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特許7559708活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、硬化膜及びフィルム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、硬化膜及びフィルム
(51)【国際特許分類】
   C08F 290/06 20060101AFI20240925BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20240925BHJP
   C08G 18/28 20060101ALI20240925BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20240925BHJP
   C08G 18/67 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
C08F290/06
C08F2/44 C
C08G18/28 015
C08G18/48 033
C08G18/67
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021138634
(22)【出願日】2021-08-27
(65)【公開番号】P2022042492
(43)【公開日】2022-03-14
【審査請求日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】P 2020147550
(32)【優先日】2020-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000168414
【氏名又は名称】荒川化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】木村 和毅
【審査官】藤原 研司
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-149224(JP,A)
【文献】特表2018-530639(JP,A)
【文献】特開平11-279242(JP,A)
【文献】特開2000-109533(JP,A)
【文献】特開2012-241194(JP,A)
【文献】特開2014-172925(JP,A)
【文献】特開2010-235860(JP,A)
【文献】特開2011-256357(JP,A)
【文献】特開2005-298624(JP,A)
【文献】特開2005-170996(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F
C08G
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸基含有(メタ)アクリレート(a1)、ポリイソシアネート(a2)及び水酸基含有ポリアルキレングリコール類(a3)を含む反応成分の反応物であるポリウレタン(メタ)アクリレート(A)(ただし、塩の構造は含まない)、
導電性高分子(B)、水(C)並びに任意で溶剤を含む、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であり、
前記水酸基含有(メタ)アクリレート(a1)が、分子内に少なくとも3個の(メタ)アクリロイル基を有する水酸基含有(メタ)アクリレートであり、
前記ポリイソシアネート(a2)が、分子内に少なくとも3個のイソシアネート基を有するポリイソシアネートであり、
前記水酸基含有ポリアルキレングリコール類(a3)が、下記一般式(1)で表される化合物であり、
前記ポリウレタン(メタ)アクリレート(A)の含有量は、固形分換算で、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物100質量部に対して、20~90質量部であり、
前記導電性高分子(B)の含有量は、固形分換算で、前記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物100質量部に対して、0.1~20質量部であり、
前記溶剤は、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、アセトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、1,4-ジオキサン及びプロピレングリコールモノメチルエーテルからなる群より選択される少なくとも1種である、
性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
(化1)
H-(OCH CH )n -OR (1)
(式中、Rはアルキル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基、アシル基のいずれかを示し、nは3~25の整数を示す。)
【請求項2】
(B)成分が、ポリ(チオフェン)類である、請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
更に、分子内に少なくとも3個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート(D)を含む、請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
更に、表面調整剤(E)を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
(B)成分の含有量が、固形分換算で、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、0.1~20質量部である、請求項1~4のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなる硬化膜。
【請求項7】
請求項6に記載の硬化膜を含む、フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、硬化膜及びフィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルムは、製版用フィルムや包装用フィルム、光学部品用フィルム、半導体加工テープ用フィルム、ホットスタンピングフィルム、プラスチック成型加飾フィルムなどの幅広い用途に供されている。ところで、プラスチックフィルムは巻き取りや巻き戻しの際、あるいは加工の際に静電気が生じやすく、大気中の塵埃が付着して表面に物理的欠陥(ピンホール等)が生じたり、加工ラインにおいて走行不良が生じたりする。そこで、プラスチックフィルムの帯電を抑制する目的で種々の提案がされている。
【0003】
そうした手段の一つとして、フィルムの表面に、帯電防止機能を有するコーティング剤を塗工する方法が考えられる。帯電防止コーティング剤には、帯電防止機能の他、一般に、皮膜の耐溶剤性や、プラスチック基材と被膜との密着性等の諸性能が要求される。公知の帯電防止コーティング剤としては、例えば、(メタ)アクリレート類を含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に、第4級アンモニウム塩型カチオン性化合物を用いたコーティング剤が提案されている(特許文献1参照)。また、その他の帯電防止コーティング剤としては、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に、ポリ(チオフェン)やポリ(アニリン)等の導電性高分子を用いたコーティング剤も考えられる。そのようなコーティング剤は、湿度等の外部環境に影響を受けにくい導電性高分子のために、使用環境によらず十分な帯電防止機能を発揮できることが考えられる。
【0004】
ところで、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、用途によっては低粘度化が必要とされる場合があり、その際は反応性希釈剤を多量に使用したり、有機溶剤を併用する等の方法が採られている。しかしながら、反応性希釈剤を多量に使用した場合には、硬化性が低下して充分な塗膜物性を得難くなり、また有機溶剤を併用する場合には大気汚染や火災の危険性が高くなる。
【0005】
そこで近年では、作業性、安全性の面より、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の水系化の要望が高まっている。例えば、特許文献2では、水に溶解もしくは水に分散させることで、低粘度化した活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平10-315373号公報
【文献】特開平11-279242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
帯電防止機能が良好で、作業性や安全性に優れる帯電防止コーティング剤としては、水系の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に、導電性高分子を用いることが考えられる。しかしながら、本発明者らが検討したところ、そのようなコーティング剤は、水中における(メタ)アクリレート類と導電性高分子の分散性が低いために、保存時の安定性(保存安定性)が不十分になる問題があった。
【0008】
本発明は、保存安定性に優れ、帯電防止性、耐溶剤性及びプラスチック基材との密着性に優れた硬化膜を形成し得る、水系の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、所定の水酸基含有(メタ)アクリレート、ポリイソシアネート及び水酸基含有ポリアルキレングリコール類を含む反応成分の反応物であるポリウレタン(メタ)アクリレートと、導電性高分子と水を含む活性エネルギー線硬化性樹脂組成物によって、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
詳しくは、本発明者らは、上記ポリウレタン(メタ)アクリレートを含む水系の樹脂組成物に導電性高分子を用いることにより、当該樹脂組成物における保存安定性が優れることを見出した。また、そのような樹脂組成物が帯電防止性、耐溶剤性、プラスチック密着性に優れた硬化膜を形成し得ることも見出した。即ち、本発明は、以下の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に関する。
【0011】
1.水酸基含有(メタ)アクリレート(a1)、ポリイソシアネート(a2)及び水酸基含有ポリアルキレングリコール類(a3)を含む反応成分の反応物であるポリウレタン(メタ)アクリレート(A)、
導電性高分子(B)、並びに水(C)を含む、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【0012】
2.(a1)成分が、分子内に少なくとも3個の(メタ)アクリロイル基を有する水酸基含有(メタ)アクリレートである、上記項1に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【0013】
3.(a2)成分が、分子内に少なくとも3個のイソシアネート基を有するポリイソシアネートである、上記項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【0014】
4.(a3)成分が、下記一般式(1)で表される化合物である、上記項1~3のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
(化1)
H-(OCH CH )n -OR (1)
(式中、Rはアルキル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基、アシル基のいずれかを示し、nは3~25の整数を示す。)
【0015】
5.(B)成分が、ポリ(チオフェン)類である、上記項1~4のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【0016】
6.更に、分子内に少なくとも3個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート(D)を含む、上記項1~5のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【0017】
7.更に、表面調整剤(E)を含む、上記項1~6のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【0018】
8.(B)成分の含有量が、固形分換算で、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、0.1~20質量部である、上記項1~7のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
