IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社豊田自動織機の特許一覧

<>
  • 特許-車両用熱マネジメントシステム 図1
  • 特許-車両用熱マネジメントシステム 図2
  • 特許-車両用熱マネジメントシステム 図3
  • 特許-車両用熱マネジメントシステム 図4
  • 特許-車両用熱マネジメントシステム 図5
  • 特許-車両用熱マネジメントシステム 図6
  • 特許-車両用熱マネジメントシステム 図7
  • 特許-車両用熱マネジメントシステム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】車両用熱マネジメントシステム
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/22 20060101AFI20240925BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20240925BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240925BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240925BHJP
   H01M 10/663 20140101ALI20240925BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20240925BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20240925BHJP
   H01M 10/633 20140101ALI20240925BHJP
【FI】
B60H1/22 651C
B60H1/22 671
B60H1/22 651A
F25B1/00 399Y
F25B1/00 397E
F25B1/00 101J
H01M10/613
H01M10/625
H01M10/663
H01M10/6568
H01M10/6556
H01M10/633
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021114772
(22)【出願日】2021-07-12
(65)【公開番号】P2023011133
(43)【公開日】2023-01-24
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】榎島 史修
(72)【発明者】
【氏名】深沼 哲彦
(72)【発明者】
【氏名】横井 佑樹
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-525899(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/22
F25B 1/00
H01M 10/613
H01M 10/625
H01M 10/663
H01M 10/6568
H01M 10/6556
H01M 10/633
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1冷媒を圧縮して前記第1冷媒を回路内で循環させる第1圧縮機と、第1膨張弁と、前記第1冷媒と車室内に供給される室内空気とを熱交換させる内気冷却器とを有し、前記車室内を空調する第1冷媒回路と、
冷却水を回路内で循環させるウォーターポンプと、前記冷却水と外気とを熱交換させるラジエータとを有し、車載電気部品を冷却する冷却水回路と、
第2冷媒を圧縮して前記第2冷媒を回路内で循環させる第2圧縮機と、前記第2冷媒と前記外気とを熱交換させる第2冷媒/外気熱交換器と、第2膨張弁とを有し、車載電池の温度を調節する第2冷媒回路と、
前記第1冷媒回路及び前記冷却水回路に連結され、前記第1冷媒と前記冷却水とを熱交換させる第1冷媒/冷却水熱交換器と、
前記第2冷媒回路及び前記冷却水回路に連結され、前記第2冷媒と前記冷却水とを熱交換させる第2冷媒/冷却水熱交換器と、
前記第1冷媒回路、前記冷却水回路及び前記第2冷媒回路の作動を制御する制御部と、を備え、
前記第1冷媒回路、前記冷却水回路及び前記第2冷媒回路は、前記制御部の制御により、前記車室内を冷房するとともに前記冷却水を冷却する車室内冷房冷却水冷却モードで作動し、
前記車室内冷房冷却水冷却モードにおける前記第1冷媒回路では、前記第1圧縮機で圧縮された前記第1冷媒が前記第1冷媒回路の凝縮器として機能する前記第1冷媒/冷却水熱交換器にて前記冷却水に放熱し、放熱後に前記第1膨張弁で減圧された前記第1冷媒が前記第1冷媒回路の蒸発器として機能する前記内気冷却器にて前記室内空気から吸熱し、
前記車室内冷房冷却水冷却モードにおける前記冷却水回路では、回路内を循環する前記冷却水が、前記第1冷媒/冷却水熱交換器にて前記第1冷媒から吸熱し、かつ、前記ラジエータにて前記外気に放熱するとともに前記第2冷媒/冷却水熱交換器にて前記第2冷媒に放熱し、
前記車室内冷房冷却水冷却モードにおける前記第2冷媒回路では、前記第2圧縮機で圧縮された前記第2冷媒が前記第2冷媒回路の凝縮器として機能する前記第2冷媒/外気熱交換器にて前記外気に放熱し、放熱後に前記第2膨張弁で減圧された前記第2冷媒が前記第2冷媒回路の蒸発器として機能する前記第2冷媒/冷却水熱交換器にて前記冷却水から吸熱することを特徴とする車両用熱マネジメントシステム。
【請求項2】
前記制御部は、前記冷却水の温度が所定範囲を超えたときに前記車室内冷房冷却水冷却モードを実行し、前記冷却水の温度が前記所定範囲内にあれば前記車室内冷房冷却水冷却モードを実行しない請求項1記載の車両用熱マネジメントシステム。
【請求項3】
前記第1冷媒回路は、前記第1冷媒と前記室内空気とを熱交換させる第1冷媒/内気熱交換器と、第3膨張弁とを有し、
前記第2冷媒回路は、前記第2冷媒と前記車載電池とを熱交換させる電池熱交換器と、第4膨張弁とを有し、
前記制御部は、
前記第1冷媒/内気熱交換器にて前記第1冷媒と前記室内空気とを熱交換させるとともに、前記第3膨張弁にて前記第1冷媒を膨張させる第1通常モードと、前記第1冷媒/内気熱交換器にて前記第1冷媒と前記室内空気との熱交換を停止させるとともに、前記第3膨張弁での膨張を停止させた状態にて前記第1冷媒を循環させる第1停止モードとを切り替え可能であり、かつ、
前記内気冷却器にて前記第1冷媒と前記室内空気とを熱交換させるとともに、前記第1膨張弁にて前記第1冷媒を膨張させる第2通常モードと、前記内気冷却器にて前記第1冷媒と前記室内空気との熱交換を停止させるとともに、前記第1膨張弁での膨張を停止させた状態にて前記第1冷媒を循環させる第2停止モードとを切り替え可能であり、かつ、
前記電池熱交換器にて前記第2冷媒と前記車載電池とを熱交換させるとともに、前記第4膨張弁にて前記第2冷媒を膨張させる第3通常モードと、前記電池熱交換器にて前記第2冷媒と前記車載電池との熱交換を停止させるとともに、前記第4膨張弁での膨張を停止させた状態にて前記第2冷媒を循環させる第3停止モードとを切り替え可能であり、かつ、
前記第2冷媒/冷却水熱交換器にて前記第2冷媒と前記冷却水とを熱交換させるとともに、前記第2膨張弁にて前記第2冷媒を膨張させる第4通常モードと、前記第2冷媒/冷却水熱交換器にて前記第2冷媒と前記冷却水との熱交換を停止させるとともに、前記第2膨張弁での膨張を停止させた状態にて前記第2冷媒を循環させる第4停止モードとを切り替え可能であり、
前記制御部は、前記車室内冷房冷却水冷却モードで、前記第1停止モード、前記第2通常モード、前記第3停止モード及び前記第4通常モードにて運転するように制御する請求項1又は2記載の車両用熱マネジメントシステム。
【請求項4】
前記第2冷媒回路は、前記制御部の制御により、前記車載電池を冷却する電池冷却モードで作動し、
前記制御部は、前記電池冷却モードで、前記第3通常モード及び前記第4停止モードにて運転するように制御し、
前記電池冷却モードにおける前記第2冷媒回路では、前記第2圧縮機で圧縮された前記第2冷媒が前記第2冷媒回路の凝縮器として機能する前記第2冷媒/外気熱交換器にて前記外気に放熱し、放熱後に前記第4膨張弁で減圧された前記第2冷媒が前記第2冷媒回路の蒸発器として機能する前記電池熱交換器にて前記車載電池から吸熱する請求項3記載の車両用熱マネジメントシステム。
【請求項5】
前記第1冷媒回路及び前記冷却水回路は、前記制御部の制御により、前記車室内を暖房する車室内暖房モードで作動し、
前記制御部は、前記車室内暖房モードで、前記第1通常モード及び前記第2停止モードにて運転するように制御し、
前記車室内暖房モードにおける前記第1冷媒回路では、前記第1圧縮機で圧縮された前記第1冷媒が前記第1冷媒回路の凝縮器として機能する前記第1冷媒/内気熱交換器にて前記室内空気に放熱し、放熱後に前記第3膨張弁で減圧された前記第1冷媒が前記第1冷媒回路の蒸発器として機能する前記第1冷媒/冷却水熱交換器にて前記冷却水から吸熱し、
前記車室内暖房モードにおける前記冷却水回路では、回路内を循環する前記冷却水が、前記車載電気部品から吸熱すること及び/又は前記ラジエータにて外気から吸熱することとし、かつ、前記第1冷媒/冷却水熱交換器にて前記第1冷媒に放熱する請求項3又は4記載の車両用熱マネジメントシステム。
