(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】自動運転制御装置、及び自動運転制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20240925BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20240925BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20240925BHJP
B60W 30/10 20060101ALI20240925BHJP
【FI】
G08G1/16 C
B60W60/00
B60W50/14
B60W30/10
(21)【出願番号】P 2021139313
(22)【出願日】2021-08-27
【審査請求日】2023-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】久米 拓弥
(72)【発明者】
【氏名】和泉 一輝
【審査官】白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/173403(WO,A1)
【文献】特開2017-137001(JP,A)
【文献】特開2018-195301(JP,A)
【文献】特開2011-143744(JP,A)
【文献】特開2017-111681(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16
B60W 60/00
B60W 50/14
B60W 30/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御によって自車両(Am)を走行させることが可能な自動運転制御装置であって、
前記自車両が走行する自車車線(Lns)にて前記自車両の前後を走行する周辺車両についての逸脱を判定する逸脱判定部(73)と、
前後の前記周辺車両が共に逸脱しており、かつ、左右の逸脱の方向が同じである場合と、前後の前記周辺車両が共に逸脱しており、かつ、左右の逸脱の方向が互いに異なる場合とで、前記自車車線内における前記自車両の左右方向の位置を変更し、前記自律走行制御を継続する制御継続部(78)と、
を備える自動運転制御装置。
【請求項2】
前記制御継続部は、前後の前記周辺車両が同じ方向に逸脱している場合、前記自車車線内における前記自車両の走行位置を、前記周辺車両の逸脱方向と同じ方向にずらす請求項
1に記載の自動運転制御装置。
【請求項3】
前記制御継続部は、前後の前記周辺車両が互いに異なる方向に逸脱している場合、前記自車車線内における前記自車両の走行位置を、左右方向において前後の前記周辺車両の中間に調整する請求項
1又は
2に記載の自動運転制御装置。
【請求項4】
前記制御継続部は、前後の前記周辺車両が同じ方向に逸脱している場合、前記自車車線内における前記自車両の走行位置を、左右方向において前記周辺車両の逸脱方向と反対の方向にずらす請求項
1に記載の自動運転制御装置。
【請求項5】
前記制御継続部は、少なくとも一方の前記周辺車両が前記自車車線からはみ出している場合、前記自車両の走行位置の変更を中止する請求項
1~
4のいずれか一項に記載の自動運転制御装置。
【請求項6】
前記周辺車両の逸脱を示す報知と、前記周辺車両の逸脱による前記自車両の走行位置の変化を示す報知とを実施させる報知制御部(61)、をさらに備える請求項
1~
5のいずれか一項に記載の自動運転制御装置。
【請求項7】
前記報知制御部は、前記自車両の後方を走行する前記周辺車両が前記自車両に接近する方向に逸脱している場合、後方の前記周辺車両の接近を示す報知を実施させる請求項
6に記載の自動運転制御装置。
【請求項8】
ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御によって自車両(Am)を走行させることが可能な自動運転制御プログラムであって、
前記自車両が走行する自車車線(Lns)にて前記自車両の前後を走行する周辺車両についての逸脱を判定し(S212)、
前後の前記周辺車両が共に逸脱しており、かつ、左右の逸脱の方向が同じである場合と、前後の前記周辺車両が共に逸脱しており、かつ、左右の逸脱の方向が互いに異なる場合とで、前記自車車線内における前記自車両の左右方向の位置を変更し、前記自律走行制御を継続する(S219,S220)、
ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(51)に実行させる自動運転制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この明細書における開示は、自動運転の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、所定値以上の長さの渋滞が発生している場合に自動運転を開始させる車両制御装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、ドライバに周辺監視義務のある自動運転だけでなく、ドライバに周辺監視義務のない自動運転を可能にする技術が実現されつつある。こうした周辺監視義務のない自動運転は、例えば自車両の前後を走行する周辺車両がレーン内を同じ方向にずれた状態で走行している等、周辺車両の走行状態に異常が生じた場合に継続されなくなる可能性がある。こうした自動運転の中断は、ドライバ等の利便性を損なう虞があった。
【0005】
本開示は、周辺監視義務のない自動運転の利便性を確保可能な自動運転制御装置、及び自動運転制御プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、開示された一つの態様は、ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御によって自車両(Am)を走行させることが可能な自動運転制御装置であって、自車両が走行する自車車線(Lns)にて自車両の前後を走行する周辺車両についての逸脱を判定する逸脱判定部(73)と、前後の周辺車両が共に逸脱しており、かつ、左右の逸脱の方向が同じである場合と、前後の周辺車両が共に逸脱しており、かつ、左右の逸脱の方向が互いに異なる場合とで、自車車線内における自車両の左右方向の位置を変更し、自律走行制御を継続する制御継続部(78)と、を備える自動運転制御装置とされる。
【0010】
また開示された一つの態様は、ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御によって自車両(Am)を走行させることが可能な自動運転制御プログラムであって、自車両が走行する自車車線(Lns)にて自車両の前後を走行する周辺車両についての逸脱を判定し(S212)、前後の周辺車両が共に逸脱しており、かつ、左右の逸脱の方向が同じである場合と、前後の周辺車両が共に逸脱しており、かつ、左右の逸脱の方向が互いに異なる場合とで、自車車線内における自車両の左右方向の位置を変更し、自律走行制御を継続する(S219,S220)、ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(51)に実行させる自動運転制御プログラムとされる。
【0011】
