(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-24
(45)【発行日】2024-10-02
(54)【発明の名称】ソーラー制御装置、方法、プログラム、及び車両
(51)【国際特許分類】
H02J 7/35 20060101AFI20240925BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240925BHJP
B60L 8/00 20060101ALI20240925BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240925BHJP
B60L 58/10 20190101ALI20240925BHJP
【FI】
H02J7/35 F
H02J7/00 S
H02J7/00 P
B60L8/00
B60L50/60
B60L58/10
(21)【出願番号】P 2021142250
(22)【出願日】2021-09-01
【審査請求日】2023-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】弁理士法人小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】玉尾 淳一郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 哲朗
【審査官】三橋 竜太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-087291(JP,A)
【文献】特開2014-099986(JP,A)
【文献】特開2020-058206(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0273130(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
B60L 1/00-3/12
B60L 7/00-13/00
B60L 15/00-58/40
H02J 1/00-1/16
H02J 3/00-5/00
H01M 10/42-10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソーラーパネルと、前記ソーラーパネルの発電電力を入力する第1DCDCコンバータと、を含むソーラーユニット、及び前記ソーラーユニットが出力する電力を入力する第2DCDCコンバータと、前記第2DCDCコンバータに充電可能に接続されるバッテリと、を含む電力変換ユニットを、一方のユニットを少なくとも1つ以上かつ他方のユニットを2つ以上備えた、ソーラー充電システムを制御するソーラー制御装置であって、
前記第1DCDCコンバータと前記第2DCDCコンバータとが接続される中間点の電圧を検出する検出部と、
前記第1DCDCコンバータ及び前記第2DCDCコンバータを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記検出部が検出した前記中間点の電圧が第1閾値を超えた場合、前記第2DCDCコンバータの出力電流を所定の値にさせた後に、前記第1DCDCコンバータの出力を制限する、ソーラー制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1DCDCコンバータの出力を制限した後に、前記第2DCDCコンバータの出力電流を第2閾値以下にさせる、請求項1に記載のソーラー制御装置。
【請求項3】
前記ソーラー充電システムが2つの前記電力変換ユニットを備えており、
前記制御部は、前記検出部が検出した前記中間点の電圧が第1閾値を超えた場合、一方の前記電力変換ユニットに含まれる前記第2DCDCコンバータの出力を制限し、かつ、他方の前記電力変換ユニットに含まれる前記第2DCDCコンバータの出力電流を所定の値にさせた後に、前記第1DCDCコンバータの出力を制限する、請求項1又は2に記載のソーラー制御装置。
【請求項4】