【0019】
9.上記項1~8のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からなる硬化膜。
【0020】
10.上記項9に記載の硬化膜を含む、フィルム。
【発明の効果】
【0021】
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、分散性が良好であり、保存安定性に優れるものである。また、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、1μm以下の薄膜でも帯電防止性、耐溶剤性、及びプラスチック密着性に優れた硬化膜を形成し得るため、プラスチックフィルムへの帯電防止コーティング剤として有用である。さらに、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、水系の組成物であるため、作業性や安全性に優れるものである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[活性エネルギー線硬化性樹脂組成物]
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、特定のポリウレタン(メタ)アクリレート(A)(以下、(A)成分という。)、導電性高分子(B)(以下、(B)成分という。)、及び水(C)(以下、(C)成分という。)を含むものである。
【0023】
本明細書において、「(メタ)アクリル」は「アクリル及びメタクリルからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。同様に、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート及びメタクリレートからなる群より選択される少なくとも1つ」を意味し、「(メタ)アクリロイル基」は「アクリロイル基及びメタクリロイル基からなる群より選択される少なくとも1つ」を意味する。
【0024】
<ポリウレタン(メタ)アクリレート(A)>
(A)成分は、水酸基含有(メタ)アクリレート(a1)(以下、(a1)成分という。)、ポリイソシアネート(a2)(以下、(a2)成分という。)及び水酸基含有ポリアルキレングリコール類(a3)(以下、(a3)成分という。)を含む反応成分の反応物である。(A)成分は、1種を単独で、又は2種以上を併用できる。
【0025】
(水酸基含有(メタ)アクリレート(a1))
(a1)成分は、分子内に少なくとも1個の水酸基と、少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であれば、各種公知のものを特に制限なく使用できる。(a1)成分は、1種を単独で、又は2種以上を併用できる。
【0026】
(a1)成分における分子内の(メタ)アクリロイル基の数は、得られる硬化膜の硬度、耐摩耗性が優れる点から、多いほうが良い。入手が容易である点から、(a1)成分の分子内の(メタ)アクリロイル基の数は通常1~5程度である。
【0027】
(a1)成分は、例えば、水酸基含有グリセリンポリ(メタ)アクリレート、水酸基含有ポリグリセリンポリ(メタ)アクリレート、水酸基含有ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、水酸基含有ポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、水酸基含有トリメチロ-ルプロパンポリ(メタ)アクリレート、水酸基含有ポリトリメチロ-ルプロパンポリ(メタ)アクリレート、水酸基含有モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0028】
上記水酸基含有グリセリンポリ(メタ)アクリレートは、例えば、グリセリンジ(メタ)アクリレート、並びに、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート及びグリセリントリ(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも2種からなる混合物等が挙げられる。
【0029】
上記水酸基含有ポリグリセリンポリ(メタ)アクリレートは、例えば、ジグリセリンジ(メタ)アクリレート、ジグリセリントリ(メタ)アクリレート、トリグリセリンジ(メタ)アクリレート、トリグリセリントリ(メタ)アクリレート、トリグリセリンテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0030】
上記水酸基含有ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートは、例えば、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、並びに、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート及びペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも2種からなる混合物等が挙げられる。
【0031】
上記水酸基含有ポリペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートは、例えば、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート並びに、これら(メタ)アクリレートより選択される少なくとも2種からなる混合物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートの混合物等が挙げられる。
【0032】
上記水酸基含有トリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレートは、例えば、トリメチロールプロパンジ(メタ) アクリレート等が挙げられる。
【0033】
上記水酸基含有ポリトリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレートは、例えば、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0034】
上記水酸基含有モノ(メタ)アクリレートは、例えば、水酸基含有直鎖アルキル(メタ)アクリレート、水酸基含有直鎖アルキル(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物、水酸基含有分岐アルキル(メタ)アクリレート、水酸基含有分岐アルキル(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物、水酸基含有シクロアルキル(メタ)アクリレート、水酸基含有シクロアルキル(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物、グリセリンモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0035】
上記水酸基含有直鎖アルキル(メタ)アクリレートは、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0036】
上記水酸基含有直鎖アルキル(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物は、例えば、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物等が挙げられる。
【0037】
上記水酸基含有分岐アルキル(メタ)アクリレートは、例えば、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0038】
上記水酸基含有分岐アルキル(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物は、例えば、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物等が挙げられる。
【0039】
上記水酸基含有シクロアルキル(メタ)アクリレートは、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシシクロヘキシル等が挙げられる。
【0040】
上記水酸基含有シクロアルキル(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物は、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシシクロヘキシルカプロラクトン付加物等が挙げられる。
【0041】
上記ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物は、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートカプロラクトン付加物等が挙げられる。
【0042】
(a1)成分は、硬化性及び硬化膜の耐溶剤性に優れる点から、分子内に少なくとも3個の(メタ)アクリロイル基を有する水酸基含有(メタ)アクリレートが好ましく、分子内に1個の水酸基及び少なくとも3個の(メタ)アクリロイル基を有する水酸基含有(メタ)アクリレートがより好ましい。当該水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、上記ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート及びペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートの混合物、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートの混合物が好ましい。
【0043】
上記反応成分における(a1)成分の含有量は、特に限定されないが、硬化膜の耐溶剤性に優れる点から、固形分換算で、上記反応成分100質量%に対して20~80質量%程度が好ましく、30~70質量%程度がより好ましい。
【0044】
(ポリイソシアネート(a2))
(a2)成分は、分子内に少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物であれば、各種公知のものを特に制限なく使用できる。上記ポリイソシアネートは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0045】
(a2)成分は、例えば、直鎖脂肪族ジイソシアネート、分岐脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート、これらジイソシアネートのビウレット体、イソシアヌレート体、アロファネート体、アダクト体、並びに、ビウレット体、イソシアヌレート体、アロファネート体及びアダクト体からなる群より選択される2種以上が反応して得られる複合体等が挙げられる。
【0046】
上記直鎖脂肪族ジイソシアネートは、例えば、メチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0047】
上記分岐脂肪族ジイソシアネートは、例えば、ジエチルペンチレンジイソシアネート、トリメチルブチレンジイソシアネート、トリメチルペンチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0048】
上記脂環式ジイソシアネートは、例えば、水添キシレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、シクロヘプチレンジイソシアネート、シクロデシレンジイソシアネート、トリシクロデシレンジイソシアネート、アダマンタンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、ビシクロデシレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0049】
上記芳香族ジイソシアネートは、例えば、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート等のジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルテトラメチルメタンジイソシアネート等のテトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジベンジルジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0050】
上記ジイソシアネートの上記ビウレット体は、
下記構造式:
【化1】
