(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】冷却システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04029 20160101AFI20240925BHJP
B60K 11/04 20060101ALI20240925BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20240925BHJP
H01M 8/04746 20160101ALI20240925BHJP
H01M 8/00 20160101ALI20240925BHJP
H01M 8/04313 20160101ALI20240925BHJP
B60L 50/70 20190101ALI20240925BHJP
B60L 58/33 20190101ALI20240925BHJP
B60L 7/06 20060101ALI20240925BHJP
H01M 8/10 20160101ALN20240925BHJP
【FI】
H01M8/04029
B60K11/04 H
H01M8/04 J
H01M8/04746
H01M8/00 Z
H01M8/04313
B60L50/70
B60L58/33
B60L7/06
H01M8/10 101
(21)【出願番号】P 2021112961
(22)【出願日】2021-07-07
【審査請求日】2024-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福田 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】山田 亮介
(72)【発明者】
【氏名】木川 俊二郎
(72)【発明者】
【氏名】東 壽志
(72)【発明者】
【氏名】川崎 大也
(72)【発明者】
【氏名】木村 昌裕
(72)【発明者】
【氏名】高橋 龍也
【審査官】柳幸 憲子
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-111488(JP,A)
【文献】特開2023-9649(JP,A)
【文献】特開2023-9667(JP,A)
【文献】特開2021-82572(JP,A)
【文献】実開平2-6671(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04029
B60K 11/04
H01M 8/04
H01M 8/04746
H01M 8/00
H01M 8/04313
B60L 50/70
B60L 58/33
B60L 7/06
H01M 8/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される燃料電池を冷却する冷却システムであって、
冷却液が流入するための放熱器入口(11a)および冷却液が流出するための放熱器出口(11b)を有し、冷却液を放熱させる放熱器(11)と、
前記放熱器出口に連なり、前記放熱器から流出した冷却液が流れる出口側流路(12)と、
前記放熱器入口に連なり、前記放熱器に向かって冷却液が流れる入口側流路(13)と、
前記出口側流路に設けられ、冷却液が流れる流路を複数の流路に分岐させる分岐部(14)と、
前記入口側流路に設けられ、前記複数の流路を1つの流路に合流させる合流部(15)と、
前記分岐部と前記合流部との間に並列に接続され、前記分岐部から前記合流部に向けて冷却液が流れる、前記複数の流路としての第1流路(16)および第2流路(17)と、
前記第1流路に設けられ、冷却液が流入するための燃料電池入口(2a)および冷却液が流出するための燃料電池出口(2b)を有し、冷却液が内部を流れるようになっており、燃料の電気化学反応によって発電する燃料電池(2)と、
前記第1流路に設けられ、冷却液を送る第1ポンプ(18)と、
前記第2流路に設けられ、冷却液が流入するための抵抗器入口(3a)および冷却液が流出するための抵抗器出口(3b)を有し、冷却液が内部を流れるようになっており、モータジェネレータに機械的に接続された車輪の回転に対するブレーキ動作によって前記モータジェネレータが発電した電力を熱エネルギに変換するブレーキ用抵抗器(3)と、
前記第2流路に設けられ、冷却液を送る第2ポンプ(19)と、
前記第2流路に設けられ、前記第2ポンプとは別の機械部品であり、前記ブレーキ用抵抗器の内部を前記抵抗器出口から前記抵抗器入口に向かう方向である逆方向に冷却液が流れることを防止するための逆流防止機構(20)と、を備え、
前記第1流路には、前記第1ポンプとは別の機械部品であり、前記燃料電池の内部を前記燃料電池出口から前記燃料電池入口に向かう方向である逆方向に冷却液が流れることを防止するための逆流防止機構が設けられていない、冷却システム。
【請求項2】
前記冷却システムは、前記第1ポンプおよび前記第2ポンプの作動を制御する制御装置(21)を備え、
前記制御装置は、前記第2ポンプの作動時に、前記第1ポンプを作動させるともに、前記燃料電池の内部を前記燃料電池入口から前記燃料電池出口に向かう方向である順方向に、冷却液が前記第1流路を流れるように、前記第1ポンプの回転数を制御する、請求項1に記載の冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される燃料電池を冷却する冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ブレーキ用の抵抗器を送風機からの送風によって冷却する冷却システムが開示されている。この冷却システムは、エンジンを動力源として発電機を駆動し、その発電電力を用いて電動機で推進力を得る車両に搭載される。ブレーキ用の抵抗器は、電動機に機械的に接続された車輪の回転に対するブレーキ動作によって電動機が発電した電力を熱エネルギに変換する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本発明者は、車両に搭載される燃料電池とブレーキ用の抵抗器とのそれぞれを冷却液との熱交換によって冷却する冷却システムとして、下記の冷却システムを検討した。この検討した冷却システムを検討例の冷却システムと呼ぶ。