前記第2DCDCコンバータの出力電流の所定の値は、最大値である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のソーラー制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、出力を停止することによって前記第1DCDCコンバータ及び前記第2DCDCコンバータの出力を制限する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のソーラー制御装置。
【請求項6】
ソーラーパネルと、前記ソーラーパネルの発電電力を入力する第1DCDCコンバータと、を含むソーラーユニット、及び前記ソーラーユニットが出力する電力を入力する第2DCDCコンバータと、前記第2DCDCコンバータに充電可能に接続されるバッテリと、を含む電力変換ユニットを、一方のユニットを少なくとも1つ以上かつ他方のユニットを2つ以上備えた、ソーラー充電システムを制御するソーラー制御装置が行う方法であって、
前記第1DCDCコンバータと前記第2DCDCコンバータとが接続される中間点の電圧を検出する第1ステップと、
前記第1ステップで検出した前記中間点の電圧が第1閾値を超えた場合、前記第2DCDCコンバータの出力電流を所定の値に制御する第2ステップと、
前記第2ステップの後に、前記第1DCDCコンバータの出力を制限する第3ステップと、を含む、方法。
【請求項7】
ソーラーパネルと、前記ソーラーパネルの発電電力を入力する第1DCDCコンバータと、を含むソーラーユニット、及び前記ソーラーユニットが出力する電力を入力する第2DCDCコンバータと、前記第2DCDCコンバータに充電可能に接続されるバッテリと、を含む電力変換ユニットを、一方のユニットを少なくとも1つ以上かつ他方のユニットを2つ以上備えた、ソーラー充電システムを制御するソーラー制御装置のコンピューターが実行するプログラムであって、
前記第1DCDCコンバータと前記第2DCDCコンバータとが接続される中間点の電圧を検出する第1ステップと、
前記第1ステップで検出した前記中間点の電圧が第1閾値を超えた場合、前記第2DCDCコンバータの出力電流を所定の値に制御する第2ステップと、
前記第2ステップの後に、前記第1DCDCコンバータの出力を制限する第3ステップと、を含む、プログラム。
【請求項8】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のソーラー制御装置を搭載した、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ソーラーパネルの発電電力を用いたバッテリ充電を行うソーラー充電システムを制御するソーラー制御装置などに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、2つのソーラーパネルと、各ソーラーパネルに対応して設けられる2つのソーラーDCDCコンバータと、ソーラーDCDCコンバータの出力電力を高圧バッテリに供給する高圧DCDCコンバータと、ソーラーDCDCコンバータの出力電力を補機バッテリに供給する補機DCDCコンバータと、を備えた、ソーラー充電システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている複数のDCDCコンバータを備えたシステムでは、ソーラーパネルの発電電力の変動などが原因で、ソーラーDCDCコンバータの出力側と高圧DCDCコンバータ及び補機DCDCコンバータの入力側とを接続する中間点の電圧が所定値を超えて大きくなる現象である、中間点の過電圧が発生するおそれがある。この中間点の過電圧は、システムを構成する回路素子などの劣化や故障などに影響を与えるため、中間点の過電圧が発生した場合には、回路素子を保護する必要がある。
【0005】
本開示は、上記課題を鑑みてなされたものであり、中間点の過電圧が発生した場合に、ソーラー充電システムの回路素子などを好適に保護することができる、ソーラー制御装置などを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示技術の一態様は、ソーラーパネルと、ソーラーパネルの発電電力を入力する第1DCDCコンバータと、を含むソーラーユニット、及びソーラーユニットが出力する電力を入力する第2DCDCコンバータと、第2DCDCコンバータに充電可能に接続されるバッテリと、を含む電力変換ユニットを、一方のユニットを少なくとも1つ以上かつ他方のユニットを2つ以上備えた、ソーラー充電システムを制御するソーラー制御装置であって、第1DCDCコンバータと第2DCDCコンバータとが接続される中間点の電圧を検出する検出部と、第1DCDCコンバータ及び第2DCDCコンバータを制御する制御部と、を備え、制御部は、検出部が検出した中間点の電圧が第1閾値を超えた場合、第2DCDCコンバータの出力電流を所定の値にさせた後に、第1DCDCコンバータの出力を制限する、ソーラー制御装置である。