[式中、nは、1以上の整数であり、RbA~RbEはそれぞれ独立に、直鎖脂肪族ジイソシアネート残基、分岐脂肪族ジイソシアネート残基、脂環式ジイソシアネート残基及び芳香族ジイソシアネート残基のいずれかであり、Rbα~Rbβはそれぞれ独立に、イソシアネート基又は
【化2】
(nb1は、0以上の整数であり、Rb1~Rb5はRbA~RbEと同様であり、R’~R'' はそれぞれ独立に、イソシアネート基又はRbα~Rbβ自身の基である。Rb4~Rb5、R''は、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。)である。RbD~RbE、Rbβは、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。]で表される化合物等が挙げられる。
【0051】
上記ジイソシアネートの上記ビウレット体は、具体的には、デュラネ-ト24A-100、デュラネート22A-75P、デュラネート21S-75E(以上、旭化成(株)製)、デスモジュールN3200A(ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレット体)(以上、住友バイエルウレタン(株)製)等が挙げられる。
【0052】
上記ジイソシアネートの上記イソシアヌレート体は、
下記構造式:
【化3】
[式中、nは、0以上の整数であり、RiA~RiEはそれぞれ独立に、直鎖脂肪族ジイソシアネート残基、分岐脂肪族ジイソシアネート残基、脂環式ジイソシアネート残基及び芳香族ジイソシアネート残基のいずれかであり、Riα~Riβはそれぞれ独立に、イソシアネート基又は
【化4】
(ni1は、0以上の整数であり、Ri1~Ri5はRiA~RiEと同様であり、R’~R'' はそれぞれ独立に、イソシアネート基又はRiα~Riβ自身の基である。Ri4~Ri5、R''は、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。)である。RiD~RiE、Riβは、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。]で表される化合物等が挙げられる。
【0053】
上記ジイソシアネートの上記イソシアヌレート体は、具体的には、デュラネートTPA-100、デュラネートTKA-100、デュラネートMFA-75B、デュラネートMHG-80B(以上、旭化成(株)製)、コロネートHXR、コロネートHX(以上、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体)(以上、東ソー(株)製)、タケネートD-127N(水添キシリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体)(以上、三井化学(株)製)、VESTANAT T1890/100(イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体)(以上、エボニック・ジャパン(株)製)等が挙げられる。
【0054】
上記ジイソシアネートの上記アロファネ-ト体は、
下記構造式:
【化5】
[式中、nは、0以上の整数であり、RaAは、アルキル基、アリ-ル基、ポリエーテル基、ポリエステル基又はポリカーボネート基であり、RaB~RaGは、それぞれ独立に、直鎖脂肪族ジイソシアネート残基、分岐脂肪族ジイソシアネート残基、脂環式ジイソシアネート残基及び芳香族ジイソシアネート残基のいずれかであり、Raα~Raγはそれぞれ独立に、イソシアネート基又は
【化6】
(na1は、0以上の整数であり、Ra1~Ra6はRaB~RaGと同様であり、R’~R''' はそれぞれ独立に、イソシアネート基又はRaα~Raγ自身の基である。Ra1~Ra4、R’~R''は、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。)である。RaB~RaE、Raα~Raβは、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。]で表される化合物等が挙げられる。
【0055】
上記ジイソシアネートの上記アロファネート体は、具体的には、コロネート2793(東ソー(株)製)、タケネートD-178N(三井化学(株)製)等が挙げられる。
【0056】
上記ジイソシアネートの上記アダクト体は、
下記構造式:
【化7】
[式中、nadは0以上の整数であり、RadA~RadEは、それぞれ独立に、直鎖脂肪族ジイソシアネート残基、分岐脂肪族ジイソシアネート残基、脂環式ジイソシアネート残基及び芳香族ジイソシアネート残基のいずれかであり、Rad1~Rad2は、それぞれ独立に
【化8】
(式中、nad’は0以上の整数であり、Rad’~Rad’’はRadA~RadEと同様であり、Rad’’’は、Rad1~Rad2自身の基であり、Rad’~Rad’’’は、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。)
であり、RadD~RadE、Rad2は、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。]
で示されるトリメチロ-ルプロパンとジイソシアネートのアダクト体、
下記構造式
【化9】
[式中、nad1は0以上の整数であり、Radα~Radεは、それぞれ独立に、直鎖脂肪族ジイソシアネート残基、分岐脂肪族ジイソシアネート残基、脂環式ジイソシアネート残基及び芳香族ジイソシアネート残基のいずれかであり、RadA~RadBは、それぞれ独立に
【化10】
(式中、nad1’は0以上の整数であり、Radδ’~Radε’はRadα~Radεと同様であり、RadB’は、RadA~RadB自身の基であり、Radδ’~Radε’、RadB’は、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。)
adδ~Radε、RadBは、各構成単位ごとに基が異なっていてもよい。]
で示されるグリセリンとジイソシアネートのアダクト体等が挙げられる。
【0057】
上記ジイソシアネートの上記アダクト体は、具体的には、デュラネートP301-75E(以上、旭化成(株)製)、タケネートD-110N、タケネートD-160N(以上、三井化学(株)製)、コロネートL、コロネートHL(以上、東ソー(株)製)等が挙げられる。
【0058】
なお、上記の各式中、「直鎖脂肪族ジイソシアネート残基、分岐脂肪族ジイソシアネート残基、脂環式ジイソシアネート残基及び芳香族ジイソシアネート残基」とは、上記直鎖脂肪族ジイソシアネート、上記分岐脂肪族ジイソシアネート、上記脂環式ジイソシアネート及び上記芳香族ジイソシアネートのうち、イソシアネート基を除いた残りの基を意味する。
【0059】
(a2)成分は、硬化膜の耐溶剤性に優れる点から、分子内に少なくとも3個のイソシアネート基を有するポリイソシアネートが好ましい。分子内に少なくとも3個のイソシアネート基を有するポリイソシアネートとしては、上記ビウレット体、上記イソシアヌレート体、上記アロファネ-ト体、上記アダクト体が好ましい。
【0060】
(a2)成分のイソシアネート基含有率(NCO%)は、特に限定されないが、硬化膜の耐溶剤性に優れる点から、10~30%程度が好ましい。
【0061】
(a2)成分に含まれるイソシアネート基と、(a1)成分に含まれる水酸基とのモル比(NCO/OH)は、特に限定されないが、硬化膜の耐溶剤性に優れる点から、1.2~6.0程度が好ましく、1.5~3.0程度がより好ましい。
【0062】
上記反応成分における(a2)成分の含有量は、特に限定されないが、硬化膜の耐溶剤性に優れる点から、固形分換算で、上記反応成分100質量%に対して15~75質量%程度が好ましく、15~60質量%程度がより好ましい。
【0063】
(水酸基含有ポリアルキレングリコール類(a3))
(a3)成分は、分子内に少なくとも1個の水酸基を有するポリアルキレングリコール類であれば、各種公知のものを特に制限なく使用できる。(a3)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0064】
(a3)成分は、例えば、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテル、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノアリルエーテル、ポリアルキレングリコールモノアシレート等が挙げられる。
【0065】
上記ポリアルキレングリコールは、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド/ブチレンオキサイドのブロック又はランダム共重合の少なくとも1種の構造を有するポリエーテルグリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールポリエチレングリコール(ブロックコポリマー) 、ポリプロピレングリコールポリエチレングリコールポリプロピレングリコール(ブロックコポリマー)、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコール(ランダムコポリマー)、ポリオキシテトラメチレングリコールポリエチレングリコールポリオキシテトラメチレングリコール(ブロックコポリマー)、ポリエチレングリコールポリオキシテトラメチレングリコールポリエチレングリコール(ブロックコポリマー)、ポリエチレングリコールポリオキシテトラメチレングリコール(ランダムコポリマー)、ポリプロピレングリコールポリオキシテトラメチレングリコールポリプロピレングリコール(ブロックコポリマー)、ポリオキシテトラメチレングリコールポリプロピレングリコールポリオキシテトラメチレングリコール(ブロックコポリマー)、ポリプロピレングリコールポリオキシテトラメチレングリコール(ランダムコポリマー)等が挙げられる。
【0066】
上記ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルは、例えば、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノプロピルエーテル、ポリエチレングリコールモノブチルエーテル、ポリエチレングリコールモノペンチルエーテル、ポリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ポリエチレングリコールモノヘプチルエーテル、ポリエチレングリコールモノオクチルエーテル、ポリエチレングリコールラウリルエーテル、ポリエチレングリコールセチルエーテル、ポリエチレングリコールステアリルエーテル、ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールトリデシルエーテル、ポリエチレングリコールオレイルエーテル、ポリエチレングリコールオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル等のポリエチレングリコール誘導体;ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のポリプロピレングリコール誘導体等が挙げられる。
【0067】
上記ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートは、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ) アクリレート等のポリエチレングリコール誘導体、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリプロピレングリコール誘導体、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコールテトラメチレングリコール) モノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコールテトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0068】
上記ポリアルキレングリコールモノアリルエーテルは、例えば、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル等のポリエチレングリコール誘導体、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル等のポリプロピレングリコール誘導体、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノアリルエーテル等が挙げられる。
【0069】
上記ポリアルキレングリコールモノアシレートは、例えば、ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールモノオレート等のポリエチレングリコール誘導体等が挙げられる。
【0070】