これらの態様では、前後の周辺車両が共に逸脱している場合、左右の逸脱の方向が同じである場合と、左右の逸脱の方向が互いに異なる場合とで、自車車線内における自車両の左右方向の位置が変更される。以上によれば、自律走行制御に必要な周辺状況の把握が可能になるため、自律走行制御の中断が抑制され得る。その結果、周辺監視義務のない自動運転を長く利用できるようになるため、自動運転の利便性が確保可能となる。
【0012】
尚、上記及び特許請求の範囲における括弧内の参照番号は、後述する実施形態における具体的な構成との対応関係の一例を示すものにすぎず、技術的範囲を何ら制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の第一実施形態による自動運転ECUを含む車載ネットワークの全体像を示す図である。
【
図2】自動運転ECUの詳細を示すブロック図である。
【
図4】第1逸脱シーンにおける中断回避制御を説明するための図である。
【
図5】第2逸脱シーンにおける中断回避制御を説明するための図である。
【
図6】第3逸脱シーンにおける中断回避制御を説明するための図である。
【
図7】第4逸脱シーンにおける中断回避制御を説明するための図である。
【
図8】逸脱対応処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図9】第二実施形態にて実施される第3逸脱シーンでの位置調整制御を説明するための図である。
【
図10】第4逸脱シーンにおける位置調整制御を説明するための図である。
【
図11】第5逸脱シーンにおける位置調整制御を説明するための図である。
【
図12】逸脱対応処理の詳細を示すフローチャートである。
【
図13】変形例1にて実施される第3逸脱シーンでの位置調整制御を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合せることができる。
【0015】
(第一実施形態)
本開示の第一実施形態による自動運転制御装置の機能は、
図1に示す自動運転ECU(Electronic Control Unit)50bによって実現されている。自動運転ECU50bは、運転支援ECU50aと共に車両(以下、自車両Am)に搭載されている。自動運転ECU50bは、運転支援ECU50a等と共に自車両Amの自動運転システム50を構成している。自動運転システム50の搭載により、自車両Amは、自動運転機能を備えた自動運転車両となり、自動運転機能によって走行可能となる。
【0016】
運転支援ECU50aは、自動運転システム50において、ドライバの運転操作を支援する運転支援機能を実現させる車載ECUである。運転支援ECU50aは、米国自動車技術会の規定する自動運転レベルにおいて、レベル2程度の高度運転支援又は部分的な自動運転を可能にする。運転支援ECU50aによって実施される自動運転は、ドライバの目視による自車周辺の監視が必要な周辺監視義務のある自動運転となる。
【0017】
自動運転ECU50bは、ドライバの運転操作を代行可能な自律走行機能を実現させる車載ECUである。自動運転ECU50bは、システムが制御主体となるレベル3以上の自律走行を実施可能である。自動運転ECU50bによって実施される自動運転は、自車周囲の監視が不要となる、即ち、周辺監視義務のないアイズオフの自動運転となる。
【0018】
自動運転システム50では、運転支援ECU50aによる周辺監視義務のある自動運転制御と、自動運転ECU50bによる周辺監視義務のない自動運転制御とを少なくとも含む複数のうちで、自動運転機能の制御状態が切り替えられる。以下の説明では、運転支援ECU50aによるレベル2以下の自動運転制御を「運転支援制御」と記載し、自動運転ECU50bによるレベル3以上の自動運転制御を「自律走行制御」と記載する。尚、自動運転ECU50bは、レベル4以上の自動運転を実施可能であってよい。
【0019】
自動運転ECU50bによる自律走行制御によって自車両Amが走行する自動走行期間では、予め規定された運転以外の特定の行為(以下、セカンドタスク)がドライバに許可され得る。セカンドタスクは、自動運転ECU50bが後述するHCU(Human Machine Interface Control Unit)100と連携して行う運転操作の実施要求、即ち、運転交代の要請が発生するまで、ドライバに法規的に許可される。例えば、動画コンテンツ等のエンターテイメント系のコンテンツの視聴、スマートフォン等のデバイス操作及び食事等の行為が、セカンドタスクとして想定される。
【0020】
運転支援ECU50a及び自動運転ECU50bは、自車両Amに搭載された車載ネットワーク1の通信バス99に、通信可能に接続されている。通信バス99には、
図1~
図3に示すように、周辺監視センサ30、ロケータ35、走行制御ECU40及びHCU100等が接続されている。通信バス99に接続されたこれらのノードは、相互に通信可能である。これらECU等のうちの特定のノード同士は、相互に直接的に電気接続され、通信バス99を介することなく通信可能であってもよい。
【0021】
周辺監視センサ30は、自車両Amの周辺環境を監視する自律センサである。周辺監視センサ30には、例えばカメラユニット31、ミリ波レーダ32、ライダ33及びソナー34のうちの1つ又は複数が含まれている。周辺監視センサ30は、自車周囲の検出範囲から移動物体及び静止物体を検出可能である。周辺監視センサ30は、自車周囲の物体の検出情報を運転支援ECU50a及び自動運転ECU50b等に提供する。
【0022】
ロケータ35は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機及び慣性センサ等を含む構成である。ロケータ35は、GNSS受信機で複数の測位衛星から受信する測位信号、慣性センサの計測結果、及び通信バス99に出力された車速情報等を組み合わせ、自車両Amの自車位置及び進行方向等を逐次測位する。ロケータ35は、3次元地図データ及び2次元地図データを格納した地図データベース36を有している。ロケータ35は、現在位置周辺の地図データを地図データベース36から読み出し、自車両Amの自車位置情報及び方角情報と共に、ロケータ情報として運転支援ECU50a及び自動運転ECU50b等に提供する。
【0023】
走行制御ECU40は、マイクロコントローラを主体として含む電子制御装置である。走行制御ECU40は、ブレーキ制御ECU、駆動制御ECU及び操舵制御ECUの機能を少なくとも有している。走行制御ECU40は、ドライバの運転操作に基づく操作指令、運転支援ECU50aの制御指令及び自動運転ECU50bの制御指令のいずれか一つに基づき、各輪のブレーキ力制御、車載動力源の出力制御及び操舵角制御を継続的に実施する。
【0024】
HCU100は、複数の表示デバイス、オーディオ装置24、アンビエントライト25及び操作デバイス26等と共にHMI(Human Machine Interface)システム10を構成している。HMIシステム10は、自車両Amのドライバ等の乗員による操作を受け付ける入力インターフェース機能と、ドライバへ向けて情報を提示する出力インターフェース機能とを備えている。
【0025】
表示デバイスは、画像表示等により、ドライバの視覚を通じて情報を提示する。表示デバイスには、メータディスプレイ21、CID22及びヘッドアップディスプレイ(以下、HUD)23等が含まれている。CID22は、タッチパネルの機能を有しており、ドライバ等による表示画面へのタッチ操作を検出する。
【0026】