【発明の効果】
【0007】
上記本開示のソーラー制御装置などによれば、中間点の過電圧が発生した場合に、DCDCコンバータを制御してソーラー充電システムの回路素子などを適切に保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係るソーラー制御装置を含むソーラー充電システムの概略構成を示すブロック図
【
図2】ソーラー制御装置が実行する充電制御処理(第1例)のフローチャート
【
図3】ソーラー制御装置が実行する充電制御処理(第1例)の応用例のフローチャート
【
図4】ソーラー制御装置が実行する充電制御処理(第2例)のフローチャート
【
図5】ソーラー制御装置が実行する充電制御処理(第2例)の応用例のフローチャート
【
図6】第1例の充電制御処理における各DCDCコンバータの処理タイミング例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示によるソーラー制御装置は、ソーラーユニットと電力変換ユニットとが接続される中間点の電圧が過電圧になった場合、電力変換ユニットによって中間点の電荷を放出する経路を形成した上で、ソーラーユニットの出力を停止する。これにより、中間点の電圧を安全なレベルまで低下した状態でDCDCコンバータが停止するので、システムの回路素子などを適切に保護することができる。
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
<実施形態>
[構成]
図1は、本開示の一実施形態に係るソーラー制御装置を含むソーラー充電システムの概略構成を示すブロック図である。
図1に例示したソーラー充電システム1は、2つのソーラーパネル11及び12と、2つのソーラーDDC21及び22と、高圧DDC30と、補機DDC40と、高圧バッテリ50と、補機バッテリ60と、コンデンサ70と、本実施形態のソーラー制御装置100と、を備えている。
図1において、電力の送受が行われる接続線を実線で示し、指示やデータなどが通信される接続線を点線で示す。このソーラー充電システム1は、車両などに搭載することができる。
【0011】
ソーラーパネル11及び12は、それぞれ、太陽光の照射を受けて発電する発電装置であり、典型的には太陽電池セルの集合体である太陽電池モジュールである。このソーラーパネル11及び12は、例えば車両のルーフなどに設置することができる。一方のソーラーパネル11は、後述する一方のソーラーDDC21に接続されており、ソーラーパネル11で発電された電力がソーラーDDC21に出力される。他方のソーラーパネル12は、後述する他方のソーラーDDC22に接続されており、ソーラーパネル12で発電された電力は、ソーラーDDC22に出力される。ソーラーパネル11とソーラーパネル12とは、性能、容量、サイズ、及び形状などが全て同じであってもよいし、一部又は全部が異なっていてもよい。
【0012】
ソーラーDDC21及び22は、ソーラーパネル11及び12に対応して設けられ、ソーラーパネル11及び12でそれぞれ発電された電力を、高圧DDC30及び補機DDC40に供給するDCDCコンバータ(第1DCDCコンバータ)である。ソーラーDDC21は、電力供給の際、入力電圧であるソーラーパネル11の発電電圧を所定の電圧に変換(昇圧/降圧)して、高圧DDC30及び補機DDC40に出力することができる。また、ソーラーDDC22は、電力供給の際、入力電圧であるソーラーパネル12の発電電圧を所定の電圧に変換(昇圧/降圧)して、高圧DDC30及び補機DDC40に出力することができる。ソーラーDDC21及び22の構成や性能は、同じであってもよいし、ソーラーパネル11及び12に応じて異ならせてもよい。
【0013】