【0005】
検討例の冷却システムは、冷却液を放熱させる放熱器と、放熱器の冷却液出口に連なる冷却液の出口側流路と、放熱器の冷却液入口に連なる冷却液の入口側流路と、出口側流路の下流側に設けられた分岐部と、入口側流路の上流側に設けられた合流部と、分岐部と合流部との間に並列に接続された第1流路および第2流路と、第1流路に設けられた燃料電池および第1ポンプと、第2流路に設けられたブレーキ用の抵抗器および第2ポンプと、を備える。第1ポンプと第2ポンプとのそれぞれは、羽根車が回転することで冷却液を送る。
【0006】
この検討例の冷却システムによれば、燃料電池と抵抗器とを合わせたものに対して、1つの放熱器が用いられている。1つの放熱器は、燃料電池から受熱した冷却液の放熱と、抵抗器から受熱した冷却液の放熱とに共用される。このため、冷却システムが、燃料電池用の放熱器と、抵抗器用の放熱器とを別々に備える場合と比較して、冷却システムを小型化することができる。
【0007】
さらに、この検討例の冷却システムによれば、1つの放熱器に対して燃料電池と抵抗器とが並列に接続されている。燃料電池と抵抗器とのそれぞれに対して、冷却液を送るポンプが設けられている。このため、燃料電池を流れる冷却液の流量と、抵抗器を流れる冷却液の流量とを、狙いの流量とすることが容易である。
【0008】
しかし、抵抗器の冷却を行う頻度は、燃料電池の冷却を行う頻度よりも低い。このため、燃料電池の冷却が必要であり、抵抗器の冷却が不要である場合がある。この場合、第1ポンプが作動し、第2ポンプが停止する。これにより、燃料電池から流出した冷却液の一部は、放熱器を流れる。燃料電池から流出した冷却液の他の一部は、第2流路を逆流し、放熱器を流れずに、燃料電池に流入する。この結果、放熱器の放熱能力が、燃料電池の冷却に十分に発揮されないという課題が生じることが、本発明者によって見出された。
【0009】
本発明は上記点に鑑みて、放熱器の放熱能力を燃料電池の冷却に十分に発揮させることができる冷却システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明によれば、
車両に搭載される燃料電池を冷却する冷却システムは、
冷却液が流入するための放熱器入口(11a)および冷却液が流出するための放熱器出口(11b)を有し、冷却液を放熱させる放熱器(11)と、
放熱器出口に連なり、放熱器から流出した冷却液が流れる出口側流路(12)と、
放熱器入口に連なり、放熱器に向かって冷却液が流れる入口側流路(13)と、
出口側流路に設けられ、冷却液が流れる流路を複数の流路に分岐させる分岐部(14)と、
入口側流路に設けられ、複数の流路を1つの流路に合流させる合流部(15)と、
分岐部と合流部との間に並列に接続され、分岐部から合流部に向けて冷却液が流れる、複数の流路としての第1流路(16)および第2流路(17)と、
第1流路に設けられ、冷却液が流入するための燃料電池入口(2a)および冷却液が流出するための燃料電池出口(2b)を有し、冷却液が内部を流れるようになっており、燃料の電気化学反応によって発電する燃料電池(2)と、
第1流路に設けられ、冷却液を送る第1ポンプ(18)と、
第2流路に設けられ、冷却液が流入するための抵抗器入口(3a)および冷却液が流出するための抵抗器出口(3b)を有し、冷却液が内部を流れるようになっており、モータジェネレータに機械的に接続された車輪の回転に対するブレーキ動作によってモータジェネレータが発電した電力を熱エネルギに変換するブレーキ用抵抗器(3)と、
第2流路に設けられ、冷却液を送る第2ポンプ(19)と、
第2流路に設けられ、第2ポンプとは別の機械部品であり、ブレーキ用抵抗器の内部を抵抗器出口から抵抗器入口に向かう方向である逆方向に冷却液が流れることを防止するための逆流防止機構(20)と、を備え、
第1流路には、第1ポンプとは別の機械部品であり、燃料電池の内部を燃料電池出口から燃料電池入口に向かう方向である逆方向に冷却液が流れることを防止するための逆流防止機構が設けられていない。
【0011】
これによれば、ブレーキ用抵抗器側の第2流路に逆流防止機構が設けられる。このため、第2ポンプの停止時であって第1ポンプの作動時に、燃料電池から流出した冷却液の一部が、第2流路を逆流することを防止し、燃料電池から流出した冷却液の全部を放熱器に流すことができる。この結果、放熱器の放熱能力を燃料電池の冷却に十分に発揮させることができる。
【0012】
ところで、抵抗器の冷却が必要であり、燃料電池の冷却が不要であるとき、抵抗器の冷却のために第2ポンプが作動し、第1ポンプが停止することが考えられる。このとき、抵抗器から流出の冷却液の一部が、第1流路を逆流し、放熱器を流れずに、抵抗器に流入すると、放熱器の放熱能力が、抵抗器の冷却に十分に発揮されない。このため、放熱器の放熱能力をブレーキ用抵抗器の冷却に十分に発揮させるという観点より、ブレーキ用抵抗器側の第2流路に加えて、燃料電池側の第1流路に、逆流防止機構を設けることが考えられる。
【0013】
しかし、ブレーキ用抵抗器に必要な放熱量は、燃料電池に必要な放熱量よりも少ない。このため、仮に、抵抗器から流出の冷却液の一部が、第1流路を逆流することで、放熱器の放熱能力が抵抗器の冷却に十分に発揮されなくても、燃料電池の場合と比較して、それほど問題とならない。
【0014】