【請求項6】
前記第2冷媒回路は、前記第2冷媒の循環方向を逆転させる方向切替部を有し、
前記第2冷媒回路は、前記制御部の制御により、前記車載電池を暖機する電池暖機モードで作動し、
前記制御部は、前記電池暖機モードで、前記第3通常モード及び前記第4停止モードにて運転するように制御し、かつ、前記第2冷媒回路において、前記第2圧縮機で圧縮された前記第2冷媒が前記電池熱交換器に向かうように前記方向切替部により前記第2冷媒の循環方向を制御し、
前記電池暖機モードにおける前記第2冷媒回路では、前記第2圧縮機で圧縮された前記第2冷媒が前記第2冷媒回路の凝縮器として機能する前記電池熱交換器にて前記車載電池に放熱し、放熱後に前記第4膨張弁で減圧された前記第2冷媒が前記第2冷媒回路の蒸発器として機能する前記第2冷媒/外気熱交換器にて前記外気から吸熱する請求項3乃至5のいずれか1項記載の車両用熱マネジメントシステム。
【請求項7】
前記第1冷媒回路は、前記第1冷媒/内気熱交換器及び前記第3膨張弁をバイパスする第1冷媒/内気熱交換器バイパスと、前記第1冷媒を前記第1冷媒/内気熱交換器及び前記第3膨張弁側に流すか、前記第1冷媒/内気熱交換器バイパス側に流すかを切り替える第1冷媒/内気熱交換器バイパス切替部とを有し、
前記制御部は、
前記第1通常モードにて、前記第1冷媒/内気熱交換器バイパス切替部により前記第1冷媒を前記第1冷媒/内気熱交換器及び前記第3膨張弁側に流し、かつ、
前記第1停止モードにて、前記第1冷媒/内気熱交換器機バイパス切替部により前記第1冷媒を前記第1冷媒/内気熱交換器バイパス側に流す請求項3乃至6のいずれか1項記載の車両用熱マネジメントシステム。
【請求項8】
前記第1冷媒回路は、前記内気冷却器及び前記第1膨張弁をバイパスする内気冷却器バイパスと、前記第1冷媒を前記内気冷却器及び前記第1膨張弁側に流すか、前記内気冷却器バイパス側に流すかを切り替える内気冷却器バイパス切替部とを有し、
前記制御部は、
前記第2通常モードにて、前記内気冷却器バイパス切替部により前記第1冷媒を前記内気冷却器及び前記第1膨張弁側に流し、かつ、
前記第2停止モードにて、前記内気冷却器バイパス切替部により前記第1冷媒を前記内気冷却器バイパス側に流す請求項3乃至7のいずれか1項記載の車両用熱マネジメントシステム。
【請求項9】
前記第2冷媒回路は、前記電池熱交換器及び前記第4膨張弁をバイパスする電池熱交換器バイパスと、前記第2冷媒を前記電池熱交換器及び前記第4膨張弁側に流すか、前記電池熱交換器バイパス側に流すかを切り替える電池熱交換器バイパス切替部とを有し、
前記制御部は、
前記第3通常モードにて、前記電池熱交換器バイパス切替部により前記第2冷媒を前記電池熱交換器及び前記第4膨張弁側に流し、かつ、
前記第3停止モードにて、前記電池熱交換器バイパス切替部により前記第2冷媒を前記電池熱交換器バイパス側に流す請求項3乃至8のいずれか1項記載の車両用熱マネジメントシステム。
【請求項10】
前記第2冷媒回路は、前記第2冷媒/冷却水熱交換器及び前記第2膨張弁をバイパスする第2冷媒/冷却水熱交換器バイパスと、前記第2冷媒を前記第2冷媒/冷却水熱交換器及び前記第2膨張弁側に流すか、前記第2冷媒/冷却水熱交換器バイパス側に流すかを切り替える第2冷媒/冷却水熱交換器バイパス切替部とを有し、
前記制御部は、
前記第4通常モードにて、前記第2冷媒/冷却水熱交換器バイパス切替部により前記第2冷媒を前記第2冷媒/冷却水熱交換器及び前記第2膨張弁側に流し、かつ、
前記第4停止モードにて、前記第2冷媒/冷却水熱交換器バイパス切替部により前記第2冷媒を前記第2冷媒/冷却水熱交換器バイパス側に流す請求項3乃至9のいずれか1項に記載の車両用熱マネジメントシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用熱マネジメントシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車(EV、Electric Vehicle)やプラグインハイブリッド自動車(PHV、Plug-in Hybrid Vehicle)等、主に電力で走行する車両には、走行用モータへの供給電力を蓄える蓄電装置として、リチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池等が搭載されている。
【0003】
電池は充放電時に発熱し、高温状態が継続すると劣化が促進する。走行用モータやCPU(Control Power Unit)等の電気部品も高速走行時等に過度に高温になると損傷や作動不良の懸念がある。このため、電気自動車等には、一般に、電池や電気部品を冷却する冷却水回路等の冷却システムが搭載されている。
【0004】
他方、車室内の暖房に内燃機関の燃焼排熱を利用できない電気自動車等においては、車室内の暖房に、PTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータやヒートポンプ回路を利用している。
【0005】
しかし、車載電池をエネルギー源とするPTCヒータを用いた暖房では、エネルギー消費効率が相対的に低く、航続距離が短くなるという課題がある。また、ヒートポンプ回路を用いた暖房では、車載電池に加えて空気熱もエネルギー源とするため、エネルギー消費効率はPTCヒータを用いた暖房に比べて高いものの、寒冷地などで外気温が低い時に十分に暖房できないという課題がある。
【0006】
特許文献1には、電気自動車等に適用して好適な従来の車両用熱マネジメントシステムが開示されている。この車両用熱マネジメントシステムでは、ヒートポンプ回路で車室内を空調するとともに、冷却水回路で電池や電気部品を冷却している。そして、冷媒/冷却水熱交換器によってヒートポンプ回路と冷却水回路とを連結し、この冷媒/冷却水熱交換器をヒートポンプ回路の暖房モードにおける蒸発器として機能させている。
【0007】
これにより、車室内の暖房時に、電池や電気部品を冷却水で冷却しつつ、冷媒/冷却水熱交換器にて、電池や電気部品を冷却して高温になった冷却水からヒートポンプ回路の冷媒に放熱させている。こうして電池や電気部品の排熱を熱源に有効利用して車室内を暖房することで、車室内の暖房と電池や電気部品の冷却とを効率的に行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2010-111269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年、地球環境の改善の観点から、自動車業界においては電気自動車等の電池搭載車両が注目され、その普及率も高まっている。このため、電池搭載車両において電池や電気部品の冷却と車室内の空調とを適切に行えるシステムに関しても新規な開発が求められている。
【0010】
特に、夏季の暑い時は冷却水回路の冷却水が高温になりやすく、例えばラジエータによる冷却水の放熱だけでは冷却水温度を十分に低下させることができず、車載電気部品を適切に冷却できない場合がある。
【0011】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、電池搭載車両において車載電池の冷却と車室内空調とを適切に行うことができ、しかも外気温が高い時でも車室内を冷房しつつ冷却水温度を低下させて車載電気部品を適切に冷却することのできる車両用熱マネジメントシステムを提供することを解決すべき技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の車両用熱マネジメントシステムは、
第1冷媒を圧縮して前記第1冷媒を回路内で循環させる第1圧縮機と、第1膨張弁と、前記第1冷媒と車室内に供給される室内空気とを熱交換させる内気冷却器とを有し、前記車室内を空調する第1冷媒回路と、
冷却水を回路内で循環させるウォーターポンプと、前記冷却水と外気とを熱交換させるラジエータとを有し、車載電気部品を冷却する冷却水回路と、
第2冷媒を圧縮して前記第2冷媒を回路内で循環させる第2圧縮機と、前記第2冷媒と前記外気とを熱交換させる第2冷媒/外気熱交換器と、第2膨張弁とを有し、車載電池の温度を調節する第2冷媒回路と、
前記第1冷媒回路及び前記冷却水回路に連結され、前記第1冷媒と前記冷却水とを熱交換させる第1冷媒/冷却水熱交換器と、
前記第2冷媒回路及び前記冷却水回路に連結され、前記第2冷媒と前記冷却水とを熱交換させる第2冷媒/冷却水熱交換器と、
前記第1冷媒回路、前記冷却水回路及び前記第2冷媒回路の作動を制御する制御部と、を備え、
前記第1冷媒回路、前記冷却水回路及び前記第2冷媒回路は、前記制御部の制御により、前記車室内を冷房するとともに前記冷却水を冷却する車室内冷房冷却水冷却モードで作動し、
前記車室内冷房冷却水冷却モードにおける前記第1冷媒回路では、前記第1圧縮機で圧縮された前記第1冷媒が前記第1冷媒回路の凝縮器として機能する前記第1冷媒/冷却水熱交換器にて前記冷却水に放熱し、放熱後に前記第1膨張弁で減圧された前記第1冷媒が前記第1冷媒回路の蒸発器として機能する前記内気冷却器にて前記室内空気から吸熱し、
前記車室内冷房冷却水冷却モードにおける前記冷却水回路では、回路内を循環する前記冷却水が、前記第1冷媒/冷却水熱交換器にて前記第1冷媒から吸熱し、かつ、前記ラジエータにて前記外気に放熱するとともに前記第2冷媒/冷却水熱交換器にて前記第2冷媒に放熱し、