上述したソーラーパネル11及び12と、ソーラーDDC21及び22とは、ソーラーパネル11とソーラーDDC21とによって1つのソーラーユニットを構成し、ソーラーパネル12とソーラーDDC22とによって1つのソーラーユニットを構成する。本実施形態のソーラー充電システム1では、この2つのソーラーユニットを並列に設けた構成を一例に説明するが、ソーラー充電システム1としてソーラーユニットを1つだけ設けた構成にしてもよいし、ソーラーユニットを3つ以上並列に設けた構成にしてもよい。
【0014】
高圧DDC30は、ソーラーDDC21及び22が出力する電力を、高圧バッテリ50に供給するDCDCコンバータ(第2DCDCコンバータ)である。高圧DDC30は、電力供給の際、入力電圧であるソーラーDDC21及び22の出力電圧を、所定の電圧に変換(昇圧)して、高圧バッテリ50に出力することができる。
【0015】
補機DDC40は、ソーラーDDC21及び22が出力する電力を、補機バッテリ60に供給するDCDCコンバータ(第2DCDCコンバータ)である。補機DDC40は、電力供給の際、入力電圧であるソーラーDDC21及び22の出力電圧を、所定の電圧に変換(降圧)して、補機バッテリ60に出力することができる。
【0016】
高圧バッテリ50は、例えばリチウムイオン電池やニッケル水素電池などの、充放電可能に構成された二次電池である。この高圧バッテリ50は、高圧DDC30が出力する電力によって充電可能に高圧DDC30と接続されている。車両に搭載される高圧バッテリ50としては、スタータモーターや電動モーターなどの、車両を駆動させるための主機的な機器(図示せず)の動作に必要な電力を供給することができる、いわゆる駆動用バッテリを例示できる。
【0017】
補機バッテリ60は、例えばリチウムイオン電池や鉛蓄電池などの、充放電可能に構成された二次電池である。この補機バッテリ60は、補機DDC40が出力する電力によって充電可能に補機DDC40と接続されている。車両に搭載される補機バッテリ60は、ヘッドランプや室内灯などの灯火類、ヒーターやクーラーなどの空調類、及び自動運転や先進運転支援の装置などの、車両を駆動させるため以外の補機的な機器(図示せず)の動作に必要な電力を供給することができるバッテリである。
【0018】
上述した高圧DDC30及び補機DDC40と、高圧バッテリ50及び補機バッテリ60とは、高圧DDC30と高圧バッテリ50とによって1つの電力変換ユニットを構成し、補機DDC40と補機バッテリ60とによって1つの電力変換ユニットを構成する。本実施形態のソーラー充電システム1では、この2つの電力変換ユニットを並列に設けた構成を一例に説明するが、ソーラー充電システム1として上述したソーラーユニットが複数並列に設けられている場合には、電力変換ユニット(例えば、補機DDC40と補機バッテリ60とからなる電力変換ユニット)を1つだけ設けた構成にしてもよい。また、電力変換ユニットを3つ以上並列に設けた構成にしてもよい。すなわち、本開示技術は、ソーラー充電システム1が、ソーラーユニットと電力変換ユニットの少なくとも一方のユニットを複数備えた構成である場合に有用である。
【0019】
コンデンサ70は、ソーラーDDC21及び22と高圧DDC30及び補機DDC40との間に接続されている。このコンデンサ70は、ソーラーパネル11及び12で発生した電力を必要に応じて充放電したり、ソーラーDDC21及びソーラーDDC22の出力と高圧DDC30及び補機DDC40の入力とが接続される接続点(以下「中間点」という)の電圧を安定させたり、するためなどに用いられる大容量の容量素子である。
【0020】
ソーラー制御装置100は、ソーラー充電システム1が実行する制御のうち少なくとも一部の制御を担う。このソーラー制御装置100は、検出部101と、制御部102と、を備える。
【0021】
検出部101は、ソーラーDDC21及びソーラーDDC22と高圧DDC30及び補機DDC40とが接続される中間点の電圧を検出する。中間点電圧の検出には、DDCが備える電圧センサなどが用いられる。制御部102は、検出部101が検出した中間点電圧の結果に基づいて、ソーラー充電システム1の回路素子などを保護するために、少なくともソーラーDDC21及びソーラーDDC22を制御し、発展的には高圧DDC30又は補機DDC40をさらに制御する。本実施形態の制御部102は、検出部101が検出する中間点電圧が所定の閾値を超えて過電圧になったことを検知して、ソーラー充電システム1を構成する回路素子などを保護するための制御を行う。この検出部101及び制御部102が行う処理の詳細については、後述する。