オーディオ装置24は、運転席を囲む配置にて車室内に設置された複数のスピーカを有しており、報知音又は音声メッセージ等をスピーカによって車室内に再生させる。アンビエントライト25は、インスツルメントパネル及びステアリングホイール等に設けられている。アンビエントライト25は、発光色を変化させるアンビエント表示により、ドライバの周辺視野を利用した情報提示を行う。
【0027】
操作デバイス26は、ドライバ等によるユーザ操作を受け付ける入力部である。操作デバイス26には、例えば自動運転機能の作動及び停止に関連するユーザ操作等が入力される。一例として、運転支援制御から自律走行制御への移行を指示するドライバ入力が操作デバイス26には入力される。ステアリングホイールのスポーク部に設けられたステアスイッチ、ステアリングコラム部に設けられた操作レバー、及びドライバの発話内容を認識する音声入力装置等が、操作デバイス26に含まれる。
【0028】
HCU100は、提示制御装置として機能し、自動運転に関連する情報等のドライバへ向けた提示を統合的に管理する。HCU100は、自動運転ECU50bによる運転操作の実施要求に基づき、ドライバに運転交代を要請する。加えてHCU100は、自動運転ECU50bと連携してドライバによるセカンドタスクの実施を許容し、運転交代要請を妨げないかたちでセカンドタスクに関連した動画コンテンツ等を再生可能である。
【0029】
HCU100は、処理部11、RAM12、記憶部13、入出力インターフェース14及びこれらを接続するバス等を備えた制御回路を主体として含むコンピュータである。処理部11は、RAM12へのアクセスにより、提示制御処理のための種々の処理を実行する。RAM12は、映像データ生成のためのビデオRAMを含む構成であってよい。記憶部13は、不揮発性の記憶媒体を含む構成である。記憶部13には、処理部11によって実行される種々のプログラム(提示制御プログラム等)が格納されている。HCU100は、記憶部13に記憶されたプログラムを処理部11によって実行することにより、複数の機能部を構築する。HCU100には、情報取得部81、情報連携部82及び提示制御部88等の機能部が構築される(
図3参照)。
【0030】
情報取得部81は、ユーザ操作の内容を示す操作情報をCID22及び操作デバイス26等から取得する。情報取得部81は、自動運転機能に関連するユーザ操作の操作情報を、情報連携部82に提供する。
【0031】
情報連携部82は、自動運転ECU50bの情報連携部61(後述する)と連携し、自動運転システム50及びHCU100間での情報の共有を可能にする。情報連携部82は、情報取得部81にて把握される操作情報等を自動運転ECU50bに提供する。加えて情報連携部82は、自動運転機能の状態を示す制御ステータス情報の取得により、自動運転システム50による自動運転の動作状態を把握する。さらに、情報連携部82は、ドライバへの運転交代要請の実施要求、及び制御移行報知の実施要求等を自動運転ECU50bから取得する。情報連携部82は、各報知の実施要求に基づき、提示制御部88と連携して、各報知の内容及び実施タイミングを制御する。
【0032】
提示制御部88は、各表示デバイス、オーディオ装置24及びアンビエントライト25等を用いたドライバへの情報の提供を統合的に実施する。提示制御部88は、情報連携部82にて取得される制御ステータス情報及び実施要求に基づき、自動運転の動作状態に合わせたコンテンツ提供及び情報提示を実施する。例えば、提示制御部88は、後述する周辺車両の逸脱が検知された場合、自動運転ECU50bからの実施要求に基づき、逸脱発生報知及び制御変化報知等を実施する(
図8参照)。
【0033】
次に、運転支援ECU50a及び自動運転ECU50bの各詳細を順に説明する。
【0034】
運転支援ECU50aは、処理部、RAM、記憶部、入出力インターフェース及びこれらを接続するバス等を備えた制御回路を主体として含むコンピュータである。運転支援ECU50aは、処理部でのプログラムの実行により、ACC(Adaptive Cruise Control)及びLTC(Lane Trace Control)等の運転支援機能を実現する。一例として、運転支援ECU50aは、ACC及びLTCの各機能の連携により、自車両Amを走行中の自車車線Lnsに沿って走行させる運転支援制御を実施する。
【0035】
自動運転ECU50bは、運転支援ECU50aよりも高い演算能力を備えており、ACC及びLTC等に相当する走行制御を少なくとも実施できる。自動運転ECU50bは、処理部51、RAM52、記憶部53、入出力インターフェース54及びこれらを接続するバス等を備えた制御回路を主体として含むコンピュータである。処理部51は、RAM52へのアクセスにより、本開示の自動運転制御方法を実現するための種々の処理を実行する。記憶部53には、処理部51によって実行される種々のプログラム(自動運転制御プログラム等)が格納されている。処理部51によるプログラムの実行により、自動運転ECU50bには、自動運転機能を実現するための複数の機能部として、情報連携部61、環境認識部62、行動判断部63及び制御実行部64等が構築される(
図2参照)。
【0036】
情報連携部61は、HCU100の情報連携部82への情報提供と、情報連携部82からの情報取得とを実施する。これら情報連携部61,82の連携により、自動運転ECU50b及びHCU100は、それぞれが取得した情報を共有する。情報連携部61は、自動運転機能の動作状態を示す制御ステータス情報を生成し、生成した制御ステータス情報を情報連携部82に提供する。加えて情報連携部61は、情報連携部82へ向けた報知の実施要求の出力により、自動運転機能の動作状態に同期したHCU100による報知を可能にする。一方、情報連携部61は、ドライバの操作情報等を情報連携部82から取得する。情報連携部61は、操作情報に基づき、HMIシステム10等へ入力されるユーザ操作の内容を把握する。
【0037】
環境認識部62は、ロケータ35より取得するロケータ情報と、周辺監視センサ30より取得する検出情報とを組み合わせ、自車両Amの走行環境を認識する。具体的に、環境認識部62は、自車両Amが走行する道路に関する情報と、自車周囲の動的な物標(周辺車両等)の相対位置及び相対速度等を把握する。加えて環境認識部62は、自車両Amの状態を示す車両情報を通信バス99から取得する。一例として、環境認識部62は、自車両Amの現在の走行速度を示す車速情報を取得する。
【0038】
環境認識部62は、自車周囲の他車両の情報と車速情報等とを組み合わせて、自車両Amの周囲の渋滞を把握する。一例として、現在の自車両Amの走行速度が渋滞速度(例えば、30km/h程度)以下であり、かつ、自車両Amと同一の車線を走行する前後の他車両が共に存在する場合、環境認識部62は、自車周囲が渋滞状態にあると判定する。加えて環境認識部62は、自車両Amの走行する道路又は走行予定の道路が予め設定された自動運転可能エリア(以下、ADエリア)又は制限付きADエリアであるか否かを判別する。ADエリア又は制限付きADエリアは、例えば自動車専用道路等を含む高速道路に設定される。
【0039】
行動判断部63は、運転支援ECU50a及びHCU100と連携し、自動運転システム50及びドライバ間での運転交代を制御する。加えて行動判断部63は、自動運転ECU50bに運転操作の制御権がある場合、環境認識部62による走行環境の認識結果に基づき、自車両Amを走行させる予定走行ラインを生成し、生成した予定走行ラインを制御実行部64に出力する。