前記車室内冷房冷却水冷却モードにおける前記第2冷媒回路では、前記第2圧縮機で圧縮された前記第2冷媒が前記第2冷媒回路の凝縮器として機能する前記第2冷媒/外気熱交換器にて前記外気に放熱し、放熱後に前記第2膨張弁で減圧された前記第2冷媒が前記第2冷媒回路の蒸発器として機能する前記第2冷媒/冷却水熱交換器にて前記冷却水から吸熱することを特徴とする。
【0013】
この車両用熱マネジメントシステムでは、制御部の制御により、第1冷媒回路、冷却水回路及び第2冷媒回路が車室内冷房冷却水冷却モードで作動する。車室内冷房冷却水冷却モードでは、車室内を空調する第1冷媒回路が車室内を冷房するように作動するとともに、車載電池の温度を調節する第2冷媒回路が冷却水回路の冷却水を冷却するように作動する。
【0014】
車室内冷房冷却水冷却モードにおける第2冷媒回路では、第2冷媒が、蒸発器として機能する第2冷媒/冷却水熱交換器にて冷却水回路の冷却水から吸熱して、冷却水を冷却する。吸熱後の第2冷媒は、第2圧縮機で圧縮されて高温になり、凝縮器として機能する第2冷媒/外気熱交換器にて外気に放熱する。放熱後の第2冷媒は、第2膨張弁で減圧されて、第2冷媒/冷却水熱交換器に導入される。
【0015】
車室内冷房冷却水冷却モードにおける冷却水回路では、回路内を循環する冷却水が、第1冷媒/冷却水熱交換器にて第1冷媒から吸熱するとともに車載電気部品から吸熱し、かつ、ラジエータにて外気に放熱するとともに第2冷媒/冷却水熱交換器にて第2冷媒に放熱する。ラジエータにて外気に放熱するとともに第2冷媒/冷却水熱交換器にて第2冷媒に放熱して冷却された冷却水により、車載電気部品を適切に冷却することができる。
【0016】
車室内冷房冷却水冷却モードにおける第1冷媒回路では、第1冷媒が、蒸発器として機能する内気冷却器にて室内空気から吸熱して、車室内を冷房する。吸熱後の第1冷媒は、第1圧縮機で圧縮されて高温になり、凝縮器として機能する第1冷媒/冷却水熱交換器にて冷却水回路の冷却水に放熱する。放熱後の第1冷媒は、第1膨張弁で減圧されて、内気冷却器に導入される。
【0017】
こうして車室内冷房冷却水冷却モードでは、第1冷媒回路で車室内を冷房しつつ、第2冷媒回路で冷却水回路の冷却水を冷却することができる。このため、夏季の暑い時でも車室内を冷房しつつ、第2冷媒回路による冷却能力に応じて冷却水回路の冷却水を冷却して冷却水温度を低下させることができ、車載電気部品を適切に冷却することができる。
【0018】
他方、この車両用熱マネジメントシステムは、第2冷媒回路を循環する第2冷媒によって、第2冷媒回路の冷却能力に応じて車載電池を冷却することができるので、車載電池の適切な冷却が可能になる。
【0019】
したがって、この車両用熱マネジメントシステムによれば、電池搭載車両において車載電池の冷却と車室内空調とを適切に行うことができ、しかも外気温が高い時でも車室内を冷房しつつ冷却水温度を低下させて車載電気部品を適切に冷却することができる。
【0020】
制御部は、冷却水の温度が所定範囲を超えたときに車室内冷房冷却水冷却モードを実行し、冷却水の温度が所定範囲内にあれば車室内冷房冷却水冷却モードを実行しないことが好ましい。
【0021】
この場合、冷却水の温度が所定範囲内にあれば第2冷媒回路の第2圧縮機が作動しないため、第2圧縮機の消費電力を省略することができる。この場合、冷却水回路における冷却水の冷却はラジエータのみで行えばよい。
【0022】
第1冷媒回路は、前記第1冷媒と前記室内空気とを熱交換させる第1冷媒/内気熱交換器と、第3膨張弁とを有することが好ましく、第2冷媒回路は、第2冷媒と車載電池とを熱交換させる電池熱交換器と、第4膨張弁とを有することが好ましい。
【0023】
制御部は、第1冷媒/内気熱交換器にて第1冷媒と室内空気とを熱交換させるとともに、第3膨張弁にて第1冷媒を膨張させる第1通常モードと、第1冷媒/内気熱交換器にて第1冷媒と室内空気との熱交換を停止させるとともに、第3膨張弁での膨張を停止させた状態にて第1冷媒を循環させる第1停止モードとを切り替え可能であることが好ましい。
【0024】
制御部は、内気冷却器にて第1冷媒と室内空気とを熱交換させるとともに、第1膨張弁にて第1冷媒を膨張させる第2通常モードと、内気冷却器にて第1冷媒と室内空気との熱交換を停止させるとともに、第1膨張弁での膨張を停止させた状態にて第1冷媒を循環させる第2停止モードとを切り替え可能であることが好ましい。
【0025】
制御部は、電池熱交換器にて第2冷媒と車載電池とを熱交換させるとともに、第4膨張弁にて第2冷媒を膨張させる第3通常モードと、電池熱交換器にて第2冷媒と車載電池との熱交換を停止させるとともに、第4膨張弁での膨張を停止させた状態にて第2冷媒を循環させる第3停止モードとを切り替え可能であることが好ましい。
【0026】
制御部は、第2冷媒/冷却水熱交換器にて第2冷媒と冷却水とを熱交換させるとともに、第2膨張弁にて第2冷媒を膨張させる第4通常モードと、第2冷媒/冷却水熱交換器にて第2冷媒と冷却水との熱交換を停止させるとともに、第2膨張弁での膨張を停止させた状態にて第2冷媒を循環させる第4停止モードとを切り替え可能であることが好ましい。
【0027】
制御部は、車室内冷房冷却水冷却モードで、第1停止モード、第2通常モード、第3停止モード及び第4通常モードにて運転するように制御することが好ましい。
【0028】
第1冷媒/内気熱交換器及び第3膨張弁を有する第1冷媒回路において、車室内冷房冷却水冷却モードで、第1冷媒/内気熱交換器にて第1冷媒と室内空気との熱交換を停止させるとともに第3膨張弁での膨張を停止させた状態にて第1冷媒を循環させる第1停止モードで運転され、かつ、内気冷却器にて第1冷媒と室内空気とを熱交換させるとともに第1膨張弁にて第1冷媒を膨張させる第2通常モードで運転されることにより、第1冷媒回路を循環する第1冷媒は、凝縮器として機能する第1冷媒/冷却水熱交換器にて冷却水に放熱するとともに、蒸発器として機能する内気冷却器にて室内空気から吸熱して、車室内を冷房することができる。
【0029】
電池熱交換器及び第4膨張弁を有する第2冷媒回路において、車室内冷房冷却水冷却モードで、電池熱交換器にて第2冷媒と車載電池との熱交換を停止させるとともに第4膨張弁での膨張を停止させた状態にて第2冷媒を循環させる第3停止モードで運転され、かつ、第2冷媒/冷却水熱交換器にて第2冷媒と冷却水とを熱交換させるとともに第2膨張弁にて第2冷媒を膨張させる第4通常モードで運転されることにより、第2冷媒回路を循環する第2冷媒は、凝縮器として機能する第2冷媒/外気熱交換器にて外気に放熱するとともに、蒸発器として機能する第2冷媒/冷却水熱交換器にて冷却水から吸熱して、冷却水を冷却することができる。
【0030】
こうして、第1冷媒回路において第1停止モード及び第2通常モードで運転され、かつ、第2冷媒回路において第3停止モード及び第4通常モードで運転されることにより、第1冷媒回路、冷却水回路及び第2冷媒回路が車室内冷房冷却水冷却モードで作動し、車室内を冷房しつつ、冷却水回路の冷却水を効果的に冷却することができる。
【0031】
第2冷媒回路は、制御部の制御により、車載電池を冷却する電池冷却モードで作動することが好ましい。
【0032】
制御部は、電池冷却モードで、第3通常モード及び第4停止モードにて運転するように制御することが好ましい。
【0033】
電池冷却モードにおける第2冷媒回路では、第2圧縮機で圧縮された第2冷媒が第2冷媒回路の凝縮器として機能する第2冷媒/外気熱交換器にて外気に放熱し、放熱後に第4膨張弁で減圧された第2冷媒が第2冷媒回路の蒸発器として機能する電池熱交換器にて車載電池から吸熱することが好ましい。
【0034】
第2冷媒回路において、電池熱交換器にて第2冷媒と車載電池とを熱交換させるとともに第4膨張弁にて第2冷媒を膨張させる第3通常モードで運転され、かつ、第2冷媒/冷却水熱交換器にて第2冷媒と冷却水との熱交換を停止させるとともに第2膨張弁での膨張を停止させた状態にて第2冷媒を循環させる第4停止モードで運転されることにより、第2冷媒回路を循環する第2冷媒は、凝縮器として機能する第2冷媒/外気熱交換器にて外気に放熱するとともに、蒸発器として機能する電池熱交換器にて車載電池から吸熱して、車載電池を冷却することができる。
【0035】
第1冷媒回路及び冷却水回路は、制御部の制御により、車室内を暖房する車室内暖房モードで作動することが好ましい。
【0036】
制御部は、車室内暖房モードで、第1通常モード及び第2停止モードにて運転するように制御することが好ましい。
【0037】
車室内暖房モードにおける第1冷媒回路では、第1圧縮機で圧縮された第1冷媒が第1冷媒回路の凝縮器として機能する第1冷媒/内気熱交換器にて室内空気に放熱し、放熱後に第3膨張弁で減圧された第1冷媒が第1冷媒回路の蒸発器として機能する第1冷媒/冷却水熱交換器にて冷却水から吸熱することが好ましい。
【0038】
車室内暖房モードにおける冷却水回路では、回路内を循環する冷却水が、車載電気部品から吸熱し、かつ、第1冷媒/冷却水熱交換器にて第1冷媒に放熱することが好ましい。外気の温度が冷却水の温度より高い場合は、車載電気部品から吸熱するとともにラジエータにて外気から吸熱したり、あるいは車載電気部品から吸熱する代わりにラジエータにて外気から吸熱したりしてもよい。
【0039】