【0022】
なお、ソーラーDDC21及び22、高圧DDC30、補機DDC40、及びソーラー制御装置100の一部又は全部は、典型的にはプロセッサ、メモリ、及び入出力インタフェースなどを含んだ電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)として構成され得る。この電子制御装置は、メモリに格納されたプログラムをプロセッサが読み出して実行することによって、上述した様々な制御を実施することができる。
【0023】
[制御]
次に、
図2乃至
図5をさらに参照して、ソーラー制御装置100によって実行される制御処理の例をいくつか説明する。以下に説明する各処理は、それぞれ、中間点電圧が所定の値(以下「第1閾値」という)を超えて過電圧になったことが検知された場合に開始される。この第1閾値は、中間点電圧がその値になった場合にソーラー充電システム1を構成する回路素子などの劣化や故障などに影響を与えてしまうおそれがある電圧値に基づいて、任意に設定される所定の値である。
【0024】
(1)第1例
図2は、ソーラー制御装置100が実行する充電制御処理の第1例を説明するフローチャートである。この
図2に示した第1例の充電制御処理は、各電力変換ユニットに含まれる高圧DDC30と補機DDC40とに対して同じ処理を行う。
【0025】
(ステップS201)
ソーラー制御装置100は、高圧DDC30から高圧バッテリ50へ出力される電流を所定の値にさせ、かつ補機DDC40から補機バッテリ60へ出力される電流を所定の値にさせる。それぞれの所定の値は、望ましくは最大値である。より具体的には、入力側の電圧である中間点電圧が過電圧状態になると、高圧DDC30及び補機DDC40は、出力電流を徐々に増加させて入力側の電圧を低下させるようにフィードバック制御を行う。そして、制御によって過電圧の状態が解消しなければ、最終的に高圧DDC30及び補機DDC40からの出力電流が上限である最大値まで到達することになる。そこで、ソーラー制御装置100は、高圧DDC30及び補機DDC40が、出力電流が最大値に到達する状態に制御されるまで待機する。高圧DDC30から高圧バッテリ50へ出力される電流が最大(所定の値)になり、かつ、補機DDC40から補機バッテリ60へ出力される電流が最大(所定の値)になると、ステップS202に処理が進む。
【0026】
(ステップS202)
ソーラー制御装置100は、ソーラーDDC21及びソーラーDDC22の出力を制限する。出力の制限は、望ましくは出力の停止である。出力の停止は、ソーラーDDC21及びソーラーDDC22に対して出力電流をゼロにする指令値を指示することで行ってもよいし、ソーラーDDC21及びソーラーDDC22への電源供給を止めることで行ってもよい。このソーラーDDC21及びソーラーDDC22の出力停止と、上記高圧DDC30及び補機DDC40の出力電流の最大化とによって、コンデンサ70に蓄えられていた電荷が高圧バッテリ50及び補機バッテリ60へ放出される。ソーラーDDC21及びソーラーDDC22の出力が停止(制限)されると、ステップS203に処理が進む。
【0027】
(ステップS203)
ソーラー制御装置100は、高圧DDC30の出力電圧目標をゼロにさせ、かつ補機DDC40の出力電圧目標をゼロにさせる。より具体的には、ソーラーDDC21及びソーラーDDC22の出力が停止すると、コンデンサ70の電荷が徐々に放出されて最終的には高圧DDC30及び補機DDC40から高圧バッテリ50及び補機バッテリ60にそれぞれ充電する電力がなくなる。このため、高圧DDC30の出力電圧目標及び補機DDC40の出力電圧目標は、共にゼロに制御されることになる。高圧DDC30の出力電圧目標がゼロになり、かつ、補機DDC40の出力電圧目標がゼロになると、ステップS204に処理が進む。
【0028】
なお、このステップS203の処理による高圧バッテリ50及び補機バッテリ60の出力電圧目標のゼロ確認は、省略することが可能である。
【0029】
(ステップS204)