むしろ、第1流路に逆流防止機構を設けると、燃料電池の冷却のために第1ポンプが作動するときに、逆流防止機構を冷却液が流れることによって、冷却液が第1流路を流れるときの冷却液の圧力損失が増大する。このため、第1流路を流れる冷却液の流量として、逆流防止機構を設けない場合と同じ流量を確保しようとすると、第1流路に設けられた第1ポンプの回転数を大きくする必要がある。これが要因となって、第1ポンプの寿命低下、燃費悪化等の問題が生じる。また、逆流防止機構を設けることによって、冷却システムの構成部品の数が多くなる。冷却システムは、車両に搭載されるため、冷却システムの構成部品は少ない方が良い。
【0015】
そこで、請求項1に記載の発明によれば、燃料電池側の第1流路に逆流防止機構が設けられてない。これにより、第1流路に逆流防止機構を設ける場合と比較して、第1流路を流れる冷却液に生じる圧力損失を減少させることができる。さらに、第1流路と第2流路との両方に逆流防止機構を設ける場合と比較して、冷却システムの構成部品数を少なくすることができる。
【0016】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1実施形態の冷却システムの構成を示す模式図である。
【
図2】比較例1の冷却システムの構成を示す模式図である。
【
図3】比較例2の冷却システムの構成を示す模式図である。
【
図4】第2実施形態の冷却システムの構成を示す模式図である。
【
図5】第2実施形態の制御装置が実行する制御処理のフローチャートである。
【
図6】第3実施形態の冷却システムの構成を示す模式図である。
【
図7】第3実施形態の制御装置が実行する制御処理のフローチャートである。
【
図8】第4実施形態の冷却システムの構成を示す模式図である。
【
図9】第4実施形態の制御装置が実行する制御処理のフローチャートである。
【
図10】第5実施形態の冷却システムの構成を示す模式図である。
【
図11】第5実施形態の制御装置が実行する制御処理のフローチャートである。
【
図12】第6実施形態の冷却システムの構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0019】
(第1実施形態)
図1に示す本実施形態の冷却システム1は、燃料電池車としてのトラック、バス、トレーラ等の燃料電池大型商用車に搭載される。燃料電池車は、燃料電池を搭載した車両である。冷却システム1は、燃料電池大型商用車に搭載される燃料電池2と抵抗器3とを冷却液によって冷却する。
【0020】
燃料電池2は、燃料の電気化学反応によって発電する。燃料電池2として、固体高分子型の燃料電池が用いられる。燃料電池2が発電した電力は、燃料電池車に搭載された図示しないモータジェネレータ(すなわち、電動機)の駆動に使われる。モータジェネレータが駆動することで、モータジェネレータに機械的に接続された車輪が回転し、燃料電池車の推進力が得られる。
【0021】
抵抗器3は、モータジェネレータが発電した電力を熱エネルギに変換するブレーキ用抵抗器である。モータジェネレータは、燃料電池車の減速時に、車輪の回転に対するブレーキ動作によって発電する。バッテリへの充電が可能なとき、モータジェネレータが発電した電力は、バッテリに充電される。一方、バッテリが満充電の状態である等の理由によって、バッテリへの充電が不可能なとき、モータジェネレータが発電した電力は、抵抗器3に供給される。
【0022】
冷却液は、液体の熱交換媒体である。冷却液は、燃料電池2および抵抗器3の冷却時に、液体の状態で使用されるものである。冷却液には、使用時に液体と気体との間で状態変化する冷凍サイクルの冷媒は含まれない。
【0023】
冷却システム1は、冷却液が循環して流れる冷却液回路10を備える。冷却液回路10は、ラジエータ11と、出口側流路12と、入口側流路13と、分岐部14と、合流部15と、第1流路16と、第2流路17と、燃料電池2と、第1ポンプ18と、抵抗器3と、第2ポンプ19と、逆止弁20とを有する。
【0024】
ラジエータ11は、冷却液と空気との熱交換器によって、冷却液を放熱させる放熱器である。ラジエータ11は、冷却液入口11aおよび冷却液出口11bを有する。冷却液入口11aは、ラジエータ11へ冷却液が流入するための放熱器入口である。冷却液出口11bは、ラジエータ11から冷却液が流出するための放熱器出口である。
【0025】
出口側流路12は、ラジエータ11の冷却液出口11bに連なり、冷却液出口11bから流出した冷却液が流れる冷却液の流路である。入口側流路13は、ラジエータ11の冷却液入口11aに連なり、ラジエータ11に向かって冷却液が流れる冷却液の流路である。
【0026】
分岐部14は、出口側流路12の下流側に設けられる。分岐部14は、冷却液が流れる流路を複数の流路に分岐させる。合流部15は、入口側流路13の上流側に設けられる。合流部15は、複数の流路を1つの流路に合流させる。
【0027】
第1流路16および第2流路17は、分岐部14と合流部15との間に並列に接続されている。第1流路16および第2流路17は、分岐部14から合流部15に向けて冷却液が流れる複数の流路である。第1流路16の一端および第2流路17の一端は、分岐部14に連なる。第1流路16の他端および第2流路17の他端は、合流部15に連なる。
【0028】
燃料電池2は、第1流路16の途中に設けられている。燃料電池2は、冷却液入口2aおよび冷却液出口2bを有する。冷却液入口2aは、燃料電池2へ冷却液が流入するための燃料電池入口である。冷却液出口2bは、燃料電池2から冷却液が流出するための燃料電池出口である。燃料電池2の内部を冷却液が流れる。すなわち、燃料電池2は、燃料電池2の内部に形成された図示しない内部流路を有する。燃料電池2の内部流路を、冷却液入口2aから冷却液出口2bに向かって冷却液が流れる。冷却液が燃料電池2の内部流路を流れるときに、冷却液が燃料電池2から受熱する。すなわち、燃料電池2は冷却液へ放熱する。
【0029】