車室内暖房モードでは、冷却水回路で車載電気部品から吸熱した車載電気部品の排熱を熱源として、第1冷媒回路で第1冷媒を効果的に加熱することができるので、第1冷媒回路によって車室内を効果的に暖房することができる。また、ラジエータにて外気から吸熱した空気熱により冷却水が過度に低温になることを抑えることができる。
【0040】
第2冷媒回路は、第2冷媒の循環方向を逆転させる方向切替部を有することが好ましい。
【0041】
第2冷媒回路は、制御部の制御により、車載電池を暖機する電池暖機モードで作動することが好ましい。
【0042】
制御部は、電池暖機モードで、第3通常モード及び第4停止モードにて運転するように制御し、かつ、第2冷媒回路において、第2圧縮機で圧縮された第2冷媒が電池熱交換器に向かうように方向切替部により第2冷媒の循環方向を制御することが好ましい。
【0043】
電池暖機モードにおける第2冷媒回路では、第2圧縮機で圧縮された第2冷媒が第2冷媒回路の凝縮器として機能する電池熱交換器にて車載電池に放熱し、放熱後に第4膨張弁で減圧された第2冷媒が第2冷媒回路の蒸発器として機能する第2冷媒/外気熱交換器にて外気から吸熱することが好ましい。
【0044】
第2冷媒回路において、第2圧縮機で圧縮された第2冷媒が電池熱交換器に向かうように方向切替部により第2冷媒の循環方向が制御されるとともに、電池熱交換器にて第2冷媒と電池とを熱交換させるとともに第4膨張弁にて第2冷媒を膨張させる第3通常モードで運転され、かつ、第2冷媒/冷却水熱交換器にて第2冷媒と冷却水との熱交換を停止させるとともに第2膨張弁での膨張を停止させた状態にて第2冷媒を循環させる第4停止モードで運転されることにより、第2冷媒回路を循環する第2冷媒は、蒸発器として機能する第2冷媒/外気熱交換器にて外気から吸熱するとともに、凝縮器として機能する電池熱交換器にて車載電池に放熱して、車載電池を暖機することができる。
【0045】
第1冷媒回路は、第1冷媒/内気熱交換器及び第3膨張弁をバイパスする第1冷媒/内気熱交換器バイパスと、第1冷媒を第1冷媒/内気熱交換器及び第3膨張弁側に流すか、第1冷媒/内気熱交換器バイパス側に流すかを切り替える第1冷媒/内気熱交換器バイパス切替部とを有することが好ましい。
【0046】
制御部は、第1通常モードにて、第1冷媒/内気熱交換器バイパス切替部により第1冷媒を第1冷媒/内気熱交換器及び第3膨張弁側に流し、かつ、第1停止モードにて、第1冷媒/内気熱交換器機バイパス切替部により第1冷媒を第1冷媒/内気熱交換器バイパス側に流すことが好ましい。
【0047】
第1冷媒/内気熱交換器バイパス及び第1冷媒/内気熱交換器バイパス切替部を有する第1冷媒回路において、第1通常モードにて第1冷媒/内気熱交換器バイパス切替部により第1冷媒を第1冷媒/内気熱交換器及び第3膨張弁側に流すことにより、車室内暖房モードにおいて第1冷媒/内気熱交換器を第1冷媒が室内空気に放熱する凝縮器として機能させることができ、かつ、第1停止モードにて第1冷媒/内気熱交換器機バイパス切替部により第1冷媒を第1冷媒/内気熱交換器バイパス側に流すことにより、車室内冷房冷却水冷却モードにおいて第1冷媒/内気熱交換器の機能を停止させることができる。
【0048】
第1冷媒回路は、内気冷却器及び第1膨張弁をバイパスする内気冷却器バイパスと、第1冷媒を内気冷却器及び第1膨張弁側に流すか、内気冷却器バイパス側に流すかを切り替える内気冷却器バイパス切替部とを有することが好ましい。
【0049】
制御部は、第2通常モードにて、内気冷却器バイパス切替部により第1冷媒を内気冷却器及び第1膨張弁側に流し、かつ、第2停止モードにて、内気冷却器バイパス切替部により第1冷媒を内気冷却器バイパス側に流すことが好ましい。
【0050】
内気冷却器バイパス及び内気冷却器バイパス切替部を有する第1冷媒回路において、第2通常モードにて内気冷却器バイパス切替部により第1冷媒を内気冷却器及び第1膨張弁側に流すことにより、車室内冷房冷却水冷却モードにおいて内気冷却器を第1冷媒が室内空気から吸熱する蒸発器として機能させることができ、かつ、第2停止モードにて内気冷却器バイパス切替部により第1冷媒を内気冷却器バイパス側に流すことにより、車室内暖房モードにおいて内気冷却器の機能を停止させることができる。
【0051】
第2冷媒回路は、電池熱交換器及び第4膨張弁をバイパスする電池熱交換器バイパスと、第2冷媒を電池熱交換器及び第4膨張弁側に流すか、電池熱交換器バイパス側に流すかを切り替える電池熱交換器バイパス切替部とを有することが好ましい。
【0052】
制御部は、第3通常モードにて、電池熱交換器バイパス切替部により第2冷媒を電池熱交換器及び第4膨張弁側に流し、かつ、第3停止モードにて、電池熱交換器バイパス切替部により第2冷媒を電池熱交換器バイパス側に流すことが好ましい。
【0053】
電池熱交換器バイパス及び電池熱交換器バイパス切替部を有する第2冷媒回路において、第3通常モードにて、電池熱交換器バイパス切替部により第2冷媒を電池熱交換器及び第4膨張弁側に流すことにより、電池冷却モードにおいて電池熱交換器を第2冷媒が車載電池から吸熱する蒸発器として機能させるとともに電池暖機モードにおいて電池熱交換器を第2冷媒が車載電池に放熱する凝縮器として機能させることができ、かつ、第3停止モードにて電池熱交換器バイパス切替部により第2冷媒を電池熱交換器バイパス側に流すことにより、車室内冷房冷却水冷却モードにおいて電池熱交換器の機能を停止させることができる。
【0054】
第2冷媒回路は、第2冷媒/冷却水熱交換器及び第2膨張弁をバイパスする第2冷媒/冷却水熱交換器バイパスと、第2冷媒を第2冷媒/冷却水熱交換器及び第2膨張弁側に流すか、第2冷媒/冷却水熱交換器バイパス側に流すかを切り替える第2冷媒/冷却水熱交換器バイパス切替部とを有することが好ましい。
【0055】
制御部は、第4通常モードにて、第2冷媒/冷却水熱交換器バイパス切替部により第2冷媒を第2冷媒/冷却水熱交換器及び第2膨張弁側に流し、かつ、第4停止モードにて、前2冷媒/冷却水熱交換器バイパス切替部により第2冷媒を第2冷媒/冷却水熱交換器バイパス側に流すことが好ましい。
【0056】
第2冷媒/冷却水熱交換器バイパス及び第2冷媒/冷却水熱交換器バイパス切替部を有する第2冷媒回路において、第4通常モードにて第2冷媒/冷却水熱交換器バイパス切替部により第2冷媒を第2冷媒/冷却水熱交換器及び第2膨張弁側に流すことにより、車室内冷房冷却水冷却モードにおいて第2冷媒/冷却水熱交換器を第2冷媒が冷却水から吸熱する蒸発器として機能させることができ、かつ、第4停止モードにて第2冷媒/冷却水熱交換器バイパス切替部により第2冷媒を第2冷媒/冷却水熱交換器バイパス側に流すことにより、電池冷却モード及び電池暖機モードにおいて第2冷媒/冷却水熱交換器の機能を停止させることができる。
【発明の効果】
【0057】
本発明の車両用熱マネジメントシステムによれば、電池搭載車両において車載電池の冷却と車室内空調とを適切に行うことができ、しかも外気温が高い時でも車室内を冷房しつつ冷却水温度を低下させて車載電気部品を適切に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1図1は、実施例の車両用熱マネジメントシステムの全体構成を模式的に示すシステム構成図である。
図2図2は、実施例の車両用熱マネジメントシステムに係り、車室内冷房冷却水冷却モードを説明するシステム構成図である。
図3図3は、実施例の車両用熱マネジメントシステムに係り、車室内冷房モードを説明するシステム構成図である。
図4図4は、実施例の車両用熱マネジメントシステムに係り、車室内暖房モードを説明するシステム構成図である。
図5図5は、実施例の車両用熱マネジメントシステムに係り、電池冷却モードを説明するシステム構成図である。
図6図6は、実施例の車両用熱マネジメントシステムに係り、電池暖機モードを説明するシステム構成図である。
図7図7は、実施例の車両用熱マネジメントシステムに係り、車室内冷房電池冷却モードを説明するシステム構成図である。
図8図8は、実施例の車両用熱マネジメントシステムに係り、車室内暖房電池冷却モードを説明するシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0059】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。実施例の車両用熱マネジメントシステムは、電動モータから走行用の駆動力を得る電池搭載車両に搭載される。電池搭載車両としては、例えば、電気自動車やプラグインハイブリッド自動車を挙げることができる。実施例の車両用熱マネジメントシステムは、車室内の空調を行うとともに、車載電池の温度調節及び車載電気部品の冷却を行う。
【0060】
(実施例)
この車両用熱マネジメントシステムは、図1に全体構成を模式的に示すように、第1冷媒回路1と、冷却水回路2と、第2冷媒回路3と、第1冷媒/冷却水熱交換器4と、第2冷媒/冷却水熱交換器5と、制御部6とを備えている。
【0061】
第1冷媒/冷却水熱交換器4は、第1冷媒回路1及び冷却水回路2の双方に組み込まれて、第1冷媒回路1と冷却水回路2とを連結している。第2冷媒/冷却水熱交換器5は、冷却水回路2及び第2冷媒回路3の双方に組み込まれて、冷却水回路2と第2冷媒回路3とを連結している。
【0062】