【0040】
行動判断部63は、自動運転機能の動作状態を制御するためのサブ機能部として、制御切替部77を有する。制御切替部77は、運転支援ECU50aと連携し、ドライバに周辺監視義務のある運転支援制御と、ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御とを切り替える。加えて制御切替部77は、自律走行制御によって自車両Amを走行させる場合、自律走行制御の制御モードを複数のうちで切り替える。自律走行制御の制御モードには、渋滞中の走行に限定して実施される渋滞限定制御(以下、渋滞時レベル3)と、特定のエリア内に限定して実施されるエリア限定制御(以下、エリアレベル3)と、が少なくとも含まれている。制御切替部77は、上述したADエリア内の道路においては渋滞時レベル3又はエリアレベル3の実施を許可し、制限付きADエリア内の道路においては渋滞時レベル3のみの実施を許可する。制御切替部77は、ADエリア及び制限付きADエリアのいずれにも含まれない手動運転エリア(以下、MDエリア)では、レベル3の自律走行制御での走行を原則的に禁止する。
【0041】
制御実行部64は、自動運転ECU50bに運転操作の制御権がある場合、走行制御ECU40との連携により、行動判断部63にて生成された予定走行ラインに従って、自車両Amの加減速制御及び操舵制御等を実行する。具体的に、制御実行部64は、予定走行ラインに基づく制御指令を生成し、生成した制御指令を走行制御ECU40へ向けて逐次出力する。
【0042】
ここで、ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御は、自車両Amと同一の車線(以下、自車車線Lns)を走行する前後の周辺車両の走行状態に異常が生じると、強制的に終了されてしまう場合がある。本開示の自動運転ECU50bは、周辺車両の走行状態に異常が生じた場合でも、自律走行制御の継続が可能となるように自車両Amの走行状態を制御する。以下、周辺車両の走行状態の異常に対処し、自律走行制御の中断を回避可能にする中断回避制御の詳細を説明する。尚、以下の説明における前後及び左右の各方向は、水平面上に静止させた自車両Amを基準として規定される。
【0043】
環境認識部62は、走行環境認識に関連するサブ機能部として、レーン把握部72及び他車把握部73を有する。
【0044】
レーン把握部72は、自車両Amが走行する道路に関する情報のうちで、特に自車車線Lns(
図4~
図7参照)に関する情報を把握する。レーン把握部72は、主に自車両Amの前後をそれぞれ撮像する各カメラユニット31の検出情報に基づき、自車車線Lnsを区画する左右の区画線BL1,BL2を認識する。レーン把握部72は、各区画線BL1,BL2の相対位置と、進行方向における各区画線BL1,BL2の形状を把握し、自車車線Lnsとなる範囲を特定する。レーン把握部72にて認識された各区画線BL1,BL2の情報は、行動判断部63による予定走行ラインの生成に用いられる。
【0045】
尚、レーン把握部72は、区画線BL1,BL2に替えわる自車車線Lnsの境界として、道路端を認識可能であってもよい。但し、自律走行制御は、実質的に区間線が存在する道路に限定して実施されるのが望ましい。
【0046】
他車把握部73は、自車周囲の動的な物標に関する情報のうちで、特に自車車線Lnsにおいて自車両Amの前後を走行する前方車両Af及び後方車両Ab(
図4~
図7参照)の相対位置及び相対速度等を把握する。加えて他車把握部73は、前方車両Af及び後方車両Abの逸脱を検知する。
【0047】
詳記すると、他車把握部73は、周辺車両の自車両Amへの接近に基づき、前後方向における周辺車両の逸脱を判定する。一例として、他車把握部73は、自車両Am(又は周辺車両)の走行速度に基づき、周辺車両の自車両Amに対する前後方向の基準位置を設定する。他車把握部73は、自車両Am等の走行速度が高くなるほど、前後の基準位置を自車両Amから遠い位置に設定する。他車把握部73は、周辺車両が基準位置から所定範囲を超えて自車両Amに接近した場合、この周辺車両が前後方向に逸脱していると判定する。尚、前後方向における基準位置は、例えば前方車両Afの後端又は後方車両Abの後端に関連付けられる。
【0048】
また別の一例として、他車把握部73は、自車両Am等の走行速度に基づき、周辺車両の自車両Amに対する前後方向の接近判定距離を設定する。他車把握部73は、自車両Am等の走行速度が高くなるほど、前後の接近判定距離を長く設定する。他車把握部73は、前後の周辺車両が接近判定距離を超えて自車両Amに接近した場合、この周辺車両が前後方向に逸脱していると判定する。
【0049】
さらに、他車把握部73は、周辺車両の左右の区画線BL1,BL2への接近に基づき、左右方向における周辺車両の逸脱を判定する。一例として、他車把握部73は、レーン把握部72にて認識される左右の区画線BL1,BL2の位置情報に基づき、車線内における周辺車両の左右方向の基準位置を設定する。他車把握部73は、周辺車両が基準位置から所定範囲を超えて左右の区画線BL1,BL2に接近した場合、この周辺車両が左右方向に逸脱していると判定する。尚、左右方向における基準位置は、例えば周辺車両の左端及び右端に関連付けられていてもよく、又は周辺車両の左右方向の中心位置に関連付けられていてもよい。
【0050】
また別の一例として、他車把握部73は、各区画線BL1,BL2に対する左右方向の接近判定距離を設定する。他車把握部73は、前後の周辺車両が接近判定距離を超えて各区画線BL1,BL2に接近した場合、この周辺車両が左右方向に逸脱していると判定する。こうした左右方向の逸脱判定に用いる基準位置及び接近判定距離は、自車両Amの走行速度に関わらず実質的に一定であってよい。
【0051】
他車把握部73は、例えば第1逸脱シーンSn1~第4逸脱シーンSn4等において、周辺車両の逸脱を検知する。第1逸脱シーンSn1(
図4参照)では、後方車両Abが右方向にずれた位置を走行している。この場合、他車把握部73は、後方車両Abの左右方向(右方向)への逸脱を検知する。第2逸脱シーンSn2(
図5参照)では、後方車両Abが自車両Amに異常接近している。この場合、他車把握部73は、後方車両Abの前後方向(前方向)への逸脱を検知する。第3逸脱シーンSn3(
図6参照)では、前方車両Af及び後方車両Abが共に左方向にずれた位置を走行している。この場合、他車把握部73は、前方車両Af及び後方車両Abの同一方向(左方向)への逸脱を検知する。第4逸脱シーンSn4(
図7参照)では、前方車両Af及び後方車両Abが互いに異なる左右方向にずれた位置を走行している。この場合、他車把握部73は、前方車両Af及び後方車両Abのそれぞれ別方向への逸脱を検知する。尚、ここまで説明した第1逸脱シーンSn1~第4逸脱シーンSn4は、渋滞中での走行シーンであってもよく、非渋滞中での走行シーンであってもよい。
【0052】
行動判断部63は、自律走行制御の動作状態を制御するためのサブ機能部として、上述の制御切替部77に加えて、設定変更部78を有する。
【0053】
制御切替部77は、自律走行制御によって自車両Amが走行している状態で、前方車両Af及び後方車両Abの少なくとも一方に逸脱が生じている場合、各区画線BL1,BL2の情報に基づく自律走行制御の継続が可能か否かを判定する。制御切替部77は、各区画線BL1,BL2の情報に基づく自律走行制御を継続できないと判定した場合、設定変更部78に走行制御の変更を指示する。制御切替部77は、設定変更部78による走行制御の変更後、各区画線BL1,BL2の情報に基づく自律走行制御の継続が可能か否かを再び判定する。