ソーラー制御装置100は、高圧DDC30の出力電流指令値を所定の値(以下「第2閾値」という)にさせ、かつ補機DDC40の出力電圧目標を所定の値にさせる。この処理は、コンデンサ70の電荷をなくならせた後に、高圧DDC30及び補機DDC40の動作を停止させるために行われる。よって、この第2閾値は、典型的にはゼロである。高圧DDC30の出力電流指令値がゼロ(第2閾値)になり、かつ、補機DDC40の出力電流指令値がゼロ(第2閾値)になると、本第1例の充電制御処理が終了する。
【0030】
この第1例の充電制御処理のように、高圧DDC30及び高圧バッテリ50による電力変換ユニットと補機DDC40及び補機バッテリ60による電力変換ユニットとによって、中間点に接続されたコンデンサ70に蓄えられた過電圧の電荷を放出する経路を確保した上で、ソーラーDDC21及びソーラーDDC22の出力を停止する。これにより、中間点電圧を安全なレベルまで低下させた状態においてソーラーDDC21、ソーラーDDC22、高圧DDC30、及び補機DDC40の全てを停止させることができるので、ソーラー充電システム1の回路素子などを劣化や故障などから適切に保護することができる。
【0031】
なお、処理プログラムのコンパイル速度や回路素子の制御応答性などが原因となって、ステップS201からステップS204までの処理の順序が入れ替わるおそれがあるような場合には、
図3の応用例に示すように各処理ステップの間に実行を待機する所定の時間(ステップS301、S302、及びS303)を設けてもよい。この待機する所定時間は、例えばシステムクロックの1周期とすることができる。
【0032】
図6に、第1例の充電制御処理におけるソーラーDDC21、ソーラーDDC22、高圧DDC30、及び補機DDC40の処理タイミングの一例を示す。
図6の例では、中間点電圧が過電圧になったことが検知された(T1)後、中間点電圧を低下させようとして高圧DDC30の出力電流及び補機DDC40の出力電流が最大となる(T2)。その後、中間点への電力供給を止めさせるために、ソーラーDDC21及びソーラーDDC22の出力を停止する(T3)。これにより、コンデンサ70の電荷の放電だけになって中間点の電圧が低下してゆき、高圧DDC30及び補機DDC40の出力電圧目標がゼロ制御となる(T4)。そして、最後に、高圧DDC30及び補機DDC40の出力電流をゼロにして、DDC動作を停止する(T5)。
【0033】
(2)第2例
図4は、ソーラー制御装置100が実行する充電制御処理の第2例を説明するフローチャートである。この
図4に示した第2例の充電制御処理は、各電力変換ユニットに含まれる高圧DDC30と補機DDC40とに対して異なる処理を行う。
【0034】
(ステップS401)
ソーラー制御装置100は、高圧DDC30から高圧バッテリ50へ出力される電流を所定の値にさせる。所定の値は、望ましくは最大値である。より具体的には、入力側の電圧である中間点電圧が過電圧状態になると、高圧DDC30は、出力電流を徐々に増加させて入力側の電圧を低下させるようにフィードバック制御を行う。そして、制御によって過電圧の状態が解消しなければ、最終的に高圧DDC30からの出力電流が上限である最大値まで到達することになる。そこで、ソーラー制御装置100は、高圧DDC30が、出力電流が最大値に到達する状態に制御されるまで待機する。高圧DDC30から高圧バッテリ50へ出力される電流が最大(所定の値)になると、ステップS402に処理が進む。
【0035】
(ステップS402)
ソーラー制御装置100は、補機DDC40の出力を制限する。出力の制限は、望ましくは出力の停止である。出力の停止は、補機DDC40に対して出力電流をゼロにする指令値を指示することで行ってもよいし、補機DDC40への電源供給を止めることで行ってもよい。補機DDC40の出力が停止(制限)されると、ステップS403に処理が進む。
【0036】
(ステップS403)
ソーラー制御装置100は、ソーラーDDC21及びソーラーDDC22の出力を制限する。出力の制限は、望ましくは出力の停止である。出力の停止は、ソーラーDDC21及びソーラーDDC22に対して出力電流をゼロにする指令値を指示することで行ってもよいし、ソーラーDDC21及びソーラーDDC22への電源供給を止めることで行ってもよい。このソーラーDDC21及びソーラーDDC22の出力停止と、上記補機DDC40の出力停止と、上記高圧DDC30の出力電流の最大化とによって、コンデンサ70に蓄えられていた電荷が高圧バッテリ50へ放出される。ソーラーDDC21及びソーラーDDC22の出力が停止(制限)されると、ステップS404に処理が進む。