第1ポンプ18は、第1流路16の途中に設けられている。具体的には、第1ポンプ18は、第1流路16のうち分岐部14と燃料電池2との間の位置に設けられている。すなわち、第1ポンプ18は、第1流路16のうち燃料電池2に対して冷却液流れの上流側に設けられている。第1ポンプ18は、図示しないケーシングと、図示しない羽根車とを有する。第1ポンプ18は、ケーシング内で羽根車が回転することで冷却液を送る非容積式の電動ポンプである。
【0030】
抵抗器3は、第2流路17の途中に設けられている。抵抗器3は、冷却液入口3aおよび冷却液出口3bを有する。冷却液入口3aは、抵抗器3へ冷却液が流入するための抵抗器入口である。冷却液出口3bは、抵抗器3から冷却液が流出するための抵抗器出口である。抵抗器3の内部を冷却液が流れる。すなわち、抵抗器3は、抵抗器3の内部に形成された図示しない内部流路を有する。抵抗器3の内部流路を、冷却液入口3aから冷却液出口3bに向かって冷却液が流れる。冷却液が抵抗器3の内部流路を流れるときに、冷却液が抵抗器3から受熱する。すなわち、抵抗器3は冷却液へ放熱する。
【0031】
第2ポンプ19は、第2流路17の途中に設けられている。具体的には、第2ポンプ19は、第2流路17のうち分岐部14と抵抗器3との間の位置に設けられている。すなわち、第2ポンプ19は、第2流路17のうち抵抗器3に対して冷却液流れの上流側に設けられている。第2ポンプ19は、第1ポンプ18と同様に、ケーシング内で羽根車が回転することで冷却液を送る非容積式の電動ポンプである。
【0032】
逆止弁20は、第2流路17の途中に設けられている。逆止弁20は、第2ポンプ19とは別の機械部品であって、第2流路17の冷却液の逆流を防止する逆流防止機構である。第2流路17の冷却液の逆流とは、抵抗器3の内部を冷却液出口3bから冷却液入口3aに向かう方向である逆方向に、冷却液が第2流路17を流れることである。逆止弁20は、第2流路17のうち抵抗器3の冷却液出口3bと合流部15との間の位置に設けられている。逆止弁20が設けられる位置は、これに限られない。逆止弁20は、第2流路17のいずれかの位置であれば、どの位置に設けられてもよい。
【0033】
冷却システム1は、制御装置21を備える。制御装置21は、第1ポンプ18と第2ポンプ19のそれぞれの作動を制御する。
【0034】
具体的には、冷却液による燃料電池2の冷却が必要であり、冷却液による抵抗器3の冷却が不要であるとき、制御装置21は、第1ポンプ18を作動させ、第2ポンプ19を停止させる。これにより、第1ポンプ18から吐出された冷却液は、燃料電池2、ラジエータ11の順に流れた後、第1ポンプ18に吸入される。このとき、冷却液は燃料電池2から受熱し、ラジエータ11で放熱する。これによって、燃料電池2が冷却される。
【0035】
また、冷却液による抵抗器3の冷却が必要であり、冷却液による燃料電池2の冷却が不要であるとき、制御装置21は、第2ポンプ19を作動させ、第1ポンプ18を停止させる。これにより、第2ポンプ19から吐出された冷却液は、抵抗器3、ラジエータ11の順に流れた後、第2ポンプ19に吸入される。このとき、冷却液は抵抗器3から受熱し、ラジエータ11で放熱する。これによって、抵抗器3が冷却される。
【0036】
また、燃料電池2の冷却が必要であり、抵抗器3の冷却が必要であるとき、制御装置21は、第1ポンプ18を作動させ、第2ポンプ19を作動させる。これにより、第1ポンプ18から吐出された冷却液は、燃料電池2を流れる。第2ポンプ19から吐出された冷却液は、抵抗器3を流れる。燃料電池2から流出した冷却液と、抵抗器3から流出した冷却液とは、合流部15で合流し、ラジエータ11に流入する。ラジエータ11から流出した冷却液は、分岐部14で分岐し、第1ポンプ18と第2ポンプ19とのそれぞれに吸入される。これによって、燃料電池2および抵抗器3が冷却される。
【0037】
次に、本実施形態の冷却システム1の効果について説明する。
【0038】
(1)冷却システム1は、ラジエータ11と、出口側流路12と、入口側流路13と、分岐部14と、合流部15と、第1流路16と、第2流路17と、燃料電池2と、第1ポンプ18と、抵抗器3と、第2ポンプ19とを備える。
【0039】
本実施形態と異なり、冷却システムが、燃料電池2から受熱した冷却液を放熱するための燃料電池用のラジエータと、抵抗器3から受熱した冷却液を放熱するための抵抗器用のラジエータとを別々に備える場合、冷却システムが大型化する。
【0040】
これに対して、本実施形態の冷却システムは、燃料電池2と抵抗器3とを合わせたものに対して、1つのラジエータ11を備える。1つのラジエータは、燃料電池2から受熱した冷却液の放熱と、抵抗器3から受熱した冷却液の放熱とに共用される。このため、冷却システムが、燃料電池用のラジエータと、抵抗器用のラジエータとを別々に備える場合と比較して、冷却システム1を小型化することができる。
【0041】
また、本実施形態と異なる冷却システムとして、
図2に示す比較例1の冷却システムが考えられる。比較例1の冷却システムは、1つのラジエータ11に対して燃料電池2と抵抗器3とが並列に接続された冷却液回路10Aを備える。この冷却液回路10Aでは、ラジエータ11と、並列に接続された燃料電池2および抵抗器3との間に、1つのポンプ31のみが接続されている。比較例1の冷却システムでは、燃料電池2を流れる冷却液の流量と、抵抗器3を流れる冷却液の流量とのそれぞれを、狙いの流量とすることが難しい。
【0042】
これに対して、本実施形態の冷却システム1では、燃料電池2と抵抗器3とのそれぞれに対してポンプ18、19が設けられている。このため、燃料電池2を流れる冷却液の流量と、抵抗器3を流れる冷却液の流量とのそれぞれを、狙いの流量とすることが容易である。
【0043】
(2)冷却システム1は、第2流路17に設けられた逆止弁20を備える。第1流路16には、逆止弁が設けられていない。第1流路16には、逆止弁だけでなく、第1ポンプ18とは別の機械部品であって、燃料電池2の内部を冷却液出口2bから冷却液入口2aに向かう方向である逆方向に冷却液が流れることを防止するための逆流防止機構が設けられていない。