【0054】
設定変更部78は、周辺車両の逸脱の検知に基づく制御切替部77での最初の継続可否判定にて、各区画線BL1,BL2の情報に基づく自律走行制御の継続が可能と判定された場合、各区画線BL1,BL2の情報に基づき自律走行制御を継続する。一方、周辺車両の逸脱の検知に基づく最初の継続可否判定にて、各区画線BL1,BL2の情報に基づく自律走行制御が継続できないと判定された場合、設定変更部78は、自律走行制御の設定を変更する。具体的に、設定変更部78は、自律走行制御に用いるパラメータのうち、自車車線Lns内における自車両Amの走行位置に関連するパラメータを調整する。設定変更部78は、各区画線BL1,BL2の認識が周辺車両に妨げられないように、逸脱の検知された周辺車両から離れるように、自車両Amの走行位置を変更する。
【0055】
具体的に、設定変更部78は、前方車両Af及び後方車両Abのうちの一方のみが逸脱している場合、逸脱している一方の周辺車両と自車両Amとの間の間隔を広げるように自車両Amの走行を制御する。例えば、前方車両Afの逸脱のみが検知されている場合、設定変更部78は、前方車両Afと自車両Amとの間の間隔(以下、前方車間距離)を広げるように、自車両Amの走行を制御する。この場合、設定変更部78は、自車両Amの走行速度を、前方車両Afの走行速度よりも僅かに遅く設定する。
【0056】
対して、第1逸脱シーンSn1(
図4参照)及び第2逸脱シーンSn2(
図5参照)のように、後方車両Abの逸脱のみが検知されている場合、設定変更部78は、後方車両Abと自車両Amとの間の間隔(以下、後方車間距離)を広げるように走行を制御する。この場合、設定変更部78は、自車両の走行速度を、後方車両Abの走行速度よりも僅かに速く設定する。
【0057】
さらに、第3逸脱シーンSn3(
図6参照)及び第4逸脱シーンSn4(
図7参照)のように、前方車両Af及び後方車両Abが共に逸脱している場合、設定変更部78は、前方車間距離を広げるように自車両Amの走行を制御する。このように、設定変更部78は、前方車両Af及び後方車両Abが共に逸脱している場合、後方車間距離の確保よりも、前方車間距離の確保を優先する。
【0058】
設定変更部78は、自律走行制御の設定を変更した後、制御切替部77による再度の継続可否判定にて自律走行制御の継続が可能と判定された場合、変更後の設定を維持しつつ、各区画線BL1,BL2の情報に基づく自律走行制御を継続する。この場合、設定変更部78は、周辺車両の逸脱の解消に基づき、走行制御の設定を変更前の状態に戻す。一方、自律走行制御の設定を変更した後の再度の継続可否判定でも、自律走行制御継続が継続できないと判定された場合、設定変更部78は、制御切替部77と連携し、自律走行制御を終了させる。この場合、自車両Amの自動運転レベルは、レベル3からレベル1又はレベル0(手動運転)に変更される。
【0059】
次に、ここまで説明した中断回避制御の実施を含む逸脱対応処理の詳細を、
図8に基づき、
図1~
図7を参照しつつ、以下説明する。逸脱対応処理は、自律走行制御の起動に基づき開始され、自律走行制御の終了まで自動運転ECU50bによって継続的に実施される。
【0060】
逸脱対応処理のS11では、環境認識部62による走行環境の認識に基づき、他車把握部73が、前方車両Af及び後方車両Abの逸脱を検知する。さらに、S12では、直前のS11において前方車両Af又は後方車両Abの逸脱が検知されたか否かを判定する。S12にて、前方車両Af及び後方車両Abが共に逸脱していないと判定した場合、S11に戻り、前方車両Af及び後方車両Abの逸脱発生の監視を継続する。一方、S12にて、前方車両Af及び後方車両Abのうち、少なくとも一方の逸脱を検知した場合、S13に進む。
【0061】
S13では、情報連携部61が、逸脱発生報知の実施要求をHCU100へ向けて出力する。提示制御部88は、情報連携部82にて取得される実施要求に基づいて逸脱発生報知を実施する。
【0062】
逸脱発生報知は、自車周囲に逸脱が発生していることと、逸脱している周辺車両がどの周辺車両であるのかと、をドライバ等の乗員に通知する。逸脱発生報知は、例えばメータディスプレイ21に常時表示されているステータス画像を用いて実施される。ステータス画像は、自車アイコンを中心に形成されている。逸脱発生報知は、逸脱した周辺車両を示す他車アイコンをステータス画像に追加する表示変化によって実施される。ドライバは、自車アイコンに関連付けて表示される他車アイコンにより、周辺車両における逸脱の発生と、逸脱した周辺車両の相対位置とを把握する。
【0063】
S14では、制御切替部77が、現在認識されている左右の区画線BL1,BL2の情報に基づき、自律走行制御(自動運転レベル3)が継続可能か否かを判定する。S14の最初の継続可否判定にて、自律走行制御が継続可能であると判定した場合、S21に進み、自律走行制御の継続を決定する。これにより、設定変更部78が、各区画線BL1,BL2の情報に基づき、自律走行制御を継続する。このとき、設定変更部78は、自律走行制御の設定を実質的に変更しない。
【0064】
一方、S14の継続可否判定にて、各区画線BL1,BL2の情報に基づく自律走行制御の継続が現状では不可能であると判定した場合、S15に進む。S15では、情報連携部61が、制御変化報知の実施要求をHCU100へ向けて出力する。提示制御部88は、情報連携部82にて取得される実施要求に基づいて制御変化報知を実施する。
【0065】
制御変化報知は、設定変更部78による走行制御のパラメータ調整前に開始される。制御変化報知は、自車両Amの走行制御が変更され、自車車線Lns内における自車両Amの位置等に変化が生じることを、ドライバ等の乗員に通知する。一例として、メータディスプレイ21のステータス画像において、自車アイコンから他車アイコンを遠ざける等のアニメーション表示が、制御変化報知として提示される。
【0066】
S16では、他車把握部73が、前方車両Af及び後方車両Abの両方に逸脱が生じているか否かを判定する。S16にて、前方車両Af及び後方車両Abのうちの片方のみに逸脱が生じていると判定した場合、S17に進む。S17では、設定変更部78が、逸脱している周辺車両との車間距離を確保するように自車両Amの走行速度を調整する。第1逸脱シーンSn1及び第2逸脱シーンSn2のように、後方車両Abのみが逸脱している場合、前方車両Afに近づきすぎないようにしつつ、後方車間距離が拡大される。
【0067】
一方、S16にて、前方車両Af及び後方車両Abの両方に逸脱が生じていると判定した場合、S18に進む。S18では、設定変更部78が、前方車間距離を確保するように、自車両Amの走行速度を調整する。第3逸脱シーンSn3及び第4逸脱シーンSn4のように、前方車両Af及び後方車両Abが共に逸脱している場合、自車両Amは、前方車両Afから徐々に離れていく。
【0068】
S19では、直前のS17又はS18の走行制御により、左右の区画線BL1,BL2の情報に基づく自律走行制御の継続が可能になったか否かを、制御切替部77が再び判定する。S19の継続可否再判定にて、自律走行制御の継続が可能にならなかったと判定した場合、S20に進む。S20では、自律走行制御の中断を決定し、今回の逸脱対応処理を終了する。