第1冷媒回路1は、回路内を循環する第1冷媒R1と車室内へ送られる室内空気との熱交換により、車室内の空調を行う。また、第1冷媒回路1は、回路内を循環する第1冷媒R1と冷却水回路2の冷却水Lとの熱交換により、冷却水Lから吸熱して冷却水Lを冷却したり、冷却水Lに放熱して冷却水Lを加熱したりする。
【0063】
第1冷媒回路1は、室内空気を冷却して車室内を冷房するとともに冷却水Lに放熱する冷房冷却水加熱回路と、室内空気を加熱して車室内を暖房するとともに冷却水Lから吸熱する車室内暖房冷却水冷却回路とに切り替え可能に構成されている。室内空気を冷却して車室内を冷房することには、車室内を除湿することも含まれる。
【0064】
第1冷媒回路1は、第1冷媒管路1aと、第1冷媒/内気熱交換器バイパスとしての第1冷媒/内気熱交換器バイパス管路1bと、内気冷却器バイパスとしての内気冷却器バイパス管路1cとを有している。
【0065】
第1冷媒回路1は、第1圧縮機10と、第1三方弁11と、第1冷媒/内気熱交換器12と、第3膨張弁13と、第2三方弁14と、第1膨張弁15と、内気冷却器16とを備えており、第1冷媒管路1aにこの順で配置されている。第1冷媒/冷却水熱交換器4は、第3膨張弁13と第2三方弁14との間に組み込まれている。
【0066】
第1圧縮機10及び後述する第2圧縮機30は、制御部6から出力される制御信号によって、冷媒吐出能力が制御される電動圧縮機である。第1圧縮機10は、第1冷媒R1を圧縮して第1冷媒回路1内を循環させる。第1冷媒回路1における第1冷媒R1の循環方向は図1の反時計回り方向である。すなわち、第1圧縮機10で圧縮された第1冷媒R1は第1三方弁11に向かう。
【0067】
第1冷媒/内気熱交換器バイパス管路1bの一端は第1三方弁11に接続され、第1冷媒/内気熱交換器バイパス管路1bの他端は第3膨張弁13と第1冷媒/冷却水熱交換器4との間に位置する第1冷媒管路1aの第1接続部1dに接続されている。第1冷媒/内気熱交換器バイパス管路1bは、第1冷媒/内気熱交換器12及び第3膨張弁13をバイパスする。内気冷却器バイパス管路1cの一端は第2三方弁14に接続され、内気冷却器バイパス管路1cの他端は内気冷却器16と第1圧縮機10との間に位置する第1冷媒管路1aの第2接続部1eに接続されている。内気冷却器バイパス管路1cは、内気冷却器16及び第1膨張弁15をバイパスする。
【0068】
第1三方弁11及び第2三方弁14、並びに後述する第3三方弁33、第4三方弁35、第5三方弁36及び第6三方弁39は、制御部6からの制御信号に応じて冷媒が流れる管路を切り替える電動三方弁である。
【0069】
第1三方弁11は、第1冷媒R1を第1冷媒/内気熱交換器12及び第3膨張弁13側に流すか、第1冷媒/内気熱交換器バイパス管路1b側に流すかを切り替える第1冷媒/内気熱交換器バイパス切替部である。第2三方弁14は、第1冷媒R1を内気冷却器16及び第1膨張弁15側に流すか、内気冷却器バイパス管路1c側に流すかを切り替える内気冷却器バイパス切替部である。
【0070】
第1冷媒回路1においては、第1冷媒/内気熱交換器12及び内気冷却器16にて、図示しない送風ファンによって車室内に送られる室内空気と第1冷媒R1とが熱交換される。第1冷媒/内気熱交換器12が第1冷媒回路1の凝縮器として機能するときは、第1冷媒/内気熱交換器12にて第1冷媒R1が室内空気に放熱する。第1冷媒R1との熱交換によって加熱された室内空気は、図示しない送風ファンによって車室内に送られて車室内の暖房に供される。第1冷媒R1が第1冷媒/内気熱交換器バイパス管路1bを通るときは、第1冷媒/内気熱交換器12の機能は停止する。内気冷却器16が第1冷媒回路1の蒸発器として機能するときは、内気冷却器16にて第1冷媒R1が室内空気から吸熱する。第1冷媒R1との熱交換によって冷却された室内空気は、図示しない送風ファンによって車室内に送られて車室内の冷房に供される。第1冷媒R1が内気冷却器バイパス管路1cを通るときは、内気冷却器16の機能は停止する。
【0071】
冷却水回路2は、回路内を循環する冷却水Lと車載電気部品との熱交換により、車載電気部品の冷却を行う。冷却水回路2は、回路内を循環する冷却水Lと外気との熱交換により、外気から吸熱して冷却水を加熱したり、外気に放熱して冷却水を冷却したりする。冷却水回路2は、回路内を循環する冷却水Lと外気との熱交換が制御されることにより、冷却水Lから外気への放熱や外気から冷却水Lへの吸熱が制御される。冷却水回路2は、冷却水Lが外気に放熱する放熱回路と、冷却水Lが外気への放熱を行わない非放熱回路とに切替可能に構成されている。なお、非放熱回路には、冷却水Lが外気への放熱を行わず、外気から冷却水Lへの吸熱を行うことが含まれる。
【0072】
冷却水回路2は、冷却水管路2aを有している。冷却水回路2は、回路内を冷却水Lが循環して車載電気部品の冷却を行う。車載電気部品としては、車両駆動用の走行用モータやPCU等を挙げることができる。
【0073】
冷却水回路2は、ウォーターポンプ20と、電気部品21と、ラジエータ22とを備えており、冷却水管路2aにこの順で配置されている。冷却水管路2aは車載電気部品に内蔵又は隣接された冷却用流路に接続されており、電気部品21において車載電気部品の冷却用流路を冷却水Lが流通して、車載電気部品を冷却する。
【0074】
冷却水回路2において、第1冷媒/冷却水熱交換器4は電気部品21とラジエータ22との間に組み込まれており、第2冷媒/冷却水熱交換器5はラジエータ22とウォーターポンプ20との間に組み込まれている。冷却水回路2における冷却水Lの循環方向は図1の反時計回り方向である。すなわち、ウォーターポンプ20で圧送された冷却水Lは電気部品21に向かい、第1冷媒/冷却水熱交換器4を経てラジエータ22に至る。なお、本明細書における冷却水とは、所謂クーラント(LLC:Long Life Coolant)を含む。
【0075】
ラジエータ22の近傍には、ラジエータ22に外気を送風する冷却ファン23が設けられている。冷却水回路2においては、ラジエータ22にて、冷却ファン23によって送られる外気と冷却水Lとが熱交換される。冷却ファン23が停止していれば、冷却水Lが実質的に外気と熱交換することはない。冷却水回路2は、冷却ファン23の作動時や車両の走行時に冷却水Lが外気に放熱する放熱回路となり、冷却ファン23の停止時や車両の停止時に冷却水Lが実質的に外気と熱交換することがない非放熱回路となる。
【0076】
第2冷媒回路3は、回路内を循環する第2冷媒R2と車載電池との熱交換により、車載電池の温度調節を行う。また、第2冷媒回路3は、回路内を循環する第2冷媒R2と冷却水回路2の冷却水Lとの熱交換により、冷却水Lから吸熱して冷却水Lを冷却する。第2冷媒回路3は、車載電池の温度調節を行わずに冷却水Lを冷却する冷却水冷却回路と、外気から吸熱するとともに車載電池を暖機する電池暖機回路と、外気に放熱するとともに車載電池を冷却する電池冷却回路とに切り替え可能に構成されている。
【0077】
第2冷媒回路3は、第2冷媒管路3aと、電池熱交換器バイパス管路3bと、第2冷媒/冷却水熱交換器バイパス管路3cとを有している。
【0078】
第2冷媒回路3は、第2圧縮機30と、四方弁31と、第2冷媒/外気熱交換器32と、第3三方弁33と、第2膨張弁34と、第4三方弁35と、第5三方弁36と、第4膨張弁37と、電池熱交換器38と、第6三方弁39とを備えており、第2冷媒管路3aにこの順で配置されている。第2冷媒/冷却水熱交換器5は、第2膨張弁34と第4三方弁35との間に組み込まれている。
【0079】
第2圧縮機30は、第2冷媒R2を圧縮して第2冷媒回路3内を循環させる。第2冷媒回路3における第2冷媒R2の循環方向は四方弁31によって逆転され、図1において時計回り方向及び反時計回り方向に第2冷媒R2が循環する。
【0080】
四方弁31は、制御部6からの制御信号に応じて第1状態と第2状態とを切り替える電動四方弁であり、第2冷媒R2が第2冷媒管路3内を循環する方向を逆転させる方向切替部である。
【0081】
第1状態の四方弁31は、第2圧縮機30の吸入側を電池熱交換器38側に接続するとともに、第2圧縮機30の吐出側を第2冷媒/外気熱交換器32側に接続する。四方弁31が第1状態にあれば、第2冷媒回路3内の第2冷媒R2の循環方向は図1において時計回り方向になり、第2圧縮機30で圧縮された第2冷媒R2は第2冷媒/外気熱交換器32側に向かう。第2状態の四方弁31は、第2圧縮機30の吸入側を第2冷媒/外気熱交換器32側に接続するとともに、第2圧縮機30の吐出側を電池熱交換器38側に接続する。四方弁31が第2状態にあれば、第2冷媒回路3内の第2冷媒R2の循環方向は図1において反時計回り方向になり、第2圧縮機30で圧縮された第2冷媒R2は電池熱交換器38側に向かう。
【0082】
電池熱交換器バイパス管路3bの一端は第5三方弁36に接続され、電池熱交換器バイパス管路3bの他端は第6三方弁39に接続されている。電池熱交換器バイパス管路3bは、電池熱交換器38及び第4膨張弁37をバイパスする電池熱交換器バイパスである。第2冷媒/冷却水熱交換器バイパス管路3cの一端は第3三方弁33に接続され、第2冷媒/冷却水熱交換器バイパス管路3cの他端は第4三方弁35に接続されている。第2冷媒/冷却水熱交換器バイパス管路3cは、第2冷媒/冷却水熱交換器5及び第2膨張弁34をバイパスする第2冷媒/冷却水熱交換器バイパスである。