【0044】
ここで、本実施形態と異なる冷却システムとして、
図3に示す比較例2の冷却システムが考えられる。比較例2の冷却システムは、本実施形態と同様に、1つのラジエータ11に対して燃料電池2と抵抗器3とが並列に接続され、燃料電池2と抵抗器3とのそれぞれに対してポンプ18、19が設けられた冷却液回路10Bを備える。冷却液回路10Bでは、本実施形態の冷却液回路10と異なり、第2流路17に逆止弁20が設けられていない。
【0045】
抵抗器3の冷却を行う頻度は、燃料電池2の冷却を行う頻度よりも低い。このため、燃料電池2の冷却が必要であり、抵抗器3の冷却が不要である場合がある。この場合、制御装置21は、第1ポンプ18を作動させ、第2ポンプ19を停止させる。これにより、比較例2の冷却システムでは、
図3中の矢印F1のように、燃料電池2から流出した冷却液の一部は、ラジエータ11を流れる。第2ポンプ19は、羽根車を有する非容積式のポンプである。このため、
図3中の矢印F2のように、燃料電池2から流出した冷却液の他の一部は、第2流路17を逆流し、ラジエータ11を流れずに、燃料電池2に流入する。この結果、ラジエータ11の放熱能力が、燃料電池2の冷却に十分に発揮されないという課題が生じることが、本発明者によって見出された。
【0046】
これに対して、本実施形態の冷却システム1によれば、第2流路17に逆止弁20が設けられている。このため、第2ポンプ19の停止時であって第1ポンプ18の作動時に、燃料電池2から流出した冷却液の一部が、第2流路17を逆流することを防止することができる。燃料電池2から流出した冷却液の全部をラジエータ11に流すことができる。この結果、ラジエータ11の放熱能力を燃料電池2の冷却に十分に発揮させることができる。
【0047】
ところで、抵抗器3の冷却が必要であり、燃料電池2の冷却が不要であるとき、抵抗器3の冷却のために第2ポンプ19が作動し、第1ポンプ18が停止する。このとき、抵抗器3から流出の冷却液の一部が、第1流路16を逆流し、ラジエータ11を流れずに、抵抗器3に流入すると、ラジエータ11の放熱能力が、抵抗器3の冷却に十分に発揮されない。このため、ラジエータ11の放熱能力を抵抗器3の冷却に十分に発揮させるという観点より、本実施形態の冷却システム1において、第1流路16に、逆止弁を設けることが考えられる。この逆止弁は、逆方向に冷却液が流れることを防止するための逆流防止機構である。
【0048】
しかし、抵抗器3に必要な放熱量は、燃料電池2に必要な放熱量よりも少ない。このため、仮に、抵抗器3から流出した冷却液の一部が、第1流路16を逆流することで、ラジエータ11の放熱能力が抵抗器3の冷却に十分に発揮されなくても、燃料電池2の場合と比較して、それほど問題とならない。
【0049】
むしろ、第1流路16に逆止弁を設けると、燃料電池2の冷却のために第1ポンプ18が作動するときに、逆止弁を冷却液が流れることによって、冷却液が第1流路16を流れるときの冷却液の圧力損失が増大する。このため、第1流路16を流れる冷却液の流量として、逆止弁を設けない場合と同じ流量を確保しようとすると、第1流路16に設けられた第1ポンプ18の回転数を大きくする必要がある。これが要因となって、第1ポンプ18の寿命低下、燃費悪化等の問題が生じる。また、第1流路16に逆止弁を設けることによって、冷却システムの構成部品の数が多くなる。冷却システムは、車両に搭載されるため、冷却システムの構成部品は少ない方が良い。これらのことは、逆止弁以外の逆流防止機構が第1流路16に設けられる場合においても同様である。
【0050】
そこで、本実施形態の冷却システム1によれば、第1流路16に逆止弁等の逆流防止機構が設けられていない。これにより、第1流路16に逆止弁等の逆流防止機構を設ける場合と比較して、第1流路16を流れる冷却液に生じる圧力損失を減少させることができる。さらに、第1流路16と第2流路17との両方に逆止弁等の逆流防止機構を設ける場合と比較して、冷却システム1の構成部品数を少なくすることができる。
【0051】
(第2実施形態)
図4に示すように、本実施形態は、冷却システム1が流量計22を備える点で、第1実施形態と異なる。さらに、本実施形態は、第2ポンプ19の作動時に、流量計22の計測結果に基づいて、制御装置21が第1ポンプ18の作動を制御する点で、第1実施形態と異なる。冷却システム1の他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0052】
流量計22は、第1流路16を流れる冷却液の流量を計測する。流量計22は、電磁式、超音波式等のいずれの計測形式のものであってもよい。流量計22は、第1流路16のうち燃料電池2と合流部15との間の位置に設けられている。なお、流量計22が設けられる位置は、第1流路16のうち第1ポンプ18と燃料電池2との間の位置であってもよい。また、流量計22が設けられる位置は、第1流路16のうち分岐部14と第1ポンプ18との間の位置であってもよい。
【0053】
流量計22は、制御装置21の入力側に接続されている。制御装置21は、流量計22の計測結果を取得することができる。制御装置21は、第1ポンプ18の回転数を制御する。第1ポンプ18の回転数が、制御装置21に制御されることで、第1ポンプ18の吐出能力が調整される。
【0054】
冷却液による抵抗器3の冷却が必要であり、冷却液による燃料電池2の冷却が不要であるとき、制御装置21は、第2ポンプ19を作動させるとともに、第1ポンプ18を作動させる。このとき、制御装置21は、第2流路17を流れる冷却液の流量が抵抗器3の冷却に必要な流量となるように予め定められた回転数で、第2ポンプ19を作動させる。制御装置21は、燃料電池2の冷却に必要なときに作動する第1ポンプ18の回転数よりも低い回転数で、第1ポンプ18を作動させる。
【0055】