【0069】
一方、S19の継続可否再判定にて、自律走行制御の継続が可能になったと判定した場合、S21に進む。S21では、自律走行制御の継続を決定し、今回の逸脱対応処理を終了する。この場合、自車両Amは、逸脱した周辺車両から通常よりも離れた状態を維持しつつ、各区画線BL1,BL2の情報に基づく自律走行制御による走行を継続する。
【0070】
ここまで説明した第一実施形態では、自律走行制御によって自車両Amが走行している状態で、前方車両Af又は後方車両Abに逸脱が生じていても、区画線BL1,BL2の情報に基づく自律走行制御の継続が可能であれば、自律走行制御が継続される。以上によれば、前方車両Af又は後方車両Ab等の挙動の変化に起因する自律走行制御の中断が抑制され得る。即ち、前方車両Af及び後方車両Ab等が誤った走行をしている逸脱シーン等にて、これらの周辺車両の影響で自車両Amの自律走行制御が中断されてしまう事態は、回避される。その結果、周辺監視義務のない自動運転を長く利用できるようになるため、自動運転の利便性が確保可能となる。
【0071】
加えて第一実施形態では、自車両Amの前後を走行する前方車両Af及び後方車両Abのうちの一方のみが逸脱している場合、逸脱している一方の周辺車両と自車両Amとの間の間隔を広げるように自車両Amの走行が制御される。このように、逸脱している周辺車両から離れる走行制御によれば、各区画線BL1,BL2の認識は、逸脱状態にある周辺車両に遮られ難くなる。以上によれば、各区画線BL1,BL2の情報に基づく自律走行制御が継続され易くなるため、自動運転の利便性は、いっそう向上し得る。
【0072】
また第一実施形態では、自車両Amの前方を走行する前方車両Afが逸脱している場合、前方車両Afと自車両Amとの間の間隔(前方車間距離)を広げるように、自車両Amの走行が制御される。以上によれば、進行方向の区画線BL1,BL2の形状把握が前方車両Afによって妨げられ難くなるため、各区画線BL1,BL2の情報に基づく自律走行制御が継続され易くなる。その結果、自動運転の利便性がより向上し得る。
【0073】
さらに第一実施形態では、自車両Amの前後を走行する前方車両Af及び後方車両Abが共に逸脱している場合、前方車両Afと自車両Amとの間の間隔(前方車間距離)を広げるように自車両Amの走行が制御される。以上によれば、進行方向の各区画線BL1,BL2の形状把握が前方車両Afによって妨げられ難くなる。
【0074】
加えて、前方車両Afから離れるための自車両Amの減速は、後方車両Abにも減速を促し得る。こうした後方車両Abの減速により、後方車両Abと自車両Amとの間の間隔(後方車間距離)が広がれば、後方の各区画線BL1,BL2の把握も容易となる。以上のように、前方車間距離の確保を優先する制御によれば、各区画線BL1,BL2の情報に基づく自律走行制御が継続され易くなり、ひいては自動運転の利便性が確保され得る。
【0075】
また第一実施形態では、各情報連携部61,82の連携により、周辺車両の逸脱を示す逸脱発生報知と、自車両Amの走行位置の変化を示す制御変化報知とが実施される。故に、ドライバ等の乗員は、周辺監視義務のない状態下でも、周辺車両における逸脱の発生と、逸脱に起因する自車両Amの走行位置の変化予定とを、容易に把握し得る。以上によれば、自律走行制御に対する不安が軽減され得るため、自律走行制御の中断回避制御と相まって、ドライバの感じる自動運転の利便性が向上可能になる。
【0076】
さらに第一実施形態では、後方車両Abが自車両Amに接近する方向に逸脱している場合、後方車両Abの接近を示す逸脱発生報知が実施される。このように、周辺車両の監視を正しくできていることがドライバ等に示されることで、自動運転機能に対する信頼感が向上し得る。
【0077】
尚、第一実施形態では、情報連携部61が「報知制御部」に相当し、レーン把握部72が「区画線認識部」に相当し、他車把握部73が「逸脱判定部」に相当し、制御切替部77が「継続判定部」に相当し、設定変更部78が「制御継続部」に相当する。さらに、自動運転ECU50bが「自動運転制御装置」に相当する。
【0078】
(第二実施形態)
本開示の第二実施形態は、第一実施形態の変形例である。第二実施形態では、周辺車両に逸脱が生じた場合でも、自律走行制御の継続を前提に、区画線BL1,BL2の認識の確実性を確保すため、自車両Amの走行位置が調整される。以下、第二実施形態の他車把握部73及び設定変更部78による位置調整制御の詳細を、
図9~
図12に基づき、
図1~
図3を参照しつつ、以下説明する。
【0079】
他車把握部73は、自車車線Lns内における周辺車両の逸脱に加えて、周辺車両の自車車線Lnsからのはみ出しを検知する。他車把握部73は、周辺車両が左右いずれかの区画線BL1,BL2を跨いでおり、周辺車両の少なくとも一部が自車車線Lnsの外に位置している場合、この周辺車両が自車車線Lnsからはみ出していると判定する。他車把握部73は、自車車線Lnsからはみ出している周辺車両を、例えば自車車線Lnsから隣接車線への車線変更中の車両であると推定する。
【0080】
設定変更部78は、前後の周辺車両のうちの一方のみの逸脱が検知された場合、第一実施形態と同様に、逸脱状態にある周辺車両から離れる方向への走行制御を実施する。このとき、自車両Amの左右方向における走行位置は、逸脱の検知の前後において実質的に変更されず、自車車線Lnsの概ね中央に維持される。
【0081】
設定変更部78は、前後の周辺車両が共に逸脱している場合、自車両Amの左右方向の走行位置を、前方車両Af及び後方車両Abの左右方向の走行位置に応じて決定する。設定変更部78は、前方車両Af及び後方車両Abの左右の逸脱の方向が同じである場合と、前方車両Af及び後方車両Abの左右の逸脱の方向が互いに異なる場合とで、自車車線Lns内における自車両Amの左右方向の走行位置を変更する。
【0082】
具体的には、第3逸脱シーンSn3(
図9参照)のように、前方車両Af及び後方車両Abが左右の同じ方向(左方向)に逸脱している場合、設定変更部78は、自車車線Lns内における自車両Amの走行位置を周辺車両に追従させる。即ち、設定変更部78は、前方車両Af及び後方車両Abと同じ左右方向(
図9では、左方向)に、自車両Amの走行位置をずらす。設定変更部78は、前方車両Af及び後方車両Abの少なくとも一方の逸脱が解消するまで、左側の区画線BL1に自車両Amを接近させた状態で自律走行制御を継続する。
【0083】
一方、第4逸脱シーンSn4(
図10参照)のように、前方車両Af及び後方車両Abの左右の逸脱の方向が互いに異なる場合、設定変更部78は、自車車線Lns内における自車両Amの走行位置を、左右方向において前後の周辺車両の中間に調整する。こうした第4逸脱シーンSn4において、設定変更部78は、自車両Amの走行位置を、自車車線Lnsの概ね中央、言い替えれば、左右の区画線BL1,BL2の中間に設定してもよい。
【0084】
設定変更部78は、例えば第5逸脱シーンSn5(
図11参照)のように、前後の周辺車両のうちの少なくとも一方(
図11では、後方車両Ab)が自車車線Lnsからはみ出している場合、走行位置の変更を中止する。この場合、設定変更部78は、自車両Amの走行位置を自車車線Lnsの概ね中央に設定する。以上のように、自車両Amの走行位置の調整は、自車車線Lns内を走行する周辺車両のみを対象に実施され、自車車線Lnsからはみ出した周辺車両は、逸脱検知の対象から実質的に除外される。