(a3)成分は、保存安定性に優れる点から、下記一般式(1)で表されるものが好ましい。
【0071】
(化13)
H-(OCH CH )n -OR (1)
(式中、Rはアルキル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基、アシル基のいずれかを示し、nは3~25の整数を示す。)
【0072】
(a3)成分は、保存安定性に優れる点から、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0073】
(a3)成分の市販品は、例えば、PEG#200T、PEG#200、PEG#300、PEG#400、PEG#600、PEG#1000、PEG#1500、PEG#1540、PEG#2000、PEG#4000、PEG#4000P、PEG#6000、PEG#6000P,PEG#11000、PEG#20000、ユニオックスM-400、ユニオックスM-550、ユニオックスM-1000、ユニオックスM-2000、ユニオックスM-2500、ユニオックスM-3000、ユニオックスM-4000、ブレンマーPE-90、ブレンマーPE-200、ブレンマーPE-300、ブレンマーAE-90、ブレンマーAE-200、ブレンマーAE-400(以上、日油(株)製)等が挙げられる。
【0074】
(a3)成分の物性は、特に限定されない。(a3)成分の水酸基価(JIS K0070。以下、水酸基価というときは同様。)は、保存安定性に優れる点から、10~300mgKOH/g程度が好ましく、同様の点から30~140mgKOH/g程度がより好ましい。
【0075】
(a3)成分の数平均分子量は、保存安定性及び硬化膜の耐溶剤性に優れる点から、200~3,000程度が好ましく、400~2,000程度がより好ましい。なお、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法におけるポリスチレン換算値をいうが、その測定方法は特に限定されず、各種公知の手段を採用でき、市販の測定機も利用できる。
【0076】
上記反応成分における(a3)成分の使用量は、特に限定されないが、保存安定性に優れる点から、固形分換算で、上記反応成分100質量%に対して5~50質量%程度が好ましく、10~30質量%程度がより好ましい。(a3)成分の使用量が5質量%以上であれば、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における保存性がより優れ、該組成物の経時的な分離も抑制できるため、好ましい。また、(a3)成分の使用量が50質量%以下であれば、架橋密度が高く硬化性がより十分になり、得られる硬化膜の耐水性が高いため、好ましい。
【0077】
(A)成分において、(a1)成分の水酸基、(a2)成分のイソシアネート基、及び(a3)成分の水酸基のモル比は、特に限定されないが、保存安定性及び硬化膜の耐溶剤性に優れる点から、0.1~0.9:1:0.1~0.9が好ましく、0.4~0.8:1:0.1~0.6程度がより好ましい。
【0078】
(A)成分における反応成分は、(a1)成分、(a2)成分及び(a3)成分のいずれにも該当しないその他の成分(以下、その他成分という)を含み得る。その他成分は、特に限定されないが、分子内にイソシアネート基と反応し得る官能基を少なくとも1個有する化合物であれば良い。イソシアネート基と反応し得る官能基は、例えば、水酸基、アミノ基等が挙げられる。
【0079】
なお、(A)成分は、塩の構造を有する場合、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における保存安定性が低下するため、好ましくはない。そのような(A)成分としては、例えば、ヒドロキシカルボン酸等のカルボキシル基含有化合物を含む反応成分から得られるポリウレタン(メタ)アクリレートに、金属水酸化物、アンモニア、アミン類等の塩基性物質を中和させて得られるポリウレタン(メタ)アクリレートの塩が挙げられる。
【0080】
<ポリウレタン(メタ)アクリレート(A)の物性及び製造方法>
(A)成分の物性は、特に限定されない。(A)成分の重量平均分子量は、硬化性の点から、1,000~10,000程度がより好ましい。なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法におけるポリスチレン換算値をいうが、その測定方法は特に限定されず、各種公知の手段を採用でき、市販の測定機も利用できる。
【0081】
(A)成分は、硬化性に優れる点から、分子内に少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であるのが好ましい。
【0082】
(A)成分の製造方法は、(a1)成分、(a2)成分及び(a3)成分を反応させる方法であれば特に限定はされず、各種公知の製造方法が例示される。具体的には、例えば、(a2)成分と(a3)成分を、触媒存在下で、適切な反応温度(例えば60~90℃等)で反応させた後、(a1)成分を添加し、同様に触媒存在下で、適切な反応温度(例えば60~90℃等)で反応させる方法等が挙げられる。また、(a1)成分、(a2)成分及び(a3)成分を反応させる順序は特に限定されず、それぞれを任意で混合させて反応させる方法、全成分を一括で混合させて反応させる方法等が挙げられる。
【0083】
上記触媒は、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート等の有機錫触媒、オクチル酸錫などの有機酸錫触媒、チタンエチルアセトアセテート等の有機チタン触媒、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート等の有機ジルコニウム触媒、鉄アセチルアセトネート等の有機鉄触媒等が挙げられる。上記触媒は1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
【0084】
上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における(A)成分の含有量は、特に限定されないが、硬化膜の硬度、耐摩耗性のバランスに優れる点から、固形分換算で、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物100質量部に対して、20~90質量部程度が好ましく、40~85質量部程度がより好ましい。
【0085】
<導電性高分子(B)>
(B)成分は、導電性高分子であり、硬化膜に帯電防止性を付与する物質である。
【0086】
(B)成分は、導電性高分子であれば特に限定されない。(B)成分は、各種公知のヘテロ原子を含有するπ共役系導電性ポリマーが好ましい。「ヘテロ原子」は水素および炭素以外の原子(例えば窒素原子や硫黄原子等)を意味し、「ヘテロ原子含有π共役系導電性ポリマー」は、分子内に当へテロ原子を有し、かつ、分子主鎖がπ共役構造をなしている有機高分子化合物を意味する。なお、本明細書において、(B)成分は各種ドーパントでドープされた状態である。(B)成分は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0087】
上記ヘテロ原子含有π共役系導電性ポリマーは、例えば、ヘテロ原子が存在する複素環を有するπ共役系導電性ポリマーである、ポリ(チオフェン)類、ポリ(チオフェンビニレン)類、ポリ(ピロール)類等が挙げられる。また、芳香環を有するπ共役系導電性ポリマーである、ポリ(アニリン)類等が挙げられる。
【0088】
上記複素環や芳香環には、アルキル基、アルコキシ基、アルキレンジオキシ基が枝状、または環状に結合していてもよい。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、デシルオキシ基、オクタデシルオキシ基等が挙げられる。アルキレンジオキシ基としては、エチレンジオキシ基、プロピレンジオキシ基、ブテンジオキシ基等が挙げられる。
【0089】
上記ポリ(チオフェン)類は、特に限定されない。当該ポリ(チオフェン)類は、例えば、ポリ(チオフェン)、ポリ(アルキルチオフェン)類、ポリ(モノアルコキシチオフェン)類、ポリ(ジアルコキシチオフェン)類、ポリ(アルキレンジオキシチオフェン)類等が挙げられる。
【0090】
上記ポリ(アルキルチオフェン)類は、例えば、ポリ(3-メチルチオフェン)、ポリ(3-エチルチオフェン)、ポリ(3-プロピルチオフェン)、ポリ(3-ブチルチオフェン)、ポリ(3-ヘキシルチオフェン)、ポリ(3-ヘプチルチオフェン)、ポリ(3-オクチルチオフェン)、ポリ(3-デシルチオフェン)、ポリ(3-ドデシルチオフェン)、ポリ(3-オクタデシルチオフェン)、ポリ(3,4-ジメチルチオフェン)、ポリ(3,4-ジブチルチオフェン)等が挙げられる。また、上記ポリ(モノアルコキシチオフェン)類としては、ポリ(3-メトキシチオフェン)、ポリ(3-エトキシチオフェン)、ポリ(3-ブトキシチオフェン)、ポリ(3-ヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3-ヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3-オクチルオキシチオフェン)、ポリ(3-デシルオキシチオフェン)、ポリ(3-ドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3-オクタデシルオキシチオフェン)等が挙げられる。また、上記ポリ(ジアルコキシチオフェン)類としては、ポリ(3,4-ジメトキシチオフェン)、ポリ(3,4-ジエトキシチオフェン)、ポリ(3,4-ジプロポキシチオフェン)、ポリ(3,4-ジブトキシチオフェン)、ポリ(3,4-ジヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4-ジヘプチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4-ジオクチルオキシチオフェン)、ポリ(3,4-ジデシルオキシチオフェン)、ポリ(3,4-ジドデシルオキシチオフェン)等が挙げられる。また、上記ポリ(アルキレンジオキシチオフェン)類としては、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4-プロピレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4-ブテンジオキシチオフェン)等が挙げられる。
【0091】
上記ポリ(チオフェンビニレン)類は、例えば、ポリ(チオフェンビニレン)、ポリ(アルキルチオフェンビニレン)類、ポリ(モノアルコキシチオフェンビニレン)類、ポリ(ジアルコキシチオフェンビニレン)類、ポリ(アルキレンジオキシチオフェンビニレン)類等が挙げられる。
【0092】
上記ポリ(アルキルチオフェンビニレン)類は、例えば、ポリ(3-メチルチオフェンビニレン)、ポリ(3-エチルチオフェンビニレン)、ポリ(3-プロピルチオフェンビニレン)、ポリ(3-ブチルチオフェンビニレン)、ポリ(3-ヘキシルチオフェンビニレン)、ポリ(3-ヘプチルチオフェンビニレン)、ポリ(3-オクチルチオフェンビニレン)、ポリ(3-デシルチオフェンビニレン)、ポリ(3-ドデシルチオフェンビニレン)、ポリ(3-オクタデシルチオフェンビニレン)、ポリ(3,4-ジメチルチオフェンビニレン)、ポリ(3,4-ジブチルチオフェンビニレン)等が挙げられる。また、上記ポリ(モノアルコキシチオフェンビニレン)類としては、ポリ(3-メトキシチオフェンビニレン)、ポリ(3-エトキシチオフェンビニレン)、ポリ(3-ブトキシチオフェンビニレン)、ポリ(3-ヘキシルオキシチオフェンビニレン)、ポリ(3-ヘプチルオキシチオフェンビニレン)、ポリ(3-オクチルオキシチオフェンビニレン)、ポリ(3-デシルオキシチオフェンビニレン)、ポリ(3-ドデシルオキシチオフェンビニレン)、ポリ(3-オクタデシルオキシチオフェンビニレン)等が挙げられる。また、上記ポリ(ジアルコキシチオフェンビニレン)類としては、ポリ(3,4-ジメトキシチオフェンビニレン)、ポリ(3,4-ジエトキシチオフェンビニレン)、ポリ(3,4-ジプロポキシチオフェンビニレン)、ポリ(3,4-ジブトキシチオフェンビニレン)、ポリ(3,4-ジヘキシルオキシチオフェンビニレン)、ポリ(3,4-ジヘプチルオキシチオフェンビニレン)、ポリ(3,4-ジオクチルオキシチオフェンビニレン)、ポリ(3,4-ジデシルオキシチオフェンビニレン)、ポリ(3,4-ジドデシルオキシチオフェンビニレン)等が挙げられる。また、上記ポリ(アルキレンジオキシチオフェンビニレン)類としては、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェンビニレン)、ポリ(3,4-プロピレンジオキシチオフェンビニレン)、ポリ(3,4-ブテンジオキシチオフェンビニレン)等が挙げられる。