さらに、制御装置21は、冷却液が第1流路16を順方向に流れるように、流量計22の計測結果に基づいて、第1ポンプ18の回転数を制御する。順方向は、燃料電池2の内部を冷却液入口2aから冷却液出口2bに向かう方向である。
【0056】
具体的には、制御装置21は、第2ポンプ19の作動時に、第1ポンプ18を作動させるとともに、
図5に示す制御処理を繰り返し行う。第1ポンプ18の作動開始時では、第1ポンプ18の回転数は、予め定められた回転数とされる。なお、図中に示したステップは、各種機能を実現する機能部に対応するものである。このことは、他の図においても同様である。
【0057】
ステップS1で、制御装置21は、流量計22が計測した、第1流路16を流れる冷却液の流量を取得する。
【0058】
続いて、ステップS2で、制御装置21は、取得した流量を所定値と比較して、取得した流量が所定値よりも小さいか否かを判定する。ここで、第1流路16の冷却液の流れ方向が順方向のとき、流量計22が計測する流量は、0よりも大きな正の値となる。第1流路16の冷却液の流れ方向が逆方向のとき、流量計22が計測する流量は、0よりも小さな負の値となる。このため、第1流路16の冷却液の流れ方が順方向になるように、所定値は、0または正の値に設定される。
【0059】
ステップS2でYES判定のとき、制御装置21は、ステップS3に進み、第1ポンプ18の回転数を増大させる。その後、制御装置21は、
図5に示す制御処理を一旦終了する。その後、制御装置21は、再び、
図5に示す制御処理を行う。一方、ステップS2でNO判定のとき、制御装置21は、
図5に示す制御処理を一旦終了する。その後、制御装置21は、再び、
図5に示す制御処理を行う。
【0060】
本実施形態と異なり、抵抗器3の冷却が必要であり、燃料電池2の冷却が不要であるとき、制御装置21は、抵抗器3の冷却のために第2ポンプ19を作動させ、第1ポンプ18を停止させる。このとき、抵抗器3から流出の冷却液の一部が、第1流路16を逆流する場合がある。
【0061】
冷却液が第1流路16を逆流することは、第1ポンプ18の故障に繋がる。また、燃料電池2の冷却液入口2aと冷却液出口2bとのうち冷却液入口2aのみに、異物の侵入を防ぐためのフィルタが設置されている場合、冷却液が第1流路16を逆流すると、燃料電池2の内部への異物の侵入を防ぐことができない。これらの理由により、冷却液が第1流路16を順方向に流れることが、好ましい。
【0062】
そこで、本実施形態では、ステップS2、S3の説明の通り、制御装置21は、流量計22が計測した流量が所定値よりも小さいとき、第1ポンプ18の回転数を増大させる。このように、制御装置21は、第1流路16を流れる冷却液の流量が所定値を下回らないように、すなわち、第1流路16を流れる冷却液の流量が所定値よりも多くなるように、第1ポンプ18の回転数を制御する。これにより、冷却液を第1流路16の順方向に流すことができる。第1ポンプ18の回転数が、燃料電池2の冷却に必要なときに作動する第1ポンプ18の回転数よりも低い回転数とされることで、燃料電池2の冷却に必要なときの冷却液の流量よりも少ない流量で、冷却液が第1流路16を流れる。
【0063】
なお、ステップS1では、流量計22の計測結果として流量を取得したが、流量計22の計測結果として、流量値に換算される前の流量計22の出力値を取得してもよい。この場合、ステップS2で用いる所定値は、第1流路16を流れる冷却液の流量が0のとき、または、流量が正の値のときの流量計22の出力値に対応する値に設定される。
【0064】
(第3実施形態)
図6に示すように、本実施形態の冷却システム1は、第2実施形態の流量計22に替えて、流速計23を備える。制御装置21は、第2実施形態の
図5に示す制御処理に替えて、
図7に示す制御処理を行う。これら以外は、第2実施形態と同じである。
【0065】
流速計23は、第1流路16を流れる冷却液の流速を計測する。流速計23は、電磁式、レーザドップラー式等のいずれの計測形式のものであってもよい。流速計23は、第1流路16のうち燃料電池2と合流部15との間の位置に設けられている。なお、流速計23が設けられる位置は、第1流路16のうち第1ポンプ18と燃料電池2との間の位置であってもよい。また、流速計23が設けられる位置は、第1流路16のうち分岐部14と第1ポンプ18との間の位置であってもよい。流速計23は、制御装置21の入力側に接続されている。制御装置21は、流速計23の計測結果を取得することができる。
【0066】
制御装置21は、第2ポンプ19の作動時に、第1ポンプ18を作動させるとともに、冷却液が第1流路16を順方向に流れるように、流速計23の計測結果に基づいて、第1ポンプ18の回転数を制御する。具体的には、制御装置21は、第2ポンプ19の作動時に、第1ポンプ18を作動させるとともに、
図7に示す制御処理を繰り返し行う。
【0067】
図7に示すように、ステップS11で、制御装置21は、流速計23が計測した、第1流路16を流れる冷却液の流速を取得する。
【0068】
続いて、ステップS12で、制御装置21は、取得した流速を所定値と比較して、取得した流速が所定値よりも小さいか否かを判定する。ここで、第1流路16の冷却液の流れ方向が順方向のとき、流速計23が計測する流速は、0よりも大きな正の値となる。第1流路16の冷却液の流れ方向が逆方向のとき、流速計23が計測する流速は、0よりも小さな負の値となる。第1流路16に冷却液の流れが無いとき、流速計23が計測する流速は、0となる。このため、第1流路16の冷却液の流れ方が順方向になるように、所定値は、0または正の値に設定される。
【0069】
ステップS12でYES判定のとき、制御装置21は、ステップS13に進み、第1ポンプ18の回転数を増大させる。その後、制御装置21は、
図7に示す制御処理を一旦終了する。その後、制御装置21は、再び、
図7に示す制御処理を行う。一方、ステップS12でNO判定のとき、制御装置21は、
