cを折り曲げた際に、縁板部23bが下側に引っ張られて、載置部31の表面が低くなる(
図4および
図5参照)。これによって、係止片52を載置部31に載置した際に、縁板部23bの表面の高さと係止片52の表面の高さを揃えることができる。したがって、蓋部50が側壁20内にぴったりと嵌る。よって、箱の取扱い性の悪化を防止できるとともに、箱の歪を抑制できる。特に、本実施形態では、縁板部23bの幅寸法が大きい部分は、箱の内側(垂下り板部23c側)に向かって広がっているので、係止片52の基端側の縁板部23bの上面が低くなる。これにより、係止片52が載置部31に嵌り易くなる。また、載置部31は段ボールの厚さ分低くなっているので、前壁23の天端と蓋部50の天端とがフラットになり、段差が発生し難くなる。
【0033】
また、本実施形態では、蓋部50は、差込片53~55を有しているので、蓋部50が側壁20に対して安定し、固定し易くなる。よって、包装箱1の取扱い性がより一層良好になる。
【0034】
次に、本発明の第二の実施形態について、
図6および
図7を参照しながら説明する。
図6および
図7に示すように、第二の実施形態の包装箱2は、底板70と、側壁80と、蓋部90とを備えている。本実施形態では、蓋部90は、側壁80と連設されておらず、底板70および側壁80と別部材にて構成されている。また、側壁80の上に係止される係止片92は、蓋部90の周縁部の各辺のそれぞれに形成されている。底板70は、前記実施形態の底板10と同様の構成であり、四角形に形成されている。
【0035】
側壁80は、前後左右に同形状の二重壁81を備えている。二重壁81は、立上り板部81aと、縁板部81bと、垂下り板部81cとを備えている。二重壁81は、前記実施形態の前壁23と略同等の構成である。立上り板部81aは、折れ線を介して底板70の周縁部の一辺に連設されている。立上り板部81aは、前壁23の二重壁を構成する板部のうちの一つであり、外側の壁となる。
【0036】
縁板部81bは、折れ線を介して立上り板部81aの上端に連設されている。縁板部81bは、二重壁81の上端面を構成する板部であり、細長の四角形に形成されている。立上り板部81aと縁板部81bとの間の折れ線は、前後方向に沿って直線状に延在しており、直角に折り曲げられる。縁板部81bの先端部(箱の内側端部)には、折れ線を介して垂下り板部81cが連設されている。縁板部81bの一部には、後記する蓋部90の係止片92が載置される載置部82が形成されている。載置部82における縁板部81bと垂下り板部81cとの間の折れ線は、ブランクシートSの状態において、縁板部81bの残り部分(載置部82以外の部分)における縁板部81bと垂下り板部81cとの間の折れ線から離れる方向(箱の内側)に円弧状に広がり、垂下り板部81c側に入り込んでいる。つまり、載置部82は、少なくともブランクシートSの状態では、縁板部81bの幅寸法(前後幅寸法)が大きくなっている(幅の内側に向かって広がっている)。
【0037】
垂下り板部81cは、一部が広がった前記折れ線を介して縁板部81bの先端に連設されている。垂下り板部81cは、二重壁81を構成する板部のうちの一つであり、内側(後側)の壁となる。前記折れ線の広がった部分は、垂下り板部81c側に入り込んでいるので、垂下り板部81cを折り曲げた際に下側に引っ張られる。これによって、載置部82の後側(箱の内側)は、下がって傾斜することとなる。
【0038】
蓋部90は、天板91と係止片92と差込片93とを有している。天板91は、四つの二重壁81,81・・で囲まれた開口部を覆う蓋板であって、四角形に形成されている。天板91は、周縁部が二重壁81,81・・の内壁に周接可能な大きさである。
【0039】
係止片92は、各二重壁81の縁板部81bの載置部82の上に載置される部分であり、天板91の周縁部の各辺にそれぞれ設けられている。係止片92は、天板91の周縁部から外方に向かって突出している。係止片92の形状は、前記実施形態の係止片52と同等である。
【0040】
差込片93は、天板91の周縁部の各辺に折れ線を介してそれぞれ連設されている。差込片93は、二重壁81の箱内側に差し込まれる部位であり、天板91に対して直交して垂下している。差込片93は、前記実施形態の前方の差込片55と同等の形状であり、略四角形に形成されている。
【0041】
本実施形態の包装箱2によれば、前記実施形態と同様に、載置部82の表面が低くなる。これによって、係止片92を載置部82に載置した際に、縁板部81bの表面の高さと係止片92の表面の高さを揃えることができる。したがって、二重壁81の天端の高さと蓋部90の天端の高さとが揃うので、蓋部90が側壁80内にぴったりと嵌る。よって、箱の取扱い性の悪化を防止できるとともに、箱の歪を抑制できる。
【0042】
また、本実施形態では、蓋部90は、差込片93,93・・を有しているので、蓋部90が側壁80に対して安定し、固定し易くなる。よって、包装箱1の取扱い性がより一層良好になる。さらに、差込片93は、天板91の四辺に形成されているので、蓋部90が側壁80と別体であっても、側壁80に固定することができる。
【0043】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。例えば、前記実施形態では、係止片52,92は、略四角形となっているが、これに限定されるものではない。例えば先端が円弧形状であってもよい。このような構成によって、前記実施形態と同等の作用効果を得られる。
【0044】
また、前記第一の実施形態では、係止片52と載置部31は、箱の前部のみに設けられているが、左右両側に設けてもよい。このような構成によれば、蓋部50の安定性をより一層高めることができる。
【符号の説明】
【0045】
1 包装箱
10 底板
20 側壁
23 前壁
23a 立上り板部
23b 縁板部
23c 垂下り板部
31 載置部
50 蓋部
52 係止片
55 差込片