【0085】
次に、ここまで説明した位置調整制御の実施を含む逸脱対応処理の詳細を、
図12に基づき、
図1~
図3及び
図9~
図11を参照しつつ、以下説明する。第二実施形態の逸脱対応処理も、第一実施形態と同様に、自律走行制御の起動に基づき開始され、自律走行制御の終了まで自動運転ECU50bによって継続的に実施される。尚、行動判断部63は、位置調整制御による走行位置の調整後、自律走行制御の継続が困難と判定した場合には、ドライバへの運転交代の実施を決定できる。
【0086】
S211及びS212では、第一実施形態のS11及びS12(
図8参照)と同様に、他車把握部73が、前方車両Af及び後方車両Abの逸脱を監視する。そして、前方車両Af及び後方車両Abのうち、少なくとも一方の逸脱が検知された場合、S213の処理が実施される。
【0087】
S213では、情報連携部61が、逸脱発生報知及び制御変化報知の実施要求をHCU100へ向けて出力する。提示制御部88は、情報連携部82にて取得される実施要求に基づき、逸脱発生報知及び制御変化報知を順に実施する。後述の位置調整制御にて、自車両Amの走行位置が左右に変化する場合、メータディスプレイ21のステータス画像において、自車アイコンに白線アイコンを近づける等のアニメーション表示が、制御変化報知として提示されてよい。
【0088】
S214では、他車把握部73が、前方車両Af及び後方車両Abの両方に逸脱が生じているか否かを判定する。S214にて、前方車両Af及び後方車両Abのうちの片方のみに逸脱が生じていると判定した場合、S215に進む。S215では、設定変更部78が、逸脱している周辺車両との車間距離を確保するように自車両Amの走行速度を調整する。自車両Amは、前方車間距離を通常よりも確保された状態で、自律走行制御による走行を継続する。
【0089】
一方、S215にて、前方車両Af及び後方車両Abの両方に逸脱が生じていると判定した場合、S216に進む。S216では、他車把握部73が、逸脱した周辺車両が自車車線Lnsの外にはみ出しているか否かを判定する。S216にて、前方車両Af及び後方車両Abの少なくとも一方が自車車線Lnsの外にはみ出している(
図11参照)と判定した場合、S217に進む。S217では、設定変更部78が、自車両Amの走行位置を自車車線Lnsの概ね中央に設定し、自律走行制御を継続する。
【0090】
S216にて、前方車両Af及び後方車両Abが共に自車車線Lnsからはみ出してないと判定した場合、S218に進む。S218では、他車把握部73が、前方車両Af及び後方車両Abの逸脱の方向を判定する。S218にて、前方車両Af及び後方車両Abが同じ方向に逸脱していると判定した場合、S219に進む。S219では、設定変更部78が、自車両Amの走行位置を、前方車両Af及び後方車両Abの逸脱方向と同一方向にオフセットさせて(
図9参照)、自律走行制御を継続する。
【0091】
一方、S218にて、前方車両Af及び後方車両Abが互いに異なる方向に逸脱していると判定した場合、S220に進む。S220では、設定変更部78が、自車両Amの走行位置を、左右方向において前方車両Afと後方車両Abとの中間となる位置に制御し(
図10参照)、自律走行制御を継続する。
【0092】
ここまで説明した第二実施形態では、前方車両Af及び後方車両Abが共に逸脱している場合、左右の逸脱の方向が同じである場合と、左右の逸脱の方向が互いに異なる場合とで、自車車線Lns内における自車両Amの左右方向の位置が変更される。以上によれば、自律走行制御に必要な周辺状況の把握が可能になるため、自律走行制御の中断が抑制され得る。その結果、周辺監視義務のない自動運転を長く利用できるようになるため、自動運転の利便性が確保可能となる。
【0093】
加えて第二実施形態では、前方車両Af及び後方車両Abが同じ方向に逸脱している場合、設定変更部78は、自車車線Lns内における自車両Amの走行位置を、前方車両Af及び後方車両Abの逸脱方向と同じ方向にずらす。このように、前後の周辺車両と同じ方向に自車両Amをオフセットさせる制御によれば、ドライバ等の乗員の違和感が低減され得る。
【0094】
また第二実施形態では、前方車両Af及び後方車両Abが互いに異なる方向に逸脱している場合、設定変更部78は、自車車線Lns内における自車両Amの走行位置を、左右方向において前方車両Af及び後方車両Abの中間となる位置に調整する。こうした位置調整によれば、自車両Amの前後から取得される情報を組み合わせて、左右の区画線BL1,BL2の情報が把握され易くなる。その結果、自律走行制御の中断が生じ難くなるため、自動運転の利便性が向上し得る。
【0095】
さらに第二実施形態では、前方車両Af及び後方車両Abの少なくとも一方が自車車線Lnsからはみ出している場合、設定変更部78は、自車両Amの走行位置の変更を中止する。自車車線Lnsからはみ出している周辺車両は、車線変更中の車両である可能性がある。故に、車線変更中の周辺車両を走行位置の調整に用いる対象から早期に除外することで、走行位置の大きな変化が抑制される。その結果、自律走行制御による走行が円滑となるため、自動運転の利便性が向上し得る。
【0096】
(他の実施形態)
以上、本開示の複数の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定して解釈されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
【0097】
上記第二実施形態の変形例1では、前後の周辺車両が同じ方向に逸脱する第3逸脱シーンSn3(
図13参照)において、自車車線Lns内における自車両Amの走行位置を、左右方向にて各周辺車両の逸脱方向と反対の方向にずらす位置調整制御が実施される。例えば、前方車両Af及び後方車両Abが共に左方向に逸脱している場合、自車両Amは、自車車線Lns内を右方向にオフセットした状態で、自律走行制御による走行を継続する。こうした変形例1では、前後の周辺車両の逸脱方向に対し逆側にオフセットさせる制御が行われることで、区画線BL1,BL2の把握が、各周辺車両によって妨げられ難くなる。その結果、自律走行制御による走行継続期間が長く確保され得る。
【0098】
上記第一実施形態の変形例2では、逸脱対応処理の中断回避制御にて、第二実施形態の位置調整制御と実質的に同一の走行制御が実施される。詳記すると、前後の周辺車両が共に逸脱していると判定した場合(
図8 S14:YES参照)、第二実施形態のS216~S220と実質同一の処理が実施される。そして、自車両Amの走行位置が調整された後、制御切替部77による継続可否の再判定(
図8 S19参照)が実施される。以上のように、中断回避制御として、自車両Amの走行位置を左右にオフセットさせる調整が実施されてもよい。
【0099】
さらに、上記実施形態の変形例3では、前方車両Af及び後方車両Abのうち一方のみが逸脱している逸脱シーンでも、左右方向へのオフセットを伴う中断回避制御又は位置調整制御が実施される。
【0100】
上記実施形態の変形例4では、前後の周辺車両が互いに異なる左右方向に逸脱する第3逸脱シーンSn3において、自車両Amの走行位置は、前方車両Afの逸脱方向と反対の方向に調整される。また、上記実施形態の変形例5では、前後の周辺車両が互いに異なる左右方向に逸脱する第3逸脱シーンSn3において、自車両Amの走行位置は、前方車両Afと同じ方向に調整される。