【0093】
上記ポリ(ピロール)類としては、例えば、ポリ(ピロール)、ポリ(アルキルピロール)類、ポリ(モノアルコキシピロール)類、ポリ(ジアルコキシピロール)類、ポリ(アルキレンジオキシピロール)類等が挙げられる。
【0094】
上記ポリ(アルキルピロール)類は、例えば、ポリ(3-メチルピロール)、ポリ(3-エチルピロール)、ポリ(3-プロピルピロール)、ポリ(3-ブチルピロール)、ポリ(3-ヘキシルピロール)、ポリ(3-ヘプチルピロール)、ポリ(3-オクチルピロール)、ポリ(3-デシルピロール)、ポリ(3-ドデシルピロール)、ポリ(3-オクタデシルピロール)、ポリ(3,4-ジメチルピロール)、ポリ(3,4-ジブチルピロール)等が挙げられる。また、上記ポリ(モノアルコキシピロール)類としては、ポリ(3-メトキシピロール)、ポリ(3-エトキシピロール)、ポリ(3-ブトキシピロール)、ポリ(3-ヘキシルオキシピロール)、ポリ(3-ヘプチルオキシピロール)、ポリ(3-オクチルオキシピロール)、ポリ(3-デシルオキシピロール)、ポリ(3-ドデシルオキシピロール)、ポリ(3-オクタデシルオキシピロール)等が挙げられる。また、上記ポリ(ジアルコキシピロール)類としては、ポリ(3,4-ジメトキシピロール)、ポリ(3,4-ジエトキシピロール)、ポリ(3,4-ジプロポキシピロール)、ポリ(3,4-ジブトキシピロール)、ポリ(3,4-ジヘキシルオキシピロール)、ポリ(3,4-ジヘプチルオキシピロール)、ポリ(3,4-ジオクチルオキシピロール)、ポリ(3,4-ジデシルオキシピロール)、ポリ(3,4-ジドデシルオキシピロール)等が挙げられる。また、上記ポリ(アルキレンジオキシピロール)類としては、ポリ(3,4-エチレンジオキシピロール)、ポリ(3,4-プロピレンジオキシピロール)、ポリ(3,4-ブテンジオキシピロール)等が挙げられる。
【0095】
上記ポリ(アニリン)類は、例えば、ポリ(アニリン)、ポリ(2-メチルアニリン)、ポリ(3-イソブチルアニリン)、ポリ(2-アニリンスルホン酸)、ポリ(3-アニリンスルホン酸)等が挙げられる。
【0096】
上記ドーパントとしては、例えば、ルイス酸(PF、AsF、SbF等)、プロトン酸(HF、HCl、HSO、パラトルエンスルホン酸等)、電解質アニオン(Cl、Br、スルホアニオン等)、アニオン性ポリマー等が挙げられる。
【0097】
上記アニオン性ポリマーは、例えば、ポリスチレンスルホン酸(以下、PSSという)、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポリアクリル酸エチルスルホン酸、ポリアクリル酸ブチルスルホン酸、ポリ-2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ポリイソプレンスルホン酸、ポリビニルカルボン酸、ポリスチレンカルボン酸、ポリアリルカルボン酸、ポリアクリルカルボン酸、ポリメタクリルカルボン酸、ポリ-2-アクリルアミド-2-メチルプロパンカルボン酸、およびポリイソプレンカルボン酸、ポリアクリル酸、ならびにそれらの塩類からなる群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0098】
(B)成分は、通常、水分散体または水溶液として用いる。また、そのような場合は、(B)成分の固形分濃度は、通常、0.1~10重量%程度である。
【0099】
(B)成分としては、硬化膜の帯電防止性に優れる点より、ポリ(チオフェン)類および/またはポリ(アニリン)類が好ましく、特にポリ(チオフェン)類が好ましい。また、ポリ(チオフェン)類としては、入手の容易性等を考慮して、PSSでドープされたアルキレンジオキシポリ(チオフェン)(特に3,4-エチレンジオキシチオフェン(PEDOT))や、エチレンジオキシ部位にスルホン酸基が結合したチオフェンから得られる、自己ドープ型エチレンジオキシポリ(チオフェン)が挙げられる。
【0100】
なお、PSSでドープされたPEDOTは、例えば、モノマーである3,4-エチレンジオキシチオフェン(EDOT)を、水相中、ドーパントとしてのPSSの存在下、酸化剤を用いて重合することにより、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との錯体(PEDOT/PSS)の水分散体として得ることができる。
【0101】
PEDOT/PSSの水分散体としては、例えば、Baytron P(Starck社製)、Clevios P(Heraeus社製)、Orgacon ICP1010(日本アグファ・ゲバルト(株)製)等の市販品を利用することもできる。
【0102】
また、自己ドープ型エチレンジオキシポリ(チオフェン)は、例えば、ヒドロキシメチル基が3,4-エチレンジオキシチオフェンのエチレン部分に結合したモノマーに2,4-ブタンスルトンを反応、精製し、スルホン酸基を導入した3,4-エチレンジオキシチオフェンを得た後に、これを水相中、酸化剤を用いて重合することにより、自己ドープ型エチレンジオキシポリ(チオフェン)の水溶液として得ることができる。
【0103】
エチレンジオキシ部位にスルホン酸基が結合したチオフェンから得られる、自己ドープ型エチレンジオキシポリ(チオフェン)の水溶液は、例えば、SELFTRON(東ソー(株)製)等の市販品を利用することもできる。
【0104】
なお、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、所望の効果を損なわない限りにおいて、非へテロ原子系導電性ポリマー、例えば、ポリ(アセチレン)類、ポリ(フェニレン)類、ポリ(フェニレンビニレン)類、ポリ(アセン)類等を併用することもできる。
【0105】
上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における(B)成分の含有量は特に限定されないが、硬化膜の帯電防止性に優れる点より、固形分換算で、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物100質量部に対して、0.1~20質量部が好ましい。
【0106】
上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における(B)成分の含有量は特に限定されないが、硬化膜の帯電防止性に優れる点より、固形分換算で、(A)成分及び(B)成分の総量100質量部に対して、0.05~25質量部が好ましく、0.1~20質量部がより好ましく、4~10重量部が特に好ましい。
【0107】
<水(C)>
(C)成分としては、水であれば特に限定されず、例えば、蒸留水、イオン交換水及びイオン交換蒸留水等が挙げられる。また、(C)成分には、(B)成分に含有される水分も含まれる。
【0108】
上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における(C)成分の含有量は、塗工性の観点から、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の固形分濃度が0.5~50質量%程度となる範囲で含有することが好ましい。
【0109】
((メタ)アクリレート(D))
上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、分子内に少なくとも3個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレート(D)を含み得る。
【0110】
(D)成分における分子内の(メタ)アクリロイル基の数は、得られる硬化膜の耐溶剤性に優れる点から、多いほうが良い。入手が容易である点から、(D)成分の分子内の(メタ)アクリロイル基の数は通常3~5程度である。
【0111】
(D)成分は、例えば、(a1)成分のうち分子内に少なくとも3個の(メタ)アクリロイル基を有するポリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート及びエピクロルヒドリン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート類、グリセリントリ(メタ) アクリレート、エチレンオキサイド変性グリセリントリ(メタ)アクリレート及びプロピレンオキサイド変性グリセリントリ(メタ)アクリレート等のグリセリントリ(メタ)アクリレート類、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート及びプロピレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等のペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート類、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート及びカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート類、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、トリグリセリンペンタ(メタ)アクリレート等の(ポリ)グリセリンポリ(メタ)アクリレート類、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート及びテトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート等の(ポリ)ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート類、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の(ポリ)トリメチロールプロパンポリ(メタ)アクリレート類、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート及びポリアクリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0112】
上記ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、水酸基含有(メタ)アクリレートとポリイソシアネートとの反応物、水酸基含有(メタ)アクリレートとポリオ-ルとポリイソシアネートとの反応物等が挙げられる。なお、上記ウレタン(メタ)アクリレートは、(A)成分とは異なるものである。
【0113】
上記水酸基含有(メタ)アクリレートは、例えば、(a1)成分と同じものが挙げられる。ポリイソシアネートは、例えば、(a2)成分と同じものが挙げられる。
【0114】
上記ポリオールは、例えば、アルキレングリコール等の脂肪族ジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、アクリルポリオール、ポリオレフィンポリオール等が挙げられる。
【0115】
上記ポリアクリル(メタ)アクリレートは、例えば、エポキシ基含有モノ(メタ)アクリレート及び必要に応じてモノ(メタ)アクリレートを重合させて得られるアクリル共重合体と、(メタ)アクリル酸との反応物が挙げられる
【0116】
上記エポキシ基含有モノ(メタ)アクリレートは、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、β-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド(すなわち、1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサン)等が挙げられる。
【0117】
(D)成分は、保存安定性に優れる点から、(a1)成分のうち、水酸基を有するペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、グリセリンポリ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0118】
上記ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートは、例えば、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、並びに、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート及びペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも2種からなる混合物等が挙げられる。
【0119】
上記ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートは、例えば、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、並びに、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも2種からなる混合物等が挙げられる。