【0037】
(ステップS404)
ソーラー制御装置100は、高圧DDC30の出力電圧目標をゼロにさせる。より具体的には、ソーラーDDC21及びソーラーDDC22の出力が停止すると、コンデンサ70の電荷が徐々に放出されて最終的には高圧DDC30から高圧バッテリ50に充電する電力がなくなる。このため、高圧DDC30の出力電圧目標は、ゼロに制御されることになる。高圧DDC30の出力電圧目標がゼロになると、ステップS405に処理が進む。
【0038】
なお、このステップS404の処理による高圧バッテリ50の出力電圧目標のゼロ確認は、省略することが可能である。
【0039】
(ステップS405)
ソーラー制御装置100は、高圧DDC30の出力電流指令値を所定の値(第2閾値)にさせる。この処理は、コンデンサ70の電荷をなくならせた後に、高圧DDC30の動作を停止させるために行われる。よって、第2閾値は、典型的にはゼロである。高圧DDC30の出力電流指令値がゼロ(第2閾値)になると、本第2例の充電制御処理が終了する。
【0040】
この第2例の充電制御処理のように、高圧DDC30及び高圧バッテリ50による電力変換ユニットのみを使用して、中間点に接続されたコンデンサ70に蓄えられた過電圧の電荷を放出する経路を確保した上で、ソーラーDDC21及びソーラーDDC22の出力を停止する。これにより、中間点電圧を安全なレベルまで低下させた状態においてソーラーDDC21、ソーラーDDC22、高圧DDC30、及び補機DDC40の全てを停止させることができるので、ソーラー充電システム1の回路素子などを劣化や故障などから適切に保護することができる。なお、補機DDC40及び補機バッテリ60による電力変換ユニットのみを使用して、コンデンサ70に蓄えられた過電圧の電荷を放出してもよい。また、コンデンサ70の電荷放出にどちらの電力変換ユニットを使用するかについては、例えば、高圧バッテリ50及び補機バッテリ60の状態(蓄電量、温度、経年数など)に基づいて動的に判断してもよい。
【0041】
なお、処理プログラムのコンパイル速度や回路素子の制御応答性などが原因となって、ステップS401からステップS405までの処理の順序が入れ替わるおそれがあるような場合には、
図5の応用例に示すように各処理ステップの間に実行を待機する所定の時間(ステップS501、S502、S503、及びS504)を設けてもよい。この待機する所定時間は、例えばシステムクロックの1周期とすることができる。
【0042】
<作用・効果>
以上のように、本開示の一実施形態に係るソーラー制御装置100によれば、ソーラーユニット(ソーラーDDC21及びソーラーDDC22)と電力変換ユニット(高圧DDC30及び補機DDC40)とが接続される中間点の電圧が過電圧になった場合、電力変換ユニットによって中間点に接続されたコンデンサ70に蓄えられた過電圧の電荷を放出する経路を形成した上で、ソーラーユニットの出力を停止する。
【0043】
この処理によって、中間点の電圧を安全なレベルまで低下させてからソーラーDDC21、ソーラーDDC22、高圧DDC30、及び補機DDC40の全てを停止させる。従って、ソーラー充電システム1の回路素子などを劣化や故障などから適切に保護することができる。
【0044】
以上、本開示技術の一実施形態を説明したが、本開示は、ソーラー制御装置だけでなく、ソーラー制御装置が行う方法、その方法のプログラム、そのプログラムを記憶したコンピューター読み取り可能な非一時的記憶媒体、ソーラー制御装置を備えた車両などとして捉えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本開示のソーラー制御装置は、ソーラーパネルで発電された電力を利用してバッテリを充電する車両などに利用可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 ソーラー充電システム
11、12 ソーラーパネル
21、22 ソーラーDDC
30 高圧DDC
40 補機DDC
50 高圧バッテリ
60 補機バッテリ
70 コンデンサ
100 ソーラー制御装置
101 検出部
102 制御部