図7に示す制御処理を一旦終了する。その後、制御装置21は、再び、
図7に示す制御処理を行う。
【0070】
ステップS12、S13の説明の通り、制御装置21は、流速計23が計測した流速値が所定値よりも小さいとき、第1ポンプ18の回転数を増大させる。このように、制御装置21は、第1流路16を流れる冷却液の流速が所定値を下回らないように、すなわち、第1流路16を流れる冷却液の流速が所定値よりも大きくなるように、第1ポンプ18の回転数を制御する。これにより、第2実施形態と同じ効果が得られる。
【0071】
(第4実施形態)
図8に示すように、本実施形態の冷却システム1は、第2実施形態の流量計22に替えて、第1圧力センサ24および第2圧力センサ25を備える。制御装置21は、第2実施形態の
図5に示す制御処理に替えて、
図9に示す制御処理を行う。これら以外は、第2実施形態と同じである。
【0072】
第1圧力センサ24および第2圧力センサ25は、第1流路16のうち離れた2箇所の冷却液の圧力を計測する。第1圧力センサ24および第2圧力センサ25は、第1流路16のうち第1ポンプ18の出口よりも冷却液流れの下流側の2箇所に設けられる。具体的には、第1圧力センサ24は、第1流路16のうち第1ポンプ18の出口と燃料電池2の冷却液入口2aとの間の位置に設けられる。第2圧力センサ25は、第1流路16のうち燃料電池2の冷却液出口2bと合流部15との間の位置に設けられる。このように、第2圧力センサ25は、第1圧力センサ24に対して、第1流路16を冷却液が順方向に流れるときの冷却液流れの下流側に離れて配置される。
【0073】
第1圧力センサ24および第2圧力センサ25は、制御装置21の入力側に接続されている。制御装置21は、第1圧力センサ24および第2圧力センサ25の計測結果を取得することができる。
【0074】
制御装置21は、第2ポンプ19の作動時に、第1ポンプ18を作動させるとともに、冷却液が第1流路16を順方向に流れるように、第1圧力センサ24および第2圧力センサ25の計測結果と、第1圧力値と第2圧力値の大小関係と第1流路16の冷却液の流れ方向との関係とに基づいて、第1ポンプ18の回転数を制御する。具体的には、制御装置21は、第2ポンプ19の作動時に、第1ポンプ18を作動させるとともに、
図9に示す制御処理を繰り返し行う。
【0075】
図9に示すように、ステップS21で、制御装置21は、第1圧力センサ24が計測した第1圧力値と、第2圧力センサ25が計測した第2圧力値とを取得する。
【0076】
続いて、ステップS22で、制御装置21は、ステップS21で取得した第1圧力値と第2圧力値とを比較して、第1圧力値が第2圧力値よりも小さいか否かを判定する。ここで、第1流路16の冷却液の流れ方向が順方向のとき、第1圧力値は第2圧力値よりも大きい。第1流路16の冷却液の流れ方向が逆方向のとき、第1圧力値は第2圧力値よりも小さい。これらが、第1圧力値と第2圧力値の大小関係と第1流路16の冷却液の流れ方向との関係である。
【0077】
ステップS22でYES判定のとき、制御装置21は、ステップS23に進み、第1ポンプ18の回転数を増大させる。その後、制御装置21は、
図9に示す制御処理を一旦終了する。その後、制御装置21は、再び、
図9に示す制御処理を行う。一方、ステップS22でNO判定のとき、制御装置21は、
図9に示す制御処理を一旦終了する。その後、制御装置21は、再び、
図9に示す制御処理を行う。
【0078】
ステップS22、S23の説明の通り、制御装置21は、第1圧力値が第2圧力値よりも小さいとき、第1ポンプ18の回転数を増大させる。このように、制御装置21は、第1圧力値が第2圧力値よりも大きくなるように、第1ポンプ18の回転数を制御する。これにより、第2実施形態と同じ効果が得られる。
【0079】
なお、第1圧力センサ24および第2圧力センサ25が設けられる位置は、第1流路16のうち第1ポンプ18の出口よりも冷却液流れの下流側の2箇所であれば、他の位置であってもよい。また、第1圧力センサ24および第2圧力センサ25が設けられる位置は、第1流路16のうち第1ポンプ18の入口よりも冷却液流れの上流側の2箇所であれば、どの位置であってもよい。
【0080】
(第5実施形態)
図10に示すように、本実施形態の冷却システム1は、第2実施形態の流量計22に替えて、差圧センサ26を備える。制御装置21は、第2実施形態の
図5に示す制御処理に替えて、
図11に示す制御処理を行う。これら以外は、第2実施形態と同じである。
【0081】
差圧センサ26は、第1流路16のうち離れた2箇所の冷却液の圧力の差、すなわち、差圧を計測する。差圧センサ26は、第1流路16のうち燃料電池2の冷却液出口2bと合流部15との間の位置に設けられている。なお、流量計22が設けられる位置は、第1流路16であれば、他の位置に設けられてもよい。
【0082】
差圧センサ26は、制御装置21の入力側に接続されている。制御装置21は、差圧センサ26の計測結果を取得することができる。制御装置21は、第2ポンプ19の作動時に、第1ポンプ18を作動させるとともに、冷却液が第1流路16を順方向に流れるように、差圧センサ26の計測結果と、差圧の大きさと第1流路16の冷却液の流れ方向との関係とに基づいて、第1ポンプ18の回転数を制御する。具体的には、制御装置21は、第2ポンプ19の作動時に、第1ポンプ18を作動させるとともに、
図11に示す制御処理を繰り返し行う。
【0083】
図11に示すように、ステップS31で、制御装置21は、差圧センサ26が計測した差圧値を取得する。
【0084】
続いて、ステップS32で、制御装置21は、ステップS21で取得した差圧値と所定値とを比較して、差圧値が所定値よりも小さいか否かを判定する。ここで、第1流路16の冷却液の流れ方向が順方向のとき、差圧センサ26が計測する差圧値は、0よりも大きな正の値となる。第1流路16の冷却液の流れ方向が逆方向のとき、差圧センサ26が計測する差圧値は、0よりも小さな負の値となる。これらが、差圧の大きさと第1流路16の冷却液の流れ方向との関係である。このため、第1流路16の冷却液の流れ方が順方向になるように、所定値は、0または正の値に設定される。