【0083】
第5三方弁36及び第6三方弁39は、第2冷媒R2を電池熱交換器38及び第4膨張弁37側に流すか、電池熱交換器バイパス管路3b側に流すかを切り替える電池熱交換器バイパスである。第3三方弁33及び第4三方弁35は、第2冷媒R2を第2冷媒/冷却水熱交換器5及び第2膨張弁34側に流すか、第2冷媒/冷却水熱交換器バイパス管路3c側に流すかを切り替える第2冷媒/冷却水熱交換器バイパス切替部である。
【0084】
第2冷媒回路3においては、電池熱交換器38にて第2冷媒R2と車載電池とが熱交換される。電池熱交換器38が第2冷媒回路3の蒸発器として機能するときは、電池熱交換器38にて第2冷媒R2が車載電池から吸熱して車載電池を冷却する。電池熱交換器38が第2冷媒回路3の凝縮器として機能するときは、電池熱交換器38にて第2冷媒R2が車載電池に放熱して車載電池を暖機する。第2冷媒R2が電池熱交換器バイパス管路3bを通るときは、電池熱交換器33の機能が停止する。
【0085】
第2冷媒管路3aは車載電池に内蔵または隣接された温調用流路に接続されており、電池熱交換器38において車載電池の温調用流路を第2冷媒R2が流通し、車載電池の温度調節を行う。
【0086】
第2冷媒回路3においては、第2冷媒/外気熱交換器32にて、図示しない送風ファンによって外部に送られる外気と第2冷媒R2とが熱交換される。第2冷媒/外気熱交換器32が第2冷媒回路3の蒸発器として機能するときは、第2冷媒/外気熱交換器32にて第2冷媒R2が外気から吸熱する。第2冷媒/外気熱交換器32が第2冷媒回路3の凝縮器として機能するときは、第2冷媒/外気熱交換器32にて第2冷媒R2が外気に放熱する。
【0087】
第1冷媒/冷却水熱交換器4では、第1冷媒回路1を循環する第1冷媒R1と、冷却水回路2を循環する冷却水Lとが熱交換する。第1冷媒/冷却水熱交換器4が第1冷媒回路1の凝縮器として機能するときは、第1冷媒/冷却水熱交換器4にて第1冷媒R1が冷却水Lに放熱する。第1冷媒/冷却水熱交換器4が第1冷媒回路1の蒸発器として機能するときは、第1冷媒/冷却水熱交換器4にて第1冷媒R1が冷却水Lから吸熱する。
【0088】
第2冷媒/冷却水熱交換器5では、第2冷媒回路3を循環する第2冷媒R2と、冷却水回路2を循環する冷却水Lとが熱交換する。第2冷媒/冷却水熱交換器5が第2冷媒回路3の蒸発器として機能するときは、第2冷媒/冷却水熱交換器5にて第2冷媒R2が冷却水Lから吸熱する。第2冷媒R2が第2冷媒/冷却水熱交換器バイパス管路3cを通るときは、第2冷媒/冷却水熱交換器5の機能は停止する。
【0089】
制御部6は、電子制御装置よりなり、第1冷媒回路1、冷却水回路2及び第2冷媒回路3の作動を制御する。
【0090】
制御部6は、第1冷媒回路1において、第1圧縮機10、第1三方弁11、第2三方弁14及び図示しない送風ファンの作動を制御する。制御部6は、冷却水回路2において、ウォーターポンプ20及び冷却ファン23の作動を制御する。制御部6は、第2冷媒回路3において、第2圧縮機30、四方弁31、第3三方弁33、第4三方弁35、第5三方弁36、第6三方弁39及び図示しない送風ファンの作動を制御する。
【0091】
第1冷媒回路1は、制御部6の制御により、第1通常モードと第1停止モードとに切り替わる。第1通常モードでは、制御部6による第1三方弁11の制御により、第1冷媒R1が第1冷媒/内気熱交換器12及び第3膨張弁13側を流れる。第1停止モードでは、制御部6による第1三方弁11の制御により、第1冷媒R1が第1冷媒/内気熱交換器バイパス管路1b側を流れる。
【0092】
第1冷媒回路1は、制御部6の制御により、第2通常モードと第2停止モードとに切り替わる。第2通常モードでは、制御部6による第2三方弁14の制御により、第1冷媒R1が内気冷却器16及び第1膨張弁15側を流れる。第2停止モードでは、制御部6による第2三方弁14の制御により、第1冷媒R1が内気冷却器バイパス管路1c側を流れる。
【0093】
第2冷媒回路3は、制御部6の制御により、第3通常モードと第3停止モードとに切り替わる。第3通常モードでは、制御部6による第5三方弁36及び第6三方弁39の制御により、第2冷媒R2が電池熱交換器38及び第4膨張弁37側を流れる。第3停止モードでは、制御部6による第5三方弁36及び第6三方弁39の制御により、第2冷媒R2が電池熱交換器バイパス管路3b側を流れる。
【0094】
第2冷媒回路3は、制御部6の制御により、第4通常モードと第4停止モードとに切り替わる。第4通常モードでは、制御部6による第3三方弁33及び第4三方弁35の制御により、第2冷媒R2が第2冷媒/冷却水熱交換器5及び第2膨張弁34側を流れる。第4停止モードでは、制御部6による第3三方弁33及び第4三方弁35の制御により、第2冷媒R2が第2冷媒/冷却水熱交換器バイパス管路3c側を流れる。
【0095】
上記構成を有する本実施例の車両用熱マネジメントシステムの作動について、以下説明する。
(車室内冷房冷却水冷却モード)
第1冷媒回路1、冷却水回路2及び第2冷媒回路3は、制御部6の制御により、図2にシステム構成図を示す車室内冷房冷却水冷却モードで作動する。車室内冷房冷却水冷却モードでは、車室内を空調する第1冷媒回路1が車室内を冷房するように作動するとともに、車載電池の温度を調節する第2冷媒回路3が冷却水回路2の冷却水Lを冷却するように作動する。
【0096】
車室内冷房冷却水冷却モードでは、第1停止モード、第2通常モード、第3停止モード及び第4通常モードにて運転される。
【0097】
車室内冷房冷却水冷却モードにおける第2冷媒回路3は、冷却水冷却回路をなし、車載電池の温度調節を行わずに冷却水回路2の冷却水Lを冷却する。車室内冷房冷却水冷却モードにおける第2冷媒回路3では、四方弁31の制御により、第2冷媒R2の循環方向が図2の時計回り方向とされ、第2圧縮機30で圧縮された第2冷媒R2は第2冷媒/外気熱交換器32側に向かう。また、車室内冷房冷却水冷却モードにおける第2冷媒回路3は、第3停止モード及び第4通常モードにて運転する。
【0098】
車室内冷房冷却水冷却モードにおいて第3停止モード及び第4通常モードにて運転する第2冷媒回路3では、第2圧縮機30で圧縮された第2冷媒R2が、四方弁31を介して第2冷媒/外気熱交換器32に導入される。第2冷媒/外気熱交換器32は第2冷媒回路3の凝縮器として機能し、第2冷媒/外気熱交換器32にて第2冷媒R2が外気に放熱する。放熱後の第2冷媒R2は第2膨張弁34で減圧されて第2冷媒/冷却水熱交換器5に導入される。第2冷媒/冷却水熱交換器5は第2冷媒回路3の蒸発器として機能し、第2冷媒/冷却水熱交換器5にて第2冷媒R2が冷却水回路2の冷却水Lから吸熱して、冷却水Lを冷却する。吸熱後の第2冷媒R2は電池熱交換器バイパス管路3bを通り、四方弁31を介して第2圧縮機30に導入される。
【0099】
車室内冷房冷却水冷却モードにおける第1冷媒回路1は、冷房冷却水加熱回路をなし、室内空気を冷却して車室内を冷房するとともに、冷却水回路2の冷却水Lに放熱する。車室内冷房冷却水冷却モードにおける第1冷媒回路1は、第1停止モード及び第2通常モードにて運転する。
【0100】
車室内冷房冷却水冷却モードにおいて第1停止モード及び第2通常モードにて運転する第1冷媒回路1では、第1圧縮機10で圧縮された第1冷媒R1が第1冷媒/内気熱交換器バイパス管路1bを通って第1冷媒/冷却水熱交換器4に導入される。第1冷媒/冷却水熱交換器4は第1冷媒回路1の凝縮器として機能し、第1冷媒/冷却水熱交換器4にて第1冷媒R1が冷却水回路2の冷却水Lに放熱する。放熱後の第1冷媒R1は第1膨張弁15で減圧されて内気冷却器16に導入される。内気冷却器16は第1冷媒回路1の蒸発器として機能し、内気冷却器16にて第1冷媒R1が室内空気から吸熱して、車室内を冷房する。吸熱後の第1冷媒R1は第1圧縮機10に導入される。
【0101】
車室内冷房冷却水冷却モードにおける冷却水回路2は、冷却ファン23が作動する放熱回路をなし、ラジエータ22にて冷却水Lが外気に放熱する。
【0102】
車室内冷房冷却水冷却モードにける冷却水回路2では、ウォーターポンプ20で圧送された冷却水Lが、電気部品21から吸熱するとともに第1冷媒/冷却水熱交換器4にて第1冷媒回路1の第1冷媒R1から吸熱する。吸熱後の冷却水Lはラジエータ22にて外気に放熱するとともに第2冷媒/冷却水熱交換器5にて第2冷却回路3の第2冷媒R2に放熱する。ラジエータ22にて外気に放熱するとともに第2冷媒/冷却水熱交換器5にて第2冷媒R2に放熱して冷却された冷却水Lにより、電気部品21を適切に冷却することができる。
【0103】
車室内冷房冷却水冷却モードにおける冷却水回路2では、第1冷媒/冷却水熱交換器4にて第1冷媒R1から吸熱するとともに電気部品21から吸熱し、かつ、ラジエータ22にて外気に放熱した冷却水Lが、第2冷媒/冷却水熱交換器5にて第2冷媒R2に放熱して第2冷媒回路3の冷却能力に応じて冷却されることで、冷却水Lの温度が適切に冷却される。この車室内冷房冷却水冷却モードにおける冷却水Lの温度は0~40℃の範囲とすることが好ましい。
【0104】