【0120】
上記グリセリンポリ(メタ)アクリレートは、例えば、グリセリンジ(メタ)アクリレート、並びに、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート及びグリセリントリ(メタ)アクリレートからなる群より選択される少なくとも2種からなる混合物等が挙げられる。
【0121】
上記ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートの市販品は、例えば、アロニックスM-933、アロニックスM-934、アロニックスM-306、アロニックスM-305(以上、東亞合成(株)製)等が挙げられる。上記ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレートの市販品は、例えば、アロニックスM-403、アロニックスM-402、アロニックスM-400(以上、東亞合成(株)製)等が挙げられる。上記グリセリンポリ(メタ)アクリレートの市販品は、例えば、アロニックスM920(東亞合成(株)製)等が挙げられる。
【0122】
((メタ)アクリレート(D)の物性)
(D)成分の物性は、特に限定されない。(D)成分の分子量は、硬化性及び硬化膜の耐溶剤性に優れる点から、300~10,000程度が好ましく、300~5,000程度がより好ましい。
【0123】
なお、本明細書において、単に「分子量」と記載する場合、以下の意味を有する。すなわち、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートのように特定の化学式で一義的に化合物の構造を表現できる場合、上記分子量は式量を意味する。一方、ポリマーポリ(メタ)アクリレートのように特定の化学式で一義的に化合物の構造を表現できない場合、上記分子量は重量平均分子量を意味する。
【0124】
(D)成分の水酸基価は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の保存安定性に優れる点から、80~300mgKOH/g程度が好ましく、200~300mgKOH/g程度がより好ましい。
【0125】
上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における(D)成分の含有量は、特に限定されないが、硬化膜の帯電防止性、硬度のバランスから、固形分換算で、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物100質量部に対して、0~50質量部程度が好ましい。
【0126】
(表面調整剤(E))
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、表面調整剤(E)(以下、(E)成分とする)を含み得る。
【0127】
(E)成分は、1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。(E)成分は、例えば、アクリル系、シリコーン系、フッ素系、アセチレンジオール系等がある。
【0128】
上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における(E)成分の含有量は、特に限定されないが、硬化膜の耐溶剤性から、固形分換算で、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物100質量部に対して、0~10質量部程度が好ましい。
【0129】
((メタ)アクリレート)
上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、(D)成分以外の(メタ)アクリレートを含み得る。(メタ)アクリレートは、1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。
【0130】
上記(メタ)アクリレートは、例えば、分子内に1個の(メタ)アクリロイル基を有するモノ(メタ)アクリレート、分子内に2個の(メタ)アクリロイル基を有するジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0131】
上記モノ(メタ)アクリレートは、例えば、(a1)成分のうち分子内に1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、水酸基を含まないモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0132】
上記ジ(メタ)アクリレートは、例えば、(a1)成分のうち分子内に2個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物、水酸基を含まないジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。水酸基を含まないジ(メタ)アクリレートは、例えば、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0133】
上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における(メタ)アクリレートの含有量は、特に限定されないが、固形分換算で、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物100質量部に対して0~300質量部程度が好ましい。
【0134】
(光重合開始剤)
上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物には、光重合開始剤を含み得る。光重合開始剤は、1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。光重合開始剤は、例えば、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニルケトン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、オキシ-フェニル-アセティックアシッド2-[2-オキソ-2-フェニル-アセトキシ-エトキシ]-エチルエステルとオキシ-フェニル-アセティックアシッド2-[2-ヒドロキシ-エトキシ]-エチルエステルの混合物、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイド、4-メチルベンゾフェノン等が挙げられる。
【0135】
光重合開始剤は、硬化性、硬化膜の帯電防止性の点より、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、オキシ-フェニル-アセティックアシッド2-[2-オキソ-2-フェニル-アセトキシ-エトキシ]-エチルエステルとオキシ-フェニル-アセティックアシッド2-[2-ヒドロキシ-エトキシ]-エチルエステルの混合物の使用が好ましく、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、オキシ-フェニル-アセティックアシッド2-[2-オキソ-2-フェニル-アセトキシ-エトキシ]-エチルエステルとオキシ-フェニル-アセティックアシッド2-[2-ヒドロキシ-エトキシ]-エチルエステルの混合物の使用がより好ましい。
【0136】
上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における光重合開始剤の含有量は特に限定されないが、硬化膜の帯電防止性、耐溶剤性等のバランスの観点より、固形分換算で、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物100質量部に対して、0~20質量部が好ましい。
【0137】
(溶剤)
上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、溶剤を用いることも出来る。溶剤は、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、アセトン、アセチルアセトン、トールエン、キシレン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n-ヘプタン、イソプロピルエーテル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、1,4-ジオキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテ-ト、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテ-ト等が挙げられる。上記溶剤は1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。溶剤は、水と混和する溶剤であるエタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、イソブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、アセトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、1,4-ジオキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテル等が好ましい。
【0138】
上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、(B)成分の導電性を向上させるため、高沸点高極性溶剤を併用することが好ましい。高沸点高極性溶剤としてはエチレングリコール、ジメチルスルホキサイド、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、テトラヒドロチオフェン-1,1-ジオキシド、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。特に、硬化膜の帯電防止性の観点より、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンの併用が好ましい。
【0139】
上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における溶剤の含有量は、特に限定されない。溶剤の含有量は、塗工性の観点から、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物100質量部に対し、0~200質量部程度含むことが好ましい。また、該溶剤の含有量は、塗工性の観点から、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の固形分濃度が0.5~50質量%程度となる範囲で含有することが好ましい。
【0140】
(添加剤)
上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、上記(メタ)アクリレート、光重合開始剤及び溶剤でもない剤を添加剤として含み得る。添加剤は1種を単独で、又は2種以上を併用してもよい。添加剤は、例えば、バインダー、硬化剤、酸化防止剤、活性エネルギー線吸収剤、光安定剤、消泡剤、防汚染剤、防腐剤、防錆剤、pH調整剤、滑剤、ブロッキング防止剤、顔料、染料、金属酸化物微粒子分散体、有機微粒子分散体等が挙げられる。
【0141】
上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物における上記添加剤の含有量は、特に限定されない。添加剤の含有量は、固形分換算で、上記硬化性樹脂組成物100質量部に対し、0~50質量部程度含むことが好ましい。
【0142】
[活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の物性及び製造方法]
【0143】
上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の物性は、特に限定されない。上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の固形分濃度は、塗工性の点から、0.5~50質量%程度であることが好ましい。また、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の温度25℃における粘度は、塗工性の点から、0.5~1000mPa・s程度が好ましく、0.5~100mPa・s程度がより好ましい。
【0144】