【0085】
ステップS32でYES判定のとき、制御装置21は、ステップS33に進み、第1ポンプ18の回転数を増大させる。その後、制御装置21は、
図11に示す制御処理を一旦終了する。その後、制御装置21は、再び、
図11に示す制御処理を行う。一方、ステップS22でNO判定のとき、制御装置21は、
図11に示す制御処理を一旦終了する。その後、制御装置21は、再び、
図11に示す制御処理を行う。
【0086】
ステップS32、S33の説明の通り、制御装置21は、差圧センサ26が計測した差圧値が所定値よりも小さいとき、第1ポンプ18の回転数を増大させる。このように、制御装置21は、第1流路16を流れる冷却液の差圧値が所定値を下回らないように、すなわち、第1流路16を流れる冷却液の差圧値が所定値よりも大きくなるように、第1ポンプ18の回転数を制御する。これにより、第2実施形態と同じ効果が得られる。
【0087】
(第6実施形態)
図12に示すように、本実施形態は、冷却システム1がインタクーラ4と、バイパス流路27と、分配バルブ28とを備える点で、第1実施形態と異なる。冷却システム1の他の構成は、第1実施形態と同じである。
【0088】
インタクーラ4は、図示しない空気用ポンプから燃料電池2に圧送される空気を、冷却液によって冷却する。空気用ポンプによって圧送される空気は、圧縮されて昇温する。インタクーラ4は、第1流路16のうち第1ポンプ18と合流部15との間に、燃料電池2と並列に接続されている。
【0089】
より具体的には、第1流路16は、第1ポンプ18と合流部15との間に、並列に配置された第3流路161および第4流路162を含む。燃料電池2は、第3流路161の途中に配置されている。インタクーラ4は、第4流路162の途中に配置されている。
【0090】
バイパス流路27は、燃料電池2から流出した冷却液を、ラジエータ11を迂回させて流す冷却液の流路である。バイパス流路27の一端側は、入口側流路13の途中に接続されている。バイパス流路27の他端側は、出口側流路12の途中に接続されている。
【0091】
分配バルブ28は、燃料電池2から流出した冷却液をラジエータ11とバイパス流路27とに分配して流すとともに、ラジエータ11を流れる冷却液の流量と、バイパス流路27を流れる冷却液の流量とを調整するバルブである。分配バルブ28は、バイパス流路27の一端側と入口側流路13との接続部に設けられている。
【0092】
分配バルブ28は、制御装置21の出力側に電気的に接続されている。制御装置21は、燃料電池2の温度調整のために、分配バルブ28の作動を制御する。分配バルブ28の作動が制御されることによって、ラジエータ11を流れる冷却液の流量と、バイパス流路27を流れる冷却液の流量とが調整される。燃料電池2の温度が適切な温度に調整される。
【0093】
本実施形態によっても、第1実施形態と共通の構成によって、第1実施形態と同じ効果が得られる。また、本実施形態に対して、第2~第5実施形態の適用が可能である。これによって、第2~第5実施形態と同じ効果が得られる。
【0094】
(他の実施形態)
(1)上記した各実施形態では、逆流防止機構として、逆止弁20が用いられている。しかしながら、これに限られず、逆流防止機構として、開閉バルブが用いられてもよい。この場合、第2ポンプ19の停止時に、開閉バルブは閉じた状態になる。これにより、第2ポンプ19の停止時であって第1ポンプ18の作動時に、第2流路17の冷却液の逆流が防止される。
【0095】
(2)上記した各実施形態では、放熱器として、冷却液と空気とを熱交換させるラジエータ11が用いられている。しかしながら、これに限られず、放熱器として、冷却液と冷凍サイクルの冷媒とを熱交換させる熱交換器が用いられてもよい。
【0096】
(3)上記した各実施形態では、第1ポンプ18は、第1流路16のうち燃料電池2に対して冷却液流れの上流側に設けられている。しかしながら、第1ポンプ18は、第1流路16のうち燃料電池2に対して冷却液流れの下流側に設けられてもよい。同様に、第2ポンプ19は、第2流路17のうち抵抗器3に対して冷却液流れの下流側に設けられてもよい。
【0097】
(4)上記した各実施形態の冷却システムは、燃料電池2を搭載した大型商用車に搭載される。しかしながら、各実施形態の冷却システムは、燃料電池2を搭載した乗用車に搭載されてもよい。また、各実施形態の冷却システムは、乗用車、商用車に限らず、車輪がついていて陸上を走行する他の車両に搭載されてもよい。他の車両としては、鉄道車両、荷役運搬の用途に用いられる産業車両、建設の用途に用いられる建設車両、農業の用途に用いられる農業車両等が挙げられる。また、燃料電池2が発電した電力は、車両に搭載されたモータジェネレータの駆動以外に使われてもよい。
【0098】
(5)本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能であり、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0099】
(6)本開示に記載の制御装置及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御装置及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御装置及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0100】
11 ラジエータ
12 出口側流路
13 入口側流路
14 分岐部
15 合流部
16 第1流路
17 第2流路
18 第1ポンプ
19 第2ポンプ
20 逆止弁