制御部6は、冷却水回路2の冷却水Lの温度が所定範囲(例えば、0~40℃の範囲)を超えたときに車室内冷房冷却水冷却モードを実行し、冷却水Lの温度が所定範囲内にあれば車室内冷房冷却水冷却モードを実行しないことが好ましい。第2冷媒回路3の第2圧縮機30を作動させないことにより、第2圧縮機30の消費電力を省略することができる。この場合、冷却水回路2における冷却水Lの冷却はラジエータ22のみで行えばよい。
【0105】
こうして車室内冷房冷却水冷却モードでは、第1冷媒回路1で車室内を冷房しつつ、第2冷媒回路3で冷却水回路2の冷却水Lを冷却することができる。このため、夏季の暑い時でも車室内を冷房しつつ、第2冷媒回路3による冷却能力に応じて冷却水回路2の冷却水Lを冷却することができ、電気部品21を適切に冷却することができる。
【0106】
他方、この車両用熱マネジメントシステムは、後述するように第2冷媒回路3を電池冷却モードで作動させることにより、第2冷媒回路3の冷却能力に応じて車載電池を冷却することができるので、車載電池の適切な冷却が可能になる。
【0107】
したがって、この車両用熱マネジメントシステムによれば、電池搭載車両において車載電池の冷却と車室内空調とを適切に行うことができ、しかも外気温が高い時でも車室内を冷房しつつ冷却水温度を低下させて電気部品21を適切に冷却することができる。
【0108】
(車室内冷房モード)
第1冷媒回路1及び冷却水回路2は、制御部6の制御により、図3にシステム構成図を示す車室内冷房モードで作動する。車室内冷房モードでは、第1停止モード及び第2通常モードにて運転される。
【0109】
車室内冷房モードにおける第1冷媒回路1は、車室内冷房冷却水冷却モードと同様、冷房冷却水加熱回路をなし、第1停止モード及び第2通常モードにて運転する。第1冷媒回路1を循環する第1冷媒R1は、第1冷媒/冷却水熱交換器4にて冷却水回路2の冷却水Lに放熱し、かつ、内気冷却器16にて室内空気から吸熱して車室内を冷房する。
【0110】
車室内冷房モードにおける冷却水回路2は、車室内冷房冷却水冷却モードと同様、冷却ファン23が作動する放熱回路をなす。冷却水回路2を循環する冷却水Lは、電気部品21から吸熱するとともに第1冷媒/冷却水熱交換器4にて第1冷媒R1から吸熱し、かつ、ラジエータ22にて外気に放熱する。ラジエータ22での外気への放熱により、冷却水回路2の冷却水Lが過度に高温になることを抑えることができる。
【0111】
冷却水Lは第2冷媒/冷却水熱交換器5を通過するが、第2冷媒回路3において第2圧縮機30が作動しておらず第2冷媒R2が第2冷媒回路3を循環していないか、あるいは第2圧縮機30が作動していても第2冷媒R2が第2冷媒/冷却水熱交換器バイパス管路3cを通っており第2冷媒/冷却水熱交換器5の機能が停止していれば、第2冷媒/冷却水熱交換器5にて冷却水Lが第2冷媒回路3の第2冷媒R2に対して実質的に放熱も吸熱もしない。このことは、後述する車室内暖房モード、車室内冷房電池冷却モード及び車室内暖房電池冷却モードにおいても同様である。
【0112】
こうして車室内冷房モードでは、冷却水回路2にて冷却水Lから外気に放熱しつつ、第1冷媒回路1で第1冷媒回路1の冷却能力に応じて車室内を効果的に冷房することができる。
【0113】
(車室内暖房モード)
第1冷媒回路1及び冷却水回路2は、制御部6の制御により、図4にシステム構成図を示す車室内暖房モードで作動する。車室内暖房モードにおける第1冷媒回路1は、暖房冷却水冷却回路をなし、第1通常モード及び第2停止モードにて運転する。
【0114】
車室内暖房モードにおいて第1通常モード及び第2停止モードにて運転する第1冷媒回路1では、第1圧縮機10で圧縮された第1冷媒R1は第1冷媒/内気熱交換器12に導入される。第1冷媒/内気熱交換器12は第1冷媒回路1の凝縮器として機能し、第1冷媒/内気熱交換器12にて第1冷媒R1が室内空気に放熱して、車室内を暖房する。放熱後の第1冷媒R1は第3膨張弁13で減圧されて第1冷媒/冷却水熱交換器4に導入される。第1冷媒/冷却水熱交換器4は第1冷媒回路1の蒸発器として機能し、第1冷媒/冷却水熱交換器4にて第1冷媒R1が冷却水回路2の冷却水Lから吸熱する。吸熱後の第1冷媒R1は内気冷却器バイパス管路1cを通って第1圧縮機10に導入される。
【0115】
車室内暖房モードにおける冷却水回路2は、冷却ファン23が停止した非放熱回路をなし、ラジエータ22にて冷却水Lから外気への放熱を行わない。
【0116】
車室内暖房モードにおける冷却水回路2では、ウォーターポンプ20で圧送された冷却水Lは電気部品21及び第1冷媒/冷却水熱交換器4を経てラジエータ22を通り、第2冷媒/冷却水熱交換器5を経てウォーターポンプ20に導入される。冷却水回路2を循環する冷却水Lは、電気部品21から吸熱して電気部品21を冷却し、かつ、第1冷媒/冷却水熱交換器4にて第1冷媒回路1の第1冷媒R1に放熱する。第1冷媒/冷却水熱交換器4にて第1冷媒R1に放熱することにより、冷却水回路2の冷却水Lが過度に高温になることを抑えることができる。なお、車室内暖房モードで外気の温度が冷却水Lの温度よりも高い場合には、冷却水回路2は非放熱回路をなし、ラジエータ22にて外気から冷却水Lへの吸熱を行っても良い。冷却水回路2を循環する冷却水Lは、電気部品21から吸熱して電気部品21を冷却し、かつラジエータ22にて外気から吸熱し、さらに第1冷媒/冷却水熱交換器4で第1冷媒R1に放熱することになる。これにより、冷却水回路2の冷却水Lが過度に低温になることを抑えることができる。
【0117】
車室内暖房モードにおける冷却水回路2では、電気部品21の冷却を優先させたい場合など、必要に応じて冷却ファン23が作動する放熱回路にて運転し、ラジエータ22にて冷却水Lから外気への放熱を行ってもよい。このことは、後述する車室内暖房電池冷却モードにおいても同様である。
【0118】
こうして車室内暖房モードでは、冷却水回路2で電気部品21から吸熱した電気部品21の排熱を熱源として第1冷媒回路1における第1冷媒R1を効果的に加熱して、車室内を効果的に暖房することができる。
【0119】
(電池冷却モード)
第2冷媒回路3は、制御部6の制御により、図5にシステム構成図を示す電池冷却モードで作動する。電池冷却モードにおける第2冷媒回路3は、電池冷却回路をなし、外気に放熱するとともに車載電池を冷却する。
【0120】
電池冷却モードにおける第2冷媒回路3では、四方弁31の制御により、第2圧縮機30で圧縮された第2冷媒R2が第2冷媒/外気熱交換器32側に向かうように、第2冷媒R2の循環方向が制御され、第2冷媒R2は第2冷媒回路3を図5の時計回り方向に循環する。また、電池冷却モードにおける第2冷媒回路3では、第3通常モード及び第4停止モードにて運転する。
【0121】
電池冷却モードにおいて第2冷媒R2が図5の時計回り方向に循環し、かつ、第3通常モード及び第4停止モードにて運転する第2冷媒回路3では、第2圧縮機30で圧縮された第2冷媒R2は、四方弁31を介して第2冷媒/外気熱交換器32に導入される。第2冷媒/外気熱交換器32は第2冷媒回路3の凝縮器として機能し、第2冷媒/外気熱交換器32にて第2冷媒R2が外気に放熱する。放熱後の第2冷媒R2は、第2冷媒/冷却水熱交換器バイパス管路3cを通って第4膨張弁37に導入される。第4膨張弁37にて減圧された第2冷媒R2は電池熱交換器38に導入される。電池熱交換器38は第2冷媒回路3の蒸発器として機能し、電池熱交換器38にて第2冷媒R2が車載電池から吸熱して、車載電池を冷却する。吸熱後の第2冷媒R2は四方弁31を介して第2圧縮機30に導入される。
【0122】
こうして単独で作動する第2冷媒回路3により、第2冷媒回路3の冷却能力に応じて車載電池を効果的に冷却することができる。
【0123】
(電池暖機モード)
第2冷媒回路3は、制御部6の制御により、図6にシステム構成図を示す電池暖機モードで作動する。電池暖機モードにおける第2冷媒回路3は、電池暖機回路をなし、外気から吸熱するとともに車載電池を暖機する。
【0124】
電池暖機モードにおける第2冷媒回路3では、四方弁31の制御により、第2圧縮機30で圧縮された第2冷媒R2が電池熱交換器38側に向かうように、第2冷媒R2の循環方向が制御され、第2冷媒R2は第2冷媒回路3を図6の反時計回り方向に循環する。また、電池暖機モードにおける第2冷媒回路3では、第3通常モード及び第4停止モードにて運転される。
【0125】
電池暖機モードにおいて第2冷媒R2が図6の反時計回り方向に循環し、かつ、第3通常モード及び第4停止モードにて運転する第2冷媒回路3では、第2圧縮機30で圧縮された第2冷媒R2は、四方弁31を介して電池熱交換器38に導入される。電池熱交換器38は第2冷媒回路3の凝縮器として機能し、電池熱交換器38にて第2冷媒R2が車載電池に放熱して、車載電池を暖機する。放熱後の第2冷媒R2は第4膨張弁37で減圧され、第2冷媒/冷却水熱交換器バイパス管路3cを通って第2冷媒/外気熱交換器32に導入される。第2冷媒/外気熱交換器32は第2冷媒回路3の蒸発器として機能し、第2冷媒/外気熱交換器32にて第2冷媒R2が外気から吸熱する。吸熱後の第2冷媒R2は四方弁31を介して第2圧縮機30に導入される。
【0126】
こうして単独で作動する第2冷媒回路3により、第2冷媒回路3の加熱能力に応じて車載電池を効果的に暖機することができる。
【0127】
(車室内冷房電池冷却モード)
第1冷媒回路1、冷却水回路2及び第2冷媒回路3は、制御部6の制御により、図7にシステム構成図を示す車室内冷房電池冷却モードで作動する。車室内冷房電池冷却モードでは、第1停止モード、第2通常モード、第3通常モード及び第4停止モードにて運転される。