上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、(A)成分及び(C)成分、必要に応じて(D)成分、上記(メタ)アクリレート、光重合開始剤、添加剤を混合した後、乳化(又は分散)させ、その後に(B)成分及び(E)成分、必要に応じて溶剤を混合することにより得られる。乳化方法としては、特に限定されず、反転乳化法、機械乳化法等の各種公知の方法を適用できる。また、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて各種公知の乳化剤、分散剤を用いてもよい。乳化条件も特に限定されず、例えば、温度が通常5~70℃程度、好ましくは10~50℃程度である。また、時間が通常1~24時間程度、好ましくは1~12時間程度である。なお、乳化前に、(A)成分、(D)成分及び光重合開始剤の混合物をプレ乳化させても良い。
【0145】
上記の乳化に用いる装置としては、特に限定されず、例えば、プロペラミキサー、タービンミキサー、ホモミキサー、ディスパーミキサー、ウルトラミキサー、コロイドミル、高圧ホモジナイザー、超音波等が挙げられ、単独の装置でも複数の装置を適宜併用して用いることができる。
【0146】
上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、各種プラスチックフィルム用コート剤、特に傷付防止のコーティング剤(ハードコート剤)として利用できる。また、木工用塗料、印刷インキ等の各種コーティング剤として利用できる。
【0147】
[硬化膜]
本発明の硬化膜は、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物から得られる。具体的には、例えば、当該コーティング剤を各種プラスチック基材上に、乾燥後の質量が0.05~30g/m程度、好ましくは0.1~20g/m程度になるように塗布し、乾燥させた後、紫外線、電子線、放射線等の活性エネルギー線を照射して硬化させることにより得られる。上記硬化膜は、例えば、傷付防止のコーティング剤としてプラスチック基材上に塗布され硬化し形成される。
【0148】
上記プラスチック基材は、例えば、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリイミド、ポリオレフィン、ナイロン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ノルボルネン系樹脂等が挙げられる。上記プラスチック基材の形態は、例えば、フィルム状、成形体等が挙げられる。
【0149】
上記硬化膜は各種公知の方法で製造できる。具体的には、例えば、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を上記プラスチック基材上に塗工し、必要に応じて乾燥させてから、紫外線、電子線、放射線等の活性エネルギー線を照射して硬化させる方法等が挙げられる。また、剥離フィルムに上記コーティング剤を塗工、活性エネルギー線を照射して硬化させた後、その上に接着剤層等を設け、その上に上記プラスチック基材を貼り合わせてから剥離フィルムを剥離し、硬化膜を上記プラスチック基材上へ転写する方法等もある。
【0150】
硬化反応に用いる活性エネルギー線は、例えば、紫外線や電子線が挙げられる。紫外線の光源としては、キセノンランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、LEDランプを有する紫外線照射装置を使用できる。なお、光量や光源配置、搬送速度等は必要に応じて調整でき、例えば高圧水銀灯を使用する場合には、80~160W/cm程度のランプ出力を有するランプ1灯に対して搬送速度5~50m/分程度で硬化させるのが好ましい。
【0151】
塗工方法は、例えば、バーコーター塗工、ワイヤーバー塗工、メイヤーバー塗工、エアナイフ塗工、グラビア塗工、リバースグラビア塗工、オフセット印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、スプレー塗工等が挙げられる。
【0152】
上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、活性エネルギー線により硬化することで硬化膜を形成できるため、熱で変形しやすいプラスチックに好適である。
【0153】
[フィルム]
本発明のフィルムは、上記硬化膜を含むものである。当該フィルムは、上記硬化膜と各種基材フィルムとを構成要素とする物品である。
【0154】
上記基材フィルムとしては、例えば、プラスチックフィルム等が挙げられ、各種公知のものを使用できる。該プラスチックフィルムは、例えば、ポリカーボネートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、エポキシ樹脂フィルム、メラミン樹脂フィルム、トリアセチルセルロースフィルム、ABS樹脂フィルム、AS樹脂フィルム、アクリル系樹脂フィルムおよび脂環式ポリオレフィン系樹脂フィルム等が挙げられる。該プラスチックフィルムは、透明性及び硬化膜との密着性の観点より、ポリカーボネートフィルム、トリアセチルセルロースフィルム、アクリル系樹脂フィルムおよび脂環式ポリオレフィン系樹脂フィルムからなる群より選ばれる1種のフィルムが好ましい。また、基材フィルムの平均厚みは特に限定されないが、通常20~1000μm程度、好ましくは20~200μmである。
【0155】
上記フィルムは各種公知の方法で製造できる。具体的には、例えば、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を上記基材フィルム上に塗工し、必要に応じて乾燥させてから、上記活性エネルギー線を照射して硬化させる方法等が挙げられる。また、得られた基材フィルムの非塗工面に本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を塗工し、その上に他の基材フィルムを貼り合わせてから活性エネルギー線を照射することで積層フィルムを製造することもできる。
【0156】
塗工方法は、例えば、上記方法等が挙げられる。
【0157】
塗工量は特に限定されないが、乾燥後の質量が0.1~30g/m程度が好ましく、1~20g/mがより好ましい。また、基材フィルム上に形成される硬化膜は、平均膜厚が通常0.05~30μm程度、好ましくは0.1~20μm程度である。
【実施例
【0158】
以下に実施例及び比較例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。各例中、特記しない限り、部及び%は質量基準である。
【0159】
<ポリウレタン(メタ)アクリレート(A)の合成>
製造例1
撹拌装置及び冷却管を備えた反応容器に、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(東ソー(株)製 商品名「コロネートHXR」)47.9部、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(日油(株)製 商品名「ユニオックスM-1000」)84.0部、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(東亞合成(株)製 商品名「アロニックスM-403」)117.6部、オクチル酸スズ0.06部、4-メトキシフェノール0.15部を仕込んだ後、約15分かけて、系内の温度を70℃に昇温した。次いで、同温度において、反応系内を1.5時間保温した後、60℃まで冷却した。そして、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物(東亞合成(株)製 商品名「アロニックスM-403」)50.4部、オクチル酸スズ0.12部を仕込んだ後、約15分かけて、系内の温度を75℃に昇温した。次いで、同温度において、反応系を1時間保持した後、4-メトキシフェノール0.15部を仕込んだ後、冷却して、固形分100%のポリウレタン(メタ)アクリレート1を得た。
【0160】
製造例2
撹拌装置及び冷却管を備えた反応容器に、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(東ソー(株)製 商品名「コロネートHXR」)42.9部、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(日油(株)製 商品名「ユニオックスM-1000」)50.7部、ペンタエリスリトールトリアクリレート及びペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(東亞合成(株)製 商品名「アロニックスM-305」)66.3部、オクチル酸スズ0.12部、4-メトキシフェノール0.15部を仕込んだ後、約15分かけて、系内の温度を70℃に昇温した。次いで、同温度において、反応系内を1.5時間保温した後、60℃まで冷却した。そして、ペンタエリスリトールトリアクリレート及びペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物(東亞合成(株)製 商品名「アロニックスM-305」)28.8部、オクチル酸スズ0.12部を仕込んだ後、約15分かけて、系内の温度を75℃に昇温した。次いで、同温度において、反応系を1時間保持した後、4-メトキシフェノール0.15部を仕込んだ後、冷却して、固形分100%のポリウレタン(メタ)アクリレート2を得た。
【0161】
比較製造例1
撹拌装置及び冷却管を備えた反応容器に、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(東ソー(株)製 商品名「コロネートHXR」)137.8部、ロジンエポキシアクリレート(荒川化学工業(株)製、商品名「ビームセット101」)63.5部、2-ヒドロキシエチルアクリレート37.8部、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(日油(株)製 商品名「ユニオックスM-1000」)9.5部及び4-メトキシフェノール0.15部を仕込み、次いで撹拌下にオクチル酸スズ0.12部を仕込んだ後、系内を昇温した。70℃で1.5時間保温した後、2-ヒドロキシエチルアクリレート11.8部を加え、さらに1時間保温した。その後、ひまし油脂肪酸(豊国製油(株)製、商品名「CO-FA」)39.6部を加え、同温度において、反応系を1時間保持した後、4-メトキシフェノール0.15部を仕込み、ポリウレタンアクリレートを得た。ポリウレタンアクリレートの酸価は、24.2mgKOH/gであった。該ポリウレタンアクリレート200部を60~70℃に保温し、撹拌下にトリエチルアミン6.1部を加えて中和し、冷却して、固形分100%のポリウレタン(メタ)アクリレートの塩を得た。
【0162】
[活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の調製]
実施例1
上記ポリウレタン(メタ)アクリレート1を76.9部、光重合開始剤として1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン(IGM Resins B.V.社製 商品名「OMNIRAD2959」 固形分100%)9.0部、オキシ-フェニル-アセティックアシッド2-[2-オキソ-2-フェニル-アセトキシ-エトキシ]-エチルエステルとオキシ-フェニル-アセティックアシッド2-[2-ヒドロキシ-エトキシ]-エチルエステルの混合物(IGM Resins B.V.社製 商品名「OMNIRAD754」 固形分100%)4.5部を混合して溶解させた後、攪拌しながら水135.6部を徐々に加え乳化させて、固形分40%の乳化液を得た。次に、乳化液に、導電性高分子としてPEDOT/PSS水分散体(日本アグファ・ゲバルト(株)製 商品名「Orgacon ICP1010」 固形分1.2%)を400.0部(固形分として4.8部)、アセチレンジオール系表面調整剤(日信化学工業(株)製 商品名「オルフィンEXP.4200」 固形分75%)を6.4部(固形分として4.8部)、及び水367.6部を配合して、固形分10%の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
【0163】
実施例2及び比較例3~4
組成を表1のものに変更した以外は、実施例1と同様の手順で固形分10%の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を製造した。
【0164】
実施例3