【0101】
上記実施形態の変形例6の設定変更部78は、左右の区画線BL1,BL2のうち、片方の情報だけでも自律走行制御を継続できる。また、上記実施形態の変形例7の他車把握部73は、隣接車線を走行する周辺車両の逸脱を判定する。変形例7の設定変更部78は、隣接車線において逸脱状態にある周辺車両から離れるように自車両Amの走行位置を調整する。
【0102】
上記実施形態の変形例8では、周辺車両の左右方向の逸脱が検知される一方で、周辺車両の前後方向の逸脱の検知は実施されない。対して、上記実施形態の変形例9では、周辺車両の前後方向の逸脱が検知される一方で、周辺車両の左右方向の逸脱の検知は実施されない。以上の変形例8,9のように、検知対象とされる前後車両の逸脱は、前後方向及び左右方向のうちの一方のみであってよい。
【0103】
上記実施形態の逸脱対応処理は、渋滞時レベル3による自動走行期間にて限定的に実施されてもよく、又は渋滞時レベル3及びエリアレベル3の両方の自動走行期間にて実施されてもよい。
【0104】
上記実施形態における逸脱発生報知及び制御変化報知の様態は、適宜変更されてよい。一例として、提示制御部88は、逸脱発生報知及び制御変化報知に、メータディスプレイ21とは異なる表示デバイス及びアンビエントライト25を使用してもよい。例えば、制御変化報知に、HUD23による虚像表示が用いられてよい。さらに、逸脱発生報知及び制御変化報知に用いるコンテンツの表示色、表示サイズ、表示輝度、並びにアニメーション及び点滅の有無等は、適宜変更されてよい。加えて、音声メッセージの再生が、逸脱発生報知及び制御変化報知として実施されてもよい。
【0105】
上記実施形態の変形例10では、運転支援ECU50a及び自動運転ECU50bの各機能は、一つの自動運転ECUによって提供されている。即ち、変形例10の自動運転ECU50bには、運転支援ECU50aの機能が実装されている。こうした変形例10では、統合された自動運転ECUが「自動運転制御装置」に相当する。さらに、自動運転ECUに、HCU100の機能がさらに実装されていてもよい。こうした形態では、提示制御部88が「報知制御部」に相当する。
【0106】
上記実施形態にて、運転支援ECU、自動運転ECU及びHCUによって提供されていた各機能は、ソフトウェア及びそれを実行するハードウェア、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの複合的な組合せによっても提供可能である。さらに、こうした機能がハードウェアとしての電子回路によって提供される場合、各機能は、多数の論理回路を含むデジタル回路、又はアナログ回路によっても提供可能である。
【0107】
上記実施形態の各処理部は、RAMと結合された演算処理のためのハードウェアである。処理部は、CPU(Central Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)等の演算コアを少なくとも一つ含む構成である。処理部は、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、NPU(Neural network Processing Unit)及び他の専用機能を備えたIPコア等をさらに含む構成であってよい。こうした処理部は、プリント基板に個別に実装された構成であってもよく、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)及びFPGA等に実装された構成であってもよい。
【0108】
また、各種プログラム等を記憶する記憶媒体(持続的有形コンピュータ読み取り媒体,non-transitory tangible storage medium)の形態も、適宜変更されてよい。こうした記憶媒体は、回路基板上に設けられた構成に限定されず、メモリカード等の形態で提供され、スロット部に挿入されて、自動運転ECU又はHCU等の制御回路に電気的に接続される構成であってよい。さらに、記憶媒体は、自動運転ECU又はHCUへのプログラムのコピー基となる光学ディスク及びのハードディスクドライブ等であってもよい。
【0109】
上記の自動運転システム及びHMIシステムを搭載する車両は、一般的な自家用の乗用車に限定されず、レンタカー用の車両、有人タクシー用の車両、ライドシェア用の車両、貨物車両及びバス等であってもよい。また、自動運転システム及びHMIシステムを搭載する車両は、右ハンドル車両であってもよく、又は左ハンドル車両であってもよい。さらに、車両が走行する交通環境は、左側通行を前提とした交通環境であってもよく、右側通行を前提とした交通環境であってもよい。本開示による情報提示制御及び自動運転制御は、それぞれの国及び地域の道路交通法、さらに車両のハンドル位置等に応じて適宜最適化されてよい。
【0110】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の装置及びその手法は、専用ハードウェア論理回路により、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の装置及びその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと一つ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
ここまで説明した実施形態及び変形例から把握される技術的思想を、付記として以下に記載する。
(付記1-1)
ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御によって自車両(Am)を走行させることが可能な自動運転制御装置であって、
前記自車両が走行する自車車線(Lns)の左右の区画線(BL1,BL2)を認識する区画線認識部(72)と、
前記自車車線を走行する周辺車両についての逸脱を判定する逸脱判定部(73)と、
前記自律走行制御によって前記自車両が走行している状態で、前記周辺車両に逸脱が生じている場合、前記区画線の情報に基づく前記自律走行制御の継続が可能か否かを判定する継続判定部(77)と、
前記区画線の情報に基づく前記自律走行制御の継続が可能な場合、前記区画線の情報に基づき前記自律走行制御を継続する制御継続部(78)と、
を備える自動運転制御装置。
(付記1-12)
ドライバに周辺監視義務のない自律走行制御によって自車両(Am)を走行させることが可能な自動運転制御プログラムであって、
前記自車両が走行する自車車線(Lns)の左右の区画線(BL1,BL2)を認識し(S11)、
前記自車車線を走行する周辺車両についての逸脱を判定し(S12)、
前記自律走行制御によって前記自車両が走行している状態で、前記周辺車両に逸脱が生じている場合、前記区画線の情報に基づく前記自律走行制御の継続が可能か否かを判定し(S14,S19)、
前記区画線の情報に基づく前記自律走行制御の継続が可能な場合、前記区画線の情報に基づき前記自律走行制御を継続する(S21)、
ことを含む処理を、少なくとも一つの処理部(51)に実行させる自動運転制御プログラム。
【符号の説明】
【0111】
Am 自車両、Lns 自車車線、BL1,BL2 区画線、50b 自動運転ECU(自動運転制御装置)、51 処理部、61 情報連携部(報知制御部)、72 レーン把握部(区画線認識部)、73 他車把握部(逸脱判定部)、77 制御切替部(継続判定部)、78 設定変更部(制御継続部)