【0128】
車室内冷房電池冷却モードにおける第1冷媒回路1は、車室内冷房冷却水冷却モード及び車室内冷房モードと同様、冷房冷却水加熱回路をなし、第1停止モード及び第2通常モードにて運転する。第1冷媒回路1を循環する第1冷媒R1は、第1冷媒/冷却水熱交換器4にて冷却水Lに放熱し、かつ、内気冷却器16にて室内空気から吸熱して車室内を冷房する。
【0129】
車室内冷房電池冷却モードにおける冷却水回路2は、車室内冷房冷却水冷却モード及び車室内冷房モードと同様、冷却ファン23が作動する放熱回路をなす。冷却水回路2を循環する冷却水Lは、電気部品21から吸熱して電気部品21を冷却するとともに、第1冷媒/冷却水熱交換器4にて第1冷媒R1から吸熱し、かつ、ラジエータ22にて外気に放熱する。
【0130】
車室内冷房電池冷却モードにおける第2冷媒回路3は、電池冷却モードと同様、電池冷却回路をなし、第2冷媒R2が第2冷媒回路3を図7の時計回り方向に循環し、かつ、第3通常モード及び第4停止モードにて運転する。第2冷媒回路3を循環する第2冷媒R2は、第2冷媒/外気熱交換器32にて外気に放熱し、かつ、電池熱交換器38にて車載電池から吸熱して車載電池を冷却する。
【0131】
こうして車室内冷房電池冷却モードでは、冷却水回路2にて冷却水Lから外気に放熱しつつ、第1冷媒回路1で第1冷媒回路1の冷却能力に応じて車室内を効果的に冷房することができる。また、また、第2冷媒回路3により、第2冷媒回路3の冷却能力に応じて車載電池を効果的に冷却することができる。
【0132】
(車室内暖房電池冷却モード)
第1冷媒回路1、冷却水回路2及び第2冷媒回路3は、制御部6の制御により、図8にシステム構成図を示す車室内暖房電池冷却モードで作動する。車室内暖房電池冷却モードでは、第1通常モード、第2停止モード、第3通常モード及び第4停止モードにて運転される。
【0133】
車室内暖房電池冷却モードにおける第1冷媒回路1は、車室内暖房モードと同様、暖房冷却水冷却回路をなし、第1通常モード及び第2停止モードにて運転する。第1冷媒回路1を循環する第1冷媒R1は、第1冷媒/内気熱交換器12にて室内空気に放熱して車室内を暖房し、かつ、第1冷媒/冷却水熱交換器4にて冷却水Lから吸熱する。
【0134】
車室内暖房電池冷却モードにおける冷却水回路2は、車室内暖房モードと同様、冷却ファン23が停止した非放熱回路をなす。冷却水回路2を循環する冷却水Lは、電気部品21から吸熱して電気部品21を冷却し、かつ、第1冷媒/冷却水熱交換器4にて第1冷媒R1に放熱する。なお、車室内暖房電池冷却モードで外気の温度が冷却水Lの温度よりも高い場合には、冷却水回路2は非放熱回路をなし、ラジエータ22にて外気から冷却水Lへの吸熱を行っても良い。冷却水回路2を循環する冷却水Lは、電気部品21から吸熱して電気部品21を冷却し、かつラジエータ22にて外気から吸熱し、さらに第1冷媒/冷却水熱交換器4で第1冷媒R1に放熱することになる。これにより、冷却水回路2の冷却水Lが過度に低温になることを抑えることができる。
【0135】
車室内暖房電池冷却モードにおける第2冷媒回路3は、電池冷却モードと同様、電池冷却回路をなし、第2冷媒R2が第2冷媒回路3を図8の時計回り方向に循環し、かつ、第3通常モード及び第4停止モードにて運転する。第2冷媒回路3を循環する第2冷媒R2は、第2冷媒/外気熱交換器32にて外気に放熱し、かつ、電池熱交換器38にて車載電池から吸熱して車載電池を冷却する。
【0136】
こうして車室内暖房電池冷却モードでは、冷却水回路2で電気部品21から吸熱した電気部品21の排熱を熱源として第1冷媒回路1における第1冷媒R1を効果的に加熱して、車室内を効果的に暖房することができる。また、第2冷媒回路3により、第2冷媒回路3の冷却能力に応じて車載電池を効果的に冷却することができる。
【0137】
以上において、本発明を実施例に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0138】
例えば、上記実施例では、第1冷媒回路1において、第1冷媒R1を第1冷媒/内気熱交換器バイパス管路1b側に流すことにより第1停止モードとしているが、第1停止モードはこれに限らない。例えば、第1冷媒R1を第1冷媒/内気熱交換器バイパス管路1b側ではなく第1冷媒/内気熱交換器12がある第1冷媒管路1a側に流すとともに第3膨張弁13での膨張を停止させ、かつ、室内空気側をバイパスさせて室内空気が第1冷媒/内気熱交換器12を通過しないようにすることにより、第1停止モードとしてもよい。
【0139】
上記実施例では、第1冷媒回路1において、第1冷媒R1を内気冷却器バイパス管路1c側に流すことにより第2停止モードとしているが、第2停止モードはこれに限らない。例えば、第1冷媒R1を内気冷却器バイパス1c側ではなく内気冷却器16がある第1冷媒管路1a側に流すとともに第1膨張弁15での膨張を停止させ、かつ、室内空気側をバイパスさせて室内空気が内気冷却器16を通過しないようにすることにより、第2停止モードとしてもよい。
【0140】
室内空気側をバイパスさせるには、例えば車室内用空調ユニットとしてのHVAC(Heating,Ventilating and Air Conditioning)のエアダンパを切り替えたり、送風ファンを停止したりすればよい。
【0141】
第3膨張弁13や第1膨張弁15での膨張を停止させるには、例えば第3膨張弁13や第1膨張弁15の絞り開度を全開にしたり、第3膨張弁13や第1膨張弁15をバイパスさせて第1冷媒R1が第3膨張弁13や第1膨張弁15を通過しないようにしたりすればよい。
【0142】
上記実施例では、冷却水回路2において、冷却ファン23を停止させることにより非放熱回路としているが、非放熱回路はこれに限らない。例えば、冷却ファン23を作動させつつ、車両前方のグリル部についているグリルシャッタを閉じて外気がラジエータ22を通過しないようにしたり、ラジエータ22をバイパスするバイパス管路と、冷却水Lをそのバイパス管路側に流すか、冷却水管路2a側に流すかを切り替える三方弁とを冷却水回路2に設けたりすることにより、ラジエータ22にて冷却水Lから外気に放熱しないようにしてもよい。
【0143】
上記実施例では、第2冷媒回路3において、第2冷媒R2を第2冷媒/冷却水熱交換器バイパス管路3c側に流すことにより第4停止モードとしているが、第4停止モードはこれに限らない。例えば、第2冷媒R2を第2冷媒/冷却水熱交換器バイパス管路3c側ではなく第2冷媒/冷却水熱交換器5がある第2冷媒管路3a側に流すとともに第2膨張弁34での膨張を停止させ、かつ、冷却水L側をバイパスさせて冷却水Lが第2冷媒/冷却水熱交換器5を通過しないようにすることにより、第4停止モードとしてもよい。
【0144】
冷却水L側をバイパスさせるには、例えば第2冷媒/冷却水熱交換器5をバイパスするバイパス管路と、そのバイパス管路又は冷却水管路2aへの流路を切り替える三方弁とを冷却水回路2に設ければよい。
【0145】
第2膨張弁34での膨張を停止させるには、例えば第2膨張弁34の絞り開度を全開にしたり、第2膨張弁34をバイパスさせて第2冷媒R2が第2膨張弁34を通過しないようにしたりすればよい。
【0146】
上記実施例では、冷却水回路2における冷却水Lの循環方向において、ウォーターポンプ20、第2冷媒/冷却水熱交換器5、ラジエータ22、第1冷媒/冷却水熱交換器4及び電気部品21の順で配置しているが、冷却水回路2における冷却水Lの循環方向や部品の配置順はこれに限らない。ただし、冷却水Lによる電気部品21の冷却効果の観点より、冷却水Lの循環方向において、電気部品21、第1冷媒/冷却水熱交換器4、ラジエータ22及び第2冷媒/冷却水熱交換器5の配置順か、あるいは電気部品21、第1冷媒/冷却水熱交換器4、第2冷媒/冷却水熱交換器5及びラジエータ22の配置順であることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0147】
本発明の車両用熱マネジメントシステムは、電池搭載車両に利用することができる。
【符号の説明】
【0148】
1…第1冷媒回路
2…冷却水回路
3…第2冷媒回路
4…第1冷媒/冷却水熱交換器
5…第2冷媒/冷却水熱交換器
6…制御部
10…第1圧縮機
11…第1三方弁(第1冷媒/内気熱交換器バイパス切替部)
12…第1冷媒/内気熱交換器
13…第1膨張弁
14…第2三方弁(第1冷媒/内気熱交換器バイパス切替部)
15…第3膨張弁
16…内気冷却器
1b…第1冷媒/内気熱交換器バイパス管路
1c…内気冷却器バイパス管路
20…ウォーターポンプ
21…電気部品
22…ラジエータ
30…第2圧縮機
31…四方弁(方向切替部)
32…第2冷媒/外気熱交換器
33…第3三方弁(第2冷媒/冷却水熱交換器バイパス切替部)
35…第4三方弁(第2冷媒/冷却水熱交換器バイパス切替部)
34…第2膨張弁
36…第5三方弁(電池熱交換器バイパス切替部)
39…第6三方弁(電池熱交換器バイパス切替部)
37…第4膨張弁
38…電池熱交換器
3b…電池熱交換器バイパス管路
3c…第2冷媒/冷却水熱交換器バイパス管路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8