上記ポリウレタン(メタ)アクリレート1を45.3部、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(東亞合成(株)製 商品名「アロニックスM-403」 固形分100%)22.6部、ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(東亞合成(株)製 商品名「アロニックスM-306」 固形分100%)9.0部、光重合開始剤として1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン(IGM Resins B.V.社製 商品名「OMNIRAD2959」 固形分100%)9.0部、オキシ-フェニル-アセティックアシッド2-[2-オキソ-2-フェニル-アセトキシ-エトキシ]-エチルエステルとオキシ-フェニル-アセティックアシッド2-[2-ヒドロキシ-エトキシ]-エチルエステルの混合物(IGM Resins B.V.社製 商品名「OMNIRAD754」 固形分100%)4.5部を混合して溶解させた後、攪拌しながら水135.6部を徐々に加え乳化させて、固形分40%の乳化液を得た。次に、乳化液に、導電性高分子としてPEDOT/PSS水分散体(日本アグファ・ゲバルト(株)製 商品名「Orgacon ICP1010」 固形分1.2%)を400.0部(固形分として4.8部)、アセチレンジオール系表面調整剤(日信化学工業(株)製 商品名「オルフィンEXP.4200」 固形分75%)を6.4部(固形分として4.8部)、及び水367.6部を配合して、固形分10%の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
【0165】
実施例4~9及び11
組成を表1のものに変更した以外は、実施例3と同様の手順で固形分10%の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を製造した。
【0166】
実施例10
上記ポリウレタン(メタ)アクリレート2を44.0部、ペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(東亞合成(株)製 商品名「アロニックスM-306」 固形分100%)19.0部、光重合開始剤として1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン(IGM Resins B.V.社製 商品名「OMNIRAD2959」 固形分100%)8.0部、オキシ-フェニル-アセティックアシッド2-[2-オキソ-2-フェニル-アセトキシ-エトキシ]-エチルエステルとオキシ-フェニル-アセティックアシッド2-[2-ヒドロキシ-エトキシ]-エチルエステルの混合物(IGM Resins B.V.社製 商品名「OMNIRAD754」 固形分100%)4.0部を混合して溶解させた後、攪拌しながら水112.5部を徐々に加え乳化させて、固形分40%の乳化液を得た。次に、乳化液に、導電性高分子としてPEDOT/PSS水分散体(日本アグファ・ゲバルト(株)製 商品名「Orgacon ICP1010」 固形分1.2%)を1666.7部(固形分として20.0部)、アセチレンジオール系表面調整剤(日信化学工業(株)製 商品名「オルフィンEXP.4200」 固形分75%)を6.7部(固形分として5.0部)、及び水139.1部を配合して、固形分5%の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
【0167】
比較例1
導電性高分子としてPEDOT/PSS水分散体(日本アグファ・ゲバルト(株)製 商品名「Orgacon ICP1010」 固形分1.2%)を6,250.0部(固形分として75.0部)、アセチレンジオール系表面調整剤(日信化学工業(株)製 商品名「オルフィンEXP.4200」 固形分75%)を33.3部(固形分として25.0部)、及び水382.7部を配合して、固形分1.5%の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を得た。
【0168】
比較例2
組成を表1のものに変更し、水の代わりに、水とイソプロパノール(IPA)の混合溶剤(水/IPA(質量比率)=54/46)を使用した以外は、実施例3と同様の手順で固形分10%の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を製造した。
【0169】
(活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の保存安定性)
実施例1~8及び比較例1~4の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物をスクリュー管にいれ、一週間遮光、常温下で保管した。目視にて活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の状態を以下の基準にて評価した。結果を表1に示す。
○:一週間遮光、常温下で保管後も外観変わらず液体のままである。
×:一週間遮光、常温下で保管後に樹脂が分離する、及び/又は、導電性高分子が凝集
する。
【0170】
[硬化膜の作成]
実施例1の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物15部を、水84部、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン1部を用いて、固形分1.5%の水分散液になるまで希釈した。この水分散液を50μm膜厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製 商品名「ルミラー50T60」)上に、硬化後の被膜の膜厚が0.1μmとなるように#3バーコーターにて塗布し、80℃で2分間乾燥させてフィルムを作製した。その後、高圧水銀灯120W/cm(1灯)、照射距離24cm、ベルトスピ-ド22m/分の条件で1パス、積算照射量50mJ/cm2で硬化膜付フィルムを得た。実施例3、5~9、11及び比較例3~4の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物からも、同様にして硬化膜付フィルムを得た。
【0171】
実施例2の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物15部を、イソプロピルアルコール84部、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン1部を用いて、固形分1.5%の水分散液になるまで希釈した。この水分散液を50μm膜厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製 商品名「ルミラー50T60」)上に、硬化後の被膜の膜厚が0.1μmとなるように#3バーコーターにて塗布し、80℃で1分間乾燥させてフィルムを作製した。その後、高圧水銀灯120W/cm(1灯)、照射距離24cm、ベルトスピ-ド22m/分の条件で1パス、積算照射量50mJ/cm2で硬化膜付フィルムを得た。
【0172】
実施例4の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物15部を、水を用いて固形分1.5%の水分散液になるまで希釈した。この水分散液を50μm膜厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製 商品名「ルミラー50T60」)上に、硬化後の被膜の膜厚が0.1μmとなるように#3バーコーターにて塗布し、80℃で2分間乾燥させてフィルムを作製した。その後、高圧水銀灯120W/cm(1灯)、照射距離24cm、ベルトスピ-ド22m/分の条件で1パス、積算照射量50mJ/cm2で硬化膜付フィルムを得た。
【0173】
実施例10の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物30部を、水70部を用いて、固形分1.5%の水分散液になるまで希釈した。この水分散液を50μm膜厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製 商品名「ルミラー50T60」)上に、硬化後の被膜の膜厚が0.1μmとなるように#3バーコーターにて塗布し、80℃で2分間乾燥させてフィルムを作製した。その後、高圧水銀灯120W/cm(1灯)、照射距離24cm、ベルトスピ-ド22m/分の条件で1パス、積算照射量50mJ/cm2で硬化膜付フィルムを得た。
【0174】
比較例1の樹脂組成物は固形分1.5%の水分散液をそのまま、50μm膜厚のポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製 商品名「ルミラー50T60」)上に、硬化後の被膜の膜厚が0.1μmとなるように#3バーコーターにて塗布し、80℃で2分間乾燥させて膜付フィルムを作製した。
【0175】
比較例2の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物15部を、水84部及び1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン1部を用いて、固形分1.5%の水分散液になるまで希釈した。しかしながら、得られた水分散液は分離してしまったため、ポリエチレンテレフタレートフィルムに塗工できず、下記評価が出来なかった。
【0176】
(帯電防止性)
実施例1に係る上記硬化膜付フィルムの硬化膜の表面抵抗率を、表面抵抗率計(三菱化学(株)製 商品名「ハイレスタMCP-HT-450」)を用い、JIS K 6911に準じ、印加電圧10~500Vで測定した。結果を表1に示す。実施例2~11及び比較例1、3~4に係る上記硬化膜付フィルムについても同様にして評価した。
【0177】
(耐溶剤性)
実施例1に係る上記硬化膜付フィルムの硬化膜を、メチルエチルケトンを浸み込ませた綿棒にて5cm幅を10往復させ硬化膜の溶解の有無を観測し、以下の基準にて耐溶剤性を評価した。結果を表1に示す。実施例2~11及び比較例1、3~4に係る上記硬化膜付フィルムについても同様にして評価した。
〇:硬化膜の溶解が全くない。
△:硬化膜に綿棒の往復痕が残る。
×:硬化膜が溶解。
【0178】
(密着性)
実施例1に係る上記硬化膜付フィルムの硬化膜に、カッターガイドとカッターを用いてフィルム基材に達する1mm間隔で11本の傷を作成、同様に直交させて傷を作成し100個の碁盤目を作る。碁盤目部分にセロハンテープを強く圧着させ、一気に引きはがし、碁盤目の状態を目視し、評価した。結果を表1に示す。実施例2~11及び比較例1、3~4に係る上記硬化膜付フィルムについても同様にして評価した。
〇:硬化膜の剥離が全くない。
×:硬化膜の剥離がある。
【0179】
【表1】
【0180】
表1の配合量は、固形分換算した質量部の値である。表1の中の注釈及び略語は、以下の通りである。
※活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の水分散液が塗工できなかったため、評価が出来なかった。

(化合物の略語及び詳細)
ICP1010:PEDOT/PSS水分散体(商品名「Orgacon ICP1010」 固形分1.2%) 日本アグファ・ゲバルト(株)製
SELFTRON:自己ドープ型エチレンジオキシポリ(チオフェン)水溶液(商品名「SELFTRON H」 固形分1.2%) 東ソー(株)製
AQUAPASS:ポリアニリンスルホン酸水溶液(商品名「アクアパス 01-x」 固形分5%) 三菱ケミカル(株)製
M403:水酸基価90mgKOH/gであるジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(商品名「アロニックスM-403」 固形分100%) 東亞合成(株)製
M306:水酸基価160mgKOH/gであるペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート(商品名「アロニックスM-306」 固形分100%) 東亞合成(株)製
M3150:トリメチロールプロパンEO変性アクリレート(商品名「MIRAMER M-3150」 固形分100%) MIWON社製
EXP4200:アセチレンジオール系表面調整剤(商品名「オルフィンEXP.4200」 固形分75%) 日信化学工業(株)製
OMNI2959:1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン(商品名「OMNIRAD2959」 固形分100%) IGM Resins B.V.社製
OMNI1173:2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(商品名「OMNIRAD1173」 固形分100%) IGM Resins B.V.社製
OMNI754:オキシ-フェニル-アセティックアシッド2-[2-オキソ-2-フェニル-アセトキシ-エトキシ]-エチルエステルとオキシ-フェニル-アセティックアシッド2-[2-ヒドロキシ-エトキシ]-エチルエステルの混合物(商品名「OMNIRAD754」 固形分100%) IGM Resins B.V.社製